説明

接着ラベル

本発明は、基材層と接着剤層とを有する接着ラベルであって、接着ラベルを構成する層のうち少なくとも1層が熱収縮層である接着ラベルを提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着ラベル、包装方法、接着ラベルを具備した容器または袋、および包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、スーパーなどで食材を購入し、各家庭でその購入した食材を調理して食べるという従来の形態に加え、調理に関してはスーパー等のバックヤードやセントラルキッチンなどで調理された調理済み食品等を購入し、家庭で食す形態が増えてきている。これは、共働きのため調理の時間がない、自分の趣味の時間を多く取りたい等の理由により、家事を簡便に行いたいという意向が反映されたものである。
【0003】
一方、スーパーやコンビニエンスストアの調理済食品においては、調理済食品の利便性を売りに、個々の食品の味、量等、好みに合わせた商品開発が活発になされ、多種類の食品が市場に投入されている。また、同種類の商品であってもスーパーやコンビニエンスストア各社は包装容器の形状やデザインを変えることでディスプレイ効果を最大限に駆使して食品の見た目のおいしさをも追求している。その結果、様々な大きさや形状の容器が市場に出回っている。
【0004】
特に惣菜分野においては、従来の同一品大量販売ではなく、近頃は食べたい惣菜を食べたい量(小人数や1回で食べるのに適した量等)や食べたい味付け(京風味付け等)で選べる形態になってきている。また、デザインによるディスプレイ効果を最大限に生かすため、容器の色が食品毎に変えられる場合もある。その結果、市場には様々な大きさ、形状、色等の容器が氾濫している。そのため、スーパーやコンビニエンスストア等の惣菜販売者にとっては少量・多品種にわたる食品の包装を行う際の装置の切り替えに要する煩雑さやその煩雑さによる生産効率の低下、少量・多品種の容器それぞれに定められた包装機械の部品管理の煩雑さ等が問題となっている。
【0005】
この問題を解決するべく、スーパーやコンビニエンスストア等の惣菜販売者は惣菜等の商品寿命を長期化させ、賞味期限切れ品(いわゆるロス)の低減、生産銘柄切り替え低減等による生産性向上を模索している。
【0006】
商品を長期に保存する方法として食品をそれに適したガス雰囲気下において保存するいわゆるガス充填包装が知られ、検討されてきている。食品をガス充填包装にすることで商品の保存期間が長期になるため、商品流通の長距離化、保存期間切れ商品の削減等、生産効率のアップが見込まれる。
【0007】
このような、ガス充填包装方法は従来から種々検討されてきている。例えば、特許文献1には内容物を盛り付けるトレー部分と、該トレーに被せる蓋部からなり、該蓋の天面にガス吹込み口を、該蓋の周囲にガス排出口を設けたことを特徴とするガス充填包装用トレーを用い、ガスバリアー性を有する熱収縮性フィルムにて全周を包被・封緘するガス充填包装方法が開示されている。このガス充填包装方法では蓋の天面に設けられたガス吹込み口や蓋の周囲に設けられた排気口をガスバリアー性熱収縮性フィルムにより覆われるため、確実に充填されたガスを密閉することができる点で優れている。
【0008】
しかしながら、特許文献1で代表される方法は該蓋の天面にあるガス吹込み口や該蓋の周囲にあるガス排出口をガスバリアー性を有する熱収縮性フィルムにて全周を包被してしまうため、包装体を電子レンジ等で加熱処理することで、包装容器内の食品に含まれる水分や充填されたガス等が熱膨張し、包装体内の内圧上昇を生じ、包被した熱収縮フィルムが爆音とともに破れ、包装体内の内容物を電子レンジ内に撒き散らす問題がある。また、包装した熱収縮フィルムが破裂しないまでも、内圧上昇時に熱収縮フィルムの熱シール部の一部が開口し、その隙間より容器内に水蒸気が放出される。その結果、冷却時に容器内が減圧するため容器自体が大気圧にて凹み、内容物を容器が押しつぶしてしまう問題が残されている。
【0009】
さらに電子レンジ等により加熱した際、包被した熱収縮フィルムが加熱によりさらに収縮し始め、熱収縮フィルムの熱収縮応力により、包装体を押しつぶす問題や、容器および蓋とガスバリアー性を有する熱収縮性フィルムの2重包装となり、包装に使用される包装材料が多くなるため、容器リサイクル法に基づく事業者負担が多くなる問題等が残されている。
【特許文献1】特開平9−295677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題を解決する接着ラベル、包装方法、接着ラベルを具備した容器または袋、および包装体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、上記の課題が以下の接着ラベル、包装方法及び包装体により達成されることを見出した。本発見により、本発明は完成した。
【0012】
すなわち、本発明は下記を提供するものである。
(1)基材層と接着剤層とを有する接着ラベルであって、接着ラベルを構成する層のうち少なくとも1層が熱収縮層である接着ラベル。
(2)接着ラベルを構成する層が機能部と保護層とを含み、該機能部は接着ラベルの接着剤層上に設けられ、該保護層が該機能部を覆うように設けられている項目(1)に記載の接着ラベル。
(3)該保護層の少なくとも一部が該接着剤層に接している項目(2)の接着ラベル。
(4)該機能部が、酸素濃度検知剤、酸素吸収剤、調湿剤、エタノール蒸散剤、炭酸ガス発生剤、鮮度保持剤及び温度検知剤から選ばれる少なくとも1つを含む項目(2)に記載の接着ラベル。
(5)機能部が酵素を含んでいる項目(2)に記載の接着ラベル。
(6)ガスバリアー材料からなる層を有する項目(1)に記載の接着ラベル。
(7)保護層が熱収縮層である項目(2)に記載の接着ラベル。
(8)該接着剤層が、アクリル系、ゴム系及びシリコン系の接着剤から選ばれるいずれかの接着剤を含む項目(1)に記載の接着ラベル。
(9)少なくとも1つの通気路を有する包装容器または袋の、該通気路以外の箇所を封緘し、該通気路を介して容器または袋内のガスを脱気またはその他のガスで置換し、その後、項目(1)に記載の接着ラベルで該通気路を塞ぐ包装方法。
(10)項目(1)に記載の接着ラベルを有する包装容器または袋。
(11)項目(1)に記載の接着ラベルを有する包装体。
【発明の効果】
【0013】
本発明の接着ラベルにより、包装体内の脱気または包装体内へのガス充填を行うことができ、内容物の酸化等の劣化防止ができ、食品の保存性を飛躍的に向上することができる。また、包装体を電子レンジ等で加熱する際、包装体の外観を損ねることなく加熱できる他、内圧上昇した包装体内の気体を安全に排出することができ、加熱終了後に接着ラベルが容器に再接着することを接着ラベルの変形により自動的に防止することで、冷却時の容器または袋の体積変化による容器凹みや潰れを防止できる。さらに、接着ラベルに機能部を具備することによって、特定の機能を有する接着ラベルを得ることが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の接着ラベルの形状、及び通気路形状の例を示す平面図である。
【図2】本発明の接着ラベルの一例の斜視図および断面図である。
【図3】本発明の接着ラベルの一例の斜視図および断面図である。
【図4】本発明の実施例に用いた容器(本体)の側面図および上面図である。
【図5】本発明の実施例に用いた蓋の側面図および上面図である。
【図6】本発明の実施例に用いた容器(本体)および蓋を重ねた時の側面図および部分拡大断面図である。
【図7】本発明の接着ラベルを用いた包装体の一例を示す斜視図であり、Aは蓋天面、Bは蓋側面に接着ラベルを接着した場合を示す図である。
【図8】本発明の接着ラベルを用いた包装体の一例を示す斜視図であり、袋の側面側に接着ラベルを接着した場合を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について、特にその好ましい態様を中心に詳細に説明する。
従来技術のガス充填包装密封方法では、ガスバリアー性を有する熱収縮フィルムが用いられており、電子レンジ等により加熱した際、包装体内の内圧上昇により包被した熱収縮フィルムが爆音とともに破れ、包装体内の内容物を電子レンジ内に撒き散らしたり、包被した熱収縮フィルムの熱収縮応力により、包装体を押しつぶしたりする問題があった。それに対し、本発明では、ガスバリアー性を有する接着ラベルを用いることで、包装体を電子レンジ等で加熱する際、包装体の外観を損ねることなく加熱できる他、内圧上昇した包装体内の気体を安全に排出することができ、加熱終了後に自動的に接着ラベルが容器に再接着することを接着ラベルの変形により防止することで冷却時の容器または袋の体積変化による容器凹みや潰れを防止できる。
【0016】
また、通気孔を介して脱気またはガス充填した後に、該通気孔を接着ラベルで封緘することで、そのガスバリアー性によりガス充填による効果を保持すると共に、容器外からの酸素の流入を防ぐことができる。その結果、内容物の酸化等の劣化防止ができ、食品の保存性を飛躍的に向上することができる。
