説明

振動制御装置及び携帯情報端末

【課題】傾斜によって減衰する振動量を傾斜角に応じて補填し一定の振動量を得ることができる振動制御装置を提供する。
【解決手段】タッチセンサ15から入力されたユーザ指示に対し振動による応答通知が必要となった場合に、加速度センサ11が鉛直方向からの傾斜角を測定し、システム制御部12が、当該傾斜角に応じて分周部21が行うクロックの分周、アンプ部24による増幅を制御して駆動信号を生成し、当該生成された駆動信号を振動モータ13に印加することによって傾斜条件に影響されない一定の振動量を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対し特定の通知を振動により行う振動制御装置に関し、特にマナーモード中の着呼等を振動によりユーザに伝える携帯情報端末に好適した装置並びに携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機や音楽プレーヤなどの携帯情報端末の多くは振動モータを備えており、電話の着信、アラーム、タッチパネルのキータッチ受付などを、振動モータを振動させてユーザに通知する。
これら振動によるユーザへの通知のうちキータッチ受付に係る通知などユーザインターフェイスに関わるものは、特に、ユーザに対してより早いレスポンスが求められるので、その実現のために他方式に比べ起動時間の短いリニア駆動方式の振動モータがよく用いられる。
【0003】
リニア駆動方式の振動モータは、コイルに流す駆動信号を変化させて、コイルに発生する磁界を変動させることにより、バネで支持している分銅と一体化した磁石を吸引、反発して、分銅を振動方向に振動させる構造を有する(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−65634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リニア駆動方式の振動モータでは、上記構造を有することから、分銅が鉛直方向に振動する場合に、分銅に掛かる重力の振動方向成分が最も大きくなり、前記バネが最も伸びて振動量も最大になる。
一方、振動モータを傾けた場合、分銅に掛かる重力の振動方向成分が小さくなり、鉛直方向に振動する場合に比べてバネの伸びが小さくなる。
【0005】
特に、振動方向が水平方向になるよう振動モータを傾けてしまうと、分銅に掛かる重力の振動方向成分がなく、この結果、振動量が半分近くにまで落ち込んでしまうという問題があった。
例えば、リニア駆動方式の振動モータを携帯電話機等の携帯情報端末に適用した場合、振動モータを振動させたとしても、携帯情報端末が鉛直方向からどのように傾斜しているかによって、大きく振動する場合もあればユーザが気づかないほど小さくしか振動しない場合もありユーザにとって扱いづらくなってしまう。
【0006】
上記問題に鑑み、本発明は、傾斜角に影響されない一定の振動感を得ることができる振動制御装置及び携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、振動制御装置であって、振動モータと、前記振動モータの振動方向と、鉛直方向との成す角度を計測する計測手段と、前記振動モータを振動させる場合に、前記計測された角度に応じて前記振動モータの振動量を制御する制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の振動制御装置は、上述の構成を備えることにより、振動手段の振動方向が鉛直方向と比べて傾斜した状態であっても、傾斜角に応じて振動量を制御できる。この制御により、傾斜によって減衰する振動量を傾斜角に応じて補填することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施形態に係る振動制御装置について以下に説明する。
1.概要
前記振動制御装置は、携帯情報端末等に組み込まれて使用され、具備するリニア振動モータが振動することにより、着信中であること、アラーム設定時刻に到達したこと、タッチパネルのキータッチを受け付けたこと等をユーザに通知する。
【0010】
ここで、前記リニア振動モータは、その構造上、鉛直方向からの振動方向の傾斜の有無、その傾斜角により、同じ駆動信号が印加されていても振動量が変化するが、前記振動制御装置においては、前記リニア振動モータに印加する駆動信号を制御して、傾斜の有無に拘わらず一定の振動量を得ている。
