換気装置
【課題】運転モードを設定するためのスイッチ操作部の凹凸や隙間をなくしフラット化することで掃除性の向上が図れ、かつ油の侵入による操作性の低下を防ぐことができるとともに、スイッチ操作部の表面に金属に近い外観の誘電体ハーフミラー加工を施すことで、デザイン的に高級感のある換気装置を提供することを目的とする。
【解決手段】送風機2の運転を設定するための操作スイッチ部6前面に光透過性の絶縁物7と誘電体ハーフミラー9で形成されたハーフミラー操作面22と、ハーフミラー操作面22の背面側に人体を検出する電極11と、電極11の背面側には換気装置の運転状況を表示する発光ダイオード14とを備えたものであり、操作面をフラットにすることで掃除性の向上が図れ、誘電体ハーフミラー操作面を実現して、操作スイッチ部のデザイン自由度を高めることができる。
【解決手段】送風機2の運転を設定するための操作スイッチ部6前面に光透過性の絶縁物7と誘電体ハーフミラー9で形成されたハーフミラー操作面22と、ハーフミラー操作面22の背面側に人体を検出する電極11と、電極11の背面側には換気装置の運転状況を表示する発光ダイオード14とを備えたものであり、操作面をフラットにすることで掃除性の向上が図れ、誘電体ハーフミラー操作面を実現して、操作スイッチ部のデザイン自由度を高めることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油などにより汚れやすい環境に設置される換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、台所や厨房などに設置され、調理時に発生する油煙を排出する換気装置のスイッチ操作部は、比較的高い場所に設置された換気装置の外郭前面部に設けられ、その操作面が斜め下方に傾いており、調理機器の前方に立った使用者が操作し易い構造のものが普及している。
【0003】
この種の従来の換気装置におけるスイッチ操作部の構造としては、金属の製品外郭に開口部を設け、その背面からスイッチ操作部をはめ込み、運転モードを設定する複数のスイッチ操作ボタン単体もしくはメンブレンシートを貼り付けたスイッチ操作部の意匠枠ごとを突出させる構造のものが知られていた(例えば特許文献1参照)。
【0004】
以下、その換気装置の構成について図14を参照しながら説明する。
【0005】
図14に示すように、調理機器101による調理時に発生する油煙を排出するために、内部に送風機102を設けたフード形状の換気装置本体103の前面付近にスイッチ操作部104が配置され、送風機102および照明105の動作を設定する複数のスイッチ操作ボタン単体、もしくはメンブレンシートを貼り付けたスイッチ操作部の意匠枠ごと換気装置本体103の前面から突出した構成となっていた。また、電装部周辺の機構は集約され、調理機器101を照射する照明105はスイッチ操作部104の上方に設けられ、電装部への油の侵入を防止するための金属製のボトムカバー106が設けられ、換気装置本体103の下部に形成された捕集空間107から吸い込まれた油煙は、フィルター108を通過して送風機102によりダクトを介して屋外に排出される。
【特許文献1】特開平9−89335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の換気装置では、フード状の換気装置本体103にスイッチ操作部104の意匠枠もしくは運転モードスイッチ用の開口部が必要であるので、特に調理時の油煙排出する主目的とする換気装置においては、油や油煙の発生によって固着したほこりが意匠枠や開口部によって生じる隙間から侵入しスイッチ操作性が低下する恐れがあり、またスイッチ操作面には、スイッチ操作ボタンの突起もしくはメンブレンシートによる凹凸が生じるので掃除しにくく、掃除しても隙間にごみがたまりやすく、隙間から油が垂れやすくなるという課題があった。
【0007】
また、調理機器101上方に設置される換気装置であるために、火災に対する安全面から製品の筐体は金属で構成されることとなる。主に樹脂成形品で構成されるスイッチ操作部を金属の筐体へはめこむ構成となるために、スイッチ操作部として高級感が出しにくく、製品との調和がとりづらくなり、製品全体のデザイン性を損なうという課題があった。
【0008】
また、スイッチ自体の構造が機械的接点を使用するものであるため、油の侵入などによるスイッチ操作性の低下、または機械的接点であるが故の接点磨耗が生じ、寿命が短くなるという課題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するもので、運転モードを設定するためのスイッチ操作部の凹凸や隙間をなくしフラット化することで掃除性の向上が図れ、かつ油の侵入による操作性の低下を防ぐことができる換気装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、金属筐体へ組み込まれるスイッチ操作部の表面に金属に近い外観の加工を施すことで、デザイン的に高級感のある換気装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、機械的接点が不要なスイッチ機構を用いることで、接点磨耗が生じることのなく半永久的に使用できる換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するために本発明の換気装置は、調理機器の上方に設置され、調理時に発生する油煙を屋外へ排出するための送風手段を備えた換気装置であって、前記送風手段の運転を設定するための操作スイッチ部前面に光透過性の絶縁物と誘電体ハーフミラーで形成されたハーフミラー操作面と、前記ハーフミラー操作面の背面側に人の指の接近または接触による静電容量の変化を検出する電極と、前記電極の背面側には前記換気装置の運転状況を表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また他の手段は、前記電極を光透過性の材質にて形成したことを特徴とする。
【0014】
また他の手段は、前記ハーフミラー操作面に配置された複数の電極へ接続するパターンを1辺へ集結して配線し、前記電極へ接続することを特徴とする。
【0015】
また他の手段は、前記ハーフミラー操作面に配置された複数のスイッチ電極の周囲に、前記スイッチ電極と同感度のダミー電極を配置したことを特徴とする。
【0016】
また他の手段は、前記ハーフミラー操作面に配置された複数のスイッチ電極の周囲に、前記スイッチ電極と感度の異なるダミー電極を配置したことを特徴とする。
【0017】
また他の手段は、複数の運転モードスイッチの位置を示すスイッチ枠に対して、前記電極の面積を大きく設けることを特徴とする。
【0018】
また他の手段は、複数の運転モードスイッチの位置を示すスイッチ枠に対して、前記電極の面積を下方にのみ大きく設けたことを特徴とする。
【0019】
また他の手段は、赤外線信号を受信可能である受信部を前記ハーフミラー操作面の背面に配置したことを特徴とする。
【0020】
また他の手段は、人の指が接触していない状態のスイッチ信号を記憶するスイッチ信号記憶手段を設け、ある一定時間ごとにスイッチ信号を更新し、前記スイッチ信号記憶手段へ記憶することを特徴とする。
【0021】
また他の手段は、前記スイッチ信号記憶手段で記憶したスイッチ信号と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号とを比較して、変化量の多い上位2箇所のスイッチが隣接して配置している場合、最も変化量の多いスイッチ信号のみを有効とすることを特徴とする。
【0022】
また他の手段は、前記スイッチ信号記憶手段で記憶したスイッチ信号と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号とを比較して、変化量の多い上位3箇所のスイッチが隣接して配置している場合、中心に位置するスイッチ信号のみを有効とすることを特徴とする。
【0023】
また他の手段は、通電初期状態におけるスイッチ信号をスイッチ信号記憶手段へ記憶し、ある一定時間経過後のスイッチ信号と比較して、ある一定以上の変化量が複数のスイッチに生じている場合に、使用者に異常であることを報知するための報知手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明の換気装置によれば、運転モードを設定するためのスイッチ操作部の凹凸や隙間をなくすことで掃除性を向上が図れ、かつ油の侵入による操作性の低下を防ぐことができる。
【0025】
また、スイッチ操作部の背面側に誘電体ハーフミラー加工を施すことで、各々のスイッチ間の短絡を防止するとともに操作スイッチ部周囲の金属筐体とデザイン的に調和しやすく、高級感のあるスイッチ操作部を実現することができる。
【0026】
また、機械的接点が不要なスイッチ機構を用いることもできるので、接点磨耗が生じることのなく半永久的に使用できるとともに、スイッチの可動部機構を不要とすることで部品点数を削減でき、スイッチ操作部を小型に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の請求項1記載の換気装置は、光透過性の絶縁物の背面側への誘電体ハーフミラーを配置して形成されたハーフミラー操作面の背面側に人の指の接近または接触による静電容量の変化を検出する電極を配置し、前記ハーフミラー操作面を介してことを特徴とするものであり、機械式接点を使用しないで、非接触で人が持つ静電容量を検出してスイッチ操作を認識でき、またスイッチ操作面を掃除する際に剥がれる恐れのある運転モードを表示する枠や文字等の印刷や電極を光透過性の絶縁物の背面側へ配置したことで、スイッチ操作面を凹凸のないフラットで掃除しやすい形状にすることができる。また、誘電体ハーフミラー加工を施すことで、複数のスイッチ電極間の導通を防止し、独立してスイッチ入力を検出できるとともに、スイッチ操作部と金属筐体との質感を合わせることができ、製品として高級感を演出することが可能となる。
