説明

接地極付のコンセント

【課題】電気機器に電源を供給するコンセントのプラグを差込む側から,接地系統が正常に機能しているか否か,また,接地系統の機能状態データを経年的に蓄積して確認することができ,接地の系統に不具合が予想される場合,故障点の把握や原因の切り分けを迅速に行うことができる接地極付のコンセントを提供。
【解決手段】コンセント1の筐体内部には接地状態の判断部を設けるとともに,判断部が取得した各種データを経時的に記憶する記憶部を設けて,コンセント1の差込プラグ2の刃が差込まれる面側には,判断の状態がコンセント1の差込プラグ2が差込まれる側から視認可能に配置された判断状態識別部100と,記憶部に記憶されたデータをコンセントの差込プラグ2が差込まれる側から読み出すインターフェースを設けて構成し,判断状態の識別並びに記憶データの読み出しが差込みプラグ2を差込む側から行えるようにした接地極付102のコンセント1を提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,接地極付のコンセントに関するものである。特に,本発明は,電路における接地系統が正常に機能しているか否かの状態が,コンセントに差込プラグを差込む側から経年的に確認できる接地極付のコンセントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,電路や負荷機器の絶縁が劣化することにより地絡が生じた場合などにおける電気火災や,同じく電路や負荷機器の絶縁が劣化することにより大地と負荷機器を構成する筐体などの間に電位が生じ,人体が負荷機器に触れた場合に生ずるおそれのある感電事故などの種々の電気事故から,人命,財産の安全を確保するため,並びに,電路において過電流や短絡電流が流れた場合などにおける配線の保護を行うため,配線用遮断器や漏電遮断器を筆頭に,様々な配電用機器が開発されている。
【0003】
特に,人体が感電することによる電気事故を防止するために,労働安全衛生規則により,昭和44年に漏電遮断器の設置が義務化され,感電による死亡者数は年々減少している。
【0004】
このような種々の配電用機器は,通常,負荷回路に電力を分配するため,キャビネット内に収納されて設けられ,前記キャビネット内部に配電用機器を組込んだ分電盤が,従来から工場や住宅に用いられている。
【0005】
さて,漏電遮断器の設置が義務化される以前においても,感電事故を防止する観点から,機器の保護接地工事が行われ,人体の感電事故の防止に成果を挙げてきたことは周知のとおりである。
【0006】
例えば,図21に示したように,電路に設置される負荷機器の絶縁が劣化し,大地と前記負荷機器の筐体間に対地電圧Vが生じた場合でも,人体に影響がない接地抵抗は次のようになる。
【0007】
をB種接地抵抗,RをD種接地抵抗,Vを電路の電圧として,V={R/(R+R)}V ・・・(式1)と示される。ここで,人体の抵抗を1kΩ,人体通過許容電流として,数分間が限度(ビーゲルマイヤー氏による感電電流と人体の生理反応)とされる30mAを想定すると,対地電圧として,V=30Vが許容の上限とみなされる。
【0008】
そして,電路の電圧Vが200Vの場合,式1にVを代入し演算することにより,R=5.7R ・・・(式2)となり,B種接地抵抗の大きさが10Ωであった場合,R≒1.7Ωとなることから,D種接地抵抗を約1.7Ω以下に設ければよいことになる。
【0009】
しかしながら,この1.7Ω以下という接地抵抗は,現実的には,通常の接地工事では得難い低い接地抵抗値である。接地を行う際に土壌に科学的処理を施し,例えば,無機質高含水結晶体などを用いた接地抵抗低減剤を用いて,当前記接地抵抗が得られたとしても,経年的に接地抵抗が保たれているか確認を行う必要があり,また,このような経年的に接地抵抗を確認することは,接地工事が為された当時とは周辺の環境が変化することが多く,現実的には困難なことであった。
【0010】
このように,人体が感電することによる電気事故は,従来から機器の保護接地工事により防止されてきたが,接地に加えて,前述の漏電遮断器を電路に設置することにより,電路若しくは負荷機器の絶縁が劣化しても,電路に所定の大きさの漏電電流が生じた場合には,前記漏電遮断器が電路を遮断することにより,感電の危険性がなくなり,一層効果的に防止することができるものである。しかしながら,漏電遮断器を電路に設置していても,接地工事が十分になされていない場合には,人体が絶縁が劣化した負荷機器に接触してから前記漏電遮断器が遮断動作するまでの間は,人体に漏電電流が流れることになり,感電事故が発生するおそれは完全には否定できない。
【0011】
このように,接地は,漏電遮断器の有無にかかわらず,種々の電気事故から,人命,財産の安全を確保するために非常に重要なものである。
【0012】
そして,このような接地の重要性に鑑み,前述の分電盤においても,接地極の配線即ち接地分岐線を接続する接地分岐線端子が設けられ,例えば「日本配線器具工業会規格 JWDS 0007 住宅用分電盤」に,その構造が記載されている。
【0013】
また,このような接地線分岐端子を設けた分電盤については,例えば,特許文献1(第1図),特許文献2(第4図)に示したようなアース中継端子を備えたものが公知である。
【0014】
ところで,接地工事を行った場合には,電気保安上,接地抵抗,即ち,大地と,大地に設けられた電気的端子である接地極との間の抵抗が,接地工事の種類に応じて,所定の抵抗値を満足しているか否かを確認する必要がある。
【0015】
接地工事については,「電気設備に関する技術基準」に記載されているとおりであり,技術基準の解釈第19条によれば,
「接地工事は,第13条〔電路の絶縁〕第六号および第七号イに掲げるものを接地する場合,第23条〔需要場所の引込口の接地〕,第28条〔電気設備の接地〕第1項,第2項及び第4項並びに第42条〔避雷器の接地〕第二号イ及び第三号イ,ロの規定により接地する場合並びに低圧架空電線の特別高圧架空電線と同一支支持物に施設される部分に接地工事を施す場合を除き,次の左欄に掲げる4種とし,各接地工事における接地抵抗値は,同表の左欄に掲げる接地工事の種類に応じ,それぞれ同表の右欄に掲げる値以下とすること。」とされており,各々の接地工事の種類に応じて,A種接地工事の場合には接地抵抗値が10Ω,B種接地工事の場合には,変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流のアンペア数で150 (変圧器の高圧側の電路又は使用電圧が35,000V以下の特別高圧側の電路と低圧側の電路との混触により低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に,1秒を超え2秒以内に自動的に高圧電路又は使用電圧が35,000V以下の特別高圧電路を遮断する装置を設けるときは300,1秒以内に自動的に高圧電路又は使用電圧が35,000V以下の特別高圧電路を遮断する装置を設けるときは600)を除した値に等しいオーム数,C種接地工事の場合には,10Ω(低圧電路において,当前記電路に地気を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するときは,500Ω),D種接地工事の場合には,100Ω(低圧電路において,当前記電路に地気を生じた場合に0.5秒以内に自動的に電路を遮断する装置を施設するときは,500Ω)と,接地抵抗値が定められている。
【0016】
さて,接地抵抗値を測定する方法としては,従来から次のような方法が提案されている。
【0017】
第一は,目的の接地抵抗を測定する接地極に加えて,補助電極を二つ用いて,各々の電極が三角形の頂点となるよう数メートル間隔に土中に打ち込んで配置し,前記各々の頂点間の抵抗を測定することにより,目的の接地抵抗を測定する所謂コウラッシュ・ブリッジ法である。
【0018】
第二は,目的の接地抵抗を測定する接地極に加えて,補助電極を二つ用いて,各々の電極を直線上に土中に打ち込んで配置し,一端には目的の接地抵抗を測定する接地極を配置するとともに,数十メートル離れた他端には一方の補助電極を設置し,前記接地極と他端の補助電極との間に,もう一方の補助電極を配置し,前記他端の補助電極と接地極との間に電流を流し,もう一方の補助電極と接地極との間に生じた電圧を測定することにより,目的の接地抵抗を測定する所謂電極電圧降下法である。
【0019】
第三は,補助電極を用いずに,数十メートルの電線を地上に這わせ,前記電線と大地との間で形成されるコンデンサ成分と,電線に存在するインダクタンス成分を利用して,目的の接地抵抗を測定する接地極と前記電線との間に,既知の抵抗を介して高周波信号を与え,共振させることにより,前記コンデンサ成分とインダクタンス成分とが打ち消され,共振時の高周波電圧と,端子電圧とを測定することにより接地抵抗を測定する所謂共振を利用する方法である。
【0020】
しかしながら,これらの測定方法においては,測定に用いる各々の補助電極を土中に打ち込む必要や,それぞれの電極をある程度の距離を設けて三角形や直線上に配置させることが必要で,そのため電極間の距離や測定に用いる電線の長さが数十メートル必要となり,現実的には,測定する周囲がコンクリートやアスファルトで舗装されていたり,また,隣家や塀が施設されている都合上,測定に必要な数十メートルもの広さが確保できない場合が多く,接地抵抗の測定が困難な場合が多い。
【0021】
また,測定に用いる各々の補助電極を土中に打ち込む必要や,それぞれの電極を数十メートルの距離を設けて三角形や直線上に配置させることが必要になることから,実際の接地抵抗の測定には非常に手間がかかり,大きな労力を要するものであった。
【0022】
このような,接地の重要性や接地抵抗の測定作業の手間を踏まえて,接地抵抗の値が規定の範囲に入るよう調整する技術や,接地抵抗の測定が困難な場所での測定を改善し,作業の効率化を図る技術などが,特許文献3乃至特許文献5に開示されている。
【0023】
また,第19図は,特許文献6(第7図)における配線試験器の例である。特許文献6の考案は,施工後の配線確認検査を迅速かつ確実に行うことができる配線試験器を提供することに鑑みてなされたものであり,
電源電圧極と電源接地極と接地極とを備えるコンセントに差込可能な差込刃を備え,前記電源電圧極に結合可能な電源電圧用差込刃と,前記接地極に結合可能な接地用差込刃と,前記電源接地極に結合可能な電源接地用差込刃と,一方の端子が前記電源電圧用差込刃に接続された第1の整流素子と,一方の端子が前記接地用差込刃に接続された第2の整流素子と,前記第1の整流素子の他方の端子と前記第2の整流素子の他方の端子とに接続された第1の表示回路と,前記電源接地用差込刃と前記第2の整流素子の他方の端子とに接続された第2の表示回路と,前記電源接地用差込刃と前記第1の整流素子の他方の端子とに接続された第3
の表示回路とを有して配線試験器を構成した例が開示されている。
【0024】
また,第20図は,特許文献7(第1図)における接地極付のコンセントの極性チェック装置である。特許文献2には,接地極が接地されているか,接続間違いがないかをチェックする装置が開示されている。前記装置は,親器と子器を組み合わせて使用するものである。親器には零相またはコンセントの接地線に流れる電流を検出する電流検出手段を設けて構成し,子器をチェック対象となるコンセントに接続して,子器側からコンセントの電圧極と接地極にそれぞれ電流を流すことで,親器側にて,子器から電流を流した極に応じて,前記電流検出手段が電流を検出したか否かに基づいて,接地極が接地されているか,接続間違いがないかチェックするもの装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2000−201402号公報
