説明

接着剤層を有する画像表示装置用ユニット及び該ユニットを用いた画像表示装置

【課題】 耐久性の高い画像表示装置用ユニットを提供する。
【解決手段】 本発明は、光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとが接着剤層を介して積層された画像表示装置用ユニットを提供する。光学フィルム積層体は、偏光子と、偏光子の一方の面のみに積層された偏光子保護機能層とを含む。接着剤層は、偏光子の偏光子保護機能層が接する面とは反対側の面に積層されている。画像表示装置用パネルは、接着剤層の偏光子が接する面とは反対側の面に積層されている。接着剤層は、ガラス転移温度が50℃以上90℃以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤層を有する画像表示装置に関する。具体的には、エネルギー硬化型接着剤組成物を硬化させた接着剤層を介して光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとを積層させた、高い耐久性を有する画像表示装置用ユニット、及び、該ユニットを用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」という。)を延伸して生産される偏光子は、延伸方向に割れたり裂けたりしやすい。そのため、偏光子は、一般的には、それ単体ではなく、偏光子を保護して耐久性を向上させるための偏光子保護機能層が両面に形成された光学フィルム積層体の形で用いられる。偏光子保護機能層としては、通常、トリアセチルセルロース(TAC)などの透明な保護フィルムが用いられる。保護フィルムに紫外線吸収機能を有する層やハードコート層などを積層することによって、さらに耐久性を向上させた光学フィルム積層体が用いられる場合もある。近年では、光学補償用の位相差フィルムが偏光子保護機能層として用いられることもある。
【0003】
画像表示装置に用いられる画像表示装置用ユニットは、一般に、こうした光学フィルム積層体を、粘着剤の層を介して画像表示装置用パネルの基板に貼り合わせたものである。画像表示装置用パネルと光学フィルム積層体とを貼り合わせる際に用いられる粘着剤は、以下のような性質を持つものと定義することができる。
・高粘度で低弾性率の半固体状物質であり、圧力を加えることによって被着体と結合する
・結合後においても被着体から剥離することが可能である
・粘着剤の状態は結合の過程で変化しない
こうした性質を有する粘着剤は、広義の接着剤の一種であり、2つの被着体の間に介在して圧力を加えられることによって接着力を発現するため、感圧型接着剤とも呼ばれる。本明細書において粘着剤というときは、こうした感圧型接着剤を意味する。
【0004】
ところで、上述のように、従来の光学フィルム積層体は、偏光子とその両面に偏光子保護機能層とを含むものが一般的であるが、この偏光子保護機能層を片面のみにすることができれば、光学フィルム積層体の薄層化が可能になる。こうした片保護光学フィルム積層体を画像表示装置の製造に用いることは、光学フィルム積層体の薄層化によって材料の削減、価格の低下が可能になるため、画像表示装置の大型化及び薄型化が進む現在では、環境面及びコスト面で極めて有利である。
【0005】
しかし、親水性のPVA系樹脂を延伸して生成された偏光子は、吸湿性が高く、温度や湿度の変化によって伸縮を生じやすい。そのため、片保護光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとを粘着剤を用いて貼り合わせた場合には、加熱、加湿又は急激な温度変化による光学フィルム積層体の寸法変化が生じ、それによって、光学フィルム積層体のクラック(割れ)や、光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとの剥離が発生する可能性がある。そのため、粘着剤を用いる現在の画像表示装置製造技術においては、偏光子の片面にのみ保護機能層が積層された片保護光学フィルム積層体は、実用化が困難となっている。
【0006】
片保護光学フィルム積層体にクラックが発生することを防ぐ技術として、保護機能層が積層されていない偏光子の面にコーティング層を形成する技術が提案されている(例えば、特許第4306269号公報(特許文献1))。しかし、こうした光学フィルム積層体は、偏光子が、保護機能層の厚みと比較して極めて薄いコーティング層で保護されているのみであるため、モバイル用途の小さなサイズの画像表示装置に用いることは可能であっても、近年要求されている大きなサイズの画像表示装置に用いる場合には、必要なクラック耐性が得られない。
【0007】
粘着剤を用いて画像表示装置用パネルと光学フィルム積層体とを貼り合わせる技術における欠点は、粘着剤に代えて接着剤を用いて画像表示装置用パネルと光学フィルム積層体とを貼り合わせることによって解決可能であると考えられており、そのための技術の提案も行われている。このような技術として、例えば、特開平2010−286764号公報(特許文献2)が挙げられる。
【0008】
特許文献2に記載の技術は、液晶パネル基板と、片側にのみ透明保護層が積層された偏光フィルムとを、エポキシ系化合物を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる接着剤層を介して積層させた光学積層体に関するものである。特許文献2によれば、偏光フィルムと液晶パネルとを接着剤を介して積層した光学積層体は、薄型軽量性及び耐久性能に優れるとされている。しかし、本発明者らが行った追試によると、特許文献2に記載の光学積層体は、サイズが大きい場合には偏光フィルムの端部が液晶パネルから剥離することを確認している。また、こうした光学積層体においては、エポキシ系の接着剤を硬化させるために、光又は熱などによって酸を発生する機能を持つ酸発生剤が使用される。そのため、透明保護層が設けられていない偏光子の面に接着剤層が直接接触して、酸の影響により偏光子の光学特性が劣化するという問題がある。さらに、エポキシ系の接着剤を用いた光学積層体は、一般に、光照射後に数十分程度の加熱工程(ポストキュア)が必要であるため、生産性が低いという問題もある。
【0009】
なお、本明細書においては、接着剤は、上述の粘着剤とは区別して用いられ、以下のような性質を持つ物質と定義することができる。
・当初は流動性のある低粘度の液体であり、被着体に塗布されたときに被着体に十分に濡れることによって接触面積を大きくし、光の照射や加熱によって硬化することにより被着体と結合する
・光の照射量や加熱量の増加によって粘着状態を経て硬化に至る
・結合後においては被着体や接着剤層の凝集破壊を生じることなく両者を剥離することが不可能である
・接着剤の状態は結合の過程で不可逆的に変化する(液体から固体に変化する)
こうした性質を有する接着剤は、光や熱などのエネルギーを与えることによって硬化することにより接着力を発現するエネルギー硬化型接着剤であり、与えられるエネルギーの種類に応じて、例えば紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤などと呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4306269号公報
