接続端子及び接続治具
【課題】円筒形状部が抵抗溶接による固定の前後においてほぼ円形形状を維持している接続端子を提供する。
【解決手段】対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子は、小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、小径の導電部の先端部が、大径の円筒形状部の先端部から突出し、小径の導電部の一部が、大径の円筒形状部の一部に接合されており、小径の導電部に接合された大径の円筒形状部の部分を少なくとも含む円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の一部に切欠き部が形成されている。
【解決手段】対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子は、小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、小径の導電部の先端部が、大径の円筒形状部の先端部から突出し、小径の導電部の一部が、大径の円筒形状部の一部に接合されており、小径の導電部に接合された大径の円筒形状部の部分を少なくとも含む円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の一部に切欠き部が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に予め設定される対象点と検査装置等とを電気的に接続する接続治具及び接続治具に用いられる絶縁被覆を有する接続端子に関する。なお、本発明の接続端子は、接続対象として検査装置に限定されず、所定二点間を電気的に接続するためにも用いられる。
【背景技術】
【0002】
接続治具は、接続端子(接触子、プローブ、探針、接触ピン等)を備えていて、それらを経由して、対象物に予め設定される対象点に、検査装置等から電流或いは電気信号を供給するとともに、その対象点から電気信号を検出することによって、対象点間の電気的特性を検出して、導通検査やリーク検査の動作試験等をする。
【0003】
その対象物としては、例えば、プリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板又は半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板や、半導体ウェハや半導体チップやCSP (chip size package)などの半導体装置(LSI(Large Scale Integration)など)が該当する。尚、この接続端子は、上記の対象物と装置とを電気的に接続することを目的とすることもでき、更に、インターポーザやコネクタのように電極端と電極端とを接続する接続治具としても採用することができる。
【0004】
例えば、被検査物が基板であり、それに搭載されるものがIC等の半導体回路や抵抗器などの電気・電子部品の場合には、基板に形成された検査対象部が配線や電極になる。この場合には、検査対象部の配線が、それらに電気信号を正確に伝達できることを保証するため、電気・電子部品を実装する前のプリント配線基板、液晶パネルやプラズマディスプレイパネルに配線が形成された回線基板に設けられた検査点間の抵抗値等の電気的特性を測定して、その配線の良否を判断している。
【0005】
接続治具を検査治具として用いる場合には、被検査物の検査対象部の検査点に先端部を接触させてその検査対象部に、測定のための電流を供給したり電圧を測定したりするための複数のプローブが設けられている。
【0006】
本明細書では、上記の対象物を総称して「対象物」と称し、対象物に設定されるとともに接続端子が当接して導通状態となる部位を単に「対象点」と称する。尚、対象点と対象点とで挟まれる部位は「対象点間」として設定されることになる。
【0007】
対象物が、LSIである場合には、LSIに形成される電子回路が対象部となり、この電子回路の表面パッドが夫々対象点となる。この場合には、LSIに形成される電子回路が所望の電気的特性を有していることを保証するために、対象点間の電気的特性を測定して、この電子回路の良否を判断する。
【0008】
また、対象物が、電気・電子部品を搭載する基板である場合には、基板に形成された配線が対象部となり、この配線の両端が対象点となる。この場合には、対象部となる配線が、それらに電気信号を正確に伝達できることを保証するため、電気・電子部品を実装する前の配線基板に形成された配線上の所定の対象点間の抵抗値やリーク電流等の電気的特性を測定して、その配線の良否を判断する。
【0009】
具体的には、その配線の良否の判定は、各対象点に、電流供給用端子及び/又は電圧測定用の接続端子の先端を当接させて、その接続端子の電流供給用端子から対象点に測定用電流を供給するとともに対象点に当接させた接続端子の先端間の配線に生じた電圧を測定し、それらの供給電流と測定した電圧とから所定の対象点間における配線の抵抗値を算出することによって行う。
【0010】
例えば、基板検査装置を用いて上記のいずれかの基板の検査を行う場合には、治具移動手段によって基板接続治具の検査用の接続端子(接触子、プローブ、探針、接触ピン等)を被検査基板の対象点まで移動させてそれに当接させて対象物の所定の検査を行い、検査が終了すると、治具移動手段により治具を対象点から待機位置まで移動させる、という制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4572303号
【特許文献2】特許第4031007号
【特許文献3】特開2004−115838号公報
【特許文献4】特開2008−25833号公報
【特許文献5】特開2009−160722号公報 特許文献1は、スパイラル構造部分を有するNi電鋳管の内部に導電性のピンを挿入し、ピンをカシメ、溶接、溶着材などの手段によってNi電鋳管に固定した通電検査治具用接触子を開示する。
【0012】
特許文献2は、周壁の一部がスプリングとなった筒体内に、直線状の接触子及び案内子からなる接触ピンを備え、接触子と案内子との間に鍔部が設けられていて、鍔部が筒体の下端に連結されているコイルスプリングプローブを開示する。
【0013】
特許文献3は、線形素材の外周面に金めっき層を形成し、その上にさらにニッケルめっき層を形成した後に、線形素材を引っ張って線形素材の断面積を小さくする等によって、線形素材を除去することによって、ニッケル電鋳パイプを製造する方法を開示する。
【0014】
特許文献4は、SUS線の外周面に絶縁被覆を形成し、それにレーザによりらせん状の溝を形成してSUS線の外周面を露出させ、そこに絶縁被覆と同じ厚さのニッケル被膜を形成し、それから、絶縁被覆を除去するとともにSUS線を引きぬいてコイル状スプリング構造を一部に備えるニッケル電鋳パイプを製造する方法を開示する。
【0015】
特許文献5は、マイクロパイプを別に製造し、そのマイクロパイプの外周面にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜に、例えば現像によりらせん状に感光部分を溶かしてらせんスペースパターンを形成するとともに、そのマイクロパイプを周回するスペースパターンを所定間隔で形成し、それをエッチング処理することによって、スペースパターンで分断された複数のマイクロコイルを同時に形成する方法を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1のように、Ni電鋳管の内部に導電性のピンを挿入し、ピンをカシメ、溶接、溶着材などの手段によってNi電鋳管に固定すると、その固定の際に電鋳管を対向する位置から挟み込む力によって電鋳管の断面が円形から楕円に変形して接触子の最大外径が大きくなってしまい、近年の検査対象の基板の複雑化や微細化に伴う接続端子の微細化の要求にこたえられないことが危惧される。
【0017】
特許文献2のコイルスプリングプローブでは、接触子と案内子との間に鍔部を設けて、それらを筒体に連結する必要があり、部品点数及び組み立て工数が多くなっている。また、筒体のスプリング部が露出しているため、そのスプリング部が、筒体に対し相対的に移動しない検査用治具のプローブガイド部や挿通孔の壁面に接触したりすることがある。
【0018】
また、近年、LSIの形成プロセスが向上し、LSIの微細化が推進され、LSI検査用パッドの狭ピッチ化や多数化が進んだことにより、検査対象の基板の複雑化や微細化がより進み、基板に設定される対象点がより狭く又は小さく形成されるようになったため、接続端子がより細く形成されている。そのため、多数の微細な接続端子をより効率よく製造することが求められている。
【0019】
また、接続端子には、隣接配置される接続端子同士が接触して短絡することを防止するために、接続端子表面に絶縁被膜を形成することが好ましいが、接続端子が微細になればなるほど、この絶縁被膜を形成することも極めて困難となる。
【0020】
特許文献3及び4には、線形素材やSUS線を除去した段階で、微細なニッケル電鋳パイプやコイル状スプリング構造を一部に備えるニッケル電鋳パイプを製造する方法が開示されている。しかし、その製造されたニッケル電鋳パイプから接続治具に取り付けられる接続端子を製造するためには、さらに、そのパイプを接続端子に適した長さに切断したり、接続治具との係止部を形成したりする等の追加の工程が必要である。
【0021】
また、特許文献5には、特許文献3等により製造されたマイクロパイプを製造した後に、追加の工程によってマイクロコイルを製造する方法が開示されている。そのマイクロコイルから接続治具に取り付けられる接続端子を製造するためには、さらに、特許文献3及び4に関連して上述したような追加の工程が必要である。
【0022】
そこで、本発明は、電気溶接のように、円筒形状部の外側の少なくとも対向する位置から内部の円柱形状部に向けて力を加えて円筒形状部と円柱形状部とを接合することによって製造する接続端子において、円筒形状部が、固定の前後においてほぼ円形形状(又は元の形状)を維持している接続端子を提供することを目的とする。
【0023】
本発明は、部品点数の少ないプローブを提供することを目的とする。
【0024】
本発明は、組み立てが簡易なプローブを提供することを目的とする。
【0025】
また、本発明は、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とすることなく切欠部を形成することができる接続端子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
そこで、本発明に係る対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子は、小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、前記小径の導電部の先端部が、前記大径の円筒形状部の先端部から突出し、前記小径の導電部の一部が、前記大径の円筒形状部の一部に接合されており、前記小径の導電部に接合された前記大径の円筒形状部の部分を少なくとも含む該円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の一部に切欠き部が形成されていることを特徴とする。
【0027】
その接続端子において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線方向の長さと、該円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の周面に沿った幅方向の長さとを持ち、前記切欠き部の前記軸線方向の長さが、前記小径の導電部の一部を前記大径の円筒形状部の一部に接合する際に用いる電極の該円筒形状部の軸線方向の両端部を超えた長さであり、また、前記切欠き部の前記幅方向の長さが、前記円筒形状部の内周面の1周の長さと前記小径の導電部の外周面の1周の長さとの差よりも大である。
【0028】
その接続端子において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線に沿った方向又は軸線に沿った方向と交差する方向に形成されていてもよい。
【0029】
その接続端子において、前記切欠き部は、前記円筒形状部の軸線を線対象とする一対の切欠き部でもよい。
【0030】
その接続端子において、前記切欠き部は細長い開口のスリット形状でもよい。
【0031】
その接続端子において、各切欠き部の長さが、前記小径の導電部の一部と前記大径の円筒形状部の一部とが接合された部分の該切欠き部に沿った方向の長さよりも大である。
【0032】
その接続端子において、前記円筒形状部の前記導電部に接合された部分を含む前記帯状部分を除く部分にばね部が形成されていてもよい。
【0033】
その接続端子において、前記小径の導電部は円柱形状部又は円筒形状部でもよい。
【0034】
その接続端子において、前記小径の円筒形状部の導電部の一部にばね部が形成されていてもよい。
【0035】
また、本発明に係る対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子を製造する方法は、小径の導電部と大径の円筒形状部とを形成し、前記大径の円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の一部に切欠き部を形成し、前記大径の円筒形状部に前記小径の導電部を挿入して前記小径の導電部の先端部を前記大径の円筒形状部の先端部から突出させ、前記大径の円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の該軸線方向と直交する方向に対向する位置であって前記切欠き部が形成された位置を除く位置に一対の抵抗溶接用の電極を配置し、該一対の抵抗溶接の電極を互いに近づけるように前記大径の円筒形状部を押圧して前記小径の導電部に接触させ、前記一対の抵抗溶接の電極に所定の電流を流すことによって、前記大径の円筒形状部の一部と前記小径の導電部の一部とを接合することを特徴とする。
【0036】
その接続端子を製造する方法において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線方向の長さと、該円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の周面に沿った幅方向の長さとを持ち、前記切欠き部の前記軸線方向の長さが、前記抵抗溶接の電極の該円筒形状部の軸線方向の両端部を超えた長さであり、また、前記切欠き部の前記幅方向の長さが、前記円筒形状部の内周面の1周の長さと前記小径の導電部の外周面の1周の長さとの差よりも大である。
【0037】
その接続端子を製造する方法において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線に沿った方向又は軸線に沿った方向と交差する方向に形成されていてもよい。
【0038】
その接続端子を製造する方法において、前記円筒形状部の前記導電部に接合された部分を含む前記帯状部分を除く部分にばね部が形成されていてもよい。
【0039】
その接続端子を製造する方法において、前記小径の導電部は、円柱形状部又は円筒形状部でもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明によると、電気溶接のように、円筒形状部の外側の少なくとも対向する位置から内部の円柱形状部に向けて力を加えて円筒形状部と円柱形状部とを固定することによって製造する接続端子において、円筒形状部が、固定の前後においてほぼ円形形状(又は元の形状)を維持している接続端子を提供することができる。
【0041】
本発明によると、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とすることなく切欠き部を備える接続端子及び接続治具を提供することができる。
【0042】
さらに、本発明によると、部品点数の少ないプローブを提供することができる。
【0043】
本発明によると、組み立てが簡易なプローブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、検査用のプローブを取り付けた本発明の一実施形態に係る検査用治具の概略の構成を示す一部断面正面図である。
【図2A】図2Aは、図1の検査用治具に用いることのできる一実施形態に係るスリットを備える接続端子の概略構成を示す一部断面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの接続端子の構成部材の一部の一例を示す概略構成図である。
【図2C】図2Cは、図2Aの接続端子の構成部材の一部の一例を示す概略構成図である。
【図2D】図2Dは、図2Aの接続端子の製造方法の一例を説明するための概念図である。
【図3A】図3Aは、図2Aの3A−3Aの矢印方向に見た簡略化した断面図である。
【図3B】図3Bは、接続端子にスリットが形成されていない状態で固定を行った場合を説明するための概念図である。
【図3C】図3Cは、接続端子にスリットが形成されていない状態で固定を行った場合を説明するための概念図である。
【図4】図4は、図1の一実施形態に係る検査用治具の一部の構成を簡略化して示す拡大一部断面図である。
【図5】図5は、図1の一実施形態に係る検査用治具の一部の構成を簡略化して示す拡大一部断面図である。
【図6A】図6Aは、本発明に係る接続端子を製造する段階におけるニッケルめっき層形成工程の一実施例を示す断面図である。
【図6B】図6Bは、本発明に係る接続端子を製造する段階における絶縁膜形成工程の一実施例を示す断面図である。
【図6C】図6Cは、本発明に係る接続端子を製造する段階における一部の絶縁膜除去工程の一実施例を示す断面図である。
【図6D】図6Dは、本発明に係る接続端子を製造する段階におけるニッケルめっき層エッチング工程の一実施例を示す断面図である。
【図6E】図6Eは、本発明に係る接続端子を製造する段階における所定の部位の絶縁膜除去工程の一実施例を示す断面図である。
【図6F】図6Fは、本発明に係る接続端子を製造する段階における金めっき層除去工程の一実施例を示す断面図である。
【図6G】図6Gは、本発明に係る接続端子を製造する段階における芯材の引き伸ばし工程の一実施例を示す断面図である。
【図6H】図6Hは、本発明に係る接続端子を製造する段階における芯材の引き抜き工程の一実施例を示す断面図である。
【図7A】図7Aは、他の実施形態に係るプローブの概略構成を示す側面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示すプローブの中心断面図である。
【図8】図8は、図7A及び図7Bの実施形態に係るプローブを取り付けた検査用治具の一部の構成を簡略化して示す断面図である。
【図9A】図9Aは、図1の検査用治具に用いることのできる一実施形態に係るプローブの概略構成を示す一部断面図である。