【特許文献2】特開2000−201407号公報
【特許文献3】特開2006−275623号公報
【特許文献4】特開2007−163139号公報
【特許文献5】特開2007−127558号公報
【特許文献6】登録実用新案第3128286号公報
【特許文献7】特開2006−38707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
しかしながら,接地工事が為された後で,接地抵抗を簡易に確認する装置や,経年的にみて接地抵抗を確認する装置は開示されておらず,また,前述のように接地抵抗の測定作業には労力を要する。また,そもそも接地工事自体が正しく為されていても,接地系統は,前述の電路における接地線が大地に設けられた電気的端子と接続され,なおかつ,電気機器に電源を供給するコンセントの部分において接地線が正常に接続された状態において初めて機能するものであるため,接地抵抗の確認と同様,接地系統が機能する状態であるか否かを確認することが重要となる。
【0027】
しかも接地抵抗は,経年的にみた場合,接地系統の周囲の環境条件により変化することが予想されるものであり,接地系統における各種接続部分の経年変化による機能性低下も考慮に入れ,経年的に接地系統が機能する状態であるか否かを簡易に確認できることが望ましい。
【0028】
また,特許文献6のような配線試験器は,その使用にあたり,特許文献1の段落番号「0037」に記載されたように,オフィスのすべてのコンセントに配線試験器を差込んで用いる必要がある。このため,配線確認検査を行うにあたり,予め,コンセントの数だけ準備しておく必要がある。また,検査の際に,すべてのコンセントに試験器を差込んで回り,試験器の差込み忘れがないように十分確認する必要がある。このように,試験器自体の構成は簡易で安価であるけれども,多数用意したり,試験現場のコンセントの個数だけ予め準備しておく必要があるなど,確認試験の手間は大きなものであり,日常的に手軽に接地の確認を行うようなものではなかった。
【0029】
また,特許文献7のような親器と子器を組み合わせて使用するものに当たっては,コンセントに接続される接地線に電流検出手段を設置し,子器をコンセントに接続したうえで,電圧極と接地極のそれぞれに電流を流すことで,接地極が接地されているか否かをチェックする必要があり,前述と同様,日常的に手軽に接地の確認を行うようなものではなかった。
【0030】
また,そもそも接地端子に接地線が接続されていない場合には,子器から電圧極と接地極のそれぞれに電流を流しても,親器側ではいずれも電流検出手段による電流検出は行えず,利用者にとっては,コンセントに不具合があるのか,チェック装置自体に不具合があるのかがすぐには分からず,原因を把握するためには,コンセントを造営材から取り外して裏面側を確認する必要が生じ,故障点の調査を行うために時間と手間がかかるものであった。
【0031】
この他,一般的に,接地線は,コンセントの接地端子側,即ちコンセントが取り付けられる造営材に対してプラグが差込まれる部分とは反対側で,コンセントの施工時において施工業者によって接地線が接続される面に設けられている。このため,施工業者が配線を接続する施工時においては,接地線が接続されているか否かはコンセントの裏面を確認することで行え,また,表示部位が見えない状況下においては聴覚的に接続完了表示を行うことができるが,施工後において,接地端子に接地線が接続されているか否かを確認しようとすると,コンセントを造営材から取り外したうえ背面を見ることで確認したり,電圧相と接地相の間にネオンランプなどを接続して,アースターミナルが接地線と電気的に接続されているか否かを確認する必要があり,日常的に手軽に接地の確認を行うものではなかった。
【0032】
また,施工完了後において,商用電源を供給する前に,配線の接続確認を行う必要があるが,そのような場合にはコンセントの前面側から視覚的に確認を行うことはできず,基本的に,造営材にコンセントを取り付けた後は視認するだけでは接地端子に接地線が接続されているか否かの確認は行うことができないものであった。
【0033】
そこで本件の発明は,上述の課題に鑑み,接地工事や電気配線工事が為された後で,接地系統が正常に機能しているか否かを電気機器に電源を供給するコンセントの位置で,しかもプラグを差込む側から正常に機能しているか否かを,日常的に,煩わしいことなく,しかも施工時などにおいても商用電源の必要なく,コンセントにプラグを差込む側から見えやすい位置で確認することができ,また,接地系統の機能状態データを経年的に蓄積して確認することができ,接地の系統に不具合が予想される場合,故障点の把握や原因の切り分けを迅速に行うことができる接地極付のコンセントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
上述の目的を達成するために,本発明の請求項1では,電路に介在する変圧器2次巻線の中性線側が大地に設けられた第一の電気的端子により接地されるとともに,前記変圧器の負荷側電路における接地系統が集中接地端子を介して大地に設けられた第二の電気的端子により接地される電路に接続されて,電気機器に電源を供給するために設けられた接地極付のコンセントであって,コンセントの造営材内側となる裏面側には,電路の接地線が接続される接地端子を備え,コンセントの筐体内部には,接地状態の判断手段として,前記変圧器の負荷側電路において,前記電路における電圧線もしくは中性線と,接地系統との間に電圧を印加する電圧印加部と,前記電圧印加部により印加した電圧により,前記電路ならびに接地系統との間に流れる電流を検出する電流検出部と,前記電流検出部により電流が検出された場合には前記接地系統の接続がなされていると判断し,前記電流が検出されていない場合には,前記接地系統の接続がなされていないと判断する判断部を設けるとともに,前記判断部における検出電流データ,判断結果データ,判断日時データを経時的に記憶する記憶部を設けて,コンセントの差込プラグの刃が差込まれる面側には,少なくとも,前記接地端子と電気的に接続されて電気機器の接地線を接続するためのアースターミナルと,前記判断部と接続されて,前記判断の状態がコンセントの差込プラグが差込まれる側から視認可能に配置された判断状態識別部と,前記記憶部に記憶された前記データをコンセントの差込プラグが差込まれる側から読み出すインターフェースを設けて構成し,判断状態の識別並びに記憶データの読み出しが差込みプラグを差込む側から行えるようにしたことを特徴として接地極付のコンセントを提供したものである。
【0035】
このような構成によれば,コンセントが設置された場所で,前記電路における中性線と接地系統との間に電圧を印加することにより生ずる電流を検出することにより,接地系統の接続がなされているか否かを判断することができ,また,判断状態識別部を,差込プラグが差込まれる側から視認可能に配置したから,判断状態の識別を差込プラグを差込む側から行え,コンセントの接地端子に接地線が接続されているか否かを,日常的に,しかも煩わしいことなく,判断状態の識別をコンセントにプラグを差込む側から確認することができ,しかも,接地系統の機能状態データを経年的に蓄積して確認することができ,接地の系統に不具合が予想される場合には,故障点の把握や原因の切り分けを迅速に行うことができる。
【0036】
また,請求項2による接地極付のコンセントは,請求項1記載の判断手段に替えて,前記変圧器の負荷側電路において,前記電路における中性線と接地系統との間の電圧を測定する電圧測定部と,前記電圧測定部により前記電圧を測定した場合に前記変圧器の2次巻線の中性線と電圧線との線間電圧に対して測定した電圧値が略ゼロボルトである場合には,前記接地系統の接続がなされていると判断し,前記電圧を測定した電圧値が略ゼロボルトでない場合には,前記接地系統の接続がなされていないと判断する判断部を設けて判断手段を構成したことを特徴として接地極付のコンセントを提供したものである。
この構成によれば,前記電路における中性線と接地系統との間の電圧を検出することによっても,接地系統の接続が為されているか否かを判断することができる。
【0037】
また,請求項3による接地極付のコンセントは,請求項2記載の判断手段に替えて,前記変圧器の負荷側電路において,前記電路における電圧線と接地系統との間の電圧を測定する電圧測定部と,前記電圧測定部により前記電圧を測定した場合に前記変圧器の2次巻線の中性線と電圧線との線間電圧に対して測定した電圧値が略等しい電圧値である場合には,前記接地系統の接続がなされていると判断し,前記電圧を測定した電圧値が略等しくない電圧値である場合には,前記接地系統の接続がなされていないと判断する判断部を設けて判断手段を構成したことを特徴として接地極付のコンセントを提供したものである。
この構成によれば,前記電路における電圧線と接地系統との間の電圧を検出することにより,接地系統の接続が為されているか否かを判断することができる。
【0038】
また,請求項4による接地極付のコンセントは,前記判断手段には,前記判断手段が接続される電圧線もしくは中性線との接続を選択的に切り替える接続状態切替部を設け,請求項1乃至請求項3記載の判断部による判断を選択的,又は併合して行う判断部を設けたことを特徴として接地極付のコンセントを提供したものである。
この構成によれば,前記判断部による判断を行う際に必要な種々の電圧値もしくは電流値の測定データを,前記接続状態切替部にて,電圧線と接地系統若しくは中性線と接地系統の接続を選択的に切替えるだけで得ることができる。接地系統が設けられる環境には,前述したように種々の周囲環境下での接地が予測されるため,接地系統の接続状態の確認の際に,ひとつの測定方法により前記接地系統の接続状態の確認を行う場合と,種々の測定方法を複合させて行う場合を予め想定し,複数の測定を行う構成を,接地線分岐端子に備えておくことにより,ひとつの測定方法により接地系統の接続状態の確認がうまく行えない場合でも,他の測定方法を行うことにより,適切に接続状態の確認を行うことが可能となる。
【0039】
また,請求項5による接地極付のコンセントは,前記判断手段には,前記接地端子と,アースターミナルとの間に介在し,前記接地端子とアースターミナルとの電気的接続を入切する切替部と,前記切替部を外部から操作する操作部とを設けて,判断手段は,入状態,切状態のそれぞれの場合において,請求項1乃至請求項3記載の判断部による判断を選択的,又は併合して行う判断部を設けたことを特徴として接地極付のコンセントを提供したものである。
この構成によれば,前記切替部により,前記接地端子と前記アースターミナルの電気的接続を入切制御することにより,接地状態及び非接地状態を作り出し,それぞれの状態における電流値もしくは電圧値を比較することにより,より正確に接地系統の接続が為されているか否かを判断することができ,非常に簡易な方法でありながらも接地系統の接続状態を確認でき,接地の系統に不具合が予想される場合には,故障点の把握や原因の切り分けを迅速に行うことが可能となる。
【0040】
また,請求項6による接地極付のコンセントは,前記判断状態識別部並びにデータを読み出すインターフェースは,コンセントを造営材に固定するための取付枠に設けて,判断状態の識別並びにインターフェースへのアクセスを差込みプラグを差込む側から行えるようにしたことを特徴としたものである。