本実施の形態では、携帯情報端末2が振動制御装置1を備える例について説明する。
【0011】
まず、振動制御装置1に含まれる振動モータ13が、携帯情報端末2にどのように組み込まれているかを簡単に説明し、次いで振動制御装置1の構成、動作について説明する。
図2(a)は、本発明の一実施形態に係る振動モータ13の外観を示す図である。
図9(a)は、振動モータ13が組み込まれる、タッチセンサ15を備えた携帯情報端末2の外観を示す図である。
【0012】
また、図9(b)は、図9(a)に示した携帯情報端末2のA2−A2’平面における切断面の一部分を示す図である。ここで、図9(a)、図9(b)中に示したx、y、z軸は、図9(a)と図9(b)とを関連付けるために示したものであり、加速度センサ11において説明に用いた3軸とは無関係である。
図9(b)に示すように、振動モータ13は、その一面がキャビネット66に形成されたハウジングにホールドされ両面テープ65で固定される。
【0013】
また、振動モータ13における前記固定された面に対抗する面は、ポロン63などの緩衝材を介して液晶モジュール62に接着され、筐体へ効率よく振動を伝える構造となっている。
また、携帯情報端末2においては、液晶モジュール62の表示面にタッチセンサ15が貼付されており、ユーザがパネル(タッチセンサ15)をタッチすると、応答として振動モータ13が図中に示す振動方向に振動し、タッチした方向から押し返される感じの振動が得られるよう制御している。
【0014】
2.構成
以下、携帯情報端末2に組み込まれ、振動によるユーザへの通知を制御する振動制御装置1について説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係る振動制御装置1の構成を示すブロック図である。
【0015】
振動制御装置1は、図1に示すように、加速度センサ11、システム制御部12、リニア振動モータ13、モータ制御部14及びタッチセンサ15を含んで構成される。
タッチセンサ15は、ユーザにより接触されたことを検知し、その接触位置、単位時間当たりの接触回数などに基づき、ユーザ指示を取得する入力デバイスである。タッチセンサ15は、取得したユーザ指示をシステム制御部12に送信する。
【0016】
加速度センサ11は、互いに直交するx軸、y軸、z軸の3軸加速度センサであり、システム制御部12からの測定指示を受け付けると3軸それぞれの重力加速度を測定し、測定完了をシステム制御部12に通知する。
加速度センサ11において、x、y、z各軸について測定される重力加速度は、当該軸が鉛直上向きから角度Aだけ傾いている場合には+1gのcos(A)倍を示す。即ち、各軸について測定した重力加速度から、各軸が鉛直上向きと成す角度が分かることになる。
【0017】
加速度センサについては、公知技術であるのでこれ以上の説明は割愛する。
振動モータ13は、リニア駆動振動モータであり、モータ制御部14から入力される駆動信号に従い振動する。
図2(b)は、振動モータ13の構造を模式的に示す図であり、振動モータ13を図2(a)における2点鎖線で示した平面で切断しA1、A1’側から見た場合の断面図である。
【0018】
振動モータ13は、図2(b)に示すように、ケース43に固定された円柱形状のバックヨーク46、バックヨーク46に巻回されたコイル42、中空部分にバックヨーク46が貫通された無底中空円筒形状の磁石44、磁石44の外側に一体的に接合された無底中空円筒形状の分銅45、ケース43上部から分銅45を支持する共振バネ41a、ケース43下部から分銅45を支持する共振バネ41bを含んで構成される。
【0019】
図3は、振動モータ13について機能的に説明するための模式図である。
図3中に示す両矢印は、分銅45の振動方向を示している。説明の便宜上、以下、図3中に「上」と記載した両矢印の一端を上方向、「下」と記載した両矢印の他端を下方向という。即ち、分銅45は上下方向に振動する。
コイル42に駆動信号が印加されると上下方向に磁界が発生し、磁石44との間で吸引と反発が起こる。
【0020】