【0017】
さらに、接着ラベルに機能部を具備することによって特定の機能を有する接着ラベルにすることが容易にできる。
例えば、酸素吸収部を機能部として接着ラベルに設けた場合、容器または袋内の内容物の劣化に大きく関与する酸素を吸収し、内容物の変色や腐敗を抑制するための酸素吸収機能付き接着ラベルを得ることができる。また、酸素濃度検知部を機能部として接着ラベルに設けた場合、容器または袋内の酸素の有無を一目で目視にて確認することができる酸素検知機能付き接着ラベルを得ることができる。さらに、接着ラベルに酸素吸収部と酸素検知部を兼ね備えた場合、1つの接着ラベルに複数の機能を付与することができ、品質劣化防止と品質確認を一目でできる接着ラベルを得ることができる。
【0018】
本発明でいう接着ラベルとは、ある平面形状であって包装体の蓋と接触する面には接着剤が存在し、その接着剤を介して蓋が具備する通気路を隙間なく封緘(密封)することができ、包装容器内にあるガスを散逸しないように密封さえできればいかなる形状であっても良い。接着ラベルの平面形状の例としては、正方形(図1のA)、長方形(図1のB)、コーナー部がRを有している四角形(図1のC)、多角形(図1のD)、円(図1のE)、半円(図1のF)、楕円(図1のG)、半楕円(図1のH)、星形(図1のI)、不定形(図1のJ)、円+つまみ(図1のK)、長方形+つまみ(図1のL)、楕円+つまみ(図1のM)、正方形+つまみ(図1のN)などが挙げられる。
【0019】
接着ラベルの構成として、紙、金属薄膜、樹脂等より構成される単層または多層構造体等が挙げられる。接着ラベルは、分別回収の観点より容器と同じ材質である樹脂からなることがより好ましい。また、接着ラベルは、電子レンジ加熱時において電子の衝突によるスパーク防止の観点、ガスの散逸防止の観点よりガスバリアー性を有する樹脂(以下、“ガスバリアー樹脂”と呼ぶ)からなることがさらに好ましい。また、本発明において、接着ラベルは、外部よりの突き刺しによる破壊を防止する観点より、ある程度の強度を有することが好ましい。農林規格第10条に基づく測定において、突き刺し強度が2.0N以上であることが好ましく、より好ましくは2.5N以上であり、さらに好ましくは3.0N以上である。
【0020】
本発明の接着ラベルは、基材層、接着剤層の2層を有する。本発明の接着ラベルに用いられる基材層の材質はある程度の剛性を有していればどのようなものでも良く、例えば、プラスチック、金属、木材、紙、その他の単体あるいは前記材料同士の積層体等が挙げられる。
【0021】
本発明の接着ラベルは、加工性の観点および分別廃棄の観点より、一般的に容器や蓋に使用される熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなることが好ましい。
例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、セルロースアセテート樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH等)等が挙げられ、熱硬化性樹脂ではユリア樹脂、メラニン樹脂、キシレン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独樹脂または共重合樹脂でもよい。
【0022】
また、ラベル加工の容易さの観点より、熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(HDPE、LLDPE等)、ポリプロピレン系樹脂(PP)、ポリブテン−1系樹脂(PB)、ポリ−4−メチルペンテン−1系樹脂をはじめとするポリオレフィン系樹脂(PO)、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体樹脂(EMA等)、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH等)をはじめとするポリオレフィン系樹脂変性物(PO変性物)、ポリエチレンテレフタレート系(含変性)樹脂(PET等)、ポリブチレンテレフタレート系(含変性)樹脂(PBT等)をはじめとする芳香族ポリエステル樹脂、又はポリ乳酸系樹脂、ポリグリコール酸系樹脂をはじめとする脂肪族ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)をはじめとする塩素系樹脂、αオレフィン−一酸化炭素共重合樹脂(含同水添樹脂)、αオレフィン(エチレン、他)−スチレン共重合樹脂(含同水添樹脂)、エチレン−環状炭化水素系化合物共重合樹脂(含同水添樹脂)、ポリアミド系樹脂(Ny)、カプロラクトン系樹脂が挙げられる。また、以上の樹脂から選ばれる少なくとも一種を主体として選択される樹脂組成物を単層もしくはこれらの多層またはこの層と異なる樹脂を積層させたもの、もしくはこれらの樹脂からなる延伸もしくは未延伸のラベルを用いることができる。中でも耐熱性、ガスバリアー性の点よりポリエチレン系樹脂(特にHDPE)、ポリプロピレン系樹脂(PP)、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH等)、ポリアミド系樹脂(Ny)、ポリエチレンテレフタレート系(含変性)樹脂(PET等)、ポリブチレンテレフタレート系(含変性)樹脂(PBT等)をはじめとする芳香族成分を一部含む、又はポリ乳酸系樹脂、ポリグリコール酸系樹脂をはじめとする脂肪族成分のポリエステル系樹脂(PET)等が好ましく用いられる。
【0023】
本発明の接着ラベルは、これらの樹脂よりからなる単層または多層構成のフィルムおよびシートである。多層構成の場合、多層にする方法として共押出方法、各種のラミネート方法等があるが、適宜選択すれば良い。本発明の接着ラベルに用いられるフィルムおよびシートにはガス充填の保持の観点よりガスバリアー性を有する材料がより好ましい。
【0024】
本発明の接着ラベルは、ガスバリアー性を有することが好ましい。接着ラベルにガスバリアー性を持たせる方法として、ガスバリアー性を有する樹脂からなる基材層を用いてもよく、また、無機系物質を層状に具備している樹脂層を設けてもよい。例えば、ガスバリアー性の乏しい低密度ポリエチレン樹脂層にシリカおよび/またはアルミナの無機系物質を蒸着させることで、樹脂層にガスバリアー性を付与しても良い。また、有機系、無機系の複合バリアー物質を用いても良い。
【0025】
接着ラベルのガスバリアー性としては、二酸化炭素ガス透過量が1〜4935ml/(m2・day・MPa)、酸素ガス透過量が1〜3948ml/(m2・day・MPa)、窒素ガス透過量が1〜1481ml/(m2・day・MPa)であることが好ましく、より好ましくは二酸化炭素ガス透過量が1〜4500ml/(m2・day・MPa)、酸素ガス透過量が1〜2500ml/(m2・day・MPa)、窒素ガス透過量が1〜1300ml/(m2・day・MPa)であり、さらに好ましくは二酸化炭素ガス透過量が1〜4000ml/(m2・day・MPa)、酸素ガス透過量が1〜1300ml/(m2・day・MPa)、窒素ガス透過量が1〜1000ml/(m2・day・MPa)である。さらにより好ましくは二酸化炭素ガス透過量が1〜1000ml/(m2・day・MPa)、酸素ガス透過量が1〜300ml/(m2・day・MPa)、窒素ガス透過量が1〜250ml/(m2・day・MPa)である。
【0026】
本発明に用いられるガスバリアー性を有する基材層(以下、“ガスバリアー基材層と呼ぶ”)の厚さは、用いられる樹脂の酸素ガス透過量によって異なり、前述の酸素ガス透過量が1〜1974ml/(m2・day・MPa)である厚さを確保することが好ましい。例えば、酸素ガス透過量の少ないエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH)の場合、酸素ガス透過量の観点からは数μm程度で所望の酸素ガス透過量を達成することは可能である。しかし、接着ラベルとしての腰が乏しいため、ラベル貼付機械により貼り付ける際の作業効率が悪く、該ラベルの取り扱いの観点より他の腰を有する樹脂である例えばポリプロピレン系樹脂(PP)、ポリエステル系樹脂(PET)からなる層とEVOHからなる層を積層する必要がある。PPからなる層とEVOHからなる層を積層したガスバリアー基材層の場合、酸素ガス透過量が1〜1974ml/(m2・day・MPa)であることが好ましく、ガスバリアー基材層の厚さは接着ラベルの腰の観点より20〜150μmが好ましい。また、より好ましくは30〜120μm、さらに好ましくは35〜115μmである。
【0027】
また、本発明の効果を損なわない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤、滑剤等を基材層に混入してもよい。また、基材層に公知の表面処理、例えば、コロナ放電処理、火焔処理、電子・プラズマ等を含む放射線照射処理、イオンエッチング処理等、塩化ビニリデン等をガスバリアー塗工処理をしてもよい。
【0028】
