排気ガス浄化装置
【課題】排気ガス入口管16の形状に依存することなく排気ガスが均一に流入できる構造の排気ガス浄化装置1を提供する。
【解決手段】排気ガスを浄化する2つのガス浄化体2,3と、各ガス浄化体2,3を内蔵した内側ケース4,20と、各内側ケース4,20を内蔵した外側ケース5,21と、エンジン70からの排気ガスが流入する排気ガス入口管16と、両ガス浄化体2,3を通過した排気ガスが流出する排気ガス出口管34とを備える。各外側ケース5,21を排気ガス移動方向に並べて連結する。排気上流側の外側ケース5の外側面と前記排気ガス入口管16の内側面とによって排気ガスの導入通路200を構成するように、排気ガス入口管16を排気上流側の外側ケース5に取り付ける。排気上流側の外側ケース5の外側面と排気ガス入口管16の内側面とのうち少なくとも一方に、排気ガスの流れを整えるための整流体201a,201bを設ける。
【解決手段】排気ガスを浄化する2つのガス浄化体2,3と、各ガス浄化体2,3を内蔵した内側ケース4,20と、各内側ケース4,20を内蔵した外側ケース5,21と、エンジン70からの排気ガスが流入する排気ガス入口管16と、両ガス浄化体2,3を通過した排気ガスが流出する排気ガス出口管34とを備える。各外側ケース5,21を排気ガス移動方向に並べて連結する。排気上流側の外側ケース5の外側面と前記排気ガス入口管16の内側面とによって排気ガスの導入通路200を構成するように、排気ガス入口管16を排気上流側の外側ケース5に取り付ける。排気上流側の外側ケース5の外側面と排気ガス入口管16の内側面とのうち少なくとも一方に、排気ガスの流れを整えるための整流体201a,201bを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ディーゼルエンジン等に搭載される排気ガス浄化装置に係り、より詳しくは、排気ガス中に含まれた粒子状物質(すす、パティキュレート)等を除去する排気ガス浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ディーゼルエンジン(以下、エンジンという)の排気経路中に、排気ガス浄化装置としてディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFという)を設け、ディーゼルエンジンからの排気ガスをDPFにて浄化処理する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。DPFにおいて、外側ケースの内部に内側ケースを二重構造に設け、酸化触媒又はスートフィルタ等を内側ケースに内蔵する技術も公知である(例えば特許文献2参照)。DPFにおいて、酸化触媒を入れたケースと、スートフィルタを入れたケースとを、ボルト締結されるフランジを介して分離可能に連結する技術も公知である(例えば特許文献3及び4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−263593号公報
【特許文献2】特開2005−194949号公報
【特許文献3】特開2009−228516号公報
【特許文献4】特開2009−91982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンジンは汎用性が広く、建設機械、農作業機、船舶といった様々な分野で用いられる。エンジンの搭載スペースは、搭載される機械によって様々であるが、近年は、軽量化・コンパクト化の要請で、搭載スペースに制約がある(狭い)ことが多い。しかも、DPFにおいては、これを通過する排気ガスの温度が高温(例えば300℃以上)であるのが機能的に望ましいとされている。このため、エンジンにDPFを取り付けたいという要請がある。
【0005】
エンジンにDPFを取り付ける場合、DPFの取付け位置によっては、排気マニホールドからDPFまでをつなぐ排気管路を長くしたり湾曲させたりすることが必要になる。しかし、排気管路が長ければ長いほど、DPFに到達するまでに排気ガス温度が下がり、DPFの排気ガス浄化性能の低下を招来する。また、排気管路が湾曲していれば、排気ガスは排気管路の湾曲内面に衝突しながら流れるから、排気ガスの流速は当然遅くなる。流速の低下はいきおい排気ガス温度の低下を促すため、この場合もDPFの排気ガス浄化性能の低下を招来する。
【0006】
そこで、本願発明は、これらの現状を検討した上で、排気管路の形状に依存することなく排気ガスが均一に流入できる構造のDPFを提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、エンジンが排出した排気ガスを浄化する2つのガス浄化体と、前記各ガス浄化体を内蔵した内側ケースと、前記各内側ケースを内蔵した外側ケースと、前記エンジンからの排気ガスが流入する排気ガス入口管と、前記両ガス浄化体を通過した排気ガスが流出する排気ガス出口管とを備えており、前記各外側ケースが排気ガス移動方向に並べて連結されている排気ガス浄化装置であって、排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面とによって排気ガスの導入通路を構成するように、前記排気ガス入口管が前記排気上流側の外側ケースに取り付けられており、前記排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面とのうち少なくとも一方に、排気ガスの流れを整えるための整流体が設けられているというものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した排気ガス浄化装置において、前記両ガス浄化体の接続境界位置に対して、前記両外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせているというものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、一方のガス浄化体を内蔵した内側ケースに、他方のガス浄化体を内蔵した内側ケースが挿入されており、前記両内側ケースの間には隙間が空いているというものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちいずれかに記載した排気ガス浄化装置において、前記排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面との両方に、前記整流体が設けられており、前記外側ケース側の整流体を排気上流側に位置させ、前記排気ガス入口管側の整流体を排気下流側に位置させているというものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のうちいずれかに記載した排気ガス浄化装置において、前記排気上流側の外側ケースとこれに内蔵された内側ケースとには、前記排気ガス入口管に連通する排気ガス流入口が形成されており、前記排気ガス流入口は矩形状に開口していて、その四隅部が円弧形状に形成されているというものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によると、エンジンが排出した排気ガスを浄化する2つのガス浄化体と、前記各ガス浄化体を内蔵した内側ケースと、前記各内側ケースを内蔵した外側ケースと、前記エンジンからの排気ガスが流入する排気ガス入口管と、前記両ガス浄化体を通過した排気ガスが流出する排気ガス出口管とを備えており、前記各外側ケースが排気ガス移動方向に並べて連結されている排気ガス浄化装置であって、排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面とによって排気ガスの導入通路を構成するように、前記排気ガス入口管が前記排気上流側の外側ケースに取り付けられており、前記排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面とのうち少なくとも一方に、排気ガスの流れを整えるための整流体が設けられているから、前記整流体の存在によって、前記排気ガス入口管の形状に大きく影響されることなく、排気ガスを前記排気ガス浄化装置内にスムーズに送り込めることになる。このため、排気上流側の前記ガス浄化体に対して、排気ガスをできるだけ均一に流入させることが可能になり、前記ガス浄化体の全域を効率よく活用するのに貢献できるという効果を奏する。
【0013】
請求項2の発明によると、請求項1に記載した排気ガス浄化装置において、前記両ガス浄化体の接続境界位置に対して、前記両外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせているから、前記各ガス浄化体の排気ガス移動方向の長さを確保しつつ、前記両外側ケースの排気ガス移動方向の長さを短縮することが可能になる。従って、前記両外側ケース等の剛性向上や軽量化を図りつつ、前記排気ガス浄化装置の全長をコンパクト化(短縮)できるという効果を奏する。連結用の前記フランジ体の存在によって、排気ガス漏れ等も簡単に防止できるという利点もある。
【0014】
請求項3の発明によると、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、一方のガス浄化体を内蔵した内側ケースに、他方のガス浄化体を内蔵した内側ケースが挿入されており、前記両内側ケースの間には隙間が空いているから、前記一方の内側ケースから前記他方の内側ケースを分離させることによって、前記他方の内側ケース内にある前記ガス浄化体を外部に大きく露出させることができる。このため、前記フランジ体の連結解除にて前記各外側ケースを分離させて実行するメンテナンス作業(前記各ガス浄化体の掃除等)の作業性を向上できるという効果を奏する。また、前記両内側ケースの間にある前記隙間の存在によって、前記両内側ケース同士を手軽に着脱できる。すなわち、例えば排気ガス漏れ防止のために前記両内側ケースを密嵌させるという従来の構成では、前記両内側ケース同士が錆等に起因して一体化し簡単に分離できなくなる。これに比べて、前記両内側ケースの分離が至極簡単であり、この点でも、前記各ガス浄化体のメンテナンス性や交換作業性を向上できるのである。
【0015】
請求項4の発明によると、請求項1〜3のうちいずれかに記載した排気ガス浄化装置において、前記排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面との両方に、前記整流体が設けられており、前記外側ケース側の整流体を排気上流側に位置させ、前記排気ガス入口管側の整流体を排気下流側に位置させているから、前記導入通路内に位置する前記整流体でありながら、前記外側ケースの外側面や前記排気ガス入口管に簡単な加工作業にて、互いに干渉することなく取付けできるという効果を奏する。
【0016】
請求項5の発明によると、請求項1〜4のうちいずれかに記載した排気ガス浄化装置において、前記排気上流側の外側ケースとこれに内蔵された内側ケースとには、前記排気ガス入口管に連通する排気ガス流入口が形成されており、前記排気ガス流入口は矩形状に開口していて、その四隅部が円弧形状に形成されているから、前記排気ガス流入口を矩形状に開口させて当該開口面積をできるだけ広くすることによって、排気ガスの流入抵抗の増大を抑制したものでありながら、前記四隅部を円弧形状にすることによって、前記排気ガス流入口を通過する排気ガスが乱流化するのを抑制できる。従って、前記排気ガス流入口を通過する排気ガスの流入圧力のばらつきを少なくして、前記排気ガス浄化装置内に排気ガスをできるだけ均一に流入させることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】DPFの断面説明図である。
【図2】DPFの外観斜視図である。
【図3】DPFにおける排気上流側の外観側面図である。
【図4】DPFにおける排気下流側の外観側面図である。
【図5】DPFの分離断面説明図である。
【図6】挟持フランジの分離側面図である。
【図7】触媒側接合フランジの拡大側面断面図である。
【図8】排気上流側にあるセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図9】DPFにおける排気上流側の拡大側面断面図である。
【図10】DPFにおける排気上流側の拡大平面断面図である。
【図11】DPFにおける排気下流側の拡大側面断面図である。
【図12】排気下流側にあるセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図13】消音器構造の別例を示す拡大側面断面図である。
【図14】DPF搭載のディーゼルエンジンを排気マニホールド側から見た側面図である。
【図15】DPFの取付け構造を示す外観側面図である。
【図16】DPF搭載のディーゼルエンジンをフライホイール側から見た側面図である。
【図17】DPFの取付け構造を示す排気上流側の外観側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本願発明を具体化した排気ガス浄化装置を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、ディーゼルパティキュレートフィルタ1における排気ガス流入口12側を左側とし、同じく消音器30側を右側としている。このような特定の方向や位置を示す用語は説明の便宜のために用いたものであり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
(1).排気ガス浄化装置の概略構造
まず、図1〜図4を参照しながら、排気ガス浄化装置の概略構造について説明する。図1乃至図4に示す如く、排気ガス浄化装置としての連続再生式のディーゼルパティキュレートフィルタ1(以下、DPF1という)を備えている。DPF1によって、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減するように構成している。
【0020】
図1及び図14〜図17に示す如く、排気ガス浄化装置としてのDPF1は、排気ガス中の粒子状物質(PM)等を捕集するためのものであり、ディーゼルエンジン70の出力軸(クランク軸)と平行な左右方向に長く延びた略円筒形状に構成されている。エンジン70の排気マニホールド71上にDPF1を配置する。DPF1の左右両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガス入口管16(排気ガス取入れ側)と排気ガス出口管34(排気ガス排出側)とが、ディーゼルエンジン70の左右に振り分けて設けられている。DPF1の排気ガス取入れ側である排気ガス入口管16は、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71に着脱可能にボルト締結されている。DPF1の排気ガス排出側である排気ガス出口管34にはテールパイプ(図示省略)が接続される。
【0021】
図1〜図4に示す如く、DPF1は、耐熱金属材料製のDPFケーシング60に、円筒型の内側ケース4,20を介して、例えば白金等のディーゼル酸化触媒2とハニカム構造のスートフィルタ3とが直列に並べて収容された構造になっている。図14〜図17に示すように、DPF1は、支持体としてのフランジ側ブラケット脚61a,61b及びケーシング側ブラケット脚62a,62bを介して、ディーゼルエンジン70のシリンダヘッド72及び排気マニホールド71に取り付けられている。
【0022】
