説明

接続構造

【課題】回路面積の増加および接合工程の複雑化を抑制することが可能な接続構造を提供する。
【解決手段】この接続構造は、接続端子1aを有する基板1と、基板1の接続端子1aと電気的に接続される接続端子2bを有するとともに、基板1と樹脂層3を介して接合されるように構成された基板2とを備え、基板2の基板1に対する接合部分に設けられ、基板2の表面よりも窪むように形成されるとともに、樹脂層3を構成する樹脂が流入される穴部2cを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続構造に関し、特に、基板と電気部材との接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板とプリント基板や半導体チップなどの電気部材との接続構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、ガラス基板とフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits)とを接着剤により接合することによって、ガラス基板上の第1の配線とフレキシブルプリント基板上の第2の配線とを接続する接続構造が開示されている。上記特許文献1に開示された接続構造では、ガラス基板とフレキシブルプリント基板とを第1の接着剤により接合するとともに、第1の接着剤が基板間からはみ出るのを抑制するために基板間の隙間部分に第2の接着剤を配置し、さらに第2の接着剤が配置された領域に封止樹脂を配置するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−286790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された接続構造では、第1の接着剤が基板間からはみ出るのを抑制するために基板間に第2の接着剤および封止樹脂を別途配置するように構成されている。このため、ガラス基板にフレキシブルプリント基板を接合する際に、第2の接着剤および封止樹脂を配置する分だけ回路面積が増加するとともに、接合工程が複雑化するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、回路面積の増加および接合工程の複雑化を抑制することが可能な接続構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による接続構造は、第1端子部を有する基板と、基板の第1端子部と電気的に接続される第2端子部を有するとともに、基板と樹脂層を介して接合されるように構成された電気部材とを備え、基板および電気部材は、基板の電気部材に対する接合部分、および、電気部材の基板に対する接合部分の少なくとも一方に設けられ、基板および電気部材の表面よりも窪むように形成されるとともに、樹脂層を構成する樹脂が流入される凹部を含む。
【発明の効果】
【0008】
この発明の一の局面による接続構造では、上記のように、基板および電気部材のいずれか一方に樹脂層を構成する樹脂が流入される凹部を含むように構成することによって、基板と電気部材とを接合する際に、樹脂層を構成する樹脂が凹部に流入されるので、基板または電気部材の表面に沿って樹脂が流動するのが抑制される。これにより、別途接着剤および封止剤などを設けることなく樹脂層を構成する樹脂の基板または電気部材の表面に沿う方向の流動を抑制することができる。したがって、別途接着剤および封止剤を設けない分だけ電気部材を配置するための領域を小さくすることができるので、その分、回路面積が増加するのを抑制することができる。また、別途接着剤および封止剤を塗布する工程が不要であるので、接合工程が複雑になるのを抑制することができる。また、凹部を基板および電気部材の表面よりも窪むように形成することによって、基板および電気部材を樹脂により接合する際に、基板および電気部材と樹脂との接合面積が凹部の領域分だけ増加するので、その分、基板と電気部材との接合強度を大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による接続構造を説明するための断面図である。図2〜図4は、本発明の第1実施形態による接続構造を説明するための図である。
【0011】
第1実施形態では、本発明における接続構造の一例として、基板1に対して基板2(フレキシブルプリント基板)を接続する構造について説明する。なお、基板2は、本発明の「電気部材」および「配線基板」の一例である。
【0012】
図1に示すように、基板1は接続端子1aを備えている。基板2は、配線基板部2aと、配線基板部2aに設けられた接続端子2bとを備えている。なお、第1実施形態における接続端子1aおよび接続端子2bは、それぞれ、本発明における「第1端子部」および「第2端子部」の一例である。
【0013】
