説明

推定装置および推定方法

【課題】推定用多項式を用いて状態量などの推定を行なう場合に、外挿領域において非現実的な推定値を算出する確率を低減する。
【解決手段】推定装置は、予め設定された領域判断条件に従って入力パラメータが内挿領域にあるか外挿領域にあるかを判断する領域判断部3と、入力パラメータが内挿領域にあるときに高次の推定用多項式を用いて入力パラメータから出力パラメータを推定する高次多項式推定演算部4と、入力パラメータが外挿領域にあるときに低次の推定用多項式を用いて入力パラメータから出力パラメータを推定する低次多項式推定演算部5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定用多項式を用いて状態量などを推定する推定装置および推定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置、FPD(Flat Panel Display)製造装置、あるいは太陽電池製造装置における熱プロセスやプラズマプロセスでは、ウエハやガラスの表面温度(実体温度)などの重要な状態量を処理プロセスの実行中にオンラインで管理、制御したいという要求がある。しかしながら、ウエハやガラスの表面に温度センサを装着したまま処理を行なうことは困難である。
【0003】
そこで、処理プロセスの実行中に測定可能な箇所の温度と処理プロセスの実行中には測定不可能なウエハやガラスの表面温度(実体温度)との関係をオフラインで予め調査し、処理プロセスの実行時には測定可能な温度と予め把握した関係に基づき、ウエハやガラスの表面温度(実体温度)を推定することにより、重要な状態量をオンラインで管理、制御するようにしている。このような場合に、オフラインの調査で得られる測定可能な温度とウエハやガラスの表面温度(実体温度)の計測データ(分析用データ)に対して、多変量解析手法を適用することにより、測定可能な温度とウエハやガラスの表面温度の数値的関係を近似推定する多項式を求める手法(多項式による状態量推定)が広く実施されている(例えば特許文献1参照)。多変量解析手法を用いる場合、処理プロセスの実行中に測定可能な温度は、多項式の入力パラメータに位置付けられる。一方、推定対象であるウエハやガラスの表面温度(実体温度)は、多項式の出力パラメータに位置付けられる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−141999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
状態量推定の対象は、多くの場合、入力パラメータと出力パラメータとが単純な線形関係にはない。したがって、状態量推定の精度を向上させたい場合には、多変量解析により求める推定用多項式を高次化しなければならない。このとき、予め得られている分析用データの入力パラメータ側のパラメータ空間には、分析用データの範囲内で出力パラメータを推定する内挿領域と、分析用データの範囲外で出力パラメータを推定する外挿領域とが存在することになる。推定用多項式を高次化する場合、内挿領域での精度が向上しやすくなるが、外挿領域において非現実的な推定値を算出する多項式になる確率が高い。
【0006】
説明を簡単にするため、入力パラメータを1個と仮定する。入力パラメータXと出力パラメータYの組み合わせ(X,Y)が、A(1.6,20.024)、B(2.0,21.000)、C(2.4,23.304)、D(2.8,27.272)、E(3.2,33.288)、F(3.5,39.375)となっているA〜Fの6組の値が分析用データとして得られているものとする。このときのA〜Fの6組の分析用データの分布を図8に示す。
【0007】
このときの分析用データの特徴であるが、仮にこの入出力パラメータ(X,Y)の物理的な関係を考えれば、常識的に単調増加の関係にあり、かつX=0の場合はほぼY=0になることは予想できるものとする。すなわち、入出力パラメータ(X,Y)が図9のような関係にあることが知識的に想像できるものと仮定する。このような関係がある場合においても、データ収集条件などの都合上、X=0付近のデータが得られないという状況は、半導体製造などの現場では頻繁に発生する。
ここで、A〜Fのデータの組を用いて、入出力パラメータ(X,Y)の関係を高精度に再現する3次多項式を多変量解析などにより求めると、例えば以下のような数式が得られることになる。
Y=X3−2.0X2+21.0 ・・・(1)
【0008】
式(1)の3次多項式により図10に示す3次曲線220が得られる。一方、221は前述のような常識的な仮定から得られる入出力パラメータ(X,Y)の関係を示す曲線である。図10に示すように、式(1)の3次多項式はA〜Fのデータと高精度に適合している。ただし、この3次多項式によると、X=0付近の点としてS(0.0,21.000)が得られ、X=0のときにY=0とはなっていない。すなわち、入力パラメータXのパラメータ空間には、1.6≦X≦3.5の内挿領域とこれ以外の外挿領域とが存在するが、式(1)の3次多項式は外挿領域において非現実的な推定値を算出する式になっているということである。
【0009】
