接着ラインを制御する接着パッチ
構造物の一領域を再加工するためにパッチが使用される。パッチは接着剤層によって構造物に接着され、空気及び/又は過剰な接着剤が抜け出ることができる貫通孔を有することができる。パッチ及び構造物の間に配置されたスペーサは、接着剤及び/又は接着ラインの厚さを制御するために使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して接着設備及び工程に関し、さらに具体的には接着パッチを使用して構造物の再加工を行う方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
接着剤は多様な応用形態においてパーツ及び構造物を接着するために使用することができる。航空機産業では例えば、接着剤を使用して外板等の構造物にパッチを接着して構造物の一領域を改善する、再加工する、及び/又は修理することができる。ある場合には、パッチ及び/又は構造物は複合材料でできていてよい。構造物及び/又はパッチに接着剤層を形成した後に、パッチに熱とともに圧力をかけて接着剤を硬化させてパッチ及び構造物において強い接着状態を形成する。この接着工程は現場で簡単に実施することができないため、通常は例えば非限定的に、特殊な取扱設備及び複合材の知識を持つ熟練の技術者が得られるメンテナンス/修理ハンガー施設内で通常制御された状態で実施されうる。
【0003】
接着パッチの強度、及び/又は寿命は、接着剤の厚さ、パッチの領域上の接着剤の厚みの均一性、及び/又は非限定的に結合部の多孔性が原因で発生するパッチ及び構造物間の間隙又はエアポケットの存在に部分的に依存しうる。接着ラインの厚さと多孔性は、パッチ取付け時にパッチに印加される圧力を制御することによってある程度制御することができる。しかしながら、特定の接着ラインの厚さを得るのに必要な的確な圧力を判断するのは難しい場合があり、いずれにしても、この的確な圧力をパッチ全体に均一に印加することは困難でありうる。一定の厚さの膜タイプの接着剤は上述の問題に対する一つの可能な解決法であるが、しかしながら、膜接着剤の使用は、例えば非限定的に、使用準備ができるまで膜を冷蔵する必要がある等、膜接着剤に必要となりうる特殊な取扱要件により、ある応用形態においては現実的でない可能性がある。
【0004】
したがって、パッチのほぼ全体領域上の接着ラインの厚さを綿密に制御することを可能にし、間隙に起因する接着部の多孔性を低減するまたは除去する、構造物にパッチを接着する方法が必要である。また、特殊な取扱いを必要とせず、取付け者の技術にそれほど依存せず、一貫した繰り返し可能な結果をもたらす接着剤を使用して、現場で実施可能な構造物にパッチを接着する方法も必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態によれば、パッチのほぼ全体領域上で接着ライン又は接着剤の厚さを制御することができる、構造物にパッチを接着する方法が提供されている。本方法は取付け者に高い技術レベルを要求せず、現場で実施された場合にも一貫した繰り返し可能な結果をもたらすことができる。接着剤をパッチの領域上に均一に所望の厚さに塗布することを可能にするのを助けるためにスぺーサが使用される。ある実施形態では、スペーサはパッチと構造物の間に配置される。任意に、スペーサは接着剤を塗布した後に取り除くことができる、又は接着剤の圧縮を制限することで、パッチを圧縮し硬化させている時に所望の接着ラインの厚さが維持されるように、パッチと構造物の間に残すことができる。別の実施形態では、スペーサはパッチを構造物に対して圧縮するのに使用される工具の一部を形成する。任意にパッチに貫通孔をあけて、補修作業中にパッチが構造物に押し付けられているときにパッチから空気及び/又は過剰な接着剤を絞り出すことを可能にすることによって、接着部の多孔性を低減する又は除去することができる。パッチの取付けは一組の包装済みで事前設定した構造部品を使用して現場で比較的迅速に行うことができる。
【0006】
ある開示の実施形態によれば、パッチを準備して、構造物とパッチの間に粘性のある接着剤層を配置することを含む、構造物の一領域を再加工する方法が提供されている。スペーサは、接着剤層の厚さを制御するのに使用される。スペーサの使用には、スペーサをパッチと構造物のうちの一つの上に配置することが含まれ、粘性のある接着剤層の配置には、スペーサを介してパッチ及び構造物のうちの一つに接着剤を塗布することが含まれる。本方法はさらに、パッチを構造物に対して圧縮する前に、パッチ及び構造物のうちの一つからスペーサを取り除くことを含むことができる。スペーサの使用には、スペーサをパッチと構造物の間に配置して、パッチを構造物に対して圧縮している時に接着剤の圧縮が制限されるようにすることも含まれうる。
【0007】
別の開示の実施形態によれば、パッチを構造物に接着する方法が提供されている。本方法は、スペーサをパッチ及び構造物のうちの一つに配置して、パッチ及び構造物のうちの一つに粘性のある接着剤層を形成することを含む。接着剤の塗布には、スペーサを使用して接着剤を塗布している時に接着剤層の厚さを制御することを含みうる。本方法はさらに、パッチを構造物上に、接着剤をその間に挟んで配置し、パッチを構造物に対して圧縮し、接着剤を硬化させることを含む。本方法はまた、スペーサを使用して、パッチを構造物に対して圧縮している時に、接着剤層の圧縮を事前に選択した厚さに制限することも含むことができる。スペーサは、接着剤層が形成された後に取り除くことができる。
【0008】
さらなる開示の実施形態によれば、構造物の一領域を再加工するためのキットが提供されている。このキットは、再加工領域を覆って構造物に対して圧縮するのに適したパッチと、パッチ部材を構造物に接着する粘性接着剤を含む。またスペーサも、パッチを構造物に接着するのに使用される接着剤層の厚さを制御するために提供される。パッチは硬化繊維強化ポリマー複合材であってよい。
【0009】
さらなる実施形態によれば、構造物の一部分を再加工するために使用する複合パッチが提供される。複合パッチは、パッチと構造物の間に配置された接着剤層によって構造物に接着されるのに適した面を含む。パッチは、面全体に分布した複数のスペーサ要素を有し、接着剤層の厚さを制御するパッチと一体的に形成されている。
【0010】
開示の実施形態は、比較的迅速に実施することができ、接着部の多孔性を低減する又は除去する一方で接着ラインの厚さを綿密に制御することが可能である、構造物上にパッチを接着剤で接着する方法及び装置の必要が満たされる。
【0011】
1. 構造物の一領域を再加工する方法であって:
パッチを準備し;
粘性接着剤層を構造物とパッチの間に配置し;
スペーサを使用して接着剤層の厚さを制御し;
パッチを構造物に対して圧縮する
ことを含む方法。
【0012】
2.スペーサの使用には、スペーサをパッチ及び構造物のうちの一つに配置することが含まれ、
粘性接着剤層の配置には、スペーサを介してパッチ及び構造物のうちの一つに接着剤を塗布することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【0013】
3.パッチを構造物に対して圧縮する前に、パッチ及び構造物のうちの一つからスペーサを取り除く
ことをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【0014】
4.スペーサの使用には、パッチを構造物に対して圧縮する時に接着剤の圧縮を制限するために、パッチ及び構造物の間にスペーサを配置することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【0015】
5.スペーサの使用には:
スペーサをパッチ周囲の構造物に配置し;
スペーサを使用してパッチの構造物に対する圧縮を制限する
ことが含まれる、請求項1に記載の方法。
【0016】
6.スペーサの使用には、相互に間隔を置いて配置されている構造物及びパッチの間に複数の細長いスペーサ要素を配置することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【0017】
7.パッチの準備には、スペーサをパッチと一体的に形成することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【0018】
8.パッチの準備には、パッチに複数の貫通孔を形成して、パッチを圧縮する時にパッチの下から空気が抜け出ることができるようにすることが含まれる、請求項1に記載の方法。
【0019】
9.パッチを圧縮する時に、パッチの周辺部にかかる圧力を制限する
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【0020】
10.構造物上にパッチを接着させる方法であって:
スペーサをパッチ及び構造物のうちの一つに配置し;
粘性接着剤層をパッチ及び構造物のうちの一つに形成し、これには接着剤を塗布する時にスペーサを使用して接着剤層の厚さを制御することが含まれ;
パッチを構造物上に接着剤をその間に挟んで配置し;
パッチを構造物に対して圧縮し;
接着剤を硬化させる
ことを含む方法。
【0021】
11.パッチを構造物に対して圧縮する時に、スペーサを使用して接着剤層の圧縮を事前に選択した厚さに制限する
ことをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0022】
12.パッチ周囲の構造物上にスペーサを配置し;
構造物上に配置されたスペーサを使用して、パッチにかかる圧縮力に反作用してパッチの構造物に対する圧縮を制限する
ことをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0023】
13.スペーサをパッチ及び構造物のうちの一つの上に配置するステップが、ビーズ、スクリーン、リング、細長いスペーサ要素、スペーサ隆起部及びピンのうちの少なくとも一つを配置することを含む
ことをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0024】
14.スペーサをパッチ及び構造物のうちの一つの上に配置するステップが、複数のスペーサ要素をパッチと一体的に形成することを含む、請求項10に記載の方法。
【0025】
15.構造物の一領域を再加工するキットであって:
再加工領域を覆って、構造物に対して圧縮されるのに適したパッチと;
パッチ部材を構造物に接着する粘性接着剤と;
パッチを構造物に接着するのに使用される接着剤層の厚さを制御するスペーサ
を含むキット。
【0026】
16.パッチが硬化繊維強化ポリマー複合材である、請求項15に記載のキット。
【0027】
17.スペーサが、接着剤が通る実質的に非圧縮性のスクリーンを含む、請求項15に記載のキット。
【0028】
18.スペーサがパッチと一体的に形成されている、請求項15に記載のキット。
【0029】
19.スペーサが、接着剤に混合される事前に計量された量の実質的に非圧縮性のビーズを含む、請求項15に記載のキット。
【0030】
20.スペーサが、パッチと構造物の間にそれぞれ配置される複数の細長い繊維を含む、請求項15に記載のキット。
【0031】
21.スペーサがパッチに一体化される、請求項15に記載のキット。
【0032】
22.スペーサが、複数の長さに切断され、構造物上に再加工領域を覆うように配置される、ある長さのフィラメントを含む、請求項15に記載のパッチ。
【0033】
23.構造物を再加工するのに使用する:
面と構造物の間に配置される接着剤層によって構造物に接着される前記面を有する複合パッチであって、
前記面全体に分布し、接着剤層の厚さを制御するためにパッチと一体的に形成された
複数のスペーサ要素を含むパッチ。
【0034】
24.現場において複合航空機構造物を再加工する方法であって:
再加工する構造物の一領域を準備し;
パッチを形成し、これにはパッチに貫通孔を形成することが含まれ;
パッチと構造物のうちの一つにスペーサを配置し;
接着剤層をパッチ及び構造物のうちの一つに形成し、これには接着剤をスペーサを介して塗布することにより、接着剤層の厚さを制御することが含まれ;
接着剤層が形成された後にスペーサを除去し;
構造物にパッチを適用し;
当て板をパッチの上に配置し;
当て板と構造物の間に反当て板を配置し;
パッチ、当て板、及び反当て板の組合せの上に圧力付与装置を装着し;
前記圧力付与装置を使用して、当て板を介してパッチに圧力を印加し;
反当て板を使用して当て板によって印加された圧力をパッチの周囲に制限し;
パッチの上に熱パックを装着し;
熱パックを使用して接着剤を硬化させる
ことを含む方法。
【0035】
25.複合航空機構造物を再加工するためのキットであって:
構造物に対して圧縮され構造物に接着されるおおむね平面のパッチであって、複数の貫通孔を含み、これによりパッチを構造物に対して圧縮させるときにパッチと構造物の間の空気がパッチを通って抜け出ることが可能になるパッチと;
事前計量した量の接着剤と;
再加工する構造物上の領域を画定するために構造物上に配置されるマスクと;
接着剤を硬化させる熱パックと;
パッチを構造物に対して圧縮させる圧縮装置と;
パッチと構造物の間の接着ラインの厚さを制御するために、平面部材と構造物の間に配置される実質的に非圧縮性のスペーサであって、前記スペーサが、
接着剤と混ぜ合わされる事前計量された量のビーズと、
スペーサリングと、
個々の長さに切断され、再加工する構造物上の一領域を覆うように構造物上に配置される、ある長さのフィラメントと、
複数のスペーサピンと、
スクリーン
のうちの少なくとも一つを含む実質的に非圧縮性のスペーサ
を含むキット。
【0036】
1.構造物の一領域を再加工する方法であって、
パッチを準備し、これにはパッチに複数の貫通孔を形成することが含まれ;
構造物とパッチの間に粘性の接着剤層を配置し;
パッチを構造物に押し付けて;
パッチ内の貫通孔を使用して、パッチが構造物に対して押し付けられるときに、パッチから空気及び/又は接着剤が絞り出されることを可能にする
ことを含む方法。
【0037】
2.スペーサをパッチと構造物の間に配置することによって、接着剤層の厚さを制御する
ことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【0038】
3.パッチと構造物の間にスペーサを配置するステップが、構造物とパッチの間に複数のビーズ及びスクリーンのうちの少なくとも一つを導入することを含む、請求項2に記載の方法。
【0039】
4.スペーサを配置するステップが、構造物とパッチの間に接着剤を配置する前に、接着剤にスペーサを導入することを含む、請求項2に記載の方法。
【0040】
5.構造物の表面を準備し;
少なくとも2つのリアクタンス性成分を混合することによって接着剤を準備し;
構造物の表面上にテンプレートを配置して再加工する構造物上の領域を画定し、接着剤の配置には、テンプレートを使用して接着剤を構造物の画定領域に塗布することが含まれ;
熱発生装置をパッチの上に適用して接着剤層を硬化させる
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【0041】
6.パッチの下の全ての空気がほぼ除去されたことを、パッチ内の貫通孔を通る過剰な接着剤の流れを観察することによって確認する
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【0042】
7.当て板を介してパッチの周囲に印加された圧力を制限するステップが、パッチ周囲外の構造物と当て板の間に反当て板を配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【0043】
8.パッチを構造物に接着させる方法であって:
パッチを構造物上に配置し;
パッチと構造物の間に接着剤層を配置し;
パッチの上に当て板を配置し;
当て板に圧力をかけることによってパッチを構造物に押し付けて;
反当て板を使用して当て板を介してパッチの周囲に印加した圧力を制限する
ことを含む方法。
【0044】
9.パッチ周囲に印加した圧力を制限するステップが、当て板の当て板周辺に印加された力に反作用することを含む、請求項8に記載の方法。
【0045】
10.力に反応するステップが、当て板と構造物の間の当て板の外側周辺に反当て板を配置することを含む、請求項8に記載の方法。
【0046】
11.パッチと構造物の間にスペーサを配置して接着剤層を所望の厚さに維持することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【0047】
12.スペーサをパッチと構造物の間に配置するステップが、それぞれ接着剤層の所望の厚さとおおむね等しい寸法を有するビーズを接着剤に導入することを含む、請求項11に記載の方法。
【0048】
13.スペーサをパッチと構造物の間に配置するステップが、パッチ及び構造物の間に、接着剤層の所望の厚さにおおむね等しい厚さを有するスクリーンを導入することを含む、請求項11に記載の方法。
【0049】
14.構造物の一領域の再加工に使用するパッチであって:
構造物に押し付けられて、接着剤層によって構造物に接着されるおおむね平面の部材であって、複数の貫通孔を含み、これによって平面部材が構造物に押し付けられるときに、パッチと構造物の間の空気が平面部材を通って抜け出ることが可能になる平面部材
を含むパッチ。
【0050】
15.平面部材の各貫通孔が、過剰な接着剤が貫通孔を通って流れ、パッチから流れ出るのを可能にするのに十分な幅を有する、請求項14に記載のパッチ。
【0051】
16.平面部材が多数重なった複合材料である、請求項14に記載のパッチ。
【0052】
17.複合材料が硬化される、請求項16に記載のパッチ。
【0053】
18.平面部材と構造物の間の接着剤の厚さを制御するために、平面部材と構造物の間に配置されるスペーサをさらに含む、請求項15に記載のパッチ。
【0054】
19.スペーサが、接着剤が通り抜けることができる実質的に非圧縮性のスクリーンを含む、請求項18に記載のパッチ。
【0055】
20.スペーサが、接着剤内に分散した複数の実質的に非圧縮性のビーズを含む、請求項18に記載のパッチ。
【0056】
21.接着剤で構造物表面上にパッチを接着させる装置であって:
接着工程において、パッチ上に配置されパッチに圧力を印加する当て板と;
当て板によってパッチの周囲に印加された圧力を制限する手段
を含む装置。
【0057】
22.圧力を制限する手段が、当て板と構造物表面の間の反当て板を含む、請求項21に記載の装置。
【0058】
23.反当て板が実質的にパッチを囲む、請求項21に記載の装置。
【0059】
24.反当て板は実質的に円形でパッチを囲んでおり、
当て板周辺部が反当て板を覆って係合する
請求項22に記載の装置。
【0060】
25.現場において複合航空機構造物を再加工する方法であって:
再加工される構造物の一領域を準備し;
パッチを形成し、これにはパッチに貫通孔を形成することが含まれ;
接着剤層をパッチ及び構造物のうちの一つに形成し;
スペーサをパッチと構造物の間に配置することによって、接着剤層の厚さを制御し;
パッチを構造物に適用し;
当て板をパッチの上に配置し;
反当て板を当て板と構造物の間に配置し;
パッチ、当て板及び反当て板の組み合わせの上に圧力付与装置を装着し;
圧力付与装置を使用して、当て板を介してパッチに圧力を印加し;
反当て板を使用して、当て板によってパッチ周囲に印加された圧力を制限し;
熱パックをパッチの上に装着し;
熱パックを使用して接着剤を硬化させる
ことを含む方法。
【0061】
26.複合航空機構造物を再加工するためのパッチであって:
構造物に押し付けられて、接着剤層によって構造物に接着されるおおむね平面の部材であって、構造物に押し付けられた時に、パッチと構造物の間の空気が平面部材を通って抜け出ることを可能にする複数の貫通孔を含む平面部材と;
接着剤層の均一性を制御するために、平面部材と構造物の間に配置される実質的に非圧縮性のスクリーンと;
平面部材を構造物に接着する接着剤層と;
接着剤層の厚さを制御するための接着剤層内のビーズ
を含むパッチ。
【0062】
特徴、機能及び利点は、本発明の様々な実施形態において個別に達成することができる、または下記の説明及び図面を参照することによってさらに詳細を理解することができる更に別の実施形態と組み合わせることができる。
【0063】
有利な実施形態を特徴づけていると思われる新規特性は添付の請求項に記載されている。有利な実施形態だけでなく、使用の好ましいモード、更なる目的及びその利点はしかしながら、添付の図面と併せて読むときに、本発明の有利な実施形態の下記の詳細説明を参照することによって最適に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は有利な実施形態による航空機の製造及び就航方法を示す図である。
【図2】図2は有利な実施形態を実行できる航空機を示す図である。
【図2A】図2Aは接着剤で接着された2つのパーツの間に所望の接着ラインの厚さを維持するためにスペーサを使用する様子を示す機能ブロック図である。
【図3】図3は有利な実施形態による接着環境を示す図である。
【図4】図4は有利な実施形態による接着剤の塗布断面を示す図である。
【図5】図5は有利な実施形態による接着剤層とビーズを塗布した構造物の断面図である。
