説明

接眼レンズ

【課題】広い見掛け視界、長いアイレリーフ、及び良好な収差補正を実現しながらも、光学系の全体をコンパクト化することの容易な接眼レンズを提供する。
【解決手段】この接眼レンズ(L1)は、対物レンズ(L0)による中間像(I’)の物体側に配置される負の屈折力の第1レンズ群(G1)と、中間像(I’)の観察眼側に配置される正の屈折力の第2レンズ群(G2)とを備える。第2レンズ群(G2)の最も物体側には、少なくとも一方の面が非球面であり、かつその頂点の曲率がゼロとなった補正板(LC)が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双眼鏡や望遠鏡、顕微鏡などの観察光学系に適用される接眼レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
双眼鏡、望遠鏡、顕微鏡などの光学機器においては、対物レンズが形成する実像をさらに拡大して観察するための接眼レンズが使用されている。
この接眼レンズによって広い視野(見掛け視界)の全体を観察者が快適に観察するためには、接眼レンズの観察眼側のレンズ面とアイポイントとの軸上の間隔(射出瞳距離,以下「アイレリーフ」という。)が、少なくとも、接眼レンズ全系の焦点距離の80%以上あるのが望ましい。
【0003】
しかし一般に、接眼レンズの視野周辺の光線の諸収差(特にコマ収差、非点収差、倍率色収差及び歪曲収差)を抑え、かつ広い見掛け視界を確保したまま、長いアイレリーフを確保するのは難しい。
そこで提案されたのが、特許文献1に開示された接眼レンズである。この接眼レンズは、物体側に負レンズ群、観察眼側に正レンズ群をそれぞれ配置し、それらのレンズ群の間に視野絞り(対物レンズによる中間像がここに形成される。)を有する。また、その接眼レンズを構成する一部のレンズは、非球面レンズとなっている。
【0004】
このように視野絞りの物体側に負レンズ群を配すると、広い見掛け視界と長いアイレリーフとの双方を確保し易くなる。しかも、その負レンズ群の屈折力を強くすれば、負レンズ群と正レンズ群との焦点距離の比を1:1に近づけてペッツバール和を小さくし、像面湾曲収差を良好に補正することができる。また、非球面レンズによって、視野周辺の光線の諸収差を補正することができる。
【特許文献1】特開平2003−287688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この接眼レンズでは、非球面レンズの非球面を除く他の光学面によって、本来の収差補正と瞳の収差補正(観察眼まで含めた光学系の歪曲収差の補正)との双方を全て果たさなければならない。その結果、著しいレンズの枚数の増加、又は、収差の残存を許容せざるを得ない。
因みに、一般的な仕様の双眼鏡(画角50°程度)に対しこの接眼レンズを適用する場合、レンズ枚数を抑える要求が高いので、収差の残存、特に歪曲収差の残存を許容せざるを得ない。
【0006】
そこで本発明は、広い見掛け視界、長いアイレリーフ、及び良好な収差補正を実現しながらも、光学系の全体をコンパクト化することの容易な接眼レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の接眼レンズは、対物レンズによる中間像の物体側に配置される負の屈折力の第1レンズ群と、前記中間像の観察眼側に配置される正の屈折力の第2レンズ群とを備え、前記第2レンズ群の最も物体側には、少なくとも一方の面が非球面であり、かつその頂点の曲率がゼロとなった補正板が配置されていることを特徴とする。
請求項2に記載の接眼レンズは、請求項1に記載の接眼レンズにおいて、前記第2レンズ群は、物体側から順に、前記補正板と、1つの貼り合わせレンズと、1枚の正レンズとからなることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の接眼レンズは、請求項2に記載の接眼レンズにおいて、前記貼り合わせレンズは、物体側に平面又は凹面を向けた張り合わせレンズであることを特徴とする。
請求項4に記載の接眼レンズは、請求項2又は請求項3に記載の接眼レンズにおいて、前記非球面の形状は、4次及び10次の非球面係数のみで表されるような形状であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の接眼レンズは、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の接眼レンズにおいて、前記接眼レンズの全体の合成焦点距離、前記第1レンズ群の焦点距離、前記第2レンズ群の焦点距離をそれぞれF、F1、F2とおき、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間の軸上の空気間隔をDとおき、前記非球面上の点の光軸からの距離をyとおき、前記非球面の頂点を原点とした前記点の光軸方向の変位をxとおいたとき、次の条件式(1),(2),(3),(4),すなわち、−9.0≦F1/F≦―3.8 ・・・(1),0.9≦F2/F≦3.0 ・・・(2),0.3≦D/F≦2.5 ・・・(3),0≦dx/dy≦0.3(但し、0<y<Fの範囲において) ・・・(4)を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、広い見掛け視界、長いアイレリーフ、及び良好な収差補正を実現しながらも、光学系の全体をコンパクト化することの容易な接眼レンズが実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1を参照して本発明の実施形態を説明する。
本実施形態は、双眼鏡に適用される接眼レンズの実施形態である。
先ず、本接眼レンズの構成を説明する。
図1は、本接眼レンズを含む双眼鏡の光学系の主要部(分岐プリズムなどを省略した主要部)の構成図である。
【0012】
図1において、符号「L1」で示すのが接眼レンズ、符号「L0」で示すのが対物レンズ、符号「E.P.」で示すのがアイポイントである。
接眼レンズL1は、物体側(対物レンズL0の側)から順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2とを配置してなる。
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に、対物レンズL0による中間像I’が形成される。この中間像I’の近傍に、視野絞りFSが配置される。
【0013】
第1レンズ群G1は、負の屈折力を有しており、第2レンズ群G2は、正の屈折力を有している。
第2レンズ群G2には、物体側から順に、補正板LC、1つの貼り合わせレンズG21、1枚の正レンズG22が配置される。
貼り合わせレンズG21は、物体側に平面又は凹面を向けた貼り合わせレンズである。
【0014】
補正板LCは、物体側の面Bが平面、観察眼側の面Aが非球面となった補正板である。非球面の形状を示す一般式は、次式(5)のとおりである。
【0015】
【数1】