この場合、フランジ側ブラケット脚61a,61bの基端側は、DPFケーシング60の外周側にあるフィルタ側接合フランジ26(詳細は後述する)に着脱可能にボルト締結されている。また、一方のケーシング側ブラケット脚62aの基端側は、DPFケーシング60の外周側にある排気ガス入口管16に一体的に溶接固定されている。他方のケーシング側ブラケット脚62bの基端側は、DPFケーシング60の外蓋体9(詳細は後述する)に着脱可能にボルト締結されている。フランジ側ブラケット脚61a,61bの先端側は、シリンダヘッド72における冷却ファン76側の側面及び排気マニホールド71側の側面に着脱可能にボルト締結されている。一方のケーシング側ブラケット脚62aの先端側は、排気マニホールド71の側面に着脱可能にボルト締結されている。他方のケーシング側ブラケット脚62bの先端側は、シリンダヘッド72におけるフライホイールハウジング78側の側面に着脱可能にボルト締結されている。排気マニホールド71の排気ガス排出側に、排気ガス入口管16の入口フランジ体17(詳細は後述する)を締結させることによって、排気マニホールド71に排気ガス入口管16を介してDPF1が連通接続される。その結果、DPF1は、各ブラケット脚61a,61b,62a,62bによって、ディーゼルエンジン70の高剛性部品である排気マニホールド71及びシリンダヘッド72に安定的に連結支持されることになる。従って、振動等によるDPF1の損傷抑制を図れる。
【0023】
上記の構成において、ディーゼルエンジン70の排気ガスは、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71から、DPFケーシング60内のディーゼル酸化触媒2側に流入し、ディーゼル酸化触媒2からスートフィルタ3側に移動して浄化処理される。排気ガス中の粒子状物質は、スートフィルタ3における各セル間の多孔質形状の仕切り壁を通り抜けできない。すなわち、排気ガス中の粒子状物質はスートフィルタ3に捕集される。その後、ディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3を通過した排気ガスがテールパイプから放出される。
【0024】
排気ガスがディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3を通過する際に、排気ガスの温度が再生可能温度(例えば約300℃程度)を超えていれば、ディーゼル酸化触媒2の作用によって、排気ガス中のNO(一酸化窒素)が不安定なNO2(二酸化窒素)に酸化される。そして、NO2がNOに戻る際に放出するO(酸素)によって、スートフィルタ3に捕集された粒子状物質が酸化除去される。なお、スートフィルタ3に粒子状物質が堆積した場合は、再生可能温度以上に排気ガス温度を保持すれば粒子状物質が酸化除去されるため、スートフィルタ3の粒子状物質の捕集能力が回復する(スートフィルタ3が再生する)ことになる。
【0025】
(2).ディーゼル酸化触媒の構造
次に、図1、図5及び図9等を参照しながら、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化体(フィルタ)の一例であるディーゼル酸化触媒2の構造を説明する。ディーゼル酸化触媒2は、耐熱金属材料製で略円筒型の触媒内側ケース4内に設けられている。触媒内側ケース4は、耐熱金属材料製で略円筒型の触媒外側ケース5内に設けられている。すなわち、ディーゼル酸化触媒2の外側に、セラミックファイバー製でマット状の触媒断熱材6を介して、触媒内側ケース4を被嵌させている。ディーゼル酸化触媒2と触媒内側ケース4の間に触媒断熱材6を圧入して、ディーゼル酸化触媒2を保護している。また、触媒内側ケース4の外側に、断面略S字状の薄板製支持体7を介して触媒外側ケース5を被嵌させている。触媒外側ケース5は、前述のDPFケーシング60を構成する要素の1つである。触媒内側ケース4に伝わる触媒外側ケース5の応力(機械振動、変形力)は、薄板製支持体7にて低減されることになる。
【0026】
図1、図5及び図9に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5の一側端部に円板状の側蓋体8を溶接にて固着している。側蓋体8の外面側には外蓋体9がボルト及びナットにて締結されている。ディーゼル酸化触媒2のガス流入側端面2aと側蓋体8とは、一定距離L1(ガス流入空間11)だけ離間させている。ディーゼル酸化触媒2のガス流入側端面2aと側蓋体8との間に排気ガス流入空間11を形成する。触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5には、排気ガス流入空間11に臨む排気ガス流入口12を開口させる。触媒内側ケース4の開口縁と触媒外側ケース5の開口縁の間に閉塞リング体15を挟持状に固着する。触媒内側ケース4の開口縁と触媒外側ケース5の開口縁の間の隙間が閉塞リング体15にて閉鎖されるから、触媒内側ケース4と触媒外側ケース5の間に排気ガスが流入するのを防止できる。
【0027】
図1、図5、図9及び図10に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に形成された排気ガス流入口12は矩形状に開口している。そして、排気ガス流入口12の四隅部は円弧形状に形成されている。すなわち、排気ガス流入口12の四隅部12aは、角アールが付けられて丸められている。このように構成すると、排気ガス流入口12を矩形状に開口させて当該開口面積をできるだけ広くすることによって、排気ガスの流入抵抗の増大を抑制したものでありながら、四隅部12aを円弧形状にすることによって、排気ガス流入口12を通過する排気ガスが乱流化するのを抑制できる。従って、排気ガス流入口12を通過する排気ガスの流入圧力のばらつきを少なくして、排気ガス流入空間11内に排気ガスをできるだけ均一に流入させることが可能になっている。
【0028】
図1、図5及び図9に示す如く、排気ガス流入口12が形成された触媒外側ケース5の外側面に排気ガス入口管16を配置している。排気ガス入口管16は上向きに開口した半割筒型に形成されており、大径側である矩形状の上向き開口端部16bが、排気ガス流入口12を覆い且つ触媒外側ケース5の長手(左右)方向に延びるようにして触媒外側ケース5の外側面に溶接固定されている。従って、排気ガス入口管16の排気ガス排出側である上向き開口端部16bは、触媒外側ケース5の排気ガス流入口12に連通接続されている。排気ガス入口管16のうち触媒外側ケース5の長手中途部寄りにある右端部には、排気ガス取入れ側として、小径真円状の下向き開口端部16aを開口させており、当該下向き開口端部16aの外周部に入口フランジ体17が溶接固定されている。入口フランジ体17は、排気マニホールド71の排気ガス排出側に着脱可能にボルト締結されている。
【0029】
図1、図5及び図9に示す如く、排気ガス入口管16の左端部側が触媒外側ケース5の排気ガス流入口12を外側から覆っている。排気ガス入口管16の右端部に、排気ガス入口側としての下向き開口端部16aが形成されている。すなわち、略矩形状の排気ガス流入口12に対して、排気ガス入口管16の下向き開口端部16aは、排気下流側にオフセットして設けられている(触媒外側ケース5の右側に位置をずらして設けられている)。また、排気ガス入口管16の上向き開口端部16bは、排気ガス流入口12を覆い且つ触媒外側ケース5の長手(左右)方向に延びるようにして触媒外側ケース5の外側面に溶接固定されている。このため、触媒外側ケース5の外側面と排気ガス入口管16の内側面とによって、排気ガスの導入通路200が構成されている。
【0030】
図1、図5及び図9に示すように、触媒外側ケース5の外側面と排気ガス入口管16の内側面とのうち少なくとも一方には、排気ガスの流れを整える整流体としての整流フィン201a,201bが設けられている。これら整流フィン201a,201bは湾曲片状に形成されている。実施形態では、排気上流側にある上流側整流フィン201aが触媒外側ケース5の外側面に溶接固定されている。排気下流側にある下流側整流フィン201bが排気ガス入口管16の内側面に溶接固定されている。両整流フィン201a,201bは、排気ガス入口管16を触媒外側ケース5の外側面に溶接固定した状態で、互いに重ならないオフセットし合った位置関係におかれている。上流側整流フィン201aは、排気ガス入口管16の下向き開口端部16aに流入した排気ガスを排気ガス入口管16の長手方向に案内する役割を担っている。下流側整流フィン201bは、導入通路200内の排気ガスを、排気ガス流入口12経由で排気ガス流入空間11に向けて案内する役割を担っている。排気マニホールド71から排気ガス入口管16内に流入した排気ガスは、両整流フィン201a,201bの存在によって側面視略S字状の流れを形成して、排気ガス流入口12に送り込まれることになる。
【0031】
このように構成すると、両整流フィン201a,201bの存在によって、排気ガス入口管16の形状に大きく影響されることなく、排気ガスをDPF1内にスムーズに送り込めることになるから、排気ガス流入空間11内に、ひいてはディーゼル酸化触媒2に対して、排気ガスをできるだけ均一に流入させることが可能になり、ディーゼル酸化触媒2の全域を効率よく活用するのに貢献できる。また、触媒外側ケース5の外側面と排気ガス入口管16の内側面とによって、排気ガスの導入通路200を構成することを前提として、上流側整流フィン201aを触媒外側ケース5の外側面に、下流側整流フィン201bを排気ガス入口管16の内側面に溶接固定するから、排気ガスの導入通路200内に位置するものでありながら、両整流フィン201a,201bを簡単な加工作業にて取付けできる。
【0032】
上記の構成において、ディーゼルエンジン70の排気ガスが、排気マニホールド71から排気ガス入口管16に入り、排気ガス入口管16から排気ガス流入口12を介して排気ガス流入空間11に入り、ディーゼル酸化触媒2にこの左側のガス流入側端面2aから供給される。ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって、二酸化窒素(NO2)が生成される。
【0033】
(3).スートフィルタの構造
次に、図1、図5及び図9を参照して、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化体(フィルタ)の一例であるスートフィルタ3の構造を説明する。スートフィルタ3は、耐熱金属材料製で略円筒型のフィルタ内側ケース20内に設ける。フィルタ内側ケース20は、耐熱金属材料製で略円筒型のフィルタ外側ケース21内に設ける。すなわち、スートフィルタ3の外側に、セラミックファイバー製でマット状のフィルタ断熱材22を介して、フィルタ内側ケース20を被嵌させている。フィルタ外側ケース21は、触媒外側ケース5と共に、前述したDPFケーシング60を構成する要素の1つである。なお、スートフィルタ3とフィルタ内側ケース20の間にフィルタ断熱材22を圧入して、スートフィルタ3を保護している。
【0034】
図1、図5及び図9に示す如く、稜線が直線の円筒状に形成された触媒内側ケース4は、ディーゼル酸化触媒2を収容する上流側筒部4aと、後述するフィルタ内側ケース20が挿入される下流側筒部4bとにより構成されている。なお、上流側筒部4aと下流側筒部4bとは略同一径の円筒であり、一体形状になっている。さらに、触媒内側ケース4の外周に溶接固定する薄板状リング形の触媒側接合フランジ25と、フィルタ内側ケース20の外周に溶接固定する薄板状リング形のフィルタ側接合フランジ26を備える。触媒側接合フランジ25とフィルタ側接合フランジ26とは、断面が略L字のドーナツ形状に形成されている。
【0035】
触媒内側ケース4における下流側筒部4bの端部には、触媒側接合フランジ25の内周側を溶接固定している。触媒外側ケース5の外周側(放射方向)に向けて、触媒側接合フランジ25の外周側を突出させている。触媒側接合フランジ25の折り曲げ角部は、階段状の段部25aになっている。触媒外側ケース5における排気下流側の端部が触媒側接合フランジ25の段部25aに溶接固定されている。一方、フィルタ内側ケース20の外周のうち長手中途部(排気ガス移動方向の中途部)に、フィルタ側接合フランジ26の内周側を溶接固定している。フィルタ外側ケース21の外周側(放射方向)に向けて、フィルタ側接合フランジ26の外周側を突出させている。フィルタ側接合フランジ26の折り曲げ角部も、階段状の段部26aになっている。フィルタ外側ケース21における排気上流側の端部が、フィルタ側接合フランジ26の段部26aに溶接固定されている。なお、フィルタ内側ケース20は、稜線が直線の円筒状に形成されている。フィルタ内側ケース20の排気上流側の端部と排気下流側の端部とは略同一径の円筒であり、一体形状になっている。
【0036】
ディーゼル酸化触媒2の外径とスートフィルタ3の外径とは等しく形成される。フィルタ断熱材22の厚みに比べて、触媒断熱材6の厚みを大きく形成する。一方、触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20とは、同一板厚の材料にて形成される。触媒内側ケース4の下流側筒部4bの内径に比べて、フィルタ内側ケース20の外径は小さく形成される。触媒内側ケース4の内周面とフィルタ内側ケース20の外周面との間には、下流側隙間23が形成される。下流側隙間23は、前記各ケース4,20の板厚(例えば1.5ミリメートル)よりも大きな寸法(例えば2ミリメートル)に形成する。このように構成すると、例えば前記各ケース4,20が錆びたり熱変形したりしても、触媒内側ケース4の下流側筒部4bにフィルタ内側ケース20の排気上流側の端部を簡単に出し入れできることになる。
【0037】
図1〜図5及び図8に示す如く、ガスケット24を介して触媒側接合フランジ25とフィルタ側接合フランジ26とを突き合わせる。各外側ケース5,21の外周側を囲う一対の厚板状の中央挟持フランジ51,52にて、各接合フランジ25,26を排気ガス移動方向の両側から挟む。ボルト27及びナット28にて各中央挟持フランジ51,52を締結して、各中央挟持フランジ51,52にて各接合フランジ25,26を挟持することにより、触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21とが着脱可能に連結される。
【0038】
図1及び図8に示す如く、各中央挟持フランジ51,52及び各接合フランジ25,26を介して、触媒外側ケース5の排気下流側の端部にフィルタ外側ケース21の排気上流側の端部を連結した状態では、ディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3との間に触媒下流側空間29が形成される。すなわち、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bと、スートフィルタ3(フィルタ内側ケース20)の取入れ側端面3aとが、センサ取付け用間隔L2だけ離れて対峙することになる。
【0039】
図1及び図5に示す如く、触媒内側ケース4における上流側筒部4aの排気ガス移動方向の円筒長さL3よりも、触媒外側ケース5の排気ガス移動方向の円筒長さL4を長く形成する。フィルタ内側ケース20の排気ガス移動方向の円筒長さL5よりも、フィルタ外側ケース21の排気ガス移動方向の円筒長さL6を短く形成する。触媒下流側空間29のセンサ取付け用間隔L2と、触媒内側ケース4の上流側筒部4aの円筒長さL3と、フィルタ内側ケース20の円筒長さL5とを加算した長さ(L2+L3+L5)は、触媒外側ケース5の円筒長さL4と、フィルタ外側ケース21の円筒長さL6とを加算した長さ(L4+L6)にほぼ等しくなるように構成されている。
【0040】
また、フィルタ内側ケース20の排気上流側の端部は、フィルタ外側ケース21の排気上流側の端部から、各ケース20,21の長さの差(L7≒L5−L6)だけ突出している。このため、触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21を連結した状態では、フィルタ外側ケース21から突出したフィルタ内側ケース20の排気上流側寸法L7だけ、触媒外側ケース5の排気下流側(触媒内側ケース4の下流側筒部4b)に、フィルタ内側ケース20の排気上流側の端部が挿入される。すなわち、下流側筒部4b(触媒下流側空間29)内に、フィルタ内側ケース20の排気上流側が抜き差し可能に挿入される。上記の説明及び図1から分かるように、ディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3との接続境界位置(触媒下流側空間29)に対して、触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21とを連結するフランジ体(触媒側接合フランジ25及びフィルタ側接合フランジ26)をオフセットさせている。換言すると、触媒下流側空間29に対して、触媒側接合フランジ25及びフィルタ側接合フランジ26の取付け位置をずらしている。
