説明

振子ギヤ機構および画像形成装置

【課題】本発明は、振子ギヤをスムーズに移動させることができる振子ギヤ機構および画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】振子ギヤ機構9は、駆動ギヤ91と噛合し、かつ、駆動ギヤ91の周りを駆動ギヤ91の回転方向に向けて移動可能な振子ギヤ92と、駆動ギヤ91を回転可能に支持するとともに、振子ギヤ92を移動可能に支持する取付板93と、振子ギヤ92のうち中心軸よりも駆動ギヤ91から離れた外側の部分を取付板93に付勢して、振子ギヤ92を取付板93に当接させる付勢部材(コイルバネ94)と、を備えている。そして、振子ギヤ92の取付板93との当接部92Cに対向する取付板の対向面(軸受部材95の対向面95C)を、振子ギヤ92の中心軸CA1よりも駆動ギヤ91から離れた外側部位95Dのみに摩擦力が発生するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動ギヤの周りを駆動ギヤの回転方向に向けて移動可能な振子ギヤを有する振子ギヤ機構と、この振子ギヤ機構を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、駆動力が伝達される駆動ギヤと、駆動ギヤに噛合しながら駆動ギヤの周りを移動(公転)する振子ギヤとを備えた振子ギヤ機構が知られている。この振子ギヤ機構としては、従来、例えば図7に示すように、駆動ギヤDGと、振子ギヤSGと、振子ギヤSGの軸部を円弧状の溝Dで移動可能に支持するギヤプレートGPと、振子ギヤSGをギヤプレートGPに押し付ける線バネ(図示略)とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、線バネで押される振子ギヤSGとギヤプレートGPとの間に適度な摩擦力が発生することによって、振子ギヤSGが駆動ギヤDGの回転方向R1に向けて公転するようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−283248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した技術では、振子ギヤSGのギヤプレートGPとの当接部分TPが円筒状に形成され、この円筒状の当接部分TPの端面がギヤプレートGPに全面接触している。そのため、例えば振子ギヤSGを支持する一対の軸受部の相対的な位置ずれ等の原因で振子ギヤSGが傾くと、円筒状の当接部分TPのうち振子ギヤSGの中心軸CAよりも駆動ギヤDG側の部位の摩擦力P1が高くなり、この摩擦力P1によって振子ギヤSGの移動が阻害される場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、振子ギヤをスムーズに移動させることができる振子ギヤ機構および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る振子ギヤ機構は、駆動ギヤと噛合し、かつ、駆動ギヤの周りを駆動ギヤの回転方向に向けて移動可能な振子ギヤと、前記駆動ギヤを回転可能に支持するとともに、前記振子ギヤを移動可能に支持する取付板と、前記振子ギヤのうち中心軸よりも前記駆動ギヤから離れた外側の部分を前記取付板に付勢して、前記振子ギヤを前記取付板に当接させる付勢部材と、を備え、前記振子ギヤの前記取付板との当接部に対向する前記取付板の対向面を、前記振子ギヤの中心軸よりも前記駆動ギヤから離れた外側部位のみに摩擦力が発生するように構成したことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、取付板の対向面の外側部位(振子ギヤの中心軸よりも駆動ギヤから離れた部位)のみに摩擦力が発生するように構成したので、振子ギヤが傾いても、振子ギヤの内側部位(振子ギヤの中心軸よりも駆動ギヤ側の部位)の摩擦力が高くなることを抑えることができる。そのため、この振子ギヤの内側部位と取付板との摩擦力によって振子ギヤの移動が阻害されることが抑制されるので、振子ギヤをスムーズに移動させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、取付板の対向面の外側部位のみに摩擦力が発生するように構成することで、振子ギヤが傾いても、振子ギヤの内側部位の摩擦力が高くなることを抑えられるので、振子ギヤをスムーズに移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
