振動するピペットを有する化学分析器用または生化学分析器用撹拌機
本発明は、化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)に関し、撹拌機(1)は、ヘッド部(4a)と胴体部(4b)と自由端部(4c)とを有するピペット(4)を備えている。ピペット(4)のヘッド部(4a)は、ヘッド支持ブロック(5)に固定されている。また、本発明による撹拌機(1)は、ピペット(4)の自由端部(4c)の振動動作を引き起こす駆動部を備えている。この駆動部は、フレーム(2)に固定された作動ユニット(3)からなり、これらのフレーム(2)および作動ユニット(3)は、偏心ブロック(9b)を有するガイドブロック(9)と当接し、この偏心ブロック(9b)は、軸(10)を中心に回動自在に取り付けられるとともに、ピペット(4)の胴体部(4b)と当接している。また、ヘッド支持ブロック(5)は、ピペット(4)が振動する平面と垂直な軸(7)を中心に回動自在にフレーム(2)に取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学分析器用または生化学分析器用撹拌機に関し、この撹拌機は、胴体部と自由端部とヘッド支持ブロックに固定されたヘッド部とを有する少なくとも1つのピペットと、ピペットの自由端部を振動させるための駆動手段とを備え、駆動手段は、フレームに固定され、ピペットの胴体部と連動するガイドブロックに当接する作動ユニットを有している。
【背景技術】
【0002】
化学分析器または生化学分析器は、いくつかのモジュールから構成されており、とりわけサンプルと反応物とを混合させる撹拌機を有している。既存の熱量測定による化学分析器または生化学分析器の先細形状からなる反応槽は、透明な材質からなる壁面を有し、その体積は通常500μl未満である。このような分析は、反応槽の下部壁面の透明性と反応媒体のメニスカス表面の透明性とにより、目視により行なわれる。また、断面矩形形状からなる反応槽も用いられ、この場合、反応槽の垂直壁を水平に目視することにより分析が行なわれる。これにより、メニスカスに関する問題と泡に関する問題とを除去することができるが、撹拌が不十分な場合には、沈殿作用により重大な問題が生じる。
【0003】
化学分析器用または生化学分析器用撹拌機には、反応媒体を最適に撹拌するために、以下のようないくつかの基本要件が求められる。
繰り返しが可能なシステム:撹拌機は、連続撹拌中における外乱作用を最小化するように設計されなければならない。
− 再現可能なシステム:必要に応じてユーザーがピペットを交換できなければならず、また、ピペットの交換によっても撹拌特性が維持されなければならない。さらに、長時間が経過した後における撹拌機性能の安定性にも注意が払われなければならない。
− 汚染の最小化:反応媒体と接触する部分は極力少なくしなければならず、これらの接触部分は、それぞれ表面粗さが最小でなくてはならない。
− 高い撹拌効率:撹拌の質は、分析結果の再現可能性に直結する。このため、撹拌パラメータを調整できることが必須の要件となる。
− 泡の不存在:例えばピペット等の撹拌機の構成要素と反応媒体との間において、キャビテーション現象により泡が生じる。このため、撹拌速度、撹拌振幅、および粘度というような因子が調整できなければならない。
− 目視測定する分析者、とりわけ透明な反応媒体を用いる分析者のために、メニスカス形状が対称であること:光線は、理想的な対称的なメニスカスにより最も適切に伝播されるため、撹拌システムはこのような形状を有する必要がある。
【0004】
化学分析または生化学分析に関し、いくつかの異なるタイプの撹拌機が存在する。すなわち、電磁式撹拌機、回転式撹拌機、または圧電式撹拌機である。WO−A−01/36892号公報には、ピペットに拍動動作を生じさせる撹拌機が開示されている。これは、電磁石により機械的な振動を発生させてピペットを交互に振動動作させ、これにより反応媒体を撹拌するものである。このようにピペットを強制的に振動させる振動数は、電磁石の強度により調整可能である。このような撹拌機は、既存の撹拌機と同様、ピペットの戻り力を利用するものである。すなわち、ピペットに圧力が加えられ、ピペットの柔軟性により振動が発生する。ピペットは、最初に、例えば電磁石により作動させられ、このような圧力が加えられることにより、ピペットは振動動作を継続する。このようにして、ピペットは強制的に振動させられながら作動し、この振動によりピペット上の摩擦抵抗が増加するとともに、振動による共振領域の周囲における感度を増加させる。したがって、ピペットの摩耗を招くとともに、撹拌状態が悪化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述したような欠点が存在しない装置、とりわけ泡を発生させることなく、かつ反応混合物を保持するメニスカスの形状を維持しながら、効率的に撹拌できる化学分析器用撹拌機または生化学分析器用撹拌機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載されている装置により上述の目的を達することができる。また、とりわけヘッド支持ブロックは、ピペットが振動する平面と垂直な軸を中心に回動自在にフレームに取り付けられている。
【0007】
また、本発明によれば、ガイドブロックは、作動ユニットの軸に固定された接続ブロックと、接続ブロックに固定され、ピペットの胴体部に当接するとともに、軸を中心に回動自在に取り付けられた偏心ブロックとを有している。
【0008】
本発明の他の効果および本発明の特徴は、これのみに制限されることのない一の具体例として添付図面に示す、以下に述べる本発明の一実施の形態により更に明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
