説明

排熱回収ボイラおよび発電プラント

【課題】助燃装置の各バーナでの燃焼状態を良好に保ち、助燃装置から排出される一酸化炭素等の有ガスの排出を低減する。
【解決手段】ガスタービン14からの排ガスの流れ方向にそって過熱器28、30、蒸発器32、節炭器34を有する複数の熱交換器がダクト27内に配置され、ガスタービン14の排ガス25を利用して蒸気を発生する排熱回収ボイラであり、いずれかの熱交換器の上流側で、複数のバーナを燃焼させて排ガスを加熱する助燃装置50、52を設け、助燃装置52の複数のバーナのそれぞれに、ダクトの外部から空気を供給する空気供給装置を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、助燃装置を有する排熱回収ボイラおよび発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の火力発電プラントでは、プラントの熱効率の向上を図るため、コンバインドサイクル発電が主流になりつつある。コンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービン、蒸気タービンに排熱回収ボイラを組み合わせた発電プラントである。ガスタービンには燃焼器から高温高圧の燃焼ガスが送られ、燃焼ガスの膨張によりガスタービンを回転させ発電機を回す。その後、排ガスは排熱回収ボイラに導入され、この排熱回収ボイラで排ガスのもつ熱エネルギーによって蒸気を発生させる。蒸気は蒸気タービンに送られ、ガスタービンとともに発電機を回すことになる。
【0003】
一般に、排熱回収ボイラは、ガスタービンから排出される排ガスの熱に応じた蒸気を発生して蒸気タービンに蒸気を供給するボイラであるが、最近では、排気ガスを加熱する助燃装置を付加した排熱回収ボイラが増えている。これは、夏季にはガスタービンの出力が低下し排ガス量の減少に伴い排熱回収ボイラでの蒸気発生量低下を補填する必要があること、またコジェネレーションプラントや造水プラント等、蒸気タービン以外にも蒸気を供給するためである。
【0004】
最近の排熱回収ボイラにおいては、蒸気供給量を増やすために助燃装置が大型化してきている。これに伴い排熱回収ボイラ内の排ガス温度が高くなり、ボイラ構成部材の耐久性・信頼性が下がるのを防止するために、助燃装置を複数箇所に設置することが行われている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−116208号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数台の助燃装置を設置した排熱回収ボイラで、複数台の助燃装置を同時に燃焼させた場合、排ガスの流れ方向に対して最も上流側に配置されている第1段目の助燃装置で排ガス中に含まれる酸素の多くが消費されるため、それより下流の第2段目以降の助燃装置に供給される酸素量が不足しがちになる。第2段目以降の助燃装置のバーナでは不完全燃焼が発生することがあり、一酸化炭素、窒素酸化物などの有害物質濃度が増加する、という問題があった。
【0007】
また、ガスタービンの出力が高くなってくる場合には、排熱回収ボイラに供給される排ガス流量が増大するので、助燃装置への燃料投入量を減らしていくことがある。この場合、助燃装置は複数のバーナを備えているところ、燃料投入量を絞っていくと、各バーナでの燃焼状態が不安定になり易く、排ガス中の一酸化炭素等の有害ガスの濃度が極端に高くなる、という問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、助燃装置の各バーナでの燃焼状態を良好に保ち、助燃装置から排出される一酸化炭素等の有ガスの排出を低減できるようにした排熱回収ボイラおよび発電プラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、ガスタービンからの排ガスの流れ方向にそって過熱器、蒸発器、節炭器を有する複数の熱交換器がダクト内に配置され、前記ガスタービンの排ガスを利用して蒸気を発生する排熱回収ボイラにおいて、いずれかの前記熱交換器の上流側で、複数のバーナを燃焼させて前記排ガスを加熱する助燃装置と、前記助燃装置の複数のバーナのそれぞれに、前記ダクトの外部から空気を供給する空気供給装置と、を具備したことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明は、スタービンからの排ガスの流れ方向にそって過熱器、蒸発器、節炭器を有する複数の熱交換器がダクト内に配置され、前記ガスタービンの排ガスを利用して蒸気を発生する排熱回収ボイラにおいて、いずれかの前記熱交換器の上流側で、複数のバーナを燃焼させて前記排ガスを加熱する助燃装置と、前記排熱回収ボイラから排出される排ガス中の有害ガスの濃度が制限値を超えないように、前記助燃装置の備えるバーナのうち、いずれかのバーナ若しくは複数のバーナを消火する手段と、を具備したことを特徴とするものである。