【図6】図6は有利な実施形態によるパーツ上のマスクを示す図である。
【図7】図7は有利な実施形態による接着剤用に準備中のパーツを示す図である。
【図8】図8は有利な実施形態による接着剤とビーズの塗布を示す図である。
【図9】図9は有利な実施形態による接着剤とビーズを塗布したパーツを示す図である。
【図10】図10は有利な実施形態にしたがってパーツに接着剤を塗布する様子を示す図である。
【図11】図11は有利な実施形態にしたがって接着剤を塗布したパーツからスクリーンを除去する様子を示す図である。
【図12】図12は有利な実施形態にしたがって互いに接着された2つのパーツを示す図である。
【図13】図13は有利な実施形態にしたがってパーツを接着させる工程を示すフロー図である。
【図14】図14は有利な実施形態にしたがってパーツを接着させる工程を示すフロー図である。
【図15】図15は再加工が必要な領域を有する構造物の一部分の平面図である。
【図16】図16は図15の線16−16に沿って切り取った断面図である。
【図17】図17は再加工が行われている領域の上に配置されているテンプレートを示す平面図である。
【図18】図18はパッチ内の貫通孔を示すパッチの等角投影図である。
【図19】図19はパッチと接着剤層が再加工を必要とする領域の上に配置されている、図15に示す構造物の断面図である。
【図20】図20は図19と同様の図であるが、パッチの上に装着されている当て板及び反当て板を示す図である。
【図21】図21は当て板を示す上面図であり、反当て板とパッチの位置が実体のないものとして図示されている。
【図22】図22はパッチに力を印加するための熱パックと圧縮機を含む、補修方法を実行するための装置の分解組立図である。
【図23】図23は接着されたパッチを使用して構造物を再加工する方法のステップを示すフロー図である。
【図24】図24は接着されたパッチを使用して構造物を再加工するのに使用できる包装済みのキットの構成部品を示すブロック図である。
【図25】図25はスペーサの代替実施形態の斜視図である。
【図26】図26は図25の線26−26に沿って切り取った断面図である。
【図27】図27はパッチを圧縮している間接着ラインの厚さを維持するために図25のスペーサを使用している様子を示す断面図である。
【図28】図28はスペーサの別の実施形態の斜視図である。
【図29】図29は図15と同様の図であるが、接着剤を塗布する前に再加工領域の上に配置されている図28の複数のスぺーサを示す図である。
【図30】図30は図27と同様の図であるが、接着ラインの厚さを維持するために図28のスペーサを使用する様子を示す図である。
【図31】図31は別の形態のスペーサを有するパッチの底部を示す斜視図である。
【図32】図32は図31と同様の図であるが、さらなる形態のスペーサを示す図である。
【図33】図33は図30と同様の図であるが、接着ラインの厚さを維持するために図32のスペーサを使用する様子を示す図である。
【図34】図34は図29と同様の図であるが、別の実施形態のスペーサを示す図である。
【図35】図35は別の形態のスペーサが適用されている、貫通孔が形成されたパッチの平面図である。
【図36】図36は図35と同様の図であるが、貫通孔を有するパッチ上のスぺーサの異なるレイアウトを示す図である。
【図37】図37は別の形態のスペーサが形成されている、貫通孔を有するパッチの平面図である。
【図38】図38は図37の線38−38に沿って切り取った断面図である。
【図39】図39は別の形態のスペーサが形成されている、貫通孔を有するパッチの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図面をさらに具体的に参照し、本開示の実施形態を図1に示す航空機の製造及び就航方法100と図2に示す航空機200において説明することができる。まず図1を見てみると、航空機の製造及び就航方法を示す図は有利な実施形態にしたがって図示されている。試作段階においては、例示の航空機の製造及び就航方法100は図2の航空機200の仕様及び設計102と、材料調達104を含むことができる。
【0066】
製造段階においては、図2の航空機200の構成部品及びサブアセンブリの製造106と、システム統合108がおこなわれる。そのあとに、図2の航空機200は、認可及び納品110を経て就航112される。顧客によって使用されている間、図2の航空機200には所定の整備及び保守114(変更、再構成、改装、及びその他の整備及び保守も含むことができる)が予定される。
【0067】
航空機の製造及び就航方法100の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータによって行う又は実施することができる。これらの実施例ではオペレータは顧客であってよい。この説明のために、システムインテグレータは限定しないが、任意の数の航空機メーカー、及び主要システムの下請け業者を含むことができ;第三者は限定しないが、任意の数の供給メーカー、下請け業者、及びサプライヤを含むことができ;オペレータは、航空会社、リース会社、軍部、サービス組織等であってよい。
【0068】
次に図2を参照すると、有利な実施形態を実行できる航空機の図が図示されている。この実施例では、航空機200は図1の航空機の製造及び就航方法100によって製造され、複数のシステム204及び内部装飾206を有する機体202を含むことができる。システム204の実施例は、一又は複数の推進システム208、電気システム210、油圧システム212、及び環境システム214を含む。任意の数の他のシステムを含むことができる。航空宇宙における実施例を示したが、異なる有利な実施形態を自動車産業等の他の業界に応用することができる。
【0069】
本明細書に具現化された装置及び方法は、図1の航空機の製造及び就航方法100の一又は複数の段階において採用することができる。例えば、図1の構成部品及びサブアセンブリの製造106で製造された構成部品又はサブアセンブリは、図1の航空機200が稼動112している間に製造される構成部品又はサブアセンブリと同じ方法で加工又は製造することができる。
【0070】
また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、例えば非限定的に、航空機200を実質的に組立てしやすくする、又は航空機200にかかる費用を削減することによって、例えば図1の構成部品及びサブアセンブリの製造106とシステム統合108等の製造段階において用いることが可能である。同様に、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、またはこれらの組み合わせを、航空機200が稼動112している間に、又は図1の整備及び保守114において用いることができる。
【0071】
例えば非限定的に、有利な実施形態を使用して、航空機200の構成部品及びサブアセンブリの製造106及び/又はシステム統合108において航空機200のパーツを結合させることができる。加えて、有利な実施形態を整備及び保守114に採用して航空機200の再構成及び/又は修理を行うことができる。
【0072】
異なる有利な実施形態は、接着剤を塗布する現在の工程により、接着が行われる領域に塗布される接着剤層が均等にならない場合があることを認識し考慮に入れている。異なる有利な実施形態はまた、現在の工程により、接着剤を均等な層を形成するように塗布することができたとしても、接着剤層が所望の厚さにならない場合があることも認識し考慮に入れている。
【0073】
図2Aを参照すると、開示の実施形態にしたがって、パーツ304、310の一方又は両方に形成された接着剤層332を使用してパーツ304、310を相互に接着させる方法が提供されている。接着剤332の厚さ338は本明細書においてしばしば「接着ライン」とも呼ばれ、この「接着ライン」は一又は複数のスペーサ315をパーツ304、310の間に配置することによって制御することが可能である。後に記載するように、様々な形態のスペーサ315が可能である。ある実施形態では、スペーサ315を用いてパーツ304、310の一方又は両方にほぼ一定の厚さ338の均一な接着剤332の層を形成し、スペーサ315はパーツ304、310が相互に接着される前に取り除かれる。別の実施形態では、スペーサ315をパーツ304、310の間に残して、パーツ302、310が共に圧縮される時に、一定の接着ラインの厚さ338を維持するのを補助することができる。実際に、パーツ304、310が圧縮される時に、スペーサ315により接着剤332の圧縮が制限される。
【0074】
図3を参照すると、ある実施形態において、スペーサ315はスクリーン318及び/又は接着剤332に混合されるビーズ334を含むことができる。接着剤332及び複数のビーズ334はスクリーン318を介して第1パーツ304の表面328に塗布されて、接着剤332とビーズ334の層336が形成される。接着剤332とビーズ334の層336を有する第1パーツ304の表面328は第2パーツ310の表面340に接触するように配置されて、ビーズ334を含む接着剤層336が形成され、構造物307が形成される。構造物307は次に硬化させることができる。
【0075】
これらの実施例では、スクリーン318はある厚さを有することができ、接着剤332と複数のビーズ334をスクリーン318を介して第1パーツ304の第1面328に塗布することによって、実質的にスクリーン318の厚さ338を有する接着剤332とビーズ334の層336を得ることができる。
【0076】
複数のビーズ334は、パーツ304の第1面328に塗布された時に接着剤332とビーズ334の層336がほぼ均一な厚さ338になるようなサイズを有することができる。ビーズ334は、パーツ304、310を共に結合させるときに、接着剤332の層がほぼ均一な厚さ338を保つようにすることができる。結合されている一又は複数のパーツ304、310に圧力を印加することによって不均一な厚さになるとは限らない。さらに、ビーズ334及び/又はスクリーン318のサイズにより圧力下で厚さ338が維持されうる。
【0077】
図3においては、接着環境300が有利な実施形態にしたがって図示されている。この実施例では、接着環境300を使用してパーツ304とパーツ306の間に構造接着状態302を形成することができる。パーツ304とパーツ306で構造物307を形成することができる。これらの実施例では、パーツ304とパーツ306はプラットフォーム308のパーツであってよい。これらの実施例では、プラットフォーム308は例えば図2の航空機200であってよい。パーツ304は複合パーツ305の形態をとることができ、パーツ306は複合パーツ310の形態をとることができる。
【0078】
これらの実施例では、複合パーツ305は外板312であってよいが、その他の構造物、例えば非限定的に、床板、壁、フレーム、ストリンガー、スパー、ドア、及び他の構造物も考えられる。複合パーツ310は外板312に適用される前はおおむね平面であってよいパッチ314であってよい。平面なパッチ314を外板312に適用した後で、パッチ314が外板312の表面の輪郭に一致することにより、外板312が湾曲しているところではパッチ314もこれらの応用形態において湾曲しうる。パッチ314は平面である必要はなく、ある実施形態では、パッチ314は外板314に適用される前は湾曲している、又は輪郭を有していてよい。パッチ314は未硬化であってよく、又は予め硬化させたものであってよい。パーツ304及びパーツ306は接着システム316を使用して相互に接着させることができる。接着システム316はスクリーン318、テンプレートマスク320、アプリケータ322、当て板324、及び熱源326を含むことができる。
【0079】
テンプレートマスク320を複合パーツ305の第1面328に配置して領域330を露出させることができる。スクリーン318を次にテンプレートマスク320上に配置することができる。接着剤332及びビーズ334をスクリーン318を介して領域330の第1面328上に塗布して、接着剤及びビーズの層336を形成することができる。接着剤及びビーズの層336は硬化された時に、接着ライン337の形態をとることができる。
【0080】
接着剤332及びビーズ334を多数の異なるやり方で塗布することができる。例えば、接着剤332をビーズ334と混合して共に塗布して、接着剤及びビーズの層336を形成することができる。他の有利な実施形態では、接着剤332をスクリーン318の開口部341を介して塗布することができる。開口部341は特定の実行形態によって様々な形状及びサイズを有することができる。
【0081】
開口部341は、ビーズ334が開口部341を通ることができるサイズを有することができる。スクリーン318はまた、例えば非限定的に、スクリーンウィーブ、ねじ山間の開口部、ねじ山の直径、及び/又はその他好適なパラメータ等のその他のパラメータを有することもできる。これらのパラメータは、ビーズのサイズ、及び例えば、厚さ、粘着性、表面張力、粘性、及び/又はその他の付着性等の接着剤の特性と相互作用する場合がある。
【0082】
その後、ビーズ334を領域330の第1面328上の接着剤332に加えて、接着剤とビーズの層336を形成することができる。これらの実施例では、スクリーン318はほぼ均一であり得る厚さ338を有することができる。この結果、接着剤とビーズの層336は実質的に厚さ338も有しうる。
【0083】
ビーズ334の直径よりも大きい、結合前の厚さ338を有する接着剤332のある少ない量の過剰量を塗布して、複合パーツ305と複合パーツ310を結合させる時に発生しうる潜在的空隙を低減する及び/又は除去することができる。パーツ305とパーツ310を結合するときに、パーツを真空バッグ圧又はその他の圧力下に置いて、ビーズ334の直径に非常に近い厚さ332を有する均一な接着ラインを維持しながら、過剰な接着剤を絞り出すことができる。これにより全ての表面領域の上に十分に充填することができる。スクリーン318をパーツ305、310のうちの一つに配置し、その後接着剤332を、そして任意にビーズ336を、スクリーン318を通して接着剤/ビーズを押し出してスクリーン318上の過剰な接着剤をコテで取り除きパーツの上に塗布することによって、接着ラインの厚さ338を制御しやすくなりうる。
【0084】
アプリケータ322を使用してスクリーン318を介して複合パーツ305の第1面328上に接着剤332及び/又はビーズ334を塗布することができる。アプリケータ322はスクリーン318から過剰な接着剤332及び/又はビーズ334を除去して、実質的に厚さ338を有する接着剤及びビーズ336の層を形成することができる。
【0085】
接着剤及びビーズの層336が形成された後で、スクリーン318とテンプレートマスク320を取り除くことができる。複合パーツ310の第2面340を複合パーツ305の第1面328と接触するように配置することができる。接着剤及びビーズの層336内のビーズ334により、接着剤及びビーズの層336を実質的に厚さ338に維持することができる。ビーズ334により、厚さ338を実質的に同じレベルに維持することができる構造要素が提供されうる。接着剤及びビーズの層336のビーズ334がないと、厚さ338は圧縮後に領域330の部分においてまばらになる可能性がある。
【0086】
異なる有利な実施形態では、接着剤332を、パーツ304及びパーツ306の間で構造接着状態302を形成するのに好適でありうる全ての接着剤から選択することができる。異なる有利な実施形態では、接着剤332は、スクリーン318が接着剤及びビーズの層336から除去された時に、接着剤及びビーズの層336が実質的に厚さ338を維持することができるような粘性を有することができる。
【0087】
ある有利な実施形態では、接着剤332は未硬化状態にある時に、スクリーン318が取り除かれたときに適切な度合いの流れが起きるような粘性、粘着性、及び表面張力を有するように選択することができる。ビーズ334を有する又は有さない接着剤332は、接着剤332が構造物上にそのまま残り、スクリーン318が取り除かれた後わずかにリフローすることが可能となるような流れを維持しながら、第1面328に付着するようなものを選択することができる。接着剤332の選択は部分的に、接着剤332の塗布、及び複合パーツ305の第1面328と複合パーツ310の第2面340を結合している間に特性を維持できるような接着剤332の稼動時間を考慮に入れている。
【0088】
接着剤332はパーツ304とパーツ306の材料によって変化させることができる。例えば非限定的に、パーツ304とパーツ306が複合パーツ305と複合パーツ310の形態を取る場合、接着剤332は複合構成部品に好適な接着剤であってよい。
【0089】
パーツ305及び/又はパーツ310が金属又はアルミニウムパーツの形態をとる場合、異なる種類の接着剤が好適であり得る。選択される特定の接着剤は相互に接着されるパーツの材料、所望の接着強度、及びその他好適な要因に依存しうる。使用できる接着剤には、例えば非限定的に、エポキシ系接着剤、ウレタン接着剤、アクリル接着剤、及びその他好適な接着剤が含まれる。
【0090】
ビーズ334はサイズ335を有することができる。サイズ335は厚さ338又はその他何らかの所望の厚さに基づいて選択することができる。ビーズ334のサイズ355は厚さ338前後であってよい。さらに、接着剤及びビーズの層336内のビーズ334の量は、特定の実行形態によって変化しうる。ビーズ334は、ガラス、金属、セラミック、ゴム、及び/又はその他何らかの好適な材料のうちの少なくとも一つから選択された材料からなるものであってよい。ビーズ334はこれらの実施例では実質的に非圧縮性であってよい。
【0091】
この非圧縮性は厚さ338の減少を回避するのに望ましいものであり得る。本明細書で使用される「少なくとも一つの」という表現は、品目リストとともに使用される場合は、一以上の品目の異なる組み合わせを使用することができ、リストの中の各品目のうちの一つのみが必要であり得ることを意味する。例えば、「品目A、品目B、及び品目Cのうちの少なくとも一つ」は非限定的に、品目A、又は品目A及び品目Bを含むことができる。この実施例はまた、品目A、品目B、及び品目C、又は品目B及び品目Cも含むことができる。
【0092】
構造物307を硬化させて構造接着状態302を形成することができる。これらの実施例では、硬化を接着剤及びビーズの層336に対して実施してパーツ304とパーツ306の間に構造接着状態302を形成することができる。構造物307の硬化は熱源326を使用して行われる。熱源326は例えば非限定的に、熱パッド、オートクレーブ、又はその他何らかの好適な熱源であってよい。ある有利な実施形態では、硬化工程において当て板324を構造物307上に配置することができる。これらの実施例では、接着システム316を使用して行われる異なる作業は、人間のオペレータ342によって手動で、及び/又はロボット装置344によって自動的に行うことができる。
【0093】
図3の接着環境300は物理的又はアーキテクチャ制限を暗示するように図示されたものではなく、異なる有利な実施形態が実行可能である。ある有利な実施形態では、その他の構成部品を図示したものに加えて、又はその代わりに使用することができる。さらに別の有利な実施形態では、いくつかの構造部品は必要でない場合がある。
【0094】
例えば、ある有利な実施形態では、硬化工程において当て板324の使用は必要でない場合がある。さらに別の有利な実施形態では、複合パーツ310がパッチの形態をとる場合、複合パーツ310に通気孔を形成することができる。通気孔により、接着剤及びビーズの層336内に閉じ込められた空気を絞り出しやすくなり得る。さらに別の有利な実施形態では、硬化工程において構造物307に真空バッグ処理を行うことができる。真空バッグ処理、又は真空バッグ処理とオートクレーブ圧縮により、接着ラインをビーズ334によって可能である最小の厚さにまで圧縮しやすくなり得る。
【0095】
別の実施例として、ある有利な実施形態では、スクリーン318の上にテンプレートマスク320を載せて、スクリーン318を第1面328上に配置することができる。さらに別の有利な実施形態では、テンプレートマスク320は必要でない場合がある。さらに別の有利な実施形態では、接着剤332をパーツ306の第2面340上に配置する場合がある。さらに別の実施例では、有利な実施形態はパーツ306の第2面340上に活性化物質を配置することができる。活性化物質により、接着剤332が硬化する、又は硬化することができる状態に入ることができる。
【0096】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示された接着剤の断面図である図4を参照する。この実施例では、パーツ400は図3のパーツ304の実施例である。
【0097】
パーツ400は例えば非限定的に、外板又はその他何らかの好適なパーツであってよい。パーツ400は例えば非限定的に、複合材料、アルミニウム、チタン、及び/又はその他何らかの好適な材料等の材料からなるものであってよい。この実施例では、マスク402をパーツ400の面404に配置することができる。スクリーン406はマスク402の上に配置することができる。これらの実施例では、マスク402により領域408を露出させることができる。接着剤410を領域408の面404に塗布することができる。マスク402により領域408外の面404の複数の部分412に接着剤410が塗布される又は付着するのを防止することができる。特定の実行形態によって、ビーズ414を接着剤410と混合することができる、又は単独で塗布することができる。