【図9B】図9Bは、図9Aのプローブの構成部材の一部の一例を示す概略構成図である。
【図9C】図9Cは、図9Aのプローブの構成部材の一部の一例を示す概略構成図である。
【図10A】図10Aは、本発明の一実施形態に係る接続端子の当接部を示す拡大正面図である。
【図10B】図10Bは、図10Aに示す本発明の一実施形態に係る接続端子の当接部を示す拡大底面図である。
【図11A】図11Aは、本発明の一実施形態に係る接続端子の当接部の一部拡大断面図である。
【図11B】図11Bは、本発明の他の実施形態に係る接続端子の当接部の一部拡大断面図である。
【図12A】12Aは、本発明の他の実施形態に係る接続端子の当接部を示す拡大正面図である。
【図12B】図12Bは、図12Aに示す接続端子の当接部を示す拡大底面図である。
【図13A】図13Aは、図10A及び図10Bに係る接続端子の当接部に対応する当接部の走査電子顕微鏡による拡大写真である。
【図13B】図13Bは、図12A及び図12Bに係る接続端子の当接部に対応する当接部の走査電子顕微鏡による拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の検査用治具及び接続端子は、被検査物が有する検査対象部に、検査装置から電力或いは電気信号を所定検査位置に供給するとともに、検査対象部から電気信号を検出することによって、検査対象部の電気的特性を検出したり、動作試験を行ったりすることを可能にする。
【0046】
被検査物として、例えば、プリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板、及び半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板や、半導体ウェハや半導体チップやCSP(Chip size package)などの半導体装置を例示することができる。
【0047】
また、本発明に係る接続端子は、対象物と装置とを電気的に接続することを目的とすることもでき、更に、インターポーザやコネクタのように電極端と電極端とを接続する接続治具としても採用することができる。
【0048】
本明細書では、これらの上記の被検査物を総称して「被検査物」とし、被検査物に形成される検査対象部を「検査対象部」と称する。また、本明細書では、上記の対象物を総称して「対象物」と称し、対象物に設定されるとともに接続端子が当接して導通状態となる部位を単に「対象点」と称する。尚、対象点と対象点とで挟まれる部位は「対象点間」として設定されることになる。
【0049】
以下に、添付図面に基づいて、接続端子を基板や半導体装置の被検査物の検査対象部の検査用のプローブとして用いた場合について説明を行う。
【0050】
なお、各添付図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔等は、理解の容易のために、適宜、拡大・縮小・変形・簡略化等を行っている。
【0051】
[検査用治具の概略の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る検査用治具10の概略の構成を示す一部断面正面図である。検査用治具10は、ヘッド部12、ベース部14及び電極部16を備える。ヘッド部12及びベース部14は、樹脂あるいはセラミックス等の絶縁性の板状部材からなる。ヘッド部12及びベース部14は、棒状の支持部材11及びその周囲に環装されたスペーサ11sによって所定の距離だけ離隔されて保持されている。
【0052】
ヘッド部12には複数の貫通孔12hが形成されていて、それに挿入されたプローブ20の先端部22fが所定の位置に案内される。ベース部14には複数の貫通孔14hが形成されていて、それに挿入されたプローブ20の後端部22rが電極部16へ案内される。検査対象が微細になるのに伴い検査点間の距離が非常に小さくなっているため、各貫通孔12h及び貫通孔14hの内径も非常に小さくなっている。
【0053】
プローブ20の後端部22rは、電極部16に固定された導線18の端部と接触しており、導線18は図示せぬ検査装置に接続されている。
【0054】
図1においては、図面の簡略化のために、一部のプローブ20のみを示す。
【0055】
また、図1に示すように、被検査物の検査時には、検査用治具10の下方に、検査対象の被検査物30を配置し、検査用治具10を下降させてプローブ20の先端部22feを所定の検査点、例えば、30dnに接触させ、それにより、検査対象部の電気的特性の検査を行う。
【0056】
[接続端子の構造]
図2Aから図2Dは、図1の検査用治具に用いることができる一実施形態に係る接続端子(又は「プローブ」という)20を説明するための拡大及び簡略化した側面図である。図2Aは接続端子20の一部断面図であり、図2Bは接続端子20を構成する円筒形状部22の側面図であり、図2Cは接続端子20を構成する棒状部24の側面図であり、図2Dは円筒形状部22に棒状部24を接合する方法を説明するための簡略化側面図である。
【0057】
図2Aは、図1の検査用治具に用いることができる一実施形態に係る接続端子20を示す。接続端子20は、導電性の円筒形状部22と導電性の円柱形状の棒状部24とから構成されていて、棒状部24が、導電性の円筒形状部22内に挿通されている。
【0058】
円筒形状部22は、円筒形状の先端部22fと、円筒形状の後端部22rと、それらの間に形成されたばね部22sとからなり、ばね部22sは螺旋形状に形成されている。棒状部24は、円柱形状の本体部24bと先鋭形状の先端部24eとからなる。
【0059】
棒状部24は、円筒形状部22の先端部22f、ばね部22s及び後端部22r内に挿通されていて、棒状部24の先端部24eが、円筒形状部22の先端部22fの先端面22feから突出している。棒状部24の後端部側は、円筒形状部22の後端部22rの後端面よりも内側に引っ込んだ位置にある。その引っ込んだ位置までの距離は、棒状部24の先端部24eが押されて後退した場合に、それとともに移動する棒状部24の後端部側が、円筒形状部22の後端部22rの後端面から出ない程度の大きさである。
【0060】
ばね部22sは、伸縮する際に、伸縮にともなって軸線を中心に旋回をする。すなわち、例えば、円筒形状部22の後端部22rを固定した状態で棒状部24の先端部24eを押して棒状部24を後退させると、円筒形状部22の先端部22fが棒状部24の先端部24eとともに後退し(両者はP1の位置で接合されているから)、その後退とともに、ばね部22sが収縮することになる。この時、円筒形状部22の後端部22rは固定されていて回転できないため、円筒形状部22の先端部22fが旋回することになる。この旋回によってばね部22sが収縮の前後において同じ外径の大きさを維持することが可能になる。
【0061】
また、円筒形状の先端部22fのP1で示す位置において、円筒形状の先端部22fと棒状部24の本体部24bとが、詳しくは後述のとおり、抵抗溶接(電気溶接)又はかしめによって接合されていて、互いに固定されている。そのため、円筒形状の先端部22fと円柱形状の本体部24bとは一緒に移動することになる。また、その接合によって、円筒形状の先端部122fと棒状部124の本体部124bとが電気的に導通可能となっている。
【0062】
図2Bは、接続端子20を構成する円筒形状部22を示す。円筒形状部22として、例えば、外径が、約25から300μmで、内径が10から250μmのニッケルあるいはニッケル合金のチューブを用いることができる。この実施形態では、一例として、外径φ1が、約70μm、内径φ2が約50μm、全長L1が約20mmのニッケルチューブを用いるが、それに限定されるものではない。円筒形状部22の先端部22fの端面22fe及び後端部22rの後端面を除いて、周面は必要に応じて絶縁被覆してもよい。
【0063】
また、円筒形状の先端部22fの長さL2は約5mmで、ばね部22sの長さL3は約10mmで、後端部22rの長さL4は約5mmである。これらの値は一例であり、これらに限定されるものではない。
【0064】
円筒形状の先端部22fの軸線の周りの帯状部分の長手方向に沿って切欠き部のスリット13sが形成されている。このスリット13sは、図2Aに示すように、円筒形状の先端部22fと棒状部24の本体部24bとを抵抗溶接又はかしめによって接合して互いに固定する際に有用性を発揮する。スリット13sについては、図2Dに基づいて詳細に説明する。
【0065】
また、円筒形状部22は、例えば、後述する図6Aから図6Hに示す製造方法によって製造することができ、その際にスリット13sも形成することができる。
【0066】
図2Cは、接続端子20を構成する棒状部24を示す。棒状部24として、例えば、直径φ3が、約48μmのタングステン、工具用炭素鋼(SK材)、ベリリウム銅等からなる円柱形状部材を用いることができる。その直径は、棒状部24が筒形状部22内で移動自在でなければならないため、円筒形状部22の内径よりも小さい。例えば、棒状部24を筒形状部22に挿入した場合には、棒状部24と筒形状部22との間に約1μm程度のクリアランスが形成される。棒状部24の長さは、検査用治具のヘッド部12(図1)から先端部を突出させる長さに応じて変わるが、円筒形状部22とほぼ同じかそれよりも短くてもよい。
【0067】
また、棒状部24の先端部の形状は、円柱形状部の長手方向軸線を斜めに交差する1つの面で切断した形状でもよい。上記の通り、ばね部22sは伸縮に伴い旋回するため、そのような先端部の形状の棒状部24を円筒形状部22に組み込んだ場合には、例えば、被検査物に、円柱形状部のその形状の先端部が押しあてられてばね部が収縮すると、円柱形状部が長手方向の軸線を中心に旋回し、その形状の先端面が被検査物30の表面の酸化膜をひっかいたり削り取ったりするようにその表面上を移動することが可能になる。
【0068】
棒状部24の先端部の形状としては、それ以外に、円柱形状部の長手方向軸線を斜めに交差する2つの面で切断した形状でもよい。2つの面が交差した先端部は、ナイフの刃先のような形状になる。また、マイナスドライバーの先端のように薄板状の刃先の形状でもよい。また、その薄板状の刃先の位置は、軸線から外れていてもよい。
【0069】
図2Dは、接続端子20の組立方法を説明するための概念図である。ここでは、円筒形状部22の先端部22fと棒状部24の本体部24bとを抵抗溶接を用いて接合する場合を説明する。図2Dに示すように、円筒形状部22の先端部22fの中央部分には長手方向に沿って切欠き部のスリット13sが形成されている。また同一のスリット13sが図面の裏側に位置する対向面側にも形成されている。言い換えると、円筒形状部22の帯状部分上の2か所の長手方向軸線を線対称とする位置に、一対のスリット13sが形成されている。各スリット13sの長さSwは300から400μmで、スリット13sの幅は約5から15μmである。
【0070】
この実施形態では、スリット13sは、細長い開口で、円筒形状部22の軸線方向に沿って形成されている。しかし、スリットは、それに限定されるものではない。例えば図2Dに基づいて後述するように、先端部22fを棒状部24に接合するために例えば抵抗溶接を用いる。抵抗溶接のとき、先端部22fにスリット13sが形成されていない場合には、一対の抵抗溶接用電極によって円筒形状部22の先端部22fを挟み込むと、その挟み込んだ方向と直交する部分の先端部22fの一部が外側に膨らみ、先端部22fの断面形状が概略楕円形状になる。このため、先端部22fの外径が抵抗溶接前よりも大きくなってしまう。これに対し、スリット13によってその外側に膨らんだ部分に相当する部分が切り取られると、その膨らみは生じなくなるので、一対の抵抗溶接用電極によって円筒形状部22の先端部22fが挟み込まれたときでも、先端部22fの断面形状はほぼ円形を維持することができる。この概念の詳しい説明は図3A,3B及び図3Cに基づいて後述する。スリットは、このように、一対の抵抗溶接用電極によって先端部22fが挟み込まれたときに、スリットがなければ膨らんだであろうという先端部22fの一部を予め切欠くためのものなので、細長い開口の形状に限定されず、必要に応じてある程度の幅のある開口であってもよく、開口の幅は一定ではなくて例えば楕円形状やひし形状の開口であってもよい。また、スリットは円筒形状部の長手方向に沿った方向に限定されず、長手方向に対し斜め方向に形成されていてもよい。
【0071】
また、円筒形状部22の外側表面に形成されている一対のスリット13sの各位置から、軸線を中心に外側表面に沿って約90度移動した位置に、一対の抵抗溶接用の電極40が配置されている。各電極の幅(接続端子の長手方向に沿った長さ)は約200μmである。このように、スリットの長さは、電極の幅よりも大きいことが望ましい。
【0072】
また、スリット13sの幅の長さは、上記の如く、円筒形状部22の外側方向への膨らみを吸収することのできる幅の長さを有していれば、特に限定されないが、円筒形状部22の内周と棒状部24の外周との差に限定されることが好ましい。つまり、円筒形状部22の内周面上を軸線を中心に1周した長さL22と、棒状部24の外周面上を軸線を中心に1周した長さL24との差よりも、スリット13の幅Swが大であることが望ましい。すなわち、L22−L24<Sw の関係にあることが望ましい。
【0073】
また、スリット13の長さに関しては、上記の通り、抵抗溶接用の電極40の幅(接続端子の長手方向に沿った長さ)よりも大であることが望ましい。また、スリット13の長手方向の両端部は、ともに、同じ長手方向に並んだ抵抗溶接用の電極40の両端部より外側の位置にあることが望ましい。言い換えると、同じ長手方向にスリット13と電極40とが重なった場合に、スリット13の両端部の内側に電極40が収まる大きさの関係が望ましい。
【0074】
接続端子20を組み立てるにあたっては、まず、棒状部24を円筒形状部22内に挿入する。この際、接続端子20の検査対象とする被検査物の対象部の所定の検査点に接触する先端部として機能する部分は外部に突出させる。図2Dでは、一例として、棒状部24の先端部24eを含めて約2mmから3mm程度を、円筒形状部22の先端部22fの先端面22feから突出させている。
【0075】
次に、一対の抵抗溶接用の電極40を円筒形状部22の先端部22fを上下から挟み込むように配置する。この場合、図2Dに示すように、電極40は、スリット13sには重ならず、一対のスリット13sが、図2Dの紙面の手前側及び裏側に位置するように配置する。この状態で、円筒形状部22の先端部22fを、対向する一対の電極部40によって挟み、押圧した状態で所定の電流を流すと、一方の電極40からそれに接している円筒形状部22の先端部22f、その内面の金めっき層、タングステン等の棒状部の一方の側、タングステン等の棒状部の他方の側、円筒形状部22の先端部22fの他方の内面の金めっき層、円筒形状部22の先端部22f、さらに他方の電極40へと電流が流れ、これにより、円筒形状部22の先端部22fの内面の金めっき層が熱により溶けて、先端部22fが棒状部24と溶接される。なお、抵抗溶接に代えて、対向する位置をかしめて円筒形状部22の先端部22fと棒状部24の本体部24bとを接合させてもよい。
【0076】
図3Aから図3Cは、円筒形状部22の先端部22fと棒状部24の本体部24bとを溶接する際の状況を詳細に説明するための拡大断面図である。
【0077】
図3Aは、図2Aに示す矢印3A−3Aの方向に見た状態を示す。抵抗溶接の際には、最初に、図3Aに示す上下の対向する2つのP1の位置に抵抗溶接用の一対の電極を配置して、円筒形状部22の先端部22fをその電極によって円筒形状部を挟み込むように力を加える。これにより、円筒形状部22の先端部22fの内面の一部を棒状部24の外周面の一部に接触させる。次に、その状態で、一対の電極に電流を供給する。そうすると、その際に発生する熱によって先端部22fの内面の金めっき層が溶けて先端部22fの内面と棒状部24の外周面とが溶接されることになる。
【0078】
図3Aに示すように、円筒形状部22の先端部22fには一対のスリット13sが形成されている。このため、抵抗溶接用の一対の電極によって円筒形状部22が挟み込まれた際に、一対の電極を結ぶ直線と直交する方向に位置する円筒形状部122の部分は外側に膨らもうとするが、膨らむ部分が切欠かれているため、膨らむことなく、断面が概略円形形状を維持することができている。
【0079】
なお、ここで、本発明との比較の観点から、図3B及び図3Cに基づいて、スリット13sが形成されていない円筒形状部内に、抵抗溶接用の一対の電極を用いて円柱形状部を接合する場合の状態を説明する。図3Bに示すように、棒状部24が、断面円形の円筒形状部22の先端部22nsに挿入されており、その上下の対向する位置に一対の抵抗溶接用の電極40を配置している。次に、図3Cに示すように、一対の抵抗溶接用の電極を矢印で示すように互いに近づく方向に移動して先端部22nsを上下から挟みこみ、先端部22nsの内面を棒状部24の外周面に接触させる。このとき、図3Cに示すように、円筒形状部22の先端部22nsは、上下方向は電極40に挟まれることによって近づき、左右方向は膨らむように遠ざかり、円筒形状部22の断面は円形から概略楕円形状に変形する。この結果、広がった左右方向の外径が、断面円形のときの円筒形状部22の外径よりも大きくなっている。このように外径が大きくなった接続端子を、例えば、図4の検査治具に組み込もうとすると、その接続端子は、ヘッド部12の貫通孔12hの大径部12h1内に挿入できないことが起こり得る。検査対象機器の微細化に伴いプローブを保持する貫通孔の寸法も微細化されているからである。
【0080】
図3B及び図3Cに示すものに対し、図3Aに示すようにスリット13sが形成された円筒形状部22によると抵抗溶接を行っても概略円形形状を維持できるため、上記のような危惧は生じない。スリットの有用性はこの点にある。
【0081】
スリットの形状として、上記の実施形態では、細い溝形状の孔の実施形態を示したが、スリットは、円筒形状部が電極によって挟まれた際にそれと直交する方向に退避する部分を事前に取り除くことによって円筒形状部の断面形状を円形に維持するためのものであるため、その退避する部分を事前に取り除くだけの空間が形成できるものであればどのような形状の切欠き部であってもよい。
【0082】
[検査用治具の概要]
図4は、検査用治具の一部の拡大断面図である。図4に示すように、ヘッド部12の下面には板厚の薄いプレート12uが取り付けられていて、ヘッド部12には大径部12h1が形成され、プレート12uには小径部12h2が形成されている。ただし、プレート12uを用いることなく、ヘッド部12自体に大径部12h1と小径部12h2とを形成してもよい。
【0083】
大径部12h1には、接続端子20の円筒形状部22の先端部22fが挿入されている。
【0084】
