説明

接続構造、およびバンプの形成方法等

【課題】接続信頼性を確保できる基板−電子部品間の接続構造を提供することにある。
【解決手段】セラミックス配線板10に設けられた基板側パッド14とLSIパッケージ20に設けられたバンプパッド21とが、導電性材料の粒子を含む異方性導電ペーストにより形成されたバンプ15により接続されている。このような構成によれば、半田バンプと比べて柔らかい異方性導電ペーストが使用されているため、バンプ15と基板側パッド14との界面にかかる応力が緩和される。このため、表面凹凸や反りが大きく、バンプ15と基板側パッド14との接続部分にストレスが比較的発生しやすいセラミックス配線板10を用いた場合であっても、接続信頼性を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に設けられた接続端子と電子部品に設けられた接続部とを異方性導電ペーストにより形成されたバンプにより電気的に接続する接続構造、異方性導電ペーストによるバンプの形成方法、および異方性導電ペーストにより形成されたバンプによって基板と電子部品とを接合する部品搭載基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、LSIチップを基板に実装する技術としては、半田ボールを介してLSIチップ側の接続端子と基板側の接続端子とを接続することが最も一般的である。しかし、半田は硬い材料であるため、表面の凹凸の大きな基板、接続端子の位置精度が悪い基板、セラミック基板等の硬い基板に対して上記の技術を適用した場合には、接続部に応力集中による歪みが生じるおそれがある。また、長期的には残留応力により、半田にストレスクラックが生じることが懸念される。
【0003】
このような問題を解決するため、低コストで応力緩和を実現できる技術として、異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film:ACF)を用いた接続構造が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。この異方性導電フィルムは導電性材料の粒子を樹脂材からなるバインダに分散してフィルム状としたもので、一定の荷重を加えて圧縮することにより導電性材料の粒子同士が接触して圧縮方向への導電性を示すようになる。このような異方性導電性フィルムを用いた接続構造では、柔らかい材料である樹脂材が応力を緩和するため、従来のように接続部が半田のみで構成されている場合に比べるとクラックが生じにくい。
【特許文献1】特開2002−43363公報
【特許文献2】特開2002−261416公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題及び発明の効果】
【0004】
ところで、異方性導電フィルムを用いた接続構造では、隣り合う端子の中間領域にも導電性粒子が存在することとなる。この中間領域に存在する導電性粒子は、端子間の導通に寄与しないばかりか、何らかの原因でこの中間領域に加圧力が加えられることなどにより、隣り合う端子間の絶縁を阻害したり短絡を発生させたりするおそれがある。特に、電子機器の小型化、高機能化の要請に伴って、端子の間隔が狭くなる傾向にあるため、導通したい場所のみで確実な接続が可能な技術の開発が強く求められている。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板と電子部品との間の接続信頼性を確保できる接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
なお、以下に示す各要素に付した括弧付き符号は、その要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
【0007】
本発明の第1の態様に従えば、基板(10)に設けられた接続端子(14)と電子部品(20)に設けられた接続部(21)とを電気的に接続する接続構造であって、導電性材料の粒子(M)を含む第1の異方性導電ペースト(P1)により形成される第1部材(16)と、第1部材とは導電性が異なる第2部材(17)とによって形成されたバンプ(15)を介して前記接続端子と前記接続部とが接続されている接続構造が提供される。
【0008】
ここで、「異方性導電ペースト」とは、熱硬化性樹脂等からなるバインダに金属等の導電性材料からなる粒子を分散してペースト状としたものである。異方性導電ペーストは、接続端子と接続部との間で一定の荷重を加えてに圧縮されることにより、導電性材料の粒子同士が接触して導電パスが形成され、圧縮方向の導電性を示す。本発明の接続構造によれば、バンプは異方性導電ペーストにより形成される第1部材と、第1部材とは導電性が異なる第2部材とにより形成されている。このため、バンプにおける第1部材と第2部材との配置関係に依存して、導電性がより高い部分とより低い部分を形成することができる。この場合、導電性が高い部分においては、より弱い加圧力で、基板の接続端子と電子部品の接続部との導通を確保することができる。したがって、接続端子と接続部との間の距離が大きく、十分な圧縮力が与えられない場合であっても、第1部材及び第2部材からなるバンプによって、接続端子と接続部との電気的接続を確保することができる。また、第1部材は異方性導電ペーストにより形成されるので、異方性導電ペーストに含まれる熱硬化性樹脂により、バンプと接続端子との界面にかかる応力を緩和することができる。したがって、表面凹凸や反りが大きく、接続部分にストレスが比較的発生しやすい基板を用いた場合であっても、接続信頼性を確保できる。さらに、異方性導電フィルムを用いた場合と異なり、接続端子および接続部が設けられた場所以外の領域には導電性物質が存在しない。このため、短絡などが発生せず、隣接する接続端子間、及び接続部間の絶縁性も保たれる。
【0009】
本発明の接続構造において、第2部材(17)は、導電性材料からなり、第1部材(16)における前記接続端子(14)との接続面(16B)から前記接続部(21)との接続面(16A)に至るまで貫通形成され得る。この場合、導電性材料からなる第2部材によって基板の接続端子と電子部品の接続部との導通を確保できるので、バンプへの加圧力の強弱にかかわらず、両者の電気的接続を確実なものとすることができる。
【0010】
本発明の接続構造において、前記バンプ(31)が、導電性材料により形成された導体膜(34)を備えてもよく、この導体膜が第1部材(32)において少なくとも前記接続端子(14)または前記接続部(21)との接続面(32Aまたは32C)を覆い、かつ第2部材(33)と接続されてもよい。この場合、第2部材と接続する導体膜が、接続端子または接続部に対して面として接触する。したがって、基板の接続端子と電子部品の接続部との位置精度が低い場合であっても、接続部と接続端子とは、第2部材と導体膜を介して確実に導通する。なお、異方性導電ペースト中の粒子を構成する導電性材料と、第2部材および導体膜を構成する導電性材料とは同一でも異なっていても良い。また、第2部材と導体膜とを同一の導電性材料により形成しても良く、異なる導電性材料により形成しても構わない。
【0011】
本発明の接続構造において、前記導体膜(34)が第1部材(32)の露出面全体(32A及び32B)を覆うものであり得る。この場合、第1部材の露出面(基板とも電子部品とも接触していない面)全体を導体膜で覆うことで、バンプの耐久性を向上することができる。
【0012】
本発明の接続構造において、第2部材(43)は、第1の異方性導電ペースト(P1)とは導電性材料(M)の密度が異なる第2の異方性導電ペースト(P2)からなってもよく、第1部材(42)における前記接続端子(14)との接続面(42B)から前記接続部(21)との接続面(42A)に至るまで貫通形成されていてもよい。この場合、第1部材と第2部材のうち、導電性がより高い部材においては、より弱い加圧力でも基板の接続端子と電子部品の接続部との導通を確保することができる。したがって、接続端子と接続部との間の距離が大きく、十分な圧縮力が与えられない場合であっても、第1部材及び第2部材からなるバンプによって、接続端子と接続部との電気的接続を確保することができる。さらに第1部材と第2部材のいずれも、異方性導電ペーストからなるため、導電性材料のみからなるバンプと比べて柔軟性があり、バンプにはたらく応力を緩和することができる。なお、「導電性材料の密度が異なる」とは、単位体積あたりの導電性材料の重量が異なることを意味する。例えば、分散する導電性材料の粒子の単位体積当たりの個数を多くすること、あるいは、平均粒径の大きい粒子を使用することにより、導電性材料の密度が高い異方性導電ペーストを調整できる。
【0013】
本発明の接続構造において、複数の前記接続端子(14)とこれらの接続端子と対となる複数の前記接続部(21)との間をそれぞれ接続する複数の前記バンプ(41)からなるバンプ群を備えてもよく、バンプ群が、互いに第2部材(43)の径が異なる複数種のバンプで構成されていてもよい。ここで、第2部材は第1部材とは導電性材料の密度が異なる異方性導電ペーストからなっており、導電性材料のみからなっている場合と比較して柔軟性が高いから、ある程度径を太くしてもバンプ全体としての柔軟性が損なわれることがない。したがって、基板の反り具合や凹凸の位置等を考慮して、接続端子と接続部の離間距離に応じて第2部材の径を調整することにより、接続信頼性を確保することができる。
【0014】