【0041】
上記の構成において、ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ3内に一側端面(取入れ側端面3a)から供給される。ディーゼルエンジン70の排気ガス中に含まれた粒子状物質(PM)は、スートフィルタ3に捕集されて、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン70の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。
【0042】
(4).消音器の構造
次に、図1、図5及び図11等を参照しながら、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガス音を減衰させる消音器30の構造について説明する。図1、図5及び図11に示す如く、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガス音を減衰させる消音器30は、耐熱金属材料製で略円筒形の消音内側ケース31と、耐熱金属材料製で略円筒形の消音外側ケース32と、消音外側ケース32の排気下流側の側端部に溶接にて固着した円板状の側蓋体33とを有する。消音外側ケース32内に消音内側ケース31を設ける。消音外側ケース32は、触媒外側ケース5及びフィルタ外側ケース21と共に、前述したDPFケーシング60を構成する。なお、円筒形の消音外側ケース32の直径は、円筒形の触媒外側ケース5の直径や円筒形のフィルタ外側ケース21の直径と略同一寸法である。
【0043】
消音内側ケース31内の中途部には円板状の内蓋体36が溶接にて固着されている。消音内側ケース31内には、排気ガス移動方向と平行状に延びる一対の排気ガス導入管38が設けられている。各排気ガス導入管38の排気上流側は内蓋体36を貫通していて、フィルタ内側ケース20内(フィルタ下流側空間49、詳細は後述する)まで突出している。各排気ガス導入管38における排気上流側の端部は円板状の導入管蓋37にて塞がれている。各排気ガス導入管38には多数の連通穴39が形成されている。連通穴39は、各排気ガス導入管38において内蓋体36よりも排気上流側の箇所にも形成されている。各排気ガス導入管38は連通穴39を介して膨張室45に連通している。膨張室45は、消音内側ケース31の内部(内蓋体36と側蓋体33との間)に形成されている。
【0044】
消音外側ケース32の側蓋体33には、各排気ガス導入管38の間に配置した排気ガス出口管34を貫通させている。排気ガス出口管34の排気上流側は内蓋体36によって閉塞されている。排気ガス出口管34のうち消音内側ケース31内の箇所には、多数の排気穴46が形成されている。各排気ガス導入管38は、多数の連通穴39、膨張室45及び多数の排気穴46を介して、排気ガス出口管34に連通している。排気ガス出口管34の他端側にテールパイプ(図示省略)が接続される。上記の構成において、消音内側ケース31の両排気ガス導入管38内に入り込んだ排気ガスは、複数の連通穴39、膨張室45及び多数の排気穴46を介して排気ガス出口管34を通過し、テールパイプを介して消音器30外に排出されることになる。
【0045】
図1、図5、図11及び図12に示す如く、フィルタ内側ケース20の排気下流側の端部に、薄板状リング形のフィルタ出口側接合フランジ40の内径側が溶接固定されている。フィルタ外側ケース21の外周側(半径外側、放射方向)に向けて、フィルタ出口側接合フランジ40の外径側を突出させている。フィルタ出口側接合フランジ40の外周側に、フィルタ外側ケース21の排気下流側の端部が溶接固定されている。消音内側ケース31の排気上流側の端部に、消音外側ケース32の外周側(半径外側)にはみ出る薄板状の消音側接合フランジ41が溶接固定されている。消音側接合フランジ41の外周側に、消音外側ケース32の排気上流側の端部が溶接固定されている。なお、消音側接合フランジ41の排気上流側に、消音内側ケース31の排気上流側の端部を、所定円筒寸法L10だけ突出させている。また、フィルタ内側ケース20と消音内側ケース31とは略同一径の円筒であり、フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32とは略同一径の円筒である。
【0046】
図1〜図4及び図6に示すように、ガスケット24を介してフィルタ出口側接合フランジ40と消音側接合フランジ41とを突き合わせ、各外側ケース21,32の外周側を囲う一対の厚板状の出口挟持フランジ53,54にて、各接合フランジ40,41を排気ガス移動方向の両側から挟持させる。そして、ボルト42及びナット43にて、各接合フランジ40,41に各出口挟持フランジ53,54を締結することにより、フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32とが着脱可能に連結される。
【0047】
図1及び図5に示すように、消音内側ケース31の排気ガス移動方向の円筒長さL8よりも、消音外側ケース32の排気ガス移動方向の円筒長さL9を短く形成している。消音内側ケース31の排気上流側の端部は、消音外側ケース32の排気上流側の端部(接合フランジ41)から、各ケース31,32の長さの差(L10≒L8−L9)だけ突出している。すなわち、フィルタ外側ケース21に消音外側ケース32を連結した状態では、消音内側ケース31の排気上流側の端部が突出した寸法L10だけ、フィルタ外側ケース21の排気下流側の端部(フィルタ出口側接合フランジ40)内に形成されたフィルタ下流側空間49に、消音内側ケース31の排気上流側の端部が挿入される。特に実施形態では、消音内側ケース31の排気上流側の端部よりも更に前方(排気上流側)にまで、各排気ガス導入管38における排気上流側の端部が突出している。すなわち、各排気ガス導入管38の排気上流側をフィルタ内側ケース20の内部にまで入り込ませている(図1、図5、図11及び図12参照)。上記の説明及び図1から分かるように、スートフィルタ3の接続境界位置(フィルタ下流側空間49)に対して、フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32とを連結するフランジ体(フィルタ出口側接合フランジ40及び消音側接合フランジ41)をオフセットさせている。換言すると、フィルタ下流側空間49に対して、フィルタ出口側接合フランジ40及び消音側接合フランジ41の取付け位置をずらしている。
【0048】
上記のように構成すると、各排気ガス導入管38の排気ガス移動方向の長さを確保しつつ、消音器30(消音外側ケース32)の排気ガス移動方向の長さを短縮できることになる。従って、消音器30付きのDPF1において、DPF1全体としてのコンパクト化と、消音器30における消音機能の維持向上とを両立できる。特に実施形態では、消音内側ケース31内の中途部を円板状の内蓋体36にて塞ぎ、内蓋体36に各排気ガス導入管38の排気上流側を貫通させ、各排気ガス導入管38において内蓋体36より排気上流側の箇所にも連通穴39が形成されている。内蓋体36より排気上流側にある連通穴39は、消音器30への排気ガス取り込みに寄与するものである。このため、消音器30(消音外側ケース32)の排気ガス移動方向の長さを短縮したものでありながら、排気ガス自体の移動距離を十分確保でき、消音器30の消音機能をより一層高めることが可能になる。
【0049】
(5).隣り合う外側ケース同士の連結構造
次に、図1〜図4及び図6を参照しながら、隣り合う外側ケース5,21,32同士の連結構造を説明する。図1〜図4及び図6に示す如く、厚板状の中央挟持フランジ51(52)は、触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)の周方向に複数(実施形態では2つ)に分割された半円弧体51a,51b(52a,52b)にて構成されている。実施形態の各半円弧体51a,51b(52a,52b)は、円弧状(ほぼ半円状の馬蹄形)に形成されている。触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21を連結した状態では、各半円弧体51a,51b(52a,52b)の端部同士が円周方向に沿って突き合わさる(当接する)。すなわち、各半円弧体51a,51b(52a,52b)によって、触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)の外周側が環状に囲われることになる。
【0050】
中央挟持フランジ51(52)には、周方向に沿った等間隔で、貫通穴付きのボルト締結部55が複数設けられている。実施形態では、1組の中央挟持フランジ51に付き8箇所のボルト締結部55を備えている。各半円弧体51a,51b(52a,52b)単位で見ると、円周方向に沿った等間隔で4箇所ずつボルト締結部55が設けられている。一方、触媒側接合フランジ25及びフィルタ側接合フランジ26には、中央挟持フランジ51(52)の各ボルト締結部55に対応するボルト穴56が貫通形成されている。
【0051】
触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21とを連結するに際しては、触媒外側ケース5の外周側を触媒側の両半円弧体51a,51bで囲うと共に、フィルタ外側ケース21の外周側をフィルタ側の両半円弧体52a,52bで囲い、ガスケット24を挟持した触媒側接合フランジ25とフィルタ側接合フランジ26とを、これら半円弧体群(中央挟持フランジ51,52)にて排気ガス移動方向の両側から挟持する。次いで、両側の中央挟持フランジ51,52のボルト締結部55と、両接合フランジ25,26のボルト穴56とに、ボルト27を挿入してナット28で締め付ける。その結果、両接合フランジ25,26が両中央挟持フランジ51,52で挟み固定され、触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21との連結が完了する。ここで、触媒側の半円弧体51a,51bと、フィルタ側の半円弧体52a,52bとの端部同士の突合せ部分は、互いに72°位相をずらして位置させるように構成されている。
【0052】
図1〜図4に示す如く、厚板状の出口挟持フランジ53(54)は、フィルタ外側ケース21(消音外側ケース32)の周方向に複数(実施形態では2つ)に分割された半円弧体53a,53b(54a,54b)にて構成されている。実施形態の各半円弧体53a,53b(54a,54b)は、中央挟持フランジ51(52)の半円弧体51a,51b(52a,52b)と基本的に同じ形態のものである。出口挟持フランジ53(54)にも、周方向に沿った等間隔で、貫通穴付きのボルト締結部57が複数設けられている。一方、フィルタ出口側接合フランジ40及び消音側接合フランジ41には、出口挟持フランジ53(54)の各ボルト締結部57に対応するボルト穴58が貫通形成されている。
【0053】
フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32とを連結するに際しては、フィルタ外側ケース21の外周側をフィルタ出口側の両半円弧体53a,53bで囲うと共に、消音外側ケース32の外周側を消音側の両半円弧体54a,54bで囲い、ガスケット24を挟持したフィルタ出口側接合フランジ40と消音側接合フランジ41とを、これら半円弧体群(出口挟持フランジ53,54)にて排気ガス移動方向の両側から挟持する。次いで、両側の出口挟持フランジ53,54のボルト締結部57と、両接合フランジ40,41のボルト穴58とに、ボルト42を挿入してナット43で締め付ける。その結果、両接合フランジ40,41が両出口挟持フランジ53,54で挟み固定され、フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32との連結が完了する。ここで、フィルタ出口側の半円弧体53a,53bと、消音側の半円弧体54a,54bとの端部同士の突合せ部分は、互いに72°位相をずらして位置させるように構成されている。
【0054】
図1〜図4及び図6に示す如く、エンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化体2,3)と、各ガス浄化体2,3を内蔵する各内側ケース4,20,31と、各内側ケース4,20,31を内蔵する各外側ケース5,21,32とを備える。各内側ケース4,20,31は、各外側ケース5,21,32の外周側にはみ出る接合フランジ25,26,40,41を介して、各外側ケース5,21,32に連結させる。ガス浄化体2,3、各内側ケース4,20,31及び各外側ケース5,21,32の組合せを複数備え、各接合フランジ25,26(40,41)を一対の挟持フランジ51,52(53,54)にて挟持固定することによって、複数の外側ケース5,21,32を連結する。
【0055】
このように構成すると、隣り合う接合フランジ25,26(40,41)を、各挟持フランジ51,52(53,54)にて両側から挟み付けて圧接(密着)できる。しかも、挟持フランジ51〜54を外側ケース5,21,32に溶接することなく別体に構成するので、挟持フランジ51〜54と外側ケース5,21,32との関係において、溶接に起因する応力集中や歪の問題が生ずるおそれはない。このため、各接合フランジ25,26(40,41)の全体に略均一な圧接力を付与できると共に、挟持フランジ51〜54のシール面(挟持面)の面圧を高い状態に維持できる。その結果、各接合フランジ25,26(40,41)の間からの排気ガス漏れを確実に防止できる。
【0056】
図1〜図4及び図6に示す如く、各挟持フランジ51〜54は、外側ケース5,21,32の周方向に複数に分割された馬蹄形の半円弧体51a,51b(52a,52b,53a,53b,54a,54b)からなり、複数の半円弧体51a,51b(52a,52b,53a,53b,54a,54b)にて外側ケース5,21,32の外周側を囲うように構成している。従って、複数の半円弧体51a,51b(52a,52b,53a,53b,54a,54b)で構成された挟持フランジ51〜54でありながら、一体物と同様の組付け状態にできる。このため、リング形状のフランジに比べて挟持フランジ51〜54の組付けが容易であり、組付け作業性を向上できる。また、加工コストや組付けコストを抑制しつつ、シール性の高いDPF1を構成できる。
【0057】
(6).接合フランジの詳細構造
次に、各接合フランジ25,26,40の詳細構造を説明する。各接合フランジ25,26,40はいずれも基本的に同じ構造であるから、触媒内側ケース4と触媒外側ケース5とに溶接固定される触媒側接合フランジ25を代表例として、図7を参照しながら説明する。図7に示す如く、触媒側接合フランジ25の折り曲げ角部に階段状の段部25aが形成されている。当該段部25aに触媒外側ケース5の排気下流側の端部を被嵌させ、触媒外側ケース5の排気下流側の端部に段部25aを溶接固定させている。
【0058】
一方、触媒内側ケース4(触媒外側ケース5)の排気ガス移動方向に、触媒側接合フランジ25におけるL形の内径側端部25bが延設されている。触媒内側ケース4の排気下流側の端部に内径側端部25bを被嵌させ、触媒内側ケース4に内径側端部25bを溶接固定させている。他方、触媒外側ケース5の外周から放射方向(鉛直方向)に向けて、触媒側接合フランジ25のL形の外径側端部25cを延設させている。触媒側接合フランジ25の断面L字形状と段部25aの存在とによって、触媒側接合フランジ25の高い剛性が確保されている。
【0059】
なお、挟持フランジ51,52及び接合フランジ25,26の各ボルト穴56を貫通したボルト27に、ナット28を螺着させることによって、挟持フランジ51,52と接合フランジ25,26を締結させ、触媒側接合フランジ25の外径側端部25cを挟持フランジ51,52にて挟持する構造は、前述した通りである。
