説明

換気部材

【課題】防水性、防火性に優れ、納まりが容易で簡単に設置することができ、且つ製作が容易な換気部材を提供する。
【解決手段】換気部材Aは、軒先の野地板1の上面に当接する野地板当接部11と、野地板当接部と略平行に配され外装部材2の上端部が当接する外装材当接部12と、外部に開放する外部側通気口13aと、小屋裏5側に開放する小屋裏通気口14と、を備えたケース状部材10と、ケース状部材10内部に配され、風によって作動し外部側通気口13aから小屋裏通気口14への通気路4を塞ぐ開閉弁21と、熱によって膨張する不燃性体積膨張部材31を収容する収容部22と、ケース状部材10に形成された嵌合部16と嵌合する被嵌合部23と、を備えた開閉部材20と、を有し、開閉部材20は、嵌合部16と被嵌合部23とを嵌合することでケース状部材10に取り付けられ、野地板1に野地板当接部11とケース状部材10とで挟入して取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒先に構成されて小屋裏の換気を行う換気部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の軒天部分に換気部材を設置して屋外と小屋裏との換気を行うのが一般的である。しかし、軒天が構成できないような場合や納まりを単純化するために鼻隠し板をなくして外装材を広小舞まで直接立ち上げるような場合、或いは見栄掛かりとなる軒天部分を避けて小屋裏に換気するような場合には、軒先の広小舞付近に換気部材を設置した換気構造を構成することがある。
【0003】
このような換気構造を実現するものとしてとして幾つかの技術が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。これらの技術は夫々の特徴を有しており、前述した各条件毎に適用したときに有用である。
【0004】
特許文献1に記載された技術は、両側に換気孔を設けた底面を有する逆ハット型広小舞を、野地板の先端部分に取り付けることによって、鼻隠し板の屋外側と屋内側に夫々換気孔を配置して空気通路を構成したものである。
【0005】
特許文献2に記載された技術は、広小舞まで直接外装材を立ち上げ、この外装材から軒先先端部に跨って勾配屋根に連続した水切りのための防水性を有する通気路を形成し、該通気路の一方の通気口を外装材の外部側に下向きに開口させると共に他方の通気口を小屋裏側に開口させて構成したものである。
【0006】
特許文献3に記載された技術は、吸気用開口部を有する換気装置本体を軒先部に取り付け、この換気装置本体の内部には吸気用開口部から屋根裏空間に連続する通気路が形成されており、該通気路の一部に閉塞部材が搖動可能に配置されたものである。そして、閉塞部材が搖動して換気装置本体に設けた突起部分(水返し部)と接触することで通気路を閉塞し得るように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−349023号公報(特許第4363608号)
【特許文献2】特開2008−150904号公報
【特許文献3】特開2008−304140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記各技術であってもまだ完全なものではなく、例えば、特許文献1に記載された技術では、雨水の吹き込みに対する不安や軒先部分の野地板が省かれているため、屋根葺き材の固定が不安定になる虞がある。
【0009】
また、特許文献2に記載された技術では、通気部材を設置するための専用下地材を別途用意する必要があり、納まりも複雑になるため、通気部材の設置作業が煩雑である。
【0010】
また、特許文献3に記載された技術では、換気装置は壁面に対し平行に設置されるので、様々な勾配を持った屋根に対し一種類の部材で対応することが困難であり、屋根勾配毎に部材を準備することが必要となる。
【0011】
