説明

揮発性有機化合物処理システム及び揮発性有機化合物の処理方法

【課題】燃焼処理できない間においても揮発性有機化合物(VOC)を処理することができる揮発性有機化合物処理システム及び揮発性有機化合物の処理方法を提供する。
【解決手段】処理対象ガスに含まれるVOCを吸着剤10に吸着させ、吸着剤10に吸着されたVOCを加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して水蒸気に混入させる吸着・脱着装置1と、VOCが混入した水蒸気を燃焼させるガスタービン2とを有する揮発性有機化合物処理システムAであって、VOCが混入した水蒸気を凝縮・液化して液体とする凝縮器5と、凝縮器5で液化した液体を貯溜する貯溜装置6と、ガスタービン2の稼働状況に応じて、配管X4を介して流出するVOCが混入した水蒸気を、ガスタービン2に供給する配管X4aに導入させる、あるいは、凝縮器5に供給する配管X4bに導入させるよう切り替える切替装置8とを有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス状の揮発性有機化合物を処理する揮発性有機化合物処理システム及び揮発性有機化合物の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トルエンやキシレン等の各種揮発性有機化合物を取り扱う工場では、揮発性有機化合物を含むガス(処理対象ガス)を処理するための処理システムを設けている。
このような処理システムとして、特許文献1には、処理対象ガスを吸着・脱着装置に供給して揮発性有機化合物を活性炭等の吸着剤に吸着させ、また吸着剤が吸着した揮発性有機化合物を水蒸気で吸着剤から脱着して揮発性有機化合物を水蒸気に混入させる。そして、揮発性有機化合物が混入した水蒸気をガスタービンやボイラ等の燃焼装置により燃焼させて揮発性有機化合物を分解・無害化すると共に揮発性有機化合物が有する化学エネルギーを有効利用して処理する揮発性有機化合物処理システムが開示されている。
【特許文献1】特許第3956996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、処理対象ガスは工場から順次排気されるものであるため、上記処理システムは、排気される処理対象ガスを順次処理せしめる能力が求められる。しかしながら、上記処理システムは吸着・脱着装置により処理対象ガスから分離した揮発性有機化合物の最終的な処理を燃焼装置により行うものであるから、例えば、不可避的なメンテナンスにより燃焼装置が停止している場合や、燃焼装置の立上り時間等の、燃焼装置の停止状態の間では、脱着され排出される揮発性有機化合物が混入した水蒸気を燃焼できないため、上記処理システムは機能を停止せざるを得なかった。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、燃焼処理できない間においても揮発性有機化合物を処理することができる揮発性有機化合物処理システム及び揮発性有機化合物の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、上記吸着剤に吸着された上記揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して上記水蒸気に混入させる吸着・脱着装置と、上記揮発性有機化合物が混入した上記水蒸気を燃焼させる燃焼装置とを有する揮発性有機化合物処理システムであって、上記揮発性有機化合物が混入した上記水蒸気を液化する液化装置と、上記液化装置で液化した液体を貯溜する貯溜装置と、上記燃焼装置の稼働状況に応じて、上記揮発性有機化合物が混入した上記水蒸気の供給経路を、上記燃焼装置に供給する燃焼経路と、上記液化装置に供給する液化経路とに切り替える切替装置とを有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、燃焼装置の稼働状況に応じて、揮発性有機化合物が混入した水蒸気の供給経路を切り替えることで、燃焼装置あるいは液化装置にて揮発性有機化合物が混入した水蒸気を処理することができる。
【0006】
また、本発明では、上記切替装置は、上記燃焼装置が停止状態にあるときに、上記供給経路を上記液化経路に切り替えるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、燃焼装置が、例えば、不可避的なメンテナンスにより停止している場合や、立上り時間等の燃焼できない停止状態にあるときに、他方の液化装置で揮発性有機化合物が混入した水蒸気を処理することができる。
【0007】
また、本発明では、上記燃焼装置が稼動しているときに、上記貯溜装置に貯溜した上記液体を水蒸気と混合させて、上記燃焼経路に導入させる蒸気混合装置を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、貯溜装置にて貯留した揮発性有機化合物が混入した液体を廃棄処理することなく再利用して、揮発性有機化合物が有する化学エネルギーを有効に活用できる。
