説明

振出口付蓋材

【課題】 その目的とするところは、上部の開口部にフランジ部を備えた有底状容器の開口部を被覆しフランジ部で熱接着して密封する蓋材において、蓋材の振出口部を外面から有底状容器側に向かって押すことにより、開封でき、内容物を簡単に小出しにでき、使い勝手のよい振出口付蓋材を提供することである。
【解決手段】 蓋材が基材層、アルミ箔層、熱接着性樹脂層が順次積層された積層材から構成され、周縁に周縁熱接着部を有し、該周縁熱接着部の近傍に基材層の外面からハーフカット線が切り込まれ形成された振出口部を備え、該振出口部が第一ハーフカット線、第三ハーフカット線、及び第四ハーフカット線で囲まれた第一振出口片と、第一ハーフカット線、ミシン目状の第二ハーフカット線、第三ハーフカット線、及び第四ハーフカット線で囲まれた第二振出口片が設けられたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼菓子、スナック菓子、チョコレート菓子、キャンデー等の食品等を収容する包装容器の振出口付蓋材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、焼菓子、スナック菓子、チョコレート菓子、キャンデー等の食品を紙カップや合成樹脂製のフランジ部を有する有底状容器等に開口部より収容して開口部を蓋材で被覆しフランジ部で熱接着して密封したカップ型の包装容器が、店頭で立てた状態で陳列できるために、消費者への訴求効果が大きなものとなり、販売者にとっては好ましい形態であり、一方、これを購入する消費者にとってはそのまま立てた状態で食することができ、利便性に優れた形態であり広く使用されている。これらの形態は蓋材をフランジ部より剥離して容易に開封でき、内容物を食することができる。また、小出しにしながら食する内容物、例えばチョコチップのような場合には振出口付オーバーキャップが嵌合されており、振出口付オーバーキャップを外して蓋材を剥離して開封後、再び振出口付オーバーキャップを有底状容器の開口部に嵌合して小出しにできる形態が採用されている。さらには内面が熱可塑性合成樹脂層とされている容器本体の開口部に板紙と熱可塑性合成樹脂のフィルムの積層材の蓋片が溶着されている容器において、内側面にポリエチレンフィルムが積層されている蓋片に外面からフィルムとの積層面に達する外ハーフカット線を開曲線形状で切り込み、蓋面のフィルム面から板紙との積層面に達し、外ハーフカット線の開曲線形状に沿い、僅かに大型で相似形の内ハーフカット線を切り込み、蓋片に開口部をあけうる容器(例えば、特許文献1参照)等の小出しにできるようにした形態が用いられている。
【0003】
前者の振出口付オーバーキャップを採用する形態は、まず、振出口付オーバーキャップを容器から外し、次に蓋材を一部若しくは全部を剥離して開封し、再び、振出口付オーバーキャップを開口部に被せて嵌合してから振出口より内容物を取り出すものであり、振出口付オーバーキャップを外したり被せたりする必要があり、面倒なものである。また、後者の特許文献1の発明は、外ハーフカット線で囲まれた部分を指頭で容器内方に向かって押圧すると、外ハーフカット線で囲まれた部分と、内ハーフカット線で囲まれた部分とが一体となって、各ハーフカット線部分で切り離され、該切り離し小片が一体に内方へフランジで折曲されて開口部が形成される。しかしながら、切り離し小片がフランジで折曲されているために、液体用には好適に使用できるが焼菓子、スナック菓子、チョコレート菓子、キャンデー等の棒状、球状、角状等の固形の食品用に用いると内容物を取り出すときに切り離し小片に内容物が引っ掛かって取り出しにくいという問題があり、内容物を簡単に小出しにでき、使い勝手の優れた蓋材や容器の開発が望まれていた。
【特許文献1】実開平6−3826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上部の開口部にフランジ部を備えた有底状容器の開口部を被覆しフランジ部で熱接着して密封する蓋材において、蓋材の振出口部を外面から有底状容器側に向かって押すことにより、開封でき、内容物を簡単に小出しにでき、使い勝手のよい振出口付蓋材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明にかかる振出口付蓋材は、上部の開口部にフランジ部を備えた有底状容器の前記開口部を被覆し前記フランジ部で熱接着して密封する蓋材において、該蓋材が基材層、アルミ箔層、熱接着性樹脂層が順次積層された積層材から構成され、周縁に前記フランジ部と前記熱接着性樹脂層とで熱接着される周縁熱接着部を有し、該周縁熱接着部の近傍の