説明

振動フィーダの制御方法及び振動フィーダ装置と組合せ秤

【課題】 振動動作開始時に非常に優れた振幅の立ち上がり特性を得ることができる振動フィーダの制御方法及び振動フィーダ装置とそれを用いた組合せ秤を提供する。
【解決手段】 物品が載荷される物品載荷部と、物品載荷部を支持し、電磁石に間欠的に電圧が印加されることにより物品載荷部を振動させる振動動作を行うように構成された振動装置部とを有した振動フィーダの制御方法であって、振動装置部の振動動作の開始時に、物品載荷部が振動動作の開始前の静止位置(振動変位が0)から目標振幅Atに対応する位置へ変移するように電磁石に初期吸引パルスPoを印加した後、駆動パルスPsを電磁石に繰り返し印加するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ秤等に用いられる振動フィーダの制御方法及び振動フィーダ装置とそれを用いた組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を計量する組合せ秤では、物品を計量部へ搬送するために振動フィーダが用いられている。この振動フィーダは、電磁石,可動体および板ばね等からなる振動装置と、この振動装置によって振動させられるトラフ等の物品載荷部とを備えている。そして、電磁石に間欠的に電圧を印加することにより、電磁石の吸引力と板ばねのばね作用に基づく反発力とを利用して例えばトラフを振動させ、トラフ上の物品を搬送するように構成されている。
【0003】
このような振動フィーダを駆動する方法としては、商用交流電源からの交流電圧を点弧角制御して電磁石に印加する方法(例えば特許文献1参照)や、電磁石に矩形波電圧を繰り返し印加する方法がある。いずれの方法であっても、振動フィーダは、トラフ等の質量と、板ばねのばね定数とによって定まる固有振動数を有しているので、振動フィーダの駆動周波数と固有振動数とを一致させた場合、共振して振動の振幅が最も大きくなる。
【0004】
図11は、振動フィーダの固有振動数が50Hzの場合の駆動周波数と振幅(振動の幅)との関係の一例を示す図である。図11に示すように、駆動周波数を固有振動数(50Hz)と等しくすると大きな振幅が得られることがわかる。しかし、駆動周波数を所定の固有振動数と等しくした場合、物品の質量等の周辺条件の変化によって実際の固有振動数がわずかに変化すると振幅が大きく変化する。そこで、従来、固有振動数が変化しても安定した振幅を確保するため、駆動周波数と所定の固有振動数とを若干異なった周波数に設定することが多い。例えば駆動周波数が所定の固有振動数より2〜5Hz高い周波数になるように設定されている。一方、駆動周波数と固有振動数とが異なれば、共振振動と比べて消費電力は増加する。
【0005】
また、組合せ秤に使用されている振動フィーダは1回の駆動時間が短いため、駆動開始時の応答性(振幅の立ち上がり特性)を向上させる必要がある。
【0006】
例えば特許文献1に開示された構成では、振動フィーダの駆動開始時に、交流電源からの給電信号のオンオフを制御して第1の所定電力レベルの駆動信号を印加したのち、給電信号のオンオフを制御してこれよりも低い第2の所定電力レベルの駆動信号を印加することにより、振動フィーダの振幅を目標振幅付近に収束させるようにしている。この場合、振動フィーダの駆動開始時に、比較的高い第1の所定電力レベルで振動フィーダを駆動することにより、駆動開始時の応答性を向上し、第1の所定電力レベルより低い第2の所定電力レベルで振動フィーダを駆動することより、振幅が目標振幅を越えるオーバーシュートを抑制することができる。また、この場合、振動フィーダの固有振動数が電源周波数付近の周波数となるように設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−235016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1に開示された構成の場合、駆動開始時の応答性(振幅の立ち上がり特性)に優れているといっても、振動が複数回繰り返された後に振幅が目標振幅に達するため、駆動開始時の応答性のさらなる向上が望まれる。また、この場合、振動フィーダの固有振動数が電源周波数付近の周波数となるように設定されているため、固有振動数と駆動周波数(=電源周波数)とが若干異なり、共振振動に比べて消費電力は大きくなると考えられる。
【0009】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、駆動開始時(振動動作開始時)に非常に優れた振幅の立ち上がり特性を得ることができる振動フィーダの制御方法及び振動フィーダ装置とそれを用いた組合せ秤を提供することを目的としている。さらに、本発明の他の目的は、消費電力を低減することができる振動フィーダの制御方法及び振動フィーダ装置とそれを用いた組合せ秤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の振動フィーダの制御方法は、物品が載荷される物品載荷部と、前記物品載荷部を支持し、電磁石に間欠的に電圧が印加されることにより前記物品載荷部を振動させる振動動作を行うように構成された振動装置部とを有した振動フィーダの制御方法であって、前記振動装置部の前記振動動作の開始時に、前記物品載荷部が前記振動動作の開始前の静止位置から目標振幅に対応する位置へ変移するように前記電磁石に電圧を印加した後、駆動電圧パルスを前記電磁石に繰り返し印加するようにしている。
【0011】
この方法によれば、振動動作開始時に、まず、物品載荷部の位置が目標振幅に対応する位置へ変移するように電磁石に電圧を印加するようにしているため、非常に優れた振幅の立ち上がり特性を得ることができる。
【0012】
