説明

排気ガス浄化システムと排気ガス浄化方法

【課題】内燃機関の排気管にPMを捕集するDPFを備えた排気ガス浄化システムにおいて、比較的簡単な構造と制御で、PM捕集時におけるPMの偏堆積の抑制とDPF再生時におけるDPFの部分的な温度差を解消できて、PMの燃え残りの発生を防止できる排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法を提供する。
【解決手段】DPF12の上流側の排気管11の内部に内管13を設けて、二重管構造とし、前記内管13を開放及び閉鎖する開閉弁14を設けると共に、前記DPF12の前後の圧力損失を測定する圧力損失センサ15と、前記内管13の内部に連通する前記DPF12の中央部12aと前記内管13の外部に連通する前記DPF12の外周部12b3温度センサ16a、16b、16cをそれぞれ設け、前記圧力損失センサ15と前記温度センサ16a、16b、16cの出力に基づいて前記開閉弁14を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼル車等の内燃機関の排気ガス中の粒子状物質を浄化するDPFを備えた排気ガス浄化システムと排気ガス浄化方法に関し、より詳細には、PM捕集時におけるPM堆積の偏りとDPF再生時における燃え残りを防止できる排気ガス浄化システムと排気ガス浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンをはじめとする内燃機関の排気ガス中の有害物質の一つに、PM(Particulate Matter)と呼ばれる粒子状物質があり、このPMの排出を抑制する技術としてDPF(Diesel Particulate filter)を用いる技術が一般的に知られている。
【0003】
このDPFでは、セラミックのハニカム細孔にPM粒子を一時的に捕集(トラップ)させ、適時、シリンダ内へのポスト噴射や排気管内直接噴射の燃料噴射等によって排気ガスを昇温して、この高温の排気ガスでDPFを加熱して、DPFに捕集され堆積したPMを高温にして燃焼させて分解することが行われている。このPMの燃焼除去では、PMを600℃〜800℃程度に昇温させて燃焼除去しており、このDPFを昇温してPMを燃焼除去する操作を「DPF再生」と呼んでいる。
【0004】
しかしながら、このDPFによるPM捕集では、排気ガスの流速分布やDPFからの放熱等の影響により、DPFにおけるPMの堆積分布に偏りが生じる場合がある。この場合には、DPFにおけるPMを捕集するための面が有効に活用されず、本来の捕集能力を十分に発揮できなくなるという問題がある。
【0005】
また、DPF再生を行う場合に、PMの堆積分布が偏るとPMの燃焼も偏るので、図8及び図9に示すように、DPFの部位によって温度差が発生し、温度分布にも偏りが生じる。PMは、600℃程度の温度で燃焼すると言われているが、DPFの外周部は放熱等により中心部より温度が低くなる傾向が強く、DPF再生においても条件によってはPMの燃焼温度に達しない部位が生じ、PMが燃焼されずに残ってしまう場合がある。このPMの燃焼除去が不十分であると、DPF再生の頻度の増加やPMの不均一堆積によるPMの異常燃焼を誘発する可能性が高くなる。このPMの異常燃焼は、PM堆積量が多い部分が局部的に燃焼して、その結果局部的に高温が生じてDPFを焼損する現象であり、DPFのダメージとなるため避ける必要がある。
【0006】
また、燃費の面からは、通常の運転条件においては、DPFの温度が600℃〜800℃になることがないため、DPF再生時には、多くの燃料をDPFの昇温のために消費しており、局部的なPMの燃え残りを無くすために外周部をPM燃焼温度以上に昇温しようとした場合には、更に多くの燃料を消費することになり、好ましくはない。また、この場合にDPFの中心部は外周部と比較して非常に高温に曝されることになるので、DPFの破損を誘発する可能性も生じる。
【0007】
これに関連して、フィルタの再生時、排気ガスをバイパスする排気制御弁と、再生用ガスを供給する電動エアポンプを備え、フィルタ端部の外周部と中央部に夫々独立した外周ヒータと中央ヒータを備えて、フィルタ再生に先立ち、外周ヒータを加熱すると共に、再生用ガスを供給してフィルタ外周部を予熱することで、再生時のフィルタ内温度差を少なくする内燃機関の排気浄化装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この場合は外周ヒータと再生用ガスが必要となるという問題がある。
【0008】
また、DFPにおけるPMの偏堆積の発生によってPM堆積量の推定精度が低減することを回避するために、排気温度と排気流量を測定して、DPFの径方向中心部と外周部における温度を算出し、DPFの径方向中心部と外周部における燃焼速度を算出し、燃焼速度を積算して得られた燃焼量の差分をPM偏堆積度として算出し、PM偏堆積度が所定値を越えたらDPFを完全再生して偏堆積状態を解消する内燃機関の排気浄化装置も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この場合でも、偏堆積や完全再生における燃費の悪化の問題が残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平05−195754号公報