【0060】
(6).ガス温度センサの取付け構造
次に、図1、図8、図9、図11及び図12を参照しながら、DPF1に付設するガス温度センサ109,112について説明する。図1、図8及び図9に示すように、触媒内側ケース4の外周面のうち上流側筒部4aと下流側筒部4bの間に、円筒状のセンサボス体110の一端側が溶接固定されている。触媒外側ケース5のセンサ取付け開口5aから、当該触媒外側ケース5の外側に向けて、放射方向にセンサボス体110の他端側を延長させている。すなわち、触媒内側ケース4の外周面のうちディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3との接続境界位置(触媒下流側空間29)の近傍に、排気ガスセンサ支持用のセンサボス体110が触媒外側ケース5を貫通するように設けられている。センサボス体110の他端側にセンサ取付けボルト111を螺着する。センサ取付けボルト111に、例えばサーミスタ形の上流側ガス温度センサ109を貫通させ、センサボス体110にセンサ取付けボルト111を介して上流側ガス温度センサ109を支持させる。触媒下流側空間29内に上流側ガス温度センサ109の検出部分を突入させている。上記の構成において、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bから排気ガスが排出された場合は、その排気ガス温度が上流側ガス温度センサ109にて検出される。
【0061】
図8及び図9に示すように、排気上流側のセンサボス体110は、ディーゼル酸化触媒2において排気ガス移動方向と直交するガス流出側端面2bの延長上で、且つ、スートフィルタ3において排気ガス移動方向と直交する取入れ側端面3aの延長上に位置している。この場合、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2b及びスートフィルタ3の取入れ側端面3aと、上流側ガス温度センサ109との配置間隔を極めて短く設定する(近接させる)ことが可能になるから、DPF1全体のコンパクト化を図れると共に、上流側ガス温度センサ109の検出精度を向上でき、DPF1に対する再生制御等の性能向上に寄与する。
【0062】
図1、図11及び図12に示すように、フィルタ内側ケース20の外周面のうちフィルタ下流側空間49の近傍にも、円筒状のセンサボス体110の一端側が溶接固定されている。フィルタ外側ケース21のセンサ取付け開口21aから、当該フィルタ外側ケース21の外側に向けて、放射方向にセンサボス体110の他端側を延長させている。すなわち、フィルタ内側ケース20の外周面のうちスートフィルタ3の接続境界位置の近傍に、排気ガスセンサ支持用のセンサボス体110がフィルタ外側ケース21を貫通するように設けられている。センサボス体110の他端側にセンサ取付けボルト111を螺着する。センサ取付けボルト111に、例えばサーミスタ形の下流側ガス温度センサ112を貫通させ、センサボス体110にセンサ取付けボルト111を介して下流側ガス温度センサ112を支持させる。フィルタ下流側空間49内に下流側ガス温度センサ112の検出部分を突入させている。上記の構成において、スートフィルタ3の排出側端面3bから排気ガスが排出された場合は、その排気ガス温度が下流側ガス温度センサ112にて検出される。
【0063】
図11及び図12に示すように、排気下流側のセンサボス体110は、スートフィルタ3において排気ガス移動方向と直交する排出側端面3bの延長上で、且つ、各排気ガス導入管38における排気上流側の端面(導入管蓋37)の延長上に位置している。この場合、スートフィルタ3の排出側端面3bと下流側ガス温度センサ112との配置間隔を極めて短く設定する(近接させる)ことが可能になる。この点でも、DPF1全体のコンパクト化を図れると共に、下流側ガス温度センサ112の検出精度を向上でき、DPF1に対する再生制御等の性能向上に寄与する。
【0064】
なお、両ガス温度センサ109,112に対するセンサボス体110と同様に、後述する差圧センサ63のセンサボス体113(図14〜図17参照)を構成できることは言うまでもない。
【0065】
(7).差圧センサの取付け構造
次に、図14〜図17を参照しながら、DPF1に付設する差圧センサ63について説明する。差圧センサ63は、DPF1内におけるスートフィルタ3を挟んだ上下流側間の排気ガスの圧力差を検出するためのものである。当該圧力差に基づいてスートフィルタ3の粒子状物質の堆積量が換算され、DPF1内の詰り状態を把握できるように構成している。すなわち、差圧センサ63にて検出された排気ガスの圧力差に基づき、例えば図示しないアクセル制御手段又は吸気スロットル制御手段等を作動させることによって、スートフィルタ3の再生制御を自動的に実行できるように構成されている。
【0066】
上述した消音側の出口挟持フランジ54にセンサブラケット66をボルト締結して、DPFケーシング60の上面側にセンサブラケット66を配置させる。差圧センサ63の検出本体67がセンサブラケット66に取付けられる。差圧センサ63の検出本体67には、上流側センサ配管68と下流側センサ配管69を介して上流側管継手体64と下流側管継手体65がそれぞれ接続される。DPFケーシング60には、前記センサボス体110と同様に、センサボス体113が配置される。管継手ボルト114によってセンサボス体113に上流側管継手体64(下流側管継手体65)が締結される。
【0067】
(8).消音器構造の別例
図13は消音器30構造の別例を示している。この場合、消音内側ケース31における排気上流側の端部に円板状の内蓋体36が溶接にて固着されている。各排気ガス導入管38の排気上流側は内蓋体36を貫通しているが、各排気ガス導入管38の排気上流側の端部と、消音内側ケース31の排気上流側の端部との位置は、側面断面視でほぼ一致している。各排気ガス導入管38における排気上流側の端部はそのまま開口させている。その他の構成は先の実施形態と同様である。このように構成した場合も、各排気ガス導入管38の排気ガス移動方向の長さを確保しつつ、消音器30(消音外側ケース32)の排気ガス移動方向の長さを短縮できるので、消音器30付きのDPF1において、DPF1全体としてのコンパクト化と、消音器30における消音機能の維持向上とを両立できることになる。
【0068】
(9).まとめ
上記の記載並びに図1、図5及び図9から明らかなように、エンジン70が排出した排気ガスを浄化する2つのガス浄化体2,3と、前記各ガス浄化体2,3を内蔵した内側ケース4,20と、前記各内側ケース4,20を内蔵した外側ケース5,21と、前記エンジン70からの排気ガスが流入する排気ガス入口管16と、前記両ガス浄化体2,3を通過した排気ガスが流出する排気ガス出口管34とを備えており、前記各外側ケース5,21が排気ガス移動方向に並べて連結されている排気ガス浄化装置1であって、排気上流側の外側ケース5の外側面と前記排気ガス入口管16の内側面とによって排気ガスの導入通路200を構成するように、前記排気ガス入口管16が前記排気上流側の外側ケース5に取り付けられており、前記排気上流側の外側ケース5の外側面と前記排気ガス入口管16の内側面とのうち少なくとも一方に、排気ガスの流れを整えるための整流体201a,201bが設けられているから、前記整流体201a,201bの存在によって、前記排気ガス入口管16の形状に大きく影響されることなく、排気ガスを前記排気ガス浄化装置1内にスムーズに送り込めることになる。このため、排気上流側の前記ガス浄化体2に対して、排気ガスをできるだけ均一に流入させることが可能になり、前記ガス浄化体2の全域を効率よく活用するのに貢献できるという効果を奏する。
【0069】
上記の記載並びに図1及び図5から明らかなように、前記両ガス浄化体2,3の接続境界位置29に対して、前記両外側ケース5,21を連結するフランジ体25,26をオフセットさせているから、前記各ガス浄化体2,3の排気ガス移動方向の長さを確保しつつ、前記両外側ケース5,21の排気ガス移動方向の長さを短縮することが可能になる。従って、前記両外側ケース5,21等の剛性向上や軽量化を図りつつ、前記排気ガス浄化装置1の全長をコンパクト化(短縮)できるという効果を奏する。連結用の前記フランジ体25,26の存在によって、排気ガス漏れ等も簡単に防止できるという利点もある。
【0070】
また、前記排気下流側のガス浄化体3の接続境界位置に対して、前記排気下流側の外側ケース21と前記消音器30とを連結するフランジ体40,41をオフセットさせているから、前記排気下流側の外側ケース21と前記消音器30との排気ガス移動方向の長さを短縮することも可能であり、前記消音器30付きの前記排気ガス浄化装置1においても、その全長のコンパクト化(短縮)を図れることになる。
【0071】
上記の記載並びに図1及び図5から明らかなように、一方のガス浄化体2(3)を内蔵した内側ケース4(20)に、他方のガス浄化体3(2)を内蔵した内側ケース20(4)が挿入されており、前記両内側ケース4,20の間には隙間23が空いているから、前記一方の内側ケース4(20)から前記他方の内側ケース20(4)を分離させることによって、前記他方の内側ケース20(4)内にある前記ガス浄化体3(2)を外部に大きく露出させることができる。このため、前記フランジ体25,26の連結解除にて前記各外側ケース5,21を分離させて実行するメンテナンス作業(前記各ガス浄化体2,3の掃除等)の作業性を向上できるという効果を奏する。また、前記両内側ケース4,20の間にある隙間23の存在によって、前記両内側ケース4,20同士を手軽に着脱できる。すなわち、例えば排気ガス漏れ防止のために前記両内側ケース4,20を密嵌させるという従来の構成では、前記両内側ケース4,20同士が錆等に起因して一体化し簡単に分離できなくなる。これに比べて、前記両内側ケース4,20の分離が至極簡単であり、この点でも、前記各ガス浄化体2,3のメンテナンス性や交換作業性を向上できるのである。
【0072】
上記の記載並びに図1、図5及び図9から明らかなように、前記排気上流側の外側ケース5の外側面と前記排気ガス入口管16の内側面との両方に、前記整流体201a,201bが設けられており、前記外側ケース5側の整流体201aを排気上流側に位置させ、前記排気ガス入口管16側の整流体201bを排気下流側に位置させているから、前記導入通路200内に位置する前記整流体201a,201bでありながら、前記外側ケース5の外側面や前記排気ガス入口管16に簡単な加工作業にて、互いに干渉することなく取付けできるという効果を奏する。
【0073】
上記の記載並びに図1、図5、図9及び図10から明らかなように、前記排気上流側の外側ケース5とこれに内蔵された内側ケース4とには、前記排気ガス入口管16に連通する排気ガス流入口12が形成されており、前記排気ガス流入口12は矩形状に開口していて、その四隅部12aが円弧形状に形成されているから、前記排気ガス流入口12を矩形状に開口させて当該開口面積をできるだけ広くすることによって、排気ガスの流入抵抗の増大を抑制したものでありながら、前記四隅部12aを円弧形状にすることによって、前記排気ガス流入口12を通過する排気ガスが乱流化するのを抑制できる。従って、前記排気ガス流入口12を通過する排気ガスの流入圧力のばらつきを少なくして、前記排気ガス浄化装置1内に排気ガスをできるだけ均一に流入させることが可能になるという効果を奏する。
【0074】
上記の記載並びに図1、図5及び図11から明らかなように、エンジン70が排出した排気ガスを浄化する2つのガス浄化体2,3と、前記各ガス浄化体2,3を内蔵した内側ケース4,20と、前記各内側ケース4,20を内蔵した外側ケース5,21と、前記エンジン70からの排気ガスが流入する排気ガス入口管16と、前記両ガス浄化体2,3を通過した排気ガスが流出する排気ガス出口管34とを備えており、前記各外側ケース5,21が排気ガス移動方向に並べて連結されている排気ガス浄化装置1であって、前記排気下流側の外側ケース21には、前記排気ガス出口管34を有する消音器30が取り付けられており、前記消音器30内には、排気ガス移動方向と平行状に延びる排気ガス導入管38が内蔵されており、前記排気ガス導入管38の排気上流側を、前記排気下流側の内側ケース20の内部に入り込ませているから、前記各排気ガス導入管38の排気ガス移動方向の長さを確保しつつ、前記消音器30(消音外側ケース32)の排気ガス移動方向の長さを短縮できることになる。従って、前記消音器30付きの前記排気ガス浄化装置1において、前記排気ガス浄化装置1全体としてのコンパクト化と、前記消音器30における消音機能の維持向上とを両立できるという効果を奏する。
【0075】
上記の記載並びに図1、図5、図11及び図12から明らかなように、前記消音器30における排気上流側の端部は内蓋体36にて塞がれており、前記排気ガス導入管38は前記内蓋体38を貫通して前記排気下流側の内側ケース20の内部に入り込んでおり、前記排気ガス導入管38のうち前記内蓋体36よりも排気上流側に、排気ガス取り込み用の連通穴39が形成されているから、前記内蓋体36より排気上流側にある前記連通穴39は、前記消音器30への排気ガス取り込みに寄与することになる。このため、前記消音器30の排気ガス移動方向の長さを短縮したものでありながら、排気ガス自体の移動距離を十分確保でき、前記消音器30の消音機能をより一層高めることが可能になるという効果を奏する。
【0076】
上記の記載並びに、図1、図8、図9、図11及び図12から明らかなように、前記排気下流側の内側ケース20の外周面のうち前記ガス浄化体3の接続境界位置49の近傍には、排気ガスセンサ112支持用のセンサボス体110が前記排気下流側の外側ケース21を貫通するように設けられており、前記センサボス体110は、前記ガス浄化体3において排気ガス移動方向と直交する端面3bの延長上、若しくは、前記排気ガス導入管38における排気上流側の端面の延長上に位置しているから、前記ガス浄化体3の端面3bと前記排気ガスセンサ112との配置間隔を極めて短く設定する(近接させる)ことが可能になる。従って、前記排気ガス浄化装置1全体のコンパクト化を図れると共に、前記排気ガスセンサ112の検出精度を向上でき、前記排気ガス浄化装置1に対する再生制御等の性能向上に寄与するという効果を奏する。
【0077】
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)
2 ディーゼル酸化触媒(ガス浄化体)
3 スートフィルタ(ガス浄化体)
4 触媒内側ケース
5 触媒外側ケース
20 フィルタ内側ケース
21 フィルタ外側ケース
25,26,40,41 接合フランジ(フランジ体)
30 消音器
31 消音内側ケース
32 消音外側ケース
38 排気ガス導入管
70 ディーゼルエンジン
200 導入通路
201a,201b 整流フィン(整流体)
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ディーゼルエンジン等に搭載される排気ガス浄化装置に係り、より詳しくは、排気ガス中に含まれた粒子状物質(すす、パティキュレート)等を除去する排気ガス浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ディーゼルエンジン(以下、エンジンという)の排気経路中に、排気ガス浄化装置としてディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFという)を設け、ディーゼルエンジンからの排気ガスをDPFにて浄化処理する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。DPFにおいて、外側ケースの内部に内側ケースを二重構造に設け、酸化触媒又はスートフィルタ等を内側ケースに内蔵する技術も公知である(例えば特許文献2参照)。DPFにおいて、酸化触媒を入れたケースと、スートフィルタを入れたケースとを、ボルト締結されるフランジを介して分離可能に連結する技術も公知である(例えば特許文献3及び4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−263593号公報