コイル42中を駆動信号が一の方向に流れると、コイル42に磁界が発生し、磁石44がコイル42の下端方向に吸引され、分銅45は下方向へ移動する。コイル42中を駆動信号が他の方向(一の方向とは逆方向)へ流れると、コイル42が発生する磁界のN極とS極が一の方向に電流を流した場合とは反転して、結果的に分銅45は上方向(逆方向)へ移動する。
【0021】
よって、コイル42に図4(a)の正弦波形51、図4(b)の正弦波形53に示す駆動信号が流されると、分銅45は上下運動を繰り返すことになる。
また、分銅45の上下運動の振幅の大きさは、コイル42に流される駆動信号の振幅、周波数の大きさにより変化する。
例えば、コイル42に、正弦波形51における振幅を大きくした図4(a)に示す正弦波形52の駆動信号が流されると、正弦波形51の駆動信号を流した場合よりも分銅45の上下運動は大きくなる。また、コイル42に、正弦波形53における周波数を変化させた図4(b)に示す正弦波形54の駆動信号が流されると、正弦波形53の駆動信号を流した場合よりも分銅45の上下運動は大きくなる。
【0022】
ここで、振動モータ13の振動特性について説明する。
図5は、振動モータ13に、周波数(Hz)の制御信号が入力された場合の、振動モータ13が振動する振動量の大きさ(G)である振動特性を示すグラフである。ここでは、前記振動量の大きさは、最大加速度である。
振動モータ13は、176Hz付近の周波数の駆動信号が入力された場合に、最も大きな振動量となり、入力信号が数Hz変化するごとに振動量が大きく変化する特徴を有している。
【0023】
また、入力される駆動信号の周波数が同じである場合、振動モータ13の仕様の範囲内であれば、駆動信号の振幅を大きくすれば振動量が大きくなり、振幅を小さくすれば振動量は小さくなる。
モータ制御部14は、図1に示すように、分周部21、ローパスフィルタ22、DC(Direct Current)カット部23、アンプ24及びクロック発生部25を含んで構成される。
【0024】
クロック発生部25は、基準クロックを生成する。
分周部21は、システム制御部12から基準周波数を受け付けた場合、クロック発生部25が生成する基準クロックを前記基準周波数になるよう分周する。
ローパスフィルタ22は、分周されたクロックの高周波成分をカットすることにより矩形波から正弦波を生成する。
【0025】
DCカット部23は、ローパスフィルタ22が生成した正弦波の直流成分をカットし、0V(ボルト)を中心にした正弦波を生成する。
アンプ部24は、システム制御部12から振幅値を取得した場合、DCカット部23が出力した信号の振幅が、取得した振幅値により示される振幅となるよう調整することにより駆動信号を生成する。そして、アンプ部24は、前記駆動信号をモータ13に印加することによりモータ13を動作させる。
【0026】
システム制御部12は、具体的にはマイクロプロセッサにより構成され、振動制御装置1の動作を制御する。
システム制御部12は、所定のタイミングで加速度センサ11に対し、測定指示を送信する。
測定指示への応答として、システム制御部12は、加速度センサ11から測定完了通知を受け取り、加速度センサ11から3軸それぞれの重力加速度を読み出す。
【0027】
システム制御部12は、読み出した3軸それぞれについての重力加速度を用いて、3軸それぞれの測定結果を成分とするベクトルが、鉛直上向きを示すベクトルとの成す角度である測定角を算出する。そして、システム制御部12は、この測定角にオフセット角を加算又は減算することにより、振動モータ13の振動方向を示すベクトルが鉛直上向きを示すベクトルと成す角度である傾斜角を算出する。
【0028】
前記オフセット角は、前記傾斜角と前記測定角との差分であり、携帯情報端末2筐体内における、振動モータ13と加速度センサ11の設置位置、設置角度等から予め定まる固定値であり、設計事項である。
振動モータ13の振動量の補正は、後述のように前記傾斜角を用いて行うことになる。
なお、前記所定のタイミングは、振動モータを駆動開始するとき、或いは、振動モータの駆動中にリアルタイム(例えば100ミリ秒毎)に振動量を変更するときなどのタイミングである。
【0029】
システム制御部12は、算出した傾斜角に応じた基準周波数を特定し、特定した基準周波数を分周部21に指示する。
前記基準周波数の特定は、一例として、システム制御部12が保持する図6に示す周波数制御テーブルを用いて行う。
