説明

探知測距装置および探知測距プログラム

【課題】レーダー等の複数の探知機で求めた相対距離等に基づいて、単純な計算で正確な相対速度ベクトルを求めることができる探知測距装置および探知測距プログラムを提供すること。
【解決手段】送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより被探知物体までの相対距離を測定する第一の相対距離測定手段と、第一の相対距離測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより被探知物体までの相対距離を測定する第二の相対距離測定手段と、第一の相対距離測定手段によって測定した相対距離と第二の相対距離測定手段によって測定した相対距離とに基づいて、第一の相対距離測定手段から被探知物体に対する方向又は第二の相対距離測定手段から被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している被探知物体の実速度ベクトルを算出する実速度ベクトル算出手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動物体に搭載され、該移動物体との相対速度ベクトルを求める技術に関し、特に、レーダー等の複数の探知機で求めた相対距離又は相対速度に基づいて、単純な計算で正確な相対速度ベクトルを求めることができる探知測距装置および探知測距プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されて当該車両に対する他の車両等の被探知物体との相対位置および相対速度を検出するための装置が知られている。
例えば、特許文献1には、単数の探知機による道路旋回の仮想中心点および被探知物体の方向角の差分をビーム角度或いはスキャン角度から求め、被探知物体との距離を算出する技術が開示されている。
【0003】
また、探知機を複数用いる技術も開示されている。
例えば、被探知物体との相対距離、相対速度及び方角の全ての量を推定可能なレーダーを考える。
【0004】
この様なレーダーの具体例として、送信波を三角波等で周波数変調させるレーダー方式であるFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式を用いて距離と速度の推定を行ない、方角の推定を位相モノパルス方式で行なう位相モノパルスレーダーについて説明する(今後は単に、モノパルス、モノパルスレーダーと記す)。
【0005】
図1は、従来のモノパルスレーダーの構成を説明するための図である。
図1において、モノパルスレーダー1は、1個の送信アンテナ11と2個の受信アンテナ(第1の受信アンテナ12と第2受信アンテナ13)とから構成されるシンプルなシステムである。
【0006】
ここで、位相基準を与える第1の受信アンテナ12をカルテシアン(Cartesian)座標(直行直線座標、デカルト座標)の原点に設定し(同図では、アンテナの並んでいる方向をX軸に取り、Y軸をこれと直交する方向に取っている)、正のY軸から右回り(時計回り)を角度の正方向として測定した被探知物体の角度をθとする。なお簡単の為、上記各アンテナ11、12、13の大きさはモノパルスレーダー1を搭載する装置に対して無視できる程度であるものとし、また、上記各アンテナ11、12、13の形状はプレーナータイプであるものとする。
【0007】
図2は、モノパルスレーダーの具体的な運用例を説明するための図である。
図2において、図1を用いて説明したモノパルスレーダー1は、自動車等の自車両21に搭載され、被探知物体である他車両22を探知する。自車両21と他車両22がおかれている状況としては、自車両21に対する他車両22の相対距離がdLOS、自車両21の前方方向(Y軸方向)から他車両22の位置への右回りの角度がΘLOS、自車両21に対する他車両22の相対速度がvLOSであって、自車両21及び他車両22が移動しているものとする。また、モノパルスレーダー1は、自車両21の前方中央部に搭載されているものとする。
【0008】
上述のような状況下における相対速度vLOSは、他車両22の運動速度vを、自車両21と他車両22とを結んだ視線上(Line Of Sight)に正射影した量となる。
例えば、このような図2は、自車両21の進路に対して、他車両22が割り込みを掛け
る場合等、実際の走行環境でしばしば遭遇する状況であるが、自車両21の進路と他車両22の進路とが交差する際の速度(X軸方向)は、下記式(1)を用いて算出される。
【0009】
【数1】

【0010】
また、相対速度vLOS自体も、残り2つの情報である相対距離がdLOS及び角度θLOSからだけでは、運動速度vの正射影なのか、あるいは他の運動速度、例えばv´の正射影なのかを断定する事ができない。そして、縦しんば運動速度vが実際の実速度である事が判明したとしても、X軸方向への他車両22の実速度vは、他車両22の運動速度vと、例えばX軸との成す角をαとして、下記式(2)を用いて算出される(αの方向に注意)。
【0011】
【数2】