【0016】
なお、式(5)において、
y:光軸からの距離,
x:非球面の頂点を原点とした光軸方向の変位,
c:非球面頂点における曲率(曲率半径の逆数),
κ:円錐定数,
2i:非球面係数
である。
【0017】
但し、本実施形態においては、面Aの頂点の曲率はゼロであり、c=0である。また、面Aの形状は、4次及び10次の非球面係数のみで表され、「c4」及び「c10」以外の非球面係数は、全てゼロである。
ここで、本接眼レンズL1の全体の合成焦点距離、第1レンズ群G1の焦点距離、第2レンズ群G2の焦点距離をそれぞれF、F1、F2とおく。また、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間の空気間隔をDとおく。また、補正板LCの面A上の点の光軸からの距離をyとおき、面Aの頂点を原点とした前記点の光軸方向の変位をxとおく。
【0018】
このとき、F,F1,F2,D,x,yは、次の条件式(1),(2),(3),(4)を満足する。
−9.0≦F1/F≦―3.8 ・・・(1)
0.9≦F2/F≦3.0 ・・・(2)
0.3≦D/F≦2.5 ・・・(3)
0≦dx/dy≦0.3(但し、0<y<Fの範囲において) ・・・(4)
次に、本接眼レンズL1の効果を説明する。
【0019】
本接眼レンズL1では、中間像I’の物体側に負の屈折力の第1レンズ群G1が配置されているので、その第1レンズ群G1による光の発散作用により、像面湾曲収差を支配するペッツバール和を小さく抑えることができる。
また、第2レンズ群G2の最も物体側に配置された補正板LCの面A(非球面)によって、視野周辺の光線の諸収差を補正することができる。
【0020】
しかも、補正板LCは、面A及び面Bの頂点の曲率がゼロなので、余分な収差を発生させることなく、必要な収差補正を確実に行うことができる。
その結果、本接眼レンズL1は、広い見掛け視界、長いアイレリーフ、及び良好な収差補正を実現しながらも、光学系の全体をコンパクト化することができる。
また、本実施形態の補正板LCは、平行平板状の光学材料を用意し、その表面を少量だけ加工するだけで実現可能である。よって、その材料に、光学ガラスを用いることも可能と考えられる。
【0021】
仮に、補正板LCの材料に光学ガラスが用いられれば、樹脂材料が用いられた場合よりも補正板LCの屈折率が高くなるので、収差補正の効果が高まる。
以上説明した効果を確実に得るために、上述した条件式(1),(2),(3),(4)が必要となる。以下、条件式(1),(2),(3),(4)の意味を順に説明する。
条件式(1)は、第1レンズ群G1の焦点距離F1と接眼レンズ全体の焦点距離Fとの比率を規定するものである。
【0022】
条件式(1)の下限値を下回ると、接眼レンズのペッツバール和が増大し、像面湾曲収差や非点収差の補正が不十分になる。
条件式(1)の上限値を上回ると、第1レンズ群G1の発散作用が過剰になり、第2レンズ群G2のレンズ径の増大を招き、コンパクト化の妨げとなる。