この構成によれば,コンセント自体に判断状態識別部並びにデータを読み出すインターフェースを設けることができない場合でも,コンセント近傍の取付枠に設けることで,視認性よく判断の識別やインターフェースへのアクセスを行うことができる。
【0041】
また,請求項7による接地極付きのコンセントは,前記判断態識別部並びにデータを読み出すインターフェースは,コンセントを造営材に固定するときに設けられる埋込孔の周囲を囲むように前記取付枠に固定されるプレート枠に設けて,判断状態の識別並びにインターフェースへのアクセスを差込みプラグを差込む側から行えるようにしたことを特徴として接地極付のコンセントを提供したものである。
この構成によれば,コンセント自体に判断状態識別部並びにインターフェースを設けることができない場合でも,コンセント近傍のプレート枠に設けることで,視認性よく判断の識別やインターフェースへのアクセスを行うことができる。
【0042】
また,請求項8による接地極付きのコンセントは,前記判断状態識別部並びにデータを読み出すインターフェースは,前記プレート枠に対して造営材と反対側に前記プレート枠に取付られる化粧パネルに設けて,判断状態の識別並びにインターフェースへのアクセスを差込みプラグを差込む側から行えるようにしたことを特徴としたものである。
この構成によれば,コンセント自体に判断状態識別部並びにインターフェースを設けることができない場合でも,コンセント近傍の化粧枠に設けることで,視認性よく判断の識別やインターフェースへのアクセスを行うことができる。
【0043】
また,請求項9による接地極付きのコンセントは,請求項8の構成に加えて,更に,前記記憶部を化粧パネルに設けて,記憶部への書き込みデータ量が上限に達した場合や,故障が発生した場合には,前記化粧パネルを新たな記憶部を備えた化粧パネルと交換可能に設けて,データの蓄積を継続することができることを特徴としたものである。
この構成によれば,化粧枠を取り替えることにより,新たな記憶部に対してデータを継続的に記憶することができ,利便性を保ちながらも経年的なデータの記録を行うことができる。
【0044】
また,請求項10による接地極付のコンセントは,造営材に対して,コンセントの差込プラグを差込む面を前面,接地線を接続する面を背面としたとき,前記取付枠,プレート枠,化粧パネルにおける前記判断状態識別部の前方部分に孔部もしくは透光部を設けて,前記判断状態識別部が差込みプラグを差込む側の外部から視認可能なように,またデータを読み出すインターフェースにアクセス可能なように構成したことを特徴としたものである。
この構成によれば,コンセント自体に判断状態識別部を設けることができない場合でも,コンセント近傍の枠部で視認性よく判断の識別やインターフェースへのアクセスを行うことができる。
【0045】
また,請求項10による接地極付のコンセントは,前記接地線接続状態判断手段と判断状態識別部とに,それぞれ無線通信手段を設けて,前記接地線接続状態判断手段と判断状態識別部との間の通信は無線にて行われ,前記判断状態識別部が差込みプラグを差込む側の外部から視認可能なように構成したことを特徴としたものである。
この構成によれば,接地線接続状態判断手段と判断状態識別部との間を有線で接続することなく構成することができ,判断状態識別部の設置の自由度がより増して,コンセント近傍において視認性よく判断の識別を行うことができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば,接地工事や電気配線工事が為された後で,接地系統が正常に機能しているか否かを電気機器に電源を供給するコンセントの位置で,しかもプラグを差込む側から正常に機能しているか否かを,日常的に,しかも煩わしいことなく,施工時などにおいても商用電源の必要なく,コンセントにプラグを差込む側から見えやすい位置で確認することができ,しかも,接地系統の機能状態データを経年的に蓄積して確認することができ,接地の系統に不具合が予想される場合,故障点の把握や原因の切り分けを迅速に行うことができる接地極付のコンセントを提供することができる。また,接地線接続状態判断手段は,接地線をコンセントに接続する際の挿入力をトリガとして駆動させるため,施工時や使用開始後における判断状態の識別にあたっては,必ずしも商用電源を必要とせず,エネルギー消費が低い接地線接続状態判断手段を備えたコンセントを構成することができる。

【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第一の実施形態における接地極付のコンセントならびに差込みプラグの外観図を示す。
【図2】第一の実施形態における接地極付のコンセントの造営材への取り付け図ならびに概略構成図を示す。
【図3】判断手段の第一の例を示す図。
【図4】判断手段の第三の例を示す図。
【図5】判断手段の第四の例を示す図。
【図6】判断手段の第五の例を示す図。
【図7】判断手段の第七の例を示す図。
【図8】接地線接続状態判断手段のブロック構成図を示す。
【図9】接地線接続状態判断手段の他のブロック構成図を示す。
【図10】枠体部における蓄電部の概略図を示す。
【図11】接地線接続状態判断手段の他のブロック構成図を示す。
【図12】液晶による表示例。
【図13】液晶による他の表示例
【図14】機械的な表示部を設けた例。
【図15】機械的な表示部の構成図。
【図16】機械的な表示部の構成図。
【図17】機械的な表示部の構成図。
【図18】機械的な表示部の構成図。
【図19】従来例を示す図。
【図20】従来例を示す図。
【図21】接地抵抗の説明図
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下,図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
実施形態は,いずれも,電路に介在する変圧器2次巻線の中性線側が大地に設けられた第一の電気的端子により接地されるとともに,前記変圧器の負荷側電路における接地系統が集中接地端子を介して大地に設けられた第二の電気的端子により接地される電路に接続されて,電気機器に電源を供給するために設けられた接地極付のコンセントについて示したものである。
【0049】
なお,変圧器2次巻線の負荷側には分電盤が設けられ,前記分電盤に設けられた集中接地端子から大地への接地がなされることを想定している。また,接地極付のコンセントは,分電盤における分岐開閉器の負荷側電路に設けられ,各種電気機器に電源を供給するとともに,前記コンセントに接続される接地線は,前記集中接地端子に電気的に接続されて接地系統を構成している。
【0050】
また,本願では,社団法人日本電気協会発行の内線規程 電気技術規程使用設備編 JEAC8001に定められたとおり,中性線とは多線式電路の電源の中性極に接続される電線をいい,低圧電路において技術上の必要により接地された中性線又は接地された一線のことを接地側電線という。例えば,変圧器の2次巻線の中性線は接地側電線であり,また,単相3線式電路においては,電圧極としてL1極,L2極があり,中性極としてN極がある。単相2線式電路においては,電圧極と接地された接地側電線がある。
【0051】
また,以下に説明する各実施形態では,コンセントにおける差込プラグを差込める数が2つのものを例示しているが,1つのみのものや3つ以上のものなど種々のものに適用してもよい。
【0052】
(実施形態1)
(接地極付のコンセントの概要)
まず,本実施形態の接地極付のコンセントの概要について説明を行う。
接地極付のコンセントは,図1に示したような,壁面等を構成する造営材40に埋め込み取り付けされて,差込プラグ2を差込むことにより使用されるコンセントである。前記コンセント1は,造営材40の内側にて配設された電気配線と接続され,外側から差込みプラグ2を差込んで使用する。また,造営材40の内側にてコンセントと接続された電気配線は,分電盤に設けられた分岐開閉器と電気的に接続される。
【0053】
また,図2に示したように,コンセント1は,造営材40に予め設けられた埋込孔にコンセントを埋込取付けするための取付枠と,前記埋込孔の周囲を囲む形で前記取付枠に固定されるプレート枠20と,前記プレート枠20に,造営材40に対してプラグが差込まれる側に取り付けられる化粧枠30とを備えている。
【0054】
コンセント1の外郭は,一般的なコンセントと互換性を保つように構成しており,コンセントにおける造営材の内側となる面には,電圧極,中性極,接地極の電線を接続する接続端子ならびに電線挿入孔を備え,造営材の外側となる面には,前記電圧極,中性極,接地極の各極に電気的に接続され,接地極付のプラグが差込まれるプラグ刃受ならびにプラグ刃の挿入孔とを備えている。そして,造営材の外側となる面には,前記接地系統が正常に機能しているか否かの判断状態を識別し得る判断状態識別部100が外部から視認可能に設けられている。ここで,コンセントにおける造営材の内側となる面に設けられて接地相の電線を接続する接続端子が接地端子101であり,コンセントにおける造営材の外側となる面に設けられて前記接地端子101と電気的に接続されて電気機器の接地線を接続するための接続端子がアースターミナル102である。アースターミナルは,プラグの接地極を差込接続できるようプラグ刃受により構成される。また,プラグの接地極が電線で構成されている場合には,接地極の電線を接続できるようアースターミナルをねじ式端子により構成してもよい。
【0055】
コンセントにおける造営材の内側となる面に備えられる接続端子については,その接続部については配線器具では一般的に用いられている速結式端子により構成している。前記速結式端子は,接続される電線に接触して導通を得る端子板と,端子板に電線を押し付ける鎖錠ばねと,前記鎖状ばねの周囲に配設された導体を備えている。電線との接続は,コンセントの器体に設けられた電線挿入孔に電線を差込むことにより行われ,電線は電線挿入孔の内部に配設されてある鎖状ばねと端子板との間に入り込み,鎖状ばねの弾性により端子板に電線が押し付けられて,導通状態となる。接地端子101の接続部についても同様である。
【0056】
次に,接地状態が正常か否かを判断する判断手段について図3乃至図7を用いて説明を行う。
(判断手段の第一の例)
図3は,本発明の接地極付のコンセント1における前記判断手段の第一の例を示したものである。
【0057】
図3では,電路に介在する変圧器5100の2次巻線の中性線5102が大地5001に設けられた電気的端子(earth electrode)5103に接地線5102aにより接地され,電路の負荷側に接続された分電盤5700に設けられた集中接地端子5601が,同じく大地5001に設けられた電気的端子5203に接地線5202により接地されている。また,分電盤の分岐開閉器の負荷側にはコンセント1が接続され,コンセントには,電圧極と,中性極と,集中接地端子5601に接続された接地線が入線される。コンセント1に接続された接地線は,集中接地端子5601を介して大地に接地されており,大地5001を介して変圧器5100の2次巻線の中性線と接続され,接地系統を構成している。
【0058】
判断手段は,このような接地系統の状態が正常に機能しているか否かを判断するもので,コンセント1に入線される中性線Nと,接地線Eとの間に電圧を印加し,線間に流れる電流を検出することにより,正常か否かを判断するものである。
【0059】
ここで,変圧器5100の2次巻線の中性線5102側が,前記第一の電気的端子5103により為される接地は,電気設備に関する技術基準に示されるB種接地であり,電路の負荷側において集中接地端子5601が接地線5202を介して前記第二の電気的端子5203により為される接地は,D種接地である。
【0060】
