説明

振動搬送装置及びそれを用いた組合せ秤

【課題】 ロードセル等の重量センサを用いることなく載荷されている物品の重量を求めることができるとともに消費電力を低減することができる振動搬送装置を提供する。
【解決手段】 電磁石24に間欠的な通電が行われることにより物品載荷部を振動させる振動動作を行うように構成された振動装置部とを有した振動フィーダ12と、駆動電圧パルスを振動フィーダ12の固有振動数に相当する周波数で電磁石24に繰り返し印加し、物品載荷部の振動振幅が目標振幅となるよう駆動電圧パルスのパルス幅を制御するフィーダ主制御手段191と、物品載荷部の振動振幅を検出する振幅検出手段30と、検出される振動振幅が目標振幅であるときに直近に印加された駆動電圧パルスのパルス幅に基づいて物品載荷部上の物品の重量を算出する重量算出手段191とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁石の吸引力とばねの復元力とを利用してトラフ(物品載荷部)を振動させてトラフ上の物品を搬送する振動搬送装置及びそれを用いた組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組合せ秤は、トラフを振動させて物品を搬送する直進フィーダを、複数個用いている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
組合せ秤では、例えば、中央の上部に分散フィーダが配設され、分散フィーダの周辺に複数の直進フィーダが放射状に配置され、各々の直進フィーダの下方には供給ホッパ、さらにその下方に計量ホッパが配設され、計量ホッパの下方に集合シュートが配設されている。例えば、外部の供給装置から分散フィーダの中央部に物品が供給され、分散フィーダでは振動によって物品をその周縁部方向に送り出すことによって直進フィーダへ物品を搬送する。各々の直進フィーダはトラフを振動させることにより物品を搬送して供給ホッパに搬送する。各供給ホッパでは一時的に物品を保持し、その下方に配設された計量ホッパに物品を供給する。各計量ホッパでは供給された物品の重量が計量される。この計量値に基づいて組合せ演算を行うことにより、計量値の合計が目標組合せ重量と一致するか最も近い計量ホッパの組合せを求め、この組合せに選択されている計量ホッパから物品を排出する。この排出された物品は、集合シュート上を滑落して例えば包装機に投入される。
【0004】
上記のような組合せ秤において、組合せ計量精度を向上させるためには、周知のように、組合せ演算に参加する計量ホッパへ供給される物品の重量が、組合せの数が多くなる重量となるように、直進フィーダから供給ホッパに搬送される物品の重量を制御する必要がある。
【0005】
直進フィーダから供給ホッパに搬送される物品の重量は、直進フィーダに載っている物品の重量、直進フィーダの振動振幅、及び直進フィーダの振動時間(動作時間)などに依存する。直進フィーダに載っている物品の重量を検知するために、直進フィーダ自体をロードセル等の重量センサの上に載せて直進フィーダのトラフ上の物品の重量を検知する方法が知られているが、直進フィーダ自体の重量がかなり重いので大型の重量センサが必要であり、重量センサのコストも高くなる。そのため、重量センサを含めた振動搬送装置が大型化及び高コスト化する。
【0006】
一方、特許文献1には、直進フィーダのばね部材に歪みゲージを装着し、この歪みゲージの電気的出力に基づいてトラフ上の物品の重量とトラフの振幅とを検出し、この検出した重量と振幅とから単位時間当たりの搬送量を算出し、この搬送量に基づいて搬送装置を制御する構成が開示されている。また、この構成の場合、直進フィーダの固有振動数が電源周波数に近い周波数となるように設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11―193002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、直進フィーダ自体を重量センサの上に載せて直進フィーダ上の物品の重量を検知する場合には、重量センサを含めた振動搬送装置が大型化及び高コスト化する。また、特許文献1に開示された構成の場合、高価で大型の重量センサを用いないですむが、直進フィーダの固有振動数が電源周波数に近い周波数となるように設定されているため、固有振動数と駆動周波数(=電源周波数)とが若干異なり、共振振動に比べて消費電力は大きくなる。
【0009】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、ロードセル等の重量センサを用いることなく載荷されている物品の重量を求めることができるとともに消費電力を低減することができる振動搬送装置及びそれを用いた組合せ秤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の振動搬送装置は、物品が載荷され、振動させられることにより物品を一方向へ搬送するための物品載荷部と、前記物品載荷部を支持し、電磁石に間欠的な通電が行われることにより前記物品載荷部を振動させる振動動作を行うように構成された振動装置部とを有した振動フィーダと、駆動電圧パルスを前記振動フィーダの固有振動数に相当する予め定められた周波数で前記電磁石に繰り返し印加し、前記物品載荷部の振動振幅が予め設定された目標振幅となるよう前記駆動電圧パルスのパルス幅を制御する電圧印加制御手段と、前記物品載荷部の振動振幅を検出する振幅検出手段と、前記振幅検出手段によって検出される振動振幅が前記目標振幅であるときに直近に印加された前記駆動電圧パルスのパルス幅に基づいて前記物品載荷部上の物品の重量を算出する重量算出手段とを備えている。
【0011】