【0008】
また、本発明では、上記蒸気混合装置は、上記燃焼装置の負荷に応じて、水蒸気と混合させる上記液体の混合量を変化させるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、揮発性有機化合物が混入した液体の混合量を変化させることで、例えば、燃焼装置の負荷変動に対応することができる。
【0009】
また、本発明では、上記貯溜装置で貯留した上記液体から、上記揮発性有機化合物を含有する非水溶性の第2液体を比重分離する比重分離装置を有し、上記蒸気混合装置は、上記液体として、上記第2液体を水蒸気と混合させるという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、揮発性有機化合物の有する非水溶性の特性を利用して、水と分離し、分離した揮発性有機化合物を含む第2液体のみを処理することができるため、揮発性有機化合物の処理効率を向上させることができる。また、第2液体では分離前より揮発性有機化合物の含有割合が大きいため、燃焼装置での燃焼効率を向上させることができる。
【0010】
また、本発明では、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、上記吸着剤に吸着された上記揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して上記水蒸気に混入させる吸着・脱着工程と、上記揮発性有機化合物が混入した上記水蒸気を、燃焼装置を用いて燃焼させる燃焼工程とを有する揮発性有機化合物の処理方法であって、上記揮発性有機化合物が混入した上記水蒸気を液化する液化工程と、上記液化工程で液化した液体を貯溜する貯溜工程と、上記燃焼装置の稼働状況に応じて、上記揮発性有機化合物が混入した上記水蒸気の処理を、上記燃焼工程と、上記液化工程とに切り替える切替工程とを有するという処理方法を採用する。
このような処理方法を採用することによって、本発明では、燃焼装置の稼働状況に応じて、揮発性有機化合物が混入した水蒸気の処理を切り替えることで、燃焼工程あるいは液化工程にて揮発性有機化合物が混入した水蒸気を処理することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、上記吸着剤に吸着された上記揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して上記水蒸気に混入させる吸着・脱着装置と、上記揮発性有機化合物が混入した上記水蒸気を燃焼させる燃焼装置とを有する揮発性有機化合物処理システムであって、上記揮発性有機化合物が混入した上記水蒸気を液化する液化装置と、上記液化装置で液化した液体を貯溜する貯溜装置と、上記燃焼装置の稼働状況に応じて、上記揮発性有機化合物が混入した上記水蒸気の供給経路を、上記燃焼装置に供給する燃焼経路と、上記液化装置に供給する液化経路とに切り替える切替装置とを有するという構成を採用することによって、燃焼装置の稼働状況に応じて、揮発性有機化合物が混入した水蒸気の供給経路を切り替えることで、燃焼装置あるいは液化装置にて揮発性有機化合物が混入した水蒸気を処理することができる。つまり、本発明では、燃焼装置にて燃焼処理できない間においても、揮発性有機化合物が混入した水蒸気を液化装置にて処理できる。
したがって、本発明は、燃焼処理できない間においても揮発性有機化合物を処理することができる効果がある。
【0012】
また、本発明によれば、処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、上記吸着剤に吸着された上記揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して上記水蒸気に混入させる吸着・脱着工程と、上記揮発性有機化合物が混入した上記水蒸気を、燃焼装置を用いて燃焼させる燃焼工程とを有する揮発性有機化合物の処理方法であって、上記揮発性有機化合物が混入した上記水蒸気を液化する液化工程と、上記液化工程で液化した液体を貯溜する貯溜工程と、上記燃焼装置の稼働状況に応じて、上記揮発性有機化合物が混入した上記水蒸気の処理を、上記燃焼工程と、上記液化工程とに切り替える切替工程とを有するという処理方法を採用することによって、燃焼装置の稼働状況に応じて、揮発性有機化合物が混入した水蒸気の処理を切り替えることで、燃焼工程あるいは液化工程にて揮発性有機化合物が混入した水蒸気を処理することができる。つまり、本発明では、燃焼工程にて燃焼処理できない間においても、揮発性有機化合物が混入した水蒸気を液化工程にて処理できる。
したがって、本発明は、燃焼処理できない間においても揮発性有機化合物を処理することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態における揮発性有機化合物処理システムAの概要を示す模式図である。