【特許文献2】特開2009−228494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の排気管にPMを捕集するDPFを備えた排気ガス浄化システムにおいて、比較的簡単な構造と制御で、PM捕集時におけるPMの偏堆積の抑制とDPF再生時におけるDPFの部分的な温度差を解消できて、PMの燃え残りの発生を防止できる排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するための本発明の排気ガス浄化システムは、内燃機関の排気管に粒子状物質を捕集するDPFを設けた排気ガス浄化システムにおいて、前記DPFの上流側の排気管の内部に内管を設けて、該内管の端部を前記DPFの入口側に当接又は近接させて二重管構造とし、前記内管を開放及び閉鎖する開閉弁を設けると共に、前記DPFの前後の圧力損失を測定する圧力損失センサと、前記内管の内部に連通する前記DPFの中央部と前記内管の外部に連通する前記DPFの外周部に温度センサをそれぞれ設け、前記圧力損失センサと前記温度センサの出力に基づいて前記開閉弁を制御する制御装置を設けて構成される。
【0012】
この構成によれば、DPFに流入する排気ガスの流入先をDPFの外周部とDPFの全体のいずれかに切り替えることができるので、DPFの前後の圧力損失とDPFの中央部の温度と外周部の温度によって、バタフライ弁等で形成される開閉弁を切り替えて、より極め細かくDPFによるPM捕集とDPF再生を行うことができるようになる。
【0013】
例えば、PM堆積時はPMの前後の圧力損失(前後差圧)によりPMの捕集を優先させる箇所(中央部/外周部)の選定を開閉弁で行い、DPFにおけるPM堆積を均一にし、DPF再生時は、各部分(中央部/外周部)の温度差を検出した場合に開閉弁の開閉制御を行い、DPF再生を優先させる箇所(中央部/外周部)の選定を開閉弁で行い、DPF再生を均一に行う制御方法を採ることができるようになる。
【0014】
上記の排気ガス浄化システムにおいて、前記制御装置が、PM堆積時には、予め設定された値を判定用係数Kとし、予め設定された時期に、前記開閉弁を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと前記開閉弁を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して、これらの測定値ΔP1m、ΔP2mから算出される開弁時堆積量PM1mと閉弁時堆積量PM2mを比較して、PM1m>K×PM2mの場合には、前記開閉弁を閉弁した状態にしてPMを捕集し、PM1m≦K×PM2mの場合には、前記開閉弁を開弁した状態にしてPMを捕集する制御を行うように構成される。
【0015】
あるいは、上記の排気ガス浄化システムにおいて、前記制御装置が、PM堆積時には、予め設定された値を判定用係数Kとし、予め設定された時期に、前記開閉弁を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと前記開閉弁を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して比較して、ΔP1m>K×ΔP2mの場合には、前記開閉弁を閉弁した状態にしてPMを捕集し、ΔP1m≦K×ΔP2mの場合には、前記開閉弁を開弁した状態にしてPMを捕集する制御を行うように構成される。
【0016】
この値Kは、中央部の面積と外周部の面積に関係する値であり、実験結果などにより予め設定される値であり、例えば、PM1m>K×PM2mの判定では、K=2である。また、開弁時圧力損失ΔP1mと閉弁時圧力損失ΔP2mの測定は、予め設定した時期に行うが、この時期は、通常は実験結果等に基づいて設定されるが、定期的な時間間隔であってもよく、時間的には不定期的に、例えば、燃料消費量、走行距離等に関連させて適宜設定してもよい。
【0017】
また、測定された開弁時圧力損失ΔP1mと閉弁時圧力損失ΔP2mから開弁時堆積量PM1mと閉弁時堆積量PM2mの算出には、予め実験等によって、相互間の関係を求めておき、例えば、図4、図5等のデータを予め制御装置でマップデータや関数の形等で記憶しておき、測定時にこれらのデータを参照して、開弁時堆積量PM1mと閉弁時堆積量PM2mを算出する。
【0018】
これらの構成によれば、中央部側のPM堆積量が大きくなった「PM1m>K×PM2m」(または、ΔP1m>K×ΔP2m)の場合には、開閉弁を閉弁してDPFの外周部のみでPM堆積を行い、外周部側のPM堆積量が大きくなった「PM1m≦K×PM2m」(または、ΔP1m≦K×ΔP2m)の場合には、開閉弁を開弁してDPFの全体でPM堆積を行うことができる。従って、DPFにおけるPMの堆積を均一化できる。
【0019】
