説明

掘削工具

【課題】地盤の水抜きをする有孔管を削孔と同時に埋設する場合に有孔管内に繰り粉の滞留を生じることがなく、確実かつ円滑な削孔および有孔管の埋設を行うことが可能な掘削工具を提供する。
【解決手段】軸線Oを中心とした管状をなすとともに軸線Oに対する径方向に貫通した貫通部2を有する有孔管1内に、先端部に掘削工具本体4が装着される掘削ロッド8を軸線Oに沿って挿入し、有孔管1の先端には掘削工具本体4を突出させ、有孔管1と掘削ロッド8との間に、軸線Oに対する径方向に掘削ロッド8と間隔をあけて、軸線Oを中心とした管状をなすとともに軸線Oに対する径方向に貫通部が形成されていない無孔管10を介装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地山の改良・維持・補修などにおいて、特に地盤からの水抜き管として貫通孔や貫通溝が形成された有孔管を削孔と同時に埋設可能とした掘削工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネルなどを構築する際に、このように有孔管を水抜き管として削孔に埋設する工法としては、例えば特許文献1に、削孔ビットに内管ロッドを介して推力と回転力および打撃とを加えながら削孔を掘削し、掘削された削孔内に有孔外管(有孔管)を挿入し、所定長さの有孔外管を地山に設置した後に、削孔ビットの一部と内管ロッドとを抜き出す水抜き工法において、有孔外管の先端側に推力と打撃との動力伝達部分を設け、有孔外管を前引き方式で削孔内に挿入する工法が提案されている。
【特許文献1】特許第3198087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この特許文献1に記載の工法では、掘削工具が内管ロッドと有孔外管より成る二重管構造であり、削孔の際に削孔ビットによって生成された地盤の掘削屑である繰り粉(スライム)は、上記内管ロッド内を通して供給される削孔水やエアにより、内管ロッドと有孔外管との間の間隔部分を通して掘削工具の後端側(削孔の開口部側)に送り出されて排出されることになる。
【0004】
しかしながら、この特許文献1の掘削工具では、上記間隔部分の外周側には有孔外管の貫通孔が開口していて削孔に連通した状態となっているため、特に貫通孔の開孔率(浸透率)の高い有孔外管を用いたりすると、繰り粉排出のための上記削孔水やエアーが貫通孔から削孔内に漏れ出してしまい、繰り粉を確実に排出することが困難となって途中で滞留してしまうおそれがある。そして、このように繰り粉の滞留が生じると、その後に送り出された繰り粉が詰まりを生じて削孔作業に支障を来したり、削孔後に削孔ビットや内管ロッドを抜き出すことができなくなったりすることになる。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたもので、このように有孔管を削孔と同時に埋設する場合に有孔管内に繰り粉の滞留を生じることがなく、確実かつ円滑な削孔および有孔管の埋設を行うことが可能な掘削工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の掘削工具は、軸線を中心とした管状をなすとともに該軸線に対する径方向に貫通した貫通部を有する有孔管内に、先端部に掘削工具本体が装着される掘削ロッドが上記軸線に沿って挿入されていて、上記有孔管の先端に上記掘削工具本体が突出させられており、上記有孔管と掘削ロッドとの間には、上記軸線に対する径方向に該掘削ロッドと間隔をあけて、上記軸線を中心とした管状をなすとともに該軸線に対する径方向に貫通部が形成されていない無孔管が介装されていることを特徴とする。
【0007】
上記構成の掘削工具では、上記有孔管内に無孔管と、この無孔管内にはさらに掘削ロッドとが、上記軸線を中心に同軸に挿入されることになり、この掘削ロッドも、その内部に繰り粉排出用の媒体(水やエアー)が供給される供給路が形成された管状のものである場合には、これら有孔管、無孔管、および掘削ロッドによって三重管構造をなすことになる。そして、このうち掘削ロッドと無孔管との間には上記軸線に対する径方向に間隔があけられているので、例えば掘削ロッド先端に装着される掘削工具本体に、該掘削工具本体により生成された繰り粉を排出する排出路を、上記掘削ロッドと無孔管との間の間隔部分に連通するように形成したりすることによって、上記掘削工法のように繰り粉をこの間隔部分を通して排出することができる。
【0008】
従って、繰り粉は上記排出用の媒体とともに、貫通部が形成されていない無孔管内を、掘削ロッドとの間隔部分を通って後端側に送り出されて排出されることになるので、開孔率(浸透率)の高い有孔管を用いたとしても、この排出用の水やエアー等の媒体が削孔内に漏れ出るようなことがなく、該媒体によって繰り粉を確実に押し出して排出することができて、有孔管内で繰り粉の滞留等が生じるのを防ぐことができる。そして、こうして繰り粉を排出して削孔を形成した後は、上述のように少なくとも有孔管を削孔内に残して掘削ロッドと無孔管とを有孔管内から抜き出すことにより、地山に含まれている水を有孔管の貫通部から該有孔管内に導いて排出し、水抜きすることができる。
