説明

接着剤アプリケータ

【課題】患者の体組織に接着剤を塗布するのに使用される接着剤アプリケータを提供する。
【解決手段】液状物質を塗布するための装置は、球形部と、この球形部に対して流体連通するカニューレ挿入用のシャフトと、このカニューレ挿入用のシャフトに対して流体連通するモップ部とを含む。球形部は、カプセルを含む。このカプセルは、液状物質を含む。球形部は、当該球形部を経由して媒体の流れを制御するように作動可能である弁をさらに含む。球形部は、液状物質を放出させるために、カプセルを破壊するように作動可能である。カニューレ挿入用のシャフトは、患者に対して経皮的に延在するように寸法決めされている。モップ部は、液状物質を塗布するように作動可能である。装置は、トロカールまたは他のカニューレ部材等を介して、組織に接着剤を経皮的に塗布するのに使用されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
[背景]
バイオ外科手術用の接着剤は、種々の医療処置において多様な手法で使用されてきた。米国特許出願公開第2004/0190975号公報には、接着剤の例が開示されており、当該公報の開示内容は、参照することによって、この明細書に組み込まれる。同様に、種々の部位に接着剤を送達するための多様な装置および技術も、使用されてきた。接着剤を送達するための数種のシステムおよび方法が開発され、かつ使用されてきたが、本願の発明者らより前に、添付の特許請求の範囲に記述された発明をした者、あるいは当該発明を使用した者はいないと考えられる。
【0002】
[発明の詳細な説明]
この明細書は、この発明を詳細に指摘し、かつ明確に規定する請求項で締めくくられるが、この発明は、添付の図面に関連した、特定の例に関する次の詳細な説明から、より良く理解されるはずであると考えられる。詳細な説明では、類似の参照番号が同一の要素であるとみなす。
【0003】
本発明の特定の例についての次の記述は、本発明の範囲を限定するために使用されるものではない。本発明の他の例、特徴、態様、実施の形態および利点は、次の記述から、当業者にとって明らかになるはずであり、当該次の記述は、例証を目的としたもので、本発明を実施することを考慮した場合の最良の形態の一つである。理解されるように、本発明は、本発明から逸脱せずに、他の異なる、自明な態様とすることもできる。したがって、図面および記述は、実際は、例示として見なされるものであり、限定的に解釈されるものではない。
【0004】
図1〜図3に示されているように、例示的な接着剤送達システム(10)は、アプリケータ(20)を含み、アプリケータ(20)は、カニューレ部材(30)を貫通して挿入され、カニューレ部材(30)は、トロカール(32)内に挿入される。図示された特定のカニューレ部材(32)およびトロカール(32)が例示の目的のみで示され、かつ、この例のアプリケータ(20)が、他のいずれかのタイプのカニューレ部材(32)またはトロカール(32)と共に使用されてもよいことが認識されるであろう。さらに、カニューレ部材(32)およびトロカール(32)は、この発明のアプリケータ(20)が最小限の侵襲性を有する手術設定で使用されてもよいことを単に実証するために、示されている。また、アプリケータ(20)が、切開手術のように、カニューレ部材(32)またはトロカール(32)なしに、使用されてもよいことも認識されるであろう。
【0005】
この例のアプリケータ(20)は、カニューレ挿入用のシャフト(50)と、このシャフト(50)の近位端に設けられた球形部(40)と、当該シャフト(50)の遠位端に設けられたモップ部(60)とを含む。シャフト(50)は、球形部(40)からモップ部(60)への流体経路を確保するための通路(52)を備えている。シャフト(50)は、アプリケータ(20)がカニューレ部材(32)およびトロカール(32)を通して挿入できるように十分な長さを有しており、モップ部(60)はカニューレ部材(32)およびトロカール(32)の遠位端を通過して遠位方向へ延在し、球形部(40)はカニューレ部材(32)およびトロカール(32)の近位端を通過して近位方向へ延在している。しかしながら、シャフト(50)のためには、あらゆる他の適切な長さを使用できる。