【特許文献2】特開2010−286764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、家庭用テレビに用いられるような画像表示装置は、大型化、薄型化、軽量化が要求され、一方で低価格化が進んでいる。そのため、こうした画像表示装置に用いられる光学フィルム積層体は、片側にのみ偏光子保護機能層が積層された構成とすることが求められている。しかし、こうした光学フィルム積層体は、従来の技術では偏光子のクラック耐性の向上が困難である。
【0012】
また、画像表示装置の画面の大型化に伴って、画面の非表示領域の狭小化も求められている。そのため、非表示領域が狭くなるにつれて、表示領域の周縁部における光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとの僅かな剥離でさえも、画像表示装置の表示特性の低下につながるおそれがある。
【0013】
さらに、片側のみに偏光子保護機能層が積層された光学フィルム積層体は、偏光子が加熱や加湿などによって収縮、膨張する動きを片側の偏光子保護機能層で抑制することになるため、偏光子の両側に偏光子保護機能層が積層された光学フィルム積層体に比べて寸法変化が大きい。このため、画面の非表示領域の狭小化が求められている画像表示装置においては、光学フィルム積層体が表示領域以下まで収縮し、表示できない部分が発生する恐れがある。
【0014】
したがって、本発明は、片側にのみ偏光子保護機能層が積層された大きなサイズの光学フィルム積層体を用いた場合に、通常の使用環境下における変化はもとより、ヒートショック試験下においても、偏光子のクラック耐性が高く、光学フィルム積層体の周縁部における剥離の発生や光学フィルム積層体の収縮による非表示領域の発生をも防止することができる、画像表示装置用ユニット、及び、該ユニットを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、ヒートショック試験下における耐久性だけではなく、加湿剥離試験下においても、光学フィルム積層体の周縁部における剥離の発生を防止することができる、画像表示装置用ユニット、及び、該ユニットを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとを、粘着剤ではなく、硬化後のガラス転移温度が所定の範囲内にある接着剤層を介して貼り合わせることによって、上記の課題を解決することができるという知見に基づいて、本発明を完成させた。
【0016】
第1の態様においては、本発明は、光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとが接着剤層を介して積層された画像表示装置用ユニットを提供する。光学フィルム積層体は、偏光子と、偏光子の一方の面側のみに積層された偏光子保護機能層とを含む。接着剤層は、偏光子の偏光子保護機能層が接する面とは反対側の面側に積層されている。画像表示装置用パネルは、接着剤層の偏光子が接する面とは反対側の面側に積層されている。接着剤層は、ガラス転移温度が50℃〜90℃である。
【0017】
第2の態様においては、本発明は、光学フィルム積層体に表面処理層が積層され、さらに接着剤層を介して光学機能フィルムと画像表示装置用パネルとが積層された、画像表示装置用ユニットを提供する。光学フィルム積層体は、偏光子と、偏光子の一方の面側のみに積層された偏光子保護機能層とを含む。表面処理層は、偏光子の他方の面側、すなわち偏光子保護機能層が接する面とは反対側の面側に積層されている。接着剤層は、偏光子保護機能層の偏光子が接する面とは反対側の面側に積層されている。画像表示装置用パネルは、接着剤層の偏光子保護機能層が接する面とは反対側の面側に積層されている。接着剤層は、ガラス転移温度が50℃〜90℃である。この態様において、偏光子保護機能層は、位相差フィルムからなる層とすることもできる。
【0018】
本発明の一実施形態においては、接着剤層は、アクリル系化合物を含むエネルギー硬化型接着剤組成物をエネルギーの付与によって硬化させることにより形成された層であることが好ましい。
【0019】
本発明の一実施形態においては、画像表示装置用ユニットに用いられる光学フィルム積層体は、80℃の温度で240時間加熱したときの寸法変化率が0.02%以下であることが好ましい。
【0020】
本発明の一実施形態においては、光学フィルム積層体の面積は700cm以上であることが好ましい。
【0021】
本発明の一実施形態においては、偏光子保護機能層はトリアセチルセルロースフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、フィルム状ガラス等からなる層とすることができる。
【0022】
偏光子保護機能層がトリアセチルセルロースフィルムからなる層である場合には、光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとを貼り合わせている接着剤層は、温度60℃、湿度90%の環境下に24時間保持した後の吸水量が0.15g/g以下であることが好ましく、温度60℃、湿度90%におけるヤング率が1×10Pa以下であることが好ましい。
【0023】
第3の態様においては、本発明は、特許請求の範囲における請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の画像表示装置用ユニットを用いたことを特徴とする画像表示装置を提供する。
【0024】
本発明によれば、硬化後のガラス転移温度が所定の範囲内にある接着剤層を介して光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとを貼り合わせることによって、耐久性の向上と表示特性の劣化抑制とが両立した、軽量かつ薄型の大型画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の1つの実施形態による画像表示装置用ユニットを示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態による画像表示装置用ユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体的に説明する。
[光学フィルム積層体]
本発明に係る画像表示装置用ユニット及び画像表示装置に用いられる光学フィルム積層体は、片方のみに保護機能層を有するものである。図1は、本発明の一実施形態に係る光学フィルム積層体10を含む画像表示装置用ユニット1を示す断面図である。画像表示装置用ユニット1は、例えば液晶表示パネル又は有機EL表示パネルとすることができる画像表示装置用パネル30の一方の面に、光学的に透明な接着剤層20を介して光学フィルム積層体10が積層されたものである。光学フィルム積層体10は、偏光子12と偏光子保護機能層14とを含む。光学フィルム積層体10は、偏光子12の偏光子保護機能層14が接する面とは反対側の面が、接着剤層20を介して画像表示装置用パネル30に積層されている。画像表示装置は、この画像表示装置用ユニット1に、必要に応じてさらに光学フィルム積層体、他の光学機能フィルム、保護用フィルム、バックライトユニットなどの各種構成部材を設けて形成することができる。
【0027】
偏光子12は、当業者に周知の偏光子を用いることができる。偏光子12は、一般に、PVA系樹脂に二色性物質による染色処理と延伸処理とを施すことによって製造される。製造方法は、当業者に周知の方法を用いることができる。偏光子12の厚みは、通常、20μm〜30μmである。
【0028】
