説明

接続設定方法、カメラシステム及び記憶媒体

【課題】本発明は、カメラシステムにおいて同一の伝送網に複数の映像データが伝送される場合でも、該伝送網に応じて最適な接続設定を決定する。
【解決手段】本発明は、複数のCHU22及びCCU23が同一の非同期通信網27を介して接続されるカメラシステム20において、映像データの伝送遅延量及びジッタが許容閾値より大きい場合、非同期通信網27を用いて伝送される映像データの伝送レートの和が非同期通信網27の許容スループット以下となるように、予め設定された優先順位が高いほど高い伝送レートに決定することにより、非同期通信網27を介して映像データを伝送する全てのCHU22及びCCU23で最適な接続設定を決定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接続設定方法、カメラシステム及び記憶媒体に関し、例えばテレビ局のスタジオで用いられるカメラシステムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図1に示すように、カメラシステム1は、映像を撮影する複数のカメラ部(以下、これをCHU(Camera Head Unit)とも呼ぶ)2、カメラコントロールユニット(以下、これをCCU(Camera Control Unit)とも呼ぶ)3、ビテオスイッチャー4及び標準信号発生器5が設けられ、CHU2とCUU3とがカメラケーブル6を介して1:1で接続されるようになされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また図2に示すように、例えばEthernet(登録商標)/IPのような非同期通信網11を介してCHU2とCCU3とが接続されるカメラシステム10も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−238277号公報
【特許文献2】特開2004−304809公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで上述したカメラシステム10では、CHU2とCCU3とが非同期通信網11を介して接続されることから、CHU2及びCCU3でそれぞれ接続相手のIPアドレスを設定することになる。
【0006】
このときカメラシステム10では、CHU2及びCCU3に例えばパーソナルコンピュータ(PC)を接続し、カメラに内蔵されるCPUで稼動されるソフト等を用いて、CHU2及びCCU3のコンソール画面からそれぞれ自身のIPアドレスや接続相手のIPアドレスなどの設定条件をユーザの手入力により設定させなければならなく、煩雑な作業をユーザに強いるといった問題があった。
【0007】
またカメラシステム10では、設定条件の入力ミスなどのヒューマンエラーにより、システム全体が機能しなくなってしまう恐れもあった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、カメラシステムにおいて同一の伝送網に複数の画像データが伝送される場合でも、該伝送網に応じて最適な接続設定を決定し得る接続設定方法、カメラシステム及び記憶媒体を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明においては、一以上のカメラ部と、該カメラ部を制御する一以上のカメラ制御部とが同一の伝送網を介して接続されるカメラシステムにおけるカメラ制御部の接続設定方法であって、接続されるカメラ部から伝送される画像データの遅延量を測定する測定ステップと、測定ステップで測定される遅延量が伝送網において最大伝送量以下のデータ量しか伝送されていないとされる閾値より大きい場合、伝送網を用いて伝送される画像データの伝送レートの和が該伝送網の最大伝送量以下となり、かつ予め設定された優先順位が高いほど高伝送レートとなるように、接続されるカメラ部から伝送される画像データの伝送レートを決定する伝送レート決定ステップとを有する。
【0010】
また本発明においては、一以上のカメラ部と、該カメラ部を制御する一以上のカメラ制御部とが同一の伝送網を介して接続されるカメラシステムであって、カメラ部は、画像データを取得する撮像部と、画像データを所定の圧縮率で符号化する符号化部と、符号化された画像データをカメラ制御部に伝送する伝送部とが設けられ、カメラ制御部は、カメラ部から伝送される画像データの遅延量を測定し、該測定された遅延量が伝送網において最大伝送量以下のデータ量しか伝送されていないとされる閾値より大きい場合、伝送網を用いて伝送される映像データの伝送レートの和が該伝送網の最大伝送量以下となり、かつ予め設定された優先順位が高いほど高伝送レートとなるように、接続されるカメラ部から伝送される画像データの伝送レートを決定する伝送レート決定部とが設けられる。
【0011】
さらに本発明においては、一以上のカメラ部と、該カメラ部を制御する一以上のカメラ制御部とが同一の伝送網を介して接続されるカメラシステムに用いられる記憶媒体であって、カメラ部及びカメラ制御部にそれぞれの接続相手を判別させるため識別子と、カメラ部からカメラ制御部に伝送される映像データの伝送レートの和が、伝送網において最大伝送量以下のデータ量しか伝送されていないとされる閾値より大きい場合、伝送網を用いて伝送される画像データの伝送レートの和が伝送網の最大伝送量以下となり、かつ順位に応じて高伝送レートとなるようにカメラ部から伝送される映像データの伝送レートを決定させるための優先順位とが記憶される。
【0012】
これにより、同一の伝送網を介して複数の画像データが伝送されるシステムにおいて、複数の画像データの伝送レートの和が該伝送網の最大伝送量以下となるように、その優先順位に応じて各画像データの伝送レートを決定することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、同一の伝送網を介して複数の画像データが伝送されるシステムにおいて、複数の画像データの伝送レートの和が該伝送網の最大伝送量以下となるように、各画像データの伝送量を決定することができ、かくしてカメラシステムにおいて同一の伝送網に複数の画像データが伝送される場合でも、該伝送網に応じて最適な接続設定を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のカメラシステム(1)を示す略線図である。
【図2】従来のカメラシステム(2)を示す略線図である。
【図3】本実施の形態におけるカメラシステム(1)を示す略線図である。
【図4】CHUの構成を示す略線図である。
【図5】CCUの構成を示す略線図である。
【図6】本実施の形態におけるカメラシステム(2)を示す略線図である。
【図7】CHUのCPUの機能的構成を示す略線図である。
【図8】CCUのCPUの機能的構成を示す略線図である。
【図9】基準となるCHU−CCUの通信遅延量よりも他のCHU−CCUの通信遅延量の方が短い場合のフレーム同期を示す略線図である。
【図10】基準となるCHU−CCUの通信遅延量よりも他のCHU−CCUの通信遅延量の方が長い場合のフレーム同期を示す略線図である。
【図11】接続環境設定処理手順を示すフローチャートである。
【図12】伝送レート決定処理手順を示すシーケンスチャートである。
【図13】位相同期及びバッファ量決定処理手順を示すフローチャートである。
【図14】他の実施の形態におけるカメラシステムを示す略線図である。
【図15】他の実施の形態におけるシステム遅延ネゴシエーション処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態について説明する。なお、説明は以下の順序とする。
1.実施の形態
2.他の実施の形態
【0016】
<1.実施の形態>
〔1.カメラシステムの構成〕
図3において、本一実施の形態によるカメラシステム20を示す。カメラシステム20は、複数のCHU22(22A、22B、22C、…)、複数のCCU23(23A、23B、23C、…)、ビデオスイッチャー24、標準信号発生器25、カメラコマンドネットワークユニット(以下、これをCNU(Camera Command Network Unit)とも呼ぶ)26が設けられる。
【0017】
なお、以下の説明では、説明の便宜上、CHU22及びCCU23がそれぞれ3つずつ設けられている場合について説明する。またCHU22A、CHU22B及びCHU22Cを特に区別することなく説明する場合には単にCHU22とし、CCU23A、CCU23B及びCCU23Cを特に区別することなく説明する場合には単にCCU23とする。
【0018】
カメラシステム20では、CHU22AとCCU23A、CHU22BとCCU23B、CHU22CとCCU23Cがスイッチングハブ28a、28bを含むEthernet(登録商標)/IPである非同期通信網27を介してそれぞれ1:1で接続される。