本発明の接続構造において、第1部材(62)は接続端子(14)上に円盤状に形成されてもよく、第2部材(63)は、第1の異方性導電ペースト(P1)よりも導電性材料(M)の密度が低い第2の異方性導電ペースト(P2)からなり、第1部材の上面(62A)及び側面(62B)を覆うように形成されてもよい。この場合、バンプは、第1部材と第2部材が重なる部分と、第2部材のみからなる部分とから形成される。ここで、第1部材は第1の異方性導電ペーストからなり、第2部材は第2の異方性導電ペーストからなる。第1の異方性導電ペーストは第2の異方性導電ペーストよりも導電性材料の密度が高いので、第1部材のほうが第2部材よりも導電性が高くなる。したがって、第1部材と第2部材とが重なる部分は、第2部材のみからなる部分と比べて、導電性が高くなる。したがって、第1部材と第2部材とが重なる部分においては、第2部材のみからなる部分と比べて、より弱い加圧力でも基板の接続端子と電子部品の接続部との導通を確保することができる。したがって、接続端子と接続部との間の距離が大きく、十分な圧縮力が与えられない場合であっても、第1部材及び第2部材からなるバンプによって、接続端子と接続部との電気的接続を確保することができる。さらに第1部材と第2部材のいずれも、異方性導電ペーストからなるため、導電性材料のみからなるバンプと比べて柔軟性があり、バンプにはたらく応力を緩和することができる。
【0015】
本発明によれば、本発明の接続構造を備える部品搭載基板(1)が提供される。この場合、部品搭載基板において、基板の反りや凹凸に影響されず、基板の接続端子と電子部品の接続部との電気的な接続を確保することができる。
【0016】
本発明の第2の態様に従えば、基板(10)に設けられた接続端子(14)と電子部品(20)に設けられた接続部(21)とを電気的に接続する接続構造であって、複数の接続端子とこれらの接続端子と対となる複数の接続部との間をそれぞれ接続する複数のバンプ(51A,51B,51C,51D)からなるバンプ群を備え、バンプ群が、導電性材料(M)の密度が異なる複数種の異方性導電ペースト(PA,PB,PC,PD)により形成された複数種のバンプで構成される接続構造が提供される。
【0017】
この接続構造によれば、基板の反り具合や凹凸の位置等を考慮して、接続端子と接続部の離間距離が大きい箇所に導電性材料の密度が高い異方性導電ペーストを用いたバンプを配することにより、接続信頼性を確保することができる。
【0018】
本発明によれば、本発明の接続構造を備える部品搭載基板(1)が提供される。この場合、部品搭載基板において、基板の反りや凹凸に影響されず、基板の接続端子と電子部品の接続部との電気的な接続を確保することができる。
【0019】
本発明の第3の態様に従えば、基板(10)の表面に設けられた接続端子(14)上に、前記基板上に搭載される電子部品(20)の表面に設けられた接続部(21)と接続端子とを電気的に接続するためのバンプ(15)を形成する方法であって、接続端子上に導電性材料の粒子(M)を含む異方性導電ペースト(P1)をスクリーン印刷する印刷工程(S101)と、印刷後の異方性導電ペーストを硬化する硬化工程(S102)とを備えるバンプ形成方法が提供される。このような方法によれば、異方性導電ペーストにより形成されるバンプを簡易に形成できる。
【0020】
本発明のバンプ形成方法において、硬化後の前記異方性導電ペースト(P1)を貫通して前記接続端子(14)に到達する貫通孔(18)を形成する貫通孔形成工程(S103)と、接続端子を一方の電極として利用して貫通孔に電気メッキにより導電性金属を充填することにより導体部(17)を形成するメッキ工程(S104)とをさらに備えてもよい。この方法は、接続端子または接続部が電気メッキの電極として利用可能な場合に有効である。なお、バンプに導体膜を設ける場合には、メッキ工程において導体膜を同時に形成してもよく、このメッキ工程の後に、さらに基体の表面に導体膜を付与する第2のメッキ工程を行っても構わない。
【0021】
本発明のバンプ形成方法において、硬化後の前記異方性導電ペースト(P1)を貫通して前記接続端子(14)に到達する貫通孔(35)を形成する貫通孔形成工程(S103)と、無電解メッキにより貫通孔に導電性金属を充填して導体部(33)を形成するとともに異方性導電ペーストの表面(32A,32B)に導電性金属からなる導体膜(34)を形成する無電解メッキ工程(S114)とをさらに備えてもよい。この方法は、接続端子または接続部を電気メッキに必要な電極として利用できない場合に有効である。なお、バンプに導体膜を設ける場合には、無電解メッキ工程において導体膜を同時に形成してもよく、この無電解メッキ工程の後に、さらに基体の表面に導体膜を付与する第2のメッキ工程を行っても構わない。
【0022】
本発明のバンプ形成方法においては、前記印刷工程(S121)において、前記異方性導電ペースト(P1)からなり、前記接続端子(14)に到達する貫通孔(44)を備えた基体(42)がさらに形成されてもよく、前記異方性導電ペーストとは導電性材料(M)の密度が異なる第2の異方性導電ペースト(P2)をスクリーン印刷により前記貫通孔に充填して貫通部(43)を形成する充填工程(S123)と、充填後の第2の異方性導電ペーストを硬化する第2の硬化工程(S124)とをさらに備えてもよい。このような方法によれば、基体と貫通部をともにスクリーン印刷という簡易かつ安価な方法によって形成するので、バンプを低コストで形成できる。
【0023】
本発明のバンプ形成方法において、前記基板(10)の表面に複数の前記接続端子(14)が設けられてもよく、前記電子部品(20)の表面に複数の前記接続部(21)が設けられてもよく、前記印刷工程(S131)において、それぞれの接続端子に印刷される異方性導電ペースト(PA,PB,PC,PD)に含まれる導電性材料の密度が互いに異なってもよい。このような方法によれば、導電性が異なる複数種のバンプを容易に形成することができるから、製造工程の簡素化およびコストの低減が図れる。
【0024】
本発明のバンプ形成方法において、前記印刷工程(S141)で印刷される異方性導電ペースト(P1)とは導電性材料(M)の密度が異なる第2の異方性導電ペースト(P2)をスクリーン印刷する第2の印刷工程(S143)と、第2の異方性導電ペーストを硬化する第2の硬化工程(S144)とをさらに備えてもよい。この場合、スクリーン印刷と硬化という簡易かつ安価な方法により、バンプを形成することができる。
【0025】
本発明によれば、基板(10)上に電子部品(20)を搭載した部品搭載基板(1)の製造方法であって、本発明のバンプ形成方法で形成されたバンプ(15)を備える前記基板を提供する基板提供工程(S101〜S104)と、前記接続端子(14)と前記接続部(21)とがバンプを挟んで対向するように電子部品を基板上に位置合わせする位置合わせ工程(S201)と、前記基板に前記電子部品を押圧して接合する接合工程(S202)とを備える部品搭載基板の製造方法が提供される。この方法によれば、基板の反りや凹凸に影響されず、基板の接続端子と電子部品の接続部との電気的な接続が確保された、部品搭載基板を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
<第1実施形態>
以下、本発明を具体化した第1実施形態について、図1〜図5を参照しつつ詳細に説明する。図1には、本実施形態の回路基板1(部品搭載基板)の部分拡大断面図を示した。回路基板1は、セラミックス配線板10(基板)にLSIパッケージ20(電子部品)を搭載したものである。
【0027】
セラミックス配線板10は、セラミックスからなる絶縁層11と所定のパターンをなす導体層12とが交互に積層され、導体層間がビアホール13により接続された周知の構造の多層板である。図2Aにはセラミックス配線板10の上面図を、図2Bにはセラミックス配線板10の断面図を示す。このセラミックス配線板10の上面(LSIパッケージ20が搭載される側の面)に形成された導体層12の一部は、基板側パッド14(接続端子)とされている。基板側パッド14は、後述するLSIパッケージ20(もしくは、LSIチップ、半導体デバイス)のバンプパッド21に対応して複数個が縦横に並んでいる。
【0028】
一方、このセラミックス配線板10に搭載されるLSIパッケージ20の下面側には、縦横に並ぶ複数個のバンプパッド21(接続部)が形成されている。図1に示すように、LSIパッケージ20のバンプパッド21と、これに対応するセラミックス配線板10の基板側パッド14とは、それぞれパンプ15を介して接続されている。
【0029】
このバンプ15は、異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste:ACP)P1により略円盤状に形成された基体16(第1部材)と、この基体16を上下方向(セラミックス配線板10とLSIパッケージ20との積層方向に沿う方向)に貫通する導体部17(第2部材)とで構成されている。基体16を構成する異方性導電ペーストP1は、例えば低温硬化型の樹脂等の熱硬化性樹脂からなるバインダに、ニッケル等の導電性材料の粒子Mを分散したものである。この異方性導電ペーストP1は、バンプパッド21と基板側パッド14との間で適度に圧縮されることで、導電性材料の粒子M同士が接触して導電パスが形成され、加圧方向に導電性が付与されるものである。
【0030】
一方、導体部17は、例えば金属等の導電性材料により上下方向に細長い細線状に形成されたものであって、基体16の上面側からみて円の中心位置に配されている。そして、その一端(上端)は基体16においてバンプパッド21との接続面16Aに露出してバンプパッド21と接触し、他端(下端)は基体16において基板側パッド14との接続面16Bに露出して基板側パッド14と接触している。この導体部17によっても、バンプパッド21と基板側パッド14との電気的な接続がなされる。