前記周波数制御テーブルは、予め実験的等により求めておいた振動モータ13の傾斜角(度)と、その傾斜条件で振動モータ13において基準の振動量を得るためにモータに印加すべき駆動信号の周波数(Hz)との対応を示している。
【0030】
前記周波数制御テーブルは、一例として次のように定める。
まず傾斜角度が0度の際に所望の振動量となるように駆動信号の周波数を決定する。
次に10度傾けた状態で振動量を測定し、駆動信号の周波数を徐々に大きくしながら振動量の測定を繰り返し、所望の振動量となったときの駆動信号の周波数を記録する。
以下、同様に10度傾づつ傾けながら90度までの傾斜角度と駆動信号の周波数(駆動パラメータ)との対応を記録していく。そして、これらの記録結果に基づいて前記周波数制御テーブルを作成する。
【0031】
システム制御部12は、算出した傾斜角に対応する角を前記周波数制御テーブルから検索し、発見した角に対応している周波数を前記周波数制御テーブルから読み出して分周部21に通知する。
例えば、前記周波数制御テーブルでは、振動モータ13の傾斜角0度は、周波数183.2Hzに対応付けられている。
【0032】
傾斜角が0度の場合、振動モータ13は周波数が183.2Hzの駆動信号が印加されることにより、基準の振動量を得る。この時の振動量は、図5の振動特性からも分かるように、おおよそ1.2Gである。
また、前記周波数制御テーブルでは、傾斜角30度は、周波数180.8Hzに対応付けられている。
【0033】
振動モータ13の傾斜角が30度の場合であれば、振動モータ13は、180.8Hzの駆動信号が印加されることにより基準の振動量を得る。
ここで、図5の振動特性を見ると、180.8Hzの駆動信号が印加された場合の理想的な振動量は1.5Gとなる。しかしながら、30度傾斜していることによって実質的には1.2G程度の振動量となっている。
【0034】
同様に、前記周波数制御テーブルでは、傾斜角90度は、周波数176.0Hzに対応付けられている。
振動モータ13の傾斜角が90度の場合であれば、振動モータ13は、176.0Hzの駆動信号が印加されることにより、基準の振動量を得る。
仕様上は、1.7G程度の振動量を得るはずであるが、90度の傾斜により実質1.2G程度の振動量となる。
【0035】
傾斜角90度の場合が、最も減衰する振動量が多いので、図5の振動特性において最大の振動量を得ることができる周波数176Hzを傾斜角90度に対応付けている。
このように、システム制御部12は、傾斜角がいずれの場合でも、1.2G程度の振動量となるよう、駆動信号を制御する。
ここで、周波数制御テーブルにおける傾斜角度は、0度から90度まで10度刻みになっているが、算出した傾斜角に10度未満の端数があり、前記周波数制御テーブルとはマッチしない場合は、算出した傾斜角の10度未満の端数を四捨五入して得られた傾斜角に対応する振幅を、周波数制御テーブルから検索するなどすればよい。
【0036】
また、システム制御部12は、タイマーを備えており、振動モータ13が振動を開始してからの経過時間を前記タイマーで計測し、予め定めている振動継続時間が経過した時に、振動モータ13の振動を停止させる。
3.動作
図10は、上述の構成を備える携帯情報端末が傾斜角に応じて振動モータの振動量を制御する処理を示すフローチャートである。
【0037】
携帯情報端末の電源が投入され、携帯情報端末が動作を開始すると、システム制御部12は、着信やタッチセンサ15の押下などの、バイブレーションを実行するためのトリガとなるイベントの発生をモニタリングし或いは割り込みにより前記イベントが通知されるのを待つ(ステップS01)
イベントの発生を検知した場合、システム制御部12は、加速度センサ11に対し測定開始を指示する。前記測定開始の指示に対する応答として、システム制御部12は、加速度センサ11から測定完了の通知を受ける。
【0038】
そして、システム制御部12は、加速度センサ11から3軸それぞれの重力加速度を読み出す(ステップS02)。
システム制御部12は、3軸それぞれの重力加速度の値を用いて、加速度センサ11の鉛直方向に対する加速度センサの傾斜角度を計算する(ステップS03)。
そして、加速度センサ11の測定に係る基準軸の方向と、振動モータ13の振動方向との成す角度で前記傾斜角度を補正し、振動モータの傾斜角を算出する。
【0039】
そして、システム制御部12は、算出した振動モータの傾斜角に対応する周波数を、周波数制御テーブルから読み出す。