【0098】
これらの実施例では、スクリーン406は厚さ416を有することができる。ビーズ414は直径418を有することができる。直径418は厚さ416とほぼ同じ値であってよく、ビーズ414のうちの異なるビーズ間でほぼ一貫していてよい。スクリーン406を使用することにより、接着剤とビーズの層420を厚さ422になるように塗布することができ、厚さ422は領域408の厚さ416とほぼ同じ厚さでありうる。つまり、スクリーン406の厚さ416により、接着剤410とビーズ420の層の厚さ422を設定することができる。スクリーン406が取り除かれた後、ビーズ420は実質的に厚さ422を維持することができる。
【0099】
次に、有利な実施形態にしたがって図示された接着剤とビーズの層を有する構造物の断面図である図5に注目する。この実施例では、パーツ400の面404をパーツ502の面500に接触するように配置することができる。パーツ502は例えばおおむね平面のパッチ又はパーツ400のその他の修理部品であってよい。しかしながら、ある実施形態では、前述したように、パーツ400は平面でなくてもよい。
【0100】
異なる有利な実施形態では、力はパーツ502に矢印504の方向に加えられる場合がある。接着剤とビーズの層420内のビーズ414により、接着剤とビーズの層420のビーズ414の厚さよりも厚さ422が縮むのを低減する及び/又は防止することができる。さらに、ビーズ414により、接着剤とビーズの層420の領域408の厚さ422が不均一になるのを防止することができる。これらの実施例では、ビーズ414の形状は球であってよい。当然ながら、特定の実行形態によってどんな形状でも使用可能である。これらの実施例では、ビーズ414間の積み重なりを避けることができる任意の形状をビーズ414に使用することができる。
【0101】
ある有利な実施形態では、厚さ422は直径418よりも大きい。この種の実行形態では、接着剤とビーズの層420はビーズ414の直径418に基づき厚さ506まで値が減少する場合があり、これは最終的な接着ラインの厚さ338に対応する(図3)。
【0102】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示された接着剤とビーズをパーツに塗布する様子を示す図である図6〜12を参照する。図6は有利な実施形態によるパーツ上のマスクの図である。最初に図6を参照すると、マスク600はパーツ604の面602に配置することができる。マスク600は面602の領域606を露出させることができる。領域606は接着剤を塗布することができる一領域であってよい。
【0103】
図7を参照すると、接着剤用に準備中のパーツの図が有利な実施形態にしたがって図示されている。この実施例では、スクリーン700がパーツ604のマスク600の上に配置されている。この結果、接着剤はパーツ604の領域606の面602までスクリーン700のみを通過することができる。
【0104】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示された接着剤とビーズを塗布する様子を示す図である図8を参照する。この実施例では、接着剤とビーズ800はスクリーン700を通して面602に塗布することができる。接着剤とビーズ800はマスク600があるために領域606にのみ塗布することが可能である。
【0105】
図9には、接着剤とビーズが塗布されたパーツの図が有利な実施形態にしたがって図示されている。この実施例では、接着剤とビーズの層900がスクリーン700(図示せず)及びマスク(図示せず)を除去した後に残されている。パーツ604をここで結合させる及び/又は接着させることができる。
【0106】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示されたパーツに接着剤を塗布する様子を示す図である図10を参照する。この実施例では、パーツ1000は面1004に配置されるスクリーン1002を有する。接着剤1006はスクリーン1002を介して面1004に塗布されている場合がある。この実施例では、接着剤1006にビーズが含まれていなくてもよい。
【0107】
有利な実施形態にしたがって図示された、接着剤が塗布されたパーツからスクリーンを除去する様子を示す図11に注目する。この実施例では、スクリーン1002はパーツ1000から取り外されている。ほぼ均一な接着剤層1100が面1004上に残されている。ある有利な実施形態では、接着剤層1100は活性化物質の形態をとることができる。
【0108】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示された相互に接着した2つのパーツを示す図である図12を参照する。この実施例では、パーツ1000はパーツ604に接して配置されており、硬化されて接着ライン1202として見られる構造接着状態1200を形成する。パーツ1000とパーツ604は熱と圧力の印加を利用して硬化させることができる。この実施例の構造接着状態1200について、厚さ又は接着ラインは一貫したものであってよい。
【0109】
図6〜12に示す異なる作業及び特徴は限定を意味するものではなく、異なる有利な実施形態が実行可能である。ある有利な実施形態は説明したものに加えて、又はそれの代わりに他の特徴及び/又は作業を有することができる。さらに、ある有利な実施形態では、幾つかの特徴及び/又は作業は不必要である場合がある。例えば、ある有利な実施形態では、接着剤1006はパーツ1000に対して不必要であり得る。さらに別の有利な実施形態では、スクリーン700はその上にマスク600を配置した状態で、パーツ604の面602上に配置することができる。
【0110】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示されたパーツを接着する工程のフロー図である図13を参照する。図13に示す工程は例えば図3の接着環境300等の接着環境を使用して実行可能である。
【0111】
この工程は第1パーツの第1面上にマスクを配置することによって開始することができる(作業1300)。この工程では次に、スクリーンをマスクの上に配置して第1パーツの第1面の露出領域を形成する(作業1302)。この工程では次に、接着剤と複数のビーズをスクリーンを通して第1パーツの第1面上に塗布して接着剤とビーズの均一な層を形成する(作業1304)。スクリーンは接着剤とビーズの層を均一にするためのレべラー装置として使用することができる。第1パーツの第1面上に接着剤とビーズの均一な層を残して、スクリーンを除去することができる(作業1306)。
【0112】
この工程では、接着剤とビーズの層が形成された第1パーツの第1面を第2パーツの第2面と接触するように配置して、構造物を形成することができる(作業1308)。この工程では、構造物を硬化させることができ(作業1310)、その後工程は終了する。
【0113】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示されたパーツを接着する工程のフロー図である図14を参照する。図14に示す工程は、例えば図3の接着環境300等の接着環境を使用して実行可能である。
【0114】
この工程は、接着剤と複数のビーズを第1パーツの第1面上に塗布して、接着剤とビーズの層を形成することによって開始することができる(作業1400)。この工程では次に、スクリーンを接着剤とビーズの層の中に嵌めこむことができる(作業1402)。過剰な接着剤をスクリーンの最上部から取り除いて、接着剤とビーズのほぼ均一な層を形成することができる(作業1404)。スクリーンを次に接着剤とビーズのほぼ均一な層から取り除くことができる(作業1406)。
【0115】
接着剤とビーズのほぼ均一な層が形成された第1パーツの第1面を第2パーツの第2面と接触するように配置して、構造物を形成することができる(作業1408)。この工程では次に構造物を硬化させることができ(作業1410)、その後工程は終了する。
【0116】
図13及び14のフロー図に示す工程は、多数の異なる方法で実施することができる。ある有利な実施形態では、その他の作業を説明したものに加えて、あるいはその代わりに使用することができる。さらに、ある作業は同時に行うことができる。さらに別の有利な実施形態では、ある作業を省略することができる。
【0117】
例えば、第1面を第2面に接触するように配置している時に、作業1306を省略してスクリーンとビーズを適所に配置したままにすることができる。さらに別の有利な実施形態では、ビーズとスクリーンを適所に残さずに、接着剤層をスクリーンを通して配置することができる。例えば、ある有利な実施形態では、接着剤を第2パーツの第2面に塗布することもできる。2つの成分を有する接着剤が使用されるさらに別の実施形態では、接着剤の第1成分を第1パーツの第1面に塗布することができ、接着剤の第2成分を第2パーツの第2面に塗布することができ、2つのパーツを向かい合わせて接触するように配置した時に、この2つの接着剤の成分が混ぜ合わさる。
【0118】
別の実施例では、接着剤はビーズを含まない場合がある。別の実施例として、接着剤と複数のビーズの第1面への塗布は、接着剤及び複数のビーズの混合物を塗布することによって実施することができる。別の有利な実施形態では、接着剤を第1面に塗布することができる。ビーズを次にスクリーンを通して第1面に塗布することができる。
【0119】
したがって、異なる有利な実施形態は、パーツを相互に接着させる方法及び装置を提供する。異なる有利な実施形態は、ほぼ所望の値前後の厚さを有することができる接着剤層を形成する能力を提供することができる。さらに、接着剤にビーズを使用することで、パーツに圧縮圧力が印加されている間及びその後で、所望の厚さの値を有する均一な接着剤層を維持することができる。
【0120】
一又は複数の有利な実施形態により、パーツの接着に再現性を提供することができる。図示した実施例では、再現性は、異なる有利な実施形態を使用してパーツの構造一貫性がさらに予測可能となり得るため、例えば非限定的に、一貫した構造接着状態、一貫した強度、一貫した設計、及び認証限度を含むことができる。これらの、そして可能な他の特徴により、パーツ及び/又は製品のより簡単で早い認証が提供できる。
【0121】
ここで、航空機に含まれるもの等の複合外板312を示す図15及び16に注目する。この実施例では、外板312は再加工される局在的な領域312aを有する。本明細書で使用される「再加工」、「再加工された」、及び「再加工される」は広い意味で使用され、非限定的に、構造物をその元の載荷能力及び/又は仕様に戻す、又は一又は複数の点において構造物の性能を改善する又は増加することができる再加工、修理、修復、改善、及び変更が含まれる。しかしながら、開示の実施形態は既存の外板312の再加工を伴う応用形態を図示しているが、実施形態を航空機の初期の製造及びアセンブリの間に用いて、外板312の特定領域を形成する、及び/又は一又は複数の構成部品を外板312に取り付けることができることにも注目すべきである。したがって、下記の説明及び添付の請求項に使用される用語「パッチ」はさらに、航空機の初期の製造において航空機の構造物に接着される構造部品等の別の構造物に接着される様々な形態のパーツを含むように定義される。この実施例では、領域312aは外側面328から下方向に延びて外板312の幾つかの層312bを貫通するくぼみ328a(図16)である。他の応用形態では、領域312aは単に一又は複数の層312bの中に下方向に延びているが、層を貫通しない外板312における変形部又は「へこみ」である。図面に示す外板312はほぼ平坦であるが、外板312は一又は複数の輪郭又は湾曲部を有することができ、この場合外板312に適用された平面のパッチ314は外板312の輪郭又は湾曲部に一致しうる。また、図面に示すパッチ314はほぼ平面であるが、他の実施形態では、パッチ314は非限定的に湾曲部、輪郭及び/又は先細部を含む他の形状を有することができる。また、前述したように、パッチ314は未硬化の又は予め硬化した複合材料であってよい。
【0122】
航空機が運航状態にあることが要求され、スケジュールの途切れを避けることが重要なある状況においては、特殊な取扱設備、特別な取扱い及び/又は熟練のメンテナンス技術者が得られるハンガー施設環境外の「現場において」再加工を行うことが必要となる場合がある。例えば、スケジュールの遅延を避けるために空港のゲートに航空機が駐機している間の制限された時間内に必要な再加工を行うことが必要となる場合がある。開示の実施形態にしたがって、複合材料の知識がわずかでありうるライン整備士等の作業員によって必要な再加工を比較的迅速に行うことができる。
【0123】
再加工は、再加工が必要な領域312aをおおむね囲む部分1500(図15)を再加工することによって開始することができる。図17を参照すると、テンプレートマスク320は中央開口部320aを含み、この中央開口部320aはこの実施例ではほぼ円形であり、再加工領域1500と同一の広がりを持つが、応用形態によってその他の形状の開口部も可能である。中央開口部320aは、外板312の面328の準備において研磨テンプレートとして、また再加工が必要な領域312aの上にパッチ314(図18)をセンタリングするためのテンプレートとしての両方の役割を果たすことができる。テンプレートマスク320はさらに、中央開口部320aを同軸に囲むリング状の断続的な貫通孔320bを含む。リング状の貫通孔320bを使用して、再加工工程の一部において外板312から塗料が取り除かれる面320a上の外側の境界の印づけをすることができる。面328が接着されたパッチ314を受け入れるための準備工程のさらなる詳細を、さらに詳しく下に記す。
【0124】
図18は、図15〜17に示す外板312上の領域312aを再加工するのに好適なパッチ314を示す。この実施例では、おおむね平面のパッチ314はほぼ円形であり、パッチ314全体に分布する複数の貫通孔314aを含む。下に説明するように、貫通孔314aにより、矢印1802によって示すように、パッチの装着工程において外板312の面328に対して圧縮されている間にパッチ314の下から空気1800を逃がすことが可能になり得る。各貫通孔314aの直径又は最大幅「w」は、パッチ314の下から過剰の接着剤1804を押し出すこともできるほど十分に大きいことが望ましい。
【0125】
ここで図19を参照すると、パッチ314は予め硬化した複合材料の複数の層314bを含むことができる。他の実施形態では、パッチ314は未硬化であってよい。パッチ314は粘性の接着剤層336によって再加工される領域312aを覆う外板312に接着され、制御された厚さ338を有する接着ライン337を形成する。本明細書で使用される「粘性のある」とは、接着剤336を塗ることができることであり、力が加わった時にある程度流れることができることを意味する。接着剤層336は、未硬化状態において所定の粘性、粘着性及び表面張力特性を選択することによって特定の応用形態に適合したすぐに硬化する種類の接着剤であってよい。接着剤336の粘性及び粘着性は、外板312及び/又はパッチ314にくっつくが、パッチ装着工程の完了時に流動性を保つようなものであるべきである。
【0126】
接着剤は前述したビーズ334、及び/又はスクリーン318を含むことができる(図3参照)。スクリーン318及び/又はビーズ334は、接着ライン337の所望の厚さ338に実質的に対応する厚さを有するスペーサ339として機能する。他の実施形態では、スクリーン318を使用して、接着剤332を所望の接着ライン337の制御された厚さ338に塗布することができ、その後パッチ314を適用する前にスクリーン318を取り外すことができ、この場合に残っているビーズ334が接着ライン337の厚さ338の制御を補助する。接着剤332及びビーズ334の層336により、外板312のへこみ328a(図16)を含む再加工される領域312aが実質的に充填される。他の実施形態では、領域312aは接着剤332の組成とは異なる組成を有する好適な充填剤(図示せず)で充填し、その後接着剤332でカバーすることができる。
【0127】
パッチ314及び/又は外板312に塗布される接着剤332の量は、再加工が必要な領域312aのサイズ及び深さを含む特定の応用形態によって変化し得る。ほぼ正確な量の接着剤332が塗布され、ほぼ均等に再加工領域312aの上に広げられるところでは、パッチ314が圧縮される時に貫通孔314aを通して絞り出されることができる過剰な接着剤332は少量である又は全くない可能性がある。この場合、接着剤332自体がパッチ314の下で再分布され、接着剤332の高い及び低い領域が平らになりエアポケットが充填された結果、(エアポケットからの)空気のみが排出されうる。しかしながら、正確な量以上の接着剤332が塗布されるその他の場合には、貫通孔314aを通って絞り出される接着剤332の位置及び/又は過剰量の観察を、良好な接着状態を達成するための条件が満たされたか否かを判断する手引きとして利用することが可能であり得る。すべての場合において、貫通孔314aは接着剤332がパッチ314のほぼ全体領域と接触するようにパッチ314の下で再分布され得るように助けることができる。再加工技術者の、貫通孔314aを通って絞り出される過剰な接着剤332の観察を利用して、全てのエアポケットが実質的に取り除かれ、接着剤332がパッチ314のほぼ全体領域と接触していることを確認するのを助けることができる。
【0128】
ここで、パッチ314を外板312の面328上に下向きに圧縮する準備において、当て板324をパッチ314の上に配置する様子を示す図20及び21に注目する。開示の実施形態によれば、リング状の反当て板2000の形態のスペーサが、当て板324の外側周辺部2002近くの、当て板324及び外板312の面328の間に配置され、これにより当て板324が外側周辺部2002において支持される。反当て板2002の内側端部2004はパッチ314の外側周囲2006のわずか外側に放射状に間隔を置いて配置されている。反当て板2000はパッチ314の結合厚さ314cと、接着ライン337の所望の厚さ338とほぼ等しい厚さ「t」を有する。この実施例において示す外板312の面328と係合する反当て板2000の底面2012(図20)は平坦であるが、底面2012は外板312の面328の形状/輪郭と一致するように選択されうるその他の形状又は輪郭を有することができる。この実施例では、反当て板2000は連続的なリング状(図21参照)であるが、他の形状もまた可能である。例えば、反当て板2000の外側周囲は正方形であってよい。全ての場合において、当て板324と反当て板2000のフットプリントがほぼ一致することが通常望ましい。また、その他の実施形態では、反当て板2000はパッチ314周囲の複数の場所で当て板324の外側周辺部2002を支持する2つ以上の隣接した部分又は間隔を置いて配置された部分(図示せず)を含むことができる。
【0129】
反当て板2000はパッチ314の外側周囲2006近くで当て板324によってパッチ314に加えられた力に反作用するように機能する。当て板324の外側周辺部2006を支持することによって、反当て板2000は当て板324の実質的なティッピング、傾き及び/又は曲がりを低減する又は防止することができる。パッチ314の外側周囲2006においてこの力を制御した結果、当て板324に印加された力2010はパッチ314の実質的に全体領域の上でほぼ一定である。その結果として、当て板324が(曲がり、ティッピング、傾きなどに起因して)パッチ314の外側周囲2006近くにより強い力を加える傾向があるために、さもなければパッチ314の外側周囲2006近くで接着ライン337が先細になることを避けることができる。したがって、接着ライン337の厚さ338は、圧縮工程においてパッチ314の全体領域の上でほぼ一定に保つことができる。加えて、反当て板2000は、前述したようにパッチ314及び外板312の間に配置したままである時に、接着剤332の圧縮を所望の接着ラインの厚さ338(図3)になるように制限するスクリーン318によって提供される機能と同様のスペーサとして作用する。このため、ある実施形態では、スクリーン318を第1スペーサとして使用して外板312又はその他の構造物に塗布される接着剤332の厚さ及び均一性を制御することができる。接着剤332の層336が塗布された後にスクリーン318が取り外される応用形態においては、反当て板2000を第2スペーサとして使用して圧縮工程の間、接着剤層336の圧縮を所望の接着ラインの厚さ338に制限することができる。
【0130】