上記の通り、先端部22fには対向する位置に一対のスリット13sが形成されていて、抵抗溶接によって先端部22fが棒状部24に接合されている。抵抗溶接後も先端部22fはほぼ断面円形状を維持しているため、大径部12h1内では、先端部22fは何等内壁に接触することもなく移動することができる。また、その先端部22fの先端面22feは、プレート12uの面に当接しており、プレート12uは大径部12h1から小径部12h2に移行する部分である。さらに小径部12h2には棒状部24が挿通され、先端部24eがヘッド部12から突出している。この場合、小径部12h2を形成するプレート12uの面は係止部を構成する。
【0085】
一方、接続端子20の後端部22rの後端面は、ベース部14の貫通孔14hに挿入されて導線18の端面と接触している。
【0086】
図4の状態においては、ヘッド部12の係止部を形成するプレート12uの面から電極部16の導線18の端面までの距離は、図2Aのように負荷のかかっていない自然長の円筒形状部22の長さよりも小さい。そのため、図4においては、その係止部によって円筒形状部22の先端部22fが押し上げられて、ばね部22sが収縮している。それにより、円筒形状部22の後端部22rが電極部16の導線18の端面に押し当てられている。そのため、後端部22rと導線18との接触抵抗値を小さく抑えることができる。
【0087】
図5は、図4の検査用治具を用いて被検査物の検査を行うときの状況を説明するための検査用治具の一部の拡大断面図である。
【0088】
基板等の被検査物の検査時には、検査用治具10を下降させて接続端子20の先端部24eを被検査物30の配線等の対象部上の所定の検査点30d1に当接する。これにより、図5に示すように、接続端子20の棒状部24は、押し上げられてヘッド部12の貫通孔12h内に入り込む。上記の通り、円筒形状部22の先端部22fと棒状部24とはP1において接合されているので、棒状部24が押し上げられると、それとともに円筒形状部22の先端部22fも押し上げられ、その結果、円筒形状部22の先端部22fの先端面22feは、ヘッド部12の小径部12h2の係止部を形成するプレート12uの面から離れる。また、図4及び図5に示すように、先端部22fはほぼ断面が円形を維持しているため、大径部12h1内では、先端部22fは何等内壁に接触することもなく移動することができる。
【0089】
なお、検査が終了して検査用治具10が被検査物から離れると、棒状部24の先端部24eを押し上げる力がなくなるため、円筒形状部22の先端部22fは再びヘッド部12の係止部を形成するプレート12uの面に当接し、そこに保持される(図4)。
【0090】
[接続端子の製造例]
図6Aから図6Hまでは、本発明に係る一実施形態の接続端子を製造するための各工程の一実施例を示す断面図である。また、ここで製造された接続端子は、単独で用いるだけでなく、他の円筒形状部材又は円柱形状部材と組み合わせることによって接続端子として機能するものである。なお、全図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔、隙間等は、理解の容易のために、適宜、拡大・縮小・変形・簡略化等をしている。図の説明の際の上下・左右の表現は、その図に向かった状態でのその図面の面に沿った方向を表すものとする。
【0091】
図6Aは、芯材70の外周面上に金めっき層72を形成し、さらにその上にニッケルめっき層74を形成して製造した電鋳管(円筒形状管)の断面図を示す。芯材70としては例えば外径が5μmから300μmの金属線や樹脂線を用いることができる。金属線としては例えばSUS線を用いることができ、樹脂線としてはナイロン樹脂やポリエチレン樹脂等の合成樹脂線を用いることができる。また、金めっき層72の厚さは約0.1μmから1μmであり、ニッケルめっき層74の厚さは、約5μmから50μmである。電鋳管の長さは、搬送作業の容易性等の観点から50cm以下が望ましいが、それに限定されるものではなく、切断することなく連続的に製造してもよい。
【0092】
図6Bは、図6Aに示された電鋳管のニッケルめっき層74の外周面上に絶縁膜76を形成したものを示す。絶縁膜76は後述の所定の溝の形成の際にレジストとしても機能する。その絶縁膜の厚さは約2μmから50μmである。絶縁膜76として、例えば、フッ素コーティング又はシリコーン樹脂材を用いて形成してもよい。
【0093】
次に、図6Cに示すように、絶縁膜76を例えば3mmから30mmの間隔を置いて所定の幅だけ周回して除去して溝78a,78b,78cを形成し、また、それらの溝と溝との間の絶縁膜の一部をらせん状に除去してらせん状の溝79a,79bを形成する。それらの溝を形成した部分には、ニッケルめっき層74が露出する。
【0094】
これらの溝を形成する際には、絶縁膜76にレーザービームを照射して、絶縁膜76を除去する方法を採用することができる。この場合、芯材70を周方向に回転させながら、溝の位置にレーザービームを直接照射し、その照射により絶縁膜76を除去する。なお、この方法で使用するレーザービームの出力は、絶縁膜76のみを除去することができ、且つニッケルめっき層を損傷することがない出力に調整される。
【0095】
次に、図6Dに示すように、絶縁膜76をマスクとして用いて、溝78a,78b,78c,79a,79bに露出したニッケルめっき層74をエッチング除去して金めっき層72を露出させる。その際、ニッケルめっき層74と芯材70との間に金めっき層72が存在するため、エッチングの際にニッケルエッチング液が芯材まで到達することを防止することができる。そのエッチング処理により除去されたニッケルめっき層74の溝78a,78b,78c,79a,79bに露出した端面は、エッチング液による腐食作用を利用するため、サイドエッチング部が形成されているという特徴を有する(後述する)。
【0096】
また、らせん状の溝79a、79bは、その部分にある絶縁膜76をレーザによって除去した後に、その部分に露出したニッケルめっき層74をエッチングによって除去することによって形成したため、そのらせん状の溝間にある部分(後述するばね部)のニッケルめっき層74の端面にはサイドエッチング部が形成されており、この積層された絶縁膜76が、そのニッケルめっき層74に対してオーバーハングしている状態となる。
【0097】
図6Eでは、レーザービームを照射して、溝78a,78b,78cを形成している絶縁膜76を端面から所定の長さを除去して、ニッケルめっき層74を露出させる。その露出したニッケルめっき層74は、接続治具用の接続端子に形成される際に、検査対象部に接触する先端部又は検査装置に接続される接続治具の電極に接触する後端部として機能する部分になり、接続治具の構造に応じて、それらの必要な長さが定まる。そのため、それらを考慮して絶縁膜76を除去する長さを決定すればよい。
【0098】
次に、超音波洗浄を行って、図6Fに示すように、溝78a,78b,78c,79a,79bに露出した金めっき層72を除去する。
【0099】
次に、図6Gに示すように、芯材70を白抜き矢印で示すように両端を離れる方向に引っ張って断面積が小さくなるように変形する。一端を固定して他端のみを引っ張るようにしてもよい。芯材70が延伸してその断面積が小さくなると、芯材70の外周面を被覆していた金めっき層72がその外周面から剥離して電鋳管の内側に残り、芯材70と金めっき層72との間に空間78が形成される。
【0100】
次に、図6Hに示すように、芯材70を抜き取ると、溝78a,78b,78cによって隣り合う部分が離れて、接続端子71と接続端子73とが、別個のものとして形成されることになる。このように、図6Hに示すように、芯材70を抜き取った段階で、他の追加の工程を必要とすることなく接続端子を完成させることができる。なお、図6Aから図6Hは、簡略化して電鋳管の一部のみを示しているため、図6Hの工程では、2個の接続子のみが製造されたようになっているが、長い電鋳管を使用することによって、多数の接続端子を一度に製造することができる。
【0101】
図6Hに示すように、接続端子71,73は、導電性材料の円筒形状管のニッケルめっき層74を備え、その両端側には、ニッケルめっき層が露出した先端部及び後端部が形成されており、また、先端部と後端部との間には、長軸方向のらせん状の壁面を有するばね部が形成されており、そのらせん状の壁面に沿って絶縁層76が形成されている。
【0102】
本発明の接続端子は、上記の如き寸法の条件下において製造することができるが、特に、外径が30から100μm、内径が20から90μm、絶縁被覆の厚みが2から15μmに形成される場合において、接続治具に用いられる接続端子として好適に用いることができる。
【0103】
また、図2Bに示す円筒形状部22は、例えば、上記の図6Aから図6Hに示す製造方法によって製造することができる。例えば、図6Cの製造工程において、らせん状の溝を形成するために、絶縁膜76の一部をレーザービームの照射によって除去し、その部分に露出したニッケルめっき層74をエッチングによって除去する際に、同様に、レーザービームの照射によってスリット13sの形状に沿って絶縁膜76を除去し、その部分に露出したニッケルめっき層74を、エッチングによって除去することによってスリット13sを形成することができる。
【0104】
[他のプローブの構造]
図7A及び図7Bは、他の実施形態に係るプローブ50を示す。プローブ50は、大径の円筒形状部54とそれに挿入されている小径の円柱形状部52(導電部)とから構成されている。
【0105】
大径の円筒形状部54は、先端部54fと、後端部54rと、それらの間に形成された2つのばね部54s1,54s2と、それらのばね部を連結する連結部54cとからなる。2つのばね部54s1,54s2はそれぞれ螺旋形状に形成されており、旋回方向が互いに逆になっている。つまり、ばね部54s1が連結部54cから例えば左巻き方向に旋回して後端部54rに到達しているとすると、ばね部54s2は連結部54cから右巻き方向に旋回して先端部54fに到達している。
【0106】
大径の円筒形状部54及びばね部54s1,54s2は、上記の実施例の円筒形状部22及びばね部22sと同様に製造することができる。
【0107】
小径の円柱形状部52の先端部52fは、大径の円筒形状部54の先端部54fから突出している。一方、小径の円柱形状部52の後端部52rは、大径の円筒形状部54の後端部54rの後端面54reの手前の位置に留まっていて、大径の円筒形状部54の後端面54reと小径の円柱形状部52の後端面52reとの間には空間が形成されている。
【0108】
また、図2Bに示す接続端子20の円筒形状部22の先端部22fと同様に、図7A又は図7Bの大径の円筒形状部54の先端部54fの軸線の周りの帯状部分には、長手方向に沿って切欠き部のスリット52sが形成されている。大径の円筒形状部54の先端部54fの位置Pでは、その先端部54fと小径の円柱形状部52とが、例えば、抵抗溶接又はかしめによって接合されていて、互いに固定されている。そのため、小径の円柱形状部52と大径の円筒形状部54の先端部54fとは一体となって動く。抵抗溶接の際、スリット52sの機能により、先端部54fが抵抗溶接の前後において断面円形を維持することができる。それ以外の部分においては、大径の円筒形状部54と小径の円柱形状部52とは固定されてなく、互いに別々に動くことができる。
【0109】
後述するように、基板等の検査時に、大径の円筒形状部54の後端部54rの後端面54reが検査治具の電極(導線18)に接触した状態で、小径の円柱形状部52の先端部52fの先端面52feが検査点に当接して押しつけられると、押しつけられた力の大きさの分だけ、小径の円柱形状部52が、大径の円筒形状部54の先端部54fとともに後退する。そのため、大径の円筒形状部54の2つのばね部54s1,54s2が収縮するとともに、小径の円柱形状部52が、それらの内側の空間内を後退する。それらのばねの収縮した長さの分だけ、それらのばねは元の長さに戻ろうとする付勢力を発揮する。ばねの荷重はばねの長さの変位に比例するため、その収縮の長さが変わると、2つのばね部54s1,54s2によって円柱形状部52の先端部52fの先端面52feが検査点を押す力(荷重)の大きさが変わる。
【0110】
そのため、大径の円筒形状部54の先端部54fの位置Pにおいてかしめ等を行う際に、小径の円柱形状部52の先端部52fが先端部54fから突出する長さを変えることによって、先端面52feが検査点に加える荷重の大きさを変えることができる。
【0111】
また、2つのばね部54s1,54s2は、プローブ50が検査治具に取り付けられた際に、大径の円筒形状部54の後端部54rの後端面54reを導線18に適切な力で押しつけるための予圧を与える付勢部として機能する。また、小径の円柱形状部52を大径の円筒形状部54の先端部54fに固定したことにより、2つのばね部54s1,54s2は、小径の円柱形状部52の先端面52feを検査点に適切な弾性力で押しつけて接触抵抗を安定させる押圧部としても機能する。
【0112】
図8は、図7A及び図7Bに示すプローブ50を取り付けた検査用治具の一部断面図である。図8に示すように、ヘッド部12−1には、大径部の貫通孔12−1h1及び小径部の貫通孔12−1h2が形成されており、ベース部14−1には、一部が拡張した貫通孔14−1hが形成されている。
【0113】
ヘッド部12−1の大径部12−1h1には、プローブ50の大径の円筒形状部54の先端部54fが挿入されていて、その先端面54feが、大径部12−1h1から小径部12−1h2に移る段差の面に当接している。そのように、その段差の面は先端面54feの係止部を形成する。小径部12−1h2には、プローブ50の小径の円筒形状部52の先端部52fが挿入されている。
【0114】
一方、ベース部14−1の貫通孔14−1hには、プローブ50の大径の円筒形状部54の後端部54rと連結部54cの一部とが挿入されていて、後端面54reが導線18の端面18eに当接している。小径の円柱形状部52の後端面52reはその端面18eから離れている。
【0115】
また、検査用治具に組み込む前には、プローブ50の大径の円筒形状部54の先端面54feから後端面54reまでの自然長は、検査治具のヘッド部12−1の大径部12−1h1から小径部12−1h2に移る段差の面(係止部)から導線18の端面18eまでの距離よりも大きい。そのため、図8のようにプローブ50を検査用治具に組み込んだときには、大径の円筒形状部54が係止部と端面18eとから押されるため、2つのばね部54s1,54s2がその大きさの相違分だけ収縮することになる。その収縮により、それらのばね部は元の長さに戻ろうとする付勢力を発揮する。
【0116】
その検査用治具を用いて被検査物の検査を行う時には、検査用治具を下降させてプローブ50の小径の先端部52feを被検査物30の配線等の検査対象部上の所定の検査点30d1に当接させて所定の大きさの力で検査点30d1を押すようにする。そうすると、プローブ50の小径の円柱形状部52の先端部52fは、ヘッド部12−1の貫通孔12−1h2内に押し込まれることになる。その際、上記のとおり、小径部の円柱形状部52と大径の円筒形状部54の先端部54fとは位置Pにおいて接合されているため、先端部52fが押し上げられると、それとともに大径の円筒形状部54の先端部54fも押し上げられて、その先端面54feが係止部から離れる。その結果、大径の円筒形状部54の2つのばね部54s1,54s2が圧縮されるため、それらのばね部には元の長さに戻ろうとする付勢力が生じる。その付勢力によって、先端面52feは検査点30d1に押し付けられることになり、その先端面52feと検査点30d1との安定した接触を確保することができるようになる。
【0117】
2つのばね部54s1,54s2は、上記の通り、旋回方向が逆であるため、押し縮められた際に生じる付勢力は、連結部54cを同一方向に旋回させる方向に作用する。そのため、それらのばね部は、同一方向に旋回させた2つの螺旋状のばねを連結した場合に比べると、折れ曲がりにくくまた捻じれにくい。
【0118】
なお、図7A、図7B及び図8の実施形態に限定されるものではないが、被検査物30に接する円柱形状部52fの先端面52feの形状は、平坦でもよく、球面形状のように湾曲して突出した形状でもよく、後述する図10Aに示すようないわゆる王冠の実施形態のように小さな突起が突出した形状でもよく、また、円柱形状部の長手方向軸線を斜めに交差する面で切断した形状でもよい。例えば、被検査物30に、それらの形状の円柱形状部の先端部が押しあてられた場合に、ばね部の作用により、円柱形状部が長手方向の軸線を中心に旋回するときには、それらの形状の先端面が被検査物30の表面の酸化膜をひっかいたり削り取ったりすることが可能になる。
【0119】
[他のプローブの構造]
図9Aから図9Cは、図1の検査用治具に用いることができる更に別の実施形態に係るプローブ20を説明するための拡大及び簡略化した側面図である。
【0120】
図9Aは、図1の検査用治具に用いることができる一実施形態に係るプローブ20を示す。プローブ20は、大径の円筒形状部24とそれに挿入されている導電性の小径の円筒形状部22(導電部)とから構成されている。
【0121】
小径の円筒形状部22は、円筒形状の先端部22fと、円筒形状の後端部22rと、それらの間に形成されたばね部22sとからなり、ばね部22sは螺旋形状に形成されている。
【0122】
小径の円筒形状部22の先端部22fの先端面22fe近くの部分は、大径の円筒形状部24の先端面24feから突出している。また、小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22re近くの部分は、大径の円筒形状部24の後端面24reから突出している。
【0123】
また、図2Bに示す接続端子20の円筒形状部22の先端部22fと同様に、図9Cに示すように大径の円筒形状部24の先端部24fの軸線の周りの帯状部分の長手方向に沿って切欠き部のスリット13sが形成されている。大径の円筒形状部24の先端面24fe近くの位置Pでは、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとが、例えば、抵抗溶接又はかしめによって接合されていて、互いに固定されている。そのため、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとは一体となって移動する。
【0124】
後述するように、検査時に、小径の円筒形状部22の先端面22feが検査点に当接してそれから押されると、小径の円筒形状部22の後端面22reが検査用治具の導線18の端面に押し付けられ、それにより、小径の円筒形状部22の後端部22rが大径の円筒形状部24の中に入り込む。その入り込んだ距離が、ばね部22sの収縮する長さになる。ばねの荷重はばねの変位に比例するため、その収縮の長さが変わることによって、円筒形状部22の先端面22feが検査点を押す力(荷重)の大きさが変わる。