【0028】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の換気装置において、前記ハーフミラー操作面の背面側に配置された電極を光透過性の材質にて形成することを特徴とするものであり、ハーフミラーと電極を介して光を透過させることが可能となり、使用者に現在の送風手段の運転モードを分かりやすく認識させることができる。
【0029】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の換気装置において、前記ハーフミラー操作面に配置された運転モードを設定するための複数スイッチの背面側の電極へ接続する導電パターンを、電極の上部へ集結して配線し、前記電極へ接続することを特徴とするものであり、一般的に調理機器の上方に設置される換気装置の操作スイッチ部は下方から操作されるために、使用者の指が電極へ接続される導電パターンをまたぐことがなくなり、スイッチの誤動作を防止することができる。
【0030】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の換気装置において、前記ハーフミラー操作面に配置された複数のスイッチ電極の周囲に、前記スイッチ電極と同感度のダミー電極を配置したことを特徴とするものであり、前記スイッチ電極と周囲にある金属筐体との距離が近くなった場合に、スイッチ電極と接地される金属筐体との間でコンデンサ結合しやすくなるのを防止することが可能となり、外来ノイズ等の影響によるスイッチの誤動作を防止することができる。
【0031】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の換気装置において、前記ハーフミラー操作面に配置された複数のスイッチ電極の周囲に、前記スイッチ電極と感度の異なるダミー電極を配置したことを特徴とするものであり、例えば高感度のダミー電極をスイッチ電極の周囲に配置した場合、使用者がハーフミラー操作面に指を近づけた状態を事前に検出することが可能となり、スイッチを操作して運転モードを変更したい場合にのみスイッチ入力を受け付ける構成とすることができ、外来ノイズ等の影響によるスイッチの誤動作を防止することができる。
【0032】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の換気装置において、前記ハーフミラー操作面に設けられた複数の運転モードスイッチの位置を示すスイッチ枠表示に対して、前記電極の面積を大きく設けることを特徴とすることで、スイッチ枠の面積が小さくてスイッチ感度を確保できない場合に、前記スイッチ枠表示の裏側に配置した前記電極の面積をスイッチ枠に対して大きくでき、意匠を変えずにスイッチ感度を向上させることができる。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の換気装置において、前記ハーフミラー操作面に設けられた複数の運転モードスイッチの位置を示すスイッチ枠表示に対して、前記電極の面積を下方にのみ大きく設けたことを特徴とするものであり、一般的に調理機器の上方に設置される換気装置の操作スイッチ部は下方から操作されるために、使用者の指がスイッチ枠表示内に完全に入っていなくてもスイッチ枠表示の下方に近づいた状態を検出しやすくすることが可能となり、スイッチ操作性を向上させることができる。
【0034】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の換気装置において、赤外線信号を受信可能である受信部を前記ハーフミラー操作面の背面に配置したことを特徴とするものであり、光透過性のハーフミラーを介して赤外線信号を受信することにより、受信部専用の信号を透過する専用の受信窓を不要とすることができる。
【0035】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の換気装置において、人の指が接触していない状態のスイッチ信号を記憶するスイッチ信号記憶手段を設け、ある一定時間ごとにスイッチ信号を更新し、前記スイッチ信号記憶手段へ記憶することを特徴とするものであり、前記電極と金属筐体とのコンデンサ結合容量がノイズ等により変動した場合でも、前回記憶した入力値からの変化量でスイッチ入力を検出することが可能となり、安定したスイッチ操作性を実現することができる。
【0036】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の換気装置において、前記スイッチ信号記憶手段で記憶したスイッチ信号と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号とを比較して、変化量の多い上位2箇所のスイッチが隣接して配置している場合、最も変化量の多いスイッチ信号のみを有効とすることを特徴とするものであり、人の指が近づいたことを複数のスイッチ入力の変化量から判断し指の動きを検出することで、スイッチ入力をより確実なものとし、安定したスイッチ操作性を実現することができる。
【0037】
請求項11記載の発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の換気装置において、前記スイッチ信号記憶手段で記憶したスイッチ信号と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号とを比較して、変化量の多い上位3箇所のスイッチが隣接して配置している場合、中心に位置するスイッチ信号のみを有効とすることを特徴とするものであり、人の指が近づいたことを複数のスイッチ入力の変化量から判断し指の動きを検出することで、複数のスイッチ間の配列ピッチが狭い場合でもスイッチ入力をより確実なものとすることができ、安定したスイッチ操作性を実現することができる。
【0038】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11のいずれかに記載の換気装置において、通電初期状態におけるスイッチ信号をスイッチ信号記憶手段へ記憶し、ある一定時間経過後のスイッチ信号と比較して、ある一定以上の変化量が複数のスイッチに生じている場合に、使用者に異常であることを報知するための報知手段を備えたことを特徴とするものであり、調理機器の上方に設置されるがために油やほこりが付着しやすい操作スイッチ部表面上でスイッチが短絡状態となっている場合に、異常であることを使用者に報知し、メンテナンス時期をお知らせすることができる。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図13を参照しながら説明する。
【0040】
(実施の形態1)
図1に示すように、ガスコンロ、IHコンロなどの調理機器1の上方に設置される換気装置は、調理時に発生する油煙等を排出する送風手段である送風機2と、この送風機2と油煙を屋外へ導く配管ダクトからなる送風機ユニット3と、調理時に発生した油煙を捕集する金属製のフード部4と、調理機器1を照射する照明5と、フード部4の前面に送風機2および照明5の動作モードを設定する操作スイッチ部6とを設け構成されている。本発明に係る換気装置は、図1に示すように、フード部を有するレンジフードタイプのものや、例えばプロペラ式の換気扇のように、特にフード部を備えていないものも対象としている。
【0041】
操作スイッチ部6の詳細な構成について図2および図3に示す。図2に換気装置の操作スイッチ部の正面図を示し、図2(a)は消灯時の正面図を、図2(b)は点灯時の正面図を示す。フード部4内に設けられた操作スイッチ部6の前面、詳しく言えば使用者が運転モードを設定する操作面側に光透過性の絶縁物7を配置し、その光透過性の絶縁物7の背面側には、送風機2を停止する「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、「照明切/入」スイッチ6eなどの送風機2または照明5を動作させるためのスイッチ枠や文字等の表示印刷8が施されている。ここで、光透過性の絶縁物7の一例としてガラスやアクリル、ポリカーボネートなどが用いられる。また、フード部4内の必要最低限のエリアのみに光透過性の絶縁物7を配置してあるがこれに限定するものではなく、フード部4の前面全てを光透過性の絶縁物7にて構成しても良い。
【0042】
また、スイッチ枠や文字等の表示印刷8の背面側には操作スイッチ部6全体を覆うように誘電体ハーフミラー9を蒸着する。ハーフミラーの加工方法としてはアルミ蒸着が一般的ではあるが、導通性があるためにスイッチ間を短絡することとなる。そこで、複数のスイッチ間の短絡を避けるために誘電体ハーフミラー9で構成する。ここで、誘電体ハーフミラー9としては、すず蒸着などが挙げられる。
【0043】