【特許文献2】特開2005−194949号公報
【特許文献3】特開2009−228516号公報
【特許文献4】特開2009−91982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンジンは汎用性が広く、建設機械、農作業機、船舶といった様々な分野で用いられる。エンジンの搭載スペースは、搭載される機械によって様々であるが、近年は、軽量化・コンパクト化の要請で、搭載スペースに制約がある(狭い)ことが多い。しかも、DPFにおいては、これを通過する排気ガスの温度が高温(例えば300℃以上)であるのが機能的に望ましいとされている。このため、エンジンにDPFを取り付けたいという要請がある。
【0005】
エンジンにDPFを取り付ける場合、DPFの取付け位置によっては、排気マニホールドからDPFまでをつなぐ排気管路を長くしたり湾曲させたりすることが必要になる。しかし、排気管路が長ければ長いほど、DPFに到達するまでに排気ガス温度が下がり、DPFの排気ガス浄化性能の低下を招来する。また、排気管路が湾曲していれば、排気ガスは排気管路の湾曲内面に衝突しながら流れるから、排気ガスの流速は当然遅くなる。流速の低下はいきおい排気ガス温度の低下を促すため、この場合もDPFの排気ガス浄化性能の低下を招来する。
【0006】
そこで、本願発明は、これらの現状を検討した上で、排気管路の形状に依存することなく排気ガスが均一に流入できる構造のDPFを提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、エンジンが排出した排気ガスを浄化する2つのガス浄化体と、前記各ガス浄化体を内蔵した内側ケースと、前記各内側ケースを内蔵した外側ケースと、前記エンジンからの排気ガスが流入する排気ガス入口管と、前記両ガス浄化体を通過した排気ガスが流出する排気ガス出口管とを備えており、前記各外側ケースが排気ガス移動方向に並べて連結されている排気ガス浄化装置であって、排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面とによって排気ガスの導入通路を構成するように、前記排気ガス入口管が前記排気上流側の外側ケースに取り付けられており、前記排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面とのうち少なくとも一方に、排気ガスの流れを整えるための整流体が設けられているというものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した排気ガス浄化装置において、前記両ガス浄化体の接続境界位置に対して、前記両外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせているというものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、一方のガス浄化体を内蔵した内側ケースに、他方のガス浄化体を内蔵した内側ケースが挿入されており、前記両内側ケースの間には隙間が空いているというものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちいずれかに記載した排気ガス浄化装置において、前記排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面との両方に、前記整流体が設けられており、前記外側ケース側の整流体を排気上流側に位置させ、前記排気ガス入口管側の整流体を排気下流側に位置させているというものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のうちいずれかに記載した排気ガス浄化装置において、前記排気上流側の外側ケースとこれに内蔵された内側ケースとには、前記排気ガス入口管に連通する排気ガス流入口が形成されており、前記排気ガス流入口は矩形状に開口していて、その四隅部が円弧形状に形成されているというものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によると、エンジンが排出した排気ガスを浄化する2つのガス浄化体と、前記各ガス浄化体を内蔵した内側ケースと、前記各内側ケースを内蔵した外側ケースと、前記エンジンからの排気ガスが流入する排気ガス入口管と、前記両ガス浄化体を通過した排気ガスが流出する排気ガス出口管とを備えており、前記各外側ケースが排気ガス移動方向に並べて連結されている排気ガス浄化装置であって、排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面とによって排気ガスの導入通路を構成するように、前記排気ガス入口管が前記排気上流側の外側ケースに取り付けられており、前記排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面とのうち少なくとも一方に、排気ガスの流れを整えるための整流体が設けられているから、前記整流体の存在によって、前記排気ガス入口管の形状に大きく影響されることなく、排気ガスを前記排気ガス浄化装置内にスムーズに送り込めることになる。このため、排気上流側の前記ガス浄化体に対して、排気ガスをできるだけ均一に流入させることが可能になり、前記ガス浄化体の全域を効率よく活用するのに貢献できるという効果を奏する。
【0013】
請求項2の発明によると、請求項1に記載した排気ガス浄化装置において、前記両ガス浄化体の接続境界位置に対して、前記両外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせているから、前記各ガス浄化体の排気ガス移動方向の長さを確保しつつ、前記両外側ケースの排気ガス移動方向の長さを短縮することが可能になる。従って、前記両外側ケース等の剛性向上や軽量化を図りつつ、前記排気ガス浄化装置の全長をコンパクト化(短縮)できるという効果を奏する。連結用の前記フランジ体の存在によって、排気ガス漏れ等も簡単に防止できるという利点もある。
【0014】
請求項3の発明によると、請求項2に記載した排気ガス浄化装置において、一方のガス浄化体を内蔵した内側ケースに、他方のガス浄化体を内蔵した内側ケースが挿入されており、前記両内側ケースの間には隙間が空いているから、前記一方の内側ケースから前記他方の内側ケースを分離させることによって、前記他方の内側ケース内にある前記ガス浄化体を外部に大きく露出させることができる。このため、前記フランジ体の連結解除にて前記各外側ケースを分離させて実行するメンテナンス作業(前記各ガス浄化体の掃除等)の作業性を向上できるという効果を奏する。また、前記両内側ケースの間にある前記隙間の存在によって、前記両内側ケース同士を手軽に着脱できる。すなわち、例えば排気ガス漏れ防止のために前記両内側ケースを密嵌させるという従来の構成では、前記両内側ケース同士が錆等に起因して一体化し簡単に分離できなくなる。これに比べて、前記両内側ケースの分離が至極簡単であり、この点でも、前記各ガス浄化体のメンテナンス性や交換作業性を向上できるのである。
【0015】
請求項4の発明によると、請求項1〜3のうちいずれかに記載した排気ガス浄化装置において、前記排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面との両方に、前記整流体が設けられており、前記外側ケース側の整流体を排気上流側に位置させ、前記排気ガス入口管側の整流体を排気下流側に位置させているから、前記導入通路内に位置する前記整流体でありながら、前記外側ケースの外側面や前記排気ガス入口管に簡単な加工作業にて、互いに干渉することなく取付けできるという効果を奏する。
【0016】
請求項5の発明によると、請求項1〜4のうちいずれかに記載した排気ガス浄化装置において、前記排気上流側の外側ケースとこれに内蔵された内側ケースとには、前記排気ガス入口管に連通する排気ガス流入口が形成されており、前記排気ガス流入口は矩形状に開口していて、その四隅部が円弧形状に形成されているから、前記排気ガス流入口を矩形状に開口させて当該開口面積をできるだけ広くすることによって、排気ガスの流入抵抗の増大を抑制したものでありながら、前記四隅部を円弧形状にすることによって、前記排気ガス流入口を通過する排気ガスが乱流化するのを抑制できる。従って、前記排気ガス流入口を通過する排気ガスの流入圧力のばらつきを少なくして、前記排気ガス浄化装置内に排気ガスをできるだけ均一に流入させることが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】DPFの断面説明図である。
【図2】DPFの外観斜視図である。
【図3】DPFにおける排気上流側の外観側面図である。
【図4】DPFにおける排気下流側の外観側面図である。
【図5】DPFの分離断面説明図である。
【図6】挟持フランジの分離側面図である。
【図7】触媒側接合フランジの拡大側面断面図である。
【図8】排気上流側にあるセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図9】DPFにおける排気上流側の拡大側面断面図である。
【図10】DPFにおける排気上流側の拡大平面断面図である。
【図11】DPFにおける排気下流側の拡大側面断面図である。
【図12】排気下流側にあるセンサボス体の取付け部を示す拡大断面図である。
【図13】消音器構造の別例を示す拡大側面断面図である。
【図14】DPF搭載のディーゼルエンジンを排気マニホールド側から見た側面図である。
【図15】DPFの取付け構造を示す外観側面図である。
【図16】DPF搭載のディーゼルエンジンをフライホイール側から見た側面図である。
【図17】DPFの取付け構造を示す排気上流側の外観側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本願発明を具体化した排気ガス浄化装置を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、ディーゼルパティキュレートフィルタ1における排気ガス流入口12側を左側とし、同じく消音器30側を右側としている。このような特定の方向や位置を示す用語は説明の便宜のために用いたものであり、本願発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
(1).排気ガス浄化装置の概略構造
まず、図1〜図4を参照しながら、排気ガス浄化装置の概略構造について説明する。図1乃至図4に示す如く、排気ガス浄化装置としての連続再生式のディーゼルパティキュレートフィルタ1(以下、DPF1という)を備えている。DPF1によって、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減するように構成している。
【0020】
図1及び図14〜図17に示す如く、排気ガス浄化装置としてのDPF1は、排気ガス中の粒子状物質(PM)等を捕集するためのものであり、ディーゼルエンジン70の出力軸(クランク軸)と平行な左右方向に長く延びた略円筒形状に構成されている。エンジン70の排気マニホールド71上にDPF1を配置する。DPF1の左右両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガス入口管16(排気ガス取入れ側)と排気ガス出口管34(排気ガス排出側)とが、ディーゼルエンジン70の左右に振り分けて設けられている。DPF1の排気ガス取入れ側である排気ガス入口管16は、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71に着脱可能にボルト締結されている。DPF1の排気ガス排出側である排気ガス出口管34にはテールパイプ(図示省略)が接続される。
【0021】
図1〜図4に示す如く、DPF1は、耐熱金属材料製のDPFケーシング60に、円筒型の内側ケース4,20を介して、例えば白金等のディーゼル酸化触媒2とハニカム構造のスートフィルタ3とが直列に並べて収容された構造になっている。図14〜図17に示すように、DPF1は、支持体としてのフランジ側ブラケット脚61a,61b及びケーシング側ブラケット脚62a,62bを介して、ディーゼルエンジン70のシリンダヘッド72及び排気マニホールド71に取り付けられている。
【0022】
この場合、フランジ側ブラケット脚61a,61bの基端側は、DPFケーシング60の外周側にあるフィルタ側接合フランジ26(詳細は後述する)に着脱可能にボルト締結されている。また、一方のケーシング側ブラケット脚62aの基端側は、DPFケーシング60の外周側にある排気ガス入口管16に一体的に溶接固定されている。他方のケーシング側ブラケット脚62bの基端側は、DPFケーシング60の外蓋体9(詳細は後述する)に着脱可能にボルト締結されている。フランジ側ブラケット脚61a,61bの先端側は、シリンダヘッド72における冷却ファン76側の側面及び排気マニホールド71側の側面に着脱可能にボルト締結されている。一方のケーシング側ブラケット脚62aの先端側は、排気マニホールド71の側面に着脱可能にボルト締結されている。他方のケーシング側ブラケット脚62bの先端側は、シリンダヘッド72におけるフライホイールハウジング78側の側面に着脱可能にボルト締結されている。排気マニホールド71の排気ガス排出側に、排気ガス入口管16の入口フランジ体17(詳細は後述する)を締結させることによって、排気マニホールド71に排気ガス入口管16を介してDPF1が連通接続される。その結果、DPF1は、各ブラケット脚61a,61b,62a,62bによって、ディーゼルエンジン70の高剛性部品である排気マニホールド71及びシリンダヘッド72に安定的に連結支持されることになる。従って、振動等によるDPF1の損傷抑制を図れる。
【0023】
上記の構成において、ディーゼルエンジン70の排気ガスは、ディーゼルエンジン70の排気マニホールド71から、DPFケーシング60内のディーゼル酸化触媒2側に流入し、ディーゼル酸化触媒2からスートフィルタ3側に移動して浄化処理される。排気ガス中の粒子状物質は、スートフィルタ3における各セル間の多孔質形状の仕切り壁を通り抜けできない。すなわち、排気ガス中の粒子状物質はスートフィルタ3に捕集される。その後、ディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3を通過した排気ガスがテールパイプから放出される。
【0024】
排気ガスがディーゼル酸化触媒2及びスートフィルタ3を通過する際に、排気ガスの温度が再生可能温度(例えば約300℃程度)を超えていれば、ディーゼル酸化触媒2の作用によって、排気ガス中のNO(一酸化窒素)が不安定なNO2(二酸化窒素)に酸化される。そして、NO2がNOに戻る際に放出するO(酸素)によって、スートフィルタ3に捕集された粒子状物質が酸化除去される。なお、スートフィルタ3に粒子状物質が堆積した場合は、再生可能温度以上に排気ガス温度を保持すれば粒子状物質が酸化除去されるため、スートフィルタ3の粒子状物質の捕集能力が回復する(スートフィルタ3が再生する)ことになる。
【0025】
(2).ディーゼル酸化触媒の構造
次に、図1、図5及び図9等を参照しながら、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化体(フィルタ)の一例であるディーゼル酸化触媒2の構造を説明する。ディーゼル酸化触媒2は、耐熱金属材料製で略円筒型の触媒内側ケース4内に設けられている。触媒内側ケース4は、耐熱金属材料製で略円筒型の触媒外側ケース5内に設けられている。すなわち、ディーゼル酸化触媒2の外側に、セラミックファイバー製でマット状の触媒断熱材6を介して、触媒内側ケース4を被嵌させている。ディーゼル酸化触媒2と触媒内側ケース4の間に触媒断熱材6を圧入して、ディーゼル酸化触媒2を保護している。また、触媒内側ケース4の外側に、断面略S字状の薄板製支持体7を介して触媒外側ケース5を被嵌させている。触媒外側ケース5は、前述のDPFケーシング60を構成する要素の1つである。触媒内側ケース4に伝わる触媒外側ケース5の応力(機械振動、変形力)は、薄板製支持体7にて低減されることになる。