【0125】
そのため、例えば、後端面24reから突出する後端面22re近くの円筒形状部22の長さが長い別の寸法の小径の円筒形状部を用いて、後端面22reが円筒形状部24の中に入り込むまでの距離を大きくすると、先端面22feが検査点に加える荷重の大きさを調整できる範囲を大きくすることができる。
【0126】
詳しくは後述のとおり、小径の円筒形状部22の先端部22fを大径の円筒形状部24に固定したことにより、ばね部22sは、検査前には、後端部22rを導線18の端面に押し付ける予圧を与える付勢部として機能するとともに、検査時には、先端部22fを検査点に適切な弾性力で押しつけて接触抵抗を低減させる押圧部として機能する。
【0127】
図9Bは、プローブ20を構成する小径の円筒形状部22を示す。円筒形状部22として、例えば、外径が、約25から280μmで、内径が15から260μmのニッケルあるいはニッケル合金のチューブを用いることができる。この実施形態では、一例として、外径が、約50μm、内径が約35μm、全長L1が約6mmのニッケルチューブを用いるが、それに限定されるものではない。
【0128】
また、円筒形状の先端部22fの長さL2は約2mmで、ばね部22sの長さL3は約2mmで、後端部22rの長さL4は約2mmである。これらの値は一例であり、それらに限定されるものではない。
【0129】
図9Cは、プローブ20を構成する大径の円筒形状部24を示す。大径の円筒形状部24は、ニッケルあるいはニッケル合金のチューブから作ることができ、その寸法として、例えば、外径が35μmから300μmで、内径が25μmから280μmで、長さL5が3mmから30mmである。これらの値は一例であり、それらに限定されるものではない。なお、大径の円筒形状部24の周面を必要に応じて絶縁被膜しても良い。
【0130】
例えば、抵抗溶接による場合には、図2Dの場合と同様に、対向する一対の電極部によって大径の円筒形状部24の位置Pを挟み、加圧しながら短時間定電流を流す。それにより、その位置において、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとを溶接する。それに代えて、その位置Pに力を加えてかしめて変形させて、それらを結合させてもよい。その際に、スリット13Sの作用により、抵抗溶接の前後において、大径の円筒形状部24は断面円形を維持することができる。
【0131】
図10Aから図12Bは、円筒形状の接続端子の先端部の当接部の形状に特徴のあるいくつかの実施形態を示す。これらの接続端子も、検査用プローブのみならず、対象物と所定の装置とを電気的に接続する接続治具に、更に、インターポーザやコネクタのように電極端と電極端とを接続する接続治具にも使用することができる。
【0132】
図10Aは、接続端子86の当接部81aを示す拡大正面図である。当接部81aは、対象物の対象点に少なくともその一部が接触して電気的接続を行う部分である。図10Bは、図10Aの接続端子86の底面図である。接続端子86は、対象物に設けられた対象点と所定の接続点とを電気的に接続するもので、導電性材料のめっき層からなる円筒形状部81を備える。
【0133】
図10Bに示すように、円筒形状部81は、内側壁面と外側壁面とから形成されていて、中央に空間を有する。円筒形状部81の先端部(図10Aにおいて下側の部分)には、外側壁面の縁部82と内側壁面の縁部84とそれらの間を結ぶ面83とを含む当接部81aが形成されている。
【0134】
当接部81aの面83は、例えば、エッチングにより形成することができる。その方法を説明する。例えば、図6Bに示すように、電鋳管のニッケルめっき層74の外周面上に絶縁膜76を形成して円筒形状体を作る。接続端子の長さに応じて、絶縁膜76をマスクとして用いて、レーザービームによって、円筒形状体から、接触子としての必要性に応じて所定の長さの絶縁膜76を除去し、エッチング処理すると、図10Aに示す当接部81aが露出する。
【0135】
その等方的なエッチングにより、ニッケルめっき層84の端部にサイドエッチング部が形成される。その際、円筒形状体の各端部において、エッチング液が、絶縁膜76から近いニッケルめっき層74の円筒形状体の外側壁面に回り込んでその外側壁面を侵食するため、外側壁面は、内側壁面よりも侵食される。なお、絶縁膜76は必ずしも必要ではないので、絶縁膜を形成しない場合には、レジスト膜を使用してエッチングを行う。
【0136】
円筒形状体の端部にサイドエッチング部が形成された結果、図10Aに現れているように、面83の形状は、平坦ではなく、湾曲したものとなる(湾曲形状面83)。その湾曲の広さや大きさや曲率は、エッチング液の薬液の配合率、濃度、温度等を変更したり、又はエッチングの際の印加電圧の大きさ等の諸条件を変更することによって変えることができる。
【0137】
図11Aは、接続端子96−1の当接部91−1aの一部の断面を示す。当接部91−1aは、外側壁面の縁部92−1と内側壁面の縁部94−1とそれらの間の面93−1とを含む。当接部91−1aは、図10A及び図10Bに示す当接部81aと同様に、湾曲する面93−1を有する。その図に示すように、接続端子96−1の軸線方向(図11Aにおいて、上下方向)に沿って、外側壁面の縁部92−1と内側壁面の縁部94−1とが異なる位置にある。つまり、図11Aにおいて、外側壁面の縁部92−1の位置が、内側壁面の縁部94−1の位置よりも、軸線方向に沿って、上方(接続端子の後端部側)にある。そのため、面93−1は、外側壁面の縁部92−1と内側壁面の縁部94−1とを斜め方向に結ぶように延在し、それにより、内側壁面の縁部94−1は鋭利な先端を形成している。これにより、その鋭利な先端が対象物の対象点に容易に食い込むことができるため、接続端子と対象物との接触特性(接触安定性)が向上する。また、その鋭利な先端部への付着物は、次の当接の際に剥がれ易く、その自浄作用により、接続端子と対象物との接触特性が向上する。
【0138】
また、図11Bは、他の実施形態に係る接続端子96−2の当接部91−2aの一部の断面を示す。当接部91−2aは、外側壁面の縁部92−2と内側壁面の縁部94−2とそれらの間の面93−2とを含む。図11Bに示すように、図11Aの当接部91−1aと同様に、当接部91−2aの内側壁面の縁部94−2は鋭利な先端を有するが、図11Aの当接部91−1aの面93−1と比べて、図11Bの当接部91−2aの面93−2の湾曲面の曲率が小さく、外側壁面の縁部92−2よりも図面の上方(接続端子96−2の後端側)に面93−2の頂点(又は底面)が位置し、凹形状に形成なっている。
【0139】
図13Aは、円筒形状体のニッケルめっき層の端部に、サイドエッチングにより、当接部を形成した一例を説明するための走査電子顕微鏡による拡大写真である。その写真に示す接続端子の当接部は、外径が約50μm、内径が約40μm、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との軸線方向の距離が約4μmであり、その写真から明らかなように、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との間の面は湾曲している。
【0140】
図11Aと図11Bとにそれぞれ示す内側壁面の縁部94−1,94−2の近く、つまり、先端部に近い面93−1,93−2の傾斜の大きさの相違の概略は、図11Aにおいては、内側壁面から面94−1の接線までの角度は、接線の接点の位置が内側壁面の縁部94−1から外側壁面の縁部92−1まで移動する間に、約20度から80度まで変化するのに対し、図11Bにおいては、内側壁面から面93−2の接線までの角度は、接線の位置が内側壁面の縁部94−2から外側壁面の縁部92−2まで移動する間に、約15度から120度まで変化する。すなわち、図11Aの当接部91−1aの先端部の方が、図11Bの当接部91−2aの先端部よりも鋭利である。
【0141】
図12Aは、図10Aの接続端子86の当接部81aと異なる形状の当接部161aを備える接続端子166の拡大正面図である。図12Bは、図12Aの接続端子166の底面図である。接続端子166は、図10Aの接続端子86と同様に、対象物に設けられた対象点と所定の接続点とを電気的に接続するもので、導電性材料のめっき層からなる円筒形状部61を備える。
【0142】
図12Bに示すように、円筒形状部161は、内側壁面と外側壁面とから形成されていて、中央に空間を有する。円筒形状部161の先端部(図12Aにおいて下側の部分)には、外側壁面の縁部162と内側壁面の縁部164とそれらの間を結ぶ面163とを含む当接部161aが形成されている。
【0143】
ただし、図10Aの面83とは異なり、図12Aに示すように、当接部161aの面163の縁部162,164には、円筒形状部161の円周面に沿って、等間隔に、略U字形状の切欠き部が形成されている。このような切欠き部は、当接部81aの面83同様に、エッチング処理により形成することができる。
【0144】
例えば、図6Bに示すように、電鋳管のニッケルめっき層74の外周面上に絶縁膜76を形成して円筒形状体を作る。接続端子の長さに応じて、レーザービームにより、円筒形状体の各端部の円周に沿って、絶縁膜76を略U字形状に除去してニッケルめっき層74を露出させる。その状態で、残りの絶縁膜76をマスクとして用いて、円筒形状体をエッチング処理する。その際、円筒形状体の各端部において、エッチング液が、絶縁膜76の縁からニッケルめっき層74の円筒形状体の外側壁面に回り込んでその外側壁面を侵食するため、外側壁面は、内側壁面よりも腐食される。その結果、絶縁膜76を略U字形状に除去した位置にあるニッケルめっき層74も略U字形状に侵食される。
【0145】
その結果、図12Aに示すように、当接部161aにおいては、外側壁面の縁部162の最も突出した位置162tと外側壁面の縁部162の最も引っ込んだ位置162bとは、接続端子166の軸線方向に沿って大きく離れており、また、内側壁面の縁部164の最も突出した位置164tと内側壁面の縁部164の最も引っ込んだ位置164bも、接続端子166の軸線方向に沿って大きく離れている。
【0146】
図13Bは、円筒形状体のニッケルめっき層の端部に、サイドエッチングにより、図13Aの形状とは異なる図12Aに示す形状(以下、「クラウン形状」という)の当接部を形成した一例を説明するための走査電子顕微鏡による拡大写真である。その写真に示す接続端子の当接部は、外径が約50μm、内径が約40μm、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との軸線方向の距離が約5μmである。また、外側壁面の縁部の最も突出した位置と外側壁面の縁部の最も低い位置との距離は約18μmであり、内側壁面の縁部の最も突出した位置と内側壁面の縁部の最も低い位置との距離は約15μmである。その写真から明らかなように、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との間の面は湾曲している。
【0147】
本発明の製造方法で記載される製造方法を用いて製造した接触端子は、その端面(側面)が内側から外側に湾曲に傾斜する。
【0148】
上記の図6Aから図6Hの実施例においては、絶縁膜76を形成し、それを必要に応じて、レジスト膜として使用した。上記の図10Aから図13Bの実施例においては、絶縁膜は必ずしも必要ではないので、エッチングの際には、レジスト膜を使用してもよい。
【0149】
また、上記の図10Aから図13Bの実施例において、円筒形状部81等の当接部81a等は、単一のめっき層からなるように描いているが、その層の内側、つまり、円筒形状部81等の中心軸線側に、面83等の形成や対象物の対象点との接触安定性の観点から、例えば、金めっき層を形成してもよい。ただし、その場合、金めっき層は当接部の先端部の内側壁面の縁部周辺では剥離してしまって存在しないことがある。
【0150】
そのため、円筒形状部81等の当接部81a等が、ニッケルめっき層とその内側の金めっき層とから構成されているように、複数のめっき層によって形成されている場合には、外側壁面の縁部82等は、当接部において、最も外側に形成されているめっき層の外側壁面の縁部を意味し、内側壁面の縁部84等は、内側のめっき層の内側壁面の縁部を意味するが、当接部の先端部において、一部のめっき層が剥がれていて存在しない場合には、存在する内側のめっき層の内側壁面の縁部を意味する。
【0151】
以上、本発明に係る接続端子、被検査物検査用の検査用治具及びそれに用いることのできるプローブの実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に拘束されるものではなく、当業者が容易になしえる追加、削除、改変等は、本発明に含まれるものであり、また、本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められることを承知されたい。
【符号の説明】
【0152】
10・・・検査用治具
11・・・支持部材
11s・・・スペーサ
12・・・ヘッド部
12h,14h・・・貫通孔
12h1・・・大径部
12h2・・・小径部
13s・・・スリット
14・・・ベース部
16・・・電極部
20・・・プローブ
22・・・小径の円筒形状部
24・・・大径の円筒形状部
22f・・・先端部
22r・・・後端部
22fe,24fe・・・先端面
22re,24re・・・後端面
22s・・・ばね部
70・・・芯材
71,73・・・接続端子
72・・・金めっき層
74・・・ニッケルめっき層
76・・・絶縁膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に予め設定される対象点と検査装置等とを電気的に接続する接続治具及び接続治具に用いられる絶縁被覆を有する接続端子に関する。なお、本発明の接続端子は、接続対象として検査装置に限定されず、所定二点間を電気的に接続するためにも用いられる。
【背景技術】
【0002】
接続治具は、接続端子(接触子、プローブ、探針、接触ピン等)を備えていて、それらを経由して、対象物に予め設定される対象点に、検査装置等から電流或いは電気信号を供給するとともに、その対象点から電気信号を検出することによって、対象点間の電気的特性を検出して、導通検査やリーク検査の動作試験等をする。
【0003】
その対象物としては、例えば、プリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板又は半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板や、半導体ウェハや半導体チップやCSP (chip size package)などの半導体装置(LSI(Large Scale Integration)など)が該当する。尚、この接続端子は、上記の対象物と装置とを電気的に接続することを目的とすることもでき、更に、インターポーザやコネクタのように電極端と電極端とを接続する接続治具としても採用することができる。
【0004】
例えば、被検査物が基板であり、それに搭載されるものがIC等の半導体回路や抵抗器などの電気・電子部品の場合には、基板に形成された検査対象部が配線や電極になる。この場合には、検査対象部の配線が、それらに電気信号を正確に伝達できることを保証するため、電気・電子部品を実装する前のプリント配線基板、液晶パネルやプラズマディスプレイパネルに配線が形成された回線基板に設けられた検査点間の抵抗値等の電気的特性を測定して、その配線の良否を判断している。
【0005】
接続治具を検査治具として用いる場合には、被検査物の検査対象部の検査点に先端部を接触させてその検査対象部に、測定のための電流を供給したり電圧を測定したりするための複数のプローブが設けられている。
【0006】
本明細書では、上記の対象物を総称して「対象物」と称し、対象物に設定されるとともに接続端子が当接して導通状態となる部位を単に「対象点」と称する。尚、対象点と対象点とで挟まれる部位は「対象点間」として設定されることになる。
【0007】
対象物が、LSIである場合には、LSIに形成される電子回路が対象部となり、この電子回路の表面パッドが夫々対象点となる。この場合には、LSIに形成される電子回路が所望の電気的特性を有していることを保証するために、対象点間の電気的特性を測定して、この電子回路の良否を判断する。
【0008】
また、対象物が、電気・電子部品を搭載する基板である場合には、基板に形成された配線が対象部となり、この配線の両端が対象点となる。この場合には、対象部となる配線が、それらに電気信号を正確に伝達できることを保証するため、電気・電子部品を実装する前の配線基板に形成された配線上の所定の対象点間の抵抗値やリーク電流等の電気的特性を測定して、その配線の良否を判断する。
【0009】
具体的には、その配線の良否の判定は、各対象点に、電流供給用端子及び/又は電圧測定用の接続端子の先端を当接させて、その接続端子の電流供給用端子から対象点に測定用電流を供給するとともに対象点に当接させた接続端子の先端間の配線に生じた電圧を測定し、それらの供給電流と測定した電圧とから所定の対象点間における配線の抵抗値を算出することによって行う。
【0010】
例えば、基板検査装置を用いて上記のいずれかの基板の検査を行う場合には、治具移動手段によって基板接続治具の検査用の接続端子(接触子、プローブ、探針、接触ピン等)を被検査基板の対象点まで移動させてそれに当接させて対象物の所定の検査を行い、検査が終了すると、治具移動手段により治具を対象点から待機位置まで移動させる、という制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4572303号
【特許文献2】特許第4031007号
【特許文献3】特開2004−115838号公報
【特許文献4】特開2008−25833号公報
【特許文献5】特開2009−160722号公報 特許文献1は、スパイラル構造部分を有するNi電鋳管の内部に導電性のピンを挿入し、ピンをカシメ、溶接、溶着材などの手段によってNi電鋳管に固定した通電検査治具用接触子を開示する。
【0012】
特許文献2は、周壁の一部がスプリングとなった筒体内に、直線状の接触子及び案内子からなる接触ピンを備え、接触子と案内子との間に鍔部が設けられていて、鍔部が筒体の下端に連結されているコイルスプリングプローブを開示する。
【0013】
特許文献3は、線形素材の外周面に金めっき層を形成し、その上にさらにニッケルめっき層を形成した後に、線形素材を引っ張って線形素材の断面積を小さくする等によって、線形素材を除去することによって、ニッケル電鋳パイプを製造する方法を開示する。
【0014】
特許文献4は、SUS線の外周面に絶縁被覆を形成し、それにレーザによりらせん状の溝を形成してSUS線の外周面を露出させ、そこに絶縁被覆と同じ厚さのニッケル被膜を形成し、それから、絶縁被覆を除去するとともにSUS線を引きぬいてコイル状スプリング構造を一部に備えるニッケル電鋳パイプを製造する方法を開示する。