上記の排気ガス浄化システムにおいて、前記制御装置が、前記開閉弁を開弁状態としてDPF再生を開始するときの再生開始第1圧力損失をΔP1a、DPF再生を終了するときの再生終了第1圧力損失をΔP1bとし、前記開閉弁を閉弁状態としてDPF再生を終了するときの再生終了第2圧力損失をΔP2bとし、予め設定された時期に、前記開閉弁を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと前記開閉弁を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して、DPF再生時には、前記開閉時圧力損失ΔP1mが前記再生開始第1圧力損失ΔP1aを越えたときにDPF再生処理を開始し、前記DPFの外周部の温度がPM燃焼温度以上の時には、前記開閉弁を開弁して開弁状態で再生処理を行い、前記DPFの外周部の温度がPM燃焼温度より低い時には、前記閉弁時圧力損失ΔP2mが前記再生終了第2圧力損失ΔP2bより低くなるまで、前記開閉弁を閉弁して閉弁状態で再生制御を行い、前記閉弁時圧力損失ΔP2mが前記再生終了第2圧力損失ΔP2b以上になったら、前記開閉弁14を開弁して開弁状態で再生制御を行い、前記開弁時圧力損失ΔP1mが前記再生終了第1圧力損失ΔP1bより低くなったら、DPF再生を終了する制御を行うように構成される。
【0020】
この構成によれば、DPF再生時において、DPFの外周部の温度が高い時には開閉弁を開弁してDPFの全体でDPF再生を行い、DPFの外周部の温度が低い時はDPFの外周部のみでDPF再生を行い、DPFの外周部の温度が高くなったら、DPFの全体でDPF再生を行うので、DPFにおけるDPF再生を均一化できる。その結果、異常燃焼の抑制ができ、DPF再生後のPM蓄積の均一化と再生頻度の低減と燃費の低減が可能となる。なお、このDPF再生のときの効果は、DPFにPMの燃焼を促進させる触媒成分は塗布されていない場合の方が大きい。
【0021】
そして、上記のような目的を達成するための本発明の排気ガス浄化方法は、内燃機関の排気管に粒子状物質を捕集するDPFを設けた排気ガス浄化システムの排気ガス浄化方法において、前記DPFの前後の測定圧力損失と前記DPFの中央部の測定温度と前記DPFの外周部の測定温度に基づいて、前記DPFに流入する排気ガスを、前記DPFの入口側に当接又は近接させて排気管の内部に設けた内管を開放及び閉鎖する開閉弁を制御することにより、前記DPFの全体又は前記DPFの外周部のみに導入することを特徴とする方法である。
【0022】
この方法によれば、DPFの前後の圧力損失とDPFの中央部の温度と外周部の温度によって、開閉弁を切り替えて、より極め細かくDPFによるPM捕集とDPF再生を行うことができるようになる。
【0023】
また、上記の排気ガス浄化方法において、PM堆積時には、予め設定された値を判定用係数Kとし、予め設定された時期に、前記開閉弁を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと前記開閉弁を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して、これらの測定値ΔP1m、ΔP2mから算出される開弁時堆積量PM1mと閉弁時堆積量PM2mを比較して、PM1m>K×PM2mの場合には、前記開閉弁を閉弁した状態にしてPMを捕集し、PM1m≦K×PM2mの場合には、前記開閉弁を開弁した状態にしてPMを捕集する。
【0024】
あるいは、上記の排気ガス浄化方法において、PM堆積時には、予め設定された値を判定用係数Kとし、予め設定された時期に、前記開閉弁を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと前記開閉弁を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して比較して、ΔP1m>K×ΔP2mの場合には、前記開閉弁を閉弁した状態にしてPMを捕集し、ΔP1m≦K×ΔP2mの場合には、前記開閉弁を開弁した状態にしてPMを捕集する。
【0025】
これらの方法によれば、中央部側のPM堆積量が多くなった「PM1m>K×PM2m」(または、ΔP1m>K×ΔP2m)の場合には、開閉弁を閉弁してDPFの外周部のみでPM堆積を行い、外周部側のPM堆積量が大きくなった「PM1m≦K×PM2m」(または、ΔP1m≦K×ΔP2m)の場合には、開閉弁を開弁してDPFの全体でPM堆積を行うことができる。従って、DPFにおけるPMの堆積を均一化できる。
【0026】
上記の排気ガス浄化方法において、前記開閉弁を開弁状態としてDPF再生を開始するときの再生開始第1圧力損失をΔP1a、DPF再生を終了するときの再生終了第1圧力損失をΔP1bとし、前記開閉弁を閉弁状態としてDPF再生を終了するときの再生終了第2圧力損失をΔP2bとし、予め設定された時期に、前記開閉弁を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと前記開閉弁を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して、DPF再生時には、前記開閉時圧力損失ΔP1mが前記再生開始第1圧力損失ΔP1aを越えたときにDPF再生処理を開始し、前記DPFの外周部の温度がPM燃焼温度以上の時には、前記開閉弁を開弁して開弁状態で再生処理を行い、前記DPFの外周部の温度がPM燃焼温度より低い時には、前記閉弁時圧力損失ΔP2mが前記再生終了第2圧力損失ΔP2bより低くなるまで、前記開閉弁を閉弁して閉弁状態で再生制御を行い、前記閉弁時圧力損失ΔP2mが前記再生終了第2圧力損失ΔP2b以上になったら、前記開閉弁14を開弁して開弁状態で再生制御を行い、前記開弁時圧力損失ΔP1mが前記再生終了第1圧力損失ΔP1bより低くなったら、DPF再生を終了する。