この構成によれば、重量センサを用いることなく、物品載荷部上の物品の重量を算出することができる。また、駆動電圧パルスを振動フィーダの固有振動数に相当する周波数で電磁石に印加するようにしているため、共振振動させることができ、消費電力を低減することができる。
【0012】
また、前記重量算出手段は、前記物品載荷部の複数の振動振幅の各々に対応して予め定められている、前記駆動電圧パルスのパルス幅と前記物品載荷部上の物品の重量との関係を示すパルス幅重量情報のなかの、前記目標振幅に対応するパルス幅重量情報を用いて直近に印加された前記駆動電圧パルスのパルス幅から前記物品載荷部上の物品の重量を算出するように構成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、各々のパルス幅重量情報に対応する複数の振動振幅のなかから1つを選択して目標振幅に設定することができる。
【0014】
また、本発明の組合せ秤は、上記構成の振動搬送装置を複数備えるとともに、各々の前記振動搬送装置に対応して設けられ、前記振動搬送装置の物品載荷部から排出された物品が供給され、供給された物品の重量を計量する重量センサが取り付けられた複数の計量ホッパと、前記重量センサにより計量された物品の重量に基づいて組合せ演算を行い、物品の重量の合計が所定重量範囲内になる組合せを求める組合せ演算手段と、前記計量ホッパへ供給される物品の目標供給重量に対する、前記振動搬送装置に対応する前記計量ホッパに取り付けられた重量センサにより計量された物品の重量の比率を求める比率算出手段とを備え、前記振動搬送装置の前記重量算出手段は、前記比率算出手段により前記比率が求められた後に求める前記物品載荷部上の物品の重量を前記比率を用いて補正するように構成され、前記振動搬送装置の電圧印加制御手段は、前記目標供給重量と前記重量算出手段により算出される前記物品載荷部上の物品の重量とに基づいて前記物品載荷部から排出される物品の重量を前記目標供給重量と等しくするために印加するべき前記駆動パルスの総数を算出し、この総数に等しい数の前記駆動電圧パルスを印加すると前記駆動電圧パルスの印加を終了するように構成されている。
【0015】
この構成によれば、重量センサを用いることなく、振動搬送装置の物品載荷部上の物品の重量を算出することができる。重量センサを用いないため、振動搬送装置の大型化及び高コスト化を招くこともなく、組合せ秤の大型化及び高コスト化を招くこともない。また、物品載荷部上の物品の重量を上記比率を用いて補正することにより、振動搬送装置の電磁石の温度変化等による誤差が生じた場合においても物品の重量を正確に求めることができる。そして、その正確な物品載荷部上の物品の重量と計量ホッパの目標供給重量とに基づいて駆動電圧パルスの印加総数を算出し、その総数に等しい数の駆動電圧パルスを印加すると駆動電圧パルスの印加を終了することにより、計量ホッパへの物品の供給量の精度を向上でき、組合せ計量精度の向上を図ることができる。
【0016】
なお、特許請求の範囲及び本明細書において記載されている「振動振幅」あるいは「振幅」は、振動の幅(ピーク・トゥ・ピーク値)を意味する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上に説明した構成を有し、ロードセル等の重量センサを用いることなく載荷されている物品の重量を求めることができるとともに消費電力を低減することができる振動搬送装置及びそれを用いた組合せ秤を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態における振動搬送装置が備えられた組合せ秤の一例の概略構成を側方から見た断面図である。
【図2】(a)は、本発明の実施形態における振動搬送装置を構成する直進フィーダの一例を示す斜視図であり、(b)は、同直進フィーダの側面図である。
【図3】本発明の実施形態における任意の1つの振動搬送装置についての制御系統の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態の振動搬送装置の電磁石に印加する駆動電圧波形と、そのときの物品載荷部(トラフ)の振動変位とを示す図である。
【図5】駆動パルスの印加期間中における駆動パルスと、電磁石のコイルに流れる電流と、トラフの振動変位とを示す図である。
【図6】複数の所定振幅のそれぞれに対応する物品重量とパルス幅との関係の一例を示す図である。
【図7】本実施形態における任意の1つの振動搬送装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0020】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態における振動搬送装置が備えられた組合せ秤の一例の概略構成を側方から見た断面図である。
【0021】
この組合せ秤には、装置中央に配設されたセンター基体(ボディ)1の上部に、外部の供給装置10から供給される物品を振動によって放射状に分散させる円錐形の分散フィーダ11が設けられている。分散フィーダ11は、物品が載せられる円錐形の分散テーブル11aと、分散テーブル11aを振動させる振動装置11bとを備え、供給装置10からその中央部に供給される物品を振動によってその周縁部方向へ送り出す。分散フィーダ11の周囲には、分散フィーダ11から送られてきた物品を振動によって搬送し各供給ホッパ13へ送りこむための複数の直進フィーダ12が放射状に設けられている。各直進フィーダ12には、物品を載せて搬送するためのトラフ12aと、トラフ12aを振動させる振動装置12bとが備えられている。各直進フィーダ12の下方には、供給ホッパ13及び計量ホッパ14がそれぞれ対応して設けられ、それぞれ円状に配設されている。供給ホッパ13は直進フィーダ12から送りこまれた物品を受け取り、その下方に配置された計量ホッパ14が空になると排出ゲート13gを開いて計量ホッパ14へ物品を投入する。各計量ホッパ14にはロードセル等の重量センサ15が取り付けられており、この重量センサ15により計量ホッパ14内の物品の重量が計測される。各重量センサ15の計測値は制御装置19へ出力される。円状に列設された計量ホッパ14の下方には、略逆円錐台形状の集合シュート16が配設され、集合シュート16の下方にはファネル状の排出シュート17が設けられている。制御装置19によって後述の排出組合せに選択された計量ホッパ14はその排出ゲート14gを開いて物品を排出し、その排出された物品は集合シュート16上を滑り落ち、排出シュート17を介して例えば包装機(図示せず)へ排出される。