【0015】
特許文献5は、マイクロパイプを別に製造し、そのマイクロパイプの外周面にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜に、例えば現像によりらせん状に感光部分を溶かしてらせんスペースパターンを形成するとともに、そのマイクロパイプを周回するスペースパターンを所定間隔で形成し、それをエッチング処理することによって、スペースパターンで分断された複数のマイクロコイルを同時に形成する方法を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1のように、Ni電鋳管の内部に導電性のピンを挿入し、ピンをカシメ、溶接、溶着材などの手段によってNi電鋳管に固定すると、その固定の際に電鋳管を対向する位置から挟み込む力によって電鋳管の断面が円形から楕円に変形して接触子の最大外径が大きくなってしまい、近年の検査対象の基板の複雑化や微細化に伴う接続端子の微細化の要求にこたえられないことが危惧される。
【0017】
特許文献2のコイルスプリングプローブでは、接触子と案内子との間に鍔部を設けて、それらを筒体に連結する必要があり、部品点数及び組み立て工数が多くなっている。また、筒体のスプリング部が露出しているため、そのスプリング部が、筒体に対し相対的に移動しない検査用治具のプローブガイド部や挿通孔の壁面に接触したりすることがある。
【0018】
また、近年、LSIの形成プロセスが向上し、LSIの微細化が推進され、LSI検査用パッドの狭ピッチ化や多数化が進んだことにより、検査対象の基板の複雑化や微細化がより進み、基板に設定される対象点がより狭く又は小さく形成されるようになったため、接続端子がより細く形成されている。そのため、多数の微細な接続端子をより効率よく製造することが求められている。
【0019】
また、接続端子には、隣接配置される接続端子同士が接触して短絡することを防止するために、接続端子表面に絶縁被膜を形成することが好ましいが、接続端子が微細になればなるほど、この絶縁被膜を形成することも極めて困難となる。
【0020】
特許文献3及び4には、線形素材やSUS線を除去した段階で、微細なニッケル電鋳パイプやコイル状スプリング構造を一部に備えるニッケル電鋳パイプを製造する方法が開示されている。しかし、その製造されたニッケル電鋳パイプから接続治具に取り付けられる接続端子を製造するためには、さらに、そのパイプを接続端子に適した長さに切断したり、接続治具との係止部を形成したりする等の追加の工程が必要である。
【0021】
また、特許文献5には、特許文献3等により製造されたマイクロパイプを製造した後に、追加の工程によってマイクロコイルを製造する方法が開示されている。そのマイクロコイルから接続治具に取り付けられる接続端子を製造するためには、さらに、特許文献3及び4に関連して上述したような追加の工程が必要である。
【0022】
そこで、本発明は、電気溶接のように、円筒形状部の外側の少なくとも対向する位置から内部の円柱形状部に向けて力を加えて円筒形状部と円柱形状部とを接合することによって製造する接続端子において、円筒形状部が、固定の前後においてほぼ円形形状(又は元の形状)を維持している接続端子を提供することを目的とする。
【0023】
本発明は、部品点数の少ないプローブを提供することを目的とする。
【0024】
本発明は、組み立てが簡易なプローブを提供することを目的とする。
【0025】
また、本発明は、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とすることなく切欠部を形成することができる接続端子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
そこで、本発明に係る対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子は、小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、前記小径の導電部の先端部が、前記大径の円筒形状部の先端部から突出し、前記小径の導電部の一部が、前記大径の円筒形状部の一部に接合されており、前記小径の導電部に接合された前記大径の円筒形状部の部分を少なくとも含む該円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の一部に切欠き部が形成されていることを特徴とする。
【0027】
その接続端子において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線方向の長さと、該円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の周面に沿った幅方向の長さとを持ち、前記切欠き部の前記軸線方向の長さが、前記小径の導電部の一部を前記大径の円筒形状部の一部に接合する際に用いる電極の該円筒形状部の軸線方向の両端部を超えた長さであり、また、前記切欠き部の前記幅方向の長さが、前記円筒形状部の内周面の1周の長さと前記小径の導電部の外周面の1周の長さとの差よりも大である。
【0028】
その接続端子において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線に沿った方向又は軸線に沿った方向と交差する方向に形成されていてもよい。
【0029】
その接続端子において、前記切欠き部は、前記円筒形状部の軸線を線対象とする一対の切欠き部でもよい。
【0030】
その接続端子において、前記切欠き部は細長い開口のスリット形状でもよい。
【0031】
その接続端子において、各切欠き部の長さが、前記小径の導電部の一部と前記大径の円筒形状部の一部とが接合された部分の該切欠き部に沿った方向の長さよりも大である。
【0032】
その接続端子において、前記円筒形状部の前記導電部に接合された部分を含む前記帯状部分を除く部分にばね部が形成されていてもよい。
【0033】
その接続端子において、前記小径の導電部は円柱形状部又は円筒形状部でもよい。
【0034】
その接続端子において、前記小径の円筒形状部の導電部の一部にばね部が形成されていてもよい。
【0035】
また、本発明に係る対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子を製造する方法は、小径の導電部と大径の円筒形状部とを形成し、前記大径の円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の一部に切欠き部を形成し、前記大径の円筒形状部に前記小径の導電部を挿入して前記小径の導電部の先端部を前記大径の円筒形状部の先端部から突出させ、前記大径の円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の該軸線方向と直交する方向に対向する位置であって前記切欠き部が形成された位置を除く位置に一対の抵抗溶接用の電極を配置し、該一対の抵抗溶接の電極を互いに近づけるように前記大径の円筒形状部を押圧して前記小径の導電部に接触させ、前記一対の抵抗溶接の電極に所定の電流を流すことによって、前記大径の円筒形状部の一部と前記小径の導電部の一部とを接合することを特徴とする。
【0036】
その接続端子を製造する方法において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線方向の長さと、該円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の周面に沿った幅方向の長さとを持ち、前記切欠き部の前記軸線方向の長さが、前記抵抗溶接の電極の該円筒形状部の軸線方向の両端部を超えた長さであり、また、前記切欠き部の前記幅方向の長さが、前記円筒形状部の内周面の1周の長さと前記小径の導電部の外周面の1周の長さとの差よりも大である。
【0037】
その接続端子を製造する方法において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線に沿った方向又は軸線に沿った方向と交差する方向に形成されていてもよい。
【0038】
その接続端子を製造する方法において、前記円筒形状部の前記導電部に接合された部分を含む前記帯状部分を除く部分にばね部が形成されていてもよい。
【0039】
その接続端子を製造する方法において、前記小径の導電部は、円柱形状部又は円筒形状部でもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明によると、電気溶接のように、円筒形状部の外側の少なくとも対向する位置から内部の円柱形状部に向けて力を加えて円筒形状部と円柱形状部とを固定することによって製造する接続端子において、円筒形状部が、固定の前後においてほぼ円形形状(又は元の形状)を維持している接続端子を提供することができる。
【0041】
本発明によると、線形素材やSUS線を取り除いた段階で、追加の工程を必要とすることなく切欠き部を備える接続端子及び接続治具を提供することができる。
【0042】
さらに、本発明によると、部品点数の少ないプローブを提供することができる。
【0043】
本発明によると、組み立てが簡易なプローブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、検査用のプローブを取り付けた本発明の一実施形態に係る検査用治具の概略の構成を示す一部断面正面図である。
【図2A】図2Aは、図1の検査用治具に用いることのできる一実施形態に係るスリットを備える接続端子の概略構成を示す一部断面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの接続端子の構成部材の一部の一例を示す概略構成図である。
【図2C】図2Cは、図2Aの接続端子の構成部材の一部の一例を示す概略構成図である。
【図2D】図2Dは、図2Aの接続端子の製造方法の一例を説明するための概念図である。
【図3A】図3Aは、図2Aの3A−3Aの矢印方向に見た簡略化した断面図である。
【図3B】図3Bは、接続端子にスリットが形成されていない状態で固定を行った場合を説明するための概念図である。
【図3C】図3Cは、接続端子にスリットが形成されていない状態で固定を行った場合を説明するための概念図である。
【図4】図4は、図1の一実施形態に係る検査用治具の一部の構成を簡略化して示す拡大一部断面図である。
【図5】図5は、図1の一実施形態に係る検査用治具の一部の構成を簡略化して示す拡大一部断面図である。
【図6A】図6Aは、本発明に係る接続端子を製造する段階におけるニッケルめっき層形成工程の一実施例を示す断面図である。
【図6B】図6Bは、本発明に係る接続端子を製造する段階における絶縁膜形成工程の一実施例を示す断面図である。
【図6C】図6Cは、本発明に係る接続端子を製造する段階における一部の絶縁膜除去工程の一実施例を示す断面図である。
【図6D】図6Dは、本発明に係る接続端子を製造する段階におけるニッケルめっき層エッチング工程の一実施例を示す断面図である。
【図6E】図6Eは、本発明に係る接続端子を製造する段階における所定の部位の絶縁膜除去工程の一実施例を示す断面図である。
【図6F】図6Fは、本発明に係る接続端子を製造する段階における金めっき層除去工程の一実施例を示す断面図である。
【図6G】図6Gは、本発明に係る接続端子を製造する段階における芯材の引き伸ばし工程の一実施例を示す断面図である。
【図6H】図6Hは、本発明に係る接続端子を製造する段階における芯材の引き抜き工程の一実施例を示す断面図である。
【図7A】図7Aは、他の実施形態に係るプローブの概略構成を示す側面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示すプローブの中心断面図である。
【図8】図8は、図7A及び図7Bの実施形態に係るプローブを取り付けた検査用治具の一部の構成を簡略化して示す断面図である。
【図9A】図9Aは、図1の検査用治具に用いることのできる一実施形態に係るプローブの概略構成を示す一部断面図である。
【図9B】図9Bは、図9Aのプローブの構成部材の一部の一例を示す概略構成図である。
【図9C】図9Cは、図9Aのプローブの構成部材の一部の一例を示す概略構成図である。
【図10A】図10Aは、本発明の一実施形態に係る接続端子の当接部を示す拡大正面図である。
【図10B】図10Bは、図10Aに示す本発明の一実施形態に係る接続端子の当接部を示す拡大底面図である。
【図11A】図11Aは、本発明の一実施形態に係る接続端子の当接部の一部拡大断面図である。
【図11B】図11Bは、本発明の他の実施形態に係る接続端子の当接部の一部拡大断面図である。
【図12A】12Aは、本発明の他の実施形態に係る接続端子の当接部を示す拡大正面図である。
【図12B】図12Bは、図12Aに示す接続端子の当接部を示す拡大底面図である。
【図13A】図13Aは、図10A及び図10Bに係る接続端子の当接部に対応する当接部の走査電子顕微鏡による拡大写真である。
【図13B】図13Bは、図12A及び図12Bに係る接続端子の当接部に対応する当接部の走査電子顕微鏡による拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の検査用治具及び接続端子は、被検査物が有する検査対象部に、検査装置から電力或いは電気信号を所定検査位置に供給するとともに、検査対象部から電気信号を検出することによって、検査対象部の電気的特性を検出したり、動作試験を行ったりすることを可能にする。
【0046】
被検査物として、例えば、プリント配線基板、フレキシブル基板、セラミック多層配線基板、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用の電極板、及び半導体パッケージ用のパッケージ基板やフィルムキャリアなど種々の基板や、半導体ウェハや半導体チップやCSP(Chip size package)などの半導体装置を例示することができる。
【0047】
また、本発明に係る接続端子は、対象物と装置とを電気的に接続することを目的とすることもでき、更に、インターポーザやコネクタのように電極端と電極端とを接続する接続治具としても採用することができる。
【0048】
本明細書では、これらの上記の被検査物を総称して「被検査物」とし、被検査物に形成される検査対象部を「検査対象部」と称する。また、本明細書では、上記の対象物を総称して「対象物」と称し、対象物に設定されるとともに接続端子が当接して導通状態となる部位を単に「対象点」と称する。尚、対象点と対象点とで挟まれる部位は「対象点間」として設定されることになる。
【0049】
以下に、添付図面に基づいて、接続端子を基板や半導体装置の被検査物の検査対象部の検査用のプローブとして用いた場合について説明を行う。
【0050】
なお、各添付図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔等は、理解の容易のために、適宜、拡大・縮小・変形・簡略化等を行っている。
【0051】
[検査用治具の概略の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る検査用治具10の概略の構成を示す一部断面正面図である。検査用治具10は、ヘッド部12、ベース部14及び電極部16を備える。ヘッド部12及びベース部14は、樹脂あるいはセラミックス等の絶縁性の板状部材からなる。ヘッド部12及びベース部14は、棒状の支持部材11及びその周囲に環装されたスペーサ11sによって所定の距離だけ離隔されて保持されている。
【0052】
ヘッド部12には複数の貫通孔12hが形成されていて、それに挿入されたプローブ20の先端部22fが所定の位置に案内される。ベース部14には複数の貫通孔14hが形成されていて、それに挿入されたプローブ20の後端部22rが電極部16へ案内される。検査対象が微細になるのに伴い検査点間の距離が非常に小さくなっているため、各貫通孔12h及び貫通孔14hの内径も非常に小さくなっている。
【0053】
プローブ20の後端部22rは、電極部16に固定された導線18の端部と接触しており、導線18は図示せぬ検査装置に接続されている。
【0054】
図1においては、図面の簡略化のために、一部のプローブ20のみを示す。
【0055】
また、図1に示すように、被検査物の検査時には、検査用治具10の下方に、検査対象の被検査物30を配置し、検査用治具10を下降させてプローブ20の先端部22feを所定の検査点、例えば、30dnに接触させ、それにより、検査対象部の電気的特性の検査を行う。
【0056】
[接続端子の構造]
図2Aから図2Dは、図1の検査用治具に用いることができる一実施形態に係る接続端子(又は「プローブ」という)20を説明するための拡大及び簡略化した側面図である。図2Aは接続端子20の一部断面図であり、図2Bは接続端子20を構成する円筒形状部22の側面図であり、図2Cは接続端子20を構成する棒状部24の側面図であり、図2Dは円筒形状部22に棒状部24を接合する方法を説明するための簡略化側面図である。
【0057】
図2Aは、図1の検査用治具に用いることができる一実施形態に係る接続端子20を示す。接続端子20は、導電性の円筒形状部22と導電性の円柱形状の棒状部24とから構成されていて、棒状部24が、導電性の円筒形状部22内に挿通されている。
【0058】
円筒形状部22は、円筒形状の先端部22fと、円筒形状の後端部22rと、それらの間に形成されたばね部22sとからなり、ばね部22sは螺旋形状に形成されている。棒状部24は、円柱形状の本体部24bと先鋭形状の先端部24eとからなる。
【0059】
棒状部24は、円筒形状部22の先端部22f、ばね部22s及び後端部22r内に挿通されていて、棒状部24の先端部24eが、円筒形状部22の先端部22fの先端面22feから突出している。棒状部24の後端部側は、円筒形状部22の後端部22rの後端面よりも内側に引っ込んだ位置にある。その引っ込んだ位置までの距離は、棒状部24の先端部24eが押されて後退した場合に、それとともに移動する棒状部24の後端部側が、円筒形状部22の後端部22rの後端面から出ない程度の大きさである。
【0060】
ばね部22sは、伸縮する際に、伸縮にともなって軸線を中心に旋回をする。すなわち、例えば、円筒形状部22の後端部22rを固定した状態で棒状部24の先端部24eを押して棒状部24を後退させると、円筒形状部22の先端部22fが棒状部24の先端部24eとともに後退し(両者はP1の位置で接合されているから)、その後退とともに、ばね部22sが収縮することになる。この時、円筒形状部22の後端部22rは固定されていて回転できないため、円筒形状部22の先端部22fが旋回することになる。この旋回によってばね部22sが収縮の前後において同じ外径の大きさを維持することが可能になる。