【0026】
図1、図5及び図9に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5の一側端部に円板状の側蓋体8を溶接にて固着している。側蓋体8の外面側には外蓋体9がボルト及びナットにて締結されている。ディーゼル酸化触媒2のガス流入側端面2aと側蓋体8とは、一定距離L1(ガス流入空間11)だけ離間させている。ディーゼル酸化触媒2のガス流入側端面2aと側蓋体8との間に排気ガス流入空間11を形成する。触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5には、排気ガス流入空間11に臨む排気ガス流入口12を開口させる。触媒内側ケース4の開口縁と触媒外側ケース5の開口縁の間に閉塞リング体15を挟持状に固着する。触媒内側ケース4の開口縁と触媒外側ケース5の開口縁の間の隙間が閉塞リング体15にて閉鎖されるから、触媒内側ケース4と触媒外側ケース5の間に排気ガスが流入するのを防止できる。
【0027】
図1、図5、図9及び図10に示す如く、触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5に形成された排気ガス流入口12は矩形状に開口している。そして、排気ガス流入口12の四隅部は円弧形状に形成されている。すなわち、排気ガス流入口12の四隅部12aは、角アールが付けられて丸められている。このように構成すると、排気ガス流入口12を矩形状に開口させて当該開口面積をできるだけ広くすることによって、排気ガスの流入抵抗の増大を抑制したものでありながら、四隅部12aを円弧形状にすることによって、排気ガス流入口12を通過する排気ガスが乱流化するのを抑制できる。従って、排気ガス流入口12を通過する排気ガスの流入圧力のばらつきを少なくして、排気ガス流入空間11内に排気ガスをできるだけ均一に流入させることが可能になっている。
【0028】
図1、図5及び図9に示す如く、排気ガス流入口12が形成された触媒外側ケース5の外側面に排気ガス入口管16を配置している。排気ガス入口管16は上向きに開口した半割筒型に形成されており、大径側である矩形状の上向き開口端部16bが、排気ガス流入口12を覆い且つ触媒外側ケース5の長手(左右)方向に延びるようにして触媒外側ケース5の外側面に溶接固定されている。従って、排気ガス入口管16の排気ガス排出側である上向き開口端部16bは、触媒外側ケース5の排気ガス流入口12に連通接続されている。排気ガス入口管16のうち触媒外側ケース5の長手中途部寄りにある右端部には、排気ガス取入れ側として、小径真円状の下向き開口端部16aを開口させており、当該下向き開口端部16aの外周部に入口フランジ体17が溶接固定されている。入口フランジ体17は、排気マニホールド71の排気ガス排出側に着脱可能にボルト締結されている。
【0029】
図1、図5及び図9に示す如く、排気ガス入口管16の左端部側が触媒外側ケース5の排気ガス流入口12を外側から覆っている。排気ガス入口管16の右端部に、排気ガス入口側としての下向き開口端部16aが形成されている。すなわち、略矩形状の排気ガス流入口12に対して、排気ガス入口管16の下向き開口端部16aは、排気下流側にオフセットして設けられている(触媒外側ケース5の右側に位置をずらして設けられている)。また、排気ガス入口管16の上向き開口端部16bは、排気ガス流入口12を覆い且つ触媒外側ケース5の長手(左右)方向に延びるようにして触媒外側ケース5の外側面に溶接固定されている。このため、触媒外側ケース5の外側面と排気ガス入口管16の内側面とによって、排気ガスの導入通路200が構成されている。
【0030】
図1、図5及び図9に示すように、触媒外側ケース5の外側面と排気ガス入口管16の内側面とのうち少なくとも一方には、排気ガスの流れを整える整流体としての整流フィン201a,201bが設けられている。これら整流フィン201a,201bは湾曲片状に形成されている。実施形態では、排気上流側にある上流側整流フィン201aが触媒外側ケース5の外側面に溶接固定されている。排気下流側にある下流側整流フィン201bが排気ガス入口管16の内側面に溶接固定されている。両整流フィン201a,201bは、排気ガス入口管16を触媒外側ケース5の外側面に溶接固定した状態で、互いに重ならないオフセットし合った位置関係におかれている。上流側整流フィン201aは、排気ガス入口管16の下向き開口端部16aに流入した排気ガスを排気ガス入口管16の長手方向に案内する役割を担っている。下流側整流フィン201bは、導入通路200内の排気ガスを、排気ガス流入口12経由で排気ガス流入空間11に向けて案内する役割を担っている。排気マニホールド71から排気ガス入口管16内に流入した排気ガスは、両整流フィン201a,201bの存在によって側面視略S字状の流れを形成して、排気ガス流入口12に送り込まれることになる。
【0031】
このように構成すると、両整流フィン201a,201bの存在によって、排気ガス入口管16の形状に大きく影響されることなく、排気ガスをDPF1内にスムーズに送り込めることになるから、排気ガス流入空間11内に、ひいてはディーゼル酸化触媒2に対して、排気ガスをできるだけ均一に流入させることが可能になり、ディーゼル酸化触媒2の全域を効率よく活用するのに貢献できる。また、触媒外側ケース5の外側面と排気ガス入口管16の内側面とによって、排気ガスの導入通路200を構成することを前提として、上流側整流フィン201aを触媒外側ケース5の外側面に、下流側整流フィン201bを排気ガス入口管16の内側面に溶接固定するから、排気ガスの導入通路200内に位置するものでありながら、両整流フィン201a,201bを簡単な加工作業にて取付けできる。
【0032】
上記の構成において、ディーゼルエンジン70の排気ガスが、排気マニホールド71から排気ガス入口管16に入り、排気ガス入口管16から排気ガス流入口12を介して排気ガス流入空間11に入り、ディーゼル酸化触媒2にこの左側のガス流入側端面2aから供給される。ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって、二酸化窒素(NO2)が生成される。
【0033】
(3).スートフィルタの構造
次に、図1、図5及び図9を参照して、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化体(フィルタ)の一例であるスートフィルタ3の構造を説明する。スートフィルタ3は、耐熱金属材料製で略円筒型のフィルタ内側ケース20内に設ける。フィルタ内側ケース20は、耐熱金属材料製で略円筒型のフィルタ外側ケース21内に設ける。すなわち、スートフィルタ3の外側に、セラミックファイバー製でマット状のフィルタ断熱材22を介して、フィルタ内側ケース20を被嵌させている。フィルタ外側ケース21は、触媒外側ケース5と共に、前述したDPFケーシング60を構成する要素の1つである。なお、スートフィルタ3とフィルタ内側ケース20の間にフィルタ断熱材22を圧入して、スートフィルタ3を保護している。
【0034】
図1、図5及び図9に示す如く、稜線が直線の円筒状に形成された触媒内側ケース4は、ディーゼル酸化触媒2を収容する上流側筒部4aと、後述するフィルタ内側ケース20が挿入される下流側筒部4bとにより構成されている。なお、上流側筒部4aと下流側筒部4bとは略同一径の円筒であり、一体形状になっている。さらに、触媒内側ケース4の外周に溶接固定する薄板状リング形の触媒側接合フランジ25と、フィルタ内側ケース20の外周に溶接固定する薄板状リング形のフィルタ側接合フランジ26を備える。触媒側接合フランジ25とフィルタ側接合フランジ26とは、断面が略L字のドーナツ形状に形成されている。
【0035】
触媒内側ケース4における下流側筒部4bの端部には、触媒側接合フランジ25の内周側を溶接固定している。触媒外側ケース5の外周側(放射方向)に向けて、触媒側接合フランジ25の外周側を突出させている。触媒側接合フランジ25の折り曲げ角部は、階段状の段部25aになっている。触媒外側ケース5における排気下流側の端部が触媒側接合フランジ25の段部25aに溶接固定されている。一方、フィルタ内側ケース20の外周のうち長手中途部(排気ガス移動方向の中途部)に、フィルタ側接合フランジ26の内周側を溶接固定している。フィルタ外側ケース21の外周側(放射方向)に向けて、フィルタ側接合フランジ26の外周側を突出させている。フィルタ側接合フランジ26の折り曲げ角部も、階段状の段部26aになっている。フィルタ外側ケース21における排気上流側の端部が、フィルタ側接合フランジ26の段部26aに溶接固定されている。なお、フィルタ内側ケース20は、稜線が直線の円筒状に形成されている。フィルタ内側ケース20の排気上流側の端部と排気下流側の端部とは略同一径の円筒であり、一体形状になっている。
【0036】
ディーゼル酸化触媒2の外径とスートフィルタ3の外径とは等しく形成される。フィルタ断熱材22の厚みに比べて、触媒断熱材6の厚みを大きく形成する。一方、触媒内側ケース4とフィルタ内側ケース20とは、同一板厚の材料にて形成される。触媒内側ケース4の下流側筒部4bの内径に比べて、フィルタ内側ケース20の外径は小さく形成される。触媒内側ケース4の内周面とフィルタ内側ケース20の外周面との間には、下流側隙間23が形成される。下流側隙間23は、前記各ケース4,20の板厚(例えば1.5ミリメートル)よりも大きな寸法(例えば2ミリメートル)に形成する。このように構成すると、例えば前記各ケース4,20が錆びたり熱変形したりしても、触媒内側ケース4の下流側筒部4bにフィルタ内側ケース20の排気上流側の端部を簡単に出し入れできることになる。
【0037】
図1〜図5及び図8に示す如く、ガスケット24を介して触媒側接合フランジ25とフィルタ側接合フランジ26とを突き合わせる。各外側ケース5,21の外周側を囲う一対の厚板状の中央挟持フランジ51,52にて、各接合フランジ25,26を排気ガス移動方向の両側から挟む。ボルト27及びナット28にて各中央挟持フランジ51,52を締結して、各中央挟持フランジ51,52にて各接合フランジ25,26を挟持することにより、触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21とが着脱可能に連結される。
【0038】
図1及び図8に示す如く、各中央挟持フランジ51,52及び各接合フランジ25,26を介して、触媒外側ケース5の排気下流側の端部にフィルタ外側ケース21の排気上流側の端部を連結した状態では、ディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3との間に触媒下流側空間29が形成される。すなわち、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bと、スートフィルタ3(フィルタ内側ケース20)の取入れ側端面3aとが、センサ取付け用間隔L2だけ離れて対峙することになる。
【0039】
図1及び図5に示す如く、触媒内側ケース4における上流側筒部4aの排気ガス移動方向の円筒長さL3よりも、触媒外側ケース5の排気ガス移動方向の円筒長さL4を長く形成する。フィルタ内側ケース20の排気ガス移動方向の円筒長さL5よりも、フィルタ外側ケース21の排気ガス移動方向の円筒長さL6を短く形成する。触媒下流側空間29のセンサ取付け用間隔L2と、触媒内側ケース4の上流側筒部4aの円筒長さL3と、フィルタ内側ケース20の円筒長さL5とを加算した長さ(L2+L3+L5)は、触媒外側ケース5の円筒長さL4と、フィルタ外側ケース21の円筒長さL6とを加算した長さ(L4+L6)にほぼ等しくなるように構成されている。
【0040】
また、フィルタ内側ケース20の排気上流側の端部は、フィルタ外側ケース21の排気上流側の端部から、各ケース20,21の長さの差(L7≒L5−L6)だけ突出している。このため、触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21を連結した状態では、フィルタ外側ケース21から突出したフィルタ内側ケース20の排気上流側寸法L7だけ、触媒外側ケース5の排気下流側(触媒内側ケース4の下流側筒部4b)に、フィルタ内側ケース20の排気上流側の端部が挿入される。すなわち、下流側筒部4b(触媒下流側空間29)内に、フィルタ内側ケース20の排気上流側が抜き差し可能に挿入される。上記の説明及び図1から分かるように、ディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3との接続境界位置(触媒下流側空間29)に対して、触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21とを連結するフランジ体(触媒側接合フランジ25及びフィルタ側接合フランジ26)をオフセットさせている。換言すると、触媒下流側空間29に対して、触媒側接合フランジ25及びフィルタ側接合フランジ26の取付け位置をずらしている。
【0041】
上記の構成において、ディーゼル酸化触媒2の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ3内に一側端面(取入れ側端面3a)から供給される。ディーゼルエンジン70の排気ガス中に含まれた粒子状物質(PM)は、スートフィルタ3に捕集されて、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン70の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン70の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。
【0042】
(4).消音器の構造
次に、図1、図5及び図11等を参照しながら、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガス音を減衰させる消音器30の構造について説明する。図1、図5及び図11に示す如く、ディーゼルエンジン70が排出した排気ガス音を減衰させる消音器30は、耐熱金属材料製で略円筒形の消音内側ケース31と、耐熱金属材料製で略円筒形の消音外側ケース32と、消音外側ケース32の排気下流側の側端部に溶接にて固着した円板状の側蓋体33とを有する。消音外側ケース32内に消音内側ケース31を設ける。消音外側ケース32は、触媒外側ケース5及びフィルタ外側ケース21と共に、前述したDPFケーシング60を構成する。なお、円筒形の消音外側ケース32の直径は、円筒形の触媒外側ケース5の直径や円筒形のフィルタ外側ケース21の直径と略同一寸法である。
【0043】
消音内側ケース31内の中途部には円板状の内蓋体36が溶接にて固着されている。消音内側ケース31内には、排気ガス移動方向と平行状に延びる一対の排気ガス導入管38が設けられている。各排気ガス導入管38の排気上流側は内蓋体36を貫通していて、フィルタ内側ケース20内(フィルタ下流側空間49、詳細は後述する)まで突出している。各排気ガス導入管38における排気上流側の端部は円板状の導入管蓋37にて塞がれている。各排気ガス導入管38には多数の連通穴39が形成されている。連通穴39は、各排気ガス導入管38において内蓋体36よりも排気上流側の箇所にも形成されている。各排気ガス導入管38は連通穴39を介して膨張室45に連通している。膨張室45は、消音内側ケース31の内部(内蓋体36と側蓋体33との間)に形成されている。
【0044】