このとき,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記集中接地端子5601は,前記接地線5202,第2の電気的端子5203,大地5001,第一の電気的端子5103を介して中性線5102と接続されている状態にある。即ち,B種接地抵抗をRB,D種接地抵抗をRDとすると,コンセントの接地線と中性線5102との間の合成抵抗は,
RTotal=RB+RD・・・(式3)と表される。
【0061】
この場合において,電路の負荷側における中性線5102及びコンセントの接地線に電源装置5301を接続部を介して接続し,電圧(電圧をEとする)を印加する。電源装置5301は電路から電源を取得した交流電源を使用してもよいし,整流して直流電源を使用してもよい。また,電源として,1次側と2次側を絶縁した絶縁電源を用いてもよい。また,直流電源として,例えば蓄電部材であるコンデンサを用いて構成してもよい。
【0062】
次に,前記中性線5102及びコンセントの接地線の間に流れる電流(電流をIとする)を電流計測手段5302で計測する。前記電流計測手段5302は,変流器(CT)や,ホール素子を用いて構成してもよいし,その他一般的な電流センサを用いて構成するとよい。ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記コンセントの接地線と中性線5102との間の合成抵抗は,(式3)のとおり,RTotal=RB+RDと表されるため,電圧Eを印加した場合,
E / (R+R) ・・・(式4)
の大きさで表される電流Iが前記電流計測手段5302にて検出される。
【0063】
このとき,前記電流Iが検出された場合には,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合であるので,判断部5303aにより前記接地系統の接続が為されていると判断する。
また,前記電流Iが検出されない場合には,前記コンセントの接地線が,前記接地線5202,第2の電気的端子5203,大地5001,第一の電気的端子5103を介して中性線5102と接続されていない状態であるため,前記接地系統の接続が為されていないと判断する。仮に,電線の接続はなされていても,接地抵抗が適正でなく,基準値から大きくなっていた場合には,検出される電流の大きさは非常に小さくなるため,電流の大きさに閾値を設定し,この閾値に基づいて判断を行うよう構成してもよい。
また,前記判断部5303aは,マイコンやICを用いて構成し,(式4)の関係で表される検出電流について閾値を設定しておくことにより前記判断を行うようにしてもよいし,抵抗・ダイオード・オペアンプなどを用いて電子回路を構成し前記検出電流の大きさを検出することにより判断を行うようにしてもよい。
【0064】
このように,接地系統の接続状態を,電路における中性線と前記コンセントの接地線との間に接続部を介して電圧を印加し,前記中性線と前記コンセントの接地線との間に流れる電流を検出することにより確認することができるよう,コンセント内に判断手段を設けて構成している。
【0065】
(判断手段の第二の例)
次に,判断手段の第二の例について説明を行う。
第二の例は,第一の例の変形例で,電路に介在する変圧器5100の2次巻線の電圧線5101側と,前記コンセントの接地線との間に接続部を介して電圧を印加することにより判断を行うように構成したものである。
【0066】
前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記コンセントの接地線は,前記接地線5202,第2の電気的端子5203,大地5001,第一の電気的端子5103,中性線5102,変圧器の2次巻線を介して電圧線5101側と接続されている状態にある。即ち,B種接地抵抗をRB,D種接地抵抗をRD,変圧器の2次巻線のインピーダンスをZ(=jωL:Lはコイルのインダクタンス)とすると,前記コンセントの接地線と電圧線5101との間の合成インピーダンスは,
Total=RB+R+Z・・・(式5)と表される。
【0067】
この場合において,電路の負荷側における電圧線5101及びコンセントの接地線に電源装置5301を接続し,電圧(電圧をEとする)を印加する。
【0068】
次に,前記電圧線5101及びコンセントの接地線の間に流れる電流(電流をIとする)を電流計測手段で計測する。ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記コンセントの接地線と電圧線5101との間の合成抵抗は,(式5)のとおり,ZTotal=RB+R+Zと表されるため,電圧Eを印加した場合,
E / (R+R+Z) ・・・(式6)
の大きさで表される電流Iが検出される。
【0069】
このとき,前記電流Iが検出された場合には,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合であるので,判断部5303aにより前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,前記電流Iが検出されない場合には,前記コンセントの接地線が,前記接地線5202,第2の電気的端子5203,大地5001,第一の電気的端子5103,中性線5102,変圧器の2次巻線を介して電圧線5101側と接続されていない状態であるため,前記接地系統の接続が為されていないと判断する。仮に,電線の接続はなされていても,接地抵抗が適正でなく,基準値から大きくなっていた場合には,検出される電流の大きさは非常に小さくなるため,電流の大きさに閾値を設定し,この閾値に基づいて判断を行うよう構成してもよい。
【0070】
このように,接地系統の接続状態を,電路における電圧線と前記コンセントの接地線との間に接続部を介して電圧を印加し,前記電圧線と前記コンセントの接地線との間に流れる電流を検出することにより確認することができるよう,コンセント内に判断手段を設けて構成している。分電盤全体では,分岐開閉器の負荷側電路には複数のコンセントが設けられていることが一般的であるが,電圧を可変させて印加することにより,本来の電路電圧による電流や,コンセントに接続されている負荷に関わりなく,可変させて印加させた電圧に応じた電流検出が行えるか否かで接地系統の接続状態を確認することができる。
【0071】
(判断手段の第三の例)
次に,判断手段の第三の例について説明を行う。図4に,第三の例を示した。
【0072】
第三の例は,大地5001に設けられた電気的端子5203が,前記電気的端子5203と電気的に接続された接地線5202を介して,機器などの接地を行うコンセントの接地線と,電気的に接続されることにより為される接地の状態を,電路に介在する変圧器5100の2次巻線の中性線5102側と,前記コンセントの接地線との間の電圧を測定することにより判断し確認するものである。
【0073】
このとき,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記コンセントの接地線は,前記接地線5202,第2の電気的端子5203,大地5001,第一の電気的端子5103を介して中性線5102と接続されている状態にある。即ち,B種接地抵抗をRB,D種接地抵抗をRDとすると,前記コンセントの接地線と中性線102との間の合成抵抗は,
RTotal=RB+RD・・・(式3)と表される。
【0074】
この場合において,電路の負荷側における中性線5102及びコンセントの接地線の間の電圧を接続部を介して電圧計測手段5304にて測定する。前記電圧計測手段5304は,電子回路により構成してもよいし,電圧計測機能を有するマイコンやIC,その他の電圧センサ等を利用して構成するとよい。
【0075】
ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記コンセントの接地線と中性線102との間の合成抵抗は,(式3)のとおり,RTotal=RB+RDと表されるため,前記中性線5102及びコンセントの接地線の間の電圧は,単純に前記合成抵抗が介在する抵抗回路の開放端の電圧に相当し,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して略ゼロボルトの測定電圧値が検出される。
【0076】
また,前記B種接地,前記D種接地が為されていない場合には,前記前記合成抵抗が介在する抵抗回路の途中に開放区間が存在することとなり,電圧は安定しないものとなる。即ち,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略ゼロボルトではない測定電圧値となる。
【0077】
前記中性線と電圧線との線間電圧に対して略ゼロボルトの測定電圧値が検出された場合には,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合であるので,判断部5303bにより前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略ゼロボルトではない測定電圧値となる場合には,前記コンセントの接地線が,前記接地線5202,第2の電気的端子5203,大地5001,第一の電気的端子5103を介して中性線5102と接続されていない状態であるため,前記接地系統の接続が為されていないと判断する。
前記判断部5303bは,マイコンやICを用いて構成し,検出電圧について閾値を設定しておくことにより前記判断を行うようにしてもよいし,抵抗・ダイオード・オペアンプなどを用いて電子回路を構成し前記検出電圧の大きさを検出することにより前記判断を行うようにしてもよい。
【0078】
このように,接地系統の接続状態を,電路における中性線と前記コンセントの接地線との間の電圧値を検出することにより確認することができるよう,コンセント内に判断手段を設けて構成している。
【0079】
(判断手段の第四の例)
次に,判断手段の第四の例について説明を行う。図5に,第四の例について示した。
【0080】
第四の例は,大地5001に設けられた電気的端子5203が,前記電気的端子5203と電気的に接続された接地線5202を介して,機器などの接地を行うコンセントの接地線と,電気的に接続されることにより為される接地の状態を,電路に介在する変圧器5100の2次巻線の電圧線5101側と,前記コンセントの接地線との間の電圧を測定することにより判断し確認するものである。
【0081】
このとき,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記コンセントの接地線は,前記接地線5202,第2の電気的端子5203,大地5001,第一の電気的端子5103,中性線5102,変圧器の2次巻線を介して電圧線5101側と接続されている状態にある。即ち,B種接地抵抗をRB,D種接地抵抗をRD,変圧器の2次巻線のインピーダンスをZ(=jωL:Lはコイルのインダクタンス)とすると,前記コンセントの接地線と電圧線5101との間の合成インピーダンスは,
Total=RB+R+Z・・・(式5)と表される。
【0082】
この場合において,電路の負荷側における電圧線5101及びコンセントの接地線の間の電圧を接続部を介して測定する。前記電圧計測手段5304は,電子回路により構成してもよいし,電圧計測機能を有するマイコンやIC,その他の電圧センサ等を利用して構成するとよい。
【0083】
ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記コンセントの接地線と電圧線5101との間の合成インピーダンスは,(式5)のとおり,ZTotal=RB+R+Zと表されるため,前記電圧線5101及びコンセントの接地線の間の電圧は,単純に前記合成インピーダンスが介在する抵抗−コイルの直列回路の開放端の電圧に相当し,前記中性線と電圧線との線間電圧と略等しい測定電圧値が検出される。
【0084】
また,前記B種接地,前記D種接地が為されていない場合には,前記前記合成インピーダンスが介在する抵抗回路の途中に開放区間が存在することとなり,電圧は安定しないものとなる。即ち,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して略等しくない測定電圧値が測定されることとなる。
【0085】
前記中性線と電圧線との線間電圧に対して略等しい測定電圧値が検出された場合には,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合であるので,判断部5303cにより前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略等しくない測定電圧値となる場合には,前記コンセントの接地線が,前記接地線5202,第2の電気的端子5203,大地5001,第一の電気的端子5103,中性線5102,変圧器の2次巻線を介して電圧線5101側と接続されていない状態であるため,前記接地系統の接続が為されていないと判断する。
【0086】
前記判断部5303cは,マイコンやICを用いて構成し,検出電圧について閾値を設定しておくことにより前記判断を行うようにしてもよいし,抵抗・ダイオード・オペアンプなどを用いて電子回路を構成し前記検出電圧の大きさを検出することにより前記判断を行うようにしてもよい。
【0087】
このように,接地系統の接続状態を,電路における電圧線と前記コンセントの接地線との間の電圧を測定し,測定電圧値から接地状態の確認を行うことができるよう,コンセント内に判断手段を設けて構成している。
【0088】
なお,第三の例,第四の例において,判断手段に電圧印加部を設けて,前記判断手段が接続された電路間に,電圧を可変させて印加することにより,可変させて印加した電圧に応じた電圧検出や,電流検出が行えるか否かを判断させることで,より明確に接地系統の接続状態を確認することができるよう構成してもよい。
【0089】
(判断手段の第五の例)
次に,判断手段の第五の例について説明を行う。図6に第五の例を示した。
第五の例は,前記電路の電圧線ならびに中性線ならびに接地系統と電気的に接続する接続部を設け,
前記判断部により接地系統の接続状態を判断する場合に,前記接続部により接続された電路ならびに接地系統のうち,電圧線と接地系統若しくは中性線と接地系統の接続を選択的に為し得る接続状態切替部を設け,前述した第一の例乃至第四の例のいずれか一に示した判断を選択的に,もしくは前述した第一の例乃至第四の例に示した判断を併合して実施することにより行うものである。
【0090】
5305は接続状態切替部であり,前記電圧線と中性線との接続を択一的に切り替えるようリレーを用いて構成してもよいし,マイコンやICの内部で電子的に接続を選択する半導体スイッチで構成してもよい。
【0091】
そして,判断部5304dは,電圧線を選択した場合には,前述した第四の例の判断を行い,中性線を選択した場合には,前述した第三の例の判断を行うよう機能を複合させて構成しておくとよい。また,選択した電路において,前述した第一の例または第二の例の判断を行うよう構成してもよい。
【0092】
さらに,前記接続状態切替部5305により選択した電路において,前述の第一の例乃至第四の例の判断を併合し,複合的に行うよう判断部5304dを構成してもよい。
【0093】
これにより,前記判断部5303dによる判断を行う際に必要な種々の電圧値もしくは電流値の測定データを,前記接続状態切替部5305にて,電圧線と接地系統若しくは中性線と接地系統の接続を選択的に切替えるだけで得ることができる。
【0094】
接地系統が設けられる環境には,前述したように種々の周囲環境下での接地が予測されるため,接地系統の接続状態の確認の際に,ひとつの測定方法により前記接地系統の接続状態の確認を行う場合と,種々の測定方法を複合させて行う場合を予め想定し,複数の測定を行う構成を,コンセント内に備えておくことにより,ひとつの測定方法により接地系統の接続状態の確認がうまく行えない場合でも,他の測定方法を行うことにより,適切に接続状態の確認を行うことが可能となる。
【0095】
(判断手段の第六の例)
次に,判断手段の第六の例について説明を行う。図7に,第六の例を示した。
【0096】
第六の例は,コンセント内における接地端子と刃受の間に介在し,前記コンセントに接続された接地線202を分離/接続するスイッチ手段5401を設けて,前記スイッチ手段5401により前記コンセントに接続された接地線を分離/接続制御することにより接地状態A及び非接地状態Bを作り出し,前記接地状態A及び非接地状態Bのそれぞれの状態において,前述した第一の例乃至第五の例に示したいずれか一の判断を実施し,前記接地状態A及び非接地状態Bの双方で得られた測定電流値もしくは測定電圧値を比較することにより確認するものである。
【0097】
例えば,前述した第一の例を基として,スイッチ手段5401を前記コンセントの接地線と前記接地線5202との間に介在させた場合の説明を行う。前記スイッチ手段5401は,リレー回路を用いてもよいし,ICやマイコンを用いて構成した電子スイッチを用いてもよい。
【0098】
この場合,まず,前記スイッチ手段5401を閉じた状態(接地状態A)で,電路の負荷側における中性線5102及びコンセントの接地線に電源装置5301を接続し,電圧(電圧をEとする)を印加する。そして,前記中性線5102及びコンセントの接地線の間に流れる電流(電流をIとする)を電流計測手段5302で計測する。ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記コンセントの接地線と中性線5102との間の合成抵抗は,(式3)のとおり,RTotal=RB+RDと表されるため,電圧Eを印加した場合,
E / (R+R) ・・・(式4)
の大きさで表される電流Iが検出される。
【0099】
続いて,前記スイッチ手段5401を開いた状態(非接地状態B)で,電路の負荷側における中性線5102及びコンセントの接地線に電源装置5301を接続し,電圧(電圧をEとする)を印加する。そして,前記中性線5102及びコンセントの接地線の間に流れる電流(電流をIとする)を電流計測手段で計測する。このときには,前記コンセントの接地線と中性線5102との間は,前記スイッチ手段5401により分離されているため,電流Iは検出されない状態となる。
【0100】
ここで,判断部5303eにより,前記スイッチ手段5401を閉じた状態(接地状態A)と開いた状態(非接地状態B)とで得られた前記電流値を比較すると,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,検出される電流値Iは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化し,前記B種接地,前記D種接地が為されていない場合には,前記コンセントの接地線が,前記接地線5202,第2の電気的端子5203,大地5001,第一の電気的端子5103を介して中性線5102と接続されていない状態であるため,前記電流値Iは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化しないものとなる。
【0101】
したがって,前記判断部5303eは,前記電流値の比較の結果前記電流値に変化がある場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,前記電流値の比較の結果前記電流値に変化がない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する。
【0102】
また,前述した第三の例を基として,スイッチ手段5401を前記コンセントの接地線と前記接地線5202との間に介在させた場合の説明を行う。
【0103】
この場合,まず,前記スイッチ手段5401を閉じた状態(接地状態A)で,電路の負荷側における中性線5102及びコンセントの接地線の間の電圧を測定する。
【0104】
ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記コンセントの接地線と中性線102との間の合成抵抗は,(式3)のとおり,RTotal=RB+RDと表されるため,前記中性線102及びコンセントの接地線の間の電圧は,単純に前記合成抵抗が介在する抵抗回路の開放端の電圧に相当し,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して略ゼロボルトの測定電圧値が検出される。
【0105】
続いて,前記スイッチ手段401を開いた状態(非接地状態B)で,電路の負荷側における中性線5102及びコンセントの接地線の間の電圧を測定する。
【0106】
この場合には,前記コンセントの接地線と電圧線5101との間は,前記スイッチ手段5401により分離されているため,電圧は安定しないものとなる。即ち,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略等しくない測定電圧値となる。
【0107】
ここで,前記スイッチ手段5401を閉じた状態(接地状態A)と開いた状態(非接地状態B)とで得られた前記電圧値を比較すると,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,検出される電圧値Eは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化し,前記B種接地,前記D種接地が為されていない場合には,前記コンセントの接地線が,前記接地線5202,第2の電気的端子5203,大地5001,第一の電気的端子5103,中性線5102,変圧器の2次巻線を介して電圧線5101側と接続されていない状態であるため,前記電圧値Eは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化しないものとなる。
【0108】
したがって,判断部5303eは,前記電圧値の比較の結果前記電圧値に変化がある場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,前記電圧値の比較の結果前記電圧値に変化がない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する。
【0109】
次に,前述した第四の例を基として,スイッチ手段5401を前記コンセントの接地線と前記接地線5202との間に介在させた場合の説明を行う。
【0110】
この場合,まず,前記スイッチ手段5401を閉じた状態(接地状態A)で,電路の負荷側における電圧線5101及びコンセントの接地線間の電圧を測定する。
【0111】
ここで,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,前記コンセントの接地線と電圧線5101との間の合成抵抗は,(式5)のとおり,ZTotal=RB+R+Zと表されるため,前記中性線5102及びコンセントの接地線の間の電圧は,単純に前記合成インピーダンスが介在する抵抗−コイルの直列回路の開放端の電圧に相当し,前記中性線と電圧線との線間電圧と略等しい測定電圧値が検出される。