【0006】
図3および図4に示されているように、この例の球形部(40)は、球体(42)とカプセル(44)とを含む。カプセル(44)内には、接着剤(46)が配されている。この例では、接着剤(46)は体組織を結合するように構成されている。例えば、接着剤(46)には、シアノアクリレート、イソシアネート、あるいは、あらゆる他の適切な物質が含まれてもよい。この例のカプセル(44)には、概ね剛性であるが、ガラスまたはプラスチック等の脆弱性材料が含まれる。これに代えて、カプセル(44)は、可撓性、弾性、可鍛性、あるいはあらゆる他の適切な特性を有してもよい。以下に、より詳細に記述されるように、この例のカプセル(44)は、シャフト(50)の通路(52)を通して接着剤を連通させるために壊れるように構成されてもよい。カプセル(44)は、当該カプセル(44)を容易に破壊できるように構成された応力集中部(stress riser)(48)をさらに含む。応力集中部(48)は「十字」形状を有するように図示されているが、応力集中部(48)があらゆる他の適切な形状を有してもよいことが認識されるであろう。さらに、応力集中部(48)は、あらゆる他の態様と代替されてもよいし、または、完全に省略されてもよい。
【0007】
この例の球体(42)は、概ね、弾性プラスチック材料で形成されているが、あらゆる他の材料(例えば、ゴム等)あるいは他の適切な特性を有する材料との組み合わせが球体(42)の構成材料として使用されてもよい。球体(42)は、内側へ突出する一対のスパイク(70)を有している。スパイク(70)は、カプセル(44)の破壊を補助するように構成されている。したがって、スパイク(70)は、球体(42)の残り部分よりも大きい硬度を有する材料で形成されてもよいことが認識されるであろう。スパイク(70)に代わる他の穿刺部材あるいは他の適切な部材は、この技術分野における当業者にとって明らかなはずである。球体(42)は、当該球体(42)内でカプセル(44)の位置を維持するために内側に突出するように構成された保持部材(72)をさらに含む。球体(42)内には、カモノハシの嘴(くちばし)形状の弁(duckbill valve)(74)も設けられており、この弁(74)により、空気が球体(42)内へ流入できるが、空気が球体(42)から流出することが防止される。したがって、球体(42)は、ユーザーが最初に球体(42)を圧搾した際に、カプセル(44)を破壊して接着剤(46)を放出し、球体(42)を繰り返し圧搾した際に、放出された接着剤(46)を、シャフト(50)の通路(52)を通じて送り出すのに、使用されてもよいことが認識されるであろう。
【0008】
図5には、球形部(40)の変化形態が示されている。この例では、球形部(140)は、上述した球形部(40)と同様に、スパイク(70)および保持部材(72)を有する下球形部(142)を含む。球形部(140)は、カプセル(44)をも含む。しかしながら、球体(42)を繰り返し圧搾することによって、通路(52)を通して接着剤を連通させるためのカモノハシの嘴(くちばし)形状を有する弁(74)を備えることに代えて、カートリッジ(150)が下球形部(142)の上部部材(160)に連結されている。カートリッジ(150)は、加圧ガス等の加圧媒体を含む。上部部材(160)は、ねじ山(162)であって、カートリッジ(150)の相補的なねじ山と連結するように構成されたねじ山(162)と、カートリッジ(150)に設けられたシール(154)を穿刺するように構成された、上方向に突出したカニューレ用スパイク(164)とを有している。カニューレ用スパイク(164)は、ニードル弁組立体(170)と流体連通している。また、ニードル弁組立体(170)は、上部部材(160)内に配設され、かつ、ニードル(172)と、ニードル(172)の軸線方向の位置付けを制御するためのノブ(174)とを含む。この技術分野における当業者にとって明らかなように、ニードル弁組立体(170)は、カートリッジ(150)から下球形部(142)の内部へ加圧媒体を制御可能に連通させるのに使用されてもよい。接着剤(46)がカプセル(44)から放出された場合には、カートリッジ(150)からのこのような制御された加圧媒体の連通により、シャフト(50)の通路(52)を通して接着剤(46)の制御された連通をもたらす。