【0031】
なお、導体部17は、バンプパッド21と基板側パッド14との間でのバンプ15の圧縮性を損なわないよう、できるだけ柔らかい導電性材料(例えば金)を使用することが好ましい。また、同様の観点から、導通が確保できる範囲でできるだけ細いことが好ましい。例えば導電性材料として金を用いた場合には径を7.5μm以下とすることが好ましい。
【0032】
次に、バンプ15の形成方法、およびこのバンプ15によるバンプパッド21とこれに対応する基板側パッド14との接続方法について図22のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0033】
まず、セラミックス配線板10の各基板側パッド14上に、スクリーン印刷法によって異方性導電ペーストP1を印刷し、バンプ15の基体16を形成する(ステップS101:印刷工程)。図3Aには、基板側パッド14上にスクリーン印刷法によって異方性導電ペーストP1を印刷した様子を示す上面図を、図3Bには、その断面図を示す(なお、図3AにおいてはスクリーンSを省略して示している)。印刷が終了したら、異方性導電ペーストP1を加熱硬化させる(ステップS102:硬化工程)。
【0034】
次に、基体16の上面側(バンプパッド21と接続する側)からレーザ照射を行うことにより、基体16の上面から見て円の中心位置に、基板側パッド14の表面に至る貫通孔18を形成する(ステップS103:貫通孔形成工程;図4Aおよび図4B参照)。
【0035】
次いで、基板側パッド14を一方の電極として利用した電気メッキを行うことにより、貫通孔18内に金属を充填して、導体部17を形成する(ステップS104:メッキ工程;図5Aおよび図5B参照)。本実施形態では、全ての基板側パッド14がビアホール13および内層の導体層12を介してセラミックス配線板10の下面側まで導通している(図5B参照)から、電気メッキに際して基板側パッド14を一方の電極として使用することができる。なお、金属の充填量は、その上面が基体16の表面とほぼ面一となる程度とするのが好ましい。
【0036】
形成された導体部17は、一端側(下端側)が基板側バッド14に接触し、他端側(上端側)がバンプパッド21との接続面16Aに露出している。なお、メッキ金属として銅を使用する場合には、酸化を防ぐため、充填終了後、導体部17の上端面にNi/Au等の保護膜を付けておくことが好ましい。このような保護膜は例えば無電解メッキにより形成することができる。このようにして、セラミックス配線板10の基板側パッド14上にバンプ15が形成される(ステップS101〜S104:基板提供工程)。
【0037】
続いて、バンプ15を形成したセラミックス配線板10にLSIパッケージ20を実装する手順について説明する。
【0038】
まず、接着剤19をセラミックス配線板10の上面に塗布する。次に、基板側パッド14上に形成されたバンプ15と、それに対応するバンプバッド21とが整合するように位置合わせしつつLSIパッケージ20をセラミックス配線板10上に載置する(ステップS201:位置合わせ工程)。次いで、熱プレス等により、LSIパッケージ20をセラミックス配線板10側に押圧しつつ加熱し、接着剤19を硬化させてセラミックス配線板10とLSIパッケージ20とを接合する(ステップS202:接合工程)。つまり、LSIパッケージ20は、セラミックス配線板10側に押圧されたときの位置でセラミックス配線板10に固定される。このとき、バンプ15の基体16を構成する異方性導電ペーストP1は、バンプパッド21と基板側パッド14との間で圧縮され、加圧方向に導電性が付与される。これにより、基板側パッド14とバンプバッド21とが電気的に接続される(図1参照)。同時に、導体部17の上端部がバンプパッド21に接触し、この導体部17によっても基板側パッド14とバンプバッド21とが電気的に接続される。
【0039】
以上のように本実施形態によれば、セラミックス配線板10に設けられた基板側パッド14とLSIパッケージ20に設けられたバンプパッド21とが、異方性導電ペーストP1により形成されたバンプ15により接続されている。このような構成によれば、半田バンプと比べて異方性導電ペーストP1により形成されたバンプ15は柔軟性に優れるため、バンプ15と基板側パッド14との界面にかかる応力が緩和される。このため、表面凹凸や反りが大きく、バンプ15と基板側パッド14との接続部分にストレスが比較的発生しやすいセラミックス配線板10を用いた場合であっても、接続信頼性を確保できる。
【0040】
また、異方性導電フィルムを用いた場合と異なり、基板側パッド14およびバンプバッド21が設けられた場所以外の領域には導電性物質が存在していない。したがって、短絡などが発生することがなく、隣接する基板側パッド14間、およびバンプバッド21間の絶縁性が保たれる。
【0041】
また、セラミックス配線板10の反りや表面の凹凸が大きい場合、基板側パッド14−バンプパッド21間の距離のばらつきによってバンプ15への加圧力のばらつきが生じる。特に基板側パッド14−バンプパッド21間の距離が大きくなっている位置に存在しているバンプ15(図1において左側のバンプ15参照)には充分な圧縮力が付与されず、導通が充分に確保されなくなる事態が生じ得る。しかし、本実施形態では、バンプ15に導体部17を設けてあるから、この導体部17によって、バンプ15への加圧力の強弱にかかわらず、基板側パッド14とバンプバッド21との電気的な接続が確保される。これにより、基板側パッド14とバンプバッド21との電気的接続を確実なものとすることができる。
【0042】
さらに、導体部17は、柔らかい導電性材料によって形成され、導通が確保できる範囲でできるだけ細くされている。このような構成によれば、異方性導電ペーストP1の圧縮が妨げられることに起因する導通不良を回避できる。さらに、応力緩和効果が損なわれてクラックが生じやすくなる、バンプ15の圧縮により導体部17が折れて導通が確保できなくなる、といった事態を回避できる。
【0043】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について、図6〜図8を参照しつつ説明する。本実施形態の第1実施形態との主たる相違点は、バンプ31に導体膜34が設けられている点にある。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
本実施形態の回路基板30においても、LSIパッケージ20のバンプパッド21と、これに対応するセラミックス配線板10の基板側パッド14とは、それぞれパンプ31を介して接続されている(図6参照)。このバンプ31は、異方性導電ペーストP1により形成された基体32(第1部材)と、この基体32を上下方向に貫通する導体部33(第2部材)と、この基体32の表面を覆う導体膜34とで構成されている。基体32および導体部33の構成は、第1実施形態と同様である。
【0045】
導体膜34は、例えば金属等の導電性材料により形成されたものであって、基体32において上面32Aと側面32Bの全体に形成されている。つまり、バンプパッド21に対する接続面32A、および、セラミックス配線板10ともLSIパッケージ20とも接触していない露出面32Bを覆う薄膜状に形成されている。また、この導体膜34には下面側から導体部33が接触しており、これにより導体部33と導体膜と34とが電気的に接続している。この導体膜34は、バンプ31の圧縮性を損なわないよう、柔らかい導電性材料を使用し、薄く形成されていることが好ましい。但し、基体32の露出面を覆うことでバンプ31の耐久性を向上させる効果をあわせて期待する場合には、バンプ31の圧縮性を損なわない程度の硬さと厚さを有していることが好ましい。
【0046】
次に、バンプ31の形成方法、およびこのバンプ31によるバンプパッド21とこれに対応する基板側パッド14との接続方法について、図23のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0047】
まず、印刷工程(ステップS101)、硬化工程(ステップS102)、貫通孔形成工程(ステップS103)を行って、セラミックス配線板10の基板側パッド14上に、貫通孔35を備える基体32を形成する(図7A、図7B参照)。印刷工程、硬化工程、貫通孔形成工程は第1実施形態と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0048】
次いで、無電解メッキにより、貫通孔35内に金属を充填して導体部33を形成するとともに、基体32の上面および側面全体に導体膜34を形成する(ステップS114:無電解メッキ工程;図8A、図8B参照)。本実施形態では、第1実施形態と異なり、全ての基板側パッド14がビアホール13および内層のセラミックス配線板10の下面側まで導通しているわけではなく(図8B参照)、メッキに際して基板側パッド14を一方の電極として使用することが容易ではないから、導体部33および導体膜34の形成方法として無電解メッキが適する。
【0049】
このようにして基板側パッド14上にバンプ31が形成されたら、第1実施形態と同様にしてセラミックス配線板10にLSIパッケージ20を実装する(ステップS201:位置合せ工程,ステップS202:接合工程)。このとき、第1実施形態と同様に、バンプ31の基体32を構成する異方性導電ペーストP1がバンプパッド21と基板側パッド14との間で圧縮され、加圧方向に導電性が付与される。これにより、基板側パッド14とバンプバッド21とが電気的に接続される。同時に、導体部33の上端部が導体膜34を介してバンプパッド21に接触し、この導体部33および導体膜34によっても基板側パッド14とバンプバッド21とが電気的に接続される。
