説明

接合装置

【課題】異なった径の基板を処理することができ、効率的な接合基板の生産が可能となる、接合装置を提供することを目的とする。
【解決手段】基板保持部44の下端に設けられた静電チャック45の接触面46には、パターン電極49が埋設され、吸着力が作用して上側基板SAを吸着、保持する吸着力作用領域47が備えられている。吸着力作用領域47は、処理される基板の中で最小径の上側基板SA1が吸着されると、その上側基板SA1により覆われるサイズに形成されている。また、吸着力作用領域47内には、検知センサ50を構成する可動部58の接触部55が進退する検知窓Wが開口されている。これにより、上側基板SA1の静電チャック45への吸着、非吸着のみならず、上側基板SA1よりも大きな径を有する上側基板SA2、SA3の静電チャック45への吸着、非吸着も検知することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる径の基板を処理することが可能な接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細な電気部品や機械部品を集積化したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)が知られている。MEMSとしては、マイクロリレー、圧力センサ、加速度センサなどが例示される。MEMSは、大きな接合強度を持ち、かつ荷重による押し付けや加熱処理を必要としない常温接合法を用いて製造されることが望まれている。常温接合法は、真空雰囲気で活性化された基板表面同士を接触させ、2枚の基板を常温にて接合するものであり、広義には表面活性化接合法と称される。
【0003】
このような常温接合を行う装置として、特許第2791429号公報(特許文献1)の図2に記載された常温接合装置が知られている。この常温接合装置は、接合対象の基板が充填される試料導入室と、基板の表面をアルゴン高速原子ビームにより活性化させ、接合機構により基板を接合する接合室とを備えている。試料導入室には複数の基板が充填されており、この装置により複数の基板を効率的に接合することが可能であることが伺える。
【0004】
また、特許第4377035号公報(特許文献2)に記載された常温接合装置は、基板の表面を活性化する洗浄部と、活性化された基板を常温接合する実装部とが別個に構成されているため、洗浄部での活性化作業と実装部での常温接合作業とを同時に進行することができる。したがって、この装置によれば、常温接合法を用いた大量生産工程における一連のタクトタイムを短縮することができる。
【0005】
昨今、デバイスの製造現場では、同じ径の基板のみではなく、異なる複数の径の基板を処理することができる接合装置が求められている。しかしながら、上記の特許文献1および特許文献2には接合基板を効率的に量産することができる接合装置について記載されてはいるが、いずれの接合装置も同じ径の基板を接合対象とするものであり、異なる径の基板を同一の装置で接合する方法について何ら言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2791429号公報
【特許文献2】特許第4377035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、異なる径の基板を処理することができ、効率的な接合基板の生産が可能となる、接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1被接合体の第1接合面と第2被接合体の第2接合面を予め活性化した後に、第1接合面と第2接合面とを付き合わせて第1被接合体と第2被接合体を接合する接合装置に関する。
この接合装置は、第1被接合体を吸着する吸着手段を備える接合体保持部と、接合体保持部に対する第1被接合体の吸着の有無を検知する検知センサと、第1被接合体の第1接合面と第2被接合体の第2接合面を活性化するための活性化成分を出力する活性化部と、を備える。
本発明の吸着手段は、第1被接合体と接触する接触面を有し、この接触面は、吸着力が作用し第1被接合体を吸着して保持する吸着力作用領域と、吸着力が作用しない吸着力非作用領域と、に区分される。
本発明の検知センサは、第1の位置と第2の位置との間を変位する可動部と、可動部の変位を検知する検知部と、を備える。第1の位置は、接合体保持部に第1被接合体が吸着されていない場合に対応し、接触面より可動部の一部が突出する。また、第2の位置は、可動部が、接合体保持部に吸着される第1被接合体に接触することにより移動される位置である。
本発明に係る接合体保持部は、第1の位置と第2の位置との間を変位する際に、可動部のその一部が進退する検知窓を備える。この検知窓は、吸着力作用領域内に形成される。
なお、以上では第1被接合体についてのみ言及しているが、第2被接合体が吸着される接合体保持部をさらに備える場合には、この接合体保持部について同様の検知窓を設けるとともに、同様の検知センサを設けることができる。つまり、本発明の特徴部分は、第1被接合体及び第2被接合体の一方又は双方に適用されることを包含する。
【0009】
本発明において、吸着力は、吸着力作用領域に対応して設けられた電極により発生されるようにすることができる。
【0010】
本発明において、検知センサの可動部は第1の位置と第2の位置との間を変位するが、これは鉛直方向への往復直線運動により実現することができる。
【0011】