偏光子12を保護するための偏光子保護機能層14としては、一般に、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂からなるフィルムが用いられる。このような熱可塑性樹脂の例としては、当業者に周知のように、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。また、偏光子保護機能層14として、プラスチックフィルムのようにロール状に曲げることが可能なフィルム状ガラスを用いることもできる。フィルム状ガラスは、薄すぎるとハンドリングが難しくなり、厚すぎると曲げにくくなるため、好ましくは、約30μm〜約120μmの厚みのものが用いられる。一般に、偏光子保護機能層14として、40μm〜80μm程度の厚みの透明なTACフィルムが用いられることが多い。
【0029】
偏光子12と偏光子保護機能層14とを貼り合わせる接着剤としては、当業者に周知の材料、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドなどのポリマーをベースポリマーとするものを、適宜に選択して用いることができる。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態に係る光学フィルム積層体50を含む画像表示装置用ユニット2を示す断面図である。画像表示装置用ユニット2は、例えば液晶表示パネル又は有機EL表示パネルとすることができる画像表示装置用パネル80の一方の面に、光学的に透明な接着剤層70を介して光学フィルム積層体50が積層されたものである。光学フィルム積層体50は、偏光子52と偏光子保護機能層54とを含む。光学フィルム積層体50は、偏光子保護機能層54の偏光子52が接する面とは反対側の面が、接着剤層70を介して画像表示装置用パネル80と積層されている。偏光子52の偏光子保護機能層54が接する面とは反対側の面には、偏光子52を保護するための表面処理層60が積層されている。画像表示装置は、この画像表示装置用ユニット2に、必要に応じてさらに光学フィルム積層体、他の光学機能フィルム、保護用フィルム、バックライトユニットなどの各種構成部材を設けて形成することができる。
【0031】
この実施形態においては、偏光子保護機能層54として、偏光子保護機能層14と同様の熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いることができる。しかし、偏光子保護機能層54として、光学補償機能を有する位相差フィルムを用いてもよい。こうした位相差フィルムとして用いられる材料は、当業者に周知であり、シクロオレフィン系樹脂やTAC系樹脂などの材料からなるフィルムを用いることができる。
【0032】
この実施形態における画像表示装置用ユニット2は、偏光子52の視認側、すなわち、偏光子52の偏光子保護機能層54が接する面とは反対側の面に、表面処理層60を備える。表面処理層60は、ハードコート層、反射防止層、帯電防止層などとすることができ、これらの層を実現するための技術は、当業者に周知である。表面処理層60の厚みは、通常、1μm〜10μmである。
【0033】
(寸法変化率)
本発明においては、光学フィルム積層体10又は50は、寸法変化率が所定の範囲にあることが好ましい。一実施形態においては、光学フィルム積層体10又は50は、25℃のときにおける光学フィルム積層体の寸法と80℃の温度で240時間加熱した後の寸法との間の変化率(寸法変化率という)が、0.02%より小さいことが好ましい。光学フィルム積層体10又は50におけるこの特性は、ガラス転移温度が50℃〜90℃の接着剤層20又は70を用いることによって達成することができる。寸法変化率が0.02%より大きい光学フィルム積層体10又は50を用いた場合には、画像表示装置用ユニット1又は2は、耐久性試験にさらされたときに、接着剤層20が光学フィルム積層体10又は50の収縮及び膨張を抑制することができず、偏光子12又は52にクラックが発生する。また、寸法変化が大きい場合には、光学フィルム積層体10又は50は、特に大きなサイズの画像表示装置用ユニットに使用したときに、収縮して視認領域より小さくなる場合がある。この問題に対応するために光学フィルム積層体10又は50をあらかじめ大きくしておくことも可能であるが、このような対策では、画像表示装置用ユニットの非表示領域(いわゆる額縁)を広くとる必要があるため、生産性の低下やデザイン性への悪影響がある。
【0034】
[画像表示装置用パネル]
画像表示装置用ユニット1又は2における画像表示装置用パネル30又は80は、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、又はプラズマ表示パネルなどの画像表示装置用パネルとすることができる。接着剤層を介して光学フィルム積層体10又は50が積層される面は、画像表示装置用パネルのガラス若しくはプラスチックの基板又は前面保護板である。これらの光学フィルム積層体は、画像表示装置において画像表示、反射防止、色相調整などの機能を発揮させるために用いられる。
【0035】
本発明に係る画像表示装置用ユニット1又は2は、特に限定されるものではないが、サイズの大きいもの、すなわち、面積が700cm以上であることが好ましい。従来の画像表示装置においては、光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとを貼り合わせるために粘着剤が用いられてきた。既に述べたように、粘着剤を用いて、光学フィルム積層体10又は50のような片保護の光学フィルム積層体を画像表示装置用パネルに積層する場合の問題の一部は、特許文献2に記載の技術によって解決される。しかしながら、特許文献2に記載の技術には、サイズが大きい場合には、高温状態に一定時間置くことと低温状態に一定時間おくこととを複数回繰り返す耐久性試験(ヒートショック試験ともいう)にさらされたときに、光学フィルムの端部が液晶表示パネルから浮き上がるという問題がある。本発明に係る画像表示装置用ユニットにおいては、面積が700cm以上の場合であっても、こうした問題が生じない。
【0036】
[接着剤層]
本発明に係る画像表示装置ユニット1又は2において、光学フィルム積層体10又は50と画像表示装置用パネル30又は80とを貼り合わせるための接着剤層20又は70は、アクリル系化合物を含むエネルギー硬化型接着剤組成物を、可視光線、紫外線、X線、若しくは電子線などのエネルギー線の照射、又は加熱などによって硬化させたものである。
【0037】
(ガラス転移温度)
接着剤層20又は70は、ガラス転移温度が50℃〜90℃の範囲にあるものが用いられる。ガラス転移温度がこの範囲内にある接着剤層20又は70を介して光学フィルム積層体10又は50と画像表示装置用パネル30又は80とを積層することによって、偏光子(又は、光学フィルム積層体全体)の収縮は、偏光子保護機能層14又は54のみではなく、光学フィルム積層体と比較して弾性率がはるかに大きく厚い画像表示装置用パネル30又は80の基板によっても抑制される。したがって、こうした画像表示装置用ユニット1又は2は、通常の環境変化はもとより、耐久性試験(ヒートショック試験)にさらされることによって偏光子12又は52が膨張及び収縮を繰り返したときであっても、偏光子12又は52にはクラックが発生しない。本発明の一実施形態においては、耐久性の評価に用いられるヒートショック試験は、画像表示装置用ユニット1又は2が−40℃の温度環境に30分間保持される工程と85℃の温度環境に30分間保持される工程とが300回繰り返される試験である。
【0038】