このように推定用多項式が非現実的な推定値を算出してしまうという状況を見落として、例えば半導体製造プロセスにおけるオンラインでの温度推定などを実施すると、高精度の推定が期待できる領域(内挿領域)と、非現実的な推定を行なう領域(外挿領域)とが生じることになる。この場合、非現実的な温度推定を行なう領域では、製造プロセスに大きな悪影響を及ぼしてしまう可能性があった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、推定用多項式を用いて状態量などの推定を行なう場合に、外挿領域において非現実的な推定値を算出する確率を低減することができる推定装置および推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の推定装置は、予め設定された領域判断条件に従って入力パラメータが内挿領域にあるか外挿領域にあるかを判断する領域判断手段と、前記入力パラメータが内挿領域にあるときに高次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから出力パラメータを推定する高次多項式推定演算手段と、前記入力パラメータが外挿領域にあるときに低次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから出力パラメータを推定する低次多項式推定演算手段とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の推定装置の1構成例は、さらに、前記出力パラメータの推定処理を行う前に、前記入力パラメータのデータとこれに対応する前記出力パラメータのデータとの組からなる分析用データに基づいて前記領域判断条件を特定する領域判断条件特定手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の推定装置の1構成例は、さらに、前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定する際に前記高次の推定用多項式と低次の推定用多項式のどちらが採用されたかを通知する通知手段を備えることを特徴とするものである。
また、本発明の推定装置の1構成例において、前記高次多項式推定演算手段は、前記高次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定したとき、この出力パラメータを上下限処理する手段を備え、前記低次多項式推定演算手段は、前記低次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定したとき、この出力パラメータを上下限値に基づいて補正する手段を備えることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の推定方法は、予め設定された領域判断条件に従って入力パラメータが内挿領域にあるか外挿領域にあるかを判断する領域判断手順と、前記入力パラメータが内挿領域にあるときに高次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから出力パラメータを推定する高次多項式推定演算手順と、前記入力パラメータが外挿領域にあるときに低次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから出力パラメータを推定する低次多項式推定演算手順とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、領域判断条件に従って入力パラメータが内挿領域にあるか外挿領域にあるかを判断し、入力パラメータが内挿領域にあるときには高次の推定用多項式を用いて入力パラメータから出力パラメータを推定し、入力パラメータが外挿領域にあるときには低次の推定用多項式を用いて入力パラメータから出力パラメータを推定するようにしたので、内挿領域における高精度な推定性能を維持しつつ、外挿領域においては非現実的な出力パラメータを推定する確率を低減することができる。
【0014】
また、本発明では、通知手段を設けることにより、高次の推定用多項式と低次の推定用多項式のどちらが採用されたかを、推定装置を使用する例えば半導体製造プロセスのオペレータなどに通知することができる。
【0015】
また、本発明では、高次の推定用多項式を用いて入力パラメータから出力パラメータを推定したときに出力パラメータを上下限処理し、低次の推定用多項式を用いて入力パラメータから出力パラメータを推定したときに出力パラメータを上下限値に基づいて補正することにより、想定範囲を超える出力パラメータが出力されることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[発明の原理]
外挿領域において非現実的な推定値が算出される原因は、内挿領域の推定精度を向上しようとして次数を高くするところにある。逆に言えば、外挿領域の推定を現実的なものに抑えようとするのであれば、内挿領域の推定精度を低下させることを代償として次数を低くすればよい。例えば図8に示したデータの分布において1次多項式を採用するならば、以下のような数式が得られる。
Y=10.24X+0.52 ・・・(2)
【0017】
式(2)により与えられる入出力パラメータ(X,Y)の関係を図1に示す。ここで、内挿領域であるか外挿領域であるかは、取得済みの分析用データから判断することが可能であること、すなわち高次の推定用多項式により高精度の推定が期待できる領域と、高精度の推定が期待できない領域とは予め特定できることに発明者は着眼した。また、内挿領域はデータ取得が可能な領域であるので、オンラインでの状態量推定の実用段階においては内挿領域が主に利用される領域になる確率が高いことに発明者は着眼した。