【0011】
さらに、本発明は、高温、高圧の燃焼ガスによってタービンを回転駆動するガスタービンと、ガスタービンからの排ガスの流れ方向にそって過熱器、蒸発器、節炭器を有する複数の熱交換器がダクト内に配置され、前記ガスタービンの排ガスを利用して蒸気を発生する排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラで発生した蒸気により駆動される蒸気タービンと、前記ガスタービンおよび蒸気タービンによって駆動される発電機と、を備え、前記排熱回収ボイラは、いずれかの前記熱交換器の上流側で、複数のバーナを燃焼させて前記排ガスを加熱する助燃装置と、前記助燃装置の複数のバーナのそれぞれに、前記ダクトの外部から空気を供給する空気供給装置と、を具備したことを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態による排熱回収ボイラが適用される発電プラントの系統図である。
【図2】本発明の一実施形態による排熱回収ボイラの構成を示す模式図である。
【図3】図2の排熱回収ボイラに設置される第1段目の助燃装置のバーナ配置を示す模式図である。
【図4】図2の排熱回収ボイラに設置される第2段目の助燃装置のバーナ配置を示す模式図である。
【図5】図4の助燃装置において、ガスタービンの負荷と、空気調整弁の弁開度との関係を示すグラフである。
【図6】図4の助燃装置において、燃料投入量と空気調整弁の弁開度との関係を示すグラフである。
【図7】図4の助燃装置において、燃料投入量と一酸化炭素濃度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明による排熱回収ボイラの一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態による排熱回収ボイラが適用されるコンバインドサイクル型の発電プラントの系統図である。
【0014】
この図1において、参照番号10は発電機を示し、12は蒸気タービン、14はガスタービンを示している。参照番号16は、排熱回収ボイラを示す。
【0015】
発電機10は、蒸気タービン12とガスタービン14と同一の駆動軸18によって連結されている。また駆動軸18には空気圧縮機20が連結されている。この空気圧縮機20は、外部から吸入された空気Aを高温高圧に圧縮して燃焼器22に供給する。この燃焼器22では、燃料系統24から供給される燃料に圧縮された空気が混合されて燃焼し、高温高圧の燃焼ガスがガスタービン14に送られる。この燃焼ガスが膨張仕事をすることによりガスタービン14のタービンが回転駆動され、発電機10は回転する。ガスタービン14から排出された排ガス25は排気ダクト26を通って排熱回収ボイラ16に導かれる。
【0016】
図1に示されるように、排熱回収ボイラ16のダクト27の内部には、ガスタービン14から排出された排ガス25の流れ方向にそって上流側から順に高温過熱器28、低温過熱器30、蒸発器32、節炭器34といった4種類の熱交換器が設置されている。蒸発器32には蒸気ドラム36が設置されている。節炭器34は、ボイラ給水を排ガス25の熱で加熱してから蒸気ドラム36に供給する。蒸気ドラム36では、蒸発器32で発生した飽和蒸気の気液分離を行うとともに、その内部を所定の水位に保つことで飽和蒸気とのバランスが保たれるようになっている。蒸気ドラム36で気液分離された水は蒸発器32に再導入される。
【0017】
蒸気ドラム36内部の飽和蒸気は、飽和蒸気管38を通って低温過熱器30に送られ、ここで過熱されてから、さらに高温過熱器28に導かれ、ここで蒸気はさらに過熱される。低温過熱器30と高温過熱器28の間には、蒸気温度を調節するための減温器40が設置されている。
【0018】
高温過熱器28のボイラ出口には出口配管42が接続されており、高温過熱器28で過熱された過熱蒸気は、出口配管42を通って蒸気タービン12に送られ、膨張仕事を行って蒸気タービン12を回転させることになる。仕事を終えた蒸気は、復水器43に導かれて水に戻され、復水ポンプ46によって復水戻り配管45を通って給水ポンプ46で加圧されて節炭器34に還流される。燃料系統24からは、助燃装置50、52にそれぞれ燃料を供給する燃料供給配管54、55が分岐している。