接着剤層20又は70のガラス転移温度が50℃より低い場合には、画像表示装置用ユニット1又は2が耐久性試験にさらされたときに、偏光子12又は52の収縮及び膨張によって接着剤層20が変形するため、結果として偏光子12又は52の収縮及び膨張を抑制できず、偏光子12又は52にクラックが発生する。
【0039】
一方、接着剤層20又は70のガラス転移温度が90℃より高い場合には、画像表示装置用ユニット1又は2が耐久性試験にさらされたときに、接着剤層20又は70によって光学フィルム積層体10又は50の寸法変化が止められる。その結果、接着剤層20又は70と光学フィルム積層体10又は50との界面に応力が集中し、その応力が界面接着力より大きくなり、接着剤層20又は70と光学フィルム積層体10又は50とが剥離することがある。このことは、接着剤層20又は70と光学フィルム積層体10又は50との剥離を抑制するには、接着剤層20又は70のガラス転移温度と、接着剤層20又は70と光学フィルム積層体10又は50との界面接着力とのバランスを考慮することが重要であることを意味している。
【0040】
(吸水量及びヤング率)
ところで、図1又は図2に示されるような画像表示装置用ユニットは、特に面積が700cm以上の大型の光学フィルム積層体を用い、偏光子保護機能層として吸湿性及び/又は透湿性の高い材料を用いたものにおいては、耐久性試験(ヒートショック試験)にさらされた場合に、通常の使用環境下における環境変化にさらされた場合より、画像表示装置用パネルと光学フィルム積層体との剥離の問題がより顕著になることがある。耐久性試験においては、温度を高温(85℃)から低温(−40℃)に下げる過程で、通常、光学フィルム積層体の表面に結露が発生する。結露が発生した状態で温度が低温になると、結露した水分が凝固し、次に温度が高温になるときに水分が蒸発する。偏光子自身は、湿度に敏感な材料からなるものであり、偏光子保護機能層も、例えばTAC系樹脂からなるフィルムの場合には、吸湿性及び透湿性が高い。したがって、特に面積が700cm以上の大型の光学フィルム積層体を用いた画像表示装置用ユニットの耐久性試験においては、加湿環境にさらされることになるため、光学フィルム積層体の寸法変化は通常の使用環境下より大きくなり、この結果、剥離が発生することがあるものと考えられる。
【0041】
本発明者らは、加湿環境下におけるこうした剥離を効果的に抑制するためには、接着剤層が水分を吸収しにくいこと、又は、接着剤層自体がある程度変形することによって応力が緩和されること、の2つが重要であることを見出した。
【0042】
本発明においては、接着剤層20又は70は、吸水量が所定の範囲にあることが好ましい。一実施形態においては、接着剤層20又は70は、温度60℃、湿度90%の環境下に24時間保持された後の吸水量が0.15g/g以下であることが好ましい。温度60℃、湿度90%の環境下に24時間保持された後の吸水量が0.15g/gより大きい接着剤層20又は70を用いた場合には、画像表示装置用ユニット1又は2は、ガラス転移温度が50℃〜90℃であっても、温度60℃、湿度90%の環境下に500時間保持されたときに光学フィルム積層体の端部において剥離が生じることがある。
【0043】
本発明においては、接着剤層20又は70は、ヤング率が所定の範囲内にあることが好ましい。一実施形態においては、接着剤層20又は70は、温度60℃、湿度90%の環境下におけるヤング率が1×10Pa以下であることが好ましい。温度60℃、湿度90%の環境下におけるヤング率が1×10Paより大きい接着剤層20又は70を用いた場合には、画像表示装置用ユニット1又は2は、ガラス転移温度が50℃〜90℃であっても、温度60℃、湿度90%の環境下に500時間保持されたときに光学フィルム積層体の端部において剥離が生じることがある。
【0044】
(接着剤組成物)
以上のように、本発明に係る画像表示装置用ユニット1又は2に用いられる接着剤層20又は70は、ガラス転移温度が所定の範囲にあるものである。また、偏光子保護機能層として吸湿性及び/又は透湿性が高い材料を用いた場合には、接着剤層20又は70は、さらに吸水率及びヤング率が所定の範囲内にあるものである。以下に、こうした接着剤層20又は70を得るための接着剤組成物について説明する。本発明においては、接着剤層20又は70は、アクリル系化合物を含むエネルギー硬化型接着剤組成物に、可視光線、紫外線、X線、若しくは電子線などのエネルギー線を照射するか、又は加熱することなどにより硬化させることによって、得られる。
【0045】
<アクリル系化合物>
接着剤組成物に含まれるアクリル系化合物として、重合性(メタ)アクリル系モノマーを用いることができる。重合性(メタ)アクリル系モノマーは、偏光子との接着性、及び、画像表示装置用パネルのガラス若しくはプラスチックの基板又は全面保護板ガラスとの接着性を付与するために、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アミド基、複素環基、ラクトン環基、イソシアネート環基のうちの少なくとも1つを含んでいることが好ましい。重合性(メタ)アクリル系モノマーは、1つのアクリロイル基のみを含む単官能アクリロイル基含有モノマーを主成分とするものであることが好ましく、多官能のビニル基又はアクリロイル基を含むモノマーを副成分として含んでもよい。本発明における接着剤組成物は、これらのモノマーのうち、硬化して接着剤層となったときに接着剤層が所定の範囲のガラス転移温度を有するもの、又は、硬化して接着剤層となったときに接着剤層が所定の範囲のガラス転移温度を有するように上記のモノマーの2種以上を適宜混合したもの、が用いられる。
【0046】
2種以上のモノマーを混合して所定の範囲のガラス転移温度を有する接着剤組成物を生成するに当たっては、生成される組成物のガラス転移温度の目安として、以下の式を使用することが便利である(参考文献;T.G.FOX ; Bull.Am.Phys.Soc.,1,(3),123 (1956))。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
ここで、
Tg;2種以上のモノマーを混合して生成される接着剤組成物のガラス転移温度
Tg1、Tg2、・・・、Tgn;混合成分1、2、・・・、nのガラス転移温度
W1、W2、・・・、Wn;混合成分1、2、・・・、nの重量分率
【0047】
接着剤組成物に含まれるアクリル系化合物の具体例として、例えば以下のような物質を挙げることができる。ヒドロキシル基を有するアクリル系化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどがある。カルボキシル基を有するアクリル系化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などがある。シアノ基を有するアクリル系化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどがある。アミノ基を有するアクリル系化合物としては、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジイソプロピルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート(DEAA)などがある。アミド基を有するアクリル系化合物としては、例えば、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどがある。複素環基を有するアクリル系化合物としては、例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ペンタメチルピペリジニルメタクリレート、テトラメチルピペリジニルメタクリレートなどがある。ラクトン環基を有するアクリル系化合物としては、例えば、γ-ブチロラクトンアクリレートモノマー、γ-ブチロラクトンメタクリレートモノマーなどがある。イソシアネート基を有するアクリル系化合物としては、例えば、2−イソシアナトエチルアクリレートモノマー、2−イソシアナトエチルメタクリレートモノマーなどがある。