一実施の形態
図1において、撹拌機1は、作動ユニット3が取り付けられたフレーム2を備えており、このうち作動ユニット3は、DCモータからなるのが好ましく、またとりわけ作動ユニット3は、速度、加速度、および/または作動時間を調整する手段を有していることが好ましい。また撹拌機1は、通常、ヘッド部4aと、胴体部4bと、自由端部4cとを有するピペット4を備えている。ピペット4のヘッド部4aは、例えば留めねじ6等の適切な固定手段により、ヘッド支持ブロック5に取り付けられている。ヘッド支持ブロック5は、フレーム2に、例えばフレーム2内に挿着された一式の軸受8等の取付手段を介して、軸7を中心に回動自在に取り付けられている。軸受8としては、例えばボールベアリングやローラベアリングが用いられる。ピペット4の胴体部4bをガイドするガイドブロック9は、駆動ユニット3に固定されている。ガイドブロック9は、接続ブロック9aと偏心ブロック9bとを有しており、このうち接続ブロック9aは、例えば留めねじ等からなる適切な固定手段により、駆動ユニット3の軸19上に取り付けられている。なお、接続ブロック9aと駆動ユニット3とは同軸上に設けられている。また、偏心ブロック9bは、接続ブロック9aに固定され、接続ブロック9a内に挿着された一式の軸受11により、軸19に平行な軸10周りに回動自在に取り付けられている。図1乃至11に示す本実施の形態において、ピペット4の胴体部4bは偏心ブロック9b内を貫通している。したがって、偏心ブロック9bは穴12が形成されており、ピペット4の胴体部4bは、穴12内を自在に滑動することができる。駆動ユニット3、ヘッド支持ブロック5、およびピペット4は、図1に示すようにフレーム2と同一の側に配設されているのが好ましい。
【0010】
図2は、図1に示す撹拌機1の上部の部分拡大図であり、図1に示す本実施の形態をより正確に示す図である。この場合、偏心ブロック9bの軸10は、駆動ユニット3の軸19に対してe1の値が約0.1mmとなるようにずらして設けられている。したがって、偏心ブロック9bの軸と接続ブロック9aの軸との間のずれは極めて小さい。このような形式の化学分析器または生化学分析器は微量の対象物を分析するように設計され、また撹拌機1は、1滴または2滴を超えない量の対象物を、反応媒体13中で撹拌するように設計されている。
【0011】
図3および図4に示すように、反応媒体13は容積の小さい受容体14内に充填されている。これら2つの図は、図1に示す平面と垂直な方向からの図であり、撹拌機1の動作中におけるピペットの振動面を示す図である。垂直軸15は水平軸16とともに、接続ブロック9aの基準軸となっている。接続ブロック9aの回動軸19は、駆動ユニット3の回動軸にもなっており、上述したピペット4の振動する面とは垂直な面となっている。したがって、軸15と軸16と接続ブロック9aの回動軸19とは、それぞれ接続ブロック9aの基準軸を形成する。
【0012】
図3および図4は、ピペット4の自由端部4cが受容体14に接触しないような両限界端の位置を示しており、図3および図4がそれぞれ左限界端の位置および右限界端の位置を示す。最適な撹拌特性を得るために、ピペット4の動作振幅は、軸16の高さ水準における中心両側のe2の値が約0.1mmを上回らないようになっている。これらの図において、中心位置は垂直軸15で示されている。このように、偏心ブロック9bの偏心度が小さいことにより、反応媒体13を最適な撹拌特性で撹拌し続けることができる。この最適な撹拌特性とは、とりわけ汚染が最小化され、泡が存在せず、再現性が良い撹拌特性である。
【0013】
図5乃至図7は、図3および図4に示す撹拌機1上部の、部分拡大側面図である。より読みやすく、より理解しやすいように、駆動ユニット3、受容体14および反応媒体13は図示されていない。ここで図5は、ピペット4の振動面における左限界端を示す。この振動面はフレーム2と平行であり、接続ブロック9aおよび駆動ユニット3の軸19と垂直であり、したがって偏心ブロック9bの軸10とも垂直である。図5に示すように、ピペット4の左限界端において、偏心ブロック9bの中心部は水平軸16に沿ってずれ、垂直軸15に対して左側にずれて位置している。このずれの量は、例えば約0.1mmである。ピペット4は、ヘッド支持ブロック5に固定され、ヘッド支持ブロック5の軸7に対して右方向に回動する。またピペット4は、ピペット4の振動平面に対して垂直に配置されており、鉛直方向の基準軸15と第1角度X1をなす。
【0014】
図6は、ピペット4が振動平面の中心に位置する場合を示す。この中心位置において、偏心ブロック9bの中心と垂直方向の基準軸15とのずれは存在しない。同様に、ピペット4の胴体部4bは、垂直軸15と同一直線上に配置されている。また、ヘッド支持ブロック5は中心位置に配置されている。
【0015】
図7は、ピペット4の振動面における右限界端を示す。この限界端の位置において、偏心ブロック9bの中心部は水平軸16に沿ってずれ、垂直軸15に対して右側に位置している。このずれの量は、上述した左限界端の場合と実質的に同一である。ヘッド支持ブロック5は、ヘッド支持ブロック5の軸7に対して左方向に回動し、ピペット4は、垂直方向の基準軸15に対して、第2角度X2を形成する。この第2角度X2は、第1角度X1と反対方向であるが実質的に同一の大きさの角度である。
【0016】