【0019】
本実施形態による排熱回収ボイラ16では、次のように助燃装置50、52は設置されている。
このうち、第1段目の助燃装置50は、排ガス25の流れ方向において最上流の位置に配置され、この実施形態の排熱回収ボイラ16の場合、高温過熱器28の上流側に設置されている。この第1段目の助燃装置50には、複数のバーナ51が下流側の高温過熱器28に向けて設置されている。第1の燃料供給配管54には、燃料調整弁56と燃料遮断弁57が配設されており、バーナ51で燃焼させる燃料投入量を燃料調整弁56の開度を調整することで制御している。すべてのバーナ51を消火するときには燃料遮断弁57が閉じるようになっている。
【0020】
図3は、第1段目の助燃装置50でのバーナ51の配置および各バーナ51への燃料供給配管を示す図である。第1の燃料供給配管54は、燃料調整弁56の下流で燃料供給配管58a、58bに分岐しており、この実施形態では、燃料供給配管58a、58bにはそれぞれ4つのバーナ51が燃料遮断弁59を介して並列に接続されている。燃料遮断弁59が閉じると、各バーナ51は個別に消火される。
【0021】
次に、図2において、第2段目の助燃装置52は、第1段目の助燃装置50より下流位置、この実施形態の場合、蒸発器32の上流側に配置されている。この第2段目の助燃装置52には複数のバーナ53が下流側の蒸発器32に向けて設置されている。第2の燃料供給配管55には、燃料投入量を調整する燃料調整弁60とすべてのバーナ53を消火するときに閉じる燃料遮断弁61が配設されている。
【0022】
図4は、第2段目の助燃装置52でのバーナ53の配置および各バーナ53への燃料供給配管、空気ダクトを示す図である。第1段目の助燃装置50と同様に、第2の燃料供給配管55は、燃料調整弁60の下流で燃料供給配管63a、63bに分岐しており、この実施形態では、燃料供給配管63a、63bにはそれぞれ4つのバーナ53が燃料遮断弁64を介して並列に接続されている。燃料遮断弁64が閉じると、各バーナ51は個別に消火される。
【0023】
また、ファン65から送られてくる空気は、空気ダクト66a、66bを流れて各バーナ53に導入される。各バーナ53の空気流入部分には、空気量調整弁68が設けられている。この空気量調整弁68では、弁の開度はアクチュエータ69で調整されるようになっている。
【0024】
次に、図2において、参照番号70は、第1段目の助燃装置50と第2段目の助燃装置52の点火、消火操作および空気供給量を制御する制御装置を示す。燃料系統24を流れる燃料の流量は、流量計62により検出され、制御装置70に入力される。また、排熱回収ボイラ16から排出される排ガスを煙突に導く排気ダクトには、排ガス中の一酸化炭素や窒素酸化物などの有害ガスの濃度を検出するガスセンサ72が設けられており、このガスセンサ72のガス濃度検出信号は、制御装置70に導入される。
【0025】
本実施形態による排熱回収ボイラは、以上のように構成されるものであり、次に、その作用について説明する。
まず、第1段目の助燃装置50と第2段目の助燃装置52の排熱回収ボイラ16における作用について説明する。
【0026】
図1において、第2段目の助燃装置52は、蒸発器32の上流に配置されていることから、バーナ53から噴き出される火炎で排ガス25が加熱されると、主に、蒸発器32での蒸発量を増大させることができる。
【0027】
これに対して、第1段目の助燃装置50は、高温過熱器28、低温過熱器30の上流に配置されていることから、バーナ51から噴き出される火炎で排ガス25が加熱されると、これら高温過熱器28、低温過熱器30での蒸気の過熱度を上昇させることができる。
【0028】
助燃装置50、52に点火せずに排熱回収ボイラ16を運転している時に、蒸気量が足りなくなり、蒸気タービン12に供給すべき蒸気量を増やす場合には、最初に第2段目の助燃装置52のバーナ53に点火して、燃料投入量を増加させていく。最初の段階から第1段目の助燃装置50を運転していると、蒸発量が十分でない状態のまま高温の排ガス25で高温過熱器28と低温過熱器30を過熱しすぎることなり、好ましくない。
【0029】
このように第2段目の助燃装置52だけに燃料を投入して、バーナ53で燃料を燃焼させている間は、排ガス25中に十分な酸素があるため、燃焼状態は安定する。
【0030】