【0022】
また、分散フィーダ11上の物品の量を検出するためのレベル検出器18が設けられている。このレベル検出器18には、例えば超音波センサが用いられ、分散フィーダ11上の物品の層厚が検出され、その検出信号は制御装置19へ出力される。制御装置19では、レベル検出器18によって検出される分散フィーダ11上の物品の層厚を基に、分散フィーダ11上の物品を一定量に保つように、供給装置10を制御する。
【0023】
制御装置19は、例えば、演算制御部19a及び記憶部19bを有するマイクロコンピュータ等によって構成されている。演算制御部19aには、例えば、このマイクロコンピュータのCPUが用いられる。記憶部19bには制御プログラムが格納され、さらに、各種データが記憶される。また、演算制御部19aのCPUが記憶部19bに格納されている制御プログラムを実行することにより、制御装置19は供給装置10及び組合せ秤の全体の動作の制御を行うとともに後述の組合せ処理等を行う。
【0024】
すなわち、制御装置19は、供給装置10の制御、分散フィーダ11の振動装置11bの制御、各直進フィーダ12の振動装置12bの制御、供給ホッパ13及び計量ホッパ14の排出ゲートの開閉制御等を行う。また、組合せ処理では、それぞれの重量センサ15により計測される物品の重量値に基づいて組合せ演算を行い、複数の計量ホッパ14の中から、供給されている物品の重量値の合計が、予め定められた所定重量範囲(目標組合せ重量に対する許容範囲)内になる計量ホッパ14の組合せを1つ求め、その組合せを物品を排出すべき計量ホッパ14の組合せ(排出組合せ)とする。
【0025】
なお、制御装置19は、必ずしも単独の制御装置で構成される必要はなく、複数の制御装置が分散配置されていて、それらが協働して組合せ秤及び供給装置10の制御等を行うよう構成されていてもよい。
【0026】
操作表示器20は、例えばタッチスクリーン式のディスプレイ画面を備え、組合せ秤の操作およびその動作パラメータの設定等を行うための入力手段としての機能を有する。
【0027】
この組合せ秤には、直進フィーダ12、供給ホッパ13、計量ホッパ14および重量センサ15を一組とする計量ユニットが複数組設けられている。
【0028】
図2(a)は、本発明の実施形態における直進フィーダ12の一例を示す斜視図であり、図2(b)は、同直進フィーダの側面図である。
【0029】
この直進フィーダ12は、物品載荷部であるトラフ12aと、トラフ12aを振動させる振動装置(振動装置部)12bとを備えている。このトラフ12aの基端部(後部)に物品が供給され、トラフ12aを振動させることにより物品は前方向へ搬送され、トラフ12aの先端部から排出される。
【0030】
振動装置12bは、固定フレーム21に、例えばカーボン製の板ばねからなる弾性部材23a、23bを介して揺動可能に可動板22が取り付けられている。弾性部材23a、23bは、その上端部側が後方側に傾斜するように固定フレーム21と可動板22との間に取り付けられている。
【0031】
固定フレーム21には、電磁石24が水平面に対して所定角度を有するように固定され、可動板22には、電磁石24と所定間隔を有して対向するように、被吸着部材(アーマチュア)25が取り付けられている。固定フレーム21は、防振ばね26を介してセンター基体1(図1)に取り付けられている。
【0032】
振動装置12bの可動板22の上面には取付け部27が固着され、トラフ12aは、その下面に設けられた取付金具28によって、取付け部27に着脱自在に取り付けられている。
【0033】
この直進フィーダ12の振動機構について説明する。なお、以降の説明において、電磁石に電圧を印加することは、電磁石のコイルに電圧を印加することである。
【0034】
電磁石24に電圧を印加すると、電磁石24が可動板22に固定された被吸着部材25を吸引する。このとき、可動板22は、可動板22と固定フレーム21を連結している弾性部材23a、23bが弾性変形することによって、電磁石24側、すなわち後方斜め下方向へ移動する。次に、電磁石24への電圧の印加を停止させると、電磁石24に生じる吸引力が解除され、弾性部材23a、23bの弾性反発力によって可動板22が前方斜め上方向に移動する。トラフ12aは可動板22とともに移動するので、上記動作を繰り返すことによって、トラフ12aが振動し、トラフ12a上の物品が前方へ搬送される。
【0035】
なお、振動装置12bを構成する、固定フレーム21、可動板22、弾性部材23a、23b、電磁石24及び被吸着部材25の形状及び配置は、図2に示すものに限らず、周知の種々の構成を用いることができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、弾性部材23a、23bのいずれか一方(この例では弾性部材23a)に振幅検出部29が設けられている。この振幅検出部29は、例えば、弾性部材23aに貼着されたピエゾフィルム等の圧電素子により構成されている。振幅検出部29は、弾性部材23aの弾性変形に応じて歪むことにより、当該歪みに応じた出力を制御装置19(図1)へ出力する。