システム制御部12は、読み出した前記周波数を分周部21に対して通知する(ステップS04)。
分周部21は、周波数の通知を受けた場合、クロック発生部25が生成する基準クロックを前記通知を受けた周波数になるよう分周する。
【0040】
ローパスフィルタ22は、分周されたクロックの高周波成分をカットすることにより矩形波から正弦波を生成する。
DCカット部23は、ローパスフィルタ22が生成した正弦波の直流成分をカットし、0V(ボルト)を中心にした正弦波を生成する。
アンプ部24は、システム制御部12から振幅値を取得した場合、DCカット部23が出力した信号の振幅が、取得した振幅値により示される振幅となるよう調整することにより駆動信号を生成する。
【0041】
なお、本実施の形態では、周波数により振動量を制御する構成としているため、システム制御部12は、振動モータ13を動作させる場合には、アンプ部24には、固定の振幅値を通知している。
アンプ部24は、前記駆動信号を振動モータ13に印加することにより、モータ13を動作させ、所望の振動量の振動を発生する(ステップS05)。
【0042】
ここで、システム制御部12は、各イベントについて予め定められている、振動継続時間を測定すべく、前記タイマーを起動する(ステップS06)。
システム制御部12は、前記タイマーが計測する時間が前記振動継続時間を経過するまで監視する。振動継続時間の経過を検出した場合、振動モータ13を停止する(ステップS07)。
【0043】
振動モータ13の停止は、例えば、アンプ部24に振幅として0を通知したり、クロック発生部25の動作を止めることで行う。
以後、ステップS01から処理を繰り返す。
4.変形例その他
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
(1)上記の実施の形態では、傾斜角度に応じて駆動信号の周波数を変更する例について説明したが、これに限らない。
【0044】
例えば、システム制御部12は、図7に示すように、傾斜角度(度)と、振幅(V)との対応である振幅制御テーブルを保持しておくこととしてもよい。
ここで、振動モータ13は、印加する駆動信号の電圧の振幅を変更することによって振動量が変化するものとする。
この場合、加速度センサ11の計測結果を用いて算出した傾斜角度が30度であった場合、システム制御部12は、振幅制御テーブルを参照し、傾斜角度30度に対応する振幅2.9Vを得る。
【0045】
そして、振幅を2.9Vとした駆動信号を、振動モータ13に印加すべく、振幅2.9Vをアンプ部24に通知する。
そうすると、アンプ部24により振幅が2.9Vに調整された駆動信号が振動モータ13に印加される。
これにより、振動モータ13が30度程度傾斜している場合に、上記実施の形態と同様1.2G程度の振動量を得ることができる。
【0046】
また、システム制御部12は、図8に示すように、傾斜角度(度)と、振幅(V)及び周波数(Hz)との対応である振幅・周波数制御テーブルを保持しているものとしてもよい。
この場合、例えば、加速度センサ11の計測結果を用いて算出した傾斜角度が30度であれば、システム制御部12は、振幅・周波数制御テーブルを参照し、傾斜角度30度に対応する振幅2.9Vと、周波数178.4Hzとを得る。
【0047】
そして、システム制御部12は、周波数が178.4Hzを分周部21に通知し、振幅2.9Vをアンプ部24に通知する。
そうすると、分周部21により周波数が178.4Hzに調整され、アンプ部24により振幅が2.9Vに調整された駆動信号が振動モータ13に印加される。
これにより、振動モータ13は、1.2G程度の振動量で振動する。
【0048】
また、振幅制御テーブル、周波数制御テーブル、振幅・周波数制御テーブル等のテーブルを予め保持する場合のみならず、演算により、傾斜角と振幅及び/又は周波数との対応を算出することとしてもよい。
演算を行うための演算式については、予め、実験結果から導出してもよいし、シミュレーションの結果から導出してもよい。
【0049】
また、振幅制御テーブル、周波数制御テーブル、振幅・周波数制御テーブル等のテーブルにおいては、10度刻みの傾斜角に対応する振幅、周波数を記載していたが、10度未満の端数を有する傾斜角については、対応する振幅、周波数を線形補間、スプライン補間などの補間方法により補間することとしてもよい。
