説明

推進機位置計測システム

【課題】 推進管がローリングしてもターゲットの画像が変位するのを防止すること。
【解決手段】 推進機10に連結される推進管12に設置されて測点Si間の挟角θiに関する情報を演算装置18に転送する計測装置16は、前方用撮像素子58と後方用撮像素子60を収納する内部筐体20と、前方用ターゲット36と後方用ターゲット38が固定されたカバー24と、カバー24に連結された外部筐体22を備え、内部筐体20はベアリング48、50を介して外部筐体22に回転自在に支持され、内部筐体20の底部には内部筐体20の重心を鉛直線上にバランスさせるためのバランスウエイト62が固定されており、推進管12のローリングに伴って外部筐体22がローリングしても、内部筐体20の重心はバランスウエイト62によって常に鉛直線上に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推進工法にしたがって地中で掘削しながら推進する推進機の位置を計測するように構成された推進機位置計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地中に上下水道管や電力管などを敷設するに際して、推進機によって地中を掘削しながら推進機に接続された上下水道管や電力管などを推進管として推し進めて敷設する推進工法が採用されている。推進工法を用いて、予め設定された計画線に沿って正しく土を掘削するに際しては、推進機の位置を正確に計測する必要がある。そこで、推進管内に順次トータルステーションを配置し、トータルステーションを用いてトラバース測量を行って推進機の位置を計測する方法が行われている。
【0003】
一方は、近年、推進管として直径800mm以下の小口径の推進管を用い、この推進管を推進工法によって敷設することが行われるようになってきた。この場合、小口径の推進管では、人が推進管の中に入ることができず、トータルステーションを用いて推進機の位置を計測することができない。このため、小口径の推進管を推進工法で敷設するに際しては、小口径の推進管内にパイプレーザを配置し、パイプレーザを用いて推進機の位置を計測することが行われている。
【0004】
しかし、パイプレーザを用いた場合、推進管を直線上に敷設するときには、推進機の位置を計測することはできるが、推進管の数が多くなって推進路が長くなると、温度と湿度の不均一性に伴ってレーザ光の屈折、散乱の影響が大きくなり、推進路の直線性を正確に確認することが困難になる。しかも、パイプレーザを用いたのでは、推進管を曲線に沿って敷設するときには推進機の位置の計測を行うことはできなくなる。
【0005】
そこで、推進機に、二次元ターゲットと推進機後方に向けたCCD撮像素子を設置するとともに、最後尾に接続された計測管に、二次元ターゲットと前方を向けたCCD撮像素子を設置し、中間に位置する各計測管には、前後方向から撮像可能な二次元ターゲットと、前方および後方に向けたCCD撮像素子をそれぞれ設置し、各CCD撮像素子の撮像による画像を処理し、管径の大小、直線路・曲線路によらず、推進機の位置を計測するようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特許第3610460号公報(第11頁〜第14頁、図1〜図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来技術では、向き合うターゲットを双方向から撮像し、ターゲット画像の偏位が、計測管の屈曲偏位で生じたものか、あるいは計測管の軸周りの回転によって生じたものであるかを判別するようにしているので、硬い岩盤などを掘削するときに計測管がローリングしても、推進機および各計測管の位置と姿勢を精度高く求めることができる。
【0008】
しかし、計測管がローリングしたときに、計測管のローリングに伴ってターゲット画像が変位するのを防止することはできない。このため、円形のターゲットでは回転角度変位を検出できないので、円形のターゲットを用いることができず、特殊形状の2次元ターゲットを利用することが余儀なくされている。