【0009】
ここで、本発明の掘削工具において、上記掘削工具本体が掘削ロッドを介して与えられる上記軸線方向先端側への推力や特に打撃力によって削孔を形成するものである場合には、上記掘削ロッドの先端部外周に、後端側に向けて外径が一段大きくなる第1当接部を備えるとともに、上記無孔管の先端部内周には、先端側に向けて内径が一段小さくなる第1被当接部を備えて、この第1被当接部に上記第1当接部を先端側に向けて当接可能とすることにより、掘削ロッドからの上記推力や打撃力を無孔管にも与えることによって該無孔管を前進させて削孔内に挿入することができる。
【0010】
また、この場合には、さらに上記無孔管の先端部に第2当接部を備えるとともに、上記有孔管の先端部内周には、先端側に向けて内径が一段小さくなる第2被当接部を備えて、この第2被当接部に上記第2当接部を先端側に向けて当接可能とすることにより、上述のように無孔管に与えられた推力や打撃力をその外周の有孔管にも伝播させて該有孔管を前進させることにより、掘削ロッドからの推力や打撃力によってこの有孔管を削孔に打設して建て込み、埋設することが可能となる。
【0011】
一方、こうして有孔管が削孔内に埋設された後に、内部の無孔管と掘削ロッドとを後退させて引き抜く際には、上記掘削ロッドの先端部外周に、後端側に向けて外径が一段小さくなる第3当接部を形成するとともに、上記無孔管の先端部内周には、後端側に向けて内径が一段小さくなる第3被当接部を備えて、この第3被当接部に上記第3当接部を後端側に向けて当接可能とすることにより、掘削ロッドを後退させることでその第3当接部に第3被当接部が当接した無孔管も一体に後退させることができ、これらを別々に引き抜く場合に比べて作業の効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、地山の改良・維持・補修などにおける特に地盤からの水抜き管として有孔管を打設する際に、この有孔管内で繰り粉が滞留してしまうのを防ぐことができ、これにより、削孔の形成および有孔管の打設を確実かつ円滑に行うことが可能となるとともに、これら削孔および打設後に掘削ロッドや無孔管を引き抜くときにも支障のない作業を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1ないし図5は、本発明の掘削工具の一実施形態を示すものである。本実施形態において有孔管1は、鋼管等から形成されて軸線Oを中心とした外形円管状をなしており、必要に応じて、同径で所定の長さの複数本の有孔管1が溶接や螺合によって軸線O方向に順次継ぎ足されつつ、当該掘削工具の先端側(図1において左側)から削孔内に打設されてゆく。
【0014】
この有孔管1には、該有孔管1を軸線Oに対する径方向に貫通する貫通部2が形成されている。本実施形態では、この貫通部2は、図1に示すように軸線Oに平行に互いに等しい長さで延びる複数のスリットが周方向に等間隔をあけて形成されて群をなし、かつこのようなスリット群が該軸線O方向に間隔をあけて複数群形成されたものとされ、個々のスリットは図5に示すように軸線Oに対する径方向に放射状に延びて有孔管1を貫通し、その周方向の幅は一定とされて貫通部2の貫通深さすなわち有孔管1の肉厚よりも小さくされている。
【0015】
また、このように必要に応じて継ぎ足される有孔管1のうち最先端の有孔管1の先端部内周には、後端側部分が先端側部分よりも内外径ともに一段小さくされた多段円筒状の有孔管ケーシングトップ3の上記後端側部分が挿入されて溶接により接合されている。従って、この有孔管ケーシングトップ3の後端側部分は有孔管1の内径よりも一段小さくされて、その後端面が、有孔管1の先端部内周に形成されて先端側に向けて内径が一段小さくなる本実施形態における有孔管1の第2被当接部3Aとされる。
【0016】
なお、この第2被当接部3Aは、外周側に向かうに従い僅かに後端側に向かうように傾斜した軸線Oを中心とする凹円錐状面とされている。また、有孔管ケーシングトップ3の先端部の外径は有孔管1の外径と等しくされるとともに、この先端部の内周先端側には雌ネジ部3Bが環状をなして内周側に一段縮径するように形成されている。
【0017】
さらに、この有孔管ケーシングトップ3の先端部には、掘削工具本体4が突出するように取り付けられている。この掘削工具本体4は、先端部が軸線Oを中心とする円盤状をなすとともに、後端部は先端部よりも外径が一段小径とされた軸線Oを中心とする略円筒状をなして先端部と一体形成されたものであり、この先端部の先端面には超硬合金等の硬質材料よりなるチップ5が図2に示すように多数植設されている。
【0018】