例えば、傾斜角が10度である場合の振幅をAM1、傾斜角20度である場合の振幅をAM2とした場合に、傾斜角が15度である場合の振幅AM3は、線形補間により下式で算出できる。
【0050】
AM3=AM1+(AM2−AM1)*((15−10)/(20−10))
(2)上記実施の形態では、振動モータ13を停止させる際に、いきなりモータの動作を止める制御を行っていたが、これには限らない。
例えば、ユーザに通知するイベントの種別により、段階的にアンプ部24に通知する振幅を0に近づけて行ったり、分周部21に通知する周波数を0に近づけて行ったりするなどして、段階的にOFF状態に近づけて行ってもよい。
【0051】
また、逆にモータが停止状態から動作状態に切り替える場合、アンプ部24に通知する振幅を、0から段階的に周波数制御テーブル、或いは振幅・周波数制御テーブルから読み出した設定すべき振幅に近づけて行ったり分周部21に通知する周波数を0から、読み出した周波数に近づけて行ったりするなどの制御を行ってもよい。
(3)上記実施の形態では、前記周波数制御テーブルを用いて決定した周波数の駆動信号を振動モータ13に印加することで振動量を変更していたがこれには限らない。例えば、振幅を変更した駆動信号を振動モータ13に印加することで、振動量を変更することとしてもよい。
【0052】
この場合、図7に示す振幅制御テーブル、又は図8に示す振幅・周波数制御テーブルを用いて、加速度センサ11による検出結果に従って算出した傾斜角に対応する振幅、又は振幅及び周波数を特定し、特定した振幅はアンプ部24に通知し、特定した周波数は分周部21に通知する。この通知により、振幅、又は振幅及び周波数を変更した駆動信号を振動モータ13に印加され、振動モータ13の振動量が変動する。
【0053】
上記振幅制御テーブル、振幅・周波数制御テーブルについては、周波数制御テーブルと同様に、各傾斜角度における駆動信号の振幅、又は振幅及び周波数を記録して作成する。
また、これらのテーブルは、振動モータの傾斜角と、振幅・周波数とを対応づけていたが、これには限らない。
例えば、加速度センサ11による検出結果から算出した測定角と、駆動信号の振幅・周波数とを対応づけていてもよい。そして、測定角に対応する振幅・周波数の駆動信号を振動モータ13に印加する。この場合、測定角にオフセット角を加減する必要はない。
(4)上記実施の形態では、加速度センサ11は、イベントの発生を検出した場合に加速度を測定するとしたが、これには限らない。例えば定期的に測定してもよいし常時測定していてもよい。
(5)上記実施の形態では、算出した傾斜角に10度未満の端数があり、前記周波数制御テーブルとはマッチしない場合は、算出した傾斜角の10度未満の端数を四捨五入して得るとしたが、これには限らない。
【0054】
四捨五入に限らず、切り捨て、切り上げを行い、又は予め決めておいたテーブルに従い変換を行うなどその他の処理により、傾斜角を求めてもよい。
また、周波数制御テーブルに記載の傾斜角は10度刻みにしているが、これに限らない。刻み角度の細かさは設計事項であり、メモリなどのハードウェア資源が許せば、1度刻みや、0.1度刻みや、更に細かい数値で刻むこととしてもよい。
(6)上記実施の形態では、振動モータ13として、コイン型のリニア制御振動モータを用いる例で説明したが、これには限らず、他の振動モータであってもよい。
【0055】
例えば、円筒型の振動モータであってもよい。
また、上記実施の形態では、振動モータ13の振動方向の基準軸(典型的には鉛直軸)からの傾斜角を測定、算出するのに加速度センサを用いる例で説明したが、これに限らず、ジャイロセンサなど、前記傾斜角を測定できる他のデバイス等に置き換えてもよい。
(7)上記実施の形態及び上記各変形例を組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の振動制御装置は、ユーザに対し振動により通知を行う携帯電話機、携帯情報端末等に好適であり、前記携帯情報端末等の製造業者等により生産され、通信システムの端末等としてユーザに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施の形態に係る振動制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】(a)本発明の一実施の形態に係る振動モータの外観を示す図である。 (b)本発明の一実施の形態に係る振動モータの構成を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る振動モータについて機能的に説明するための図である。