【0112】
そして,前記スイッチ手段5401を開いた状態(非接地状態B)で,電路の負荷側における電圧線5101及びコンセントの接地線の間の電圧を測定する。
【0113】
この場合には,前記コンセントの接地線と電圧線5101との間は,前記スイッチ手段5401により分離されているため,電圧は安定しないものとなる。即ち,前記中性線と電圧線との線間電圧に対して測定電圧値が略等しくない測定電圧値となる。
【0114】
ここで,前記スイッチ手段5401を閉じた状態(接地状態A)と開いた状態(非接地状態B)とで得られた前記電圧値を比較すると,前記B種接地,前記D種接地が為されている場合には,検出される電圧値Eは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化し,前記B種接地,前記D種接地が為されていない場合には,前記コンセントの接地線が,前記接地線5202,第2の電気的端子5203,大地5001,第一の電気的端子5103,中性線5102,変圧器の2次巻線を介して電圧線5101側と接続されていない状態であるため,前記電圧値Eは,前記接地状態Aと前記非接地状態Bとで変化しないものとなる。
【0115】
したがって,判断部5303eは,前記電圧値の比較の結果前記電圧値に変化がある場合には前記接地系統の接続が為されていると判断する。また,前記電圧値の比較の結果前記電圧値に変化がない場合には前記接地系統の接続が為されていないと判断する。
【0116】
また,第二の例,第五の例の場合も同様に,スイッチ手段5401を閉じた状態(接地状態A)と開いた状態(非接地状態B)とで得られた結果を比較することにより,その変化に基づいて,接地系統の状態の判断を行う。
【0117】
なお,前述した第一の例乃至第五の例に示した判断を複合的に実施し,前記接地状態A及び非接地状態Bの双方で得られた測定電流値もしくは測定電圧値を比較することにより確認するように構成してもよい。
【0118】
次に,接地極付コンセント1に設けられた前記判別状態識別部100について説明を行う。判断状態識別部100は,前述の判断手段による判断結果を,コンセント1の外部から視認可能に表示するものであり,特に,コンセント1における差込プラグを差込む側から識別がおこなえるように配設している。
【0119】
まず,図8は,判断部5303,判断状態識別部100,記憶部5304,インターフェース5305,スイッチ302,並びに電源303のブロック図を示したものである。
【0120】
スイッチ302は,接地端子近傍に設けられて,接地線を接地端子に接続/取外しする場合に,前記接地線の変位を受けて駆動するスイッチである。接地線を電線挿入孔に挿入したときと挿入していないときとの二つの状態を検出できるよう,2つの接点系統を設けて構成したものであり,接地線の挿入力を受けて第一の接点が閉路するとともに,接地線を接続していないときは一定の方向に付勢されて第二の接点が閉路するもので,接地線の挿入時に当接して回転するレバーの変位を受けて接点の開閉を行うマイクロスイッチや,接地線の挿入時に押圧されて変位し接点の開閉を行うマイクロスイッチを用いて構成するとよい。
【0121】
接地線の変位を検知するための構造としては,前述のように接地線挿入時に接地線がスイッチ部に設けたレバーに当接して接点を開/閉するメカニカルな構造としてもよいし,磁石などを用いた近接センサや,照度の変化などを検出する光電センサなどのセンサを用いて構成してもよい。
【0122】
電源303には,電池を用いている。コンセントは一般的に長期間使用が行われるため,電池には一次電池のほか,二次電池を用いてもよい。また,蓄電のために,コンデンサや静電容量が大きな電気二重層を用いて構成してもよい。なお,前述のような充電が可能な電源を用いる場合には,コンセントに接続される電圧相と中性相に接続して充電を行う充電回路を設けて,施工後に商用電源がコンセントに供給される場合に,前記二次電池に充電を行う構成としてもよい。なお,電池303は,出荷時には予め蓄電された状態で出荷することにより,配線工事の際に判別状態識別部が適切に表示される。
【0123】
判断状態識別部100は,ワンショット回路304と表示部400とを備えている。ワンショット回路304は,前記判断部5303からの出力を受けて,所定時間ONとなる矩形波信号を出力するものである。前記ワンショット回路は,フリップフロップ回路を用いて構成してもよいし,ワンショット機能を持つマイコンにより構成してもよく,種々の回路を用いて構成するとよい。
【0124】
本実施形態では,判断状態識別部100の表示部400として自己保持されるものを用いている。表示部400には,永久磁石と,ワンショット回路304からの出力信号を受けて駆動する電磁石とを組み合わせて自己保持型の表示部を構成している。前記表示部は,略コの字形に形成されたヨークの両端間に永久磁石を設けた識別部を回動自在に軸支することにより構成している。ヨークに巻回されたコイルに流す電流の方向を違えることにより,前記ヨークの両端間に生ずる磁極の極性が変化し,永久磁石とヨークとの磁極間で反発動作/吸引動作を利用して,前記識別部を一の状態から他の状態に回転させることで表示部の表示状態を変化させるものである。表示状態の変化が視認できるよう,判別部は色分けして構成している。
【0125】
また,記憶部5304が,前記判断部5303と接続されて設けられており,判断部5303は,前記判断部5303における検出電流データや判断結果データ,また,判断を行った日時データなどの各種計測データを経時的に記憶部5304に記憶させる。記憶部5304は,一般的な不揮発メモリに記憶するとよい。また,判断部5303をマイコンなどで構成する場合には,前記マイコン内に設けられている記憶部に記憶する方式としてもよい。
【0126】
また,インターフェース5305が,判断部5303と接続されて設けられており,記憶部5304に記憶された各種データは,前記インターフェース5305を介して外部から読み出される。インターフェースとしては,種々考えられるが,一般的なコネクタを設けて構成してもよいし,無線通信を行うよう構成してもよい。通信方式についても,種々考えられるが,データを読み出す機器に応じて,USB(ユニバーサル・シリアル・バス)形式や,RS−232C形式のシリアル通信など,用いるICチップやマイコンなどに応じて適宜選定するとよい。
【0127】
電線3が電線挿入孔に挿入されると,ワンショット回路304に電源303が印加され,表示部400に電線が差込まれたことが表示される。また,判断部5303は,接地系統の機能が正常であるか否か前述したような計測を行い,各種計測データ,判断結果データ,並びに計測日時データを記憶部に記憶させる。
【0128】
経時的に接地系統が機能しているか否かについてのデータを取得し記憶させるために,判断部5303に電子的なタイマーを設けて構成したり,マイコンを用いて判断部を構成し,定期的に判断が実施されるように構成する。
【0129】
そして,定期的に判断を行い,接地系統の機能状態が悪化したときには,前記ワンショット回路304に信号を出力し,表示部400の表示を正常な表示から異常の表示に切り替えて,接地系統が異常であることを認知せしめる。
【0130】
また,この他に,所定の時間間隔で確認するほか,所定のタイミング,年月日をカウントする機能を備えて,例えば,接地抵抗が変化しやすい季節の変わり目であるとか,手動にて確認を行いたい場合に確認を行うようにしてもよい。また,天候の変化や,温度,湿度を測定するセンサを設けて,温度や湿度が基準値から所定の値だけ変化があった場合に確認を行うようにしてもよい。
【0131】
また,接地線を引抜くときにも,スイッチ302が駆動されて,ワンショット回路304に信号が供給される。このときは,判断部5303が判断を行うが,接地線が接続されておらず,接地系統は機能していないから,判断状態確認窓に臨む前記判断部の状態が変化することにより,差込プラグを差込む側からから接地線が接地端子に接続されていなことが識別できる。なお,ワンショット回路から判断状態識別部401に出力する出力信号の極性を,接地線を挿入するときと,引抜くときとで,変化させるように構成しておくとよい。
【0132】
図9には,判断部5303と判断状態識別部401との間の通信を無線通信により行い,コンセント1への電線挿入時に駆動するスイッチ302,回路に電源を供給する電源303,一定時間後に電源供給を停止するタイマー305を設けた例を示している。
【0133】
タイマー回路305は,前記ワンショット回路304,無線通信回路306への電源供給時間を,電源の供給開始から一定時間後に停止するものである。タイマー回路としては,カウンター回路を用いて構成したタイマーでもよいし,コンデンサと抵抗を用いて構成した所定の放電時間を有する放電回路をタイマーとして用いたものでもよい。
【0134】
これにより,接地線3をコンセント1に設けられた電線挿入孔に挿入していくと,接地線の変位によりスイッチ302が駆動されて,判断部5303及びワンショット回路304に電源303が供給される。判断部5303は,前述したような所定の判断動作を行い,判断結果に基づいてワンショット回路304に信号を出力する。ワンショット回路304並びに無線通信回路306は,タイマー305により所定の時間だけ出力信号を出力する。
【0135】
無線通信回路402側においては,前記無線通信回路306からの受信した信号を,演算処理部5306によりデータ処理し,表示部400の表示,記憶部へのデータ記録などを行う。
【0136】
そして,前記出力信号を受けた表示部400により,表示の状態に基づいて,差込プラグを差込む側から接地系統が正常であるか否かが識別できる。ワンショット回路304及び無線通信回路306への電源供給は,タイマー回路305により一定時間後に停止されるため,電源の消耗は極力抑えられる。
【0137】
なお,インターフェース5305に外部機器を接続して,記憶部5304に記録したデータを読み出す場合には,インターフェース5305に外部機器が接続されたことを,電気信号の変化から演算処理部5306にて検出して,記憶部5304に記録されたデータを外部機器に送信する。
【0138】
データの読み出しを行う外部機器は,パーソナルコンピュータや,専用のデータ読み出し機器等種々の機器が想定されるが,外部機器に合わせて,適宜設計を行うとよい。また,外部機器として,一般的なメモリーカード(USBメモリやセキュアディスクカードなど)に対応させてインターフェースを構成し,メモリーカードに各種測定データを経時的に蓄積させてもよい。
【0139】
このように構成された判断状態識別部100は,コンセントにおける差込プラグの差込み面に設けているが,この他,コンセントを取り付ける取付枠,プレート枠,化粧枠の前面方向から視認可能に備えて構成することができる。
【0140】
一般的に,コンセントを取り付ける取付枠,プレート枠,化粧枠は,コンセントとは分離されて構成されているから,判断状態識別部100を,取付枠,プレート枠,化粧枠に設けた場合には,図10に示したように,これらの枠体の周囲に造営材側に蓄電部3031を配置し,前記蓄電部3031から接続部4021を介して判断状態識別部100に電源を供給する。そして,判別状態識別部100を,コンセント1の差込プラグを差込む側から視認可能なように,これらの枠体における判別状態識別部100の前方部分に図1,図2に31,21にて示したように孔部を設けて構成する。また,孔部に替えて透光部を設けて構成してもよい。また,蓄電部3031は,電源容量に合わせて,周囲の一部のみの配置としてもよい。
【0141】