【0019】
各CHU22で撮影された映像データは、非同期通信網27を介して接続相手であるCCU23に伝送され、各CCU23からビデオスイッチャー24に出力される。
【0020】
ビデオスイッチャー24は、それぞれのCCU23から供給される映像データのうち、例えばユーザによる操作に応じて選択された映像データを外部機器に出力する。またビデオスイッチャー24は、CHU22の表示部(図示せず)に映像を表示させるための折り返し映像データをCCU23を介してCHU22に出力する。
【0021】
標準信号発生器25は、各CHU22−CCU23ペアのシステムクロック同期を取るための基準となる標準信号を各CCU23に送出する。
【0022】
CNU26は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含むコンピュータ構成になっており、詳しくは後述するように、CHU22−CCU23ペア間の通信遅延量を調整する。
【0023】
〔1−1.CHUの構成〕
CHU22は、図4に示すように、CPU41、各種プログラムが格納されるROM42、及びCPUのワークメモリとして機能するRAM43が設けられる。
【0024】
またCHU22は、撮影部44としての撮影素子44a及び画像エンジン44b、エンコーダ45、バッファ46、ネットワークインターフェイス47、USB(Universal Serial Bus)インターフェイス48が設けられ、各部がバス40を介して接続される。エンコーダ45は、符号化部45a及び暗号化部45bとして機能する。
【0025】
CPU41は、CHU22全体を統括制御するようになされており、ROM42に格納されたプログラムをRAM43に展開して実行することにより、各種プログラムを実行するようになされている。
【0026】
撮影素子44aは、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary metal Oxide Semiconductor)などが適応される。画像エンジン44bは、撮影素子44aで得られた電荷を映像データに変換する。
【0027】
エンコーダ45の符号化部45aは、撮影部44により撮影された映像データを設定された圧縮率で圧縮符号化する。また暗号化部45bは、所定の暗号キーを用いて符号化された映像データを暗号化する。
【0028】
バッファ46は、例えば不揮発性メモリでなり、エンコーダ45により圧縮符号化された後に暗号化された映像データを一時的に記憶しておく記憶領域である。因みにバッファ46は、不揮発性メモリを別途設けず、例えばRAM43の一部をバッファとして用いるようにしてもよい。
【0029】
ネットワークインターフェイス47は、許容スループット(最大伝送量)が例えば500[Mbps]である非同期通信網27(図3)とLAN(Local Area Network)ケーブルを介して接続され、CCU23との間で各種データを送受信し得るようになされている。
【0030】
USBインターフェイス48は、USB規格に準拠したインターフェイスであり、例えばUSBメモリなどが接続し得るようになされている。
【0031】
〔1−2.CCUの構成〕
CCU23は、図5に示すように、CPU51、ROM52、RAM53、ネットワークインターフェイス54、デコーダ55、映像出力インターフェイス56及びUSBインターフェイス57がバス50を介して接続される。デコーダ55は、暗号復号化部55a及び符号復号化部55bとして機能する。
【0032】
CPU51は、CCU23全体を統括制御するようになされており、ROM52に格納されたプログラムを、ワークメモリとして機能するRAM53に展開して実行することにより、各種プログラムを実行するようになされている。
【0033】
ネットワークインターフェイス54は、LANケーブルを介して非同期通信網27と接続され、非同期通信網27を介してCHU22との間で各種データを送受信し得るようになされている。
【0034】
デコーダ55の暗号復号化部55aは、CHU22から供給される圧縮符号化され暗号化された映像データを、CHU22で映像データを暗号化する際に用いた暗号キーに対応する復号キーを用いて復号し、その結果として圧縮符号化された映像データを得る。符号復号化部55bは、圧縮符号化された映像データを復号し、その結果として映像データを得る。
【0035】
映像出力インターフェイス56は、所定のケーブルを介してビデオスイッチャー24と接続されており、映像データをビデオスイッチャー24に送出すると共に、ビデオスイッチャー24から供給される折り返し映像データを受信する。
【0036】
USBインターフェイス57は、USB規格に準拠したインターフェイスであり、例えばUSBメモリなどが接続し得るようになされている。
【0037】
〔1−3.ドングルの構成〕
ところでCHU22及びCCU23は、図6に示すように、例えばUSBメモリでなり、対を成す親ドングル31及び子ドングル32がそれぞれUSBインターフェイス48及び57に装着されるようになされている。図6においては、親ドングル31Aと子ドングル32A、親ドングル31Bと子ドングル32B、親ドングル31Cと子ドングル32Cとがそれぞれ対をなす。なお、図6において非同期通信網27は、説明の便宜上、省略して書かれている。ここで、ドングルとは例えば記憶媒体を有する小型のハードウェアであり、具体的には以下のような情報が記憶される。
【0038】
例えば、親ドングル31(31A、31B、31C)には、自身のIPアドレス、接続相手のIPアドレス、ポートナンバー、伝送レート、暗号キー、伝送経路情報、帯域予約情報がデータとして記憶されている。
【0039】
ここで自身のIPアドレスは、親ドングル31が装着されるCHU22のIPアドレスである。接続相手のIPアドレスは、親ドングル31に対して対をなす子ドングル32が装着されるCCU23のIPアドレスである。ポートナンバーは、映像データや音声データ等を送受信するためのポートナンバーである。
【0040】
伝送レートは、親ドングル31が装着されたCHU22から映像データを接続相手であるCCU23に伝送する際の初期設定の伝送レート(本実施においては、300[Mbps])である。暗号キーは、親ドングル31が装着されるCHU22と、対をなす子ドングル32が装着されるCCU23との間とだけで映像データを伝送するための暗号キーである。伝送経路情報は、親ドングル31が装着されるCHU22と、対をなす子ドングル32が装着されるCCU23とが接続する際の非同期通信網27における接続経路を示す。
【0041】
帯域予約情報は、カメラシステム20におけるCHU22−CCU23ペアの優先順位を示す。例えば、親ドングル31Aには優先順位が最も高い「高」が、親ドングル31Bには優先順位が中位である「中」が、親ドングル31Cには優先順位が最も低い「低」がそれぞれ入力されている。
【0042】
また子ドングル32(32A、32B、32C)には、自身(装着されるCCU23)のIPアドレス、接続相手(CHU22)のIPアドレス、ポートナンバー、復号キー、伝送経路情報、帯域予約情報、許容遅延量及び設定遅延量がデータとして記憶されている。
【0043】
ここで許容遅延量は、CHU22から供給される映像データの許容できる遅延量を示し、例えば映像データにおける1フィールド分のデータ量などである。設定遅延量は、後述する接続環境設定処理で設定された遅延量が記憶できるようになされている。
【0044】
〔2.接続環境設定処理〕
次に、カメラシステム20において、各部に電源が投入されてから、CCU23がCHU22から映像データを受信できるようになるまでの、CHU22及びCCU23の接続環境を設定する処理(以下、これを接続環境設定処理)について説明する。
【0045】
CHU22のCPU41は、接続環境設定処理を実行する際、図7に示すように、初期設定部61、同期確立部62、遅延量決定部63として機能する。
【0046】
CCU23のCPU51は、接続環境設定処理を実行する際、図8に示すように、初期設定部71、同期確立部72、伝送レート決定部73及び遅延量決定部74として機能する。
【0047】
〔2−1.初期設定処理〕
カメラシステム20における各部に電源電力が供給されると、CHU22の初期設定部61は、USBインターフェイス48に挿着された親ドングル31に記憶されたデータを読み出し、該データに基づいて自身のIPアドレス及びCCU23との通信に用いるポートを設定する。また初期設定部61は、親ドングル31に記憶された対をなす子ドングル32が装着される接続相手であるCCU23のIPアドレス及びポートを設定する。
【0048】
初期設定部61は、IPアドレス及びポートが設定されると、接続相手であるCCU23にそれぞれ接続を開始し、非同期通信網27における該CCU23までの接続経路を検索する。