また、誘電体ハーフミラー9背面側の全体を覆うように、前面からの光の入射を遮断するための黒色系の抑え印刷10を施し、抑え印刷10の背面側には運転モードを示す名称に対して一対一で備え付けられ、送風機2および照明5の運転を設定する「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、「照明切/入」スイッチ6eのスイッチ枠と同等もしくはそれ以上の大きさの光透過性の電極11を配置する。ここで、意匠的な制約によって、スイッチ枠の大きさを大きくできない場合、もしくは光透過性の絶縁物7の強度確保のために厚みが必要となり、スイッチ感度を確保しなければならない場合などに、前記電極11の面積をスイッチ枠よりも大きくすることでスイッチ感度を確保することが可能となる。前記光透過性の電極11は導電性のある接続部材15を介して背面側に配置されたプリント基板13へ接続され、プリント基板13上には光透過性の絶縁物7に向けて光を発するように表示部である発光ダイオード14を実装して構成する。ここで、抑え印刷10はプリント基板13上に実装された表示部である発光ダイオード14の光を透過させるために、表示させたい文字やピクトの部分を抜き加工を施してある。
【0044】
図4に示すように、光透過性の電極11には人体の持つ静電容量が近づいたことを検出する検出回路16が接続され、検出回路16が検出したスイッチ入力信号をマイクロコンピューターから成る制御部17が認識し、スイッチが押されていない状態をスイッチ信号記憶手段19に記憶させる構成である。制御部17は送風機2と照明5の運転および停止、発光ダイオード14の点灯および消灯、スイッチ信号を認識したことを発音体18を鳴動させ、使用者にお知らせする役割も兼ねている。
【0045】
図5に検出回路16が検出する信号の変化を示す。ここでは、操作スイッチ部6の操作面が操作されると電圧が降下する回路構成となっており、制御部17はスイッチが押されていない時の電圧値V1をスイッチ信号記憶手段19へ記憶する。スイッチが押された場合、もしくは指が近づいた際には電圧降下が起こるので、V1に対してΔV以上の電圧降下が発生し、かつ時間T以上継続した場合にスイッチが押されたと初めて認識することになる。送風機2の運転を設定するスイッチが「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6dなど個々に分かれている場合はスイッチの連続押しをあまり気にしなくて良いが、送風機2の速調を「風量」スイッチ一つで完結し、スイッチを押す度に「切」→「弱」→「中」→「強」とロータリー式に設定させる場合には、スイッチを連続押した場合の操作性を向上させるためにも、Tは0.05〜0.1秒程度が望ましい。
【0046】
上記構成において、換気装置は使用者が操作スイッチ部6に備え付けられた光透過性の絶縁物7に印刷された「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、または「照明切/入」スイッチ6eを操作した場合は、各スイッチの背面側に配置された各々の光透過性の電極11から光透過性の絶縁物7を介して人体の持つ静電容量が接地グランドに接続されたこととなり、静電容量の変化を検出回路16が検出し、制御部17は最終的なスイッチ信号として認識する。制御部17はいずれかのスイッチが押されたことを認識して、そのスイッチ操作に対応して送風機2と照明5を動作させるとともに、光透過性の絶縁物7の後方に配置されたプリント基板13上の発光ダイオード14を点灯させ、光透過性の絶縁物7と誘電体ハーフミラー9と光透過性の電極11を透過して、使用者が現在の運転モードを認識できるように表示するとともに、発音体18を鳴動させ、使用者にスイッチ操作を受け付けたことをお知らせする。
【0047】
このように本発明では、運転モードを設定するためのスイッチ操作部の操作面の凹凸や隙間のない光透過性の絶縁物で構成しフラット操作面を実現することで、掃除性の向上が図れ、且つ油の浸入によるスイッチ操作性の低下を防ぐことができる。また、スイッチ操作部の背面側に誘電体ハーフミラー加工を施すことで、各々のスイッチ間の短絡を防止するとともに操作スイッチ部周囲の金属筐体とデザイン的に調和しやすく、高級感のあるスイッチ操作部を実現することができる。また、静電容量検出方式を用いて機械的接点が不要なスイッチ機構としたので、接点磨耗が生じることのなく半永久的に使用できるとともに、スイッチの可動部機構を不要とすることで部品点数を削減でき、スイッチ操作部の小型薄型化が実現可能となる。
【0048】
また、その他の電極の構成を図6に示す。誘電体ハーフミラー9の背面側に配置された運転モードを設定するための「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、または「照明切/入」スイッチ6eが押されたことを検出する電極11において、電極11へ接続する導電パターンを電極11の上方、詳しく言えば、使用者がスイッチを操作するために指を近づける下方に対して電極11を挟んだ反対側の一辺12へ集結して配線し、前記電極11の背面側に配置されたプリント基板13へ接続する構成とする。ここで、電極11と電極へ接続するパターンはPETなどに印刷された1枚のフィルム形状のものを使用し、背面に配置されたプリント基板13へコネクタ接続する構成となる。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0049】
このように、一般的に調理機器の上方に設置される換気装置の操作スイッチ部は下方から操作されるために使用者の指が電極へ接続される導電パターンをまたぐことがないように電極11を挟んだ上方へ集結して配線することで、スイッチの誤動作を防止し、スイッチ操作性の向上を図ることができる。
【0050】
また、その他の電極の構成を図7に示す。誘電体ハーフミラー9の背面側に配置された運転モードを設定するための「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、または「照明切/入」スイッチ6eが押されたことを検出する電極11において、電極11とは別にスイッチの読み込みには無関係で且つスイッチの読み込むための電極11と同感度のダミー電極20を電極11の周囲を取り囲むように配置して構成する。ここで、電極11および同感度のダミー電極20と電極へ接続するパターンはPETなどに印刷された1枚のフィルム形状のものを使用し、背面に配置されたプリント基板13へコネクタ接続する構成となる。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0051】
このように、接地される金属筐体から成るフード部4内部に配置される操作スイッチ部6において、電極11と周囲にあるフード部4からなり接地される金属筐体との距離が製品の形状により近くせざるを得ない場合、特に5mm以上確保できない場合などに、スイッチ電極と接地される金属筐体との間でコンデンサ結合しやすくなるのを防止することが可能となり、外来ノイズ等の影響によるスイッチの誤動作を防止することができる。
【0052】
また、その他の電極の構成を図8に示す。誘電体ハーフミラー9の背面側に配置された運転モードを設定するための「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、または「照明切/入」スイッチ6eが押されたことを検出する電極11において、運転モードを設定するための電極11よりも人の指の接近を検出しやすい高感度電極21を電極11の周囲を取り囲むように配置して構成する。スイッチ検出用の電極11は人の指が触れないとスイッチ信号を検出しないのに対して、高感度電極21は、スイッチへの人の指の接近を検出できれば良く、例えば人の指がスイッチに約10mm近づいた状態を検出できる感度に調整してある。ここで、電極11および高感度電極21と電極へ接続するパターンはPETなどに印刷された1枚のフィルム形状のものを使用し、背面に配置されたプリント基板13へコネクタ接続する構成となる。ここで、電極11と高感度電極21との距離は、お互いのスイッチ感度に影響を与えないように5mm以上確保するのが望ましい。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0053】
このように、スイッチが押されたことを検出する電極11よりも人の指の接近を検出しやすい高感度電極21を電極11の周囲を取り囲むように配置することで、使用者がハーフミラー操作面22に配置された運転モードを設定するためのスイッチに指を近づけた状態を、高感度電極21で事前に検出し、スイッチの読み込み処理を開始する構成とすることで、スイッチを操作して運転モードを変更したい場合にのみスイッチ入力を受け付けることができ、人が操作しない場合に印加された外来ノイズ等の影響によるスイッチの誤動作を防止することができる。ハーフミラー操作面22は、光透過性の絶縁物7とスイッチ枠や文字等の表示印刷8と誘電体ハーフミラー9とを備えている。
【0054】
また、その他の電極の構成を図9に示す。誘電体ハーフミラー9の背面側に配置された運転モードを設定するための「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、または「照明切/入」スイッチ6eが押されたことを検出する電極11をスイッチ枠表示に対して下方にのみ延設した構成とする。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0055】
このように、電極11の面積をスイッチ枠表示に対して下方にのみ大きく設けることで、一般的に調理機器の上方に設置される換気装置の操作スイッチ部は下方から操作されるために、使用者の指がスイッチ枠表示内に完全に入っていなくてもスイッチ枠表示の下方に近づいた状態を検出しやすくすることが可能となり、軽く触れるだけでスイッチを操作することが可能となる。
【0056】
