説明

接着フィルム及びフラットケーブル

【課題】ラミネート性を向上させた接着フィルム及び屈曲性を向上させたフラットケーブルを提供する。
【解決手段】絶縁フィルム(1a,1b)上に接着剤層(2a,2b)を有する接着フィルム(10a,10b)であって、接着剤層(2a,2b)には、ベース樹脂としてリン変性ポリエステルウレタン樹脂を用いると共に、ベース樹脂100重量部に対してリン窒素系難燃剤60重量部以上100重量部以下および無機フィラー30重量部以上50重量部以下を配合した接着剤を用いる。
【効果】優れたラミネート性、屈曲性および難燃性が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着フィルム及びフラットケーブルに関し、更に詳しくは、ラミネート性を向上させた接着フィルム及び屈曲性を向上させたフラットケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁フィルム上に接着剤層を有する絶縁テープであって、接着剤のベース樹脂としてポリエステルウレタン樹脂を用いたフラットケーブル用絶縁テープが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−335100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では、環境保全重視の観点からノンハロゲン,ノンリンおよびノンアンチモン化を条件としており、接着剤のベース樹脂であるポリエステルウレタン樹脂もリンを含有するものではないし、難燃剤もハロゲン,リン,アンチモンを含有するものは使用しないこととしている。このため、接着剤のベース樹脂100重量部に対して金属水酸化物201〜250重量部を配合し、米国UL規格に適合する難燃性を得ている。
しかし、このように多量の金属水酸化物を配合するとラミネート性が著しく悪化し、フラットケーブルを製造しても屈曲性が悪くなってしまう問題点がある。
そこで、本発明の目的は、ラミネート性を向上させた接着フィルム及び屈曲性を向上させたフラットケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点では、本発明は、絶縁フィルム上に接着剤層を有する接着フィルムであって、接着剤のベース樹脂としてリン変性ポリエステルウレタン樹脂を用いると共に、前記接着剤は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して、(A)リン窒素系難燃剤60重量部以上100重量部以下、(B)無機フィラー30重量部以上50重量部以下、(C)遮蔽剤およびブロッキング防止剤、を配合したことを特徴とする接着フィルムを提供する。
上記第1の観点による接着フィルムでは、接着剤のベース樹脂に、リン化合物を共重合したリン変性ポリエステルウレタン樹脂を使用する。リン変性ポリエステルウレタン樹脂は、弾性率が高く、難燃性も有する。ベース樹脂が難燃性であること及びリン窒素系難燃剤に含まれるリン元素(燃焼時に炭化層を粘調にし、火の侵入を防ぐ)および窒素元素(燃焼時にNOxとなり、酸素を希釈し、燃焼を防ぐ)の複合作用により、ベース樹脂100重量部に対して難燃剤は60重量部以上100重量部以下で済む。また、無機フィラーは、ベース樹脂100重量部に対して30重量部以上50重量部以下で済む。このように、難燃剤や無機フィラーの配合量を抑制して米国UL規格に適合する難燃性が得られるため、ラミネート性を向上でき、屈曲性の高いフラットケーブルを製造しやすくなる。
【0006】
なお、リン酸エステル系難燃剤や縮合リン酸エステル系難燃剤は、添加量を増さなくては充分な難燃性が得られないが、添加量を増すとポリエステル樹脂の可塑剤としての作用が大きくなり、ブロッキングが発生しやすくなって絶縁テープとしての機能を保持できなくなる。また、窒素系難燃剤も難燃性が充分でなく、使用できない。
【0007】
第2の観点では、本発明は、上下の絶縁フィルム間に接着剤層を挟み、接着剤層中に1本以上の芯線を埋設したフラットケーブルであって、接着剤のベース樹脂としてリン変性ポリエステルウレタン樹脂を用いると共に、前記接着剤は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して、(A)リン窒素系難燃剤60重量部以上100重量部以下、(B)無機フィラー30重量部以上50重量部以下、(C)遮蔽剤およびブロッキング防止剤、を配合したことを特徴とするフラットケーブルを提供する。
上記第2の観点によるフラットケーブルでは、接着剤のベース樹脂に、リン化合物を共重合したリン変性ポリエステルウレタン樹脂を使用する。リン変性ポリエステルウレタン樹脂は、弾性率が高く、難燃性も有する。ベース樹脂が難燃性であること及びリン窒素系難燃剤に含まれるリン元素(燃焼時に炭化層を粘調にし、火の侵入を防ぐ)および窒素元素(燃焼時にNOxとなり、酸素を希釈し、燃焼を防ぐ)の複合作用により、ベース樹脂100重量部に対して難燃剤は60重量部以上100重量部以下で済む。また、無機フィラーは、ベース樹脂100重量部に対して30重量部以上50重量部以下で済む。このように、難燃剤や無機フィラーの配合量を抑制して米国UL規格に適合する難燃性が得られるため、屈曲性の高いフラットケーブルを製造できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の接着フィルムによれば、ラミネート性を向上できる。
本発明のフラットケーブルによれば、屈曲性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例に係るフラットケーブルの断面図である。
【図2】製造例1に係るフラットケーブルに用いた接着剤の組成を示す図表である。