本発明の目的は、防水性、防火性に優れ、納まりが容易で簡単に設置することができ、且つ製作が容易な換気部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明に係る換気部材は、軒先の野地板の上面に当接する野地板当接部と、前記野地板当接部と略平行に配され、外装部材の上端部が当接する外装材当接部と、外部に開放する外部側通気口と、小屋裏側に開放する小屋裏通気口と、を備えたケース状部材と、前記ケース状部材内部に配され、風によって作動し前記外部側通気口から前記小屋裏通気口への通気路を塞ぐ開閉弁と、前記ケース状部材内部に配され、熱によって膨張する不燃性体積膨張部材を収容し得る収容部と、前記ケース状部材に形成された嵌合部と嵌合し得る被嵌合部と、を備えた開閉部材と、を有し、前記開閉部材は、前記嵌合部と前記被嵌合部とを嵌合することにより、前記ケース状部材に取り付けられ、前記野地板に、前記野地板当接部と前記ケース状部材とで挟入することにより取り付けられるものである。
【0013】
上記換気部材に於いて、前記収容部に不燃性体積膨張部材を設けたことが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る他の換気部材は、軒先の野地板の上面に当接する野地板当接部と、前記野地板当接部に接続され、前記野地板の小口面に当接する野地板小口面当接部と、前記野地板当接部と略平行に配され、外装材上端が当接する外装材当接部と、外部に開放する外部側通気口と、小屋裏側に開放する小屋裏通気口と、を備えたケース状部材と、を有し、前記野地板小口面当接部と前記野地板の小口面との間、または前記野地板とケース状部材との間に断熱材が設けられ、前記野地板に、前記野地板当接部と前記ケース状部材とで挟入することにより取り付けられるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る換気部材は、ケース状部材と開閉部材との二つの部材を組み合わせて構成される。即ち、収容部に予め不燃性体積膨張材を収容した開閉部材をケース状部材に一体化させることで換気部材を構成することができるので製作が容易である。
【0016】
また、換気部材を軒先の野地板先端部分に取り付けることができるため、専用の下地を構成する必要がなく、簡単に設置することができる。このため、屋根葺き材の固定が不安定になることがない。特に、換気部材をケース状部材と野地板当接片とで野地板を挟み込むことで取り付けることができるので、施工時に安定した状態で作業することができる。
【0017】
また、ケース状部材の野地板当接片と外装材当接片が略平行に形成されているので、屋根の勾配に影響されることなく軒先に取り付けることができる。このため、一つのケース状部材と一つの開閉部材とによって異なる勾配を持つ屋根に対応することができ、部品点数が増大する虞がない。
【0018】
また、野地板小口面当接部と野地板の小口面との間、または野地板とケース状部材との間に断熱材が設けられることで、換気部材に対し外部から熱が加えられたとしても、この熱が直ちに野地板に伝えられることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】軒先の野地板に取り付けた換気部材の構成を説明する断面図である。
【図2】換気部材の構成を説明する斜視図である。
【図3】換気部材を構成するケース状部材と開閉部材の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、本発明に係る換気部材Aは、軒先の野地板1に取り付けられると共に、外壁材や鼻隠し板等の外装材2の上端部分に対しコーキング3を介して当接し、或いは直接当接することで、野地板1の下面と外装材2の上端部分の間に通気路4を構成している。そして、この通気路4を介して小屋裏5と屋外とを通気することで、小屋裏5の換気をはかることが可能なように構成されている。
【0021】
小屋裏換気は目的の建物に於ける小屋裏の換気を行うのに充分な換気面積を確保することで実現可能である。このため、目的の建物に設定される換気面積を満足し得る換気部材Aの外部通気口(13a)、小屋裏通気口(14)の面積(換気部材Aの数量)が設定されると共に、野地板1に対する取付位置が設定される。
【0022】
そして、換気部材Aを取り付ける位置に配置された外装材2は、上端部分が換気部材Aに当接する高さまで立ち上げられる。また、換気部材Aを取り付けることのない位置に配置された外装材2は、上端部分が野地板1まで立ち上げられる。このように、換気部材Aを取り付ける位置、取り付けることのない位置に配置された外装材2は、単に上端部分の立上限を調整するのみで対応し得るため、取合が容易となるという効果を派生する。
【0023】