このような撹拌機の作用について、図8乃至図10を用いて更に詳細に説明する。駆動ユニット3は、速度、加速度、および/または作動時間を制御するシステムを有していることが好ましい。まず、図8に示す位置において、駆動ユニット3は、反応媒体13へ伝える混合強度に対応する所定の速度で矢印R方向に回転を開始する。この際、駆動ユニット3は、駆動ユニット3の軸19に固定された接続ブロック9aを駆動させる。接続ブロック9aは、駆動ユニット3と同軸上に設けられているため、駆動ユニット3の軸19周りを回動する。上述したように、軸19から値e1だけずらして接続ブロック9aに取り付けられた偏心ブロック9bは、軸10周りを自在に回動できるように接続ブロック9a内に取り付けられている。偏心ブロックの役割は、連続的な回転運動を往復する直線運動に変換する機能をもつことである。したがって、接続ブロック9aは、駆動ユニット3の軸19による単一の回転動作により作動する。この際、接続ブロック9aは、軸19周りを回動するように偏心ブロック9を駆動させる。一方、偏心ブロック9bは、軸10周りに回動自在に取り付けられている。また、偏心ブロック9b内部をピペット4の胴体部4bが貫通しており、ピペット4は、角度X1だけ軸10周りを回動する。次に、偏心ブロック9bはピペット4を軸7周りに旋回させ、ピペット4の胴体部4bは、偏心ブロック9bの穴12内を滑動する。その後、撹拌機1は、図9に示すように左限界端に位置し、この際ピペット4は軸15と角度X1を形成する(図5)。
【0017】
図8乃至図11において、ピペット4の点18の位置が×印で示されている。軸7と点18との間の距離は常に一定である。図8において、点18は、偏心ブロック9bの壁面と垂直軸15との交点に配置されている。
【0018】
図9に示すように、ピペット4が左限界端の位置に達した際、点18は既に偏心ブロック9bと当接していない。これはピペット4がスライドすることを意味し、ピペット4の胴体部4bは、垂直軸15に対して角度X1を形成する。また、軸10は垂直軸15に対してe2だけずれている。
【0019】
その後、接続ブロック9aは軸19周りを回動し続け、偏心ブロック9bは、接続ブロック9aにより駆動され、角X1と実質的に同一の角度だけ軸10周りを回動する。このようにして、偏心ブロック9bは、ピペット4を軸7周りにおいて旋回させ、ピペット4の胴体部4bを偏心ブロック9bの穴12内に滑動させる。その後、撹拌機1は、図10に示すように中心位置に達する。この際、偏心ブロック9bは、軸16よりe1だけ下方に位置し、また軸15と同軸上に位置する。この中心位置において、図8に示す場合と異なり、点18は偏心ブロック9bと当接していない。これはピペット4がスライドすることを意味し、この際ピペット4の胴体部4bは、垂直軸15と同軸上に位置する。
【0020】
その後、接続ブロック9aは軸19周りを回動し続け、偏心ブロック9bは、接続ブロック9aにより駆動され、角X2だけ軸10周りを回動する。このようにして、偏心ブロック9bは、ピペット4を軸7周りにおいて旋回させ、ピペット4の胴体部4bを偏心ブロック9bの穴12内に滑動させる。その後、撹拌機1は、図11に示すように右限界端の位置に達し、この際ピペット4は軸15と角度X2を形成する(図7)。図11に示すように、ピペット4が右限界端の位置に達した際、点18は偏心ブロック9bと当接していない。これはピペット4がスライドすることを意味し、ピペット4の胴体部4bは、垂直軸15に対して角度X2を形成する。また、軸10は垂直軸15に対してe2だけずれている。
【0021】
最後に、接続ブロック9aは軸19周りを回動し続け、偏心ブロック9bは、接続ブロック9aにより駆動され、角X2と実質的に同一の角度だけ軸10周りを回動し、図8に示す初期位置に復帰する。
【0022】
上述した連続的な位置の変化は、接続ブロック9aの全周回転に対応する。このような接続ブロック9aの全周回転により、ピペット4の往復運動が実現される。このような周期運動により繰り返しの往復動作を生じさせ、振り子動作を生じさせる。
【0023】
このような動作の更なる詳しい理解のため、ヘッド支持ブロック5およびピペット4が垂直軸15と形成する角度Xの変化を、図12乃至14に誇張した態様で示す。図12は、ピペット4の当初の中央位置を示しており、この場合、ピペット4は垂直となる(図6)。また図13は、ピペット4の左限界端の位置を示しており、この場合、ピペット4は垂直軸15と第1角度X1を形成する(図5)。さらに図14は、ピペット4の右限界端の位置を示しており、この場合、ピペット4は垂直軸15と第2角度X2を形成し、この第2角度X2は、第1角度と反対方向であるが実質的に同一の角度である(図7)。
【0024】
実際上、ピペット4の自由端部4cの動作に必要となる振幅に基づいて偏心度を調節することは好ましくない。実際、機械的なハンドリングを行なうことにより生ずる問題、とりわけ再現性の問題を回避するために、偏心ブロック9bは接続ブロック9aにしっかりと固定されることが好ましい。その理由は、駆動ユニット3が調節システム(図示せず)を有していることが好ましいためである。すなわちモーターの速度、加速度、および/または作動時間が調節可能となっているのが好ましい。モーターの加速度および減速度を調節することにより、振り子動作中の特定の瞬間においてピペット4に生じる可能性がある共振現象を除去または減少させることができる。このようにして、最適な撹拌特性を維持しながら、ピペット4または偏心ブロック9bを機械的に調整することなく、強度および時間を変えて撹拌することができる。
【0025】
好ましい実施の形態において、ヘッド支持ブロック5の軸7とピペット4の自由端部4cとの間の距離は、約126.25mmであり、ヘッド支持ブロック5の軸7と駆動ユニット3の軸との間の距離は、約23.75mmである。ピペット4が中央位置にある場合において、ピペット4の垂直軸は、フレーム2から約5mm離されている。
【0026】
