排気制御バルブ
【課題】 排気音を調節するための機構をコンパクトにまとめることが出来る、新規な構造の排気制御バルブを提供することを目的とする。
【解決手段】 回動軸側当接部28を通路壁側当接部36に押圧せしめる方向に対して、回動軸24に軸方向力を作用させるための軸方向力作用機構52による回動軸側当接部28の通路壁側当接部36への押圧状態を利用して、バルブ本体22を所定の回動位置に保持する一方、軸方向力作用機構52によって及ぼされる軸方向力を解除することによりバルブ本体20の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構を採用した。
【解決手段】 回動軸側当接部28を通路壁側当接部36に押圧せしめる方向に対して、回動軸24に軸方向力を作用させるための軸方向力作用機構52による回動軸側当接部28の通路壁側当接部36への押圧状態を利用して、バルブ本体22を所定の回動位置に保持する一方、軸方向力作用機構52によって及ぼされる軸方向力を解除することによりバルブ本体20の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構を採用した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスが通過する排気通路上に配される排気制御バルブに係り、特に、車両用内燃機関から排出される排気ガスが大気中に放出される際の音量を調節する排気制御バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
良く知られているように、内燃機関によって動力を得ている自動二輪車や自動車においては、その動力を得る際、内燃機関を構成する各シリンダから排気ガスが排出されるようになっており、かかる排出ガスは、エキゾーストマニホルドによって集められてから、エキゾーストパイプを通じて大気中に放出されるようになっている。
【0003】
そこにおいて、内燃機関から排出される排気ガスは、高音・高圧であることから、かかる排気ガスをそのまま大気中に放出すると、排気ガスが急激に膨張して激しい爆発音を発する。そこで、一般に、エキゾーストパイプ上にマフラを設けて、排気ガスを、かかるマフラを通して圧力と温度を下げてから、大気中に放出するようになっており、それによって、排気ガスが大気中に放出される際の音(排気音)を小さくするようになっている。
【0004】
しかしながら、マフラを通して排気ガスを放出したとしても、排気音を完全に消し去ることは困難であり、自動二輪車や自動車を運転する時間帯や場所等によっては、かかる排気音が大きな音に感じられ、運転者が周囲に気を使うことがある。具体的には、例えば、早朝や深夜の住宅地で自動二輪車や自動車を運転する場合に排気音が問題となり易い。
【0005】
そこで、特許文献1に記載の如きエンジンの排気音可変構造が提案されている。このエンジンの排気音可変構造は、マフラボデー乃至はテールパイプの尾端を覆うようにして取り付けられるエンドキャップを備えており、このエンドキャップには、大気開放口が形成されている。また、エンドキャップには、大気開放口が形成されたほうと反対側において、支軸が固定されており、かかる支軸には、一対の羽根弁が回動自在に支持されている。更にまた、エンドキャップには、その中央軸支部において、軸方向一方の端部にねじ部が形成されている一方、軸方向他方の端部に操作用のつまみが形成されている調整軸が回転自在に取り付けられている。また、この調整軸には、ねじ部において移動駒が螺着されており、かかる移動駒は、一対の羽根弁に対してリンクによって連結されている。このようなエンジンの排気音可変構造においては、操作用のつまみが操作されると調整軸が回転せしめられて、移動駒が調整軸の軸方向に移動せしめられるようになっており、それによって、一対の羽根弁が支軸を中心として後傾斜せしめられて、大気開放口と一対の羽根弁との間に形成された排気ガス通路の通路面積が変化せしめられるようになっている。その結果、排気音が調節されることとなる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているエンジンの排気音可変構造においては、一対の羽根弁を駆動するために、リンク機構が用いられていることから、一対の羽根弁を駆動する仕組みが複雑になってしまうと共に、リンク機構の駆動スペースを確保しなければならないという問題がある。また、リンク機構が排気ガスに晒される環境に置かれていることから、リンク機構を構成する部材が排気ガスによって腐食してしまい、一対の羽根弁の駆動、延いては、排気音の調節に悪影響を及ぼすおそれもある。
【0007】
なお、特許文献2に記載の如き排気ガス制御バルブも提案されている。この排気ガス制御バルブは、排気管の管断面中心を通る位置に挿通配置された回動軸に対してバタフライ弁が止めネジにより固定されていると共に、かかる回動軸における排気管から外部に突出した部分に対して牽引板およびバネ受けが配置されている。また、このように配置された牽引板およびバネ受けの間において、回動軸に対してバタフライ弁の開度が全閉となる方向に付勢力を付与するコイルスプリングが設けられている。更にまた、牽引板には、突起が固着されており、かかる突起に対してワイヤが連結されている。このような構造とされた排気ガス制御バルブにおいては、アクチュエータでワイヤが引っ張られることによって、牽引板がコイルスプリングの付勢力に抗して回動せしめられるようになっており、それによって、回動軸が回動せしめられて、回動軸に固定されたバタフライ弁の開度が調節されるようになっている。その結果、排気音が調節されることとなる。
【0008】
しかしながら、このような排気ガス制御バルブにおいては、バタフライ弁の開度の調節がアクチュエータでワイヤが引っ張られることによって行われることから、ワイヤの取り回しが必要となり、それに伴って、ワイヤ取り回し用のスペースを大きく確保しなければならないという問題がある。また、アクチュエータでワイヤを引っ張るようになっていることから、部品点数が多くなってしまうという問題もある。更にまた、排気管等の熱に起因してワイヤが伸びることがあり、それによって、ワイヤを引っ張る長さが同じであるにも拘わらず、バタフライ弁の開度が異なってくるといった不具合が生じるおそれもある。
【0009】
【特許文献1】特開2003−56340号公報
【特許文献2】実開平6−80837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、排気音を調節するための機構をコンパクトにまとめることが出来る、新規な構造の排気制御バルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体に記載されたもの、或いは、それらの記載から当業者が把握することが出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
排気制御バルブに関する本発明の第一の態様は、(a)内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、該排気通路上に配された状態で該排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えており、該排気通路の通路壁に対して該回動軸の軸方向での相対変位が可能とされていると共に、該回動軸の周方向に回動せしめられることによって該排気通路の通路断面積を変化せしめるバルブ本体と、(b)該バルブ本体の該回動軸と該排気通路の通路壁の対応する位置に形成されて、該回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部および通路壁側当接部と、(c)該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、該回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構と、(d)該軸方向力作用機構による該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を利用して、該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該軸方向力作用機構によって及ぼされる軸方向力を解除することにより該バルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構とが、(e)設けられている排気制御バルブを、特徴とする。
【0013】
このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、かかる排気通路上に配された状態で排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えたバルブ本体が、排気通路上に配された状態で、排気通路の通路壁に対して回動軸の軸方向で相対変位が可能とされていると共に、バルブ本体の回動軸と排気通路の通路壁の対応する位置に対して回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部と通路壁側当接部が形成されており、しかも、回動軸側当接部を通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構による回動軸側当接部の通路壁側当接部への押し付け状態を利用してバルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、かかる軸方向力作用機構によって及ぼされる力を解除することによりバルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構が採用されていることから、回動位置設定保持機構によってバルブ本体の回動位置の変更が可能とされた状態でバルブ本体の回動位置が変更されることにより、排気通路の通路断面積が変化せしめられるようになっており、また、このようにして変更された回動位置に対して回動位置設定保持機構によりバルブ本体が保持されることで、排気通路の通路断面積が変化せしめられた状態が維持されるようになっている。その結果、排気音が調節されるようになっているのである。
【0014】
そこにおいて、本態様に係る排気制御バルブにあっては、バルブ本体の回動位置の変更が可能とされる状態が、軸方向力作用機構によって回動軸に及ぼされる力を解除することで発現せしめられるようになっており、また、バルブ本体の所定の回動位置への保持が、軸方向力作用機構によって回動軸に力を及ぼすことで為されるようになっており、しかも、これら回動軸側当接部と通路壁側当接部は、回動軸の軸方向で当接せしめられるようになっていることから、回動位置設定保持機構と軸方向力作用機構を、バルブ本体が備える回動軸と同一中心軸上に設けることが可能となる。
【0015】
特に、本態様に係る排気制御バルブにおいては、回動軸側当接部が回動軸に対して形成されていると共に、通路壁側当接部が排気通路の通路壁に形成されており、しかも、回動軸側当接部の通路壁側当接部への押し付け状態を利用することによって、バルブ本体が所定の回動位置に保持されるようになっていることから、バルブ本体を所定の回動位置に保持する際に必要な部品点数を少なくすることが可能となる。
【0016】
加えて、本態様に係る排気制御バルブにおいては、回動軸側当接部を通路壁側当接部に押し付けるようになっていることから、排気通路の通路壁に近接した位置において、回動位置設定保持機構を設けることが可能となる。
【0017】
従って、本態様に係る排気制御バルブにおいては、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構、即ち、排気音を調節するための機構をコンパクトにまとめることが可能となるのである。
【0018】
また、本態様に係る排気制御バルブにおいては、バルブ本体が排気通路上に配された状態で、バルブ本体が備える回動軸は、排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びるようになっていることから、バルブ本体を所定の回動位置に保持するために回動軸に対して及ぼされる力の方向と、バルブ本体の回動方向とが略直交することとなり、それによって、例えば、高速走行等によって排気ガスの圧力が高くなったとしても、排気ガスの圧力がバルブ本体に及ぼされることによって、回動軸に対して及ぼされている、バルブ本体を所定の回動位置に保持するための軸方向力が解除され難いようにすることが可能となり、その結果、バルブ本体の所定の回動位置への保持を安定して行うことが可能となる。
【0019】
なお、本態様におけるバルブ本体は、回動軸の周方向に回動せしめられた際、通路方向での投影において、その投影面積が変化せしめられるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、蝶形弁等によって有利に構成される。また、本態様におけるバルブ本体は、通路方向での投影面積が最も大きくなる全閉状態であっても、排気通路の通路壁との間において、所定の隙間が形成されていることが望ましく、それによって、バルブ本体の回動位置を、全閉状態となる回動位置から該全閉状態となる回動位置とは異なる回動位置に設定することが、排気通路の通路壁の熱膨張に起因して阻害されないようにすることが可能となる。そこにおいて、本態様におけるバルブ本体にあっては、排気通路の通路壁との間に形成される隙間が、回動軸側当接部を通路壁側当接部に押し付ける方向よりも、回動軸側当接部を通路壁側当接部に押し付ける方向に及ぼされる力を解除する方向において大きく設定されていることが望ましく、それによって、回動軸側当接部を通路壁側当接部に押し付ける方向に及ぼされる力を解除して、バルブ本体を回動位置の変更が可能な状態にすることが容易に可能となる。
【0020】
排気制御バルブに関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る排気制御バルブにおいて、前記回動軸側当接部と前記通路壁側当接部との間において前記回動軸の軸方向で係脱可能とされて係合により周方向の相対回動を阻止する係合機構を設けると共に、該回動軸の周方向の複数位置で該係合機構の係合状態を可能とすることによって前記バルブ本体の回動位置を複数段階に設定可能にし、該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けて該係合機構を係合状態とすることによって該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付けを解除し、該係合機構を離脱状態として該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、回動軸側当接部と通路壁側当接部の間において回動軸の軸方向で係脱可能に設けられて係合により周方向の相対回動を阻止する係合機構が係合状態となることによって、バルブ本体が所定の回動位置へ保持される一方、かかる係合機構が離脱状態となることによって、バルブ本体の回動位置が変更可能とされていることから、かかる係合機構を回動軸と同一中心軸上に設けることが可能となる。また、かかる係合機構における係合状態が排気通路の通路壁に近接した位置において為されるようにすることも可能となる。
【0021】
従って、本態様に係る排気制御バルブにおいては、回動位置設定保持機構を簡単な構造にすることが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0022】
また、本態様に係る排気制御バルブにおいては、係合機構での係合状態が解除されない限り、バルブ本体の所定の回動位置への保持が継続されることとなり、それによって、バルブ本体の所定の回動位置への保持、延いては、排気音の制御を簡単な構造でもって有利に実現することが可能となる。
【0023】
排気制御バルブに関する本発明の第三の態様は、前記第二の態様に係る排気制御バルブにおいて、前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部には、前記回動軸の軸方向で対向する面において、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた状態で互いに噛み合う軸方向係止歯が形成されており、それらの軸方向係止歯によって前記係合機構が構成されていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、回動位置設定保持機構を簡単な構造で有利に実現することが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0024】
排気制御バルブに関する本発明の第四の態様は、前記第二の態様に係る排気制御バルブにおいて、前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部には、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされることで軸方向に内外挿されるようになっており、その内外挿される部分の軸直角方向で重ね合わせられる内外周面において互いに噛み合う軸直角方向係止歯が形成されており、それらの軸直角方向係止歯によって前記係合機構が構成されていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、回動位置設定保持機構を簡単な構造で有利に実現することが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0025】
排気制御バルブに関する本発明の第五の態様は、前記第二の態様に係る排気制御バルブにおいて、前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部の何れか一方には、前記回動軸の軸方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方に対して対向せしめられる面から該回動軸の軸方向に突出する係止突起が形成されていると共に、該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方には、該回動軸の軸方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の一方に対して対向せしめられる面に開口して該係止突起が嵌め込まれる係止凹所が形成されており、該係止突起および該係止凹所によって前記係合機構が構成されていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、回動位置設定保持機構を簡単な構造で有利に実現することが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0026】
排気制御バルブに関する本発明の第六の態様は、前記第二の態様に係る排気制御バルブにおいて、前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部の何れか一方には、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた場合に前記回動軸の軸直角方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方に対して対向せしめられる面から該回動軸の軸直角方向に突出する軸直角方向突起が形成されていると共に、該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方には、該回動軸の軸方向の端面と該軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた場合に該回動軸の軸直角方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の一方に対して対向せしめられる面の両方に開口して該軸直角方向突起が該回動軸の軸方向で係合せしめられる切欠が形成されており、該軸直角方向突起および該切欠によって前記係合機構が構成されていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいて、回動位置設定保持機構を簡単な構造で有利に実現することが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0027】
排気制御バルブに関する本発明の第七の態様は、前記第一の態様に係る排気制御バルブにおいて、前記回動軸側当接部の前記通路壁側当接部への押し付け状態でそれら回動軸側当接部と通路壁側当接部との当接面に働く静止摩擦力を利用して該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け力状態解除し、該回動軸側当接部と該通路壁側当接部との間で働く静止摩擦力を弱めて該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、回動軸側当接部の通路壁側当接部への押し付け状態でバルブ本体に対して回動方向に外力が及ぼされた際に回動側当接部と通路壁側当接部との間で働く静止摩擦力を利用することによってバルブ本体の所定の回動位置への保持がなされる一方、回動軸側当接部の通路壁側当接部への押し付け状態が解除されて回動軸側当接部と通路壁側当接部の間で働く静止摩擦力が弱められることでバルブ本体の回動位置の変更が可能とされていることから、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構を、回動軸と同一中心軸上に設けることが可能となる。また、回動軸側当接部の通路壁側当接部への押し付け状態が、排気通路の通路壁に近接した位置において為されるようにすることも可能となる。
【0028】
従って、本態様に係る排気制御バルブにおいては、回動位置設定保持機構を簡単な構造で有利に実現することが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0029】
排気制御バルブに関する本発明の第八の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に係る排気制御バルブにおいて、前記バルブ本体の前記回動軸の軸方向であって前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付ける方向に付勢力を及ぼす圧縮コイルスプリングを設けて、該圧縮コイルスプリングにより該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けるようにすることで前記軸方向力作用機構を構成したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、軸方向力作用機構に要する部品点数を少なくすることが可能となる。また、圧縮コイルスプリングを回動軸と同一中心軸上に設けることも可能となる。
【0030】
従って、本態様に係る排気制御バルブにおいては、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構を一層コンパクトにまとめることが可能となる。
【0031】
排気制御バルブに関する本発明の第九の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に係る排気制御バルブにおいて、前記バルブ本体における前記回動軸の外周面にネジ山を形成して該回動軸にボルト部を設ける一方,該ボルト部に対して螺合せしめられるナットを設けて、該ボルト部に螺合せしめられた該ナットを回動させて該ボルト部を軸方向に相対駆動せしめることにより、該ボルト部が形成された該回動軸を備える該バルブ本体を前記排気通路の通路壁に対して相対変位せしめ、前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付けるようにすることで前記軸方向力作用機構を構成したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、軸方向力作用機構を構成するのに必要な部品の一つが回動軸によって構成されることとなり、それによって、軸方向力作用機構を構成するために必要な部品点数を少なくすることが可能となる。
【0032】
従って、本態様に係る排気制御バルブにおいては、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構を一層コンパクトにまとめることが可能となる。
【0033】
排気制御バルブに関する本発明の第十の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に係る排気制御バルブにおいて、前記バルブ本体における前記回動軸に対して軸直角方向に延びる挿通孔を形成すると共に、該挿通孔に差し込まれるロッドを設けて、前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付けた状態で該挿通孔に該ロッドを挿通して該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を維持することで前記軸方向力作用機構を構成したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、軸方向力作用機構を構成するために必要な部品の一つが回動軸によって構成されることとなり、それによって、軸方向力作用機構に要する部品の数を少なくすることが可能となる。
【0034】