本発明において、可動部が第1の位置と第2の位置との間を変位することを検知する具体的な手法としては、磁気の変化、または、光の変化を利用することができる。つまり本発明による検知センサは、第1の位置と第2の位置との間で検知される磁気の変化により第1被接合体の吸着の有無を検知することができる。また、本発明による検知センサは、第1の位置と第2の位置との間で検知される光の変化により第1被接合体の吸着の有無を検知することができる。ただし、これは一例であり、後述するように、他の検出手法を利用できる。
【0012】
本発明において、検知センサの可動部に、可動部の往復直進運動に対応して伸縮するばね要素を設けることができる。
【0013】
本発明において、接合体保持部は、可動部が往復直進運動する収容路を備え、この収容路に、フッ素系樹脂からなる案内を設けることができる。
【0014】
本発明の接合装置は、検知結果に基づいて警告音などの警告情報を出力し、この出力情報に基づいてユーザが活性化部からの活性化成分の出力を制御することもできるが、検知センサの検知結果に基づいて、活性化部からの活性化成分の出力を制御する制御部を設けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、異なる径の基板を処理することができ、効率的な接合基板の生産が可能となる、接合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態における常温接合装置を示す平断面図である。
【図2】(a)は本実施の形態における常温接合装置を示す概略図であり、(b)は本実施の形態における上側基板支持機構の概略図である。
【図3】第1実施形態の上側基板支持機構を示す部分断面図である。
【図4】(a)は本実施の形態における静電チャックの斜視図、(b)は静電チャックの接触面を示す平面図、(c)〜(e)は静電チャックの接触面に異なる径の基板が吸着した状態を示す平面図である。
【図5】第1実施形態の上側基板支持機構を示す部分断面図であり、(a)は基板が吸着していない状態、(b)は基板が吸着している状態を示している。
【図6】基板が収容される治具と、カートリッジとを示す断面図である。
【図7】基板と、突起が設けられたカートリッジとを示す断面図である。
【図8】第2実施形態の上側基板支持機構を示す部分断面図である。
【図9】第3実施形態の上側基板支持機構を示す部分断面図である。
【図10】第4実施形態の上側基板支持機構を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、常温接合装置を例にして、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。本実施の形態による常温接合装置は、異なる径の基板(被接合体)を処理できるものであり、例えば、4インチの基板(最小径の基板)、6インチの基板、及び8インチの基板(最大径の基板)の3種類を処理することができる。
<第1実施形態>
図1に示されているように、常温接合装置1は、接合チャンバ2とロードロックチャンバ3とを備えている。接合チャンバ2とロードロックチャンバ3は、内部を環境から密閉する容器であり、一般的には、ステンレス鋼、アルミニウム合金などにより形成されている。常温接合装置1は、さらに、ゲートバルブ5を備えている。ゲートバルブ5は、接合チャンバ2とロードロックチャンバ3との間に介設され、接合チャンバ2の内部とロードロックチャンバ3の内部とを接続するゲートを閉鎖し、または、開放する。
【0018】
ロードロックチャンバ3は、上側カートリッジ台6と下側カートリッジ台7と搬送装置8とを内部に備えている。上側カートリッジ台6には、上側カートリッジ11が配置される。下側カートリッジ台7には、下側カートリッジ12が配置される。ともに外形が円形の上側カートリッジ11および下側カートリッジ12は、最大径の基板に対応した径を有している。ロードロックチャンバ3は、その内部が真空排気及び大気開放がされるように、図示されない真空ポンプと開閉扉とを備えている。
【0019】
搬送装置8は、第1アーム15、第2アーム16及びハンド17を備えている。第1アーム15は、ロードロックチャンバ3の床板に支持される第1節18により、回転軸22を中心に回転可能に支持されている。第1アーム15と第2アーム16は、第2節19により、回転軸23を中心に互いに回転可能に支持されている。第2アーム16とハンド17は、第3節20により、回転軸24を中心に互いに回転可能に支持されている。なお、回転軸22、23及び24は、鉛直方向を向いて配置されている。
【0020】
搬送装置8において、第1アーム15、第2アーム16及びハンド17は、図示されない昇降機構及び伸縮機構により、鉛直方向及び水平方向への移動が可能とされている。そして、昇降及び伸縮を制御することにより、上側カートリッジ台6に配置されている上側カートリッジ11または下側カートリッジ台7に配置されている下側カートリッジ12を、ゲートバルブ5を介して接合チャンバ2に搬送し、または、その逆の搬送を行う。
【0021】
接合チャンバ2は、真空ポンプ31とイオンガン(表面活性化部)32と電子銃33とを備えている。接合チャンバ2には、容器を形成する壁34の一部分に排気口35が形成されている。真空ポンプ31は、接合チャンバ2の外部に配置され、排気口35を介して接合チャンバ2の内部から気体を排気する。
イオンガン32は、照射方向36に向けて加速された荷電粒子(活性化成分)を放出する。その荷電粒子としては、アルゴンイオンが例示される。ただし、イオンガン32は、基板の表面を活性化することのできる他の表面活性化部に置換することができる。その表面活性化部としては、プラズマガン、高速原子ビーム源などが例示される。