このようにして、偏心ブロック9bは、接続ブロック9aの回転動作をピペット4の往復動作に変換し、ピペット4は振り子動作を行なう。ピペット4のヘッド部4aは、フレーム2自体には固定されていないが、ヘッド支持ブロック5には固定されており、また、このヘッド支持ブロック5は、例えばフレーム2内に挿着された軸受8等の取付手段により、軸7を中心に回動自在に取り付けられている。このような構成により、上述の振り子動作が実現される。ピペット4の胴体部4bは偏心ブロック9bにより駆動されて穴12内部を滑動し、ピペット4のヘッド部4aは、支持ブロック5に固定されており、また同時に軸7を中心に回動する。したがって、このような振り子動作を生み出す上述の2つの動作の組合せにより、本実施の形態は、従来の撹拌機と比較して以下のような利点を有している。
− ピペット4の胴体部4bの摩擦抵抗が少ないことにより、撹拌周期が100Hzを上回ることができ、撹拌効率を向上させることができる。
− 振り子構造を有していることにより、ピペット4を強制振動させるようにピペット4が剛性を有する必要がなく、また、振り子構造により広い範囲の動作が可能となる。
− 軸受8および11により摩擦抵抗を減らすことができ、寿命を延ばすことができる。
− 摩擦抵抗が少ないことにより、繰り返し性が向上する。
− 撹拌機1の動作がピペット4の特性にほとんど依存しないことにより、再現性が改善される。
− ピペット4を交換するために特別な技能が必要とされない。
【0027】
振り子動作による撹拌機の性能は、電磁式撹拌機の性能より3つ以上の点において改良されている。
【0028】
本発明は、上述した実施の形態に限られない。とりわけ、駆動ユニットは他の任意の形式の作動ユニットと置き換えることができる。
【0029】
ピペット4の胴体部4bは、偏心ブロック9b内を滑動するのではなく、単に偏心ブロックと接触し続けるようにしても良い。この場合、偏心ブロック9bは、一組のボールベアリングからなることが好ましい。また、調節されたばねにより、ピペット4とボールベアリングとが確実に接触するようになっている。このような構成により、偏心ブロックにより生じる摩擦を取り除くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による撹拌機の第1の実施の形態を示す側面断面図。
【図2】図1に示す撹拌機上部の部分拡大図。
【図3】ピペットの動作中における振動面を示す図1の撹拌機の側面図。
【図4】ピペットの動作中における振動面を示す図1の撹拌機の側面図。
【図5】図1に示す撹拌機上部の、駆動ブロックを除いた部分拡大図であり、ピペットが左位置にある場合を示す側面図。
【図6】図1に示す撹拌機上部の、駆動ブロックを除いた部分拡大図であり、ピペットが中央位置にある場合を示す側面図。
【図7】図1に示す撹拌機上部の、駆動ブロックを除いた部分拡大図であり、ピペットが右位置にある場合を示す側面図。
【図8】図1に示す撹拌機の駆動ブロックの4つの位置のうちの1つを概略的に示す側面図。
【図9】図1に示す撹拌機の駆動ブロックの4つの位置のうちの1つを概略的に示す側面図。
【図10】図1に示す撹拌機の駆動ブロックの4つの位置のうちの1つを概略的に示す側面図。
【図11】図1に示す撹拌機の駆動ブロックの4つの位置のうちの1つを概略的に示す側面図。
【図12】図3および4に示す撹拌機の動作中におけるヘッド支持ブロックの3つの位置のうちの1つを概略的かつ誇張して示す部分拡大側面図。
【図13】図3および4に示す撹拌機の動作中におけるヘッド支持ブロックの3つの位置のうちの1つを概略的かつ誇張して示す部分拡大側面図。
【図14】図3および4に示す撹拌機の動作中におけるヘッド支持ブロックの3つの位置のうちの1つを概略的かつ誇張して示す部分拡大側面図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学分析器用または生化学分析器用撹拌機に関し、この撹拌機は、胴体部と自由端部とヘッド支持ブロックに固定されたヘッド部とを有する少なくとも1つのピペットと、ピペットの自由端部を振動させるための駆動手段とを備え、駆動手段は、フレームに固定され、ピペットの胴体部と連動するガイドブロックに当接する作動ユニットを有している。
【背景技術】
【0002】
化学分析器または生化学分析器は、いくつかのモジュールから構成されており、とりわけサンプルと反応物とを混合させる撹拌機を有している。既存の熱量測定による化学分析器または生化学分析器の先細形状からなる反応槽は、透明な材質からなる壁面を有し、その体積は通常500μl未満である。このような分析は、反応槽の下部壁面の透明性と反応媒体のメニスカス表面の透明性とにより、目視により行なわれる。また、断面矩形形状からなる反応槽も用いられ、この場合、反応槽の垂直壁を水平に目視することにより分析が行なわれる。これにより、メニスカスに関する問題と泡に関する問題とを除去することができるが、撹拌が不十分な場合には、沈殿作用により重大な問題が生じる。
【0003】
化学分析器用または生化学分析器用撹拌機には、反応媒体を最適に撹拌するために、以下のようないくつかの基本要件が求められる。
繰り返しが可能なシステム:撹拌機は、連続撹拌中における外乱作用を最小化するように設計されなければならない。
− 再現可能なシステム:必要に応じてユーザーがピペットを交換できなければならず、また、ピペットの交換によっても撹拌特性が維持されなければならない。さらに、長時間が経過した後における撹拌機性能の安定性にも注意が払われなければならない。
− 汚染の最小化:反応媒体と接触する部分は極力少なくしなければならず、これらの接触部分は、それぞれ表面粗さが最小でなくてはならない。
− 高い撹拌効率:撹拌の質は、分析結果の再現可能性に直結する。このため、撹拌パラメータを調整できることが必須の要件となる。
− 泡の不存在:例えばピペット等の撹拌機の構成要素と反応媒体との間において、キャビテーション現象により泡が生じる。このため、撹拌速度、撹拌振幅、および粘度というような因子が調整できなければならない。