換気部材Aを取り付けた軒先の野地板1には水切材6が取り付けられている。水切材6は固定片6aと遮蔽片6bとからなるく字状に形成されており、該水切材6の遮蔽片6bを突出させた状態で、固定片6aが釘や木ねじ等の固定具9によって野地板1に固定されている。そして、遮蔽片6bを換気部材Aの前方に配置することによって、雨水が直接換気部材Aに降り注ぐことを防ぐように構成されている。
【0024】
水切材6を固定した野地板1の上部には屋根材7が葺かれており、該屋根材7の末端下部に対応する部位に樋8が設けられている。従って、雨天の際に屋根材7に降った雨水は屋根材7の末端から落下し、水切材6の遮蔽片6bを伝って樋8に落下する。また、軒先に斜めに降り込んだ雨水は直接樋8に落下し、或いは水切材6の遮蔽片6bに降りかかった後、該遮蔽片6bを伝って樋8に落下する。
【0025】
次に、本実施例に係る換気部材Aの構成について説明する。本実施例に係る換気装置Aは、金属板によって形成されたケース状部材10と、合成樹脂の成型材によって形成された開閉部材20と、を組み合わせることで構成されている。
【0026】
ケース状部材10は金属板を折曲成形した部材として構成されており、予め設定された長さ(例えば、建物に設定されたモジュール寸法に対応させた寸法)を有している。金属板の材質として特に限定するものではないが、加工性に優れ且つ耐火性に優れたものであることが好ましい。このような材質として、鋼板やステンレス鋼板等があり、何れも好ましく採用することが可能である。しかし、ケース状部材10を金属板によって形成することに限定するものではなく、合成樹脂を材料として折曲成形や押出成型してケース状部材10を形成しても良い。
【0027】
ケース状部材10は、軒先の野地板1の上面に当接する野地板当接部となる野地板当接片11と、野地板当接片11と略平行に配され外装部材2の上端部が当接する外装材当接部となる外装材当接片12、外部に開放する外部側通気口13aが形成された外部側通気片13と、開閉部材20と共に小屋裏5側に開放する小屋裏通気口14と、を有して構成されている。
【0028】
尚、以下の説明に於いて、「当接」(当接部、当接片)と表現している部分があるが、この当接とは必ずしも対象となる物体に対して直接当接していることに限定するものではなく、対象となる物体との間に他の物体が介在するものも含んでいるものとする。
【0029】
野地板当接片11は、軒先の野地板1の上面に当接すると共に水切材6の固定片6aの下面側に配置される。野地板当接片11は水切材6の固定片6aよりも短く、固定片6aを固定具9によって固定する際に該固定具9よりも軒先側にあるように形成されている。
【0030】
野地板当接片11に連続して該野地板当接片11に対し略直角に折り曲げられた野地板小口面当接部となる小口当接片15が形成されている。この小口当接片15は、直接野地板1の小口面に当接するものではなく、後述する開閉部材20に形成された当接部24の起立片24a及び断熱材30を介して当接している。
【0031】
本実施例に於いて、小口当接片15は換気部材Aを野地板1に取り付ける際に、固定具9によって該野地板1の小口面に固定されるものである。このため、小口当接片15は、野地板1の厚さに、後述する開閉部材20に形成された被嵌合部23の野地板1の下面からの寸法を加えた寸法を有している。また、固定具9による固定を行う際の下穴15aが形成されている。
【0032】
しかし、換気部材Aを軒先の野地板1に取り付ける際に、上記したように小口当接片15を利用して固定具9によって野地板1の小口面に取り付けることに限定するものではなく、野地板当接片11を利用して固定しても良いことは当然である。
【0033】
小口当接片15と連続して嵌合部16が形成されている。この嵌合部16は、小口当接片15の端部から野地板当接片11の下側に向けて直角に折り曲げられた屈折片16aと、開閉部材20に形成された被嵌合部23の嵌合凹部23bに対応する部分に形成された嵌合突部16bと、該嵌合突部16bで元の方向に折り返された折返片16cと、を有して形成されている。嵌合突部16bは、屈折片16aと折返片16cとが曲面状に折り返されて形成されている。そして、小口当接片15から嵌合突部16bまでの長さは、開閉部材20に形成された被嵌合部23の起立片24aからの寸法と略等しく形成されている。
【0034】