【0049】
初期設定部61は、検索した接続経路と親ドングル31に記憶された伝送経路情報に基づく接続経路とを比較する。
【0050】
ここで、検索した接続経路と親ドングル31に記憶された伝送経路情報に基づく接続経路とが異なるのは、接続経路として用いられる例えば非同期通信網27のハブ28が故障している場合など、カメラシステム20に不具合が生じている場合である。
【0051】
従って初期設定部61は、検索した接続経路と親ドングル31に記憶された伝送経路情報に基づく接続経路とが異なる場合、接続経路が親ドングル31に記憶された接続経路と異なる旨を例えば表示部(図示せず)に表示してユーザに通知する。これにより、ユーザに対して、カメラシステム20における装置のいずれかに不具合が生じていることを通知できる。
【0052】
一方、CCU23の初期設定部71は、USBインターフェイス57に挿着された子ドングル32に記憶されたデータを読み出し、該データに基づいて自身のIPアドレス及びCHU22との通信に用いるポートを設定する。また初期設定部71は、子ドングル32に記憶された対をなす親ドングル31が装着される接続相手であるCHU22のIPアドレス及びポートを設定する。
【0053】
初期設定部71は、IPアドレス及びポートが設定されると、接続相手であるCHU22にそれぞれ接続を開始し、非同期通信網27における該CHU22までの接続経路を検索する。
【0054】
初期設定部71は、検索した接続経路と子ドングル32に記憶された伝送経路情報に基づく接続経路とを比較し、これらの経路が異なる場合、接続経路が子ドングル32に記憶された接続経路と異なっている旨をユーザに通知する。
【0055】
また初期設定部71は、接続経路が子ドングル32に記憶された接続経路と異なっている旨をビデオスイッチャー24にも通知し、該ビデオスイッチャー24の表示部(図示せず)にその旨を表示させることにより、ユーザにその旨を通知する。これにより初期設定部71も、ユーザに対して、カメラシステム20における装置のいずれかに不具合が生じていることを通知できる。
【0056】
なお、初期設定部61及び71は、検索した接続経路と親ドングル31及び子ドングル32に記憶された伝送経路情報に基づく接続経路とが同一である場合、次の処理を実行する。
【0057】
〔2−2.システムクロック同期処理〕
CHU22及びCCU23は、例えばIEEE1588の方式や特開2004−304809に示された方法によりシステムクロックの同期を確立する。
【0058】
具体的には、CCU23の同期確立部72は、標準信号発生器25から供給される標準信号に基づく同期パケットをCHU22に送信する。CHU22の同期確立部62は、同期パケットを受信した場合、この同期信号に対する応答用の同期パケットをCCU23に送信する。
【0059】
CCU23の同期確立部72は、送信した同期パケットの送信時刻と、受信した同期パケットの受信時刻とに基づいて非同期通信網27を介したCHU22−CCU23ペア間の通信遅延量を測定する。そして同期確立部72は、測定された通信遅延量に基づいて、CHU22−CCU23ペア間のシステムクロックの同期を確立する。
【0060】
〔2−3.伝送レート決定処理〕
システムクロックの同期が確立すると、CHU22及びCCU23は、CHU22からCCU23に伝送される映像データの伝送レートを決定する伝送レート決定処理を実行する。
【0061】
ここで、カメラシステム20では、CHU22A、22B及び22Cが同一の伝送網である非同期通信網27を介して映像データをそれぞれ接続相手であるCCU23A、23B及び23Cに伝送するようになされている。
【0062】
従ってCHU22A、22B及び22Cが親ドングル31に記憶された伝送レートである300[Mbps]で映像データをそれぞれ伝送した場合、許容スループットである500[Mbps]を超えたデータが非同期通信網27に供給されることになる。
【0063】
この場合、非同期通信網27では、CHU22からCCU23に伝送される映像データに遅延やジッタが発生してしまい、CHU22及びCCU23は、安定して映像データが送受信できなくなってしまうことになる。
【0064】
そこでCHU22及びCCU23は、CHU22からCCU23に伝送する映像データの伝送レートの和が非同期通信網27の許容スループット以下になるように、CHU22−CCU23ペアの優先順位が高い順に高伝送レートとなるように伝送レートを決定する。
【0065】
具体的には、CHU22では、符号化部45aにより撮影部44で撮影された映像データを親ドングル31に記憶された伝送レートに対応する圧縮率で圧縮符号化し、暗号化部45bで暗号化する。そしてCHU22は、暗号化されたテスト用映像データをネットワークインターフェイス47を介してCCU23にテスト伝送する。
【0066】
CCU23の伝送レート決定部73は、接続相手であるCHU22からテスト用映像データが伝送されると、該テスト用映像データの伝送遅延量及びジッタを例えば5秒間測定する。
【0067】
CCU23の伝送レート決定部73は、測定したテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタと、非同期通信網27において許容スループット以下のデータ量しか伝送されてないとされる閾値とを比較する。
【0068】
そして伝送レート決定部73は、受信したテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタが閾値よりも大きい場合、子ドングル32に記憶された優先順位に応じて伝送レートを下げる。なお、以下の説明において、説明の便宜上、CCU23A、23B及び23Cの伝送レート決定部73をそれぞれ伝送レート決定部73A、74B及び74Cとして説明する。
【0069】
具体的には、優先順位が「低」であるCCU23Cの伝送レート決定部73Cは、受信したテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタが閾値よりも大きい場合、5秒時間が経過した後、伝送レートを1段階(例えば50[Mbps])下げるように決定する。
【0070】
そして伝送レート決定部73Cは、1段階下げた伝送レート(250[Mbps])に対応した映像データの圧縮率を算出してCHU22Cに通知し、CHU22Cに対して1段階伝送レートを下げた伝送レートでテスト用映像データを再び伝送させる。
【0071】
伝送レート決定部73Cは、再びCHU22Cから伝送されるテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタを測定し、該伝送遅延量及びジッタが閾値以下になるまで、上述の処理を繰り返し行い、伝送レートを1段階ずつ下げていく。
【0072】
従って、優先順位が最も低いCHU22C−CCU23Cペアでは、5秒間の伝送遅延量及びジッタの測定を行った後、該伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、5秒の時間をおいて伝送レートを1段階下げる。すなわち、優先順位が最も低いCHU22C−CCU23Cペアでは、伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、10秒ごとに伝送レートを1段階ずつ下げる。
【0073】
一方、優先順位が「中」であるCCU23Bの伝送レート決定部73Bは、受信したテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタが閾値よりも大きい場合、例えば10秒時間が経過した後、再びテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタを5秒間測定する。
【0074】
伝送レート決定部73Bは、再測定した伝送遅延量及びジッタと閾値とを比較し、該伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、伝送レートを1段階下げるように決定する。
【0075】
そして伝送レート決定部73Bは、1段階下げた伝送レート(250[Mbps])に対応した映像データの圧縮率を算出してCHU22Bに通知し、CHU22Bに対して1段階伝送レートを下げた伝送レートでテスト用映像データを再び伝送させる。
【0076】
伝送レート決定部73Bは、再びCHU22Bから伝送されるテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタを測定し、該伝送遅延量及びジッタが閾値以下になるまで、上述の処理を繰り返し行い、伝送レートを1段階ずつ下げていく。
【0077】