【0012】
すると、角度ΘLOS≠0の場合、観測誤差は例えば、下記式(3)で定義される。
【0013】
【数3】

【0014】
この誤差は角度ΘLOS―>0、或いは、α―>π/4となる場合に極めて大きくなる事が明らかである。
【特許文献1】特開平8−124100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したような従来の技術においては、自車両21と他車両22との相対距離dLOSが小さければ小さい程、他車両22の挙動に対して自車両21が反応する余裕が無くなるので、自車両21と他車両22とが衝突する等の危険が大きくなるという欠点がある。
【0016】
そこで、この様なモノパルスレーダー1を複数台利用して上記欠点を是正できないか考える。なお、単純に複数台のモノパルスレーダー1を利用した装置の例は幾つか知られているが、概ね、被探知物体の角度、或いは距離測定を念頭に置いたものであって、被探知物体の実速度の推定を念頭に置いたものは存在しない。
【0017】
図3は、2台のモノパルスレーダーを用いた場合の問題点を説明するための図である。
説明を簡単にする為、ここでは図3に示した通り、自車両21の前方左右それぞれに左側レーダー31及び右側レーダー32を搭載した場合を考える。図3においては、被探知物体である他車両22の実速度v、並びに左側レーダー31によって測定される自車両21と他車両22との相対速度vL、及び自車両21の前方方向(Y軸方向)から他車両22の位置への右回りの角度ΘL、並びに右側レーダー32によって測定される相対速度vR及び角度ΘRのみを示している。
【0018】
実速度vを求める場合、これら4個の測定量(相対速度vL、相対速度vR、角度ΘL、角度ΘR、)を組み合わせる事を考えるのであるが、従来の考え方の敷衍のみでは、以下の様な本質的な2つの問題点がある。
【0019】
(第1の問題点)
相対速度vL及びvRのX軸方向への射影(vLsinΘL、vRsinΘR)及びY軸方向への射影(vLcosΘL、vRcosΘR)とを利用する場合、図3からも明らかな通り、一般に実速度vのX、Y軸方向への射影は、或る線形結合係数a、b、c、dに対し、下記の式(4)のように表される。
【0020】
【数4】