基板1の接続端子1aと基板2の接続端子2bとは面接触していることにより電気的に接続されている。また、この状態において、基板1と基板2とは、基板1と配線基板部2aとの間に配置された樹脂層3により互いに接合された状態になるように構成されている。なお、樹脂層3は、基板1と配線基板部2aとの接着剤としての機能を有する。具体的には、第1実施形態においては、樹脂層3は、NCF(Non−Conductive Film(非導電性フィルム))樹脂またはNCP(Non−Conductive Paste(非導電性ペースト))樹脂などにより構成されている。
【0014】
配線基板部2aには、樹脂層3に接触する側の面から樹脂層3に接触する側とは反対側の面に向かって貫通するように形成された複数の穴部2cが設けられている。なお、第1実施形態では、図2および図3に示すように、穴部2cは、2つの接続端子2bの間に挟まれた位置と、2つの接続端子2bを挟む位置とに、それぞれ3つずつ形成されている。また、第1実施形態における穴部2cは、本発明の「凹部」の一例である。
【0015】
穴部2cは、樹脂層3に接触する側の面(配線基板部2aの面)の内径(図のD1)よりも、樹脂層3に接触する側とは反対側の面(配線基板部2aの面)の内径(図のD2)の方が大きくなるように構成されている。具体的には、穴部2cの内径(開口面積)は、配線基板部2aの樹脂層3に接触する側の面から反対側の面にむかって次第に大きくなるように構成されている。
【0016】
また、樹脂層3を構成する樹脂が穴部2cに向かう方向(図4の矢印Z2方向)へ流動されることにより、その分、樹脂層3を構成する樹脂が基板1の表面(接続端子1aが配置された面)、および、基板2の配線基板部2aの表面(接続端子2bが配置された面)に沿った方向への流動が抑制されるように構成されている。
【0017】
図5および図6は、本発明の第1実施形態による接続構造において、基板1と基板2との接続時(接合時)における動作を説明するための図である。
【0018】
基板1と基板2とを接合する際には、図5に示すように、基板1と基板2との間に樹脂層3を構成する樹脂を配置するとともに、図6に示すように、基板2をZ1方向に移動させることにより樹脂層3を構成する樹脂が基板1および基板2により挟み込まれる。そして、基板1および基板2により圧力が加えられた樹脂が圧力に応じて流動する。
【0019】
ここで、穴部2cに樹脂(樹脂層3を構成する樹脂)が流入されるとともに、この穴部2cに流入した分だけ、基板1および配線基板部2aの表面に沿った方向への樹脂(樹脂層3を構成する樹脂)の流動が抑制される。
【0020】
そして、基板1および基板2が互いに接合された状態において加熱処理が行われることにより樹脂層3を構成する樹脂が硬化する。これにより、基板1および基板2とが接着された状態となる。
【0021】
第1実施形態では、上記のように、基板2の配線基板部2aに穴部2cを設けたことによって、基板1と基板2とを接合する際に、樹脂層3を構成する樹脂が穴部2cに流入されるので、基板1または基板2の表面に沿って樹脂が流動するのが抑制される。これにより、別途接着剤および封止剤などを設けることなく樹脂の基板1または基板2の表面に沿う方向の流動を抑制することができる。したがって、別途接着剤および封止剤を設けない分だけ基板2を配置するための領域を小さくすることができるので、その分、回路面積が増加するのを抑制することができる。また、別途接着剤および封止剤を塗布する工程が不要であるので、接合工程が複雑になるのを抑制することができる。また、穴部2cを基板2の配線基板部2aの表面よりも窪むように形成することによって、基板1および基板2を樹脂により接合する際に、穴部2cが形成された分、基板1および基板2と樹脂との接合面積が増加するので、その分、基板1と基板2との接合強度を大きくすることができる。また、穴部2cを複数設けることによって、基板1と基板2との接合強度をより大きくすることができる。
【0022】
また、穴部2cを設けることによって、樹脂層3を構成する樹脂が穴部2cに向かう方向(矢印Z2方向)へ流動されるとともに、穴部2cに流入した分だけ、基板1および配線基板部2aの表面に沿った方向に樹脂(樹脂層3を構成する樹脂)が流動されるのが抑制される。したがって、この方向への樹脂の流動が抑制された分だけ、樹脂の流動に伴って接続端子1aおよび接続端子2bが互いにずれることを抑制することができる。その結果、接続端子1aおよび接続端子2bに接触不良が発生するのを抑制することができる。また、このとき、たとえば、予め接続端子1aおよび接続端子2bを樹脂の流動に伴ってずれる分だけ互いにずらして配置させておくことにより、樹脂層3を構成する樹脂が流動する際に接続端子1aおよび接続端子2bの接続状態を容易に維持させることができる。
【0023】
また、穴部2cを、配線基板部2aの樹脂層3に接触する側の面の開口面積よりも樹脂層3に接触する側とは反対側の面の開口面積の方が大きくなるように構成することによって、穴部2cに流動した樹脂(樹脂層3を構成する樹脂)が硬化した際には、硬化した穴部2c内の樹脂層3の幅の大きさは穴部2cにおける樹脂が流入した部分の幅よりも大きいので、硬化した穴部2c内の樹脂層3と穴部2c自体とを係合した状態にすることができる。また、穴部2cは、配線基板部2aの樹脂層3に接触する側の面から反対側の面に向けて貫通するように構成されているので、配線基板部2aと樹脂層3との間に入り込む空気を接合面の外側に放出させることができる。さらに、空気を放出する際に、空気が穴部2cを通過することにより、より樹脂層3を構成する樹脂を穴部2cに流動させることができる。したがって、以上のことにより、樹脂層3と配線基板部2aとの接合強度をより大きくすることができる。