この掘削工具本体4の先端部の外径は、上記有孔管1および有孔管ケーシングトップ3の外径よりも大径とされるとともに、後端部の外径は、有孔管ケーシングトップ3の上記雌ネジ部3B内に嵌挿可能な大きさとされている。ただし、この後端部の外周部後端側には、雌ネジ部3Bに螺合する雄ネジ部4Aが環状をなして外周側に一段拡径するように形成されていて、この雄ネジ部4Aの外径は、有孔管ケーシングトップ3先端部内周の雌ネジ部3Bよりも後端側の部分に嵌挿可能な大きさとされている。
【0019】
このような掘削工具本体4は、雄ネジ部4Aが雌ネジ部3Bに螺合させられて後端側にねじ込まれ、さらに雄ネジ部4Aが雌ネジ部3Bを後端側に越えて抜け出た状態で、その後端部が有孔管ケーシングトップ3の先端部内周に収容されるようにして取り付けられる。そして、こうして取り付けられた掘削工具本体4は、有孔管ケーシングトップ3および有孔管1に対して、軸線O回りに回転自在とされるとともに、軸線O方向後端側に向けては有孔管ケーシングトップ3の先端面に先端部の後端面が当接するところまで、また先端側に向けては雄ネジ部4Aが雌ネジ部3Bの後端に当接するところまでの間で、該軸線O方向に所定のストロークで進退自在とされ、すなわち先端側には抜け止めされた状態とされる。
【0020】
また、図3に示すように掘削工具本体4の後端部内周には、軸線Oに平行に延びる複数(本実施形態では3つ)の断面略円弧状の凹溝4Bが周方向に等間隔に形成されており、隣接するこれら凹溝4B同士の間には、掘削工具本体4の後端面から後端部内周の底面4Cの手前にまで延びる複数(凹溝4Bと同じ本実施形態では3つ)の突条部4Dがそれぞれ形成される。なお、これらの突条部4D内周の突端面は軸線Oを中心とした1の凹円筒面上に位置するように形成されている。また、この掘削工具本体4後端部内周の底面4C側には、突条部4Dよりも径方向外周側に凹み、かつ凹溝4Bよりは径方向外周側に浅い内径を有する軸線Oを中心とした環状溝4Eが形成されている。
【0021】
さらに、この掘削工具本体4後端部内周の上記底面4Cは、軸線Oに垂直な平坦面とされていて、この底面4Cからは軸線Oに沿って先端側に凹孔6Aが形成されるとともに、この凹孔6Aからは先端側に向けて外周側に分岐して掘削工具本体4の先端面に開口する複数(本実施形態ではやはり凹溝4Bと同じ3つ)の分岐孔6Bが周方向に等間隔に形成されていて、これら凹孔6Aおよび分岐孔6Bにより、後述する繰り粉排出用媒体の掘削工具本体4における供給路6が形成される。なお、この底面4Cは、掘削工具本体4の先端部の後端面よりも先端側に位置するようにされている。
【0022】
さらにまた、掘削工具本体4の先端面には、これらの分岐孔6Bの開口部から径方向外周側に延びる先端排出溝7Aが形成されるとともに、掘削工具本体4の先端部外周面には、これらの先端排出溝7Aの外周端にそれぞれ連通して後端側に延びる先端排出溝7Aよりも幅広の外周排出溝7Bが、該先端部の後端面よりも手前にまで形成されている。さらに、これらの外周排出溝7Bの後端部からは、内周側に向けて後端側に向かうように排出孔7Cがそれぞれ形成されていて、これらの排出孔7Cは、掘削工具本体4後端部内周の上記凹溝4Bの内周側を向く底面に各々開口させられ、これら排出溝7A、7B、および排出孔7Cによって掘削工具本体4の繰り粉の排出路7が構成されている。
【0023】
一方、有孔管1内には、上記軸線Oに沿って掘削ロッド8が挿入されている。この掘削ロッド8は、そのロッド本体8Aが軸線Oを中心とした外形正六角柱状に形成されるとともに、このロッド本体8Aの両端部には、該ロッド本体8Aよりも小径の雄ネジ部8Bが同軸に延びるように一体形成されたものであって、有孔管1と同様に必要に応じて複数本の掘削ロッド8が、上記雄ネジ部8Bに螺合する雌ネジ部が形成された図示されない連結部材を介して軸線O方向に継ぎ足されて有孔管1に挿入されるようになされている。
【0024】
そして、このうち最後端に位置した掘削ロッド8の後端には、図1に示すようにカップリングCを介して削岩機の駆動軸Dが連結され、この削岩機により掘削時に掘削ロッド8は、図2ないし図4に符号Tで示す回転方向に向けた軸線O回りの回転力と、該軸線O方向先端側に向けた推力および打撃力とを受ける。また、上記駆動軸DおよびカップリングCには、上記掘削工具本体4が地盤を掘削することによって生成された繰り粉を排出するための媒体(掘削水やエアー)を供給する供給孔Eが軸線Oに沿って形成されるとともに、この供給孔Eに連通するように各掘削ロッド8には、その上記両端部間に亙って貫通孔8Cが軸線Oに沿って形成されている。
【0025】