揮発性有機化合物処理システムAは、トルエンやキシレン等の各種揮発性有機化合物の処理を必要とする工場内に構築されるものであり、図1に示すように、吸着・脱着装置1、ガスタービン(燃焼装置)2、熱交換器3、ドレン排出系4、凝縮器(液化装置)5、貯溜装置6、蒸気混合装置7、切替装置8及び不図示の制御装置を備えている。
【0014】
吸着・脱着装置1は、円筒状の部材の開口をドーム状の部材で閉じたような形状の金属製の浄化容器11と、浄化容器11内部中段に設けられた吸着剤10とを有する。吸着・脱着装置1は、処理対象ガスである揮発性有機化合物(以下、VOCと称する)含有ガスに含まれるVOCを浄化容器11内部の吸着剤10に吸着させることによって処理対象ガスからVOCを除去し、吸着剤10に吸着したVOCを加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して水蒸気に混入させる。吸着剤10には、例えば活性炭が使用される。また、上記加圧環境は、水蒸気を吸着・脱着装置1に供給することによって実現される。
【0015】
このような吸着・脱着装置1には、吸着剤10より上側の外部から、水蒸気を入力する配管X1及び、VOCが除去された処理済ガスを外部へ出力する配管X2が設けられており、一方、吸着剤10より下側の外部から、処理対象ガスを入力する配管X3及び、VOCが混入した水蒸気を外部へ出力する配管(供給経路)X4が設けられる構成となっている。また、吸着・脱着装置1は、吸着剤10を冷却する必要から、空気(冷却用空気)を下側の外部から入力する配管X5が設けられる。
なお、配管X4は、分岐位置110で2つに分岐しており、一方はVOCが混入した水蒸気をガスタービン2に供給する配管(燃焼経路)X4aに、他方はVOCが混入した水蒸気を凝縮器5に供給する配管(液化経路)X4bに分岐する構成となっている。
【0016】
ガスタービン2は、圧縮機21、燃焼器22、タービン23を備えている。
圧縮機21は、外部から吸気した空気を加圧して圧縮空気とし、燃焼器22に供給する構成となっている。燃焼器22は、圧縮機21から供給される圧縮空気と燃料ガスとを混合して燃焼させ、タービン23へ排出する。また、燃焼器22には、吸着・脱着装置1から出力されたVOCが混入した水蒸気が配管X4及び配管X4aを介して供給され、この水蒸気を燃料ガスと共に燃焼させる構成となっている。タービン23は、燃焼器22から供給される燃焼ガスの運動エネルギー及び圧力エネルギーによって回転駆動されて、圧縮機21の駆動力と、ガスタービン2外部の発電機等の負荷25の駆動力とを発生する構成となっている。そして、ガスタービン2から排出される燃焼ガス(排ガス)は、熱交換器3へ排出される構成となっている。
【0017】
熱交換器3は、ガスタービン2から供給される燃焼ガスの保有する熱を利用して水蒸気を生成する構成となっている。熱交換器3が生成した水蒸気の一部は、配管X6を介して工場のプロセス用として使用され、残りの水蒸気は、配管X7を介して吸着・脱着装置1等に供給される。なお、配管X7は、途中2つに分岐しており、一方は吸着・脱着装置1に水蒸気を入力する配管X1に、他方は吸着・脱着装置1を経由することなく配管X4に合流位置100で接続される配管X8に分岐する構成となっている。
なお、ガスタービン2が停止状態にあるときは、熱交換器3は水蒸気を生成することができないため、揮発性有機化合物処理システムAは、補助的に設けられている不図示の補助ボイラ等で水蒸気を生成する構成となっている。
【0018】
ドレン排出系4は、VOCが混入した水蒸気が凝縮して液化し、VOCが微量ながら溶け込んでいるドレンを回収するものであり、切替装置8の上流側の配管X4と、合流位置100の下流側の配管X4aとの2箇所に設けられる。このような、ドレン排出系4は、ドレンを回収する流路を形成するドレン配管X41と、ドレン配管X41の途中に設けられたドレン排出弁42と、ドレン排出弁42をバイパスするように設けられたバイパス配管X41aとを有しており、また、バイパス配管X41aには上流側から順に第1仕切弁43、ドレントラップ44及び第2仕切弁45が設けられる構成となっている。
【0019】
ドレン排出系4は、ドレントラップ44の保守点検時等以外は、ドレン排出弁42は常時閉状態とされ、第1仕切弁43及び第2仕切弁45は常時開状態とされており、配管X4を流通するドレンがドレン配管X41を介してバイパス配管X41aに導入される構成となっている。
ドレントラップ44は、バイパス配管X41aの上流側にてドレンを滞留させると共に、所定量のドレンが滞留すると余剰のドレンを自動的に下流側に排出する構成となっている。ドレントラップ44は、フロート式、バイメタル式、ベローズ式等の各種方式を採用することができるが、本実施形態ではドレンが滞留することによる温度変化で開閉するバイメタル式のドレントラップを採用している。
【0020】