【図3】製造例2に係るフラットケーブルに用いた接着剤の組成を示す図表である。
【図4】製造例3に係るフラットケーブルに用いた接着剤の組成を示す図表である。
【図5】製造例4に係るフラットケーブルに用いた接着剤の組成を示す図表である。
【図6】比較例1に係るフラットケーブルに用いた接着剤の組成を示す図表である。
【図7】比較例2に係るフラットケーブルに用いた接着剤の組成を示す図表である。
【図8】比較例3に係るフラットケーブルに用いた接着剤の組成を示す図表である。
【図9】比較例4に係るフラットケーブルに用いた接着剤の組成を示す図表である。
【図10】比較例5に係るフラットケーブルに用いた接着剤の組成を示す図表である。
【図11】比較例6に係るフラットケーブルに用いた接着剤の組成を示す図表である。
【図12】比較例7に係るフラットケーブルに用いた接着剤の組成を示す図表である。
【図13】比較例8に係るフラットケーブルに用いた接着剤の組成を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0011】
−実施例−
図1は、実施例に掛かるフラットケーブル100を示す断面図である。
このフラットケーブル100は、上下の絶縁フィルム1a,1b間に接着剤層2a,2bを挟み、接着剤層2a,2b中に1本以上の芯線4a〜4dを埋設した構造である。
絶縁フィルム1aと接着材層2aとにより接着フィルム10aが構成され、絶縁フィルム1bと接着材層2bとにより接着フィルム10bが構成される。
【0012】
接着フィルム10aは、例えば厚さ12μm〜75μmの絶縁フィルム1aの片面にプライマー液を乾燥被膜厚2μm以下となるよう塗布し、続いて塗布により厚さ20μm〜50μmの接着剤層2aを形成して得られる。
接着フィルム10bも同様にして得られる。
【0013】
絶縁フィルム1a,1bは、例えばポリエステルフィルムである。
プライマー液は、例えばポリエステル樹脂溶液を主成分とし密着性向上剤や硬化剤などを添加したものである。
接着剤層2a,2bの接着剤は、ベース樹脂としてリン変性ポリエステルウレタン樹脂を用いると共に、ベース樹脂100重量部に対してリン窒素系難燃剤60重量部以上100重量部以下および無機フィラー30重量部以上50重量部以下を配合したものである。
【0014】
リン変性ポリエステルウレタン樹脂としては、例えば東洋紡績社製の商品名「UR−3570」がある。
リン窒素系難燃剤としては、リン含有率が高い(9%以上)ものが好ましく、例えば味の素ファインテクノ社製の商品名「ポリセーフNH−12B」、日産化学工業社製の商品名「ホスメル−200」、四国化成社製の商品名「SP670」、日本化学工業社製の商品名「ヒシガードセレクトN−6ME」がある。
無機フィラーとしては、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」、堺化学社製の商品名「難燃助剤MGZ−5」などがある。
【0015】
フラットケーブル100は、芯線4a〜4dを並べ、接着フィルム10a,10bで挟み込み、熱ロール間を通過させてラミネートを行って得られる。
【0016】
−製造例1−
絶縁フィルム1a,1bは、それぞれ厚さ25μmのPETフィルムである。
接着材層2a,2bの厚さは、それぞれ35μmである。
心材4a〜4dは、0.05mm×0.70mmの平角錫めっき銅線である。
【0017】
図2に、製造例1に係る接着剤層2a,2bの組成および配合比を示す。
ベース樹脂のリン変性ポリエステルウレタン樹脂には、東洋紡績社製の商品名「UR−3570」を用いた。
リン窒素系難燃剤には、味の素ファインテクノ社製の商品名「ポリセーフNH−12B」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して60重量部とした。
無機フィラーには、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して30重量部とした。
遮蔽剤には、デュポン社製の商品名「R−900」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して4重量部とした。
ブロッキング防止剤には、Degussa社製の商品名「OK412」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して1重量部とした。
上記成分をビーズミルにて混合した。
【0018】
ラミネート性の試験として、製造したフラットケーブル100の断面を目視し、芯線4a〜4dの周りに気泡が存在しなければ合格と判定し、気泡が存在すれば不合格と判定することとした。その結果は合格であった。
屈曲性の試験として、製造例1に係るフラットケーブルをR5mmで曲げ/伸張を繰り返し芯線4a〜4dのいずれかが破断するまでの回数を測定した。その結果は、200万回であった。
難燃性の試験は、UL94VW−1に規定する燃焼試験に準拠した。その結果は、合格であった。
【0019】
−製造例2−
絶縁フィルム1a,1bは、それぞれ厚さ25μmのPETフィルムである。
接着材層2a,2bの厚さは、それぞれ35μmである。
心材4a〜4dは、0.05mm×0.70mmの平角錫めっき銅線である。
【0020】
図3に、製造例2に係る接着剤層2a,2bの組成および配合比を示す。
ベース樹脂のリン変性ポリエステルウレタン樹脂には、東洋紡績社製の商品名「UR−3570」を用いた。
リン窒素系難燃剤には、日産化学工業社製の商品名「ホスメル−200」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して60重量部とした。