従って、本態様に係る排気制御バルブにおいては、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構を一層コンパクトにまとめることが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、回動軸側当接部を通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、回動軸に軸方向の力を作用させる軸方向力作用機構による回動軸側当接部の通路壁側当接部への押し付け状態を利用してバルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、かかる軸方向力作用機構によって及ぼされる力を解除することによりバルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構が採用されていることから、回動位置設定保持機構によってバルブ本体の回動位置の変更が可能とされている状態でバルブ本体の回動位置が変更され、このようにして変更された回動位置に対して回動位置設定保持機構によりバルブ本体が保持されることで、排気通路の通路断面積が変化せしめられて、排気音が調節されるようになっている。そこにおいて、本発明に従う構造とされた排気制御バルブにあっては、バルブ本体が備えている回動軸に対して軸方向力作用機構によりその軸方向に力を及ぼして、バルブ本体の回動軸に形成された回動軸側当接部を排気通路の通路壁に形成された通路壁側当接部に押し付けることによって、バルブ本体を所定の回動位置に保持するようになっていることから、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構を、バルブ本体が備える回動軸の同一中心軸上であって、且つ、排気通路の通路壁に近接した位置に設けることが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0037】
図1には、本発明の第一の実施形態としての排気制御バルブ10を備えた自動二輪車用の排気管12が概略的に示されており、図2および図3には、その要部を拡大した断面図が示されている。
【0038】
排気管12は、ステンレス鋼によって形成されており、全体として円筒形状を呈している。また、排気管12は、その軸方向一方の端部が内燃機関としてのエンジン14に接続されていると共に、軸方向他方の端部がマフラ16に接続されている。そして、エンジン14から排出された排気ガスが排気管12内に形成された排気通路18を通り、マフラ16によって圧力と温度が下げられてから、大気中に排出されるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、排気管12によって排気通路18の通路壁が構成されている。
【0039】
排気制御バルブ10は、排気管12において、マフラ16との接続部分付近に備えられており、排気管12内に形成された排気通路18上に配されるバルブ本体20を含んで構成されている。このバルブ本体20は、回転板22に対して回動軸としての支持ロッド24が溶接により固定された構造とされている。なお、本実施形態では、回転板22および支持ロッド24は、何れも、ステンレス鋼によって形成されている。
【0040】
そこにおいて、本実施形態では、回転板22は、図4および図5に示されているように、全体として、排気管12の内径寸法よりも小さな外径寸法を有する円板形状とされているが、支持ロッド24の軸方向一方の側(図2および図4中の右側)における外径寸法が支持ロッド24の軸方向他方の側(図2および図4中の左側)における外径寸法よりも大きくされており、それによって、本実施形態の回転板22は、支持ロッド24の軸方向他方の側において、支持ロッド24の軸方向他方の側から一方の側に向かって押し縮められたような形状とされている。
【0041】
一方、支持ロッド24は、略一定の円形断面でもって軸方向にストレートに延びる形状とされている。特に、本実施形態では、その軸方向寸法は、排気管12の外径寸法よりも十分大きくされている。そして、支持ロッド24が、排気管12に形成された挿通孔26に挿通された状態下において、支持ロッド24の軸方向中央部分に対して回転板22が溶接により固定されることで、バルブ本体20が排気通路18上に配されるようになっている。即ち、回動軸としての支持ロッド24の両端部が、排気管12の径方向対向位置する部分に形成された挿通孔26,26に挿通されていることにより、この支持ロッド24が、排気管12に対して、中心軸回りには回動可能に、且つ軸直角方向では変位不能に、排気管12によって支持されているのである。
【0042】
そこにおいて、本実施形態では、バルブ本体20が排気通路18上に配された状態において、バルブ本体20が備える支持ロッド24は、排気通路18の通路方向に対して略直交する方向に延びている。また、回転板22には、支持ロッド24が重ね合わせられる部分のみが、支持ロッド24の外周面に沿うようにして湾曲せしめられており、それによって、支持ロッド24に固定された回転板22は、平坦な部分が支持ロッド24の軸直角方向外方に突出するようになっている。更にまた、挿通孔26の内周面と支持ロッド24の外周面との間には、排気管12が熱膨張した際にバルブ本体20の回動が阻害されない程度の隙間が形成されている。なお、かかる隙間が大きすぎると、排気ガスが漏れるおそれがあるので、隙間の大きさは、これらの事情を考慮して設定される。
【0043】
このようにして排気通路18上に配されるバルブ本体20には、支持ロッド24の軸方向他方の端部において、支持ロッド側当接部材28が固定的に設けられている。この支持ロッド側当接部材28は、ステンレス鋼によって形成されており、図6にも示されているように、全体として厚肉の円形ブロック形状を呈している。更にまた、支持ロッド側当接部材28には、厚さ方向一方の端面に開口するようにして、浅底の凹所30が形成されていると共に、かかる浅底の凹所30の開口端面において、鋸歯状の係止歯32が複数形成されている。この係止歯32は、支持ロッド側当接部材28の中心軸回りで周方向に連続して形成された複数の山部と谷部によって構成されており、各山部と谷部の傾斜角度は、何れも等しくされている。要するに、これら複数の係止歯32の各稜線と谷線は、周方向において等間隔とされて、支持ロッド側当接部材28の中心軸から放射状に径方向に延びる形態とされている。なお、支持ロッド側当接部材28には、排気管12の外部からバルブ本体の回動位置を認識出来るようにするために、目印穴33が、適当の内径の円形断面で径方向に延びるように形成されて外周面に開口せしめられている。なお、この目印穴33には、ピンを圧入固定して突起状の目印とすることも可能である。
【0044】
このような構造とされた支持ロッド側当接部材28は、浅底の凹所30の底面に開口するようにして形成された収容穴34に対して、支持ロッド24の軸方向他方の端部が圧入固定されることにより、支持ロッド24の軸方向他方の端部に固定的に設けられるようになっている。そして、本実施形態では、このように支持ロッド側当接部材28が支持ロッド24の軸方向他方の端部に固定された状態下において、上述の目印穴33の開口方向が回動板22の広がり方向と略同じに設定されている。
【0045】
そこにおいて、本実施形態では、支持ロッド側当接部材28は、支持ロッド24の軸方向他方の端部に固定的に設けられた状態において、支持ロッド24と同一中心軸上に位置せしめられていると共に、支持ロッド側当接部材28に形成された浅底の凹所30の開口端面は、排気管12側に位置せしめられている。
【0046】
また、排気管12の外周面には、上述の如く、支持ロッド24の軸方向他方の端部に固定的に設けられた支持ロッド側当接部材28に対向せしめられるような位置において、排気管側当接部材36が固定的に設けられている。この排気管側当接部材36は、ステンレス鋼によって形成されており、図7にも示されているように、全体として、円形のブロック形状を呈している。そこにおいて、排気管側当接部材36の厚さ方向一方の端面は、排気管の外周面に沿うようにして円弧状に湾曲せしめられている。
【0047】
そして、このように排気管12の外周面に沿うようにして円弧状に湾曲せしめられた厚さ方向一方の面が排気管12の外周面に重ね合わせられた状態で、排気管側当接部材36は、排気管12の外周面に対して溶接により固定されるようになっている。なお、排気管側当接部材36には、厚さ方向に貫通する挿通孔38が形成されており、かかる挿通孔38に対して支持ロッド24が挿通された状態で、排気管側当接部材36は、排気管12の外周面に対して溶接により固定されるようになっているのである。
【0048】
そこにおいて、本実施形態では、このように排気管側当接部材36が排気管12の外周面に固定された状態下において、排気管側当接部材36は、支持ロッド24と同一中心軸上に位置せしめられている。また、支持ロッド24の外周面と挿通孔38の内周面との間には、所定の隙間が形成されており、それによって、排気管側当接部材36が熱膨張した際のバルブ本体20の回動が阻害されないようになっている。
【0049】
更にまた、排気管側当接部材36には、厚さ方向他方の面に開口するようにして、浅底の凹所40が形成されていると共に、かかる浅底の凹所40の開口端面において、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32に対して支持ロッド24の軸方向で噛合せしめられる、鋸歯状の係止歯42が複数形成されている。即ち、この係止歯42も、支持ロッド側当接部材28の係止歯32と同様に、排気管側当接部材36の中心軸回りで周方向に連続して形成された複数の山部と谷部によって構成されており、係止歯32に対応した大きさおよび形状とされている。これにより、支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36は、軸方向での両対向面に形成され係止歯32,42の噛合が、中心軸回りの複数位置で発現されるようになっている。しかも、周上で複数形成された全ての係止歯が常に噛合状態とされることから、全体として非常に大きい周方向の位置決め力が発揮され得るのである。
【0050】
また、本実施形態では、排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面には、円環形状のシール部材46が、その中心孔において支持ロッド24に挿通された状態で重ね合わせられている。このシール部材46は、挿通孔38の内周面と支持ロッド24の外周面との間に形成された隙間を外部から塞ぐために配されたものであり、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等によって形成されている。更にまた、本実施形態では、支持ロッド側当接部材28に形成された凹所30の底面と排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面との間には、コイルスプリング44が配されており、支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36を軸方向で離隔せしめる方向に対して、常時、付勢力を及ぼすようになっている。これにより、シール部材46がコイルスプリング44の付勢力によって排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面に対して密着せしめられることとなり、その結果、シール性が確保されるようになっている。
【0051】
更にまた、支持ロッド24の軸方向一方の端部には、円環板形状の当接板48が、その中心孔において支持ロッド24に挿通された状態で溶接により固定されている。そして、本実施形態では、このようにして支持ロッド24の軸方向一方の端部に固定された当接板48の厚さ方向一方の面と、支持ロッド24の軸方向一方の端面に重ねられるようにして、円形ブロック形状の操作部材50が接着等によって固定されている。なお、操作部材50は、耐熱性を有するゴム材料によって形成されている。
【0052】
また、このようにして支持ロッド24の軸方向一方の端部に固定された当接板48と、排気管12との間には、圧縮コイルスプリング52が軸方向に圧縮せしめられて支持ロッド24に外挿された状態で配されており、それによって、圧縮コイルスプリング52の付勢力が、バルブ本体20(支持ロッド24)に対して、支持ロッド24の軸方向であって、支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36に接近せしめる方向に、常時、及ぼされるようになっている。
【0053】
そして、このようにバルブ本体20(支持ロッド24)に対して、支持ロッド24の軸方向であって、支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36に接近せしめる方向に、常時、圧縮コイルスプリング52の付勢力が及ぼされることにより、支持ロッド側当接部材28が排気管側当接部材36に押し付けられて押圧状態とされることにより、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32が、排気管側当接部材36に形成された係止歯32に対して、支持ロッド24の軸方向であって、且つ、支持ロッド24と同一中心軸上で噛合せしめられるようになっている。これにより、バルブ本体20の回動位置が設定され、また、このようにして設定された回動位置に対してバルブ本体20が保持されるようになっている。その結果、排気音が調節されることとなる。なお、本実施形態では、コイルスプリング44の付勢力が、支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36を離隔せしめる方向に対して、常時、及ぼされているが、かかるコイルスプリング44の付勢力が圧縮コイルスプリング52の付勢力に比して、十分小さくされていることから、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態を有利に確保することが出来るようになっている。
【0054】
そこにおいて、本実施形態では、回転板22における支持ロッド24の軸方向他方の側が、支持ロッド24の軸方向他方の側から一方の側に押し縮められたようになっていることから、上述の如く、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42が噛合せしめられた状態下において、回転板22における支持ロッド24の軸方向他方の側と排気管12の間に形成された隙間が、回転板22における支持ロッド24の軸方向一方の側と排気管12の間に形成された隙間よりも大きくされている。これにより、バルブ本体20を、圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して、支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36から離隔せしめる方向に変位せしめた場合であっても、回転板22が排気管12に当たるまでのバルブ本体20の変位量を十分に確保することが可能となり、その結果、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態が解除可能となるまでバルブ本体20を支持ロッド24の軸方向に変位させることが可能となっている。
【0055】
なお、本実施形態では、排気管12の外周面に対して、円環形状のシール部材54が、その中心孔において支持ロッド24に挿通された状態で重ね合わされている。このシール部材54は、挿通孔26の内周面と支持ロッド24の外周面との間に形成された所定の隙間を外部から覆うために配されたものであり、耐熱性や耐久性を考慮して好適にはシリコーン樹脂やフッ素樹脂等によって形成されている。そして、このように排気管12の外周面に対してシール部材54が重ね合わせられるようにして配されていることで、圧縮コイルスプリング52の付勢力が(支持ロッド24に対する当接反力として)シール部材54を介して排気管12に及ぼされるようになっており、それによって、シール性が確保されるようになっている。
【0056】
続いて、このような構造とされた排気制御バルブ10におけるバルブ本体20の回動位置の設定方法、即ち、排気音の調節方法について説明する。先ず、ユーザーや整備士等の作業者が外部から外力を加えて、操作部材50を支持ロッド24の軸方向一方の側から他方の側に向けて押圧操作する。これにより、バルブ本体20を、圧縮コイルスプリングの付勢力に抗して、排気管12に対して軸方向一方の側に向けて相対変位せしめ、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32の排気管側当接部材36に形成された係止歯42への係合を解除する。
【0057】
次に、このように支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32の排気管側当接部材36に形成された係止歯42への係合を軸方向の相対変位に基づいて解除した状態を維持しつつ、即ち軸方向の外力を支持ロッド24に及ぼしたままの状態で、バルブ本体20を所望の回動位置まで回動せしめる。
【0058】
その後、操作部材50に対する軸方向外力による押圧操作を止める。これにより、バルブ本体20を、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって、排気管12に対して相対変位せしめ、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32を排気管側当接部材36に形成された係止歯42に噛合せしめる。
【0059】
これにより、バルブ本体20を所望の回動位置に変更して、かかる位置に保持せしめることが可能となるのであり、その結果、排気音の調節が可能となるのである。
【0060】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、支持ロッド側当接部材28によって回動軸側当接部が構成されていると共に、排気管側当接部材36によって通路壁側当接部が構成されている。また、本実施形態では、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42によって係合機構が構成されていると共に、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42のそれぞれによって軸方向係止歯が構成されている。更に、本実施形態では、圧縮コイルスプリング52の付勢力により支持ロッド24に対して軸方向で力を及ぼし、支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36に押圧せしめることによって、軸方向力作用機構が構成されている。更にまた、本実施形態では、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36に押圧せしめて、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42を支持ロッド24の軸方向で噛合せしめることによって、バルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、圧縮コイルスプリング52による付勢力に抗してバルブ本体20を排気管12に対して相対変位せしめ、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32を排気管側当接部材36に形成された係止歯42に対して支持ロッド24の軸方向で離隔せしめて、バルブ本体20の回動位置の変更を可能とすることによって、回動位置設定保持機構が構成されている。
【0061】
このような構造とされた排気制御バルブ10においては、支持ロッド24の軸方向一方の端部に固定的に設けられた当接板48と排気管12の間において支持ロッド24に外挿された状態で配された圧縮コイルスプリング52の付勢力によってバルブ本体20が排気管12に対して支持ロッド24の軸方向に相対変位せしめられることにより、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32が排気管側当接部材36に形成された係止歯42に対して、支持ロッド24の軸方向であって、且つ、支持ロッド24と同一中心軸上において噛合せしめられるようになっており、それによって、バルブ本体20が所定の回動位置に保持されて排気音が調節されるようになっていることから、排気音の調節に必要な部材が支持ロッド24と同一中心軸上において、排気管12の付近にまとめられて配されることとなる。従って、本実施形態の排気制御バルブ10においては、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能なるのである。
【0062】
また、本実施形態の排気制御バルブ10においては、圧縮コイルスプリング52が、排気管12を挟んで支持ロッド側当接部材28が固定された側と反対側において、支持ロッド24に外挿されていることから、圧縮コイルスプリング52の配設スペースを有利に確保することが可能となる。
【0063】
更にまた、本実施形態の排気制御バルブ10においては、バルブ本体20の回動位置が調節可能とされていることから、バルブ本体20の回動位置を調節することによって、排気音の調節のみならず、エンジン14の出力特性を変化させることも可能となる。即ち、バルブ本体20の傾斜角度(排気管12の中心軸に対するバルブ本体20の面の交差角度)を小さくしてバルブ本体20を排気管12内で寝かせることにより、排気効率を向上させて高速回転域でのエンジンの伸びを実現させたり、或いは、バルブ本体20の傾斜角度を大きくしてバルブ本体20を排気管12内で立てることにより、排気効率をダウンさせて低回転域での大きなトルク特性を発現させたりすることも可能となる。
【0064】
また、本実施形態の排気制御バルブ10においては、バルブ本体20の回動位置を変更する際、従来のように、リンク機構やワイヤを用いずに、バルブ本体20を直接に回動せしめるようになっていることから、構造を簡単にして、部品点数を少なくすることが可能となる。
【0065】
更にまた、バルブ本体20を同じ回動位置に長期間保持した後、バルブ本体20の回動位置を変更する場合であっても、リンク機構の作動不良やワイヤの滑動性の悪化等に起因してバルブ本体20を所望の回動位置に設定出来なくなるといった不具合の発生を有利に回避することが可能となり、それによって、バルブ本体20の回動位置の変更を長期間に亘って安定して行うことが可能となる。
【0066】
さらに、本実施形態の排気制御バルブ10においては、ワイヤ等で操作する場合に比して、バルブ本体20の回動位置の変更、即ち、排気音の調節を確実に行うことが出来るようになっていることから、排気音の調節に対する信頼性を高くすることが可能となる。
【0067】
特に、本実施形態では、周方向に複数形成された鋸歯状の係止歯32,42が互いに噛み合うことによってバルブ本体20が回動位置に保持されるようになっていることから、一組の凹凸の係合だけでバルブ本体20を回動位置に保持する場合に比して、バルブ本体20を回動位置に保持する力を有利に確保することが可能となり、それによって、排気圧にも十分に耐えることが可能となり、その結果、バルブ本体20の回動位置の保持に対する信頼性、延いては、排気音の調節に対する信頼性を有利に確保することが可能となる。
【0068】
加えて、本実施形態では、支持ロッド24の軸方向に延びる凹凸ではなく、支持ロッド24の周方向において、上り傾斜と下り傾斜が交互に繰り返される係止歯32,42が噛み合うようになっていることから、係止歯32,42の傾斜面を利用した案内作用によって、バルブ本体20の回動位置の変更を容易に行うことが可能となり、それによって、バルブ本体20の回動位置の変更を速やかに行うことが可能となる。即ち、両係止歯32,42(両部材の軸方向対向面)が略全面で当接した正規の最も安定した噛合状態に向けて、圧縮コイルスプリングの付勢力を利用して案内されるようになっているのである。
【0069】
また、本実施形態では、バルブ本体20を排気管12から着脱することなく、バルブ本体20の回動位置の変更を行うことが出来るようになっていることから、バルブ本体20の回動位置の変更を、非常に簡単な作業で且つ速やかに行うことが出来る。しかも、本実施形態では、バルブ本体20の回動位置の変更作業が非常に簡単であることに加えて、バルブ本体20の回動位置の変更を確実に行うことが出来るようになっていることから、ユーザー自身によってバルブ本体20の回動位置の変更を行うことが可能となる。しかも、操作部材50を断熱性の高いゴム材料等で形成することにより、直接に手で押して操作することも可能である。尤も、この操作部材50が高温となる場合には、例えば操作部材50を、プライヤーやペンチ等を用いて挟んで操作することも可能である。その他、操作部材50の軸方向外側端面に対してプラスやマイナスのドライバ係合穴を形成しておけば、ドライバを利用して容易に操作することが可能となる。即ち、ドライバで操作部材50を軸方向に押圧して支持ロッド24を軸方向に変位させると同時に、その押圧外力を保持したままでドライバを回動操作することで、支持ロッド24ひいてはバルブ本体20を容易に且つ確実に回動させることが出来るのであり、その作業が極めて容易となるのである。
【0070】
図8には、本発明の第二の実施形態としての排気制御バルブ56が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0071】
本実施形態の排気制御バルブ56は、第一の実施形態の排気制御バルブ(10)に比して、支持ロッド側当接部および排気管側当接部の構造が異なっている。より詳細には、前記第一の実施形態では、支持ロッド側当接部は、支持ロッド24に対して別体形成されて支持ロッド24に対して溶接により固定された支持ロッド側当接部材28によって構成されていたが、本実施形態の支持ロッド側当接部58は、支持ロッド24の軸方向他方の端部に一体形成されており、全体として支持ロッド24よりも大きな外径寸法を有する円柱形状とされている。そして、支持ロッド側当接部58における軸方向他方の端部には、軸直角方向外方に広がるフランジ60が一体形成されている。
【0072】
また、本実施形態の排気管側当接部は、第一の実施形態と同様に、排気管側当接部材36によって構成されている。そこにおいて、本実施形態では、排気管側当接部材36には、係止歯(42)が形成されておらず、また、凹所40は、支持ロッド側当接部58が収容位置せしめられる程度の大きさとされている。更にまた、排気管側当接部材36に形成された凹所40の側壁部分には、排気管側当接部材36の軸直角方向に貫通するねじ穴62が形成されており、このねじ穴62には、位置決めボルト64が螺着固定されるようになっている。
【0073】