凝縮器5は、配管X4bを介して供給されるVOCが混入した水蒸気を凝縮・液化し、VOCが混入した液体として貯溜装置6に導入させる構成となっている。このような凝縮器5は、水冷式、空冷式、蒸発式等の各種方式を採用することができるが、本実施形態では、VOCが混入した水蒸気を冷却水との間で熱交換させて凝縮・液化する水冷式の凝縮器を採用している。
【0021】
貯溜装置6は、凝縮器5で液化した液体を貯留するものであり、凝縮器5及びドレン排出系4からVOCが混入した液体が導入されるデカンタ(比重分離装置)61と、デカンタ61にて比重分離されたVOCを含有する非水溶性の液体であるVOC液(第2液体)を貯留するVOC槽62と、デカンタ61にてVOC液が分離された残部の水である分離水を貯留する分離水槽63とを有する構成となっている。
【0022】
デカンタ61は、VOCが混入した液体を貯溜する中空構造を有する貯溜槽であり、上部に凝縮器5を経た配管X4b及びドレン排出系4のドレン配管X41がそれぞれ接続される。また、デカンタ61には、一端が貯溜槽底部近傍に配置されて、当該配置位置から上方に延在すると共に所定の高さで屈曲しデカンタ61の側壁を貫通して、側方に設けられた分離水槽63内に他端が配置される分離水配管X61aと、上記所定の位置よりも高い位置においてデカンタ61の側壁に一端が接続され、他端がVOC槽62内に配置されるVOC液配管X61bとが設けられる構成となっている。
また、分離水槽63には、分離水を底部から排水する配管X63が設けられ、VOC槽62には、VOC液を蒸気混合装置7の蒸気・VOC混合器71に供給する配管X62が設けられる構成となっている。
なお、デカンタ61は、VOCが混入した液体が分離水配管X61aを介して分離水槽63内に流入するのを防止するために、予め、内部に水を導入して、分離水配管X61aの一端が配置される位置よりも高い位置に水位がくるように水を貯溜する必要がある。本実施形態では、初期状態でデカンタ61には、分離水配管X61aの屈曲する位置つまり、オーバーフローする程度まで水を貯溜している。
【0023】
蒸気混合装置7は、ガスタービン2が稼動しているときに、VOC槽62に貯溜したVOC液を、配管X8を流通する水蒸気と混合させて、配管X4aに導入させるものであり、VOC液と水蒸気とを混合させる蒸気・VOC混合器71と、蒸気・VOC混合器71にVOC液を、配管X62を介して圧送する電動ポンプ72と、配管X62に設けられ電動ポンプ72により圧送されたVOC液の液量を調節する不図示の調節弁とを有する構成となっている。
蒸気・VOC混合器71は、配管X8の流路上に設けられ、電動ポンプ72で圧送されるVOC液を不図示の噴霧ノズルにてミスト化して側方から噴霧することで、配管X8を流通する水蒸気にVOC液を混入させる構成となっている。
【0024】
切替装置8は、分岐位置110近傍であって配管X4aに設けられた開閉弁Y4aと、同じく分岐位置110近傍であって配管X4bに設けられた開閉弁Y4bと、後述する不図示の制御装置とから構成されており、制御装置の制御の下、開閉弁Y4a及び開閉弁Y4bのどちらか一方を開状態、他方を閉状態とすることで、吸着・脱着装置1から配管X4を介して流出するVOCが混入した水蒸気の流路を、ガスタービン2に供給する配管X4aもしくは、凝縮器5に供給する配管X4bに切り替える構成となっている。
【0025】
不図示の制御装置は、内部メモリに記憶された制御プログラム及び各種制御用データ等に基づいて、本システムの全体の動作を制御するものである。すなわち、制御装置は、各種制御用データ等に基づいて制御演算を行う制御機器及び上記各構成機器(吸着・脱着装置1、ガスタービン2、熱交換器3、凝縮器5、蒸気混合装置7、切替装置8等)とのデータ授受を行う各種入出力インターフェース回路等から構成されており、上記各構成機器を統括的に制御する構成となっている。
このような制御装置は、例えば、配管X2に設けられた開閉弁Y2、配管X3に設けられた開閉弁Y3、配管X4aに設けられた開閉弁Y4a、配管X4bに設けられた開閉弁Y4b及び配管X5に設けられた開閉弁Y5の開放/閉塞の動作を各々制御する構成となっている。また、制御装置は、配管X1に設けられた調節弁Y1、配管X4に設けられた調節弁Y4、配管X4aに設けられた調節弁Y4a1、配管X8に設けられた調節弁Y8の開放/閉塞、さらにこれらの当該開放量を調節することで流体の供給量を各々制御することができる構成となっている。
【0026】
続いて、上記のように構成された揮発性有機化合物処理システムAによるVOCを処理する動作について図2〜図6を参照して説明する。
図2〜図6は、吸着・脱着装置1による吸着・脱着工程の各工程における様子を示す模式図であって、図2は吸着工程を、図3は加圧・加温工程を、図4はガスタービン2が稼動しているときの脱着工程を、図5はガスタービン2が停止状態にあるときの脱着工程を、図6は冷却工程を示している。吸着・脱着装置1は、吸着工程、加圧・加温工程、脱着工程、冷却工程の各工程を順次繰り返し行うことにより、処理対象ガスからVOCを除去して処理する。