【0027】
この方法によれば、DPF再生時において、DPFの外周部の温度が高い時には開閉弁を開弁してDPFの全体でDPF再生を行い、DPFの外周部の温度が低い時はDPFの外周部のみでDPF再生を行い、DPFの外周部の温度が高くなったら、DPFの全体でDPF再生を行うので、DPFにおけるDPF再生を均一化できる。その結果、異常燃焼の抑制ができ、DPF再生後のPM蓄積の均一化と再生頻度の低減と燃費の低減が可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法によれば、PM捕集時においては、DPFにおける捕集されたPMの堆積の偏りを抑制できて、DPFのPM捕集能力を最大限に活かすことができ、DPF再生時においては、PMの燃え残りを防止することができる。これらにより、DPF再生の頻度の増加を抑制できて燃費の向上に寄与でき、また、PMの不均一な堆積に起因するPMの異常燃焼によるDPFの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態の排気ガス浄化システムの構成を示す図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】本発明の実施の形態の排気ガス浄化方法のPM捕集時の制御フローの一例を示す図である。
【図4】開弁時圧力損失ΔP1mと再生開始第1堆積量ΔP1aと再生終了第1堆積量ΔP1bと対応するPM堆積量の関係を示す図である。
【図5】閉弁時圧力損失ΔP2mと再生開始第2堆積量ΔP2aと再生終了第2堆積量ΔP2bと対応するPM堆積量の関係を示す図である。
【図6】図3の制御フローのステップS30の詳細を示す図である。
【図7】DPFの領域I、領域II、領域IIIを示す図である。
【図8】DPFにおける位置による温度の差を示す図である。
【図9】図8の各線の温度に対応するDPFにおける温度センサの位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化システムと排気ガス浄化方法について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、この実施の形態の排気ガス浄化システム10は、エンジン(内燃機関)の排気管11に粒子状物質(以下PMとする)を捕集するDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)12を設けて構成される。このDPF12の上流側の排気管11の内部に内管13を設けて、この内管13の端部をDPF12の入口側に当接又は近接させて二重管構造とする。また、この内管13に内管13の通路を開放及び閉鎖する開閉弁14を設ける。この開閉弁14は、例えば、バタフライ弁で構成する。
【0031】
また、DPF12の前後の圧力損失を測定する圧力損失センサ15と、内管13の内部に連通するDPF12の中央部12aと内管13の外部に連通するDPF12の外周部12bに温度センサ16a、16b、16cをそれぞれ設ける。さらに、圧力損失センサ15と温度センサ16a、16b、16cの出力に基づいて開閉弁14を制御する制御装置(図示しない)を設けて構成する。通常、この制御装置は、エンジンの全般を制御するECU(エンジンコントロールユニット)と呼ばれる制御装置に組み込んで構成する。
【0032】
次に、上記の構成の排気ガス浄化システム10における排気ガス浄化方法について説明する。この排気ガス浄化方法は、上記の制御装置によって、図3及び図6の制御フロー等に基づいて行われる方法である。
【0033】
この図3の制御フローはエンジンがスタートすると、上位の制御フローから呼ばれてスタートし、ステップS11で開閉弁14が開弁している状態での開弁時圧力損失ΔP1mを測定する。次のステップS12でDPF再生を行うか否かを、開弁時圧力損失ΔP1mが、開閉弁14を開弁状態としてDPF再生を開始するときの再生開始第1圧力損失ΔP1aより大きいか否かで判定する。この再生開始第1圧力損失ΔP1aは図4に示すように、DPF14全体のPM捕集量の限界値であり、予め実験結果等により設定される値である。
【0034】
ステップS12の判定で、DPF再生を行わないとの判定の場合には(NO)、ステップS20のPM捕集時の制御フローに行く。このステップS20のPM捕集時の制御フローに入ると、ステップS21で、予め設定された判定用係数Kを入力する。この判定用係数Kは、中央部の断面積(または容積、捕集面積)と外周部の断面積(または容積、捕集面積)に関係する値であり、実験結果などにより予め設定される値で、例えば、K=2等に設定される。
【0035】
次のステップS22で、予め設定された時期に、開閉弁14を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと開閉弁14を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定する。この予め設定された時期は、通常は実験結果等に基づいて設定されるが、定期的な時間間隔であってもよく、時間的には不定期的に、例えば、燃料消費量、走行距離等に関連させて適宜設定してもよい。
【0036】