− 目視測定する分析者、とりわけ透明な反応媒体を用いる分析者のために、メニスカス形状が対称であること:光線は、理想的な対称的なメニスカスにより最も適切に伝播されるため、撹拌システムはこのような形状を有する必要がある。
【0004】
化学分析または生化学分析に関し、いくつかの異なるタイプの撹拌機が存在する。すなわち、電磁式撹拌機、回転式撹拌機、または圧電式撹拌機である。WO−A−01/36892号公報には、ピペットに拍動動作を生じさせる撹拌機が開示されている。これは、電磁石により機械的な振動を発生させてピペットを交互に振動動作させ、これにより反応媒体を撹拌するものである。このようにピペットを強制的に振動させる振動数は、電磁石の強度により調整可能である。このような撹拌機は、既存の撹拌機と同様、ピペットの戻り力を利用するものである。すなわち、ピペットに圧力が加えられ、ピペットの柔軟性により振動が発生する。ピペットは、最初に、例えば電磁石により作動させられ、このような圧力が加えられることにより、ピペットは振動動作を継続する。このようにして、ピペットは強制的に振動させられながら作動し、この振動によりピペット上の摩擦抵抗が増加するとともに、振動による共振領域の周囲における感度を増加させる。したがって、ピペットの摩耗を招くとともに、撹拌状態が悪化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述したような欠点が存在しない装置、とりわけ泡を発生させることなく、かつ反応混合物を保持するメニスカスの形状を維持しながら、効率的に撹拌できる化学分析器用撹拌機または生化学分析器用撹拌機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲に記載されている装置により上述の目的を達することができる。また、とりわけヘッド支持ブロックは、ピペットが振動する平面と垂直な軸を中心に回動自在にフレームに取り付けられている。
【0007】
また、本発明によれば、ガイドブロックは、作動ユニットの軸に固定された接続ブロックと、接続ブロックに固定され、ピペットの胴体部に当接するとともに、軸を中心に回動自在に取り付けられた偏心ブロックとを有している。
【0008】
本発明の他の効果および本発明の特徴は、これのみに制限されることのない一の具体例として添付図面に示す、以下に述べる本発明の一実施の形態により更に明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
一実施の形態
図1において、撹拌機1は、作動ユニット3が取り付けられたフレーム2を備えており、このうち作動ユニット3は、DCモータからなるのが好ましく、またとりわけ作動ユニット3は、速度、加速度、および/または作動時間を調整する手段を有していることが好ましい。また撹拌機1は、通常、ヘッド部4aと、胴体部4bと、自由端部4cとを有するピペット4を備えている。ピペット4のヘッド部4aは、例えば留めねじ6等の適切な固定手段により、ヘッド支持ブロック5に取り付けられている。ヘッド支持ブロック5は、フレーム2に、例えばフレーム2内に挿着された一式の軸受8等の取付手段を介して、軸7を中心に回動自在に取り付けられている。軸受8としては、例えばボールベアリングやローラベアリングが用いられる。ピペット4の胴体部4bをガイドするガイドブロック9は、駆動ユニット3に固定されている。ガイドブロック9は、接続ブロック9aと偏心ブロック9bとを有しており、このうち接続ブロック9aは、例えば留めねじ等からなる適切な固定手段により、駆動ユニット3の軸19上に取り付けられている。なお、接続ブロック9aと駆動ユニット3とは同軸上に設けられている。また、偏心ブロック9bは、接続ブロック9aに固定され、接続ブロック9a内に挿着された一式の軸受11により、軸19に平行な軸10周りに回動自在に取り付けられている。図1乃至11に示す本実施の形態において、ピペット4の胴体部4bは偏心ブロック9b内を貫通している。したがって、偏心ブロック9bは穴12が形成されており、ピペット4の胴体部4bは、穴12内を自在に滑動することができる。駆動ユニット3、ヘッド支持ブロック5、およびピペット4は、図1に示すようにフレーム2と同一の側に配設されているのが好ましい。
【0010】
図2は、図1に示す撹拌機1の上部の部分拡大図であり、図1に示す本実施の形態をより正確に示す図である。この場合、偏心ブロック9bの軸10は、駆動ユニット3の軸19に対してe1の値が約0.1mmとなるようにずらして設けられている。したがって、偏心ブロック9bの軸と接続ブロック9aの軸との間のずれは極めて小さい。このような形式の化学分析器または生化学分析器は微量の対象物を分析するように設計され、また撹拌機1は、1滴または2滴を超えない量の対象物を、反応媒体13中で撹拌するように設計されている。
【0011】
図3および図4に示すように、反応媒体13は容積の小さい受容体14内に充填されている。これら2つの図は、図1に示す平面と垂直な方向からの図であり、撹拌機1の動作中におけるピペットの振動面を示す図である。垂直軸15は水平軸16とともに、接続ブロック9aの基準軸となっている。接続ブロック9aの回動軸19は、駆動ユニット3の回動軸にもなっており、上述したピペット4の振動する面とは垂直な面となっている。したがって、軸15と軸16と接続ブロック9aの回動軸19とは、それぞれ接続ブロック9aの基準軸を形成する。
【0012】
図3および図4は、ピペット4の自由端部4cが受容体14に接触しないような両限界端の位置を示しており、図3および図4がそれぞれ左限界端の位置および右限界端の位置を示す。最適な撹拌特性を得るために、ピペット4の動作振幅は、軸16の高さ水準における中心両側のe2の値が約0.1mmを上回らないようになっている。これらの図において、中心位置は垂直軸15で示されている。このように、偏心ブロック9bの偏心度が小さいことにより、反応媒体13を最適な撹拌特性で撹拌し続けることができる。この最適な撹拌特性とは、とりわけ汚染が最小化され、泡が存在せず、再現性が良い撹拌特性である。