前記開口部と対向する側に前記基材層の外面から前記アルミ箔層の直近位置または該層に達するハーフカット線が切り込まれ形成された振出口部を備え、該振出口部が前記蓋材の中心側に始点と終点とを有し、前記始点から前記周縁熱接着部の近傍に向かって延びる第一ハーフカット線と該第一ハーフカット線に連続して周縁熱接着部に沿って延びるミシン目状の第二ハーフカット線と該第二ハーフカット線に連続して終点に戻る第三ハーフカット線が形成され、前記第二ハーフカット線の内側に前記第一ハーフカット線及び前記第三ハーフカット線を連結する第四ハーフカット線が前記基材層の外面から形成され、前記第一ハーフカット線、前記第三ハーフカット線、及び前記第四ハーフカット線で囲まれた第一振出口片と、前記第一ハーフカット線、前記第二ハーフカット線、前記第三ハーフカット線、及び前記第四ハーフカット線で囲まれた第二振出口片が設けられたことを特徴とするものである。
【0006】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の振出口付蓋材において、前記第一ハーフカット線の前記始点側の先端部分が前記蓋材の中心側に突き出し、前記第一ハーフカット線に対して前記第三ハーフカット線の反対側に前記始点が位置するようにU字状に形成され、前記第三ハーフカット線の前記終点側の先端部分が前記蓋材の中心側に突き出し、前記第三ハーフカット線に対して前記第一ハーフカット線の反対側に前記終点が位置するようにU字状に形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項3記載の本発明は、請求項1又は2記載の振出口付蓋材において、前記第一ハーフカット線、前記第三ハーフカット線及び前記第四ハーフカット線にハーフカットを施さない歯止めを複数設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる振出口付蓋材は、上部の開口部にフランジ部を備えた有底状容器の前記開口部を被覆し前記フランジ部で熱接着して密封する蓋材において、該蓋材が基材層、アルミ箔層、熱接着性樹脂層が順次積層された積層材から構成され、周縁に前記フランジ部と前記熱接着性樹脂層とで熱接着される周縁熱接着部を有し、該周縁熱接着部の近傍の前記開口部と対向する側に前記基材層の外面から前記アルミ箔層の直近位置または該層に達するハーフカット線が切り込まれ形成された振出口部を備えることにより振出口部を外面から前記有底状容器側に向かって押すことにより、容易に開封でき振出口が形成され、内容物が小出しにできるという効果を奏するものである。また、振出口にしているために、例えば、乗り物に乗りながら振動があっても内容物を零すことなく小出しにできる。また、ハーフカット線は、前記基材層の外面から前記アルミ箔層の直近位置または該層に達するように切り込まれ形成されているために、ハーフカット線に沿って開封が容易であると共に前記アルミ箔層によって前記蓋材のガスバリア性が確保され、内容物の品質劣化が防止できるものである。
【0009】
また、本発明にかかる蓋材は、該振出口部が前記蓋材の中心側に始点と終点とを有し、前記始点から前記周縁熱接着部の近傍に向かって延びる第一ハーフカット線と該第一ハーフカット線に連続して周縁熱接着部に沿って延びるミシン目状の第二ハーフカット線と該第二ハーフカット線に連続して終点に戻る第三ハーフカット線が形成され、前記第二ハーフカット線の内側に前記第一ハーフカット線及び前記第三ハーフカット線を連結する第四ハーフカット線が前記基材層の外面から形成され、前記第一ハーフカット線、前記第三ハーフカット線、及び前記第四ハーフカット線で囲まれた第一振出口片と、前記第一ハーフカット線、前記第二ハーフカット線、前記第三ハーフカット線、及び前記第四ハーフカット線で囲まれた第二振出口片が設けられた構成とすることにより、有底状容器のフランジ部と蓋材との位置合わせズレが発生して万一、第二ハーフカット線がフランジ部に重なっても第四ハーフカット線がフランジ部に重ならないため第四ハーフカット線から振出口部の開封が可能となる。すなわち、前記蓋材のシール位置合わせのズレの許容値を大きくすることができ蓋材と有底状容器のフランジ部とのシール位置合せが容易となり生産性(良品率、生産速度)が向上する。さらに有底状容器のフランジ部と蓋材との位置合わせズレがなく、前記第二ハーフカット線がフランジ部に重ならない場合には、第一振出口片と第二振出口片とは第四ハーフカット線より開封されて観音開きされる。すなわち、開封されると振出口部が第一振出口片と第二振出口片とに二分割され、第二振出口片を小さくすることにより内容物が振出口部に引っ掛かることがなく小出しにでき、利便性の優れた容器とできる。