本発明でいう接着ラベルの接着剤層について説明する。まず、本発明でいう接着とは接着ラベルと袋や容器や蓋を貼り合わせることを意味する。接着強度は適宜、選択されれば良く、所望の接着強度によって接着剤の種類、塗布量等を選択すれば良く、接着強度の弱い接着剤であっても接着ラベルと袋や容器や蓋を貼り合わせ、密封することができれば良い。代表的な接着剤として溶剤タイプ、ホットメルトタイプ、反応性タイプ等が挙げられるが接着性を有しているものであれば支障はなく、例えばゴム系接着剤、アクリル系接着剤、ビニルエーテル系接着剤、シリコン系接着剤や、これらの中から選ばれる少なくとも一種を主体として含む樹脂組成物が挙げられる。
【0029】
所望の接着強度を設定しやすいという観点より、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、ビニルエーテル系接着剤が好ましい。さらに好ましくはゴム系接着剤、アクリル系接着剤である。さらに溶媒抽出物が少なく、不純物が少ないことから、アクリル系接着剤がさらにより好ましい。また、これらの接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤等を含有していてもよい。また、本発明の接着ラベルのガスバリアー基材層と接着剤層の間に、部分剥離を意図的に生じる様にあらかじめガスバリアー基材層に剥離効果のあるシリコン等を印刷し、接着剤層がガスバリアー基材層より剥離して被接着体である容器・蓋・袋に残る、いわゆる改竄防止印刷を具備しても良い。
【0030】
ゴム系接着剤としては、例えば、シス−1,4−ポリイソプレンを主成分とする天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソブチレン、ブチルゴム等を主成分とする合成ゴム、又は、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合ゴム(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合ゴム(SIS)等を主成分とするブロックゴム等から少なくとも一種選択される接着性エラストマーに、常温で液体又は固体で分子量が数百から約1万までの無定形オリゴマー(2量体以上の中分子量重合体)の熱可塑性樹脂であるロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クロマン・インデン樹脂等の接着付与剤、及び、鉱油、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレン、液状ポリアクリル酸エステル等の軟化剤等を配合したものが挙げられる。
【0031】
アクリル系接着剤としては、例えば、通常Tgの低いホモポリマーであるアクリル酸アルキルエステルに代表される接着性を与える主モノマー、低級アルキルのアクリル酸エステル、メタクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなど主モノマーと共重合可能でTgが高くなるような凝集性を与えるコモノマー、アクリル酸やメタクリル酸など(アクリレートなど)のカルボキシル基含有モノマーや水酸基、エポキシ基、アミノ基などの接着性を与え架橋点となる官能基含有モノマーの接着性反応物に、場合によっては上記接着付与剤、軟化剤等を配合したものが挙げられる。
【0032】
ビニルエーテル系接着剤としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のホモポリマー又はアクリレートとのコポリマー(接着性エラストマー)で、場合によっては上記接着付与剤、軟化剤等を配合したものが挙げられる。
【0033】
シリコン系接着剤としては、例えば、高分子量のポリジメチルシロキサン又はポリジメチルジフェニルシロキサンで代表されるポリマー連鎖の末端に残存シラノール基(SiOH)を持つポリマー(又は接着性エラストマー)と上記接着付与剤、軟化剤等を配合したものがある。
【0034】
ガスバリアー性、特にガス充填包装の観点において接着強度を幅広く設定でき、さらに食品衛生の観点よりアクリル系、ゴム系、シリコン系接着剤が好ましい。
本発明における接着強度は、接着時の接着強度と剥離時の剥離強度の観点より、JIS−Z−0237の180度引きはがし法による測定方法において0.1〜10N/cmであることが好ましい。より好ましくは0.2〜9.5N/cm、さらにより好ましくは0.3〜7.5N/cmである。
【0035】
本発明に用いられる接着剤層の厚さは、用いられる接着剤によって異なるが接着強度が0.1〜10N/cmであれば良く、接着強度は接着剤層の厚さに依存するものではない。例えば、アクリル系接着剤の場合、接着強度の観点より接着剤層の厚さは3〜50μmが好ましい。また、より好ましくは5〜40μm、さらに好ましくは8〜35μmである。
【0036】
本発明のガスバリアー接着ラベルにつまみを具備し、易開封性を付与してもよい。例えば、包装体の加熱時の破裂防止という観点より、ガスバリアー接着ラベルに半円状のつまみを具備し、蓋より該つまみ部を引き上げることにより簡単に開口する等の易開封性を付与することがより好ましい。また、該ラベルの粘着剤としてアクリル系エマルジョンを使用してもよい。この場合、包装体の加熱時に内容物からの水蒸気により粘着剤の接着強度が弱くなり、包装体内の内圧によって自動的に該ラベルの一部が開口し、破裂が防止される。
【0037】
本発明でいう熱収縮層とは、加熱後の熱収縮層の変形により、電子レンジ等での加熱処理後に接着ラベルが自重で通気路を再度完全に塞ぐことを防止する機能を接着ラベルに与える。つまり、本発明の接着ラベルは少なくとも一部に熱収縮層を具備している。そのため、電子レンジ等で加熱処理した時、容器または袋内の内容物に含まれる水分が水蒸気として容器または袋外に通気路を開放口として噴出し、その水蒸気の熱が接着ラベルの熱収縮層に与えられることにより、接着ラベルが変形する。その変形により、接着ラベルが加熱処理後、接着ラベルの自重で通気路を再度完全に塞ぐことを防止することができる。その結果、容器または袋内の減圧により大気圧で容器または袋が凹みや潰されることを防止できるのである。
【0038】
本発明でいう熱収縮層は接着ラベルのどこに配しても支障はないが、熱収縮のし易さやその効果の観点より、接着ラベルの表面層に近い部分に配することが好ましく、より好ましくは接着ラベルの最表面、さらに好ましくは接着剤層の接着面に隣接する層に配する。
【0039】
本発明の熱収縮層の熱収縮機能は、電子レンジ等の加熱時に発生する水蒸気を利用して発現する。そのため、熱収縮開始温度は、50℃以上150℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以上150℃以下、さらに好ましくは90℃以上150℃以下である。このような熱収縮性付与は通常、延伸によって付与される。また、熱収縮開始温度は、樹脂の延伸時の温度、延伸方法、延伸倍率及びポリマーの種類を設定することにより制御することができる。延伸方法はテンター式、バブル式等の公知のいずれの方法を用いても支障はなく、接着ラベルすべてが延伸処理されたものであっても、接着ラベルの少なくとも一部に延伸されたフィルムを貼合しても支障はない。貼合方法はドライラミネート、サンドラミネート、溶融ラミネート、接着剤による接着加工等の公知のいずれの方法を用いても支障はない。
【0040】
また、収縮率は接着ラベルのどこに熱収縮層を具備するかで異なるが、電子レンジ加熱終了後に接着ラベルの全面が再び容器に密着することがない程度に変形することができる収縮率が好ましい。例えば、本発明の好ましい形態の一例として図2を図示する。図2の接着ラベルにおいては、基材層として収縮することがないポリエチレンテレフタレート(厚さ75μm)に、接着剤層としてアクリル系接着剤を25g/mとなるように塗付し、該接着剤層上に熱収縮層として延伸したポリスチレンフィルム(25μm)を張り合わせている。本態様では、該熱収縮層である延伸したポリスチレンフィルムが、容器から噴出した水蒸気によって収縮し、その収縮によってポリエチレンテレフタレート基材が熱収縮層側に曲がり、その曲がりによって、容器に密着することを防ぐことができる。ただし、この曲がり具合が過剰だと、通気路を冷却後に再封止することが困難になる場合がある。冷却後再封止したい場合には、この曲がり加減を熱収縮層の収縮率をコントロールすることで調整することが重要になる。
【0041】
図2に例示した形態においては、該延伸したポリスチレンフィルムの90℃の収縮率がMD方向/TD方向=3%/3%である。MD方向とは、延伸方向に平行な方向(Machinery Direction)を示し、TD方向とは、延伸方向に垂直な方向(Transverse Direction)を示す。また、収縮率はMD方向、TD方向共に同じ収縮率である必要はなく、収縮した時の変形形状の観点より、異方性があったほうが好ましい。収縮率の比は、好ましくはMD方向の収縮率/TD方向の収縮率(もしくはTD方向の収縮率/MD方向の収縮率)が1.1以上、より好ましくは1.3以上である。さらに、接着ラベルの接着剤を介して熱収縮フィルムを貼合することによって付与しても電子レンジ等で加熱処理で発生する水蒸気によって接着ラベルが変形すれば支障はない。