【0037】
図3は、任意の1つの直進フィーダ12に関する制御系統の構成を示すブロック図である。この構成は、組合せ秤に備えられる個々の直進フィーダ12について同様である。
【0038】
すなわち、複数の各直進フィーダ12に対応して直進フィーダ制御手段190Bが設けられている。これら複数の直進フィーダ制御手段190Bは、本実施形態では制御装置19の機能によって実現されるが、制御装置19とは別に設けられてあってもよい。秤制御手段190Aは、制御装置19において、複数の直進フィーダ制御手段190B以外の機能を実現する手段である。すなわち、制御装置19は、秤制御手段190Aと複数の直進フィーダ制御手段190Bとを有している。
【0039】
本実施形態の振動搬送装置は、直進フィーダ12と直進フィーダ制御手段190Bとによって構成されている。直進フィーダ制御手段190Bは、フィーダ主制御手段191と振幅演算手段192と重量算出手段193とを有している。フィーダ主制御手段191は、電圧印加制御手段としての機能も有する。
【0040】
フィーダ主制御手段191は、駆動期間内において、電磁石24のコイルに、後述の図4に示す初期吸引パルスPo及び駆動パルス(駆動電圧パルス)Ps(Ps1,Ps2,Ps3,・・・)等の矩形波電圧を印加するように構成されている。また、フィーダ主制御手段191は、トラフ12aの振幅が目標振幅となるように駆動パルスPsのパルス幅(T1〜T4等)を制御する。そのため、駆動期間中に、振幅演算手段192によって算出されるトラフ12aの振動振幅が目標振幅以外の振幅になったときに次に印加する駆動パルスPsのパルス幅の変更を行うように構成されている。
【0041】
振幅演算手段192は、振幅検出部29の出力電圧を入力し、その出力電圧に基づいてトラフ12aの振動振幅を算出し、フィーダ主制御手段191へ提供する。これら振幅検出部29及び振幅演算手段192によってトラフ12aの振動振幅を検出する振幅検出手段30が構成されている。
【0042】
なお、予め実験等により、振幅検出部29の出力電圧とトラフ12aの振動振幅との関係を示す情報(例えば、上記関係を示す近似式)を求めて記憶部19bに記憶しておき、その情報に基づいて振幅演算手段192が振幅検出部29の出力電圧からトラフ12aの振動振幅を算出するように構成されている。
【0043】
なお、弾性部材23a、23bの両方に振幅検出部29を設け、その2つの振幅検出部29の出力電圧を振幅演算手段192へ入力し、振幅演算手段192は、その2つの振幅検出部29の出力電圧の平均値を算出し、その平均値に基づいて、トラフ12aの振動振幅を算出するようにしてもよい。
【0044】
また、本実施形態では、振幅検出部29にピエゾフィルムを用いて振幅検出手段30を構成しているが、振幅検出部29にストレインゲージ等を用いて振幅検出手段30を構成してもよい。
【0045】
重量算出手段193は、駆動期間中に、振幅演算手段192によって算出されるトラフ12aの振動振幅が目標振幅であるときに、フィーダ主制御手段191からの指示により、目標振幅と駆動パルスPsのパルス幅とに基づいてトラフ12a上の物品重量を算出し、算出した物品重量をフィーダ主制御手段191へ提供するように構成されている。
【0046】
なお、フィーダ主制御手段191では、例えば秤制御手段190Aからの指示に基づいて直進フィーダ12を駆動する。ここで、秤制御手段190Aは、各直進フィーダ制御手段190Bを制御し、例えば、各々の直進フィーダ12の駆動の開始を指示するように構成されている。
【0047】
図4は、本実施形態の振動搬送装置の電磁石24に印加する駆動電圧波形と、そのときのトラフ12aの振動変位とを示す図である。
【0048】
本実施形態では、駆動開始時に、電圧Va、パルス幅(印加時間)Tpの初期吸引パルスPoを印加し、その後、時間Ts経過後から駆動終了時までの間に、電圧Vaの駆動パルスPs(Ps1,Ps2,Ps3,・・・)を周期T(駆動周波数f=1/T)で印加するようにしている。ここで、電磁石24に初期吸引パルスPoを印加することにより、トラフ12aが目標振幅(目標とする振動の幅)Atに対応する振動変位となるように印加時間Tpが設定されている。すなわち、パルス幅Tpの初期吸引パルスPoを印加することにより、トラフ12aの位置が目標振幅Atに対応する位置になり、非常に優れた振幅の立ち上がり特性が得られる。目標振幅Atに対応する位置とは、トラフ12aが目標振幅Atで振動する場合の振動の下端位置に相当する。なお、目標振幅Atは、トラフ12の振動振幅の目標値であり、搬送物品の種類、搬送量等を勘案して設定されている。
【0049】
電圧Vaは、予め駆動電圧として定められた所定電圧であり、例えば電磁石24の定格電圧としてもよい。
【0050】
また、初期吸引パルスPoのパルス幅Tp、時間To,Ts、駆動パルスPsの周波数f及び周期T、駆動パルスPsの標準パルス幅Taは、実験結果等から次のようにして決められている。
【0051】
まず、初期吸引パルスPoのパルス幅(印加時間)Tpを決める。例えば、所定点数の電圧印加時間(電圧Vaを印加する時間)のそれぞれについて、電磁石24に電圧Vaを印加する実験を行い、トラフ12aの振幅を測定する。ここでは電圧印加によりトラフ12aが振動したときのトラフ12aの位置が最も高い位置と最も低い位置との差をトラフ12aの振幅として、例えばレーザ変位計を用いて測定する。この測定結果に基づいて電圧印加時間と振幅との関係式を求め、この関係式を用いて目標振幅Atに対応する電圧印加時間を求め、その時間を時間Tpに決める。
【0052】
