説明

排水性舗装用排水路の連結装置

【課題】道路等の路肩に沿って排水路を設置する場合、道路は直線部のみではなくカーブ等の曲線部もある。定尺サイズの排水路だけでは、曲線部には対応できず、隙間が生じ、隙間から土やゴミが進入し、また誤ってつまづく危険性がある。そこで排水路の隙間を覆い、土やゴミの進入を防止する連結装置を提案する。
【解決手段】連結装置は、開口部を上面に向けた断面が略コの字形状の長尺構造物と、連結部であるスライド板と、塞ぎ板からなる。道路等の曲線路において隙間の両側の長尺構造物に連結装置を設け、隙間に向かって両側の長尺構造物のスライド板を伸ばして排水路の壁とし、長尺構造物端末上の塞ぎ板を隣接する長尺構造物上へ載せる事により、道路等の曲線路に生じる隙間をふさぎ排水路とする事を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路、道路橋、高架駐車場あるいは飛行場(以下道路等)の排水性舗装における排水路に関する物である。
【背景技術】
【0002】
道路等の舗装に際しては、排水性表層アスファルトを施工した排水性舗装が普及しており、排水路を不透水性基層アスファルト上の路肩に沿わせて設置している。排水路の形状は断面略コの字形状の長尺構造物の開口部分を上面にし、長尺構造物と同一高さの排水性表層アスファルトを不透水性基層アスファルト上から敷設している。断面略コの字形状の長尺構造物の上面からグレーチングを嵌め込み、排水路の蓋としている。
道路等のカーブ等、路肩が曲線路となっている部分の排水路については、路肩に沿って長尺構造物を敷設するが長尺構造物の端辺は、隣接する長尺構造物の端辺と密着しておらず、隙間が生じている。
道路等のカーブ等、路肩が曲線路となっている部分の排水路について、長尺構造物の他の敷設法として、長尺構造物の端辺を隣接する長尺構造物の端辺に沿うように切断する等して、隣接する長尺構造物同士の端辺が密着するようにしている。
【特許文献1】登録実用新案第3035668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の排水性舗装用排水路は以上のように構成されているため、次のような課題が存在している。
道路等は直線部のみではなく曲線部も含まれて構成されている。そのため、長尺構造物のみで曲線路の路肩の排水路を構成するには、長尺構造物同士の間に隙間が生じている。その隙間から土やゴミが排水路へ流れ込んだり、隙間へ土やゴミが蓄積し排水機能が低下する。また、謝って隙間に足を取られ転倒する恐れもある。
また長尺構造物の端辺に沿うように隣接する長尺構造物の端辺を切断すると、隙間も生じる事無なく土やゴミが排水路内へ流れ込む事がないので、長尺構造物間の接合部付近に土・ゴミが堆積する事もない。しかし切断するには大がかりな装置と手間がかかり、費用もかかる。
また切断個所の亜鉛めっき処理部が切断され、切断面を現場で処理しても、亜鉛めっきと比較すると、耐食性は大幅に劣る。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、排水路を道路等路肩の曲線路に沿わせて敷設するための装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明による道路等の曲線路の路肩に沿って設けられる排水性舗装用排水路の連結装置は以下のように構成されている。
上面に開口部を向けた断面が略コの字型形状の長尺構造物であり、コの字の端辺に相当する板部端末には長孔が設けられている。連結部となる矩形状の平鋼であるスライド板には孔が設けられ、長尺構造物に設けられた長孔とスライド板に設けられた孔にボルトを挿入しナットで固定し、スライド板が長尺構造物に沿って左右に移動可能となっている。グレーチング端末には、平鋼の一辺が溶接された塞ぎ板が設けられ、該グレーチングを長尺構造物上面から嵌め込み長尺構造物の蓋としている。隣接する長尺構造物間に隙間が生じる箇所に、隙間の両側の長尺構造物端末に本発明の連結装置をそれぞれ設け、不透水性基層アスファルト上へ設置する。向かい合わせに配置された連結装置の一方のグレーチングには塞ぎ板を設け、もう一方のグレーチングには塞ぎ板は設けない。塞ぎ板の溶接されていない他端は、隣接する長尺構造物の上面に載り、長尺構造物間の隙間を蓋をする形となる。
また連結装置の連結部を長方形状の弾性体とし、長尺構造物のコの字に相当する板部端辺にはボルトやリベットを挿入させる為の孔を設ける。連結部となる弾性体を長尺構造物端末に巻きつけ、ボルトもしくはリベットを弾性体と長尺構造物に設けた孔に差込んで固定をし、グレーチング端末に平鋼を溶接した塞ぎ材を設けれた該グレーチングを長尺構造物上面より嵌め込まれている。固定されていない連結部他端は、隣接する長尺構造物端末に固定されている。