条件式(2)は、接眼レンズL1の全体の合成焦点距離Fと第2レンズ群G2の焦点距離F2との比率を規定するものである。これによって間接的に、第1レンズ群G1の焦点距離F1と第2レンズ群G2の焦点距離F2との比率が規定される。
【0023】
条件式(2)の下限値を下回ると、ペッツバール和が増大して像面湾曲収差の補正が困難になるので、好ましくない。
条件式(2)の上限値を上回ると、第1レンズ群G1の焦点距離F1が短くなり、その第1レンズ群G1で発生する収差が大きすぎて、第2レンズ群G2でも収差補正がもはや困難になってしまう。
【0024】
条件式(3)は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との軸上の空気間隔Dを規定するものである。
条件式(3)の下限値を下回ると、第1レンズ群G1と第2レンズG2の間隔が狭くなりすぎて、各レンズ群が中間像I’に近づくので、各レンズ面の傷やゴミが、観察眼の網膜上に結像され易くなり、好ましくない。
【0025】
条件式(3)の上限値を上回ると、接眼レンズL1の全長が拡大され、コンパクト性が失われるので好ましくない。
条件式(4)は、さらにバランスよく収差を補正するために面Aの非球面形状を規定するものであり、面A上の各点における接線の光軸直交方向に対する傾きを表している。
条件式(4)が満たされれば、バランスよく諸収差を補正することができ、特に歪曲収差を良好に補正することができる。また、第1レンズ群G1の負の屈折力により発生する諸収差を補正することができ、長いアイレリーフを確保するのに有利である。
【0026】
また、光学ガラスの表面を、条件式(4)を満たす非球面形状に加工することは、条件式(4)を満たさない非球面形状に加工することよりも、容易である。
次に、本接眼レンズL1の変形例を幾つか挙げておく。
本接眼レンズL1では、第2レンズ群G2の正レンズG22の観察眼側に、もう1枚正レンズが追加されてもよい。但し、正レンズは、1枚のみである方が、コンパクト性の点において好ましい。
【0027】
本接眼レンズL1では、補正板LCの観察眼側の面Aが非球面とされたが、原理的には、物体側の面Bが同様の非球面とされてもよい。但し、実際には、中間像I’から離れた観察眼側の面Aが非球面とされた方が好ましい。
なぜなら、光学材料(特に、光学ガラス)を非球面に加工したときには、その非球面の表面に加工ムラ(輪帯状のスジなど)が残ることがあり、その非球面が中間像I’に近いほど、その加工ムラが観察眼の網膜上に結像され易くなるからである。
【実施例1】
【0028】
以下、本実施形態に対応する実施例1(接眼レンズL1の実施例)を説明する。
図2(a)は、本接眼レンズの構成を示す断面図である。図2(a)の各要素には、図1中の対応する要素と同じ符号を付した。
表1は、本接眼レンズのレンズデータである。
表1中に※で示すのが、非球面である。表1中の表記において、
No:物体側から数えたレンズ面の番号,
R:曲率半径,
d:レンズ面の間隔,
νd:d線に対するアッベ数,
nd:d線に対する屈折率
である。また、長さの単位は[mm]である。
【0029】
【表1】