【0009】
図6には、球形部(40)の別の変化形態が示されている。この例では、球形部(240)は、上述した球形部(40)と同様に、スパイク(70)および保持部材(72)を有する下球形部(242)を含む。球形部(240)は、カプセル(44)と、カートリッジ(150)と、カートリッジ(150)から下球形部(242)へ加圧媒体を制御可能に連通させるためのニードル弁組立体(270)とをも含む。しかしながら、ニードル(172)の軸線方向の位置付けを制御するためのノブ(174)を有することに代えて、球形部(240)は、ピストル型の把持機構(274)を有している。ピストル型の把持機構(274)は、下球形部(242)に連結したハンドル組立体(260)の一部である。ピストル型の把持機構(274)は、ニードル弁組立体(270)を閉位置へ付勢するスプリング(276)を含む。この技術分野における当業者にとって明らかなように、カートリッジ(150)からの加圧媒体は、ピストル型の把持機構(274)が作動する角度の作用として、下球形部(242)に連通されてもよい。接着剤(46)がカプセル(44)から放出された場合には、カートリッジ(150)からのこのような制御された加圧媒体の連通により、シャフト(50)の通路(52)を通して接着剤(46)の制御された連通をもたらす。
【0010】
図7には、球形部(40)の別の変化形態が示されている。この例では、球形部(340)は、上述した球形部(40)と同様に、スパイク(70)および保持部材(72)を有する下球形部(342)を含む。球形部(340)は、図5に示された実施の形態に関して上述されたニードル弁組立体(170)と同様のニードル弁組立体(170)を有する上球形部(360)をさらに含む。しかしながら、上球形部(360)内に配置されたカートリッジ(150)を有することに代えて、上球形部(360)は、ニードル弁組立体(170)と流体連通した有刺型のコネクタ(350)を含む。有刺型のコネクタ(350)は、チューブ(352)に連結可能であり、チューブ(352)を保持するように構成された複数の刺部(354)を有している。チューブ(352)は、加圧媒体の外部供給源(図示せず)と流体連通されてもよい。この技術分野における当業者にとって明らかなように、ニードル弁組立体(170)は、チューブ(352)から有刺型のコネクタ(350)を経て下球形部(342)の内部へ加圧媒体を制御可能に連通させるのに使用されてもよい。接着剤(46)がカプセル(44)から放出された場合には、チューブ(352)および有刺型のコネクタ(350)からのこのような制御された加圧媒体の連通により、シャフト(50)の通路(52)を通して接着剤(46)の制御された連通をもたらす。
【0011】
接着剤(46)を通路(52)へ連通させ、かつ通路(52)を通して連通させるためのいくつかの構造および方法が上述されたが、前述の構造および方法のすべてには、種々の手段で、変更、置換あるいは補足が施されるものと意図されている。例えば、接着剤(46)は、レバー、指トリガー、親指プッシャー、スライダー、電動アクチュエータ等の作動により、通路(52)を通して連通されてもよい。他の適切な代替手段は、この技術分野における当業者にとって明らかなはずである。
【0012】
図8は、モップ部(60)の一例を示している。モップ部(60)は、複数の繊維(62)と、開始あるいは活性化物質(64)とを含む。繊維(62)は、あらゆる適切な手段で、シャフト(50)に対して固定されてもよい。他の実施の形態では、モップ部(60)は、スポンジ様あるいは泡様の構造を含む。この例では、接着剤(46)および活性化物質(64)は、活性化物質(64)に曝されていない場合には接着剤(46)が構造(例えば、組織)に対しては、十分には固着しないように、構成されている。しかしながら、接着性能を発揮する上で、いかなる活性化物質(64)も必要としない接着剤を含む、代替的な接着剤が使用されてもよいことが認識されるであろう。また、活性化物質(64)がモップ部(60)以外の場所に設けられてもよいことも認識されるであろう。例示のみの目的でいえば、活性化物質(64)は、球形部(40)または他の部分内に設けられてもよい。例えば、シャフト(50)内には、活性化物質(64)をモップ部(60)へ、あらゆる適切な手段で連通させるための別個の通路(図示せず)が設けられてもよい。活性化物質(64)が使用され、かつ備えられるようにするための他の手段は、この技術分野における当業者にとって明らかなはずである。
