説明

排ガス処理装置及び排ガス処理方法

【課題】複数の吸着塔のそれぞれに分配ホッパを設けた排ガス処理装置において、分配ホッパに充填される炭素質吸着材のレベルの変動を小さくし、炭素質吸着材のレベル制御を安定して行える排ガス処理装置及び排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】炭素質吸着材が充填される複数の吸着塔1と、複数の吸着塔1それぞれの上部に接続され、炭素質吸着材を分配して吸着塔1に供給する分配ホッパ5と、を備える排ガス処理装置100において、分配ホッパ5内の炭素質吸着材のレベルをレベル計6により検出し、検出されたレベルと目標レベルとの差に基づいて、供給制御手段9により分配ホッパ5に対する炭素質吸着材の供給を、順次各分配ホッパ5ごとに制御することにより、分配ホッパ5での炭素質吸着材の過不足を防止し、炭素質吸着材のレベル制御を安定させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、排ガス処理装置及び排ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、排ガスを活性炭等の炭素質吸着材が充填された吸着塔に導入して、排ガスからNOxやSOを除去する排ガス処理装置が知られている。吸着塔においては、炭素質吸着材は上方から充填され、吸着塔内にて移動層を形成しながら下方へと移動し、吸着塔の下端から排出され、一方、排ガスは炭素質吸着材の移動層を横切るように通過し、炭素質吸着材によって脱硫脱硝処理される。
【0003】
このような排ガス処理装置において、吸着塔内の粒度分布を均一化してガス偏流の発生を防止し脱硝率を高めるために、炭素質吸着材を吸着塔に充填する際に、吸着塔の上部に複数のホッパ室を設けると共に、その上方に分配ホッパを設け、この分配ホッパから複数のホッパ室に炭素質吸着材を分配して供給する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、吸着塔においては、排ガスが吸着塔の上部からリークするのを防ぐために、炭素質吸着材のレベルを制御して、炭素質吸着材によるシール効果を一定に保つ必要がある。炭素質吸着材のレベルを制御するための方法として、複数の吸着塔を設けた乾式脱硫装置において、各吸着塔内の炭素質吸着材の充填レベルを測定するためのレベル計を各吸着塔に設け、各吸着塔内の炭素質吸着材のレベルを、基準レベルに対して高、低、正常の3状態のいずれにあるか判定し、その結果に応じて各吸着塔への炭素質吸着材の供給量を制御する方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−332347号公報
【特許文献2】特開昭63−16024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、分配ホッパを有する排ガス処理装置においては、分配ホッパの断面積が吸着塔の断面積と比べて小さくなり、その結果、分配ホッパ内の炭素質吸着材のレベルの変動が大きくなる。このため、特許文献2のように、吸着塔に設けられたレベル計により炭素質吸着材のレベルを3段階のいずれにあるか判定し、その結果に応じて吸着塔への炭素質吸着材の供給量を制御する方法では、炭素質吸着材のレベル変動が大きい分配ホッパにおいて、炭素質吸着材の過不足が生じやすく、炭素質吸着材のレベル制御を安定して行えなくなるという問題があった。特に、特許文献2のように、複数の吸着塔を備え、それぞれの吸着塔が分配ホッパを有する排ガス処理装置においては、各吸着塔の各分配ホッパへの炭素質吸着材の供給を順番に制御していくことになり、各分配ホッパで炭素質吸着材の過不足が生じやすいため、各分配ホッパの炭素質吸着材のレベル制御を安定して行うことは困難であった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、複数の吸着塔のそれぞれに分配ホッパを設けた排ガス処理装置において、分配ホッパに充填される炭素質吸着材のレベルの変動を小さくし、炭素質吸着材のレベル制御を安定して行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