【0021】
しかし、線形結合係数a、b、c、dは未知数であるので、これ等を何らかの手段で推定する必要がある。そして、線形結合係数a、b、c、dの推定には大量のデータと演算とが必要であり、応答速度がシビアな場合や演算装置が低速な場合への実装には向いているとは言い難いという問題点があった。
【0022】
(第2の問題点)
図4は、第2の問題点を説明するための図である。
図4に示すように、上記第1の問題点とは別に、相対速度vLおよび角度ΘLに対する実速度の候補としてvと、例えばv´Lとが考えられ、また、相対速度vRおよび角度ΘRに対する実速度の候補としてvと、例えばv´Rとが考えられる。この第2の問題点は、角度ΘL、角度ΘRがY軸に対する相対速度vL、vRの傾きを示す量でしかない事に由来しており、これを解消するには、求めるべき実速度vも含めたv、v´L、v´Rの位置関係を特定する必要があるという問題点があった。
【0023】
従来、これら第1及び第2の問題点は看過されており、レーダー関連の技術の多くは視線方向の測定量の精度向上を志向していた。
上述したように、従来の探知測距装置では、これを単独で用いた場合、この探知測距装置を搭載した物体A(上述の自車両21)と被探知物体B(上述の他車両22)との間の相対距離、角度、そして物体Aと被探知物体Bとを結んだ視線方向への相対速度を推定する事しかできなかった。また従来は、この事が何を意味しているのかという点に十分な注意が払われておらず、従って、この問題(被探知物体の実速度の推定が困難である)に対処する手法も考察されてこなかった。
【0024】
一方、この様な機能を備える探知測距装置を複数台組み合わせ、例えば被探知物体Bまでの距離、角度、或いは視線方向速度の測定精度の向上を目的とした手法の提案も僅かに散見されるが、被探知物体の実速度の推定にまでは考えが及んでいない。
【0025】
そして、例えその様な探知測距装置を用いても、あるポイントに留意しない限り、被探知物体Bの実速度の推定には、大量のデータ処理等に代表される極めて大きな困難を伴う。
【0026】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、レーダー等の複数の探知機で求めた相対距離又は相対速度に基づいて、単純な計算で正確な相対速度ベクトルを求めることができる探知測距装置および探知測距プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明の探知測距装置は、送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離を測定する第1の相対距離測定手段と、前記第1の相対距離測定手段と異なる位置に配置され、送信した電
磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離を測定する第2の相対距離測定手段と、前記第1の相対距離測定手段によって測定した相対距離と前記第2の相対距離測定手段によって測定した相対距離とに基づいて、前記第1の相対距離測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の相対距離測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第1の実速度ベクトル算出手段とを備えることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の一態様によれば、本発明の探知測距装置は、送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体との相対速度を測定する第1の相対速度測定手段と、前記第1の相対速度測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体との相対速度を測定する第2の相対速度測定手段と、前記第1の相対速度測定手段によって測定した相対速度と前記第2の相対速度測定手段によって測定した相対速度とに基づいて、前記第1の相対速度測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の相対速度測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第2の実速度ベクトル算出手段とを備えることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の一態様によれば、本発明の探知測距装置は、送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離及び前記被探知物体との相対速度を測定する第1の測定手段と、前記第1の測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離及び前記被探知物体との相対速度を測定する第2の測定手段と、前記第1の測定手段によって測定した相対距離及び相対速度と前記第2の測定手段によって測定した相対距離及び相対速度とに基づいて、前記第1の測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第3の実速度ベクトル算出手段とを備えることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の探知測距装置は、前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段が、前記被探知物体に対する方向(視線方向)に対する角度を測定し、前記第1の実速度ベクトル算出手段、前記第2の実速度ベクトル算出手段、若しくは前記第3の実速度ベクトル算出手段が、前記測定した角度で移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出することが望ましい。