【0013】
図9は、モップ部(60)の使用例を示している。図示されているように、モップ部(60)は、接着剤(46)を組織(400)に塗布するのに使用されている。この例では、アプリケータ(20)は、経皮的に、および/または経壁的に使用されている。したがって、この明細書で開示された全てのアプリケータ(20)は、アプリケータ(20)の変化形態を含めて、腹腔鏡手術、内視鏡手術、切開手術あるいは他の外科手術の設定下で使用されてもよいことが認識されるであろう。アプリケータ(20)により塗布される接着剤(46)または他の物質の適切な用途としては、組織を表面的に覆うカバーあるいは他のカバー(例えば、「液状包帯」としての)を設けること、細胞付着を達成すること、植え込み、大きな塊または増量剤として役立てること、止血栓の特性を有する流体と共に分配された際の容積を増大させること、組織を他の組織に隣接させること、人工部品を組織に隣接させること、あるいは二つの人工部品同士を隣接させることを含むが、これらに限定されるものではない。接着剤(46)が包帯として使用される限りにおいては、このような接着剤(46)の分配は、光、外部からの周波数、圧力波、熱、他の化学物質等に曝されることによって包帯部分を硬化あるいは変性させる、続いて行われるステップの前に行う予備ステップであってもよい。
【0014】
また、接着剤(46)に加えて、あるいは当該接着剤(46)に代えて、種々の物質を塗布するのに、アプリケータ(20)が使用されてもよいことが認識されるであろう。例えば、アプリケータ(20)は、流体担体によって運ばれる固体物質を塗布するのに使用されてもよい。また、アプリケータ(20)は、混合媒体を塗布するのに使用されてもよい。アプリケータ(20)が混合媒体を塗布するのに使用される限りにおいては、手動式、機械式、自動式、あるいはこれらの組み合わせを含む、あらゆる適切な混合装置および混合方法を用いて、当該媒体はアプリケータ(20)内で混合されてもよい。アプリケータ(20)を使用して塗布に利用される他の適切な物質としては、封止剤、薬剤、硬化剤、壊死剤、凝固剤、剥離剤、または超音波、CT(コンピュータ断層撮影法)、MRI(核磁気共鳴映像法)、PET(ポジトロン断層撮影法)、X線(レントゲン撮影用)等に対する画像増感剤、あるいはレントゲン撮影に使用される薬剤を含むが、これらに限定されるものではない。他の物質が、この技術分野における当業者にとって明らかなはずである。さらに、アプリケータ(20)によって塗布される物質には、物質の存在を肉眼あるいは他の手段で容易に可視化するように、着色されてもよい。
【0015】
この明細書で記述されたあらゆるアプリケータ(20)は、アプリケータ(20)の変化形態を含めて、単一投与用装置として使用されてもよいし、再充填可能(例えば、同一の患者用)な装置として使用されてもよいし、あるいは他の形で少なくとも一部を再使用できる装置として、使用されてもよい。さらに、アプリケータ(20)は軸線方向に分配されるように記述され、かつ図示されているが、アプリケータ(20)が固定的に方向付けられているか、または種々の位置あるいは方向に調節可能であってもよいことが認識されるであろう。
【0016】