【0050】
ここで、本実施形態のように基板側パッド14上にバンプ31を形成しておき、その後にLSIパッケージ20を実装する場合において、セラミックス配線板10の基板側パッド14とLSIパッケージ20のバンプバッド21との位置精度があまり高くない場合には、導体部33がバンプパッド21から外れてしまい、基板側パッド14とバンプバッド21との電気的接続が確保できなくなることが懸念される。しかし、本実施形態ではバンプ31に導体膜34が設けられているから、この導体膜34がバンプバッド21に対して面的に接触することとなる。これにより、導体膜34を介してバンプバッド21と導体部33とが導通し、ひいては、基板側パッド14とバンプバッド21との導通が確実なものとなる。
【0051】
さらに、導体膜34は、基体32においてバンプバッド21との接続面32Aのみならず、露出面32Bの全体をも覆うものである。このように基体32の露出面32Bを導体膜34で覆って保護することで、バンプ31に耐摩耗性を付与し、耐久性を向上させることができる。
【0052】
以上のように本実施形態によっても、異方性導電ペーストP1によって形成されたバンプ31によって基板側パッド14とバンプバッド21とが接続され、さらに、バンプ31には導体部33が設けられているから、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、バンプ31には導体膜34が設けられており、この導体膜34がバンプバッド21に対して面的に接触することとなるから、基板側パッド14およびバンプバッド21の位置精度が高くない場合でも、両者の間での導通を確実なものとすることができる。
【0053】
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態について、図9〜図11を参照しつつ説明する。本実施形態の第1実施形態との主たる相違点は、バンプ41が、第1の異方性導電ペーストP1により形成された基体42(第1部材)と、この第1の異方性導電ペーストP1よりも導電性材料の密度が高い第2の異方性導電ペーストP2により形成された高密度部43(第2部材、貫通部)とで構成されている点にある。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施形態の回路基板40においても、LSIパッケージ20のバンプパッド21と、これに対応するセラミックス配線板10の基板側パッド14とは、それぞれパンプ41を介して接続されている(図9参照)。
【0055】
このバンプ41は、基体42(第1部材)と、この基体42を上下方向(セラミックス配線板10とLSIパッケージ20との積層方向)に貫通する高密度部43(第2部材)とを備えている。基体42は、第1の異方性導電ペーストP1により略円環状に形成されている。
【0056】
一方、高密度部43は、第2の異方性導電ペーストP2により、基体42における円環の内径に等しい径の円盤状に形成され、基体42の円環の内側に収容されている。そして、その一端(上端)は基体42においてバンプパッド21との接続面42Aに露出してバンプパッド21と接触し、他端(下端)は基体42において基板側パッド14との接続面42Bに露出して基板側パッド14と接触している。
【0057】
この高密度部43を形成する第2の異方性導電ペーストP2は、基体42を構成する第1の異方性導電ペーストP1よりも導電性材料の密度が高いものである。ここで、「導電性材料の密度が高い」とは、単位体積あたりの導電性材料の重量が多いことを意味する。導電性材料の密度が高い異方性導電ペーストを調整するためには、例えば樹脂に分散する導電性材料の粒子Mの単位体積当たりの個数を多くするか、あるいは、平均粒径の大きい粒子Mを使用することが考えられる。2種の異方性導電ペーストP1、P2を構成する樹脂および導電性材料の材質は、互いに同一であっても良く、異なっていても構わない。
【0058】
基体42および高密度部43は、ともに、バンプパッド21と基板側パッド14との間で適度に圧縮されることで加圧方向に導電性が付与され、これにより、バンプパッド21と基板側パッド14とが電気的に接続される。なお、高密度部43は基体42と比較して導電性材料の密度が高い異方性導電ペーストP2により構成されているため、より弱い加圧力で導通が確保される。
【0059】
次に、バンプ41の形成方法、およびこのバンプ41によるバンプパッド21とこれに対応する基板側パッド14との接続方法について、図24のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0060】
まず、セラミックス配線板10の基板側パッド14上に、スクリーン印刷法によって第1の異方性導電ペーストP1を印刷し、基体42を形成する(ステップS121:印刷工程;図10A、図10B参照)。このとき、一部の基板側パッド14上には、上下方向に貫通する貫通孔44を有する基体42を形成する。本実施形態では、セラミックス配線板10の上面(LSIパッケージ20の搭載面)から見て周縁部に位置する一部の基板側パッド14上には異方性導電ペーストP1を円盤形に印刷し、貫通孔44を有しない基体42を形成している。一方、それらよりも内側に位置する他の基板側パッド14上には、異方性導電ペーストP1を円環形に印刷し、貫通孔44を有する基体42を形成している。なお、より中心に近い位置に位置する基板側パッド14上に形成される基体42ほど、貫通孔44の径が大きくなるようにしている。印刷が終了したら、異方性導電ペーストP1を加熱硬化させる(ステップS122:硬化工程)。
【0061】
次いで、貫通孔44の内部に、第2の異方性導電ペーストP2をスクリーン印刷により充填して高密度部43(貫通部)を形成する(ステップS123:充填工程;図11A、図11B参照)。充填が終了したら、第2の異方性導電ペーストP2を加熱硬化させる。(ステップS124:第2の硬化工程)。
【0062】
このようにして基板側パッド14上にバンプ41が形成されたら、第1実施形態と同様にしてセラミックス配線板10にLSIパッケージ20を実装する(ステップS201:位置合せ工程,ステップS202:接合工程)。このとき、バンプ41の基体42を構成する第1の異方性導電ペーストP1、および高密度部43を構成する第2の異方性導電ペーストP2が、ともにバンプパッド21と基板側パッド14との間で圧縮され、加圧方向に導電性が付与される。これにより、基板側パッド14とバンプバッド21とが電気的に接続される。
【0063】
ここで、セラミックス配線板10の反りや表面の凹凸が大きい場合、基板側パッド14−バンプパッド21間の距離によってバンプ41への加圧力のばらつきが生じる。特に基板側パッド14−バンプパッド21間の離間距離が大きくなっている位置に存在しているバンプ41(図9において左側のバンプ41参照)には充分な圧縮力が付与されず、導通が充分に確保されなくなる事態が生じ得る。しかし、本実施形態では、バンプ41に高密度部43が設けられている。そして、この高密度部43においては、導電性材料の密度が相対的に高い第2の異方性導電ペーストP2により構成されているために、より弱い加圧力でも導通が確保される。これにより、基板側パッド14とバンプバッド21との電気的接続を確実なものとすることができる。
【0064】
特に、本実施形態では、セラミックス配線板10の上面から見て中心側に位置するバンプ41に高密度部43を設け、しかも、より中心に近い位置に配されるバンプ41ほど高密度部43の径が大きくなるようにしている。これは、一般にセラミックス配線板10は上面が凹となるように反る傾向があり、セラミックス配線板10の中心に近い領域ほど基板側パッド14−バンプパッド21間の距離が大きくなる傾向があることを考慮したものである。
【0065】
すなわち、高密度部43は異方性導電ペーストP2からなっており、導電性材料のみからなっている場合と比較して柔軟性が高いから、ある程度径を太くしてもバンプ41全体としての柔軟性を損なうことがない。このことを利用して、基板側パッド14−バンプパッド21間の離間距離が大きい位置に形成されるバンプ41においては高密度部43の径を太くすることによって、接続信頼性をより確実なものとすることができる。
【0066】
以上のように本実施形態によっても、異方性導電ペーストP1、P2によって形成されたバンプ41によって基板側パッド14とバンプバッド21とが接続されているから、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、バンプ41には、導電性材料の密度が相対的に高い第2の異方性導電ペーストP2により形成された高密度部43が設けられているから、バンプ41への加圧力の強弱に関わらず、基板側パッド14とバンプバッド21との電気的接続を確実なものとすることができる。
【0067】
<第4実施形態>
以下、本発明の第4実施形態について、図12〜図14を参照しつつ説明する。本実施形態の第1実施形態との主たる相違点は、導電性材料の密度が異なる複数種の異方性導電ペーストPA、PB、PC、PDにより形成された複数種のバンプ51が設けられている点にある。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施形態の回路基板50においても、LSIパッケージ20のバンプパッド21と、これに対応するセラミックス配線板10の基板側パッド14とは、それぞれパンプ51を介して接続されている(図12参照)。