次に、駆動パルスPsの繰り返し周波数(駆動周波数)f及び周期Tを決める。この駆動周波数fは、直進フィーダ12の固有振動数を求め、それと等しい周波数に決定する。例えば、電磁石24に電圧Vaを上記で決めた電圧印加時間Tpのみ印加して、トラフ12aの振動変位の時間的変化を例えばレーザ変位計を用いて測定し、この測定データをFFT解析することにより直進フィーダ12の固有振動数を求める。この固有振動数を駆動周波数fに決定し、駆動パルスの周期Tを1/fとして求める。また、上記測定時に、電圧Vaの印加終了時点からトラフ12aの振動変位が2回目に0になる時点までの時間を測定し、その時間をToとする。
【0053】
次に、駆動パルスPsの標準パルス幅Taを決める。例えば、所定点数のパルス幅のそれぞれについて、電圧Vaのパルスを駆動周波数fで印加したときのトラフ12aの振幅を例えばレーザ変位計を用いて測定し、その測定結果に基づいてパルス幅と振幅との関係式を求め、その関係式を用いて目標振幅Atに対応するパルス幅を求め、これを駆動パルスPsの標準パルス幅Taに決める。
【0054】
次に、先に求めた時間Toから標準パルス幅Taを減算し、その減算結果を、初期吸引パルスPoの電圧印加終了時点から最初の駆動パルスPs1の印加開始時点までの時間Tsに決める。この場合、最初の駆動パルスPs1は標準パルス幅Taのパルスである。
【0055】
なお、上記では、トラフ12aの振幅及び振動変位を測定する際、鉛直方向(上下方向)におけるトラフ12aの振幅及び振動変位を測定するようにしたが、例えば、トラフ12aの物品の搬送方向(前後方向)における振幅及び振動変位を測定するようにしてもよい。また、被吸着部材25の電磁石24と対向する方向における振幅及び振動変位を測定し、それをトラフ12aの振幅及び振動変位としてもよい。また、レーザ変位計を用いてトラフ12aの振幅及び振動変位を測定するようにしたが、振幅検出部29の出力からそれらを算出するようにしてもよい。また、トラフ12aの振幅及び振動変位の測定時には、稼働時にトラフ12a上に載っていると予想される平均量の物品を載せた状態で測定するようにしたほうが好ましい。
【0056】
本実施形態では、以上のようにして決定した時間Tp、To、Ts、Ta及び周期T等に基づいて、駆動期間内において初期吸引パルスPo及び駆動パルスPsを例えば図4のように印加する。
【0057】
なお、本実施形態では、駆動開始時に、1つの初期吸引パルスPoを印加することにより、物品載荷部(トラフ12a)を目標振幅Atに対応する位置へ変移させるようにしたが、物品載荷部が振動動作の開始前の位置(すなわち、振動変位が0である静止位置)から、この振動動作開始前の位置に戻ることなく目標振幅Atに対応する位置へ変移するように電磁石に電圧を印加するようにすればよい。例えば、図4の鎖線で示すように、1つの初期吸引パルスPoに代えて、2つの初期吸引パルスPo1、Po2を印加するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、図4に示すように、駆動パルスPsの立ち下がり時点(印加終了時点)が、振動変位が0(静止時における位置)になる時点と一致するようにしている。このことは、駆動パルスPsのパルス幅が変更されても同様であり、駆動パルスPsはその立ち下がり時点が一定間隔(周期T)となるように印加される。これについて図5を参照しながら説明する。
【0059】
図5は、駆動パルスPsの印加期間中における駆動パルスPsと、その期間中における電磁石24のコイルに流れる電流(励磁電流)Iと、トラフ12aの振動変位Awとを示す図である。
【0060】
駆動パルスPsは、電磁石24の吸引力が最も効率よく振幅に反映されるタイミングとなるように印加されることが望ましい。すなわち、振動変位Awが最大値AHから最小値ALになるまでの間に電磁石24の吸引力が生じるように駆動パルスPsを印加することが消費電力を削減する上で望ましい。さらには、電磁石24の最大吸引力が振動変位Awが0から最小値ALになるまでの間に生じるように駆動パルスPsを印加することが望ましい。
【0061】
電磁石の吸引力Fは、電流Iの2乗に比例し、電流Iが大きいほど大きくなる。図5のように、電流Iは、駆動パルスPsの立ち上がり時点から流れはじめ、駆動パルスPsの立ち下がり時点から所定時間後に最大となる。本実施形態では、駆動パルスPsの立ち下がり時点を振動変位Awが0になる時点と一致するようにしている。すなわち、ここでは、駆動パルスPsをトラフ12aが振動の上端位置(振動変位Awが最大値AH)から静止位置(振動変位Awが0)へ変移するまでの間に印加し、かつ、トラフ12aが静止位置を通過するときに駆動パルスPsが立ち下がり時点(印加終了時点)となるように駆動パルスPsを印加するようにしている。このようにすれば、電磁石24の吸引力が振動変位Awが最大値AHから最小値ALになるまでの間で生じ、かつその最大吸引力が振動変位Awが0から最小値ALになるまでの間で生じるようにできる。
【0062】
そして、本実施形態では、振幅検出手段30及び重量算出手段193(図3)を備え、駆動期間中のトラフ12aの振幅の一定化を図るとともにトラフ12a上の物品重量及び搬送重量を算出するように構成されている。以下、これについて説明する。
【0063】
駆動期間中に、振幅検出手段30は、駆動パルスPsが印加されるたびにトラフ12aの振幅A1,A2,A3,・・・(図4参照)を順次検出する。
【0064】
フィーダ主制御手段191は、駆動期間中、振幅検出手段30で検出される振幅に基づいて、目標振幅Atとなるようパルス幅を調整し、駆動パルスPsを印加する。フィーダ主制御手段191は、駆動パルスPsのパルス幅の値を重量算出手段193へ提供する。
【0065】
重量算出手段193は、振幅検出手段30で検出された振幅が目標振幅Atであるときに、その直近に印加された駆動パルスPsのパルス幅と目標振幅Atとに基づいて、トラフ12a上の物品重量を算出する。この重量算出手段193による物品重量の算出方法の一例を説明する。