参照する図面において、図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタの全体構成を示す要部断面図である。なお、以下の説明においては、まず、カラーレーザプリンタの全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することとする。
【0010】
<カラーレーザプリンタの全体構成>
図1に示すように、カラーレーザプリンタ1は、筐体2内に用紙Pを供給する給紙部3と、この給紙部3から給紙された用紙P上に画像を形成する画像形成部4とを主に備えている。
【0011】
なお、以下の説明において、特に断りがないかぎり図1に示した上下方向を上下、図1における左側を前(手前)、右側を後(奥)、紙面の奥側を左、紙面の手前側を右として、各方向を示す。ここでの方向は、カラーレーザプリンタ1の手前側に立った者から見た方向を基準として規定してある。
【0012】
給紙部3は、筐体2に着脱自在に装着される給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Pを画像形成部4へ搬送する用紙供給機構32とを備えている。そして、給紙部3では、給紙トレイ31内の用紙Pが、用紙供給機構32によって一枚ずつ上方の画像形成部4へ搬送される。
【0013】
画像形成部4は、スキャナ部5、4つのプロセスユニット6、転写部7および定着部8を備えている。
【0014】
スキャナ部5は、公知のレーザ光源、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡を備えている。スキャナ部5では、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応したレーザ光を、各プロセスユニット6の各感光ドラム61に出射する。
【0015】
各プロセスユニット6は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーをそれぞれ収容しており、前後方向に並列された状態で筐体2に着脱可能に支持されている。プロセスユニット6は、感光ドラム61、現像ローラ62、供給ローラ63、現像剤収容室64および符号を省略して示す帯電器等を備えている。
【0016】
このように構成されるプロセスユニット6では、帯電器によって帯電された感光ドラム61の表面が、スキャナ部5から出射されるレーザ光によって露光されることで、その露光部分の電位が変化して感光ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。さらに、現像剤収容室64内のトナーが供給ローラ63を介して現像ローラ62に搬送され、この現像ローラ62からトナーが感光ドラム61上の静電潜像に供給されることで、感光ドラム61上にトナー像が担持される。
【0017】
なお、各現像ローラ62には、筐体2に設けられる図示せぬ駆動源から駆動力が適宜切り換えられて供給されている。具体的には、モノクロプリントを実行する場合には、ブラックに対応した現像ローラ62のみを前記駆動源に連結させて駆動するように構成され、カラープリントを実行する場合には、すべての現像ローラ62を前記駆動源に連結させて駆動するように構成されている。
【0018】
そして、このようなモノクロプリントとカラープリントの切り換えは、筐体2に固定される振子ギヤ機構9(図2参照)によって行われるようになっている。なお、振子ギヤ機構9の詳細は後述することとする。
【0019】
転写部7は、転写ローラ71と、符号を省略して示す駆動ローラ、従動ローラおよび搬送ベルト等を備えている。
【0020】
そして、このような転写部7では、搬送ベルトによって搬送される用紙Pが、感光ドラム61と転写ローラ71間に供給されると、感光ドラム61上のトナー像が転写ローラ71に引き寄せられて、トナー像が用紙Pに転写される。
【0021】
定着部8は、加熱ローラ81および加圧ローラ82を備えている。この定着部8では、加熱ローラ81と加圧ローラ82との間で用紙Pを挟持しつつ送り出すことで、用紙P上のトナー像を熱定着させる。そして、熱定着された用紙Pは、複数の搬送ローラ(符号省略)によって、筐体2上の排紙トレイ21に搬送される。
【0022】
<振子ギヤ機構の構造>
次に、振子ギヤ機構9の構造について説明する。参照する図面において、図2は第1取付板を取り外した状態の振子ギヤ機構を示す平面図(a)と、図2(a)のX−X断面図(b)であり、図3は軸受部材周りの詳細構造を示す拡大断面図である。また、図4は第1取付板、駆動ギヤおよび振子ギヤを取り外した状態の振子ギヤ機構を示す平面図(a)と、図4(a)のY−Y断面図(b)である。さらに、図5はカラープリントモード時の振子ギヤ機構の状態を示す平面図(a)と、モノクロプリントモード時の振子ギヤ機構の状態を示す平面図(b)である。