【0042】
さらに、本発明の接着ラベルは、更に特定の機能を有する部材を有しても、熱収縮層が収縮することで接着ラベルが変形すれば支障はない。この場合、好ましい形態の一例を図3に例示する。図3は接着ラベルの接着剤層に機能を有する部材(機能部)を接着し、その機能部を覆うように熱収縮層である熱収縮フィルムを保護層として接着ラベルの接着剤層を用いて接着した機能付き接着ラベルである。
【0043】
このように熱収縮層を機能部の保護層として利用しても良い。機能部は特定の機能を有する液体(機能液)であってもよいが、機能液を何らかの固体状にした方が、ハンドリングの観点より好ましい。従って、機能液が、支持体に担持されていることが好ましい。支持体としては、金属、プラスチック、結晶性セルロース、ゲル(ゾル状の粘体を含む)、濾紙、多孔性構造体等が挙げられる。具体的には商品名 アビセル(旭化成(株)製)等を用い打錠成型したものや、ゼラチン、寒天等のゲルに包括させたり、吸水性の濾紙に含浸したもの等を加工して固形物としたものが挙げられるが、機能液を固形物として扱えるものであればどのような構造体であってもよい。本発明の接着ラベルを他の商品との差別化するために印刷等の視覚的効果を施してもよいが、機能部を用いた場合、機能の発現を確認するため、少なくとも接着ラベルの一部に透明な部分を具備することが好ましい。具体的には、接着ラベルの機能部を確認するため、保護層の機能部部分のみ印刷を施さないようにする、もしくは変色を確認できる程度のヘイズ値を有するように保護層に印刷を施すことが好ましい。このようなヘイズ値としては、10%以下が好ましい。より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下である。
【0044】
本発明の機能部について具体的に説明する。本発明の機能部とは、容器または袋の内部のガス環境、温度・湿度等の環境状況を視覚的に検知指示するものである。例えば、容器または袋内の酸素濃度を検知指示する場合、機能液としてメチレンブルー等の酸化還元指示薬や酵素および酵素と基質を用いた酵素検知液を濾紙等の支持体に含浸させて用いることで、酸素検知剤とすることができる。
【0045】
本発明でいう酸化還元指示薬は、物質の酸化または還元によって光吸収波長が変化するものであり、この変化した光吸収波長を検出することによって酸素の有無を判断することができるのである。利用できる光吸収波長の波長域は、変化した波長を測定あるいは検出できればどのような波長でも利用できる。
【0046】
例えば、UV領域に変化域があればUV測定装置を用いて検出すれば良い。また、波長を測定する機械を用いることなく波長の変化を目視で確認できるために、光吸収波長の変化する領域(波長変化域)が可視光域(400nm〜600nm)であることが好ましい。酸化還元指示薬の光吸収波長変化反応とは、酸化還元指示薬自体の構造変化、あるいは酸化還元指示薬が酸素検知剤部に含有する他の化合物と反応に起因して光吸収波長が変化することをいう。
【0047】
この酸化還元指示薬の光吸収波長変化反応は可逆反応であっても、不可逆反応であっても支障がない。何度も繰り返して使用できるため、可逆反応であることが好ましい。また、本発明で使用する酸化還元指示薬を種々に選択することによって、所望の色、所望の酸素濃度で酸素の有無を検知することができ、さらに検知する酸素濃度の設定や変色速度等を所望の設定にすることができる。さらに、本発明の酸化還元指示薬による変色が不可逆反応である場合、包装体内における内容物の酸素への暴露程度を色差(色の濃淡、変色等)によって判別できるため、包装体内における内容物の酸素への暴露の程度を積算表示できる。
【0048】
酸化還元指示薬の波長変化領域が可視光域(400nm〜600nm)であれば、波長を測定する機械を用いることなく、一目で目視確認できるため好ましい。さらに、数種の酸化還元指示薬を化学的に安定に混合することができ、かつ、独立に反応することができる場合、容器または袋の内部の環境変化を段階的に検知することが可能である。例えば、酸化還元指示薬の反応に必要な酸素濃度、反応速度および反応時の色彩の全く違う酸化還元指示薬を数種混合して用いると、ある酸素濃度ではオレンジ色、さらに酸素濃度が高い場合は青色等、酸素濃度によって色を段階的に変化することが可能である。また、酸素への暴露時間が少ない場合は褐色、酸素濃度の暴露時間が長い場合は赤色等、酸素暴露時間によって色を段階的に変化することも可能である。
【0049】
本発明でいう酸化還元指示薬の例として、メチレンブルー、ガロシアニン、メチルレッド、メチルバイオレッド、チモールブルー、アントシアニン、メチルイエロー、フェノールレッド、チモールフタレイン、アザリンイエロー、アントラキノン、サフラニン、β−カロチン、リコピン、レソルフィン、チオニン、クレシルブルー、トルイジンブルー、メチルオレンジ、リトマス、ブロムチモールブルー、カルミン、フェノールフタレン等が挙げられる。なかでも、メチレンブルー、メチルレッド、メチルバイオレッド、チモールブルー、アントシアニン、メチルイエロー、フェノールレッド、アントラキノン、サフラニン、β−カロチン、レソルフィン、チオニン、クレシルブルー、メチルオレンジ、リトマス、ブロムチモールブルー、フェノールフタレンが好ましく、さらに好ましくはメチレンブルー、メチルレッド、チモールブルー、アントシアニン、フェノールレッド、アントラキノン、β−カロチン、クレシルブルー、メチルオレンジ、リトマス、ブロムチモールブルー、フェノールフタレンであり、さらにより好ましくはメチレンブルー、メチルレッド、アントシアニン、アントラキノン、β−カロチン、メチルオレンジ、リトマス、ブロムチモールブルー、フェノールフタレンである。
【0050】
また、本発明で使用することができる酸化還元指示薬は、酸素に対する酸化還元機能によって変色する。一方、この機能は二酸化炭素によっても機能する場合があり、酸化還元指示薬を、酸素検知剤として使用する他、二酸化炭素検知剤として使用しても良い。また、酵素および酵素と基質を用いた酵素検知液について説明する。本発明でいう酵素とは、様々な生体内で営まれる化学反応に触媒として作用する高分子物質であり、触媒する反応の型によって酸化還元反応を触媒する酵素(オキシダーゼ)、官能基の転移を触媒する酵素(トランスフェラーゼ)、加水分解反応を触媒する酵素(ヒドロラーゼ)、脱離反応と付加反応を触媒する酵素(リアーゼ)、異性化反応を触媒する酵素(イソメラーゼ)、ATPなどの加水分解と共役して2個の分子をつなぐ合成反応を触媒する酵素(リガーゼ)等に分類される。
【0051】
本来、酵素は生体を維持するため、これらの生体内の反応を触媒する働きを担っている。本発明において用いられる酵素は、これらの酵素反応の中で酸素の存在の有無によって酵素もしくは基質の光吸収波長が変化すれば良く、この変化した光吸収波長を検出することによって酸素の有無を判断することができる。
【0052】
利用できる光吸収波長の波長域は、変化した波長を測定あるいは検出できればどのような波長でも利用できる。例えば、UV領域に変化域があればUV測定装置を用いて検出すれば良い。波長を測定する機械を用いることなく、目視で確認できるため、変化域が可視光域(400nm〜600nm)であることが好ましい。また、酵素の光吸収波長反応を用いた酸素検知剤は、包装体内に二酸化炭素およびアルコールが存在する場合であっても、酸素の有無を判断する酵素反応に影響がないため、安定かつ正確に光吸収波長変化によって(可視光域であれば、色によって)酸素の有無を確認できる。
【0053】
光吸収波長の変化は、酵素自体の構造変化に起因するものでも、酵素反応による基質の構造変化に起因するものでもどちらでも良い。酵素自体の構造が変化する一例を挙げる。金属を有する酵素(銅酵素類)の場合、酵素を構成する一部の金属(銅)が脱離することによって金属(銅)がイオン状態で系内に存在するようになり、その金属イオン特有の色(青)を呈する。また、酵素反応で基質の構造が変化する例を挙げる。基質は、基質を構成する水酸基、アミノ基から水素を引きぬくことで、二重結合を形成したり、基質分子同士が会合することによって色を呈する。
【0054】
酵素の触媒作用による基質の構造変化によって光吸収波長が変化した場合、酵素および基質を種々に選択することによって、所望の色で酸素の有無を検知することができ、さらに検知する酸素濃度の設定や変色速度等を所望の設定にすることができる。さらに、酵素反応による基質変化が不可逆反応である場合、包装体内における内容物がどのくらい酸素によって暴露したのかを積算表示できる。例えば、酵素反応による基質の構造変化によって基質自体の光吸収波長が変化し、この変化が不可逆であり、しかも波長の変化域が可視光域である場合、包装体内における内容物の酸素による暴露程度を色差(色の濃淡、変色等)によって目視で判別できるため、包装体内における内容物がどのくらい酸素によって暴露したのかを積算表示できる。
【0055】