る排ガス処理装置は、炭素質吸着材が充填される複数の吸着塔と、複数の吸着塔それぞれの上部に接続され、炭素質吸着材を分配して吸着塔に供給する分配ホッパと、を備える排ガス処理装置であって、分配ホッパ内の炭素質吸着材のレベルを検出するレベル検出手段と、レベル検出手段によって検出された分配ホッパ内の炭素質吸着材のレベルと目標レベルとの差に基づいて、分配ホッパに対する炭素質吸着材の供給を、順次各分配ホッパごとに制御する供給制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る排ガス処理方法は、複数の吸着塔に炭素質吸着材を充填し、複数の吸着塔それぞれの上部に分配ホッパを接続し、吸着塔に炭素質吸着材を分配して供給する排ガス処理方法であって、分配ホッパ内の炭素質吸着材のレベルを検出するレベル検出ステップと、レベル検出ステップにおいて検出された分配ホッパ内の炭素質吸着材のレベルと目標レベルとの差に基づいて、分配ホッパに対する炭素質吸着材の供給を、順次各分配ホッパごとに制御する供給制御ステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
これらによれば、分配ホッパ内の炭素質吸着材のレベルと目標レベルとの差に基づいて、分配ホッパに対する炭素質吸着材の供給が、順次各分配ホッパごとに制御されるため、分配ホッパでの炭素質吸着材の過不足が防止され、炭素質吸着材のレベル制御を安定して行うことができる。
【0011】
本発明に係る排ガス処理装置においては、レベル検出手段によって検出された炭素質吸着材のレベルと、目標レベルとの差とに基づいて、分配ホッパに供給する炭素質吸着材の供給量を決定する供給量決定手段と、吸着塔における炭素質吸着材の滞留時間に基づいて、分配ホッパに供給する炭素質吸着材の供給速度を決定する供給速度決定手段と、供給量決定手段によって決定された炭素質吸着材の供給量と、供給速度決定手段によって決定された炭素質吸着材の供給速度とに基づいて、分配ホッパに炭素質吸着材を供給する供給時間を決定する供給時間決定手段と、供給時間決定手段により決定された供給時間だけ分配ホッパに炭素質吸着材を供給する供給手段と、を備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る排ガス処理方法においては、レベル検出ステップにおいて検出された炭素質吸着材のレベルと、目標レベルとの差とに基づいて、分配ホッパに供給する炭素質吸着材の供給量を決定する供給量決定ステップと、吸着塔における炭素質吸着材の滞留時間に基づいて、分配ホッパに供給する炭素質吸着材の供給速度を決定する供給速度決定ステップと、供給量決定ステップにおいて決定された炭素質吸着材の供給量と、供給速度決定ステップにおいて決定された炭素質吸着材の供給速度とに基づいて、分配ホッパに炭素質吸着材を供給する供給時間を決定する供給時間決定ステップと、供給時間決定ステップにおいて決定された供給時間だけ分配ホッパに炭素質吸着材を供給する供給ステップと、を備えることが好ましい。
【0013】
これらによれば、分配ホッパ内の炭素質吸着材のレベルと目標レベルとの差に基づいて炭素質吸着材の供給量が決定され、また、吸着塔における炭素質吸着材の滞留時間に基づいて炭素質吸着材の供給速度が決定され、炭素質吸着材の供給量と供給速度とに基づいて炭素質吸着材の供給時間が決定され、決定された供給時間だけ分配ホッパに炭素質吸着材が供給されるため、分配ホッパ内の炭素質吸着材のレベルを精度よく制御することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の吸着塔のそれぞれに分配ホッパを設けた排ガス処理装置において、分配ホッパに充填される炭素質吸着材のレベルの変動を小さくし、炭素質吸着材のレベル制御を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る排ガス処理装置を示す図である。
【図2】本実施形態に係る排ガス処理装置の吸着塔を示す図である。