【0013】
図5乃至図7は、図3および図4に示す撹拌機1上部の、部分拡大側面図である。より読みやすく、より理解しやすいように、駆動ユニット3、受容体14および反応媒体13は図示されていない。ここで図5は、ピペット4の振動面における左限界端を示す。この振動面はフレーム2と平行であり、接続ブロック9aおよび駆動ユニット3の軸19と垂直であり、したがって偏心ブロック9bの軸10とも垂直である。図5に示すように、ピペット4の左限界端において、偏心ブロック9bの中心部は水平軸16に沿ってずれ、垂直軸15に対して左側にずれて位置している。このずれの量は、例えば約0.1mmである。ピペット4は、ヘッド支持ブロック5に固定され、ヘッド支持ブロック5の軸7に対して右方向に回動する。またピペット4は、ピペット4の振動平面に対して垂直に配置されており、鉛直方向の基準軸15と第1角度X1をなす。
【0014】
図6は、ピペット4が振動平面の中心に位置する場合を示す。この中心位置において、偏心ブロック9bの中心と垂直方向の基準軸15とのずれは存在しない。同様に、ピペット4の胴体部4bは、垂直軸15と同一直線上に配置されている。また、ヘッド支持ブロック5は中心位置に配置されている。
【0015】
図7は、ピペット4の振動面における右限界端を示す。この限界端の位置において、偏心ブロック9bの中心部は水平軸16に沿ってずれ、垂直軸15に対して右側に位置している。このずれの量は、上述した左限界端の場合と実質的に同一である。ヘッド支持ブロック5は、ヘッド支持ブロック5の軸7に対して左方向に回動し、ピペット4は、垂直方向の基準軸15に対して、第2角度X2を形成する。この第2角度X2は、第1角度X1と反対方向であるが実質的に同一の大きさの角度である。
【0016】
このような撹拌機の作用について、図8乃至図10を用いて更に詳細に説明する。駆動ユニット3は、速度、加速度、および/または作動時間を制御するシステムを有していることが好ましい。まず、図8に示す位置において、駆動ユニット3は、反応媒体13へ伝える混合強度に対応する所定の速度で矢印R方向に回転を開始する。この際、駆動ユニット3は、駆動ユニット3の軸19に固定された接続ブロック9aを駆動させる。接続ブロック9aは、駆動ユニット3と同軸上に設けられているため、駆動ユニット3の軸19周りを回動する。上述したように、軸19から値e1だけずらして接続ブロック9aに取り付けられた偏心ブロック9bは、軸10周りを自在に回動できるように接続ブロック9a内に取り付けられている。偏心ブロックの役割は、連続的な回転運動を往復する直線運動に変換する機能をもつことである。したがって、接続ブロック9aは、駆動ユニット3の軸19による単一の回転動作により作動する。この際、接続ブロック9aは、軸19周りを回動するように偏心ブロック9を駆動させる。一方、偏心ブロック9bは、軸10周りに回動自在に取り付けられている。また、偏心ブロック9b内部をピペット4の胴体部4bが貫通しており、ピペット4は、角度X1だけ軸10周りを回動する。次に、偏心ブロック9bはピペット4を軸7周りに旋回させ、ピペット4の胴体部4bは、偏心ブロック9bの穴12内を滑動する。その後、撹拌機1は、図9に示すように左限界端に位置し、この際ピペット4は軸15と角度X1を形成する(図5)。
【0017】
図8乃至図11において、ピペット4の点18の位置が×印で示されている。軸7と点18との間の距離は常に一定である。図8において、点18は、偏心ブロック9bの壁面と垂直軸15との交点に配置されている。
【0018】
図9に示すように、ピペット4が左限界端の位置に達した際、点18は既に偏心ブロック9bと当接していない。これはピペット4がスライドすることを意味し、ピペット4の胴体部4bは、垂直軸15に対して角度X1を形成する。また、軸10は垂直軸15に対してe2だけずれている。
【0019】
その後、接続ブロック9aは軸19周りを回動し続け、偏心ブロック9bは、接続ブロック9aにより駆動され、角X1と実質的に同一の角度だけ軸10周りを回動する。このようにして、偏心ブロック9bは、ピペット4を軸7周りにおいて旋回させ、ピペット4の胴体部4bを偏心ブロック9bの穴12内に滑動させる。その後、撹拌機1は、図10に示すように中心位置に達する。この際、偏心ブロック9bは、軸16よりe1だけ下方に位置し、また軸15と同軸上に位置する。この中心位置において、図8に示す場合と異なり、点18は偏心ブロック9bと当接していない。これはピペット4がスライドすることを意味し、この際ピペット4の胴体部4bは、垂直軸15と同軸上に位置する。
【0020】
その後、接続ブロック9aは軸19周りを回動し続け、偏心ブロック9bは、接続ブロック9aにより駆動され、角X2だけ軸10周りを回動する。このようにして、偏心ブロック9bは、ピペット4を軸7周りにおいて旋回させ、ピペット4の胴体部4bを偏心ブロック9bの穴12内に滑動させる。その後、撹拌機1は、図11に示すように右限界端の位置に達し、この際ピペット4は軸15と角度X2を形成する(図7)。図11に示すように、ピペット4が右限界端の位置に達した際、点18は偏心ブロック9bと当接していない。これはピペット4がスライドすることを意味し、ピペット4の胴体部4bは、垂直軸15に対して角度X2を形成する。また、軸10は垂直軸15に対してe2だけずれている。
【0021】
最後に、接続ブロック9aは軸19周りを回動し続け、偏心ブロック9bは、接続ブロック9aにより駆動され、角X2と実質的に同一の角度だけ軸10周りを回動し、図8に示す初期位置に復帰する。
【0022】