【0024】
(第2実施形態)
図7〜図9は、本発明の第2実施形態による接続構造を説明するための図である。この第2実施形態では、基板1に対して基板2(フレキシブルプリント基板)を接続する構造について説明した第1実施形態とは異なり、基板1に対してチップサイズパッケージ(CSP)方式により形成されたチップ(LSIなどの半導体チップ)4を接続する構造について説明する。なお、チップ4は、本発明の「電気部材」および「電子部品」の一例である。
【0025】
チップ4は、接続端子4aを備えている。また、チップ4は、接続端子4aが配置された側の表面に沿って、各接続端子4aの間、および、各接続端子4aを挟む位置に複数の溝部4bが形成されている。また、溝部4bは、平面的にみて、チップ4の端部にまで達するように図8のY方向に延びるように形成されている。なお、第2実施形態における溝部4bは、本発明の「凹部」の一例である。
【0026】
基板1の接続端子1aとチップ4の接続端子4aとは面接触することにより電気的に接続されるとともに、この状態において基板1とチップ4とが樹脂層3aにより接着される。
【0027】
なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0028】
基板1とチップ4とを接合する際には、第1実施形態と同様に、チップ4をZ1方向(図7参照)に移動させることにより樹脂層3aが基板1およびチップ4により挟み込まれる。そして、基板1およびチップ4により圧力が加えられた樹脂層3aが圧力に応じて流動する。このとき、溝部4bに向かって樹脂が流動されることにより、その分、基板1およびチップ4の表面に沿った方向に流動する樹脂(樹脂層3aを構成する樹脂)の量が低減される。
【0029】
なお、第2実施形態のその他の動作は第1実施形態と同様である。
【0030】
第2実施形態では、上記のように、基板1およびチップ4の表面に沿った方向に流動する樹脂(樹脂層3aを構成する樹脂)の量が低減されるので、第1実施形態と同様に、別途接着剤および封止剤を設けることなく基板1およびチップ4を接合することができる。その結果、回路面積が増加するのを抑制することができるとともに、接合工程が複雑になるのを抑制することができる。
【0031】
また、溝部4bを、平面的にみて、チップ4の端部にまで達するように延びるように形成することによって、基板1とチップ4との接合時に樹脂(樹脂層3aを構成する樹脂)が流動する際、樹脂とチップ4との間の空気をチップ4の端部から放出することができる。したがって、チップ4と樹脂層3aとの接合強度をより大きくすることができる。
【0032】
なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0033】
(第3実施形態)
図10および図11は、本発明の第3実施形態の構成を説明するための断面図である。この第3実施形態では、基板1に対して穴部2cを有する基板2を接続する構造について説明した第1実施形態とは異なり、基板1に穴部40bを有するチップ40を接続する構造について説明する。なお、チップ40は、本発明の「電気部材」および「電子部品」の一例である。
【0034】
チップ40は、接続端子40aを備えている。また、チップ40には、第1実施形態と同様に、樹脂層3bに接触する側の面から樹脂層3bに接触する側とは反対側の面に向かって貫通するような複数の穴部40bが形成されている。具体的には、複数の穴部40bは、各接続端子40aの近傍に、接続端子40aを囲むようにして配置されている。穴部40bは、第1実施形態と同様に、チップ40の樹脂層3bに接触する側の内径の大きさ(図のD3)よりも、配線基板部2aの樹脂層3に接触する側とは反対側の内径の大きさ(図のD4)の方が大きくなるように構成されている。なお、第3実施形態における穴部40bは、本発明の「凹部」の一例である。
【0035】
なお、第3実施形態のその他の構成および動作は、第2実施形態と同様である。
【0036】
第3実施形態では、上記のように、チップ40に穴部40bを設けた場合であっても、第1実施形態と同様に、樹脂層3bを構成する樹脂が穴部40bに向かって流入されるので、その分、基板1およびチップ40の表面に沿った方向へ樹脂(樹脂層3bを構成する樹脂)が流動するのを抑制することができる。したがって、基板1およびチップ40の表面に沿った方向に樹脂が流動するのに起因して接続端子1aおよび接続端子40aがずれるのを抑制することができる。また、穴部40bに樹脂が流動した分、チップ40と樹脂層3bとの接合強度を大きくすることができる。
【0037】