【0069】
本実施形態のバンプ51は、異方性導電ペーストPA、PB、PC、PDにより、略円盤状に形成されている。複数対の基板側パッド14とバンプパッド21とをそれぞれ接続する複数のバンプ51は、互いに導電性材料の密度が異なる異方性導電ペーストPA、PB、PC、PDにより形成された複数種のバンプ51A、51B、51C、51Dを含む。なお以下では複数種のバンプを区別する場合には、「バンプ51A、51B、51C、51D」のように符号に添え字を付し、区別せずに総称する場合には、「バンプ51」のように符号に添え字を付さないで記すものとする。
【0070】
「導電性材料の密度が異なる」とは、単位体積あたりの導電性材料の重量が異なることを意味する。導電性材料の密度が異なる異方性導電ペーストを調整するためには、例えば樹脂に分散する導電性材料の粒子Mの単位体積当たりの個数を異ならせる、あるいは、粒子Mの平均粒径を異ならせることが考えられる。複数種の異方性導電ペーストを構成する樹脂および導電性材料の材質は、互いに同一であっても良く、異なっていても構わない。
【0071】
バンプ51は、バンプパッド21と基板側パッド14との間で適度に圧縮されることで加圧方向に導電性が付与され、これにより、バンプパッド21と基板側パッド14とが電気的に接続される。なお、導電性材料の密度が高い異方性導電ペーストにより形成されているバンプ51は、より弱い加圧力で接続が確保される。
【0072】
次に、バンプ51の形成方法、およびこのバンプ51によるバンプパッド21とこれに対応する基板側パッド14との接続方法について、図25のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0073】
まず、セラミックス配線板10の基板側パッド14上に、スクリーン印刷法によって異方性導電ペーストPA、PB、PC、PDを印刷し、バンプ51を形成する(ステップS131:印刷工程)。このとき、互いに導電性材料の密度が異なる複数種の異方性導電ペーストPA、PB、PC、PDを基板側パッド14上に順次スクリーン印刷していく。本実施形態では、まず、セラミックス配線板10の周縁付近に位置する一群の基板側パッド14上に、導電性材料の密度が最も低い異方性導電ペーストPAを印刷して、バンプ51Aを形成する(図13A、図13B)。次いで、それよりも中心側に位置する一群の基板側パッド14上に、最初の印刷に使用したものよりも導電性材料の密度が高い異方性導電ペーストPBを印刷して、バンプ51Bを形成する。さらに、それよりも中心側に位置する一群の基板側パッド14上に、より導電性材料の密度が高い異方性導電ペーストPC、PDを順次印刷して、バンプ51C、51Dを形成する。このようにして、複数種の異方性導電ペーストPA、PB、PC、PDを順次印刷して行き、セラミックス配線板10の上面(LSIパッケージ20の搭載面)から見てより中心に近い位置に配される基板側パッド14上に形成されるバンプ51ほど、導電性材料の密度が高くなるようにしている(図14A、図14Bを併せて参照)。
【0074】
印刷が終了したら、異方性導電ペーストPA、PB、PC、PDを加熱硬化させる(ステップS132:硬化工程)。
【0075】
このようにして基板側パッド14上にバンプ51が形成されたら、第1実施形態と同様にしてセラミックス配線板10にLSIパッケージ20を実装する(ステップS201:位置合せ工程,ステップS202:接合工程)。このとき、バンプ51を構成する異方性導電ペーストPA、PB、PC、PDが、バンプパッド21と基板側パッド14との間で圧縮され、加圧方向に導電性が付与される。これにより、基板側パッド14とバンプバッド21とが電気的に接続される。
【0076】
ここで、セラミックス配線板10の反りや表面の凹凸が大きい場合、基板側パッド14−バンプパッド21間の距離によってバンプ51への加圧力のばらつきが生じる。特に基板側パッド14−バンプパッド21間の距離が大きくなっている位置に存在しているバンプ51(図12において左側のバンプ51参照)には充分な圧縮力が付与されず、導通が充分に確保されなくなる事態が生じ得る。しかし、本実施形態では、バンプ51として、互いに導電性材料の密度が異なる異方性導電ペーストPA、PB、PC、PDにより形成された複数種を設けている。したがって、基板側パッド14とバンプパッド21との間の離間距離がより大きい箇所に、導電性材料の密度がより高い異方性導電ペーストを用いたバンプ51を配することにより、接続信頼性を確保することができる。一般に、セラミックス配線板10は上面が凹となるように反る傾向があり、セラミックス配線板10の中心に近いほど基板側パッド14とバンプパッド21との間の距離が大きくなる傾向があるから、本実施形態では、中心に近い位置ほど、より導電性材料の密度の高い異方性導電ペーストにより形成したバンプ51を配して、接続信頼性を確保している。
【0077】
以上のように本実施形態によっても、異方性導電ペーストPA、PB、PC、PDによって形成されたバンプ51によって基板側パッド14とバンプバッド21とが接続されているから、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、バンプ51として、互いに導電性材料の密度が異なる異方性導電ペーストPA、PB、PC、PDにより形成された複数種を設けているから、セラミックス配線板10の反り具合や凹凸の位置等を考慮して、基板側パッド14とバンプパッド21との間の離間距離がより大きい領域に導電性材料の密度がより高い異方性導電ペーストを用いたバンプ51を配することにより、接続信頼性を確保することができる。
【0078】
<第5実施形態>
以下、本発明の第5実施形態について、図15A〜図15Eを参照しつつ説明する。本実施形態の第1実施形態との主たる相違点は、バンプ61が、第1の異方性導電ペーストP1により形成された高密度部62(第1部材)と、第1の異方性導電ペーストよりも導電性材料の密度が低い第2の異方性導電ペーストP2により形成された基体63(第2部材)とで構成される点にある。さらに、高密度部62がバンプ61を貫通するように形成されていない点、つまり、高密度部62は基体63に覆われており、LSIパッケージ20のバンプパッド21に接触していない点が異なる。なお、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
本実施形態の回路基板60においても、LSIパッケージ20のバンプパッド21と、これに対応するセラミックス配線板10の基板側パッド14とは、それぞれパンプ61を介して接続されている(図15A参照)。
【0080】
このバンプ61は、第1の異方性導電ペーストP1により形成される高密度部62(第1部材)と、第1の異方性導電ペーストP1よりも導電性材料の密度が低い第2の異方性導電ペーストP2により形成された基体63(第2部材)とを備えている。高密度部62は、基板側パッド14上に円盤状に形成されている。
【0081】
一方、基体63は、高密度部62の上面62A及び側面62Bを覆うように形成されている。そして、基体63は上面63Aにおいてバンプパッド21に接触し、下面63Bにおいて基板側パッド14と接触している。
【0082】
この基体63を形成する第2の異方性導電ペーストP2は、高密度部62を構成する第1の異方性導電ペーストP1よりも導電性材料の密度が低いものである。ここで、「導電性材料の密度が低い」とは、単位体積あたりの導電性材料の重量が少ないことを意味する。導電性材料の密度が低い異方性導電ペーストを調整するためには、例えば樹脂に分散する導電性材料の粒子Mの単位体積当たりの個数を少なくするか、あるいは、平均粒径の小さい粒子Mを使用することが考えられる。2種の異方性導電ペーストP1、P2を構成する樹脂および導電性材料の材質は、互いに同一であっても良く、異なっていても構わない。
【0083】
高密度部62および基体63は、ともに、バンプパッド21と基板側パッド14との間で適度に圧縮されることで加圧方向に導電性が付与され、これにより、バンプパッド21と基板側パッド14とが電気的に接続される。バンプ61において、高密度部62と基体63とがLSIパッケージ20とセラミックス配線板10の積層方向に重なる部分は、高密度部62が存在することにより、バンプ61の基体63のみからなる部分と比較して、より弱い加圧力で導通が確保される。
【0084】
次に、バンプ61の形成方法、およびこのバンプ61によるバンプパッド21とこれに対応する基板側パッド14との接続方法について、図26のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0085】
まず、セラミックス配線板10の基板側パッド14上に、スクリーン印刷法によって第1の異方性導電ペーストP1を印刷し、円盤状の高密度部62を形成する(ステップS141:印刷工程;図15B、図15C参照)。印刷が終了したら、異方性導電ペーストP1を加熱硬化させる(ステップS142:硬化工程)。
【0086】
次いで、高密度部62を覆うように、第2の異方性導電ペーストP2をスクリーン印刷により印刷して基体63を形成する(ステップS143:第2の印刷工程;図15E、図15D参照)。印刷が終了したら、第2の異方性導電ペーストP2を加熱硬化させる。(ステップS144:第2の硬化工程)。
【0087】