従って、優先順位が中位のCHU22B−CCU23Bペアでは、5秒間の伝送遅延量及びジッタの測定を行った後、該伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、10秒の時間をおいて再び5秒間の伝送遅延量及びジッタの測定を行う。そして再測定時においても、伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、伝送レートを1段階下げる。すなわち、優先順位が中位のCHU22B−CCU23Bペアでは、伝送遅延量及びジッタが閾値より大きかった場合、20秒ごとに伝送レートを1段階ずつ下げる。
【0078】
一方、優先順位が「高」であるCCU23Aの伝送レート決定部73Aは、受信したテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタが閾値よりも大きい場合、例えば20秒時間が経過した後、再びテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタを5秒間測定する。
【0079】
伝送レート決定部73Aは、再測定した伝送遅延量及びジッタと閾値とを比較し、該伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、伝送レートを1段階下げるように決定する。
【0080】
そして伝送レート決定部73Aは、1段階下げた伝送レート(250[Mbps])に対応した映像データの圧縮率を算出してCHU22Aに通知し、CHU22Aに対して1段階伝送レートを下げた伝送レートでテスト用映像データを再び伝送させる。
【0081】
伝送レート決定部73Aは、再びCHU22Aから伝送されるテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタを測定し、該伝送遅延量及びジッタが閾値以下になるまで、上述の処理を繰り返し行い、伝送レートを1段階ずつ下げていく。
【0082】
従って、優先順位が最も高いCHU22A−CCU23Aペアでは、5秒間の伝送遅延量及びジッタの測定を行った後、該伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、20秒の時間をおいて再び5秒間の伝送遅延量及びジッタの測定を行う。そして再測定時においても、伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、伝送レートを1段階下げる。すなわち、優先順位が最も高いCHU22A−CCU23Aペアでは、伝送遅延量及びジッタが閾値より大きかった場合、30秒ごとに伝送レートを1段階ずつ下げる。
【0083】
このようにカメラシステム20では、各CHU22−CCU23ペア間での伝送レートの和が非同期伝送網27の許容スループット伝送レート以下となるように、各CHU22−CCU23のペア間で自立分散的に伝送レートを決定する。
【0084】
このときカメラシステム20では、各CHU22−CCU23ペアで、予め親ドングル31及び子ドングル32に記憶された優先順位に応じて、優先順位が高いほど高い伝送レートを決定する。
【0085】
伝送レート決定部73は、測定した伝送遅延量及びジッタが閾値以下であった場合、その時の伝送レートに対応した圧縮率を算出し、その圧縮率をCHU22に通知する。CHU22は、伝送レート決定部73により決定された圧縮率で映像データを圧縮符号化するように符号化部45aを設定する。
【0086】
〔2−4.位相同期及びバッファ量決定処理〕
次に位相同期及びバッファ量決定処理について説明する。この位相同期及びバッファ量決定処理は、CHU22−CCU23ペアのシステムクロックの同期を確立した後に行われるもので、上述した伝送レート決定処理と同時に行われてもよいし、また伝送レート決定処理の後に行われてもよい。
【0087】
ここでビデオスイッチャー24では、各CCU23からに供給された映像データをユーザ等の選択に応じて切り替えて出力するようになされている。そのため、カメラシステム20では、ビデオスイッチャー24での映像切り替え時に映像の乱れを生じさせないために、各CCU23からに送出された映像データが同期している必要がある。従って、各CCU23は、ビデオスイッチャー24に映像データを同期して送出する必要がある。
【0088】
しかしながら、カメラシステム20では、CHU22がCCU23に非同期通信網27を用いて映像データを伝送するようになされているため、通信経路が固定ではなく、状況によっては通信経路が変化することも考えられる。
【0089】
またカメラシステム20では、構築の自由度を高める点を考えて、LANケーブルのような非同期通信網、スイッチングハブ、ルータなど機器を入れ替えられる柔軟さも望まれている。
【0090】
さらにカメラシステム20では、非同期通信網27の帯域制限により、CHU22において映像データを圧縮符号化し、CCU23にて符号復号化するので、その分の遅延分も考慮に入れる必要がある。
【0091】
さらにカメラシステム20では、秘匿性を確保するために、CHU22において映像データを暗号化し、CCU23にて暗号復号化するので、その分の遅延分も考慮に入れる必要がある。
【0092】
このようにカメラシステム20においては、各CHU22−CCU23ペア間での映像データの同期をとることに困難性を伴う。そこでカメラシステム20では、位相同期及びバッファ量決定処理を行うことにより、各CHU22−CCU23ペア間での映像データの同期をとる。
【0093】
具体的には、CCU23の遅延量決定部74は、同期確立部72によりシステムクロック同期処理で測定された通信遅延量をCNU26に送信する。
【0094】
ここで、1つのCHU22−CCU23ペアの通信遅延量を基準とした場合、該基準とされた通信遅延量に対して他のCHU22−CCU23ペアの通信遅延量が短い場合と長い場合とが考えられる。
【0095】
そこで、CHU22A−CCU23Aペアの通信遅延量Tbを基準とし、該通信遅延量TbよりCHU22B−CCU23Bペアの通信遅延量Tsが短く、また通信遅延量TbよりCHU22C−CCU23Cペアの通信遅延量Tlが長いと仮定した場合について説明する。
【0096】
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、CHU22A、22B及び22Cの遅延量決定部63をそれぞれ遅延量決定部63A、63B及び63Cとし、バッファ46をそれぞれバッファ46A、46B及び46Cとして説明する。またCCU23A、23B及び23Cの遅延量決定部74をそれぞれ遅延量決定部74A、74B及び74Cとして説明する。
【0097】
ところで図9(A)及び図10(A)に示すように、基準とすべきCHU22A−CCU23Aペアでは、CHU22AからCCU23Aに伝送される映像データ(第1フレーム〜第5フレーム・・・)は所定の基準時刻に対して通信遅延量Tbだけ遅延する。
【0098】
一方、CHU22B−CCU23Bペアでは、図9(B)に示すように、CHU22BからCCU23Bに伝送される映像データ(第1フレーム〜第5フレーム・・・)は基準時刻に対して通信遅延量Tbより短い通信遅延量Tsだけ遅延する。
【0099】
CNU26は、基準とすべきCHU22A−CCU23Aペアの通信遅延量TbよりCHU22B−CCU23Bペアの通信遅延量Tsが短いと判断した場合、通信遅延量Tbから通信遅延量Tsを減算した遅延差分量(Tb−Ts)を算出する。
【0100】
そしてCNU26は、算出した遅延差分量(Tb−Ts)をCCU23Bに通知する。このとき、CCU23Bの遅延量決定部74Bは、該遅延差分量(Tb−Ts)及びCHU22Bから伝送される映像データの伝送レートに基づき、遅延差分量(Tb−Ts)に相当するデータ量を一時的に記憶するバッファ46bのバッファ量を算出する。
【0101】
遅延量決定部74Bは、算出したバッファ量をCHU22Bに通知する。このときCHU22Bの遅延量決定部63Bは、通知されたバッファ量となるようにバッファ46Bを設定する。
【0102】
これにより、CHU22B−CCU23Bペアでは、CHU22Bが遅延差分量(Tb−Ts)に相当するデータ量の映像データをバッファ46Bで遅延させてからCCU23Bに伝送することになる。
【0103】
従ってCHU22B−CCU23Bペアでは、図9(C)に示すように、CHU22A−CCU23Aペアと同様に、CHU22BからCCU23Bに伝送される映像データが基準時刻に対して通信遅延量Tbだけ遅延してCCU23Bに到達することになる。
【0104】
従って、CHU22A−CCU23Aペアと、CHU22B−CCU23Bペアとでの映像データの遅延時間が一致するため、ビデオスイッチャー24では、CCU23Aから供給される映像データと、CCU23Bから供給される映像データとがフレーム同期して入力される。かくしてビデオスイッチャー24で映像を切り替える際に、映像に乱れが生じることを抑制することができる。