(例えば、トロカール(32)に対して他のアプリケータ(20)を挿入するために)アプリケータ(20)がトロカール(32)に対して引き戻されるのに必要とされる限りにおいては、使用されたモップ部(60)がトロカール(32)に接触しないようにすることが望ましい場合がある。このような状態で、カニューレ(30)の遠位端がトロカール(32)の遠位端を越えて遠位方向に延在する限りにおいては、少なくともモップ部(60)がカニューレ(30)の遠位端を洗浄するまでは、カニューレ(30)がトロカール(32)に対して固定した軸線方向位置に残された状態で、アプリケータ(20)は、カニューレ(30)に対して引き戻されてもよい。したがって、カニューレ(30)は、モップ部(60)からトロカール(32)を遮蔽してもよい。その後、新しいカニューレ(30)は、新しいアプリケータ(20)と共に挿入されてもよい。モップ部(60)とトロカール(32)との間の接触を回避するための他の構造および方法は、当該接触を避けようとする限りにおいては、この技術分野における当業者にとって明らかなはずである。
【0017】
この発明の実施の形態は、従来の内視鏡手術および切開手術ばかりでなく、ロボット支援型の外科手術にも適用される。
【0018】
この明細書に開示された実施の形態の装置は、一回の使用後に廃棄されるように設計されてもよいし、あるいは複数回、使用されるように設計されてもよい。これらの場合のうち、いずれか一方または両方の場合には、実施の形態は、少なくとも一回の使用後に再使用のために、修理されてもよい。修正は、装置を分解するステップと、次に、特定の部材を洗浄あるいは置換するステップと、続いて装置を再度、組み立てるステップのうち、任意の組み合わせを含めてもよい。特に、実施の形態の装置は分解されてもよく、かつ、装置の任意数の特定の部材あるいは部品は、任意の組み合わせで、選択的に置換あるいは除去されてもよい。特定の部品の洗浄および/または置換時には、実施の形態の装置は、修理設備において、あるいは外科処置直前に手術チームによって、後続の使用のために、再度、組み立てられてもよい。この技術分野における当業者は、装置の修理が、分解、洗浄または置換、および再度の組み立てのための種々の技術を利用できることを認識するであろう。このような技術の使用、その結果、修理された装置は、全て、この出願の範囲内に含まれる。
【0019】
例示のみの目的でいえば、この明細書に記述された実施の形態は、外科手術前に処理されてもよい。第一に、新規の器具あるいは使用済みの器具は、調達され、また必要に応じて洗浄されてもよい。器具は、その後に殺菌されてもよい。一つの殺菌方法では、当該器具は、プラスチック製あるいはタイベック(TYVEK:登録商標)製の袋等、開閉できる容器内に収容される。その後、容器および器具は、容器を貫通できる、ガンマ線、X線あるいは高エネルギ電子線などの放射線の場内に配設されてもよい。放射線は、器具上および容器内のバクテリアを殺菌できる。その後、殺菌された器具は、殺菌済みの容器内で保存されてもよい。密閉された容器は、医療設備において容器が開けられるまで、器具を殺菌状態に維持できる。また、装置は、ベータ線あるいはガンマ線、エチレンオキサイド、あるいは蒸気を含むが、これらに限定されない公知の他のあらゆる技術のいずれを用いて殺菌されてもよい。
【0020】
本発明の種々の実施の形態を図示し、かつ記述したが、この明細書に記述された方法およびシステムの更なる改案は、この発明の範囲から逸脱することなく、この技術分野における当業者の一人による適切な修正によって達成できる。このような数種の修正の可能性を上述したが、他の修正は、この技術分野における当業者にとって明らかなはずである。例えば、上述した例示、実施の形態、幾何学的構造、材料、寸法、割合、塗布ステップ等は、実例であり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項によって考慮される必要があり、明細書に記述され、かつ図面に示された構造および作用の詳細に限定して解釈されるものではない。
【0021】
〔実施の態様〕
(1)液状物質を塗布するための装置において、
前記装置が、
(a)収容部であって、該収容部が、
(i)液状物質を含むカプセル、および、
(ii)球形部を通して媒体の流れを制御するように作動可能である弁と、
を含み、
前記カプセルから前記液状物質を放出させるために前記カプセルを破壊するように作動可能である、
収容部と、
(b)前記収容部と流体連通するカニューレ挿入用のシャフトであって、患者に対して経皮的に延在させるように寸法決めされた、カニューレ挿入用のシャフトと、