また、前記駆動電圧パルスを前記振動フィーダの固有振動数に相当する予め定められた周波数で前記電磁石に印加するようにしてもよい。これにより共振振動させることができ、消費電力を低減することができる。
【0013】
この場合、前記物品載荷部が振動の上端位置から前記静止位置を通過して振動の下端位置へ変移するまでの間にのみ前記電磁石に励磁電流が流れるように前記駆動電圧パルスを印加することが好ましい。これにより、電磁石の吸引力を効率的に発生させることができる。
【0014】
さらに、前記物品載荷部が前記静止位置から前記振動の下端位置へ変移するまでの間に前記電磁石に流れる励磁電流が最大となるように前記駆動電圧パルスを印加することが好ましい。これにより、電磁石の吸引力をより効率的に発生させることができる。
【0015】
また、前記駆動電圧パルスを前記物品載荷部が前記振動の上端位置から前記静止位置へ変移するまでの間に印加し、かつ、前記物品載荷部が前記静止位置を通過するときに前記駆動電圧パルスが印加終了時点となるように前記駆動電圧パルスを印加するようにしてもよい。
【0016】
また、前記物品載荷部の振動振幅を検出する振幅検出手段を設け、前記振動振幅が前記目標振幅を含む所定範囲の範囲外になったときに、前記振動振幅が前記所定範囲の範囲内になるように次に印加する駆動電圧パルスのパルス幅を変更するようにしてもよい。これにより、例えば物品載荷部上の物品の重量に変動があっても振動振幅を安定に保つことが可能になる。ここで、パルス幅の変更には、パルス幅を0にする場合(すなわち駆動電圧パルスの印加を休む場合)も含むものとする。
【0017】
この場合、前記駆動電圧パルスの印加終了時点の間隔が一定となるように前記駆動電圧パルスを繰り返し印加するようにしてもよい。
【0018】
また、本発明の振動フィーダ装置は、物品が載荷される物品載荷部と、前記物品載荷部を支持し、電磁石に間欠的に電圧が印加されることにより前記物品載荷部を振動させる振動動作を行うように構成された振動装置部とを有した振動フィーダと、前記振動装置部の前記振動動作の開始時に、前記物品載荷部が前記振動動作の開始前の静止位置から目標振幅に対応する位置へ変移するように前記電磁石に電圧を印加した後、駆動電圧パルスを前記電磁石に繰り返し印加する制御装置とを備えている。
【0019】
この構成によれば、制御装置は、振動動作開始時に、まず、物品載荷部が目標振幅に対応する位置へ変移するように電磁石に電圧を印加するようにしているため、非常に優れた振幅の立ち上がり特性を得ることができる。
【0020】
また、前記制御装置は、前記駆動電圧パルスを前記振動フィーダの固有振動数に相当する予め定められた周波数で前記電磁石に印加するように構成されていてもよい。これにより共振振動させることができ、消費電力を低減することができる。
【0021】
また、本発明の組合せ秤は、物品を一時保持して排出することができる複数のホッパと、それぞれの前記ホッパに対応して設けられ、前記ホッパへ物品を搬送する複数の直進搬送装置と、外部から供給される物品を前記複数の直進搬送装置へ送り出す分散装置とを備え、前記直進搬送装置及び前記分散装置のうちの少なくとも一方が、上記本発明の振動フィーダ装置によって構成されている。
【0022】
なお、特許請求の範囲及び本明細書において記載されている「振動振幅」あるいは「振幅」は、振動の幅(ピーク・トゥ・ピーク値)を意味する。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、以上に説明した構成を有し、駆動開始時に非常に優れた振幅の立ち上がり特性を得ることができる振動フィーダの制御方法及び振動フィーダ装置とそれを用いた組合せ秤を提供することができるという効果を奏する。さらに、消費電力を低減することができる振動フィーダの制御方法及び振動フィーダ装置とそれを用いた組合せ秤を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態における振動フィーダが適用される組合せ秤の一例の概略構成を側方から見た断面図である。
【図2】(a)は、本発明の実施形態における直進フィーダの一例を示す斜視図であり、(b)は、同直進フィーダの側面図である。
【図3】本発明の実施形態における任意の1つの直進フィーダについての制御系統の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態の振動フィーダ(直進フィーダ)の制御方法による電磁石に印加する駆動電圧波形と、そのときの物品載荷部(トラフ)の振動変位とを示す図である。
【図5】電磁石の電圧印加時間に対するトラフの振幅の測定結果の一例を示す図である。
【図6】直進フィーダの固有振動数を求めるために電磁石に印加した電圧と、そのときのトラフの振動変位の時間変化とを示す図である。
【図7】駆動パルスの印加期間中における駆動パルスと、電磁石のコイルに流れる電流と、トラフの振動変位とを示す図である。
【図8】駆動パルスのパルス幅の制御を含む直進フィーダの動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】(a)、(b)は、それぞれ駆動パルスのパルス幅が変更された場合の一例を示す図である。
【図10】本発明の振動フィーダの制御方法を分散フィーダの制御に適用する場合の分散フィーダの概略構成を示す側面図である。
【図11】振動フィーダの固有振動数が50Hzの場合の駆動周波数と振動振幅との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0026】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態における振動フィーダが適用される組合せ秤の一例の概略構成を側方から見た断面図である。
【0027】