【0009】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、円形ターゲットを用いることでその重心位置を求めることを簡素化するとともに、推進管がローリングしてもターゲットの画像が変位するのを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、請求項1に係る推進機位置計測システムにおいては、地中で掘削しながら推進する推進機に順次連結されて前記地中に敷設される推進管群のうち少なくとも2個以上の推進管に設置される複数の計測装置と、前記各計測装置と情報の授受を行って前記推進機の位置を演算する演算装置とを備え、前記各計測装置は、推進方向後方の他の計測装置に対するターゲットとなる前方用ターゲットおよび推進方向前方の他の計測装置に対するターゲットとなる後方用ターゲットと、前記推進機のターゲットまたは前記前方用ターゲットを撮像する前方用撮像手段と、前記前方用撮像手段と光軸が同軸上に配置されて前記後方用ターゲットを撮像する後方用撮像手段と、前記前方用撮像手段と前記後方用撮像手段を互いに相前後させて収納する内部筐体と、前記推進管に配置されて前記内部筐体をその軸心を回転中心として回転自在に支持する支持部材と、前記内部筐体底部に固定されて前記内部筐体の重心を鉛直線上にバランスさせるバランスウエイトとを有し、前記演算装置は、前記各計測装置から前記前方用撮像手段の撮像による画像と前記後方用撮像手段の撮像による画像をそれぞれ取り込んで処理して、前記前方用撮像手段の光軸と前記後方用撮像手段の光軸とを結ぶ光軸上の仮想の測点と前記推進機のターゲットまたは前記前方用ターゲットの重心位置とを結ぶ辺と前記仮想の測点と前記後方用ターゲットの重心位置とを結ぶ辺との挟角を算出し、各算出結果と前記推進管群の管長を基に前記推進機の位置を求めてなる構成とした。
【0011】
(作用)演算装置において、各計測装置から前方の撮像手段の撮像による画像と後方用撮像手段の撮像による画像をそれぞれ取り込んで処理して、前方の撮像手段の光軸と後方用の撮像手段の光軸とを結ぶ光軸上の仮想の測点と推進機のターゲットまたは前方用ターゲットの重心位置とを結ぶ辺と、仮想の測点と後方用ターゲットの重心位置とを結ぶ辺との挟角を算出し、各算出結果と推進管群の管長を基に推進機の位置を求める過程で、硬い岩盤などを掘削するときに推進管がローリングし、推進管とともに支持部材がローリングしても、支持部材によって回転自在に支持された内部筐体底部には、バランスウエイトが固定されているので、内部筐体の重心が鉛直線上にバランスされ、内部筐体に収納された前方用撮像手段および後方用撮像手段の光軸が変化することはなく、各撮像手段によって得られた画像が変異するのを防止することができる。従って、推進管がローリングしても、この影響を受けることなく推進機の位置を正確に求めることができる。
【0012】
請求項2に係る推進機位置計測システムにおいては、地中で掘削しながら推進する推進機に順次連結されて前記地中に敷設される推進管群のうち少なくとも2個以上の推進管に設置される複数の計測装置と、前記各計測装置と情報の授受を行って前記推進機の位置を演算する演算装置とを備え、前記各計測装置は、推進方向後方の他の計測装置に対するターゲットとなる前方用ターゲットおよび推進方向前方の他の計測装置に対するターゲットとなる後方用ターゲットと、前記推進機のターゲットまたは前記前方用ターゲットを撮像する前方用撮像手段と、前記前方用撮像手段と光軸が同軸上に配置されて前記後方用ターゲットを撮像する後方用撮像手段と、前記前方用撮像手段と前記後方用撮像手段を互いに相前後させて収納する内部筐体と、前記推進管に配置されて前記内部筐体をその軸心を回転中心として回転自在に支持する支持部材と、前記内部筐体底部に固定されて前記内部筐体の重心を鉛直線上にバランスさせるバランスウエイトと、前記前方用撮像手段の撮像による画像と前記後方用撮像手段の撮像による画像をそれぞれ処理して、前記前方用撮像手段の光軸と前記後方用撮像手段の光軸とを結ぶ光軸上の仮想の測点と前記推進機のターゲットまたは前記前方用ターゲットの重心位置とを結ぶ辺と前記仮想の測点と前記後方用ターゲットの重心位置とを結ぶ辺との挟角を算出する画像処理手段とを有し、前記演算装置は、前記各計測装置の画像処理手段の処理結果と前記推進管群の管長を基に前記推進機の位置を求めてなる構成とした。
【0013】