また、他の操作スイッチ部の構成としては図10および図11に示すように、操作スイッチ部6の前面に構成した光透過性の絶縁物7の後方に配置されたプリント基板13上に、赤外線信号を受信するための受信部23を実装する。光透過性の絶縁物7の背面側には、蛍光灯などの照明機器などから発する外来ノイズの影響を低減するために、特定の波長の赤外線のみ透過する赤外線透過性インク24を誘電体ハーフミラー9と黒色系の抑え印刷10との間に印刷する。ここで、抑え印刷10は赤外線信号を透過させるために受信部23周辺に抜き加工を施し構成する。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0057】
このように、調理機器1の上方に設置され、高所に取り付けてある操作スイッチ部6の操作が困難であるために、台所周辺に別途取り付けられ遠隔操作が可能であるリモートコントローラーから送信される赤外線信号を受信するための受信部23を、操作スイッチ部6の前面に備え付けられた凹凸のない光透過性の絶縁物7を介して受信する構成とする場合には、赤外線受信部用の専用窓を不要にでき、操作スイッチ部6の意匠を変えずにリモコンに対応可能とすることができる。また、受信部23に外部からの衝撃をかからないようにするための保護機構を光透過性の絶縁物7で兼用することで、別途、外部衝撃保護パーツを設けることを削減できるとともに、前記専用の成形品などの別パーツをはめ込む際に必要な隙間などを不要にすることができ、油の侵入を防止することができる。
【0058】
また、他の操作スイッチ部6の構成としては図12に示すように、スイッチが押されていない場合のスイッチ信号V0(以下、基準値V0とする)と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号V1〜V5とを比較して、変化量の多い上位2箇所のスイッチが隣接して配置している場合に、最も変化量の多いスイッチ信号のみを有効とすることもできる。ここでは、基準値V0に対して変化量の多いスイッチ信号V1とV2が隣接しているために、最も変化量の多いスイッチ信号V1が押されていると判断することができる。また、別の例として、基準値V0に対して変化量の多いスイッチ信号V1〜V3が隣接しているために、そのスイッチ周辺が押されていると判断し、最も変化量の多いスイッチ信号V1が押されていると最終的に判断することも可能である。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0059】
このように、人の指が近づいたことを複数のスイッチ入力の変化量から判断し指の動きを検出することで、スイッチ入力をより確実なものとし、安定したスイッチ操作性を実現することができるとともに、意匠の関係上、どうしてもスイッチ間ピッチを狭くせざるを得ない場合などに、スイッチ枠に対して左右方向に若干ずれた箇所を操作した場合においても、最も近づいたスイッチを認識し動作させることも可能となり、スイッチ操作性を更に向上させることもできる。
【0060】
また、通電初期状態つまり油煙等でスイッチ表面が汚れていない場合における全てのスイッチ信号をスイッチ信号記憶手段19へ記憶し、前記通電初期時のスイッチ信号Vaと、油煙や粉塵などで汚れたことが予想される例えば半年経過後の人の指で押されていない場合のスイッチ信号Vbとを比較して、変化量がある一定の電圧ΔV以上、例えば、ΔV=Va/10以上の変化量である場合は、操作スイッチ部6表面が汚れていると判断し、発光ダイオード14による表示もしくは発音体18を鳴動させることにより、使用者にメンテナンス時期をお知らせする。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0061】
このように、人の指で押されていない場合のスイッチ信号の変化量から、スイッチ操作部の汚れを判断し、使用者にメンテナンス時期をお知らせする構成とすることで、調理機器の上方に設置されるがために油やほこりが付着しやすい操作スイッチ部6表面上において、汚れによってスイッチ間が短絡状態となり、操作できなくなるのを防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明にかかる換気装置は、金属筐体へ組み込まれるスイッチ操作部の表面に金属に近い外観のハーフミラー操作面を介して、機械式接点を用いず静電容量の変化を検出するスイッチ構成とすることから、スイッチ操作部のデザイン性を向上させなければならない装置や、油の付着または侵入などで電装部の寿命低下が懸念される装置に有用である。
【0063】
また、調理台の上方に設置される換気装置に限らず、電装部への水などの液体の侵入などによりシール構造を施さなければならない換気装置全般についても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1の換気装置の構成を示す正面図
【図2】同換気装置の操作スイッチ部の正面図((a)は消灯時の正面図、(b)は点灯時の正面図)
【図3】同換気装置の操作スイッチ部の断面階層図
【図4】同換気装置の構成を示すブロック図
【図5】同換気装置におけるスイッチを操作した場合の電圧波形を示す図
【図6】同換気装置における電極へのパターン接続例を示す正面図
【図7】同換気装におけるダミー電極を配置した場合の正面図
【図8】同換気装における高感度電極を配置した場合の正面図
【図9】同換気装置における電極を下方に延設した場合の正面図
【図10】同換気装置における赤外線受光素子を配置した場合の断面階層図
【図11】同換気装置における赤外線受光素子を配置した場合の正面図
【図12】同換気装置におけるスイッチを操作した場合のスイッチ相互間の電圧変化を示す図
【図13】同換気装置におけるスイッチ信号の経年変化を示す図
【図14】従来の換気装置の構成を示す図
【符号の説明】
【0065】
1 調理機器
2 送風機
6 操作スイッチ部
6a 「切」スイッチ
6b 「弱」スイッチ
6c 「中」スイッチ
6d 「強」スイッチ
6e 「照明切/入」スイッチ
7 光透過性の絶縁物
8 表示印刷
9 誘電体ハーフミラー
10 抑え印刷
11 電極
12 一辺
13 プリント基板
14 発光ダイオード
15 接続部材
19 スイッチ信号記憶手段
20 ダミー電極
21 高感度電極
22 ハーフミラー操作面
23 受信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、油などにより汚れやすい環境に設置される換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、台所や厨房などに設置され、調理時に発生する油煙を排出する換気装置のスイッチ操作部は、比較的高い場所に設置された換気装置の外郭前面部に設けられ、その操作面が斜め下方に傾いており、調理機器の前方に立った使用者が操作し易い構造のものが普及している。
【0003】
この種の従来の換気装置におけるスイッチ操作部の構造としては、金属の製品外郭に開口部を設け、その背面からスイッチ操作部をはめ込み、運転モードを設定する複数のスイッチ操作ボタン単体もしくはメンブレンシートを貼り付けたスイッチ操作部の意匠枠ごとを突出させる構造のものが知られていた(例えば特許文献1参照)。
【0004】
以下、その換気装置の構成について図14を参照しながら説明する。
【0005】
図14に示すように、調理機器101による調理時に発生する油煙を排出するために、内部に送風機102を設けたフード形状の換気装置本体103の前面付近にスイッチ操作部104が配置され、送風機102および照明105の動作を設定する複数のスイッチ操作ボタン単体、もしくはメンブレンシートを貼り付けたスイッチ操作部の意匠枠ごと換気装置本体103の前面から突出した構成となっていた。また、電装部周辺の機構は集約され、調理機器101を照射する照明105はスイッチ操作部104の上方に設けられ、電装部への油の侵入を防止するための金属製のボトムカバー106が設けられ、換気装置本体103の下部に形成された捕集空間107から吸い込まれた油煙は、フィルター108を通過して送風機102によりダクトを介して屋外に排出される。
【特許文献1】特開平9−89335号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の換気装置では、フード状の換気装置本体103にスイッチ操作部104の意匠枠もしくは運転モードスイッチ用の開口部が必要であるので、特に調理時の油煙排出する主目的とする換気装置においては、油や油煙の発生によって固着したほこりが意匠枠や開口部によって生じる隙間から侵入しスイッチ操作性が低下する恐れがあり、またスイッチ操作面には、スイッチ操作ボタンの突起もしくはメンブレンシートによる凹凸が生じるので掃除しにくく、掃除しても隙間にごみがたまりやすく、隙間から油が垂れやすくなるという課題があった。
【0007】
また、調理機器101上方に設置される換気装置であるために、火災に対する安全面から製品の筐体は金属で構成されることとなる。主に樹脂成形品で構成されるスイッチ操作部を金属の筐体へはめこむ構成となるために、スイッチ操作部として高級感が出しにくく、製品との調和がとりづらくなり、製品全体のデザイン性を損なうという課題があった。
【0008】