さらに、本実施形態では、このうち最先端の掘削ロッド8の先端側に、デバイス9が取り付けられて当該掘削ロッド8の先端部を構成している。このデバイス9は、その外形が、先端側部分が後端側部分に対して一段縮径した概略多段円柱状をなし、この先端側部分の外径は有孔管ケーシングトップ3の後端側部分の内径よりも僅かに小さくされている。従って、デバイス9のこれら先後端側部分の間には、後端側に向けて外径が一段大きくなる段差部が形成されることになって、この段差部が本実施形態における掘削ロッド8先端部外周の第1当接部9Aとされる。なお、この第1当接部9Aは、外周側に向かうに従い僅かに後端側に向かうように傾斜した軸線Oを中心とする凸円錐状面とされている。
【0026】
また、デバイス9の外周には、その先端から後端に亙って軸線Oに平行に延びる複数(本実施形態では凹溝4Bや分岐孔6B、排出溝7A、7B、および排出孔7Cと同じ3つ)の凹溝9Bが、周方向に等間隔に形成されている。これらの凹溝9Bは、デバイス9外周面からの溝深さが略一定となるようにされていて、すなわち該凹溝9Bの溝底が、図1に示すように先端側では軸線Oに平行に延びるように軸線Oからの外径が一定とされるとともに、後端側に向けて上記第1当接部9Aを僅かに越えたところで軸線Oに沿った断面で凹曲線状をなすように外径が一段大きくなり、後端側で再び一定の外径となって軸線Oに平行に延びるように形成されている。
【0027】
さらに、各凹溝9Bの周方向の幅は、図3および図4に示すように小径のデバイス9先端側部分で大径の後端側部分よりも大きくなるようにされていて、このうち後端側部分で凹溝9Bは、その軸線Oに垂直な断面形状が図4に示すように外周側に「コ」字状に開口するように形成されている。一方、これらの凹溝9Bは、デバイス9の先端側部分では図3に示すようにその溝底面が軸線Oを中心とした1の凸円筒面上に位置するように形成されていて、この凸円筒面の半径は、掘削工具本体4の後端部内周に形成された上記突条部4D内周の突端面が位置する1の凹円筒面の半径より僅かに小さくされている。
【0028】
さらにまた、こうして複数の凹溝9Bが形成されることによって、デバイス9の外周には隣接する凹溝9B同士の間に、軸線O方向に延びる凹溝9Bと同数の突条部9Cが形成されることになる。これらの突条部9Cは、デバイス9の小径とされた先端側部分で、その軸線Oからの外径が、掘削工具本体4の上記突条部4Dの突端面が位置する1の凹円筒面の半径より大きくされるとともに、上記環状溝4Eの内径よりは僅かに小さくされ、従って軸線Oから凹溝4Bの溝底までの内径よりも小さくされている。
【0029】
また、デバイス9の先端面9Dは軸線Oに垂直な平坦面とされるとともに、各突条部9Cの先端には、掘削時の掘削ロッド8の上記回転方向Tに突出する凸部9Eが形成されており、上記先端面9Dからこれらの凸部9Eの後端面までの軸線O方向の間隔は、掘削工具本体4後端部内周の上記底面4Cから環状溝4Eの先端側を向く面までの間隔よりも僅かに小さくされるとともに、凸部9Eの軸線Oからの外径は環状溝4Eの軸線Oからの内径よりも僅かに小さくされている。さらに、この凸部9Eを含めた各突条部9Cの周方向の幅は、掘削工具本体4の凹溝4Bの溝幅よりも小さくされている。
【0030】
従って、このデバイス9は、その先端側部分の各突条部9Cを凹溝4Bに収容しつつ、軸線Oに沿って掘削工具本体4の後端部内周に同軸に挿入可能とされる。さらに、こうしてデバイス9を挿入してその先端面9Dが上記底面4Cに当接したところで上記回転方向Tに回転させることにより、該デバイス9先端側部分の突条部9Cが掘削工具本体4後端部内周の突条部4Dに上記回転方向Tに向けて当接するとともに凸部9Eが環状溝4Eに収容され、これによって掘削工具本体4がデバイス9に対して軸線O方向に係合し、かつ該軸線O回りには上記回転方向Tに係合して一体に回転可能とされる。
【0031】
また、こうして係合した状態において掘削工具本体4後端部内周の各凹溝4Bとデバイス9の各凹溝9Bとは図3に示すように互いに連通するようにされ、これにより、これら掘削工具本体4とデバイス9との間には、掘削工具本体4の上記排出溝7A、7B、および排出孔7Cからなる排出路7からこれら凹溝4B、9Bを介してデバイス9の後端面に開口する繰り粉の排出経路が形成される。
【0032】
このようなデバイス9は、その後端部に形成された雌ネジ部9Fに、上記最先端の掘削ロッド8の先端側の雄ネジ部8Bがねじ込まれて、ピン止めされることにより軸線Oに同軸に取り付けられる。また、この雄ネジ部8Bの底面からは、掘削ロッド8の貫通孔8Cに連通する貫通孔9Gが軸線Oに沿って先端面9D中央に開口させられて、この先端面9Dを掘削工具本体4の底面4Cに当接させた状態で、掘削工具本体4の上記供給路6の凹孔6Aから分岐孔6Bに連通するようにされており、これら貫通孔8C、9Gおよび供給路6(凹孔6A、分岐孔6B)により、上記削岩機から供給される媒体の供給経路が形成されている。なお、貫通孔9Gからは外周側の各凹溝9Bの溝底に向けて後端側に傾斜するように分岐孔9Hが貫設されている。
【0033】