なお、図2〜図6において、各弁の白抜き表示は「開状態」にあることを示し、各弁の黒抜き表示は「閉状態」にあることを示している。
【0027】
(吸着工程)
不図示の制御装置は、図2に示すように、開閉弁Y4a、開閉弁Y4b、開閉弁Y5、調節弁Y1、調節弁Y4を閉状態とすると共に、開閉弁Y2及び開閉弁Y3を開状態とする。開閉弁Y2及び開閉弁Y3が開状態となることで、吸着・脱着装置1にVOCを含んだ処理対象ガスが配管X3を介して下側から順次入力され、中段に設けられた吸着剤10を通過して上側の配管X2から順次出力される。この吸着工程において、処理対象ガスは、吸着剤10を通過する際にVOCが活性炭に吸着されるために浄化され、処理済ガスとして配管X2を介して外部に排出されることとなる。
【0028】
(加圧・加温工程)
次に、制御装置は、加圧・加温工程を行うべく、図3に示すように、開閉弁Y2、開閉弁Y3、開閉弁Y4a、開閉弁Y4b、開閉弁Y5及び調節弁Y4を閉状態とすると共に、調節弁Y1を開状態とする。調節弁Y1が開状態となることで、吸着・脱着装置1に水蒸気が配管X1を介して上側から順次入力され、浄化容器11内が加圧・加温状態となり、吸着剤10の雰囲気が加温されることとなる。
このとき、常温状態にあった吸着・脱着装置1に、加圧・加温用の水蒸気を供給することによって当該水蒸気の一部が凝縮して液体のドレンとなる。そして、このドレンには、吸着工程によって吸着剤10に付着したVOCが微量ながら溶け込んでいる。
なお、ガスタービン2が稼動している場合では、吸着・脱着装置1は、熱交換器3で生成した水蒸気の供給を受け、対して、ガスタービン2が停止状態にある場合では、吸着・脱着装置1は、不図示の補助ボイラで生成した水蒸気の供給を受けて加圧・加温されることとなる。
【0029】
(脱着工程)
浄化容器11内が十分に加圧・加温されると、制御装置は、脱着工程を行うべく、図4及び図5に示すように、開閉弁Y2、開閉弁Y3、開閉弁Y5及び調節弁Y8を閉状態とすると共に、調節弁Y1及び調節弁Y4を開状態とする。調節弁Y1及び調節弁Y4が開状態となることで、吸着・脱着装置1に水蒸気が配管X1を介して上側から順次入力されると共に、中段に設けられた吸着剤10を通過してVOCが混入した水蒸気が下側の配管X4を介して順次出力される。この脱着工程では、吸着剤10の活性炭に吸着されたVOCは、所定温度に加温された環境下において、吸着剤10を通過する水蒸気によって活性炭から脱着され、水蒸気に混入した状態で配管X4を介して排出されることとなる。
【0030】
このとき、加圧・加温工程において生じたドレンもVOCが混入した水蒸気と共に配管X4を介して排出される。さらに、配管X4を流通するVOCが混入した水蒸気は、その流通過程での熱損失等により一部が液化し、ドレンを生じさせる。
当該ドレンは、切替装置8の上流側の配管X4に設けられたドレン排出系4にて回収された後、デカンタ61に導入される。より詳しくは、先ず、ドレンは、配管X4aから分岐して設けられたドレン配管X41に導入される。次に、ドレンは、ドレン配管X41からバイパス配管X41に流動すると共に、ドレントラップ44の上流側に滞留する。ドレントラップ44は、所定量のドレンを滞留させると、ドレンが滞留することによる温度変化で開閉するバイメタル構造が動作し、余剰のドレンを自動的に下流側に排出することでドレンのみを回収する。そして、ドレンは、ドレン配管X41を介してデカンタ61に導入されることとなる。
【0031】
脱着工程にてガスタービン2が稼動している場合、切替装置8は、制御装置の制御の下、図4に示すように、開閉弁Y4bを閉状態とすると共に開閉弁Y4aを開状態とすることで、配管X4を介して流出するVOCが混入した水蒸気を、ガスタービン2に供給する配管X4aに導入させる(切替工程)。そして、VOCが混入した水蒸気は、配管X4aを流通してガスタービン2に連続的に供給され、ガスタービン2の燃焼器22により燃焼されることで分解・無害化されることとなる(燃焼工程)。
【0032】
対して、ガスタービン2が停止状態にある場合、切替装置8は、制御装置の制御の下、図5に示すように、開閉弁Y4aを閉状態とすると共に開閉弁Y4bを開状態とすることで、配管X4を介して流出するVOCが混入した水蒸気の流路を、凝縮器5に供給する配管X4bを流通する流路に切り替える(切替工程)。そして、VOCが混入した水蒸気は、配管X4bを流通して凝縮器5に供給され冷却水との間で熱交換した後、凝縮・液化し下流側に設けられたデカンタ61に導入されることとなる(液化工程)。
【0033】
デカンタ61は、凝縮器5で液化した液体及びドレン排出系4で回収されたドレンを貯溜する(貯溜工程)。これらVOCが混入した液体は、デカンタ61内で貯溜されることで、水である分離水と、水より比重の軽いトルエン、キシレン等のVOCを含む非水溶性のVOC液との2層に自然に比重分離する。つまり、分離水が下部に、VOC液がその上部に滞溜することとなる。