さらに、酵素反応は、様々な基質に対して酵素−基質間で独立して反応するため、数種類の酵素および基質を混在状態で用いることができる。例えば、1種類の酵素に、酵素反応に必要な酸素濃度、反応速度および反応時の色彩の全く違う基質を数種混合して用いると、ある酸素濃度では黄色、さらに酸素濃度が高い場合は青色等、酸素濃度によって色を段階的に変化することが可能である。また、酸素の暴露時間が少ない場合は茶色、酸素の暴露時間が長い場合は赤色等、酸素暴露時間によって色を段階的に変化することが可能である。
【0056】
このような光吸収波長を変化する酵素としてオキシダーゼ系、カタラーゼおよびペルオキシダーゼ系、フラビンモノオキシゲナーゼ系、銅ヒドロモノオキシゲナーゼ系、鉄モノオキシゲナーゼ系、リブロース2リン酸オキシゲナーゼ系、ジオキシゲナーゼ系等が挙げられる。具体的には、カテコ−ルオキシダ−ゼ(EC 1.10.3.1)、ラッカ−ゼ(EC 1.10.3.2)、ビリルビンオキシダ−ゼ(EC 1.3.3.5)、アスコルビン酸オキシダ−ゼ(EC 1.10.3.3)、3−ヒドロキシアントラニル酸オキシダ−ゼ(EC 1.10.3.5)等が挙げられる。基質を添加して反応せしめると、酸素が存在した場合、光吸収波長変化反応を顕著に促進する酵素は全てこれに含まれる。これらを単独、あるいは複数組み合わせてもよい。
【0057】
また、基質としては、上記記載した酵素によって構造が変化し光吸収波長が変化するものであれば良い。
基質の例として、水酸基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基等の活性の比較的高い官能基を有する化合物が良く、ベンジンジオール、ヒドロキノン、ポリフェノール、フェニレンジアミン、アスコルビン酸、シアニン色素、L−アスコルベート、アミノフェノール等が挙げられる。例えば、基質としては酸化還元試薬を用いればよく、フェノ−ル誘導体、アニリン誘導体、トルイジン誘導体、安息香酸誘導体等が挙げられ、具体例として、N、Nジメチルアニリン、N、Nジエチルアニリン、2、4ジクロロフェノ−ル、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3、5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3、5ジメチルアニリン(MAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3− スルホプロピル)−3、5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)、N−エチル−N− スルホプロピル−m−アニシジン(ADPS)、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン(ALPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3、5−ジメトキシアニリン(DAPS)、N−スルホプロピル−3、5−ジメトキシアニリン(HDAPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン(TOPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニシジン(ADOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3、5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N−スルホプロピル−アニリン(HALPS)、o−ジアニシジン、o−トリジン、3、3 ジアミノベンジジン、3、3、5、5−テトラメチルベンジジン、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4、4−ビス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン(DA64)、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3、7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン(DA67)、3、5−ジニトロ安息香酸、5−アミノサリチル酸、3−ヒドロキシアントラニル酸、3、5−ジアミノ安息香酸等、さらに4−アミノアンチピリン、o−フェニレンジアミン、1−アミノ−2−ナフト−ル−4−スルホン酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、2−アミノ−8−ナフト−ル−6−スルホン酸、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン、2−アミノ−フェノ−ル−4−スルホン酸、2、6−ジブロモ−4−アミノフェノ−ル、2、2’−アジノ−ル−(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩、2、2’−アジノビス (3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)アンモニウム塩(ABTS)、カテコ−ル、さらにタンニン、エピカテキン、エピガロカテキン等が挙げられる。
【0058】
尚、さらに蛍光的に観察しようとした場合、酸化によって蛍光を発する化合物、例えばホモバニリン酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、チラミン、パラクレゾ−ル、ジアセチルフルオレスシン誘導体等、化学発光化合物としてはピロガロ−ル等も挙げられる。ここに示した物質は一例に過ぎず、酵素を添加して酸素と反応させた場合、光吸収波長変化反応が顕著に促進される物質は全てこれに含まれる。
【0059】
また、基質に他の化合物をカップリングして光吸収波長を調整しても良い。4−アミノフェノール(4AP)、2,6−ジブロムー4−アミノフェノール、ABTSなどの基質の他にフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸などを共存させ、酵素を作用させると、可視光域で光吸収波長反応が起こり、色調も基質の種類で異なり、色調を選択できる。さらに、酵素による光吸収波長変化反応を酸素濃度のある閾値よりドラスチックに変化させたい場合や、酸素の存在で光吸収波長変化反応を起こす時、酸素検知剤として感度が高すぎる場合は、酵素の阻害剤、基質アナログあるいは還元剤などの拮抗物質を共存させることで光吸収波長変化反応を遅くする、あるいは感度を低下させることができる。阻害剤としてはアザイド、ジエチルジチオカルバミン酸、チオ硫酸塩、フッ化物、シアン化物、PCMB、EDTA、2価、3価の金属類等、基質アナログとしてはD−アミノ酸類、3、5−ジニトロ安息香酸、チオサルチル酸等が挙げられる。還元剤としてはジチオスレイトール、システイン、グルタチオン、メルカプトエタノール、フェリシアン化カリウム、ヨウ化水素、チオ硫酸ナトリウム、アルデヒド、糖、ギ酸、シュウ酸等が挙げられる。ここに示したのは一例に過ぎず、種類や濃度の異なる拮抗物質を適宜、組み合わせて使えばよい。
【0060】
さらにまた、上記の記載の酸化還元指示薬や酵素および酵素と基質を用いた酵素検知液は、酸素を反応系にて消費するため、酸素吸収剤として、機能部に用いることができる。
このように、本発明の機能部に特定の機能を有する機能液を含浸することで、調湿剤、エタノール蒸散剤、炭酸ガス発生剤等の機能を容易に接着ラベルに導入することが可能である。本発明の機能部は、主として機能液を含有する部位を示すが、他の物質(例えば、酸・アルカリ調整剤、安定剤、他の着色料(例えば食紅)等)を支持体に含んでも、機能的に問題が無ければよい。
【0061】
本発明でいう保護層は、熱収縮層としての役割を担う他、容器または袋内の環境を機能部に伝達する機能を有することが好ましい。また、内容物が食品である場合、機能液が直接内容物と接しない様に隔離して安全性を確保するための保護機能を具備することが好ましい。例えば、機能部が酸素検知剤および酸素吸収剤を含む場合、保護層は一般に使用される樹脂フィルムの他、金属、紙等、機能液と内容物を隔離することができる膜体であればよい。なかでも、酸素検知濃度、酸素検知速度、酸素吸収量、酸素吸収速度等の観点より、酸素透過度を暫時設定し易い樹脂フィルムを保護層として用いることが好ましい。そして、樹脂フィルムの酸素透過度や水蒸気透過度を必要によって選択すればよい。例えば、低酸素で、かつ、瞬時に酸素の有無を確認したい場合、酸素透過度が高く、かつ、なるべく薄い樹脂フィルムを使用することが好ましい。
【0062】