次に、蒸気タービン12に供給すべき蒸気量をさらに増やす場合には、第1段目の助燃装置50にも燃料を供給してバーナ51で燃料を燃焼させる。第1段目の助燃装置50で加熱して排ガス25の温度を上昇させないと、高温過熱器28、低温過熱器30での蒸気の過熱が十分でなくなり、ボイラ出口での蒸気温度が低下してしまうおそれがあるからである。
【0031】
こうして、第1段目の助燃装置50と第2段目の助燃装置52の双方で燃料を燃焼させていると、第1段目の助燃装置50では、排ガス25によって酸素が十分に供給されるので、燃焼状態は安定する。これに対して、第2段目の助燃装置52には、第1段目の助燃装置50で酸素が消費されてしまっている排ガス25が供給されるため、酸素不足になりがちであり、燃焼状態が不安定になることがある。
【0032】
本実施形態では、第2段目の助燃装置52に酸素不足が生じないように、図4に示すように、ファン65を回転させ、空気ダクト66a、66bに空気を流して各バーナ53に供給している。こうすることによって、第2段目の助燃装置52の各バーナ53には酸素を追加供給することができるので、安定した燃焼状態を確保することが可能になり、第2段目の助燃装置52からの一酸化炭素等の有害ガスの排出を未然に抑制することができる。
【0033】
この間、ファン65で供給する空気量は多すぎても少なすぎても、第2段目の助燃装置52の燃焼状態は安定しないので、空気量調整弁68の弁の開度を調整しながら、適正量の空気を各バーナ53に供給する。空気量調整弁68の弁の開度は、制御装置70がアクチュエータ69に弁開度を指令して調整される。制御装置70は、ガスセンサ72の出力信号に基づいて、第2段目の助燃装置52から排出される一酸化炭素等の有害ガスの濃度を監視しながら、空気量調整弁68の弁開度を自動で制御し、常に最適な燃焼状態を維持する。
【0034】
第2段目の助燃装置52にファン65で空気を追加供給する場合、安定した燃焼状態を確保するためには、空気量以外にも、ガスタービン14の負荷や燃料投入量も関係してくる。第2段目の助燃装置52で燃焼状態が不安定になり一酸化炭素等の排出量が増加するのは、ガスタービン14が高負荷で運転され、かつ第2段目の助燃装置52への燃料投入が少ない時に顕著である。
【0035】
そこで、図5は、ガスタービン14の負荷と空気量調整弁68の弁開度の関係を示すグラフである。
図5において、ガスタービン14が低負荷領域で運転されているときは、このガスタービン14から排熱回収ボイラ16に供給される排ガス25の流量は少ないので、空気量調整弁68の弁開度は全開に設定されている。ガスタービン14の負荷が次第に増大していくと、それに伴って排ガス25の流量も増大していくので、予め設定した負荷L1に達したら、第2段目の助燃装置52の各バーナ53に空気が過剰にならないように、制御装置70は空気調整弁68の弁開度を絞っていく。このとき弁開度は、第2段目の助燃装置52から排出されるガス中の一酸化炭素等の有害ガスの濃度が制限値を超えないように、負荷に対する最適な開度をあらかじめ設定しておき、例えば、図5に示すように直線的減少に減少させる。
このように、ガスタービン14の負荷増大に応じて空気量調整弁68の弁開度は絞られていくので、第2段目の助燃装置52の各バーナ53には、空気調整弁68により最適量の空気が供給され、燃焼状態を安定させることができる。
【0036】
次に、図6は、第2段目の助燃装置52への燃料投入量と空気量調整弁68の弁開度の関係を示すグラフである。
図6において、第2段目の助燃装置52への燃料投入量が少ない領域では、空気調整弁68の開度が大きいと、各バーナ53への空気量が過剰になってしまうので、あらかじめ適正な弁開度を設定おき、各バーナ53での燃焼を安定させる。燃料投入量が増大していくと、燃焼に必要な空気量も増えるので、排出ガス中の一酸化炭素等の有害ガスの濃度が制限値を超えないように、制御装置70は、流量計62により燃料投入量を監視しながら、予め設定した燃料投入量F1を超えてから、空気調整弁68の開度を大きくしていって、供給する空気量を増やしていく。
【0037】
なお、図5に示した弁開度の変化パターンと図6に示した弁開度の変化パターンを組み合わせて、ガスタービン14の負荷と燃料投入量を同時に監視しながら空気調整弁68の開度を自動調整するようにしてもよい。
【0038】
これまで説明したのは、第2段目の助燃装置52の各バーナ53にファン65により空気を送って燃焼状態を安定させる場合であるが、以下のように、第2段目の助燃装置52に設けている8台のバーナ53うち、任意の一台若しくは複数台のバーナ53を消火するようにしてもよい。
【0039】