【0105】
一方、CHU22C−CCU23Cペアでは、図10(B)に示すように、CHU22CからCCU23Cに伝送される映像データ(第1フレーム〜第5フレーム・・・)は基準時刻に対して通信遅延量Tbより長い通信遅延量Tlだけ遅延する。
【0106】
CNU26は、基準とすべきCHU22A−CCU23Aペアの通信遅延量TbよりCHU22C−CCU23Cペアの通信遅延量Tlが長いと判断した場合、(Tb+n×Tfr)>Tlで、かつnが最小となるnを算出する。ここで、Tfrは1フレーム分の時間であり、nは整数である。
【0107】
そしてCNU26は、算出したnを用いて遅延差分量((Tb+n×Tfr)−Tl)を算出し、算出した遅延差分量((Tb+n×Tfr)−Tl)をCCU23Cに通知する。
【0108】
CCU23Cの遅延量決定部74Cは、遅延差分量((Tb+n×Tfr)−Tl)が通知されると、該遅延差分量((Tb+n×Tfr)−Tl)及びCHU22Cから伝送される映像データの伝送レートに基づき、遅延差分量((Tb+n×Tfr)−Tl)に相当するデータ量を一時的に記憶するバッファ46Cのバッファ量を算出する。
【0109】
遅延量決定部74Cは、算出したバッファ量をCHU22Cに通知する。また遅延量決定部74Cは、CCU23Cから送出される映像データがCCU23Aから送出される映像データよりnフレーム分遅延している旨をCHU22C及びビデオスイッチャー24に通知し、その旨をユーザに通知させる。
【0110】
CHU22Cの遅延量決定部63Cは、CCU23Cからバッファ量が通知されると、通知されたバッファ量となるようにバッファ46Cを設定する。
【0111】
これにより、CHU22C−CCU23Cペアでは、CHU22Cが遅延差分量((Tb+n×Tfr)−Tl)に相当するデータ量の映像データをバッファ46Cで遅延させてからCCU23Cに伝送することになる。
【0112】
従ってCHU22C−CCU23Cペアでは、図10(C)に示すように、基準となるCHU22A−CCU23Aペアの映像データに対して、CHU22CからCCU23Cに伝送される映像データはnフレーム分の時間と通信遅延量Tbだけ遅延してCCU23Cに到達することになる。
【0113】
すなわち、CCU23Cに到達する映像データは、CCU23Aに到達する映像データと比べて、nフレーム分だけ遅延することになる。
【0114】
従って、ビデオスイッチャー24では、CCU23Cから伝送される映像データがCCU23Aから供給される映像データに対してnフレーム分遅延して入力されるものの、同時に入力されるフレーム同士の位相は一致する。かくしてビデオスイッチャー24で映像を切り替える際に、映像に乱れが生じることを抑制することができる。
【0115】
このようしてカメラシステム20では、接続環境設定処理を終了する。接続環境設定処理が終了すると、CHU22は、撮影部44で撮影された映像データを、伝送レート決定処理で決定された圧縮率で符号化部45aにより圧縮符号化した後、暗号化部45bで暗号化する。そしてCHU22は、暗号化された映像データを、位相同期及びバッファ量決定処理で決定されたバッファ量のバッファ46に一時的に記憶した後、接続相手であるCCU23に伝送する。
【0116】
CCU23は、接続相手であるCHU22から供給される映像データを暗号復号化及び符号復号化した後、ビデオスイッチャー24に出力する。このようにしてカメラシステム20は、映像データのデータ伝送を開始する。
【0117】
〔3.接続環境設定処理手順〕
次に、上述した接続環境設定処理の手順について、図11〜図13に示すフローチャート又はシーケンスチャートを用いて説明する。
【0118】
カメラシステム20では、電源投入又はシステムのリセットが行われた場合、図11に示すフローチャートRT1の開始ステップから入って次のステップSP1に移る。
【0119】
ステップSP1において各CHU22のCPU41は、それぞれUSBインターフェイス48に装着された親ドングル31に記憶されたデータを読み出し、次のステップSP2に移る。また各CCU23のCPU51はステップSP1において、USBインターフェイス57に装着された子ドングル32に記憶されたデータを読み出し、次のステップSP2に移る。
【0120】
ステップSP2において各CHU22のCPU41及び各CCU23のCPU51は、親ドングル31又は子ドングル32から読み出したデータに基づいて自身のIPアドレス及び通信に用いるポートを設定し、次のステップSP3に移る。
【0121】
ステップSP3において各CHU22のCPU41及び各CCU23のCPU51は、親ドングル31又は子ドングル32から読み出したデータに基づいて接続相手のIPアドレス及び通信に用いるポートを設定し、次のステップSP4に移る。
【0122】
ステップSP4において各CHU22のCPU41及び各CCU23のCPU51は、接続相手と非同期通信網27を介して接続を開始し、非同期通信網27における接続相手までの接続経路を検索する。そして各CHU22のCPU41及び各CCU23のCPU51は、親ドングル31又は子ドングル32に記憶された接続経路と、検索した接続経路とを比較し、次のステップSP5に移る。
【0123】
ステップSP5において各CHU22のCPU41及び各CCU23のCPU51は、検索した接続経路と親ドングル31又は子ドングル32に記憶された接続経路とが同じであったか否かを判断する。
【0124】
ここで接続経路が異なっていると判断した場合、各CHU22のCPU41及び各CCU23のCPU51は、次のステップSP8に移って、接続経路が異なっている旨をユーザに通知し、処理を終了する。
【0125】
一方、接続経路が同じであったと判断した場合、各CHU22のCPU41及び各CCU23のCPU51は、次のステップSP6に移って、同期パケットの送受信を行い、次のステップSP7に移る。
【0126】
ステップSP7において各CCU23のCPU51は、同期パケットの送受信の結果に基づいて通信遅延量を測定してCHU22及びCCU23間のシステムクロックの同期を確立し、次のサブルーチンSRT1に移る。
【0127】
サブルーチンSRT1(図12)では、各CHU22のCPU41は、ステップSP11において、親ドングル31に記憶された伝送レートに対応する圧縮率で映像データが圧縮符号化され暗号化されたテスト用映像データをCCU23に伝送し、次のステップSP12に移る。
【0128】
一方、各CCU23のCPU51は、ステップSP21において、CHU22から伝送されるテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタを5秒間測定し、次のステップSP22に移る。
【0129】
ステップSP22において各CCU23のCPU51は、ステップSP21で測定した伝送遅延量及びジッタが閾値以内か否かを判断する。ここで否定結果が得られると、このことは非同期通信網27を介して接続されるCHU22−CCU23ペアの伝送レートの和が非同期通信網27の許容スループットより大きいことを意味しており、このときCPU51は、ステップSP23に移る。
【0130】
ステップSP23において各CCU23のCPU51は、子ドングル32に記憶された優先順位が「低」である否かを判断し、優先順位が「低」であった場合にはステップSP24に移り、それ以外であった場合にはステップSP25に移る。
【0131】
ステップSP24において、優先順位が「低」であるCCU23のCPU51は、伝送遅延量及びジッタの測定を終えた後、さらに5秒時間が経過してから伝送レートを1段階下げるように決定し、次のステップSP28に移る。
【0132】
一方、優先順位が「低」以外であるCCU23のCPU51は、ステップSP25において、子ドングル32に記憶された優先順位が「中」である否かを判断する。そしてCCU23のCPU51は、優先順位が「中」であった場合にはステップSP26に移り、優先順位が「高」であった場合にはステップSP27に移る。
【0133】
ステップSP26において、優先順位が「中」であるCCU23のCPU51は、伝送遅延量及びジッタの測定を終えた後、さらに10秒時間が経過してから再びテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタを5秒間測定する。
【0134】
そしてこのCPU51は、再測定した伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、まだ非同期通信網27に許容スループットより多いデータ量が送信されていると判断し、伝送レートを1段階下げるように決定し、次のステップSP28に移る。