また、スイッチ自体の構造が機械的接点を使用するものであるため、油の侵入などによるスイッチ操作性の低下、または機械的接点であるが故の接点磨耗が生じ、寿命が短くなるという課題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するもので、運転モードを設定するためのスイッチ操作部の凹凸や隙間をなくしフラット化することで掃除性の向上が図れ、かつ油の侵入による操作性の低下を防ぐことができる換気装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、金属筐体へ組み込まれるスイッチ操作部の表面に金属に近い外観の加工を施すことで、デザイン的に高級感のある換気装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、機械的接点が不要なスイッチ機構を用いることで、接点磨耗が生じることのなく半永久的に使用できる換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を達成するために本発明の換気装置は、調理機器の上方に設置され、調理時に発生する油煙を屋外へ排出するための送風手段を備えた換気装置であって、前記送風手段の運転を設定するための操作スイッチ部前面に光透過性の絶縁物と誘電体ハーフミラーで形成されたハーフミラー操作面と、前記ハーフミラー操作面の背面側に人の指の接近または接触による静電容量の変化を検出する電極と、前記電極の背面側には前記換気装置の運転状況を表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また他の手段は、前記電極を光透過性の材質にて形成したことを特徴とする。
【0014】
また他の手段は、前記ハーフミラー操作面に配置された複数の電極へ接続するパターンを1辺へ集結して配線し、前記電極へ接続することを特徴とする。
【0015】
また他の手段は、前記ハーフミラー操作面に配置された複数のスイッチ電極の周囲に、前記スイッチ電極と同感度のダミー電極を配置したことを特徴とする。
【0016】
また他の手段は、前記ハーフミラー操作面に配置された複数のスイッチ電極の周囲に、前記スイッチ電極と感度の異なるダミー電極を配置したことを特徴とする。
【0017】
また他の手段は、複数の運転モードスイッチの位置を示すスイッチ枠に対して、前記電極の面積を大きく設けることを特徴とする。
【0018】
また他の手段は、複数の運転モードスイッチの位置を示すスイッチ枠に対して、前記電極の面積を下方にのみ大きく設けたことを特徴とする。
【0019】
また他の手段は、赤外線信号を受信可能である受信部を前記ハーフミラー操作面の背面に配置したことを特徴とする。
【0020】
また他の手段は、人の指が接触していない状態のスイッチ信号を記憶するスイッチ信号記憶手段を設け、ある一定時間ごとにスイッチ信号を更新し、前記スイッチ信号記憶手段へ記憶することを特徴とする。
【0021】
また他の手段は、前記スイッチ信号記憶手段で記憶したスイッチ信号と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号とを比較して、変化量の多い上位2箇所のスイッチが隣接して配置している場合、最も変化量の多いスイッチ信号のみを有効とすることを特徴とする。
【0022】
また他の手段は、前記スイッチ信号記憶手段で記憶したスイッチ信号と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号とを比較して、変化量の多い上位3箇所のスイッチが隣接して配置している場合、中心に位置するスイッチ信号のみを有効とすることを特徴とする。
【0023】
また他の手段は、通電初期状態におけるスイッチ信号をスイッチ信号記憶手段へ記憶し、ある一定時間経過後のスイッチ信号と比較して、ある一定以上の変化量が複数のスイッチに生じている場合に、使用者に異常であることを報知するための報知手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明の換気装置によれば、運転モードを設定するためのスイッチ操作部の凹凸や隙間をなくすことで掃除性を向上が図れ、かつ油の侵入による操作性の低下を防ぐことができる。
【0025】
また、スイッチ操作部の背面側に誘電体ハーフミラー加工を施すことで、各々のスイッチ間の短絡を防止するとともに操作スイッチ部周囲の金属筐体とデザイン的に調和しやすく、高級感のあるスイッチ操作部を実現することができる。
【0026】
また、機械的接点が不要なスイッチ機構を用いることもできるので、接点磨耗が生じることのなく半永久的に使用できるとともに、スイッチの可動部機構を不要とすることで部品点数を削減でき、スイッチ操作部を小型に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の請求項1記載の換気装置は、光透過性の絶縁物の背面側への誘電体ハーフミラーを配置して形成されたハーフミラー操作面の背面側に人の指の接近または接触による静電容量の変化を検出する電極を配置し、前記ハーフミラー操作面を介してことを特徴とするものであり、機械式接点を使用しないで、非接触で人が持つ静電容量を検出してスイッチ操作を認識でき、またスイッチ操作面を掃除する際に剥がれる恐れのある運転モードを表示する枠や文字等の印刷や電極を光透過性の絶縁物の背面側へ配置したことで、スイッチ操作面を凹凸のないフラットで掃除しやすい形状にすることができる。また、誘電体ハーフミラー加工を施すことで、複数のスイッチ電極間の導通を防止し、独立してスイッチ入力を検出できるとともに、スイッチ操作部と金属筐体との質感を合わせることができ、製品として高級感を演出することが可能となる。
【0028】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の換気装置において、前記ハーフミラー操作面の背面側に配置された電極を光透過性の材質にて形成することを特徴とするものであり、ハーフミラーと電極を介して光を透過させることが可能となり、使用者に現在の送風手段の運転モードを分かりやすく認識させることができる。
【0029】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の換気装置において、前記ハーフミラー操作面に配置された運転モードを設定するための複数スイッチの背面側の電極へ接続する導電パターンを、電極の上部へ集結して配線し、前記電極へ接続することを特徴とするものであり、一般的に調理機器の上方に設置される換気装置の操作スイッチ部は下方から操作されるために、使用者の指が電極へ接続される導電パターンをまたぐことがなくなり、スイッチの誤動作を防止することができる。
【0030】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の換気装置において、前記ハーフミラー操作面に配置された複数のスイッチ電極の周囲に、前記スイッチ電極と同感度のダミー電極を配置したことを特徴とするものであり、前記スイッチ電極と周囲にある金属筐体との距離が近くなった場合に、スイッチ電極と接地される金属筐体との間でコンデンサ結合しやすくなるのを防止することが可能となり、外来ノイズ等の影響によるスイッチの誤動作を防止することができる。
【0031】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の換気装置において、前記ハーフミラー操作面に配置された複数のスイッチ電極の周囲に、前記スイッチ電極と感度の異なるダミー電極を配置したことを特徴とするものであり、例えば高感度のダミー電極をスイッチ電極の周囲に配置した場合、使用者がハーフミラー操作面に指を近づけた状態を事前に検出することが可能となり、スイッチを操作して運転モードを変更したい場合にのみスイッチ入力を受け付ける構成とすることができ、外来ノイズ等の影響によるスイッチの誤動作を防止することができる。
【0032】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の換気装置において、前記ハーフミラー操作面に設けられた複数の運転モードスイッチの位置を示すスイッチ枠表示に対して、前記電極の面積を大きく設けることを特徴とすることで、スイッチ枠の面積が小さくてスイッチ感度を確保できない場合に、前記スイッチ枠表示の裏側に配置した前記電極の面積をスイッチ枠に対して大きくでき、意匠を変えずにスイッチ感度を向上させることができる。
【0033】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の換気装置において、前記ハーフミラー操作面に設けられた複数の運転モードスイッチの位置を示すスイッチ枠表示に対して、前記電極の面積を下方にのみ大きく設けたことを特徴とするものであり、一般的に調理機器の上方に設置される換気装置の操作スイッチ部は下方から操作されるために、使用者の指がスイッチ枠表示内に完全に入っていなくてもスイッチ枠表示の下方に近づいた状態を検出しやすくすることが可能となり、スイッチ操作性を向上させることができる。
【0034】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の換気装置において、赤外線信号を受信可能である受信部を前記ハーフミラー操作面の背面に配置したことを特徴とするものであり、光透過性のハーフミラーを介して赤外線信号を受信することにより、受信部専用の信号を透過する専用の受信窓を不要とすることができる。
【0035】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の換気装置において、人の指が接触していない状態のスイッチ信号を記憶するスイッチ信号記憶手段を設け、ある一定時間ごとにスイッチ信号を更新し、前記スイッチ信号記憶手段へ記憶することを特徴とするものであり、前記電極と金属筐体とのコンデンサ結合容量がノイズ等により変動した場合でも、前回記憶した入力値からの変化量でスイッチ入力を検出することが可能となり、安定したスイッチ操作性を実現することができる。
【0036】