【0031】
また、本発明の探知測距装置は、前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段が、パルスレーダーであることが望ましい。
【0032】
また、本発明の探知測距装置は、前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段が、周波数拡散レーダーであることが望ましい。
【0033】
また、本発明の探知測距装置は、前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段、FMCWレーダーであることが望ましい。
【0034】
また、本発明の一態様によれば、本発明の探知測距プログラムは、探知測距装置のコンピュータを、送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離を測定する第1の相対距離測定手段、前記第1の相対距離測定手段と異
なる位置に配置され送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離を測定する第2の相対距離測定手段、前記第1の相対距離測定手段によって測定した相対距離と前記第2の相対距離測定手段によって測定した相対距離とに基づいて、前記第1の相対距離測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の相対距離測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第1の実速度ベクトル算出手段して機能させるための探知測距プログラムである。
【0035】
また、本発明の一態様によれば、本発明の探知測距プログラムは、探知測距装置のコンピュータを、送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体との相対速度を測定する第1の相対速度測定手段、前記第1の相対速度測定手段と異なる位置に配置され送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体との相対速度を測定する第2の相対速度測定手段、前記第1の相対速度測定手段によって測定した相対速度と前記第2の相対速度測定手段によって測定した相対速度とに基づいて、前記第1の相対速度測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の相対速度測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第2の実速度ベクトル算出手段して機能させるための探知測距プログラムである。
【0036】
また、本発明の一態様によれば、本発明の探知測距プログラムは、探知測距装置のコンピュータを、送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離及び前記被探知物体との相対速度を測定する第1の測定手段、前記第1の測定手段と異なる位置に配置され送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離及び前記被探知物体との相対速度を測定する第2の測定手段、前記第1の測定手段によって測定した相対距離及び相対速度と前記第2の測定手段によって測定した相対距離及び相対速度とに基づいて、前記第1の測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第3の実速度ベクトル算出手段して機能させるための探知測距プログラムである。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、レーダー等の複数の探知機で求めた相対距離又は相対速度に基づいて、単純な計算で正確な相対速度ベクトルを求めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の概要を説明する。
本発明を適用した探知測距装置は、被探知物体との相対距離、相対速度、及び角度等の量を推定する事が可能な複数台のレーダー装置と、これらのレーダー装置からの出力信号に対して、「各レーダー装置で測定された相対速度の構成する多角形に外接する円が存在し、被探知物体の実速度はその直径となる。」という幾何学的根拠に基づいた信号処理を適用し、被探知物体の実速度を求める。これにより、従来技術では困難であった相対速度等の測定量からの被探知物体の実速度推定を、単純な信号処理のみで実現する事ができる。
【0039】
図5は、本発明の原理を説明するための図である。
図5に示した例は、本発明の最も単純な構成例を示したものであり、本発明を適用することができる技術的な範囲は、図5に示した構成に制限されるものではない。
【0040】
従来技術との比較を容易にする為、本発明を適用した図5の探知測距装置も、自車両2
1の前方左右それぞれに左側レーダー31及び右側レーダー32を搭載した場合を考える。また、被探知物体である他車両22の実速度v、並びに左側レーダー31によって測定される自車両21と他車両22との相対速度vL、及び自車両21の前方方向(Y軸方向)から他車両22の位置への右回りの角度ΘL、並びに右側レーダー32によって測定される相対速度vR及び角度ΘRのみを示しており、α及びβは、それぞれ相対速度vLと実速度vとの成す角、及び、実速度vと相対速度vRとの成す角である(時計回りを正方向とする)。
【0041】
本発明のポイントは、「相対速度vL及びvRは、実速度vのそれぞれの視線方向への射影であるから、これら3つの速度ベクトルで構成する四辺形ABCDに外接する円が存在し、実速度vはその円の直径となる」という幾何学的特徴を信号処理に導入する事である。
【0042】
先ず、余弦定理より下記の式(5)及び式(6)を得る。
【0043】
【数5】