【0023】
図2(a)に示すように、振子ギヤ機構9は、駆動ギヤ91と、振子ギヤ92と、取付板93とを主に備えて構成されている。なお、図2等において、ギヤの歯は代表して2つのみ図示し、その他のギヤはピッチ円で図示する。
【0024】
駆動ギヤ91は、前述した各現像ローラ62に駆動力を伝達する図示せぬ駆動源から駆動力が伝達されるギヤであり、取付板93に回転可能に支持されている。
【0025】
振子ギヤ92は、図2(b)に示すように、外周面に駆動ギヤ91と噛合するギヤ歯を有する円板状の本体部92Aと、本体部92Aの中心軸CA1と同心状に配置されて本体部92Aの両端面から突出するように形成される軸部92Bおよび当接部92C(図3参照)とを備えている。当接部92Cは、軸部92Bよりも大きな径で形成されるとともに、その先端が軸部92Bの先端よりも軸方向内側に位置するような長さで形成されている。
【0026】
そして、この振子ギヤ92は、図2(a)に示すように、その本体部92Aのうち中心軸CA1よりも駆動ギヤ91から離れた外側部分OPが、付勢手段の一例としてのコイルバネ94によって取付板93(詳しくは第2取付板93B)に向けて押圧されている。ここで、「振子ギヤ92の本体部92Aのうち中心軸CA1よりも駆動ギヤ91から離れた外側部分OP」とは、図2(a)に示すように、駆動ギヤ91の中心軸CA2と振子ギヤ92の中心軸CA1とを結ぶ直線L1に対し振子ギヤ92の中心軸CA1を通って直交する直線L2よりも、駆動ギヤ91から遠い側の半円状の部分をいう。
【0027】
取付板93は、図2(b)に示すように、駆動ギヤ91および振子ギヤ92の軸方向両側に一対設けられている。一対の取付板93のうち一方の取付板93A(以下、第1取付板93Aともいう)には、駆動ギヤ91の軸部91Bの一端部を回転可能に支持する軸受孔A1と、振子ギヤ92の軸部92Bの一端部を移動および回転可能に支持する円弧状の長孔A2とが形成されるとともに、前述したコイルバネ94が固定されている。
【0028】
他方の取付板93B(以下、第2取付板93Bともいう)には、駆動ギヤ91の軸部91Bの他端部を回転可能に支持する軸受孔B1と、振子ギヤ92の軸部92Bの他端部を移動および回転可能に支持する樹脂製の軸受部材95が取り付けられる取付孔B2とが形成されている。
【0029】
軸受部材95は、第2取付板93Bの一部(振子ギヤ92との当接面)を構成する部品であり、図3に示すように、基部95Aと筒状部95Bとを主に備えて構成されている。基部95Aは、第2取付板93Bの取付孔B2よりも大きく形成される平面視略矩形の板状(図4(a)参照)に形成されており、第2取付板93Bの内面(振子ギヤ92側の面)に当接するように配置されている。
【0030】
基部95Aの振子ギヤ92側の面は、振子ギヤ92の当接部92Cに対向する対向面95Cとなっている。そして、図4(a)に示すように、この対向面95Cのうち振子ギヤ92の中心軸CA1よりも駆動ギヤ91から離れた外側部位95Dは、他の部位よりも振子ギヤ92に向かって突出して、振子ギヤ92の当接部92Cに当接するようになっている(図3参照)。これにより、振子ギヤ92の中心軸CA1よりも駆動ギヤ91から離れた外側部位95Dのみに摩擦力が発生するようになっている。
【0031】
また、外側部位95Dは、後述する筒状部95Bの長孔95Eに沿った長尺状に形成されている。そして、外側部位95Dの長手方向両端部には、図4(b)に示すように、外側部位95Dと他の部位(対向面95C)との間の段差を滑らかに繋ぐ傾斜面95Fが設けられている。
【0032】
図3に示すように、筒状部95Bは、第2取付板93Bの取付孔B2を通って第2取付板93Bの外側に貫通するように基部95Aから突出して形成されており、その内部には、振子ギヤ92の軸部92Bの他端部を移動および回転可能に支持する円弧状の長孔95Eが形成されている。長孔95Eは、振子ギヤ92の軸部92Bの直径よりも大きな幅で形成されている。そして、この幅広の長孔95Eの外側(駆動ギヤ91から遠い側)の面のみに振子ギヤ92の軸部92Bが当接するように、振子ギヤ92が配置されている。
【0033】
そして、以上のように構成される振子ギヤ機構9の振子ギヤ92は、図5(a)に示すような2つのギヤ(カラー用ギヤ100および第1モノクロ用ギヤ111)に噛合する位置と、図5(b)に示すような1つのギヤ(第2モノクロ用ギヤ112)のみに噛合する位置とに移動可能となっている。ここで、カラー用ギヤ100は、シアン、マゼンタ、イエローの3色に対応した各現像ローラ62に図示せぬギヤを介して連結されている。
【0034】