【0061】
また、円筒形状の先端部22fのP1で示す位置において、円筒形状の先端部22fと棒状部24の本体部24bとが、詳しくは後述のとおり、抵抗溶接(電気溶接)又はかしめによって接合されていて、互いに固定されている。そのため、円筒形状の先端部22fと円柱形状の本体部24bとは一緒に移動することになる。また、その接合によって、円筒形状の先端部122fと棒状部124の本体部124bとが電気的に導通可能となっている。
【0062】
図2Bは、接続端子20を構成する円筒形状部22を示す。円筒形状部22として、例えば、外径が、約25から300μmで、内径が10から250μmのニッケルあるいはニッケル合金のチューブを用いることができる。この実施形態では、一例として、外径φ1が、約70μm、内径φ2が約50μm、全長L1が約20mmのニッケルチューブを用いるが、それに限定されるものではない。円筒形状部22の先端部22fの端面22fe及び後端部22rの後端面を除いて、周面は必要に応じて絶縁被覆してもよい。
【0063】
また、円筒形状の先端部22fの長さL2は約5mmで、ばね部22sの長さL3は約10mmで、後端部22rの長さL4は約5mmである。これらの値は一例であり、これらに限定されるものではない。
【0064】
円筒形状の先端部22fの軸線の周りの帯状部分の長手方向に沿って切欠き部のスリット13sが形成されている。このスリット13sは、図2Aに示すように、円筒形状の先端部22fと棒状部24の本体部24bとを抵抗溶接又はかしめによって接合して互いに固定する際に有用性を発揮する。スリット13sについては、図2Dに基づいて詳細に説明する。
【0065】
また、円筒形状部22は、例えば、後述する図6Aから図6Hに示す製造方法によって製造することができ、その際にスリット13sも形成することができる。
【0066】
図2Cは、接続端子20を構成する棒状部24を示す。棒状部24として、例えば、直径φ3が、約48μmのタングステン、工具用炭素鋼(SK材)、ベリリウム銅等からなる円柱形状部材を用いることができる。その直径は、棒状部24が筒形状部22内で移動自在でなければならないため、円筒形状部22の内径よりも小さい。例えば、棒状部24を筒形状部22に挿入した場合には、棒状部24と筒形状部22との間に約1μm程度のクリアランスが形成される。棒状部24の長さは、検査用治具のヘッド部12(図1)から先端部を突出させる長さに応じて変わるが、円筒形状部22とほぼ同じかそれよりも短くてもよい。
【0067】
また、棒状部24の先端部の形状は、円柱形状部の長手方向軸線を斜めに交差する1つの面で切断した形状でもよい。上記の通り、ばね部22sは伸縮に伴い旋回するため、そのような先端部の形状の棒状部24を円筒形状部22に組み込んだ場合には、例えば、被検査物に、円柱形状部のその形状の先端部が押しあてられてばね部が収縮すると、円柱形状部が長手方向の軸線を中心に旋回し、その形状の先端面が被検査物30の表面の酸化膜をひっかいたり削り取ったりするようにその表面上を移動することが可能になる。
【0068】
棒状部24の先端部の形状としては、それ以外に、円柱形状部の長手方向軸線を斜めに交差する2つの面で切断した形状でもよい。2つの面が交差した先端部は、ナイフの刃先のような形状になる。また、マイナスドライバーの先端のように薄板状の刃先の形状でもよい。また、その薄板状の刃先の位置は、軸線から外れていてもよい。
【0069】
図2Dは、接続端子20の組立方法を説明するための概念図である。ここでは、円筒形状部22の先端部22fと棒状部24の本体部24bとを抵抗溶接を用いて接合する場合を説明する。図2Dに示すように、円筒形状部22の先端部22fの中央部分には長手方向に沿って切欠き部のスリット13sが形成されている。また同一のスリット13sが図面の裏側に位置する対向面側にも形成されている。言い換えると、円筒形状部22の帯状部分上の2か所の長手方向軸線を線対称とする位置に、一対のスリット13sが形成されている。各スリット13sの長さSwは300から400μmで、スリット13sの幅は約5から15μmである。
【0070】
この実施形態では、スリット13sは、細長い開口で、円筒形状部22の軸線方向に沿って形成されている。しかし、スリットは、それに限定されるものではない。例えば図2Dに基づいて後述するように、先端部22fを棒状部24に接合するために例えば抵抗溶接を用いる。抵抗溶接のとき、先端部22fにスリット13sが形成されていない場合には、一対の抵抗溶接用電極によって円筒形状部22の先端部22fを挟み込むと、その挟み込んだ方向と直交する部分の先端部22fの一部が外側に膨らみ、先端部22fの断面形状が概略楕円形状になる。このため、先端部22fの外径が抵抗溶接前よりも大きくなってしまう。これに対し、スリット13によってその外側に膨らんだ部分に相当する部分が切り取られると、その膨らみは生じなくなるので、一対の抵抗溶接用電極によって円筒形状部22の先端部22fが挟み込まれたときでも、先端部22fの断面形状はほぼ円形を維持することができる。この概念の詳しい説明は図3A,3B及び図3Cに基づいて後述する。スリットは、このように、一対の抵抗溶接用電極によって先端部22fが挟み込まれたときに、スリットがなければ膨らんだであろうという先端部22fの一部を予め切欠くためのものなので、細長い開口の形状に限定されず、必要に応じてある程度の幅のある開口であってもよく、開口の幅は一定ではなくて例えば楕円形状やひし形状の開口であってもよい。また、スリットは円筒形状部の長手方向に沿った方向に限定されず、長手方向に対し斜め方向に形成されていてもよい。
【0071】
また、円筒形状部22の外側表面に形成されている一対のスリット13sの各位置から、軸線を中心に外側表面に沿って約90度移動した位置に、一対の抵抗溶接用の電極40が配置されている。各電極の幅(接続端子の長手方向に沿った長さ)は約200μmである。このように、スリットの長さは、電極の幅よりも大きいことが望ましい。
【0072】
また、スリット13sの幅の長さは、上記の如く、円筒形状部22の外側方向への膨らみを吸収することのできる幅の長さを有していれば、特に限定されないが、円筒形状部22の内周と棒状部24の外周との差に限定されることが好ましい。つまり、円筒形状部22の内周面上を軸線を中心に1周した長さL22と、棒状部24の外周面上を軸線を中心に1周した長さL24との差よりも、スリット13の幅Swが大であることが望ましい。すなわち、L22−L24<Sw の関係にあることが望ましい。
【0073】
また、スリット13の長さに関しては、上記の通り、抵抗溶接用の電極40の幅(接続端子の長手方向に沿った長さ)よりも大であることが望ましい。また、スリット13の長手方向の両端部は、ともに、同じ長手方向に並んだ抵抗溶接用の電極40の両端部より外側の位置にあることが望ましい。言い換えると、同じ長手方向にスリット13と電極40とが重なった場合に、スリット13の両端部の内側に電極40が収まる大きさの関係が望ましい。
【0074】
接続端子20を組み立てるにあたっては、まず、棒状部24を円筒形状部22内に挿入する。この際、接続端子20の検査対象とする被検査物の対象部の所定の検査点に接触する先端部として機能する部分は外部に突出させる。図2Dでは、一例として、棒状部24の先端部24eを含めて約2mmから3mm程度を、円筒形状部22の先端部22fの先端面22feから突出させている。
【0075】
次に、一対の抵抗溶接用の電極40を円筒形状部22の先端部22fを上下から挟み込むように配置する。この場合、図2Dに示すように、電極40は、スリット13sには重ならず、一対のスリット13sが、図2Dの紙面の手前側及び裏側に位置するように配置する。この状態で、円筒形状部22の先端部22fを、対向する一対の電極部40によって挟み、押圧した状態で所定の電流を流すと、一方の電極40からそれに接している円筒形状部22の先端部22f、その内面の金めっき層、タングステン等の棒状部の一方の側、タングステン等の棒状部の他方の側、円筒形状部22の先端部22fの他方の内面の金めっき層、円筒形状部22の先端部22f、さらに他方の電極40へと電流が流れ、これにより、円筒形状部22の先端部22fの内面の金めっき層が熱により溶けて、先端部22fが棒状部24と溶接される。なお、抵抗溶接に代えて、対向する位置をかしめて円筒形状部22の先端部22fと棒状部24の本体部24bとを接合させてもよい。
【0076】
図3Aから図3Cは、円筒形状部22の先端部22fと棒状部24の本体部24bとを溶接する際の状況を詳細に説明するための拡大断面図である。
【0077】
図3Aは、図2Aに示す矢印3A−3Aの方向に見た状態を示す。抵抗溶接の際には、最初に、図3Aに示す上下の対向する2つのP1の位置に抵抗溶接用の一対の電極を配置して、円筒形状部22の先端部22fをその電極によって円筒形状部を挟み込むように力を加える。これにより、円筒形状部22の先端部22fの内面の一部を棒状部24の外周面の一部に接触させる。次に、その状態で、一対の電極に電流を供給する。そうすると、その際に発生する熱によって先端部22fの内面の金めっき層が溶けて先端部22fの内面と棒状部24の外周面とが溶接されることになる。
【0078】
図3Aに示すように、円筒形状部22の先端部22fには一対のスリット13sが形成されている。このため、抵抗溶接用の一対の電極によって円筒形状部22が挟み込まれた際に、一対の電極を結ぶ直線と直交する方向に位置する円筒形状部122の部分は外側に膨らもうとするが、膨らむ部分が切欠かれているため、膨らむことなく、断面が概略円形形状を維持することができている。
【0079】
なお、ここで、本発明との比較の観点から、図3B及び図3Cに基づいて、スリット13sが形成されていない円筒形状部内に、抵抗溶接用の一対の電極を用いて円柱形状部を接合する場合の状態を説明する。図3Bに示すように、棒状部24が、断面円形の円筒形状部22の先端部22nsに挿入されており、その上下の対向する位置に一対の抵抗溶接用の電極40を配置している。次に、図3Cに示すように、一対の抵抗溶接用の電極を矢印で示すように互いに近づく方向に移動して先端部22nsを上下から挟みこみ、先端部22nsの内面を棒状部24の外周面に接触させる。このとき、図3Cに示すように、円筒形状部22の先端部22nsは、上下方向は電極40に挟まれることによって近づき、左右方向は膨らむように遠ざかり、円筒形状部22の断面は円形から概略楕円形状に変形する。この結果、広がった左右方向の外径が、断面円形のときの円筒形状部22の外径よりも大きくなっている。このように外径が大きくなった接続端子を、例えば、図4の検査治具に組み込もうとすると、その接続端子は、ヘッド部12の貫通孔12hの大径部12h1内に挿入できないことが起こり得る。検査対象機器の微細化に伴いプローブを保持する貫通孔の寸法も微細化されているからである。
【0080】
図3B及び図3Cに示すものに対し、図3Aに示すようにスリット13sが形成された円筒形状部22によると抵抗溶接を行っても概略円形形状を維持できるため、上記のような危惧は生じない。スリットの有用性はこの点にある。
【0081】
スリットの形状として、上記の実施形態では、細い溝形状の孔の実施形態を示したが、スリットは、円筒形状部が電極によって挟まれた際にそれと直交する方向に退避する部分を事前に取り除くことによって円筒形状部の断面形状を円形に維持するためのものであるため、その退避する部分を事前に取り除くだけの空間が形成できるものであればどのような形状の切欠き部であってもよい。
【0082】
[検査用治具の概要]
図4は、検査用治具の一部の拡大断面図である。図4に示すように、ヘッド部12の下面には板厚の薄いプレート12uが取り付けられていて、ヘッド部12には大径部12h1が形成され、プレート12uには小径部12h2が形成されている。ただし、プレート12uを用いることなく、ヘッド部12自体に大径部12h1と小径部12h2とを形成してもよい。
【0083】
大径部12h1には、接続端子20の円筒形状部22の先端部22fが挿入されている。
【0084】
上記の通り、先端部22fには対向する位置に一対のスリット13sが形成されていて、抵抗溶接によって先端部22fが棒状部24に接合されている。抵抗溶接後も先端部22fはほぼ断面円形状を維持しているため、大径部12h1内では、先端部22fは何等内壁に接触することもなく移動することができる。また、その先端部22fの先端面22feは、プレート12uの面に当接しており、プレート12uは大径部12h1から小径部12h2に移行する部分である。さらに小径部12h2には棒状部24が挿通され、先端部24eがヘッド部12から突出している。この場合、小径部12h2を形成するプレート12uの面は係止部を構成する。
【0085】
一方、接続端子20の後端部22rの後端面は、ベース部14の貫通孔14hに挿入されて導線18の端面と接触している。
【0086】
図4の状態においては、ヘッド部12の係止部を形成するプレート12uの面から電極部16の導線18の端面までの距離は、図2Aのように負荷のかかっていない自然長の円筒形状部22の長さよりも小さい。そのため、図4においては、その係止部によって円筒形状部22の先端部22fが押し上げられて、ばね部22sが収縮している。それにより、円筒形状部22の後端部22rが電極部16の導線18の端面に押し当てられている。そのため、後端部22rと導線18との接触抵抗値を小さく抑えることができる。
【0087】
図5は、図4の検査用治具を用いて被検査物の検査を行うときの状況を説明するための検査用治具の一部の拡大断面図である。
【0088】
基板等の被検査物の検査時には、検査用治具10を下降させて接続端子20の先端部24eを被検査物30の配線等の対象部上の所定の検査点30d1に当接する。これにより、図5に示すように、接続端子20の棒状部24は、押し上げられてヘッド部12の貫通孔12h内に入り込む。上記の通り、円筒形状部22の先端部22fと棒状部24とはP1において接合されているので、棒状部24が押し上げられると、それとともに円筒形状部22の先端部22fも押し上げられ、その結果、円筒形状部22の先端部22fの先端面22feは、ヘッド部12の小径部12h2の係止部を形成するプレート12uの面から離れる。また、図4及び図5に示すように、先端部22fはほぼ断面が円形を維持しているため、大径部12h1内では、先端部22fは何等内壁に接触することもなく移動することができる。
【0089】
なお、検査が終了して検査用治具10が被検査物から離れると、棒状部24の先端部24eを押し上げる力がなくなるため、円筒形状部22の先端部22fは再びヘッド部12の係止部を形成するプレート12uの面に当接し、そこに保持される(図4)。
【0090】
[接続端子の製造例]
図6Aから図6Hまでは、本発明に係る一実施形態の接続端子を製造するための各工程の一実施例を示す断面図である。また、ここで製造された接続端子は、単独で用いるだけでなく、他の円筒形状部材又は円柱形状部材と組み合わせることによって接続端子として機能するものである。なお、全図において、各部材の厚さ、長さ、形状、部材同士の間隔、隙間等は、理解の容易のために、適宜、拡大・縮小・変形・簡略化等をしている。図の説明の際の上下・左右の表現は、その図に向かった状態でのその図面の面に沿った方向を表すものとする。
【0091】
図6Aは、芯材70の外周面上に金めっき層72を形成し、さらにその上にニッケルめっき層74を形成して製造した電鋳管(円筒形状管)の断面図を示す。芯材70としては例えば外径が5μmから300μmの金属線や樹脂線を用いることができる。金属線としては例えばSUS線を用いることができ、樹脂線としてはナイロン樹脂やポリエチレン樹脂等の合成樹脂線を用いることができる。また、金めっき層72の厚さは約0.1μmから1μmであり、ニッケルめっき層74の厚さは、約5μmから50μmである。電鋳管の長さは、搬送作業の容易性等の観点から50cm以下が望ましいが、それに限定されるものではなく、切断することなく連続的に製造してもよい。
【0092】
図6Bは、図6Aに示された電鋳管のニッケルめっき層74の外周面上に絶縁膜76を形成したものを示す。絶縁膜76は後述の所定の溝の形成の際にレジストとしても機能する。その絶縁膜の厚さは約2μmから50μmである。絶縁膜76として、例えば、フッ素コーティング又はシリコーン樹脂材を用いて形成してもよい。
【0093】
次に、図6Cに示すように、絶縁膜76を例えば3mmから30mmの間隔を置いて所定の幅だけ周回して除去して溝78a,78b,78cを形成し、また、それらの溝と溝との間の絶縁膜の一部をらせん状に除去してらせん状の溝79a,79bを形成する。それらの溝を形成した部分には、ニッケルめっき層74が露出する。
【0094】
これらの溝を形成する際には、絶縁膜76にレーザービームを照射して、絶縁膜76を除去する方法を採用することができる。この場合、芯材70を周方向に回転させながら、溝の位置にレーザービームを直接照射し、その照射により絶縁膜76を除去する。なお、この方法で使用するレーザービームの出力は、絶縁膜76のみを除去することができ、且つニッケルめっき層を損傷することがない出力に調整される。
【0095】
次に、図6Dに示すように、絶縁膜76をマスクとして用いて、溝78a,78b,78c,79a,79bに露出したニッケルめっき層74をエッチング除去して金めっき層72を露出させる。その際、ニッケルめっき層74と芯材70との間に金めっき層72が存在するため、エッチングの際にニッケルエッチング液が芯材まで到達することを防止することができる。そのエッチング処理により除去されたニッケルめっき層74の溝78a,78b,78c,79a,79bに露出した端面は、エッチング液による腐食作用を利用するため、サイドエッチング部が形成されているという特徴を有する(後述する)。
【0096】
また、らせん状の溝79a、79bは、その部分にある絶縁膜76をレーザによって除去した後に、その部分に露出したニッケルめっき層74をエッチングによって除去することによって形成したため、そのらせん状の溝間にある部分(後述するばね部)のニッケルめっき層74の端面にはサイドエッチング部が形成されており、この積層された絶縁膜76が、そのニッケルめっき層74に対してオーバーハングしている状態となる。
【0097】
図6Eでは、レーザービームを照射して、溝78a,78b,78cを形成している絶縁膜76を端面から所定の長さを除去して、ニッケルめっき層74を露出させる。その露出したニッケルめっき層74は、接続治具用の接続端子に形成される際に、検査対象部に接触する先端部又は検査装置に接続される接続治具の電極に接触する後端部として機能する部分になり、接続治具の構造に応じて、それらの必要な長さが定まる。そのため、それらを考慮して絶縁膜76を除去する長さを決定すればよい。
【0098】
次に、超音波洗浄を行って、図6Fに示すように、溝78a,78b,78c,79a,79bに露出した金めっき層72を除去する。