例えば、ガスタービン14の出力が高くなっている場合には、排熱回収ボイラ16に供給される排ガス量は増大してくるので、第2段目の助燃装置52に同じ量の燃料が投入されたとしても、ガスタービン14の出力が高くなるほど蒸気発生量は増えることになる。このような場合、蒸気発生量が最大値以上にならないようにするために、第2段目の助燃装置52への燃料投入量を減らしていく場合がある
第2段目の助燃装置52への燃料投入量を減らしていくと、各バーナ53での燃焼状態が不安定になり易く、一酸化炭素等の有害ガスの濃度が極端に高くなる特性を示す場合がある。このような場合、一酸化炭素等の有害ガスの濃度が所定の制限値を超えないように、図7に示すように、いくつかのバーナ53を消火することになる。
【0040】
図7において、横軸は第2段目の助燃装置52への燃料投入量を示し、縦軸は第2段目の助燃装置52から排出されるガス中の一酸化炭素濃度を示している。一酸化炭素の濃度Cmaxが制限値である。
【0041】
曲線Aは、第2段目の助燃装置52のバーナ53が全台点火されているときの一酸化炭素濃度の変化を示す。燃料投入量が減っていくにつれて、一酸化炭素濃度は次第に高まっていく。制御装置70は、ガスセンサ72の出力信号に基づいて、第2段目の助燃装置52から排出される一酸化炭素の濃度を監視しており、一酸化炭素濃度が制限値Cmaxに近づいていくと、その手前で、例えば、半数、この場合4台のバーナ53の燃料遮断弁64を閉じて消火する。
【0042】
この結果、曲線Bで示すように、残りの4台のバーナ53は点火しており、一台あたりの燃料投入量は増加するので、燃料といっしょにバーナ53に導入される酸素量が増えて燃焼状態が安定する結果、一酸化炭素濃度を大きく減少させることができる。
【0043】
複数のバーナ53を消火する場合には、図4において、水平方向の同じ平面上にあるバーナ53を同時に消火することが好ましい。これにより、バーナ53により加熱される排ガス25が水平方向に温度不均一となる状態を低減することができる。
【0044】
以上、第2段目の助燃装置52のバーナ53のうちの一部を消火されることにより、残りの点火したままのバーナ53の燃焼状態を安定させる実施形態を説明したが、第1段目の助燃装置50についても、燃料投入量を減らす場合には、図3において、任意の燃料遮断弁59を閉じて、8台あるバーナ51のうちの一部を消火するようにしてもよい。
【0045】
以上、本発明に係る排熱回収ボイラについて、第1段目の助燃装置、第2段目の助燃装置を設けた排熱回収ボイラの実施形態を挙げて説明したが、この実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。
【0046】
また、本発明の排熱回収ボイラは、蒸気タービンだけに限らずに、例えば、造水プラント等に蒸気を供給するプラントにも適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
10…発電機、12…蒸気タービン、14…ガスタービン、16…排熱回収ボイラ、20…空気圧縮機、22…燃焼機、25…排ガス、27…ダクト、28…高温過熱器、30…低温過熱器、32…蒸発器、34…節炭器、36…蒸気ドラム、43…復水器、46…給水ポンプ、50…第1段目の助燃装置、51…バーナ、52…第2段目の助燃装置、53…バーナ、65…ファン、68…空気量調整弁、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンからの排ガスの流れ方向にそって過熱器、蒸発器、節炭器を有する複数の熱交換器がダクト内に配置され、前記ガスタービンの排ガスを利用して蒸気を発生する排熱回収ボイラにおいて、
いずれかの前記熱交換器の上流側で、複数のバーナを燃焼させて前記排ガスを加熱する助燃装置と、
前記助燃装置の複数のバーナのいずれかに、前記ダクトの外部から空気を供給する空気供給装置と、
を具備したことを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項2】
前記助燃装置は、前記過熱器の上流側で前記排ガスを過熱する第1の助燃装置と、前記蒸発器の上流側で前記排ガスを過熱する第2の助燃装置と、を有し、前記空気供給装置は、前記第2の助燃装置の各バーナに空気を供給することを特徴とする請求項1に記載の排熱回収ボイラ。
【請求項3】
前記空気供給装置は、前記第2の助燃装置の各バーナに供給する空気量を調整する空気量調整手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の排熱回収ボイラ。