【0010】
また、請求項2記載の本発明は、前記第一ハーフカット線の前記始点側の先端部分及び前記第三ハーフカット線の前記終点側の先端部分が前記蓋材の中心側に突き出し、U字状に形成されていることにより、前記蓋材の振出口部を押して開封しても蓋材の引裂き伝播が前記第一ハーフカット線、前記第三ハーフカット線の始点及び終点で停止し、引裂き伝播のストッパーの役目を果たす効果がある。
【0011】
また、請求項3記載の本発明は、前記第一ハーフカット線、前記第三ハーフカット線及び前記第四ハーフカット線にハーフカットを施さない歯止めを複数設けることにより、振出口付蓋材を用いた包装容器に輸送時の振動等の衝撃が加わった場合にもハーフカット線で振出口部が破断することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら以下に詳述する。
図1は本発明にかかる振出口付蓋材の一実施形態を示す平面図であり、図2は図1におけるX−X線断面図であり、図3は本発明にかかる振出口付蓋材を容器の開口部に熱接着し振出口部を押し破り開封した状態を示す断面図であり、図4は図3の振出口部の開封状態を示す部分斜視図であり、図5は本発明にかかる振出口付蓋材の他の実施形態を示す部分平面図であり、図6は図5のハーフカット線の一実施例を示す平面図である。ある。である。図中の1、1’は本発明にかかる振出口付蓋材、2は積層材、3は周縁熱接着部、4は振出口部、5はハーフカット線、6は第一振出口片、7は第二振出口片、8は振出口、10は有底状容器、11は開口部、12はフランジ部、21は基材層、22はアルミ箔層、23は熱接着性樹脂層、51は始点、52は終点、53は第一ハーフカット線、54は第二ハーフカット線、55は第三ハーフカット線、56は第四ハーフカット線、57は歯止め、58は傾斜切目、Cは蓋材の中心側、Tは摘み部をそれぞれ示す。
【0013】
本発明にかかる振出口付蓋材の一実施形態は図1、図2に示す通りである。図1は本発明にかかる振出口付蓋材の一実施形態を示す平面図であり、図2は図1におけるX−X線断面図であって積層材の構成を示すものである。図1に示すように本発明の振出口付蓋材1の一実施形態は、円形状であって周縁に外方に突出する摘み部Tが形成され、図2に示すように基材層21、アルミ箔層22、熱接着性樹脂層23が順次積層された積層材2から構成され、上部の開口部の周縁にフランジ部を備えた有底状容器のフランジ部と熱接着性樹脂層23とで熱接着される周縁熱接着部3を有し、該周縁熱接着部3の近傍に基材層21の外面からアルミ箔層22の直近位置または該層に達するハーフカット線5が切り込まれ形成された振出口部4を備えている。このようにハーフカット線5を形成することによりハーフカット線5に沿って振出口部4の開封が容易であると共にアルミ箔層22によって振出口付蓋材1のガスバリア性が確保され、内容物の品質劣化が防止できるものである。なお、摘み部Tは設けなくてもよいが、例えばキャンペーン等で振出口付蓋材の裏面(熱接着性樹脂層23側)に記載領域を設ける場合、内容物を消費後、振出口付蓋材を剥離する必要があり、摘み部Tを設けるのが好ましい。
【0014】
さらに振出口部4は、振出口付蓋材1の中心側Cに始点51と終点52とを有し、始点51から周縁熱接着部3の近傍に向かって延びる第一ハーフカット線53と該第一ハーフカット線53に連続して周縁熱接着部3に沿って延びるミシン目状の第二ハーフカット線54と該第二ハーフカット線54に連続して終点52に戻る第三ハーフカット線55が形成され、第二ハーフカット線54の内側に第一ハーフカット線53及び第三ハーフカット線55を連結する第四ハーフカット線56が基材層21の外面から形成され、第一ハーフカット線53、第三ハーフカット線55、及び第四ハーフカット線56で囲まれた第一振出口片6と、第一ハーフカット線53、第二ハーフカット線54、第三ハーフカット線55、及び第四ハーフカット線56で囲まれた第二振出口片7が設けられ構成されている。
第四ハーフカット線56は第二ハーフカット線54に沿って近接して第二ハーフカット線54より長く形成されており、振出口部4は略花びら状に設けられている。第四ハーフカット線56は第一ハーフカット線53と第三ハーフカット線55を連結して形成されるが、第二ハーフカット線54に近接して形成するほうが好ましい。通常、第二ハーフカット線54と第四ハーフカット線56との間隔は2〜5mmである。5mmを超えると振出口部4を開封して内容物を取り出す際に、第二振出口片7に内容物が引っ掛かって取り出しにくい。
【0015】