【0066】
まず、複数の振動振幅の各々に対して、パルス幅と物品の重量との関係を示す情報(例えば、後述のパルス幅・重量関係式)を予め作成し、記憶部19bに記憶しておく。この情報は、例えば、トラフ12a上に所定重量の物品を載せ、電圧Vaの駆動パルスPsを駆動周波数fで印加し、トラフ12aの振幅を例えばレーザ変位計を用いて測定しながら、駆動パルスPsのパルス幅を調整し、トラフ12aの振幅が所定振幅となるパルス幅を求める。同様にして、トラフ12a上に上記とは異なる重量の物品を載せ、電圧Vaの駆動パルスPsを駆動周波数fで印加し、トラフ12aの振幅が上記所定振幅となるパルス幅を求める。このようにしてトラフ12aの振幅が所定振幅となる場合の物品の重量及びパルス幅の測定データを数点得て、それらの測定データに基づいて、例えば最小2乗法によりトラフ12a上の物品の重量とパルス幅との関係を示す近似式を求め、この近似式をパルス幅・重量関係式とする。このようなパルス幅・重量関係式を、複数の所定振幅の各々について求め、求められた複数のパルス幅・重量関係式が予め記憶部19bに記憶されている。
【0067】
図6は、複数の物品重量の各々について、電圧Vaの駆動パルスPsを駆動周波数fで印加し、トラフ12aの振幅が所定振幅となるようにパルス幅を調整して測定した場合の測定結果に基づいたもので、所定振幅が2.0mm、1.5mm、1.0mm、0.5mmのそれぞれの場合に対応する物品重量とパルス幅との関係の一例を示す図である。このような物品重量とパルス幅との関係を示す情報(以下、「パルス幅重量情報」という)を複数の所定振幅の各々に対して予め求めて記憶しておく。
【0068】
すなわち、トラフ12aの複数の所定振幅の各々に対応して予め定められているパルス幅重量情報(例えば前述のパルス幅・重量関係式)が記憶部19bに記憶されている。前記複数の所定振幅とは、目標振幅として設定することができる振幅であり、本実施形態の組合せ秤では、例えば運転開始前に、操作表示器20を操作して1つの目標振幅Atが設定され、記憶部19bに記憶されている。そして、重量算出手段193は、記憶部19bに記憶されている複数のパルス幅重量情報のなかから、振幅検出手段30で検出される振幅が目標振幅Atになったときにその目標振幅Atに対応するパルス幅重量情報を用いて、直近に印加された駆動パルスPsのパルス幅からトラフ12a上の物品重量を算出するように構成されている。フィーダ主制御手段191は、振幅検出手段30で検出される振幅が目標振幅Atになったときに、そのことを重量算出手段193へ提供する。
【0069】
図7は、本実施形態の任意の1つの振動搬送装置の動作の一例を示すフローチャートである。この動作は、制御装置19の直進フィーダ制御手段190Bの動作によって遂行される。制御装置19の記憶部19bには、直進フィーダを駆動するために必要な情報が全て記憶されている。例えば、初期吸引パルスPoのパルス幅(印加時間)Tp、初期吸引パルス印加終了時点から1回目の駆動パルスPs1の印加開始時点までの時間Ts、初期吸引パルス印加終了時点から1回目の駆動パルスPs1の印加終了時点までの時間To、駆動パルスPsの周期T、標準パルス幅Taの他、目標振幅At、パルス幅・重量関係式等が記憶されている。
【0070】
ここで、本実施形態における組合せ秤では、分散フィーダ11と直進フィーダ12とは同期して駆動するように構成されており、直進フィーダ12を駆動して直進フィーダ12から空の供給ホッパ13へ物品を供給している間は、分散フィーダ11から駆動中の直進フィーダ12へ物品が供給されるため、分散フィーダ11上に物品が無いなどの異常な場合を除いて、正常な運転状態の場合は直進フィーダ12上には略一定量の物品が載荷されている。また、直進フィーダ12から排出された物品は、その下方の供給ホッパ13で一時保持された後、計量ホッパ14へ供給され、その物品の重量値が重量センサ15により計測される。
【0071】
直進フィーダ制御手段190Bは、例えば、秤制御手段190Aからの駆動開始の指示により、図7に示すフローチャートの動作を実行する。
【0072】
まず、ステップS1で、駆動パルスの出力数を計数するためのカウンタ値Ctに0をセットし、電圧Va、パルス幅Tpの初期吸引パルスPoを印加する(ステップS2)。
【0073】
次に、ステップS3で、駆動パルスPsの印加タイミングになると、電圧Va、設定パルス幅の駆動パルスPsを1つ印加し(ステップS4)、駆動パルスPsの印加済み数を計数するためのカウンタ値Ctの値を1つ増やす(ステップS5)。前述のステップS4で、駆動パルスPsの設定パルス幅とは、最初は標準パルス幅Taに設定されているが、後述のステップS9、S10によって変更されたときはその変更されたパルス幅である。
【0074】
次に、ステップS6では、振幅演算手段192がトラフ12aの振幅を検出する。
【0075】
次に、ステップS7では、ステップS6で検出した振幅(検出振幅値)と目標振幅Atとを比較し、検出振幅値が目標振幅Atと等しい場合にはステップS11へ進み、等しくない場合にはステップS8へ進む。ここで、検出振幅値が目標振幅Atに対して±eの範囲内(eは、予め設定されている許容される検出誤差)にあれば検出振幅値が目標振幅Atと等しいとみなしてもよい。
【0076】