そして、時間の経過と共にデカンタ61にVOCが混入した液体が順次導入されると、デカンタ61内の液位がそれに伴って上昇する。当該液位が、VOC液配管X61bが設けられる位置まで上昇すると、VOC液は、VOC液配管X61bを介してデカンタ61から自動的に流出し、VOC槽62内に貯溜される。一方、VOCが混入した液体が順次導入されることでデカンタ61底部の液圧が大きくなると、分離水は、デカンタ61底部近傍に一端が配置された分離水配管X61aを介してデカンタ61から自動的に流出し、分離水槽63内に貯溜される(比重分離工程)。このように、VOCが混入した液体を順次比重分離して流出させることで、デカンタ61内の液位は一定に維持される。
なお、分離水はVOCをほとんど含まないため、配管X63を介して排水、あるいは処理業者に回収された後処理されることとなる。一方、VOC液は、その化学エネルギーを燃焼エネルギーとして有効活用するため、ガスタービン2が稼動し燃焼が可能となるまでVOC槽62に貯溜される。
【0034】
(冷却工程)
上記脱着工程の後、制御装置は、冷却工程を行うべく、図6に示すように、開閉弁Y3、開閉弁Y4a、開閉弁Y4b、調節弁Y1及び調節弁Y4を閉状態とすると共に、開閉弁Y2及び開閉弁Y5を開状態とする。開閉弁Y2及び開閉弁Y5が開状態となることで、吸着・脱着装置1に空気が配管X5を介して下側から順次入力され、中段に設けられた吸着剤10を通過して上側の配管X2から順次出力される。この冷却工程では、開閉弁Y2を開状態にすることで浄化容器11内を減圧させ常圧に戻し、空気が吸着剤10を通過することによって活性炭の雰囲気を冷却することで常態に戻すこととなる。
【0035】
そして、制御装置は、再び上記した吸着工程に移行させ、上記工程を順に繰り返し行うことで処理対象ガスからVOCを順次除去処理することとなる。
【0036】
ところで、VOC槽63にて貯溜されたVOC液は、ガスタービン2が稼動し、燃焼が可能となった時に、制御装置の制御の下、蒸気混合装置7によって水蒸気と混合されガスタービン2に供給される。
ガスタービン2が稼動している場合は、例えば、図2、図3及び図6に示すように、調節弁Y8及び調節弁Y4a1は、配管X8及び配管X4aを介して常時一定量の水蒸気をガスタービン2に供給するよう開放量を調節した開状態となっている。
このとき制御装置は、所定のタイミングで、蒸気混合装置7を駆動させ、VOC槽62に貯溜されている所定の量のVOC液を、電動ポンプ72を用いて配管X62を介して蒸気・VOC混合器71に圧送する。蒸気・VOC混合器71に圧送されたVOC液は、不図示の噴霧ノズルにて噴霧されることでミスト化し、配管X8を流通する水蒸気と混合された後、ガスタービン2に供給され燃焼されることとなる。
【0037】
このとき、配管X8を流通するVOCが混入した水蒸気は、その流通過程での熱損失等により一部が液化することがあるが、液化したもの(ドレン)は合流位置100の下流側に設けられたドレン排出系4の作用によりデカンタ61に回収されることとなる。
なお、蒸気混合装置7は、制御装置の制御の下、配管X62に設けられた不図示の調節弁の開放量を調節し、電動ポンプ72によるVOC液の供給量を変化させることで、水蒸気と混合させるVOC液の混合量を変化させることができる。また、例えば、制御装置により、電動ポンプ72の交流モータをインバータ制御し、電動ポンプ72の駆動回転数を変えることで、VOC液の供給量を変化させても良い。
したがって、ガスタービン2における負荷25の急激な負荷変動が生じた場合には、負荷変動に応じてVOC液の混合量を増加あるは減少させて調節することで、VOCの有する化学エネルギーを利用して燃焼効率を向上させ当該負荷変動に対応することとなる。
【0038】
したがって、上述の本実施形態によれば、処理対象ガスに含まれるVOCを吸着剤10に吸着させ、吸着剤10に吸着されたVOCを加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して水蒸気に混入させる吸着・脱着装置1と、VOCが混入した水蒸気を燃焼させるガスタービン2とを有する揮発性有機化合物処理システムAであって、VOCが混入した水蒸気を凝縮・液化する凝縮器5と、凝縮器5で液化した液体を貯溜する貯溜装置6と、ガスタービン2の稼働状況に応じて、配管X4を介して流出するVOCが混入した水蒸気を、ガスタービン2に供給する配管X4aに導入させる、あるいは、凝縮器5に供給する配管X4bに導入させるよう切り替える切替装置8とを有するという構成を採用することによって、ガスタービン2の稼働状況に応じて、VOCが混入した水蒸気の流路を切り替えることで、ガスタービン2あるいは凝縮器5にてVOCが混入した水蒸気を処理することができる。つまり、本実施形態では、ガスタービン2にて燃焼処理できない間においても、VOCが混入した水蒸気を凝縮器5にて処理できる。
したがって、本実施形態は、燃焼処理できない間においてもVOCを処理することができる揮発性有機化合物処理システムAが得られる効果がある。
【0039】
