説明

揮発性有機塩素化合物分解システム及び揮発性有機塩素化合物の分解方法

【課題】 多額なランニングコストを要せず、かつ、メンテナンスも容易な揮発性有機塩素化合物分解システムを提供する。
【解決手段】 ガスG1中の揮発性有機塩素化合物Aを吸着手段Kに吸着させるとともに、この吸着手段Kに吸着されている揮発性有機塩素化合物Aを吸着手段Kの再生用水蒸気S1中に移行させて、吸着手段Kを再生させる吸着装置10を備えた揮発性有機塩素化合物分解システム1において、揮発性有機塩素化合物Aを含んだ再生用水蒸気S1の凝縮水L1に酸化手段Bを加えて、凝縮水L1中の揮発性有機塩素化合物Aを酸化分解する酸化分解装置30と、酸化分解装置30で加えられた余剰の酸化手段Bを、還元分解手段Cを用いて分解する余剰酸化手段分解装置50とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体に有害であり、環境汚染を引き起こすトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンといった揮発性の有機塩素化合物を分解して無害化する揮発性有機塩素化合物分解システム及び揮発性有機塩素化合物の分解方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トリクロロエチレン(TCE)、テトラクロロエチレン(PCE)、塩化ビニル、ジクロロエチレン類、ジクロロプロペン類といった、人体に有害な揮発性有機塩素化合物は、空気中に揮散したり水中に溶け込んで環境汚染を引き起こし、人体に悪影響を及ぼす。このため、このような揮発性有機塩素化合物を分解して無害化する装置も種々提案されている(例えば特許文献1)。図7はこの特許文献1に記載された揮発性有機塩素化合物の分解装置を示している。
【0003】
この分解装置では、TCE等を含むガスGを活性炭吸着装置100に通して、TCE等を活性炭Kに吸着させた後、この装置100に再生用水蒸気Sを流して、活性炭K側のTCE等を再生用水蒸気S側に移行させ、つぎに、この再生処理済水蒸気の凝縮水Lと次亜塩素酸溶液Mとを反応槽101で混和させ、この反応槽101中の気相部101aや液相部101bに光照射手段102を用いて波長300〜500nmの光Wを当て、反応槽101中のTCE等を分解して無害化している。この場合、反応槽101中の混和水Nをポンプ103で循環させつつ、この循環水に光照射手段102を用いて光Wを当てるとともに、この循環水を前記凝縮水Lと混和させた後、これを反応槽101内にミスト状に放出することにより、TCE等の分解の促進が図られている。そして、TCE等が分解された混和水Nは、中和装置104でpH調整された後排出される。
【0004】
【特許文献1】特開2002−1062
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の光Wを使った分解装置では、光Wを発生させるのに、多量の電気を使用するため、多額のランニングコストが必要になるとともに、光照射手段102のランプ寿命が短く、ランプの交換といったメンテナンス作業も容易でないという問題があった。
【0006】
この発明は、以上の点に鑑み、多額なランニングコストを要せず、かつ、メンテナンスも容易な揮発性有機塩素化合物分解システム及び揮発性有機塩素化合物の分解方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の請求項1記載の発明は、ガス中の揮発性有機塩素化合物を吸着手段に吸着させるとともに、この吸着手段に吸着された前記揮発性有機塩素化合物を前記吸着手段の再生用水蒸気中に移行させて、前記吸着手段を再生させる吸着装置を備えた揮発性有機塩素化合物分解システムにおいて、前記揮発性有機塩素化合物を含んだ前記再生用水蒸気の凝縮水に酸化手段を加えて、前記凝縮水中の前記揮発性有機塩素化合物を酸化分解する酸化分解装置と、前記酸化分解装置で加えられた余剰の前記酸化手段を、還元分解手段を用いて分解する余剰酸化手段分解装置とを有することを特徴とする。
【0008】
この発明では、揮発性有機塩素化合物を含むガスは、吸着装置において、吸着手段に揮発性有機塩素化合物が吸着されて無害化されるとともに、吸着手段に吸着された揮発性有機塩素化合物は、吸着手段の再生時に、再生用水蒸気側に移行される。揮発性有機塩素化合物を含む再生用水蒸気の凝縮水は酸化分解装置に送られ、この酸化分解装置おいて、揮発性有機塩素化合物が酸化手段により酸化分解されて無害化される。また、揮発性有機塩素化合物が酸化分解された凝縮水は余剰酸化手段分解装置に送られ、余剰の酸化手段が還元分解手段により分解される。
【0009】
この発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の場合において、前記酸化手段が過マンガン酸塩であり、この過マンガン酸塩に対する前記還元分解手段が、過酸化水素、亜硫酸、チオ硫酸塩、又は第一鉄の何れかであることを特徴とする。
【0010】
この発明の請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の場合において、前記酸化手段が過硫酸塩であり、この過硫酸塩に対する還元分解手段が、過酸化水素、亜硫酸、チオ硫酸塩、又は第一鉄の何れかであることを特徴とする。
【0011】
この発明の請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明の場合において、前記酸化手段がフェントン試薬であり、このフェントン試薬に対する還元分解手段が過マンガン酸カリウムであることを特徴とする。