そして、さらに上記有孔管1と掘削ロッド8との間には、軸線Oに対する径方向に該掘削ロッド8と間隔をあけて、該軸線Oを中心とした管状をなす無孔管10が挿入されて介装されている。この無孔管10は、有孔管1と同様に鋼管等から形成されて軸線Oを中心とした外形円管状をなし、必要に応じて同径で所定の長さの複数本の無孔管10が溶接や螺合によって軸線O方向に順次継ぎ足されてゆくが、有孔管1のような貫通部2は形成されておらず、軸線Oに対する径方向には液密かつ気密とされている。
【0034】
また、この無孔管10の外径は、有孔管1の内径よりも僅かに小さい程度とされるとともに、有孔管ケーシングトップ3の後端部の内径よりは大きくされていて、有孔管1の貫通部2が形成された部分における内周に摺接可能か、この内周との間に極小さな間隔があけられる程度の大きさとされている。一方、無孔管10の内径は、掘削ロッド8の外径(ロッド本体8Aがなす正六角柱に外接する円筒の径)よりも十分大きくされ、これら無孔管10と掘削ロッド8との間の軸線Oに対する径方向の間隔は、無孔管10と有孔管1との間の間隔よりも大きくされている。ただし、これら有孔管1と無孔管10の径方向の厚さ自体は略等しくされている。
【0035】
さらに、上述のように必要に応じて複数本継ぎ足される無孔管10のうち最先端の無孔管10の先端部には、無孔管ケーシングトップ11が取り付けられている。この無孔管ケーシングトップ11は、ともに軸線Oを中心とした多段円筒状をなす先端側部材11Aと後端側部材11Bとが、後端側部材11Bの内周に上記デバイス9の後端側部分を収容するとともに先端側部材11Aからデバイス9の先端側部分を突出させるようにして、同軸に継ぎ合わされて構成されている。
【0036】
このうち、後端側部材11Bは、その先端側部分が、無孔管10と等しい外径とデバイス9の上記後端側部分の外径より僅かに大きな内径とを有するとともに、後端側部分が、この先端側部分より内外径ともに一段縮径された多段円筒状をなしている。そして、この後端側部分の外周に形成された雄ネジ部11Cが、上記最先端の無孔管10の先端部内周に形成された雌ネジ部10Aに螺合されることにより、当該後端側部材11Bは該無孔管10の先端に同軸に取り付けられる。
【0037】
また、この後端側部材11Bの後端側部分の内径はデバイス9の後端側部分の外径および無孔管10の内径よりも小さくされていて、後端側部材11Bの先端側部分内周に収容されたデバイス9の後端側部分の後端面の外周部が、内径が上述のように一段縮径したこの後端側部材11Bの段部に軸線O方向後端側に向けて当接可能とされている。すなわち、本実施形態では、このデバイス9の後端面外周部が掘削ロッド8において後端側に向け外径が一段小さくなる第3当接部9Iとされ、また無孔管ケーシングトップ11の上記段部が無孔管10の第3被当接部11Dとされる。なお、こうして内径が小さくされた後端側部材11Bの後端側部分においても、その掘削ロッド8との間隔は、無孔管10と有孔管1との間の間隔より大きく確保されている。
【0038】
さらに、上記先端側部材11Aは、その先端側部分がやはり無孔管10と等しい外径とされるとともに後端側部分は上記後端側部材11Bの先端側部分内周に嵌挿可能な外径とされ、さらに内径は先端側部分から後端側部分に亙って、デバイス9の上記先端側部分が挿通可能で該デバイス9後端側部分の外径よりも小さな一定内径とされている。しかして、本実施形態の無孔管ケーシングトップ11は、上記後端側部材11Bの先端側部分内周にデバイス9の後端側部分を収容した状態で、先端側から先端側部材11Aの内周部にデバイス9先端側部分を挿通しつつ、該先端側部材11Aの後端側部分を後端側部材11Bの先端側部分内周に嵌挿した上で溶接することにより、これら先後端側部材11A、11Bが一体化されて構成される。
【0039】
従って、こうしてデバイス9の後端側部分を収容した後端側部材11Bに先端側部材11Aが接合されて無孔管ケーシングトップ11が構成されることにより、無孔管10の先端部の内周には、後端側部材11Bの先端部内周に嵌挿された先端側部材11Aの後端面によって先端側に向けて内径が一段小さくなる部分が形成されることになる。そして、この部分が本実施形態における無孔管10の第1被当接部11Eとされて、この第1被当接部11Eに、掘削ロッド8先端部のデバイス9において後端側に向けて外径が一段大きくなる上記第1当接部9Aが当接可能とされる。
【0040】
なお、この第1被当接部11Eは、第1当接部9Aと等しいテーパ角で外周側に向かうに従い僅かに後端側に向かうように傾斜した軸線Oを中心とする凹円錐状面とされる。また、この第1被当接部11Eと上記第3被当接部11Dとの間の軸線O方向の間隔は、デバイス9の上記第1当接部9Aからその後端面の第3当接部9Iまでの軸線O方向の長さより僅かに大きくされている。
【0041】