無機フィラーには、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して50重量部とした。
遮蔽剤には、デュポン社製の商品名「R−900」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して4重量部とした。
ブロッキング防止剤には、Degussa社製の商品名「OK412」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して1重量部とした。
上記成分をビーズミルにて混合した。
【0021】
ラミネート性は、合格であった。
屈曲性の試験結果は、200万回であった。
難燃性の試験結果は、合格であった。
【0022】
−製造例3−
絶縁フィルム1a,1bは、それぞれ厚さ25μmのPETフィルムである。
接着材層2a,2bの厚さは、それぞれ35μmである。
心材4a〜4dは、0.05mm×0.70mmの平角錫めっき銅線である。
【0023】
図4に、製造例3に係る接着剤層2a,2bの組成および配合比を示す。
ベース樹脂のリン変性ポリエステルウレタン樹脂には、東洋紡績社製の商品名「UR−3570」を用いた。
リン窒素系難燃剤には、四国化成社製の商品名「SP−670」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して100重量部とした。
無機フィラーには、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して30重量部とした。
遮蔽剤には、デュポン社製の商品名「R−900」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して4重量部とした。
ブロッキング防止剤には、Degussa社製の商品名「OK412」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して1重量部とした。
上記成分をビーズミルにて混合した。
【0024】
ラミネート性は、合格であった。
屈曲性の試験結果は、200万回であった。
難燃性の試験結果は、合格であった。
【0025】
−製造例4−
絶縁フィルム1a,1bは、それぞれ厚さ25μmのPETフィルムである。
接着材層2a,2bの厚さは、それぞれ35μmである。
心材4a〜4dは、0.05mm×0.70mmの平角錫めっき銅線である。
【0026】
図5に、製造例4に係る接着剤層2a,2bの組成および配合比を示す。
ベース樹脂のリン変性ポリエステルウレタン樹脂には、東洋紡績社製の商品名「UR−3570」を用いた。
リン窒素系難燃剤には、日本化学工業社製の商品名「ヒシガードセレクトN−6ME」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して70重量部とした。
無機フィラーには、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して40重量部とした。
遮蔽剤には、デュポン社製の商品名「R−900」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して4重量部とした。
ブロッキング防止剤には、Degussa社製の商品名「OK412」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して1重量部とした。
上記成分をビーズミルにて混合した。
【0027】
ラミネート性は、合格であった。
屈曲性の試験結果は、200万回であった。
難燃性の試験結果は、合格であった。
【0028】
−比較例1−
絶縁フィルム1a,1bは、それぞれ厚さ25μmのPETフィルムである。
接着材層2a,2bの厚さは、それぞれ35μmである。
心材4a〜4dは、0.05mm×0.70mmの平角錫めっき銅線である。
【0029】
図6に、比較例1に係る接着剤層2a,2bの組成および配合比を示す。
ベース樹脂のリン変性ポリエステルウレタン樹脂には、東洋紡績社製の商品名「UR−3570」を用いた。
リン窒素系難燃剤には、日産化学工業社製の商品名「ホスメル−200」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して120重量部とした。
無機フィラーには、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して30重量部とした。
遮蔽剤には、デュポン社製の商品名「R−900」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して4重量部とした。
ブロッキング防止剤には、Degussa社製の商品名「OK412」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して1重量部とした。
上記成分をビーズミルにて混合した。
【0030】
ラミネート性は、不合格であった。
屈曲性の試験結果は、30万回であった。
難燃性の試験結果は、合格であった。
【0031】
−比較例2−
絶縁フィルム1a,1bは、それぞれ厚さ25μmのPETフィルムである。
接着材層2a,2bの厚さは、それぞれ35μmである。
心材4a〜4dは、0.05mm×0.70mmの平角錫めっき銅線である。
【0032】
図7に、比較例2に係る接着剤層2a,2bの組成および配合比を示す。
ベース樹脂のリン変性ポリエステルウレタン樹脂には、東洋紡績社製の商品名「UR−3570」を用いた。
リン窒素系難燃剤には、味の素ファインテクノ社製の商品名「ポリセーフNH−12B」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して40重量部とした。