【0012】
この発明の請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明の場合において、前記酸化手段がオゾンであり、このオゾンに対する還元分解手段が活性炭、活性炭と分解触媒とを組み合わせたもの、又は熱分解の何れかであることを特徴とする。
【0013】
この発明の請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明の場合において、前記揮発性有機塩素化合物の酸化分解反応によって生じる酸を中和する中和装置を備えていることを特徴とする。
【0014】
この発明では、中和装置により、酸化手段と揮発性有機塩素化合物との酸化分解時に生じる酸が中和される。中和装置は、酸化分解により酸を生じなければ不要である。
【0015】
この発明の請求項7記載の発明は、請求項2又は6記載の発明の場合において、前記揮発性有機塩素化合物と鉄分とを有する地下原水の前記鉄分を過酸化水素を用いて除去する除鉄装置と、前記鉄分が除去された前記地下原水を、空気と接触させて、この空気中に前記地下原水中の前記揮発性有機塩素化合物を揮散させるとともに、この揮発性有機塩素化合物を有する前記空気を前記吸着装置に送る曝気装置とを備え、かつ、前記除鉄装置の前記地下原水に前記酸化分解装置からの前記揮発性有機塩素化合物が分解された前記凝縮水をも加えて、前記過酸化水素を前記還元分解手段としても働かせることにより、この除鉄装置に前記余剰酸化手段分解装置の機能を持たせていることを特徴とする。
【0016】
この発明では、揮発性有機塩素化合物及び鉄分を含む地下原水と、酸化分解装置において揮発性有機塩素化合物が酸化手段である過マンガン酸塩により酸化分解された凝縮水とが除鉄装置に送られ、この除鉄装置において、地下原水の除鉄と凝縮水中の余剰の過マンガン酸塩の分解とが、除鉄剤であるとともに還元分解手段である過酸化水素を用いて同時に行われる。この場合、分解処理で生じた二酸化マンガンは、沈殿除去された鉄分とともに、固形物として分離除去される。つぎに、鉄分が除去された地下原水と、余剰の酸化手段が分解された凝縮水との混合水が曝気装置に送られ、この曝気装置において、混合水中の揮発性有機塩素化合物が空気中に揮散されて、揮発性有機塩素化合物を含むガスが形成されるとともに、曝気後の処理水は放流可能となる。つづいて、揮発性有機塩素化合物を含むガスは吸着装置に送られ、この揮発性有機塩素化合物が吸着手段の再生用水蒸気側に移行される。
【0017】
この発明の請求項8記載の発明は、ガス中の揮発性有機塩素化合物を吸着手段に吸着させるとともに、この吸着手段に吸着された前記揮発性有機塩素化合物を前記吸着手段の再生用水蒸気中に移行させて、前記吸着手段を再生させる吸着再生工程を備えた揮発性有機塩素化合物の分解方法において、前記揮発性有機塩素化合物を含んだ前記再生用水蒸気の凝縮水に酸化手段を加えて、前記凝縮水中の前記揮発性有機塩素化合物を酸化分解する酸化分解工程と、前記酸化分解工程で加えられた余剰の前記酸化手段を、還元分解手段を用いて分解する余剰酸化手段分解工程とを有することを特徴とする。
【0018】
この発明の請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明の場合において、前記揮発性有機塩素化合物と鉄分とを有する地下原水の前記鉄分を過酸化水素を用いて除去する除鉄工程と、前記鉄分が除去された前記地下原水を、空気と接触させて、この空気中に前記地下原水中の前記揮発性有機塩素化合物を揮散させるとともに、この揮発性有機塩素化合物を有する前記空気を前記吸着再生工程に送る曝気工程とを備え、かつ、前記除鉄工程の前記地下原水に、前記酸化分解工程において前記揮発性有機塩素化合物が分解された前記凝縮水をも加え、前記酸化手段として加えられた過マンガン酸塩の余剰分を、前記還元分解手段ともなる前記過酸化水素を用いて分解することにより、前記除鉄工程に前記余剰酸化手段分解工程の機能を持たせていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
この発明の請求項1乃至5の何れかに記載の発明によれば、システム中の装置は機械的なものばかりであるので、メンテナンスが容易であり、かつ、特に必要なユーティリティとしては、比較的安価な化学薬品のみであり、比較的高価な電気はポンプ用のモータ程度にしか使用しないので、ユーティリティコストの低減を図ることができる。
【0020】
この発明の請求項6記載の発明によれば、酸化分解処理によって生じた酸を中和しているので、余剰の酸化手段を分解処理した後の処理水の放流も容易となる。
【0021】
この発明の請求項7記載の発明によれば、除鉄装置が凝縮水中の余剰な酸化手段を分解する余剰酸化手段分解装置を兼ねているので、システムの簡単化や設備コストの低減化を図ることができる。この場合、余剰な酸化手段の分解処理時に発生する固形物(二酸化マンガン)も、除鉄装置に備わる固形物処理手段を使用して容易に処理することができる。また、この発明でも、システム中の装置は機械的なものばかりであるので、メンテナンスが容易であり、かつ、特に必要なユーティリティとしては、比較的安価な化学薬品のみであり、比較的高価な電気はポンプ用のモータ等にしか使用しないので、ユーティリティコストの低減を図ることができる。
【0022】
この発明の請求項8記載の発明では、請求項1乃至5記載の発明と同様な効果を得ることができるとともに、この発明の請求項9記載の発明では、請求項7記載の発明と同様な効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
実施形態1.