電子銃33は、イオンガン32により荷電粒子が照射される対象に向けて加速された電子を放出する。
【0022】
壁34は、一部分に扉37が形成されている。扉37は、ヒンジ38により、壁34に対して回転可能に支持されている。壁34は、さらに、一部分に窓39が形成されている。窓39は、気体を透過しないで可視光を透過する材料から形成されている。窓39は、ユーザがイオンガン32により荷電粒子が照射される対象または、接合状態を接合チャンバ2の外部から見えるように配置されていれば壁34のどこに配置されてもかまわない。
【0023】
接合チャンバ2は、図2(a)に示されているように、上部に配置された上側基板支持機構40と、接合チャンバ2の下部に配置された下側基板支持機構60とをさらに内部に備えている。
【0024】
上側基板支持機構40は、圧接機構41と、ロードセル42と、角度調整機構43と、基板保持部44(接合体保持部に対応)とを備えている。
ロードセル42は、接合チャンバ2に対して鉛直方向に移動可能に支持されている。
角度調整機構43は、図2(b)に示すように、基板保持部44と接合される球フランジ43bと、かしめにより球フランジ43bに固定される固定フランジ43cと、球フランジ43bに密着する球座面を有し、ロードセル42に接合される球座43aとを備える。基板保持部44は、この角度調整機構43を介して、任意の向きへの角変位ができるようにロードセル42に支持されている。
図2(b)に示すように、基板保持部44の下端には、基板を吸着して保持する静電チャック(吸着手段)45が設けられている。静電チャック45と静電チャック45に吸着される基板との間に電圧が印加され、鉛直方向の上向きに作用する静電力によって静電チャック45の接触面46に基板を吸着して保持する。そのために、静電チャック45の内部には、例えば櫛歯状のパターン電極49が埋設されている。
図3に示すように、基板保持部44の平面方向の中心近傍には、基板が静電チャック45へ吸着しているか否かを検知する検知センサ50が設けられている。検知センサ50は、図示しない配線によりイオンガン32の動作を制御する制御部4に接続されている。制御部4は、検知センサ50が基板(上側基板)の静電チャック45への吸着を検知しているときは、イオンガン32のインターロックを解除し、荷電粒子の照射を開始できる状態とし、検知センサ50が基板の静電チャック45への吸着を検知していないときは、イオンガン32をインターロックして、荷電粒子を照射できない状態とする。なお、検知センサ50と制御部4とで、基板検知部を構成する。
圧接機構41は、ユーザの操作により、基板保持部44を接合チャンバ2に対して鉛直方向に移動させる。
【0025】
イオンガン32は、上側基板支持機構40に支持される上側基板と下側基板支持機構60に支持される下側基板とが離れているときに、上側基板と下側基板との間の空間に向けられている。すなわち、イオンガン32の照射方向36は、上側基板と下側基板との間を通り、接合チャンバ2の内側表面に交差する。
【0026】
下側基板支持機構60は、円盤状のステージキャリッジ61を備えている。ステージキャリッジ61は、その中心の軸が鉛直方向になるように配置されている。搬送装置8で搬送された上側カートリッジ11および下側カートリッジ12は、ステージキャリッジ61の平坦な支持面に載置される。
【0027】
下側基板支持機構60は、さらに、図示されていない2つの撮像装置と位置決め機構とを備えている。撮像装置は、周知の方法にて上側カートリッジ11および下側カートリッジ12に載せられた基板のアライメントマークの画像を撮影する。位置決め機構は、ユーザの操作により、ステージキャリッジ61を水平方向に移動させる。
【0028】
ここで、本実施の形態に係る静電チャック45について詳しく説明する。なお、以下、静電チャック45により吸着、保持される上側基板SAとして、最小径の上側基板SA1、上側基板SA1よりも径が大きい上側基板SA2、最大径の上側基板SA3、が用いられる。
図4(a)は、静電チャック45を接触面46側からみた斜視図である。接触面46は、その中心部に配置される円形の吸着力作用領域47と、その周囲に配置されるリング状の吸着力非作用領域48とに区分される。
吸着力作用領域47は、静電チャック45内に埋設されるパターン電極49に対応しており(図3)、上側基板SAを吸着する力(静電力)が作用する。吸着力非作用領域48は、パターン電極49が配置されていない領域に対応しており、静電力、つまり吸着力は作用しない。
【0029】
吸着力作用領域47は、その径が上側基板SA1よりもわずかに小さくなるようにパターン電極49が形成されている。よって、図4(c)に示すように、吸着力作用領域47に上側基板SA1が吸着されると、吸着力作用領域47は上側基板SA1により覆われる。
吸着力作用領域47の径、つまりパターン電極49に対応する領域の径が上側基板SA1の径よりも大きいと、吸着された上側基板SA1から吸着力作用領域47の外周部がはみ出してしまう。この状態でイオンガン32から荷電粒子が照射されると、上側基板SA1からはみ出した吸着力作用領域47の部分(非被覆部分)が荷電粒子によりエッチングされる。そうすると、吸着力の発生に支障をきたすことがある。また、接合チャンバ2の内側表面や接合チャンバ2内の構成物が荷電粒子によりエッチングされ、それに起因する浮遊物が非被覆部分に付着すると以下のような不具合が生ずるおそれがある。つまり、接合チャンバ2の構成要素は、ステンレス鋼やアルミニウム等の導電性材料から構成されているため、その付着物に対して電圧が印加されると、非被覆部分に対応するパターン電極49の電荷を短絡させる。そうすると、上側基板SA1に覆われた中心部も含む、吸着力作用領域47全体に対応するパターン電極49の電荷が失われ、吸着力を発生させることができなくなる。