このような構造とされた排気制御バルブ56においては、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって支持ロッド側当接部58の軸方向一方の端面が排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面に重ね合わせられると共に、支持ロッド側当接部58に形成されたフランジ60が排気管側当接部材36の厚さ方向他方の端面に重ね合わせられることにより、バルブ本体20が回動せしめられる際に、支持ロッド側当接部58における軸方向一方の端面と排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面との間および支持ロッド側当接部58に形成されたフランジ60と排気管側当接部材36の厚さ方向他方の面との間で静止摩擦力が働くようになっている。その結果、かかる静止摩擦力が抵抗力となって、バルブ本体20が所定の回動位置で保持されるようになっている。
【0074】
また、バルブ本体20が圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して変位せしめられて、支持ロッド側当接部58における軸方向一方の端面と排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面との間および支持ロッド側当接部58に形成されたフランジ60と排気管側当接部材36の厚さ方向他方の面との間で働く静止摩擦力が弱められた状態で、バルブ本体20の回動位置の変更が可能とされている。
【0075】
更にまた、ねじ穴62に螺着された位置決めボルト64が締め付けられて、支持ロッド側当接部58に対して軸直角方向から外力が及ぼされることにより、設定された回動位置へのバルブ本体20の保持力が確保されるようになっている。
【0076】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、バルブ本体20備えている支持ロッド24に対して回動方向に外力が及ぼされた際に、支持ロッド側当接部58における軸方向一方の端面と排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面との間で働く静止摩擦力および支持ロッド側当接部58に形成されたフランジ60と排気管側当接部材36の厚さ方向他方の面との間で働く静止摩擦力を利用することによってバルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、バルブ本体20を圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して変位せしめ、上述の静止摩擦力を弱めてバルブ本体20の回動位置の変更を可能にすることによって、回動位置設定保持機構が構成されている。
【0077】
従って、本実施形態の排気制御バルブ56においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0078】
また、本実施形態では、排気管側当接部材36に形成された凹所40の側壁部分において、排気管側当接部材36の軸直角方向に貫通するねじ穴62が形成されており、かかるねじ穴62には、位置決めボルト64が螺着されている。そして、かかるねじ穴62に螺着された位置決めボルト64が締め付けられることによって、支持ロッド側当接部58に対して支持ロッド24の軸直角方向から外力が及ぼされ、バルブ本体20を所定の回動位置に保持する力が確保されるようになっていることから、バルブ本体20の所定の回動位置への保持を有利に実現することが可能となる。
【0079】
図9には、本発明の第三の実施形態としての排気制御バルブ66が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0080】
本実施形態の排気制御バルブ66は、第一の実施形態の排気制御バルブ(10)に比して、支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36の構造が異なっている。より詳細には、本実施形態の支持ロッド側当接部材28においては、図10にも示されているように、厚さ方向一方の端面において、凹所(30)および係止歯(32)が形成されておらず、その代わりに、一対の突起68,68が厚さ方向一方の端面から突出するように形成されている。なお、本実施形態では、かかる一対の突起68,68は、支持ロッド24を挟んで対向せしめられるような位置に形成されている。また、本実施形態の排気管側当接部材36には、図11にも示されているように、凹所40の開口端面において、係止歯(42)が形成されておらず、その代わりに、係止凹所としての係止穴70が周方向に複数形成されている。
【0081】
このような構造とされた排気制御バルブ66においては、バルブ本体20に圧縮コイルスプリング52の付勢力が及ぼされて、支持ロッド側当接部材28に形成された一対の突起68,68が排気管側当接部材36に形成された複数の係止穴70のうち径方向で対向位置せしめられる二つの係止穴70,70に収容位置せしめられることによって、バルブ本体20の所定の回動位置への保持が為されるようになっている。一方、バルブ本体20が圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して排気管12に対して相対変位せしめられて、支持ロッド側当接部材28に形成された一対の突起68,68が排気管側当接部材36に形成された係止穴70に収容されていない状態では、バルブ本体20の回動位置の変更が可能となっている。
【0082】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、支持ロッド側当接部材28に形成された一対の突起68,68のそれぞれによって係止突起が構成されている。また、本実施形態では、支持ロッド側当接部材28に形成された一対の突起68,68と排気管側当接部材36に形成された複数の係止穴70によって係合機構が構成されている。更にまた、本実施形態では、圧縮コイルスプリング52の付勢力により支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36に押圧せしめて、支持ロッド側当接部材28に形成された一対の突起68,68を排気管側当接部材36に形成された複数の係止穴70のうち径方向で対向位置せしめられる二つの係止穴70,70に嵌め込むことによってバルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗してバルブ本体20を排気管12に対して相対変位せしめて支持ロッド側当接部材28に形成された一対の突起68,68を排気管側当接部材36に形成された複数の係止穴70に収容されていない状態としてバルブ本体20の回動位置の変更を可能とすることによって、回動位置設定保持機構が構成されている。
【0083】
従って、本実施形態の排気制御バルブ66においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0084】
図12には、本発明の第四の実施形態としての排気制御バルブ72が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0085】
本実施形態の排気制御バルブ72は、第一の実施形態の排気制御バルブ(10)に比して、支持ロッド側当接部および排気管側当接部の構造が異なっている。より詳細には、前記第一の実施形態の支持ロッド側当接部は、支持ロッド24に対して別体形成された支持ロッド側当接部材28によって構成されていたが、本実施形態の支持ロッド側当接部74は、図13にも示されているように、支持ロッド24の軸方向他方の端部に対して一体形成されており、全体として厚肉の円板形状とされていると共に、その外周面には、鋸歯状の係止歯76が複数形成されている。
【0086】
また、本実施形態の排気管側当接部は、第一の実施形態と同様に、排気管側当接部材36によって構成されている。そこにおいて、本実施形態の排気管側当接部材36は、図14にも示されているように、凹所40の開口端面に対して支持ロッド24の軸方向で噛合せしめられる係止歯(42)が形成されておらず、その代わりに、凹所40の内周面に対して、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76に噛合せしめられる、鋸歯状の係止歯78が複数形成されている。
【0087】
このような構造とされた排気制御バルブ72においては、バルブ本体20に圧縮コイルスプリング52の付勢力が及ぼされて、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76が排気管側当接部材36に形成された係止歯78に噛合されると共に、支持ロッド側当接部74の厚さ方向一方の面が排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面に当接せしめられることにより、バルブ本体20の所定の回動位置への保持が可能となっている。一方、バルブ本体20が圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して排気管12に対して相対変位せしめられて、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76と排気管側当接部材36に形成された係止歯78の噛合状態が解除されることによって、バルブ本体20の回動位置の変更が可能となっている。
【0088】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76と排気管側当接部材36に形成された係止歯78のそれぞれによって軸直角方向係止歯が構成されていると共に、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76と排気管側当接部材36に形成された係止歯78によって係合機構が構成されている。また、本実施形態では、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって支持ロッド側当接部74を排気管側当接部材36に押圧せしめて、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76と排気管側当接部材36に形成された係止歯78を係合せしめることによってバルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して支持ロッド側当接部74を排気管側当接部材36から離隔せしめて、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76と排気管側当接部材36に形成された係止歯78の係合を解除して、バルブ本体20の回動位置の変更を可能とすることによって回動位置設定保持機構が構成されている。
【0089】
従って、本実施形態の排気制御バルブ72においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0090】
図15には、本発明の第五の実施形態としての排気制御バルブ80が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0091】
本実施形態の排気制御バルブ80は、第一の実施形態の排気制御バルブ(10)に比して、支持ロッド側当接部材および排気管側当接部材の構造が異なっている。より詳細には、本実施形態の支持ロッド側当接部材82は、図16にも示されているように、支持ロッド24の軸直角方向に延びるロッド形状とされており、その軸方向中央部分において支持ロッド24の軸方向他方の端面に対して溶接により固定されている。また、本実施形態の排気管側当接部材36には、図17にも示されているように、凹所40の開口端面において、係止歯(42)が形成されておらず、その代わりに、複数の切欠84が形成されている。
【0092】
このような構造とされた排気制御バルブ80においては、バルブ本体20に圧縮コイルスプリング52の付勢力が及ぼされて、支持ロッド側当接部材82の軸方向両端が排気管側当接部材36に形成された複数の切欠84のうち径方向で対向位置せしめられる二つの切欠84,84に対して収容位置せしめられることにより、バルブ本体20の所定の回動位置への保持が可能とされている。一方、バルブ本体20が圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して排気管12に対して相対変位せしめられて、支持ロッド側当接部材82の軸方向両端が排気管側当接部材36に形成された複数の切欠84に収容位置せしめられていない状態で、バルブ本体20の回動位置の変更が可能とされている。
【0093】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、支持ロッド側当接部材82によって軸直角方向突起が構成されている。また、本実施形態においては、支持ロッド側当接部材82と排気管側当接部材36に形成された複数の切欠84によって、係合機構が構成されている。更にまた、本実施形態では、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって支持ロッド側当接部材82を排気管側当接部材36に押圧せしめて、支持ロッド側当接部材82の軸方向両端を排気管側当接部材36に形成された複数の切欠84のうち径方向で対向位置せしめられる二つの切欠84,84に嵌め込むことによってバルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して支持ロッド側当接部材82を排気管側当接部材36から離隔せしめ、支持ロッド側当接部材82の軸方向両端が排気管側当接部材36に形成された切欠84に嵌め込まれていない状態として、バルブ本体20の回動位置の変更を可能にすることによって、回動位置設定保持機構が構成されている。
【0094】
従って、本実施形態の排気制御バルブ80においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0095】
図18および図19には、本発明の第六の実施形態としての排気制御バルブ86が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0096】
本実施形態の排気制御バルブ86は、第一の排気制御バルブ(10)に比して、バルブ本体の構造が異なっている。より詳細には、本実施形態のバルブ本体86は、球形状とされており、その外周面上には、径方向で対向せしめられる位置において、外側に突出する一対の支持突起90,90が一体的に形成されている。また、バルブ本体20には、一対の支持突起90,90が突出する方向に対して略直交する方向に貫通する貫通孔92が形成されている。そして、一対の支持突起90,90が、それぞれ、排気管12に形成された挿通孔26,26に挿通されることによって、バルブ本体88が排気通路18上に配されるようになっている。また、このように各挿通孔26に挿通された支持突起90に対して排気管側当接部材36に押圧せしめられる支持突起側当接部材28と当接板48が溶接により固定されている。
【0097】
なお、本実施形態では、排気通路18上において、バルブ本体86と排気管12との間に形成された隙間を少なくするための隙間埋め部材87が配されている。
【0098】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、一対の支持突起90,90によって回動軸が構成されている。
【0099】
従って、本実施形態の排気制御バルブ86においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0100】
図20には、本発明の第七の実施形態としての排気制御バルブ94が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0101】
本実施形態の排気制御バルブ94は、第一の実施形態の排気制御バルブ(10)に比して、圧縮コイルスプリング(52)が採用されておらず、また、当接板(48)および操作部材(50)も採用されていない。その代わりに、本実施形態の排気制御バルブ94には、支持ロッド24の軸方向一方の端部の外周面に対して、ネジ山96が形成されている。これにより、本実施形態では、支持ロッド24の軸方向一方の端部において、ボルト部98が形成されているのである。また、かかるボルト部98には、ナット100が螺着されている。そこにおいて、本実施形態では、かかるナット100に対して、軸直角方向外方に突出する操作ロッド102が一体形成されている。
【0102】
このような構造とされた排気制御バルブ94においては、支持ロッド24のボルト部98に螺着されたナット100が支持ロッド24の軸方向一方の側から他方の側に移動せしめられることによって、バルブ本体20が支持ロッド24の軸方向で変位せしめられて、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32が排気管側当接部材36に形成された係止歯42に対して支持ロッド24の軸方向で係合せしめられることとなり、それによって、バルブ本体20の所定の回動位置への保持が可能となる。一方、支持ロッド24のボルト部98に螺着されたナット100の締め付けを緩めて、支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36から離隔せしめ、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32の排気管側当接部材36に形成された係止歯42への係合を解除することによって、バルブ本体20の回動位置の変更が可能となっている。
【0103】
このことから明らかなように、本実施形態では、ナット100を締めつける方向に移動せしめて、支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36を押圧せしめることにより、軸方向力作用機構が構成されている。また、本実施形態では、ナット100を締め付ける方向に移動せしめることによって、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42を係合せしめ、バルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、ナット100の締め付けを緩め、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態を解除してバルブ本体20の回動位置の変更を可能にすることで、回動位置設定保持機構が構成されている。
【0104】
従って、本実施形態の排気制御バルブ94においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0105】
図21には、本発明の第八の実施形態としての排気制御バルブ104が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0106】
本実施形態の排気制御バルブ104は、第一の実施形態の排気制御バルブ(10)に比して、圧縮コイルスプリング(52)と当接板(48)と操作部材(50)が採用されておらず、その代わりに、支持ロッド24の軸方向一方の側において、支持ロッド24の軸直角方向に貫通する挿通孔106が形成されていると共に、かかる挿通孔106に挿通される挿通ロッド108が設けられている。
【0107】
このような構造とされた排気制御バルブ104においては、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32が排気管側当接部材36に形成された係止歯42に対して支持ロッド24の軸方向で係合せしめられた状態で、支持ロッド24に形成された挿通孔106に挿通ロッド108が挿通されることによって、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態が維持されることとなり、それによって、バルブ本体20が所定の回動位置に保持されるようになっている。一方、支持ロッド24に形成された挿通孔106に挿通ロッド108が挿通されておらず、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態が解除可能な場合に、バルブ本体20の回動位置の変更が可能となっている。
【0108】
上述の説明から明らかなように、本実施形態では、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42を噛合せしめた状態で支持ロッド24に形成された挿通孔106に対して挿通ロッド108を挿通して支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42を係合状態に維持することによって、軸方向力作用機構が構成されている。また、本実施形態では、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42を噛合せしめた状態で支持ロッド24に形成された挿通孔106に挿通ロッド108を挿通して支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態を維持することによってバルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、支持ロッド24に形成された挿通孔106に挿通ロッド108を挿通せず、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態を解除可能にして、バルブ本体20の回動位置の設定を可能にすることで回動位置設定保持機構が構成されている。
【0109】
従って、本実施形態の排気制御バルブ104においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0110】
図22には、本発明の第九の実施形態としての排気制御バルブ110が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0111】
本実施形態の排気制御バルブ110においては、第一の実施形態の排気制御バルブ(110)に比して、操作部材(50)が採用されていない。また、本実施形態では、圧縮コイルスプリング52の周囲を覆うようにして、カバー112が排気管12の外周面に対して溶接により固定されている。
【0112】
このような構造とされた排気制御バルブ110においては、例えば、カバー112に形成された貫通孔114からマイナスドライバを差し込み、支持ロッド24の軸方向一方の端面に形成された切り込み内に、マイナスドライバの先端を位置せしめた状態で、マイナスドライバによって支持ロッド24を押圧操作および回動操作することにより、バルブ本体20の回動位置の変更が可能となる。
【0113】
従って、このような本実施形態の排気制御バルブ110においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0114】
また、本実施形態においては、カバー112が設けられていることから、圧縮コイルスプリング52に対して泥や水が引っかかることを防止することが可能となる。
【0115】
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0116】
例えば、前記第一乃至第九の実施形態では、一つの排気管12に対して一つ備えられた排気制御バルブによって排気音の調節をするようになっていたが、例えば、図23に示されているように、二つの排気管12,12のそれぞれに配された排気制御バルブ10,10をまとめて操作するようにしても良い。具体的には、各排気管12に備えられた排気制御バルブ10の支持ロッド24を共通とすることによって有利に実現することが出来る。なお、理解を容易にするために、図23では、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位に対して、第一の実施形態と同一の符号を付してある。
【0117】
また、図23においては、各排気管12に対して、支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36と当接板48と圧縮コイルスプリング52が一つずつ採用されていたが、二つの排気管12,12に挟まれている支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36と当接板48と圧縮コイルスプリング52は、必ず必要となるものではない。
【0118】
さらに、図23においては、二本の排気管12,12に配された排気制御バルブ10,10を同時に操作する場合の一具体例が示されていたが、3本以上の排気管12に配された排気制御バルブ10を同時に操作することも、二本の排気管12,12に配された排気制御バルブ10,10を同時に操作する場合と同様な方法によって実現することが可能である。
【0119】
また、バルブ本体の構造も、前記第一乃至第九の実施形態の構造に限定されるものではなく、例えば、第一の実施形態のバルブ本体20において回転板22と支持ロッド24を一体形成したような構造であっても良い。
【0120】
さらに、前記第一乃至第九の実施形態で採用されていた排気制御バルブが所定長さの管体に配された構造のバルブユニット管体を用意し、かかるバルブユニット管体を排気管12の一部として利用するようにしても良く、それによって、排気管に排気制御バルブを配する作業を容易にすることが可能となる。
【0121】
また、前記第一の実施形態では、回転板22は略一定の厚さ寸法とされていたが、支持ロッド24から離隔するに従って次第に厚さ寸法が小さくなるようにしても良く、それによって、バルブ本体20に作用する排気圧の低減を図ることが可能となる。
【0122】
さらに、バルブ本体20が全閉状態とされている場合においてバルブ本体20と排気管12との間の隙間寸法が小さくなるような場合には、例えば、回転板22に対して適当な数と大きさの貫通孔を形成するようにしても良い。そこにおいて、かかる貫通孔は、回転板22が製造された際に形成されていても良いし、或いは、回転板22が支持ロッド24に溶接された後に形成されても良い。更にまた、回転板22に形成された貫通孔を塞ぐ閉塞部材を設け、かかる閉塞部材で貫通孔を塞ぐことによって、回転板22に形成された貫通孔の数を調節するようにしても良い。なお、閉塞部材としては、例えば、貫通孔の内周面に形成されたねじ溝に螺合せしめられるネジ山が形成されたボルトやリベット,プレート等によって有利に構成される。
【0123】