この開弁時圧力損失ΔP1mと閉弁時圧力損失ΔP2mの測定は、圧力損失センサ15により、現状で開閉弁14が開弁している場合には、その状態で先ず、開弁時圧力損失ΔP1mを測定してから開閉弁14を閉じて安定してから、閉弁時圧力損失ΔP2mの測定を行う。逆に、現状で開閉弁14が閉弁している場合には、その状態で先ず、閉弁時圧力損失ΔP2mを測定してから開閉弁14を開いて安定してから、開弁時圧力損失ΔP1mの測定を行う。
【0037】
次のステップS23で、これらの測定値ΔP1m、ΔP2mから開弁時堆積量PM1mと閉弁時堆積量PM2mを算出する。この算出では、予め実験等によって、相互間の関係を求めておき、例えば、図4、図5に示すようなデータを予め制御装置にマップデータや関数の形等で記憶しておき、ステップS13でこれらのデータを参照して、開弁時堆積量PM1mと閉弁時堆積量PM2mを算出する。
【0038】
次のステップS24で、開弁時堆積量PM1mと閉弁時堆積量PM2mを比較し、PM1m>K×PM2mであるか否かを判定する。この比較判定で、PM1m>K×PM2mの場合には(YES)、ステップS25に行き、開閉弁14を閉弁した状態にしてPMを所定の時間の間(ステップS24の堆積量の比較判定のインターバルに関係する時間)の間PM捕集を行い、リターンして上位の制御フローに戻る。この「開閉弁14を閉弁した状態にして」とは、開閉弁14が閉弁状態にあれば、そのままとし、開閉弁14が開弁状態にあれば、閉弁することをいう。
【0039】
また、ステップS24の判定で、PM1m≦K×PM2mの場合には(NO)、ステップS26に行き、開閉弁14を開弁した状態にしてPMを所定の時間の間(ステップS24の堆積量の比較判定のインターバルに関係する時間)の間PM捕集を行い、リターンして上位の制御フローに戻る。この「開閉弁14を開弁した状態にして」とは、開閉弁14が開弁状態にあれば、そのままとし、開閉弁14が閉弁状態にあれば、開弁することをいう。
【0040】
つまり、このステップS20の制御フローでは、通常運転(DPF再生制御でない運転)をしながらステップS20内のステップS21〜S25またはステップS21〜S26が実施され、DPF12で排気ガスG中のPMを所定の時間(ステップS10におけるDPF再生の判定のインターバルに関係する時間)の間PM捕集を行う。その後、リターンして、上位の制御フローに戻り、再度、上位の制御フローから繰り返し呼ばれる。
【0041】
この制御により、PM堆積時には、予め設定された値を判定用係数Kとし(S21)、予め設定された時期に、開閉弁14を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと開閉弁14を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して(S22)、これらの測定値ΔP1m、ΔP2mから算出される開弁時堆積量PM1mと閉弁時堆積量PM2mを比較して(S23,S24)、PM1m>K×PM2mの場合には、開閉弁14を閉弁した状態にしてPMを捕集し(S25)、PM1m≦K×PM2mの場合には、開閉弁14を開弁した状態にしてPMを捕集する(S26)ことができる。
【0042】
なお、開弁時圧力損失ΔP1mと閉弁時圧力損失ΔP2mから開弁時堆積量PM1mと閉弁時堆積量PM2mを算出する行程を省いて、直接、開弁時圧力損失ΔP1mと閉弁時圧力損失ΔP2mを比較して、ΔP1m>K×ΔP2mの場合には、開閉弁14を閉弁した状態にしてPMを捕集し、ΔP1m≦K×ΔP2mの場合には、開閉弁14を開弁した状態にしてPMを捕集するように構成してもよい。この場合の判定用係数Kの数値は、開弁時堆積量PM1mと閉弁時堆積量PM2mを比較する場合の判定用係数Kの数値と異なってくるが、実験等により予め設定しておくことができる。
【0043】
そして、このPM堆積時の排気ガス浄化方法により、予め設定された期間で適時、開閉弁14を開弁または閉弁してそれぞれの圧力損失ΔP1m、ΔP2mを測定し、それぞれの値よりDPF12におけるPMの堆積量の不均一の程度を感知し、必要に応じて、開閉弁14を開弁または閉弁して、PM堆積状態が少ない堆積場所(中心部/外周部)に排気ガスGが流入するようにして、DPF12におけるPMの堆積を均一化することができる。
【0044】
従って、この方法により、DPF12のPM捕集面を有効に使うことができる。そのため、DPF再生をDPF12の前後の圧力損失により制御している排気ガス浄化システムにおいては、均一なPM堆積を図ることができ、その結果、精度の高い再生制御が可能となる。また、PMが局部的に多量に堆積することが原因の再生時の異常燃焼の発生を低減することも可能になる。
【0045】
そして、ステップS12の判定で、DPF再生を行うとの判定の場合には(YES)、図6に詳細を示すステップS30のDPF再生時の制御フローに行く。このステップS30の制御では、予め、図3及び図4に示すように、開閉弁14を開弁状態としてDPF再生を開始するときの再生開始第1圧力損失ΔP1a、DPF再生を終了するときの再生終了第1圧力損失ΔP1b、開閉弁14を閉弁状態としてDPF再生を終了するときの再生開始第2圧力損失ΔP2a、DPF再生を終了するときの再生終了第2圧力損失ΔP2bを実験結果等から設定して、制御装置に記憶させておく。
【0046】