図22は、現場の応用形態においてパッチ314を加熱し圧縮するのに使用可能な設備の一実施形態を示す。熱パック326aの形態の熱源326(図3)を当て板324の最上部に配置し、当て板324及び熱パック326aの上に圧縮機2200を位置づけする。圧縮機2200は、圧縮装置2200を外板312の面328上に取り外し可能に取付けする一連の吸引装置2202を含むことができる。熱パック326aは接着剤層336の硬化に必要な熱を加える一方で、圧縮機2200はパッチ314を外板312の面328に対して圧縮するのに必要な力を当て板324に加える。その他の形態のポータブル圧縮装置を用いて、必要な圧縮力をパッチ314に加えることができる。例えば、熱パック326a、当て板324及びパッチ314の上に真空バッグアセンブリ(図示せず)を組み立てた後に、外板312の面328に密閉することができる。あるいは、外板312上のパッチ314の位置によって、圧縮装置はパッチ314に必要な圧縮力を加えるために重力に依存した単純な重り(図示せず)を含むことができる。
【0131】
ここで、前述した複合外板312等の構造物上の領域312aを再加工する方法のステップを広く示す図23に注目する。本方法は、接着されたパッチ314を受け入れるために外板312等の構造物を準備するステップ2300において開始する。基礎構造物の準備には、パッチ314を構造物の表面に平らに置くのに邪魔になり得る全ての突出した物質を取り除くことを含みうる。突出した物質は非限定的にトリミング又は研磨によって取り除くことができる。ステップ2300はまた、構造物の上にテンプレートマスク320(図17)を配置して、接着工程前に塗料及びその他の表面コーティングを取り除くことができる領域の外側境界320b(図17)に印づけをすることを含む。テンプレートマスク320はまた、ステップ2300において表面物質を取り除く手引きとしても使用することができる。好適な溶剤をステップ2300の一部に使用して、研磨ダストを含む構造物表面の汚れを綺麗にすることができる。
【0132】
次に、ステップ2302において、好適なパッチ314が準備され、ここでは、予め硬化されたダブラー(314)を選択し、再加工領域312aの上に適切に適合するようなサイズと形状に調整する。ステップ2304では、テンプレートマスク320を外板の表面の上に配置して、テープ等で適所に保持することができる。
【0133】
ステップ2306において、スクリーン318を準備した面の上にテンプレートマスク320を覆うように配置して、接着剤の塗布準備をすることができる。ステップ2308では、任意に、前述したビーズ334を接着剤332の少なくとも一成分の中に混合することができ、ステップ2310において、接着剤332の複数の構成成分を互いに混合して、比較的早く渇く/硬化する接着剤を形成することができる。ある実施形態では、接着剤332は一成分のみを含むことができ、この場合、ビーズ334を単一成分の中に混合することができる。次に、ステップ2312において、任意にビーズ334を含む接着剤332の層を、例えば非限定的に、接着剤を所定の厚さにするのに使用することができる歯付コテ(図示せず)を含むことができるアプリケータ322を使用して、準備した外板表面328及び/又はパッチ314の上に広げることができる。2つの成分を有する接着剤を使用するある応用形態においては、成分のうちの一方を外板表面328とパッチ314のうちの一方の上に広げることができ、もう一方の成分を外板表面とパッチ314の他方の上に広げることができる。任意のスクリーン318が用いられる応用形態においては、スクリーン318を使用して接着剤層336の最終的な厚さを制御することができるため、最終的に必要な量よりもわずかに多い過剰量の接着剤を塗布して、エアポケットが発生する可能性を低減することができる。歯付コテを使用して、構造物の面328とパッチ314の上に接着剤を均等に広げることができるが、スクリーン318を使用するこれらの応用形態では、歯が付いていないコテ(図示せず)を使用して、接着剤332を構造物の面328の上に広げてスクリーン318を通して押し出すことができる。テンプレートマスク320を使用して、構造物の面328に塗布される接着剤層336の形状と位置を制御することができる。テンプレートマスク320及びスクリーン318を単一の構成部品として結合し、既知の写真平版術を使用して製造することができることを注記すべきである。
【0134】
ステップ2314において、テンプレートマスク320を使用してパッチ314を再加工領域312aの上にセンタリングし、テンプレートマスク320をパッチを位置づけしセンタリングするガイドとして使用して、パッチ314を手で構造物の面328に適用する。ステップ2316において、反当て板2000を装着した後で、ステップ2317において、パッチ314と反当て板2000の両方の上に剥離層(図示せず)を配置することができる。次に、当て板324をステップ2318に示すように装着することができる。
【0135】
ステップ2320において、例えば熱パック326a(図22)等の好適な加熱源326を当て板324の上に配置して活性化させることができる。熱パック326aは、破ることができるシール(図示せず)を破いて、パックに含まれる化学薬品が濃くなって発熱反応によって熱を発生させるまでパックをもむことによって活性化される化学的な熱パック等の自給式パッケージであってよい。ある応用形態において、室温で硬化する接着剤332を用いることができ、この場合、熱パック326a又は同様の熱源は不必要であり得る。次に、ステップ2322において、幾つかの手段のうちの任意の手段で、熱パック326a、当て板324、及びパッチ314の組み合わせに圧力が加えられる。例えば、真空圧縮装置2200をパッチ324の上に配置して、吸引カップ2202を使用して面328に固定することができる。圧縮装置2200は、起動された時に再加工領域の上を真空化し、その結果、当て板324に下向きの力が加わり、これによりパッチ314が構造物の面328に下向きに押し付けられる真空装置を含むことができる。あるいは、真空バッグアセンブリ(図示せず)を再加工領域の上で組み立てて、外板の表面に密封した後で、バッグアセンブリを真空化してパッチ314に圧力をかけることができる。最後に、前述したように、ある応用形態では、当て板324の上に重り(図示せず)を載せることによってパッチ314に必要な圧力をかけることが可能でありうる。
【0136】
パッチ314が最初に構造物の面328に適用された時には、接着剤層336内部、又は接着剤層336とパッチ314の間のいずれかにエアポケット(図示せず)が存在する可能性がある。一以上のこれらエアポケットは、接着剤の高い所又は低い所を形成する接着剤層336の厚さにわずかなむらがあることが原因で生じうる。当て板324によりパッチ314に圧力が加わると、貫通孔314a(図18)により過剰な接着剤1804だけでなく空気もパッチ314から抜け出る又は「絞り出され」、これにより接着剤をほぼ均一な所定の厚さ338に均等に広げることが可能になる。ビーズ334及び/又はスクリーン318は、所望の接着ラインの厚さ338を維持するのを助けるスペーサ339(図19及び20)として機能する。
【0137】
当て板324によってパッチ314に圧力が加わると、反当て板2000は、パッチ314の周囲2006近辺に加えられた力に反作用するスペーサとして機能し、これによりパッチ314の全体領域の上に加わった圧力がほぼ均一になりうる。さらに、圧縮及び硬化工程においてパッチ314に圧力が加わると、ビーズ334及び/又はスクリーン318は印加された圧力に部分的に反作用するスペーサ339として機能し、この結果接着ライン337が所望の厚さ338となる。
【0138】
ここで、職員が現場において複合外板又は同様の構造物の比較的迅速な再加工を行うために使用できる予めパッケージ化された再加工キット2400の構成部品をブロック図の形態で示す図24に注目する。キット24は、事前設定されたダブラーパッチ314、予め計量された量のビーズ334、メッシュ様スクリーン、及び/又はスペーサ318、テンプレートマスク320、歯付コテ322等の接着剤アプリケータ、予め計量された量の複数の反応部分332a、332bを含む接着剤332、接着剤の硬化に使用する熱パック326a、パッチに圧力を加えるための圧縮装置2200、事前に取り除かれた外板の表面上の全ての塗装を差し替えるのに使用できる塗装差し替えフィルム240、及び上述した再加工を行うのに必要であり得る例えば洗浄必需品、溶剤、手袋、剥離フィルム等の任意の数の追加の供給品2402を含むことができる。キット2400は上述したものとおおよそ同程度の構成要素を含むことができる。
【0139】
ここで、前述した開示の方法を実行するのに使用できるスペーサ2600の代替形態を示す図25、26、及び27に注目する。スペーサ2600は、所望の接着ラインの厚さ338に実質的に対応する高さ2616を有する(図27)。この実施例では、スペーサ2600は、周囲に間隔を置いて配置された、放射状に延びるスポーク2606によって接続された外側のスペーサリング2602と内側のスペーサリング2604を含む。実施例においては2つのリング2602、2604を示すが、応用形態によって2よりも多い数のリングを使用することができる。ある応用形態では単一のリング2602のみを使用することも可能である。
【0140】
各リング2602、2604及びスポーク2606は開口側部2612を有し、この開口側部2612により、接着剤(図示せず)が矢印2608で示すような軸方向、そして矢印2610で示すような横方向のどちらにも自由に通過することが可能になる。リング2602、2604の間の放射状の間隔「R」は応用形態に応じて変化させることができる。スペーサ2600は例えば非限定的に金属及びポリマーを含む、圧縮中にパッチ314(図27)に圧力が加わった時にスペーサ2600が実質的に非圧縮性のままとどまるのに十分な構造剛性を提供する非限定的に金属及びポリマーを含む、任意の好適な材料で構成されうる。この実施例では、スポーク2606だけでなくリング2602、2604は図26に示すように円形断面のワイヤと同様の円筒形要素2614でできていてよいが、その他の形状もまた可能である。図27で良く分かるように、スペーサ2600は、パッチ314が圧縮される時に、所望の接着ラインの厚さ338と対応するパッチ314と外板312の間に間隔を保持するパッチ314上の複数の位置に軸方向の支持を提供する。
【0141】
図28、29及び30は別の形態のスペーサ2800を示し、このスペーサ2800は複数の個別の細長いスペーサ要素2802を含み、各スペーサ要素2802は接着ラインの厚さ338と実質的に対応する高さ「H」(図28)を有する。スペーサ要素2802は柔軟な、例えば非限定的に、ポリマー又は金属等の任意の好適な実質的に非圧縮性の材料でできていてよい。例えば、個別のスペーサ要素2802をある長さの単一フィラメント(図示せず)から切り出すことができる。その他の実施形態では、各スペーサ要素2802は幾つかの既知の手法のうちの任意の手法によって集められた又は互いに束ねられた複数のフィラメント又は繊維を含むことができる。例えば、スぺーサ要素2802は炭素繊維のトウを含むことができる。個々のスペーサ2802をおおむね平行な間隔をおいて配置された状態で外板328上に再加工される部分1500を覆うように配置することができる。各要素の端部2804のサイズは調整が可能である。しかしながら、要素2802の端部2804は、端部2804が再加工部分1500の外側縁部から内向きに間隔を置いて配置されるように調整することが望ましい。図30は、パッチ314と外板312の間に介在し、パッチ314の実質的に全体領域を横切って所望の接着ラインの厚さ338を維持する支持部として機能するスペーサ要素2802を示す。
【0142】
ここで、パッチ314の一体部分を形成することができるスペーサ3100の別の実施形態を示す図31に注目する。スペーサ3100は、内側及び外側リング3102、3104にそれぞれ配置されるスペーサ要素を形成する複数の、周囲に間隔を置いて配置された湾曲したセグメント3108を含む。各セグメント3108は所望の接着ラインの厚さ338に実質的に対応する高さ3110を有する(図30)。セグメント間の間隔を置いて配置された開口部3106により、スペーサ3100を通ってパッチ314の底部3112全体に横方向に接着剤が流れて均一な接着ラインの厚さ338を得ることが可能になる(図30参照)。個々のセグメント3108は、パッチ314に配置された実質的に非圧縮性の挿入部、又はパッチ314に一体的に形成された比較的狭いパッドアップを含むことができ、この場合パッチ314は複合材料でできている。
【0143】
図32は、実質的に非圧縮性のピン3202の形態の複数のスペーサ要素を含むスペーサ3200のさらに別の実施形態を示す。各ピン3201は、所望の接着ラインの厚さ338に実質的に対応する高さ3204を有する(図30)。ピン3202は、パッチ314の底部3112の中に組み込むことができる、又はパッチ314とは分離していてよい。ピンは、規則的なまたは不規則的なパターンのいずれかにおいて、均一に又は非均一のいずれかでパッチ314全体に分布していてよい。図33は、ピン3202をパッチ314と外板312の間に介在する個々のスペーサとして使用し、パッチ314の全体領域を実質的に横切って所望の接着ラインの厚さ338を維持する様子を示す。
【0144】
図34は、図28及び29の実施形態と同様であるが、スペーサ要素2802が再加工領域1500内で放射状のパターンに、領域312aから外向きに放射するように配置されているさらなる実施形態を示す。この実施形態では、スペーサ要素2802を半径方向に配置することにより、圧縮中に過剰な接着剤(図示せず)の動きを再加工領域1550の外側縁部に向かって導くのを助けることができ、外側縁部において過剰な接着剤をパッチ314の下から絞り出すことができる。
【0145】
図35は、スペーサ要素3502が複合パッチ3500上に形成可能な線状の突起部又は隆起部の形態で提供されている別の実施形態を示し、このスペーサ要素3502は任意に複数の貫通孔3504を有することができる。貫通孔3504により、図18に関連して前述したように、圧縮工程中に空気及び/又は過剰な接着剤が抜け出ることが可能になりうる。スペーサ要素3502は比較的短くてよく、貫通孔3504の間に延びる、平行な間隔を置いて配置された軸3506に沿っておおよそ整列していてよい。スペーサ要素3502間の距離、長さ、及び方向性は応用形態によって変化しうる。ある応用形態では、スペーサ要素3502は整列していない場合があり、無作為な方向性を有していてよい。図35のスペーサ要素3502は、パッチ3500の中に成形されたエポキシ樹脂を含むことができる、又はパッチ3500と同時硬化される炭素又はガラス繊維(トウ)強化ポリマーであってよい。スペーサ要素3502は多数の直径の小さい単一フィラメントでそれぞれできたプリプレグトウ等のその他の繊維材料を含むことができる。図35に示すスペーサ要素3502を貫通孔3504を有さないパッチ上に用いることができる。
【0146】
図36は、図35に示すものと同様の貫通孔を有するパッチ3500のさらに別の実施形態を示しているが、無作為な方向性を有するスペーサ要素3502を示す。線状のスペーサ要素3502は、パッチ3500が別の構造物(図示せず)に接着される時にパッチ3500と同時硬化される炭素又はガラス繊維強化ポリマー等の未硬化の突起材料を含むことができる。
【0147】
パッチ3500の面全体に分布した突起隆起部3700の形態のスペーサ要素を有する貫通孔を有するパッチ3500を示す図37に注目する。この実施形態では、スペーサ要素3700はパッチ3500に部分的にはめ込まれた後でパッチ3500とともに硬化されるビーズを含むことができる。あるいは、スペーサ要素3700は、パッチ3500と同時硬化される、又はパッチ3500に未硬化状態でタックインされた後でパッチ3500を構造物に接着するのに使用される接着剤と同時硬化される、長さの短い短炭素繊維強化ポリマーを含むことができる。隆起部3700は図面において丸い形状を有するように描かれているが、その他の形状、例えば非限定的に、円錐台(図示せず)も可能である。
【0148】
図39は、図35及び36を参照して説明したものと同様の線状スペーサ要素3900がサンバースト状のパターン3902(明記するためにその内の一つのみを図39に示す)で各貫通孔3504の周りに配置されているさらに別の実施形態を示す。スペーサ要素3900を貫通孔3504の周りに放射状に配置することによって、過剰な接着剤の動きを貫通孔3504に向かって導くのを助けることができ、圧縮工程中に貫通孔3504において接着剤がパッチ3500の下から絞り出されることができる。
【0149】
異なる有利な実施形態の記載は、図示及び説明の目的のために提示されたものであり、包括的、又は開示された形の実施形態に限定するように意図されたものではない。当業者には多数の修正及び変形例が明らかである。異なる有利な実施形態を航空機に関連させて説明してきたが、その他の有利な実施形態をその他の種類のプラットフォームに応用することができる。
【0150】
例えば非限定的に、その他の有利な実施形態を可動プラットフォーム、固定プラットフォーム、陸上構造物、水上構造物、宇宙構造物、及び/又はその他何らかの適切な物体に応用することができる。さらに具体的には、異なる有利な実施形態は例えば非限定的に、潜水艦、バス、人員運搬車、タンク、列車、自動車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、水上艦、発電所、ダム、製造施設、建造物、及び/又はその他何らかの適切な物体に応用することができる。例えば、異なる有利な実施形態は建造物、ボート、及び/又はその他何らかの木材部品を含む物体等の物体の木材部品を接着するのに好適でありうる。
【0151】
さらに、その他の有利な実施形態と比較して、異なる有利な実施形態により異なる利点を得ることが可能である。選択された一又は複数の実施形態は、実施形態及び実際の応用形態の原理を最適に説明するため、また、当業者が、考えられる特定の使用に好適である様々な修正を施した様々な実施形態の開示を理解できるように選択され記載されたものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は概して接着設備及び工程に関し、さらに具体的には接着パッチを使用して構造物の再加工を行う方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
接着剤は多様な応用形態においてパーツ及び構造物を接着するために使用することができる。航空機産業では例えば、接着剤を使用して外板等の構造物にパッチを接着して構造物の一領域を改善する、再加工する、及び/又は修理することができる。ある場合には、パッチ及び/又は構造物は複合材料でできていてよい。構造物及び/又はパッチに接着剤層を形成した後に、パッチに熱とともに圧力をかけて接着剤を硬化させてパッチ及び構造物において強い接着状態を形成する。この接着工程は現場で簡単に実施することができないため、通常は例えば非限定的に、特殊な取扱設備及び複合材の知識を持つ熟練の技術者が得られるメンテナンス/修理ハンガー施設内で通常制御された状態で実施されうる。
【0003】
接着パッチの強度、及び/又は寿命は、接着剤の厚さ、パッチの領域上の接着剤の厚みの均一性、及び/又は非限定的に結合部の多孔性が原因で発生するパッチ及び構造物間の間隙又はエアポケットの存在に部分的に依存しうる。接着ラインの厚さと多孔性は、パッチ取付け時にパッチに印加される圧力を制御することによってある程度制御することができる。しかしながら、特定の接着ラインの厚さを得るのに必要な的確な圧力を判断するのは難しい場合があり、いずれにしても、この的確な圧力をパッチ全体に均一に印加することは困難でありうる。一定の厚さの膜タイプの接着剤は上述の問題に対する一つの可能な解決法であるが、しかしながら、膜接着剤の使用は、例えば非限定的に、使用準備ができるまで膜を冷蔵する必要がある等、膜接着剤に必要となりうる特殊な取扱要件により、ある応用形態においては現実的でない可能性がある。
【0004】
したがって、パッチのほぼ全体領域上の接着ラインの厚さを綿密に制御することを可能にし、間隙に起因する接着部の多孔性を低減するまたは除去する、構造物にパッチを接着する方法が必要である。また、特殊な取扱いを必要とせず、取付け者の技術にそれほど依存せず、一貫した繰り返し可能な結果をもたらす接着剤を使用して、現場で実施可能な構造物にパッチを接着する方法も必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態によれば、パッチのほぼ全体領域上で接着ライン又は接着剤の厚さを制御することができる、構造物にパッチを接着する方法が提供されている。本方法は取付け者に高い技術レベルを要求せず、現場で実施された場合にも一貫した繰り返し可能な結果をもたらすことができる。接着剤をパッチの領域上に均一に所望の厚さに塗布することを可能にするのを助けるためにスぺーサが使用される。ある実施形態では、スペーサはパッチと構造物の間に配置される。任意に、スペーサは接着剤を塗布した後に取り除くことができる、又は接着剤の圧縮を制限することで、パッチを圧縮し硬化させている時に所望の接着ラインの厚さが維持されるように、パッチと構造物の間に残すことができる。別の実施形態では、スペーサはパッチを構造物に対して圧縮するのに使用される工具の一部を形成する。任意にパッチに貫通孔をあけて、補修作業中にパッチが構造物に押し付けられているときにパッチから空気及び/又は過剰な接着剤を絞り出すことを可能にすることによって、接着部の多孔性を低減する又は除去することができる。パッチの取付けは一組の包装済みで事前設定した構造部品を使用して現場で比較的迅速に行うことができる。