なお,図1,図2に示した判断状態識別部用の孔部や透光部は,図示した位置に限らず,枠部の左右上下,前面から側面にかけてなど,種々の配置としてもよい。
【0142】
このように構成した表示部400を,造営材40に設けられる埋込孔にコンセントを埋込取付けするための取付枠や,埋込孔の周囲を囲む形で前記取付枠に固定されるプレート枠,造営材40に対してプラグが差込まれる側に取り付けられる化粧枠30,に設けて構成することにより,前記表示部を取り付ける場所に自由度が得られ,視覚的に見やすい位置に表示部400を設けることができる。
【0143】
なお,ワンショット回路304と表示部400との信号通信に関しては,次のように,コンセント筐体と取付枠,取付枠とプレート枠,プレート枠と化粧枠との取付部や嵌合部を介して行うとよい。プレート枠,化粧枠は樹脂製であるから,樹脂の内部に配線パターンを形成し,プレート枠と化粧枠との取付部や嵌合部に接点部を設けて電路を形成するとよい。なお,取付枠は一般的に金属製であることが多いため,取付枠上においては配線に被覆を設けて絶縁を確保するとよい。
【0144】
この他,有線による信号通信以外に,無線信号送受信部を,ワンショット回路304及び表示部400に設けて,無線通信により信号通信を行ってもよい。無線信号は,コンセントのごく近傍に伝送できればよいので,出力は小さくてよく,このため消費電力を抑えることができる。また,無線方式としては,低消費電力である無線方式を適宜選択するとよい。
【0145】
また,蓄電部の充電については,接触型,非接触型のいずれでもよい。
【0146】
接触型の場合は,充電回路とコンセントの筐体内部における電圧極及び中性極とを物理的に接続し,充電回路から蓄電部に給電を行う。電圧極及び中性極から充電回路,または電圧極及び中性極から蓄電部までの配線接続は,ワンショット回路304と表示部400との信号通信と同様に,コンセント筐体と取付枠,取付枠とプレート枠,プレート枠と化粧枠との取付部や嵌合部を介して行うとよい。プレート枠,化粧枠は樹脂製であるから,樹脂の内部に配線パターンを形成し,プレート枠と化粧枠との取付部や嵌合部に接点部を設けて電路を形成するとよい。なお,取付枠は一般的に金属製であることが多いため,取付枠上においては配線に被覆を設けて絶縁を確保するとよい。
【0147】
また,非接触型の場合は,電力の伝送を電磁誘導を用いて行えるよう,コンセントの筐体内部および枠体部同心円状にコイルを配設して構成する。このほか,電波受信,磁気共鳴などにより電力の伝送を行えるよう構成してもよい。
【0148】
これにより,コンセントの配線を施工後に,商用電源が給電された場合には,充電回路により蓄電部に充電が開始され,継続的に,ワンショット回路304や判断手段に必要な電源の確保を行うことができる。
【0149】
また,表示部400の他の例として,自己保持型以外にも,LEDや液晶を用いた表示を行ってもよい。
【0150】
例えば,図11に示したように,判断状態識別部100において,ワンショット回路304に替えて,前述した判断部による判断結果に基づいて,表示データを生成する表示データ生成部3041と,前記表示データ生成部により生成された表示データを表示する表示部とを設けて構成する。
【0151】
表示データ生成部3041は,前記判定部から出力された判定結果に基づいて,表示部400に表示するための表示データを生成する。具体的には,キャラクタジェネレータ機能を有するマイコンやドライバなどで構成するとよい。表示データは,接地系統の接続状態の良し悪しや,測定した電流値,測定した電圧値,判断部演算の結果得られた接地抵抗値など接地系統の状態が把握できるデータを生成し,表示部400に向けて出力されるようにするとよい。
【0152】
また,図12及び図13には,表示部400は,液晶ディスプレイを用いて構成した例を示している。前記液晶ディスプレイは,前述のキャラクタ表示データを適宜表示する。なお,表示部400としては,この他外部から視認可能な表示機能を有する有機ELディスプレイや,LEDなどを用いてより簡易に構成してもよい。図12は,化粧パネルに液晶ディスプレイを設けて構成した例,図13は,コンセント本体に液晶ディスプレイを設けた例を示している。ここで,例として表示している「0V」とは,第3の実施例に基づく表示を示したもので,変圧器5100の2次巻線の中性線5102側と,前記コンセントの接地線との間の電圧を表示したものである。なお,一般需要者にとっては,計測値自体は必要ないことも考えられるので,通常は,簡易に「良好」の表示のみ行い,保安業者が確認するときに,必要に応じて,この数値の表示を行うよう,別途,表示切替スイッチを設けて構成してもよい。
【0153】
また,より簡易に行う場合の例として,図14には,LED401の表示色により区別した表示を行い,接地の接続状態がよいと判断した場合には緑色のLEDを点灯させ,接地の接続状態がよくないと判断した場合には赤色のLEDを点灯させるように構成した例を示している。

【0154】
次に,接地系統の状態を表示する表示手段として,表示部400の他,コンセント1に接地線が接続されているか否かを機械的な表示で行うものを併せ持つ構成について説明を行う。
【0155】
この構成では,接地系統の機能が正常であるか否かを電気的に判断して表示を行うものが表示部400であるが,接地系統の状態が正常でない場合,故障点の把握や原因の切り分けを,より迅速に行うことができるよう,コンセント1に接地線が接続されているか否かを機械的に判別できる表示部401を,差込プラグを差込む側に設けたものである。
【0156】
図15乃至図18には,接地線をコンセント1の電線挿入孔に挿入するときの挿入力を用いて駆動し,接地線を接続した場合としない場合とで,前記判別状態識別部401aの外部からの視認状態が変化し,接地端子に接地線が接続されている限りは,外部から常に,前記判別状態識別部401aを視認することができる表示部の例を示した。
【0157】
まず,図15および図16の表示部は,前記接地線の挿入力を受けて回転することにより,判別状態識別部401aが外部から視認可能になるものである。前記表示部は,コンセント1の内部に回動自在に設けられ,一端には電線の挿入通路104に露出して電線の導体部に当接することにより回動力を得る当接部402aを備え,他端には電線が前記当接部402aに当接することにより回転して,判別状態確認窓401から視認可能な判別状態識別部401aを備えて構成された表示部を示している。
【0158】
前記当接部402aには,前記電線が当接したときに電線挿入の動きを妨げず,なおかつ,挿入方向の力を受けて回転方向に分力が得られるように,挿入方向に対して傾斜させた面を設けている。
【0159】
これにより,接地線3を電線挿入孔103に挿入すると,電線の導体部は挿入通路104を通り,当接部402aに当接し,表示部400aが図中右回りに回転し,判別状態識別部401aが判別状態確認窓100から視認可能に変位し,コンセント1のプラグを差込む側から,接地線が接地端子に接続されていることが分かる。接地線3を引き抜いた場合には,前記表示部400aは図中左回りに回転し,判別状態識別部401aが判別状態確認窓400から視認不可能に変位し,引き抜いたことがコンセント1のプラグを差込む側から分かる。
【0160】
次に,図17および図18の表示部400bは,前記接地線の挿入力を受けて挿入方向に押圧されることにより,判別状態識別部401bが外部から視認可能になるものである。前記表示部400bは,細長棒状に形成され,電線の挿入通路104,前記挿入通路104に連通する空洞部,前記空洞部に連通するガイド部405b内に,接地線と軸が略同じくなるよう配置される。
【0161】
前記表示部400bは,一端には,接地線の導体と正対して当接する当接部402bを備え,略中央部には,前記接地線の挿入方向とは逆の方向に判別状態識別部401bを付勢させる弾性体と,前記弾性体の力を受け止めるとともに,前記空洞部内壁に当接して表示部400bの位置を規制するストッパ406bを有して設けられる。また,判別状態識別部401bの周辺は,ガイド部405bに沿って撓み性を有するよう弾性部材で形成される。
【0162】
これにより,接地線3を電線挿入孔103に挿入していくと,電線の導体部は,挿入通路104に正対した当接部402bに当接し,弾性体の力に抗して表示部400bを押圧していき判別状態識別部401bが判別状態確認窓400から視認可能に変位し,コンセント1の外部から,接地線が接地端子に接続されていることが分かる。接地線3を引き抜いた場合には,前記表示部400bは弾性体の押圧力により電線挿入孔入り口の方向に変位し,併せて,判別状態識別部401bが判別状態確認窓100から視認不可能に変位し,引き抜いたことがコンセント1のプラグを差込む側から分かる。
【0163】
このように,コンセント1の差込プラグが差込まれる側に,接地線が接続されているか否かを表示する表示部401を設けたから,接地系統の機能が正常であるか否かを電気的に判断して表示を行う表示部400と相まって,接地系統の状態が正常でない場合,まず,コンセント自体に接地線は接続されているか否かなど,故障点の把握や原因の切り分けを,より迅速に行うことができるようになる。
【0164】
このように,接地工事や電気配線工事が為された後で,接地系統が正常に機能しているか否かを電気機器に電源を供給するコンセントの位置で,しかもプラグを差込む側から正常に機能しているか否かを,日常的に,しかも煩わしいことなく,施工時などにおいても商用電源の必要なく,コンセントにプラグを差込む側から見えやすい位置で確認することができ,しかも,接地系統の機能状態データを経年的に蓄積して確認することができ,接地の系統に不具合が予想される場合,故障点の把握や原因の切り分けを迅速に行うことができる接地極付のコンセントを提供することができる。
【0165】
なお,本発明は,前述した実施の形態に限定されることなく,発明の要旨を逸脱しない限りにおいて,適宜,必要に応じて応用が可能である。
【0166】
例えば,接地系統が正常に機能する状態であるか否かをより詳細に確認することを目的として,前記B種接地ならびにD種接地が正常に為された状態を基本状態として,前記基本状態における前述した実施の形態に示した測定電流値ならびに測定電圧値を基本データとして記憶部に記憶しておき,経年的に前記工程を反復して行う場合に,得られた測定電流値ならびに測定電圧値のデータを前記基本データと判定部にて比較することにより,正常な状態からのずれがあるか否かを把握し,前記ずれの大きさが所定の大きさになった場合には,接地の状態が正常に機能していないと判断するように構成してもよい。
【0167】
また,前記記憶部に記憶された前記基本データとして,実際に接地系統における抵抗値データを求めておき,経年的に前記判断を反復して行った結果得られた測定電流値ならびに測定電圧値のデータから抵抗値データを求め,各々の抵抗値データのずれが所定の大きさになった場合には,接地の状態が正常に機能していないと判断するように構成してもよい。
【0168】
また,前記基本データから得られる接地系統における抵抗値データ,ならびに,経年的に前記工程を反復して行った結果得られた測定電流値ならびに測定電圧値のデータから求められる抵抗値データが,前述した電気設備に関する技術基準に記載された,例えばD種接地工事の場合の接地抵抗値100Ω以内であるか否かを判定部により判断し,前記接地抵抗値よりも大きい場合には,接地の状態が正常に機能していないと判断するよう構成してもよい。
【0169】