また、第1モノクロ用ギヤ111および第2モノクロ用ギヤ112は、2つのギヤ113を介して連結されている。そして、このような4つのギヤで構成されるモノクロ用ギヤ群110のうちのいずれか1つのギヤは、ブラックに対応した現像ローラ62に図示せぬギヤを介して連結されている。
【0035】
そのため、振子ギヤ92がカラー用ギヤ100と第1モノクロ用ギヤ111とに噛み合った状態では、図示せぬ駆動源からの駆動力が駆動ギヤ91、振子ギヤ92、カラー用ギヤ100、モノクロ用ギヤ群110を介して4色に対応した4つの現像ローラ62のすべてに伝達されて、カラープリントが実行される。また、振子ギヤ92が第2モノクロ用ギヤ112に噛み合った状態では、図示せぬ駆動源からの駆動力が駆動ギヤ91、振子ギヤ92、モノクロ用ギヤ群110を介してブラックに対応した現像ローラ62のみに伝達されて、モノクロプリントが実行される。
【0036】
次に、本実施形態に係る振子ギヤ機構9の動作について説明する。参照する図面において、図6は振子ギヤと軸受部材との摩擦力の関係を示す説明図である。
【0037】
図5(a)に示すカラープリントモードから図5(b)に示すモノクロプリントモードに切り換える場合には、図6に示すように、まず、駆動ギヤ91を図示時計方向に回転させる。これにより、駆動ギヤ91と噛み合う振子ギヤ92が反時計方向に回転する。
【0038】
このとき、振子ギヤ92の当接部92Cには軸受部材95の外側部位95Dのみが接触しているため、当接部92Cと外側部位95Dとの摩擦力P2は、振子ギヤ92の移動方向に作用する。また、このとき、振子ギヤ92の軸部92Bが軸受部材95の長孔95Eの外側の面のみに当接しているので、軸部92Bと長孔95Eとの摩擦力P3も、振子ギヤ92の移動方向に作用する。
【0039】
これにより、振子ギヤ92は、その移動が軸受部材95との摩擦力によって阻害されずに、駆動ギヤ91と噛合しながら、駆動ギヤ91の周りを駆動ギヤ91の回転方向R1に向けてスムーズに移動(公転)する。また、図5(b)に示すモノクロプリントモードから図5(a)に示すカラープリントモードに切り換える場合には、駆動ギヤ91の回転方向R1が逆になることによって、当接部92Cと外側部位95Dとの摩擦力P2の方向や軸部92Bと長孔95Eとの摩擦力P3も逆になるので、各摩擦力P2,P3が振子ギヤ92の移動方向と同じ方向を向くこととなる。これにより、この場合も、振子ギヤ92がスムーズに移動することができる。
【0040】
さらに、振子ギヤ92が傾いた場合であっても、外側部位95Dが他の部位よりも突出しているので、外側部位95Dに作用する摩擦力が内側部位(駆動ギヤ91側の部位)に作用する摩擦力よりも常に高くなる。これにより、振子ギヤ92を阻害する方向に働く内側部位での摩擦力を外側部位95Dでの摩擦力で打ち消すことができ、振子ギヤ92をスムーズに移動させることができる。
【0041】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
取付板93の一部を構成する部品である軸受部材95の対向面95Cの外側部位95Dのみに摩擦力が発生するように構成することで、振子ギヤ92が傾いても、振子ギヤ92の内側部位の摩擦力が高くなることを抑えられるので、振子ギヤ92をスムーズに移動させることができる。
【0042】
外側部位95Dと他の部位(対向面95C)との間に傾斜面95Fを設けたので、振子ギヤ92が外側部位95Dと他の部位との段差に引っ掛かることが抑制され、振子ギヤ92の回転および移動をよりスムーズにすることができる。
【0043】
振子ギヤ92の当接部92Cに対向する対向面95Cを、取付板93に固定される別部品である軸受部材95に形成したので、軸受部材95を樹脂製とすることで外側部位95Dの形状を簡単に形成することができる。
【0044】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
前記実施形態では、外側部位95Dを他の部位よりも突出させることで外側部位95Dのみに摩擦力を発生させたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、対向面の外側部位の摩擦係数が、他の部位の摩擦係数よりも高くなるように構成してもよい。このように構成しても、振子ギヤ92が傾くことによって振子ギヤ92の内側部位の摩擦力が高くなることを抑えられるので、振子ギヤ92をスムーズに移動させることができる。
【0045】
前記実施形態では、対向面95Cのうち直線L2よりも駆動ギヤ91から遠い側の半円状部分の一部(外側部位95D)を突出させたが、本発明はこれに限定されず、全部を突出させてもよい。
【0046】