【0006】
ある開示の実施形態によれば、パッチを準備して、構造物とパッチの間に粘性のある接着剤層を配置することを含む、構造物の一領域を再加工する方法が提供されている。スペーサは、接着剤層の厚さを制御するのに使用される。スペーサの使用には、スペーサをパッチと構造物のうちの一つの上に配置することが含まれ、粘性のある接着剤層の配置には、スペーサを介してパッチ及び構造物のうちの一つに接着剤を塗布することが含まれる。本方法はさらに、パッチを構造物に対して圧縮する前に、パッチ及び構造物のうちの一つからスペーサを取り除くことを含むことができる。スペーサの使用には、スペーサをパッチと構造物の間に配置して、パッチを構造物に対して圧縮している時に接着剤の圧縮が制限されるようにすることも含まれうる。
【0007】
別の開示の実施形態によれば、パッチを構造物に接着する方法が提供されている。本方法は、スペーサをパッチ及び構造物のうちの一つに配置して、パッチ及び構造物のうちの一つに粘性のある接着剤層を形成することを含む。接着剤の塗布には、スペーサを使用して接着剤を塗布している時に接着剤層の厚さを制御することを含みうる。本方法はさらに、パッチを構造物上に、接着剤をその間に挟んで配置し、パッチを構造物に対して圧縮し、接着剤を硬化させることを含む。本方法はまた、スペーサを使用して、パッチを構造物に対して圧縮している時に、接着剤層の圧縮を事前に選択した厚さに制限することも含むことができる。スペーサは、接着剤層が形成された後に取り除くことができる。
【0008】
さらなる開示の実施形態によれば、構造物の一領域を再加工するためのキットが提供されている。このキットは、再加工領域を覆って構造物に対して圧縮するのに適したパッチと、パッチ部材を構造物に接着する粘性接着剤を含む。またスペーサも、パッチを構造物に接着するのに使用される接着剤層の厚さを制御するために提供される。パッチは硬化繊維強化ポリマー複合材であってよい。
【0009】
さらなる実施形態によれば、構造物の一部分を再加工するために使用する複合パッチが提供される。複合パッチは、パッチと構造物の間に配置された接着剤層によって構造物に接着されるのに適した面を含む。パッチは、面全体に分布した複数のスペーサ要素を有し、接着剤層の厚さを制御するパッチと一体的に形成されている。
【0010】
開示の実施形態は、比較的迅速に実施することができ、接着部の多孔性を低減する又は除去する一方で接着ラインの厚さを綿密に制御することが可能である、構造物上にパッチを接着剤で接着する方法及び装置の必要が満たされる。
【0011】
1. 構造物の一領域を再加工する方法であって:
パッチを準備し;
粘性接着剤層を構造物とパッチの間に配置し;
スペーサを使用して接着剤層の厚さを制御し;
パッチを構造物に対して圧縮する
ことを含む方法。
【0012】
2.スペーサの使用には、スペーサをパッチ及び構造物のうちの一つに配置することが含まれ、
粘性接着剤層の配置には、スペーサを介してパッチ及び構造物のうちの一つに接着剤を塗布することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【0013】
3.パッチを構造物に対して圧縮する前に、パッチ及び構造物のうちの一つからスペーサを取り除く
ことをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【0014】
4.スペーサの使用には、パッチを構造物に対して圧縮する時に接着剤の圧縮を制限するために、パッチ及び構造物の間にスペーサを配置することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【0015】
5.スペーサの使用には:
スペーサをパッチ周囲の構造物に配置し;
スペーサを使用してパッチの構造物に対する圧縮を制限する
ことが含まれる、請求項1に記載の方法。
【0016】
6.スペーサの使用には、相互に間隔を置いて配置されている構造物及びパッチの間に複数の細長いスペーサ要素を配置することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【0017】
7.パッチの準備には、スペーサをパッチと一体的に形成することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【0018】
8.パッチの準備には、パッチに複数の貫通孔を形成して、パッチを圧縮する時にパッチの下から空気が抜け出ることができるようにすることが含まれる、請求項1に記載の方法。
【0019】
9.パッチを圧縮する時に、パッチの周辺部にかかる圧力を制限する
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【0020】
10.構造物上にパッチを接着させる方法であって:
スペーサをパッチ及び構造物のうちの一つに配置し;
粘性接着剤層をパッチ及び構造物のうちの一つに形成し、これには接着剤を塗布する時にスペーサを使用して接着剤層の厚さを制御することが含まれ;
パッチを構造物上に接着剤をその間に挟んで配置し;
パッチを構造物に対して圧縮し;
接着剤を硬化させる
ことを含む方法。
【0021】
11.パッチを構造物に対して圧縮する時に、スペーサを使用して接着剤層の圧縮を事前に選択した厚さに制限する
ことをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0022】
12.パッチ周囲の構造物上にスペーサを配置し;
構造物上に配置されたスペーサを使用して、パッチにかかる圧縮力に反作用してパッチの構造物に対する圧縮を制限する
ことをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0023】
13.スペーサをパッチ及び構造物のうちの一つの上に配置するステップが、ビーズ、スクリーン、リング、細長いスペーサ要素、スペーサ隆起部及びピンのうちの少なくとも一つを配置することを含む
ことをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【0024】
14.スペーサをパッチ及び構造物のうちの一つの上に配置するステップが、複数のスペーサ要素をパッチと一体的に形成することを含む、請求項10に記載の方法。
【0025】
15.構造物の一領域を再加工するキットであって:
再加工領域を覆って、構造物に対して圧縮されるのに適したパッチと;
パッチ部材を構造物に接着する粘性接着剤と;
パッチを構造物に接着するのに使用される接着剤層の厚さを制御するスペーサ
を含むキット。
【0026】
16.パッチが硬化繊維強化ポリマー複合材である、請求項15に記載のキット。
【0027】
17.スペーサが、接着剤が通る実質的に非圧縮性のスクリーンを含む、請求項15に記載のキット。
【0028】
18.スペーサがパッチと一体的に形成されている、請求項15に記載のキット。
【0029】
19.スペーサが、接着剤に混合される事前に計量された量の実質的に非圧縮性のビーズを含む、請求項15に記載のキット。
【0030】
20.スペーサが、パッチと構造物の間にそれぞれ配置される複数の細長い繊維を含む、請求項15に記載のキット。
【0031】
21.スペーサがパッチに一体化される、請求項15に記載のキット。
【0032】
22.スペーサが、複数の長さに切断され、構造物上に再加工領域を覆うように配置される、ある長さのフィラメントを含む、請求項15に記載のパッチ。
【0033】
23.構造物を再加工するのに使用する:
面と構造物の間に配置される接着剤層によって構造物に接着される前記面を有する複合パッチであって、
前記面全体に分布し、接着剤層の厚さを制御するためにパッチと一体的に形成された
複数のスペーサ要素を含むパッチ。
【0034】
24.現場において複合航空機構造物を再加工する方法であって:
再加工する構造物の一領域を準備し;
パッチを形成し、これにはパッチに貫通孔を形成することが含まれ;
パッチと構造物のうちの一つにスペーサを配置し;
接着剤層をパッチ及び構造物のうちの一つに形成し、これには接着剤をスペーサを介して塗布することにより、接着剤層の厚さを制御することが含まれ;
接着剤層が形成された後にスペーサを除去し;
構造物にパッチを適用し;
当て板をパッチの上に配置し;
当て板と構造物の間に反当て板を配置し;
パッチ、当て板、及び反当て板の組合せの上に圧力付与装置を装着し;
前記圧力付与装置を使用して、当て板を介してパッチに圧力を印加し;
反当て板を使用して当て板によって印加された圧力をパッチの周囲に制限し;
パッチの上に熱パックを装着し;
熱パックを使用して接着剤を硬化させる
ことを含む方法。
【0035】
25.複合航空機構造物を再加工するためのキットであって:
構造物に対して圧縮され構造物に接着されるおおむね平面のパッチであって、複数の貫通孔を含み、これによりパッチを構造物に対して圧縮させるときにパッチと構造物の間の空気がパッチを通って抜け出ることが可能になるパッチと;
事前計量した量の接着剤と;
再加工する構造物上の領域を画定するために構造物上に配置されるマスクと;
接着剤を硬化させる熱パックと;
パッチを構造物に対して圧縮させる圧縮装置と;
パッチと構造物の間の接着ラインの厚さを制御するために、平面部材と構造物の間に配置される実質的に非圧縮性のスペーサであって、前記スペーサが、
接着剤と混ぜ合わされる事前計量された量のビーズと、
スペーサリングと、
個々の長さに切断され、再加工する構造物上の一領域を覆うように構造物上に配置される、ある長さのフィラメントと、
複数のスペーサピンと、
スクリーン
のうちの少なくとも一つを含む実質的に非圧縮性のスペーサ
を含むキット。
【0036】
1.構造物の一領域を再加工する方法であって、
パッチを準備し、これにはパッチに複数の貫通孔を形成することが含まれ;
構造物とパッチの間に粘性の接着剤層を配置し;
パッチを構造物に押し付けて;
パッチ内の貫通孔を使用して、パッチが構造物に対して押し付けられるときに、パッチから空気及び/又は接着剤が絞り出されることを可能にする
ことを含む方法。
【0037】
2.スペーサをパッチと構造物の間に配置することによって、接着剤層の厚さを制御する
ことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【0038】
3.パッチと構造物の間にスペーサを配置するステップが、構造物とパッチの間に複数のビーズ及びスクリーンのうちの少なくとも一つを導入することを含む、請求項2に記載の方法。
【0039】
4.スペーサを配置するステップが、構造物とパッチの間に接着剤を配置する前に、接着剤にスペーサを導入することを含む、請求項2に記載の方法。
【0040】
5.構造物の表面を準備し;
少なくとも2つのリアクタンス性成分を混合することによって接着剤を準備し;
構造物の表面上にテンプレートを配置して再加工する構造物上の領域を画定し、接着剤の配置には、テンプレートを使用して接着剤を構造物の画定領域に塗布することが含まれ;
熱発生装置をパッチの上に適用して接着剤層を硬化させる
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【0041】
6.パッチの下の全ての空気がほぼ除去されたことを、パッチ内の貫通孔を通る過剰な接着剤の流れを観察することによって確認する
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【0042】
7.当て板を介してパッチの周囲に印加された圧力を制限するステップが、パッチ周囲外の構造物と当て板の間に反当て板を配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【0043】
8.パッチを構造物に接着させる方法であって:
パッチを構造物上に配置し;
パッチと構造物の間に接着剤層を配置し;
パッチの上に当て板を配置し;
当て板に圧力をかけることによってパッチを構造物に押し付けて;
反当て板を使用して当て板を介してパッチの周囲に印加した圧力を制限する
ことを含む方法。
【0044】
9.パッチ周囲に印加した圧力を制限するステップが、当て板の当て板周辺に印加された力に反作用することを含む、請求項8に記載の方法。
【0045】
10.力に反応するステップが、当て板と構造物の間の当て板の外側周辺に反当て板を配置することを含む、請求項8に記載の方法。
【0046】
11.パッチと構造物の間にスペーサを配置して接着剤層を所望の厚さに維持することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【0047】
12.スペーサをパッチと構造物の間に配置するステップが、それぞれ接着剤層の所望の厚さとおおむね等しい寸法を有するビーズを接着剤に導入することを含む、請求項11に記載の方法。
【0048】
13.スペーサをパッチと構造物の間に配置するステップが、パッチ及び構造物の間に、接着剤層の所望の厚さにおおむね等しい厚さを有するスクリーンを導入することを含む、請求項11に記載の方法。
【0049】
14.構造物の一領域の再加工に使用するパッチであって:
構造物に押し付けられて、接着剤層によって構造物に接着されるおおむね平面の部材であって、複数の貫通孔を含み、これによって平面部材が構造物に押し付けられるときに、パッチと構造物の間の空気が平面部材を通って抜け出ることが可能になる平面部材
を含むパッチ。
【0050】
15.平面部材の各貫通孔が、過剰な接着剤が貫通孔を通って流れ、パッチから流れ出るのを可能にするのに十分な幅を有する、請求項14に記載のパッチ。
【0051】
16.平面部材が多数重なった複合材料である、請求項14に記載のパッチ。
【0052】
17.複合材料が硬化される、請求項16に記載のパッチ。
【0053】
18.平面部材と構造物の間の接着剤の厚さを制御するために、平面部材と構造物の間に配置されるスペーサをさらに含む、請求項15に記載のパッチ。
【0054】
19.スペーサが、接着剤が通り抜けることができる実質的に非圧縮性のスクリーンを含む、請求項18に記載のパッチ。
【0055】
20.スペーサが、接着剤内に分散した複数の実質的に非圧縮性のビーズを含む、請求項18に記載のパッチ。
【0056】
21.接着剤で構造物表面上にパッチを接着させる装置であって:
接着工程において、パッチ上に配置されパッチに圧力を印加する当て板と;
当て板によってパッチの周囲に印加された圧力を制限する手段
を含む装置。
【0057】
22.圧力を制限する手段が、当て板と構造物表面の間の反当て板を含む、請求項21に記載の装置。
【0058】
23.反当て板が実質的にパッチを囲む、請求項21に記載の装置。
【0059】
24.反当て板は実質的に円形でパッチを囲んでおり、
当て板周辺部が反当て板を覆って係合する
請求項22に記載の装置。
【0060】
25.現場において複合航空機構造物を再加工する方法であって:
再加工される構造物の一領域を準備し;
パッチを形成し、これにはパッチに貫通孔を形成することが含まれ;
接着剤層をパッチ及び構造物のうちの一つに形成し;
スペーサをパッチと構造物の間に配置することによって、接着剤層の厚さを制御し;
パッチを構造物に適用し;
当て板をパッチの上に配置し;
反当て板を当て板と構造物の間に配置し;
パッチ、当て板及び反当て板の組み合わせの上に圧力付与装置を装着し;
圧力付与装置を使用して、当て板を介してパッチに圧力を印加し;
反当て板を使用して、当て板によってパッチ周囲に印加された圧力を制限し;
熱パックをパッチの上に装着し;
熱パックを使用して接着剤を硬化させる
ことを含む方法。
【0061】
26.複合航空機構造物を再加工するためのパッチであって:
構造物に押し付けられて、接着剤層によって構造物に接着されるおおむね平面の部材であって、構造物に押し付けられた時に、パッチと構造物の間の空気が平面部材を通って抜け出ることを可能にする複数の貫通孔を含む平面部材と;
接着剤層の均一性を制御するために、平面部材と構造物の間に配置される実質的に非圧縮性のスクリーンと;
平面部材を構造物に接着する接着剤層と;
接着剤層の厚さを制御するための接着剤層内のビーズ
を含むパッチ。
【0062】
特徴、機能及び利点は、本発明の様々な実施形態において個別に達成することができる、または下記の説明及び図面を参照することによってさらに詳細を理解することができる更に別の実施形態と組み合わせることができる。
【0063】
有利な実施形態を特徴づけていると思われる新規特性は添付の請求項に記載されている。有利な実施形態だけでなく、使用の好ましいモード、更なる目的及びその利点はしかしながら、添付の図面と併せて読むときに、本発明の有利な実施形態の下記の詳細説明を参照することによって最適に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は有利な実施形態による航空機の製造及び就航方法を示す図である。
【図2】図2は有利な実施形態を実行できる航空機を示す図である。
【図2A】図2Aは接着剤で接着された2つのパーツの間に所望の接着ラインの厚さを維持するためにスペーサを使用する様子を示す機能ブロック図である。
【図3】図3は有利な実施形態による接着環境を示す図である。
【図4】図4は有利な実施形態による接着剤の塗布断面を示す図である。
【図5】図5は有利な実施形態による接着剤層とビーズを塗布した構造物の断面図である。
【図6】図6は有利な実施形態によるパーツ上のマスクを示す図である。
【図7】図7は有利な実施形態による接着剤用に準備中のパーツを示す図である。
【図8】図8は有利な実施形態による接着剤とビーズの塗布を示す図である。
【図9】図9は有利な実施形態による接着剤とビーズを塗布したパーツを示す図である。
【図10】図10は有利な実施形態にしたがってパーツに接着剤を塗布する様子を示す図である。
【図11】図11は有利な実施形態にしたがって接着剤を塗布したパーツからスクリーンを除去する様子を示す図である。
【図12】図12は有利な実施形態にしたがって互いに接着された2つのパーツを示す図である。
【図13】図13は有利な実施形態にしたがってパーツを接着させる工程を示すフロー図である。
【図14】図14は有利な実施形態にしたがってパーツを接着させる工程を示すフロー図である。
【図15】図15は再加工が必要な領域を有する構造物の一部分の平面図である。
【図16】図16は図15の線16−16に沿って切り取った断面図である。
【図17】図17は再加工が行われている領域の上に配置されているテンプレートを示す平面図である。
【図18】図18はパッチ内の貫通孔を示すパッチの等角投影図である。
【図19】図19はパッチと接着剤層が再加工を必要とする領域の上に配置されている、図15に示す構造物の断面図である。
【図20】図20は図19と同様の図であるが、パッチの上に装着されている当て板及び反当て板を示す図である。
【図21】図21は当て板を示す上面図であり、反当て板とパッチの位置が実体のないものとして図示されている。
【図22】図22はパッチに力を印加するための熱パックと圧縮機を含む、補修方法を実行するための装置の分解組立図である。
【図23】図23は接着されたパッチを使用して構造物を再加工する方法のステップを示すフロー図である。
【図24】図24は接着されたパッチを使用して構造物を再加工するのに使用できる包装済みのキットの構成部品を示すブロック図である。
【図25】図25はスペーサの代替実施形態の斜視図である。
【図26】図26は図25の線26−26に沿って切り取った断面図である。
【図27】図27はパッチを圧縮している間接着ラインの厚さを維持するために図25のスペーサを使用している様子を示す断面図である。
【図28】図28はスペーサの別の実施形態の斜視図である。
【図29】図29は図15と同様の図であるが、接着剤を塗布する前に再加工領域の上に配置されている図28の複数のスぺーサを示す図である。
【図30】図30は図27と同様の図であるが、接着ラインの厚さを維持するために図28のスペーサを使用する様子を示す図である。
【図31】図31は別の形態のスペーサを有するパッチの底部を示す斜視図である。
【図32】図32は図31と同様の図であるが、さらなる形態のスペーサを示す図である。
【図33】図33は図30と同様の図であるが、接着ラインの厚さを維持するために図32のスペーサを使用する様子を示す図である。
【図34】図34は図29と同様の図であるが、別の実施形態のスペーサを示す図である。
【図35】図35は別の形態のスペーサが適用されている、貫通孔が形成されたパッチの平面図である。
【図36】図36は図35と同様の図であるが、貫通孔を有するパッチ上のスぺーサの異なるレイアウトを示す図である。
【図37】図37は別の形態のスペーサが形成されている、貫通孔を有するパッチの平面図である。
【図38】図38は図37の線38−38に沿って切り取った断面図である。
【図39】図39は別の形態のスペーサが形成されている、貫通孔を有するパッチの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図面をさらに具体的に参照し、本開示の実施形態を図1に示す航空機の製造及び就航方法100と図2に示す航空機200において説明することができる。まず図1を見てみると、航空機の製造及び就航方法を示す図は有利な実施形態にしたがって図示されている。試作段階においては、例示の航空機の製造及び就航方法100は図2の航空機200の仕様及び設計102と、材料調達104を含むことができる。