【0048】
<重合開始剤>
本発明に係る接着剤組成物の重合開始剤として、公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤は、エネルギーを吸収して活性種を生成することが可能な物質であり、モノマーの重合反応は、重合開始剤によって生成された活性種がモノマーの不飽和結合に付加することによって開始し、モノマーの活性種が接着剤の不飽和結合に付加することにより進行する。本発明においては、重合開始剤として光重合開始剤を用いることがより好ましい。光重合開始剤を用いることにより、光によって重合反応を生じさせることができるため、本発明において用いられる接着剤組成物の接着力及び状態の制御が容易になるとともに、貼り合わされる光学フィルム積層体及び画像表示装置用パネルの劣化や破壊を生じさせることがない。光重合開始剤として、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、カチオン系光重合開始剤を挙げることができる。紫外線を用いる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アントラキノン系光重合開始剤、キサントン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤といった各種の光重合開始剤を挙げることができる。
【0049】
光重合開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン系化合物、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどのα−ケトール系化合物、ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物、2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物、1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物などを挙げることができる。
【0050】
重合開始剤が活性種を生成するのに必要なエネルギーは、通常は、貼り合わされる光学フィルム積層体及び画像表示装置用パネルのいずれか一方を通して与えられる。したがって、接着剤組成物の成分として光重合開始剤が用いられる場合、利用可能な光重合開始剤は、その光吸収波長が、貼り合わされる光学フィルム積層体及び画像表示装置用パネルを透過する光の波長であることが好ましい。例えば、TACフィルムが偏光子保護機能層として用いられた光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとの貼り合わせの場合においては、照射された光がTACフィルムに含まれる光吸収剤によって吸収されないように、光学フィルム積層体を透過する光の波長である380nmより長い波長に吸収を持つ光重合開始剤を用いることが好ましい。
【0051】
本発明においては、接着剤組成物に与えるエネルギー源として、紫外線又は紫外線近傍の波長の電磁波を用いることが好ましい。可視光線を用いた場合には、周辺光の影響で重合反応が進む場合があり、反応の制御が難しくなること、重合開始剤の残渣による可視光の吸収が残り接着剤組成物が着色する可能性があることといった問題がある。赤外線を用いた場合には、熱によって重合反応が進み、反応の制御が難しくなるといった問題がある。
【0052】
本発明においては、光重合開始剤は、光によって反応した後において、可視光領域に吸収が無いか又は可視光領域の吸光度が低いことが好ましい。特に、例えば液晶表示装置においては、光重合開始剤は、視認時の色相に影響しないように、バックライトの輝線のピークである440nm付近、530nm付近、610nm付近の波長の光の吸収が無いか、又は吸光度が低いことが好ましい。
【0053】
<アクリル系化合物と重合開始剤との混合割合>
接着剤組成物におけるアクリル系化合物と重合開始剤との混合割合は、特に限定されるものではない。ただし、重合開始剤の割合が多すぎると、重合反応の進行が速すぎて反応の制御が難しくなる、接着剤組成物が着色する、重合開始剤の分散性が悪くなるといった問題が生じることがある。重合開始剤の割合が少なすぎると、重合反応に時間がかかり、接着剤組成物を用いて貼り合わせるプロセスの生産性が低下するため好ましくない。例えば、アクリル系化合物としてヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)を用い、重合開始剤としてアシルホスフォンオキサイド系光重合開始剤を用いた場合には、接着剤組成物は、接着剤組成物中におけるHEAA100部に対して、重合開始剤0.3〜3部を含有することが好ましい。
【0054】
<添加可能なその他の添加剤>
接着剤組成物には、アクリル系化合物及び重合開始剤の他に、以下に示されるように添加剤が含まれてもよい。例えば、接着剤組成物には、画像表示装置用パネルの基板と光学フィルム積層体との接着性を高めるために、各種のSiカップリング剤又は架橋剤を添加することができる。また、接着剤組成物には、暗反応を防止したり、可使時間を増大させたりするといった観点から、重合禁止剤を添加することもできる。さらに、接着剤組成物に、光学フィルム積層体の透過波長に合わせた光増感剤を添加することによって、光学フィルム積層体の透過波長と異なる光吸収波長の重合開始剤を用いた場合でも本発明の効果を達成することもできる。さらにまた、接着剤組成物には、導電性を付与するための導電性材料を添加したり、位相差を付与するための複屈折を有する微粒子を添加したり、表面のレベリング性を上げるための界面活性剤を添加したりすることもできる。さらにまた、接着剤組成物には、各種の硬化剤を添加することもできる。硬化剤としては、フェノール樹脂、各種イミダゾール系化合物及びその誘導体、ヒドラジド化合物、ジシアンジアミド、イソシアネート系化合物及びこれらをマイクロカプセル化したもの等が挙げられ、例えば、硬化剤としてフェノール樹脂が添加された場合は、さらに硬化促進剤としてトリフェニルフォスフィン等のリン系化合物等を併用することもできる。
【0055】
(接着剤層の厚み)
接着剤層20又は70の厚みは、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。接着剤層の厚みが20μmより厚い場合には、接着剤層の硬化による収縮力が大きくなることによって、特に大型の画像表示装置用ユニットの場合にはパネルに反りの力が加わるため、表示不良になる可能性がある。
【0056】
[画像表示装置の製造方法]
本発明に係る画像表示装置用ユニットの製造方法は、以下の工程を含むものとすることができる。まず、PVA系樹脂からなる偏光子12又は52と偏光子保護機能層14又は54とを積層して、偏光子の片面のみに偏光子保護機能層が積層された光学フィルム積層体10又は50を準備する。この光学フィルム積層体10又は50には、偏光子保護機能層とは反対側の面に、仮保護用フィルムを積層しておくことが好ましい。