【0099】
次に、図6Gに示すように、芯材70を白抜き矢印で示すように両端を離れる方向に引っ張って断面積が小さくなるように変形する。一端を固定して他端のみを引っ張るようにしてもよい。芯材70が延伸してその断面積が小さくなると、芯材70の外周面を被覆していた金めっき層72がその外周面から剥離して電鋳管の内側に残り、芯材70と金めっき層72との間に空間78が形成される。
【0100】
次に、図6Hに示すように、芯材70を抜き取ると、溝78a,78b,78cによって隣り合う部分が離れて、接続端子71と接続端子73とが、別個のものとして形成されることになる。このように、図6Hに示すように、芯材70を抜き取った段階で、他の追加の工程を必要とすることなく接続端子を完成させることができる。なお、図6Aから図6Hは、簡略化して電鋳管の一部のみを示しているため、図6Hの工程では、2個の接続子のみが製造されたようになっているが、長い電鋳管を使用することによって、多数の接続端子を一度に製造することができる。
【0101】
図6Hに示すように、接続端子71,73は、導電性材料の円筒形状管のニッケルめっき層74を備え、その両端側には、ニッケルめっき層が露出した先端部及び後端部が形成されており、また、先端部と後端部との間には、長軸方向のらせん状の壁面を有するばね部が形成されており、そのらせん状の壁面に沿って絶縁層76が形成されている。
【0102】
本発明の接続端子は、上記の如き寸法の条件下において製造することができるが、特に、外径が30から100μm、内径が20から90μm、絶縁被覆の厚みが2から15μmに形成される場合において、接続治具に用いられる接続端子として好適に用いることができる。
【0103】
また、図2Bに示す円筒形状部22は、例えば、上記の図6Aから図6Hに示す製造方法によって製造することができる。例えば、図6Cの製造工程において、らせん状の溝を形成するために、絶縁膜76の一部をレーザービームの照射によって除去し、その部分に露出したニッケルめっき層74をエッチングによって除去する際に、同様に、レーザービームの照射によってスリット13sの形状に沿って絶縁膜76を除去し、その部分に露出したニッケルめっき層74を、エッチングによって除去することによってスリット13sを形成することができる。
【0104】
[他のプローブの構造]
図7A及び図7Bは、他の実施形態に係るプローブ50を示す。プローブ50は、大径の円筒形状部54とそれに挿入されている小径の円柱形状部52(導電部)とから構成されている。
【0105】
大径の円筒形状部54は、先端部54fと、後端部54rと、それらの間に形成された2つのばね部54s1,54s2と、それらのばね部を連結する連結部54cとからなる。2つのばね部54s1,54s2はそれぞれ螺旋形状に形成されており、旋回方向が互いに逆になっている。つまり、ばね部54s1が連結部54cから例えば左巻き方向に旋回して後端部54rに到達しているとすると、ばね部54s2は連結部54cから右巻き方向に旋回して先端部54fに到達している。
【0106】
大径の円筒形状部54及びばね部54s1,54s2は、上記の実施例の円筒形状部22及びばね部22sと同様に製造することができる。
【0107】
小径の円柱形状部52の先端部52fは、大径の円筒形状部54の先端部54fから突出している。一方、小径の円柱形状部52の後端部52rは、大径の円筒形状部54の後端部54rの後端面54reの手前の位置に留まっていて、大径の円筒形状部54の後端面54reと小径の円柱形状部52の後端面52reとの間には空間が形成されている。
【0108】
また、図2Bに示す接続端子20の円筒形状部22の先端部22fと同様に、図7A又は図7Bの大径の円筒形状部54の先端部54fの軸線の周りの帯状部分には、長手方向に沿って切欠き部のスリット52sが形成されている。大径の円筒形状部54の先端部54fの位置Pでは、その先端部54fと小径の円柱形状部52とが、例えば、抵抗溶接又はかしめによって接合されていて、互いに固定されている。そのため、小径の円柱形状部52と大径の円筒形状部54の先端部54fとは一体となって動く。抵抗溶接の際、スリット52sの機能により、先端部54fが抵抗溶接の前後において断面円形を維持することができる。それ以外の部分においては、大径の円筒形状部54と小径の円柱形状部52とは固定されてなく、互いに別々に動くことができる。
【0109】
後述するように、基板等の検査時に、大径の円筒形状部54の後端部54rの後端面54reが検査治具の電極(導線18)に接触した状態で、小径の円柱形状部52の先端部52fの先端面52feが検査点に当接して押しつけられると、押しつけられた力の大きさの分だけ、小径の円柱形状部52が、大径の円筒形状部54の先端部54fとともに後退する。そのため、大径の円筒形状部54の2つのばね部54s1,54s2が収縮するとともに、小径の円柱形状部52が、それらの内側の空間内を後退する。それらのばねの収縮した長さの分だけ、それらのばねは元の長さに戻ろうとする付勢力を発揮する。ばねの荷重はばねの長さの変位に比例するため、その収縮の長さが変わると、2つのばね部54s1,54s2によって円柱形状部52の先端部52fの先端面52feが検査点を押す力(荷重)の大きさが変わる。
【0110】
そのため、大径の円筒形状部54の先端部54fの位置Pにおいてかしめ等を行う際に、小径の円柱形状部52の先端部52fが先端部54fから突出する長さを変えることによって、先端面52feが検査点に加える荷重の大きさを変えることができる。
【0111】
また、2つのばね部54s1,54s2は、プローブ50が検査治具に取り付けられた際に、大径の円筒形状部54の後端部54rの後端面54reを導線18に適切な力で押しつけるための予圧を与える付勢部として機能する。また、小径の円柱形状部52を大径の円筒形状部54の先端部54fに固定したことにより、2つのばね部54s1,54s2は、小径の円柱形状部52の先端面52feを検査点に適切な弾性力で押しつけて接触抵抗を安定させる押圧部としても機能する。
【0112】
図8は、図7A及び図7Bに示すプローブ50を取り付けた検査用治具の一部断面図である。図8に示すように、ヘッド部12−1には、大径部の貫通孔12−1h1及び小径部の貫通孔12−1h2が形成されており、ベース部14−1には、一部が拡張した貫通孔14−1hが形成されている。
【0113】
ヘッド部12−1の大径部12−1h1には、プローブ50の大径の円筒形状部54の先端部54fが挿入されていて、その先端面54feが、大径部12−1h1から小径部12−1h2に移る段差の面に当接している。そのように、その段差の面は先端面54feの係止部を形成する。小径部12−1h2には、プローブ50の小径の円筒形状部52の先端部52fが挿入されている。
【0114】
一方、ベース部14−1の貫通孔14−1hには、プローブ50の大径の円筒形状部54の後端部54rと連結部54cの一部とが挿入されていて、後端面54reが導線18の端面18eに当接している。小径の円柱形状部52の後端面52reはその端面18eから離れている。
【0115】
また、検査用治具に組み込む前には、プローブ50の大径の円筒形状部54の先端面54feから後端面54reまでの自然長は、検査治具のヘッド部12−1の大径部12−1h1から小径部12−1h2に移る段差の面(係止部)から導線18の端面18eまでの距離よりも大きい。そのため、図8のようにプローブ50を検査用治具に組み込んだときには、大径の円筒形状部54が係止部と端面18eとから押されるため、2つのばね部54s1,54s2がその大きさの相違分だけ収縮することになる。その収縮により、それらのばね部は元の長さに戻ろうとする付勢力を発揮する。
【0116】
その検査用治具を用いて被検査物の検査を行う時には、検査用治具を下降させてプローブ50の小径の先端部52feを被検査物30の配線等の検査対象部上の所定の検査点30d1に当接させて所定の大きさの力で検査点30d1を押すようにする。そうすると、プローブ50の小径の円柱形状部52の先端部52fは、ヘッド部12−1の貫通孔12−1h2内に押し込まれることになる。その際、上記のとおり、小径部の円柱形状部52と大径の円筒形状部54の先端部54fとは位置Pにおいて接合されているため、先端部52fが押し上げられると、それとともに大径の円筒形状部54の先端部54fも押し上げられて、その先端面54feが係止部から離れる。その結果、大径の円筒形状部54の2つのばね部54s1,54s2が圧縮されるため、それらのばね部には元の長さに戻ろうとする付勢力が生じる。その付勢力によって、先端面52feは検査点30d1に押し付けられることになり、その先端面52feと検査点30d1との安定した接触を確保することができるようになる。
【0117】
2つのばね部54s1,54s2は、上記の通り、旋回方向が逆であるため、押し縮められた際に生じる付勢力は、連結部54cを同一方向に旋回させる方向に作用する。そのため、それらのばね部は、同一方向に旋回させた2つの螺旋状のばねを連結した場合に比べると、折れ曲がりにくくまた捻じれにくい。
【0118】
なお、図7A、図7B及び図8の実施形態に限定されるものではないが、被検査物30に接する円柱形状部52fの先端面52feの形状は、平坦でもよく、球面形状のように湾曲して突出した形状でもよく、後述する図10Aに示すようないわゆる王冠の実施形態のように小さな突起が突出した形状でもよく、また、円柱形状部の長手方向軸線を斜めに交差する面で切断した形状でもよい。例えば、被検査物30に、それらの形状の円柱形状部の先端部が押しあてられた場合に、ばね部の作用により、円柱形状部が長手方向の軸線を中心に旋回するときには、それらの形状の先端面が被検査物30の表面の酸化膜をひっかいたり削り取ったりすることが可能になる。
【0119】
[他のプローブの構造]
図9Aから図9Cは、図1の検査用治具に用いることができる更に別の実施形態に係るプローブ20を説明するための拡大及び簡略化した側面図である。
【0120】
図9Aは、図1の検査用治具に用いることができる一実施形態に係るプローブ20を示す。プローブ20は、大径の円筒形状部24とそれに挿入されている導電性の小径の円筒形状部22(導電部)とから構成されている。
【0121】
小径の円筒形状部22は、円筒形状の先端部22fと、円筒形状の後端部22rと、それらの間に形成されたばね部22sとからなり、ばね部22sは螺旋形状に形成されている。
【0122】
小径の円筒形状部22の先端部22fの先端面22fe近くの部分は、大径の円筒形状部24の先端面24feから突出している。また、小径の円筒形状部22の後端部22rの後端面22re近くの部分は、大径の円筒形状部24の後端面24reから突出している。
【0123】
また、図2Bに示す接続端子20の円筒形状部22の先端部22fと同様に、図9Cに示すように大径の円筒形状部24の先端部24fの軸線の周りの帯状部分の長手方向に沿って切欠き部のスリット13sが形成されている。大径の円筒形状部24の先端面24fe近くの位置Pでは、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとが、例えば、抵抗溶接又はかしめによって接合されていて、互いに固定されている。そのため、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとは一体となって移動する。
【0124】
後述するように、検査時に、小径の円筒形状部22の先端面22feが検査点に当接してそれから押されると、小径の円筒形状部22の後端面22reが検査用治具の導線18の端面に押し付けられ、それにより、小径の円筒形状部22の後端部22rが大径の円筒形状部24の中に入り込む。その入り込んだ距離が、ばね部22sの収縮する長さになる。ばねの荷重はばねの変位に比例するため、その収縮の長さが変わることによって、円筒形状部22の先端面22feが検査点を押す力(荷重)の大きさが変わる。
【0125】
そのため、例えば、後端面24reから突出する後端面22re近くの円筒形状部22の長さが長い別の寸法の小径の円筒形状部を用いて、後端面22reが円筒形状部24の中に入り込むまでの距離を大きくすると、先端面22feが検査点に加える荷重の大きさを調整できる範囲を大きくすることができる。
【0126】
詳しくは後述のとおり、小径の円筒形状部22の先端部22fを大径の円筒形状部24に固定したことにより、ばね部22sは、検査前には、後端部22rを導線18の端面に押し付ける予圧を与える付勢部として機能するとともに、検査時には、先端部22fを検査点に適切な弾性力で押しつけて接触抵抗を低減させる押圧部として機能する。
【0127】
図9Bは、プローブ20を構成する小径の円筒形状部22を示す。円筒形状部22として、例えば、外径が、約25から280μmで、内径が15から260μmのニッケルあるいはニッケル合金のチューブを用いることができる。この実施形態では、一例として、外径が、約50μm、内径が約35μm、全長L1が約6mmのニッケルチューブを用いるが、それに限定されるものではない。
【0128】
また、円筒形状の先端部22fの長さL2は約2mmで、ばね部22sの長さL3は約2mmで、後端部22rの長さL4は約2mmである。これらの値は一例であり、それらに限定されるものではない。
【0129】
図9Cは、プローブ20を構成する大径の円筒形状部24を示す。大径の円筒形状部24は、ニッケルあるいはニッケル合金のチューブから作ることができ、その寸法として、例えば、外径が35μmから300μmで、内径が25μmから280μmで、長さL5が3mmから30mmである。これらの値は一例であり、それらに限定されるものではない。なお、大径の円筒形状部24の周面を必要に応じて絶縁被膜しても良い。
【0130】
例えば、抵抗溶接による場合には、図2Dの場合と同様に、対向する一対の電極部によって大径の円筒形状部24の位置Pを挟み、加圧しながら短時間定電流を流す。それにより、その位置において、大径の円筒形状部24と小径の円筒形状部22の先端部22fとを溶接する。それに代えて、その位置Pに力を加えてかしめて変形させて、それらを結合させてもよい。その際に、スリット13Sの作用により、抵抗溶接の前後において、大径の円筒形状部24は断面円形を維持することができる。
【0131】
図10Aから図12Bは、円筒形状の接続端子の先端部の当接部の形状に特徴のあるいくつかの実施形態を示す。これらの接続端子も、検査用プローブのみならず、対象物と所定の装置とを電気的に接続する接続治具に、更に、インターポーザやコネクタのように電極端と電極端とを接続する接続治具にも使用することができる。
【0132】
図10Aは、接続端子86の当接部81aを示す拡大正面図である。当接部81aは、対象物の対象点に少なくともその一部が接触して電気的接続を行う部分である。図10Bは、図10Aの接続端子86の底面図である。接続端子86は、対象物に設けられた対象点と所定の接続点とを電気的に接続するもので、導電性材料のめっき層からなる円筒形状部81を備える。
【0133】
図10Bに示すように、円筒形状部81は、内側壁面と外側壁面とから形成されていて、中央に空間を有する。円筒形状部81の先端部(図10Aにおいて下側の部分)には、外側壁面の縁部82と内側壁面の縁部84とそれらの間を結ぶ面83とを含む当接部81aが形成されている。
【0134】
当接部81aの面83は、例えば、エッチングにより形成することができる。その方法を説明する。例えば、図6Bに示すように、電鋳管のニッケルめっき層74の外周面上に絶縁膜76を形成して円筒形状体を作る。接続端子の長さに応じて、絶縁膜76をマスクとして用いて、レーザービームによって、円筒形状体から、接触子としての必要性に応じて所定の長さの絶縁膜76を除去し、エッチング処理すると、図10Aに示す当接部81aが露出する。
【0135】
その等方的なエッチングにより、ニッケルめっき層84の端部にサイドエッチング部が形成される。その際、円筒形状体の各端部において、エッチング液が、絶縁膜76から近いニッケルめっき層74の円筒形状体の外側壁面に回り込んでその外側壁面を侵食するため、外側壁面は、内側壁面よりも侵食される。なお、絶縁膜76は必ずしも必要ではないので、絶縁膜を形成しない場合には、レジスト膜を使用してエッチングを行う。
【0136】
円筒形状体の端部にサイドエッチング部が形成された結果、図10Aに現れているように、面83の形状は、平坦ではなく、湾曲したものとなる(湾曲形状面83)。その湾曲の広さや大きさや曲率は、エッチング液の薬液の配合率、濃度、温度等を変更したり、又はエッチングの際の印加電圧の大きさ等の諸条件を変更することによって変えることができる。
【0137】
図11Aは、接続端子96−1の当接部91−1aの一部の断面を示す。当接部91−1aは、外側壁面の縁部92−1と内側壁面の縁部94−1とそれらの間の面93−1とを含む。当接部91−1aは、図10A及び図10Bに示す当接部81aと同様に、湾曲する面93−1を有する。その図に示すように、接続端子96−1の軸線方向(図11Aにおいて、上下方向)に沿って、外側壁面の縁部92−1と内側壁面の縁部94−1とが異なる位置にある。つまり、図11Aにおいて、外側壁面の縁部92−1の位置が、内側壁面の縁部94−1の位置よりも、軸線方向に沿って、上方(接続端子の後端部側)にある。そのため、面93−1は、外側壁面の縁部92−1と内側壁面の縁部94−1とを斜め方向に結ぶように延在し、それにより、内側壁面の縁部94−1は鋭利な先端を形成している。これにより、その鋭利な先端が対象物の対象点に容易に食い込むことができるため、接続端子と対象物との接触特性(接触安定性)が向上する。また、その鋭利な先端部への付着物は、次の当接の際に剥がれ易く、その自浄作用により、接続端子と対象物との接触特性が向上する。
【0138】
また、図11Bは、他の実施形態に係る接続端子96−2の当接部91−2aの一部の断面を示す。当接部91−2aは、外側壁面の縁部92−2と内側壁面の縁部94−2とそれらの間の面93−2とを含む。図11Bに示すように、図11Aの当接部91−1aと同様に、当接部91−2aの内側壁面の縁部94−2は鋭利な先端を有するが、図11Aの当接部91−1aの面93−1と比べて、図11Bの当接部91−2aの面93−2の湾曲面の曲率が小さく、外側壁面の縁部92−2よりも図面の上方(接続端子96−2の後端側)に面93−2の頂点(又は底面)が位置し、凹形状に形成なっている。
【0139】
図13Aは、円筒形状体のニッケルめっき層の端部に、サイドエッチングにより、当接部を形成した一例を説明するための走査電子顕微鏡による拡大写真である。その写真に示す接続端子の当接部は、外径が約50μm、内径が約40μm、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との軸線方向の距離が約4μmであり、その写真から明らかなように、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との間の面は湾曲している。