嵌合部16を構成する折返片16cの端部から前方(図1〜3に於ける左側)であって下方に向けて斜め方向に外部側通気片13が形成されている。この外部側通気片13には外部側通気口13aが一定の間隔を持って複数形成されている。この外部側通気口13aの寸法は特に限定するものではなく、ケース状部材10を構成する金属板の材質や厚さ等の条件に応じて適宜設定することが好ましい。
【0035】
特に、外部側通気片13の長さや傾斜角度は特に限定するものではない。しかし、外部通気片13は軒先から外部側に突出して配置されることとなり、この突出長さが大きくなると、水切材6の寸法や樋8の位置等に影響を与えることとなる。このため、外部側通気片13の長さや傾斜角度は、建物に於ける周囲の条件に応じて適宜設定することが好ましい。
【0036】
外装材当接片12は外部側通気片13と連続して形成されていても良いが、本実施例では、外部側通気片13と外装材当接片12との間に連結片17が形成されている。即ち、外部側通気片13に連続して野地板当接片11に対し略直角となるような角度で折り曲げられた連結片17が形成されており、この連結片17に連続して外装材当接片12が形成されている。
【0037】
また、外装材当接片12には、図2に示すように、水抜き用の穴12aが形成されており、外部側通気口13aから吹き込んだ雨水や、結露により溜まった水を樋8に落下させることが可能なように構成されている。
【0038】
外装材当接片12は、後方(図1〜3の右側)側の端部が小屋裏5に到達し得る長さを持って形成されている。また、外装材当接片12の後方側端部から略直角に野地板1の下面方向に向けて起立片18aが形成されており、該起立片18aの先端には前方に向けて略直角に折り曲げられた弁座片18bが形成されている。
【0039】
開閉部材20は合成樹脂の押出成形材として形成されており、ケース状部材10と同様に建物に設定されたモジュール寸法に対応する寸法を有している。この開閉部材20は、前述したケース状部材10の内部に配置されると共に一体化されて換気部材Aを構成するものである。
【0040】
開閉部材20を構成する合成樹脂の材質は特に限定するものではなく、耐久性、耐候性に優れたものであることが好ましい。しかし、開閉部材20を合成樹脂によって形成することに限定するものではなく、アルミニウムを代表とする金属を押出成型して形成することも可能である。
【0041】
開閉部材20は、ケース状部材10の内部に配置され、風によって作動して外部側通気口13aから小屋裏通気口14への通気路4を塞ぐ開閉弁21と、ケース状部材10の内部に配置され、熱によって膨張する不燃性体積膨張部材31を収容し得る収容部22と、ケース状部材に形成された嵌合部16と嵌合し得る被嵌合部23と、を有して構成されている。
【0042】
また、開閉部材20はケース状部材10に組み込まれて換気部材Aを構成した後、該換気部材Aを軒先の野地板1に取り付ける際に、断熱材30を介して野地板1の小口面及び下面に当接し得るように構成されている。このため、開閉部材20はL字型の当接部24を有しており、該当接部24の起立片24aが野地板1の小口面に、水平片24bが野地板1の下面に当接し得るように構成されている。そして、ケース状部材10の小口当接片15、嵌合部16の屈折片16aは、夫々開閉部材20の当接部24を介して野地板1に当接している。
【0043】
開閉弁21は、当接部24の水平片24bの後方側所定位置から垂下して形成されている。この開閉弁21は弁体21aと、可撓性を持った搖動片21bと、を有して構成されており、換気部材Aに形成された通気路4を流通する空気の流れ(風)に応じて搖動し得るように構成されている。このため、弁体21aは適度な重量を有する振り子としての機能を発揮し得るように形成されており、搖動片21bは弁体21aが容易に搖動し得るように剛性が極めて小さく(弁体21aの厚さに対して充分に薄く)なるように形成されている。
【0044】
そして、開閉弁21を構成する弁体21aが後方側に搖動してケース状部材10に形成した弁座片18bと接触したとき、小屋裏通気口14を閉塞して空気の流れを遮断し得るように構成されている。特に、開閉弁21は、弁体21a、搖動片21bから空気が漏れることがないように、開閉部材20の長手方向に渡って連続して形成されている。
【0045】
収容部22は、当接部24の水平片24bに於ける開閉弁21よりも前方に形成されている。この収容部22は、一対の保持片22a、22bと、これらの保持片22a、22bを連結する連結片22cからなる断面がコ字状に形成されている。また、前方の保持片22aには更に前方且つ下方に延長した水返し片22dが形成されている。