【0057】
次いで、図1に示されるユニット1の場合には、偏光子12の偏光子保護機能層14が積層された面とは反対側の面に、アクリル系化合物を含む接着剤組成物の層が形成される。あるいは、剥離ライナー上にアクリル系化合物を含む接着剤組成物の層を形成して乾燥させた後、接着剤組成物の層を、偏光子12の偏光子保護機能層14が積層された面とは反対側の面に転写してもよい。図2に示されるユニット2の場合には、偏光子保護機能層54の偏光子52が積層された面とは反対側の面に、アクリル系化合物を含む接着剤組成物の層が形成される。あるいは、剥離ライナー上にアクリル系化合物を含む接着剤組成物の層を形成して乾燥させた後、接着剤組成物の層を、偏光子保護機能層54の偏光子52が積層された面とは反対側の面に転写してもよい。接着剤組成物の層の形成及び乾燥は、当業者に周知のいずれかの方法を適宜に用いることができる。また、剥離ライナーは、例えばポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースなどといった基材フィルムに剥離処理を施した、当業者に周知のいずれかのものを、適宜に用いることができる。
【0058】
図2に示されるユニット2の場合には、偏光子保護機能層とは反対側の面の仮保護用フィルムを剥離して、偏光子52の面にアクリル系化合物を含む層を塗工、乾燥し、この層にエネルギー線を照射して硬化することによって、表面処理層60を形成することができる。仮保護用フィルムが積層されていない場合には、偏光子52の面にアクリル系化合物を含む層を塗工、乾燥し、この層にエネルギー線を照射して硬化することによって、表面処理層60を形成することができる。別の方法として、剥離可能なフィルムの上にアクリル系化合物を含む層を塗工して乾燥し、この層を偏光子52の面に貼り合わせ、エネルギー線を照射してアクリル系化合物を含む層を硬化し、最後に剥離な可能なフィルムを剥離することによって、表面処理層60を形成することができる。この剥離可能なフィルムは、剥離せずに、製造工程中のキズ付き防止の表面保護フィルムとしても使用してもよい。
【0059】
次いで、図1及び図2のいずれの場合においても、接着剤組成物の層の光学フィルム積層体が積層された面とは反対側の面を、画像表示装置用パネル30又は80に積層する。この時点で、図1のユニット1の場合には、画像表示装置用パネル30、接着剤組成物の層、偏光子12、及び偏光子保護機能層14が、この順で積層された積層体が形成され、図2のユニット2の場合には、画像表示装置用パネル80、接着剤組成物の層、偏光子保護機能層54、偏光子52及び表面処理層60が、この順で積層された積層体が形成される。
【0060】
なお、これらの積層体を形成する方法として、上述のように接着剤組成物の層を光学フィルム積層体に形成してから、接着剤組成物の層に画像表示装置用パネルを積層する方法ではなく、接着剤組成物の層を画像表示装置用パネルに形成してから、接着剤組成物の層に光学フィルム積層体を積層する方法を採用してもよい。
【0061】
次いで、これらの積層体に対して可視光線、紫外線、X線、若しくは電子線などのエネルギー線を照射するか、又は、これらの積層体を加熱することによって、接着剤組成物の層を硬化させ、接着剤層20又は70を形成する。この工程によって、接着剤組成物の層が完全に硬化し、光学フィルム積層体10又は50と画像表示装置用パネル30又は80とが完全に接着される。
【実施例】
【0062】
[光学フィルム積層体の作成]
<偏光子の作成>
重合度2400、ケン化度99.9%、厚み75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレ製、VF−PS−N#7500)の片面を30℃の温水に60秒間浸漬して膨潤(膨潤浴)させ、2倍に延伸した。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=1/7)の濃度3.2%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した(染色浴)。次いで、ホウ酸3%、ヨウ化カリウム3%の水溶液中に20秒間浸漬し、3.6倍まで延伸させた(架橋浴)。次いで、60℃のホウ酸4%、ヨウ化カリウム5%の水溶液中で6.0倍まで延伸し(延伸浴)、ヨウ化カリウム3%の溶液中でヨウ素イオン含浸処理をした。最後に、60℃のオーブンで4分間乾燥を行い、偏光子を得た。
【0063】
<光学フィルム積層体の作成>
次に、得られた偏光子の一方の面に偏光子保護機能層となるトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム製、TD80UL)を貼り合わせて、光学フィルム積層体を得た(後述の実施例1〜5において用いられる光学フィルム積層体)。なお、この時点では、偏光子の他方の面に、剥離可能な仮保護用フィルムとしてPETフィルムを重ねた。偏光子とTACフィルムとを貼り合わせるための接着剤として、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂(平均重合度:1200、ケン化度98.5モル%、アセトアセチル化度:5モル%)100部に対し、メチロールメラニン20部を30℃の条件下に純水に溶解し、固形分濃度3.2%に調整した水溶液を調製したものを用いた。偏光子とTACフィルムとは、この接着剤を用い、30℃の温度条件下でロール機で貼り合わせた後、60℃で5分間乾燥させることによって行った。接着剤は、偏光子とTACの間にのみ使用した。光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとの貼り合せの際には、仮保護用PETフィルムは剥離されることになる。得られた光学フィルム積層体は、偏光子の厚みが22μm、TACフィルムの厚みが80μmであるため、全体の厚みが102μmであった。
【0064】
また、別の実施例として、得られた偏光子の一方の面に、偏光子保護機能層となる厚み100μmのフィルム状ガラスを貼り合わせて、光学フィルム積層体を得た(後述の実施例6において用いられる光学フィルム積層体)。なお、この時点では、偏光子の他方の面に、剥離可能な仮保護用フィルムとしてPETフィルムを重ねた。偏光子とフィルム状ガラスとを貼り合わせるための接着剤として、後述の実施例2で用いられる接着剤(接着剤組成物2)を用いた。この接着剤を用いて、偏光子とフィルム状ガラスとを30℃の温度条件下でロール機で貼り合わせた後、紫外線照射装置(アイグラフィックス製 UBX0801−01 出力8kW(高圧水銀ランプ))によって紫外線をフィルム状ガラス側から照射し、接着剤を硬化させた。照射条件は、波長365nm、照射強度30mW/cm、照射時間30秒間とした。接着剤は、偏光子とフィルム状ガラスとの間にのみ使用した。光学フィルム積層体と画像表示装置用パネルとの貼り合せの際には、仮保護用PETフィルムは剥離されることになる。得られた光学フィルム積層体は、偏光子の厚みが22μm、フィルム状ガラスの厚みが100μmであるため、全体の厚みが122μmであった。
【0065】
[アクリル系化合物を含む接着剤組成物]
アクリル系化合物を含むエネルギー硬化型接着剤組成物のモノマーとして、以下の材料を表1に示される割合(重量比)で混合した混合モノマーを用いた。各々の混合割合は、硬化後のガラス転移温度がそれぞれ異なるように決定した。
HEAA;2−ヒドロキシエチルアクリルアミドモノマー(興人製)
4−HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業製)