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の換気装置において、前記スイッチ信号記憶手段で記憶したスイッチ信号と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号とを比較して、変化量の多い上位2箇所のスイッチが隣接して配置している場合、最も変化量の多いスイッチ信号のみを有効とすることを特徴とするものであり、人の指が近づいたことを複数のスイッチ入力の変化量から判断し指の動きを検出することで、スイッチ入力をより確実なものとし、安定したスイッチ操作性を実現することができる。
【0037】
請求項11記載の発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の換気装置において、前記スイッチ信号記憶手段で記憶したスイッチ信号と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号とを比較して、変化量の多い上位3箇所のスイッチが隣接して配置している場合、中心に位置するスイッチ信号のみを有効とすることを特徴とするものであり、人の指が近づいたことを複数のスイッチ入力の変化量から判断し指の動きを検出することで、複数のスイッチ間の配列ピッチが狭い場合でもスイッチ入力をより確実なものとすることができ、安定したスイッチ操作性を実現することができる。
【0038】
請求項12記載の発明は、請求項1〜11のいずれかに記載の換気装置において、通電初期状態におけるスイッチ信号をスイッチ信号記憶手段へ記憶し、ある一定時間経過後のスイッチ信号と比較して、ある一定以上の変化量が複数のスイッチに生じている場合に、使用者に異常であることを報知するための報知手段を備えたことを特徴とするものであり、調理機器の上方に設置されるがために油やほこりが付着しやすい操作スイッチ部表面上でスイッチが短絡状態となっている場合に、異常であることを使用者に報知し、メンテナンス時期をお知らせすることができる。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図13を参照しながら説明する。
【0040】
(実施の形態1)
図1に示すように、ガスコンロ、IHコンロなどの調理機器1の上方に設置される換気装置は、調理時に発生する油煙等を排出する送風手段である送風機2と、この送風機2と油煙を屋外へ導く配管ダクトからなる送風機ユニット3と、調理時に発生した油煙を捕集する金属製のフード部4と、調理機器1を照射する照明5と、フード部4の前面に送風機2および照明5の動作モードを設定する操作スイッチ部6とを設け構成されている。本発明に係る換気装置は、図1に示すように、フード部を有するレンジフードタイプのものや、例えばプロペラ式の換気扇のように、特にフード部を備えていないものも対象としている。
【0041】
操作スイッチ部6の詳細な構成について図2および図3に示す。図2に換気装置の操作スイッチ部の正面図を示し、図2(a)は消灯時の正面図を、図2(b)は点灯時の正面図を示す。フード部4内に設けられた操作スイッチ部6の前面、詳しく言えば使用者が運転モードを設定する操作面側に光透過性の絶縁物7を配置し、その光透過性の絶縁物7の背面側には、送風機2を停止する「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、「照明切/入」スイッチ6eなどの送風機2または照明5を動作させるためのスイッチ枠や文字等の表示印刷8が施されている。ここで、光透過性の絶縁物7の一例としてガラスやアクリル、ポリカーボネートなどが用いられる。また、フード部4内の必要最低限のエリアのみに光透過性の絶縁物7を配置してあるがこれに限定するものではなく、フード部4の前面全てを光透過性の絶縁物7にて構成しても良い。
【0042】
また、スイッチ枠や文字等の表示印刷8の背面側には操作スイッチ部6全体を覆うように誘電体ハーフミラー9を蒸着する。ハーフミラーの加工方法としてはアルミ蒸着が一般的ではあるが、導通性があるためにスイッチ間を短絡することとなる。そこで、複数のスイッチ間の短絡を避けるために誘電体ハーフミラー9で構成する。ここで、誘電体ハーフミラー9としては、すず蒸着などが挙げられる。
【0043】
また、誘電体ハーフミラー9背面側の全体を覆うように、前面からの光の入射を遮断するための黒色系の抑え印刷10を施し、抑え印刷10の背面側には運転モードを示す名称に対して一対一で備え付けられ、送風機2および照明5の運転を設定する「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、「照明切/入」スイッチ6eのスイッチ枠と同等もしくはそれ以上の大きさの光透過性の電極11を配置する。ここで、意匠的な制約によって、スイッチ枠の大きさを大きくできない場合、もしくは光透過性の絶縁物7の強度確保のために厚みが必要となり、スイッチ感度を確保しなければならない場合などに、前記電極11の面積をスイッチ枠よりも大きくすることでスイッチ感度を確保することが可能となる。前記光透過性の電極11は導電性のある接続部材15を介して背面側に配置されたプリント基板13へ接続され、プリント基板13上には光透過性の絶縁物7に向けて光を発するように表示部である発光ダイオード14を実装して構成する。ここで、抑え印刷10はプリント基板13上に実装された表示部である発光ダイオード14の光を透過させるために、表示させたい文字やピクトの部分を抜き加工を施してある。
【0044】
図4に示すように、光透過性の電極11には人体の持つ静電容量が近づいたことを検出する検出回路16が接続され、検出回路16が検出したスイッチ入力信号をマイクロコンピューターから成る制御部17が認識し、スイッチが押されていない状態をスイッチ信号記憶手段19に記憶させる構成である。制御部17は送風機2と照明5の運転および停止、発光ダイオード14の点灯および消灯、スイッチ信号を認識したことを発音体18を鳴動させ、使用者にお知らせする役割も兼ねている。
【0045】
図5に検出回路16が検出する信号の変化を示す。ここでは、操作スイッチ部6の操作面が操作されると電圧が降下する回路構成となっており、制御部17はスイッチが押されていない時の電圧値V1をスイッチ信号記憶手段19へ記憶する。スイッチが押された場合、もしくは指が近づいた際には電圧降下が起こるので、V1に対してΔV以上の電圧降下が発生し、かつ時間T以上継続した場合にスイッチが押されたと初めて認識することになる。送風機2の運転を設定するスイッチが「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6dなど個々に分かれている場合はスイッチの連続押しをあまり気にしなくて良いが、送風機2の速調を「風量」スイッチ一つで完結し、スイッチを押す度に「切」→「弱」→「中」→「強」とロータリー式に設定させる場合には、スイッチを連続押した場合の操作性を向上させるためにも、Tは0.05〜0.1秒程度が望ましい。
【0046】
上記構成において、換気装置は使用者が操作スイッチ部6に備え付けられた光透過性の絶縁物7に印刷された「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、または「照明切/入」スイッチ6eを操作した場合は、各スイッチの背面側に配置された各々の光透過性の電極11から光透過性の絶縁物7を介して人体の持つ静電容量が接地グランドに接続されたこととなり、静電容量の変化を検出回路16が検出し、制御部17は最終的なスイッチ信号として認識する。制御部17はいずれかのスイッチが押されたことを認識して、そのスイッチ操作に対応して送風機2と照明5を動作させるとともに、光透過性の絶縁物7の後方に配置されたプリント基板13上の発光ダイオード14を点灯させ、光透過性の絶縁物7と誘電体ハーフミラー9と光透過性の電極11を透過して、使用者が現在の運転モードを認識できるように表示するとともに、発音体18を鳴動させ、使用者にスイッチ操作を受け付けたことをお知らせする。
【0047】
このように本発明では、運転モードを設定するためのスイッチ操作部の操作面の凹凸や隙間のない光透過性の絶縁物で構成しフラット操作面を実現することで、掃除性の向上が図れ、且つ油の浸入によるスイッチ操作性の低下を防ぐことができる。また、スイッチ操作部の背面側に誘電体ハーフミラー加工を施すことで、各々のスイッチ間の短絡を防止するとともに操作スイッチ部周囲の金属筐体とデザイン的に調和しやすく、高級感のあるスイッチ操作部を実現することができる。また、静電容量検出方式を用いて機械的接点が不要なスイッチ機構としたので、接点磨耗が生じることのなく半永久的に使用できるとともに、スイッチの可動部機構を不要とすることで部品点数を削減でき、スイッチ操作部の小型薄型化が実現可能となる。
【0048】
また、その他の電極の構成を図6に示す。誘電体ハーフミラー9の背面側に配置された運転モードを設定するための「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、または「照明切/入」スイッチ6eが押されたことを検出する電極11において、電極11へ接続する導電パターンを電極11の上方、詳しく言えば、使用者がスイッチを操作するために指を近づける下方に対して電極11を挟んだ反対側の一辺12へ集結して配線し、前記電極11の背面側に配置されたプリント基板13へ接続する構成とする。ここで、電極11と電極へ接続するパターンはPETなどに印刷された1枚のフィルム形状のものを使用し、背面に配置されたプリント基板13へコネクタ接続する構成となる。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0049】