図1はこの発明の一実施の形態に係る揮発性有機塩素化合物分解システムの説明用フロー図である。なお、このフロー図は、システムの機能説明をするためのものであるので、例えばポンプのような機器は明示していない。
【0024】
揮発性有機塩素化合物分解システム1は、図1で示されるように、空気中に有害な揮発性有機塩素化合物(以下省略して有機塩素化合物Aという)を含んだ汚染ガスG1を吸着手段Kと接触させ、この吸着手段Kに有機塩素化合物Aを吸着させて、汚染ガスG1を無害な処理ガスG2に変えるとともに、吸着手段K側の有機塩素化合物Aを吸着手段Kの再生用水蒸気S1側に移行させた後、この再生処理済水蒸気S2の凝縮水L1に酸化手段Bを加えて、凝縮水L1中の有機塩素化合物Aを酸化分解して、凝縮水L1を有機塩素化合物Aが無害化された分解水L2とし、つぎに、この分解水L2中の余剰な酸化手段Bを還元分解手段Cで分解して、余剰な酸化手段Bの無害化を図るものである。なお、分解水L2が酸化分解反応の結果、酸性を示す場合には、分解水L2に中和剤Dを加えて、分解水L2の中和処理(pH調整)がなされる。
【0025】
この揮発性有機塩素化合物分解システム1は、図1で示されるように、吸着装置10と、コンデンサ20と、酸化分解装置30と、中和装置40と、余剰酸化手段分解装置50等とから構成されている。
【0026】
吸着装置10は、例えば活性炭のような吸着手段Kを内蔵しており、汚染ガスG1中の有機塩素化合物Aを吸着手段Kに吸着させて、この汚染ガスG1を無害な処理ガスG2として大気放出させるとともに、吸着手段Kの再生に当たり、再生用水蒸気S1を使用して、吸着手段Kに吸着された有機塩素化合物Aを再生用水蒸気S1側に移行させるものである。
【0027】
ここで、汚染ガスG1は、空気中に、例えば、トリクロロエチレン(TCE),テトラクロロエチレン(PCE)、塩化ビニル、ジクロロエチレン類、ジクロロプロペン類といった有機塩素化合物Aを、人体等に有害であると考えられる量以上含むガスを言う。なお、汚染ガスG1は、1種類の有機塩素化合物Aのみでなく、2種類以上の有機塩素化合物Aを含むものであってもよい。
【0028】
コンデンサ20は、再生用水蒸気S1中に有機塩素化合物Aを含む再生処理済水蒸気S2を冷却して、凝縮水L1に変えるものである。この凝縮水L1中には、有機塩素化合物Aが含まれている。
【0029】
酸化分解装置30は、集められた凝縮水L1中に酸化手段Bを加え、この酸化手段Bによって凝縮水L1中の有機塩素化合物Aを酸化分解して、凝縮水L1を有機塩素化合物Aが無害化された分解水L2にする酸化分解反応槽31を有している。
【0030】
酸化手段Bには、過マンガン酸カリウム(KMnO4)のような過マンガン酸塩が用いられる。酸化手段Bは、有機塩素化合物Aの酸化分解反応を充分に促進するため、必要量より過剰に酸化分解反応槽31に供給されることが好ましいが、後述のように余剰の酸化手段Bを分解するとアルカリ(例えば、KOH)が生成するため、酸化手段Bの大過剰の供給はさけることが好ましい。有機塩素化合物Aは、酸化手段B(過マンガン酸塩)により酸化分解されて無害化されることは公知であるが、一例として、酸化手段Bが過マンガン酸カリウム、有機塩素化合物Aがトリクロロエチレン(CHCl=CCl2)の場合の酸化分解反応を示すと、
CHCl=CCl2 + 2KMnO4 → 2CO2 + 2MnO2 + 2KCl + HCl
となる。この場合、酸化分解反応によって塩酸(HCl)が生じるため、有機塩素化合物Aの酸化分解後の凝縮水L1は、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)などの中和剤Dを用いて中和処理する必要がある。
【0031】
ここで、過マンガン酸カリウムによるトリクロロエチレン(TCE)の酸化分解反応等に関する実験結果について説明する。汚染地下水を例にとると(実施形態3の場合)、再生処理済水蒸気S2の凝縮水L1には、トリクロロエチレン(TCE)が500mg/L程度の濃度で含まれている場合が多い。そこで、この濃度のTCE水溶液の97.6mLと5%の過マンガン酸カリウム水溶液2.4mLとを密閉瓶に入れ、この密閉瓶を、20度Cの恒温器内で、150rpmの速度で回転させて、TCEと過マンガン酸カリウムとを攪拌しつつ酸化分解反応の進み具合を調べた。図2はこの結果を示しているが、図から、500mg/LあったTCEも2時間で1mg/L以下に低下(酸化分解)していることが分かる。