前記実施形態では、軸受部材95を設けたが、本発明はこれに限定されず、軸受部材95を設けずに取付板93に直接外側部位を形成してもよい。
前記実施形態では、付勢部材としてコイルバネ94を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば線バネ、板バネ、トーションバネなどであってもよい。
【0047】
前記実施形態では、振子ギヤ92の軸部92Bを回転および移動可能に支持する長孔95Eを円弧状としたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前記実施形態における円弧状の長孔95Eのうち外側(駆動ギヤ91から遠い側)の面を円筒面にしたまま、内側の面E1(図6参照)を平面に形成してもよい。これによれば、内側の面と振子ギヤ92の軸部92Bとの当接をより抑制でき、振子ギヤ92をよりスムーズに動かすことができる。
【0048】
前記実施形態では、カラーレーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタの全体構成を示す要部断面図である。
【図2】第1取付板を取り外した状態の振子ギヤ機構を示す平面図(a)と、図2(a)のX−X断面図(b)である。
【図3】軸受部材周りの詳細構造を示す拡大断面図である。
【図4】第1取付板、駆動ギヤおよび振子ギヤを取り外した状態の振子ギヤ機構を示す平面図(a)と、図4(a)のY−Y断面図(b)である。
【図5】カラープリントモード時の振子ギヤ機構の状態を示す平面図(a)と、モノクロプリントモード時の振子ギヤ機構の状態を示す平面図(b)である。
【図6】振子ギヤと軸受部材との摩擦力の関係を示す説明図である。
【図7】従来の振子ギヤとギヤプレートとの摩擦力の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 カラーレーザプリンタ
9 振子ギヤ機構
91 駆動ギヤ
92 振子ギヤ
92C 当接部
93 取付板
94 コイルバネ
95 軸受部材
95C 対向面
95D 外側部位
95E 長孔
95F 傾斜面
CA1 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ギヤと噛合し、かつ、駆動ギヤの周りを駆動ギヤの回転方向に向けて移動可能な振子ギヤと、
前記駆動ギヤを回転可能に支持するとともに、前記振子ギヤを移動可能に支持する取付板と、
前記振子ギヤのうち中心軸よりも前記駆動ギヤから離れた外側の部分を前記取付板に付勢して、前記振子ギヤを前記取付板に当接させる付勢部材と、を備え、
前記振子ギヤの前記取付板との当接部に対向する前記取付板の対向面を、前記振子ギヤの中心軸よりも前記駆動ギヤから離れた外側部位のみに摩擦力が発生するように構成したことを特徴とする振子ギヤ機構。
【請求項2】
前記対向面の前記外側部位が他の部位よりも前記振子ギヤに向かって突出することで、前記外側部位のみに摩擦力が発生するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の振子ギヤ機構。
【請求項3】
前記対向面の前記外側部位と前記他の部位との間に傾斜面が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の振子ギヤ機構。
【請求項4】
前記対向面は、前記取付板に固定される別部品に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の振子ギヤ機構。
【請求項5】
駆動ギヤと噛合し、かつ、駆動ギヤの周りを駆動ギヤの回転方向に向けて移動可能な振子ギヤと、
前記駆動ギヤを回転可能に支持するとともに、前記振子ギヤを移動可能に支持する取付板と、
前記振子ギヤのうち中心軸よりも前記駆動ギヤから離れた外側の部分を前記取付板に付勢して、前記振子ギヤを前記取付板に当接させる付勢部材と、を備え、
前記振子ギヤの前記取付板との当接部に対向する前記取付板の対向面を、前記振子ギヤの中心軸よりも前記駆動ギヤから離れた外側部位の摩擦係数が、他の部位の摩擦係数よりも高くなるように構成したことを特徴とする振子ギヤ機構。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の振子ギヤ機構を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−53948(P2010−53948A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219386(P2008−219386)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】