この組合せ秤には、装置中央に配設されたセンター基体(ボディ)1の上部に、外部の供給装置10から供給される物品を振動によって放射状に分散させる円錐形の分散フィーダ(分散装置)11が設けられている。分散フィーダ11は、物品が載せられる円錐形の分散テーブル11aと、分散テーブル11aを振動させる振動装置11bとを備え、供給装置10からその中央部に供給される物品を振動によってその周縁部方向へ送り出す。分散フィーダ11の周囲には、分散フィーダ11から送られてきた物品を振動によって搬送し各供給ホッパ13へ送りこむための複数の直進フィーダ(直進搬送装置)12が放射状に設けられている。各直進フィーダ12には、物品を載せて搬送するためのトラフ12aと、トラフ12aを振動させる振動装置12bとが備えられている。各直進フィーダ12の下方には、供給ホッパ13及び計量ホッパ14がそれぞれ対応して設けられ、それぞれ円状に配設されている。供給ホッパ13は直進フィーダ12から送りこまれた物品を受け取り、その下方に配置された計量ホッパ14が空になると排出ゲート13gを開いて計量ホッパ14へ物品を投入する。各計量ホッパ14にはロードセル等の重量センサ15が取り付けられており、この重量センサ15により計量ホッパ14内の物品の重量が計測される。各重量センサ15の計測値は制御装置19へ出力される。円状に列設された計量ホッパ14の下方には、略逆円錐台形状の集合シュート16が配設され、集合シュート16の下方にはファネル状の排出シュート17が設けられている。制御装置19によって後述の排出組合せに選択された計量ホッパ14はその排出ゲート14gを開いて物品を排出し、その排出された物品は集合シュート16上を滑り落ち、排出シュート17を介して例えば包装機(図示せず)へ排出される。
【0028】
また、分散フィーダ11上の物品の量を検出するためのレベル検出器18が設けられている。このレベル検出器18には、例えば超音波センサが用いられ、分散フィーダ11上の物品の層厚が検出され、その検出信号は制御装置19へ出力される。制御装置19では、レベル検出器18によって検出される分散フィーダ11上の物品の層厚を基に、分散フィーダ11上の物品を一定量に保つように、供給装置10を制御する。
【0029】
制御装置19は、例えば、演算制御部19a及び記憶部19bを有するマイクロコンピュータ等によって構成されている。演算制御部19aには、例えば、このマイクロコンピュータのCPUが用いられる。また、記憶部19bには、例えば、このマイクロコンピュータの内部メモリが用いられる。記憶部19bには制御プログラムが格納され、さらに、各種データが記憶される。また、演算制御部19aのCPUが記憶部19bに格納されている制御プログラムを実行することにより、制御装置19は供給装置10及び組合せ秤の全体の動作の制御を行うとともに後述の組合せ処理等を行う。
【0030】
すなわち、制御装置19は、供給装置10の制御、分散フィーダ11の振動装置11bの制御、各直進フィーダ12の振動装置12bの制御、供給ホッパ13及び計量ホッパ14の排出ゲートの開閉制御等を行う。また、組合せ処理では、それぞれの重量センサ15により計測される物品の重量値に基づいて組合せ演算を行い、複数の計量ホッパ14の中から、供給されている物品の重量値の合計が、予め定められた所定重量範囲(目標組合せ重量に対する許容範囲)内になる計量ホッパ14の組合せを1つ求め、その組合せを物品を排出すべき計量ホッパ14の組合せ(排出組合せ)とする。
【0031】
なお、制御装置19は、必ずしも単独の制御装置で構成される必要はなく、複数の制御装置が分散配置されていて、それらが協働して組合せ秤及び供給装置10の制御等を行うよう構成されていてもよい。
【0032】
操作表示器20は、例えばタッチスクリーン式のディスプレイ画面を備え、組合せ秤の操作およびその動作パラメータの設定等を行うための入力手段としての機能を有する。
【0033】
この組合せ秤には、直進フィーダ12、供給ホッパ13、計量ホッパ14および重量センサ15を一組とするユニットが複数組設けられている。
【0034】
このような組合せ秤では、動作の高速化が図られ、例えば1秒間に1回以上の速さで組合せ処理が行われ、排出組合せに選択された計量ホッパ14から物品が排出される。そして、空になった計量ホッパ14には、その上の供給ホッパ13から物品が供給され、さらに、空になった供給ホッパ13には直進フィーダ12から物品が供給される。さらに分散フィーダ11から直進フィーダ12へ物品が送り出される。
【0035】
このように組合せ秤は通常、1秒以下のサイクルで動作するため、分散フィーダ11及び直進フィーダ12は1回の駆動時間が通常1秒以下(例えば350ms)と短く、駆動開始時の振動振幅の立ち上がり特性の向上が求められる。
【0036】
以下では、本発明の振動フィーダの制御方法を直進フィーダ12の制御に適用した場合について説明する。
【0037】
図2(a)は、本発明の実施形態における直進フィーダ12の一例を示す斜視図であり、図2(b)は、同直進フィーダの側面図である。
【0038】
この直進フィーダ12は、物品載荷部であるトラフ12aと、トラフ12aを振動させる振動装置(振動装置部)12bとを備えている。このトラフ12aの基端部(後部)に物品が供給され、トラフ12aを振動させることにより物品は前方向へ搬送され、トラフ12aの先端部から排出される。
【0039】
振動装置12bは、固定フレーム21に、例えばカーボン製の板ばねからなる弾性部材23a、23bを介して揺動可能に可動板22が取り付けられている。弾性部材23a、23bは、その上端部側が後方側に傾斜するように固定フレーム21と可動板22との間に取り付けられている。
【0040】
固定フレーム21には、電磁石24が水平面に対して所定角度を有するように固定され、可動板22には、電磁石24と所定間隔を有して対向するように、被吸着部材(アーマチュア)25が取り付けられている。固定フレーム21は、防振ばね26を介してセンター基体1(図1)に取り付けられている。