【0030】
表2は、本接眼レンズの仕様、条件式(1),(2),(3),(4)についての条件対応値、非球面の形状データ(式(5)のパラメータ)である。表2の表記において、
F:焦点距離
2ω:見掛け視界の画角
I:アイレリーフ
である。また、長さの単位は[mm]である。
【0031】
【表2】

【0032】
図2(b)は、本接眼レンズの諸収差図である。図2(b)に示す各収差は、d線に対する結像収差で、非点収差図中の実線はサジタル像面を、破線はメリジオナル像面を示す。また、図2(b)の表記において、
FN:Fナンバー,
ω:見掛け視界の半画角
である。
【0033】
このように、本実施例によると、諸収差は良好に抑えられ(図2(b)参照)、アイレリーフI=15.8mm、見掛け視界の画角2ω=50°であり、要素数は4つ、すなわち2枚のレンズ(G1,G22)、1つの貼り合わせレンズ(G21)、1つの補正板(LC)のみに抑えられる。
【実施例2】
【0034】
以下、実施例2(接眼レンズL1の実施例)を説明する。
図3(a)は、本接眼レンズの構成を示す断面図である。図3(a)の各要素には、図1中の対応する要素と同じ符号を付した。
表3は、本接眼レンズのレンズデータである。
表3中に※で示すのが、非球面である。表3の表記方法は、表1のそれと同じである。
【0035】
【表3】

【0036】
表4は、本接眼レンズの仕様、条件式(1),(2),(3),(4)についての条件対応値、非球面の形状データ(式(5)のパラメータ)である。表4の表記方法は、表2のそれと同じである。
【0037】
【表4】

【0038】
図3(b)は、本接眼レンズの諸収差図である。図3(b)の表記方法は、図2(b)のそれと同じである。
このように、本実施例によると、諸収差は良好に抑えられ(図3(b)参照)、アイレリーフI=14.7mm、見掛け視界の画角2ω=50°であり、要素数は4つ、すなわち2枚のレンズ(G1,G22)、1つの貼り合わせレンズ(G21)、1つの補正板(LC)のみに抑えられる。
【実施例3】
【0039】
以下、実施例3(接眼レンズL1の実施例)を説明する。
図4(a)は、本接眼レンズの構成を示す断面図である。図4(a)の各要素には、図1中の対応する要素と同じ符号を付した。図4(a)に示すように、本実施例の第1レンズ群G1は、1つの貼り合わせレンズからなる。
表5は、本接眼レンズのレンズデータである。
【0040】
表5中に※で示すのが、非球面である。表5の表記方法は、表1のそれと同じである。
【0041】
【表5】

【0042】
表6は、本接眼レンズの仕様、条件式(1),(2),(3),(4)についての条件対応値、非球面の形状データ(式(5)のパラメータ)である。表6の表記方法は、表2のそれと同じである。
【0043】
【表6】

【0044】
図4(b)は、本接眼レンズの諸収差図である。図4(b)の表記方法は、図2(b)のそれと同じである。
このように、本実施例によると、諸収差は良好に抑えられ(図4(b)参照)、アイレリーフI=15.9mm、見掛け視界の画角2ω=50°であり、要素数は4つ、すなわち1枚のレンズ(G22)、2つの貼り合わせレンズ(G1,G21)、1つの補正板(LC)のみに抑えられる。
【実施例4】
【0045】
以下、実施例4(接眼レンズL1の実施例)を説明する。
図5(a)は、本接眼レンズの構成を示す断面図である。図5(a)の各要素には、図1中の対応する要素と同じ符号を付した。図5(a)に示すように、本実施例の第1レンズ群G1は、1つの貼り合わせレンズからなる。
表7は、本接眼レンズのレンズデータである。
【0046】
表7中に※で示すのが、非球面である。表7の表記方法は、表1のそれと同じである。
【0047】
【表7】

【0048】
表8は、本接眼レンズの仕様、条件式(1),(2),(3),(4)についての条件対応値、非球面の形状データ(式(5)のパラメータ)である。表8の表記方法は、表2のそれと同じである。
【0049】
【表8】

【0050】
図5(b)は、本接眼レンズの諸収差図である。図5(b)の表記方法は、図2(b)のそれと同じである。
このように、本実施例によると、諸収差は良好に抑えられ(図5(b)参照)、アイレリーフI=15.5mm、見掛け視界の画角2ω=50°であり、要素数は4つ、すなわち1枚のレンズ(G22)、2つの貼り合わせレンズ(G1,G21)、1つの補正板(LC)のみに抑えられる。
【実施例5】
【0051】
以下、実施例5(接眼レンズL1の実施例)を説明する。
図6(a)は、本接眼レンズの構成を示す断面図である。図6(a)の各要素には、図1中の対応する要素と同じ符号を付した。図6(a)に示すように、本実施例の第1レンズ群G1は、1つの貼り合わせレンズからなる。
表9は、本接眼レンズのレンズデータである。
【0052】
表9中に※で示すのが、非球面である。表9の表記方法は、表1のそれと同じである。
【0053】
【表9】

【0054】
表10は、本接眼レンズの仕様、条件式(1),(2),(3),(4)についての条件対応値、非球面の形状データ(式(5)のパラメータ)である。表10の表記方法は、表2のそれと同じである。
【0055】
【表10】