本発明に使用できる樹脂フィルムは単層でも多層でも支障がなく、また、使用される樹脂は所望の酸素検知濃度によって選択されればよい。樹脂フィルムの例としては、ポリエチレン系樹脂(HDPE、LLDPE等)、ポリプロピレン系樹脂(PP)、ポリブテン−1系樹脂(PB)、ポリ−4−メチルペンテン−1系樹脂をはじめとするポリオレフィン系樹脂(PO)、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体樹脂(EMA等)、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH等)をはじめとするポリオレフィン系樹脂変性物(PO変性物)、ポリエチレンテレフタレート系(含変性)樹脂(PET等)、ポリブチレンテレフタレート系(含変性)樹脂(PBT等)をはじめとする芳香族ポリエステル樹脂、又はポリ乳酸系樹脂、ポリグリコール酸系樹脂をはじめとする脂肪族ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC)をはじめとする塩素系樹脂、αオレフィン−一酸化炭素共重合樹脂(含同水添樹脂)、αオレフィン(エチレン、他)−スチレン共重合樹脂(含同水添樹脂)、エチレン−環状炭化水素系化合物共重合樹脂(含同水添樹脂)、ポリアミド系樹脂(Ny)、カプロラクトン系樹脂等から少なくとも一種を主体として選択される樹脂組成物を単層もしくはこれらの多層またはこの層と異なる樹脂を積層させたもの、もしくはこれらの樹脂からなる延伸(収縮性を有するフィルムも含む)もしくは未延伸の樹脂フィルムが挙げられる。
【0063】
また、本発明の保護層の透湿度は、酸素吸収機能の観点より、0.1〜300g/(m・24hr)であることが好ましく、より好ましくは0.1〜280g/(m・24hr)、さらに好ましくは0.3〜260g/(m・24hr)である。さらに、本発明の保護層の厚さは、機械で作成する場合、機械掛かりの腰やハンドリングの観点より、3〜100μmが好ましく、より好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15〜70μmである。
【0064】
本発明でいう容器とは、受け容器および蓋からなる形態を持ち、内容物を入れるための器である。容器の材質は、内容物を入れることができればどのようなものでも良く、プラスチック、金属、木材、紙、その他の単体あるいは前記材料同士の積層等が挙げられる。また、ここでいう蓋とは、受け容器の上部を覆うものであり、材質は内容物を入れた受け容器を覆うことができればどのようなものでも良く、プラスチック、金属、木材、紙、その他の単体あるいは前記材料同士の積層等が挙げられる。内容物を目視確認するという観点から、上部を覆う蓋は透明で光沢に優れるプラスチックであることが好ましい。
【0065】
本発明でいう袋とは、中に物を入れて口を閉じるようにした入れ物をいう。袋の材質は、袋を形成できればどのようなものでも良く、プラスチック、金属、紙、その他の単体あるいは前記材料同士の積層体等が挙げられる。ここでいうプラスチックとは熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂をいうが、一般的に容器または袋に使用される樹脂であれば何でも良い。例えば、熱可塑性樹脂ではポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、セルロースアセテート樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH等)等が挙げられ、熱硬化性樹脂ではユリア樹脂、メラニン樹脂、キシレン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、これらの単独樹脂または共重合樹脂等が挙げられる。
【0066】
容器または袋の成形には、これらの樹脂より構成される単層または多層構成等のフィルムおよびシートを使用することができる。また、容器または袋は、密封性の観点より、ガスバリアー性を有するプラスチックからなることが好ましい。容器による包装の場合、容器または蓋がガスバリアー性を有している方が好ましい。しかし、ガスバリアー性を有していない容器および蓋をガスバリアー性を有するフィルムによって通気路以外の部分を覆うように包装・封緘しても、ガスバリアー性を有している容器および蓋をガスバリアー性を有していないフィルムによって通気路以外の部分を覆うように包装・封緘しても、その後、該通気路を接着ラベルにて密封することで容器全体を密封すれば、支障はない。
【0067】
容器の場合、受け容器および蓋の開口面の縁の形状は、直線状でも曲線状でも良い。また、容器開口面の形状は円形、三角形、四角形(長方形、正方形)、その他多角形であっても、菱形、楕円形、曲線からなる無定形であってもよい。例えば、受け容器と蓋の一辺がヒンジ部を介して接合された、いわゆるフードパックでもよい。また、袋および受け容器や蓋は、これらの樹脂より構成される単層または多層構成等のフィルムおよびシートからなる。また、多層構成の場合、多層にする方法として共押出方法、各種のラミネート方法等があるが、適宜選択すれば良い。本発明に用いられるシートには、必要に応じてガスバリアー性を有する材料を用いてもよい。この熱可塑性樹脂シートから容器を成形するには、圧空成形、真空成形、真空圧空成形等の熱成形方法によって成形されることが好ましい。また、通気路は、例えば成形された容器の任意の位置に抜き型といわれるカット刃を押切りして切り抜けばよい。
【0068】
また、受け容器および蓋の開口部に、様々な形状のフランジを有しても良い。フランジとは、受け容器と蓋の間を重ね合わせる際に重なり合う鍔状の結合部分を意味し、嵌合構造を具備していてもよい。嵌合構造とは、受け容器と蓋の開口部に、容器と蓋の間を嵌め合わせるための溝を有してる形状を意味する。その嵌合部は大きく分けて、外嵌合と内嵌合と内外嵌合の3種類に分けられる。外嵌合は、容器を成形する際の金型の精度があまり必要無く安価で簡単に作成できる形状である。
【0069】
一方、内嵌合は外嵌合に比べ容器を成形する際の金型精度が必要であり、コスト的に高価になるが内容物が汁分を含む惣菜等の場合、汁分の容器外への流出を防ぐことができる。さらに内外嵌合は容器を成形する際の金型の精度が要求され、コスト的にかなり高価になるが、嵌合部の嵌合強度が強く、多少の衝撃が加わっても容器と蓋が外れることが無く、最も高級な嵌合形状である。
【0070】
本発明でいう包装方法について説明する。本発明の包装方法では、容器または袋に内容物を入れ、通気路以外の封を閉じた状態で通気路を介して脱気またはガス置換をし、該通気路を接着ラベルにて塞ぐことにより密封封緘する。特に容器を用いる場合、内容物を受け容器に入れて、受け容器と蓋の重合するフランジ部を封緘した後、蓋に具備する通気路より容器内の空気を脱気または所望ガスと置換し、蓋の該通気路を該ラベルにて封緘する。密封容器の場合、蓋は、受け容器の上部を覆うものであり、材質は樹脂であり内容物を入れた受け容器を覆うことができれば何でも良い。また、内容物を目視確認するという観点より、上部を覆う蓋は透明であること、また、美粧性の観点よりも透明で光沢に優れる樹脂であることが好ましい。さらに、内容物のボリューム感を容器のディスプレイ効果により発揮するという観点より、受け容器の高さが上部を覆う蓋の高さよりも低いことが好ましい。本発明でいう容器の形状は直方体、円柱、円錐、多角体、多面体、筒状体等の形状やそれらの組み合わされたものであっても支障はない。さらに、該接着ラベルによる通気路の封緘とは、ラベルが蓋に具備する通気路(穴)を跨いだ状態で接着していることをいう。
【0071】
本発明の通気路について説明する。本発明の通気路は、容器または袋内と外をガスが出入りすることができる通路である。また、大きさ、形状、数等はガスが包装容器の中と外を出入りすることができればよい。なかでも、ガス置換後に孔を塞ぐ容易さや内容物の流出防止の観点より、通気路が蓋に設けられていることが、好ましく、蓋の天面に設けられることがさらに好ましい。
【0072】
孔の大きさは、包装容器の内容量1000cm3に対して、孔の開口面積が0.3〜3cm2であることが好ましい。この範囲であると、特に容器の場合、脱気やガス充填時の通過抵抗が小さく、ガス置換時の容器の変形が少なくてすむ上、接着ラベルの機械的強度が比較的小さくてもよいという効果を有する。好ましい通気路の開口面積は0.3〜3cm2であり、より好ましくは0.4〜2.8cm2で、さらに好ましくは0.6〜2.5cm2である。
【0073】
本発明の通気路の開口形状は、包装容器の中と外を通気できればよい。例としては、通気路の開口形状として正方形(図1のA)、長方形(図1のB)、コーナー部がRを有している四角形(図1のC)、多角形(図1のD)、円(図1のE)、半円(図1のF)、楕円(図1のG)、半楕円(図1のH)、星形(図1のI)、不定形(図1のJ)など完全に開口を有する切り抜き形状が挙げられる他、完全に切り抜きでない形状として、コの字(図1のO)、V字(図1のP)、U字(図1のQ)、C字(図1のR)、不定形(図1のS)の切れこみ等が挙げられる。蓋を穿孔加工する際に切りくずがでないため、これらの切れこみ形状がより好ましい。
【0074】
通気路の開口形状が、このような切れこみ形状の場合、通気路の面積は切りこみの入れられた舌状部分を折り返し、穴を広げた時に開く最大面積で表わす。