以上のような理由により、吸着力作用領域47は、最小径の上側基板SA1が吸着されたときに、上側基板SA1により覆われる径に形成されることが好ましい。
なお、ここでは吸着力作用領域47を、最小径の上側基板SA1よりも径を小さくしているが、本発明はこれに限定されず、吸着力作用領域47の径を上側基板SA1の径と同じにすることもできる。また、上述した不具合が実質的に生じない程度に小さければ、非被覆部分が生じていてもかまわない。
【0030】
また、吸着力作用領域47が上側基板SA1に覆われる径に形成されているため、上側基板SA1よりも大きな径を有する上側基板SA2および上側基板SA3が吸着された場合も(図4(d)、(e))、吸着力作用領域47が上側基板SA2、SA3により覆われる。したがって、処理される全ての径の基板について、吸着力作用領域47そのものがエッチングにより損傷したり、吸着力作用領域47にエッチングされた導電性材料が付着してパターン電極49を短絡させることがない。よって、これらの上側基板SA1、SA2、SA3を静電チャック45に確実に吸着、保持させることができる。
【0031】
さらに、図4に示すように、吸着力作用領域47には検知センサ50を構成する検知窓Wが設けられている。検知センサ50の詳しい構成については後に説明するが、吸着力作用領域47内に検知窓Wが設けられているため、径の異なる上側基板SA1、SA2、SA3全てについて静電チャック45への吸着、非吸着を長期間に亘って検知することができる。
【0032】
なお、本実施形態の接合装置1において、静電チャック45に吸着し、検知センサ50で吸着、非吸着を検知することが可能な上側基板SAは、上側基板SAの径をOD、静電チャック45の中心から検知窓Wまでの距離をD、としたとき、以下の式を満たすものである。
OD>2D・・・・・(式)
また、上側基板SAの接合時に上側基板SAの表面全体に対して荷重が付加されるため、最大径の上側基板SA3は、静電チャック45の接触面46の径を超えないことが好ましい。
【0033】
ここで、本実施の形態に係る検知センサ50について詳しく説明する。
図3に示すように、検知センサ50は、基板保持部44の平面方向の中心近傍に設けられ、鉛直方向に往復直線運動可能に支持される可動部53と、可動部53が上端位置にあることを検知する固定検知部54と、からなる。
【0034】
可動部53は、上端部に永久磁石57が埋め込まれた第1円柱部52と、上側基板SAと接触する接触部55を下端部に有する第2円柱部56と、第1円柱部52と第2円柱部56との間に介在し、第1円柱部52と第2円柱部56よりも径の大きなストッパ部58と、を備える。第1円柱部52と、第2円柱部56と、ストッパ部58は、非磁性体のステンレス鋼、アルミニウム合金、フッ素系樹脂等から一体的に形成することができる。第1円柱部52および第2円柱部56は、円柱に限らず、角柱状あるいは板状でもよく、第1円柱部52の一端側に永久磁石57を設けることができるだけのサイズがあればよい。第2円柱部56の断面積は、第1円柱部52の断面積よりも小さくすることができる。接触部55には、接触した上側基板SAの損傷を防止するために、フッ素系樹脂などの低摩擦係数の部材を設けてもよい。
永久磁石57としては、ネオジム磁石(Nd−Fe−B系磁石)やサマリウムコバルト磁石(Sm−Co系磁石)を用いることができる。
【0035】
可動部53は、基板保持部44の内部の検知室Rから静電チャック45の接触面46に貫通する収容路P内に設けられている。収容路Pは、その断面積がストッパ部58の径よりも小さく形成されている。ただし、収容路Pの鉛直方向の中央近傍には、ストッパ部58を収容する拡経部Peが設けられている。収容路Pは、接触面46の吸着力作用領域47に開口し、その開口した部分が接触部55の進退を許容する検知窓Wを形成している。可動部53は、上側基板SAが静電チャック45に吸着していない状態において、ストッパ部58が拡経部Peの底部Pebに保持され、接触部55が検知窓Wを介し、接触面46から突出するように設けられる。可動部53は、上側基板SAが静電チャック45に吸着すると、上側基板SAに押されて上昇する。なお、検知室Rと収容路Pにより本発明の収容部を構成する。
【0036】
固定検知部54は、ホールIC素子59と、ホールIC素子59を支持する支持部70とからなり、検知室Rに設けられている。支持部70は、ホールIC素子59を可動部53の鉛直方向の延長線上に支持する。ホールIC素子59は、周知のホール効果を利用して磁気を検知するホール素子とアンプ回路を備える磁気センサである。ホールIC素子59は、磁気量の変化を出力電圧の変化に変換し、制御部4の信号処理回路に送る。ホールIC素子59から出力された出力信号電圧が、しきい値としての基準信号電圧よりも大か小かを信号処理回路にて比較することにより、上側基板SAの静電チャック45への吸着有無を判定する。
【0037】
検知センサ50による上側基板SAの検出動作を説明する。
図5(a)に示すように、上側基板SAが静電チャック45に吸着されていないとき、可動部53のストッパ部58は拡経部Peの底部Pebに保持され、接触部55は吸着力作用領域47内に設けられた検知窓Wを介し、接触面46から突出している(第1の位置)。このとき、永久磁石57とホールIC素子59は互いに最も離れた位置にあり、ホールIC素子59が検知する永久磁石57の磁気は最も弱い。接触部55が第1の位置にあるとき、イオンガン32は、制御部4によりインターロックされており、荷電粒子を照射できない。