このように、一般的に調理機器の上方に設置される換気装置の操作スイッチ部は下方から操作されるために使用者の指が電極へ接続される導電パターンをまたぐことがないように電極11を挟んだ上方へ集結して配線することで、スイッチの誤動作を防止し、スイッチ操作性の向上を図ることができる。
【0050】
また、その他の電極の構成を図7に示す。誘電体ハーフミラー9の背面側に配置された運転モードを設定するための「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、または「照明切/入」スイッチ6eが押されたことを検出する電極11において、電極11とは別にスイッチの読み込みには無関係で且つスイッチの読み込むための電極11と同感度のダミー電極20を電極11の周囲を取り囲むように配置して構成する。ここで、電極11および同感度のダミー電極20と電極へ接続するパターンはPETなどに印刷された1枚のフィルム形状のものを使用し、背面に配置されたプリント基板13へコネクタ接続する構成となる。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0051】
このように、接地される金属筐体から成るフード部4内部に配置される操作スイッチ部6において、電極11と周囲にあるフード部4からなり接地される金属筐体との距離が製品の形状により近くせざるを得ない場合、特に5mm以上確保できない場合などに、スイッチ電極と接地される金属筐体との間でコンデンサ結合しやすくなるのを防止することが可能となり、外来ノイズ等の影響によるスイッチの誤動作を防止することができる。
【0052】
また、その他の電極の構成を図8に示す。誘電体ハーフミラー9の背面側に配置された運転モードを設定するための「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、または「照明切/入」スイッチ6eが押されたことを検出する電極11において、運転モードを設定するための電極11よりも人の指の接近を検出しやすい高感度電極21を電極11の周囲を取り囲むように配置して構成する。スイッチ検出用の電極11は人の指が触れないとスイッチ信号を検出しないのに対して、高感度電極21は、スイッチへの人の指の接近を検出できれば良く、例えば人の指がスイッチに約10mm近づいた状態を検出できる感度に調整してある。ここで、電極11および高感度電極21と電極へ接続するパターンはPETなどに印刷された1枚のフィルム形状のものを使用し、背面に配置されたプリント基板13へコネクタ接続する構成となる。ここで、電極11と高感度電極21との距離は、お互いのスイッチ感度に影響を与えないように5mm以上確保するのが望ましい。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0053】
このように、スイッチが押されたことを検出する電極11よりも人の指の接近を検出しやすい高感度電極21を電極11の周囲を取り囲むように配置することで、使用者がハーフミラー操作面22に配置された運転モードを設定するためのスイッチに指を近づけた状態を、高感度電極21で事前に検出し、スイッチの読み込み処理を開始する構成とすることで、スイッチを操作して運転モードを変更したい場合にのみスイッチ入力を受け付けることができ、人が操作しない場合に印加された外来ノイズ等の影響によるスイッチの誤動作を防止することができる。ハーフミラー操作面22は、光透過性の絶縁物7とスイッチ枠や文字等の表示印刷8と誘電体ハーフミラー9とを備えている。
【0054】
また、その他の電極の構成を図9に示す。誘電体ハーフミラー9の背面側に配置された運転モードを設定するための「切」スイッチ6a、「弱」スイッチ6b、「中」スイッチ6c、「強」スイッチ6d、または「照明切/入」スイッチ6eが押されたことを検出する電極11をスイッチ枠表示に対して下方にのみ延設した構成とする。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0055】
このように、電極11の面積をスイッチ枠表示に対して下方にのみ大きく設けることで、一般的に調理機器の上方に設置される換気装置の操作スイッチ部は下方から操作されるために、使用者の指がスイッチ枠表示内に完全に入っていなくてもスイッチ枠表示の下方に近づいた状態を検出しやすくすることが可能となり、軽く触れるだけでスイッチを操作することが可能となる。
【0056】
また、他の操作スイッチ部の構成としては図10および図11に示すように、操作スイッチ部6の前面に構成した光透過性の絶縁物7の後方に配置されたプリント基板13上に、赤外線信号を受信するための受信部23を実装する。光透過性の絶縁物7の背面側には、蛍光灯などの照明機器などから発する外来ノイズの影響を低減するために、特定の波長の赤外線のみ透過する赤外線透過性インク24を誘電体ハーフミラー9と黒色系の抑え印刷10との間に印刷する。ここで、抑え印刷10は赤外線信号を透過させるために受信部23周辺に抜き加工を施し構成する。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0057】
このように、調理機器1の上方に設置され、高所に取り付けてある操作スイッチ部6の操作が困難であるために、台所周辺に別途取り付けられ遠隔操作が可能であるリモートコントローラーから送信される赤外線信号を受信するための受信部23を、操作スイッチ部6の前面に備え付けられた凹凸のない光透過性の絶縁物7を介して受信する構成とする場合には、赤外線受信部用の専用窓を不要にでき、操作スイッチ部6の意匠を変えずにリモコンに対応可能とすることができる。また、受信部23に外部からの衝撃をかからないようにするための保護機構を光透過性の絶縁物7で兼用することで、別途、外部衝撃保護パーツを設けることを削減できるとともに、前記専用の成形品などの別パーツをはめ込む際に必要な隙間などを不要にすることができ、油の侵入を防止することができる。
【0058】
また、他の操作スイッチ部6の構成としては図12に示すように、スイッチが押されていない場合のスイッチ信号V0(以下、基準値V0とする)と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号V1〜V5とを比較して、変化量の多い上位2箇所のスイッチが隣接して配置している場合に、最も変化量の多いスイッチ信号のみを有効とすることもできる。ここでは、基準値V0に対して変化量の多いスイッチ信号V1とV2が隣接しているために、最も変化量の多いスイッチ信号V1が押されていると判断することができる。また、別の例として、基準値V0に対して変化量の多いスイッチ信号V1〜V3が隣接しているために、そのスイッチ周辺が押されていると判断し、最も変化量の多いスイッチ信号V1が押されていると最終的に判断することも可能である。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0059】
このように、人の指が近づいたことを複数のスイッチ入力の変化量から判断し指の動きを検出することで、スイッチ入力をより確実なものとし、安定したスイッチ操作性を実現することができるとともに、意匠の関係上、どうしてもスイッチ間ピッチを狭くせざるを得ない場合などに、スイッチ枠に対して左右方向に若干ずれた箇所を操作した場合においても、最も近づいたスイッチを認識し動作させることも可能となり、スイッチ操作性を更に向上させることもできる。
【0060】
また、通電初期状態つまり油煙等でスイッチ表面が汚れていない場合における全てのスイッチ信号をスイッチ信号記憶手段19へ記憶し、前記通電初期時のスイッチ信号Vaと、油煙や粉塵などで汚れたことが予想される例えば半年経過後の人の指で押されていない場合のスイッチ信号Vbとを比較して、変化量がある一定の電圧ΔV以上、例えば、ΔV=Va/10以上の変化量である場合は、操作スイッチ部6表面が汚れていると判断し、発光ダイオード14による表示もしくは発音体18を鳴動させることにより、使用者にメンテナンス時期をお知らせする。なお、その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0061】
このように、人の指で押されていない場合のスイッチ信号の変化量から、スイッチ操作部の汚れを判断し、使用者にメンテナンス時期をお知らせする構成とすることで、調理機器の上方に設置されるがために油やほこりが付着しやすい操作スイッチ部6表面上において、汚れによってスイッチ間が短絡状態となり、操作できなくなるのを防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明にかかる換気装置は、金属筐体へ組み込まれるスイッチ操作部の表面に金属に近い外観のハーフミラー操作面を介して、機械式接点を用いず静電容量の変化を検出するスイッチ構成とすることから、スイッチ操作部のデザイン性を向上させなければならない装置や、油の付着または侵入などで電装部の寿命低下が懸念される装置に有用である。
【0063】
また、調理台の上方に設置される換気装置に限らず、電装部への水などの液体の侵入などによりシール構造を施さなければならない換気装置全般についても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1の換気装置の構成を示す正面図
【図2】同換気装置の操作スイッチ部の正面図((a)は消灯時の正面図、(b)は点灯時の正面図)
【図3】同換気装置の操作スイッチ部の断面階層図