一方、有孔管1の先端部に取り付けられた上記有孔管ケーシングトップ3の後端側部分は、その内径が無孔管ケーシングトップ11のこれら先後端側部材11A、11Bや無孔管10の外径より小さくされており、従って無孔管10の先端部となる無孔管ケーシングトップ11の先端側部材11Aの先端面は、この有孔管1の上記第2被当接部3Aとなる有孔管ケーシングトップ3後端面に先端側に向けて当接可能とされて、本実施形態における無孔管10の第2当接部11Fとされる。なお、この第2当接部11Fも、第2被当接部3Aと等しいテーパ角で外周側に向かうに従い僅かに後端側に向かうように傾斜した軸線Oを中心とする凸円錐状面とされている。
【0042】
次に、このように構成される掘削工具により地盤を掘削して削孔を形成するとともに、この削孔に上記有孔管1を水抜き管として埋設する場合の掘削工法について説明する。まず、無孔管10の先端部に無孔管ケーシングトップ11の後端側部材11Bを取り付けるとともに、掘削ロッド8の先端部にはデバイス9を取り付け、この掘削ロッド8を先端側から無孔管10に挿入してデバイス9を後端側部材11B内に収容し、次いで上述のように先端側部材11Aをデバイス9先端側部分に挿通しつつ後端側部材11Bと接合して一体化する。
【0043】
その一方で、有孔管1先端部の有孔管ケーシングトップ3の先端に掘削工具本体4を取り付けて、この有孔管1の後端側から、それぞれ先端部に無孔管ケーシングトップ11を取り付けた無孔管10とデバイス9を取り付けた掘削ロッド8とを一体に挿入する。さらに、上述のようにデバイス9先端側部分の突条部9Cを掘削工具本体4後端部内周の凹溝4Bに、掘削工具本体4の突条部4Dをデバイス9先端側部分の凹溝9Bにそれぞれ収容しつつ、該デバイス9先端側部分を掘削工具本体4の後端部内周に挿入し、先端面9Dが底面4Cに当接したところで掘削ロッド8およびデバイス9を上記回転方向Tに回転させることにより、掘削工具本体4をデバイス9に対して軸線O方向に係合させるとともに回転方向Tに向けて一体回転可能に係合させる。
【0044】
このようにデバイス9と掘削工具本体4とが軸線O方向と回転方向Tとに係合させられた掘削工具は、掘削工具本体4の先端面が地盤に当接させられて設置される。そして、上記削岩機の駆動軸DからカップリングC、掘削ロッド8、およびデバイス9を介して伝播される軸線O方向先端側への打撃力および推力と回転方向Tへの回転力とにより、この先端面に植設されたチップ5によって地盤を掘削して、有孔管1の外径よりも大きな径の削孔を形成してゆく。
【0045】
また、こうして駆動軸Dから与えられる軸線O方向先端側への打撃力と推力は、デバイス9の第1当接部9Aから無孔管ケーシングトップ11の第1被当接部11Eにも伝えられて、これにより無孔管10が非回転で掘削ロッド8、デバイス9、掘削工具本体4とともに前進して削孔内に挿入される。さらに、この打撃力と推力は、無孔管ケーシングトップ11の第2当接部11Fから有孔管ケーシングトップ3の第2被当接部3Aにも伝播して、これにより有孔管1も非回転で削孔内に挿入されてゆき、すなわち上記実施形態の掘削工具全体が一体的に削孔内に建て込まれてゆく。
【0046】
なお、こうして削孔を形成しつつ掘削工具を建て込んでゆく際には、削岩機から上述のように構成された供給路6を介して掘削水やエアー等の媒体が供給されて掘削工具本体4の先端側に噴出され、チップ5による掘削によって地盤が削り取られて生成した繰り粉(掘削屑)を除去してゆく。そして、こうして除去された繰り粉は、やはり上述のように構成された排出路7を介して、デバイス9の後端から掘削ロッド8と無孔管10との間の間隔部分に排出され、さらに媒体の圧力により後端側に押し出されて当該掘削工具後端から削孔外に排出される。
【0047】
また、こうして所定の深さまで削孔が形成されるとともに掘削工具が建て込まれた後は、掘削ロッド8およびデバイス9を回転方向Tの反対側に回転させて掘削工具本体4との係合をとき、デバイス9ごと掘削ロッド8を軸線O方向後方側に後退させる。すると、デバイス9の第3当接部9I外周が無孔管ケーシングトップ11の上記第3被当接部11Dに当接したところで、無孔管10もこれらデバイス9および掘削ロッド8と一体に後退させられて有孔管1内から引き抜かれ、削孔内には有孔管ケーシングトップ3を含めた有孔管1と掘削工具本体4だけが残されて埋設された状態となる。
【0048】
従って、こうして有孔管1が埋設された地盤からは、この有孔管1に形成された貫通部2を通して地盤中の水分が有孔管1内に浸透して水抜きが行われ、こうして抜かれた水分は該有孔管1内を通して外部に排出される。また、埋設されるのが、本実施形態では鋼管等からなる有孔管1であるので、地盤の圧力等によって潰れたり変形したりするようなことがなく、確実な水抜き作業を行うことが可能となる。しかも、本実施形態では、無孔管10の外径が有孔管1の貫通部2が形成された部分の内周に摺接可能か極小さな間隔があけられる程度の大きさとされているので、無孔管10によって有孔管1を内周側から補強するように支持することができ、貫通部2が形成されることによって強度が損なわれがちな有孔管1が削孔に挿入される際に地盤の圧力等によって変形したりするのも防ぐことが可能となる。