上述した連続的な位置の変化は、接続ブロック9aの全周回転に対応する。このような接続ブロック9aの全周回転により、ピペット4の往復運動が実現される。このような周期運動により繰り返しの往復動作を生じさせ、振り子動作を生じさせる。
【0023】
このような動作の更なる詳しい理解のため、ヘッド支持ブロック5およびピペット4が垂直軸15と形成する角度Xの変化を、図12乃至14に誇張した態様で示す。図12は、ピペット4の当初の中央位置を示しており、この場合、ピペット4は垂直となる(図6)。また図13は、ピペット4の左限界端の位置を示しており、この場合、ピペット4は垂直軸15と第1角度X1を形成する(図5)。さらに図14は、ピペット4の右限界端の位置を示しており、この場合、ピペット4は垂直軸15と第2角度X2を形成し、この第2角度X2は、第1角度と反対方向であるが実質的に同一の角度である(図7)。
【0024】
実際上、ピペット4の自由端部4cの動作に必要となる振幅に基づいて偏心度を調節することは好ましくない。実際、機械的なハンドリングを行なうことにより生ずる問題、とりわけ再現性の問題を回避するために、偏心ブロック9bは接続ブロック9aにしっかりと固定されることが好ましい。その理由は、駆動ユニット3が調節システム(図示せず)を有していることが好ましいためである。すなわちモーターの速度、加速度、および/または作動時間が調節可能となっているのが好ましい。モーターの加速度および減速度を調節することにより、振り子動作中の特定の瞬間においてピペット4に生じる可能性がある共振現象を除去または減少させることができる。このようにして、最適な撹拌特性を維持しながら、ピペット4または偏心ブロック9bを機械的に調整することなく、強度および時間を変えて撹拌することができる。
【0025】
好ましい実施の形態において、ヘッド支持ブロック5の軸7とピペット4の自由端部4cとの間の距離は、約126.25mmであり、ヘッド支持ブロック5の軸7と駆動ユニット3の軸との間の距離は、約23.75mmである。ピペット4が中央位置にある場合において、ピペット4の垂直軸は、フレーム2から約5mm離されている。
【0026】
このようにして、偏心ブロック9bは、接続ブロック9aの回転動作をピペット4の往復動作に変換し、ピペット4は振り子動作を行なう。ピペット4のヘッド部4aは、フレーム2自体には固定されていないが、ヘッド支持ブロック5には固定されており、また、このヘッド支持ブロック5は、例えばフレーム2内に挿着された軸受8等の取付手段により、軸7を中心に回動自在に取り付けられている。このような構成により、上述の振り子動作が実現される。ピペット4の胴体部4bは偏心ブロック9bにより駆動されて穴12内部を滑動し、ピペット4のヘッド部4aは、支持ブロック5に固定されており、また同時に軸7を中心に回動する。したがって、このような振り子動作を生み出す上述の2つの動作の組合せにより、本実施の形態は、従来の撹拌機と比較して以下のような利点を有している。
− ピペット4の胴体部4bの摩擦抵抗が少ないことにより、撹拌周期が100Hzを上回ることができ、撹拌効率を向上させることができる。
− 振り子構造を有していることにより、ピペット4を強制振動させるようにピペット4が剛性を有する必要がなく、また、振り子構造により広い範囲の動作が可能となる。
− 軸受8および11により摩擦抵抗を減らすことができ、寿命を延ばすことができる。
− 摩擦抵抗が少ないことにより、繰り返し性が向上する。
− 撹拌機1の動作がピペット4の特性にほとんど依存しないことにより、再現性が改善される。
− ピペット4を交換するために特別な技能が必要とされない。
【0027】
振り子動作による撹拌機の性能は、電磁式撹拌機の性能より3つ以上の点において改良されている。
【0028】
本発明は、上述した実施の形態に限られない。とりわけ、駆動ユニットは他の任意の形式の作動ユニットと置き換えることができる。
【0029】
ピペット4の胴体部4bは、偏心ブロック9b内を滑動するのではなく、単に偏心ブロックと接触し続けるようにしても良い。この場合、偏心ブロック9bは、一組のボールベアリングからなることが好ましい。また、調節されたばねにより、ピペット4とボールベアリングとが確実に接触するようになっている。このような構成により、偏心ブロックにより生じる摩擦を取り除くことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による撹拌機の第1の実施の形態を示す側面断面図。
【図2】図1に示す撹拌機上部の部分拡大図。
【図3】ピペットの動作中における振動面を示す図1の撹拌機の側面図。
【図4】ピペットの動作中における振動面を示す図1の撹拌機の側面図。
【図5】図1に示す撹拌機上部の、駆動ブロックを除いた部分拡大図であり、ピペットが左位置にある場合を示す側面図。
【図6】図1に示す撹拌機上部の、駆動ブロックを除いた部分拡大図であり、ピペットが中央位置にある場合を示す側面図。
【図7】図1に示す撹拌機上部の、駆動ブロックを除いた部分拡大図であり、ピペットが右位置にある場合を示す側面図。
【図8】図1に示す撹拌機の駆動ブロックの4つの位置のうちの1つを概略的に示す側面図。
【図9】図1に示す撹拌機の駆動ブロックの4つの位置のうちの1つを概略的に示す側面図。
【図10】図1に示す撹拌機の駆動ブロックの4つの位置のうちの1つを概略的に示す側面図。
【図11】図1に示す撹拌機の駆動ブロックの4つの位置のうちの1つを概略的に示す側面図。
【図12】図3および4に示す撹拌機の動作中におけるヘッド支持ブロックの3つの位置のうちの1つを概略的かつ誇張して示す部分拡大側面図。
【図13】図3および4に示す撹拌機の動作中におけるヘッド支持ブロックの3つの位置のうちの1つを概略的かつ誇張して示す部分拡大側面図。