また、複数の穴部40bを、基板1とチップ40とを接合させる際に樹脂(樹脂層3bを構成する樹脂)に最初に接触する部分である接続端子40aの近傍に、接続端子40aを囲むようにして配置することによって、樹脂の流動が開始された直後に樹脂は穴部40bに向かって流動される。したがって、より多量の樹脂を穴部40bに流動させることができるので、その分、チップ40と樹脂層3bとの接合強度を大きくすることができる。また、基板1およびチップ40の表面に沿った方向に流動する樹脂の量を低減させることができるので、樹脂の流動に起因して接続端子1aおよび接続端子40aがずれるのを抑制することができる。
【0038】
なお、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0039】
(第4実施形態)
図12は、本発明の第4実施形態による接続構造を説明するための断面図である。この第4実施形態では、チップ40に穴部40bを形成した第3実施形態の構成に加えて、基板1にも穴部1bを設けた構成について説明する。
【0040】
基板1には、樹脂層3bに接触する側の面から樹脂層3bに接触する側とは反対側の面に向かって貫通するように形成された複数の穴部1bが設けられている。穴部1bは、基板1の樹脂層3bに接触する側の内径の大きさ(図のD5)よりも、基板1の樹脂層3bに接触する側とは反対側の内径の大きさ(図のD6)の方が大きくなるように構成されている。なお、第4実施形態における穴部1bは、本発明の「凹部」の一例である。
【0041】
なお、第4実施形態のその他の構成および動作は、第3実施形態と同様である。
【0042】
第4実施形態では、上記のように、チップ40に穴部40bを設けるとともに基板1にも穴部1bを設けることによって、樹脂層3bを構成する樹脂が流動する際に、チップ40の穴部40bのみならず基板1の穴部1bにも樹脂が流動するので、その分、基板1およびチップ40の表面に沿った方向に対して樹脂が流動するのをより確実に抑制することができる。また、基板1側にも穴部1bを設けることによって、基板1と樹脂層3bとの接合強度をより大きくすることができる。
【0043】
なお、第4実施形態のその他の効果は、第3実施形態と同様である。
【0044】
(第5実施形態)
図13は、本発明の第5実施形態による接続構造を説明するための断面図である。第5実施形態では、基板1およびチップ40にそれぞれ穴部1bおよび40bを設けた第4実施形態とは異なり、基板1にのみ穴部1bを設けた構成について説明する。
【0045】
基板1には、第4実施形態と同様に、樹脂層3bに接触する側の面から樹脂層3bに接触する側とは反対側の面に向かって貫通するように複数の穴部1bが設けられている。また、チップ41には、接続端子41aが設けられている。また、基板1の接続端子1aとチップ41の接続端子41aとは、面接触することにより電気的に接続されている。なお、第5実施形態における接続端子41aおよび穴部1bは、それぞれ、本発明の「第2端子部」および「凹部」の一例である。
【0046】
なお、第5実施形態のその他の構成および動作は、第4実施形態と同様である。
【0047】
基板1側にのみ穴部1bを設けた場合であっても、穴部1bに樹脂層3bを構成する樹脂が流入することによって、その分、基板1およびチップ40の表面に沿った方向に流動する樹脂の量を低減させることができる。したがって、この場合においても、樹脂の流動に起因して接続端子1aおよび接続端子40aがずれるのを抑制することができるとともに、穴部1bに樹脂が流動した分、基板1と樹脂層3bとの接合強度を大きくすることができる。
【0048】
なお、第5実施形態のその他の効果は、第3実施形態と同様である。
【0049】
(第6実施形態)
図14および図15は、本発明の第6実施形態による接続構造を説明するための図である。この第6実施形態では、チップ40に穴部40bを設けた第3実施形態の構成において、チップ4の接続端子40aが配置された位置にも穴部40cを設ける構成について説明する。
【0050】
第6実施形態における接続構造では、第3実施形態と同様に、チップ40には、樹脂層3bと接触する側の面から反対側の面に向かって次第に開口面積が大きくなるような複数の穴部40bが設けられている。また、図14および図15に示すように、接続端子40aとチップ40の接続端子40aが配置された領域とを貫通するようにして穴部40cが設けられている。また、穴部40cは、図15に示すように、平面的にみて、接続端子40aの中心部分を貫通するように形成されている。なお、第6実施形態の穴部40cは、本発明における「凹部」の一例である。
【0051】
なお、第6実施形態のその他の構成および動作は、第3実施形態と同様である。
【0052】
チップ40と基板1とを接合する際に樹脂(樹脂層3bを構成する樹脂)の流動が発生する部分である接続端子40aに穴部40cを設けることによって、チップ40と基板1との接合動作時に、接続端子40aと樹脂層3bを構成する樹脂とが接触するとともに、接続端子40aに接触する樹脂が穴部40cに流動されるので、基板1およびチップ40の表面に沿った方向への樹脂の流動をより確実に抑制することができる。