更にまた、前記第一乃至第九の実施形態では、排気制御バルブは、排気管12におけるマフラ16との接続部分付近に備えられていたが、排気制御バルブが備えられる位置は、前記第一乃至第九の実施形態の位置に限定されることなく、例えば、マフラ16内であって、且つ、吸音材よりもエンジン14側に備えられていても良いし、或いは、テールパイプに備えられていても良い。
【0124】
また、前記第一乃至第九の実施形態では、一本の排気管12に対して一つの排気制御バルブ10が配されていたが、一本の排気管12に対して複数の制御バルブ10が配されるようにしても良く、それによって、操作しやすいほうの排気制御バルブを操作することが可能となる。また、複数の排気制御バルブの開度を組み合わせることによって、より広範囲な排気音の調節が可能となる。そこにおいて、一本の排気管に配される複数の排気制御バルブは互いに同じ構造のものであっても良いし、異なる構造のものであっても良い。また、排気制御バルブが配される位置も特に限定されず、例えば、マフラの前方側と後方側であっても良い。
【0125】
さらに、前記第一乃至第九の実施形態では、排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面に重ね合わせられるようにしてシール部材46が配されていると共に、排気管12の外周面に重ね合わせられるようにして円環形状のシール部54材が配されていたが、かかるシール部材46,54は隙間が十分に小さければ必ず必要となるものではない。また、シール部材46,54は、前記第一乃至第九の実施形態の形状等に限定されることなく、例えば、コイルスプリング44とシール部材46を合わせて一つの部材としたような形状であっても良いし、また、圧縮コイルスプリング52とシール部材54を合わせて一つの部材としたような形状であっても良い。
【0126】
また、前記第一乃至第九の実施形態では、排気管12や回転板22,支持ロッド24,支持ロッド側当接部材28,排気管側当接部材36等は、ステンレス鋼によって形成されていたが、その他の材料、例えば、鉄やチタン,アルミニウム合金等の各種金属材料や、使用環境下での耐熱性を満足し得る合成樹脂材等によって形成されていても良い。
【0127】
加えて、前記第一乃至第九の実施形態では、本発明を自動二輪車の排気管に配される排気制御バルブに対して適用したものの具体例が示されていたが、本発明は、自動車の排気管に配される排気制御バルブに対しても、勿論適用可能である。
【0128】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の第一の実施形態としての排気制御バルブが備えられた排気管の概略図である。
【図2】図1に示された排気制御バルブの縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図3】図2におけるIII−III断面図である。
【図4】図2に示された排気制御バルブに採用されている回転板を示す平面図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【図6】図2に示された排気制御バルブに採用されている支持ロッド側当接部材を説明するための図面であって、図2におけるVI−VI方向に相当する断面図である。
【図7】図2に示された排気制御バルブに採用されている排気管側当接部材を説明するための平面図であって、開口端面側から見た図面である。
【図8】本発明の第二の実施形態としての排気制御バルブの縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図9】本発明の第三の実施形態としての排気制御バルブの縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図10】図9に示された排気制御バルブに採用されている支持ロッド側当接部材を説明するための図面であって、図9におけるX−X方向に相当する断面図である。
【図11】図9に示された排気制御バルブに採用されている排気管側当接部材を説明するための図面であって、開口端面側から見た図面である。
【図12】本発明の第四の実施形態としての排気制御バルブを示す縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図13】図12に示された排気制御バルブにおける支持ロッド側当接部を説明するための図面であって、図12におけるXIII−XIII方向に相当する断面図である。
【図14】図12に示された排気制御バルブに採用されている排気管側当接部材を説明するための図面であって、開口端面側から見た図面である。
【図15】本発明の第五の実施形態としての排気制御バルブを示す縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図16】図15に示された排気制御バルブに採用されている支持ロッド側当接部材を説明するための図面であって、図15におけるXVI−XVI方向に相当する断面図である。
【図17】図15に示された排気制御バルブに採用されている排気管側当接部材を説明するための図面であって、開口端面側から見た図面である。
【図18】本発明の第六の実施形態としての排気制御バルブを示す縦断面図であって、図19におけるXVIII−XVIII方向に相当する断面図である。
【図19】図18におけるXIX−XIX断面図である。
【図20】本発明の第七の実施形態としての排気制御バルブを示す縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図21】本発明の第八の実施形態としての排気制御バルブを示す縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図22】本発明の第九の実施形態としての排気制御バルブを示す縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図23】二つの排気制御バルブに採用されているバルブ本体の回動位置を同時に設定するための構造を示す図面である。
【符号の説明】
【0130】
10 排気制御バルブ
12 排気管
14 エンジン
18 排気通路
20 バルブ本体
24 支持ロッド
28 支持ロッド側当接部材
36 排気管側当接部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスが通過する排気通路上に配される排気制御バルブに係り、特に、車両用内燃機関から排出される排気ガスが大気中に放出される際の音量を調節する排気制御バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
良く知られているように、内燃機関によって動力を得ている自動二輪車や自動車においては、その動力を得る際、内燃機関を構成する各シリンダから排気ガスが排出されるようになっており、かかる排出ガスは、エキゾーストマニホルドによって集められてから、エキゾーストパイプを通じて大気中に放出されるようになっている。
【0003】
そこにおいて、内燃機関から排出される排気ガスは、高音・高圧であることから、かかる排気ガスをそのまま大気中に放出すると、排気ガスが急激に膨張して激しい爆発音を発する。そこで、一般に、エキゾーストパイプ上にマフラを設けて、排気ガスを、かかるマフラを通して圧力と温度を下げてから、大気中に放出するようになっており、それによって、排気ガスが大気中に放出される際の音(排気音)を小さくするようになっている。
【0004】
しかしながら、マフラを通して排気ガスを放出したとしても、排気音を完全に消し去ることは困難であり、自動二輪車や自動車を運転する時間帯や場所等によっては、かかる排気音が大きな音に感じられ、運転者が周囲に気を使うことがある。具体的には、例えば、早朝や深夜の住宅地で自動二輪車や自動車を運転する場合に排気音が問題となり易い。
【0005】
そこで、特許文献1に記載の如きエンジンの排気音可変構造が提案されている。このエンジンの排気音可変構造は、マフラボデー乃至はテールパイプの尾端を覆うようにして取り付けられるエンドキャップを備えており、このエンドキャップには、大気開放口が形成されている。また、エンドキャップには、大気開放口が形成されたほうと反対側において、支軸が固定されており、かかる支軸には、一対の羽根弁が回動自在に支持されている。更にまた、エンドキャップには、その中央軸支部において、軸方向一方の端部にねじ部が形成されている一方、軸方向他方の端部に操作用のつまみが形成されている調整軸が回転自在に取り付けられている。また、この調整軸には、ねじ部において移動駒が螺着されており、かかる移動駒は、一対の羽根弁に対してリンクによって連結されている。このようなエンジンの排気音可変構造においては、操作用のつまみが操作されると調整軸が回転せしめられて、移動駒が調整軸の軸方向に移動せしめられるようになっており、それによって、一対の羽根弁が支軸を中心として後傾斜せしめられて、大気開放口と一対の羽根弁との間に形成された排気ガス通路の通路面積が変化せしめられるようになっている。その結果、排気音が調節されることとなる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているエンジンの排気音可変構造においては、一対の羽根弁を駆動するために、リンク機構が用いられていることから、一対の羽根弁を駆動する仕組みが複雑になってしまうと共に、リンク機構の駆動スペースを確保しなければならないという問題がある。また、リンク機構が排気ガスに晒される環境に置かれていることから、リンク機構を構成する部材が排気ガスによって腐食してしまい、一対の羽根弁の駆動、延いては、排気音の調節に悪影響を及ぼすおそれもある。
【0007】
なお、特許文献2に記載の如き排気ガス制御バルブも提案されている。この排気ガス制御バルブは、排気管の管断面中心を通る位置に挿通配置された回動軸に対してバタフライ弁が止めネジにより固定されていると共に、かかる回動軸における排気管から外部に突出した部分に対して牽引板およびバネ受けが配置されている。また、このように配置された牽引板およびバネ受けの間において、回動軸に対してバタフライ弁の開度が全閉となる方向に付勢力を付与するコイルスプリングが設けられている。更にまた、牽引板には、突起が固着されており、かかる突起に対してワイヤが連結されている。このような構造とされた排気ガス制御バルブにおいては、アクチュエータでワイヤが引っ張られることによって、牽引板がコイルスプリングの付勢力に抗して回動せしめられるようになっており、それによって、回動軸が回動せしめられて、回動軸に固定されたバタフライ弁の開度が調節されるようになっている。その結果、排気音が調節されることとなる。
【0008】
しかしながら、このような排気ガス制御バルブにおいては、バタフライ弁の開度の調節がアクチュエータでワイヤが引っ張られることによって行われることから、ワイヤの取り回しが必要となり、それに伴って、ワイヤ取り回し用のスペースを大きく確保しなければならないという問題がある。また、アクチュエータでワイヤを引っ張るようになっていることから、部品点数が多くなってしまうという問題もある。更にまた、排気管等の熱に起因してワイヤが伸びることがあり、それによって、ワイヤを引っ張る長さが同じであるにも拘わらず、バタフライ弁の開度が異なってくるといった不具合が生じるおそれもある。
【0009】
【特許文献1】特開2003−56340号公報
【特許文献2】実開平6−80837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、排気音を調節するための機構をコンパクトにまとめることが出来る、新規な構造の排気制御バルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体に記載されたもの、或いは、それらの記載から当業者が把握することが出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
排気制御バルブに関する本発明の第一の態様は、(a)内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、該排気通路上に配された状態で該排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えており、該排気通路の通路壁に対して該回動軸の軸方向での相対変位が可能とされていると共に、該回動軸の周方向に回動せしめられることによって該排気通路の通路断面積を変化せしめるバルブ本体と、(b)該バルブ本体の該回動軸と該排気通路の通路壁の対応する位置に形成されて、該回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部および通路壁側当接部と、(c)該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、該回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構と、(d)該軸方向力作用機構による該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を利用して、該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該軸方向力作用機構によって及ぼされる軸方向力を解除することにより該バルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構とが、(e)設けられている排気制御バルブを、特徴とする。
【0013】
このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、かかる排気通路上に配された状態で排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えたバルブ本体が、排気通路上に配された状態で、排気通路の通路壁に対して回動軸の軸方向で相対変位が可能とされていると共に、バルブ本体の回動軸と排気通路の通路壁の対応する位置に対して回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部と通路壁側当接部が形成されており、しかも、回動軸側当接部を通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構による回動軸側当接部の通路壁側当接部への押し付け状態を利用してバルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、かかる軸方向力作用機構によって及ぼされる力を解除することによりバルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構が採用されていることから、回動位置設定保持機構によってバルブ本体の回動位置の変更が可能とされた状態でバルブ本体の回動位置が変更されることにより、排気通路の通路断面積が変化せしめられるようになっており、また、このようにして変更された回動位置に対して回動位置設定保持機構によりバルブ本体が保持されることで、排気通路の通路断面積が変化せしめられた状態が維持されるようになっている。その結果、排気音が調節されるようになっているのである。
【0014】
そこにおいて、本態様に係る排気制御バルブにあっては、バルブ本体の回動位置の変更が可能とされる状態が、軸方向力作用機構によって回動軸に及ぼされる力を解除することで発現せしめられるようになっており、また、バルブ本体の所定の回動位置への保持が、軸方向力作用機構によって回動軸に力を及ぼすことで為されるようになっており、しかも、これら回動軸側当接部と通路壁側当接部は、回動軸の軸方向で当接せしめられるようになっていることから、回動位置設定保持機構と軸方向力作用機構を、バルブ本体が備える回動軸と同一中心軸上に設けることが可能となる。
【0015】
特に、本態様に係る排気制御バルブにおいては、回動軸側当接部が回動軸に対して形成されていると共に、通路壁側当接部が排気通路の通路壁に形成されており、しかも、回動軸側当接部の通路壁側当接部への押し付け状態を利用することによって、バルブ本体が所定の回動位置に保持されるようになっていることから、バルブ本体を所定の回動位置に保持する際に必要な部品点数を少なくすることが可能となる。
【0016】
加えて、本態様に係る排気制御バルブにおいては、回動軸側当接部を通路壁側当接部に押し付けるようになっていることから、排気通路の通路壁に近接した位置において、回動位置設定保持機構を設けることが可能となる。
【0017】
従って、本態様に係る排気制御バルブにおいては、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構、即ち、排気音を調節するための機構をコンパクトにまとめることが可能となるのである。
【0018】
また、本態様に係る排気制御バルブにおいては、バルブ本体が排気通路上に配された状態で、バルブ本体が備える回動軸は、排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びるようになっていることから、バルブ本体を所定の回動位置に保持するために回動軸に対して及ぼされる力の方向と、バルブ本体の回動方向とが略直交することとなり、それによって、例えば、高速走行等によって排気ガスの圧力が高くなったとしても、排気ガスの圧力がバルブ本体に及ぼされることによって、回動軸に対して及ぼされている、バルブ本体を所定の回動位置に保持するための軸方向力が解除され難いようにすることが可能となり、その結果、バルブ本体の所定の回動位置への保持を安定して行うことが可能となる。
【0019】
なお、本態様におけるバルブ本体は、回動軸の周方向に回動せしめられた際、通路方向での投影において、その投影面積が変化せしめられるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、蝶形弁等によって有利に構成される。また、本態様におけるバルブ本体は、通路方向での投影面積が最も大きくなる全閉状態であっても、排気通路の通路壁との間において、所定の隙間が形成されていることが望ましく、それによって、バルブ本体の回動位置を、全閉状態となる回動位置から該全閉状態となる回動位置とは異なる回動位置に設定することが、排気通路の通路壁の熱膨張に起因して阻害されないようにすることが可能となる。そこにおいて、本態様におけるバルブ本体にあっては、排気通路の通路壁との間に形成される隙間が、回動軸側当接部を通路壁側当接部に押し付ける方向よりも、回動軸側当接部を通路壁側当接部に押し付ける方向に及ぼされる力を解除する方向において大きく設定されていることが望ましく、それによって、回動軸側当接部を通路壁側当接部に押し付ける方向に及ぼされる力を解除して、バルブ本体を回動位置の変更が可能な状態にすることが容易に可能となる。
【0020】
排気制御バルブに関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る排気制御バルブにおいて、前記回動軸側当接部と前記通路壁側当接部との間において前記回動軸の軸方向で係脱可能とされて係合により周方向の相対回動を阻止する係合機構を設けると共に、該回動軸の周方向の複数位置で該係合機構の係合状態を可能とすることによって前記バルブ本体の回動位置を複数段階に設定可能にし、該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けて該係合機構を係合状態とすることによって該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付けを解除し、該係合機構を離脱状態として該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、回動軸側当接部と通路壁側当接部の間において回動軸の軸方向で係脱可能に設けられて係合により周方向の相対回動を阻止する係合機構が係合状態となることによって、バルブ本体が所定の回動位置へ保持される一方、かかる係合機構が離脱状態となることによって、バルブ本体の回動位置が変更可能とされていることから、かかる係合機構を回動軸と同一中心軸上に設けることが可能となる。また、かかる係合機構における係合状態が排気通路の通路壁に近接した位置において為されるようにすることも可能となる。
【0021】
従って、本態様に係る排気制御バルブにおいては、回動位置設定保持機構を簡単な構造にすることが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0022】
また、本態様に係る排気制御バルブにおいては、係合機構での係合状態が解除されない限り、バルブ本体の所定の回動位置への保持が継続されることとなり、それによって、バルブ本体の所定の回動位置への保持、延いては、排気音の制御を簡単な構造でもって有利に実現することが可能となる。
【0023】
排気制御バルブに関する本発明の第三の態様は、前記第二の態様に係る排気制御バルブにおいて、前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部には、前記回動軸の軸方向で対向する面において、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた状態で互いに噛み合う軸方向係止歯が形成されており、それらの軸方向係止歯によって前記係合機構が構成されていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、回動位置設定保持機構を簡単な構造で有利に実現することが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0024】
排気制御バルブに関する本発明の第四の態様は、前記第二の態様に係る排気制御バルブにおいて、前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部には、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされることで軸方向に内外挿されるようになっており、その内外挿される部分の軸直角方向で重ね合わせられる内外周面において互いに噛み合う軸直角方向係止歯が形成されており、それらの軸直角方向係止歯によって前記係合機構が構成されていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、回動位置設定保持機構を簡単な構造で有利に実現することが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0025】
排気制御バルブに関する本発明の第五の態様は、前記第二の態様に係る排気制御バルブにおいて、前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部の何れか一方には、前記回動軸の軸方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方に対して対向せしめられる面から該回動軸の軸方向に突出する係止突起が形成されていると共に、該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方には、該回動軸の軸方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の一方に対して対向せしめられる面に開口して該係止突起が嵌め込まれる係止凹所が形成されており、該係止突起および該係止凹所によって前記係合機構が構成されていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、回動位置設定保持機構を簡単な構造で有利に実現することが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0026】
排気制御バルブに関する本発明の第六の態様は、前記第二の態様に係る排気制御バルブにおいて、前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部の何れか一方には、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた場合に前記回動軸の軸直角方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方に対して対向せしめられる面から該回動軸の軸直角方向に突出する軸直角方向突起が形成されていると共に、該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方には、該回動軸の軸方向の端面と該軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた場合に該回動軸の軸直角方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の一方に対して対向せしめられる面の両方に開口して該軸直角方向突起が該回動軸の軸方向で係合せしめられる切欠が形成されており、該軸直角方向突起および該切欠によって前記係合機構が構成されていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいて、回動位置設定保持機構を簡単な構造で有利に実現することが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0027】
排気制御バルブに関する本発明の第七の態様は、前記第一の態様に係る排気制御バルブにおいて、前記回動軸側当接部の前記通路壁側当接部への押し付け状態でそれら回動軸側当接部と通路壁側当接部との当接面に働く静止摩擦力を利用して該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け力状態解除し、該回動軸側当接部と該通路壁側当接部との間で働く静止摩擦力を弱めて該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、回動軸側当接部の通路壁側当接部への押し付け状態でバルブ本体に対して回動方向に外力が及ぼされた際に回動側当接部と通路壁側当接部との間で働く静止摩擦力を利用することによってバルブ本体の所定の回動位置への保持がなされる一方、回動軸側当接部の通路壁側当接部への押し付け状態が解除されて回動軸側当接部と通路壁側当接部の間で働く静止摩擦力が弱められることでバルブ本体の回動位置の変更が可能とされていることから、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構を、回動軸と同一中心軸上に設けることが可能となる。また、回動軸側当接部の通路壁側当接部への押し付け状態が、排気通路の通路壁に近接した位置において為されるようにすることも可能となる。