【図4】同換気装置の構成を示すブロック図
【図5】同換気装置におけるスイッチを操作した場合の電圧波形を示す図
【図6】同換気装置における電極へのパターン接続例を示す正面図
【図7】同換気装におけるダミー電極を配置した場合の正面図
【図8】同換気装における高感度電極を配置した場合の正面図
【図9】同換気装置における電極を下方に延設した場合の正面図
【図10】同換気装置における赤外線受光素子を配置した場合の断面階層図
【図11】同換気装置における赤外線受光素子を配置した場合の正面図
【図12】同換気装置におけるスイッチを操作した場合のスイッチ相互間の電圧変化を示す図
【図13】同換気装置におけるスイッチ信号の経年変化を示す図
【図14】従来の換気装置の構成を示す図
【符号の説明】
【0065】
1 調理機器
2 送風機
6 操作スイッチ部
6a 「切」スイッチ
6b 「弱」スイッチ
6c 「中」スイッチ
6d 「強」スイッチ
6e 「照明切/入」スイッチ
7 光透過性の絶縁物
8 表示印刷
9 誘電体ハーフミラー
10 抑え印刷
11 電極
12 一辺
13 プリント基板
14 発光ダイオード
15 接続部材
19 スイッチ信号記憶手段
20 ダミー電極
21 高感度電極
22 ハーフミラー操作面
23 受信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理機器の上方に設置され、調理時に発生する油煙を屋外へ排出するための送風手段を備えた換気装置であって、前記送風手段の運転を設定するための操作スイッチ部前面に光透過性の絶縁物と誘電体ハーフミラーで形成されたハーフミラー操作面と、前記ハーフミラー操作面の背面側に人の指の接近または接触による静電容量の変化を検出する電極と、前記電極の背面側には前記換気装置の運転状況を表示する表示部とを備えたことを特徴とした換気装置。
【請求項2】
前記電極を光透過性の材質にて形成したことを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記ハーフミラー操作面に配置された複数の電極へ接続するパターンを1辺へ集結して配線し、前記電極へ接続することを特徴とする請求項1または2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記ハーフミラー操作面に配置された複数のスイッチ電極の周囲に、前記スイッチ電極と同感度のダミー電極を配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の換気装置。
【請求項5】
前記ハーフミラー操作面に配置された複数のスイッチ電極の周囲に、前記スイッチ電極よりも感度の高い高感度電極を配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の換気装置。
【請求項6】
複数の運転モードスイッチの位置を示すスイッチ枠に対して、前記電極の面積を大きく設けることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の換気装置。
【請求項7】
複数の運転モードスイッチの位置を示すスイッチ枠に対して、前記電極の面積を下方にのみ大きく設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の換気装置。
【請求項8】
赤外線信号を受信可能である受信部を前記ハーフミラー操作面の背面に配置したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の換気装置。
【請求項9】
人の指が接触していない状態のスイッチ信号を記憶するスイッチ信号記憶手段を設け、ある一定時間ごとにスイッチ信号を更新し、前記スイッチ信号記憶手段へ記憶することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の換気装置。
【請求項10】
前記スイッチ信号記憶手段で記憶したスイッチ信号と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号とを比較して、変化量の多い上位2箇所のスイッチが隣接して配置している場合、最も変化量の多いスイッチ信号のみを有効とすることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の換気装置。
【請求項11】
前記スイッチ信号記憶手段で記憶したスイッチ信号と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号とを比較して、変化量の多い上位3箇所のスイッチが隣接して配置している場合、中心に位置するスイッチ信号のみを有効とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の換気装置。
【請求項12】
通電初期状態におけるスイッチ信号をスイッチ信号記憶手段へ記憶し、ある一定時間経過後のスイッチ信号と比較して、ある一定以上の変化量が複数のスイッチに生じている場合に、使用者に異常であることを報知するための報知手段を備えたことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の換気装置。
【請求項1】
調理機器の上方に設置され、調理時に発生する油煙を屋外へ排出するための送風手段を備えた換気装置であって、前記送風手段の運転を設定するための操作スイッチ部前面に光透過性の絶縁物と誘電体ハーフミラーで形成されたハーフミラー操作面と、前記ハーフミラー操作面の背面側に人の指の接近または接触による静電容量の変化を検出する電極と、前記電極の背面側には前記換気装置の運転状況を表示する表示部とを備えたことを特徴とした換気装置。
【請求項2】
前記電極を光透過性の材質にて形成したことを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記ハーフミラー操作面に配置された複数の電極へ接続するパターンを1辺へ集結して配線し、前記電極へ接続することを特徴とする請求項1または2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記ハーフミラー操作面に配置された複数のスイッチ電極の周囲に、前記スイッチ電極と同感度のダミー電極を配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の換気装置。
【請求項5】
前記ハーフミラー操作面に配置された複数のスイッチ電極の周囲に、前記スイッチ電極よりも感度の高い高感度電極を配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の換気装置。
【請求項6】
複数の運転モードスイッチの位置を示すスイッチ枠に対して、前記電極の面積を大きく設けることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の換気装置。
【請求項7】
複数の運転モードスイッチの位置を示すスイッチ枠に対して、前記電極の面積を下方にのみ大きく設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の換気装置。
【請求項8】
赤外線信号を受信可能である受信部を前記ハーフミラー操作面の背面に配置したことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の換気装置。
【請求項9】
人の指が接触していない状態のスイッチ信号を記憶するスイッチ信号記憶手段を設け、ある一定時間ごとにスイッチ信号を更新し、前記スイッチ信号記憶手段へ記憶することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の換気装置。
【請求項10】
前記スイッチ信号記憶手段で記憶したスイッチ信号と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号とを比較して、変化量の多い上位2箇所のスイッチが隣接して配置している場合、最も変化量の多いスイッチ信号のみを有効とすることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の換気装置。
【請求項11】
前記スイッチ信号記憶手段で記憶したスイッチ信号と、人の指が接近もしくは接触する際に変化するスイッチ信号とを比較して、変化量の多い上位3箇所のスイッチが隣接して配置している場合、中心に位置するスイッチ信号のみを有効とすることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の換気装置。
【請求項12】
通電初期状態におけるスイッチ信号をスイッチ信号記憶手段へ記憶し、ある一定時間経過後のスイッチ信号と比較して、ある一定以上の変化量が複数のスイッチに生じている場合に、使用者に異常であることを報知するための報知手段を備えたことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の換気装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−78249(P2007−78249A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266548(P2005−266548)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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