【0049】
そして、さらに上記構成の掘削工具では、こうして地盤に埋設される有孔管1と、掘削工具本体4に推力および打撃力と回転力とを伝えて削孔を形成する掘削ロッド8との間に、有孔管1のような貫通部2が形成されることのない径方向に液密かつ気密な無孔管10が介装されていて、掘削工具がこれら有孔管1、無孔管10、および掘削ロッド8からなる三重管構造とされている。このため、削孔の際に生成された繰り粉を掘削水やエアー等の繰り粉排出用の媒体によって排出する際に、この三重管構造のうち上述のように掘削ロッド8と無孔管10との間の間隔部分を通して繰り粉を排出することにより、このような媒体が有孔管1の貫通部2から外周の削孔内に漏れ出てしまって繰り粉が滞留するような事態を防止することができる。
【0050】
従って、上記構成の掘削工具によれば、有孔管1として貫通部2の開孔率が高く、すなわち地盤中の水分の浸透率が高いものを用いても、削孔時に繰り粉の排出が阻害されたりすることがなく、これによって掘削ロッド8や無孔管10の有孔管1内からの引き抜きに支障が生じたりすることも防ぐことができる。このため、確実かつ円滑な削孔および有孔管1の埋設を促すことが可能となって、このように開孔率の高い有孔管1を用いることにより、一層効率的な地盤の水抜きを促すことが可能となる。
【0051】
しかも、本実施形態の掘削工具では、このように掘削工具本体4によって生成された繰り粉を掘削ロッド8と無孔管10との間の間隔部分を通して排出するのに、この掘削ロッド8先端部のデバイス9に装着される掘削工具本体4に、この繰り粉を排出する排出路7を、掘削工具本体4およびデバイス9の凹溝4B、9Bを介して上記掘削ロッド8と無孔管10との間の間隔部分に連通するように形成している。従って、掘削工具本体4の先端面側で生成される繰り粉を、この排出路7から上記間隔部分に円滑に導入して一層確実な排出を促すことが可能となる。
【0052】
一方、本実施形態では、上述のように削岩機の駆動軸Dから掘削ロッド8を介して掘削工具本体4に与えられる回転力と推力および打撃力により削孔が形成されるとともに、この掘削ロッド8の先端部であるデバイス9の外周に、後端側に向けて外径が一段大きくなる第1当接部9Aが形成される一方、無孔管10の先端部である無孔管ケーシングトップ11の内周には、先端側に向けて内径が一段小さくなる第1被当接部11Eが形成されていて、この第1被当接部11Eに第1当接部9Aが当該掘削工具の先端側に向けて当接可能とされている。
【0053】
このため、削孔を形成する際の推力や打撃力によって無孔管10を前進させて、掘削ロッド8および掘削工具本体4と一体にこの削孔内に挿入することができ、例えば無孔管10は削岩機とは別の駆動手段によって削孔内に挿入したりするのに比べて、装置構造の簡略化を図るとともに駆動力を軽減することが可能となり、また上述のように掘削ロッド8や無孔管10を継ぎ足す際の作業も容易とすることができる。その一方で、本実施形態では上記第1当接部9Aと第1被当接部11Eとは互いにテーパ角の等しい凹凸円錐面状とされているだけなので、掘削ロッド8の回転力は無孔管10に伝えられることはなく、従って掘削工具本体4に与えられる回転力のロスを少なくして、効率的な掘削を促すことができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、この無孔管10先端部の無孔管ケーシングトップ11に第2当接部11Fが形成されるとともに、有孔管1の先端部である有孔管ケーシングトップ3には先端側に向けて内径が一段小さくなる第2被当接部3Aが形成されており、この第2被当接部3Aに第2当接部11Fが先端側に向けて当接可能とされている。このため、上述のように無孔管10(無孔管ケーシングトップ11)に与えられる推力や打撃力によって、この有孔管1も前進させて削孔内に建て込むことができ、一層の装置構造の簡略化と駆動力の軽減とを促すことができるとともに、有孔管1の継ぎ足し作業も容易とすることが可能となる。
【0055】
さらにまた、本実施形態では、掘削ロッド8先端部外周に、上記デバイス9の後端面によって後端側に向けて外径が一段小さくなる第3当接部9Iが形成されるとともに、無孔管10の先端部である無孔管ケーシングトップ11の内周には、後端側に向けて内径が一段小さくなる第3被当接部11Dが形成されていて、この第3被当接部11Dに上記第3当接部9Iが掘削工具の後端側に向けて当接可能とされている。従って、所定の深さの削孔が形成されて有孔管1が埋設された後に、掘削ロッド8と無孔管10とを有孔管1内から引き抜く際にも、掘削ロッド8だけを後退させることで無孔管10も一体に引き抜くことができ、やはりこれら掘削ロッド8と無孔管10とを別々の手段によって引き抜くのに比べて装置構造の簡略化や作業の効率化を図ることができる。