【0044】
【数6】

【0045】
なお、煩雑になるので、v、vL、vRはベクトルの大きさを表わすものとする。
ここで、角度の方向と、下記式(7)とに注意すると、下記式(8)、(9)、(10)であるので、式(5)及び式(6)とを組み合わせることにより、下記式(11)及び式(12)によって未知の角度αを得ることができる。
【0046】
【数7】

【0047】
【数8】

【0048】
【数9】

【0049】
【数10】

【0050】
【数11】

【0051】
【数12】

【0052】
また、式(8)、(9)、(10)を用いると、下記式(13)のようになり、式(5)、(6)と合わせて下記式(14)を得ることができる。
【0053】
【数13】

【0054】
【数14】

【0055】
したがって、測定量である相対速度vL、相対速度vR、角度ΘL、角度ΘRに対して、上述の式(12)、(14)式を含む信号処理手段を適用する事によって、真の速度ベクトルを得る事ができる。
【0056】
なお、式(11)が発散した場合(実装に於いては、適当な閾値を設定して判定すれば良い)、α≒π/2(一般には、(2k+1)π/2、for k∈Z)である事を意味するので、
v=+vR or −vR
And
β=2lπ,l∈Z
となるが、実速度vの正負は相対速度vRの正負から明らかになる。
【0057】
以上、本発明の原理を説明したが、特殊な状態として実速度vが、左側レーダーと右側レーダーとを結んだ直線の中点に立てた法線上に存在する場合について説明する。
【0058】
図6は、特殊な状態における本発明の原理を説明するための図である。
図6に示したように、実速度vが、左側レーダー31と右側レーダー32とを結んだ直線の中点に立てた法線上(図では、Y軸上に相当)に存在する場合、角度ΘLとΘRとは、その大きさが等しく向きが逆になるだけであるので、実速度vの推定自体は上述の式(12)及び式(14)をそのまま用いることができる。
【0059】
次に、本発明を適用した探知測距装置において実行される実速度を算出するための処理について、フローチャートを用いて説明する。
図7は、相対速度に基づいて実速度を算出するための処理の流れを示すフローチャートである。
【0060】
まず、本発明を適用した探知測距装置は、ステップS71において、左側レーダー31及び右側レーダー32によって被探知物体である他車両22に対するデータを測定する。
そして、ステップS72において、FFT(fast Fourier transform:高速フーリエ変換)等を用いて、自車両21と他車両22との視線方向の相対速度vL及び相対速度vRを推定する。
【0061】
次に、ステップS73において、測角アルゴリズムを用いて、自車両21の前方方向(Y軸方向)から見込んだ他車両22の右回りの角度ΘL及び角度ΘRを推定する。
次に、ステップS74において、実速度vとY軸とが特殊な角度、例えば実速度vが左側レーダー31と右側レーダー32とを結んだ直線の中点に立てた法線上に存在するか否かを判断し、特殊な角度ではないと判断した場合(ステップS74:No)は、ステップS75において、図5を用いて説明したような演算により、ステップS72で推定した自車両21と他車両22との相対速度vL及び相対速度vR、及びステップS73で推定した自車両21の前方方向(Y軸方向)から見込んだ他車両22の右回りの角度ΘL及び角度ΘRを組み合わせることにより、実速度(真の速度ベクトル)vの大きさ|v|及び補正角αを推定する。
【0062】
他方、特殊な角度であると判断した場合(ステップS74:Yes)は、ステップS76において、図6を用いて説明したような演算により、ステップS72で推定した自車両21と他車両22との相対速度vL及び相対速度vR、及びステップS73で推定した自車両21の前方方向(Y軸方向)から他車両22の位置への右回りの角度ΘL及び角度ΘRを組み合わせることにより、実速度(真の速度ベクトル)vの大きさ|v|及び補正角αを推定する。
【0063】
そして、これら2台の左側レーダー31及び右側レーダー32が、例えば距離の測定しか行なえない場合であっても、距離の時間微分から被探知物体である他車両22の相対速度を求め、三角測量から被探知物体の角度を求める、或いは、別に用意した手段からこれらの情報を得ても良い。
【0064】
図8は、相対距離に基づいて実速度を算出するための処理の流れを示すフローチャートである。
図8に示したフローチャートは、2台の左側レーダー31及び右側レーダー32が距離の測定しか行なえない場合の例を示しており、図7のステップS72の代わりに、ステップS81において、自車両21と他車両22との視線方向の相対距離rL及び相対距離rRを推定し、ステップS82において、距離の時間微分を演算することにより、自車両21と他車両22との視線方向の相対速度vL及び相対速度vRを推定する。
【0065】
以上説明したように、本発明を実現することにより、従来技術では困難であった測定量からの被探知物体の実速度の推定を、単純な信号処理のみで実現する事ができる様になる。
【0066】
なお、上述の実施の形態においては、本発明を適用した探知測距装置を自動車に搭載した例を説明したが、本発明を適用した探知測距装置を電車に搭載することにより、線路内に進入した自動車や人間等の被探知物体を検出することもできるし、飛行機、船舶等に搭載することも可能である。
【0067】
また、上述の実施の形態においては、FMCWモノパルスレーダーを用いて説明してきたが、信号の変調方式としては上述のようなFMCW方式に限らず、直交符号、カオス符号、雑音等も含む周波数拡散方式であっても良いし、2周波CW(FSK)方式等、任意の方式であって良い。また、角度の検出は、モノパルス方式に限らず、機械的なセンサー操作を用いても良いし、ビームフォーミング法、固有空間法、若しくは最尤推定法で行っても良い。
【0068】
以上、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、本発明が適用される探知測距装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の実施の形態に限定されることなく、単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であっても、LAN、WAN等のネットワークを介して処理が行なわれるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0069】
また、図9に示したように、バス98に接続されたCPU91、ROMやRAMのメモリ92、入力装置93、出力装置94、外部記録装置95、媒体駆動装置96、可搬記録媒体99、ネットワーク接続装置97で構成されるシステムでも実現できる。すなわち、前述してきた実施の形態のシステムを実現するソフトェアのプログラムコードを記録したROMやRAMのメモリ92、外部記録装置95、可搬記録媒体99を、探知測距装置に供給し、その探知測距装置のコンピュータがプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0070】
この場合、可搬記録媒体99等から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した可搬記録媒体99等は本発明を構成することになる。
【0071】
プログラムコードを供給するための可搬記録媒体99としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAM、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROMカード、電子メールやパソコン通信等のネットワーク接続装置97(言い換えれば、通信回線)を介して記録した種々の記録媒体などを用いることができる。
【0072】
また、図10に示すように、コンピュータがメモリ92上に読み出したプログラムコードを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【0073】
さらに、可搬型記録媒体99から読み出されたプログラムコードやプログラム(データ)提供者から提供されたプログラム(データ)が、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリ92に書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU91などが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