さらに、通気路を塞ぐときの煩雑さを低減することや包装容器の美粧性の観点より、通気路の数はできるだけ少ないことが好ましく、1枚の接着ラベルで塞ぐことさらに好ましい。また、通気路が多数の穴の場合であっても、小さな穴を複数個1箇所に集中させて、これらを1枚の接着ラベルで塞ぐようにすると、接着ラベルの機械的強度が小さくても使用可能であるので好ましい。
【0075】
本発明の容器または袋の開口部を封することによって、通気路を介して包装容器または袋内部のガスの組成をコントロールすることが可能になり、空気中の酸素濃度と異なる環境を実現できる。空気中の酸素濃度と異なる環境の例としては、容器または袋内を脱気し真空状態で密封包装した真空包装や、容器または袋内をガス置換し所望のガス雰囲気状態で密封包装したガス置換包装等が挙げられる。
【0076】
本発明でいうガス置換について説明する。本発明でいうガス置換とは密封容器内の空気を所望のガスに置換することを意味する。ガス置換により、内容物の保存性の向上や、商品の色等に関する外観性が得られる等の効果が挙げられる。例えば、食品等を不活性ガス中に保持することことによって、(1)油脂成分の酸化防止、(2)ビタミン等の有効成分の保存、(3)かびや菌類や酵母の繁殖による腐敗防止、(4)色素の変色・退色防止、(5)香気の飛散防止等の効果が得られる。また、更に炭酸ガス等の静菌作用を有するガスにて置換することで、内容物の保存性をさらに向上することができる。
【0077】
上記ガスは、一般に知られているガスであればいずれのものを使用しても良い。例えば、窒素、二酸化炭素(炭酸ガス)、酸素、アルゴン等が挙げられ、単独またはこれらを組み合わせて使用することができる。
【0078】
また、かびや菌類や酵母の殺菌効果を有するオゾンや天然および合成抗菌性物質(例えばヒノキチオール等)を用いても良い。
ガス置換方法は、いかなる方法であってもガス置換することができればよい。ガス置換方法としては、一般的に、ガスフラッシュ方法、ノズル方法、チャンバー方法が挙げられる。ガスフラッシュ方法とは、容器または袋内に所望のガスをガスフラッシュすることによって、容器または袋内の空気をガスに置換する方法である。また、ノズル方法とは、主に袋物のガス置換に使用される方法であるが、袋内にノズルを入れ、そのノズルより袋内の空気を脱気し、その後、該ノズルより所望のガスを袋内に導入して置換する方法である。さらに、チャンバー方式とは、ある空間(チャンバー)内に内容物を入れた容器または袋を入れ、チャンバー内部を一旦真空にし、その後チャンバー内に所望のガスを導入して容器または袋内のガス置換をする方法である。これらの方法はスピード、コスト、置換率等に応じて、適宜自由に選択しても良い。
【0079】
また、容器または袋内のガスを吸引脱気する脱気包装においても、容器または袋内に残留するガスの組成をコントロールするために、容器または袋内のガスを所望のガスに置換してから吸引脱気することが好ましい。
【0080】
容器または袋内のガス組成として、内容物が食品である場合、食品の腐敗を防止するために、静菌作用を有する二酸化炭素を組成成分の一つとすることが好ましい。二酸化炭素の含有量は、静菌作用の効果から全体の3%以上が好ましく、100%であっても良い。また、食品の腐敗を防止するために、殺菌作用を有するアルコール類をガス成分の一つとしてしても良い。アルコール類の含有量は、殺菌作用の効果から全体の0.5%以上が好ましく、飽和蒸気量まで含有していても良い。ここでいうアルコール類とは、炭化水素の水素原子を水酸基で置換した形の化合物を示し、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等を示す。本発明のアルコール類は、食品安全の観点より、好ましくはエタノール、プロパノール、イソプロパノールであり、より好ましくはエタノール、プロパノール、さらに好ましくはエタノールである。
【0081】
本発明の容器(図7A:蓋天面に接着ラベルを具備した場合、図7B:蓋側面に接着ラベルを具備した場合、)または袋(図8)を用いて包装体とする場合、内容物としては主として食品類が挙げられる。食品類としては、生鮮3品と呼ばれる鮮魚、生肉、生野菜の他、例えば、スーパーやコンビニエンスストア等で販売される惣菜(煮物、焼き物、蒸し物、炒め物)、弁当等が挙げられる。さらに、上記記載の食品包装関係以外にも、密封空間内の酸素の有無を確認する必要のあるところであればいずれの用途に使用しても良い。例えば、精密機械部品包装やネジ等の金属部品包装や、電子基板等の電機部品包装の他、医薬品、化粧品等への使用が挙げられる。
[実施例]
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<1.接着ラベルの作成>
1−1.接着ラベル
接着ラベルの基材層として、表1〜3に示す層構成および厚さである多層シートと接着剤層を用いて接着ラベルを作成した。作成した接着ラベルの収縮開始温度、実包テストによる剥離状態を表1〜3に示す。(基材層:直径35mmφ、接着剤層:25g/m2)
1−2.酸素検知機能付き接着ラベルの作成
酵素(アスコルビン酸オキシダーゼ)および基質(2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)二アンモニウム塩(ABTS))を、溶媒として脱気した(酸素濃度0ppm)の100mMの酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液(pH=4.0に調整)に、それぞれ酵素溶液80U/ml、基質溶液4mg/mlの濃度で溶解し、前調製酵素溶液、前調製基質溶液とした。これらの前調整酵素および基質溶液を無酸素雰囲気のグローブボックス内にて混合し、機能液を調製した。図3に示した様に、接着ラベル(素材:PET75μm、直径35mmφ、アクリル(AC)系接着剤25g/m)の中心に厚さ340μmの濾紙直径5mmφを接着しその濾紙に機能液を5μl塗付し、中心を揃えて、熱収縮層兼保護層(素材:OPS25μm、直径22mmφ)にて濾紙を被覆し接着ラベルを作成した。この接着ラベルをアルミ箔(AL)をPETで被膜したセパレーター(PET/AL/PET3層)に貼着した。保存はセパレーターに貼着した状態で接着ラベル1000枚巻き取り、ロール状態でバリアーフィルムに脱酸素剤を共に窒素封緘し、遮光状態で冷蔵保存(5℃)した。
<2.容器(本体、蓋、接着テープ)の作成>
2−1.本体
フィラー入りポリプロピレン樹脂シート(PP)にLL/NY/EVOH/NYの共押しフィルム(50μm)をドライラミネートしたものを成形したものを用いた(図4)。尚、上記の“LL”は、線状低密度ポリエチレンを意味する。
2−2.蓋
OPSシート(250μm)にLL/NY/EVOH/NYの共押しフィルム(50μm)をドライラミネートしたものを成形したものを用いた。成形後に成形機の中間ポンスを用いて、蓋上面に直径20mmφの開口を丸く打ち抜き、その後、成形蓋の周囲を打ち抜いて蓋を作成した(図5)。
2−3.接着テープ
未延伸ナイロン(30μm)にアクリル系接着剤を25g/mで塗工し、10mm幅にスリットして紙管に巻いたものを用いた。
<3.実包テスト1>
接着ラベル、および酸素吸収剤付き接着ラベルをアルミ箔をPETで被膜したセパレーター(PET/AL/PET3層)を、上記の手順により準備した。天面に20mmφの穴の開いた蓋および内容物を入れた受け容器を接着テープにて封をし、表1〜3記載の混合ガス組成に調整したグローブボックス内に該容器を設置した。その穴の開いた天面に、セパレーターより剥がした接着ラベルを蓋外側より接着し、密封容器(図6)を得た。その後、発色時間と酸素濃度を暫時測定した(保存温度:20℃、容器内体積:500cc、内容物:親子丼(ご飯100g+具材100g))。
<4.各物性評価>
4−1.透湿度
JIS−Z−0208に準拠して行った。(40℃−90%RH)
4−2.酸素透過度
ASTM−D−3985に準拠して行った。(20℃−60%RH)
4−3.ヘイズ測定
ASTM−D−1003に準拠して行った。
4−4.親子丼の作成
本発明の親子丼は、鶏肉、鶏卵、だしつゆ等を用いて通常の作成方法にて作った。また、ごはんは標準米を用い、炊飯機にて炊いたものを用いた。
4−5.包装容器内空間の酸素、二酸化炭素組成比率測定
PBI Dansensor(株)社製チェックポイント(商品名)を用いて、20℃における密封用包装容器内空間の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を測定した。窒素濃度は、100%から酸素濃度および二酸化炭素濃度を引いて算出した。
4−6.保存温度測定
三洋電機(株)社製ボタン型クールメモリー(商品名)を用いて温度を測定した。(接着ラベル保存温度5℃、評価保存温度20℃)
4−7.接着強度
JIS−Z−0237の180度引きはがし法による測定した。測定方法の概略を下記に示す。幅25mmのラベルをステンレス板に貼りつけ、ラベルの一端をもう一方の一端に向かって剥離速度300m/minでステンレス板から180度方向に引き剥がすのに要する力を用いた。