THFA:アクリル酸テトラヒドロフルフリルモノマー(東京化成工業製)
【表1】

【0066】
表1の割合で混合された混合モノマーの各々100部に光重合開始剤(BASF製イルガキュア819)0.5部を添加し、溶解速度を速めるために50℃で加熱しながら超音波をかけて溶解して、実施例1〜5及び比較例1〜4の接着剤組成物を調整した。各々の接着剤組成物には、さらに、ガラスとの密着性を上げるために、シランカップリング剤(信越シリコーン製、KBM5103)を、混合モノマー100部に対して0.5部添加した。
【0067】
[エポキシ系化合物を含む接着剤組成物]
比較例として用いるために、以下に示される各成分を混合して、エポキシ系化合物を含む接着剤組成物を調製した。この接着剤組成物は、接着剤組成物10(比較例5)とする。接着剤組成物10(比較例5)のガラス転移温度(Tg)は95℃であった。なお、接着剤組成物10(比較例5)は、特許文献2(特開2010−286764号公報)の製造例3に記載の接着剤組成物と同等のものと考えられる。

3,4−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート (ダイセル化学製、セロキサイド 2021P) 75部

ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成製、アロンオキセタンOXT−221) 25部

4,4’−ビス〔ジフェニルスルホニオ〕ジフェニルスルフィド ビスヘキサフルオロホスフェート系の光カチオン重合開始剤(ダイセル・サイテック製 UVACURE 1590) 5部

シリコーン系レベリング剤(東レ・ダウコーニング製、SH710) 0.2部

【0068】
[粘着剤]
比較例として用いるために、アクリル系粘着剤を準備した。この粘着剤のガラス転移温度(Tg)は−30℃であった。アクリル系粘着剤は、以下のとおり調製した。まず、ブチルアクリレート95重量部、アクリル酸3.0重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.10重量部、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.050重量部、及び酢酸エチル200重量部を、窒素導入管及び冷却管を備えた4つ口フラスコに投入し、充分に窒素置換した後、窒素気流下で撹拌しながら55℃で20時間重合反応を行い、重量平均分子量157万の高分子量のアクリル系ポリマーAの溶液を得た。次に上記アクリル系ポリマーAの溶液(固形分)100重量部に対して、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期:130.0℃)0.15重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.080重量部、架橋剤としてトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物からなるイソシアネート系架橋剤(コロネートL、日本ポリウレタン製)0.60重量部を均一に混合して、粘着剤組成物(比較例6)を調製した。上記粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ポリエステル社製、MRF38)に塗布し、150℃で2分間乾燥および過酸化物分解処理を行った
【0069】
[光学フィルム積層体とガラスとの貼り合せ]
・接着剤組成物1〜接着剤組成物9による貼り合わせ
TACフィルムを偏光子保護機能層とする光学フィルム積層体(実施例1〜5及び比較例1〜4において用いられる)を32cm×24cmのサイズにカットしたものを9枚作成し、フィルム状ガラスを偏光子保護機能層とする光学フィルム積層体(実施例6において用いられる)を同じサイズにカットしたものを1枚作成した。接着剤組成物1〜接着剤組成物9(実施例1〜6及び比較例1〜4)を10枚のガラスの各々にスポイトで滴下し、それぞれの光学フィルム積層体について仮保護用PETフィルムを剥離し、光学フィルム積層体のPETフィルムが剥離された面とガラスとをラミネータを用いてロール間で貼り合わせた。接着剤組成物の層の硬化後の厚みが10μmとなるように、ロール間ギャップを調整した。この積層体に対して、80℃の環境下で紫外線照射装置(アイグラフィックス製 UBX0801−01 出力8kW(高圧水銀ランプ))によって紫外線を光学フィルム積層体側から照射し、接着剤組成物を硬化させた。照射条件は、波長365nm、照射強度30mW/cm、照射時間3分間とした。
【0070】
・接着剤組成物10(比較例5)による貼り合わせ
上述の接着剤組成物1〜9による貼り合わせの場合における接着剤組成物をエポキシ系の接着剤組成物10(比較例5)に代えて、光学フィルム積層体とガラスとの積層体を形成した。この積層体に対して、80℃の環境下でフュージョンUVシステムズ・ジャパン社のDバルブによって紫外線を光学フィルム積層体側から照射し、接着剤組成物を硬化させた。紫外線の照射量は1500mJ/cmとした。
【0071】
・粘着剤
上述の接着剤組成物1〜9による貼り合わせの場合における接着剤組成物を粘着剤(比較例6)に代えて、光学フィルム積層体とガラスとの積層体を形成した。粘着剤層の厚みは、23μmであった。
【0072】
[接着剤層のガラス転移温度の測定]
接着剤組成物1〜10を硬化させた接着剤層のガラス転移温度Tgは、TAインスツルメンツ製固体粘弾性装置RSAIIIを用いて測定した。測定用サンプルは、接着剤組成物1〜10を易剥離処理したPETフィルムに挟み、80℃の環境下で紫外線照射装置(アイグラフィックス製 UBX0801−01 出力8kW(高圧水銀ランプ))によって紫外線を照射して接着剤組成物をフィルム状に硬化し、それを短冊状に切り出して作成した。なお、フィルム状にするために、接着剤を易剥離処理したPETフィルムに挟んで、80℃の環境下で高圧水銀ランプを使ってUV照射した。照射条件は、波長365nm、照射強度30mW/cm、照射時間3分間とした。測定条件は以下の通りである。
変形モード 引っ張り
周波数 1Hz
初期ひずみ 0.1%
温度 −40℃〜200℃
昇温速度10℃/min
【0073】
作成した測定用サンプルの貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”とを測定し、tanδ=E”/E’のピークトップをガラス転移温度Tgとした。一方、粘着剤については、ねじり応力を掛けた場合の貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”から同様にtanδを求め、ピークトップをガラス転移温度Tgとした。接着剤組成物1〜9(実施例1〜6及び比較例1〜4)及び接着剤組成物10(比較例5)の硬化後のガラス転移温度Tg、並びに粘着剤(比較例6)のガラス転移温度Tgは、表2に示す。
【0074】
[耐久性試験]
接着剤組成物1〜10を硬化させた接着剤層(実施例1〜6及び比較例1〜5)及び粘着剤(比較例6)を介して、光学フィルム積層体とガラスとを積層させた12の積層体について、耐久性試験を行い、偏光子におけるクラックの発生と、光学フィルム積層体とガラスとの剥離の状況とを確認した。耐久性はヒートショック試験によって確認した。ヒートショック試験は、それぞれの積層体を85℃の温度環境に30分間保持する工程と−40℃の温度環境に30分保持する工程とを1サイクルとし、これを300サイクル繰り返すことによって行った。結果を表2に示す。