【0041】
振動装置12bの可動板22の上面には取付け部27が固着され、トラフ12aは、その下面に設けられた取付金具28によって、取付け部27に着脱自在に取り付けられている。
【0042】
この直進フィーダ12の振動機構について説明する。なお、以降の説明において、電磁石に電圧を印加することは、電磁石のコイルに電圧を印加することである。
【0043】
電磁石24に電圧を印加すると、電磁石24が可動板22に固定された被吸着部材25を吸引する。このとき、可動板22は、可動板22と固定フレーム21を連結している弾性部材23a、23bが弾性変形することによって、電磁石24側、すなわち後方斜め下方向へ移動する。次に、電磁石24への電圧の印加を停止させると、電磁石24に生じる吸引力が解除され、弾性部材23a、23bの弾性反発力によって可動板22が前方斜め上方向に移動する。トラフ12aは可動板22とともに移動するので、上記動作を繰り返すことによって、トラフ12aが振動し、トラフ12a上の物品が前方へ搬送される。
【0044】
なお、振動装置12bを構成する、固定フレーム21、可動板22、弾性部材23a、23b、電磁石24及び被吸着部材25の形状及び配置は、図2に示すものに限らず、周知の種々の構成を用いることができる。
【0045】
さらに、本実施形態では、弾性部材23a、23bのいずれか一方(この例では弾性部材23a)に振幅検出部29が設けられている。この振幅検出部29は、例えば、弾性部材23aに貼着されたピエゾフィルム等の圧電素子により構成されている。振幅検出部29は、弾性部材23aの弾性変形に応じて歪むことにより、当該歪みに応じた出力を制御装置19(図1)へ出力する。
【0046】
図3は、任意の1つの直進フィーダ12についての制御系統の構成を示すブロック図である。この構成は、組合せ秤に備えられる個々の直進フィーダ12について同様である。
【0047】
フィーダ主制御手段191及び振幅演算手段192を有する直進フィーダ制御手段190は、本実施形態では制御装置19の機能によって実現されるが、制御装置19とは別に直進フィーダ制御手段190が設けられてあってもよい。直進フィーダ12と直進フィーダ制御手段190とによって振動フィーダ装置が構成される。
【0048】
フィーダ主制御手段191は、駆動期間内において、電磁石24のコイルに、後述の図4に示す初期吸引パルスPo及び駆動パルス(駆動電圧パルス)Ps等の矩形波電圧を印加するように構成されている。また、トラフ12aの振幅の大きな変動を抑えるために、フィーダ主制御手段191は、駆動期間中に、振幅演算手段192によって算出されるトラフ12aの振動振幅が目標振幅を含む所定範囲(以下「所定範囲α」という)の範囲外になったときに次に印加する駆動パルスPsのパルス幅の変更等を行うように構成されている。
【0049】
振幅演算手段192は振幅検出部29の出力電圧を入力し、その出力電圧に基づいてトラフ12aの振動振幅を算出し、フィーダ主制御手段191へ渡す。これら振幅検出部29及び振幅演算手段192によってトラフ12aの振動振幅を検出する振幅検出手段30が構成されている。
【0050】
なお、予め実験等により、振幅検出部29の出力電圧とトラフ12aの振動振幅との関係を示す情報(例えば、上記関係を示す近似式)を求めて記憶部19bに記憶しておき、その情報に基づいて振幅演算手段192が振幅検出部29の出力電圧からトラフ12aの振動振幅を算出するように構成されている。
【0051】
なお、弾性部材23a、23bの両方に振幅検出部29を設け、その2つの振幅検出部29の出力電圧を振幅演算手段192へ入力し、振幅演算手段192は、その2つの振幅検出部29の出力電圧の平均値を算出し、その平均値に基づいて、トラフ12aの振動振幅を算出するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、振幅検出部29にピエゾフィルムを用いて振幅検出手段30を構成しているが、振幅検出部29にストレインゲージ等を用いて振幅検出手段30を構成してもよい。
【0053】
図4は、本実施形態の振動フィーダ(直進フィーダ12)の制御方法による電磁石24に印加する駆動電圧波形と、そのときのトラフ12aの振動変位とを示す図である。
【0054】
本実施形態では、駆動開始時に、電圧Va、パルス幅(印加時間)Tpの初期吸引パルスPoを印加し、その後、時間Ts経過後から駆動終了時までの間に、電圧Va、パルス幅Taの駆動パルスPsを周期T(駆動周波数f=1/T)で印加するようにしている。ここで、電磁石24に初期吸引パルスPoを印加することにより、トラフ12aが目標振幅(目標とする振動の幅)Atに対応する振動変位となるように印加時間Tpが設定されている。すなわち、パルス幅Tpの初期吸引パルスPoを印加することにより、トラフ12aの位置が目標振幅Atに対応する位置になる。この目標振幅Atに対応する位置とは、トラフ12aが目標振幅Atで振動する場合の振動の下端位置に相当する。なお、目標振幅Atは、トラフ12の振動振幅の目標値であり、搬送物品の種類、搬送量等を勘案して定められている。
【0055】
電圧Vaは、予め駆動電圧として定められた所定電圧であり、例えば電磁石24の定格電圧としてもよい。
【0056】
また、初期吸引パルスPoのパルス幅Tp、時間Ts、駆動パルスPsの周波数f及び周期T、駆動パルスPsのパルス幅Taは、次のようにして決められている。
【0057】
まず、初期吸引パルスPoのパルス幅(印加時間)Tpの決め方について説明する。
【0058】