【図4】(a)本発明の一実施の形態に係る振動モータについて、振幅を変更することにより制御するための駆動信号の一例を示す図である。
【0058】
(b)本発明の一実施の形態に係る振動モータについて、周波数を変更することにより制御するための駆動信号の一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る振動モータの振動特性を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る駆動信号について、傾斜角度毎に設定する周波数の例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る駆動信号について、傾斜角度毎に設定する振幅の例を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る駆動信号について、傾斜角度毎に設定する振幅、周波数の例を示す図である。
【図9】(a)本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末の外観を示す図である。
【0059】
(b)本発明の一実施の形態に係る携帯情報端末への振動モータの組み込み例を示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る振動制御装置の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 振動制御装置
2 携帯情報端末
11 加速度センサ
12 システム制御部
13 振動モータ
14 モータ制御部
15 タッチセンサ
41a、41b 共振バネ
42 コイル
43 ケース
44 磁石
45 分銅
46 バックヨーク
62 液晶モジュール
63 ポロン
65 両面テープ
66 キャビネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動手段と、
前記振動手段の振動方向と、鉛直方向との成す角度を計測する計測手段と、
前記振動手段を振動させる場合に、前記計測された角度に応じて前記振動手段の振動量を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする振動制御装置。
【請求項2】
振動手段と、
鉛直方向からの傾斜角を測定する加速度センサと、
複数の傾斜角それぞれについて、当該傾斜角が生じている場合に前記振動手段を所定の振動量で振動させるための制御情報を保持している保持手段と、
前記振動手段を振動させる場合に、前記加速度センサにより測定された傾斜角を取得し、前記複数の傾斜角のうち取得した傾斜角に対応する制御情報に基づき前記振動手段の振動量を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする携帯通信端末。
【請求項3】
前記振動手段は、入力される駆動信号の周波数に応じて振動量を変化させるものであり、
前記制御情報は、前記振動手段に入力される駆動信号の周波数を示しており、
前記制御手段は、前記制御情報により示される周波数の駆動信号を生成して前記振動手段に入力する
ことを特徴とする請求項2記載の携帯通信端末。
【請求項4】
前記振動手段は、弾性体により支持され前記振動方向に振動する分銅を有し、前記駆動信号を受け付けて前記駆動信号の振幅に応じた振動量で前記分銅を振動させる
ことを特徴とする請求項3記載の携帯通信端末。
【請求項5】
前記振動手段は、リニア振動モータであることを特徴とする請求項2記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−130746(P2010−130746A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300819(P2008−300819)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】