【0053】
なお、第6実施形態におけるその他の効果は、第3実施形態と同様である。
【0054】
(第7実施形態)
図16〜図18は、本発明の第7実施形態による接続構造を説明するための図である。この第7実施形態では、チップ42に溝部42bおよび穴部42cの両方を設けた例について説明する。なお、第7実施形態におけるチップ42は、本発明における「電気部材」および「電子部品」である。
【0055】
チップ42は、接続端子42aを備えている。また、チップ42には、樹脂層3cと接触する側の面に溝部42bが設けられている。溝部42bは、平面的にみて、各接続端子42aを囲むようにして形成されている。また、チップ42には、溝部42bの底部分から溝部42bが形成された面とは反対側の面にかけて貫通するような穴部42cが複数設けられている。また、穴部42cの内径(図17のD7)は、溝部42bの幅の大きさ(図17のL1)よりも大きくなるように構成されている。なお、溝部42bおよび穴部42cは、それぞれ、本発明の「凹部」の一例である。
【0056】
なお、第7実施形態におけるその他の構成および動作は、第2および第3実施形態と同様である。
【0057】
チップ42の表面に、チップ42の接続端子42aを囲むように溝部42bを形成することによって、基板1とチップ42との接合時に流動した樹脂(樹脂層3cを構成する樹脂)が溝部42bに流動されるので、その分、チップ42および基板1の表面に沿った方向への樹脂の流動の量を低減させることができる。また、溝部42bの底部分から、チップ42の溝部42bが形成された側とは反対側の表面にかけて貫通するように穴部42cを設けることによって、溝部42bに流動した樹脂と溝部42bとの間の空気を穴部42cから放出させることができる。したがって、溝部42bと樹脂層3cとの接合強度を大きくすることができる。また、穴部42cの内径を、溝部42bの幅の大きさよりも大きくすることによって、溝部42bを介して穴部42cまで流動した樹脂(樹脂層3cを構成する樹脂)が硬化した際に、穴部42c内において硬化した樹脂層3cと穴部42cとが係合した状態になるので、チップ42と樹脂層3cとの接合強度をより大きくすることができる。
【0058】
なお、第7実施形態のその他の効果は、上記第2および第3実施形態の効果と同様である。
【0059】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0060】
たとえば、第1実施形態では、基板にフレキシブルプリント基板を接続する例を示すとともに、第2〜第7実施形態では、基板にチップを接続する例を示したが、本発明はこれに限らず、第2〜第7実施形態において示した接続構造を第1実施形態においても適用可能であるとともに、第1実施形態において示した接続構造を第2〜第7実施形態の各々においても適用可能である。
【0061】
また、第1〜第7実施形態では、樹脂層をNCF(非導電性フィルム)樹脂またはNCP(非導電性ペースト)樹脂により構成されている例を示したが、本発明はこれに限らず、ACF(Anisotropic Conductive Film(異方性導電性フィルム))樹脂、または、ACP(Anisotropic Conductive Paste(異方性導電性ペースト))樹脂などにより構成してもよい。また、この場合、基板側の接続端子と電気部材(FPCおよびチップ)側の接続端子とは直接接触していなくても導電性粒子を介して接触していればよい。
【0062】
また、電気部材の一例として、第1実施形態においてフレキシブルプリント基板(FPC)を用いるとともに、第2〜第7実施形態においてチップを用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、基板の接続部分(接続端子)に対する接続部分(接続端子)を備えた電気部材であれば適用可能である。たとえば、基板の接続端子に対して接続可能な電気部材の一例としては、配線基板およびチップの他に、コイルの接続端子またはコンデンサなどの回路素子の接続端子などが挙げられる。また、このような電気部材を本発明の取付構造を適用して接続したデバイスの一例として、たとえば、アクチュエータ用コイル、高周波用アンテナまたは基板内蔵用コンデンサなどが挙げられる。
【0063】
また、第1〜第7実施形態では、本発明の凹部の一例として溝部および穴部を適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、凹部は穴部または溝部以外でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施形態による接続構造について説明するための断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による接続構造について説明するための平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による接続構造について説明するための平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による接続構造について説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態による接続構造について説明するための図である。