この制御フローでは、ステップS31で、シリンダ内への燃料噴射制御で、マルチ噴射やポスト噴射をしたり、排気管内燃料噴射をしたりして、DPF14の温度をPM燃焼温度Tp(例えば、600℃に設定)以上に上げるためのDPF再生のための制御を開始する。
【0047】
次のステップS32で、外周部12bに配置された温度センサ15b、15cで外周部の温度Toを計測する。次のステップS33で、計測された外周部12bの温度ToがPM燃焼温度Tp以上であるか否かを判定する。このステップS33で、外周部12bの温度ToがPM燃焼温度Tp以上である場合には(YES)、ステップS36に行き、開閉弁14を開弁状態にして排気ガスGをDPF12の全体(中央部12aと外周部12bの両方)に流入させてDPF12の全体でDPF再生を行う。なお、通常は、ステップS12のDPFの判定の直前のステップS11で開弁状態での開弁時圧力損失ΔP1mを測定した後であるので、開弁状態となっている。
【0048】
ステップS33で、外周部12bの温度ToがPM燃焼温度Tpより低い場合には(NO)、ステップS34に行き、開閉弁14を閉弁状態にして排気ガスGをDPF12の外周部12bのみに流入させてDPF12の外周部12bで所定の時間(ステップS35の閉弁時圧力損失の判定のインターバルに関係する時間、あるいは、PM燃焼温度におけるPM燃焼速度に関係する時間)の間DPF再生を行う。
【0049】
次のステップS35で、閉弁時圧力損失ΔP2mを測定し、測定された閉弁時圧力損失ΔP2mが、開閉弁14を閉弁状態としてDPF再生を終了するときの再生終了第2圧力損失ΔP2bより低いか否かを判定する。このステップS35の判定で、閉弁時圧力損失ΔP2mが、再生終了第2圧力損失ΔP2b以上である場合は(NO)、ステップS34に戻り、外周部12bでのDPF再生を継続する。
【0050】
このステップS35の判定で、閉弁時圧力損失ΔP2mが、再生終了第2圧力損失ΔP2bより低い場合は(YES)、ステップS36に行き、開閉弁14を閉弁し、DPF12の全体で所定の時間(ステップS37の開弁時圧力損失の判定のインターバルに関係する時間、あるいは、PM燃焼温度におけるPM燃焼速度に関係する時間)の間DPF再生を行う。
【0051】
次のステップS37で、開弁時圧力損失ΔP1mを測定し、測定された開弁時圧力損失ΔP1mが、開閉弁14を開弁状態としてDPF再生を終了するときの再生終了第1圧力損失ΔP1bより低いか否かを判定する。このステップS37の判定で、開弁時圧力損失ΔP1mが、再生終了第1圧力損失ΔP1b以上である場合は(NO)、ステップS32に戻り、DPF再生を継続する。
【0052】
このステップS37の判定で、開弁時圧力損失ΔP1mが、再生終了第1圧力損失ΔP1bより低い場合は(YES)、ステップS38に行き、シリンダ内への燃料噴射制御での、マルチ噴射やポスト噴射を停止したり、排気管内燃料噴射を停止したりして、DPF再生を終了する。
【0053】
この制御により、開閉弁14を開弁状態としてDPF再生を開始するときの再生開始第1圧力損失をΔP1a、DPF再生を終了するときの再生終了第1圧力損失をΔP1bとし、開閉弁14を閉弁状態としてDPF再生を終了するときの再生終了第2圧力損失をΔP2bとした場合に、予め設定された時期に、開閉弁14を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと開閉弁14を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して、DPF再生時には、開閉時圧力損失ΔP1mが再生開始第1圧力損失ΔP1aを越えたときにDPF再生処理を開始し(S31)、DPF12の外周部12bの温度ToがPM燃焼温度Tp以上の時には、開閉弁14を開弁して開弁状態で再生処理を行い(S36)、DPF12の外周部12bの温度ToがPM燃焼温度Tpより低い時には、閉弁時圧力損失ΔP2mが再生終了第2圧力損失ΔP2bより低くなるまで、開閉弁14を閉弁して閉弁状態で再生制御を行い(S34)、閉弁時圧力損失ΔP2mが再生終了第2圧力損失ΔP2b以上になったら、開閉弁14を開弁して開弁状態で再生制御を行い(S36)、開弁時圧力損失ΔP1mが再生終了第1圧力損失ΔP1bより低くなったら、DPF再生を終了する(S38)ことができる。
【0054】
このDPF生成時の排気ガス浄化方法によれば、DPF再生時において、DPF12の外周部12bの温度Toが高い時には開閉弁14を開弁してDPF12の全体でDPF再生を行い、DPF12の外周部12bの温度Toが低い時はDPF12の外周部12bのみでDPF再生を行い、DPF12の外周部12bの温度Toが高くなったら、DPF12の全体でDPF再生を行うので、DPF12におけるDPF再生を均一化できる。その結果、異常燃焼の抑制ができ、DPF再生後のPM蓄積の均一化と再生頻度の低減と燃費の低減が可能となる。
【0055】
つまり、DPF12の中心部12aと外周部12bのそれぞれの温度Tc、Toを測定し、両者の差からDPF再生の均一さを感知し、再生状態(再生場所:中心部/外周部)を開閉弁14の開閉により制御してDPF再生を均一化する。この制御によりPMの不均一なPM堆積に起因する異常燃焼を抑制することが可能となる。また、DPF12の全体が均一に再生されるため、再生後に再びPMを堆積させる際のPM堆積を均一に堆積することが可能になる。更に、部分ごとにDPF再生を行うことにより再生時の燃費低減も可能となる。