実験等により、電磁石24に電圧Vaを連続して印加する電圧印加時間とトラフ12aの振幅との関係を求め、トラフ12aの振幅が目標振幅Atとなる電圧印加時間をTpとする。具体的には、例えば、所定点数の電圧印加時間におけるトラフ12aの振幅をそれぞれ測定する。この測定結果の一例を図5に示す。図5では、電圧Vaの印加時間が7.0ms、9.0ms、11.0ms、13.0ms、15.0msのときの振幅の測定結果を黒く塗りつぶした四角で示している。例えば、電圧印加時間が7.0msの場合の振幅の測定結果は、電圧Vaを7.0msの時間のみ印加し、そのあと無印加状態にしたときにトラフ12aが振動するが、その振動したときのトラフ12aの位置が最も高い位置と最も低い位置との差を振幅として求めている。このトラフ12aの振幅は、例えばレーザ変位計を用いて測定する。測定結果に基づいて、例えば最小2乗法により電圧印加時間と振幅との関係を示す直線回帰式(図5において直線L1で示される近似式)を求める。この直線回帰式を用いて目標振幅Atに対応する電圧印加時間を求め、その時間を時間Tpに決める。
【0059】
次に、駆動パルスPsの繰り返し周波数(駆動周波数)f及び周期Tを決める。この駆動周波数fは、直進フィーダ12の固有振動数を求め、それと等しい周波数に決定する。そこで、直進フィーダ12の固有振動数を求める。この求め方の一例を図6を参照して説明する。図6は、固有振動数を求めるために電磁石24に印加した電圧と、そのときのトラフ12aの振動変位の時間変化とを示す図である。
【0060】
図6に示すように、電磁石24に電圧Vaを上記で決めた電圧印加時間Tpのみ印加して、トラフ12aの振動変位を例えばレーザ変位計を用いて測定する。そして、トラフ12aの振動変位が0になる間隔の時間H1〜H6を複数求める。これらの時間の平均値Haveを求め、1/(2×Have)を固有振動数として求める。あるいは、上記測定したトラフ12aの振動変位のデータをFFT解析することにより固有振動数を求めてもよい。また、このとき、電圧Vaの印加終了時点からトラフ12aの振動変位が2回目に0になる時点までの時間Toを測定しておく。上記の固有振動数及び時間Toは、上記測定を複数回行ってその平均値として算出するようにしてもよい。なお、ここで求めた時間Toは、後で時間Tsを算出するときに用いる。
【0061】
以上のようにして求めた固有振動数を駆動周波数fに決定し、駆動パルスの周期Tを1/fとして求める。
【0062】
次に、駆動パルスのパルス幅Taを決める。ここでは、電圧Vaのパルスを駆動周波数fで印加したときのトラフ12aの振幅を例えばレーザ変位計を用いて測定することを、所定点数のパルス幅について行う。例えば、駆動周波数fが50Hz(周期が20ms)の場合、パルス幅(x1〜x4)を、例えば、x1=0.06(ms)、x2=0.30(ms)、x3=0.54(ms)、x4=0.78(ms)として、それぞれの場合について、例えば4秒間パルスを印加する実験を行い、3秒後から4秒後までの間の安定したときの振幅を測定する。この測定結果に基づいて、例えば最小2乗法によりパルス幅と振幅との関係を示す直線回帰式を求め、この直線回帰式から目標振幅Atに対応するパルス幅を求めて、これを駆動パルスPsのパルス幅Ta(標準パルス幅)に決める。
【0063】
次に、先に求めた時間Toからパルス幅Taを減算し、その減算結果を、初期吸引パルスPoの電圧印加終了時点から最初の駆動パルスPsの印加開始時点までの時間Tsに決める。
【0064】
なお、上記では、トラフ12aの振幅及び振動変位を測定する際、鉛直方向(上下方向)におけるトラフ12aの振幅及び振動変位を測定するようにしたが、これに限られない。例えば、トラフ12aの物品の搬送方向(前後方向)における振幅及び振動変位を測定するようにしてもよい。また、被吸着部材25の電磁石24と対向する方向における振幅及び振動変位を測定し、それをトラフ12aの振幅及び振動変位としてもよい。また、レーザ変位計を用いてトラフ12aの振幅及び振動変位を測定するようにしたが、振幅検出部29の出力からそれらを算出するようにしてもよい。また、トラフ12aの振幅及び振動変位の測定時には、トラフ12a上に物品が載っていない状態で測定してもよいが、稼働時に載っていると予想される一定量の物品を載せた状態で測定するようにしたほうが好ましい。
【0065】
本実施形態では、以上のようにして決定した時間Tp、Ts、Ta及び周期Tに基づいて、駆動期間内において初期吸引パルスPo及び駆動パルスPsを例えば図4のように印加する。図4の例では、駆動パルスPsの立ち下がり時点(印加終了時点)が、振動変位が0(静止時における位置)になる時点と一致するようにしている。これについて図7を参照しながら説明する。
【0066】
図7は、駆動パルスPsの印加期間中における駆動パルスPsと、その期間中における電磁石24のコイルに流れる電流(励磁電流)Iと、トラフ12aの振動変位Awとを示す図である。
【0067】
駆動パルスPsは、電磁石24の吸引力が最も効率よく振幅に反映されるタイミングとなるように印加されることが望ましい。すなわち、振動変位Awが最大値AHから最小値ALになるまでの間に電磁石24の吸引力が生じるように駆動パルスPsを印加することが消費電力を削減する上で望ましい。さらには、電磁石24の最大吸引力が振動変位Awが0から最小値ALになるまでの間に生じるように駆動パルスPsを印加することが望ましい。
【0068】
電磁石の吸引力Fは、空隙の磁束密度ピーク値をBm、コア断面積をS、透磁率をμ0、重力加速度をgとすると、
F=Bm2×S/(μ0×g)で表される。ここで、空隙の磁束密度ピーク値Bmは、パーミアンスをP、電流をI、コイルの巻き数をNとすると、
Bm=(√2)×P×I×N/Sである。
すなわち、吸引力Fは電流Iの2乗に比例し、電流Iが大きいほど大きくなる。
【0069】