【0135】
これに対してステップSP25において否定結果が得られた優先順位が「高」であるCCU23のCPU51は、伝送遅延量及びジッタの測定を終えた後、さらに20秒時間が経過してから再びテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタを5秒間測定する。
【0136】
そしてこのCPU51は、再測定した伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、まだ非同期通信網27に許容スループットより多いデータ量が送信されていると判断し、伝送レートを1段階下げるように決定し、次のステップSP28に移る。
【0137】
ステップSP28において、各CCU23のCPU51は、ステップSP24、26及び27で伝送レートを1段階下げるに決定した場合、下げられた伝送レートに対応する圧縮率をCHU22に通知し、ステップSP21に戻る。この場合、CHU22のCPU41は、ステップSP11において、通知された圧縮率で映像データを圧縮符号化してCCU23に伝送する。
【0138】
これに対してステップSP22において肯定結果が得られると、このことは非同期通信網27を介して接続される全てのCHU22−CCU23ペアの映像データの伝送レートの和が非同期通信網27の許容スループット以下であることを意味している。
【0139】
このとき各CCU23のCPU51は、ステップSP29に移り、エンコーダの圧縮率を現在の圧縮率に確定し、次のステップSP30に移る。ステップSP30において各CCU23のCPU51は、ステップSP29で確定した圧縮率をCHU22に通知し、サブルーチンSRT1を終了して、次のサブルーチンSRT2(図13)に移る。
【0140】
一方、各CHU22のCPU41は、CCU23から通知された圧縮率で映像データを圧縮するように、圧縮符号化部45aに対して通知された圧縮率を設定し、サブルーチンSRT1を終了して、次のサブルーチンSRT2に移る。
【0141】
サブルーチンSRT2では、各CCU23のCPU51は、ステップSP41において、ステップSP7において測定した通信遅延量をCNU26に通知し、次のステップSP42に移る。
【0142】
ステップSP42においてCNU26は、基準とすべき一のCHU22−CCU23ペアの通信遅延量Tbを選択し、次のステップSP43に移る。
【0143】
ステップSP43においてCNU26は、基準とすべきCHU22−CCU23ペア以外のCHU22−CCU23ペアの通信遅延量が、基準とすべきCHU22−CCU23ペアの通信遅延量Tbより長いか否かを判断する。
【0144】
ここでCNU26は、所定のCHU22−CCU23ペアの通信遅延量Tlが基準とすべきCHU22−CCU23ペアの通信遅延量Tbより長いと判断した場合、次のステップSP44に移る。
【0145】
ステップSP44においてCNU26は、(Tb+n×Tfr)>Tlでかつnが最小となる遅延差分量((Tb+n×Tfr)−Tl)を算出し、該遅延差分量((Tb+n×Tfr)−Tl)を通信遅延量が長いと判断されたCCU23に通知する。
【0146】
またCNU26は、算出結果に基づき、通信遅延量が長いと判断されたCHU22−CCU23ペアの映像データがnフレーム遅延している旨を各CHU22、CCU23及びビデオスイッチャー24に通知し、次のステップSP45に移る。
【0147】
ステップSP45において通信遅延量が長いと判断されたCCU23のCPU51は、遅延差分量((Tb+n×Tfr)−Tl)に相当するデータ量をCHU22のバッファ46のバッファ量として算出し、次のステップSP46に移る。
【0148】
ステップSP46において通信遅延量が長いと判断されたCCU23のCPU51は、算出したバッファ量をCHU22に通知し、算出したバッファ量となるようにバッファ46を設定させ、次のステップに移って処理を終了する。
【0149】
一方、CNU26はステップSP43において、所定のCHU22−CCU23ペアの通信遅延量Tsが基準とすべきCHU22−CCU23ペアの通信遅延量Tbより短いと判断した場合、次のステップSP47に移る。
【0150】
ステップSP47においてCNU26は、遅延差分量(Tb−Ts)を算出して通信遅延量が短いと判断されたCCU23に通知し、次のステップSP48に移る。
【0151】
ステップSP48において通信遅延量が短いと判断されたCCU23のCPU51は、遅延差分量(Tb−Ts)に相当するデータ量をCHU22のバッファ46のバッファ量として算出し、次のステップSP49に移る。
【0152】
ステップSP49において通信遅延量が短いと判断されたCCU23のCPU51は、算出したバッファ量をCHU22に通知し、算出したバッファ量となるようにバッファ46を設定させ、次のステップに移って処理を終了する。
【0153】
〔4.動作及び効果〕
以上の構成においてカメラシステム20では、電力投入され、又はシステムリセットが行われると、各CHU22及び各CCU23が装着された親ドングル31及び子ドングル32に記憶されたデータに基づいて自身及び接続相手のIPアドレス及びポートを設定する。
【0154】
そして各CCU23は、接続相手であるCHU22とのシステムクロック同期後、同一の非同期通信網27を介してCHU22から伝送されるテスト用映像データを受信して伝送遅延量及びジッタを測定する。
【0155】
各CCU23は、伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、同一の非同期通信網27を介して伝送される映像データの伝送レートの和が該非同期通信網27の許容スループット以下となるように、予め設定された優先順位が高いほど高い伝送レートに決定する。
【0156】
そして各CCU23は、決定した伝送レートに応じた映像データの圧縮率をCHU22に通知し、該圧縮率で映像データを圧縮させて映像データを伝送させるようにした。
【0157】
これによりカメラシステム20は、各CHU22及び各CCU23に親ドングル31及び子ドングル32を装着させるだけで、親ドングル31及び子ドングル32でそれぞれ指定した接続相手のCHU22−CCU23ペアの接続が確立する。
【0158】
またカメラシステム20は、各CHU22−CCU23ペアが非同期通信網27の許容スループット内で優先順位に応じた伝送レートで映像データの伝送が開始できる状態とすることができる。
【0159】
さらにカメラシステム20では、親ドングル31及び子ドングル32を異なるCHU22及びCCU23に装着させるだけで、あたかもケーブルを接続させ直したようにそれぞれのCHU22及びCCU23の設定を親ドングル31及び子ドングル32に応じて変更することができる。
【0160】
ところで各CCU23は、伝送レートを決定する際、伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、子ドングル32に記憶された優先順位が高いほどより多くの時間を経過した後に伝送レートを下げるようにした。
【0161】
従ってカメラシステム20は、各CCU23が自律分散的に伝送レートを決定するため、優先順位が高いCHU22−CCU23ペアほど伝送レートを下げることなく、各CHU22−CCU23ペアの伝送レートを決定することができる。
【0162】
これによりカメラシステム20では、非同期通信網27の許容スループットを超えない範囲で、優先順位が高いCHU22−CCU23ペアほど、より高画質の映像データを伝送することができる。
【0163】
以上の構成によれば、映像データの伝送遅延量及びジッタが閾値より大きい場合、非同期通信網27を用いて伝送される映像データの伝送レートの和が非同期通信網27の許容スループット以下となるように、予め設定された優先順位が高いほど高い伝送レートに決定する。これにより、非同期通信網27を介して映像データを伝送する全てのCHU22及びCCU23で最適な接続環境を設定することができる。
【0164】
<2.他の実施の形態>
上述した実施の形態においては、親ドングル31及び子ドングル32がUSB規格に準拠したUSBメモリでなる場合について説明した。本発明はこれに限らず、例えばメモリカードや非接触式インターフェイスを備えた記憶媒体で親ドングル及び子ドングルが構成されるようにしてもよい。この場合、CHU22及びCCU23には、親ドングル及び子ドングルに対応したインターフェイスが設けられる。
【0165】
また上述した実施の形態においては、CHU22から伝送されるテスト用映像データの伝送遅延量及びジッタを測定し、該伝送遅延量及びジッタに基づいて伝送レートを決定するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、伝送領地円量を測定し、該伝送遅延量に基づいて伝送レートを決定するようにしてもよい。また例えばテスト用映像データのパケットロスや転送エラー率も測定し、これらを追加の情報として用いて伝送レートを決定するようにしてもよい。