【表2】

【0075】
耐久性試験の結果、実施例1〜実施例6の積層体については、クラックも剥離も発生しなかった。これらの積層体は、ガラス転移温度Tgが50℃〜90℃の範囲にある接着剤層を介して光学フィルム積層体とガラスとが貼り合わされたものである。ガラス転移温度Tgが90℃より大きい接着剤層を有する比較例1及び比較例4の積層体については、周縁部において光学フィルム積層体とガラスとの剥離が確認され、剥離している部分にはクラックが発生した。剥離していない部分にはクラックは発生しなかった。ガラス転移温度Tgが50℃より小さい接着剤層を有する比較例2及び比較例3の積層体については、周縁部における剥離は確認されなかったが、クラックが発生した。
【0076】
ガラス転移温度Tgが95℃の比較例5の積層体については、周縁部において光学フィルム積層体とガラスとの剥離が確認され、剥離している部分にはクラックが発生した。剥離していない部分にはクラックは発生しなかった。
【0077】
なお、実施例1〜6の積層体について、80℃の温度で240時間加熱したときにおける光学フィルム積層体の寸法変化率を調べたところ、すべて0.02%以下であった。
【0078】
[吸水量の測定]
ガラス転移温度Tgの測定の場合と同様の方法でそれぞれの接着剤組成物1〜9(実施例1〜6及び比較例1〜4)から測定用サンプルを作成し、それぞれの測定用サンプルについて重量を測定した。次に、それぞれの測定用サンプルを温度60℃、湿度90%の加湿環境下で24時間保持した後、重量を測定した。吸水量は、加湿環境下に置いた後の測定用サンプルの重量を加湿環境下に置く前の測定用サンプルの重量で割ることによって求めた。
【0079】
[ヤング率の測定]
ガラス転移温度Tgの測定の場合と同様の方法で接着剤組成物1〜9(実施例1〜6及び比較例1〜4)を硬化させ、厚み0.1mmのフィルム状の測定用サンプルを作成した。これらのサンプルを幅5mm、長さ40mmに切断して、温度60℃、湿度90%の加湿環境下で30分間、保持した。これらを、テンシロンを用いて引っ張り、100%伸び時の応力を変位量で割ることによってヤング率を求めた。
【0080】
[加湿剥離試験]
表3に、吸水量及びヤング率の測定結果と、加湿剥離試験の結果とを示す。表3の加湿剥離は、接着剤組成物1〜9を用いた積層体(実施例1〜6及び比較例1〜4)を温度60℃、湿度90%の加湿環境下で500時間保持した後における各々の積層体の状態を評価したものであり、その評価指標は、表3の下に示している。
【表3】

【0081】
硬化後のTgが50℃〜90℃以下、吸水量が接着剤1gにつき0.15g以下、ヤング率が1×10Pa以下の接着剤組成物4及び5を用いて作成した光学フィルム積層体とガラスとの実施例4及び実施例5の積層体は、温度60℃、湿度90%の加湿環境下で500時間、保持した場合であっても、剥離(加湿剥離)が発生しなかった。しかし、硬化後のTgが50℃〜90℃であっても、吸水量が0.15g/gより大きいか、又は、ヤング率が1×10Paより大きい接着剤組成物1〜3を用いて作成した実施例1〜実施例3の積層体では、温度60℃、湿度90%の加湿環境下で500時間、保持した場合に、周縁部おいてわずかに剥離が発生していた(ただし、実施例2及び3は、加湿耐久性試験も要求される画像表示装置用ユニットとしても使用可能なレベルであった)。これは、接着剤層のヤング率が高いと加湿環境における光学フィルム積層体の寸法変化に対して応力解放できないこと、接着剤層の吸水量が大きいと加湿環境において接着剤層が水を吸収して接着力が低下することが要因と考えられる。実施例6の積層体は、吸水量が接着剤1gにつき0.15gより大きく、ヤング率が1×10Paより大きい接着剤組成物2を用いて作成したものであるにもかかわらず、剥離が発生しないという結果となったが、これは、フィルム状ガラスが水を通さず、またほぼ寸法変化を生じないためである。
【符号の説明】
【0082】
1、2 画像表示装置用ユニット
10、50 光学フィルム積層体
12、52 偏光子
14、54 偏光子保護機能層
20、70 接着剤層
30、80 画像表示装置用パネル
60 表面処理層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と該偏光子の一方の面側のみに積層された偏光子保護機能層とを含む光学フィルム積層体と、前記偏光子の他方の面側に積層された接着剤層と、該接着剤層の前記偏光子が接する面とは反対側の面側に積層された画像表示装置用パネルとを含み、前記接着剤層のガラス転移温度が50℃〜90℃であることを特徴とする、画像表示装置用ユニット。
【請求項2】
偏光子と該偏光子の一方の面側のみに積層された偏光子保護機能層とを含む光学フィルム積層体と、前記偏光子の他方の面側に積層された表面処理層と、前記偏光子保護機能層の前記偏光子が接する面とは反対側の面側に積層された接着剤層と、該接着剤層の前記偏光子保護機能層が接する面とは反対側の面側に積層された画像表示装置用パネルとを含み、前記接着剤層のガラス転移温度が50℃〜90℃であることを特徴とする、画像表示装置用ユニット。
【請求項3】
前記偏光子保護機能層は、位相差フィルムからなる層であることを特徴とする、請求項2に記載の画像表示装置用ユニット。
【請求項4】
前記接着剤層は、アクリル系化合物を含むエネルギー硬化型接着剤組成物にエネルギーを付与することによって硬化させて形成された層であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかの請求項に記載の画像表示装置用ユニット。
【請求項5】
80℃の温度で240時間加熱したときに前記光学フィルム積層体の寸法変化率が0.02%以下であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかの請求項に記載の画像表示装置用ユニット。
【請求項6】
前記光学フィルム積層体の面積は、700cm以上であることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれかの請求項に記載の画像表示装置用ユニット。
【請求項7】
前記偏光子保護機能層は、トリアセチルセルロースフィルムからなる層であることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかの請求項に記載の画像表示装置用ユニット。
【請求項8】
温度60℃、湿度90%の環境下に24時間保持した後の前記接着剤層の吸水量が、0.15g/g以下であることを特徴とする、請求項7に記載の画像表示装置用ユニット。
【請求項9】
前記接着剤層の温度60℃、湿度90%におけるヤング率が、1×10Pa以下であることを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の画像表示装置用ユニット。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の画像表示装置用ユニットを用いたことを特徴とする画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−77006(P2013−77006A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−203168(P2012−203168)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】