無機フィラーには、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して50重量部とした。
遮蔽剤には、デュポン社製の商品名「R−900」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して4重量部とした。
ブロッキング防止剤には、Degussa社製の商品名「OK412」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して1重量部とした。
上記成分をビーズミルにて混合した。
【0033】
ラミネート性は、合格であった。
屈曲性の試験結果は、80万回であった。
難燃性の試験結果は、不合格であった。
【0034】
−比較例3−
絶縁フィルム1a,1bは、それぞれ厚さ25μmのPETフィルムである。
接着材層2a,2bの厚さは、それぞれ35μmである。
心材4a〜4dは、0.05mm×0.70mmの平角錫めっき銅線である。
【0035】
図8に、比較例3に係る接着剤層2a,2bの組成および配合比を示す。
ベース樹脂のリン変性ポリエステルウレタン樹脂には、東洋紡績社製の商品名「UR−3570」を用いた。
リン窒素系難燃剤には、日産化学工業社製の商品名「ホスメル−200」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して60重量部とした。
無機フィラーには、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して10重量部とした。
遮蔽剤には、デュポン社製の商品名「R−900」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して4重量部とした。
ブロッキング防止剤には、Degussa社製の商品名「OK412」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して1重量部とした。
上記成分をビーズミルにて混合した。
【0036】
ラミネート性は、合格であった。
屈曲性の試験結果は、80万回であった。
難燃性の試験結果は、不合格であった。
【0037】
−比較例4−
絶縁フィルム1a,1bは、それぞれ厚さ25μmのPETフィルムである。
接着材層2a,2bの厚さは、それぞれ35μmである。
心材4a〜4dは、0.05mm×0.70mmの平角錫めっき銅線である。
【0038】
図9に、比較例4に係る接着剤層2a,2bの組成および配合比を示す。
ベース樹脂のリン変性ポリエステルウレタン樹脂には、東洋紡績社製の商品名「UR−3570」を用いた。
リン窒素系難燃剤には、日産化学工業社製の商品名「ホスメル−200」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して60重量部とした。
無機フィラーには、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して60重量部とした。
遮蔽剤には、デュポン社製の商品名「R−900」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して4重量部とした。
ブロッキング防止剤には、Degussa社製の商品名「OK412」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して1重量部とした。
上記成分をビーズミルにて混合した。
【0039】
ラミネート性は、不合格であった。
屈曲性の試験結果は、50万回であった。
難燃性の試験結果は、合格であった。
【0040】
−比較例5−
絶縁フィルム1a,1bは、それぞれ厚さ25μmのPETフィルムである。
接着材層2a,2bの厚さは、それぞれ35μmである。
心材4a〜4dは、0.05mm×0.70mmの平角錫めっき銅線である。
【0041】
図10に、比較例5に係る接着剤層2a,2bの組成および配合比を示す。
ベース樹脂のリン変性ポリエステルウレタン樹脂には、東洋紡績社製の商品名「UR−3570」を用いた。
リン窒素系難燃剤には、味の素ファインテクノ社製の商品名「ポリセーフNH−12B」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して200重量部とした。
無機フィラーには、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して30重量部とした。
遮蔽剤には、デュポン社製の商品名「R−900」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して4重量部とした。
ブロッキング防止剤には、Degussa社製の商品名「OK412」を用いた。配合比は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して1重量部とした。
上記成分をビーズミルにて混合した。
【0042】
ラミネート性は、不合格であった。
屈曲性の試験結果は、10万回であった。
難燃性の試験結果は、合格であった。
【0043】
−比較例6−
絶縁フィルム1a,1bは、それぞれ厚さ25μmのPETフィルムである。
接着材層2a,2bの厚さは、それぞれ35μmである。
心材4a〜4dは、0.05mm×0.70mmの平角錫めっき銅線である。
【0044】
図11に、比較例6に係る接着剤層2a,2bの組成および配合比を示す。
ベース樹脂は、共重合ポリエステルであり、東洋紡績社製の商品名「バイロン300」を用いた。
リン窒素系難燃剤には、味の素ファインテクノ社製の商品名「ポリセーフNH−12B」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して60重量部とした。