消音外側ケース32の側蓋体33には、各排気ガス導入管38の間に配置した排気ガス出口管34を貫通させている。排気ガス出口管34の排気上流側は内蓋体36によって閉塞されている。排気ガス出口管34のうち消音内側ケース31内の箇所には、多数の排気穴46が形成されている。各排気ガス導入管38は、多数の連通穴39、膨張室45及び多数の排気穴46を介して、排気ガス出口管34に連通している。排気ガス出口管34の他端側にテールパイプ(図示省略)が接続される。上記の構成において、消音内側ケース31の両排気ガス導入管38内に入り込んだ排気ガスは、複数の連通穴39、膨張室45及び多数の排気穴46を介して排気ガス出口管34を通過し、テールパイプを介して消音器30外に排出されることになる。
【0045】
図1、図5、図11及び図12に示す如く、フィルタ内側ケース20の排気下流側の端部に、薄板状リング形のフィルタ出口側接合フランジ40の内径側が溶接固定されている。フィルタ外側ケース21の外周側(半径外側、放射方向)に向けて、フィルタ出口側接合フランジ40の外径側を突出させている。フィルタ出口側接合フランジ40の外周側に、フィルタ外側ケース21の排気下流側の端部が溶接固定されている。消音内側ケース31の排気上流側の端部に、消音外側ケース32の外周側(半径外側)にはみ出る薄板状の消音側接合フランジ41が溶接固定されている。消音側接合フランジ41の外周側に、消音外側ケース32の排気上流側の端部が溶接固定されている。なお、消音側接合フランジ41の排気上流側に、消音内側ケース31の排気上流側の端部を、所定円筒寸法L10だけ突出させている。また、フィルタ内側ケース20と消音内側ケース31とは略同一径の円筒であり、フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32とは略同一径の円筒である。
【0046】
図1〜図4及び図6に示すように、ガスケット24を介してフィルタ出口側接合フランジ40と消音側接合フランジ41とを突き合わせ、各外側ケース21,32の外周側を囲う一対の厚板状の出口挟持フランジ53,54にて、各接合フランジ40,41を排気ガス移動方向の両側から挟持させる。そして、ボルト42及びナット43にて、各接合フランジ40,41に各出口挟持フランジ53,54を締結することにより、フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32とが着脱可能に連結される。
【0047】
図1及び図5に示すように、消音内側ケース31の排気ガス移動方向の円筒長さL8よりも、消音外側ケース32の排気ガス移動方向の円筒長さL9を短く形成している。消音内側ケース31の排気上流側の端部は、消音外側ケース32の排気上流側の端部(接合フランジ41)から、各ケース31,32の長さの差(L10≒L8−L9)だけ突出している。すなわち、フィルタ外側ケース21に消音外側ケース32を連結した状態では、消音内側ケース31の排気上流側の端部が突出した寸法L10だけ、フィルタ外側ケース21の排気下流側の端部(フィルタ出口側接合フランジ40)内に形成されたフィルタ下流側空間49に、消音内側ケース31の排気上流側の端部が挿入される。特に実施形態では、消音内側ケース31の排気上流側の端部よりも更に前方(排気上流側)にまで、各排気ガス導入管38における排気上流側の端部が突出している。すなわち、各排気ガス導入管38の排気上流側をフィルタ内側ケース20の内部にまで入り込ませている(図1、図5、図11及び図12参照)。上記の説明及び図1から分かるように、スートフィルタ3の接続境界位置(フィルタ下流側空間49)に対して、フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32とを連結するフランジ体(フィルタ出口側接合フランジ40及び消音側接合フランジ41)をオフセットさせている。換言すると、フィルタ下流側空間49に対して、フィルタ出口側接合フランジ40及び消音側接合フランジ41の取付け位置をずらしている。
【0048】
上記のように構成すると、各排気ガス導入管38の排気ガス移動方向の長さを確保しつつ、消音器30(消音外側ケース32)の排気ガス移動方向の長さを短縮できることになる。従って、消音器30付きのDPF1において、DPF1全体としてのコンパクト化と、消音器30における消音機能の維持向上とを両立できる。特に実施形態では、消音内側ケース31内の中途部を円板状の内蓋体36にて塞ぎ、内蓋体36に各排気ガス導入管38の排気上流側を貫通させ、各排気ガス導入管38において内蓋体36より排気上流側の箇所にも連通穴39が形成されている。内蓋体36より排気上流側にある連通穴39は、消音器30への排気ガス取り込みに寄与するものである。このため、消音器30(消音外側ケース32)の排気ガス移動方向の長さを短縮したものでありながら、排気ガス自体の移動距離を十分確保でき、消音器30の消音機能をより一層高めることが可能になる。
【0049】
(5).隣り合う外側ケース同士の連結構造
次に、図1〜図4及び図6を参照しながら、隣り合う外側ケース5,21,32同士の連結構造を説明する。図1〜図4及び図6に示す如く、厚板状の中央挟持フランジ51(52)は、触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)の周方向に複数(実施形態では2つ)に分割された半円弧体51a,51b(52a,52b)にて構成されている。実施形態の各半円弧体51a,51b(52a,52b)は、円弧状(ほぼ半円状の馬蹄形)に形成されている。触媒外側ケース5にフィルタ外側ケース21を連結した状態では、各半円弧体51a,51b(52a,52b)の端部同士が円周方向に沿って突き合わさる(当接する)。すなわち、各半円弧体51a,51b(52a,52b)によって、触媒外側ケース5(フィルタ外側ケース21)の外周側が環状に囲われることになる。
【0050】
中央挟持フランジ51(52)には、周方向に沿った等間隔で、貫通穴付きのボルト締結部55が複数設けられている。実施形態では、1組の中央挟持フランジ51に付き8箇所のボルト締結部55を備えている。各半円弧体51a,51b(52a,52b)単位で見ると、円周方向に沿った等間隔で4箇所ずつボルト締結部55が設けられている。一方、触媒側接合フランジ25及びフィルタ側接合フランジ26には、中央挟持フランジ51(52)の各ボルト締結部55に対応するボルト穴56が貫通形成されている。
【0051】
触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21とを連結するに際しては、触媒外側ケース5の外周側を触媒側の両半円弧体51a,51bで囲うと共に、フィルタ外側ケース21の外周側をフィルタ側の両半円弧体52a,52bで囲い、ガスケット24を挟持した触媒側接合フランジ25とフィルタ側接合フランジ26とを、これら半円弧体群(中央挟持フランジ51,52)にて排気ガス移動方向の両側から挟持する。次いで、両側の中央挟持フランジ51,52のボルト締結部55と、両接合フランジ25,26のボルト穴56とに、ボルト27を挿入してナット28で締め付ける。その結果、両接合フランジ25,26が両中央挟持フランジ51,52で挟み固定され、触媒外側ケース5とフィルタ外側ケース21との連結が完了する。ここで、触媒側の半円弧体51a,51bと、フィルタ側の半円弧体52a,52bとの端部同士の突合せ部分は、互いに72°位相をずらして位置させるように構成されている。
【0052】
図1〜図4に示す如く、厚板状の出口挟持フランジ53(54)は、フィルタ外側ケース21(消音外側ケース32)の周方向に複数(実施形態では2つ)に分割された半円弧体53a,53b(54a,54b)にて構成されている。実施形態の各半円弧体53a,53b(54a,54b)は、中央挟持フランジ51(52)の半円弧体51a,51b(52a,52b)と基本的に同じ形態のものである。出口挟持フランジ53(54)にも、周方向に沿った等間隔で、貫通穴付きのボルト締結部57が複数設けられている。一方、フィルタ出口側接合フランジ40及び消音側接合フランジ41には、出口挟持フランジ53(54)の各ボルト締結部57に対応するボルト穴58が貫通形成されている。
【0053】
フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32とを連結するに際しては、フィルタ外側ケース21の外周側をフィルタ出口側の両半円弧体53a,53bで囲うと共に、消音外側ケース32の外周側を消音側の両半円弧体54a,54bで囲い、ガスケット24を挟持したフィルタ出口側接合フランジ40と消音側接合フランジ41とを、これら半円弧体群(出口挟持フランジ53,54)にて排気ガス移動方向の両側から挟持する。次いで、両側の出口挟持フランジ53,54のボルト締結部57と、両接合フランジ40,41のボルト穴58とに、ボルト42を挿入してナット43で締め付ける。その結果、両接合フランジ40,41が両出口挟持フランジ53,54で挟み固定され、フィルタ外側ケース21と消音外側ケース32との連結が完了する。ここで、フィルタ出口側の半円弧体53a,53bと、消音側の半円弧体54a,54bとの端部同士の突合せ部分は、互いに72°位相をずらして位置させるように構成されている。
【0054】
図1〜図4及び図6に示す如く、エンジン70が排出した排気ガスを浄化するガス浄化体2,3)と、各ガス浄化体2,3を内蔵する各内側ケース4,20,31と、各内側ケース4,20,31を内蔵する各外側ケース5,21,32とを備える。各内側ケース4,20,31は、各外側ケース5,21,32の外周側にはみ出る接合フランジ25,26,40,41を介して、各外側ケース5,21,32に連結させる。ガス浄化体2,3、各内側ケース4,20,31及び各外側ケース5,21,32の組合せを複数備え、各接合フランジ25,26(40,41)を一対の挟持フランジ51,52(53,54)にて挟持固定することによって、複数の外側ケース5,21,32を連結する。
【0055】
このように構成すると、隣り合う接合フランジ25,26(40,41)を、各挟持フランジ51,52(53,54)にて両側から挟み付けて圧接(密着)できる。しかも、挟持フランジ51〜54を外側ケース5,21,32に溶接することなく別体に構成するので、挟持フランジ51〜54と外側ケース5,21,32との関係において、溶接に起因する応力集中や歪の問題が生ずるおそれはない。このため、各接合フランジ25,26(40,41)の全体に略均一な圧接力を付与できると共に、挟持フランジ51〜54のシール面(挟持面)の面圧を高い状態に維持できる。その結果、各接合フランジ25,26(40,41)の間からの排気ガス漏れを確実に防止できる。
【0056】
図1〜図4及び図6に示す如く、各挟持フランジ51〜54は、外側ケース5,21,32の周方向に複数に分割された馬蹄形の半円弧体51a,51b(52a,52b,53a,53b,54a,54b)からなり、複数の半円弧体51a,51b(52a,52b,53a,53b,54a,54b)にて外側ケース5,21,32の外周側を囲うように構成している。従って、複数の半円弧体51a,51b(52a,52b,53a,53b,54a,54b)で構成された挟持フランジ51〜54でありながら、一体物と同様の組付け状態にできる。このため、リング形状のフランジに比べて挟持フランジ51〜54の組付けが容易であり、組付け作業性を向上できる。また、加工コストや組付けコストを抑制しつつ、シール性の高いDPF1を構成できる。
【0057】
(6).接合フランジの詳細構造
次に、各接合フランジ25,26,40の詳細構造を説明する。各接合フランジ25,26,40はいずれも基本的に同じ構造であるから、触媒内側ケース4と触媒外側ケース5とに溶接固定される触媒側接合フランジ25を代表例として、図7を参照しながら説明する。図7に示す如く、触媒側接合フランジ25の折り曲げ角部に階段状の段部25aが形成されている。当該段部25aに触媒外側ケース5の排気下流側の端部を被嵌させ、触媒外側ケース5の排気下流側の端部に段部25aを溶接固定させている。
【0058】
一方、触媒内側ケース4(触媒外側ケース5)の排気ガス移動方向に、触媒側接合フランジ25におけるL形の内径側端部25bが延設されている。触媒内側ケース4の排気下流側の端部に内径側端部25bを被嵌させ、触媒内側ケース4に内径側端部25bを溶接固定させている。他方、触媒外側ケース5の外周から放射方向(鉛直方向)に向けて、触媒側接合フランジ25のL形の外径側端部25cを延設させている。触媒側接合フランジ25の断面L字形状と段部25aの存在とによって、触媒側接合フランジ25の高い剛性が確保されている。
【0059】
なお、挟持フランジ51,52及び接合フランジ25,26の各ボルト穴56を貫通したボルト27に、ナット28を螺着させることによって、挟持フランジ51,52と接合フランジ25,26を締結させ、触媒側接合フランジ25の外径側端部25cを挟持フランジ51,52にて挟持する構造は、前述した通りである。
【0060】
(6).ガス温度センサの取付け構造
次に、図1、図8、図9、図11及び図12を参照しながら、DPF1に付設するガス温度センサ109,112について説明する。図1、図8及び図9に示すように、触媒内側ケース4の外周面のうち上流側筒部4aと下流側筒部4bの間に、円筒状のセンサボス体110の一端側が溶接固定されている。触媒外側ケース5のセンサ取付け開口5aから、当該触媒外側ケース5の外側に向けて、放射方向にセンサボス体110の他端側を延長させている。すなわち、触媒内側ケース4の外周面のうちディーゼル酸化触媒2とスートフィルタ3との接続境界位置(触媒下流側空間29)の近傍に、排気ガスセンサ支持用のセンサボス体110が触媒外側ケース5を貫通するように設けられている。センサボス体110の他端側にセンサ取付けボルト111を螺着する。センサ取付けボルト111に、例えばサーミスタ形の上流側ガス温度センサ109を貫通させ、センサボス体110にセンサ取付けボルト111を介して上流側ガス温度センサ109を支持させる。触媒下流側空間29内に上流側ガス温度センサ109の検出部分を突入させている。上記の構成において、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2bから排気ガスが排出された場合は、その排気ガス温度が上流側ガス温度センサ109にて検出される。
【0061】
図8及び図9に示すように、排気上流側のセンサボス体110は、ディーゼル酸化触媒2において排気ガス移動方向と直交するガス流出側端面2bの延長上で、且つ、スートフィルタ3において排気ガス移動方向と直交する取入れ側端面3aの延長上に位置している。この場合、ディーゼル酸化触媒2のガス流出側端面2b及びスートフィルタ3の取入れ側端面3aと、上流側ガス温度センサ109との配置間隔を極めて短く設定する(近接させる)ことが可能になるから、DPF1全体のコンパクト化を図れると共に、上流側ガス温度センサ109の検出精度を向上でき、DPF1に対する再生制御等の性能向上に寄与する。
【0062】
図1、図11及び図12に示すように、フィルタ内側ケース20の外周面のうちフィルタ下流側空間49の近傍にも、円筒状のセンサボス体110の一端側が溶接固定されている。フィルタ外側ケース21のセンサ取付け開口21aから、当該フィルタ外側ケース21の外側に向けて、放射方向にセンサボス体110の他端側を延長させている。すなわち、フィルタ内側ケース20の外周面のうちスートフィルタ3の接続境界位置の近傍に、排気ガスセンサ支持用のセンサボス体110がフィルタ外側ケース21を貫通するように設けられている。センサボス体110の他端側にセンサ取付けボルト111を螺着する。センサ取付けボルト111に、例えばサーミスタ形の下流側ガス温度センサ112を貫通させ、センサボス体110にセンサ取付けボルト111を介して下流側ガス温度センサ112を支持させる。フィルタ下流側空間49内に下流側ガス温度センサ112の検出部分を突入させている。上記の構成において、スートフィルタ3の排出側端面3bから排気ガスが排出された場合は、その排気ガス温度が下流側ガス温度センサ112にて検出される。
【0063】