さらに、ハーフカット線5を構成する第一ハーフカット線53の始点51側の先端部分が振出口付蓋材1の中心側Cに突き出し、第一ハーフカット線53に対して第三ハーフカット線55の反対側に始点51が位置するようにU字状に形成され、第三ハーフカット線55の終点52側の先端部分が振出口付蓋材1の中心側Cに突き出し、第三ハーフカット線55に対して第一ハーフカット線53の反対側に終点52が位置するようにU字状に形成されている。このような構成にすることによって、振出口付蓋材1の振出口部4を押し破り開封してもハーフカット線5に沿って引裂かれた積層材2の引裂き伝播が第一ハーフカット線53、第三ハーフカット線55の始点51及び終点52で停止し、振出口付蓋材の引裂き伝播のストッパーの役目を果たす。
【0016】
上記のハーフカット線5は、基材層21に印刷を施す工程で印刷と同時に、所定の寸法及び形状のハーフカット線の切刃及びミシン目刃を備えたロータリーダイロール等により印刷位置に同調させて所定の位置に基材層21の外面からアルミ箔層22の直近位置または該層に達するまで切り込まれて振出口部4を形成することができる。あるいは、基材層21に印刷後、所定の位置に例えば、ロータリーダイカッター等により基材層21の外面からハーフカット線5を形成することもできる。さらには、基材層21、アルミ箔層22、熱接着性樹脂層23を積層して積層材2とした後に例えば、ロータリーダイカッター等を備えたハーフカット機を用いて基材層21の面から印刷位置に同調させて所定の位置にハーフカット線5を形成することもできる。
【0017】
本発明にかかる振出口付蓋材1の積層材2の層構成は、表面光沢、滑り性、剛度、引裂強度や自動包装機械適性等を勘案して要求品質を満足するように決定される。したがって、要求品質により図示してはいないが基材層の外面に表面層を積層することもできる。この場合には表面層又は基材層21に印刷後、印刷面と表面層または基材層21とを積層し、その後にハーフカット線5を表面層側より形成すればよい。基材層21には、コート紙、上質紙、クラフト紙等の紙やポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等の樹脂からなる周知の二軸延伸されたフィルムを用いることができる。表面層には、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル等の樹脂からなる周知の二軸延伸されたフィルムを用いることができる。アルミ箔層22には、軟質、半硬質、硬質又は合金タイプ等のアルミニウム箔が使用できる。熱接着性樹脂層23に用いる熱接着性樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンとアクリル酸との酸コポリマー、エチレンとアクリル酸エステルとのエステルコポリマー等の周知の熱接着性樹脂を用いることができ、各層の積層方法としてはドライラミネーション法やサンドイッチラミネーション法等の周知の積層方法を用いればよく、熱接着性樹脂層23についてはエクストルージョンラミネーション法で積層してもよい。
【0018】
次に図3、図4を用いて本発明にかかる振出口付蓋材1の開封方法について説明する。図3は本発明にかかる振出口付蓋材1を容器の開口部に熱接着し振出口部4を押し破り開封した状態を示す断面図であり、図4は図3の振出口部4の開封状態を示し、図1の円内に図示した部分に相当する部分斜視図である。
図3に示すように本発明にかかる振出口付蓋材1は、上部の開口部11にフランジ部12を備えた有底状容器10の開口部11を被覆して重ねて熱接着性樹脂層23面をフランジ部12に対向させて周縁熱接着部3で熱接着して密封包装されている。有底状容器10は上部に開口部11の周縁にフランジ部12を有しておれば、容器の形状は特に限定されるものでなく、球状、角柱状、角錐台状、卵型状等でもよい。また、容器は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン等の樹脂からなるシート成形品や射出成形品若しくは紙、アルミ箔、ポリエチレン等の合成樹脂及び/又はアルミニウム等の金属や酸化アルミ、酸化珪素等の無機の酸化物を蒸着したプラスチックフィルム等のガスバリア性素材を積層した積層材を用いた紙カップや紙容器等が使用できる。
【0019】
次に振出口部4を外面から有底状容器10側に向かって(図3の矢印の方向)押すことにより、振出口部4がハーフカット線5(図1参照)に沿って引裂かれ、第一振出口片6が始点51、終点52の近傍で折り曲げられ、さらに第二振出口片はミシン目状の第二ハーフカット線54に沿って折り曲げられ観音開きされて振出口8が形成される。さらに図3に示すように第一振出口片6、第二振出口片7を矢印の方向に押し曲げることにより開口が完了する。そして、振出口8より内容物を小出しに取り出すことができる。