図5(b)に示すように、例えば、上側基板SA1が静電チャック45に吸着されると、接触部55が上側基板SAに接触して接触面46と同一面内(第2の位置)に押し込まれ、可動部53が上昇する。このとき、上側基板SAが吸着力作用領域47を覆う。さらに、このとき、永久磁石57とホールIC素子59が互いに最も接近して、ホールIC素子59の出力信号電圧にも変化が生じる。このホールIC素子59の出力信号電圧は、制御部4の信号処理回路においてしきい値である基準信号電圧と比較され、上側基板SAが静電チャック45に吸着されていると判定される。この判定結果に基づき、制御部4はイオンガン32のインターロックを解除するので、イオンガン32は荷電粒子の照射を行えるようにスタンバイする。
イオンガン32の照射による上側基板SAの接合面の活性化中に、上側基板SAが静電チャック45から外れると、可動部53は自重により下降し、接触部55は検知窓Wを通って第1の位置に戻る。そうすると、制御部4は、イオンガン32を再びインターロックし、荷電粒子の照射を強制的に終了する。
【0038】
このように、本実施形態の検知センサ50は、吸着力作用領域47内に可動部53の接触部55が進退する検知窓Wが設けられているため、図4(d)、(e)に示すように、最小径の上側基板SA1だけではなく、上側基板SA1よりも径の大きな上側基板SA2、SA3の静電チャック45への吸着または非吸着も検知することができる。
【0039】
本実施の形態に係る常温接合装置1を用いた常温接合方法を説明する。なお、上側基板SA1、SA2、SA3のいずれも、上側基板SAに適用することができる。
ユーザは、まず、ゲートバルブ5を閉鎖して、真空ポンプ31を用いて接合チャンバ2の内部に真空雰囲気を生成し、ロードロックチャンバ3の内部に大気圧雰囲気を生成する。ユーザは、ロードロックチャンバ3の蓋を開けて、上側カートリッジ11を上側カートリッジ台6に配置し、下側カートリッジ12を下側カートリッジ台7に配置する。
ユーザは、上側カートリッジ11に治具を用いて上側基板SAを載せる。ユーザは、下側カートリッジ12に治具を用いて下側基板SB(第2被接合体に対応)を載せる。この治具としては、例えば図6(a)、(e)に示すように、外形が円形の治具13A、13Bを用いることができる。治具13Aは上側基板SAに、治具13Bは下側基板SBに、それぞれ対応する。これらの治具13A、13Bには、上側基板SAまたは下側基板SBを収容する円形の凹部からなる基板収容部14A、14Bが設けられている。基板収容部14A、14Bは、治具13A、13Bの外形と同心円をなしている。また、治具13Aの基板収容部14Aは、その中心軸が、上側カートリッジ11の中心軸に一致するように形成されている。同様に、治具13Bの基板収容部14Bは、その中心軸が、下側カートリッジ12の中心軸に一致するように形成されている。治具13Aの基板収容部14Aの底部はさらに同心円状の段差を備えており、治具13Aの構成材料表面と上側基板SAの接合面との間に空間を設けることで、治具13Aと上側基板SAの接合面との接触を防ぎ、上側基板SAの接合面の汚染を防止している。この段差によって、上側基板SAは外周部のみ支持される。
図6(b)に示すように、上側カートリッジ11に上側基板SAを載せる際には、上側基板SA1が基板収容部14Aに収容された治具13Aを上側カートリッジ11の上端に嵌合する。治具13A(基板収容部14A)と上側カートリッジ11の中心軸が一致しているので、上側基板SA1は、その中心が上側カートリッジ11の中心と一致することになる。径の異なる上側基板SA2、SA3については、これらの上側基板SA2、SA3に対応する径の基板収容部114A、214Aを備える治具113A、213Aを用意し(図6(c)、(d))、治具13Aと同様に用いることができる。また、下側カートリッジ12に上側基板SA1、SA2、SA3にそれぞれ対応する下側基板SB1、SB2、SB3を載せる場合も同様に、これらの基板に対応する径の基板収容部14B、114B、214Bを備えた治具13B、113B、213Bを用いることができる(図6(f)、(g)、(h))。
なお、上側カートリッジ11、下側カートリッジ12への、上側基板SA、下側基板SBのそれぞれの搭載方法は、これに限らず適宜変更可能である。例えば、図7(a)、(b)、(c)に示すように、上側基板SAの径と同じ径を有し、上側基板SAを接合面の外周部のみで支持するリング状の突起115A、215A、315Aを上側カートリッジ111の上面に設け、上側基板SAを上側カートリッジ111に直接載せる方法がある。また、図7(d)、(e)に示すように、下側基板SBの径と同じ径を有し、下側基板SBを接合面の裏側面全面で支持する円盤状の突起115B、215Bを下側カートリッジ112の上面に設け、下側基板SBを下側カートリッジ112に直接載せる方法がある。突起115A、215A、315A、115B、215Bの径と、上側基板SAおよび下側基板SBのそれぞれの径が一致するように上側カートリッジ111および下側カートリッジ112にそれぞれ載せることで、上側基板SAおよび下側基板SBの中心軸が、上側カートリッジ111および下側カートリッジ112の中心軸とそれぞれ一致することになる。また、下側基板SBの径と下側カートリッジ112の径が一致する場合は、例えば図7(f)に示すように、下側カートリッジ112に突起115B、215Bを設けず、下側基板SBを下側カートリッジ112に直接載せることもできる。