【0056】
そして、上記の排気ガス浄化システム10及び排気ガス浄化方法によれば、PM捕集時においては、DPF12における捕集されたPMの堆積の偏りを抑制でき、DPF12のPM捕集能力を最大限に活かすことができ、DPF再生時においては、PMの燃え残りを防止することができる。これらにより、DPF再生の頻度の増加を抑制できて燃費の向上に寄与でき、また、PMの不均一な堆積に起因するPMの異常燃焼によるDPF12の破損を抑制することができる。
【0057】
この実施の形態の排気ガス浄化システム10とその排気ガス浄化方法を採用した実施例と、内管13と開閉弁14を設けない従来技術の従来例における一定時間運転後のPM堆積量分布を表1に、DPF再生前後のPM量を表2に、PM完全再生時の平均温度分布及び燃料消費量を表3にそれぞれ示す。この各領域I、領域II、領域IIIは、図7に示す位置である。
【0058】
なお、表1のPM堆積量は、PMは炭素原子のみから構成されていると仮定して、PMが堆積したDPFを各領域ごとに切り取って、加熱処理した際に発生したCO、CO2のガス濃度から、PMは炭素原子のみから構成されていると仮定して算出した計算値である。この表1では、実施例が従来例に比べてPM堆積量が均一化していることがよく分かる。
【0059】
【表1】

【0060】
また、表2のPM量は、圧力損失とPM堆積量の相関をとり、測定された圧力損失からこの相関から得られた検量線を参照して、得られたものであり、再生後のPM量が実施例ではゼロになっており、ほぼ完全にPMを燃焼除去でき、十分にDPF再生が行われたことが分かる。
【0061】
【表2】

【0062】
また、表3は、従来技術のDPF再生方法で、領域IIIの目標温度を620℃にしてポスト噴射量を調整してDPF再生処理したときの各領域ごとの平均温度とその時のポスト噴射の燃料消費量と、実施例のDPF再生方法で、全領域が620℃になるように温度目標を設定してポスト噴射量を調整してDPF再生処理したときの各領域ごとの平均温度とその時のポスト噴射の燃料消費量と示すが、実施例の方が従来例に比べて、燃料消費量が大幅に減少していることが分かる。
【0063】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法によれば、内燃機関の排気管にPMを捕集するDPFを備えた排気ガス浄化システムにおいて、比較的簡単な構造と制御で、PM捕集時におけるPMの偏堆積の抑制とDPF再生時におけるDPFの部分的な温度差を解消できて、PMの燃え残りの発生を防止できる。従って、自動車等に搭載した内燃機関の排気ガス浄化システム及び排気ガス浄化方法として利用できる。
【符号の説明】
【0065】
10 排気ガス浄化システム
11 排気管
12 DPF
12a 中央部
12b 外周部
13 内管
14 開閉弁
15 圧力損失センサ
16a、16b、16c 温度センサ
G 排気ガス
K 判定用係数
PM1m 開弁時堆積量
PM2m 閉弁時堆積量
To 外周部の温度
Tp PM燃焼温度
ΔP1a 再生開始第1圧力損失
ΔP1b 再生終了第1圧力損失
ΔP1m 開弁時圧力損失
ΔP2a 再生開始第2圧力損失
ΔP2b 再生終了第2圧力損失
ΔP2m 閉弁時圧力損失

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気管に粒子状物質を捕集するDPFを設けた排気ガス浄化システムにおいて、前記DPFの上流側の排気管の内部に内管を設けて、該内管の端部を前記DPFの入口側に当接又は近接させて二重管構造とし、前記内管を開放及び閉鎖する開閉弁を設けると共に、前記DPFの前後の圧力損失を測定する圧力損失センサと、前記内管の内部に連通する前記DPFの中央部と前記内管の外部に連通する前記DPFの外周部に温度センサをそれぞれ設け、前記圧力損失センサと前記温度センサの出力に基づいて前記開閉弁を制御する制御装置を設けたことを特徴とする排気ガス浄化システム。
【請求項2】
前記制御装置が、PM堆積時には、予め設定された値を判定用係数Kとし、予め設定された時期に、前記開閉弁を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと前記開閉弁を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して、これらの測定値ΔP1m、ΔP2mから算出される開弁時堆積量PM1mと閉弁時堆積量PM2mを比較して、PM1m>K×PM2mの場合には、前記開閉弁を閉弁した状態にしてPMを捕集し、PM1m≦K×PM2mの場合には、前記開閉弁を開弁した状態にしてPMを捕集する制御を行うように構成されることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項3】
前記制御装置が、PM堆積時には、予め設定された値を判定用係数Kとし、予め設定された時期に、前記開閉弁を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと前記開閉弁を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して比較して、ΔP1m>K×ΔP2mの場合には、前記開閉弁を閉弁した状態にしてPMを捕集し、ΔP1m≦K×ΔP2mの場合には、前記開閉弁を開弁した状態にしてPMを捕集する制御を行うように構成されることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項4】