(作用)各計測装置の画像処理手段において、前方用撮像手段の撮像による画像と後方用撮像手段の撮像による画像をそれぞれ取り込んで処理して、前方用撮像手段の光軸と後方用撮像手段の光軸とを結ぶ光軸上の仮想の測点と推進機のターゲットまたは前方用ターゲットの重心位置とを結ぶ辺と、仮想の測点と後方用ターゲットの重心位置とを結ぶ辺との挟角を算出し、各画像処理手段の算出結果と推進管群の管長を基に演算装置において、推進機の位置を求める過程で、硬い岩盤などを掘削するときに推進管がローリングし、推進管とともに支持部材がローリングしても、支持部材によって回転自在に支持された内部筐体底部には、バランスウエイトが固定されているので、内部筐体の重心が鉛直線上にバランスされ、内部筐体に収納された前方用撮像手段および後方用撮像手段の光軸が変化することはなく、各撮像手段によって得られた画像が変異するのを防止することができる。従って、推進管がローリングしても、この影響を受けることなく推進機の位置を正確に求めることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、請求項1に係る推進機位置計測システムによれば、推進管がローリングしてもターゲットの画像が変位するのを防止することができるとともに、推進管のローリングの影響を受けることなく推進機の位置を正確に求めることができる。
【0015】
請求項2に係る推進機位置計測システムによれば、推進管がローリングしてもターゲットの画像が変位するのを防止することができるとともに、推進管のローリングの影響を受けることなく推進機の位置を正確に求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例を示す推進機位置計測システムの全体構成を示す模式図、図2は、計測装置の正面図、図3は、計測装置の縦断面図、図4は、計測装置の側面図、図5は、計測装置のブロック構成図、図6は、計測装置による画像処理方法を説明するための図である。
【0017】
これらの図において、推進機10は、竪坑内に挿入されて、推進工法に従って竪坑内から地中を掘削しながら推進するようになっている。この推進機10の後方には、図1に示すように、上水道管、電力管などで構成される推進管12が順次連結され、最後尾の推進管12を油圧ジャッキ(図示せず)で押すことにより、推進機10が各推進管12ととも推進し、各推進管12が地中に敷設されるようになっている。推進機10には円形のターゲット14が設置され、各推進管12には、直線路等のように見通しできる場合を除いて計測装置16が設置されるようになっている。各計測装置16は、通信手段、例えば、LAN(Local Area Network)を介して、竪坑外に配置された演算装置18に接続されている。演算装置18は、LANを介して各計測装置16と情報の授受を行って推進機10の位置を演算するように構成されている。
【0018】
各計測装置16は、図2〜図4に示すように、円筒状に形成された内部筐体20と、略円筒状に形成されて内部筐体20の外周側を覆う外部筐体22を備えており、内部筐体20と外部筐体22は円筒状のカバー24内に収納されている。カバー24の前方側には前方用カバー26が固定され、後方側には後方用カバー28が固定されており、前方用カバー26の中央部には防塵ガラス30が装着され、後方用カバー28の中心部には防塵ガラス32が装着されている。カバー24の軸方向における中心部には内部筐体20と同心円を形成するリング状のフランジ34が形成されており、フランジ34の周囲には反射材が塗布されている。このフランジ34のうち一方(後方側)の面には、推進方向Xの後方に、他の後方計測装置16に対するターゲットとなる前方用ターゲット36が形成され、他方(前方側)の面には、推進方向Xの前方に、他の前方計測装置16に対するターゲットとなる後方用ターゲット38が形成されている。また、カバー24の略中心部には一対のTの字の脚40、42が連結されており、カバー24は脚40、42を介して推進管12内に設置されるようになっていて転倒しないような形状に構成されている。また、前方用カバー26には、他の計測装置16における前方用ターゲット36を照明するための前方照明用LED44が設置されており、後方用カバー28には、他の計測装置16における後方用ターゲット38を照明するための後方照明用LED46が設けられている。
【0019】
一方、外部筐体22はカバー24に固定されており、外部筐体22と内部筐体20との間にはベアリング48、50が装着されている。内部筐体20は、その軸心を回転中心としてベアリング48、50を介して外部筐体22に回転自在に支持されている。すなわち、外部筐体22は、カバー24に固定され、内部筐体20をベアリング48、50により回転自在に支持する支持部材として構成されている。
【0020】
また、外部筐体22内には、図5に示す画像処理ユニット52が配置され、内部筐体20内には前方用レンズ部54、後方用レンズ部56、前方用撮像素子58、後方用撮像素子60が回転軸を中心に互いに相前後して収納されており、内部筐体20の底部には、内部筐体20の重心を鉛直線上にバランスさせるためのバランスウエイト62が固定されている。