したがって、前述のように、振動変位Awが最大値AHから最小値ALになるまでの間に電磁石24の吸引力が生じるように駆動パルスPsを印加するということは、トラフ12aが振動の上端位置(振動変位Awが最大値AH)から静止位置(振動変位Awが0)を通過して振動の下端位置(振動変位Awが最小値AL)へ変移するまでの間にのみ電磁石24のコイルに励磁電流Iが流れるように駆動パルスPsを印加するということである。また、電磁石24の最大吸引力が振動変位Awが0から最小値ALになるまでの間に生じるように駆動パルスPsを印加するということは、トラフ12aが静止位置(振動変位Awが0)から振動の下端位置(振動変位Awが最小値AL)へ変移するまでの間に励磁電流Iが最大となるように駆動パルスPsを印加するということである。
【0070】
図7のように、電流Iは、駆動パルスPsの立ち上がり時点から流れはじめ、駆動パルスPsの立ち下がり時点から所定時間後に最大となる。本実施形態では、駆動パルスPsの立ち下がり時点を振動変位Awが0になる時点と一致するようにしている。すなわち、ここでは、駆動パルスPsをトラフ12aが振動の上端位置(振動変位Awが最大値AH)から静止位置(振動変位Awが0)へ変移するまでの間に印加し、かつ、トラフ12aが静止位置を通過するときに駆動パルスPsが立ち下がり時点(印加終了時点)となるように駆動パルスPsを印加するようにしている。このようにすれば、電磁石24の吸引力が振動変位Awが最大値AHから最小値ALになるまでの間で生じ、かつその最大吸引力が振動変位Awが0から最小値ALになるまでの間で生じるようにできる。
【0071】
本実施形態では、以上に述べたように、駆動開始時に、トラフ12aが目標振幅Atに対応する振動変位となるように初期吸引パルスPoを印加することにより、非常に優れた振幅の立ち上がり特性が得られる。その後、固有振動数を駆動周波数として駆動パルスPsを印加して共振振動させるようにしているので、消費電力の低減を図ることが可能になる。組合せ秤には、直進フィーダ12が複数用いられているので消費電力の低減効果はより大きいものとなる。
【0072】
さらに、本実施形態では、トラフ12aの振幅を検出する振幅検出手段30(図3)が設けられており、駆動期間中の振幅の安定化を図るように構成されている。以下、これについて説明する。
【0073】
駆動期間中に、振幅検出手段30は、トラフ12aの振幅A1,A2,A3,・・・(図4参照)を順次検出し、それに基づいてフィーダ主制御手段191は、トラフ12a上の物品量の変化などによるトラフ12aの振幅の変動を抑えるために駆動パルスPsのパルス幅を制御するようにしている。
【0074】
図8は、駆動パルスのパルス幅の制御を含む直進フィーダの動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、制御装置19の直進フィーダ制御手段190の動作によって遂行される。制御装置19の記憶部19bには、直進フィーダを駆動するために必要な情報が全て記憶されている。例えば、初期吸引パルスのパルス幅(印加時間)Tp、初期吸引パルス印加終了時点から1回目の駆動パルスの印加開始時点までの時間Ts、駆動パルスの周期T、標準パルス幅Taの他、パルス幅変更時のパルス幅として0あるいはTb、及びTc(図9(a)、(b)参照)等が記憶されている。
【0075】
まず、直進フィーダの駆動開始タイミングになると、ステップS1からステップS2へ進み、電圧Va、パルス幅Tpの初期吸引パルスPoを印加する。
【0076】
次に、初期吸引パルスPoの印加終了時から時間Ts経過後に、電圧Va、標準パルス幅Taの1回目の駆動パルスPsを印加する(ステップS3)。
【0077】
次に、ステップS4では、駆動を終了するか否かを判定し、終了しない場合にはステップS5へ進む。
【0078】
次に、ステップS5では、振幅演算手段192がトラフ12aの振幅を検出し、その検出した振幅が所定範囲α内であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0079】
ステップS6で、振幅が所定範囲α内であると判定した場合には、ステップS3へ戻り、所定範囲α内ではないと判定した場合には、ステップS7のパルス幅変更処理へ進む。
【0080】
ステップS7では、次に印加する駆動パルスのパルス幅を変更する設定を行い、ステップS3へ戻る。この場合、ステップS3では、ステップS7で設定されたパルス幅の駆動パルスを印加する。
【0081】
以上の動作において、ステップS5以外は、フィーダ主制御手段191により行われる。また、フィーダ主制御手段191は、計時機能を有し、ステップS2の次に行うステップS3は、初期吸引パルスPoの印加終了時から時間Ts(図4)の経過後に行う。また、ステップS6あるいはステップS7の次に行うステップS3(駆動パルスの印加)は、先の駆動パルスの印加終了時から時間(T−Tx)の経過後に行う。ここで、Txは、次のステップS3で印加する駆動パルスのパルス幅である。ステップS7のパルス幅変更処理が行われない場合、すなわち、ステップS6からステップS3へ戻る場合には、Txは標準パルス幅のTaである。
【0082】
なお、ステップS4の判定は、例えば駆動開始から予め設定された所定時間が経過しているか否かを判定し、経過していれば駆動終了と判定するようにしてもよい。
【0083】
次に、ステップS7のパルス幅変更処理の一例について、図9を参照して説明する。図9(a)、(b)は、それぞれ駆動パルスPsのパルス幅が変更された場合の一例を示す図である。
【0084】
前述のように、トラフ12aの振幅を検出し、その振幅が予め設定された所定範囲αの範囲外になったときに、次に印加する駆動パルスのパルス幅を変更する(ステップS7)。上記所定範囲αは、目標振幅Atに対して予め設定された範囲であり、例えば、a、bを所定の値として、(At−a)以上で、かつ(At+b)以下の範囲として設定されている。ここで、一例を示せば、At=3mm、a=b=0.1mmとしてもよい。
【0085】