【0140】
図11Aと図11Bとにそれぞれ示す内側壁面の縁部94−1,94−2の近く、つまり、先端部に近い面93−1,93−2の傾斜の大きさの相違の概略は、図11Aにおいては、内側壁面から面94−1の接線までの角度は、接線の接点の位置が内側壁面の縁部94−1から外側壁面の縁部92−1まで移動する間に、約20度から80度まで変化するのに対し、図11Bにおいては、内側壁面から面93−2の接線までの角度は、接線の位置が内側壁面の縁部94−2から外側壁面の縁部92−2まで移動する間に、約15度から120度まで変化する。すなわち、図11Aの当接部91−1aの先端部の方が、図11Bの当接部91−2aの先端部よりも鋭利である。
【0141】
図12Aは、図10Aの接続端子86の当接部81aと異なる形状の当接部161aを備える接続端子166の拡大正面図である。図12Bは、図12Aの接続端子166の底面図である。接続端子166は、図10Aの接続端子86と同様に、対象物に設けられた対象点と所定の接続点とを電気的に接続するもので、導電性材料のめっき層からなる円筒形状部61を備える。
【0142】
図12Bに示すように、円筒形状部161は、内側壁面と外側壁面とから形成されていて、中央に空間を有する。円筒形状部161の先端部(図12Aにおいて下側の部分)には、外側壁面の縁部162と内側壁面の縁部164とそれらの間を結ぶ面163とを含む当接部161aが形成されている。
【0143】
ただし、図10Aの面83とは異なり、図12Aに示すように、当接部161aの面163の縁部162,164には、円筒形状部161の円周面に沿って、等間隔に、略U字形状の切欠き部が形成されている。このような切欠き部は、当接部81aの面83同様に、エッチング処理により形成することができる。
【0144】
例えば、図6Bに示すように、電鋳管のニッケルめっき層74の外周面上に絶縁膜76を形成して円筒形状体を作る。接続端子の長さに応じて、レーザービームにより、円筒形状体の各端部の円周に沿って、絶縁膜76を略U字形状に除去してニッケルめっき層74を露出させる。その状態で、残りの絶縁膜76をマスクとして用いて、円筒形状体をエッチング処理する。その際、円筒形状体の各端部において、エッチング液が、絶縁膜76の縁からニッケルめっき層74の円筒形状体の外側壁面に回り込んでその外側壁面を侵食するため、外側壁面は、内側壁面よりも腐食される。その結果、絶縁膜76を略U字形状に除去した位置にあるニッケルめっき層74も略U字形状に侵食される。
【0145】
その結果、図12Aに示すように、当接部161aにおいては、外側壁面の縁部162の最も突出した位置162tと外側壁面の縁部162の最も引っ込んだ位置162bとは、接続端子166の軸線方向に沿って大きく離れており、また、内側壁面の縁部164の最も突出した位置164tと内側壁面の縁部164の最も引っ込んだ位置164bも、接続端子166の軸線方向に沿って大きく離れている。
【0146】
図13Bは、円筒形状体のニッケルめっき層の端部に、サイドエッチングにより、図13Aの形状とは異なる図12Aに示す形状(以下、「クラウン形状」という)の当接部を形成した一例を説明するための走査電子顕微鏡による拡大写真である。その写真に示す接続端子の当接部は、外径が約50μm、内径が約40μm、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との軸線方向の距離が約5μmである。また、外側壁面の縁部の最も突出した位置と外側壁面の縁部の最も低い位置との距離は約18μmであり、内側壁面の縁部の最も突出した位置と内側壁面の縁部の最も低い位置との距離は約15μmである。その写真から明らかなように、外側壁面の縁部と内側壁面の縁部との間の面は湾曲している。
【0147】
本発明の製造方法で記載される製造方法を用いて製造した接触端子は、その端面(側面)が内側から外側に湾曲に傾斜する。
【0148】
上記の図6Aから図6Hの実施例においては、絶縁膜76を形成し、それを必要に応じて、レジスト膜として使用した。上記の図10Aから図13Bの実施例においては、絶縁膜は必ずしも必要ではないので、エッチングの際には、レジスト膜を使用してもよい。
【0149】
また、上記の図10Aから図13Bの実施例において、円筒形状部81等の当接部81a等は、単一のめっき層からなるように描いているが、その層の内側、つまり、円筒形状部81等の中心軸線側に、面83等の形成や対象物の対象点との接触安定性の観点から、例えば、金めっき層を形成してもよい。ただし、その場合、金めっき層は当接部の先端部の内側壁面の縁部周辺では剥離してしまって存在しないことがある。
【0150】
そのため、円筒形状部81等の当接部81a等が、ニッケルめっき層とその内側の金めっき層とから構成されているように、複数のめっき層によって形成されている場合には、外側壁面の縁部82等は、当接部において、最も外側に形成されているめっき層の外側壁面の縁部を意味し、内側壁面の縁部84等は、内側のめっき層の内側壁面の縁部を意味するが、当接部の先端部において、一部のめっき層が剥がれていて存在しない場合には、存在する内側のめっき層の内側壁面の縁部を意味する。
【0151】
以上、本発明に係る接続端子、被検査物検査用の検査用治具及びそれに用いることのできるプローブの実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に拘束されるものではなく、当業者が容易になしえる追加、削除、改変等は、本発明に含まれるものであり、また、本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められることを承知されたい。
【符号の説明】
【0152】
10・・・検査用治具
11・・・支持部材
11s・・・スペーサ
12・・・ヘッド部
12h,14h・・・貫通孔
12h1・・・大径部
12h2・・・小径部
13s・・・スリット
14・・・ベース部
16・・・電極部
20・・・プローブ
22・・・小径の円筒形状部
24・・・大径の円筒形状部
22f・・・先端部
22r・・・後端部
22fe,24fe・・・先端面
22re,24re・・・後端面
22s・・・ばね部
70・・・芯材
71,73・・・接続端子
72・・・金めっき層
74・・・ニッケルめっき層
76・・・絶縁膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子であって、
小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、
前記小径の導電部の先端部が、前記大径の円筒形状部の先端部から突出し、
前記小径の導電部の一部が、前記大径の円筒形状部の一部に接合されており、
前記小径の導電部に接合された前記大径の円筒形状部の部分を少なくとも含む該円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の一部に切欠き部が形成されている、接続端子。
【請求項2】
請求項1の接続端子において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線方向の長さと、該円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の周面に沿った幅方向の長さとを持ち、前記切欠き部の前記軸線方向の長さが、前記小径の導電部の一部を前記大径の円筒形状部の一部に接合する際に用いる電極の該円筒形状部の軸線方向の両端部を超えた長さであり、また、前記切欠き部の前記幅方向の長さが、前記円筒形状部の内周面の1周の長さと前記小径の導電部の外周面の1周の長さとの差よりも大である、接続端子。
【請求項3】
請求項2の接続端子において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線に沿った方向又は軸線に沿った方向と交差する方向に形成されている、接続端子。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの接続端子において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線を線対象とする一対の切欠き部からなる、接続端子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの接続端子において、前記切欠き部が細長い開口のスリット形状である、接続端子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの接続端子において、前記円筒形状部の前記導電部に接合された部分を含む前記帯状部分を除く部分にばね部が形成されている、接続端子。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの接続端子において、前記小径の導電部が、円柱形状部又は円筒形状部からなる、接続端子。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかの接続端子において、前記小径の円筒形状部の導電部の一部にばね部が形成されている、接続端子。
【請求項9】
対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子を製造する方法であって、
小径の導電部と大径の円筒形状部とを形成し、
前記大径の円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の一部に切欠き部を形成し、
前記大径の円筒形状部に前記小径の導電部を挿入して前記小径の導電部の先端部を前記大径の円筒形状部の先端部から突出させ、
前記大径の円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の該軸線方向と直交する方向に対向する位置であって前記切欠き部が形成された位置を除く位置に一対の抵抗溶接用の電極を配置し、
該一対の抵抗溶接の電極を互いに近づけるように前記大径の円筒形状部を押圧して前記小径の導電部に接触させ、
前記一対の抵抗溶接の電極に所定の電流を流すことによって、前記大径の円筒形状部の一部と前記小径の導電部の一部とを接合する、接続端子を製造する方法。
【請求項10】
請求項9の接続端子を製造する方法において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線方向の長さと、該円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の周面に沿った幅方向の長さとを持ち、前記切欠き部の前記軸線方向の長さが、前記抵抗溶接の電極の該円筒形状部の軸線方向の両端部を超えた長さであり、また、前記切欠き部の前記幅方向の長さが、前記円筒形状部の内周面の1周の長さと前記小径の導電部の外周面の1周の長さとの差よりも大である、接続端子を製造する方法。
【請求項11】
請求項9又は10の接続端子を製造する方法において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線に沿った方向又は軸線に沿った方向と交差する方向に形成されている、接続端子を製造する方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかの接続端子を製造する方法において、前記円筒形状部の前記導電部に接合された部分を含む前記帯状部分を除く部分にばね部が形成されている、接続端子を製造する方法。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれかの接続端子を製造する方法において、前記小径の導電部が、円柱形状部又は円筒形状部からなる、接続端子を製造する方法。
【請求項1】
対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子であって、
小径の導電部とそれを囲むように配置された大径の円筒形状部とを備え、
前記小径の導電部の先端部が、前記大径の円筒形状部の先端部から突出し、
前記小径の導電部の一部が、前記大径の円筒形状部の一部に接合されており、
前記小径の導電部に接合された前記大径の円筒形状部の部分を少なくとも含む該円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の一部に切欠き部が形成されている、接続端子。
【請求項2】
請求項1の接続端子において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線方向の長さと、該円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の周面に沿った幅方向の長さとを持ち、前記切欠き部の前記軸線方向の長さが、前記小径の導電部の一部を前記大径の円筒形状部の一部に接合する際に用いる電極の該円筒形状部の軸線方向の両端部を超えた長さであり、また、前記切欠き部の前記幅方向の長さが、前記円筒形状部の内周面の1周の長さと前記小径の導電部の外周面の1周の長さとの差よりも大である、接続端子。
【請求項3】
請求項2の接続端子において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線に沿った方向又は軸線に沿った方向と交差する方向に形成されている、接続端子。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの接続端子において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線を線対象とする一対の切欠き部からなる、接続端子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの接続端子において、前記切欠き部が細長い開口のスリット形状である、接続端子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの接続端子において、前記円筒形状部の前記導電部に接合された部分を含む前記帯状部分を除く部分にばね部が形成されている、接続端子。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの接続端子において、前記小径の導電部が、円柱形状部又は円筒形状部からなる、接続端子。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかの接続端子において、前記小径の円筒形状部の導電部の一部にばね部が形成されている、接続端子。
【請求項9】
対象点間を接続する接続治具に用いられる接続端子を製造する方法であって、
小径の導電部と大径の円筒形状部とを形成し、
前記大径の円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の一部に切欠き部を形成し、
前記大径の円筒形状部に前記小径の導電部を挿入して前記小径の導電部の先端部を前記大径の円筒形状部の先端部から突出させ、
前記大径の円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の該軸線方向と直交する方向に対向する位置であって前記切欠き部が形成された位置を除く位置に一対の抵抗溶接用の電極を配置し、
該一対の抵抗溶接の電極を互いに近づけるように前記大径の円筒形状部を押圧して前記小径の導電部に接触させ、
前記一対の抵抗溶接の電極に所定の電流を流すことによって、前記大径の円筒形状部の一部と前記小径の導電部の一部とを接合する、接続端子を製造する方法。
【請求項10】
請求項9の接続端子を製造する方法において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線方向の長さと、該円筒形状部の軸線の周りの帯状部分の周面に沿った幅方向の長さとを持ち、前記切欠き部の前記軸線方向の長さが、前記抵抗溶接の電極の該円筒形状部の軸線方向の両端部を超えた長さであり、また、前記切欠き部の前記幅方向の長さが、前記円筒形状部の内周面の1周の長さと前記小径の導電部の外周面の1周の長さとの差よりも大である、接続端子を製造する方法。
【請求項11】
請求項9又は10の接続端子を製造する方法において、前記切欠き部が、前記円筒形状部の軸線に沿った方向又は軸線に沿った方向と交差する方向に形成されている、接続端子を製造する方法。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかの接続端子を製造する方法において、前記円筒形状部の前記導電部に接合された部分を含む前記帯状部分を除く部分にばね部が形成されている、接続端子を製造する方法。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれかの接続端子を製造する方法において、前記小径の導電部が、円柱形状部又は円筒形状部からなる、接続端子を製造する方法。
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図6B】
【図6E】
【図6F】
【図6H】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図11A】
【図12A】
【図12B】
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6C】
【図6D】
【図6G】
【図7A】
【図7B】
【図10B】
【図11B】
【図13A】
【図13B】
【図3B】
【図3C】
【図6B】
【図6E】
【図6F】
【図6H】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図11A】
【図12A】
【図12B】
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6C】
【図6D】
【図6G】
【図7A】
【図7B】
【図10B】
【図11B】
【図13A】
【図13B】
【公開番号】特開2013−53931(P2013−53931A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192422(P2011−192422)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(392019709)日本電産リード株式会社 (160)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(392019709)日本電産リード株式会社 (160)
【Fターム(参考)】
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