すなわち、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。
【0074】
ここで、上述した実施の形態の特徴を列挙すると、以下の通りである。
(付記1)
送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離を測定する第1の相対距離測定手段と、
前記第1の相対距離測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離を測定する第2の相対距離測定手段と、
前記第1の相対距離測定手段によって測定した相対距離と前記第2の相対距離測定手段によって測定した相対距離とに基づいて、前記第1の相対距離測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の相対距離測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第1の実速度ベクトル算出手段と、
を備えることを特徴とする探知測距装置。
(付記2)
送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体との相対速度を測定する第1の相対速度測定手段と、
前記第1の相対速度測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体との相対速度を測定する第2の相対速度測定手段と、
前記第1の相対速度測定手段によって測定した相対速度と前記第2の相対速度測定手段によって測定した相対速度とに基づいて、前記第1の相対速度測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の相対速度測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第2の実速度ベクトル算出手段と、
を備えることを特徴とする探知測距装置。
(付記3)
送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離及び前記被探知物体との相対速度を測定する第1の測定手段と、
前記第1の測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離及び前記被探知物体との相対速度を測定する第2の測定手段と、
前記第1の測定手段によって測定した相対距離及び相対速度と前記第2の測定手段によって測定した相対距離及び相対速度とに基づいて、前記第1の測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第3の実速度ベクトル算出手段と、
を備えることを特徴とする探知測距装置。
(付記4)
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、前記被探知物体に対する方向に対する角度を測定し、
前記第1の実速度ベクトル算出手段、前記第2の実速度ベクトル算出手段、若しくは前記第3の実速度ベクトル算出手段は、前記測定した角度で移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の探知測距装置。
(付記5)
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、パルスレーダーであることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の探知測距装置。
(付記6)
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、周波数拡散レーダーであることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の探
知測距装置。
(付記7)
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、FMCWレーダーであることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の探知測距装置。
(付記8)
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、機械的なセンサー操作で角度の検出を行なうことを特徴とする付記4乃至7のいずれか1項に記載の探知測距装置。
(付記9)
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、モノパルス方式で角度の検出を行なうことを特徴とする付記4乃至7のいずれか1項に記載の探知測距装置。
(付記10)
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、ビームフォーミング法で角度の検出を行なうことを特徴とする付記4乃至7のいずれか1項に記載の探知測距装置。
(付記11)
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、固有空間法で角度の検出を行なうことを特徴とする付記4乃至7のいずれか1項に記載の探知測距装置。
(付記12)
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、最尤推定法で角度の検出を行なうことを特徴とする付記4乃至7のいずれか1項に記載の探知測距装置。
(付記13)
探知測距装置のコンピュータを、
送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離を測定する第1の相対距離測定手段、
前記第1の相対距離測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離を測定する第2の相対距離測定手段、
前記第1の相対距離測定手段によって測定した相対距離と前記第2の相対距離測定手段によって測定した相対距離とに基づいて、前記第1の相対距離測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の相対距離測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第1の実速度ベクトル算出手段、
して機能させるための探知測距プログラム。
(付記14)
探知測距装置のコンピュータを、
送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体との相対速度を測定する第1の相対速度測定手段、
前記第1の相対速度測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体との相対速度を測定する第2の相対速
度測定手段、
前記第1の相対速度測定手段によって測定した相対速度と前記第2の相対速度測定手段によって測定した相対速度とに基づいて、前記第1の相対速度測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の相対速度測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第2の実速度ベクトル算出手段、
して機能させるための探知測距プログラム。
(付記15)
探知測距装置のコンピュータを、
送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離及び前記被探知物体との相対速度を測定する第1の測定手段、
前記第1の測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離及び前記被探知物体との相対速度を測定する第2の測定手段、
前記第1の測定手段によって測定した相対距離及び相対速度と前記第2の測定手段によって測定した相対距離及び相対速度とに基づいて、前記第1の測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第3の実速度ベクトル算出手段、
して機能させるための探知測距プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】従来のモノパルスレーダーの構成を説明するための図である。