そして、ステップS8では、検出振幅値と目標振幅Atとを比較し、検出振幅値が目標振幅Atより小さい場合にはステップS9へ進み、ステップS4で直前に印加した駆動パルスPsより大きいパルス幅に設定パルス幅を変更する。ステップS8で、検検出振幅値が目標振幅Atより小さくない場合(すなわち大きい場合)には、ステップS10へ進み、ステップS3で直前に印加した駆動パルスPsより大きいパルス幅に設定パルス幅を変更する。より具体的な一例を示せば、検出振幅値が目標振幅Atより小さい場合には、直前に印加した駆動パルスPsのパルス幅の1.1倍のパルス幅に設定パルス幅を変更し、目標振幅Atより大きい場合には、直前に印加した駆動パルスPsのパルス幅の0.9倍のパルス幅に設定パルス幅を変更する。このステップS9、S10では、トラフ12aの振幅が目標振幅Atとなるように(すなわち目標振幅Atとの差が小さくなるように)、駆動パルスPsの設定パルス幅を変更し、ステップS3へ戻る。
【0077】
また、ステップS7で、検出振幅値が目標振幅Atと等しい場合にはステップS11へ進み、ステップS4で直前に印加した駆動パルスPsのパルス幅と目標振幅Atとに基づいて、重量算出手段193が前述の方法によりトラフ12a上の物品重量Wcを算出する。
【0078】
次に、ステップS12では、ステップS11で算出された物品重量Wcと計量ホッパの目標供給重量Rとに基づいて、駆動パルスPsの印加総数Nを次式により算出する。
【0079】
N=u×R/Wc
ここで、u、Rの値は記憶部19bに予め記憶されている。計量ホッパの目標供給重量Rは、直進フィーダ12の1回の駆動によって直進フィーダ12から排出される物品の目標搬送重量であり、本実施形態では、各計量ホッパ14へ供給する物品の目標重量、すなわち組合せ演算において組合せの数が多くなるように設定された重量である。また、uは、予め実験等によって求められた値であり、トラフ12a上の物品重量がWcで、目標振幅Atで振動させるように駆動パルスPsのパルス幅を調整し、その駆動パルスPsをN回印加したときに、トラフ12aから排出される物品の搬送重量が計量ホッパの目標供給重量Rとなるように、定められた値である。すなわち、駆動パルスPsの印加総数Nは、直進フィーダ12から排出される物品重量(搬送重量)を目標供給重量Rと等しくするために印加するべき駆動パルスPsの総数として算出される。
【0080】
次に、ステップS13では、駆動パルスPsの残りの印加数nを、印加総数Nからカウンタ値Ctを減算することにより算出する。
【0081】
その後、残りの印加数nの駆動パルスPsを順次その印加タイミングになったときに印加する(ステップS14)。以上によって、直進フィーダ12の1回の駆動が終了する。
【0082】
以上の動作において、ステップS6は振幅演算手段192によって行われ、ステップS11は重量算出手段193によって行われる。これ以外の図7の処理は、フィーダ主制御手段191により行われる。また、フィーダ主制御手段191は、計時機能を有し、ステップS4で印加する1回目の駆動パルスPs(図4のPs1)の印加は、初期吸引パルスPoの印加終了時から時間Ts(図4)の経過後に行う。また、ステップS4及びステップS14で印加する2回目以降の駆動パルスPsの印加は、直前に印加された駆動パルスPsの印加終了時から時間(T−Tn)の経過後に行う。ここで、Tは図4に示すように駆動パルスPsの周期であり、Tnは次に印加予定の駆動パルスPsのパルス幅である。
【0083】
なお、フィーダ主制御手段191及び重量算出手段193は、互いに必要な情報、例えばステップS7の判定結果や物品重量Wc等の情報を相互に授受するように構成されている。
【0084】
また、上記のステップS14の処理が行われている期間中も、振幅演算手段192は、駆動パルスPsが印加されるたびに、トラフ12aの振幅を検出し、フィーダ主制御手段191は、その振幅演算手段192の検出振幅値に基づいて、ステップS8〜S10と同様の処理を行うように構成されている。
【0085】
また、本実施形態において、対応して設けられている直進フィーダ12、供給ホッパ13、計量ホッパ14及び重量センサ15からなる各々の計量ユニットにおいて、重量センサ15によって計測された計量ホッパ14内の物品の重量の計測値に基づいて、ステップS11において求める物品重量Wcの補正を行うようにしてもよい。
【0086】
この場合、補正後の物品重量をWccとすれば、Wcc=k×Wcとして算出する。ここで、kは補正比率である。この補正比率kは、組合せ秤の運転開始時に初期値として1が設定され、計量ホッパ14に物品が新たに供給され、かつその重量が重量センサ15により計測されるたびに、下記の式により算出されて更新される。
【0087】
k=Z/R
Rは、前述のように計量ホッパの目標供給重量(目標搬送重量)であり、Zは、計量ホッパ14にて重量センサ15によって計測された物品重量の計測値である。
【0088】
この場合、ステップS11において、重量算出手段193は、前述のようにして物品重量Wcを求め、さらに補正比率kを乗算した物品重量Wccを求めるようにし、ステップS12において、フィーダ主制御手段191は、物品重量Wccを用いて、駆動パルスPsの印加総数Nを、N=u×R/Wccとして算出するようにすればよい。
【0089】
このように、上記補正比率kを乗じてトラフ12上の物品重量Wccを算出することで、直進フィーダ12の電磁石の温度変化等による誤差が生じた場合においてもトラフ12上に載荷されている正確な物品重量を求めることができ、直進フィーダ12の1回の駆動による搬送重量を計量ホッパの目標供給重量Rにより近づけることができ、計量ホッパ14への物品の供給量の精度をより向上できる。
【0090】
なお、上記補正比率kの算出は、例えば、各直進フィーダ制御手段190Bのフィーダ主制御手段191が行うようにしてもよいし、秤制御手段190Aが行うようにしてもよい。補正比率kの算出に必要な情報は、各直進フィーダ制御手段190Bのフィーダ主制御手段191と秤制御手段190Aとの間で授受される。
【0091】