【0020】
図5は、本発明にかかる振出口付蓋材の他の実施形態を示す平面図であって図1の円内に相当する部分を拡大したものであり、図6は図5のハーフカット線の一実施例を示す平面図である。図5に示すように他の実施形態の振出口付蓋材1’は第一ハーフカット線53、第三ハーフカット線55及び第四ハーフカット線56にハーフカットを施さない歯止め57をそれぞれ3個ずつ設けた構成である。その他は一実施形態と同様である。このように歯止め57を複数設けることにより、有底状容器に内容物を充填し、振出口付蓋材1’を用いて密封包装した包装容器に輸送時の振動等の衝撃が加わった場合にハーフカット線5で振出口部4が破断することを防止できるものである。なお、この実施形態では第1ハーフカット53、第3ハーフカット55及び第4ハーフカット56の切目を直線としているが、図6に示すように各切目を開封方向先端に傾斜切目58を設けた形状とすることができる。この場合、歯止め57の間隔を広げても各切目が開封しやすくなり、振出口付蓋材1’に衝撃が加わった場合においてもハーフカット線5の破断をより好適に防止することができる。ここでいう開封方向先端とは、開封に際し、振出口部4の第四ハーフカット線56の中央付近を外面から有底状容器10側に向かって押すと振出口部4の第四ハーフカット線56の中央付近が、まず引裂かれ、その引裂き伝播が第一ハーフカット線53を経由して始点51に伝播するとほぼ同時に第三ハーフカット線55を経由して終点52に伝播するが、この伝播の方向が開封方向であり、伝播が最初に伝わる切目の端部を指すものとする。
【実施例1】
【0021】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
基材層に片アート紙79.1g/m2 を用いてコート面に所定の絵柄と振出口部や開封方法を示す説明文等をグラビア印刷し、さらに該表面にオーバーコートニスをグラビア印刷し、印刷後、印刷工程とインラインで所定の寸法及び形状のハーフカット線の切刃及びミシン目刃を備えたロータリーダイロールにより印刷位置に同調させて所定の位置に基材層を貫通するハーフカット線を切り込み振出口部を形成した。その後、印刷の反対面にコロナ放電処理を施しながら該面とアルミ箔9μmとを厚さ15μmのポリエチレンを溶融押出して貼り合せアルミ箔面に厚さ50μmのポリエチレンを溶融押出しして熱接着性樹脂層を設けて積層材を作製した。そして該積層材を断裁、打ち抜きして外径73mmの図1に示す振出口付蓋材を作製した。なお、第一ハーフカット線、第三ハーフカット線、第四ハーフカット線には0.5mmの歯止めを各3ケ設けた。第二ハーフカット線のミシン目は切り目の長さ2mm、非切り目の長さ0.5mmとし、周縁熱接着部より1mm内側に形成した。
【0022】
有底状容器にカップ原紙220g/m2 の片面に印刷を施し、印刷の反対面とアルミ箔9μmとを厚さ15μmのポリエチレンを溶融押出して貼り合せアルミ箔面に厚さ50μmのポリエチレンを溶融押出しした積層材を用いてカップ成型機で外径72.8mm、内径67.5mm、高さ77mmの上部にフランジ部となるトップカール部を形成した紙カップを用いた。次に上記の紙カップにチョコチップを封入し、開口部を上記で作製した振出口付蓋材で被覆しフランジ部のポリエチレン面と振出口付蓋材のポリエチレン面とを対向させて周縁熱接着部で熱接着して密封包装し供試サンプルとした。
【実施例2】
【0023】
振出口付蓋材に用いる積層材の構成のみ、下記のように変更しその他は実施例1と同じとした。表面層に二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム12μmを用いて所定の絵柄と振出口部や開封方法を示す説明文等をグラビア印刷法で裏刷りし、印刷面にウレタン系接着剤を介して基材層に用いた上質紙60g/m2 とドライラミネーション法で積層した。次に所定の寸法及び形状のハーフカット線の切刃及びミシン目刃を備えたロータリーダイカッターにより印刷位置に同調させて所定の位置に表面層及び基材層を貫通するハーフカット線を切り込み振出口部を形成した。その後、上質紙の面にコロナ放電処理を施しながら該面とアルミ箔9μmとを厚さ15μmのポリエチレンを溶融押出して貼り合せアルミ箔面に厚さ50μmのポリエチレンを溶融押出しして熱接着性樹脂層を設けて積層材を作製した。その後、実施例1と同様に紙カップにチョコチップを封入し密封包装し供試サンプルとした。