【0166】
また上述した実施の形態においては、親ドングル31及び子ドングル32には予め記憶されたデータ以外を書き込むことはしないようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば、CHU22−CCU23ペア間の伝送レートを決定した場合、その伝送レートを親ドングル31及び子ドングル32に記憶するようにしてもよい。
【0167】
これより、カメラシステム20では、2度目以降の設定においては再び伝送レート決定処理を実行しなくても各CHU22−CCU23ペア間の伝送レートの和が非同期通信網27の許容スループットを超えることなく伝送することができるようになる。従って、2回目以降の接続設定時間を短縮することができる。但し、カメラシステム20において、CHU22やCCU23の数が増減した場合には、再び伝送レートを決定する伝送レート決定処理を実行させる必要がある。
【0168】
また上述した実施の形態においては、CHU22にバッファ46が設けられている場合について述べた。本発明はこれに限らず、CCU23にバッファを設けるようにしてもよい。この場合、CCU23は、デコーダ55の後段にバッファを設けるようにする。そしてCCU23のCPU51は、位相同期及びバッファ量決定処理において決定されたバッファ量をデコード部54の後段に設けられたバッファに設定する。
【0169】
また上述した実施の形態においては、位相同期及びバッファ量決定処理においてCNU26が遅延差分量を算出するようにした場合について説明した。本発明はこれに限らず、例えばメインとして設定されたCCU23が遅延差分量を算出するようにしてもよい。この場合、メインとして設定されたCCU23は、その他のCCU23で測定された通信遅延量がそれぞれ通知され、該通信遅延量に基づいて遅延差分量を算出する。
【0170】
また上述した実施の形態においては、Ethernet(登録商標)/IPである非同期通信網27を介してCHU22とCCU23とが接続されている場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他の非同期通信網、又は同期通信網を介してCHU22とCCU23とが接続されるようにしてもよい。
【0171】
また上述した実施の形態においては、非同期通信網27を介してCHU22とCCU23とが1:1接続されるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば図14に示すように、1つのCHU22が非同期通信網27を介して複数のCCU23とユニキャスト又はマルチキャストで接続されるようにしてもよい。この場合、例えば親ドングル31に接続相手として複数のCCU23のIPアドレスが記憶されるようにしてもよい。また接続相手としてブロードキャストIPが指定され、該ブロードキャストIP宛に映像データを伝送することにより複数のCCU23に映像データが伝送されるようにしてもよい。
【0172】
また別例として、複数のCHU22と1つのCCU23とが非同期通信網27を介して接続するようにしてもよい。すなわち、CHU22及びCCU23の数及び接続関係は適宜設定される。
【0173】
また上述した実施の形態においては、伝送レート決定処理において、優先順位に応じて測定後に5秒、10秒、20秒の時間が経過した後に、伝送レートを下げるか再び伝送遅延量及びジッタを測定するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、優先順位が高いほど伝送レートが高くなるように、優先順位が高いほど待機時間を長く設定するようにすれば、その時間は適宜設定されるものである。
【0174】
また上述した実施の形態においては、優先順位が「低」のCCU23では、伝送遅延量及びジッタが閾値より多い場合、5秒時間が経過した後に伝送レートを1段階下げるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、伝送遅延量及びジッタが閾値より多い場合、5秒時間が経過した後に再び伝送遅延量及びジッタを測定してそれでも閾値より大きい場合に伝送レートを1段階下げるようにしてもよい。
【0175】
また上述した実施の形態においては、優先順位が「中」及び「高」のCCU23では、伝送遅延量及びジッタが閾値より多い場合、10秒又は20秒時間が経過した後に再び伝送遅延量及びジッタを測定してそれでも閾値より大きければ伝送レートを1段階下げるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、伝送遅延量及びジッタが閾値より多いとき、10秒又は20秒時間が経過した後に直ぐに伝送レートを1段階下げるようにしてもよい。
【0176】
また上述した実施の形態においては、優先順位が最も高い「高」、中位である「中」最も低い「低」のいずれかである場合について述べた。本発明はこれに限らず、優先順位が高い順に「1」、「2」、・・・と番号をつけるようにしてもよい。
【0177】
また上述した実施の形態においては、伝送レート決定処理を実行した後、位相同期及びバッファ量決定処理を実行し、バッファ46のバッファ量を決定して各CCU23からビデオスイッチャー24に供給される映像データの位相を同期させるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、位相同期及びバッファ量決定処理の代わりに、図15に示すシステム遅延ネゴシエーション処理を実行するようにしてもよい。
【0178】
なお、システム遅延ネゴシエーション処理は、CHU22及びCCU23間のシステムクロックの同期を確立した後に行われるもので、上述した伝送レート決定処理と同時に行われてもよいし、また伝送レート決定処理の後に行われてもよい。
【0179】
システム遅延ネゴシエーション処理では、開始ステップから入って次のステップSP51において各CCU23のCPU51は、同期確立部72によりシステムクロック同期処理で測定された通信遅延量をCNU26に通知し、次のステップSP52に移る。
【0180】
ステップSP52においてCNU26は、各CCU23から供給される通信遅延量の中で最も大きな値を示す通信遅延量を選択し、次のステップSP53に移る。
【0181】
ステップSP53においてCNU26は、選択された通信遅延量と、予め設定された許容遅延量とを比較し、通信遅延量が許容遅延量以内であるか否かを判断する。
【0182】
ステップSP53で通信遅延量が許容遅延量より大きいと判断した場合、CNU26は次のステップSP54に移り、各CCU23から供給された通信遅延量の中で次に大きな値を示す通信遅延量を選択し、次のステップSP55に移る。
【0183】
ステップSP55においてCNU26は、通信遅延量が許容遅延時間を越えたCHU22−CCU23ペアに対して、他のCHU22−CCU23ペアとの映像の同期が取れずに非同期で動作していることを通知し、ステップSP53に戻る。
【0184】
非同期で動作していることを通知されたCHU22及びCCU23は、例えばCHU22の表示部に他のCHU22及びCCU23と非同期で動作している旨を表示し、ユーザにその旨を通知する。また、このCHU22及びCCU23は、ビデオスイッチャー24に対しても他のCHU22及びCCU23と非同期で動作している旨を通知し、該ビデオスイッチャー24の表示部にその旨を表示させてユーザに通知する。
【0185】
ステップSP53に戻ったCNU26は、再び選択された通信遅延量と、許容遅延時間とを再び比較し、選択された通信遅延量が許容遅延時間以下になるまで、ステップSP53〜SP55を繰り返し行う。
【0186】
一方、ステップSP53において通信遅延量が許容遅延量以内であると判断した場合、CNU26は、ステップSP56に移り、現在選択されている通信遅延量を各CCU23に通知し、次のステップSP57に移る。すなわち、通信遅延量が許容遅延量より小さい全てのCCU23に対して、現在選択されているCHU22−CCU23ペアの通信遅延量が通知される。
【0187】
ステップSP57においてCCU23の遅延量決定部74は、CNU26から通知された通信遅延量と、同期確立部72によりシステムクロック同期処理で測定された通信遅延量との差分を算出する。そして遅延量決定部74は、該差分及びCHU22から供給される映像データの伝送レートに基づき、差分に相当するデータ量をバッファ46のバッファ量として算出し、次のステップSP58に移る。
【0188】