【0066】
製造段階においては、図2の航空機200の構成部品及びサブアセンブリの製造106と、システム統合108がおこなわれる。そのあとに、図2の航空機200は、認可及び納品110を経て就航112される。顧客によって使用されている間、図2の航空機200には所定の整備及び保守114(変更、再構成、改装、及びその他の整備及び保守も含むことができる)が予定される。
【0067】
航空機の製造及び就航方法100の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータによって行う又は実施することができる。これらの実施例ではオペレータは顧客であってよい。この説明のために、システムインテグレータは限定しないが、任意の数の航空機メーカー、及び主要システムの下請け業者を含むことができ;第三者は限定しないが、任意の数の供給メーカー、下請け業者、及びサプライヤを含むことができ;オペレータは、航空会社、リース会社、軍部、サービス組織等であってよい。
【0068】
次に図2を参照すると、有利な実施形態を実行できる航空機の図が図示されている。この実施例では、航空機200は図1の航空機の製造及び就航方法100によって製造され、複数のシステム204及び内部装飾206を有する機体202を含むことができる。システム204の実施例は、一又は複数の推進システム208、電気システム210、油圧システム212、及び環境システム214を含む。任意の数の他のシステムを含むことができる。航空宇宙における実施例を示したが、異なる有利な実施形態を自動車産業等の他の業界に応用することができる。
【0069】
本明細書に具現化された装置及び方法は、図1の航空機の製造及び就航方法100の一又は複数の段階において採用することができる。例えば、図1の構成部品及びサブアセンブリの製造106で製造された構成部品又はサブアセンブリは、図1の航空機200が稼動112している間に製造される構成部品又はサブアセンブリと同じ方法で加工又は製造することができる。
【0070】
また、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、例えば非限定的に、航空機200を実質的に組立てしやすくする、又は航空機200にかかる費用を削減することによって、例えば図1の構成部品及びサブアセンブリの製造106とシステム統合108等の製造段階において用いることが可能である。同様に、一又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、またはこれらの組み合わせを、航空機200が稼動112している間に、又は図1の整備及び保守114において用いることができる。
【0071】
例えば非限定的に、有利な実施形態を使用して、航空機200の構成部品及びサブアセンブリの製造106及び/又はシステム統合108において航空機200のパーツを結合させることができる。加えて、有利な実施形態を整備及び保守114に採用して航空機200の再構成及び/又は修理を行うことができる。
【0072】
異なる有利な実施形態は、接着剤を塗布する現在の工程により、接着が行われる領域に塗布される接着剤層が均等にならない場合があることを認識し考慮に入れている。異なる有利な実施形態はまた、現在の工程により、接着剤を均等な層を形成するように塗布することができたとしても、接着剤層が所望の厚さにならない場合があることも認識し考慮に入れている。
【0073】
図2Aを参照すると、開示の実施形態にしたがって、パーツ304、310の一方又は両方に形成された接着剤層332を使用してパーツ304、310を相互に接着させる方法が提供されている。接着剤332の厚さ338は本明細書においてしばしば「接着ライン」とも呼ばれ、この「接着ライン」は一又は複数のスペーサ315をパーツ304、310の間に配置することによって制御することが可能である。後に記載するように、様々な形態のスペーサ315が可能である。ある実施形態では、スペーサ315を用いてパーツ304、310の一方又は両方にほぼ一定の厚さ338の均一な接着剤332の層を形成し、スペーサ315はパーツ304、310が相互に接着される前に取り除かれる。別の実施形態では、スペーサ315をパーツ304、310の間に残して、パーツ302、310が共に圧縮される時に、一定の接着ラインの厚さ338を維持するのを補助することができる。実際に、パーツ304、310が圧縮される時に、スペーサ315により接着剤332の圧縮が制限される。
【0074】
図3を参照すると、ある実施形態において、スペーサ315はスクリーン318及び/又は接着剤332に混合されるビーズ334を含むことができる。接着剤332及び複数のビーズ334はスクリーン318を介して第1パーツ304の表面328に塗布されて、接着剤332とビーズ334の層336が形成される。接着剤332とビーズ334の層336を有する第1パーツ304の表面328は第2パーツ310の表面340に接触するように配置されて、ビーズ334を含む接着剤層336が形成され、構造物307が形成される。構造物307は次に硬化させることができる。
【0075】
これらの実施例では、スクリーン318はある厚さを有することができ、接着剤332と複数のビーズ334をスクリーン318を介して第1パーツ304の第1面328に塗布することによって、実質的にスクリーン318の厚さ338を有する接着剤332とビーズ334の層336を得ることができる。
【0076】
複数のビーズ334は、パーツ304の第1面328に塗布された時に接着剤332とビーズ334の層336がほぼ均一な厚さ338になるようなサイズを有することができる。ビーズ334は、パーツ304、310を共に結合させるときに、接着剤332の層がほぼ均一な厚さ338を保つようにすることができる。結合されている一又は複数のパーツ304、310に圧力を印加することによって不均一な厚さになるとは限らない。さらに、ビーズ334及び/又はスクリーン318のサイズにより圧力下で厚さ338が維持されうる。
【0077】
図3においては、接着環境300が有利な実施形態にしたがって図示されている。この実施例では、接着環境300を使用してパーツ304とパーツ306の間に構造接着状態302を形成することができる。パーツ304とパーツ306で構造物307を形成することができる。これらの実施例では、パーツ304とパーツ306はプラットフォーム308のパーツであってよい。これらの実施例では、プラットフォーム308は例えば図2の航空機200であってよい。パーツ304は複合パーツ305の形態をとることができ、パーツ306は複合パーツ310の形態をとることができる。
【0078】
これらの実施例では、複合パーツ305は外板312であってよいが、その他の構造物、例えば非限定的に、床板、壁、フレーム、ストリンガー、スパー、ドア、及び他の構造物も考えられる。複合パーツ310は外板312に適用される前はおおむね平面であってよいパッチ314であってよい。平面なパッチ314を外板312に適用した後で、パッチ314が外板312の表面の輪郭に一致することにより、外板312が湾曲しているところではパッチ314もこれらの応用形態において湾曲しうる。パッチ314は平面である必要はなく、ある実施形態では、パッチ314は外板314に適用される前は湾曲している、又は輪郭を有していてよい。パッチ314は未硬化であってよく、又は予め硬化させたものであってよい。パーツ304及びパーツ306は接着システム316を使用して相互に接着させることができる。接着システム316はスクリーン318、テンプレートマスク320、アプリケータ322、当て板324、及び熱源326を含むことができる。
【0079】
テンプレートマスク320を複合パーツ305の第1面328に配置して領域330を露出させることができる。スクリーン318を次にテンプレートマスク320上に配置することができる。接着剤332及びビーズ334をスクリーン318を介して領域330の第1面328上に塗布して、接着剤及びビーズの層336を形成することができる。接着剤及びビーズの層336は硬化された時に、接着ライン337の形態をとることができる。
【0080】
接着剤332及びビーズ334を多数の異なるやり方で塗布することができる。例えば、接着剤332をビーズ334と混合して共に塗布して、接着剤及びビーズの層336を形成することができる。他の有利な実施形態では、接着剤332をスクリーン318の開口部341を介して塗布することができる。開口部341は特定の実行形態によって様々な形状及びサイズを有することができる。
【0081】
開口部341は、ビーズ334が開口部341を通ることができるサイズを有することができる。スクリーン318はまた、例えば非限定的に、スクリーンウィーブ、ねじ山間の開口部、ねじ山の直径、及び/又はその他好適なパラメータ等のその他のパラメータを有することもできる。これらのパラメータは、ビーズのサイズ、及び例えば、厚さ、粘着性、表面張力、粘性、及び/又はその他の付着性等の接着剤の特性と相互作用する場合がある。
【0082】
その後、ビーズ334を領域330の第1面328上の接着剤332に加えて、接着剤とビーズの層336を形成することができる。これらの実施例では、スクリーン318はほぼ均一であり得る厚さ338を有することができる。この結果、接着剤とビーズの層336は実質的に厚さ338も有しうる。
【0083】
ビーズ334の直径よりも大きい、結合前の厚さ338を有する接着剤332のある少ない量の過剰量を塗布して、複合パーツ305と複合パーツ310を結合させる時に発生しうる潜在的空隙を低減する及び/又は除去することができる。パーツ305とパーツ310を結合するときに、パーツを真空バッグ圧又はその他の圧力下に置いて、ビーズ334の直径に非常に近い厚さ332を有する均一な接着ラインを維持しながら、過剰な接着剤を絞り出すことができる。これにより全ての表面領域の上に十分に充填することができる。スクリーン318をパーツ305、310のうちの一つに配置し、その後接着剤332を、そして任意にビーズ336を、スクリーン318を通して接着剤/ビーズを押し出してスクリーン318上の過剰な接着剤をコテで取り除きパーツの上に塗布することによって、接着ラインの厚さ338を制御しやすくなりうる。
【0084】
アプリケータ322を使用してスクリーン318を介して複合パーツ305の第1面328上に接着剤332及び/又はビーズ334を塗布することができる。アプリケータ322はスクリーン318から過剰な接着剤332及び/又はビーズ334を除去して、実質的に厚さ338を有する接着剤及びビーズ336の層を形成することができる。
【0085】
接着剤及びビーズの層336が形成された後で、スクリーン318とテンプレートマスク320を取り除くことができる。複合パーツ310の第2面340を複合パーツ305の第1面328と接触するように配置することができる。接着剤及びビーズの層336内のビーズ334により、接着剤及びビーズの層336を実質的に厚さ338に維持することができる。ビーズ334により、厚さ338を実質的に同じレベルに維持することができる構造要素が提供されうる。接着剤及びビーズの層336のビーズ334がないと、厚さ338は圧縮後に領域330の部分においてまばらになる可能性がある。
【0086】
異なる有利な実施形態では、接着剤332を、パーツ304及びパーツ306の間で構造接着状態302を形成するのに好適でありうる全ての接着剤から選択することができる。異なる有利な実施形態では、接着剤332は、スクリーン318が接着剤及びビーズの層336から除去された時に、接着剤及びビーズの層336が実質的に厚さ338を維持することができるような粘性を有することができる。
【0087】
ある有利な実施形態では、接着剤332は未硬化状態にある時に、スクリーン318が取り除かれたときに適切な度合いの流れが起きるような粘性、粘着性、及び表面張力を有するように選択することができる。ビーズ334を有する又は有さない接着剤332は、接着剤332が構造物上にそのまま残り、スクリーン318が取り除かれた後わずかにリフローすることが可能となるような流れを維持しながら、第1面328に付着するようなものを選択することができる。接着剤332の選択は部分的に、接着剤332の塗布、及び複合パーツ305の第1面328と複合パーツ310の第2面340を結合している間に特性を維持できるような接着剤332の稼動時間を考慮に入れている。
【0088】
接着剤332はパーツ304とパーツ306の材料によって変化させることができる。例えば非限定的に、パーツ304とパーツ306が複合パーツ305と複合パーツ310の形態を取る場合、接着剤332は複合構成部品に好適な接着剤であってよい。
【0089】
パーツ305及び/又はパーツ310が金属又はアルミニウムパーツの形態をとる場合、異なる種類の接着剤が好適であり得る。選択される特定の接着剤は相互に接着されるパーツの材料、所望の接着強度、及びその他好適な要因に依存しうる。使用できる接着剤には、例えば非限定的に、エポキシ系接着剤、ウレタン接着剤、アクリル接着剤、及びその他好適な接着剤が含まれる。
【0090】
ビーズ334はサイズ335を有することができる。サイズ335は厚さ338又はその他何らかの所望の厚さに基づいて選択することができる。ビーズ334のサイズ355は厚さ338前後であってよい。さらに、接着剤及びビーズの層336内のビーズ334の量は、特定の実行形態によって変化しうる。ビーズ334は、ガラス、金属、セラミック、ゴム、及び/又はその他何らかの好適な材料のうちの少なくとも一つから選択された材料からなるものであってよい。ビーズ334はこれらの実施例では実質的に非圧縮性であってよい。
【0091】
この非圧縮性は厚さ338の減少を回避するのに望ましいものであり得る。本明細書で使用される「少なくとも一つの」という表現は、品目リストとともに使用される場合は、一以上の品目の異なる組み合わせを使用することができ、リストの中の各品目のうちの一つのみが必要であり得ることを意味する。例えば、「品目A、品目B、及び品目Cのうちの少なくとも一つ」は非限定的に、品目A、又は品目A及び品目Bを含むことができる。この実施例はまた、品目A、品目B、及び品目C、又は品目B及び品目Cも含むことができる。
【0092】
構造物307を硬化させて構造接着状態302を形成することができる。これらの実施例では、硬化を接着剤及びビーズの層336に対して実施してパーツ304とパーツ306の間に構造接着状態302を形成することができる。構造物307の硬化は熱源326を使用して行われる。熱源326は例えば非限定的に、熱パッド、オートクレーブ、又はその他何らかの好適な熱源であってよい。ある有利な実施形態では、硬化工程において当て板324を構造物307上に配置することができる。これらの実施例では、接着システム316を使用して行われる異なる作業は、人間のオペレータ342によって手動で、及び/又はロボット装置344によって自動的に行うことができる。
【0093】
図3の接着環境300は物理的又はアーキテクチャ制限を暗示するように図示されたものではなく、異なる有利な実施形態が実行可能である。ある有利な実施形態では、その他の構成部品を図示したものに加えて、又はその代わりに使用することができる。さらに別の有利な実施形態では、いくつかの構造部品は必要でない場合がある。
【0094】
例えば、ある有利な実施形態では、硬化工程において当て板324の使用は必要でない場合がある。さらに別の有利な実施形態では、複合パーツ310がパッチの形態をとる場合、複合パーツ310に通気孔を形成することができる。通気孔により、接着剤及びビーズの層336内に閉じ込められた空気を絞り出しやすくなり得る。さらに別の有利な実施形態では、硬化工程において構造物307に真空バッグ処理を行うことができる。真空バッグ処理、又は真空バッグ処理とオートクレーブ圧縮により、接着ラインをビーズ334によって可能である最小の厚さにまで圧縮しやすくなり得る。
【0095】
別の実施例として、ある有利な実施形態では、スクリーン318の上にテンプレートマスク320を載せて、スクリーン318を第1面328上に配置することができる。さらに別の有利な実施形態では、テンプレートマスク320は必要でない場合がある。さらに別の有利な実施形態では、接着剤332をパーツ306の第2面340上に配置する場合がある。さらに別の実施例では、有利な実施形態はパーツ306の第2面340上に活性化物質を配置することができる。活性化物質により、接着剤332が硬化する、又は硬化することができる状態に入ることができる。
【0096】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示された接着剤の断面図である図4を参照する。この実施例では、パーツ400は図3のパーツ304の実施例である。
【0097】
パーツ400は例えば非限定的に、外板又はその他何らかの好適なパーツであってよい。パーツ400は例えば非限定的に、複合材料、アルミニウム、チタン、及び/又はその他何らかの好適な材料等の材料からなるものであってよい。この実施例では、マスク402をパーツ400の面404に配置することができる。スクリーン406はマスク402の上に配置することができる。これらの実施例では、マスク402により領域408を露出させることができる。接着剤410を領域408の面404に塗布することができる。マスク402により領域408外の面404の複数の部分412に接着剤410が塗布される又は付着するのを防止することができる。特定の実行形態によって、ビーズ414を接着剤410と混合することができる、又は単独で塗布することができる。
【0098】
これらの実施例では、スクリーン406は厚さ416を有することができる。ビーズ414は直径418を有することができる。直径418は厚さ416とほぼ同じ値であってよく、ビーズ414のうちの異なるビーズ間でほぼ一貫していてよい。スクリーン406を使用することにより、接着剤とビーズの層420を厚さ422になるように塗布することができ、厚さ422は領域408の厚さ416とほぼ同じ厚さでありうる。つまり、スクリーン406の厚さ416により、接着剤410とビーズ420の層の厚さ422を設定することができる。スクリーン406が取り除かれた後、ビーズ420は実質的に厚さ422を維持することができる。
【0099】
次に、有利な実施形態にしたがって図示された接着剤とビーズの層を有する構造物の断面図である図5に注目する。この実施例では、パーツ400の面404をパーツ502の面500に接触するように配置することができる。パーツ502は例えばおおむね平面のパッチ又はパーツ400のその他の修理部品であってよい。しかしながら、ある実施形態では、前述したように、パーツ400は平面でなくてもよい。
【0100】
異なる有利な実施形態では、力はパーツ502に矢印504の方向に加えられる場合がある。接着剤とビーズの層420内のビーズ414により、接着剤とビーズの層420のビーズ414の厚さよりも厚さ422が縮むのを低減する及び/又は防止することができる。さらに、ビーズ414により、接着剤とビーズの層420の領域408の厚さ422が不均一になるのを防止することができる。これらの実施例では、ビーズ414の形状は球であってよい。当然ながら、特定の実行形態によってどんな形状でも使用可能である。これらの実施例では、ビーズ414間の積み重なりを避けることができる任意の形状をビーズ414に使用することができる。
【0101】
ある有利な実施形態では、厚さ422は直径418よりも大きい。この種の実行形態では、接着剤とビーズの層420はビーズ414の直径418に基づき厚さ506まで値が減少する場合があり、これは最終的な接着ラインの厚さ338に対応する(図3)。
【0102】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示された接着剤とビーズをパーツに塗布する様子を示す図である図6〜12を参照する。図6は有利な実施形態によるパーツ上のマスクの図である。最初に図6を参照すると、マスク600はパーツ604の面602に配置することができる。マスク600は面602の領域606を露出させることができる。領域606は接着剤を塗布することができる一領域であってよい。
【0103】
図7を参照すると、接着剤用に準備中のパーツの図が有利な実施形態にしたがって図示されている。この実施例では、スクリーン700がパーツ604のマスク600の上に配置されている。この結果、接着剤はパーツ604の領域606の面602までスクリーン700のみを通過することができる。
【0104】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示された接着剤とビーズを塗布する様子を示す図である図8を参照する。この実施例では、接着剤とビーズ800はスクリーン700を通して面602に塗布することができる。接着剤とビーズ800はマスク600があるために領域606にのみ塗布することが可能である。
【0105】
図9には、接着剤とビーズが塗布されたパーツの図が有利な実施形態にしたがって図示されている。この実施例では、接着剤とビーズの層900がスクリーン700(図示せず)及びマスク(図示せず)を除去した後に残されている。パーツ604をここで結合させる及び/又は接着させることができる。