【図6】本発明の第1実施形態による接続構造について説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施形態による接続構造について説明するための断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態による接続構造について説明するための平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態による接続構造について説明するための斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態による接続構造について説明するための断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態による接続構造について説明するための平面図である。
【図12】本発明の第4実施形態による接続構造について説明するための断面図である。
【図13】本発明の第5実施形態による接続構造について説明するための断面図である。
【図14】本発明の第6実施形態による接続構造について説明するための断面図である。
【図15】本発明の第6実施形態による接続構造について説明するための平面図である。
【図16】本発明の第7実施形態による接続構造について説明するための断面図である。
【図17】本発明の第7実施形態による接続構造について説明するための平面図である。
【図18】図17の100−100線に沿った断面斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 基板
1a 接続端子(第1端子部)
1b 穴部(凹部)
2 基板(電気部材)(配線基板)
2b 接続端子(第2端子部)
2c 穴部2c(凹部)
3 樹脂層
3a 樹脂層
3b 樹脂層
3c 樹脂層
4 チップ(電気部材)(電子部品)
4a 接続端子(第1端子部)
4b 溝部(凹部)
40 チップ(電気部材)(電子部品)
40b 穴部(凹部)
40c 穴部(凹部)
41 チップ(電気部材)(電子部品)
41a 接続端子(第2端子部)
42 チップ(電気部材)(電子部品)
42a 接続端子(第2端子部)
42b 溝部(凹部)
42c 穴部(凹部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子部を有する基板と、
前記基板の第1端子部と電気的に接続される第2端子部を有するとともに、前記基板と樹脂層を介して接合されるように構成された電気部材とを備え、
前記基板および前記電気部材は、前記基板の前記電気部材に対する接合部分、および、前記電気部材の前記基板に対する接合部分の少なくとも一方に設けられ、前記基板および前記電気部材の表面よりも窪むように形成されるとともに、前記樹脂層を構成する樹脂が流入される凹部を含む、接続構造。
【請求項2】
前記凹部は、前記樹脂層を構成する樹脂が前記凹部に流入されることにより、前記基板の第1端子部が配置された面、および、前記電気部材の第2端子部が配置された面に沿った方向への前記樹脂層を構成する樹脂の流動が抑制されるように構成されている、請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記凹部は、前記基板の第1端子部が配置された面、および、前記電気部材の第2端子部が配置された面の少なくとも一方の面に沿って形成された溝部を有する、請求項1または2に記載の接続構造。
【請求項4】
前記凹部の少なくとも一部は、前記基板および前記電気部材の少なくとも一方を貫通するように形成された穴部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の接続構造。
【請求項5】
前記凹部は、前記基板の第1端子部が配置された面、および、前記電気部材の第2端子部が配置された面の少なくとも一方の面に沿って形成された溝部を有し、
前記穴部は、前記溝部の底部分から前記溝部が形成された面とは反対側の面にかけて貫通するように形成されている、請求項4に記載の接続構造。
【請求項6】
前記穴部は、前記樹脂が配置される側の面の開口面積よりも前記樹脂が配置される側とは反対側の面の開口面積の方が大きくなるように構成されている、請求項4または5に記載の接続構造。
【請求項7】
前記電気部材は、電子部品または配線基板を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−283767(P2009−283767A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135665(P2008−135665)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】