【0056】
図6(b)は、本接眼レンズの諸収差図である。図6(b)の表記方法は、図2(b)のそれと同じである。
このように、本実施例によると、諸収差は良好に抑えられ(図6(b)参照)、アイレリーフI=16.1mm、見掛け視界の画角2ω=50°であり、要素数は4つ、すなわち1枚のレンズ(G22)、2つの貼り合わせレンズ(G1,G21)、1つの補正板(LC)のみに抑えられる。
【実施例6】
【0057】
以下、実施例6(接眼レンズL1の実施例)を説明する。
図7(a)は、本接眼レンズの構成を示す断面図である。図7(a)の各要素には、図1中の対応する要素と同じ符号を付した。図7(a)に示すように、本実施例の第1レンズ群G1は、1つの貼り合わせレンズからなる。
表11は、本接眼レンズのレンズデータである。
【0058】
表11中に※で示すのが、非球面である。表11の表記方法は、表1のそれと同じである。
【0059】
【表11】

【0060】
表12は、本接眼レンズの仕様、条件式(1),(2),(3),(4)についての条件対応値、非球面の形状データ(式(5)のパラメータ)である。表12の表記方法は、表2のそれと同じである。
【0061】
【表12】

【0062】
図7(b)は、本接眼レンズの諸収差図である。図7(b)の表記方法は、図2(b)のそれと同じである。
このように、本実施例によると、諸収差は良好に抑えられ(図7(b)参照)、アイレリーフI=15.9mm、見掛け視界の画角2ω=50°であり、要素数は4つ、すなわち1枚のレンズ(G22)、2つの貼り合わせレンズ(G1,G21)、1つの補正板(LC)のみに抑えられる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
なお、本発明は、双眼鏡の接眼レンズの他に、顕微鏡、望遠鏡などの他の光学機器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1実施形態の接眼レンズを含む双眼鏡の光学系の主要部の構成図である。
【図2】実施例1の接眼レンズの構成図、及び諸収差図である。
【図3】実施例2の接眼レンズの構成図、及び諸収差図である。
【図4】実施例3の接眼レンズの構成図、及び諸収差図である。
【図5】実施例4の接眼レンズの構成図、及び諸収差図である。
【図6】実施例5の接眼レンズの構成図、及び諸収差図である。
【図7】実施例6の接眼レンズの構成図、及び諸収差図である。
【符号の説明】
【0065】
L0 対物レンズ
L1 接眼レンズ
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
LC 補正板
G21 貼り合わせレンズ
G22 正レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズによる中間像の物体側に配置される負の屈折力の第1レンズ群と、
前記中間像の観察眼側に配置される正の屈折力の第2レンズ群とを備え、
前記第2レンズ群の最も物体側には、
少なくとも一方の面が非球面であり、かつその頂点の曲率がゼロとなった補正板が配置されている
ことを特徴とする接眼レンズ。
【請求項2】
請求項1に記載の接眼レンズにおいて、
前記第2レンズ群は、
物体側から順に、前記補正板と、1つの貼り合わせレンズと、1枚の正レンズとからなる
ことを特徴とする接眼レンズ。
【請求項3】
請求項2に記載の接眼レンズにおいて、
前記貼り合わせレンズは、
物体側に平面又は凹面を向けた張り合わせレンズである
ことを特徴とする接眼レンズ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の接眼レンズにおいて、
前記非球面の形状は、
4次及び10次の非球面係数のみで表されるような形状である
ことを特徴とする接眼レンズ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の接眼レンズにおいて、
前記接眼レンズの全体の合成焦点距離、前記第1レンズ群の焦点距離、前記第2レンズ群の焦点距離をそれぞれF、F1、F2とおき、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間の軸上の空気間隔をDとおき、前記非球面上の点の光軸からの距離をyとおき、前記非球面の頂点を原点とした前記点の光軸方向の変位をxとおいたとき、0<y<Fの範囲において、次の条件式(1),(2),(3),(4),すなわち、
−9.0≦F1/F≦―3.8 ・・・(1),
0.9≦F2/F≦3.0 ・・・(2),
0.3≦D/F≦2.5 ・・・(3),
0≦dx/dy≦0.3 ・・・(4)
を満足することを特徴とする接眼レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−98722(P2006−98722A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284649(P2004−284649)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(501439264)株式会社 ニコンビジョン (86)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】