【0018】
そして、高次の推定用多項式と低次の推定用多項式とを予め求めておき、内挿領域と外挿領域とを特定し区別する条件を設定し、オンラインで得られる入力パラメータ値が内挿領域にあれば高次の推定用多項式を採用し、入力パラメータ値が外挿領域にあれば低次の推定用多項式を採用するようにすれば、内挿領域における高精度な推定性能を維持しつつ、外挿領域においては非現実的な推定値を算出する確率を低減できることに想到した。外挿領域は、事前のデータ取得が困難な領域であるから、オンラインでの状態量推定の実用段階においても通常的に発生する領域ではないことが予想される。したがって、入力パラメータ値が外挿領域にある場合に低次の推定用多項式を採用するようにしたとしても、実用上は大きな問題は発生し難いものと考えられる。
【0019】
なお、本発明を適用する対象は、入力パラメータと出力パラメータとの関係が単調(単調増加または単調減少)になることが期待できる対象であることが好ましい。入力パラメータが1個ではなく複数ある場合、すなわち多変数の場合であっても、各入力パラメータと出力パラメータとの関係は単調増加か単調減少であることが好ましい。高次の推定用多項式は3次あるいは5次程度とし、低次の推定用多項式は1次程度とすることが適当である。図8に示した分析用データの分布に対して、1.6≦X≦3.5の内挿領域に3次多項式を採用し、内挿領域以外の外挿領域に1次多項式を採用すると、入出力パラメータ(X,Y)の関係は図2のようになる。図2における20は3次多項式による曲線、21は1次元多項式による直線である。
【0020】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図3は本発明の第1の実施の形態に係る推定装置の構成を示すブロック図である。
推定装置は、入力パラメータ値取得部1と、領域判断条件記憶部2と、領域判断部3と、高次多項式推定演算部4と、低次多項式推定演算部5と、推定値出力部6と、表示部7と、分析用データ取得部8と、領域判断条件特定部9とから構成される。
【0021】
次に、出力パラメータの推定処理の前に予め行われる推定装置の推定用多項式導出処理を、図4を用いて説明する。まず、分析用データ取得部8には、入力パラメータXのデータとこれに対応する出力パラメータYのデータとの組からなる既知の分析用データが入力される(ステップS1)。入力パラメータXの例としては、例えば半導体製造装置の熱プロセスやプラズマプロセスなどのプロセスの実行中に測定可能な温度がある。出力パラメータYの例としては、プロセスの実行中に測定不可能なウエハやガラスの表面温度(実体温度)がある。分析用データは、処理プロセスよりも前に行われるオフラインの調査で予め求めることができる。
【0022】
続いて、高次多項式推定演算部4は、分析用データ取得部8が取得した分析用データに対して多変量解析などを行い、入力パラメータXから出力パラメータYを推定する高次の推定用多項式を求め、この推定用多項式を記憶する(ステップS2)。
一方、低次多項式推定演算部5は、分析用データに対して多変量解析などを行い、入力パラメータXから出力パラメータYを推定する低次の推定用多項式を求め、この推定用多項式を記憶する(ステップS3)。
【0023】
領域判断条件特定部9は、入力パラメータXが内挿領域にあるか外挿領域にあるかを判断する領域判断条件を分析用データに基づいて特定し、この領域判断条件を領域判断条件記憶部2に登録する(ステップS4)。
以上で、推定装置の推定用多項式導出処理が終了する。
【0024】
ステップS2,S3の処理において、高次の推定用多項式は例えば3次とすることを推奨し、低次の推定用多項式は例えば1次とすることを推奨する。
また、ステップS4の処理において、領域判断条件は、内挿領域の定義、具体的には内挿領域の範囲(内挿領域の両端の値)を示すものとする。領域判断条件が示す範囲内に入力パラメータXが含まれるとき、入力パラメータXは内挿領域にあると判断できる。内挿領域としては、例えば各入力パラメータXについて取得済みの分析用データ中の最小値から最大値の間とすることを推奨する。例えば処理プロセスの実行中に複数の箇所で温度を測定する場合には、複数の入力パラメータX(温度)が得られるので、この場合には入力パラメータ毎に領域判断条件が設定される。
ただし、これらの推奨事項は、必ずしも上記のように決定しなくてもよい。外挿領域の推定用多項式が内挿領域の推定用多項式よりも低次であることが、最低限の条件である。
【0025】
次に、出力パラメータYの推定処理を、図5を用いて説明する。入力パラメータ値取得部1は、例えば半導体製造装置の熱プロセスやプラズマプロセスなどのプロセスの実行中に温度センサ(不図示)から入力される温度などの入力パラメータXを取得する(ステップS10)。
【0026】
領域判断部3は、入力パラメータ値取得部1が取得した入力パラメータXが内挿領域にあるか外挿領域にあるかを、領域判断条件記憶部2に登録された領域判断条件に基づいて判断する(ステップS11)。領域判断部3は、入力パラメータXが領域判断条件を満たす場合には、内挿領域にあると判断し、領域判断条件を満たさない場合には、外挿領域にあると判断する。
【0027】