【図3】本実施形態に係る炭素質吸着材のレベル制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による排ガス処理装置の好適な実施形態について、図1〜図3を参照しながら説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る排ガス処理装置100を示す図である。排ガス処理装置100は、吸着塔1、再生塔2、第一のコンベア(供給手段)3、第二のコンベア4、分配ホッパ5、レベル計6及び供給制御手段9を備えている。
【0018】
吸着塔1は、排ガスを脱硫脱硝処理するための塔である。吸着塔1には、上部から、例えば活性炭、活性チャー、活性コークス等の炭素質吸着材が充填される。充填された炭素質吸着材は、排ガス中のSOを吸着すると共にNOxをNに還元しながら吸着塔1内を上方から下方へと移動層を形成しつつ移動し、吸着塔1の下端から排出される。また、吸着塔1において、排ガスは水平方向から導入され、炭素質吸着材によってNOxやSO、ダスト等を除去された後、水平方向に導出される。この吸着塔1は、モジュール化されており、排ガス流量に応じて、複数、具体的には3塔〜8塔程度設けられる。そして、排ガスは、各吸着塔1を紙面垂直方向に流れるように分配される。本実施形態においては、吸着塔1の数を5塔として、以下の説明を進める。
【0019】
再生塔2は、吸着塔1においてSOを吸着した炭素質吸着材を400°C以上に加熱して再生するための塔である。再生された炭素質吸着材は、150°C以下に冷却された後、割れ及び磨耗等により発生した細粒及び粉や捕集ダストを篩い分け器で分離・除去した後、再び吸着塔1へ搬送され、再利用される。
【0020】
第一のコンベア3は、再生塔2で再生された炭素質吸着材を吸着塔1の上部へ搬送するためのコンベアである。第一のコンベア3としては、例えば反転装置付きのバケットコンベアを用いることができる。第二のコンベア4は、吸着塔1の下部から排出された炭素質吸着材を再生塔2へ搬送するためのコンベアである。
【0021】
分配ホッパ5は、吸着塔1それぞれの上部に接続され、炭素質吸着材を分配して吸着塔1に供給するためのものである。レベル計(レベル検出手段)6は、分配ホッパ5内の炭素質吸着材のレベルを検出するための計測器である。
【0022】
次に、図2を用いて、吸着塔1をより詳細に説明する。図2は、吸着塔1を示す図である。吸着塔1は、上部ホッパ室11、排ガス通路部12、下部室13、ロールフィーダ14、下部ホッパ15及び下部ロータリーバルブ16を有している。
【0023】
上部ホッパ室11は、吸着塔1の上部に複数設けられている。上部ホッパ室11は、それぞれ、分配シュート7を介して、分配ホッパ5と接続されている。また、これらの上部ホッパ室11は、図1においては、紙面垂直方向に並設されている。
【0024】
排ガス通路部12は、炭素質吸着材が充填されると共に排ガスの通路となる部分であり、この排ガス通路部12において炭素質吸着材が上から下へ移動する移動層を形成し、排ガスの脱硫脱硝処理を行う。排ガスは、矢印Gで示すように、排ガス通路部12の側方から水平方向に導入される。
【0025】
下部室13は、排ガス通路部12の下部に設けられる部分であり、その形状は、たとえば逆角錐状である。
【0026】
ロールフィーダ14は、所定の速度で回転することにより、下部室13から炭素質吸着材を排出するためのものである。
【0027】
下部ホッパ15は、ロールフィーダ14を覆うように設けられ、ロールフィーダ14から排出された炭素質吸着材を貯留するものである。
【0028】
下部ロータリーバルブ16は、下部ホッパ15に貯留された炭素質吸着材を吸着塔1から排出するためのものである。
【0029】
ここで、排ガスが排ガス通路部12から吸着塔1の上部や下部へリークすると、装置内部の金物の腐食につながるため、排ガス通路部12からの排ガスのリークを防止することが必要である。このため、排ガス通路部12の上下の上部ホッパ室11及び下部室13に炭素質吸着材を充填し、上部ホッパ室11及び下部室13を、排ガス通路部12から排ガスのリークを防ぐためのマテリアルシール部としている。下部室13においては、常に一定の高さの炭素質吸着材が充填されているため、常に一定のシール効果を期待することができる。一方、上部ホッパ室11においては、炭素質吸着材の充填レベルが変動し得る。この炭素質吸着材の充填レベルが変動すると、シール効果が変動する。さらに、炭素質吸着材の充填レベルが不足してシール効果がなくなると、排ガスが排ガス通路部12から上部ホッパ室11を通り抜けて上方へリークしてしまう。このため、後述の制御方法を用いて、上部ホッパ室11における炭素質吸着材の充填レベルを一定に保ち、シール効果を一定に保つことが必要となる。