【0024】
次に実施例1及び実施例2で作製した供試サンプルをそれぞれ用いて開封適性、振出口適性を評価した。開封適性は振出口部を外面から指で紙カップ側に向かって押し破ることにより評価した。振出適性は振出口部よりチョコチップをスムーズに小出しできるかを評価した。開封適性は実施例1及び実施例2とも振出口部がハーフカット線に沿って引裂かれ、第一振出口片が始点、終点の近傍で折り曲げられ、さらに第二振出口片は第二ハーフカット線に沿って折り曲げることができ、観音開きできて振出口を良好に形成することができた。次に実施例1及び実施例2ともに振出口よりチョコチップをスムーズに振り出して小出しにすることができた。以上のように実施例1及び実施例2ともに開封適性、振出適性ともに良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる振出口付蓋材の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1におけるX−X線断面図である。
【図3】本発明にかかる振出口付蓋材を容器の開口部に熱接着し振出口部を押し破り開封した状態を示す断面図である。
【図4】図3の振出口部の開封状態を示す部分斜視図である。
【図5】本発明にかかる振出口付蓋材1の他の実施形態を示す部分平面図である。
【図6】図5のハーフカット線の一実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0026】
1、1’ 振出口付蓋材
2 積層材
3 周縁熱接着部
4 振出口部
5 ハーフカット線
6 第一振出口片
7 第二振出口片
8 振出口
10 有底状容器
11 開口部
12 フランジ部
21 基材層
22 アルミ箔層
23 熱接着性樹脂層
51 始点
52 終点
53 第一ハーフカット線
54 第二ハーフカット線
55 第三ハーフカット線
56 第四ハーフカット線
57 歯止め
58 傾斜切目
C 中心側
T 摘み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部の開口部にフランジ部を備えた有底状容器の前記開口部を被覆し前記フランジ部で熱接着して密封する蓋材において、該蓋材が基材層、アルミ箔層、熱接着性樹脂層が順次積層された積層材から構成され、周縁に前記フランジ部と前記熱接着性樹脂層とで熱接着される周縁熱接着部を有し、該周縁熱接着部の近傍の前記開口部と対向する側に前記基材層の外面から前記アルミ箔層の直近位置または該層に達するハーフカット線が切り込まれ形成された振出口部を備え、該振出口部が前記蓋材の中心側に始点と終点とを有し、前記始点から前記周縁熱接着部の近傍に向かって延びる第一ハーフカット線と該第一ハーフカット線に連続して周縁熱接着部に沿って延びるミシン目状の第二ハーフカット線と該第二ハーフカット線に連続して終点に戻る第三ハーフカット線が形成され、前記第二ハーフカット線の内側に前記第一ハーフカット線及び前記第三ハーフカット線を連結する第四ハーフカット線が前記基材層の外面から形成され、前記第一ハーフカット線、前記第三ハーフカット線、及び前記第四ハーフカット線で囲まれた第一振出口片と、前記第一ハーフカット線、前記第二ハーフカット線、前記第三ハーフカット線、及び前記第四ハーフカット線で囲まれた第二振出口片が設けられたことを特徴とする振出口付蓋材。
【請求項2】
前記第一ハーフカット線の前記始点側の先端部分が前記蓋材の中心側に突き出し、前記第一ハーフカット線に対して前記第三ハーフカット線の反対側に前記始点が位置するようにU字状に形成され、前記第三ハーフカット線の前記終点側の先端部分が前記蓋材の中心側に突き出し、前記第三ハーフカット線に対して前記第一ハーフカット線の反対側に前記終点が位置するようにU字状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の振出口付蓋材。
【請求項3】
前記第一ハーフカット線、前記第三ハーフカット線及び前記第四ハーフカット線にハーフカットを施さない歯止めを複数設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の振出口付蓋材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−7052(P2009−7052A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172141(P2007−172141)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】