このようにして基板側パッド14上にバンプ61が形成されたら、第1実施形態と同様にしてセラミックス配線板10にLSIパッケージ20を実装する(ステップS201:位置合せ工程,ステップS202:接合工程)。このとき、バンプ61の高密度部62を構成する第1の異方性導電ペーストP1、および基体63を構成する第2の異方性導電ペーストP2が、ともにバンプパッド21と基板側パッド14との間で圧縮され、加圧方向に導電性が付与される。これにより、基板側パッド14とバンプバッド21とが電気的に接続される。
【0088】
ここで、セラミックス配線板10の反りや表面の凹凸が大きい場合、基板側パッド14−バンプパッド21間の距離によってバンプ61への加圧力のばらつきが生じる。特に基板側パッド14−バンプパッド21間の離間距離が大きくなっている位置に存在しているバンプ61(図15Aにおいて左側のバンプ41参照)には充分な圧縮力が付与されず、導通が充分に確保されなくなる事態が生じ得る。しかし、本実施形態では、バンプ61に高密度部62が設けられている。そして、バンプ61において、高密度部62と基体63とが重なる部分においては、導電性材料の密度が相対的に高い第1の異方性導電ペーストP1により構成される高密度部62が存在することにより、より弱い加圧力でも導通が確保される。これにより、基板側パッド14とバンプバッド21との電気的接続を確実なものとすることができる。
【0089】
以上のように本実施形態によっても、異方性導電ペーストP1、P2によって形成されたバンプ61によって基板側パッド14とバンプバッド21とが接続されているから、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。さらに、バンプ61には、導電性材料の密度が相対的に高い第1の異方性導電ペーストP1により形成された高密度部62が設けられているから、バンプ61への加圧力の強弱に関わらず、基板側パッド14とバンプバッド21との電気的接続を確実なものとすることができる。また、貫通孔形成工程が不要となるため、バンプ61の形成工程を簡易化することができる。
【0090】
なお、本実施形態においても、第3実施形態で説明したように、セラミックス配線板10の上面から見て中心側に位置するバンプ61に高密度部62を設け、しかも、より中心に近い位置に配されるバンプ61ほど高密度部62の径が大きくなるようにしてもよい。これは、一般にセラミックス配線板10は上面が凹となるように反る傾向があり、セラミックス配線板10の中心に近い領域ほど基板側パッド14とバンプパッド21との間の距離が大きくなる傾向があるからである。
【0091】
すなわち、高密度部62は異方性導電ペーストP2からなっており、導電性材料のみからなっている場合と比較して柔軟性が高いから、ある程度径を太くしてもバンプ61全体としての柔軟性を損なうことがない。したがって、基板側パッド14とバンプパッド21との間の離間距離が大きい位置に形成されるバンプ61においては高密度部62の径を太くすることによって、接続信頼性をより確実なものとすることができる。
【実施例】
【0092】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。材料としては、セラミックス配線板と、異方性導電ペーストを使用した。
【0093】
1.材料
(1)セラミックス配線板
セラミックス配線板としては、セラミックスからなる複数の絶縁層と所定のパターンをなす導体層とが交互に積層され、層間がビアホールにより接続された周知の構造の多層セラミックス配線板を使用した。なお、このセラミックス配線板の表面には複数個の基板側パッドが形成され、各基板側パッドはビアホールおよび内層の導体層を介してセラミックス配線板の裏面側まで導通している。
【0094】
(2)異方性導電ペースト
異方性導電ペーストとしては、以下に示す6種類を調整した。
【0095】
基剤として三井化学(株)のACシリーズを用いた。これは低温硬化型のエポキシ樹脂にアクリル/シリコン系の応力緩和剤が添加されたものである。この基剤に導電性フィラーとして平均粒子径5μmのニッケル粒子を混合したものを更に添加した。添加重量を調整しつつレーザ散乱型の粒子径測定装置を用いて測定することで、導電性フィラーの粒子密度を2500pcs/mmに設定した。このような方法により、導電性フィラーの粒子密度が2500pcs/mmである異方性導電ペーストAを調整した。
【0096】
導電性フィラーとして平均粒子径が10μmのニッケル粒子を使用し、異方性導電ペーストAと同様な方法で、導電性フィラーの粒子密度が2500pcs/mmである異方性導電ペーストBを調整した。
【0097】
導電性フィラーとして平均粒子径が13μmのニッケル粒子を使用し、異方性導電ペーストAと同様な方法で、導電性フィラーの粒子密度が4400pcs/mmである異方性導電ペーストCを調整した。
【0098】
導電性フィラーとして平均粒子径が10μmのニッケル粒子を使用し、異方性導電ペーストAと同様な方法で、導電性フィラーの粒子密度が3300pcs/mmである異方性導電ペーストDを調整した。
【0099】
導電性フィラーとして平均粒子径が10μmのニッケル粒子を使用し、異方性導電ペーストAと同様な方法で、導電性フィラーの粒子密度が4400pcs/mmである異方性導電ペーストEを調整した。
【0100】
導電性フィラーとして平均粒子径が10μmのニッケル粒子を使用し、異方性導電ペーストAと同様な方法で、導電性フィラーの粒子密度が6400pcs/mmである異方性導電ペーストFを調整した。
【0101】
2.方法
<予備実験>
セラミックス配線板の表面に研磨、洗浄等の表面処理を施した。このセラミックス配線板の基板側パッド上に、40℃でスクリーン印刷法により異方性導電ペーストAを印刷し、直径40〜650μmの円盤形のパターンを形成した。なお、パターンの高さは30μmとした、このパターンを150℃で40秒加熱し、次いで180℃で15秒加熱して異方性導電ペーストを硬化させ、バンプを形成した。
【0102】
引張圧縮試験機を用いて、バンプに対する荷重を0〜400g/mmまで変化させながら接触抵抗を測定した。なお、引張圧縮試験機は、被測定物がセットされるテーブルと、被測定物に所望の荷重を与えながら接触する測定端子とを備えたものであり、所望の荷重を付与したときに被測定物に対して所定の電流を通電し、そのときの電圧値を測定することで接触抵抗値を算出するものである。本実施例においては、バンプを形成したセラミックス配線板をテーブルにセットし、所望の荷重を与えながら測定端子をバンプに接触させて接触抵抗値を測定した。
【0103】
<実施例1−1>
セラミックス配線板の表面に研磨、洗浄等の表面処理を施した。このセラミックス配線板の基板側パッド上に、40℃でスクリーン印刷法により異方性導電ペーストAを印刷し、直径300μm、高さ30μmの円盤形のパターンを形成した。このパターンを150℃で40秒加熱し、次いで180℃で15秒加熱して硬化させ、バンプを形成した。
【0104】
形成したバンプについて、引張圧縮試験機を用いて、バンプに対する荷重を0〜400g/mmまで変化させながら接触抵抗を測定した。
【0105】
<実施例1−2>
異方性導電ペーストBを用いて、実施例1−1と同様にしてバンプを形成し、接触抵抗を測定した。
【0106】
<実施例2−1>
セラミックス配線板の表面に研磨、洗浄等の表面処理を施した。このセラミックス配線板の基板側パッド上に、40℃でスクリーン印刷法により異方性導電ペーストAを印刷し、直径300μm、高さ30μmの円盤形のパターンを形成した。このパターンを150℃で40秒加熱し、次いで180℃で15秒加熱して硬化させ、バンプの基体を形成した。次に、基体の上面側からレーザ照射を行うことにより、直径5μmの貫通孔を形成した。次いで、基板側パッドを一方の電極として電気メッキを行うことにより、貫通孔内に銅を充填して、導体部を形成した。さらに、導体部の上端面に無電解メッキによりNi/Auの保護膜を付けた。形成したバンプについて、実施例1−1と同様にして接触抵抗を測定した。
【0107】
<実施例2−2>
異方性導電ペーストBを用いて、実施例2−1と同様にしてバンプを形成し、接触抵抗を測定した。
【0108】
<実施例3>
セラミックス配線板の表面に研磨、洗浄等の表面処理を施した。このセラミックス配線板の基板側パッド上に、40℃でスクリーン印刷法により異方性導電ペーストBを印刷し、外径300μm、高さ30μmであって内径が異なる複数種の円環形のパターンを形成した。形成したパターンを150℃で40秒加熱し、次いで180℃で15秒加熱して硬化させ、バンプの基体を形成した。次いで、貫通孔の内部にスクリーン印刷法により異方性導電ペーストCを充填した。充填後のペーストを150℃で40秒加熱し、次いで180℃で15秒加熱して硬化させ、高密度部を形成した。形成したバンプについて、実施例1−1と同様にして接触抵抗を測定した。
【0109】
<実施例4>
セラミックス配線板の表面に研磨、洗浄等の表面処理を施した。このセラミックス配線板の基板側パッド上に、40℃でスクリーン印刷法により異方性導電ペーストB、D、E、Fをそれぞれ印刷し、外径300μm、内径30μm、高さ30μmの円盤形のパターンを形成した。このパターンを150℃で40秒加熱し、次いで180℃で15秒加熱して硬化させ、バンプを形成した。形成された各バンプについて、実施例1−1と同様にして接触抵抗を測定した。
【0110】
3.結果と考察
(1)予備実験