【0030】
次に、分配ホッパ5をより詳細に説明する。分配ホッパ5の上部には上部ロータリーバルブ8が設けられている。上部ロータリーバルブ8は、吸着塔1の上方から矢印ACで示すように供給される炭素質吸着材を吸着塔1内に導入するためのものである。また、分配ホッパ5の下部には複数本の分配シュート7が設けられている。複数本の分配シュート7は、それぞれ上部ホッパ室11と接続されている。分配ホッパ5に供給される炭素質吸着材は、複数本の分配シュート7に分配されて、それぞれの分配シュート7に接続される上部ホッパ室11から吸着塔1に充填される。このように分配ホッパ5から複数の上部ホッパ室11に炭素質吸着材を分配して供給しているのは、分配ホッパ5による上部ホッパ室11への炭素質吸着材の分配により、吸着塔1内の粒度分布を均一化してガス偏流の発生を防止するためである。なお、分配ホッパ5の断面積は、吸着塔1の断面積と比べると小さい。
【0031】
以上のように構成される排ガス処理装置100においては、再生塔2から第一のコンベア3によって炭素質吸着材が分配ホッパ5に供給され、分配ホッパ5に供給された炭素質吸着材は複数の分配シュート7を介して吸着塔1に充填され、炭素質吸着材は、排ガスの脱硫脱硝処理を行いながら、吸着塔1の下方に移動し、下部ロータリーバルブ16によって排出された後、第二のコンベア4によって再生塔2に搬送され、再生塔2において再生処理を受け、このような処理が繰り返される。
【0032】
ここで、このような複数の吸着塔1を備える排ガス処理装置において、複数の吸着塔1に炭素質吸着材を供給するための制御方法として、従来はタイムシーケンスによる制御が行われていた。すなわち、複数の吸着塔のそれぞれに対し、順番に一定時間だけ炭素質吸着材の供給が行われていた。このような制御方法においては、ある吸着塔に炭素質吸着材が供給されてから、次に炭素質吸着材が供給される順番が到来するまでの間に待ち時間が相応にあり、特に吸着塔の数が多くなると、この待ち時間も長くなる。また、前述のように、分配ホッパ5の断面積は、吸着塔1の断面積と比べると小さいため、炭素質吸着材の過不足が生じやすい。このように、分配ホッパ5では炭素質吸着材の過不足が生じやすく、しかも、制御待ちの時間が長いため、分配ホッパ5での炭素質吸着材の充填レベルの変動が非常に大きくなるという問題があった。
【0033】
そのような問題を解決する、分配ホッパ5における炭素質吸着材の充填レベルの供給制御手段9による制御方法について、図3を用いて具体的に説明する。供給制御手段9は、レベル計6からの炭素質吸着材の充填レベル情報に基づいて、分配ホッパ5での過不足が生じないように、第一のコンベア3の駆動を制御し、炭素質吸着材のレベルを制御する。具体的には、レベル計6によって検出された分配ホッパ5内の炭素質吸着材のレベルと所定の目標レベルとの差に基づいて、分配ホッパ5に対する炭素質吸着材の供給を、順次各分配ホッパ5ごとに制御する。より具体的には、供給制御手段9は、レベル計6によって検出された炭素質吸着材のレベルと、所定の目標レベルとの差に基づいて、分配ホッパ5に供給する炭素質吸着材の供給量を決定する供給量決定手段と、吸着塔1における炭素質吸着材の滞留時間に基づいて、分配ホッパ5に供給する炭素質吸着材の供給速度を決定する供給速度決定手段と、供給量決定手段によって決定された炭素質吸着材の供給量と供給速度決定手段によって決定された炭素質吸着材の供給速度とに基づいて、分配ホッパ5に炭素質吸着材を供給する供給時間を決定する供給時間決定手段と、を有している。
【0034】
図3は、本実施形態に係る炭素質吸着材のレベル制御を示すフローチャートである。
【0035】
まず、ステップS1において、炭素質吸着材を供給する対象となる分配ホッパ5を示す分配ホッパの番号n(吸着塔の数が5塔の場合、nは1から5までの整数値)を1に設定する。
