説明

接点構造およびスイッチ

【課題】接点溶着を回避できる接点構造およびそれを用いたスイッチを提供する。
【解決手段】 固定片15,16の固定接点19,20を銀合金で構成する一方、この固定接点19,20に接離する可動片14の可動接点18を導電性プラスチック材料で構成し、このように融点等の物性値の異なる異種材料で構成することにより、固定接点19,20と可動接点18との接点溶着を回避し、信頼性および寿命の向上を図っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接点構造およびその接点構造を備えるスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチ、例えば、マイクロスイッチは、アクチュエータとしての押しボタンの操作に応じて、可動接点が、一方の固定接点から他方の固定接点に素早く移動して接点の切り替えを行なうものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−215751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかるマイクロスイッチの接点構造では、固定接点および可動接点のいずれも、銀合金などの同種の金属材料で構成されており、このため、可動接点が固定接点に接触開離する時、特に開離時に生じるアークなどによって接点溶着が生じ易く、接点寿命が短くなるといった難点がある。
【0004】
本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、接点溶着を回避できる接点構造およびそれを用いたスイッチを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の接点構造は、固定接点と該固定接点に接離する可動接点とを備える接点構造において、前記固定接点または可動接点の一方の接点を、導電性プラスチック材料で構成するとともに、他方の接点を金属材料で構成している。
【0006】
本発明によると、固定接点または該固定接点に接離する可動接点の一方の接点が、導電性プラスチック材料で構成されるとともに、他方の接点が、金属材料で構成される、すなわち、融点等の物性値が大きく異なる異種材料で構成されるので、接点の溶着が生じることがなく、信頼性および寿命が大幅に向上する。
【0007】
(2)本発明の接点構造の一つの実施形態では、前記金属材料が、銀合金である。
【0008】
この実施形態によると、接触抵抗および耐熱性が良好である。
【0009】
(3)本発明のスイッチは、遊端部に可動接点を備えた可動片と、端子に連結されるとともに可動片の基端を揺動可能に支持する受け部材と、他の端子に連結されるとともに前記可動片の遊端部に対向する固定接点を備えた固定片と、前記可動片をスナップ作動させて前記可動接点を前記固定接点に接離させるバネ部材とを備え、前記固定接点または可動接点の一方の接点を、導電性プラスチック材料で構成するとともに、他方の接点を金属材料で構成している。
【0010】
本発明によると、固定接点または該固定接点に接離する可動接点の一方の接点が、導電性プラスチック材料で構成されるとともに、他方の接点が、金属材料で構成される、すなわち、融点等の物性値が大きく異なる異種材料で構成されるので、接点の溶着が生じることがなく、スイッチの寿命が大幅に向上する。
【0011】
(4)本発明の好ましい実施形態では、前記バネ部材が、バネ性を有する前記可動片と一体に形成されてなるものである。
【0012】
この実施形態によると、部品点数および組み立て工数を削減することができる。
【0013】
(5)本発明の他の実施形態では、前記導電性プラスチック材料で構成される前記一方の接点が、インサート成形によって、前記固定片または前記可動片に一体化されてなるものである。
【0014】
この実施形態によると、強度および耐久性の良好な固定片または可動片を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、固定接点または該固定接点に接離する可動接点の一方の接点が、導電性プラスチック材料で構成されるとともに、他方の接点が、金属材料で構成されるので、接点の溶着が生じることがなく、信頼性および寿命が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面によって、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0017】
図1に、本発明に係るマイクロスイッチの一部を縦断した正面図が、また、図2にその分解斜視図がそれぞれ示されている。
【0018】
このマイクロスイッチは、絶縁樹脂材からなる中空のスイッチケース1を備え、このスイッチケース1は、図2に示すように、インサート装着された3つの端子2,3,4を有するケース本体1aと、このケース本体1aにピン5によって連結されるカバー1bとからなる。
【0019】
本体ケース1aには、一対の取付け用孔13が形成されている。
【0020】
カバー1bには、支点p回りに揺動可能に支持されたスイッチ操作用のレバー6と、該レバー6によって変位するアクチュエータ7と、バネ8とが装備されている。
【0021】
スイッチケース1には、スナップ作動式のスッチング機構9が内装されている。各端子2,3,4の下方には、配線を接続するための端子ネジ10,11,12が装備されている。
【0022】