【0032】
また、上記実験でTCEが酸化分解された実験液(分解水L2に相当)を、0.1molの水酸化ナトリウム(NaOH)を用いて中和滴定した。図3はこの結果を示しているが、図から、当初、実験液のpHは2.5まで低下しており、例えば処理水1m3に対して水酸化ナトリウムを約1.8Kg加えることにより、この実験液の中和が可能になることが分かった。
【0033】
中和装置40は、分解水L2中に水酸化ナトリウムのような中和剤Dを加え、この中和剤Dによって、酸化分解装置30の酸化分解反応において生じた酸を中和処理する中和槽41を有している。なお、この中和装置40は、酸化分解反応において酸を生じさせない場合には不要となる。
【0034】
余剰酸化手段分解装置50は、酸化分解装置30の酸化分解反応槽31に加えられた酸化手段Bのうち、酸化分解反応に寄与しなかった余剰の酸化手段Bを、還元分解手段Cにより還元分解して無害なものにする装置である。余剰酸化手段分解装置50は、中和後(場合によっては、酸化分解反応後)の分解水L2中に還元分解手段Cを加え、この還元分解手段Cによって分解水L2中の余剰酸化手段Bを還元分解し、分解水L2を余剰な酸化手段Bのないものにする還元分解反応槽51を有している。
【0035】
酸化手段Bである過マンガン酸塩に対する還元分解手段Cには、過酸化水素、亜硫酸、チオ硫酸ナトリウムなどのチオ硫酸塩、第一鉄が考えられる。還元分解手段Cによる酸化手段Bの還元分解反応は、公知であり、その一例を、酸化手段Bが過マンガン酸カリウム、還元分解手段Cが過酸化水素の場合について示すと、下記のようになる。
2KMnO4 + 3H2O2 → 2MnO2 + 2KOH + 2H2O + 3O2
【0036】
つぎに、この揮発性有機塩素化合物分解システム1の動作について説明する。
有機塩素化合物Aを含む汚染ガスG1は、吸着装置10に通され、吸着手段Kに有機塩素化合物Aが吸着されて無害な処理ガスG2となり、大気放出される。この吸着装置10では、吸着手段Kが有機塩素化合物Aを充分に吸着し、その吸着効率が低下すると、吸着手段Kの再生がなされる。この再生は、再生用蒸気S1を吸着装置10に通し、吸着手段K側の有機塩素化合物Aを加熱分離させて、再生用水蒸気S1側に移行させることによりなされる。有機塩素化合物Aを有する再生処理済水蒸気S2は、コンデンサ20で冷却されて凝縮水L1に変えられるが、この場合、気化した有機塩素化合物Aも液化される。
【0037】
この凝縮水L1は、酸化分解装置30の酸化分解反応槽31に集められた後、これに酸化手段Bが加えられる。酸化分解反応槽31中では、酸化手段Bによる有機塩素化合物Aの酸化分解反応が生じ、有機塩素化合物Aが無害な物質に酸化分解されるとともに、酸(例えば塩酸)も形成される。有機塩素化合物Aが無害化された酸化分解反応槽31中の分解水L2は、中和装置40の中和槽41に集められ、中和剤Dによって酸が中和された後、余剰酸化手段分解装置50の還元分解反応槽51に集められる。還元分解反応槽51中では、余剰の酸化手段Bが還元手段Dによって還元分解され、無害な物質に変えられる。したがって、分解水L2から余剰の酸化手段Bが還元分解された処理水L3は、必要により、pH調整を行ったり、還元分解反応によって生じた固形物(例えば、二酸化マンガン(MnO2))を除去することにより、放流可能となる。
【0038】
以上のように、この揮発性有機塩素化合物分解システム1では、汚染ガスG1中の有機塩素化合物Aを吸着装置10の再生処理済水蒸気S2中に移行させ、この再生処理済水蒸気S2の凝縮水L1に、酸化分解装置30において酸化手段Bを加えて、この凝縮水L1を、有機塩素化合物Aが無害な物質に酸化分解された分解水L2に変えるとともに、分解水L2中の余剰の酸化手段Bを、余剰酸化手段分解装置50において還元分解手段Cを加えて、無害な物質に分解している。
【0039】
したがって、この揮発性有機塩素化合物分解システム1では、有機塩素化合物Aを有する汚染ガスG1を無害な処理ガスG2として大気放出できるとともに、凝縮水L1側に移行した有機塩素化合物Aの無害化処理と過剰の酸化手段Bの無害化処理とにより、これらを含む分解水L2も容易に外部に放流することが可能になる。この場合、システム中の装置は機械的なものばかりであるので、メンテナンスも容易であり、かつ、特に必要なユーティリティとしては、比較的安価な化学薬品のみであり、比較的高価な電気はポンプ用のモータ程度にしか使用しないので、ユーティリティコストの低減も図ることができる。