【0021】
前方用撮像素子58は、推進機10のターゲット14または推進方向X前方に位置する前方用ターゲット36を前方用レンズ部54を介して撮像し、撮像による画像を画像処理ユニット52に出力するようになっている。すなわち、前方用レンズ部54と前方用撮像素子58は前方用撮像手段として構成されている。後方用撮像素子60は、推進方向X後方に位置する後方用ターゲット38を後方用レンズ部56を介して撮像し、撮像による画像を画像処理ユニット52に出力するようになっている。すなわち、後方用撮像素子60は、後方用レンズ部56とともに後方用撮像手段として構成されている。前方用撮像素子58、後方用撮像素子60としては、例えば、CCD素子(CCDイメージセンサ)やCMOS撮像素子を用いることができる。
【0022】
画像処理ユニット52は、図5に示すように、DSP(Digital Signal Processor)64、ROM66、RAM68、LAN回路70、AC/DCコンバータ72を備えて構成されており、AC/DCコンバータ72には交流電源が接続され、AC/DCコンバータ72から各部に直流電源が供給されるようになっている。DSP64は、前方照明用LED44、後方照明用LED46の点灯を制御するとともに、前方用撮像素子58、後方用撮像素子60からの画像を取り込んで処理し、この処理結果をLAN回路70を介して演算装置18に転送するようになっている。
【0023】
DSP64は、前方用撮像素子58の撮像による画像と後方用撮像素子60の撮像による画像を処理して重心計算を行い、ターゲット14または前方用ターゲット36の中心画素位置X1と後方用ターゲット38の中心画素位置X2をそれぞれ画像の重心位置として算出し、これらの算出結果を基に挟角θiを算出するようになっている。
【0024】
具体的には、図6に示す如く、DSP64は、画像の重心位置を算出するに際して、前方用撮像素子58の光軸L1と後方用撮像素子60の光軸L2が同軸上に形成されていることを考慮して、光軸L1と光軸L2とを結ぶ光軸上の仮想の測点Siを設定し、前方用撮像素子58の撮像による画像として、例えば、図6(b)に示すように、ターゲット14または前方用ターゲット36の画像が映し出され、この画像の重心位置(中心画素位置)がX1であって、且つ、後方用撮像素子60の撮像による画像として、図6(c)に示すように、後方用ターゲット38の画像が映し出され、この画像の重心位置(中心画素位置)がX2であったときには、図6(a)に示すように、ターゲット14または前方用ターゲット36の重心位置(中心画素位置)X1と仮想の測点Siと結ぶ辺h1と、仮想の測点Siと後方用ターゲット38の重心位置(中心画素位置)X2とを結ぶ辺h2を算出し、辺h1と辺h2との挟角θiを以下のようにして求めることとしている。
【0025】
ここで、前方用撮像素子58の撮像による画像と後方用撮像素子60の撮像による画像の水平方向の有効画素数をH、鉛直方向の有効画素数をVとし、前方用撮像素子58、後方用撮像素子60における水平方向の視野角をHφとし、鉛直方向の視野角をVφとすると、水平方向の1画素当たりの角度Hθは、Hθ=Hφ/H、鉛直方向の1画素当たりの角度Vθは、Vθ=Vφ/Vで表される。
【0026】
次に、前方用撮像素子58の画像の中心位置を0とすると、ターゲット14または前方用ターゲット36の重心位置(中心画素位置)X1は、画像の中心位置0からの画素数となり、光軸L1とターゲット14または前方用ターゲット36の重心位置(中心画素位置)X1との角度がα1であるときには、α1=Hφ×X1として求めることができる。
【0027】
同様に、後方用撮像素子60の画像の中心位置を0とすると、後方用ターゲット38の重心位置(中心画素位置)X2は、画像の中心位置0からの画素数となり、光軸L2と後方用ターゲット38の重心位置(中心画素位置)X2との角度がα2であるときには、α2=Hθ×X2として求めることができる。
【0028】
そして挟角θiは、θi=180度−α1−α2から求めることができる。挟角θi(θ1、θ2、…、θnは、)は、図1に示すように、各計測装置16において求められ、各挟角θiに関する情報はLAN回路70を介して演算装置18に転送されることになる。
【0029】