本実施形態では、重量センサを用いることなく、トラフ12上の物品重量を算出することができる。高価な重量センサを用いないため、振動搬送装置の大型化及び高コスト化を招くこともない。そのため、複数の振動搬送装置を用いた組合せ秤の大型化及び高コスト化を招くこともない。
【0092】
また、本実施形態では、直進フィーダ12の固有振動数を駆動周波数fとして駆動パルスPsを印加して共振振動させるようにしているので、消費電力の低減を図ることが可能になる。組合せ秤では、直進フィーダ12が複数用いられているので消費電力の低減効果はより大きいものとなる。
【0093】
また、本実施形態では、算出したトラフ12上の物品重量と計量ホッパの目標供給重量Rとに基づいて駆動パルスPsの印加総数を決め、その総数に等しい駆動パルスPsを印加すると駆動を終了するようにしているので、1回の駆動による搬送重量すなわち計量ホッパ14への物品の供給量の精度を向上でき、組合せ計量精度の向上を図ることができる。また、前述のように補正比率kを用いて物品重量Wccを算出することにより、振動搬送装置の電磁石の温度変化等による誤差が生じた場合においても正確な物品重量Wccを求めることができ、計量ホッパ14への物品の供給量の精度をより向上でき、組合せ計量精度の向上をより図ることができる。
【0094】
なお、本発明が適用される組合せ秤は、直進フィーダ12を用いた組合せ秤である限り、図1に示す組合せ秤に限られない。例えば、本実施形態で示した組合せ秤は、複数の計量ホッパ14等が円状に配置されているが、他の態様(楕円状、直線状等)に配置されていても構わない。また、本実施形態では、供給されている物品の重量が組合せ演算に用いられるホッパとして、計量ホッパ14のみが用いられる組合せ秤の一例を示したが、このような例に限られるものではない。例えば、各計量ホッパの斜め下方に計量ホッパから供給される物品を一時保持して集合シュートへ排出可能なメモリホッパを配設し、計量ホッパ及びメモリホッパの各々に保持している物品の重量が組合せ演算に用いられるように構成してもよい。これ以外にも、ホッパ構成等を種々変更してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、物品の載荷重量を算出することができる振動搬送装置及びそれを用いた組合せ秤等として有用である。
【符号の説明】
【0096】
11 分散フィーダ
11a 分散テーブル
11b 振動装置
12 直進フィーダ
12a トラフ
12b 振動装置
13 供給ホッパ
14 計量ホッパ
15 重量センサ
19 制御装置
24 電磁石
29 振幅検出部
30 振幅検出手段
190A 秤制御手段
190B 直進フィーダ制御手段
191 フィーダ主制御手段
192 振幅演算手段
193 重量算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が載荷され、振動させられることにより物品を一方向へ搬送するための物品載荷部と、前記物品載荷部を支持し、電磁石に間欠的な通電が行われることにより前記物品載荷部を振動させる振動動作を行うように構成された振動装置部とを有した振動フィーダと、
駆動電圧パルスを前記振動フィーダの固有振動数に相当する予め定められた周波数で前記電磁石に繰り返し印加し、前記物品載荷部の振動振幅が予め設定された目標振幅となるよう前記駆動電圧パルスのパルス幅を制御する電圧印加制御手段と、
前記物品載荷部の振動振幅を検出する振幅検出手段と、
前記振幅検出手段によって検出される振動振幅が前記目標振幅であるときに直近に印加された前記駆動電圧パルスのパルス幅に基づいて前記物品載荷部上の物品の重量を算出する重量算出手段とを備えた、振動搬送装置。
【請求項2】
前記重量算出手段は、
前記物品載荷部の複数の振動振幅の各々に対応して予め定められている、前記駆動電圧パルスのパルス幅と前記物品載荷部上の物品の重量との関係を示すパルス幅重量情報のなかの、前記目標振幅に対応するパルス幅重量情報を用いて直近に印加された前記駆動電圧パルスのパルス幅から前記物品載荷部上の物品の重量を算出するように構成された、請求項1に記載の振動搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の振動搬送装置を複数備えるとともに、
各々の前記振動搬送装置に対応して設けられ、前記振動搬送装置の物品載荷部から排出された物品が供給され、供給された物品の重量を計量する重量センサが取り付けられた複数の計量ホッパと、
前記重量センサにより計量された物品の重量に基づいて組合せ演算を行い、物品の重量の合計が所定重量範囲内になる組合せを求める組合せ演算手段と、
前記計量ホッパへ供給される物品の目標供給重量に対する、前記振動搬送装置に対応する前記計量ホッパに取り付けられた重量センサにより計量された物品の重量の比率を求める比率算出手段とを備え、
前記振動搬送装置の前記重量算出手段は、前記比率算出手段により前記比率が求められた後に求める前記物品載荷部上の物品の重量を前記比率を用いて補正するように構成され、
前記振動搬送装置の電圧印加制御手段は、前記目標供給重量と前記重量算出手段により算出される前記物品載荷部上の物品の重量とに基づいて前記物品載荷部から排出される物品の重量を前記目標供給重量と等しくするために印加するべき前記駆動パルスの総数を算出し、この総数に等しい数の前記駆動電圧パルスを印加すると前記駆動電圧パルスの印加を終了するように構成された、組合せ秤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−112386(P2011−112386A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266564(P2009−266564)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】