【0040】
また、この揮発性有機塩素化合物分解システム1では、中和装置40を設けて、有機塩素化合物Aの酸化分解によって生じた酸を中和しているので、分解水L2の放流も更に容易となる。
【0041】
一方、揮発性有機塩素化合物分解システム1の上記効果は、ガスG1中の有機塩素化合物Aを吸着手段Kに吸着させるとともに、この吸着手段Kに吸着された有機塩素化合物Aを吸着手段Kの再生用水蒸気S1中に移行させて、吸着手段Kを再生する吸着再生工程を備えた有機塩素化合物Aの分解方法において、有機塩素化合物Aを含んだ再生用水蒸気S1の凝縮水L1に酸化手段Bを加えて、凝縮水L1中の有機塩素化合物Aを分解する酸化分解工程と、酸化分解工程で加えられた余剰の酸化手段Bを、還元分解手段Cを用いて分解する還元分解工程を有する揮発性有機塩素化合物の分解方法によっても達成できる。
【0042】
なお、図4で示されるように、酸化分解装置30として、酸化手段Bを配管ラインに加圧注入又はエジェクター注入するライン注入ユニットを設けてもよい。このライン注入ユニットは、酸化分解反応槽31に比べて、小型でかつ安価であり、吸着装置10の再生頻度が比較的少ない場合とか、凝縮水L1中の有機塩素化合物Aの濃度が比較的低い場合に好適である。
【0043】
実施形態2.
つぎに、この発明の他の実施の形態に係る揮発性有機塩素化合物分解システム1について説明する。この実施形態では、過マンガン酸塩以外の酸化手段Bと、これらの酸化手段Bに対する還元分解手段Cについて説明する。
【0044】
酸化手段Bには、過マンガン酸塩以外に、過硫酸ナトリウム(Na228)などの過硫酸塩、フェントン試薬、オゾン(O3)が考えられる。これらの酸化手段Bも、有機塩素化合物Aの酸化分解反応を充分に促進するために、必要量より過剰に酸化分解反応槽31に供給される。そして、有機塩素化合物Aは、これらの酸化手段Bにより酸化分解されて無害化される。
【0045】
酸化手段Bが過硫酸ナトリウム(Na228)の場合で、例えば、有機塩素化合物Aがトリクロロエチレン(CHCl=CCl2)の場合の酸化分解反応は、
2CHCl=CCl2 + 6Na2S2O8 → 4CO2 + 3Na2SO4 + 6NaCl + 9H2SO4
となる。この場合、酸化分解時に硫酸(H2SO4)が生じるため、有機塩素化合物Aが酸化分解されている分解水L2は、中和装置40によって中和処理する必要がある。また、酸化手段Bが過硫酸塩の場合の還元分解手段Cには、過酸化水素、亜硫酸、チオ硫酸ナトリウムなどのチオ硫酸塩、第一鉄が考えられる。
【0046】
フェントン試薬は、過酸化水素と第一鉄塩との混合物をいい、
Fe2+ + H2O2 → Fe2+ + OH- + ・OH
で示されるように、過酸化水素に鉄が触媒的に作用して、酸化力の強いヒドロキシラジカル(・OH)を発生させる。酸化手段がフェントン試薬の場合、ヒドロキシラジカル(・OH)の影響下、有機塩素化合物Aは酸化分解される。酸化手段Bがフェントン試薬の場合の還元分解手段Cには、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムなどの過マンガン酸塩、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩が考えられる。
【0047】
酸化手段Bがオゾンの場合におけるオゾンと有機塩素化合物Aとの酸化分解反応の詳細については明確ではない。酸化手段Bがオゾンの場合には、酸化分解装置30の酸化分解槽31に加えられたオゾン(例えばオゾンを水に溶解させたオゾン水)のうち有機塩素化合物Aの酸化分解後余剰となったものは、分解水L2中には留まらず、気体となるので、還元分解手段Cには、化学薬品ではなく、オゾンガスを吸着して分解する活性炭、活性炭と分解触媒との組合せ、オゾンガスを加熱して分解する熱分解が考えられる。
【0048】
図5は、酸化手段Bがオゾンである場合の揮発性有機塩素化合物分解システム1’を示している。酸化分解装置30でガスとして取り出されたオゾンは、余剰酸化手段分解装置50に送られ、内部の還元分解手段C(活性炭、又は活性炭と分解触媒)によって還元分解される。酸化分解装置30から排出された分解水L2は、オゾンを有していないので、中和装置40で中和処理されて処理水L3に変えられた後放流可能となる。なお、還元分解手段Cが熱分解の場合、オゾンは余剰酸化手段分解装置50で加熱されて分解される。
【0049】
実施形態3.