【図2】モノパルスレーダーの具体的な運用例を説明するための図である。
【図3】2台のモノパルスレーダーを用いた場合の問題点を説明するための図である。
【図4】第2の問題点を説明するための図である。
【図5】本発明の原理を説明するための図である。
【図6】特殊な状態における本発明の原理を説明するための図である。
【図7】相対速度に基づいて実速度を算出するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】相対距離に基づいて実速度を算出するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明における探知測距装置の構成図である。
【図10】本発明における探知測距プログラムのコンピュータへのローディングを説明するための図である。
【符号の説明】
【0076】
1 モノパルスレーダー
11 送信アンテナ
12 第1の受信アンテナ
13 第2の受信アンテナ
21 自車両
22 他車両
31 左側レーダー
32 右側レーダー
91 CPU
92 メモリ
93 入力装置
94 出力装置
95 外部記録装置
96 媒体駆動装置
97 ネットワーク接続装置
98 バス
99 可搬記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離を測定する第1の相対距離測定手段と、
前記第1の相対距離測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離を測定する第2の相対距離測定手段と、
前記第1の相対距離測定手段によって測定した相対距離と前記第2の相対距離測定手段によって測定した相対距離とに基づいて、前記第1の相対距離測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の相対距離測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第1の実速度ベクトル算出手段と、
を備えることを特徴とする探知測距装置。
【請求項2】
送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体との相対速度を測定する第1の相対速度測定手段と、
前記第1の相対速度測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体との相対速度を測定する第2の相対速度測定手段と、
前記第1の相対速度測定手段によって測定した相対速度と前記第2の相対速度測定手段によって測定した相対速度とに基づいて、前記第1の相対速度測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の相対速度測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第2の実速度ベクトル算出手段と、
を備えることを特徴とする探知測距装置。
【請求項3】
送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離及び前記被探知物体との相対速度を測定する第1の測定手段と、
前記第1の測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離及び前記被探知物体との相対速度を測定する第2の測定手段と、
前記第1の測定手段によって測定した相対距離及び相対速度と前記第2の測定手段によって測定した相対距離及び相対速度とに基づいて、前記第1の測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第3の実速度ベクトル算出手段と、
を備えることを特徴とする探知測距装置。
【請求項4】
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、前記被探知物体に対する方向に対する角度を測定し、
前記第1の実速度ベクトル算出手段、前記第2の実速度ベクトル算出手段、若しくは前記第3の実速度ベクトル算出手段は、前記測定した角度で移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の探知測距装置。
【請求項5】
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、パルスレーダーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の探知測距装置。
【請求項6】
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、周波数拡散レーダーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の探知測距装置。
【請求項7】
前記第1の相対距離測定手段、前記第2の相対距離測定手段、前記第1の相対速度測定手段、前記第2の相対速度測定手段、前記第1の測定手段、若しくは前記第2の測定手段は、FMCWレーダーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の探知測距装置。
【請求項8】
探知測距装置のコンピュータを、
送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離を測定する第1の相対距離測定手段、
前記第1の相対距離測定手段と異なる位置に配置され、送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離を測定する第2の相対距離測定手段、
前記第1の相対距離測定手段によって測定した相対距離と前記第2の相対距離測定手段によって測定した相対距離とに基づいて、前記第1の相対距離測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の相対距離測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第1の実速度ベクトル算出手段、
して機能させるための探知測距プログラム。
【請求項9】
探知測距装置のコンピュータを、
送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体との相対速度を測定する第1の相対速度測定手段、
前記第1の相対速度測定手段と異なる位置に配置され送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体との相対速度を測定する第2の相対速度測定手段、
前記第1の相対速度測定手段によって測定した相対速度と前記第2の相対速度測定手段によって測定した相対速度とに基づいて、前記第1の相対速度測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の相対速度測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第2の実速度ベクトル算出手段、
して機能させるための探知測距プログラム。
【請求項10】
探知測距装置のコンピュータを、
送信した電磁波の被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離及び前記被探知物体との相対速度を測定する第1の測定手段、
前記第1の測定手段と異なる位置に配置され送信した電磁波の前記被探知物体での反射波を受信することにより前記被探知物体までの相対距離及び前記被探知物体との相対速度を測定する第2の測定手段、
前記第1の測定手段によって測定した相対距離及び相対速度と前記第2の測定手段によって測定した相対距離及び相対速度とに基づいて、前記第1の測定手段から前記被探知物体に対する方向又は前記第2の測定手段から前記被探知物体に対する方向に対して任意の角度を成して移動している前記被探知物体の実速度ベクトルを算出する第3の実速度ベクトル算出手段、
して機能させるための探知測距プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−209321(P2008−209321A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48141(P2007−48141)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】