また連結装置の連結部を長方形状で蛇腹の弾性体とし、長尺構造物のコの字に相当する板部端辺にはボルトやリベットを挿入させる為の孔を設ける。連結部となる蛇腹状弾性体を長尺構造物端末に巻きつけ、ボルトもしくはリベットを蛇腹状弾性体と長尺構造物に設けた孔に差込んで固定をし、グレーチング端末に平鋼を溶接した塞ぎ板が設けられた該グレーチングが長尺構造物上面より嵌め込まれている。固定されていない連結部他端は、隣接する長尺構造物端末に固定されている。
【発明の効果】
【0005】
本発明の排水性舗装用排水路の連結装置は以上のように構成されていることにより、次のような効果を得ることができる。道路等の曲線路に敷設する排水路を構成している長尺構造物と隣接する長尺構造物間に隙間が生じても連結装置を用いて連結すれば、隙間が生じる事による問題点は解消され、長尺構造物の端辺を切断する必要もない。そのため、切断箇所の亜鉛めっき処理部が切断され、耐食性が劣るといった障害が発生することもない。また、連結部は左右方向にスライド可能なので、隙間の幅や道路等の曲線路部分の角度がどれだけであろうと現場にて簡単に調整可能である。
また連結装置の連結部を長方形状の弾性体とし長尺構造物端末に巻き付ける事によって長尺構造物と連結装置間に切断箇所のない連続した排水路が形成され、連結部の部材数も減らす事が出来る。
更に連結装置の連結部を蛇腹状の弾性体とし長尺構造物端末に巻き付ける事により道路等の曲線路に排水路を沿わせ易くなった。
長尺構造物上面に設けられた鋼製の平板である塞ぎ板により、隣接する長尺構造物との間に出来る隙間を塞ぐ事ができ、排水路内に土やゴミの浸入を防ぐ事ができ、また誤って隙間に靴やヒールを挟む事もなく、転倒防止になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面と共に本発明による排水性舗装用排水路の連結装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明による連結装置を適用した排水性舗装の構成を示す斜視断面図、図2は本発明による連結装置の(a)平面図、(b)正面図、(c)スライド板を外した長尺構造物の正面図、(d)蓋となるグレーチング、図3は本発明による連結装置の連結部分を示すグレーチングを外した状態の部分拡大平面図、図4は本発明による連結装置の第2実施例を適用した排水性舗装の構成を示す斜視断面図、図5は本発明による連結装置の第2実施例を適用した長尺構造物の断面図、図6は本発明による連結装置の第3実施例を適用した長尺構造物の斜視断面図である。
【実施例1】
【0007】
図1において、符号1で示すものは道路等の横断勾配を設けられて平面状に形成された路盤であり、路盤1の側部には道路等に沿って路肩3が設けられている。また前記路盤1の表面には、前面にわたり不透水性基層アスファルト2が敷設されている。該不透水性基層アスファルト2の上には、前記路肩3に沿って、排水路が設けられている。道路等は直線部もあればカーブ等の曲線部がある。曲線路に長尺構造物をそのまま敷設すると曲線路には対応する事が出来ず、長尺構造物間に隙間が生じる。そこで隣接する長尺構造物間に隙間が生じる箇所に、隙間の両側の長尺構造物端末それぞれへ本発明の連結装置5が施された長尺構造物を曲線路へ敷設することにより、道路等の曲線路に生じる隙間を防ぐ事ができる。
図2において本発明の連結装置5は、上面に開口部を向けた断面が略コの字型形状の長尺構造物5aであり、コの字の端辺に相当する板部端末には長孔5fが設けられている。連結部である矩形状の平鋼のスライド板5cには孔が設けられ、長尺構造物5aに設けられた長孔5fとスライド板5cに設けられた孔にボルトを挿入しナットで固定し、スライド板5cが長尺構造物5aに沿って左右に移動可能となっている。グレーチング5bの端末には、平鋼の一辺が溶接された塞ぎ板5eが設けられ、該グレーチング5bを長尺構造物上面から嵌め込み長尺構造物5aの蓋としている。塞ぎ板5eの溶接されていない他端は、隣接する長尺構造物の上面に載り、長尺構造物間の隙間を覆う形となる。前記不透水性基層アスファルト2の上には、排水路と連結装置5との上面が連続する表面を形成するように、排水性表層アスファルト4が敷設されて排水性舗装が施工され、排水路が構成されている。