トラフ12aの振幅が所定範囲αの上限値(At+b)より大きい場合には、図9(a)の実線で示すように、駆動パルスの印加を1回休むようにする。あるいは、駆動パルスのパルス幅を所定回数(1回以上)小さくするようにしてもよい。図9(a)では、図中左側から2つ目の鎖線で示された駆動パルスPsが印加されていない状態を示す(この場合、ステップS3において、パルス幅が0の駆動パルスが印加されると考えればよい)。また、鎖線で示す駆動パルスPs1はパルス幅の小さい駆動パルスが印加される場合を示し、駆動パルスPs1のパルス幅Tbは、例えば予め定められたパルス幅であり、通常のパルス幅Taより小さくなっている。すなわち、ステップS7では、トラフ12aの振幅が所定範囲αの上限値(At+b)より大きい場合に、次の駆動パルスのパルス幅を0あるいはTbに設定する。
【0086】
また、トラフ12aの振幅が所定範囲αの下限値(At−a)より小さい場合には、図9(b)に示すように、駆動パルスのパルス幅を通常のパルス幅Taより大きくする。図9(b)では、図中左側から3つ目の駆動パルスPs2がパルス幅を大きくした駆動パルスである。この駆動パルスPs2のパルス幅Tcは、例えば予め定められたパルス幅であり、通常のパルス幅Taより大きくなっている。すなわち、ステップS7では、トラフ12aの振幅が所定範囲αの下限値(At−a)より小さい場合に、次の駆動パルスのパルス幅をTcに設定する。
【0087】
本実施形態では、駆動パルスの立ち下がり時点の間隔が周期Tと等しくなるようにしている。このようにすることにより、パルス幅を変更した場合も、駆動パルスの立ち下がり時点を振動変位Aw(図7参照)が0の時点と一致させることができ、電磁石の吸引力を効率よく生じさせることができる。すなわち、小さいパルス幅Tbの駆動パルスPs1を印加した場合も、大きいパルス幅Tcの駆動パルスPs2を印加した場合も、電磁石24の吸引力が振動変位Awが最大値AHから最小値ALになるまでの間で生じ、かつその最大吸引力が振動変位Awが0から最小値ALになるまでの間で生じるようにできる。
【0088】
このように駆動パルスのパルス幅を変更する(パルス幅が0の場合すなわち駆動パルスの印加を休む場合も含む)ことにより、駆動期間中にトラフ上の物品の量の変動による振幅の変動を抑え、振幅が目標振幅Atと大きく異なることを防止できる。
【0089】
なお、駆動パルスのパルス幅の変更は、トラフ12aの振幅が目標振幅Atとなるようにフィードバック制御を行う構成として実施するようにしてもよい。
【0090】
また、本実施形態では、駆動開始時に、1つの初期吸引パルスPoを印加することにより、物品載荷部(トラフ12a)を目標振幅Atに対応する位置へ変移させるようにしたが、物品載荷部が振動動作の開始前の位置(すなわち、振動変位が0である静止位置)から、この振動動作開始前の位置に戻ることなく目標振幅Atに対応する位置へ変移するように電磁石に電圧を印加するようにすればよい。すなわち、目標振幅Atに対応する位置へ変移するまでに、振動変位が0の位置(静止位置)に戻らないことを条件として、例えば2つか3つの複数のパルスに分けた初期吸引パルスを印加するようにしてもよい。一例を挙げれば、図4の鎖線で示すように、1つの初期吸引パルスPoに代えて、2つの初期吸引パルスPo1、Po2を印加するようにしてもよい。
【0091】
また、本実施形態では、初期吸引パルスPoの印加後に、固有振動数に等しい周波数を駆動周波数として駆動パルスPsを印加し共振振動させるようにしたが、これに限られない。本実施形態のように共振振動させるようにした方が低消費電力化を図ることができて好ましいが、初期吸引パルスPoの印加後に、固有振動数より若干高い周波数を駆動周波数として駆動パルスを印加し振動させるようにしても、初期吸引パルスPoの印加によって優れた立ち上がり特性を得ることはできる。
【0092】
また、上記では、本発明の振動フィーダの制御方法を直進フィーダ12の制御に適用した例について説明したが、分散フィーダ11の制御に適用してもよい。この場合の分散フィーダ11の概略構成を示す側面図を図10に示す。
【0093】
この分散フィーダ11は、物品載荷部である分散テーブル11aと、分散テーブル11aを振動させる振動装置(振動装置部)11bとを備えている。供給装置10から分散テーブル11aの中央部に供給される物品を振動によってその周縁部方向へ送り出す。
【0094】
振動装置11bは、固定フレーム31に、例えばカーボン製の板ばねからなる4枚の弾性部材33を介して可動板32が取り付けられている。4枚の弾性部材33は、それぞれ固定フレーム31と可動板32との間に傾斜状態で取り付けられている。
【0095】
固定フレーム31には、電磁石34が固定され、可動板22には、電磁石34と所定間隔を有して対向するように、被吸着部材(アーマチュア)35が取り付けられている。固定フレーム31は、防振ばね36を介してセンター基体1に取り付けられている。
【0096】
振動装置11bの可動板32の上面には支持部材37を介して分散テーブル11aが取り付けられている。
【0097】
この分散フィーダ11は、電磁石34のコイルに電圧が間欠的に印加されることにより、可動板32及び分散テーブル11aが鉛直方向に往復螺旋状運動を行いつつ振動されるようになっている。
【0098】
なお、振動装置11bを構成する、固定フレーム31、可動板32、弾性部材33、電磁石34及び被吸着部材35の形状及び配置は、図10に示すものに限らず、周知の種々の構成を用いることができる。
【0099】
そして、複数の弾性部材33の少なくともいずれか1枚に振幅検出部38が設けられている。この振幅検出部38は、例えば、前述の直進フィーダ12に設けている振幅検出部29と同様、例えばピエゾフィルム等により構成されている。振幅検出部38は、弾性部材33の弾性変形に応じて歪むことにより、当該歪みに応じた出力を制御装置19(図1)へ出力する。