【0046】
収容部22の保持片22a、22bの間に不燃性体積膨張部材31が嵌め込まれている。不燃性体積膨張部材31は、膨張性グラファイト系の防炎、防煙用シール材であって、通過熱風温度が約180℃で膨張し始め、十数倍に膨張する性質を有している。そして、不燃性体積膨張材31としては、例えば、オーストリア ケミー・リンツ社製の「インツメックス(商品名)」や種々の不燃性体積膨張材が適用可能である。
【0047】
収容部22の連結片22cは当接部24の水平片24bに対して離隔して形成されており、これらの連結片22cと水平片24bとの間に被嵌合部23が形成されている。この被嵌合部23はケース状部材10の嵌合部16を構成する屈折片16aと折返片16cが嵌合される平行部23aと、嵌合突部16bが嵌合される嵌合凹部23bと、を有して構成されている。
【0048】
上記の如く構成されたケース状部材10と開閉部材20では、不燃性体積膨張部材31が開閉部材20の収容部22に収容されるため、該不燃性体積膨張部材31をケース状部材10に張り付ける部位を形成したり、張り付ける作業を行う必要がない。また、開閉弁21が開閉部材20に形成されるため、ケース状部材10に開閉弁を構成する搖動部材を形成する必要がない。このため、ケース状部材10の構造が簡単になり、複雑な成形が必要なく製作が容易となる。
【0049】
また、開閉部材20が合成樹脂等の押出成型によって構成されるため、高い寸法精度を確保することが可能となり、且つ製作は極めて容易である。このため、開閉弁21の搖動片21bを精度良く形成して弁体21aの確実な搖動を実現することが可能となる。
【0050】
次に、上記の如く構成されたケース状部材10と開閉部材20とを組み合わせて換気部材Aを構成し、この換気部材Aを軒先の野地板1に取り付ける手順について説明する。
【0051】
先ず、開閉部材20の収容部22に不燃性体積膨張部材31を嵌め込んで収容する。この作業は、開放された収容部22の保持片22a、22bの間に不燃性体積膨張部材31を差し込むことで行うことが可能であるため、従来の作業(例えば換気部材の内面に不燃性体積膨張部材を張り付ける)と比較して極めて容易である。また、当接部24の起立片24a、水平片24bに断熱材30を取り付けておく。
【0052】
次に、開閉部材20の被嵌合部23にケース状部材10の嵌合部16を嵌合させることで、両者を組み合わせる。即ち、嵌合部16の嵌合突部16bを被嵌合部23の嵌合凹部23bに、嵌合部16の屈折片16aと折返片16cの重ね合わせ部を被嵌合部23の平行部23aに、夫々対応させて差し込むことで一体化させる。そして、ケース状部材10の長手方向の端部と開閉部材20の長手方向の端部とを一致させることで、図2に示すような換気部材Aを構成することが可能である。
【0053】
上記の如く構成された換気部材Aの軒先の野地板1に対する取り付けは、ケース状部材10の野地板当接片11と開閉部材20とで野地板1の先端部分を挟み込み、ケース状部材10と開閉部材20を固定具9によって野地板1に固定することで行われる。
【0054】
即ち、建物に於ける予め設定された位置に対応する野地板1に換気部材Aを配置する。野地板当接片11を野地板1の上面に当接させると共に、開閉部材20の当接部24の起立片24a、水平片24bを野地板1の小口面と下面に当接させることで、各片11、24a、24bとで構成されるコ字状の部分によって野地板1の先端部分を挟み込む。この状態で、ケース状部材10の小口当接片15に形成した下穴15aを利用して、起立片24a、断熱材30を貫通させて固定具9を野地板1の小口面に打ち込むことで、換気部材Aを軒先の野地板Aに取り付けることが可能である。
【0055】
換気部材Aを軒先の野地板1に取り付けた後、ケース状部材10の外装材当接片12と外装材2の上端部分との隙間をコーキング3によって塞ぐことで、換気部材Aの内部に小屋裏5と外部を連通させる通気路4が形成される。このように、換気部材Aを軒先の野地板1に取り付けたとき、通気路4は金属製のケース状部材10によって外部から区画されるため、耐火性に優れた通気路4を構成することが可能である。
【0056】