スイッチング機構9は、コモン端子となる端子2の内端部に基端部(図1では左端部)がカシメ付け連結された板バネ製の可動片14、常閉端子となる端子3の内端部にカシメ付け連結された固定片15、常開端子となる端子4の内端部にカシメ付け連結された固定片16、で構成されており、可動片14の遊端部側から基端側に向けて延出されたスナップ作動用の一対のバネ片14aが弾性湾曲されて、その先端が端子2に固定された受け部材17の前端に係止されている。
【0023】
可動片14は、端子2との連結箇所を支点にして上下に湾曲揺動可能に片持ち支持されており、一対の固定片15,16は可動片14の遊端部に上下から対向するよう配備されている。
【0024】
可動片14の遊端に備えられた上下の可動接点18に対向する固定接点19,20が、各固定片15,16に設けられており、可動片14が上下に揺動して可動接点18が、固定接点19あるいは固定接点20に接触されることで、端子2と端子3の導通状態、あるいは、端子2と端子4の導通状態が得られるようになっている。アクチュエータ7の内端が、可動片14に基端側に上面から対向して操作端となる。
【0025】
スイッチング機構9は以上のように構成されており、通常時には、図1に示すように、可動片14の可動接点18が固定片15の固定接点19に押圧接触されて端子2と端子3が導通された状態で安定している。
【0026】
図2に示す状態から、レバー6が下方に揺動操作されてアクチュエータ7が変位すると、可動片14が復帰し、可動片14の可動接点18が、固定片16の固定接点20接触して導通し、接点切換えが行われる。
【0027】
レバー6の揺動操作が解除されると、可動片14は、図1に示す元の姿勢に戻って接点切換えが行われる。
【0028】
この実施形態の接点構造では、可動片14の可動接点18は、導電性プラスチック材料で構成されるとともに、固定片15の固定接点19および固定片16の固定接点20は、銀合金で構成される。
【0029】
導電性プラスチック材料としては、例えば、ポリアセチレン等の導電性高分子、プラスチックに導電性フィラーとして金属粉末等を混合させたもの、あるいはイオン伝導性高分子等がある。
【0030】
かかる導電性プラスチック材料は、腐らない、錆びないという利点に加えて、石油を原料としているので安く、更に、軽くて加工がし易いといった利点も有している。
【0031】
可動接点18は、例えば、インサート成形によって可動片14に一体化される。
【0032】
なお、固定接点19,20は、銀合金に限らず、銅合金や金合金といったその他の金属材料で構成してもよい。
【0033】
このように、互い接離する可動接点18と固定接点19,20とを、融点等の物性値が大きく異なる異種材料で構成するので、接点の溶着が生じることがなく、信頼性が向上するとともに、寿命が大幅に向上する。
【0034】
したがって、 特に、接点の溶着による切断不良が許されない厳しい用途などに好適である。
【0035】
上述の実施形態では、可動接点18を導電性プラスチック材料で構成し、固定接点19,20を金属材料で構成したけれども、他の実施形態として、可動接点18を金属材料で構成し、固定接点19,20を導電性プラスチック材料で構成してもよい。
上述の実施形態では、バネ片14aは、可動片14と一体であったけれども、他の実施形態として、別部材で構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、マイクロスイッチやリミットスイッチなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係るスイッチの一部縦断正面図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1 スイッチケース
14 可動片
15,16 固定片
18 可動接点
19,20 固定接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点と該固定接点に接離する可動接点とを備える接点構造において、
前記固定接点または可動接点の一方の接点を、導電性プラスチック材料で構成するとともに、他方の接点を金属材料で構成したことを特徴とする接点構造。
【請求項2】
前記金属材料が、銀合金である請求項1に記載の接点構造。
【請求項3】
遊端部に可動接点を備えた可動片と、端子に連結されるとともに可動片の基端を揺動可能に支持する受け部材と、他の端子に連結されるとともに前記可動片の遊端部に対向する固定接点を備えた固定片と、前記可動片をスナップ作動させて前記可動接点を前記固定接点に接離させるバネ部材とを備え、
前記固定接点または可動接点の一方の接点を、導電性プラスチック材料で構成するとともに、他方の接点を金属材料で構成したことを特徴とするスイッチ。
【請求項4】
前記バネ部材が、バネ性を有する前記可動片と一体に形成されてなる請求項3に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記導電性プラスチック材料で構成される前記一方の接点が、インサート成形によって、前記固定片または前記可動片に一体化されてなる請求項3に記載のスイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−242505(P2007−242505A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−65460(P2006−65460)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】