なお、図7に示す方法を用いる場合、治具13A、113A、213A、13B、113B、213Bは用いない。
ユーザは、次いで、ロードロックチャンバ3の蓋を閉めて、ロードロックチャンバ3の内部に真空雰囲気を生成する。
【0040】
ユーザは、ロードロックチャンバ3の内部に真空雰囲気が生成された後に、ゲートバルブ5を開放する。ユーザは、まず、搬送装置8を用いて、上側基板SAが載せられた上側カートリッジ11を上側カートリッジ台6から下側基板支持機構60のステージキャリッジ61の上まで搬送する。ユーザは、搬送装置8のハンド17を降下させる。このとき、上側カートリッジ11は、ステージキャリッジ61の所定の位置に保持される。
【0041】
ユーザは、搬送装置8のハンド17をロードロックチャンバ3の内部に退避させる。ユーザは、次いで、基板保持部44を鉛直下方向に下降させて、基板保持部44の静電チャック45の吸着力作用領域47に上側基板SAを接触させ、基板保持部44に上側基板SAを保持させる。ユーザは、基板保持部44を鉛直上方向に上昇させて、上側基板SAを上側カートリッジ11から離す。所定の位置まで基板保持部44を上昇させて上側基板SAが上側カートリッジ11から離れた後、検知センサ50は、上側基板SAが静電チャック45に吸着しているか否かの検知を開始する。検知センサ50が、吸着していることを検知すると、制御部4の制御によりイオンガン32のインターロックが解除され、荷電粒子の照射ができるスタンバイ状態となる。ユーザは、上側基板SAが上側カートリッジ11から離れた後で、搬送装置8を用いて、上側基板SAが載せられていない上側カートリッジ11をステージキャリッジ61から上側カートリッジ台6に搬送する。
【0042】
次いで、ユーザは、上側基板SAを基板保持部44に保持させた後に、下側基板SBをステージキャリッジ61に保持させる。ユーザは、搬送装置8を用いて、下側基板SBが載せられた下側カートリッジ12を下側カートリッジ台7からステージキャリッジ61の上まで搬送する。ユーザは、搬送装置8のハンド17を降下させる。このとき、下側カートリッジ12は、ステージキャリッジ61の予め定められた位置に保持される。ユーザは、搬送装置8のハンド17をロードロックチャンバ3の内部に退避させる。
【0043】
ユーザは、ゲートバルブ5を閉鎖して、基板保持部44に保持された上側基板SAとステージキャリッジ61に保持された下側基板SBとを常温接合する。すなわち、ユーザは、基板保持部44に保持された上側基板SAとステージキャリッジ61に保持された下側基板SBとが離れた状態で、上側基板SAと下側基板SBとの間にイオンガン32を向けて荷電粒子を放出する。その粒子は、上側基板SAと下側基板SBとに照射され、その表面に形成される酸化物等の不純物を除去して活性化する。ユーザは、圧接機構41を操作して、基板保持部44を鉛直下方向に下降させて、上側基板SAと下側基板SBとを近づける。ユーザは、ステージキャリッジ61の位置決め機構を操作して、上側基板SAと下側基板SBとが設計通りに接合されるように、ステージキャリッジ61に保持された下側基板SBの位置を移動する。ユーザは、基板保持部44の圧接機構41を操作して、基板保持部44を鉛直下方向に下降させて、上側基板SAを下側基板SBに接触させる。上側基板SAと下側基板SBとは、その接触により接合され、1枚の接合基板が生成される。
【0044】
ユーザは、その接合基板を基板保持部44からデチャックさせる。このとき、検知センサ50は、接合基板が静電チャック45に吸着していないことを検知し、制御部4によりイオンガン32がインターロックされる。ユーザは、後に、基板保持部44を鉛直上方向に上昇させる。ユーザは、次いで、ゲートバルブ5を開放し、搬送装置8を用いて、その接合基板が載せられている下側カートリッジ12をステージキャリッジ61から下側カートリッジ台7に搬送する。ユーザは、ゲートバルブ5を閉鎖して、ロードロックチャンバ3の内部に大気圧雰囲気を生成する。ユーザは、ロードロックチャンバ3の蓋を開けて、下側カートリッジ台7に配置された下側カートリッジ12からその接合基板を取り出す。
【0045】
以上説明した常温接合装置1においては、接合の対象となる上側基板SAのうち、最小径の上側基板SA1により覆われる領域に対応してパターン電極49を埋設し、上側基板SAを吸着する吸着力作用領域47を形成している。このため、上側基板SAが静電チャック45に吸着すると、吸着力作用領域47が上側基板SAにより覆われ、吸着力作用領域47がイオンガン32により照射される荷電粒子にエッチングされることがなく、また照射に起因する破片や不純物等の導電性物質が吸着力作用領域47に付着し、パターン電極49に不具合を生じさせることもない。したがって、静電チャック45の動作安定性を維持することができる。
また、常温接合装置1においては、吸着力作用領域47内に検知センサ50の検知窓Wを設けている。したがって、上側基板SAの径が変わっても静電チャック45への上側基板SAの吸着、非吸着を検知することができる。これにより、径の異なる基板を処理することが可能となり、効率的な接合基板の生産を実現することができる。加えて、検知センサ50は、上側基板SAを静電チャック45に吸着することにより基板保持部44の内部に密閉されるため、上側基板SAが静電チャック45に吸着された状態で行われるイオンガン32による照射から遮断される。これにより、イオンガン32の照射に起因する破片や不純物等が収容路Pを通じて検知室Rに達することがない。よって、検知センサ50は、長期間に亘って、上側基板SAの静電チャック45への吸着状態をリアルタイムに検知することが可能となる。