【0028】
従って、本態様に係る排気制御バルブにおいては、回動位置設定保持機構を簡単な構造で有利に実現することが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0029】
排気制御バルブに関する本発明の第八の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に係る排気制御バルブにおいて、前記バルブ本体の前記回動軸の軸方向であって前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付ける方向に付勢力を及ぼす圧縮コイルスプリングを設けて、該圧縮コイルスプリングにより該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けるようにすることで前記軸方向力作用機構を構成したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、軸方向力作用機構に要する部品点数を少なくすることが可能となる。また、圧縮コイルスプリングを回動軸と同一中心軸上に設けることも可能となる。
【0030】
従って、本態様に係る排気制御バルブにおいては、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構を一層コンパクトにまとめることが可能となる。
【0031】
排気制御バルブに関する本発明の第九の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に係る排気制御バルブにおいて、前記バルブ本体における前記回動軸の外周面にネジ山を形成して該回動軸にボルト部を設ける一方,該ボルト部に対して螺合せしめられるナットを設けて、該ボルト部に螺合せしめられた該ナットを回動させて該ボルト部を軸方向に相対駆動せしめることにより、該ボルト部が形成された該回動軸を備える該バルブ本体を前記排気通路の通路壁に対して相対変位せしめ、前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付けるようにすることで前記軸方向力作用機構を構成したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、軸方向力作用機構を構成するのに必要な部品の一つが回動軸によって構成されることとなり、それによって、軸方向力作用機構を構成するために必要な部品点数を少なくすることが可能となる。
【0032】
従って、本態様に係る排気制御バルブにおいては、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構を一層コンパクトにまとめることが可能となる。
【0033】
排気制御バルブに関する本発明の第十の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に係る排気制御バルブにおいて、前記バルブ本体における前記回動軸に対して軸直角方向に延びる挿通孔を形成すると共に、該挿通孔に差し込まれるロッドを設けて、前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付けた状態で該挿通孔に該ロッドを挿通して該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を維持することで前記軸方向力作用機構を構成したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、軸方向力作用機構を構成するために必要な部品の一つが回動軸によって構成されることとなり、それによって、軸方向力作用機構に要する部品の数を少なくすることが可能となる。
【0034】
従って、本態様に係る排気制御バルブにおいては、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構を一層コンパクトにまとめることが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた排気制御バルブにおいては、回動軸側当接部を通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、回動軸に軸方向の力を作用させる軸方向力作用機構による回動軸側当接部の通路壁側当接部への押し付け状態を利用してバルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、かかる軸方向力作用機構によって及ぼされる力を解除することによりバルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構が採用されていることから、回動位置設定保持機構によってバルブ本体の回動位置の変更が可能とされている状態でバルブ本体の回動位置が変更され、このようにして変更された回動位置に対して回動位置設定保持機構によりバルブ本体が保持されることで、排気通路の通路断面積が変化せしめられて、排気音が調節されるようになっている。そこにおいて、本発明に従う構造とされた排気制御バルブにあっては、バルブ本体が備えている回動軸に対して軸方向力作用機構によりその軸方向に力を及ぼして、バルブ本体の回動軸に形成された回動軸側当接部を排気通路の通路壁に形成された通路壁側当接部に押し付けることによって、バルブ本体を所定の回動位置に保持するようになっていることから、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構を、バルブ本体が備える回動軸の同一中心軸上であって、且つ、排気通路の通路壁に近接した位置に設けることが可能となり、それによって、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0037】
図1には、本発明の第一の実施形態としての排気制御バルブ10を備えた自動二輪車用の排気管12が概略的に示されており、図2および図3には、その要部を拡大した断面図が示されている。
【0038】
排気管12は、ステンレス鋼によって形成されており、全体として円筒形状を呈している。また、排気管12は、その軸方向一方の端部が内燃機関としてのエンジン14に接続されていると共に、軸方向他方の端部がマフラ16に接続されている。そして、エンジン14から排出された排気ガスが排気管12内に形成された排気通路18を通り、マフラ16によって圧力と温度が下げられてから、大気中に排出されるようになっている。このことから明らかなように、本実施形態では、排気管12によって排気通路18の通路壁が構成されている。
【0039】
排気制御バルブ10は、排気管12において、マフラ16との接続部分付近に備えられており、排気管12内に形成された排気通路18上に配されるバルブ本体20を含んで構成されている。このバルブ本体20は、回転板22に対して回動軸としての支持ロッド24が溶接により固定された構造とされている。なお、本実施形態では、回転板22および支持ロッド24は、何れも、ステンレス鋼によって形成されている。
【0040】
そこにおいて、本実施形態では、回転板22は、図4および図5に示されているように、全体として、排気管12の内径寸法よりも小さな外径寸法を有する円板形状とされているが、支持ロッド24の軸方向一方の側(図2および図4中の右側)における外径寸法が支持ロッド24の軸方向他方の側(図2および図4中の左側)における外径寸法よりも大きくされており、それによって、本実施形態の回転板22は、支持ロッド24の軸方向他方の側において、支持ロッド24の軸方向他方の側から一方の側に向かって押し縮められたような形状とされている。
【0041】
一方、支持ロッド24は、略一定の円形断面でもって軸方向にストレートに延びる形状とされている。特に、本実施形態では、その軸方向寸法は、排気管12の外径寸法よりも十分大きくされている。そして、支持ロッド24が、排気管12に形成された挿通孔26に挿通された状態下において、支持ロッド24の軸方向中央部分に対して回転板22が溶接により固定されることで、バルブ本体20が排気通路18上に配されるようになっている。即ち、回動軸としての支持ロッド24の両端部が、排気管12の径方向対向位置する部分に形成された挿通孔26,26に挿通されていることにより、この支持ロッド24が、排気管12に対して、中心軸回りには回動可能に、且つ軸直角方向では変位不能に、排気管12によって支持されているのである。
【0042】
そこにおいて、本実施形態では、バルブ本体20が排気通路18上に配された状態において、バルブ本体20が備える支持ロッド24は、排気通路18の通路方向に対して略直交する方向に延びている。また、回転板22には、支持ロッド24が重ね合わせられる部分のみが、支持ロッド24の外周面に沿うようにして湾曲せしめられており、それによって、支持ロッド24に固定された回転板22は、平坦な部分が支持ロッド24の軸直角方向外方に突出するようになっている。更にまた、挿通孔26の内周面と支持ロッド24の外周面との間には、排気管12が熱膨張した際にバルブ本体20の回動が阻害されない程度の隙間が形成されている。なお、かかる隙間が大きすぎると、排気ガスが漏れるおそれがあるので、隙間の大きさは、これらの事情を考慮して設定される。
【0043】
このようにして排気通路18上に配されるバルブ本体20には、支持ロッド24の軸方向他方の端部において、支持ロッド側当接部材28が固定的に設けられている。この支持ロッド側当接部材28は、ステンレス鋼によって形成されており、図6にも示されているように、全体として厚肉の円形ブロック形状を呈している。更にまた、支持ロッド側当接部材28には、厚さ方向一方の端面に開口するようにして、浅底の凹所30が形成されていると共に、かかる浅底の凹所30の開口端面において、鋸歯状の係止歯32が複数形成されている。この係止歯32は、支持ロッド側当接部材28の中心軸回りで周方向に連続して形成された複数の山部と谷部によって構成されており、各山部と谷部の傾斜角度は、何れも等しくされている。要するに、これら複数の係止歯32の各稜線と谷線は、周方向において等間隔とされて、支持ロッド側当接部材28の中心軸から放射状に径方向に延びる形態とされている。なお、支持ロッド側当接部材28には、排気管12の外部からバルブ本体の回動位置を認識出来るようにするために、目印穴33が、適当の内径の円形断面で径方向に延びるように形成されて外周面に開口せしめられている。なお、この目印穴33には、ピンを圧入固定して突起状の目印とすることも可能である。
【0044】
このような構造とされた支持ロッド側当接部材28は、浅底の凹所30の底面に開口するようにして形成された収容穴34に対して、支持ロッド24の軸方向他方の端部が圧入固定されることにより、支持ロッド24の軸方向他方の端部に固定的に設けられるようになっている。そして、本実施形態では、このように支持ロッド側当接部材28が支持ロッド24の軸方向他方の端部に固定された状態下において、上述の目印穴33の開口方向が回動板22の広がり方向と略同じに設定されている。
【0045】
そこにおいて、本実施形態では、支持ロッド側当接部材28は、支持ロッド24の軸方向他方の端部に固定的に設けられた状態において、支持ロッド24と同一中心軸上に位置せしめられていると共に、支持ロッド側当接部材28に形成された浅底の凹所30の開口端面は、排気管12側に位置せしめられている。
【0046】
また、排気管12の外周面には、上述の如く、支持ロッド24の軸方向他方の端部に固定的に設けられた支持ロッド側当接部材28に対向せしめられるような位置において、排気管側当接部材36が固定的に設けられている。この排気管側当接部材36は、ステンレス鋼によって形成されており、図7にも示されているように、全体として、円形のブロック形状を呈している。そこにおいて、排気管側当接部材36の厚さ方向一方の端面は、排気管の外周面に沿うようにして円弧状に湾曲せしめられている。
【0047】
そして、このように排気管12の外周面に沿うようにして円弧状に湾曲せしめられた厚さ方向一方の面が排気管12の外周面に重ね合わせられた状態で、排気管側当接部材36は、排気管12の外周面に対して溶接により固定されるようになっている。なお、排気管側当接部材36には、厚さ方向に貫通する挿通孔38が形成されており、かかる挿通孔38に対して支持ロッド24が挿通された状態で、排気管側当接部材36は、排気管12の外周面に対して溶接により固定されるようになっているのである。
【0048】
そこにおいて、本実施形態では、このように排気管側当接部材36が排気管12の外周面に固定された状態下において、排気管側当接部材36は、支持ロッド24と同一中心軸上に位置せしめられている。また、支持ロッド24の外周面と挿通孔38の内周面との間には、所定の隙間が形成されており、それによって、排気管側当接部材36が熱膨張した際のバルブ本体20の回動が阻害されないようになっている。
【0049】
更にまた、排気管側当接部材36には、厚さ方向他方の面に開口するようにして、浅底の凹所40が形成されていると共に、かかる浅底の凹所40の開口端面において、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32に対して支持ロッド24の軸方向で噛合せしめられる、鋸歯状の係止歯42が複数形成されている。即ち、この係止歯42も、支持ロッド側当接部材28の係止歯32と同様に、排気管側当接部材36の中心軸回りで周方向に連続して形成された複数の山部と谷部によって構成されており、係止歯32に対応した大きさおよび形状とされている。これにより、支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36は、軸方向での両対向面に形成され係止歯32,42の噛合が、中心軸回りの複数位置で発現されるようになっている。しかも、周上で複数形成された全ての係止歯が常に噛合状態とされることから、全体として非常に大きい周方向の位置決め力が発揮され得るのである。
【0050】
また、本実施形態では、排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面には、円環形状のシール部材46が、その中心孔において支持ロッド24に挿通された状態で重ね合わせられている。このシール部材46は、挿通孔38の内周面と支持ロッド24の外周面との間に形成された隙間を外部から塞ぐために配されたものであり、シリコーン樹脂やフッ素樹脂等によって形成されている。更にまた、本実施形態では、支持ロッド側当接部材28に形成された凹所30の底面と排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面との間には、コイルスプリング44が配されており、支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36を軸方向で離隔せしめる方向に対して、常時、付勢力を及ぼすようになっている。これにより、シール部材46がコイルスプリング44の付勢力によって排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面に対して密着せしめられることとなり、その結果、シール性が確保されるようになっている。
【0051】
更にまた、支持ロッド24の軸方向一方の端部には、円環板形状の当接板48が、その中心孔において支持ロッド24に挿通された状態で溶接により固定されている。そして、本実施形態では、このようにして支持ロッド24の軸方向一方の端部に固定された当接板48の厚さ方向一方の面と、支持ロッド24の軸方向一方の端面に重ねられるようにして、円形ブロック形状の操作部材50が接着等によって固定されている。なお、操作部材50は、耐熱性を有するゴム材料によって形成されている。
【0052】
また、このようにして支持ロッド24の軸方向一方の端部に固定された当接板48と、排気管12との間には、圧縮コイルスプリング52が軸方向に圧縮せしめられて支持ロッド24に外挿された状態で配されており、それによって、圧縮コイルスプリング52の付勢力が、バルブ本体20(支持ロッド24)に対して、支持ロッド24の軸方向であって、支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36に接近せしめる方向に、常時、及ぼされるようになっている。
【0053】
そして、このようにバルブ本体20(支持ロッド24)に対して、支持ロッド24の軸方向であって、支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36に接近せしめる方向に、常時、圧縮コイルスプリング52の付勢力が及ぼされることにより、支持ロッド側当接部材28が排気管側当接部材36に押し付けられて押圧状態とされることにより、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32が、排気管側当接部材36に形成された係止歯32に対して、支持ロッド24の軸方向であって、且つ、支持ロッド24と同一中心軸上で噛合せしめられるようになっている。これにより、バルブ本体20の回動位置が設定され、また、このようにして設定された回動位置に対してバルブ本体20が保持されるようになっている。その結果、排気音が調節されることとなる。なお、本実施形態では、コイルスプリング44の付勢力が、支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36を離隔せしめる方向に対して、常時、及ぼされているが、かかるコイルスプリング44の付勢力が圧縮コイルスプリング52の付勢力に比して、十分小さくされていることから、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態を有利に確保することが出来るようになっている。
【0054】
そこにおいて、本実施形態では、回転板22における支持ロッド24の軸方向他方の側が、支持ロッド24の軸方向他方の側から一方の側に押し縮められたようになっていることから、上述の如く、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42が噛合せしめられた状態下において、回転板22における支持ロッド24の軸方向他方の側と排気管12の間に形成された隙間が、回転板22における支持ロッド24の軸方向一方の側と排気管12の間に形成された隙間よりも大きくされている。これにより、バルブ本体20を、圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して、支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36から離隔せしめる方向に変位せしめた場合であっても、回転板22が排気管12に当たるまでのバルブ本体20の変位量を十分に確保することが可能となり、その結果、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態が解除可能となるまでバルブ本体20を支持ロッド24の軸方向に変位させることが可能となっている。
【0055】
なお、本実施形態では、排気管12の外周面に対して、円環形状のシール部材54が、その中心孔において支持ロッド24に挿通された状態で重ね合わされている。このシール部材54は、挿通孔26の内周面と支持ロッド24の外周面との間に形成された所定の隙間を外部から覆うために配されたものであり、耐熱性や耐久性を考慮して好適にはシリコーン樹脂やフッ素樹脂等によって形成されている。そして、このように排気管12の外周面に対してシール部材54が重ね合わせられるようにして配されていることで、圧縮コイルスプリング52の付勢力が(支持ロッド24に対する当接反力として)シール部材54を介して排気管12に及ぼされるようになっており、それによって、シール性が確保されるようになっている。
【0056】
続いて、このような構造とされた排気制御バルブ10におけるバルブ本体20の回動位置の設定方法、即ち、排気音の調節方法について説明する。先ず、ユーザーや整備士等の作業者が外部から外力を加えて、操作部材50を支持ロッド24の軸方向一方の側から他方の側に向けて押圧操作する。これにより、バルブ本体20を、圧縮コイルスプリングの付勢力に抗して、排気管12に対して軸方向一方の側に向けて相対変位せしめ、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32の排気管側当接部材36に形成された係止歯42への係合を解除する。
【0057】
次に、このように支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32の排気管側当接部材36に形成された係止歯42への係合を軸方向の相対変位に基づいて解除した状態を維持しつつ、即ち軸方向の外力を支持ロッド24に及ぼしたままの状態で、バルブ本体20を所望の回動位置まで回動せしめる。
【0058】
その後、操作部材50に対する軸方向外力による押圧操作を止める。これにより、バルブ本体20を、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって、排気管12に対して相対変位せしめ、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32を排気管側当接部材36に形成された係止歯42に噛合せしめる。
【0059】
これにより、バルブ本体20を所望の回動位置に変更して、かかる位置に保持せしめることが可能となるのであり、その結果、排気音の調節が可能となるのである。
【0060】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、支持ロッド側当接部材28によって回動軸側当接部が構成されていると共に、排気管側当接部材36によって通路壁側当接部が構成されている。また、本実施形態では、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42によって係合機構が構成されていると共に、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42のそれぞれによって軸方向係止歯が構成されている。更に、本実施形態では、圧縮コイルスプリング52の付勢力により支持ロッド24に対して軸方向で力を及ぼし、支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36に押圧せしめることによって、軸方向力作用機構が構成されている。更にまた、本実施形態では、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36に押圧せしめて、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42を支持ロッド24の軸方向で噛合せしめることによって、バルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、圧縮コイルスプリング52による付勢力に抗してバルブ本体20を排気管12に対して相対変位せしめ、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32を排気管側当接部材36に形成された係止歯42に対して支持ロッド24の軸方向で離隔せしめて、バルブ本体20の回動位置の変更を可能とすることによって、回動位置設定保持機構が構成されている。
【0061】
このような構造とされた排気制御バルブ10においては、支持ロッド24の軸方向一方の端部に固定的に設けられた当接板48と排気管12の間において支持ロッド24に外挿された状態で配された圧縮コイルスプリング52の付勢力によってバルブ本体20が排気管12に対して支持ロッド24の軸方向に相対変位せしめられることにより、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32が排気管側当接部材36に形成された係止歯42に対して、支持ロッド24の軸方向であって、且つ、支持ロッド24と同一中心軸上において噛合せしめられるようになっており、それによって、バルブ本体20が所定の回動位置に保持されて排気音が調節されるようになっていることから、排気音の調節に必要な部材が支持ロッド24と同一中心軸上において、排気管12の付近にまとめられて配されることとなる。従って、本実施形態の排気制御バルブ10においては、排気音の調節を可能にする機構、即ち、軸方向力作用機構と回動位置設定保持機構をコンパクトにまとめることが可能なるのである。
【0062】
また、本実施形態の排気制御バルブ10においては、圧縮コイルスプリング52が、排気管12を挟んで支持ロッド側当接部材28が固定された側と反対側において、支持ロッド24に外挿されていることから、圧縮コイルスプリング52の配設スペースを有利に確保することが可能となる。
【0063】
更にまた、本実施形態の排気制御バルブ10においては、バルブ本体20の回動位置が調節可能とされていることから、バルブ本体20の回動位置を調節することによって、排気音の調節のみならず、エンジン14の出力特性を変化させることも可能となる。即ち、バルブ本体20の傾斜角度(排気管12の中心軸に対するバルブ本体20の面の交差角度)を小さくしてバルブ本体20を排気管12内で寝かせることにより、排気効率を向上させて高速回転域でのエンジンの伸びを実現させたり、或いは、バルブ本体20の傾斜角度を大きくしてバルブ本体20を排気管12内で立てることにより、排気効率をダウンさせて低回転域での大きなトルク特性を発現させたりすることも可能となる。
【0064】
また、本実施形態の排気制御バルブ10においては、バルブ本体20の回動位置を変更する際、従来のように、リンク機構やワイヤを用いずに、バルブ本体20を直接に回動せしめるようになっていることから、構造を簡単にして、部品点数を少なくすることが可能となる。
【0065】
更にまた、バルブ本体20を同じ回動位置に長期間保持した後、バルブ本体20の回動位置を変更する場合であっても、リンク機構の作動不良やワイヤの滑動性の悪化等に起因してバルブ本体20を所望の回動位置に設定出来なくなるといった不具合の発生を有利に回避することが可能となり、それによって、バルブ本体20の回動位置の変更を長期間に亘って安定して行うことが可能となる。