無機フィラーには、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して30重量部とした。
遮蔽剤には、デュポン社製の商品名「R−900」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して4重量部とした。
ブロッキング防止剤には、Degussa社製の商品名「OK412」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して1重量部とした。
上記成分をビーズミルにて混合した。
【0045】
ラミネート性は、合格であった。
屈曲性の試験結果は、50万回であった。
難燃性の試験結果は、不合格であった。
【0046】
−比較例7−
絶縁フィルム1a,1bは、それぞれ厚さ25μmのPETフィルムである。
接着材層2a,2bの厚さは、それぞれ35μmである。
心材4a〜4dは、0.05mm×0.70mmの平角錫めっき銅線である。
【0047】
図12に、比較例7に係る接着剤層2a,2bの組成および配合比を示す。
ベース樹脂は、共重合ポリエステルであり、東洋紡績社製の商品名「バイロン300」を用いた。
リン窒素系難燃剤には、日産化学工業社製の商品名「ホスメル−200」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して60重量部とした。
無機フィラーには、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して30重量部とした。
遮蔽剤には、デュポン社製の商品名「R−900」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して4重量部とした。
ブロッキング防止剤には、Degussa社製の商品名「OK412」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して1重量部とした。
上記成分をビーズミルにて混合した。
【0048】
ラミネート性は、合格であった。
屈曲性の試験結果は、50万回であった。
難燃性の試験結果は、不合格であった。
【0049】
−比較例8−
絶縁フィルム1a,1bは、それぞれ厚さ25μmのPETフィルムである。
接着材層2a,2bの厚さは、それぞれ35μmである。
心材4a〜4dは、0.05mm×0.70mmの平角錫めっき銅線である。
【0050】
図13に、比較例8に係る接着剤層2a,2bの組成および配合比を示す。
ベース樹脂は、共重合ポリエステルであり、東洋紡績社製の商品名「バイロン300」を用いた。
難燃剤は、窒素系難燃剤の日産化学工業社製の商品名「メラミンシアヌレート」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して60重量部とした。
無機フィラーには、昭和電工社製の商品名「難燃助剤H−42」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して30重量部とした。
遮蔽剤には、デュポン社製の商品名「R−900」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して4重量部とした。
ブロッキング防止剤には、Degussa社製の商品名「OK412」を用いた。配合比は、共重合ポリエステル100重量部に対して1重量部とした。
上記成分をビーズミルにて混合した。
【0051】
ラミネート性は、不合格であった。
屈曲性の試験結果は、50万回であった。
難燃性の試験結果は、不合格であった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の接着フィルムおよびフラットケーブルは、電子機器の内部配線材に有用である。
【符号の説明】
【0053】
1a,1b 絶縁フィルム
2a,2b 接着剤層
4a〜4d 芯線
10a,10b 接着フィルム
100 フラットケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁フィルム上に接着剤層を有する接着フィルムであって、接着剤のベース樹脂としてリン変性ポリエステルウレタン樹脂を用いると共に、前記接着剤は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して、
(A)リン窒素系難燃剤60重量部以上100重量部以下、
(B)無機フィラー30重量部以上50重量部以下、
(C)遮蔽剤およびブロッキング防止剤、
を配合したことを特徴とする接着フィルム。
【請求項2】
上下の絶縁フィルム間に接着剤層を挟み、接着剤層中に1本以上の芯線を埋設したフラットケーブルであって、接着剤のベース樹脂としてリン変性ポリエステルウレタン樹脂を用いると共に、前記接着剤は、リン変性ポリエステルウレタン樹脂100重量部に対して、
(A)リン窒素系難燃剤60重量部以上100重量部以下、
(B)無機フィラー30重量部以上50重量部以下、
(C)遮蔽剤およびブロッキング防止剤、
を配合したことを特徴とするフラットケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−229273(P2010−229273A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77882(P2009−77882)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000003414)東京特殊電線株式会社 (173)
【Fターム(参考)】