つぎに、この発明の他の実施の形態に係る揮発性有機塩素化合物分解システム2について説明する。図6はこの揮発性有機塩素化合物分解システム2の説明用のフロー図を示している。
【0050】
この揮発性有機塩素化合物分解システム2は、有機塩素化合物Aが地下に浸透して蓄積し、土壌汚染や地下水汚染を生じさせた場合の環境浄化システムとして機能するものである。すなわち、揮発性有機塩素化合物分解システム2は、地下から汲み上げた地下原水L3中に広く存在する鉄分H(第一鉄イオン)を除去するとともに、土壌汚染等に起因して地下原水L3にmg/L程度含まれる有機塩素化合物Aを酸化分解して無害化するものである。
【0051】
この、揮発性有機塩素化合物分解システム2は、図6で示されるように、揮発性有機塩素化合物分解システム1の吸着装置10、コンデンサ20、酸化分解装置30、中和装置40に、除鉄装置60と、曝気装置70とを加えたものである。除鉄装置60には、地下原水L3とともに、中和装置40で中和された分解水L2も送り込まれる。なお、揮発性有機塩素化合物分解システム2では、酸化手段Bとして過マンガン酸塩が使用されるとともに、還元分解手段Cとして過酸化水素が使用される。
【0052】
除鉄装置60は、地下原水L3中に除鉄剤Fである過酸化水素を加えて、例えば地下原水L3中に重炭酸第一鉄(Fe(HCO3)2)の形で存在する鉄分H(第一鉄イオン)を、この過酸化水素によって水酸化第二鉄(Fe(OH)3)に変えて沈殿させる除鉄反応槽61と、除鉄反応槽61中の固形物J(水酸化第二鉄)を分離除去する汚泥脱水機62とを有している。
【0053】
また、この除鉄装置60は、中和装置50から排出された分解水L2を除鉄反応槽61に受け入れ、酸化分解装置30で加えられた余剰の酸化手段B(過マンガン酸塩)を、還元分解手段Cともなる過酸化水素にて還元分解して無害化する余剰酸化手段分解装置50の機能も有している。この場合、沈殿する二酸化マンガンは、汚泥脱水機72により、水酸化第二鉄とともに固形物Jとして分離除去される。
【0054】
曝気装置70は、新たな有機塩素化合物Aを有する除鉄後の地下原水L3に、有機塩素化合物Aが酸化分解され、かつ、余剰の酸化手段Bが還元分解された分解水L2が混合された除鉄混合水L4を曝気して(空気と接触させ)、この除鉄混合水L4中の有機塩素化合物Aを吸引空気E中に揮散させる曝気塔71と、除鉄混合水L4から有機塩素化合物Aが除かれた処理水L5を溜める処理水タンク72と、有機塩素化合物Aが吸引空気E中に揮散した汚染ガスG1を、吸着装置10に送り込む吸引ブロワ73とを有している。なお、曝気装置70には、栗田工業(株)製の段塔式地下水浄化装置が利用できる。
【0055】
つぎに、この揮発性有機塩素化合物分解システム2の動作について説明する。
地下から汲み上げた地下原水L3には、赤水の原因となる鉄分H(第一鉄イオン)が溶け込んでいるとともに、土壌汚染等によって有害な有機塩素化合物Aが溶け込んでいる。この地下原水L3は、除鉄装置60の除鉄反応槽61に集められた後、これに除鉄剤Fである過酸化水素が加えられる。除鉄反応槽61中では、除鉄剤Fによる鉄分の除鉄反応が生じ、鉄分Hは水酸化第二鉄に変えられて沈殿除去される。そして、この水酸化第二鉄は、汚泥脱水機72により地下原水L3から分離され、固形物Jとして処理される。
【0056】
また、中和装置40で中和処理された、余剰の酸化手段B(過マンガン酸塩)を有する分解水L2は、除鉄装置60の除鉄反応槽61に地下原水L3とともに集められる。除鉄反応槽61中では、分解水L2に還元分解手段Cともなる過酸化水素による還元分解反応が生じ、余剰の過マンガン酸塩が分解されて、一部が二酸化マンガンとして沈殿除去される。この二酸化マンガンは、汚泥脱水機72により分解水L2(除鉄混合水L4)から水酸化第二鉄とともに分離され、固形物Jとして処理される。
【0057】
余剰の酸化手段Bが還元分解された分解水L2と鉄分Hとが除去された地下原水L3とが混合された除鉄混合水L4は、曝気装置70の曝気塔71に送られる。除鉄混合水L4は、曝気塔71内を下降しつつ流れて、吸引ブロワ72によって吸引された吸引空気Eと接触し、有機塩素化合物Aを吸引空気E側に揮散させる。除鉄混合水L4から有機塩素化合物Aが除去された処理水L5は、曝気装置70の処理水タンク72にためられた後放流される。