【請求項4】
前記排熱回収ボイラから排出される排ガス中の有害ガスの濃度を検出する手段をさらに備え、前記有害ガスの特定成分濃度が制限値を超えないように前記空気量調整手段を操作し空気量を制御することを特徴とする請求項3に記載の排熱回収ボイラ
【請求項5】
前記ガスタービンの負荷に応じて、有害ガスの特定成分濃度が制限値を超えないように前記空気量調整手段を操作し空気量を制御することを特徴とする請求項4に記載の排熱回収ボイラ。
【請求項6】
前記第2の助燃装置への燃料投入量に応じて、有害ガスの特定成分濃度が制限値を超えないように前記空気量調整手段を操作し空気量を制御することを特徴とする請求項4に記載の排熱回収ボイラ。
【請求項7】
前記排熱回収ボイラから排出される排ガス中の有害ガスの濃度が制限値を超えないように、前記第2の助燃装置の備えるバーナのうち、いずれかのバーナを消火する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の排熱回収ボイラ
【請求項8】
ガスタービンからの排ガスの流れ方向にそって過熱器、蒸発器、節炭器を有する複数の熱交換器がダクト内に配置され、前記ガスタービンの排ガスを利用して蒸気を発生する排熱回収ボイラにおいて、
いずれかの前記熱交換器の上流側で、複数のバーナを燃焼させて前記排ガスを加熱する助燃装置と、
前記排熱回収ボイラから排出される排ガス中の有害ガスの濃度が制限値を超えないように、前記助燃装置の備えるバーナのうち、いずれかのバーナを消火する手段と、
を具備したことを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項9】
高温、高圧の燃焼ガスによってタービンを回転駆動するガスタービンと、
ガスタービンからの排ガスの流れ方向にそって過熱器、蒸発器、節炭器を有する複数の熱交換器がダクト内に配置され、前記ガスタービンの排ガスを利用して蒸気を発生する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで発生した蒸気により駆動される蒸気タービンと、
前記ガスタービンおよび蒸気タービンによって駆動される発電機と、を備え、
前記排熱回収ボイラは、
いずれかの前記熱交換器の上流側で、複数のバーナを燃焼させて前記排ガスを加熱する助燃装置と、
前記助燃装置の複数のバーナのいずれかに、前記ダクトの外部から空気を供給する空気供給装置と、
を具備したことを特徴とする発電プラント。
【請求項10】
前記助燃装置は、前記過熱器の上流側で前記排ガスを過熱する第1の助燃装置と、前記蒸発器の上流側で前記排ガスを過熱する第2の助燃装置と、を有し、前記空気供給装置は、前記第2の助燃装置の各バーナに空気を供給することを特徴とする請求項9に記載の発電プラント。
【請求項11】
前記空気供給装置は、前記第2の助燃装置の各バーナに供給する空気量を調整する空気量調整手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の発電プラント。
【請求項12】
前記排熱回収ボイラから排出される排ガス中の有害ガスの濃度を検出する手段をさらに備え、前記有害ガスの特定成分濃度が制限値を超えないように前記空気量調整手段を操作し空気量を制御することを特徴とする請求項11に記載の発電プラント
【請求項13】
前記ガスタービンの負荷に応じて、有害ガスの特定成分濃度が制限値を超えないように前記空気量調整手段を操作し空気量を制御することを特徴とする請求項12に記載の発電プラント。
【請求項14】
前記第2の助燃装置への燃料投入量に応じて、有害ガスの特定成分濃度が制限値を超えないように前記空気量調整手段を操作し空気量を制御することを特徴とする請求項12に記載の発電プラント。
【請求項15】
前記排熱回収ボイラから排出される排ガス中の有害ガスの濃度が制限値を超えないように、前記第2の助燃装置の備えるバーナのうち、いずれかのバーナを消火する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項11に記載の発電プラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−251671(P2012−251671A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122420(P2011−122420)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】