前記制御装置が、前記開閉弁を開弁状態としてDPF再生を開始するときの再生開始第1圧力損失をΔP1a、DPF再生を終了するときの再生終了第1圧力損失をΔP1bとし、前記開閉弁を閉弁状態としてDPF再生を終了するときの再生終了第2圧力損失をΔP2bとし、予め設定された時期に、前記開閉弁を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと前記開閉弁を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して、DPF再生時には、前記開閉時圧力損失ΔP1mが前記再生開始第1圧力損失ΔP1aを越えたときにDPF再生処理を開始し、前記DPFの外周部の温度がPM燃焼温度以上の時には、前記開閉弁を開弁して開弁状態で再生処理を行い、前記DPFの外周部の温度がPM燃焼温度より低い時には、前記閉弁時圧力損失ΔP2mが前記再生終了第2圧力損失ΔP2bより低くなるまで、前記開閉弁を閉弁して閉弁状態で再生制御を行い、前記閉弁時圧力損失ΔP2mが前記再生終了第2圧力損失ΔP2b以上になったら、前記開閉弁14を開弁して開弁状態で再生制御を行い、前記開弁時圧力損失ΔP1mが前記再生終了第1圧力損失ΔP2bより低くなったら、DPF再生を終了する制御を行うように構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気ガス浄化システム。
【請求項5】
内燃機関の排気管に粒子状物質を捕集するDPFを設けた排気ガス浄化システムの排気ガス浄化方法において、前記DPFの前後の測定圧力損失と前記DPFの中央部の測定温度と前記DPFの外周部の測定温度に基づいて、前記DPFに流入する排気ガスを、前記DPFの入口側に当接又は近接させて排気管の内部に設けた内管を開放及び閉鎖する開閉弁を制御することにより、前記DPFの全体又は前記DPFの外周部のみに導入することを特徴とする排気ガス浄化方法。
【請求項6】
PM堆積時には、予め設定された値を判定用係数Kとし、予め設定された時期に、前記開閉弁を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと前記開閉弁を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して、これらの測定値ΔP1m、ΔP2mから算出される開弁時堆積量PM1mと閉弁時堆積量PM2mを比較して、PM1m>K×PM2mの場合には、前記開閉弁を閉弁した状態にしてPMを捕集し、PM1m≦K×PM2mの場合には、前記開閉弁を開弁した状態にしてPMを捕集することを特徴とする請求項5に記載の排気ガス浄化方法。
【請求項7】
PM堆積時には、予め設定された値を判定用係数Kとし、予め設定された時期に、前記開閉弁を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと前記開閉弁を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して比較して、ΔP1m>K×ΔP2mの場合には、前記開閉弁を閉弁した状態にしてPMを捕集し、ΔP1m≦K×ΔP2mの場合には、前記開閉弁を開弁した状態にしてPMを捕集することを特徴とする請求項5に記載の排気ガス浄化方法。
【請求項8】
前記開閉弁を開弁状態としてDPF再生を開始するときの再生開始第1圧力損失をΔP1a、DPF再生を終了するときの再生終了第1圧力損失をΔP1bとし、前記開閉弁を閉弁状態としてDPF再生を終了するときの再生終了第2圧力損失をΔP2bとし、予め設定された時期に、前記開閉弁を開弁した時の開弁時圧力損失ΔP1mと前記開閉弁を閉弁した時の閉弁時圧力損失ΔP2mを測定して、DPF再生時には、前記開閉時圧力損失ΔP1mが前記再生開始第1圧力損失ΔP1aを越えたときにDPF再生処理を開始し、前記DPFの外周部の温度がPM燃焼温度以上の時には、前記開閉弁を開弁して開弁状態で再生処理を行い、前記DPFの外周部の温度がPM燃焼温度より低い時には、前記閉弁時圧力損失ΔP2mが前記再生終了第2圧力損失ΔP2bより低くなるまで、前記開閉弁を閉弁して閉弁状態で再生制御を行い、前記閉弁時圧力損失ΔP2mが前記再生終了第2圧力損失ΔP2b以上になったら、前記開閉弁14を開弁して開弁状態で再生制御を行い、前記開弁時圧力損失ΔP1mが前記再生終了第1圧力損失ΔP1bより低くなったら、DPF再生を終了することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の排気ガス浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−246895(P2012−246895A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121433(P2011−121433)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】