なお、DSP64において挟角θiを求めるに際しては、前方用レンズ部54、後方用レンズ部56にレンズ歪みがあることを考慮し、予めレンズの歪み係数、レンズ中心画素位置(主点)、焦点距離などを求めておくこととしている。この際、レンズ歪み係数を予め求めておいて、レンズ歪み係数を基にターゲットの重心位置(中心画素位置)を補正したり、主点から画素位置を求めることが可能になる。これらによりレンズ歪を補正する。
焦点距離から求めた視野角あるいは実験的に求めた視野角から1画素当たりの角度を求めることも可能である。
【0030】
演算装置18は、各計測装置16の画像処理ユニット52の処理結果を基にトラバース測量にしたがって推進機10の位置を求めるようになっている。この場合、図1に示すように、先頭の推進管12と2番目の推進管12との挟角θ1、2番目の推進管12と3番目の推進管12との挟角θ2などの情報は各計測装置16の画像処理ユニット52から得られるようになっており、最後尾の推進管12と既知点である測点Snと基準点74との挟角θnは、最後尾の推進管12の計測を行う毎に測定し、測定値として演算装置18に入力されるようになっている。また各推進管12の長さは規格で設定されているため、演算装置18において、各推進管12の長さと挟角θiを基に推進機10の位置を求めることができる。
【0031】
本実施例によれば、各計測装置16に設けられた画像処理ユニット52において、ターゲット14または前方用ターゲット36の画像の重心位置と後方用ターゲット38の画像の重心位置を求めに際して、各ターゲット14、36、38に円形のターゲットを用いているので、各ターゲット14、36、38の画像の重心位置を簡単な計算式に従って求めることができる。
【0032】
また、本実施例によれば、岩盤などを掘削するときなどに推進管12がローリングすると、外部筐体22は推進管12のローリングに伴ってローリングするが、内部筐体20は外部筐体22に対して回転自在に支持され、その底部にバランスウエイト62が固定されているため、内部筐体20の重心は常に鉛直線上に維持され、かつターゲット36、38が円形形状のため、推進管12のローリングによって撮像素子58、60の画像の重心位置がずれるのを防止することができ、推進管12のローリングの有無によらず挟角θiを正確に求めることができる。
【0033】
さらに、本実施例によれば、前方用ターゲット36の画像の重心位置と後方用ターゲット38の画像の重心位置を求めているので、推進管12が直線路や曲線路に沿って敷設されて場合でも、各ターゲット36、38の画像の重心位置を容易に求めることができる。また、挟角θiが常に一定になるように管理することで、推進管12を直線路に沿って敷設することができる。
【0034】
なお、傾斜センサを内部筐体20に取り付け、傾斜センサによってローリング量を計測し、この計測値にしたがって画像の重心位置を補正することも可能である。
【0035】
前記実施例においては、画像処理ユニット52において、挟角θiを求めるものについて述べたが、画像処理ユニット52の画像処理手段としての機能を演算装置18に設け、前方用撮像素子58、後方用撮像素子60の撮像による画像情報をLAN回路70を介して演算装置18に転送する構成を採用することもできる。
【0036】
また、通信手段としてLANを用いる代わりに、1対複数の通信が可能なRS485を利用したり、同軸ケーブルまたは光ファイバケーブルを用いてNTSCコンポジット信号を演算装置18に転送する方式を採用することもできる。また無線LANなどの無線を使用することも可能である。
【0037】
また、挟角θiを正確に求めるに際して、撮像素子58、60の分解能を上げるために、高画素の撮像素子を使用することで、レンズ54、56が同じものであっても1画素当たりの角度が小さくなり、分解能を高めることができる。またレンズ54、56の焦点距離を大きくして画角を狭くしても、1画素当たりの角度を小さくすることで、分解能を高めることができる。この場合、ターゲットの大きさと測定可能範囲を考慮する必要がある。
【0038】
また、撮像素子58、60によって映し出された画像を処理するに際して、サブピクセル単位まで求める方法を採用することで分解能を高めることもできる。
【0039】
また、測点Si間の距離に関して、推進管12の長さから求めることができるが、各計測装置16に光波距離計を搭載し、ターゲットまでの距離を求めることで、高精度に測点間の距離を求めることができる。
【0040】