(c)モップ部であって、前記カニューレ挿入用のシャフトと流体連通し、前記液状物質を塗布するように作動可能である、モップ部と、
を含む、装置。
(2)実施態様(1)記載の装置において、
トロカールをさらに含み、
前記カニューレ挿入用のシャフトは、前記トロカール内に配設されている、装置。
(3)実施態様(2)記載の装置において、
カニューレ部材をさらに含み、
前記カニューレ部材は、前記トロカール内に配設されており、
前記カニューレ挿入用のシャフトは、前記カニューレ部材内に配設されている、装置。
(4)実施態様(1)記載の装置において、
前記カプセルは、該カプセルを容易に破壊できるように構成された応力集中部をさらに含む、装置。
(5)実施態様(1)記載の装置において、
前記収容部は、前記カプセルを容易に破壊できる穿刺部材をさらに含む、装置。
(6)実施態様(1)記載の装置において、
前記液状物質は、接着剤を含む、装置。
(7)実施態様(6)記載の装置において、
前記接着剤は、組織接着用の接着剤である、装置。
(8)実施態様(1)記載の装置において、
前記弁は、カモノハシの嘴形状の弁を含む、装置。
(9)実施態様(1)記載の装置において、
前記弁と連通する加圧媒体供給源をさらに含む、装置。
(10)実施態様(9)記載の装置において、
前記加圧媒体供給源は、カートリッジを含む、装置。
(11)実施態様(9)記載の装置において、
前記弁は、ニードル弁を含む、装置。
(12)実施態様(9)記載の装置において、
可撓性チューブをさらに含み、
前記加圧媒体供給源は、前記可撓性チューブを介して前記弁と流体連通している、装置。
(13)実施態様(1)記載の装置において、
前記モップ部は、複数の繊維を含む、装置。
(14)実施態様(1)記載の装置において、
前記モップ部は、前記液状物質と反応するように構成された活性化物質を含む、装置。
【0022】
(15)液状物質を塗布する方法において、
前記方法が、
(a)アプリケータを準備するステップであって、
前記アプリケータが、
(i)球形部であって、前記球形部は、液状物質を含むカプセル、および、前記球形部を通して媒体の流れを制御するように作動可能である弁、を含む、球形部と、
(ii)前記球形部と流体連通するカニューレ挿入用のシャフトであって、患者に対して経皮的に延在するように寸法決めされた、カニューレ挿入用のシャフトと、
(iii)モップ部であって、前記モップ部は、前記カニューレ挿入用のシャフトと流体連通し、前記液状物質を塗布するように作動可能である、モップ部と、
を含む、
アプリケータを準備するステップと、
(b)前記アプリケータの遠位部分を患者体内に経皮的に挿入するステップと、
(c)前記カプセルを破壊して前記液状物質を放出させるステップと、
(d)組織近傍に前記モップ部を位置付けるステップと、
(e)前記カニューレ挿入用のシャフトを通して前記液状物質を前記モップ部に連通させるステップと、
(f)前記モップ部を用いて、前記近傍の組織に前記液状物質を塗布するステップと、
を含む、方法。
(16)実施態様(15)記載の方法において、
前記アプリケータの前記遠位部分を、トロカールを通して挿入する、方法。
(17)実施態様(15)記載の方法において、
前記カプセルを破壊する行為は、前記球形部を圧搾するステップを含む、方法。
(18)実施態様(15)記載の方法において、
前記カニューレ挿入用のシャフトを通して前記液状物質を前記モップ部に連通させる行為は、少なくとも部分的に前記弁を開くステップを含む、方法。
(19)実施態様(15)記載の方法において、
前記液状物質は、接着剤である、方法。
【0023】
(20)液状物質を塗布するための装置において、
該方法が、
(a)液状接着剤を保持するための手段と、
(b)最小限の侵襲性を有する手術設定で、組織に前記液状接着剤を経皮的に塗布するための手段と、
(c)前記液状接着剤を保持するための手段から、前記前記液状接着剤を経皮的に塗布するための手段へ、前記液状接着剤を連通させるための手段と、
(d)前記液状接着剤を連通させるための手段を介して、前記液状接着剤を連通させるための圧力を供給するための手段と、