【0106】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示されたパーツに接着剤を塗布する様子を示す図である図10を参照する。この実施例では、パーツ1000は面1004に配置されるスクリーン1002を有する。接着剤1006はスクリーン1002を介して面1004に塗布されている場合がある。この実施例では、接着剤1006にビーズが含まれていなくてもよい。
【0107】
有利な実施形態にしたがって図示された、接着剤が塗布されたパーツからスクリーンを除去する様子を示す図11に注目する。この実施例では、スクリーン1002はパーツ1000から取り外されている。ほぼ均一な接着剤層1100が面1004上に残されている。ある有利な実施形態では、接着剤層1100は活性化物質の形態をとることができる。
【0108】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示された相互に接着した2つのパーツを示す図である図12を参照する。この実施例では、パーツ1000はパーツ604に接して配置されており、硬化されて接着ライン1202として見られる構造接着状態1200を形成する。パーツ1000とパーツ604は熱と圧力の印加を利用して硬化させることができる。この実施例の構造接着状態1200について、厚さ又は接着ラインは一貫したものであってよい。
【0109】
図6〜12に示す異なる作業及び特徴は限定を意味するものではなく、異なる有利な実施形態が実行可能である。ある有利な実施形態は説明したものに加えて、又はそれの代わりに他の特徴及び/又は作業を有することができる。さらに、ある有利な実施形態では、幾つかの特徴及び/又は作業は不必要である場合がある。例えば、ある有利な実施形態では、接着剤1006はパーツ1000に対して不必要であり得る。さらに別の有利な実施形態では、スクリーン700はその上にマスク600を配置した状態で、パーツ604の面602上に配置することができる。
【0110】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示されたパーツを接着する工程のフロー図である図13を参照する。図13に示す工程は例えば図3の接着環境300等の接着環境を使用して実行可能である。
【0111】
この工程は第1パーツの第1面上にマスクを配置することによって開始することができる(作業1300)。この工程では次に、スクリーンをマスクの上に配置して第1パーツの第1面の露出領域を形成する(作業1302)。この工程では次に、接着剤と複数のビーズをスクリーンを通して第1パーツの第1面上に塗布して接着剤とビーズの均一な層を形成する(作業1304)。スクリーンは接着剤とビーズの層を均一にするためのレべラー装置として使用することができる。第1パーツの第1面上に接着剤とビーズの均一な層を残して、スクリーンを除去することができる(作業1306)。
【0112】
この工程では、接着剤とビーズの層が形成された第1パーツの第1面を第2パーツの第2面と接触するように配置して、構造物を形成することができる(作業1308)。この工程では、構造物を硬化させることができ(作業1310)、その後工程は終了する。
【0113】
ここで、有利な実施形態にしたがって図示されたパーツを接着する工程のフロー図である図14を参照する。図14に示す工程は、例えば図3の接着環境300等の接着環境を使用して実行可能である。
【0114】
この工程は、接着剤と複数のビーズを第1パーツの第1面上に塗布して、接着剤とビーズの層を形成することによって開始することができる(作業1400)。この工程では次に、スクリーンを接着剤とビーズの層の中に嵌めこむことができる(作業1402)。過剰な接着剤をスクリーンの最上部から取り除いて、接着剤とビーズのほぼ均一な層を形成することができる(作業1404)。スクリーンを次に接着剤とビーズのほぼ均一な層から取り除くことができる(作業1406)。
【0115】
接着剤とビーズのほぼ均一な層が形成された第1パーツの第1面を第2パーツの第2面と接触するように配置して、構造物を形成することができる(作業1408)。この工程では次に構造物を硬化させることができ(作業1410)、その後工程は終了する。
【0116】
図13及び14のフロー図に示す工程は、多数の異なる方法で実施することができる。ある有利な実施形態では、その他の作業を説明したものに加えて、あるいはその代わりに使用することができる。さらに、ある作業は同時に行うことができる。さらに別の有利な実施形態では、ある作業を省略することができる。
【0117】
例えば、第1面を第2面に接触するように配置している時に、作業1306を省略してスクリーンとビーズを適所に配置したままにすることができる。さらに別の有利な実施形態では、ビーズとスクリーンを適所に残さずに、接着剤層をスクリーンを通して配置することができる。例えば、ある有利な実施形態では、接着剤を第2パーツの第2面に塗布することもできる。2つの成分を有する接着剤が使用されるさらに別の実施形態では、接着剤の第1成分を第1パーツの第1面に塗布することができ、接着剤の第2成分を第2パーツの第2面に塗布することができ、2つのパーツを向かい合わせて接触するように配置した時に、この2つの接着剤の成分が混ぜ合わさる。
【0118】
別の実施例では、接着剤はビーズを含まない場合がある。別の実施例として、接着剤と複数のビーズの第1面への塗布は、接着剤及び複数のビーズの混合物を塗布することによって実施することができる。別の有利な実施形態では、接着剤を第1面に塗布することができる。ビーズを次にスクリーンを通して第1面に塗布することができる。
【0119】
したがって、異なる有利な実施形態は、パーツを相互に接着させる方法及び装置を提供する。異なる有利な実施形態は、ほぼ所望の値前後の厚さを有することができる接着剤層を形成する能力を提供することができる。さらに、接着剤にビーズを使用することで、パーツに圧縮圧力が印加されている間及びその後で、所望の厚さの値を有する均一な接着剤層を維持することができる。
【0120】
一又は複数の有利な実施形態により、パーツの接着に再現性を提供することができる。図示した実施例では、再現性は、異なる有利な実施形態を使用してパーツの構造一貫性がさらに予測可能となり得るため、例えば非限定的に、一貫した構造接着状態、一貫した強度、一貫した設計、及び認証限度を含むことができる。これらの、そして可能な他の特徴により、パーツ及び/又は製品のより簡単で早い認証が提供できる。
【0121】
ここで、航空機に含まれるもの等の複合外板312を示す図15及び16に注目する。この実施例では、外板312は再加工される局在的な領域312aを有する。本明細書で使用される「再加工」、「再加工された」、及び「再加工される」は広い意味で使用され、非限定的に、構造物をその元の載荷能力及び/又は仕様に戻す、又は一又は複数の点において構造物の性能を改善する又は増加することができる再加工、修理、修復、改善、及び変更が含まれる。しかしながら、開示の実施形態は既存の外板312の再加工を伴う応用形態を図示しているが、実施形態を航空機の初期の製造及びアセンブリの間に用いて、外板312の特定領域を形成する、及び/又は一又は複数の構成部品を外板312に取り付けることができることにも注目すべきである。したがって、下記の説明及び添付の請求項に使用される用語「パッチ」はさらに、航空機の初期の製造において航空機の構造物に接着される構造部品等の別の構造物に接着される様々な形態のパーツを含むように定義される。この実施例では、領域312aは外側面328から下方向に延びて外板312の幾つかの層312bを貫通するくぼみ328a(図16)である。他の応用形態では、領域312aは単に一又は複数の層312bの中に下方向に延びているが、層を貫通しない外板312における変形部又は「へこみ」である。図面に示す外板312はほぼ平坦であるが、外板312は一又は複数の輪郭又は湾曲部を有することができ、この場合外板312に適用された平面のパッチ314は外板312の輪郭又は湾曲部に一致しうる。また、図面に示すパッチ314はほぼ平面であるが、他の実施形態では、パッチ314は非限定的に湾曲部、輪郭及び/又は先細部を含む他の形状を有することができる。また、前述したように、パッチ314は未硬化の又は予め硬化した複合材料であってよい。
【0122】
航空機が運航状態にあることが要求され、スケジュールの途切れを避けることが重要なある状況においては、特殊な取扱設備、特別な取扱い及び/又は熟練のメンテナンス技術者が得られるハンガー施設環境外の「現場において」再加工を行うことが必要となる場合がある。例えば、スケジュールの遅延を避けるために空港のゲートに航空機が駐機している間の制限された時間内に必要な再加工を行うことが必要となる場合がある。開示の実施形態にしたがって、複合材料の知識がわずかでありうるライン整備士等の作業員によって必要な再加工を比較的迅速に行うことができる。
【0123】
再加工は、再加工が必要な領域312aをおおむね囲む部分1500(図15)を再加工することによって開始することができる。図17を参照すると、テンプレートマスク320は中央開口部320aを含み、この中央開口部320aはこの実施例ではほぼ円形であり、再加工領域1500と同一の広がりを持つが、応用形態によってその他の形状の開口部も可能である。中央開口部320aは、外板312の面328の準備において研磨テンプレートとして、また再加工が必要な領域312aの上にパッチ314(図18)をセンタリングするためのテンプレートとしての両方の役割を果たすことができる。テンプレートマスク320はさらに、中央開口部320aを同軸に囲むリング状の断続的な貫通孔320bを含む。リング状の貫通孔320bを使用して、再加工工程の一部において外板312から塗料が取り除かれる面320a上の外側の境界の印づけをすることができる。面328が接着されたパッチ314を受け入れるための準備工程のさらなる詳細を、さらに詳しく下に記す。
【0124】
図18は、図15〜17に示す外板312上の領域312aを再加工するのに好適なパッチ314を示す。この実施例では、おおむね平面のパッチ314はほぼ円形であり、パッチ314全体に分布する複数の貫通孔314aを含む。下に説明するように、貫通孔314aにより、矢印1802によって示すように、パッチの装着工程において外板312の面328に対して圧縮されている間にパッチ314の下から空気1800を逃がすことが可能になり得る。各貫通孔314aの直径又は最大幅「w」は、パッチ314の下から過剰の接着剤1804を押し出すこともできるほど十分に大きいことが望ましい。
【0125】
ここで図19を参照すると、パッチ314は予め硬化した複合材料の複数の層314bを含むことができる。他の実施形態では、パッチ314は未硬化であってよい。パッチ314は粘性の接着剤層336によって再加工される領域312aを覆う外板312に接着され、制御された厚さ338を有する接着ライン337を形成する。本明細書で使用される「粘性のある」とは、接着剤336を塗ることができることであり、力が加わった時にある程度流れることができることを意味する。接着剤層336は、未硬化状態において所定の粘性、粘着性及び表面張力特性を選択することによって特定の応用形態に適合したすぐに硬化する種類の接着剤であってよい。接着剤336の粘性及び粘着性は、外板312及び/又はパッチ314にくっつくが、パッチ装着工程の完了時に流動性を保つようなものであるべきである。
【0126】
接着剤は前述したビーズ334、及び/又はスクリーン318を含むことができる(図3参照)。スクリーン318及び/又はビーズ334は、接着ライン337の所望の厚さ338に実質的に対応する厚さを有するスペーサ339として機能する。他の実施形態では、スクリーン318を使用して、接着剤332を所望の接着ライン337の制御された厚さ338に塗布することができ、その後パッチ314を適用する前にスクリーン318を取り外すことができ、この場合に残っているビーズ334が接着ライン337の厚さ338の制御を補助する。接着剤332及びビーズ334の層336により、外板312のへこみ328a(図16)を含む再加工される領域312aが実質的に充填される。他の実施形態では、領域312aは接着剤332の組成とは異なる組成を有する好適な充填剤(図示せず)で充填し、その後接着剤332でカバーすることができる。
【0127】
パッチ314及び/又は外板312に塗布される接着剤332の量は、再加工が必要な領域312aのサイズ及び深さを含む特定の応用形態によって変化し得る。ほぼ正確な量の接着剤332が塗布され、ほぼ均等に再加工領域312aの上に広げられるところでは、パッチ314が圧縮される時に貫通孔314aを通して絞り出されることができる過剰な接着剤332は少量である又は全くない可能性がある。この場合、接着剤332自体がパッチ314の下で再分布され、接着剤332の高い及び低い領域が平らになりエアポケットが充填された結果、(エアポケットからの)空気のみが排出されうる。しかしながら、正確な量以上の接着剤332が塗布されるその他の場合には、貫通孔314aを通って絞り出される接着剤332の位置及び/又は過剰量の観察を、良好な接着状態を達成するための条件が満たされたか否かを判断する手引きとして利用することが可能であり得る。すべての場合において、貫通孔314aは接着剤332がパッチ314のほぼ全体領域と接触するようにパッチ314の下で再分布され得るように助けることができる。再加工技術者の、貫通孔314aを通って絞り出される過剰な接着剤332の観察を利用して、全てのエアポケットが実質的に取り除かれ、接着剤332がパッチ314のほぼ全体領域と接触していることを確認するのを助けることができる。
【0128】
ここで、パッチ314を外板312の面328上に下向きに圧縮する準備において、当て板324をパッチ314の上に配置する様子を示す図20及び21に注目する。開示の実施形態によれば、リング状の反当て板2000の形態のスペーサが、当て板324の外側周辺部2002近くの、当て板324及び外板312の面328の間に配置され、これにより当て板324が外側周辺部2002において支持される。反当て板2002の内側端部2004はパッチ314の外側周囲2006のわずか外側に放射状に間隔を置いて配置されている。反当て板2000はパッチ314の結合厚さ314cと、接着ライン337の所望の厚さ338とほぼ等しい厚さ「t」を有する。この実施例において示す外板312の面328と係合する反当て板2000の底面2012(図20)は平坦であるが、底面2012は外板312の面328の形状/輪郭と一致するように選択されうるその他の形状又は輪郭を有することができる。この実施例では、反当て板2000は連続的なリング状(図21参照)であるが、他の形状もまた可能である。例えば、反当て板2000の外側周囲は正方形であってよい。全ての場合において、当て板324と反当て板2000のフットプリントがほぼ一致することが通常望ましい。また、その他の実施形態では、反当て板2000はパッチ314周囲の複数の場所で当て板324の外側周辺部2002を支持する2つ以上の隣接した部分又は間隔を置いて配置された部分(図示せず)を含むことができる。
【0129】
反当て板2000はパッチ314の外側周囲2006近くで当て板324によってパッチ314に加えられた力に反作用するように機能する。当て板324の外側周辺部2006を支持することによって、反当て板2000は当て板324の実質的なティッピング、傾き及び/又は曲がりを低減する又は防止することができる。パッチ314の外側周囲2006においてこの力を制御した結果、当て板324に印加された力2010はパッチ314の実質的に全体領域の上でほぼ一定である。その結果として、当て板324が(曲がり、ティッピング、傾きなどに起因して)パッチ314の外側周囲2006近くにより強い力を加える傾向があるために、さもなければパッチ314の外側周囲2006近くで接着ライン337が先細になることを避けることができる。したがって、接着ライン337の厚さ338は、圧縮工程においてパッチ314の全体領域の上でほぼ一定に保つことができる。加えて、反当て板2000は、前述したようにパッチ314及び外板312の間に配置したままである時に、接着剤332の圧縮を所望の接着ラインの厚さ338(図3)になるように制限するスクリーン318によって提供される機能と同様のスペーサとして作用する。このため、ある実施形態では、スクリーン318を第1スペーサとして使用して外板312又はその他の構造物に塗布される接着剤332の厚さ及び均一性を制御することができる。接着剤332の層336が塗布された後にスクリーン318が取り外される応用形態においては、反当て板2000を第2スペーサとして使用して圧縮工程の間、接着剤層336の圧縮を所望の接着ラインの厚さ338に制限することができる。
【0130】
図22は、現場の応用形態においてパッチ314を加熱し圧縮するのに使用可能な設備の一実施形態を示す。熱パック326aの形態の熱源326(図3)を当て板324の最上部に配置し、当て板324及び熱パック326aの上に圧縮機2200を位置づけする。圧縮機2200は、圧縮装置2200を外板312の面328上に取り外し可能に取付けする一連の吸引装置2202を含むことができる。熱パック326aは接着剤層336の硬化に必要な熱を加える一方で、圧縮機2200はパッチ314を外板312の面328に対して圧縮するのに必要な力を当て板324に加える。その他の形態のポータブル圧縮装置を用いて、必要な圧縮力をパッチ314に加えることができる。例えば、熱パック326a、当て板324及びパッチ314の上に真空バッグアセンブリ(図示せず)を組み立てた後に、外板312の面328に密閉することができる。あるいは、外板312上のパッチ314の位置によって、圧縮装置はパッチ314に必要な圧縮力を加えるために重力に依存した単純な重り(図示せず)を含むことができる。
【0131】
ここで、前述した複合外板312等の構造物上の領域312aを再加工する方法のステップを広く示す図23に注目する。本方法は、接着されたパッチ314を受け入れるために外板312等の構造物を準備するステップ2300において開始する。基礎構造物の準備には、パッチ314を構造物の表面に平らに置くのに邪魔になり得る全ての突出した物質を取り除くことを含みうる。突出した物質は非限定的にトリミング又は研磨によって取り除くことができる。ステップ2300はまた、構造物の上にテンプレートマスク320(図17)を配置して、接着工程前に塗料及びその他の表面コーティングを取り除くことができる領域の外側境界320b(図17)に印づけをすることを含む。テンプレートマスク320はまた、ステップ2300において表面物質を取り除く手引きとしても使用することができる。好適な溶剤をステップ2300の一部に使用して、研磨ダストを含む構造物表面の汚れを綺麗にすることができる。
【0132】
次に、ステップ2302において、好適なパッチ314が準備され、ここでは、予め硬化されたダブラー(314)を選択し、再加工領域312aの上に適切に適合するようなサイズと形状に調整する。ステップ2304では、テンプレートマスク320を外板の表面の上に配置して、テープ等で適所に保持することができる。
【0133】
ステップ2306において、スクリーン318を準備した面の上にテンプレートマスク320を覆うように配置して、接着剤の塗布準備をすることができる。ステップ2308では、任意に、前述したビーズ334を接着剤332の少なくとも一成分の中に混合することができ、ステップ2310において、接着剤332の複数の構成成分を互いに混合して、比較的早く渇く/硬化する接着剤を形成することができる。ある実施形態では、接着剤332は一成分のみを含むことができ、この場合、ビーズ334を単一成分の中に混合することができる。次に、ステップ2312において、任意にビーズ334を含む接着剤332の層を、例えば非限定的に、接着剤を所定の厚さにするのに使用することができる歯付コテ(図示せず)を含むことができるアプリケータ322を使用して、準備した外板表面328及び/又はパッチ314の上に広げることができる。2つの成分を有する接着剤を使用するある応用形態においては、成分のうちの一方を外板表面328とパッチ314のうちの一方の上に広げることができ、もう一方の成分を外板表面とパッチ314の他方の上に広げることができる。任意のスクリーン318が用いられる応用形態においては、スクリーン318を使用して接着剤層336の最終的な厚さを制御することができるため、最終的に必要な量よりもわずかに多い過剰量の接着剤を塗布して、エアポケットが発生する可能性を低減することができる。歯付コテを使用して、構造物の面328とパッチ314の上に接着剤を均等に広げることができるが、スクリーン318を使用するこれらの応用形態では、歯が付いていないコテ(図示せず)を使用して、接着剤332を構造物の面328の上に広げてスクリーン318を通して押し出すことができる。テンプレートマスク320を使用して、構造物の面328に塗布される接着剤層336の形状と位置を制御することができる。テンプレートマスク320及びスクリーン318を単一の構成部品として結合し、既知の写真平版術を使用して製造することができることを注記すべきである。
【0134】