図3において、連結装置5の設けられた長尺構造物5aは、隙間に向かって連結装置同士が向い合うように配置し、隙間が生じている側のスライド板5cを延ばし排水路の壁を形成させる。塞ぎ板5eは向かい合う連結装置の一方にのみ設け、もう一方の連結装置5には塞ぎ板5eは設けない構造とする。塞ぎ板5eを一方の連結装置にのみ設ける事により、隣接する長尺構造物との隙間がいかなる形状になろうと、塞ぎ板5eの片辺は自由端となっており、隣接する長尺構造物上に乗せるだけで溶接する必要がなく、簡単に隙間を覆う事ができる。
【実施例2】
【0008】
図4は第2の実施例として、1枚の弾性体6cを使用して、隣接する長尺構造物同士を連結した連結装置6の斜視断面図である。図5は長尺構造物6aと弾性体6cの接続部の断面図である。連結部を弾性体6cにし、長尺構造物6aの端末の両側面と底面に巻きつけるようにし接着剤6fで長尺構造物端部と弾性体6cを固着し、両側面と底面にリベット6dを挿入して固定し、弾性体6cの固定されていない他端を、隣接する長尺構造物の端末に巻きつけ、接着剤6fとリベット6dで固定させている。
【実施例3】
【0009】
図6は第3の実施例として、連結部に蛇腹形状弾性体7cを使用して、隣接する長尺構造物同士を連結した連結装置7の斜視断面図である。連結部を蛇腹形状弾性体7cとし長尺構造物7aの端末に巻き付け、第2の実施例同様に長尺構造物7aの端末の両側面と底面に接着剤で長尺構造物7aと蛇腹形状弾性体7cを固着し、両側面と底面にリベット7dを挿入して固定し、蛇腹形状弾性体7cの固定されていない他端を、隣接する長尺構造物の端部に巻きつけ、接着剤とリベット7dで固定させている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による連結装置を適用した排水性舗装の構成を示す斜視断面図
【図2】本発明による連結装置の(a)平面図、(b)正面図、(c)スライド板とグレーチングを外した長尺構造物の正面図、(d)蓋となるグレーチング
【図3】本発明による連結装置のグレーチングを外した状態の連結部分を示す部分拡大平面図
【図4】本発明による連結装置の第2実施例を適用した排水性舗装の構成を示す斜視断面図
【図5】本発明による連結装置の第2実施例を適用した長尺構造物の断面図
【図6】本発明による連結装置の第3実施例を適用した排水性舗装の構成を示す断面斜視図
【符号の説明】
【0011】
1 路盤
2 不透水性基層アスファルト
3 路肩
4 排水性表層アスファルト
5 連結装置
5a 長尺構造物
5b グレーチング
5c スライド板
5d ボルト
5e 塞ぎ板
5f 長孔
6 連結装置
6a 長尺構造物
6b グレーチング
6c 弾性体
6d リベット
6e 塞ぎ板
6f 接着剤
7 連結装置
7a 長尺構造物
7b グレーチング
7c 蛇腹形状弾性体
7d ボルト
7e 塞ぎ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路等の曲線路の路肩に沿って設けられる排水性舗装用排水路において、上面に開口部を向けた断面が略コの字型形状の長尺構造物であり、コの字の端辺に相当する板部端末には連結装置の連結部である矩形状のスライド板が設けられ、スライド板は板部に沿って左右に移動可能となり、グレーチングの端末には、平鋼の一辺が溶接された塞ぎ板が設けられ、該グレーチングを長尺構造物上面から嵌め込み長尺構造物の蓋とし、塞ぎ板の溶接されていない他端は、隣接する長尺構造物の上面に載り、長尺構造物間の隙間を蓋をする構造となる排水性舗装用排水路の連結装置。
【請求項2】
道路等の曲線路の路肩に沿って設けられる排水性舗装用排水路において、上面に開口部を向けた断面が略コの字型形状の長尺構造物であり、連結装置の連結部は長方形状の弾性体とし、長尺構造物と隣接する長尺構造物の端末に、連結部となる弾性体を巻きつけ、グレーチングの端末には、平鋼の一辺が溶接された塞ぎ板が設けられ、該グレーチングを長尺構造物上面から嵌め込んで長尺構造物の蓋とし、塞ぎ板の溶接されていない他端は、隣接する長尺構造物の上面に載り、長尺構造物間の隙間に蓋をする構造となる排水性舗装用排水路の連結装置。
【請求項3】
連結部を蛇腹形状の弾性体とした請求項2記載の排水性舗装用排水路の連結装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−196143(P2008−196143A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30139(P2007−30139)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【Fターム(参考)】