を含む、装置。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】接着剤送達システムの一例を示す斜視図である。
【図2】図1の接着剤送達システムを示す分解斜視図である。
【図3】図1の接着剤送達システムを示す断面図である。
【図4】図1の接着剤送達システムを図3の4−4線に沿って切断して示す断面図である。
【図5】他の接着剤送達システムの近位端を示す断面図である。
【図6】他の接着剤送達システムの近位端を示す断面図である。
【図7】他の接着剤送達システムの近位端を示す断面図である。
【図8】図1の接着剤送達システムの遠位端を示す断面図である。
【図9】一つの使用例としての図1の接着剤送達システムの遠位端を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状物質を塗布するための装置において、
前記装置が、
(a)収容部であって、該収容部が、
(i)液状物質を含むカプセル、および、
(ii)球形部を通して媒体の流れを制御するように作動可能である弁、
を含み、
前記カプセルから前記液状物質を放出させるために前記カプセルを破壊するように作動可能である、
収容部と、
(b)前記収容部と流体連通するカニューレ挿入用のシャフトであって、患者に対して経皮的に延在するように寸法決めされた、カニューレ挿入用のシャフトと、
(c)モップ部であって、前記カニューレ挿入用のシャフトと流体連通し、前記液状物質を塗布するように作動可能である、モップ部と、
を含む、装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
トロカールをさらに含み、
前記カニューレ挿入用のシャフトは、前記トロカール内に配設されている、装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
カニューレ部材をさらに含み、
前記カニューレ部材は、前記トロカール内に配設されており、
前記カニューレ挿入用のシャフトは、前記カニューレ部材内に配設されている、装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、
前記カプセルは、該カプセルを容易に破壊できるように構成された応力集中部をさらに含む、装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、
前記収容部は、前記カプセルを容易に破壊できる穿刺部材をさらに含む、装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、
前記液状物質は、接着剤を含む、装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置において、
前記接着剤は、組織接着用の接着剤である、装置。
【請求項8】
請求項1記載の装置において、
前記弁は、カモノハシの嘴形状の弁を含む、装置。
【請求項9】
請求項1記載の装置において、
前記弁と連通する加圧媒体供給源をさらに含む、装置。
【請求項10】
請求項9記載の装置において、
前記加圧媒体供給源は、カートリッジを含む、装置。
【請求項11】
液状物質を塗布するための装置において、
該方法が、
(a)液状接着剤を保持するための手段と、
(b)最小限の侵襲性を有する手術設定で、組織に前記液状接着剤を経皮的に塗布するための手段と、
(c)前記液状接着剤を保持するための手段から、前記前記液状接着剤を経皮的に塗布するための手段へ、前記液状接着剤を連通させるための手段と、
(d)前記液状接着剤を連通させるための手段を介して、前記液状接着剤を連通させるための圧力を供給するための手段と、
を含む、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−132314(P2008−132314A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−272943(P2007−272943)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】