【0036】
次に、ステップS2において、現状の分配ホッパnにおける充填レベルである現状レベルxが検出され(レベル検出ステップ)、この現状レベルxが下限値LL以下であるか否かを判定する。
【0037】
ステップS2において現状レベルxが下限値LL以下であると判定した場合は、ステップS3において、現状レベルxが異常値であると判断し、インターロック機構を作動して設備を停止する。
【0038】
一方、ステップS2において、現状レベルxが下限値LL以下でないと判定した場合は、ステップS4において、現状レベルxが上限値HH以上であるか否かを判定する。
【0039】
ステップS4において現状レベルxが上限値HH以上であると判定した場合は、充分に炭素質吸着材が充填されているとして、当該分配ホッパnへの炭素質吸着材の供給をスキップし、ステップS5において、分配ホッパの番号nに1を加算し、次の制御対象となる分配ホッパ(n+1)の制御に移行すべく、ステップS2に戻る。
【0040】
一方、ステップS4において現状レベルxが上限値HH以上でないと判定した場合は、ステップS6において、分配ホッパnへの炭素質吸着材の供給量を、以下の式(1)により決定する(供給量決定ステップ)。
【0041】
Vn=(LFn−LPn)×πD/4 …(1)
【0042】
なお、Vnは分配ホッパnへの炭素質吸着材の供給量(m)、LFnは分配ホッパnへの炭素質吸着材を投入すべき目標レベル(m)、LPnは分配ホッパnの炭素質吸着材の現在のレベル(m)、Dは分配ホッパnの内径(m)である。
【0043】
続いて、ステップS7において、分配ホッパnへの炭素質吸着材の供給速度を、以下の式(2)により決定する(供給速度決定ステップ)。
【0044】
VF=N×VA/RT …(2)
【0045】
なお、VFは各塔への投入流量(m/分)、VAは吸着塔1塔あたりの有効容積(m)、RTは有効吸着層における活性炭滞留時間(分)、Nは、炭素質吸着材の供給をスキップされた分配ホッパを除く分配ホッパの数である。活性炭滞留時間RTは、例えばロールフィーダ14の回転数や、ロールフィーダ14の単位時間当たりの排出量から求める。
【0046】
続いて、ステップS8において、分配ホッパnへの炭素質吸着材の供給時間を、以下の式(3)及び式(4)により決定する(供給時間決定ステップ)。
【0047】
Tsn=Vn/VF …(3)
【0048】
ここで、Tsnは、炭素質吸着材の供給時間(分)である。
【0049】
続いて、ステップS9において、上記の計算で求められた供給時間Tsnだけ、第一のコンベア3によって、分配ホッパnに炭素質吸着材を供給する(供給ステップ)。
【0050】
続いて、ステップS10において、分配ホッパの番号nが5より小さいか否かを判定する。すなわち、1番目から5番目までの全ての分配ホッパに対して処理を行ったか否かを判定する。
【0051】
ステップS10において、分配ホッパの番号nが5より小さければ、ステップS5に進み、分配ホッパの番号nに1を加算し、次の分配ホッパ(n+1)の制御に移行すべく、ステップS2に戻る。
【0052】
一方、ステップS10において、分配ホッパの番号nが5以上であれば、ステップS11に進み、nを再び1に戻し、1番目の分配ホッパの制御に移行し、前述した処理を繰り返す。
【0053】
なお、前述した供給量決定ステップ、供給速度決定ステップ、供給時間決定ステップ及び供給ステップをまとめて供給制御ステップと称する。
【0054】
このように、本実施形態に係る排ガス処理装置及び排ガス処理方法においては、レベル計6によって検出された炭素質吸着材のレベルと、所定の目標レベルとの差に基づいて分配ホッパ5に対する炭素質吸着材の供給が、順次各分配ホッパ5ごとに制御されるため、分配ホッパ5での炭素質吸着材の過不足が防止され、炭素質吸着材のレベル制御を安定して行うことができる。
【0055】
また、分配ホッパ5内の炭素質吸着材のレベルと目標レベルとの差に基づいて炭素質吸着材の供給量が決定され、また、吸着塔1における炭素質吸着材の滞留時間に基づいて炭素質吸着材の供給速度が決定され、炭素質吸着材の供給量と供給速度とに基づいて炭素質吸着材の供給時間が決定され、決定された供給時間だけ分配ホッパ5に炭素質吸着材が供給されるため、分配ホッパ5内の炭素質吸着材のレベルを精度よく制御することができる。