また、入力パラメータXが複数ある場合、領域判断部3は、入力パラメータ毎に設定された領域判断条件に従って各入力パラメータの領域判断を行い、全ての入力パラメータXがそれぞれ対応する領域判断条件を満たす場合に、入力パラメータXが内挿領域にあると判断し、少なくとも1つの入力パラメータXが領域判断条件を満たさない場合には、入力パラメータXが外挿領域にあると判断する。ただし、この判断方法は、推奨事項であって、これに限るものではない。
【0028】
次に、高次多項式推定演算部4と低次多項式推定演算部5とは、領域判断部3の判断に従って出力パラメータYを推定する。すなわち、高次多項式推定演算部4は、入力パラメータXが内挿領域にあるときに、予め記憶している高次の推定用多項式を用いて入力パラメータXから出力パラメータYを推定する(ステップS12)。また、低次多項式推定演算部5は、入力パラメータXが外挿領域にあるときに、予め記憶している低次の推定用多項式を用いて入力パラメータXから出力パラメータYを推定する(ステップS13)。高次多項式推定演算部4または低次多項式推定演算部5が推定した出力パラメータYは、推定値出力部6を通じて外部に出力される(ステップS14)。
推定装置は、以上のようなステップS10〜S14の処理を入力パラメータXが入力される度に行う。
【0029】
なお、オンラインで使用中に高次と低次のどちらの推定用多項式が採用されたかを、例えば半導体製造プロセスに携わるオペレータなどに通知するようにしてもよい。この場合の推定装置の動作を図6に示す。ステップS10〜S14の処理は上記のとおりである。
通知手段となる表示部7は、領域判断部3の判断結果を表示してオペレータへの通知を行う。すなわち、表示部9は、入力パラメータXが内挿領域にあるときに、高次の推定用多項式が採用されたことを表示し(ステップS15)、入力パラメータXが外挿領域にあるときに、低次の推定用多項式が採用されたことを表示する(ステップS16)。
【0030】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態においても、推定装置の構成は第1の実施の形態と同様であるので、図3の符号を用いて説明する。図7は本実施の形態の推定装置の出力パラメータ推定時の動作を示すフローチャートである。ステップS10〜S14の処理は、第1の実施の形態で説明したとおりである。
【0031】
高次多項式推定演算部4は、高次の推定用多項式を用いて入力パラメータXから出力パラメータYを推定したとき(ステップS12)、この出力パラメータYを推定値出力部6に出力する際に、以下の式のような出力パラメータYの上下限処理を行う(ステップS17)。
IF Y>YH THEN Y=YH ・・・(3)
IF Y<YL THEN Y=YL ・・・(4)
【0032】
すなわち、高次多項式推定演算部4は、推定した出力パラメータYが予め設定された上限値YHより大きい場合、出力パラメータY=YHとして出力する上限処理を行い、推定した出力パラメータYが予め設定された下限値YLより小さい場合、出力パラメータY=YLとして出力する下限処理を行う。
高次の多項式(例えば7次以上の多項式)の場合、分析用データが不十分であれば、内挿領域であっても想定範囲を超える出力パラメータYが算出されることはあり得る。したがって、本実施の形態のように、入力パラメータXが内挿領域にある場合であっても、推定した出力パラメータYに上下限処理を施すことが好ましい。
【0033】
また、入力パラメータXが内挿領域にあるときに出力パラメータYを上下限処理するのであれば、入力パラメータXが外挿領域にあるときには上下限値に基づいて出力パラメータYを補正できるように構成しておくことが好ましい。
例えば、低次多項式推定演算部5は、低次の推定用多項式を用いて入力パラメータXから出力パラメータYを推定したとき(ステップS13)、この出力パラメータYを推定値出力部6に出力する際に、出力パラメータYと上限値YHと下限値YLとの加重平均値(W1Y+W2YH+W3YL)を算出し、この加重平均値を推定値出力部6に出力する(ステップS18)。
【0034】
ここで、W1,W2,W3は加重である。加重W1,W2,W3の与え方次第で出力パラメータYそのものを出力できるように調整可能であり、逆に上限値YHまたは下限値YLそのものを出力できるようにも調整可能である。
【0035】
なお、第1、第2の実施の形態で説明した推定装置は、CPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1、第2の実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、推定用多項式を用いて状態量などを推定する技術に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】1次多項式から得られる、分析用データの入出力パラメータの関係を示す図である。
【図2】本発明の高次の推定用多項式と低次の推定用多項式から得られる、分析用データの入出力パラメータの関係を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る推定装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る推定装置の推定用多項式導出時の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る推定装置の出力パラメータ推定時の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る推定装置の出力パラメータ推定時の他の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る推定装置の出力パラメータ推定時の動作を示すフローチャートである。