【0056】
ただし、本実施形態ではこうして無孔管10および有孔管1を、第1、第2当接部9A、11Fおよび第1、第2被当接部11E、3Aを介して、掘削ロッド8に与えられる推力や打撃力によって前進させて削孔内に挿入するようにしているが、上述のようにこれらを別の駆動手段によって掘削工具本体4に追随するように削孔内に挿入してもよい。これは、掘削ロッド8および無孔管10を後退させて引き抜くときでも同様である。
【0057】
また、本実施形態では、掘削工具本体4は、掘削ロッド8および無孔管10を引き抜いた後はその全体が削孔内に残されて埋設されることになるが、例えばこの掘削工具本体4を、有孔管1の先端部に回転自在に取り付けられるリングビットと、掘削ロッド8の先端部に取り付けられて上記リングビットの内周から突出するインナービットとから構成し、掘削ロッド8を引き抜く際には掘削工具本体4の一部であるこのインナービットも引き抜くようにしてもよく、また例えば掘削工具本体4を拡縮径可能なビットを備えた拡径ビットとして、削孔時にはビットを拡径させて掘削を行う一方、掘削ロッド8を引き抜く際にはビットを縮径させて有孔管1内を引き抜き可能とし、掘削工具本体4の全体を掘削ロッド8とともに回収するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の掘削工具の一実施形態を示す一部破断側面図である。
【図2】図1に示す掘削工具(掘削工具本体4)を軸線O方向先端側から見た正面図である。
【図3】図1におけるA断面図である。
【図4】図1におけるB断面図である。
【図5】図1におけるC断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 有孔管
2 貫通部
3 有孔管ケーシングトップ(有孔管1の先端部)
3A 第2被当接部
4 掘削工具本体
6 媒体の供給路
7 繰り粉の排出路
8 掘削ロッド
9 デバイス(掘削ロッド8の先端部)
9A 第1当接部
9I 第3当接部
10 無孔管
11 無孔管ケーシングトップ(無孔管10の先端部)
11D 第3被当接部
11E 第1被当接部
11F 第2当接部
O 有孔管1の軸線
T 掘削時の掘削ロッドの回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心とした管状をなすとともに該軸線に対する径方向に貫通した貫通部を有する有孔管内に、先端部に掘削工具本体が装着される掘削ロッドが上記軸線に沿って挿入されていて、上記有孔管の先端に上記掘削工具本体が突出させられており、上記有孔管と掘削ロッドとの間には、上記軸線に対する径方向に該掘削ロッドと間隔をあけて、上記軸線を中心とした管状をなすとともに該軸線に対する径方向に貫通部が形成されていない無孔管が介装されていることを特徴とする掘削工具。
【請求項2】
上記掘削工具本体には、該掘削工具本体により生成された繰り粉を排出する排出路が、上記掘削ロッドと無孔管との間の間隔部分に連通するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の掘削工具。
【請求項3】
上記掘削ロッドの先端部外周には、後端側に向けて外径が一段大きくなる第1当接部が備えられるとともに、上記無孔管の先端部内周には、先端側に向けて内径が一段小さくなる第1被当接部が備えられていて、この第1被当接部に上記第1当接部が先端側に向けて当接可能とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の掘削工具。
【請求項4】
上記無孔管の先端部には第2当接部が備えられているとともに、上記有孔管の先端部内周には、先端側に向けて内径が一段小さくなる第2被当接部が備えられており、この第2被当接部に上記第2当接部が先端側に向けて当接可能とされていることを特徴とする請求項3に記載の掘削工具。
【請求項5】
上記掘削ロッドの先端部外周には、後端側に向けて外径が一段小さくなる第3当接部が形成されるとともに、上記無孔管の先端部内周には、後端側に向けて内径が一段小さくなる第3被当接部が備えられていて、この第3被当接部に上記第3当接部が後端側に向けて当接可能とされていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の掘削工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−77699(P2010−77699A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247756(P2008−247756)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】