【0056】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、排ガスの流れ方向に対して排ガス通路部12が複数の部屋に分割され、排ガスが各々の部屋を順次通過することによって排ガスの脱硫脱硝処理を行う吸着塔に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…吸着塔、3…第一のコンベア(供給手段)、5…分配ホッパ、6…レベル計(レベル検出手段)、100…排ガス処理装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質吸着材が充填される複数の吸着塔と、
前記複数の吸着塔それぞれの上部に接続され、前記炭素質吸着材を分配して前記吸着塔に供給する分配ホッパと、
を備える排ガス処理装置であって、
前記分配ホッパ内の前記炭素質吸着材のレベルを検出するレベル検出手段と、
前記レベル検出手段によって検出された前記分配ホッパ内の前記炭素質吸着材のレベルと目標レベルとの差に基づいて、前記分配ホッパに対する前記炭素質吸着材の供給を、順次前記各分配ホッパごとに制御する供給制御手段と、
を備えることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
前記レベル検出手段によって検出された前記炭素質吸着材のレベルと、目標レベルとの差とに基づいて、前記分配ホッパに供給する前記炭素質吸着材の供給量を決定する供給量決定手段と、
前記吸着塔における前記炭素質吸着材の滞留時間に基づいて、前記分配ホッパに供給する前記炭素質吸着材の供給速度を決定する供給速度決定手段と、
前記供給量決定手段によって決定された前記炭素質吸着材の前記供給量と、前記供給速度決定手段によって決定された前記炭素質吸着材の前記供給速度とに基づいて、前記分配ホッパに前記炭素質吸着材を供給する供給時間を決定する供給時間決定手段と、
前記供給時間決定手段により決定された前記供給時間だけ前記分配ホッパに前記炭素質吸着材を供給する供給手段と、
を備える請求項1に記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
複数の吸着塔に炭素質吸着材を充填し、
前記複数の吸着塔それぞれの上部に分配ホッパを接続し、前記吸着塔に前記炭素質吸着材を分配して供給する排ガス処理方法であって、
前記分配ホッパ内の前記炭素質吸着材のレベルを検出するレベル検出ステップと、
前記レベル検出ステップにおいて検出された前記分配ホッパ内の前記炭素質吸着材のレベルと目標レベルとの差に基づいて、前記分配ホッパに対する前記炭素質吸着材の供給を、順次前記各分配ホッパごとに制御する供給制御ステップと、
を備えることを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項4】
前記レベル検出ステップにおいて検出された前記炭素質吸着材のレベルと、目標レベルとの差とに基づいて、前記分配ホッパに供給する前記炭素質吸着材の供給量を決定する供給量決定ステップと、
前記吸着塔における前記炭素質吸着材の滞留時間に基づいて、前記分配ホッパに供給する前記炭素質吸着材の供給速度を決定する供給速度決定ステップと、
前記供給量決定ステップにおいて決定された前記炭素質吸着材の前記供給量と、前記供給速度決定ステップにおいて決定された前記炭素質吸着材の前記供給速度とに基づいて、前記分配ホッパに前記炭素質吸着材を供給する供給時間を決定する供給時間決定ステップと、
前記供給時間決定ステップにおいて決定された前記供給時間だけ前記分配ホッパに前記炭素質吸着材を供給する供給ステップと、
を備える請求項3に記載の排ガス処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−52377(P2013−52377A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194174(P2011−194174)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】