【0066】
さらに、本実施形態の排気制御バルブ10においては、ワイヤ等で操作する場合に比して、バルブ本体20の回動位置の変更、即ち、排気音の調節を確実に行うことが出来るようになっていることから、排気音の調節に対する信頼性を高くすることが可能となる。
【0067】
特に、本実施形態では、周方向に複数形成された鋸歯状の係止歯32,42が互いに噛み合うことによってバルブ本体20が回動位置に保持されるようになっていることから、一組の凹凸の係合だけでバルブ本体20を回動位置に保持する場合に比して、バルブ本体20を回動位置に保持する力を有利に確保することが可能となり、それによって、排気圧にも十分に耐えることが可能となり、その結果、バルブ本体20の回動位置の保持に対する信頼性、延いては、排気音の調節に対する信頼性を有利に確保することが可能となる。
【0068】
加えて、本実施形態では、支持ロッド24の軸方向に延びる凹凸ではなく、支持ロッド24の周方向において、上り傾斜と下り傾斜が交互に繰り返される係止歯32,42が噛み合うようになっていることから、係止歯32,42の傾斜面を利用した案内作用によって、バルブ本体20の回動位置の変更を容易に行うことが可能となり、それによって、バルブ本体20の回動位置の変更を速やかに行うことが可能となる。即ち、両係止歯32,42(両部材の軸方向対向面)が略全面で当接した正規の最も安定した噛合状態に向けて、圧縮コイルスプリングの付勢力を利用して案内されるようになっているのである。
【0069】
また、本実施形態では、バルブ本体20を排気管12から着脱することなく、バルブ本体20の回動位置の変更を行うことが出来るようになっていることから、バルブ本体20の回動位置の変更を、非常に簡単な作業で且つ速やかに行うことが出来る。しかも、本実施形態では、バルブ本体20の回動位置の変更作業が非常に簡単であることに加えて、バルブ本体20の回動位置の変更を確実に行うことが出来るようになっていることから、ユーザー自身によってバルブ本体20の回動位置の変更を行うことが可能となる。しかも、操作部材50を断熱性の高いゴム材料等で形成することにより、直接に手で押して操作することも可能である。尤も、この操作部材50が高温となる場合には、例えば操作部材50を、プライヤーやペンチ等を用いて挟んで操作することも可能である。その他、操作部材50の軸方向外側端面に対してプラスやマイナスのドライバ係合穴を形成しておけば、ドライバを利用して容易に操作することが可能となる。即ち、ドライバで操作部材50を軸方向に押圧して支持ロッド24を軸方向に変位させると同時に、その押圧外力を保持したままでドライバを回動操作することで、支持ロッド24ひいてはバルブ本体20を容易に且つ確実に回動させることが出来るのであり、その作業が極めて容易となるのである。
【0070】
図8には、本発明の第二の実施形態としての排気制御バルブ56が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0071】
本実施形態の排気制御バルブ56は、第一の実施形態の排気制御バルブ(10)に比して、支持ロッド側当接部および排気管側当接部の構造が異なっている。より詳細には、前記第一の実施形態では、支持ロッド側当接部は、支持ロッド24に対して別体形成されて支持ロッド24に対して溶接により固定された支持ロッド側当接部材28によって構成されていたが、本実施形態の支持ロッド側当接部58は、支持ロッド24の軸方向他方の端部に一体形成されており、全体として支持ロッド24よりも大きな外径寸法を有する円柱形状とされている。そして、支持ロッド側当接部58における軸方向他方の端部には、軸直角方向外方に広がるフランジ60が一体形成されている。
【0072】
また、本実施形態の排気管側当接部は、第一の実施形態と同様に、排気管側当接部材36によって構成されている。そこにおいて、本実施形態では、排気管側当接部材36には、係止歯(42)が形成されておらず、また、凹所40は、支持ロッド側当接部58が収容位置せしめられる程度の大きさとされている。更にまた、排気管側当接部材36に形成された凹所40の側壁部分には、排気管側当接部材36の軸直角方向に貫通するねじ穴62が形成されており、このねじ穴62には、位置決めボルト64が螺着固定されるようになっている。
【0073】
このような構造とされた排気制御バルブ56においては、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって支持ロッド側当接部58の軸方向一方の端面が排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面に重ね合わせられると共に、支持ロッド側当接部58に形成されたフランジ60が排気管側当接部材36の厚さ方向他方の端面に重ね合わせられることにより、バルブ本体20が回動せしめられる際に、支持ロッド側当接部58における軸方向一方の端面と排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面との間および支持ロッド側当接部58に形成されたフランジ60と排気管側当接部材36の厚さ方向他方の面との間で静止摩擦力が働くようになっている。その結果、かかる静止摩擦力が抵抗力となって、バルブ本体20が所定の回動位置で保持されるようになっている。
【0074】
また、バルブ本体20が圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して変位せしめられて、支持ロッド側当接部58における軸方向一方の端面と排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面との間および支持ロッド側当接部58に形成されたフランジ60と排気管側当接部材36の厚さ方向他方の面との間で働く静止摩擦力が弱められた状態で、バルブ本体20の回動位置の変更が可能とされている。
【0075】
更にまた、ねじ穴62に螺着された位置決めボルト64が締め付けられて、支持ロッド側当接部58に対して軸直角方向から外力が及ぼされることにより、設定された回動位置へのバルブ本体20の保持力が確保されるようになっている。
【0076】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、バルブ本体20備えている支持ロッド24に対して回動方向に外力が及ぼされた際に、支持ロッド側当接部58における軸方向一方の端面と排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面との間で働く静止摩擦力および支持ロッド側当接部58に形成されたフランジ60と排気管側当接部材36の厚さ方向他方の面との間で働く静止摩擦力を利用することによってバルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、バルブ本体20を圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して変位せしめ、上述の静止摩擦力を弱めてバルブ本体20の回動位置の変更を可能にすることによって、回動位置設定保持機構が構成されている。
【0077】
従って、本実施形態の排気制御バルブ56においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0078】
また、本実施形態では、排気管側当接部材36に形成された凹所40の側壁部分において、排気管側当接部材36の軸直角方向に貫通するねじ穴62が形成されており、かかるねじ穴62には、位置決めボルト64が螺着されている。そして、かかるねじ穴62に螺着された位置決めボルト64が締め付けられることによって、支持ロッド側当接部58に対して支持ロッド24の軸直角方向から外力が及ぼされ、バルブ本体20を所定の回動位置に保持する力が確保されるようになっていることから、バルブ本体20の所定の回動位置への保持を有利に実現することが可能となる。
【0079】
図9には、本発明の第三の実施形態としての排気制御バルブ66が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0080】
本実施形態の排気制御バルブ66は、第一の実施形態の排気制御バルブ(10)に比して、支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36の構造が異なっている。より詳細には、本実施形態の支持ロッド側当接部材28においては、図10にも示されているように、厚さ方向一方の端面において、凹所(30)および係止歯(32)が形成されておらず、その代わりに、一対の突起68,68が厚さ方向一方の端面から突出するように形成されている。なお、本実施形態では、かかる一対の突起68,68は、支持ロッド24を挟んで対向せしめられるような位置に形成されている。また、本実施形態の排気管側当接部材36には、図11にも示されているように、凹所40の開口端面において、係止歯(42)が形成されておらず、その代わりに、係止凹所としての係止穴70が周方向に複数形成されている。
【0081】
このような構造とされた排気制御バルブ66においては、バルブ本体20に圧縮コイルスプリング52の付勢力が及ぼされて、支持ロッド側当接部材28に形成された一対の突起68,68が排気管側当接部材36に形成された複数の係止穴70のうち径方向で対向位置せしめられる二つの係止穴70,70に収容位置せしめられることによって、バルブ本体20の所定の回動位置への保持が為されるようになっている。一方、バルブ本体20が圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して排気管12に対して相対変位せしめられて、支持ロッド側当接部材28に形成された一対の突起68,68が排気管側当接部材36に形成された係止穴70に収容されていない状態では、バルブ本体20の回動位置の変更が可能となっている。
【0082】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、支持ロッド側当接部材28に形成された一対の突起68,68のそれぞれによって係止突起が構成されている。また、本実施形態では、支持ロッド側当接部材28に形成された一対の突起68,68と排気管側当接部材36に形成された複数の係止穴70によって係合機構が構成されている。更にまた、本実施形態では、圧縮コイルスプリング52の付勢力により支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36に押圧せしめて、支持ロッド側当接部材28に形成された一対の突起68,68を排気管側当接部材36に形成された複数の係止穴70のうち径方向で対向位置せしめられる二つの係止穴70,70に嵌め込むことによってバルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗してバルブ本体20を排気管12に対して相対変位せしめて支持ロッド側当接部材28に形成された一対の突起68,68を排気管側当接部材36に形成された複数の係止穴70に収容されていない状態としてバルブ本体20の回動位置の変更を可能とすることによって、回動位置設定保持機構が構成されている。
【0083】
従って、本実施形態の排気制御バルブ66においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0084】
図12には、本発明の第四の実施形態としての排気制御バルブ72が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0085】
本実施形態の排気制御バルブ72は、第一の実施形態の排気制御バルブ(10)に比して、支持ロッド側当接部および排気管側当接部の構造が異なっている。より詳細には、前記第一の実施形態の支持ロッド側当接部は、支持ロッド24に対して別体形成された支持ロッド側当接部材28によって構成されていたが、本実施形態の支持ロッド側当接部74は、図13にも示されているように、支持ロッド24の軸方向他方の端部に対して一体形成されており、全体として厚肉の円板形状とされていると共に、その外周面には、鋸歯状の係止歯76が複数形成されている。
【0086】
また、本実施形態の排気管側当接部は、第一の実施形態と同様に、排気管側当接部材36によって構成されている。そこにおいて、本実施形態の排気管側当接部材36は、図14にも示されているように、凹所40の開口端面に対して支持ロッド24の軸方向で噛合せしめられる係止歯(42)が形成されておらず、その代わりに、凹所40の内周面に対して、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76に噛合せしめられる、鋸歯状の係止歯78が複数形成されている。
【0087】
このような構造とされた排気制御バルブ72においては、バルブ本体20に圧縮コイルスプリング52の付勢力が及ぼされて、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76が排気管側当接部材36に形成された係止歯78に噛合されると共に、支持ロッド側当接部74の厚さ方向一方の面が排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面に当接せしめられることにより、バルブ本体20の所定の回動位置への保持が可能となっている。一方、バルブ本体20が圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して排気管12に対して相対変位せしめられて、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76と排気管側当接部材36に形成された係止歯78の噛合状態が解除されることによって、バルブ本体20の回動位置の変更が可能となっている。
【0088】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76と排気管側当接部材36に形成された係止歯78のそれぞれによって軸直角方向係止歯が構成されていると共に、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76と排気管側当接部材36に形成された係止歯78によって係合機構が構成されている。また、本実施形態では、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって支持ロッド側当接部74を排気管側当接部材36に押圧せしめて、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76と排気管側当接部材36に形成された係止歯78を係合せしめることによってバルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して支持ロッド側当接部74を排気管側当接部材36から離隔せしめて、支持ロッド側当接部74に形成された係止歯76と排気管側当接部材36に形成された係止歯78の係合を解除して、バルブ本体20の回動位置の変更を可能とすることによって回動位置設定保持機構が構成されている。
【0089】
従って、本実施形態の排気制御バルブ72においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0090】
図15には、本発明の第五の実施形態としての排気制御バルブ80が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0091】
本実施形態の排気制御バルブ80は、第一の実施形態の排気制御バルブ(10)に比して、支持ロッド側当接部材および排気管側当接部材の構造が異なっている。より詳細には、本実施形態の支持ロッド側当接部材82は、図16にも示されているように、支持ロッド24の軸直角方向に延びるロッド形状とされており、その軸方向中央部分において支持ロッド24の軸方向他方の端面に対して溶接により固定されている。また、本実施形態の排気管側当接部材36には、図17にも示されているように、凹所40の開口端面において、係止歯(42)が形成されておらず、その代わりに、複数の切欠84が形成されている。
【0092】
このような構造とされた排気制御バルブ80においては、バルブ本体20に圧縮コイルスプリング52の付勢力が及ぼされて、支持ロッド側当接部材82の軸方向両端が排気管側当接部材36に形成された複数の切欠84のうち径方向で対向位置せしめられる二つの切欠84,84に対して収容位置せしめられることにより、バルブ本体20の所定の回動位置への保持が可能とされている。一方、バルブ本体20が圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して排気管12に対して相対変位せしめられて、支持ロッド側当接部材82の軸方向両端が排気管側当接部材36に形成された複数の切欠84に収容位置せしめられていない状態で、バルブ本体20の回動位置の変更が可能とされている。
【0093】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、支持ロッド側当接部材82によって軸直角方向突起が構成されている。また、本実施形態においては、支持ロッド側当接部材82と排気管側当接部材36に形成された複数の切欠84によって、係合機構が構成されている。更にまた、本実施形態では、圧縮コイルスプリング52の付勢力によって支持ロッド側当接部材82を排気管側当接部材36に押圧せしめて、支持ロッド側当接部材82の軸方向両端を排気管側当接部材36に形成された複数の切欠84のうち径方向で対向位置せしめられる二つの切欠84,84に嵌め込むことによってバルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、圧縮コイルスプリング52の付勢力に抗して支持ロッド側当接部材82を排気管側当接部材36から離隔せしめ、支持ロッド側当接部材82の軸方向両端が排気管側当接部材36に形成された切欠84に嵌め込まれていない状態として、バルブ本体20の回動位置の変更を可能にすることによって、回動位置設定保持機構が構成されている。
【0094】
従って、本実施形態の排気制御バルブ80においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0095】
図18および図19には、本発明の第六の実施形態としての排気制御バルブ86が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0096】
本実施形態の排気制御バルブ86は、第一の排気制御バルブ(10)に比して、バルブ本体の構造が異なっている。より詳細には、本実施形態のバルブ本体86は、球形状とされており、その外周面上には、径方向で対向せしめられる位置において、外側に突出する一対の支持突起90,90が一体的に形成されている。また、バルブ本体20には、一対の支持突起90,90が突出する方向に対して略直交する方向に貫通する貫通孔92が形成されている。そして、一対の支持突起90,90が、それぞれ、排気管12に形成された挿通孔26,26に挿通されることによって、バルブ本体88が排気通路18上に配されるようになっている。また、このように各挿通孔26に挿通された支持突起90に対して排気管側当接部材36に押圧せしめられる支持突起側当接部材28と当接板48が溶接により固定されている。
【0097】
なお、本実施形態では、排気通路18上において、バルブ本体86と排気管12との間に形成された隙間を少なくするための隙間埋め部材87が配されている。
【0098】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、一対の支持突起90,90によって回動軸が構成されている。
【0099】
従って、本実施形態の排気制御バルブ86においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0100】
図20には、本発明の第七の実施形態としての排気制御バルブ94が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0101】
本実施形態の排気制御バルブ94は、第一の実施形態の排気制御バルブ(10)に比して、圧縮コイルスプリング(52)が採用されておらず、また、当接板(48)および操作部材(50)も採用されていない。その代わりに、本実施形態の排気制御バルブ94には、支持ロッド24の軸方向一方の端部の外周面に対して、ネジ山96が形成されている。これにより、本実施形態では、支持ロッド24の軸方向一方の端部において、ボルト部98が形成されているのである。また、かかるボルト部98には、ナット100が螺着されている。そこにおいて、本実施形態では、かかるナット100に対して、軸直角方向外方に突出する操作ロッド102が一体形成されている。
【0102】
このような構造とされた排気制御バルブ94においては、支持ロッド24のボルト部98に螺着されたナット100が支持ロッド24の軸方向一方の側から他方の側に移動せしめられることによって、バルブ本体20が支持ロッド24の軸方向で変位せしめられて、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32が排気管側当接部材36に形成された係止歯42に対して支持ロッド24の軸方向で係合せしめられることとなり、それによって、バルブ本体20の所定の回動位置への保持が可能となる。一方、支持ロッド24のボルト部98に螺着されたナット100の締め付けを緩めて、支持ロッド側当接部材28を排気管側当接部材36から離隔せしめ、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32の排気管側当接部材36に形成された係止歯42への係合を解除することによって、バルブ本体20の回動位置の変更が可能となっている。
【0103】
このことから明らかなように、本実施形態では、ナット100を締めつける方向に移動せしめて、支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36を押圧せしめることにより、軸方向力作用機構が構成されている。また、本実施形態では、ナット100を締め付ける方向に移動せしめることによって、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42を係合せしめ、バルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、ナット100の締め付けを緩め、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態を解除してバルブ本体20の回動位置の変更を可能にすることで、回動位置設定保持機構が構成されている。
【0104】
従って、本実施形態の排気制御バルブ94においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0105】
図21には、本発明の第八の実施形態としての排気制御バルブ104が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0106】
本実施形態の排気制御バルブ104は、第一の実施形態の排気制御バルブ(10)に比して、圧縮コイルスプリング(52)と当接板(48)と操作部材(50)が採用されておらず、その代わりに、支持ロッド24の軸方向一方の側において、支持ロッド24の軸直角方向に貫通する挿通孔106が形成されていると共に、かかる挿通孔106に挿通される挿通ロッド108が設けられている。
【0107】
このような構造とされた排気制御バルブ104においては、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32が排気管側当接部材36に形成された係止歯42に対して支持ロッド24の軸方向で係合せしめられた状態で、支持ロッド24に形成された挿通孔106に挿通ロッド108が挿通されることによって、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態が維持されることとなり、それによって、バルブ本体20が所定の回動位置に保持されるようになっている。一方、支持ロッド24に形成された挿通孔106に挿通ロッド108が挿通されておらず、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態が解除可能な場合に、バルブ本体20の回動位置の変更が可能となっている。
【0108】
上述の説明から明らかなように、本実施形態では、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42を噛合せしめた状態で支持ロッド24に形成された挿通孔106に対して挿通ロッド108を挿通して支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42を係合状態に維持することによって、軸方向力作用機構が構成されている。また、本実施形態では、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42を噛合せしめた状態で支持ロッド24に形成された挿通孔106に挿通ロッド108を挿通して支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態を維持することによってバルブ本体20を所定の回動位置に保持する一方、支持ロッド24に形成された挿通孔106に挿通ロッド108を挿通せず、支持ロッド側当接部材28に形成された係止歯32と排気管側当接部材36に形成された係止歯42の係合状態を解除可能にして、バルブ本体20の回動位置の設定を可能にすることで回動位置設定保持機構が構成されている。
【0109】
従って、本実施形態の排気制御バルブ104においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0110】
図22には、本発明の第九の実施形態としての排気制御バルブ110が示されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0111】