【0058】
有機塩素化合物Aが吸引空気E側に揮散した汚染ガスG1は、吸着装置10に送られ、実施形態1の揮発性有機塩素化合物分解システム1と同様に、吸着装置10の吸着手段Kによって有機塩素化合物Aが除かれて、処理ガスG2として大気放出されるとともに、吸着手段Kに吸着された汚染ガスG1中の有機塩素化合物Aは、吸着装置10の再生用水蒸気S1に側に移行される。再生用水蒸気S1中に有機塩素化合物Aを含む再生処理済水蒸気S2は、コンデンサ20で凝縮水L1に変えられ、この凝縮水L1は、酸化分解装置30に送られて、有機塩素化合物Aが酸化分解され、分解水L2に変えられる。そして、この分解水L2は、酸化分解時に発生した酸が中和装置40で中和処理された後、除鉄装置60に送られる。
【0059】
以上のように、この揮発性有機塩素化合物分解システム2では、除鉄装置60が分解水L2中の余剰な酸化手段Bを還元分解する還元分解装置50を兼ねているので、システムの簡単化やシステムの設置コストの低減を図ることができるとともに、余剰な酸化手段Bの還元分解時に発生する固形物(二酸化マンガン)も、除鉄装置60の汚泥脱水機72を使用して容易に処理することができる。
【0060】
また、この揮発性有機塩素化合物分解システム2では、地下原水L3中に含まれる有機塩素化合物Aの分解処理みではなく、地下原水L3中の第一鉄も除くことができ、土壌汚染等によって生じた汚染地下水のクリーン化も図ることができる。
【0061】
さらに、この揮発性有機塩素化合物分解システム2においても、システム中の装置は機械的なものばかりであるので、メンテナンスが容易であり、かつ、特に必要なユーティリティとしては、比較的安価な化学薬品のみであり、比較的高価な電気はポンプ用のモータ程度にしか使用しないので、ユーティリティコストの低減を図ることができる。
【0062】
一方、揮発性有機塩素化合物分解システム2の上記効果は、実施形態1で示した吸着再生工程、酸化手段を過マンガン酸塩とした酸化分解工程、還元分解工程の他に、有機塩素化合物Aと鉄分Hとを有する地下原水L3の鉄分Hを過酸化水素を用いて除去する除鉄工程と、鉄分Hが除去された地下原水L3を、空気Eと接触させて、この空気E中に地下原水L3中の有機塩素化合物Aを揮散させるとともに、この有機塩素化合物Aを有する空気G1を吸着再生工程に移行させる曝気工程とを備え、かつ、除鉄工程の地下原水L3に、酸化分解工程において有機塩素化合物Aが分解された分解水L2をも加え、酸化手段Bとして加えられた過マンガン酸塩の余剰分を、還元分解手段Cともなる過酸化水素を用いて分解することにより、除鉄工程に余剰酸化手段分解工程の機能を持たせた揮発性有機塩素化合物の分解方法によっても達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の実施形態1に係る揮発性有機塩素化合物分解装置の説明用フロー図である。
【図2】揮発性有機塩素化合物であるトリクロロエチレンを含む溶液に過マンガン酸カリウムを加えて、このトリクロロエチレンを酸化分解する状況を示す実験図である。
【図3】図3の実験で得られた、トリクロロエチレンが酸化分解された溶液(酸化分解反応により酸が形成されている)に、中和剤を少しずつ滴定していった場合のpH値の変化を示す実験図である。
【図4】酸化分解装置が酸化手段を配管ラインに加圧注入するライン注入ユニットである場合の説明図である。
【図5】この発明の実施形態2に係る揮発性有機塩素化合物分解装置の酸化手段がオゾンである場合の説明用フロー図である。
【図6】この発明の実施形態3に係る揮発性有機塩素化合物分解装置の酸化手段がオゾンである場合の説明用フロー図である。
【図7】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
【0064】
1,1’,2 揮発性有機塩素化合物分解システム
10 吸着装置
30 酸化分解装置
40 中和装置
50 余剰酸化手段分解装置
60 除鉄装置
70 曝気装置
A 有機塩素化合物(揮発性有機塩素化合物)
B 酸化手段
C 還元分解手段
G1 ガス(汚染ガス)
K 吸着手段
L1 凝縮水
L3 地下原水