さらに、前方用ターゲット36、後方用ターゲット38として、反射材を塗布したものを用いたが、LEDを利用した自発光式のターゲットを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施例を示す推進機位置計測システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】計測装置の正面図である。
【図3】計測装置の縦断面図である。
【図4】計測装置の側面図である。
【図5】計測装置のブロック構成図である。
【図6】計測装置による画像処理方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0042】
10 推進機
12 推進管
14 ターゲット
16 計測装置
18 演算装置
20 内部筐体
22 外部筐体
36 前方用ターゲット
38 後方用ターゲット
48、50 ベアリング
52 画像処理ユニット
58 前方用撮像素子
60 後方用撮像素子
62 バランスウエイト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中で掘削しながら推進する推進機に順次連結されて前記地中に敷設される推進管群のうち少なくとも2個以上の推進管に設置される複数の計測装置と、前記各計測装置と情報の授受を行って前記推進機の位置を演算する演算装置とを備え、前記各計測装置は、推進方向後方の他の計測装置に対するターゲットとなる前方用ターゲットおよび推進方向前方の他の計測装置に対するターゲットとなる後方用ターゲットと、前記推進機のターゲットまたは前記前方用ターゲットを撮像する前方用撮像手段と、前記前方用撮像手段と光軸が同軸上に配置されて前記後方用ターゲットを撮像する後方用撮像手段と、前記前方用撮像手段と前記後方用撮像手段を互いに相前後させて収納する内部筐体と、前記推進管に配置されて前記内部筐体をその軸心を回転中心として回転自在に支持する支持部材と、前記内部筐体底部に固定されて前記内部筐体の重心を鉛直線上にバランスさせるバランスウエイトとを有し、前記演算装置は、前記各計測装置から前記前方用撮像手段の撮像による画像と前記後方用撮像手段の撮像による画像をそれぞれ取り込んで処理して、前記前方用撮像手段の光軸と前記後方用撮像手段の光軸とを結ぶ光軸上の仮想の測点と前記推進機のターゲットまたは前記前方用ターゲットの重心位置とを結ぶ辺と前記仮想の測点と前記後方用ターゲットの重心位置とを結ぶ辺との挟角を算出し、各算出結果と前記推進管群の管長を基に前記推進機の位置を求めてなる推進機位置計測システム。
【請求項2】
地中で掘削しながら推進する推進機に順次連結されて前記地中に敷設される推進管群のうち少なくとも2個以上の推進管に設置される複数の計測装置と、前記各計測装置と情報の授受を行って前記推進機の位置を演算する演算装置とを備え、前記各計測装置は、推進方向後方の他の計測装置に対するターゲットとなる前方用ターゲットおよび推進方向前方の他の計測装置に対するターゲットとなる後方用ターゲットと、前記推進機のターゲットまたは前記前方用ターゲットを撮像する前方用撮像手段と、前記前方用撮像手段と光軸が同軸上に配置されて前記後方用ターゲットを撮像する後方用撮像手段と、前記前方用撮像手段と前記後方用撮像手段を互いに相前後させて収納する内部筐体と、前記推進管に配置されて前記内部筐体をその軸心を回転中心として回転自在に支持する支持部材と、前記内部筐体底部に固定されて前記内部筐体の重心を鉛直線上にバランスさせるバランスウエイトと、前記前方用撮像手段の撮像による画像と前記後方用撮像手段の撮像による画像をそれぞれ処理して、前記前方用撮像手段の光軸と前記後方用撮像手段の光軸とを結ぶ光軸上の仮想の測点と前記推進機のターゲットまたは前記前方用ターゲットの重心位置とを結ぶ辺と前記仮想の測点と前記後方用ターゲットの重心位置とを結ぶ辺との挟角を算出する画像処理手段とを有し、前記演算装置は、前記各計測装置の画像処理手段の処理結果と前記推進管群の管長を基に前記推進機の位置を求めてなる推進機位置計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−33105(P2007−33105A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213772(P2005−213772)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000148623)株式会社ソキア (114)
【出願人】(599098127)株式会社ソーキ (28)
【Fターム(参考)】