また、本実施形態では、切替装置8は、ガスタービン2が停止状態にあるときに、配管X4を流通する流路を配管X4bに切り替えるという構成を採用することによって、ガスタービン2が停止状態にあるときに、凝縮器5にてVOCが混入した水蒸気を処理することができる。
【0040】
また、本実施形態では、ガスタービン2が稼動しているときに、貯溜装置6に貯溜した上記液体を水蒸気と混合させて、配管X4aに導入させる蒸気混合装置7を有するという構成を採用することによって、貯溜装置6にて貯溜されたVOCが混入した液体を、廃棄処理することなく再利用して、VOCが有する化学エネルギーを有効に活用できる。また、VOCが混入した液体を専門の処理業者に回収させる必要はなくなるため、コスト安の効果も得られる。
【0041】
また、本実施形態では、蒸気混合装置7は、ガスタービン2の負荷25に応じて、水蒸気と混合させる上記液体の混合量を変化させるという構成を採用することによって、VOCが混入した液体の混合量を変化させることで、ガスタービン2の負荷変動に対応することができる。
【0042】
また、本実施形態では、貯溜装置6で貯留した上記液体から、VOCを含有する非水溶性のVOC液を比重分離するデカンタ61を有し、蒸気混合装置7は、上記液体として、VOC液を水蒸気と混合させるという構成を採用することによって、VOCの有する非水溶性の特性を利用して、VOC液と分離水とに分離し、VOC液のみを処理することができるためVOCの処理効率を向上させることができる。また、VOC液は、VOCの含有割合が分離前より大きくなるため、ガスタービン2での燃焼効率を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、処理対象ガスに含まれるVOCを吸着剤10に吸着させ、吸着剤10に吸着されたVOCを加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して上記水蒸気に混入させる吸着・脱着工程と、VOCが混入した上記水蒸気を、ガスタービン2を用いて燃焼させる燃焼工程とを有するVOCの処理方法であって、VOCが混入した上記水蒸気を液化する液化工程と、上記液化工程で液化した液体を貯溜する貯溜工程と、上記ガスタービン2の稼働状況に応じて、上記VOCが混入した上記水蒸気の処理を、上記燃焼工程と、上記液化工程とに切り替える切替工程とを有するという処理方法を採用することによって、ガスタービン2の稼働状況に応じて、VOCが混入した水蒸気の処理を切り替えることで、燃焼工程あるいは液化工程にてVOCが混入した水蒸気を処理することができる。つまり、本実施形態では、燃焼工程にて燃焼処理できない間においても、VOCが混入した水蒸気を液化工程にて処理できる。
したがって、本実施形態は、燃焼処理できない間においてもVOCを処理することができる効果がある。
【0044】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0045】
例えば、本実施形態では、VOCが混入した液体を、デカンタ61にて比重の軽い非水溶性のVOC液と分離水とに分離し、VOC液のみを蒸気混合装置7により水蒸気と混合させてガスタービン2にて燃焼すると説明したが、本発明は、上記構成に限定されるものではない。
例えば、VOCがアルコール等の水溶性のものである場合は、デカンタ61にて比重分離せずに、そのままVOCが混入した液体を蒸気混合装置7に供給する構成であっても良い。
さらに、例えば、VOCが水より比重の重いものである場合は、VOC液が下部に、分離水がその上部に比重分離するため、デカンタ61に設けられた分離水配管X61a及びVOC液配管X61bの構成を互いに逆に設計変更する、あるいは、同構成のものをVOC槽62及び分離水槽63のそれぞれに設け、デカンタ61の下部及び上部のいずれか一方から選択的にVOC槽62あるいは分離水槽63に対応する液体を流出させる構成であっても良い。
【0046】
また、例えば、本実施形態では、揮発性有機化合物処理システムAは、吸着・脱着装置1を一つ有する構成を説明したが、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、吸着・脱着装置1が複数設けられ、各吸着・脱着装置1から順次吸着・脱着工程を行わせる構成であっても良い。
【0047】