さらに、パターン電極49は接触面46の中心部の限られた領域に形成されるため、接触面46の全面にパターン電極49を埋設し吸着力作用領域47を設ける場合と比較して、コストを削減することもできる。
さらにまた、上側基板SAは、治具13、113、213等を用いることで、格別な位置合わせをしなくても、上側カートリッジ11の中心に配置される。したがって、常温接合装置1は、いずれの径の上側基板SAを処理する場合でもその中心を静電チャック45の吸着力作用領域47に一致させることができる。したがって、上側基板SAをロードロックチャンバ3から接合チャンバ2に搬送するハンド17のサイズや搬送位置決めを制御するパラメータを上側基板SAの径に応じて変更する必要がない。
【0046】
<第2実施形態>
図8に示すように、第2実施形態の常温接合装置1は、検知センサ50の可動部53にばね要素Sを設けたことを除いて、第1実施形態と同様に構成されている。したがって、図8において、図3と同符号は図3と同じ構成部分を示している。
【0047】
図8に示すように、検知センサ50の可動部53には、コイル状のばね要素Sが設けられている。ばね要素Sは、ストッパ部58の上部に設けられ、上側基板SAの吸着、非吸着により可動部53が上下に進退するに従って、拡経部Pe内にて伸縮する。具体的には、上側基板SAが静電チャック45の吸着力作用領域47に吸着しておらず、可動部53の接触部55が検知窓Wを貫通して第1の位置にあるとき、ばね要素Sは伸張状態にある。上側基板SAが静電チャック45の吸着力作用領域47に吸着し、接触部55が接触面46と同一面内(第2の位置)に押し込まれると、ばね要素Sは圧縮状態とされる。上側基板SAが静電チャック45から離脱すると、ばね要素Sは圧縮が開放されるのに伴って伸張状態に復帰し、ストッパ部58は押し下げられる。
可動部53は、上側基板SAが静電チャック45から離脱すると自重により第1の位置に復帰するが、上述のようなばね要素Sを設けることで、上側基板SAが静電チャック45から離脱する際の可動部53の第1の位置への復帰が確実に行われる。
また、吸着する上側基板SAの径や重量に応じて変化する吸着力に対応させてばね要素Sのばね力を調整することにより、上側基板SAの静電チャック45からの離脱(デチャック)を補助することができ、デチャックの信頼性も向上することができる。
もちろん、本実施形態においても第1実施形態により得られる効果を得ることができるとは言うまでもない。
なお、ばね要素Sとしては、コイル状のばねに限らず、板ばね等公知のばねを使用することができる。ばね要素Sは、圧縮されたばねが原形に復帰するときの反発力が、静電チャック45(吸着力作用領域47)の吸着力以下であるものとする。
【0048】
<第3実施形態>
図9に示すように、第3実施形態は、検知センサ50の収容路Pに案内Gを設けたことの外は、第1実施形態と同様に構成されている。したがって、図9において、図3と同符号は図3と同じ構成部分を示している。
【0049】
図9に示すとおり、第3実施形態の検知センサ50は、収容路Pに案内Gが設けられている。案内Gは、拡経部Peを除く収容路Pの表面にフッ素系樹脂を塗布して形成される。案内Gとしては、フッ素系樹脂の他にも、摩擦係数の低い材料を用いて形成することができる。
このような構成とすることで、第1実施形態および第2実施形態で得られる効果に加えて、可動部53の収容路Pにおける往復直進運動を円滑なものとすることができる。
【0050】
<第4実施形態>
図10に示すように、第4実施形態は、検知センサ50を光電式の検知センサ150とした外は、第1実施形態と同様に構成されている。したがって、図10において、図3と同符号は図3と同じ構成部分を示している。
検知センサ150は、発光部159aと受光部159bとからなる光電式検知部159を検知室Rに備えている。発光部159aは、受光部159bに向けて検知光159cを発光している。受光部159bが検知光159cを受光しているとき、光電式検知部159からの信号により、制御部4は、イオンガン32をインターロックする。
検知センサ150は、可動部153を備えている。可動部153は、第1円柱部152に永久磁石を備えていないことを除いて、第1実施形態の可動部53と同じ構成である。
上側基板SAが静電チャック45の吸着力作用領域47に吸着して可動部153が上昇すると、第1円柱部152の先端が検知光159cを遮蔽し、受光部159bが検知光159cを受光できなくなる。そうすると、制御部4は、上側基板SAが静電チャック45に吸着していると判定し、イオンガン32のインターロックを解除する。
このように、上側基板SAが吸着されると外部から遮蔽される検知室Rに光電式検知部159を設けることにより、発光部159aの発光面や受光部159bの受光面がイオンガン32による荷電粒子の照射に起因するデポジションの影響を受けることがない。したがって、検知センサ150の検知性能を長期に渡り維持することが可能となる。
【0051】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択し、あるいは他の構成に適宜変更することが可能である。
以上では常温接合装置について説明したが、本発明はこれに限定されず、プラズマ照射により接合面を活性化した後に接合を行う方法・装置など、他の接合方法であって、被接合体が吸着されながら保持される部位を備える接合装置に広く適用することができる。