【図14】図3および4に示す撹拌機の動作中におけるヘッド支持ブロックの3つの位置のうちの1つを概略的かつ誇張して示す部分拡大側面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)において、
胴体部(4b)と、自由端部(4c)と、ヘッド支持ブロック(5)に固定されたヘッド部(4a)とを有する少なくとも一つのピペット(4)と、
ピペット(4)の自由端部(4c)を振動させるための駆動手段と、を備え、
駆動手段は、フレーム(2)に固定され、ピペット(4)の胴体部(4b)と連動するガイドブロック(9)に当接する作動ユニット(3)を有し、
ヘッド支持ブロック(5)は、ピペット(4)が振動する平面と垂直な軸(7)を中心に回動自在にフレーム(2)に取り付けられていることを特徴とする化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)。
【請求項2】
ガイドブロック(9)は、作動ユニット(3)の軸(19)に固定された接続ブロック(9a)と、接続ブロック(9a)に固定され、ピペット(4)の胴体部(4b)に当接するとともに、軸(10)を中心に回動自在に取り付けられた偏心ブロック(9b)とを有していることを特徴とする請求項1に記載の化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)。
【請求項3】
ピペット(4)の胴体部(4b)が偏心ブロック(9b)内を貫通していることを特徴とする請求項2に記載の化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)。
【請求項4】
偏心ブロック(9b)の軸(10)は、作動ユニット(3)の軸(19)に対して約0.1mmずらして設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)。
【請求項5】
作動ユニット(3)は、DCモータからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記DCモータの速度、加速度、または作動時間を調整する手段を有していることを特徴とする請求項5に記載の化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)。
【請求項1】
化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)において、
胴体部(4b)と、自由端部(4c)と、ヘッド支持ブロック(5)に固定されたヘッド部(4a)とを有する少なくとも一つのピペット(4)と、
ピペット(4)の自由端部(4c)を振動させるための駆動手段と、を備え、
駆動手段は、フレーム(2)に固定され、ピペット(4)の胴体部(4b)と連動するガイドブロック(9)に当接する作動ユニット(3)を有し、
ヘッド支持ブロック(5)は、ピペット(4)が振動する平面と垂直な軸(7)を中心に回動自在にフレーム(2)に取り付けられていることを特徴とする化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)。
【請求項2】
ガイドブロック(9)は、作動ユニット(3)の軸(19)に固定された接続ブロック(9a)と、接続ブロック(9a)に固定され、ピペット(4)の胴体部(4b)に当接するとともに、軸(10)を中心に回動自在に取り付けられた偏心ブロック(9b)とを有していることを特徴とする請求項1に記載の化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)。
【請求項3】
ピペット(4)の胴体部(4b)が偏心ブロック(9b)内を貫通していることを特徴とする請求項2に記載の化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)。
【請求項4】
偏心ブロック(9b)の軸(10)は、作動ユニット(3)の軸(19)に対して約0.1mmずらして設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)。
【請求項5】
作動ユニット(3)は、DCモータからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記DCモータの速度、加速度、または作動時間を調整する手段を有していることを特徴とする請求項5に記載の化学分析器用または生化学分析器用撹拌機(1)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2007−508136(P2007−508136A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534788(P2006−534788)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002593
【国際公開番号】WO2005/037417
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(501140647)マックスマ、ソシエテ、アノニム (1)
【氏名又は名称原語表記】MAXMAT SA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002593
【国際公開番号】WO2005/037417
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(501140647)マックスマ、ソシエテ、アノニム (1)
【氏名又は名称原語表記】MAXMAT SA
【Fターム(参考)】
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