【0100】
この場合、制御装置19は、直進フィーダ12の直進フィーダ制御手段190(図3)と同様、振幅検出部38からの出力に基づいて分散テーブル11aの振動振幅を算出する振幅演算手段と、例えば図4に示す初期吸引パルスPo及び駆動パルスPs等と同様の矩形波電圧を電磁石34のコイルに印加するフィーダ主制御手段とからなる分散フィーダ制御手段としての機能を有する。
【0101】
なお、本発明が適用される組合せ秤は、直進フィーダ12あるいは分散フィーダ11を用いた組合せ秤である限り、図1に示す組合せ秤に限られない。例えば、本実施形態で示した組合せ秤は、複数の計量ホッパ14等が円状に配置されているが、他の態様(楕円状、直線状等)に配置されていても構わない。また、計量ホッパ14等の配置形状に応じて複数の直進フィーダ12の配置及び分散フィーダ11の分散テーブル11aの形状が異なっても構わない。また、本実施形態では、供給されている物品の重量が組合せ演算に用いられるホッパとして、計量ホッパ14のみが用いられる組合せ秤の一例を示したが、このような例に限られるものではない。例えば、各計量ホッパの斜め下方に計量ホッパから供給される物品を一時保持して集合シュートへ排出可能なメモリホッパを配設し、各計量ホッパをその保持している物品をメモリホッパと集合シュートとへ選択的に排出可能な構成とし、計量ホッパとメモリホッパとに保持している物品の重量を組合せ演算に用いるようにしてもよい。これ以外にも、ホッパ構成等を種々変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、組合せ秤に用いられる振動フィーダの制御方法及び振動フィーダ装置等として有用である。
【符号の説明】
【0103】
11 分散フィーダ
11a 分散テーブル
11b 振動装置
12 直進フィーダ
12a トラフ
12b 振動装置
13 供給ホッパ
14 計量ホッパ
15 重量センサ
19 制御装置
24 電磁石
29 振幅検出部
30 振幅検出手段
34 電磁石
38 振幅検出部
190 直進フィーダ制御手段
191 フィーダ主制御手段
192 振幅演算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が載荷される物品載荷部と、前記物品載荷部を支持し、電磁石に間欠的に電圧が印加されることにより前記物品載荷部を振動させる振動動作を行うように構成された振動装置部とを有した振動フィーダの制御方法であって、
前記振動装置部の前記振動動作の開始時に、前記物品載荷部が前記振動動作の開始前の静止位置から目標振幅に対応する位置へ変移するように前記電磁石に電圧を印加した後、駆動電圧パルスを前記電磁石に繰り返し印加する、振動フィーダの制御方法。
【請求項2】
前記駆動電圧パルスを前記振動フィーダの固有振動数に相当する予め定められた周波数で前記電磁石に印加する、請求項1に記載の振動フィーダの制御方法。
【請求項3】
前記物品載荷部が振動の上端位置から前記静止位置を通過して振動の下端位置へ変移するまでの間にのみ前記電磁石に励磁電流が流れるように前記駆動電圧パルスを印加する、請求項2に記載の振動フィーダの制御方法。
【請求項4】
前記物品載荷部が前記静止位置から前記振動の下端位置へ変移するまでの間に前記電磁石に流れる励磁電流が最大となるように前記駆動電圧パルスを印加する、請求項3に記載の振動フィーダの制御方法。
【請求項5】
前記駆動電圧パルスを前記物品載荷部が前記振動の上端位置から前記静止位置へ変移するまでの間に印加し、かつ、前記物品載荷部が前記静止位置を通過するときに前記駆動電圧パルスが印加終了時点となるように前記駆動電圧パルスを印加する、請求項4に記載の振動フィーダの制御方法。
【請求項6】
前記物品載荷部の振動振幅を検出する振幅検出手段を設け、
前記振動振幅が前記目標振幅を含む所定範囲の範囲外になったときに、前記振動振幅が前記所定範囲の範囲内になるように次に印加する駆動電圧パルスのパルス幅を変更する、請求項1〜5のいずれかに記載の振動フィーダの制御方法。
【請求項7】
前記駆動電圧パルスの印加終了時点の間隔が一定となるように前記駆動電圧パルスを繰り返し印加する、請求項6に記載の振動フィーダの制御方法。
【請求項8】
物品が載荷される物品載荷部と、前記物品載荷部を支持し、電磁石に間欠的に電圧が印加されることにより前記物品載荷部を振動させる振動動作を行うように構成された振動装置部とを有した振動フィーダと、
前記振動装置部の前記振動動作の開始時に、前記物品載荷部が前記振動動作の開始前の静止位置から目標振幅に対応する位置へ変移するように前記電磁石に電圧を印加した後、駆動電圧パルスを前記電磁石に繰り返し印加する制御装置とを備えた振動フィーダ装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記駆動電圧パルスを前記振動フィーダの固有振動数に相当する予め定められた周波数で前記電磁石に印加するように構成された、請求項8に記載の振動フィーダ装置。
【請求項10】
物品を一時保持して排出することができる複数のホッパと、
それぞれの前記ホッパに対応して設けられ、前記ホッパへ物品を搬送する複数の直進搬送装置と、
外部から供給される物品を前記複数の直進搬送装置へ送り出す分散装置とを備え、
前記直進搬送装置及び前記分散装置のうちの少なくとも一方が、請求項8または9に記載の振動フィーダ装置によって構成された、組合せ秤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−84396(P2011−84396A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240738(P2009−240738)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】