本実施形態の排気制御バルブ110においては、第一の実施形態の排気制御バルブ(110)に比して、操作部材(50)が採用されていない。また、本実施形態では、圧縮コイルスプリング52の周囲を覆うようにして、カバー112が排気管12の外周面に対して溶接により固定されている。
【0112】
このような構造とされた排気制御バルブ110においては、例えば、カバー112に形成された貫通孔114からマイナスドライバを差し込み、支持ロッド24の軸方向一方の端面に形成された切り込み内に、マイナスドライバの先端を位置せしめた状態で、マイナスドライバによって支持ロッド24を押圧操作および回動操作することにより、バルブ本体20の回動位置の変更が可能となる。
【0113】
従って、このような本実施形態の排気制御バルブ110においても、第一の実施形態と同様な効果を得ることが可能となる。
【0114】
また、本実施形態においては、カバー112が設けられていることから、圧縮コイルスプリング52に対して泥や水が引っかかることを防止することが可能となる。
【0115】
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0116】
例えば、前記第一乃至第九の実施形態では、一つの排気管12に対して一つ備えられた排気制御バルブによって排気音の調節をするようになっていたが、例えば、図23に示されているように、二つの排気管12,12のそれぞれに配された排気制御バルブ10,10をまとめて操作するようにしても良い。具体的には、各排気管12に備えられた排気制御バルブ10の支持ロッド24を共通とすることによって有利に実現することが出来る。なお、理解を容易にするために、図23では、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位に対して、第一の実施形態と同一の符号を付してある。
【0117】
また、図23においては、各排気管12に対して、支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36と当接板48と圧縮コイルスプリング52が一つずつ採用されていたが、二つの排気管12,12に挟まれている支持ロッド側当接部材28と排気管側当接部材36と当接板48と圧縮コイルスプリング52は、必ず必要となるものではない。
【0118】
さらに、図23においては、二本の排気管12,12に配された排気制御バルブ10,10を同時に操作する場合の一具体例が示されていたが、3本以上の排気管12に配された排気制御バルブ10を同時に操作することも、二本の排気管12,12に配された排気制御バルブ10,10を同時に操作する場合と同様な方法によって実現することが可能である。
【0119】
また、バルブ本体の構造も、前記第一乃至第九の実施形態の構造に限定されるものではなく、例えば、第一の実施形態のバルブ本体20において回転板22と支持ロッド24を一体形成したような構造であっても良い。
【0120】
さらに、前記第一乃至第九の実施形態で採用されていた排気制御バルブが所定長さの管体に配された構造のバルブユニット管体を用意し、かかるバルブユニット管体を排気管12の一部として利用するようにしても良く、それによって、排気管に排気制御バルブを配する作業を容易にすることが可能となる。
【0121】
また、前記第一の実施形態では、回転板22は略一定の厚さ寸法とされていたが、支持ロッド24から離隔するに従って次第に厚さ寸法が小さくなるようにしても良く、それによって、バルブ本体20に作用する排気圧の低減を図ることが可能となる。
【0122】
さらに、バルブ本体20が全閉状態とされている場合においてバルブ本体20と排気管12との間の隙間寸法が小さくなるような場合には、例えば、回転板22に対して適当な数と大きさの貫通孔を形成するようにしても良い。そこにおいて、かかる貫通孔は、回転板22が製造された際に形成されていても良いし、或いは、回転板22が支持ロッド24に溶接された後に形成されても良い。更にまた、回転板22に形成された貫通孔を塞ぐ閉塞部材を設け、かかる閉塞部材で貫通孔を塞ぐことによって、回転板22に形成された貫通孔の数を調節するようにしても良い。なお、閉塞部材としては、例えば、貫通孔の内周面に形成されたねじ溝に螺合せしめられるネジ山が形成されたボルトやリベット,プレート等によって有利に構成される。
【0123】
更にまた、前記第一乃至第九の実施形態では、排気制御バルブは、排気管12におけるマフラ16との接続部分付近に備えられていたが、排気制御バルブが備えられる位置は、前記第一乃至第九の実施形態の位置に限定されることなく、例えば、マフラ16内であって、且つ、吸音材よりもエンジン14側に備えられていても良いし、或いは、テールパイプに備えられていても良い。
【0124】
また、前記第一乃至第九の実施形態では、一本の排気管12に対して一つの排気制御バルブ10が配されていたが、一本の排気管12に対して複数の制御バルブ10が配されるようにしても良く、それによって、操作しやすいほうの排気制御バルブを操作することが可能となる。また、複数の排気制御バルブの開度を組み合わせることによって、より広範囲な排気音の調節が可能となる。そこにおいて、一本の排気管に配される複数の排気制御バルブは互いに同じ構造のものであっても良いし、異なる構造のものであっても良い。また、排気制御バルブが配される位置も特に限定されず、例えば、マフラの前方側と後方側であっても良い。
【0125】
さらに、前記第一乃至第九の実施形態では、排気管側当接部材36に形成された凹所40の底面に重ね合わせられるようにしてシール部材46が配されていると共に、排気管12の外周面に重ね合わせられるようにして円環形状のシール部54材が配されていたが、かかるシール部材46,54は隙間が十分に小さければ必ず必要となるものではない。また、シール部材46,54は、前記第一乃至第九の実施形態の形状等に限定されることなく、例えば、コイルスプリング44とシール部材46を合わせて一つの部材としたような形状であっても良いし、また、圧縮コイルスプリング52とシール部材54を合わせて一つの部材としたような形状であっても良い。
【0126】
また、前記第一乃至第九の実施形態では、排気管12や回転板22,支持ロッド24,支持ロッド側当接部材28,排気管側当接部材36等は、ステンレス鋼によって形成されていたが、その他の材料、例えば、鉄やチタン,アルミニウム合金等の各種金属材料や、使用環境下での耐熱性を満足し得る合成樹脂材等によって形成されていても良い。
【0127】
加えて、前記第一乃至第九の実施形態では、本発明を自動二輪車の排気管に配される排気制御バルブに対して適用したものの具体例が示されていたが、本発明は、自動車の排気管に配される排気制御バルブに対しても、勿論適用可能である。
【0128】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の第一の実施形態としての排気制御バルブが備えられた排気管の概略図である。
【図2】図1に示された排気制御バルブの縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図3】図2におけるIII−III断面図である。
【図4】図2に示された排気制御バルブに採用されている回転板を示す平面図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【図6】図2に示された排気制御バルブに採用されている支持ロッド側当接部材を説明するための図面であって、図2におけるVI−VI方向に相当する断面図である。
【図7】図2に示された排気制御バルブに採用されている排気管側当接部材を説明するための平面図であって、開口端面側から見た図面である。
【図8】本発明の第二の実施形態としての排気制御バルブの縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図9】本発明の第三の実施形態としての排気制御バルブの縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図10】図9に示された排気制御バルブに採用されている支持ロッド側当接部材を説明するための図面であって、図9におけるX−X方向に相当する断面図である。
【図11】図9に示された排気制御バルブに採用されている排気管側当接部材を説明するための図面であって、開口端面側から見た図面である。
【図12】本発明の第四の実施形態としての排気制御バルブを示す縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図13】図12に示された排気制御バルブにおける支持ロッド側当接部を説明するための図面であって、図12におけるXIII−XIII方向に相当する断面図である。
【図14】図12に示された排気制御バルブに採用されている排気管側当接部材を説明するための図面であって、開口端面側から見た図面である。
【図15】本発明の第五の実施形態としての排気制御バルブを示す縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図16】図15に示された排気制御バルブに採用されている支持ロッド側当接部材を説明するための図面であって、図15におけるXVI−XVI方向に相当する断面図である。
【図17】図15に示された排気制御バルブに採用されている排気管側当接部材を説明するための図面であって、開口端面側から見た図面である。
【図18】本発明の第六の実施形態としての排気制御バルブを示す縦断面図であって、図19におけるXVIII−XVIII方向に相当する断面図である。
【図19】図18におけるXIX−XIX断面図である。
【図20】本発明の第七の実施形態としての排気制御バルブを示す縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図21】本発明の第八の実施形態としての排気制御バルブを示す縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図22】本発明の第九の実施形態としての排気制御バルブを示す縦断面図であって、図3におけるII−II方向に相当する図面である。
【図23】二つの排気制御バルブに採用されているバルブ本体の回動位置を同時に設定するための構造を示す図面である。
【符号の説明】
【0130】
10 排気制御バルブ
12 排気管
14 エンジン
18 排気通路
20 バルブ本体
24 支持ロッド
28 支持ロッド側当接部材
36 排気管側当接部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、該排気通路上に配された状態で該排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えており、該排気通路の通路壁に対して該回動軸の軸方向での相対変位が可能とされていると共に、該回動軸の周方向に回動せしめられることによって該排気通路の通路断面積を変化せしめるバルブ本体と、
該バルブ本体の該回動軸と該排気通路の通路壁の対応する位置に形成されて、該回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部および通路壁側当接部と、
該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、該回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構と、
該軸方向力作用機構による該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を利用して、該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該軸方向力作用機構によって及ぼされる軸方向力を解除することにより該バルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構と
が、設けられていることを特徴とする排気制御バルブ。
【請求項2】
前記回動軸側当接部と前記通路壁側当接部との間において前記回動軸の軸方向で係脱可能とされて係合により周方向の相対回動を阻止する係合機構を設けると共に、該回動軸の周方向の複数位置で該係合機構の係合状態を可能とすることによって前記バルブ本体の回動位置を複数段階に設定可能にし、該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けて該係合機構を係合状態とすることによって該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付けを解除し、該係合機構を離脱状態として該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成した請求項1に記載の排気制御バルブ。
【請求項3】
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部には、前記回動軸の軸方向で対向する面において、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた状態で互いに噛み合う軸方向係止歯が形成されており、それらの軸方向係止歯によって前記係合機構が構成されている請求項2に記載の排気制御バルブ。
【請求項4】
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部には、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされることで軸方向に内外挿されるようになっており、その内外挿される部分の軸直角方向で重ね合わせられる内外周面において互いに噛み合う軸直角方向係止歯が形成されており、それらの軸直角方向係止歯によって前記係合機構が構成されている請求項2に記載の排気制御バルブ。
【請求項5】
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部の何れか一方には、前記回動軸の軸方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方に対して対向せしめられる面から該回動軸の軸方向に突出する係止突起が形成されていると共に、該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方には、該回動軸の軸方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の一方に対して対向せしめられる面に開口して該係止突起が嵌め込まれる係止凹所が形成されており、該係止突起および該係止凹所によって前記係合機構が構成されている請求項2に記載の排気制御バルブ。
【請求項6】
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部の何れか一方には、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた場合に前記回動軸の軸直角方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方に対して対向せしめられる面から該回動軸の軸直角方向に突出する軸直角方向突起が形成されていると共に、該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方には、該回動軸の軸方向の端面と該軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた場合に該回動軸の軸直角方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の一方に対して対向せしめられる面の両方に開口して該軸直角方向突起が該回動軸の軸方向で係合せしめられる切欠が形成されており、該軸直角方向突起および該切欠によって前記係合機構が構成されている請求項2に記載の排気制御バルブ。
【請求項7】
前記回動軸側当接部の前記通路壁側当接部への押し付け状態でそれら回動軸側当接部と通路壁側当接部との当接面に働く静止摩擦力を利用して該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け力状態解除し、該回動軸側当接部と該通路壁側当接部との間で働く静止摩擦力を弱めて該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成した請求項1に記載の排気制御バルブ。
【請求項8】
前記バルブ本体の前記回動軸の軸方向であって前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付ける方向に付勢力を及ぼす圧縮コイルスプリングを設けて、該圧縮コイルスプリングにより該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けるようにすることで前記軸方向力作用機構を構成した請求項1乃至7の何れかに記載の排気制御バルブ。
【請求項9】
前記バルブ本体における前記回動軸の外周面にネジ山を形成して該回動軸にボルト部を設ける一方,該ボルト部に対して螺合せしめられるナットを設けて、該ボルト部に螺合せしめられた該ナットを回動させて該ボルト部を軸方向に相対駆動せしめることにより、該ボルト部が形成された該回動軸を備える該バルブ本体を前記排気通路の通路壁に対して相対変位せしめ、前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付けるようにすることで前記軸方向力作用機構を構成した請求項1乃至7の何れかに記載の排気制御バルブ。
【請求項10】
前記バルブ本体における前記回動軸に対して軸直角方向に延びる挿通孔を形成すると共に、該挿通孔に差し込まれるロッドを設けて、前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付けた状態で該挿通孔に該ロッドを挿通して該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を維持することで前記軸方向力作用機構を構成した請求項1乃至7の何れかに記載の排気制御バルブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、該排気通路上に配された状態で該排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えており、該排気通路の通路壁に対して該回動軸の軸方向での相対変位が可能とされていると共に、該回動軸の周方向に回動せしめられることによって該排気通路の通路断面積を変化せしめるバルブ本体と、
該バルブ本体の該回動軸と該排気通路の通路壁の対応する位置に形成されて、該回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部および通路壁側当接部と、
該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、該回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構と、
該軸方向力作用機構による該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を利用して、該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該軸方向力作用機構によって及ぼされる軸方向力を解除することにより該バルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構と
を、設け、且つ、
前記回動軸側当接部と前記通路壁側当接部との間において前記回動軸の軸方向で係脱可能とされて係合により周方向の相対回動を阻止する係合機構を設けると共に、該回動軸の周方向の複数位置で該係合機構の係合状態を可能とすることによって前記バルブ本体の回動位置を複数段階に設定可能にし、該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けて該係合機構を係合状態とすることによって該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付けを解除し、該係合機構を離脱状態として該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成し、更に、
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部には、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされることで軸方向に内外挿されるようになっており、その内外挿される部分の軸直角方向で重ね合わせられる内外周面において互いに噛み合う軸直角方向係止歯が形成されており、それらの軸直角方向係止歯によって前記係合機構が構成されていることを特徴とする排気制御バルブ。
【請求項2】
内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、該排気通路上に配された状態で該排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えており、該排気通路の通路壁に対して該回動軸の軸方向での相対変位が可能とされていると共に、該回動軸の周方向に回動せしめられることによって該排気通路の通路断面積を変化せしめるバルブ本体と、
該バルブ本体の該回動軸と該排気通路の通路壁の対応する位置に形成されて、該回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部および通路壁側当接部と、
該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、該回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構と、
該軸方向力作用機構による該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を利用して、該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該軸方向力作用機構によって及ぼされる軸方向力を解除することにより該バルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構と
を、設け、且つ、
前記回動軸側当接部と前記通路壁側当接部との間において前記回動軸の軸方向で係脱可能とされて係合により周方向の相対回動を阻止する係合機構を設けると共に、該回動軸の周方向の複数位置で該係合機構の係合状態を可能とすることによって前記バルブ本体の回動位置を複数段階に設定可能にし、該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けて該係合機構を係合状態とすることによって該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付けを解除し、該係合機構を離脱状態として該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成し、更に、
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部の何れか一方には、前記回動軸の軸方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方に対して対向せしめられる面から該回動軸の軸方向に突出する係止突起が形成されていると共に、該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方には、該回動軸の軸方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の一方に対して対向せしめられる面に開口して該係止突起が嵌め込まれる係止凹所が形成されており、該係止突起および該係止凹所によって前記係合機構が構成されていることを特徴とする排気制御バルブ。
【請求項3】
内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、該排気通路上に配された状態で該排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えており、該排気通路の通路壁に対して該回動軸の軸方向での相対変位が可能とされていると共に、該回動軸の周方向に回動せしめられることによって該排気通路の通路断面積を変化せしめるバルブ本体と、
該バルブ本体の該回動軸と該排気通路の通路壁の対応する位置に形成されて、該回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部および通路壁側当接部と、
該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、該回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構と、
該軸方向力作用機構による該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を利用して、該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該軸方向力作用機構によって及ぼされる軸方向力を解除することにより該バルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構と
を、設け、且つ、
前記回動軸側当接部と前記通路壁側当接部との間において前記回動軸の軸方向で係脱可能とされて係合により周方向の相対回動を阻止する係合機構を設けると共に、該回動軸の周方向の複数位置で該係合機構の係合状態を可能とすることによって前記バルブ本体の回動位置を複数段階に設定可能にし、該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けて該係合機構を係合状態とすることによって該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付けを解除し、該係合機構を離脱状態として該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成し、更に、