【図8】分析用データの分布の1例を示す図である。
【図9】常識的な仮定から得られる、図8の分析用データの入出力パラメータの関係を示す図である。
【図10】多変量解析によって求めた3次多項式から得られる、図8の分析用データの入出力パラメータの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1…入力パラメータ値取得部、2…領域判断条件記憶部、3…領域判断部、4…高次多項式推定演算部、5…低次多項式推定演算部、6…推定値出力部、7…表示部、8…分析用データ取得部、9…領域判断条件特定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された領域判断条件に従って入力パラメータが内挿領域にあるか外挿領域にあるかを判断する領域判断手段と、
前記入力パラメータが内挿領域にあるときに高次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから出力パラメータを推定する高次多項式推定演算手段と、
前記入力パラメータが外挿領域にあるときに低次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから出力パラメータを推定する低次多項式推定演算手段とを備えることを特徴とする推定装置。
【請求項2】
請求項1記載の推定装置において、
さらに、前記出力パラメータの推定処理を行う前に、前記入力パラメータのデータとこれに対応する前記出力パラメータのデータとの組からなる分析用データに基づいて前記領域判断条件を特定する領域判断条件特定手段を備えることを特徴とする推定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の推定装置において、
さらに、前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定する際に前記高次の推定用多項式と低次の推定用多項式のどちらが採用されたかを通知する通知手段を備えることを特徴とする推定装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の推定装置において、
前記高次多項式推定演算手段は、前記高次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定したとき、この出力パラメータを上下限処理する手段を備え、
前記低次多項式推定演算手段は、前記低次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定したとき、この出力パラメータを上下限値に基づいて補正する手段を備えることを特徴とする推定装置。
【請求項5】
予め設定された領域判断条件に従って入力パラメータが内挿領域にあるか外挿領域にあるかを判断する領域判断手順と、
前記入力パラメータが内挿領域にあるときに高次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから出力パラメータを推定する高次多項式推定演算手順と、
前記入力パラメータが外挿領域にあるときに低次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから出力パラメータを推定する低次多項式推定演算手順とを備えることを特徴とする推定方法。
【請求項6】
請求項5記載の推定方法において、
さらに、前記出力パラメータの推定処理を行う前に、前記入力パラメータのデータとこれに対応する前記出力パラメータのデータとの組からなる分析用データに基づいて前記領域判断条件を特定する領域判断条件特定手順を備えることを特徴とする推定方法。
【請求項7】
請求項5または6記載の推定方法において、
さらに、前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定する際に前記高次の推定用多項式と低次の推定用多項式のどちらが採用されたかを通知する通知手順を備えることを特徴とする推定方法。
【請求項8】
請求項5または6記載の推定方法において、
前記高次多項式推定演算手順は、前記高次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定したとき、この出力パラメータを上下限処理する手順を含み、
前記低次多項式推定演算手順は、前記低次の推定用多項式を用いて前記入力パラメータから前記出力パラメータを推定したとき、この出力パラメータを上下限値に基づいて補正する手順を含むことを特徴とする推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−97312(P2010−97312A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266173(P2008−266173)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】