4−8.突刺強度
農林規格第10条に基づいてラベル加工する前のラベルシートを125mm角の枠に固定し、その中心部に直径1.0mm、先端形状0.5mmRの針を50mm/分の速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定し、その値を強度とした。
4−9.熱収縮率および熱収縮開始温度測定
所定の温度に設定したシリコンオイルに試料片(MD方向およびTD方向各50mm角)を3分間浸漬し、その後、熱収縮した試料片の各辺の長さを測定して、その温度での収縮率を算出した。また、収縮率が3%以上である温度を収縮開始温度とした。
4−10.接着ラベルの反り測定
各実施例によって得られた実験終了後の接着ラベルを平坦な場所に置き、垂直方向の最大高さを測定した。
<5.実包テスト2>
複合フィラー入りポリプロピレン樹脂シートおよび複合ポリスチレンシートを図4(本体)、図5(蓋)に示す形状に成形し、各々のフランジ部を接着テープにて封緘した(図6)。この容器内を通気路を介して表1〜3記載のガス組成にてガス置換を行い、容器の通気路を表1〜3に示した接着ラベルを用いて封緘した。その後、容器内の酸素組成比率の測定、接着ラベルに具備した酸素検知剤能力の観察、及び、電子レンジ(1600W)にて加熱処理を行った際の観察を行った。
【0082】
評価
AA:酸素検知能力を有する。電子レンジによる加熱開始後、内容物の温度上昇と共に内圧が上昇し、接着ラベルが剥離して、安全に内圧開放が行われ、電子レンジ内にて包装体が破裂して内容物が散乱することを防止することができる。また、電子レンジ加熱処理後、包装体を取り出し、接着ラベルが接着ラベルの自重にて通気路を塞ぐかどうかを観察したところ、接着ラベルが熱収縮層(保護層)の収縮により接着面側に円弧状態に反り、完全に通気路を塞ぐに至らない。さらに、包装体がある程度冷却された時点で、円弧状態の接着ラベルを指にて再封止を試みたところ、接着ラベルの接着剤層の接着力にて再封止することが可能。
【0083】
A:電子レンジによる加熱開始後、内容物の温度上昇と共に内圧が上昇し、接着ラベルが剥離して、安全に内圧開放が行われ、電子レンジ内にて包装体が破裂して内容物が散乱することを防止することができる。また、電子レンジ加熱処理後、包装体を取り出し、接着ラベルが接着ラベルの自重にて通気路を塞ぐかどうかを観察したところ、接着ラベルが熱収縮層(保護層)の収縮により接着面側に円弧状態に反り、完全に通気路を塞ぐに至らない。さらに、包装体がある程度冷却された時点で、円弧状態の接着ラベルを指にて再封止を試みたところ、接着ラベルの接着剤層の接着力にて再封止することが可能。
【0084】
B:電子レンジによる加熱開始後、内容物の温度上昇と共に内圧が上昇し、接着ラベルが剥離して、安全に内圧開放が行われ、電子レンジ内にて包装体が破裂して内容物が散乱することを防止することができる。また、電子レンジ加熱処理後、包装体を取り出し、接着ラベルが接着ラベルの自重にて通気路を塞ぐかどうかを観察したところ、接着ラベルが熱収縮層(保護層)の収縮により接着面側に円弧状態に反り、完全に通気路を塞ぐに至らない。しかし、包装体がある程度冷却された時点で、円弧状態の接着ラベルを指にて再封止を試みたが、接着ラベルの接着剤層の接着力にて再封止することが不可能。
【0085】
C:電子レンジによる加熱開始後、内容物の温度上昇と共に内圧が上昇し、接着ラベルが剥離せず、安全に内圧開放が行われ、電子レンジ内にて包装体が破裂して内容物が散乱することを防止することができない。もしくは、電子レンジ加熱処理後、包装体を取り出し接着ラベルが接着ラベルの自重にて通気路を塞ぐかどうかを観察したところ、接着ラベルが内圧開放後に完全に通気路を塞ぐ。その後、大気圧によって容器全体がつぶれる。
[実施例1〜7]
表1及び2に基づき、実施例1〜7の接着ラベルを作成した。それらの接着ラベルを用いて、実包テストを実施した。結果を表1、2に示す。
【0086】
本発明の実施例1〜7において、電子レンジによる加熱処理において、内圧上昇した包装体内の気体を安全に排出し、加熱終了後に自動的に接着ラベルが容器に再接着することを接着ラベルの変形により防止することできた。そのため、冷却時の容器または袋の体積変化による容器凹みや潰れを防止できた。また、本実施例ではガスバリアーを有する容器、蓋、接着テープおよび接着ラベルを使用したため、ガスバリアー機能を発揮し、容器外からの酸素の流入を防ぎ、内容物の酸化等の劣化防止ができ、食品の保存性を飛躍的に向上することができた。さらに、本発明の実施例7(酸素検知機能付き接着ラベル:図3相当)においては、接着ラベル中の機能部が、低酸素状態において白(濾紙の色のみ)、高酸素状態においては青緑を示し、酸素検知機能を発揮した。
[比較例1及び2]
表3に基づき、比較例1及び2の接着ラベルを作成した。それらの接着ラベルを用いて、実包テストを実施した。結果を表3に示す。
【0087】
比較例1及び2の接着ラベルは、電子レンジによる加熱時に、包装体の内圧を安全に開放することはできた。しかし、内圧開放後、該接着ラベルが接着ラベルの自重により通気路を塞ぎ、冷却後、大気圧により包装体がつぶれた。
【0088】
尚、以下の表1〜3において、PETはポリエチレンテレフタレート((株)サトーから入手したPET系ラベル)を、PEはポリエチレン(興人(株)製コージンポリセット-UM 特殊PE系シュリンクフィルム)を、NYはナイロン(ユニチカ(株)製エンブレムフィルム)を、PPはポリプロピレン(興人(株)製コージンポリセット PPシュリンクフィルム)を、PSはポリスチレン(旭化成(製)OPSフィルム(商品名)、OPS(登録商標))を表す。また、記号“*”は、延伸を行ったことを示す。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0093】
本出願は、2003年12月18日出願の日本特許出願(特願2003−421244)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の接着ラベルにより、容器内を脱気またはガス充填することができ、内容物の酸化等の劣化防止ができ、その結果、食品の保存性を飛躍的に向上することができる。また、包装体を電子レンジ等で加熱する際、包装体の外観を損ねることなく加熱できる。また、加熱時に内圧上昇した包装体内の気体を、本発明の接着ラベルにより安全に排出することができる。また、加熱終了後に自動的に接着ラベルが容器に再接着することを接着ラベルの変形により防止することで、冷却時の容器または袋の体積変化による容器凹みや潰れを防止できる。さらに、接着ラベルに機能部を具備することによって、その機能を有する接着ラベルにすることが容易にできる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と接着剤層とを有する接着ラベルであって、接着ラベルを構成する層のうち少なくとも1層が熱収縮層である接着ラベル。
【請求項2】
接着ラベルを構成する層が更に機能部と保護層とを含み、該機能部は接着ラベルの接着剤層上に設けられ、該保護層が該機能部を覆うように設けられている請求項1に記載の接着ラベル。
【請求項3】
該保護層の少なくとも一部が該接着剤層に接している請求項2の接着ラベル。
【請求項4】
該機能部が、酸素濃度検知剤、酸素吸収剤、調湿剤、エタノール蒸散剤、炭酸ガス発生剤、鮮度保持剤及び温度検知剤から選ばれる少なくとも1つを含む請求項2に記載の接着ラベル。
【請求項5】
機能部が酵素を含んでいる請求項2に記載の接着ラベル。
【請求項6】
ガスバリアー材料からなる層を有する請求項1に記載の接着ラベル。
【請求項7】
保護層が熱収縮層である請求項2に記載の接着ラベル。
【請求項8】
該接着剤層が、アクリル系、ゴム系及びシリコン系の接着剤から選ばれるいずれかの接着剤を含む請求項1に記載の接着ラベル。
【請求項9】
少なくとも1つの通気路を有する包装容器または袋の、該通気路以外の箇所を封緘し、該通気路を介して容器または袋内のガスを脱気または他のガスで置換し、その後、請求項1に記載の接着ラベルで該通気路を塞ぐ包装方法。
【請求項10】
請求項1に記載の接着ラベルを有する包装容器または袋。
【請求項11】
請求項1に記載の接着ラベルを有する包装体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【国際公開番号】WO2005/059869
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【発行日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516307(P2005−516307)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018563
【国際出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(303046266)旭化成ライフ&リビング株式会社 (64)
【Fターム(参考)】