ステップSP58においてCCU23の遅延量決定部74は、算出したバッファ量をCHU22に通知する。このときCHU22の遅延量決定部63は、通知されたバッファ量となるようにバッファ46を設定し、処理を終了する。
【0189】
従って各CHU22では、バッファ量に応じて映像データの出力タイミングを調整し、CNU26で最初に許容遅延量以下として選択された通信遅延量分だけ映像データを遅延させてから各CCU23に該映像データを伝送することができる。
【0190】
これによりカメラシステム20では、通信遅延量が許容遅延量以内の全てのCHU22−CCU23ペアについて、遅延量が同一に設定される。従ってビデオスイッチャー24は、各CCU23から映像データが同期して供給されることになり、映像を切り替える際に、映像の乱れを確実に抑制することができる。
【0191】
なお、システム遅延ネゴシエーション処理においてCNU26が行った処理をメインとして設定されたCCU23のCPU51が行うようにしてもよい。
【0192】
因みに、CCU23にバッファを設けるようにした場合、CCU23のCPU51は、システム遅延ネゴシエーション処理において決定されたバッファ量をデコード部54の後段に設けられたバッファに設定する。
【0193】
また上述した実施の形態においては、伝送レート決定部73が伝送レートを下げるように決定し、下げられた伝送レートに対応する圧縮率を算出してCHU22に通知するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、伝送レート決定部73が伝送レートを下げるように決定してその下げられた伝送レートをCHU22に通知し、該CHU22のCPU41が通知された伝送レートに対応する圧縮率を算出するようにしてもよい。
【0194】
また上述した実施の形態においては、CPU41及びCPU51がROM42及びROM52に格納されているプログラムに従い、上述した各種処理を行うようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、親ドングル31及び子ドングル32に記憶されたプログラムに従って上述した各種処理を行うようにしても良い。また例えば記憶媒体からインストールしたり、インターネットからダウンロードしたプログラムに従って上述した各種処理を行うようにしても良い。またその他種々のルートによってインストールしたプログラムに従って上述した各種処理を行うようにしても良い。
【0195】
また上述した実施の形態においては、撮影部として撮影部44、符号化部として符号化部45a、送信部としてCPU41、伝送レート決定部として伝送レート決定部73が設けられるようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる撮影部、符号化部、送信部、伝送レート決定部を設けるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明は、複数のCHU及びCCUが同一の伝送網を介して映像データを伝送するカメラシステムなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0197】
1、10、20……カメラシステム、2、22……カメラ部(CHU)、3、23……カメラコントロールユニット(CCU)、4、24……ビデオスイッチャー、5、25……標準信号発生器、6……カメラケーブル、11、27……非同期通信網、28……スイッチングハブ、31……親ドングル、32……子ドングル、41、51……CPU、42、52……ROM、43、53……RAM、44……撮影部、45……エンコーダ、45a……符号化部、45b……暗号化部、46……バッファ、47、54……ネットワークインターフェイス、48、57……USBインターフェイス、55……デコーダ、55a……暗号復号化部、55b……符号復号化部、61、71……初期設定部、62、72……同期確立部、63、74……遅延量決定部、73……伝送レート決定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一以上のカメラ部と、該カメラ部を制御する一以上のカメラ制御部とが同一の伝送網を介して接続されるカメラシステムにおける上記カメラ制御部の接続設定方法であって、
接続されるカメラ部から伝送される画像データの遅延量を測定する測定ステップと、
上記測定ステップで測定された遅延量が上記伝送網において最大伝送量以下のデータ量しか伝送されていないとされる閾値より大きい場合、上記伝送網を用いて伝送される画像データの伝送レートの和が該伝送網の最大伝送量以下となり、かつ予め設定された優先順位が高いほど高伝送レートとなるように、接続されるカメラ部から伝送される画像データの伝送レートを決定する伝送レート決定ステップと
を有する接続設定方法。
【請求項2】
上記伝送レート決定ステップでは、
上記測定ステップで測定された遅延量が上記閾値より大きい場合、上記優先順位が高いほど長い時間経過した後に、接続されるカメラ部から伝送される画像データの伝送レートを下げるよう決定する
請求項1に記載の接続設定方法。
【請求項3】
上記測定ステップでは、
上記測定ステップで測定された遅延量が上記閾値より大きい場合、上記優先順位が高いほど長い時間経過した後に、接続されるカメラ部から伝送される画像データの遅延量を再び測定し、
上記伝送レート決定ステップでは、
上記測定ステップで再び測定された遅延量が上記閾値より大きい場合、接続されるカメラ部から伝送される画像データの伝送レートを下げるよう決定する
請求項2に記載の接続設定方法。
【請求項4】
上記測定ステップでは、
上記伝送レート決定ステップで伝送レートが下げられた場合、再び、遅延量を測定し、
上記伝送レート決定ステップでは、
測定された遅延量が上記閾値より大きい場合、接続されるカメラ部から伝送される画像データの伝送レートを所定幅ごとに下げるよう決定する
請求項3に記載の接続設定方法。
【請求項5】
上記決定ステップで決定された伝送レートに対応した、接続されるカメラ部で撮像された画像データの圧縮率を算出して該カメラ部に通知する圧縮率決定ステップと
をさらに有する請求項1に記載の接続設定方法。
【請求項6】
接続されるカメラ部との通信遅延量を測定し、該通信遅延量に基づいて上記画像データの遅延量をフレーム単位で調整する位相同期ステップと
をさらに有する請求項1に記載の接続設定方法。
【請求項7】
上記通信網を介して接続されるカメラ部との接続経路が、予め設定された接続経路と異なる場合には、その旨をユーザに通知する通知ステップと
をさらに具える請求項1に記載の接続設定方法。
【請求項8】
一以上のカメラ部と、該カメラ部を制御する一以上のカメラ制御部とが同一の伝送網を介して接続されるカメラシステムであって、
上記カメラ部は、
画像データを取得する撮像部と、
上記画像データを所定の圧縮率で符号化する符号化部と、
上記符号化された画像データを上記カメラ制御部に伝送する伝送部と
を具え、
上記カメラ制御部は、
上記カメラ部から伝送される画像データの遅延量を測定し、該測定された遅延量が上記伝送網において最大伝送量以下のデータ量しか伝送されていないとされる閾値より大きい場合、上記伝送網を用いて伝送される映像データの伝送レートの和が該伝送網の最大伝送量以下となり、かつ予め設定された優先順位が高いほど高伝送レートとなるように、接続されるカメラ部から伝送される画像データの伝送レートを決定する伝送レート決定部と
を具えるカメラシステム。
【請求項9】
上記伝送レート決定部は、
決定された伝送レートに応じて、上記カメラ部で撮像された画像データの圧縮率を算出し、該算出された圧縮率を該カメラ部に通知する圧縮率決定部と
請求項8に記載のカメラシステム。
【請求項10】
一以上のカメラ部と、該カメラ部を制御する一以上のカメラ制御部とが同一の伝送網を介して接続されるカメラシステムに用いられる記憶媒体であって、
上記カメラ部及び上記カメラ制御部にそれぞれの接続相手を判別させるため識別子と、
上記カメラ部から上記カメラ制御部に伝送される映像データの伝送レートの和が、上記伝送網において最大伝送量以下のデータ量しか伝送されていないとされる閾値より大きい場合、上記伝送網を用いて伝送される映像データの伝送レートの和が上記伝送網の最大伝送量以下となり、かつ順位に応じて高伝送レートとなるように上記カメラ部から伝送される画像データの伝送レートを決定させるための優先順位と
が記憶される記憶媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−10097(P2012−10097A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144147(P2010−144147)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】