S1 再生用水蒸気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス中の揮発性有機塩素化合物を吸着手段に吸着させるとともに、この吸着手段に吸着された前記揮発性有機塩素化合物を前記吸着手段の再生用水蒸気中に移行させて、前記吸着手段を再生させる吸着装置を備えた揮発性有機塩素化合物分解システムにおいて、
前記揮発性有機塩素化合物を含んだ前記再生用水蒸気の凝縮水に酸化手段を加えて、前記凝縮水中の前記揮発性有機塩素化合物を酸化分解する酸化分解装置と、前記酸化分解装置で加えられた余剰の前記酸化手段を、還元分解手段を用いて分解する余剰酸化手段分解装置とを有することを特徴とする揮発性有機塩素化合物分解システム。
【請求項2】
前記酸化手段が過マンガン酸塩であり、この過マンガン酸塩に対する前記還元分解手段が、過酸化水素、亜硫酸、チオ硫酸塩、又は第一鉄の何れかであることを特徴とする請求項1記載の揮発性有機塩素化合物分解システム。
【請求項3】
前記酸化手段が過硫酸塩であり、この過硫酸塩に対する前記還元分解手段が、過酸化水素、亜硫酸、チオ硫酸塩、又は第一鉄の何れかであることを特徴とする請求項1記載の揮発性有機塩素化合物分解システム。
【請求項4】
前記酸化手段がフェントン試薬であり、このフェントン試薬に対する前記還元分解手段が過マンガン酸カリウムであることを特徴とする請求項1記載の揮発性有機塩素化合物分解システム。
【請求項5】
前記酸化手段がオゾンであり、このオゾンに対する前記還元分解手段が活性炭、活性炭と分解触媒とを組み合わせたもの、又は熱分解の何れかであることを特徴とする請求項1記載の揮発性有機塩素化合物分解システム。
【請求項6】
前記揮発性有機塩素化合物の酸化分解反応によって生じる酸を中和する中和装置を備えていることを特徴とする請求項1記載の揮発性有機塩素化合物分解システム。
【請求項7】
前記揮発性有機塩素化合物と鉄分とを有する地下原水の前記鉄分を過酸化水素を用いて除去する除鉄装置と、前記鉄分が除去された前記地下原水を、空気と接触させて、この空気中に前記地下原水中の前記揮発性有機塩素化合物を揮散させるとともに、この揮発性有機塩素化合物を有する前記空気を前記吸着装置に送る曝気装置とを備え、
かつ、前記除鉄装置の前記地下原水に前記酸化分解装置からの前記揮発性有機塩素化合物が分解された前記凝縮水をも加えて、前記過酸化水素を前記還元分解手段としても働かせることにより、前記除鉄装置に前記余剰酸化手段分解装置の機能を持たせていることを特徴とする請求項2又は6記載の揮発性有機塩素化合物分解システム。
【請求項8】
ガス中の揮発性有機塩素化合物を吸着手段に吸着させるとともに、この吸着手段に吸着された前記揮発性有機塩素化合物を前記吸着手段の再生用水蒸気中に移行させて、前記吸着手段を再生させる吸着再生工程を備えた揮発性有機塩素化合物の分解方法において、
前記揮発性有機塩素化合物を含んだ前記再生用水蒸気の凝縮水に酸化手段を加えて、前記凝縮水中の前記揮発性有機塩素化合物を酸化分解する酸化分解工程と、前記酸化分解工程で加えられた余剰の前記酸化手段を、還元分解手段を用いて分解する余剰酸化手段分解工程とを有することを特徴とする揮発性有機塩素化合物の分解方法。
【請求項9】
前記揮発性有機塩素化合物と鉄分とを有する地下原水の前記鉄分を過酸化水素を用いて除去する除鉄工程と、前記鉄分が除去された前記地下原水を、空気と接触させて、この空気中に前記地下原水中の前記揮発性有機塩素化合物を揮散させるとともに、この揮発性有機塩素化合物を有する前記空気を前記吸着再生工程に送る曝気工程とを備え、
かつ、前記除鉄工程の前記地下原水に、前記酸化分解工程において前記揮発性有機塩素化合物が分解された前記凝縮水をも加え、前記酸化手段として加えられた過マンガン酸塩の余剰分を、前記還元分解手段ともなる前記過酸化水素を用いて分解することにより、前記除鉄工程に前記余剰酸化手段分解工程の機能を持たせていることを特徴とする請求項8記載の揮発性有機塩素化合物の分解方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−49305(P2008−49305A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229972(P2006−229972)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】