図16には、予備実験におけるバンプの荷重と接触抵抗値との関係を表すグラフを示した。なお、相対値は、接触抵抗の飽和値に対する測定値の値の比とする。接触抵抗値は荷重400g/mmで飽和し、安定した電気的接続性を示すようになった。図17には、予備実験におけるバンプサイズと接触抵抗の飽和値との関係を表すグラフを示した。なお、横軸のバンプサイズはバンプの断面積の逆数で示した。バンプの断面積が減少するにつれて接触抵抗の飽和値が増大することが分かる。これより、微細なバンプほど荷重のばらつきによる接触抵抗の増大を抑制しなければならないといえる。
【0111】
(2)実施例1
図18には、実施例1−1(ペーストA)および実施例1−2(ペーストB)における、バンプの荷重と接触抵抗値との関係を表すグラフを示した。導電性材料の密度が高い(使用する導電性材料の粒子径が大きい)ペーストBを用いたバンプの方が、接触抵抗が小さく導通性が良いことが分かる。
【0112】
(3)実施例2
図19には、実施例2−1(ペーストA)および実施例2−2(ペーストB)における、バンプの荷重と接触抵抗値との関係を表すグラフを示した。接触抵抗の許容値を200mΩとすると、実施例2−1では約2.9g/mm、実施例2−2では約2.6g/mm以上の荷重をかければ足りる。図18との比較より、導体部を設けることによって接触抵抗が大きく低下し、導通性を著しく向上できることが分かる。
【0113】
(4)実施例3
図20には、実施例3において、高密度部の径を50μm、100μm、150μm、200μmとした場合の、各バンプの荷重と接触抵抗値との関係を表すグラフを示した。なお、比較のため、高密度部を設けないバンプについての実験結果を併せて示した。高密度部を設けないバンプと比較して、高密度部を設けたバンプでは同じ荷重での接触抵抗値が低下しており、導通性が向上していることが分かる。また、高密度部の径が大きいほど接触抵抗値が低下していることが分かる。
【0114】
ここで、基板の反り具合や凹凸に起因するバンプへの荷重のばらつきが約100〜250g/mmであると仮定すると、高密度部を設けない場合には接触抵抗値のばらつきが約130mΩとなる。これに対し、バンプへの荷重が小さくなる領域には高密度部の径が大きなバンプが配されるようにバンプを適切に配置すれば、接触抵抗のばらつきを低減することができる。例えば荷重が最小の100g/mmとなる領域には高密度部の径が200μmのバンプを配し、荷重が最大の250g/mmとなる領域には高密度部を設けないバンプを配するようにすれば、接触抵抗のばらつきを約30mΩまで低減することができる。
【0115】
(5)実施例4
図21には、実施例4において、異方性導電ペーストB、D、E、Fを用いて形成したバンプについての、各バンプの荷重と接触抵抗値との関係を表すグラフを示した。導電性材料の密度が高いペーストを用いたバンプほど、接触抵抗が小さくなることがわかる。
【0116】
ここで、基板の反り具合や凹凸に起因するバンプへの荷重のばらつきが約100〜250g/mmであると仮定すると、1種のバンプを単体で使用する場合には接触抵抗値の大きなばらつきが生じ、例えば異方性導電ペーストBを用いたバンプでは約130mΩとなる。これに対し、バンプへの荷重が小さくなる領域には導電性材料の密度が高い異方性導電ペーストが配されるようにバンプを適切に配置すれば、接触抵抗のばらつきを低減することができる。例えば荷重が最小の100g/mmとなる領域には異方性導電ペーストFを用いたバンプを配し、荷重が最大の250g/mmとなる領域には異方性導電ペーストBを用いたバンプを配するようにすれば、接触抵抗のばらつきを30mΩまで低減することができる。
【0117】
<他の実施形態>
本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0118】
(1)上記実施形態では、電子部品の例としてLSIパッケージ20を示したが、電子部品の種類は上記実施形態の限りではなく、バンプを介して基板に接続されるものであれば適用可能である。
【0119】
(2)第1実施形態および第2実施形態では、導体部17、33または導体膜34を形成するためのメッキ金属として銅を使用したが、例えばスズ、銀、はんだ、銅/スズ、銅/銀等、めっき可能な金属であれば使用可能である。
【0120】
(3)第2実施形態では、導体膜34を、基体32においてバンプパッド21と対応する領域である接続面32A、および、セラミックス配線板10ともLSIパッケージ20とも接触していない露出面32Bを覆う薄膜状に形成したが、導体膜は接続部との接続面のみに形成されていても構わない。
【0121】
(4)第2実施形態では、導体部33と導体膜34を一のメッキ工程により形成したが、例えばメッキ工程を2段階で行い、導体部と導体膜を異なる導電性材料により形成しても構わない。
【0122】
(5)第1実施形態では、導体部17を電気メッキにより形成したが、無電解メッキにより形成しても構わない。また、第2実施形態のようにメッキ工程で導体部と導体膜を形成する場合においても、例えば基板側パッドがビアホールを介して基板の下側面(基板側パッド側とは逆側の面)まで導通している場合には、電気メッキにより導体部と導体膜を形成しても構わない。
【0123】
(6)第3実施形態では、セラミックス配線板10の上面(LSIパッケージ20の搭載面)から見て中心に近い位置に配されるバンプ41ほど高密度部43の径が大きくなるようにしているが、高密度部の径を異ならせたバンプの配置は上記実施形態に限るものではなく、基板の反りや凹凸の状態を考慮して適切な配置を決定すればよい。まだ、第4実施形態においても、同様に使用する異方性導電ペーストの種類を異ならせたバンプの配置は上記実施形態の限りではなく、基板の反りや凹凸の状態を考慮して適切な配置を決定すればよい。
【0124】
(7)第3実施形態では、第1の異方性導電ペーストよりも導電性材料の密度が高い第2の異方性導電ペーストにより高密度部43を形成して、導通抵抗を低くするように調整していたが、逆に、第2の異方性導電ペーストにおける導電性材料の密度を第1の異方性導電ペーストにおける導電性材料の密度よりも低くして、高密度部43の代わりに低密度部を形成し、導通抵抗が低過ぎないように調整しても良い。バンプパッド21と基板側パッド14との導通抵抗が低すぎる場合には、LSIパッケージ20に過大な電圧がかかり破壊するおそれがあるが、このような不具合を回避するように調整することができる。
【0125】
(8)上記各実施形態では、バンプに導体部、導体膜または高密度部を設けたもの、使用する異方性導電ペーストの種類を異ならせた複数のバンプにより接続を行うものの例を示したが、複数の接続端子と、この接続端子と対となる複数の接続部との間をそれぞれバンプで接続する接続構造において、単一の異方性導電ペーストにより形成したバンプであって、導体部および高密度部が設けられていないものによって全ての接続端子−接続部の対が接続されていても構わない。
【0126】
(9)上記各実施形態では、LSIパッケージ20とセラミックス配線板10との物理的な接合を接着剤19を用いて行ったが、他の接合手段を用いて行っても良い。他の接合手段の例としては、LSIパッケージ20とセラミックス配線板10が搭載されるトレイと荷重用ブレードを用いた機械的な接合機構が挙げられる。以下、この接合機構について簡単に説明する。トレイには、LSIパッケージ20を位置決めする凹部とセラミックス配線板10を位置決めする凹部と荷重用ブレードとの締結に用いられるボルトの貫通孔が形成される。また、荷重用ブレードには、ボルトの貫通孔と、セラミックス配線板10の下面(基板側パッド14が形成される側と反対の面)に形成された接続端子(導体層12を介して基板側パッド14と接続される端子)を露出する開口が形成される。次に接合工程について説明する。まず、トレイ上にバンプパッド21を上に向けてLSIパッケージ20を載置する。次に、LSIパッケージ20に重ねてセラミックス配線板10を基板側パッド14を下に向けて載置する。このとき、LSIパッケージ20とセラミックス配線板10は凹部により位置決めされ、これにより、バンプパッド21とこれに対応する基板側パッド14が接触する。さらに、トレイ上に荷重用ブレードをセットする。これにより、LSIパッケージ20とセラミックス配線板10とは、トレイと荷重用ブレードに挟まれた状態となる。最後に、貫通孔にボルトを挿入し所望の荷重がかかるように締結する。以上の接合機構によれば、回路基板はトレイと荷重用ブレードを含んだモジュールとして取り扱われることとなる。このような構成であれば、LSIパッケージ20とセラミックス配線板10とが互いに再分離可能に接合されているから、LSIパッケージ20に不具合が存在していた場合に交換が容易である。
【0127】
(10)上記実施形態では、バンプの形状、構造、材料を特定のものを例に挙げて説明してきたが、それらに限定されず、本発明の作用を生じるものであれば任意のものを使用できる。以上説明した実施形態は、LSIパッケージ20とセラミックス配線板10との接続に本発明を適用した一例であるが、任意の電子部品と基板との接続に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】第1実施形態の回路基板の部分拡大断面図である。
【図2A】セラミックス配線板の上面図である。
【図2B】図2AのIIB−IIB線断面図である。
【図3A】セラミックス配線板の基板側パッド上にスクリーン印刷法によって異方性導電ペーストを印刷した様子を示す上面図である。
【図3B】図3AのIIIB−IIIB線断面図である。
【図4A】基体の上面側から基板側パッドの表面に至る貫通孔を形成した様子を示す上面図である。