ステップ2314において、テンプレートマスク320を使用してパッチ314を再加工領域312aの上にセンタリングし、テンプレートマスク320をパッチを位置づけしセンタリングするガイドとして使用して、パッチ314を手で構造物の面328に適用する。ステップ2316において、反当て板2000を装着した後で、ステップ2317において、パッチ314と反当て板2000の両方の上に剥離層(図示せず)を配置することができる。次に、当て板324をステップ2318に示すように装着することができる。
【0135】
ステップ2320において、例えば熱パック326a(図22)等の好適な加熱源326を当て板324の上に配置して活性化させることができる。熱パック326aは、破ることができるシール(図示せず)を破いて、パックに含まれる化学薬品が濃くなって発熱反応によって熱を発生させるまでパックをもむことによって活性化される化学的な熱パック等の自給式パッケージであってよい。ある応用形態において、室温で硬化する接着剤332を用いることができ、この場合、熱パック326a又は同様の熱源は不必要であり得る。次に、ステップ2322において、幾つかの手段のうちの任意の手段で、熱パック326a、当て板324、及びパッチ314の組み合わせに圧力が加えられる。例えば、真空圧縮装置2200をパッチ324の上に配置して、吸引カップ2202を使用して面328に固定することができる。圧縮装置2200は、起動された時に再加工領域の上を真空化し、その結果、当て板324に下向きの力が加わり、これによりパッチ314が構造物の面328に下向きに押し付けられる真空装置を含むことができる。あるいは、真空バッグアセンブリ(図示せず)を再加工領域の上で組み立てて、外板の表面に密封した後で、バッグアセンブリを真空化してパッチ314に圧力をかけることができる。最後に、前述したように、ある応用形態では、当て板324の上に重り(図示せず)を載せることによってパッチ314に必要な圧力をかけることが可能でありうる。
【0136】
パッチ314が最初に構造物の面328に適用された時には、接着剤層336内部、又は接着剤層336とパッチ314の間のいずれかにエアポケット(図示せず)が存在する可能性がある。一以上のこれらエアポケットは、接着剤の高い所又は低い所を形成する接着剤層336の厚さにわずかなむらがあることが原因で生じうる。当て板324によりパッチ314に圧力が加わると、貫通孔314a(図18)により過剰な接着剤1804だけでなく空気もパッチ314から抜け出る又は「絞り出され」、これにより接着剤をほぼ均一な所定の厚さ338に均等に広げることが可能になる。ビーズ334及び/又はスクリーン318は、所望の接着ラインの厚さ338を維持するのを助けるスペーサ339(図19及び20)として機能する。
【0137】
当て板324によってパッチ314に圧力が加わると、反当て板2000は、パッチ314の周囲2006近辺に加えられた力に反作用するスペーサとして機能し、これによりパッチ314の全体領域の上に加わった圧力がほぼ均一になりうる。さらに、圧縮及び硬化工程においてパッチ314に圧力が加わると、ビーズ334及び/又はスクリーン318は印加された圧力に部分的に反作用するスペーサ339として機能し、この結果接着ライン337が所望の厚さ338となる。
【0138】
ここで、職員が現場において複合外板又は同様の構造物の比較的迅速な再加工を行うために使用できる予めパッケージ化された再加工キット2400の構成部品をブロック図の形態で示す図24に注目する。キット24は、事前設定されたダブラーパッチ314、予め計量された量のビーズ334、メッシュ様スクリーン、及び/又はスペーサ318、テンプレートマスク320、歯付コテ322等の接着剤アプリケータ、予め計量された量の複数の反応部分332a、332bを含む接着剤332、接着剤の硬化に使用する熱パック326a、パッチに圧力を加えるための圧縮装置2200、事前に取り除かれた外板の表面上の全ての塗装を差し替えるのに使用できる塗装差し替えフィルム240、及び上述した再加工を行うのに必要であり得る例えば洗浄必需品、溶剤、手袋、剥離フィルム等の任意の数の追加の供給品2402を含むことができる。キット2400は上述したものとおおよそ同程度の構成要素を含むことができる。
【0139】
ここで、前述した開示の方法を実行するのに使用できるスペーサ2600の代替形態を示す図25、26、及び27に注目する。スペーサ2600は、所望の接着ラインの厚さ338に実質的に対応する高さ2616を有する(図27)。この実施例では、スペーサ2600は、周囲に間隔を置いて配置された、放射状に延びるスポーク2606によって接続された外側のスペーサリング2602と内側のスペーサリング2604を含む。実施例においては2つのリング2602、2604を示すが、応用形態によって2よりも多い数のリングを使用することができる。ある応用形態では単一のリング2602のみを使用することも可能である。
【0140】
各リング2602、2604及びスポーク2606は開口側部2612を有し、この開口側部2612により、接着剤(図示せず)が矢印2608で示すような軸方向、そして矢印2610で示すような横方向のどちらにも自由に通過することが可能になる。リング2602、2604の間の放射状の間隔「R」は応用形態に応じて変化させることができる。スペーサ2600は例えば非限定的に金属及びポリマーを含む、圧縮中にパッチ314(図27)に圧力が加わった時にスペーサ2600が実質的に非圧縮性のままとどまるのに十分な構造剛性を提供する非限定的に金属及びポリマーを含む、任意の好適な材料で構成されうる。この実施例では、スポーク2606だけでなくリング2602、2604は図26に示すように円形断面のワイヤと同様の円筒形要素2614でできていてよいが、その他の形状もまた可能である。図27で良く分かるように、スペーサ2600は、パッチ314が圧縮される時に、所望の接着ラインの厚さ338と対応するパッチ314と外板312の間に間隔を保持するパッチ314上の複数の位置に軸方向の支持を提供する。
【0141】
図28、29及び30は別の形態のスペーサ2800を示し、このスペーサ2800は複数の個別の細長いスペーサ要素2802を含み、各スペーサ要素2802は接着ラインの厚さ338と実質的に対応する高さ「H」(図28)を有する。スペーサ要素2802は柔軟な、例えば非限定的に、ポリマー又は金属等の任意の好適な実質的に非圧縮性の材料でできていてよい。例えば、個別のスペーサ要素2802をある長さの単一フィラメント(図示せず)から切り出すことができる。その他の実施形態では、各スペーサ要素2802は幾つかの既知の手法のうちの任意の手法によって集められた又は互いに束ねられた複数のフィラメント又は繊維を含むことができる。例えば、スぺーサ要素2802は炭素繊維のトウを含むことができる。個々のスペーサ2802をおおむね平行な間隔をおいて配置された状態で外板328上に再加工される部分1500を覆うように配置することができる。各要素の端部2804のサイズは調整が可能である。しかしながら、要素2802の端部2804は、端部2804が再加工部分1500の外側縁部から内向きに間隔を置いて配置されるように調整することが望ましい。図30は、パッチ314と外板312の間に介在し、パッチ314の実質的に全体領域を横切って所望の接着ラインの厚さ338を維持する支持部として機能するスペーサ要素2802を示す。
【0142】
ここで、パッチ314の一体部分を形成することができるスペーサ3100の別の実施形態を示す図31に注目する。スペーサ3100は、内側及び外側リング3102、3104にそれぞれ配置されるスペーサ要素を形成する複数の、周囲に間隔を置いて配置された湾曲したセグメント3108を含む。各セグメント3108は所望の接着ラインの厚さ338に実質的に対応する高さ3110を有する(図30)。セグメント間の間隔を置いて配置された開口部3106により、スペーサ3100を通ってパッチ314の底部3112全体に横方向に接着剤が流れて均一な接着ラインの厚さ338を得ることが可能になる(図30参照)。個々のセグメント3108は、パッチ314に配置された実質的に非圧縮性の挿入部、又はパッチ314に一体的に形成された比較的狭いパッドアップを含むことができ、この場合パッチ314は複合材料でできている。
【0143】
図32は、実質的に非圧縮性のピン3202の形態の複数のスペーサ要素を含むスペーサ3200のさらに別の実施形態を示す。各ピン3201は、所望の接着ラインの厚さ338に実質的に対応する高さ3204を有する(図30)。ピン3202は、パッチ314の底部3112の中に組み込むことができる、又はパッチ314とは分離していてよい。ピンは、規則的なまたは不規則的なパターンのいずれかにおいて、均一に又は非均一のいずれかでパッチ314全体に分布していてよい。図33は、ピン3202をパッチ314と外板312の間に介在する個々のスペーサとして使用し、パッチ314の全体領域を実質的に横切って所望の接着ラインの厚さ338を維持する様子を示す。
【0144】
図34は、図28及び29の実施形態と同様であるが、スペーサ要素2802が再加工領域1500内で放射状のパターンに、領域312aから外向きに放射するように配置されているさらなる実施形態を示す。この実施形態では、スペーサ要素2802を半径方向に配置することにより、圧縮中に過剰な接着剤(図示せず)の動きを再加工領域1550の外側縁部に向かって導くのを助けることができ、外側縁部において過剰な接着剤をパッチ314の下から絞り出すことができる。
【0145】
図35は、スペーサ要素3502が複合パッチ3500上に形成可能な線状の突起部又は隆起部の形態で提供されている別の実施形態を示し、このスペーサ要素3502は任意に複数の貫通孔3504を有することができる。貫通孔3504により、図18に関連して前述したように、圧縮工程中に空気及び/又は過剰な接着剤が抜け出ることが可能になりうる。スペーサ要素3502は比較的短くてよく、貫通孔3504の間に延びる、平行な間隔を置いて配置された軸3506に沿っておおよそ整列していてよい。スペーサ要素3502間の距離、長さ、及び方向性は応用形態によって変化しうる。ある応用形態では、スペーサ要素3502は整列していない場合があり、無作為な方向性を有していてよい。図35のスペーサ要素3502は、パッチ3500の中に成形されたエポキシ樹脂を含むことができる、又はパッチ3500と同時硬化される炭素又はガラス繊維(トウ)強化ポリマーであってよい。スペーサ要素3502は多数の直径の小さい単一フィラメントでそれぞれできたプリプレグトウ等のその他の繊維材料を含むことができる。図35に示すスペーサ要素3502を貫通孔3504を有さないパッチ上に用いることができる。
【0146】
図36は、図35に示すものと同様の貫通孔を有するパッチ3500のさらに別の実施形態を示しているが、無作為な方向性を有するスペーサ要素3502を示す。線状のスペーサ要素3502は、パッチ3500が別の構造物(図示せず)に接着される時にパッチ3500と同時硬化される炭素又はガラス繊維強化ポリマー等の未硬化の突起材料を含むことができる。
【0147】
パッチ3500の面全体に分布した突起隆起部3700の形態のスペーサ要素を有する貫通孔を有するパッチ3500を示す図37に注目する。この実施形態では、スペーサ要素3700はパッチ3500に部分的にはめ込まれた後でパッチ3500とともに硬化されるビーズを含むことができる。あるいは、スペーサ要素3700は、パッチ3500と同時硬化される、又はパッチ3500に未硬化状態でタックインされた後でパッチ3500を構造物に接着するのに使用される接着剤と同時硬化される、長さの短い短炭素繊維強化ポリマーを含むことができる。隆起部3700は図面において丸い形状を有するように描かれているが、その他の形状、例えば非限定的に、円錐台(図示せず)も可能である。
【0148】
図39は、図35及び36を参照して説明したものと同様の線状スペーサ要素3900がサンバースト状のパターン3902(明記するためにその内の一つのみを図39に示す)で各貫通孔3504の周りに配置されているさらに別の実施形態を示す。スペーサ要素3900を貫通孔3504の周りに放射状に配置することによって、過剰な接着剤の動きを貫通孔3504に向かって導くのを助けることができ、圧縮工程中に貫通孔3504において接着剤がパッチ3500の下から絞り出されることができる。
【0149】
異なる有利な実施形態の記載は、図示及び説明の目的のために提示されたものであり、包括的、又は開示された形の実施形態に限定するように意図されたものではない。当業者には多数の修正及び変形例が明らかである。異なる有利な実施形態を航空機に関連させて説明してきたが、その他の有利な実施形態をその他の種類のプラットフォームに応用することができる。
【0150】
例えば非限定的に、その他の有利な実施形態を可動プラットフォーム、固定プラットフォーム、陸上構造物、水上構造物、宇宙構造物、及び/又はその他何らかの適切な物体に応用することができる。さらに具体的には、異なる有利な実施形態は例えば非限定的に、潜水艦、バス、人員運搬車、タンク、列車、自動車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、水上艦、発電所、ダム、製造施設、建造物、及び/又はその他何らかの適切な物体に応用することができる。例えば、異なる有利な実施形態は建造物、ボート、及び/又はその他何らかの木材部品を含む物体等の物体の木材部品を接着するのに好適でありうる。
【0151】
さらに、その他の有利な実施形態と比較して、異なる有利な実施形態により異なる利点を得ることが可能である。選択された一又は複数の実施形態は、実施形態及び実際の応用形態の原理を最適に説明するため、また、当業者が、考えられる特定の使用に好適である様々な修正を施した様々な実施形態の開示を理解できるように選択され記載されたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.構造物の一領域を再加工する方法であって:
パッチを準備し;
粘性接着剤層を構造物とパッチの間に配置し;
スペーサを使用して接着剤層の厚さを制御し;
パッチを構造物に対して圧縮する
ことを含む方法。
【請求項2】
2.スペーサの使用には、スペーサをパッチ及び構造物のうちの一つに配置することが含まれ、
粘性接着剤層の配置には、スペーサを介してパッチ及び構造物のうちの一つに接着剤を塗布することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
3.パッチを構造物に対して圧縮する前に、パッチ及び構造物のうちの一つからスペーサを取り除く
ことをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
4.スペーサの使用には、パッチを構造物に対して圧縮する時に接着剤の圧縮を制限するために、パッチ及び構造物の間にスペーサを配置することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
5.スペーサの使用には:
スペーサをパッチ周囲の構造物に配置し;
スペーサを使用してパッチの構造物に対する圧縮を制限する
ことが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
6.スペーサの使用には、相互に間隔を置いて配置されている構造物及びパッチの間に複数の細長いスペーサ要素を配置することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
7.パッチの準備には、スペーサをパッチと一体的に形成することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
8.パッチの準備には、パッチに複数の貫通孔を形成して、パッチが圧縮される時にパッチの下から空気が抜け出ることができるようにすることが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
9.パッチを圧縮する時に、パッチの周辺部にかかる圧力を制限する
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
10.構造物の一領域を再加工するキットであって:
再加工領域を覆って、構造物に対して圧縮されるのに適したパッチと;
パッチ部材を構造物に接着する粘性接着剤と;
パッチを構造物に接着するのに使用される接着剤層の厚さを制御するスペーサ
を含むキット。
【請求項11】
11.パッチが硬化繊維強化ポリマー複合材である、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
12.スペーサが、接着剤が通る実質的に非圧縮性のスクリーンを含む、請求項10に記載のキット。
【請求項13】
13.スペーサがパッチと一体的に形成されている、請求項10に記載のキット。
【請求項14】
14.スペーサが、接着剤に混合される事前に計量された量の実質的に非圧縮性のビーズを含む、請求項10に記載のキット。
【請求項15】
15.スペーサが、パッチと構造物の間にそれぞれ配置される複数の細長い繊維を含む、請求項10に記載のキット。
【請求項1】
1.構造物の一領域を再加工する方法であって:
パッチを準備し;
粘性接着剤層を構造物とパッチの間に配置し;
スペーサを使用して接着剤層の厚さを制御し;
パッチを構造物に対して圧縮する
ことを含む方法。
【請求項2】
2.スペーサの使用には、スペーサをパッチ及び構造物のうちの一つに配置することが含まれ、
粘性接着剤層の配置には、スペーサを介してパッチ及び構造物のうちの一つに接着剤を塗布することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
3.パッチを構造物に対して圧縮する前に、パッチ及び構造物のうちの一つからスペーサを取り除く
ことをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
4.スペーサの使用には、パッチを構造物に対して圧縮する時に接着剤の圧縮を制限するために、パッチ及び構造物の間にスペーサを配置することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
5.スペーサの使用には:
スペーサをパッチ周囲の構造物に配置し;
スペーサを使用してパッチの構造物に対する圧縮を制限する
ことが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
6.スペーサの使用には、相互に間隔を置いて配置されている構造物及びパッチの間に複数の細長いスペーサ要素を配置することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
7.パッチの準備には、スペーサをパッチと一体的に形成することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
8.パッチの準備には、パッチに複数の貫通孔を形成して、パッチが圧縮される時にパッチの下から空気が抜け出ることができるようにすることが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
9.パッチを圧縮する時に、パッチの周辺部にかかる圧力を制限する
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
10.構造物の一領域を再加工するキットであって:
再加工領域を覆って、構造物に対して圧縮されるのに適したパッチと;
パッチ部材を構造物に接着する粘性接着剤と;
パッチを構造物に接着するのに使用される接着剤層の厚さを制御するスペーサ
を含むキット。
【請求項11】
11.パッチが硬化繊維強化ポリマー複合材である、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
12.スペーサが、接着剤が通る実質的に非圧縮性のスクリーンを含む、請求項10に記載のキット。
【請求項13】
13.スペーサがパッチと一体的に形成されている、請求項10に記載のキット。
【請求項14】
14.スペーサが、接着剤に混合される事前に計量された量の実質的に非圧縮性のビーズを含む、請求項10に記載のキット。
【請求項15】
15.スペーサが、パッチと構造物の間にそれぞれ配置される複数の細長い繊維を含む、請求項10に記載のキット。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公表番号】特表2013−503763(P2013−503763A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527884(P2012−527884)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/044423
【国際公開番号】WO2011/028355
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/044423
【国際公開番号】WO2011/028355
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】
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