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部の何れか一方には、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた場合に前記回動軸の軸直角方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方に対して対向せしめられる面から該回動軸の軸直角方向に突出する軸直角方向突起が形成されていると共に、該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方には、該回動軸の軸方向の端面と該軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた場合に該回動軸の軸直角方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の一方に対して対向せしめられる面の両方に開口して該軸直角方向突起が該回動軸の軸方向で係合せしめられる切欠が形成されており、該軸直角方向突起および該切欠によって前記係合機構が構成されていることを特徴とする排気制御バルブ。
【請求項4】
内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、該排気通路上に配された状態で該排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えており、該排気通路の通路壁に対して該回動軸の軸方向での相対変位が可能とされていると共に、該回動軸の周方向に回動せしめられることによって該排気通路の通路断面積を変化せしめるバルブ本体と、
該バルブ本体の該回動軸と該排気通路の通路壁の対応する位置に形成されて、該回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部および通路壁側当接部と、
該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、該回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構と、
該軸方向力作用機構による該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を利用して、該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該軸方向力作用機構によって及ぼされる軸方向力を解除することにより該バルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構と
を、設け、且つ、
前記回動軸側当接部の前記通路壁側当接部への押し付け状態でそれら回動軸側当接部と通路壁側当接部との当接面に働く静止摩擦力を利用して該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け力状態解除し、該回動軸側当接部と該通路壁側当接部との間で働く静止摩擦力を弱めて該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成したことを特徴とする排気制御バルブ。
【請求項5】
前記バルブ本体の前記回動軸の軸方向であって前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付ける方向に付勢力を及ぼす圧縮コイルスプリングを設けて、該圧縮コイルスプリングにより該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けるようにすることで前記軸方向力作用機構を構成した請求項1乃至4の何れかに記載の排気制御バルブ。
【請求項6】
前記バルブ本体における前記回動軸の外周面にネジ山を形成して該回動軸にボルト部を設ける一方,該ボルト部に対して螺合せしめられるナットを設けて、該ボルト部に螺合せしめられた該ナットを回動させて該ボルト部を軸方向に相対駆動せしめることにより、該ボルト部が形成された該回動軸を備える該バルブ本体を前記排気通路の通路壁に対して相対変位せしめ、前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付けるようにすることで前記軸方向力作用機構を構成した請求項1乃至5の何れかに記載の排気制御バルブ。
【請求項7】
前記バルブ本体における前記回動軸に対して軸直角方向に延びる挿通孔を形成すると共に、該挿通孔に差し込まれるロッドを設けて、前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付けた状態で該挿通孔に該ロッドを挿通して該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を維持することで前記軸方向力作用機構を構成した請求項1乃至6の何れかに記載の排気制御バルブ。
【請求項1】
内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、該排気通路上に配された状態で該排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えており、該排気通路の通路壁に対して該回動軸の軸方向での相対変位が可能とされていると共に、該回動軸の周方向に回動せしめられることによって該排気通路の通路断面積を変化せしめるバルブ本体と、
該バルブ本体の該回動軸と該排気通路の通路壁の対応する位置に形成されて、該回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部および通路壁側当接部と、
該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、該回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構と、
該軸方向力作用機構による該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を利用して、該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該軸方向力作用機構によって及ぼされる軸方向力を解除することにより該バルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構と
が、設けられていることを特徴とする排気制御バルブ。
【請求項2】
前記回動軸側当接部と前記通路壁側当接部との間において前記回動軸の軸方向で係脱可能とされて係合により周方向の相対回動を阻止する係合機構を設けると共に、該回動軸の周方向の複数位置で該係合機構の係合状態を可能とすることによって前記バルブ本体の回動位置を複数段階に設定可能にし、該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けて該係合機構を係合状態とすることによって該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付けを解除し、該係合機構を離脱状態として該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成した請求項1に記載の排気制御バルブ。
【請求項3】
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部には、前記回動軸の軸方向で対向する面において、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた状態で互いに噛み合う軸方向係止歯が形成されており、それらの軸方向係止歯によって前記係合機構が構成されている請求項2に記載の排気制御バルブ。
【請求項4】
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部には、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされることで軸方向に内外挿されるようになっており、その内外挿される部分の軸直角方向で重ね合わせられる内外周面において互いに噛み合う軸直角方向係止歯が形成されており、それらの軸直角方向係止歯によって前記係合機構が構成されている請求項2に記載の排気制御バルブ。
【請求項5】
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部の何れか一方には、前記回動軸の軸方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方に対して対向せしめられる面から該回動軸の軸方向に突出する係止突起が形成されていると共に、該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方には、該回動軸の軸方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の一方に対して対向せしめられる面に開口して該係止突起が嵌め込まれる係止凹所が形成されており、該係止突起および該係止凹所によって前記係合機構が構成されている請求項2に記載の排気制御バルブ。
【請求項6】
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部の何れか一方には、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた場合に前記回動軸の軸直角方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方に対して対向せしめられる面から該回動軸の軸直角方向に突出する軸直角方向突起が形成されていると共に、該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方には、該回動軸の軸方向の端面と該軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた場合に該回動軸の軸直角方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の一方に対して対向せしめられる面の両方に開口して該軸直角方向突起が該回動軸の軸方向で係合せしめられる切欠が形成されており、該軸直角方向突起および該切欠によって前記係合機構が構成されている請求項2に記載の排気制御バルブ。
【請求項7】
前記回動軸側当接部の前記通路壁側当接部への押し付け状態でそれら回動軸側当接部と通路壁側当接部との当接面に働く静止摩擦力を利用して該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け力状態解除し、該回動軸側当接部と該通路壁側当接部との間で働く静止摩擦力を弱めて該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成した請求項1に記載の排気制御バルブ。
【請求項8】
前記バルブ本体の前記回動軸の軸方向であって前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付ける方向に付勢力を及ぼす圧縮コイルスプリングを設けて、該圧縮コイルスプリングにより該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けるようにすることで前記軸方向力作用機構を構成した請求項1乃至7の何れかに記載の排気制御バルブ。
【請求項9】
前記バルブ本体における前記回動軸の外周面にネジ山を形成して該回動軸にボルト部を設ける一方,該ボルト部に対して螺合せしめられるナットを設けて、該ボルト部に螺合せしめられた該ナットを回動させて該ボルト部を軸方向に相対駆動せしめることにより、該ボルト部が形成された該回動軸を備える該バルブ本体を前記排気通路の通路壁に対して相対変位せしめ、前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付けるようにすることで前記軸方向力作用機構を構成した請求項1乃至7の何れかに記載の排気制御バルブ。
【請求項10】
前記バルブ本体における前記回動軸に対して軸直角方向に延びる挿通孔を形成すると共に、該挿通孔に差し込まれるロッドを設けて、前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付けた状態で該挿通孔に該ロッドを挿通して該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を維持することで前記軸方向力作用機構を構成した請求項1乃至7の何れかに記載の排気制御バルブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、該排気通路上に配された状態で該排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えており、該排気通路の通路壁に対して該回動軸の軸方向での相対変位が可能とされていると共に、該回動軸の周方向に回動せしめられることによって該排気通路の通路断面積を変化せしめるバルブ本体と、
該バルブ本体の該回動軸と該排気通路の通路壁の対応する位置に形成されて、該回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部および通路壁側当接部と、
該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、該回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構と、
該軸方向力作用機構による該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を利用して、該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該軸方向力作用機構によって及ぼされる軸方向力を解除することにより該バルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構と
を、設け、且つ、
前記回動軸側当接部と前記通路壁側当接部との間において前記回動軸の軸方向で係脱可能とされて係合により周方向の相対回動を阻止する係合機構を設けると共に、該回動軸の周方向の複数位置で該係合機構の係合状態を可能とすることによって前記バルブ本体の回動位置を複数段階に設定可能にし、該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けて該係合機構を係合状態とすることによって該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付けを解除し、該係合機構を離脱状態として該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成し、更に、
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部には、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされることで軸方向に内外挿されるようになっており、その内外挿される部分の軸直角方向で重ね合わせられる内外周面において互いに噛み合う軸直角方向係止歯が形成されており、それらの軸直角方向係止歯によって前記係合機構が構成されていることを特徴とする排気制御バルブ。
【請求項2】
内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、該排気通路上に配された状態で該排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えており、該排気通路の通路壁に対して該回動軸の軸方向での相対変位が可能とされていると共に、該回動軸の周方向に回動せしめられることによって該排気通路の通路断面積を変化せしめるバルブ本体と、
該バルブ本体の該回動軸と該排気通路の通路壁の対応する位置に形成されて、該回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部および通路壁側当接部と、
該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、該回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構と、
該軸方向力作用機構による該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を利用して、該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該軸方向力作用機構によって及ぼされる軸方向力を解除することにより該バルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構と
を、設け、且つ、
前記回動軸側当接部と前記通路壁側当接部との間において前記回動軸の軸方向で係脱可能とされて係合により周方向の相対回動を阻止する係合機構を設けると共に、該回動軸の周方向の複数位置で該係合機構の係合状態を可能とすることによって前記バルブ本体の回動位置を複数段階に設定可能にし、該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けて該係合機構を係合状態とすることによって該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付けを解除し、該係合機構を離脱状態として該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成し、更に、
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部の何れか一方には、前記回動軸の軸方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方に対して対向せしめられる面から該回動軸の軸方向に突出する係止突起が形成されていると共に、該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方には、該回動軸の軸方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の一方に対して対向せしめられる面に開口して該係止突起が嵌め込まれる係止凹所が形成されており、該係止突起および該係止凹所によって前記係合機構が構成されていることを特徴とする排気制御バルブ。
【請求項3】
内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、該排気通路上に配された状態で該排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えており、該排気通路の通路壁に対して該回動軸の軸方向での相対変位が可能とされていると共に、該回動軸の周方向に回動せしめられることによって該排気通路の通路断面積を変化せしめるバルブ本体と、
該バルブ本体の該回動軸と該排気通路の通路壁の対応する位置に形成されて、該回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部および通路壁側当接部と、
該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、該回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構と、
該軸方向力作用機構による該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を利用して、該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該軸方向力作用機構によって及ぼされる軸方向力を解除することにより該バルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構と
を、設け、且つ、
前記回動軸側当接部と前記通路壁側当接部との間において前記回動軸の軸方向で係脱可能とされて係合により周方向の相対回動を阻止する係合機構を設けると共に、該回動軸の周方向の複数位置で該係合機構の係合状態を可能とすることによって前記バルブ本体の回動位置を複数段階に設定可能にし、該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けて該係合機構を係合状態とすることによって該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付けを解除し、該係合機構を離脱状態として該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成し、更に、
前記回動軸側当接部および前記通路壁側当接部の何れか一方には、前記軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた場合に前記回動軸の軸直角方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方に対して対向せしめられる面から該回動軸の軸直角方向に突出する軸直角方向突起が形成されていると共に、該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の他方には、該回動軸の軸方向の端面と該軸方向力作用機構により軸方向力が及ぼされた場合に該回動軸の軸直角方向で該回動軸側当接部および該通路壁側当接部の一方に対して対向せしめられる面の両方に開口して該軸直角方向突起が該回動軸の軸方向で係合せしめられる切欠が形成されており、該軸直角方向突起および該切欠によって前記係合機構が構成されていることを特徴とする排気制御バルブ。
【請求項4】
内燃機関から排出された排気ガスが通過する排気通路上に配されて、該排気通路上に配された状態で該排気通路の通路方向に対して略直交する方向に延びる回動軸を備えており、該排気通路の通路壁に対して該回動軸の軸方向での相対変位が可能とされていると共に、該回動軸の周方向に回動せしめられることによって該排気通路の通路断面積を変化せしめるバルブ本体と、
該バルブ本体の該回動軸と該排気通路の通路壁の対応する位置に形成されて、該回動軸の軸方向一方向への変位で互いに当接せしめられる回動軸側当接部および通路壁側当接部と、
該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付ける方向に対して、該回動軸に軸方向の力を作用させるための軸方向力作用機構と、
該軸方向力作用機構による該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を利用して、該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該軸方向力作用機構によって及ぼされる軸方向力を解除することにより該バルブ本体の回動位置の変更を可能にする回動位置設定保持機構と
を、設け、且つ、
前記回動軸側当接部の前記通路壁側当接部への押し付け状態でそれら回動軸側当接部と通路壁側当接部との当接面に働く静止摩擦力を利用して該バルブ本体を所定の回動位置に保持する一方、該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け力状態解除し、該回動軸側当接部と該通路壁側当接部との間で働く静止摩擦力を弱めて該バルブ本体の回動位置の変更を可能にすることで前記回動位置設定保持機構を構成したことを特徴とする排気制御バルブ。
【請求項5】
前記バルブ本体の前記回動軸の軸方向であって前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付ける方向に付勢力を及ぼす圧縮コイルスプリングを設けて、該圧縮コイルスプリングにより該回動軸側当接部を該通路壁側当接部に押し付けるようにすることで前記軸方向力作用機構を構成した請求項1乃至4の何れかに記載の排気制御バルブ。
【請求項6】
前記バルブ本体における前記回動軸の外周面にネジ山を形成して該回動軸にボルト部を設ける一方,該ボルト部に対して螺合せしめられるナットを設けて、該ボルト部に螺合せしめられた該ナットを回動させて該ボルト部を軸方向に相対駆動せしめることにより、該ボルト部が形成された該回動軸を備える該バルブ本体を前記排気通路の通路壁に対して相対変位せしめ、前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付けるようにすることで前記軸方向力作用機構を構成した請求項1乃至5の何れかに記載の排気制御バルブ。
【請求項7】
前記バルブ本体における前記回動軸に対して軸直角方向に延びる挿通孔を形成すると共に、該挿通孔に差し込まれるロッドを設けて、前記回動軸側当接部を前記通路壁側当接部に押し付けた状態で該挿通孔に該ロッドを挿通して該回動軸側当接部の該通路壁側当接部への押し付け状態を維持することで前記軸方向力作用機構を構成した請求項1乃至6の何れかに記載の排気制御バルブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2006−37821(P2006−37821A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217956(P2004−217956)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【特許番号】特許第3701297号(P3701297)
【特許公報発行日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(303002365)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【特許番号】特許第3701297号(P3701297)
【特許公報発行日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(303002365)
【Fターム(参考)】
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