【図4B】図4AのIVB−IVB線断面図である。
【図5A】貫通孔内に金属を充填して導体部を形成した様子を示す上面図である。
【図5B】図5AのVB−VB線断面図である。
【図6】第2実施形態の回路基板の部分拡大断面図である。
【図7A】セラミックス配線板の基板側パッド上にスクリーン印刷法によって異方性導電ペーストを印刷するとともに、基体の上面側から基板側パッドの表面に至る貫通孔を形成した様子を示す上面図である。
【図7B】図7AのVIIB−VIIB線断面図である。
【図8A】貫通孔内に金属を充填して導体部を形成するとともに、基体の表面に導体膜を形成した様子を示す上面図である。
【図8B】図8AのVIIIB−VIIIB線断面図である。
【図9】第3実施形態の回路基板の部分拡大断面図である。
【図10A】セラミックス配線板の基板側パッド上にスクリーン印刷法によって第1の異方性導電ペーストを印刷して基体を形成した様子を示す上面図である。
【図10B】図10AのXB−XB線断面図である。
【図11A】貫通孔内にスクリーン印刷法によって第2の異方性導電ペーストを充填して高密度部を形成した様子を示す上面図である。
【図11B】図11AのXIB−XIB線断面図である。
【図12】第4実施形態の回路基板の部分拡大断面図である。
【図13A】セラミックス配線板の一部の基板側パッド上にスクリーン印刷法によって異方性導電ペーストを印刷してバンプを形成した様子を示す上面図である。
【図13B】図13AのXIIIB−XIIIB線断面図である。
【図14A】セラミックス配線板の他の基板側パッド上にスクリーン印刷法によって異方性導電ペーストを印刷してバンプを形成した様子を示す上面図である。
【図14B】図14AのXIVB−XIVB線断面図である。
【図15A】第5実施形態の回路基板の部分拡大断面図である。
【図15B】セラミックス配線板の基板側パッド上にスクリーン印刷法によって第1の異方性導電ペーストを印刷した様子を示す上面図である。
【図15C】図15BのXVC−XVC線断面図である。
【図15D】第1の異方性導電ペーストの上にさらにスクリーン印刷法によって第2の異方性導電ペーストを印刷した様子を示す上面図である。
【図15E】図15DのXVE−XVE線断面図である。
【図16】予備実験におけるバンプ荷重と接触抵抗の相対値との関係を表すグラフである。
【図17】予備実験におけるバンプサイズと接触抵抗の飽和値との関係を表すグラフである。
【図18】実施例1−1および実施例1−2における、バンプ荷重と接触抵抗値との関係を表すグラフである。
【図19】実施例2−1および実施例2−2における、バンプ荷重と接触抵抗値との関係を表すグラフである。
【図20】実施例3において、高密度部の径を50μm、100μm、150μm、200μmとした場合および高密度部を設けない場合の、バンプ荷重と接触抵抗値との関係を表すグラフである。
【図21】実施例4において、異方性導電ペーストB、C、D、Eを用いて形成したバンプについての、各バンプの荷重と接触抵抗値との関係を表すグラフである。
【図22】第1実施形態におけるバンプの形成方法、およびLSIパッケージとセラミックス配線板との接続方法の手順を示すフローチャートである。
【図23】第2実施形態におけるバンプの形成方法、およびLSIパッケージとセラミックス配線板との接続方法の手順を示すフローチャートである。
【図24】第3実施形態におけるバンプの形成方法、およびLSIパッケージとセラミックス配線板との接続方法の手順を示すフローチャートである。
【図25】第4実施形態におけるバンプの形成方法、およびLSIパッケージとセラミックス配線板との接続方法の手順を示すフローチャートである。
【図26】第5実施形態におけるバンプの形成方法、およびLSIパッケージとセラミックス配線板との接続方法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0129】
1、30、40、50…回路基板(部品搭載基板)
10…セラミックス配線板(基板)
14…基板側パッド(接続端子)
15、31、41、51…バンプ
16、32、42…基体部
16A、32A、42A…接続面
16B、42B…接続面
17、33…導体部
18、35、44…貫通孔
20…LSIパッケージ(電子部品)
21…バンプパッド(接続部)
34…導体膜
32B…露出面
43…高密度部(貫通部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられた接続端子と電子部品に設けられた接続部とを電気的に接続する接続構造であって、
導電性材料の粒子を含む第1の異方性導電ペーストにより形成される第1部材と、第1部材とは導電性が異なる第2部材とによって形成されたバンプを介して前記接続端子と前記接続部とが接続されている接続構造。
【請求項2】
第2部材は、導電性材料からなり、第1部材における前記接続端子との接続面から前記接続部との接続面に至るまで貫通形成されている請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記バンプが、導電性材料により形成された導体膜を備え、この導体膜が第1部材において少なくとも前記接続端子または前記接続部との接続面を覆い、かつ第2部材と接続されるものである、請求項2に記載の接続構造。
【請求項4】
前記導体膜が第1部材の露出面全体を覆うものである、請求項3に記載の接続構造。
【請求項5】
第2部材は、第1の異方性導電ペーストとは導電性材料の密度が異なる第2の異方性導電ペーストからなり、第1部材における前記接続端子との接続面から前記接続部との接続面に至るまで貫通形成されている請求項1に記載の接続構造。
【請求項6】
複数の前記接続端子とこれらの接続端子と対となる複数の前記接続部との間をそれぞれ接続する複数の前記バンプからなるバンプ群を備え、バンプ群が、互いに第2部材の径が異なる複数種のバンプで構成されている請求項5に記載の接続構造。
【請求項7】
第1部材は接続端子上に円盤状に形成され、第2部材は、第1の異方性導電ペーストよりも導電性材料の密度が低い第2の異方性導電ペーストからなり、第1部材の上面及び側面を覆うように形成されている請求項1に記載の接続構造。
【請求項8】
請求項1に記載の接続構造を備える部品搭載基板。
【請求項9】
基板に設けられた接続端子と電子部品に設けられた接続部とを電気的に接続する接続構造であって、
複数の接続端子とこれらの接続端子と対となる複数の接続部との間をそれぞれ接続する複数のバンプからなるバンプ群を備え、バンプ群が、導電性材料の密度が異なる複数種の異方性導電ペーストにより形成された複数種のバンプで構成される接続構造。
【請求項10】
請求項9に記載の接続構造を備える部品搭載基板。
【請求項11】
基板の表面に設けられた接続端子上に、前記基板上に搭載される電子部品の表面に設けられた接続部と接続端子とを電気的に接続するためのバンプを形成する方法であって、
接続端子上に導電性材料の粒子を含む異方性導電ペーストをスクリーン印刷する印刷工程と、
印刷後の異方性導電ペーストを硬化する硬化工程とを備えるバンプ形成方法。
【請求項12】
硬化後の前記異方性導電ペーストを貫通して前記接続端子に到達する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
接続端子を一方の電極として利用して貫通孔に電気メッキにより導電性金属を充填することにより導体部を形成するメッキ工程とをさらに備える請求項11に記載のバンプ形成方法。
【請求項13】
硬化後の前記異方性導電ペーストを貫通して前記接続端子に到達する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
無電解メッキにより貫通孔に導電性金属を充填して導体部を形成するとともに異方性導電ペーストの表面に導電性金属からなる導体膜を形成する無電解メッキ工程とをさらに備える請求項11に記載のバンプ形成方法。
【請求項14】
前記印刷工程において、前記異方性導電ペーストからなり、前記接続端子に到達する貫通孔を備えた基体がさらに形成され、
前記異方性導電ペーストとは導電性材料の密度が異なる第2の異方性導電ペーストをスクリーン印刷により前記貫通孔に充填して貫通部を形成する充填工程と、
充填後の第2の異方性導電ペーストを硬化する第2の硬化工程とをさらに備える請求項11に記載のバンプ形成方法。
【請求項15】
前記基板の表面に複数の前記接続端子が設けられ、前記電子部品の表面に複数の前記接続部が設けられ、
前記印刷工程において、それぞれの接続端子に印刷される異方性導電ペーストに含まれる導電性材料の密度が互いに異なる請求項11に記載のバンプ形成方法。
【請求項16】
前記印刷工程で印刷される異方性導電ペーストとは導電性材料の密度が異なる第2の異方性導電ペーストをスクリーン印刷する第2の印刷工程と、
第2の異方性導電ペーストを硬化する第2の硬化工程とをさらに備える請求項11に記載のバンプ形成方法。
【請求項17】
基板上に電子部品を搭載した部品搭載基板の製造方法であって、
請求項11に記載のバンプ形成方法で形成されたバンプを備える前記基板を提供する基板提供工程と、
前記接続端子と前記接続部とがバンプを挟んで対向するように電子部品を基板上に位置合わせする位置合わせ工程と、
前記基板に前記電子部品を押圧して接合する接合工程とを備える部品搭載基板の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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