また、例えば、本実施形態では、燃焼装置は、ガスタービン2であると説明したが、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、排熱回収ボイラ等の各種ボイラ等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態における揮発性有機化合物処理システムの概要を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態における吸着・脱着装置の吸着工程における様子を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態における吸着・脱着装置の加圧・加温工程における様子を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるガスタービンが稼動しているときの吸着・脱着装置の脱着工程における様子を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるガスタービンが停止状態にあるときの吸着・脱着装置の脱着工程における様子を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態における吸着・脱着装置の冷却工程における様子を示す模式図である。
【符号の説明】
【0049】
1…吸着・脱着装置、2…ガスタービン(燃焼装置)、5…凝縮器(液化装置)、6…貯溜装置、7…蒸気混合装置、8…切替装置、10…吸着剤、25…負荷、61…デカンタ(比重分離装置)、A…揮発性有機化合物処理システム、X4…配管(供給経路)、X4a…配管(燃焼経路)、X4b…配管(液化経路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、前記吸着剤に吸着された前記揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して前記水蒸気に混入させる吸着・脱着装置と、前記揮発性有機化合物が混入した前記水蒸気を燃焼させる燃焼装置とを有する揮発性有機化合物処理システムであって、
前記揮発性有機化合物が混入した前記水蒸気を液化する液化装置と、
前記液化装置で液化した液体を貯溜する貯溜装置と、
前記燃焼装置の稼働状況に応じて、前記揮発性有機化合物が混入した前記水蒸気の供給経路を、前記燃焼装置に供給する燃焼経路と、前記液化装置に供給する液化経路とに切り替える切替装置とを有することを特徴とする揮発性有機化合物処理システム。
【請求項2】
前記切替装置は、前記燃焼装置が停止状態にあるときに、前記供給経路を前記液化経路に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の揮発性有機化合物処理システム。
【請求項3】
前記燃焼装置が稼動しているときに、前記貯溜装置に貯溜した前記液体を水蒸気と混合させて、前記燃焼経路に導入させる蒸気混合装置を有することを特徴とする請求項1または2に記載の揮発性有機化合物処理システム。
【請求項4】
前記蒸気混合装置は、前記燃焼装置の負荷に応じて、水蒸気と混合させる前記液体の混合量を変化させることを特徴とする請求項3に記載の揮発性有機化合物処理システム。
【請求項5】
前記貯溜装置で貯留した前記液体から、前記揮発性有機化合物を含有する非水溶性の第2液体を比重分離する比重分離装置を有し、
前記蒸気混合装置は、前記液体として、前記第2液体を水蒸気と混合させることを特徴とする請求項3または4に記載の揮発性有機化合物処理システム。
【請求項6】
処理対象ガスに含まれる揮発性有機化合物を吸着剤に吸着させ、前記吸着剤に吸着された前記揮発性有機化合物を加圧環境下で水蒸気を用いて脱着して前記水蒸気に混入させる吸着・脱着工程と、前記揮発性有機化合物が混入した前記水蒸気を、燃焼装置を用いて燃焼させる燃焼工程とを有する揮発性有機化合物の処理方法であって、
前記揮発性有機化合物が混入した前記水蒸気を液化する液化工程と、
前記液化工程で液化した液体を貯溜する貯溜工程と、
前記燃焼装置の稼働状況に応じて、前記揮発性有機化合物が混入した前記水蒸気の処理を、前記燃焼工程と、前記液化工程とに切り替える切替工程とを有することを特徴とする揮発性有機化合物の処理方法。
【請求項7】
前記切替工程では、前記燃焼装置が停止状態にあるときに、前記処理を前記液化工程に切り替えることを特徴とする請求項6に記載の揮発性有機化合物の処理方法。
【請求項8】
前記燃焼装置が稼動しているときに、前記貯溜工程にて貯溜した前記液体を水蒸気と混合させて、前記燃焼工程に移行させる蒸気混合工程を有することを特徴とする請求項6または7に記載の揮発性有機化合物の処理方法。
【請求項9】
前記蒸気混合工程では、前記燃焼装置の負荷に応じて、水蒸気と混合させる前記液体の混合量を変化させることを特徴とする請求項8に記載の揮発性有機化合物の処理方法。
【請求項10】
前記貯溜工程で貯留した前記液体から、前記揮発性有機化合物を含有する非水溶性の第2液体を比重分離する比重分離工程を有し、
前記蒸気混合工程では、前記液体として、前記第2液体を水蒸気と混合させることを特徴とする請求項8または9に記載の揮発性有機化合物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−240879(P2009−240879A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88972(P2008−88972)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】