また,本発明のコンセントに,ネットワーク通信部を設けて,前述の基本データや,経年的に前記工程を反復して得られた測定電流値ならびに測定電圧値のデータ,また,これらのデータから求められた抵抗値データや,接地の状態が正常であるか否かといったデータを,外部の機器で得られるようにすることで,外部の機器で設置の状態が正常に機能しているか否かを確認できるように構成してもよい。
【0170】
前記通信部としては,IEEE802.3で定められるイーサネット(登録商標)方式による通信部を設けて一般的な住宅内LANに接続できるよう構成してもよい。また,この他,特定小電力無線や,無線LAN方式などによる無線方式の通信部や,電力線にデータを重畳させる電力線搬送方式の通信部を設けて構成してもよい。
【0171】
そして,外部の機器としては,一般的なインターネットに接続可能な携帯電話や,コンピュータとしてもよいし,前述の各種データを蓄積し演算処理を行い表示を行う専用のデータ処理装置としてもよい。また,前記接地線分岐端子300で得られたデータを,ゲートウエイ装置を介し,インターネット網を経由して,インターネット上に設けられたデータ蓄積サーバに集積し,電力会社側から前記データ蓄積サーバにアクセスし,対象となる前記接地系統接続状態確認装置300からのデータを参照することにより,接地の状態が正常に機能しているか否かを確認できるように構成してもよい。
【0172】
これにより,従来では接地の状態を確認する場合には,前記当する現地に赴き確認を行う必要があったが,電力会社側で接地の状態を確認することができ,また,各電力会社の管轄内もしくは管轄内外における場所においても,地域の制約を受けることなく,広い範囲の接地の状態を統計的に確認することができる。
【0173】
さらには,得られた接地の状態のデータから,経年的なデータの変化を得ることにより,接地の状態が経年的にどのような変化を行っているのか,また,定められた接地抵抗値を超えた場合や,定められた接地抵抗値を超えそうな場合には,例えば,当前記場所における接地の状態を確認し,接地の状態が正常になるよう事前に改善を行うことができる。
【0174】
また,接地線分岐端子300に,報知部を設けて,前述の基本データや,経年的に前記判断を反復して得られた測定電流値ならびに測定電圧値のデータ,また,これらのデータから求められた抵抗値データや,接地の状態が正常であるか否かといったデータが,所定の値を超えたり,大きくずれたりしたような場合には,前記報知部から,接地の状態が正常ではない旨を報知させ,接地の状態が周囲で確認できるよう構成してもよい。
【0175】
また,電力会社側のサーバと前記接地極付のコンセント1とで双方向通信を行うようにしておき,電力会社側で把握した接地の状態を,前記報知部から報知させるようにすることで,接地の状態をより適切に確認することができる。
【0176】
前記報知させる音声データは,前記接地極付のコンセント1にマイコンを設けて,想定される音声を予め前記マイコン内部に格納しておくとよい。もしくは,インターネット網を介して,音声データを前記接地極付のコンセントの通信部に送信し,前記音声データを前記報知部から報知させるように構成してもよい。
【0177】
このように,通信機能を備えることで,接地工事や電気配線工事が為された後で,接地系統が正常に機能しているか否かを電気機器に電源を供給するコンセントの位置で,しかもプラグを差込む側から正常に機能しているか否かを,日常的に,しかも煩わしいことなく,施工時などにおいても商用電源の必要なく,コンセントにプラグを差込む側から見えやすい位置で確認することができ,しかも,接地系統の機能状態データを経年的に蓄積して確認することができるとともに,それらのデータを電力会社などで集約して,電気安全の保全に役立たせることができるなど,接地の系統に不具合が予想される場合,故障点の把握や原因の切り分けを迅速に行うことができる接地極付のコンセントを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本件の発明は,住宅用や産業用に一般的に用いられる接地極付のコンセントやマルチタップに広く適用できる可能性がある。
【符号の説明】
【0179】
1 コンセント
2 差込プラグ
3 接地線
20 プレート枠
30 化粧枠
40 造営材
31 判断状態確認窓
100 判断状態確認窓
101 接地端子
102 アースターミナル
103 電線挿入孔
104 挿入通路
200 接地線接続状態判断手段
201 判断状態識別部
202 当接部
203 弾性体
204 空洞部
205 ガイド部
206 ストッパ
300 接地線接続状態判断手段
302 スイッチ
303 電源
304 ワンショット回路
305 タイマー
306 無線信号送信部
400 表示部
401 判断状態識別部
402 無線通信部
4021 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電路に介在する変圧器2次巻線の中性線側が大地に設けられた第一の電気的端子により接地されるとともに,
前記変圧器の負荷側電路における接地系統が集中接地端子を介して大地に設けられた第二の電気的端子により接地される電路に接続されて,電気機器に電源を供給するために設けられた接地極付のコンセントであって,
コンセントの造営材内側となる裏面側には,電路の接地線が接続される接地端子を備え,
コンセントの筐体内部には,
接地状態の判断手段として,
前記変圧器の負荷側電路において,前記電路における電圧線もしくは中性線と,接地系統との間に電圧を印加する電圧印加部と,
前記電圧印加部により印加した電圧により,前記電路ならびに接地系統との間に流れる電流を検出する電流検出部と,
前記電流検出部により電流が検出された場合には前記接地系統の接続がなされていると判断し,
前記電流が検出されていない場合には,前記接地系統の接続がなされていないと判断する判断部を設けるとともに,
前記判断部における検出電流データ,判断結果データ,判断日時データを経時的に記憶する記憶部を設けて,
コンセントの差込プラグの刃が差込まれる面側には,少なくとも,前記接地端子と電気的に接続されて電気機器の接地線を接続するためのアースターミナルと,
前記判断部と接続されて,前記判断の状態がコンセントの差込プラグが差込まれる側から視認可能に配置された判断状態識別部と,
前記記憶部に記憶された前記データをコンセントの差込プラグが差込まれる側から読み出すインターフェースを設けて構成し,
判断状態の識別並びに記憶データの読み出しが差込みプラグを差込む側から行えるようにしたことを特徴とする接地極付のコンセント。

【請求項2】
請求項1記載の判断手段に替えて,
前記変圧器の負荷側電路において,
前記電路における中性線と接地系統との間の電圧を測定する電圧測定部と,
前記電圧測定部により前記電圧を測定した場合に前記変圧器の2次巻線の中性線と電圧線との線間電圧に対して測定した電圧値が略ゼロボルトである場合には,前記接地系統の接続がなされていると判断し,
前記電圧を測定した電圧値が略ゼロボルトでない場合には,前記接地系統の接続がなされていないと判断する判断部を設けて判断手段を構成したことを特徴とする請求項1記載の接地極付のコンセント。

【請求項3】
請求項2記載の判断手段に替えて,
前記変圧器の負荷側電路において,
前記電路における電圧線と接地系統との間の電圧を測定する電圧測定部と,
前記電圧測定部により前記電圧を測定した場合に前記変圧器の2次巻線の中性線と電圧線との線間電圧に対して測定した電圧値が略等しい電圧値である場合には,前記接地系統の接続がなされていると判断し,
前記電圧を測定した電圧値が略等しくない電圧値である場合には,前記接地系統の接続がなされていないと判断する判断部を設けて判断手段を構成したことを特徴とする請求項1記載の接地極付のコンセント。

【請求項4】
前記判断手段には,
前記判断手段が接続される電圧線もしくは中性線との接続を選択的に切り替える接続状態切替部を設け,
請求項1乃至請求項3記載の判断部による判断を選択的,又は併合して行う判断部を設けたことを特徴とする請求項1記載の接地極付のコンセント。

【請求項5】
前記判断手段には,
前記接地端子と,アースターミナルとの間に介在し,前記接地端子とアースターミナルとの電気的接続を入切する切替部と,前記切替部を外部から操作する操作部とを設けて,
判断手段は,入状態,切状態のそれぞれの場合において,請求項1乃至請求項3記載の判断部による判断を選択的,又は併合して行う判断部を設けたことを特徴とする請求項1記載の接地極付のコンセント。

【請求項6】
前記判断状態識別部並びにデータを読み出すインターフェースは,コンセントを造営材に固定するための取付枠に設けて,
判断状態の識別並びにインターフェースへのアクセスを差込みプラグを差込む側から行えるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5記載の内何れか1項記載の接地極付のコンセント。

【請求項7】
前記判断態識別部並びにデータを読み出すインターフェースは,コンセントを造営材に固定するときに設けられる埋込孔の周囲を囲むように前記取付枠に固定されるプレート枠に設けて,
判断状態の識別並びにインターフェースへのアクセスを差込みプラグを差込む側から行えるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5記載の内何れか1項記載の接地極付のコンセント。

【請求項8】
前記判断状態識別部並びにデータを読み出すインターフェースは,前記プレート枠に対して造営材と反対側に前記プレート枠に取付られる化粧パネルに設けて,
判断状態の識別並びにインターフェースへのアクセスを差込みプラグを差込む側から行えるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項5記載の内何れか1項記載の接地極付のコンセント。

【請求項9】
更に,前記記憶部を化粧パネルに設けて,記憶部への書き込みデータ量が上限に達した場合や,故障が発生した場合には,前記化粧パネルを新たな記憶部を備えた化粧パネルと交換可能に設けて,データの蓄積を継続することができることを特徴とする請求項8記載の接地極付のコンセント。

【請求項10】
造営材に対して,コンセントの差込プラグを差込む面を前面,接地線を接続する面を裏面としたとき,前記取付枠,プレート枠,化粧パネルにおける前記判断状態識別部の前方部分に孔部もしくは透光部を設けて,
前記判断状態識別部が差込みプラグを差込む側の外部から視認可能なように,またデータを読み出すインターフェースにアクセス可能なように構成したことを特徴とする請求項6乃至請求項9の内何れか1項記載の接地極付のコンセント。

【請求項11】
前記判断手段と判断状態識別部とに,それぞれ無線通信手段を設けて,前記判断手段と判断状態識別部との間の通信は無線にて行い,前記判断状態識別部が差込みプラグを差込む側の外部から視認可能なように構成したことを特徴とする請求項6乃至請求項10記載の内何れか1項記載の接地極付のコンセント。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−205570(P2010−205570A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50024(P2009−50024)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000109598)テンパール工業株式会社 (217)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】