また、以上では、第1被接合体(上側基板SA)と第2被接合体(下側基板SB)とが鉛直方向に対向して配置された状態で接合面が活性化され、かつ接合される形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。要は、第1被接合体(又は第2被接合体)が吸着された状態にありながら、吸着が不十分なために第1被接合体が鉛直方向に落下し、あるいは接触面からずれ落ちる可能性がある状態で活性化処理される接合装置に広く適用できる。例えば、第1被接合体(第1接合面)及び第2被接合体(第2接合面)がともに水平方向に沿っているが軸同士が偏心して配置されている場合、あるいは、第1被接合体及び第2被接合体がともに鉛直方向に沿って配列されている場合も本発明に包含される。
さらに、本発明の常温接合装置で接合される第1被接合体および第2被接合体の形状は円形に限られず、例えば矩形など異なる形状のものを用いることができる。また、第1被接合体および第2被接合体の径は、4インチ、6インチ、および8インチに限られず、これらよりも小さいあるいは大きな径を有するものを適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1…常温接合装置、2…接合チャンバ、4…制御部、11,111…上側カートリッジ、12,112…下側カートリッジ、13A,113A,213A,13B,113B,213B…治具、14A,114A,214A,14B,114B,214B,…基板収容部、32…イオンガン、40…上側基板支持機構、41…圧接機構、42…ロードセル、43…角度調整機構、44…基板保持部、45…静電チャック、46…接触面、47…吸着力作用領域、48…吸着力非作用領域、49…パターン電極、50、150…検知センサ、53、153…可動部、54…固定検知部、57…永久磁石、59…ホールIC素子、60…下側基板支持機構、61…ステージキャリッジ、70…支持部、115A,215A,315A,115B,215B…突起、159…光電式検知部、159a…発光部、159b…受光部、159c…検知光、SA1,SA2,SA3…上側基板、SB1,SB2,SB3…下側基板、P…収容路、Pe…拡経部、W…検知窓、S…ばね要素、G…案内

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1被接合体の第1接合面と第2被接合体の第2接合面を予め活性化した後に、前記第1接合面と前記第2接合面とを付き合わせて前記第1被接合体と前記第2被接合体を接合する接合装置であって、
第1被接合体を吸着する吸着手段を備える接合体保持部と、
前記接合体保持部に対する前記第1被接合体の吸着の有無を検知する検知センサと、
前記第1被接合体の前記第1接合面と前記第2被接合体の前記第2接合面を活性化するための活性化成分を出力する活性化部と、を備え、
前記吸着手段は、
前記第1被接合体と接触する接触面を有し、前記接触面は、吸着力が作用し前記第1被接合体を吸着して保持する吸着力作用領域と、吸着力が作用しない吸着力非作用領域と、に区分され、
前記検知センサは、
前記接触面よりその一部が突出し、前記接合体保持部に前記第1被接合体が吸着されていない第1の位置と、前記接合体保持部に吸着されている前記第1被接合体に接触することにより移動される第2の位置と、の間を変位する可動部と、
前記可動部の変位を検知する検知部と、を備え、
前記接合体保持部は、
前記第1の位置と前記第2の位置との間を変位する際に、前記可動部の前記その一部が進退する検知窓、を備え、
前記検知窓は、前記吸着力作用領域内に形成される、
ことを特徴とする接合装置。
【請求項2】
前記吸着力は、前記吸着力作用領域に対応して設けられた電極により発生される、
請求項1に記載の接合装置。
【請求項3】
前記検知センサの前記可動部は、鉛直方向に往復直進運動することにより、前記第1の位置と前記第2の位置との間を変位する、
請求項1または2に記載の接合装置。
【請求項4】
前記検知センサは、前記第1の位置と前記第2の位置との間で検知される磁気の変化により前記第1非接合体の吸着の有無を検知する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の接合装置。
【請求項5】
前記検知センサは、前記第1の位置と前記第2の位置との間で検知される光の変化により前記第1非接合体の吸着の有無を検知する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の接合装置。
【請求項6】
前記検知センサの前記可動部に、前記可動部の前記往復直進運動に対応して伸縮するばね要素が設けられている、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の接合装置。
【請求項7】
前記接合体保持部は、前記可動部が前記往復直進運動する収容路を備え、
前記収容路には、フッ素系樹脂からなる案内が設けられている、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の接合装置。
【請求項8】
前記検知センサの検知結果に基づいて、前記活性化部からの前記活性化成分の出力を制御する制御部を備える、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の接合装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−138418(P2012−138418A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288450(P2010−288450)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】