図11及び図12に示すように、排気下流側のセンサボス体110は、スートフィルタ3において排気ガス移動方向と直交する排出側端面3bの延長上で、且つ、各排気ガス導入管38における排気上流側の端面(導入管蓋37)の延長上に位置している。この場合、スートフィルタ3の排出側端面3bと下流側ガス温度センサ112との配置間隔を極めて短く設定する(近接させる)ことが可能になる。この点でも、DPF1全体のコンパクト化を図れると共に、下流側ガス温度センサ112の検出精度を向上でき、DPF1に対する再生制御等の性能向上に寄与する。
【0064】
なお、両ガス温度センサ109,112に対するセンサボス体110と同様に、後述する差圧センサ63のセンサボス体113(図14〜図17参照)を構成できることは言うまでもない。
【0065】
(7).差圧センサの取付け構造
次に、図14〜図17を参照しながら、DPF1に付設する差圧センサ63について説明する。差圧センサ63は、DPF1内におけるスートフィルタ3を挟んだ上下流側間の排気ガスの圧力差を検出するためのものである。当該圧力差に基づいてスートフィルタ3の粒子状物質の堆積量が換算され、DPF1内の詰り状態を把握できるように構成している。すなわち、差圧センサ63にて検出された排気ガスの圧力差に基づき、例えば図示しないアクセル制御手段又は吸気スロットル制御手段等を作動させることによって、スートフィルタ3の再生制御を自動的に実行できるように構成されている。
【0066】
上述した消音側の出口挟持フランジ54にセンサブラケット66をボルト締結して、DPFケーシング60の上面側にセンサブラケット66を配置させる。差圧センサ63の検出本体67がセンサブラケット66に取付けられる。差圧センサ63の検出本体67には、上流側センサ配管68と下流側センサ配管69を介して上流側管継手体64と下流側管継手体65がそれぞれ接続される。DPFケーシング60には、前記センサボス体110と同様に、センサボス体113が配置される。管継手ボルト114によってセンサボス体113に上流側管継手体64(下流側管継手体65)が締結される。
【0067】
(8).消音器構造の別例
図13は消音器30構造の別例を示している。この場合、消音内側ケース31における排気上流側の端部に円板状の内蓋体36が溶接にて固着されている。各排気ガス導入管38の排気上流側は内蓋体36を貫通しているが、各排気ガス導入管38の排気上流側の端部と、消音内側ケース31の排気上流側の端部との位置は、側面断面視でほぼ一致している。各排気ガス導入管38における排気上流側の端部はそのまま開口させている。その他の構成は先の実施形態と同様である。このように構成した場合も、各排気ガス導入管38の排気ガス移動方向の長さを確保しつつ、消音器30(消音外側ケース32)の排気ガス移動方向の長さを短縮できるので、消音器30付きのDPF1において、DPF1全体としてのコンパクト化と、消音器30における消音機能の維持向上とを両立できることになる。
【0068】
(9).まとめ
上記の記載並びに図1、図5及び図9から明らかなように、エンジン70が排出した排気ガスを浄化する2つのガス浄化体2,3と、前記各ガス浄化体2,3を内蔵した内側ケース4,20と、前記各内側ケース4,20を内蔵した外側ケース5,21と、前記エンジン70からの排気ガスが流入する排気ガス入口管16と、前記両ガス浄化体2,3を通過した排気ガスが流出する排気ガス出口管34とを備えており、前記各外側ケース5,21が排気ガス移動方向に並べて連結されている排気ガス浄化装置1であって、排気上流側の外側ケース5の外側面と前記排気ガス入口管16の内側面とによって排気ガスの導入通路200を構成するように、前記排気ガス入口管16が前記排気上流側の外側ケース5に取り付けられており、前記排気上流側の外側ケース5の外側面と前記排気ガス入口管16の内側面とのうち少なくとも一方に、排気ガスの流れを整えるための整流体201a,201bが設けられているから、前記整流体201a,201bの存在によって、前記排気ガス入口管16の形状に大きく影響されることなく、排気ガスを前記排気ガス浄化装置1内にスムーズに送り込めることになる。このため、排気上流側の前記ガス浄化体2に対して、排気ガスをできるだけ均一に流入させることが可能になり、前記ガス浄化体2の全域を効率よく活用するのに貢献できるという効果を奏する。
【0069】
上記の記載並びに図1及び図5から明らかなように、前記両ガス浄化体2,3の接続境界位置29に対して、前記両外側ケース5,21を連結するフランジ体25,26をオフセットさせているから、前記各ガス浄化体2,3の排気ガス移動方向の長さを確保しつつ、前記両外側ケース5,21の排気ガス移動方向の長さを短縮することが可能になる。従って、前記両外側ケース5,21等の剛性向上や軽量化を図りつつ、前記排気ガス浄化装置1の全長をコンパクト化(短縮)できるという効果を奏する。連結用の前記フランジ体25,26の存在によって、排気ガス漏れ等も簡単に防止できるという利点もある。
【0070】
また、前記排気下流側のガス浄化体3の接続境界位置に対して、前記排気下流側の外側ケース21と前記消音器30とを連結するフランジ体40,41をオフセットさせているから、前記排気下流側の外側ケース21と前記消音器30との排気ガス移動方向の長さを短縮することも可能であり、前記消音器30付きの前記排気ガス浄化装置1においても、その全長のコンパクト化(短縮)を図れることになる。
【0071】
上記の記載並びに図1及び図5から明らかなように、一方のガス浄化体2(3)を内蔵した内側ケース4(20)に、他方のガス浄化体3(2)を内蔵した内側ケース20(4)が挿入されており、前記両内側ケース4,20の間には隙間23が空いているから、前記一方の内側ケース4(20)から前記他方の内側ケース20(4)を分離させることによって、前記他方の内側ケース20(4)内にある前記ガス浄化体3(2)を外部に大きく露出させることができる。このため、前記フランジ体25,26の連結解除にて前記各外側ケース5,21を分離させて実行するメンテナンス作業(前記各ガス浄化体2,3の掃除等)の作業性を向上できるという効果を奏する。また、前記両内側ケース4,20の間にある隙間23の存在によって、前記両内側ケース4,20同士を手軽に着脱できる。すなわち、例えば排気ガス漏れ防止のために前記両内側ケース4,20を密嵌させるという従来の構成では、前記両内側ケース4,20同士が錆等に起因して一体化し簡単に分離できなくなる。これに比べて、前記両内側ケース4,20の分離が至極簡単であり、この点でも、前記各ガス浄化体2,3のメンテナンス性や交換作業性を向上できるのである。
【0072】
上記の記載並びに図1、図5及び図9から明らかなように、前記排気上流側の外側ケース5の外側面と前記排気ガス入口管16の内側面との両方に、前記整流体201a,201bが設けられており、前記外側ケース5側の整流体201aを排気上流側に位置させ、前記排気ガス入口管16側の整流体201bを排気下流側に位置させているから、前記導入通路200内に位置する前記整流体201a,201bでありながら、前記外側ケース5の外側面や前記排気ガス入口管16に簡単な加工作業にて、互いに干渉することなく取付けできるという効果を奏する。
【0073】
上記の記載並びに図1、図5、図9及び図10から明らかなように、前記排気上流側の外側ケース5とこれに内蔵された内側ケース4とには、前記排気ガス入口管16に連通する排気ガス流入口12が形成されており、前記排気ガス流入口12は矩形状に開口していて、その四隅部12aが円弧形状に形成されているから、前記排気ガス流入口12を矩形状に開口させて当該開口面積をできるだけ広くすることによって、排気ガスの流入抵抗の増大を抑制したものでありながら、前記四隅部12aを円弧形状にすることによって、前記排気ガス流入口12を通過する排気ガスが乱流化するのを抑制できる。従って、前記排気ガス流入口12を通過する排気ガスの流入圧力のばらつきを少なくして、前記排気ガス浄化装置1内に排気ガスをできるだけ均一に流入させることが可能になるという効果を奏する。
【0074】
上記の記載並びに図1、図5及び図11から明らかなように、エンジン70が排出した排気ガスを浄化する2つのガス浄化体2,3と、前記各ガス浄化体2,3を内蔵した内側ケース4,20と、前記各内側ケース4,20を内蔵した外側ケース5,21と、前記エンジン70からの排気ガスが流入する排気ガス入口管16と、前記両ガス浄化体2,3を通過した排気ガスが流出する排気ガス出口管34とを備えており、前記各外側ケース5,21が排気ガス移動方向に並べて連結されている排気ガス浄化装置1であって、前記排気下流側の外側ケース21には、前記排気ガス出口管34を有する消音器30が取り付けられており、前記消音器30内には、排気ガス移動方向と平行状に延びる排気ガス導入管38が内蔵されており、前記排気ガス導入管38の排気上流側を、前記排気下流側の内側ケース20の内部に入り込ませているから、前記各排気ガス導入管38の排気ガス移動方向の長さを確保しつつ、前記消音器30(消音外側ケース32)の排気ガス移動方向の長さを短縮できることになる。従って、前記消音器30付きの前記排気ガス浄化装置1において、前記排気ガス浄化装置1全体としてのコンパクト化と、前記消音器30における消音機能の維持向上とを両立できるという効果を奏する。
【0075】
上記の記載並びに図1、図5、図11及び図12から明らかなように、前記消音器30における排気上流側の端部は内蓋体36にて塞がれており、前記排気ガス導入管38は前記内蓋体38を貫通して前記排気下流側の内側ケース20の内部に入り込んでおり、前記排気ガス導入管38のうち前記内蓋体36よりも排気上流側に、排気ガス取り込み用の連通穴39が形成されているから、前記内蓋体36より排気上流側にある前記連通穴39は、前記消音器30への排気ガス取り込みに寄与することになる。このため、前記消音器30の排気ガス移動方向の長さを短縮したものでありながら、排気ガス自体の移動距離を十分確保でき、前記消音器30の消音機能をより一層高めることが可能になるという効果を奏する。
【0076】
上記の記載並びに、図1、図8、図9、図11及び図12から明らかなように、前記排気下流側の内側ケース20の外周面のうち前記ガス浄化体3の接続境界位置49の近傍には、排気ガスセンサ112支持用のセンサボス体110が前記排気下流側の外側ケース21を貫通するように設けられており、前記センサボス体110は、前記ガス浄化体3において排気ガス移動方向と直交する端面3bの延長上、若しくは、前記排気ガス導入管38における排気上流側の端面の延長上に位置しているから、前記ガス浄化体3の端面3bと前記排気ガスセンサ112との配置間隔を極めて短く設定する(近接させる)ことが可能になる。従って、前記排気ガス浄化装置1全体のコンパクト化を図れると共に、前記排気ガスセンサ112の検出精度を向上でき、前記排気ガス浄化装置1に対する再生制御等の性能向上に寄与するという効果を奏する。
【0077】
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)
2 ディーゼル酸化触媒(ガス浄化体)
3 スートフィルタ(ガス浄化体)
4 触媒内側ケース
5 触媒外側ケース
20 フィルタ内側ケース
21 フィルタ外側ケース
25,26,40,41 接合フランジ(フランジ体)
30 消音器
31 消音内側ケース
32 消音外側ケース
38 排気ガス導入管
70 ディーゼルエンジン
200 導入通路
201a,201b 整流フィン(整流体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンが排出した排気ガスを浄化する2つのガス浄化体と、前記各ガス浄化体を内蔵した内側ケースと、前記各内側ケースを内蔵した外側ケースと、前記エンジンからの排気ガスが流入する排気ガス入口管と、前記両ガス浄化体を通過した排気ガスが流出する排気ガス出口管とを備えており、前記各外側ケースが排気ガス移動方向に並べて連結されている排気ガス浄化装置であって、
排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面とによって排気ガスの導入通路を構成するように、前記排気ガス入口管が前記排気上流側の外側ケースに取り付けられており、前記排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面とのうち少なくとも一方に、排気ガスの流れを整えるための整流体が設けられている、
排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記両ガス浄化体の接続境界位置に対して、前記両外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせている、
請求項1に記載した排気ガス浄化装置。
【請求項3】
一方のガス浄化体を内蔵した内側ケースに、他方のガス浄化体を内蔵した内側ケースが挿入されており、前記両内側ケースの間には隙間が空いている、
請求項2に記載した排気ガス浄化装置。
【請求項4】
前記排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面との両方に、前記整流体が設けられており、前記外側ケース側の整流体を排気上流側に位置させ、前記排気ガス入口管側の整流体を排気下流側に位置させている、
請求項1〜3のうちいずれかに記載した排気ガス浄化装置。
【請求項5】
前記排気上流側の外側ケースとこれに内蔵された内側ケースとには、前記排気ガス入口管に連通する排気ガス流入口が形成されており、前記排気ガス流入口は矩形状に開口していて、その四隅部が円弧形状に形成されている、
請求項1〜4のうちいずれかに記載した排気ガス浄化装置。
【請求項1】
エンジンが排出した排気ガスを浄化する2つのガス浄化体と、前記各ガス浄化体を内蔵した内側ケースと、前記各内側ケースを内蔵した外側ケースと、前記エンジンからの排気ガスが流入する排気ガス入口管と、前記両ガス浄化体を通過した排気ガスが流出する排気ガス出口管とを備えており、前記各外側ケースが排気ガス移動方向に並べて連結されている排気ガス浄化装置であって、
排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面とによって排気ガスの導入通路を構成するように、前記排気ガス入口管が前記排気上流側の外側ケースに取り付けられており、前記排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面とのうち少なくとも一方に、排気ガスの流れを整えるための整流体が設けられている、
排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記両ガス浄化体の接続境界位置に対して、前記両外側ケースを連結するフランジ体をオフセットさせている、
請求項1に記載した排気ガス浄化装置。
【請求項3】
一方のガス浄化体を内蔵した内側ケースに、他方のガス浄化体を内蔵した内側ケースが挿入されており、前記両内側ケースの間には隙間が空いている、
請求項2に記載した排気ガス浄化装置。
【請求項4】
前記排気上流側の外側ケースの外側面と前記排気ガス入口管の内側面との両方に、前記整流体が設けられており、前記外側ケース側の整流体を排気上流側に位置させ、前記排気ガス入口管側の整流体を排気下流側に位置させている、
請求項1〜3のうちいずれかに記載した排気ガス浄化装置。
【請求項5】
前記排気上流側の外側ケースとこれに内蔵された内側ケースとには、前記排気ガス入口管に連通する排気ガス流入口が形成されており、前記排気ガス流入口は矩形状に開口していて、その四隅部が円弧形状に形成されている、
請求項1〜4のうちいずれかに記載した排気ガス浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−196343(P2011−196343A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66764(P2010−66764)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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