特に、通気路4に開閉弁21が形成されているため、風雨の際に外部側通気口13aから風や雨水が浸入した場合、この風によって弁体21aが搖動して弁座片18bと接触して通気路4を遮断し、雨水の小屋裏に対する浸入を防ぐことが可能である。従って、防水性を向上させることが可能である。そして、通気路4の内部に浸入した雨水は外装材当接片12に形成された穴12aを通って樋8に排出される。
【0057】
また、通気路4に不燃性体積膨張部材31が配置されるため、換気部材Aの温度が上昇したとき、この不燃性体積膨張部材31が膨張して通気路4を閉塞させ、これにより、熱気の流通を遮断することが可能である。従って、防火性を向上させることが可能である。
【0058】
更に、断熱材30として不燃性断熱材を利用したり、ケース状部材10と野地板1とを直接当接させることなく隙間を設けることで、火炎や熱気を受けた換気部材Aの熱伝導による野地板1の炭化を軽減させることが可能である。即ち、外壁が直接広小舞に接する場合には、建物外部と小屋裏空間が接近することになり、建物周囲で発生する火災に対する小屋裏の防火性に不安が生じることがあるが、断熱材30を設けることで、この不安を払拭することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る換気部材は、屋根の勾配の如何に関わらず1機種で対応することができるので、野地板を有する全ての屋根の小屋裏の換気をはかる際に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
A 換気部材
1 野地板
2 外装材
3 コーキング
4 通気路
5 小屋裏
6 水切材
6a 固定片
6b 遮蔽片
7 屋根材
8 樋
9 固定具
10 ケース状部材
11 野地板当接片
12 外装材当接片
12a 穴
13 外部側通気片
13a 外部側通気口
14 小屋裏通気口
15 小口当接片
15a 下穴
16 嵌合部
16a 屈折片
16b 嵌合突部
16c 折返片
17 連結片
18a 起立片
18b 弁座片
20 開閉部材
21 開閉弁
21a 弁体
21b 搖動片
22 収容部
22a、22b 保持片
22c 連結片
22d 水返し片
23 被嵌合部
23a 平行部
23b 嵌合凹部
24 当接部
24a 起立片
24b 水平片
30 断熱材
31 不燃性体積膨張部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒先の野地板の上面に当接する野地板当接部と、
前記野地板当接部と略平行に配され、外装部材の上端部が当接する外装材当接部と、外部に開放する外部側通気口と、小屋裏側に開放する小屋裏通気口と、を備えたケース状部材と、
前記ケース状部材内部に配され、風によって作動し前記外部側通気口から前記小屋裏通気口への通気路を塞ぐ開閉弁と、前記ケース状部材内部に配され、熱によって膨張する不燃性体積膨張部材を収容し得る収容部と、前記ケース状部材に形成された嵌合部と嵌合し得る被嵌合部と、を備えた開閉部材と、を有し、
前記開閉部材は、前記嵌合部と前記被嵌合部とを嵌合することにより、前記ケース状部材に取り付けられ、
前記野地板に、前記野地板当接部と前記ケース状部材とで挟入することにより取り付けられることを特徴とした換気部材。
【請求項2】
前記収容部に不燃性体積膨張部材を設けたことを特徴とした請求項1記載の換気部材。
【請求項3】
軒先の野地板の上面に当接する野地板当接部と、
前記野地板当接部に接続され、前記野地板の小口面に当接する野地板小口面当接部と、
前記野地板当接部と略平行に配され、外装材上端が当接する外装材当接部と、外部に開放する外部側通気口と、小屋裏側に開放する小屋裏通気口と、を備えたケース状部材と、を有し、
前記野地板小口面当接部と前記野地板の小口面との間、または前記野地板とケース状部材との間に断熱材が設けられ、
前記野地板に、前記野地板当接部と前記ケース状部材とで挟入することにより取り付けられることを特徴とした換気部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−44088(P2013−44088A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180161(P2011−180161)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000230607)日本化学産業株式会社 (31)
【Fターム(参考)】