説明

揮発性物質を計量分配するための装置

本発明は、香料製造分野、特に、周囲空間に活性配合物を排出するための装置、及びこの装置に関連した消費者物品に関する。装置は、活性液体と、活性液体が入った容器と、吸上げ部材と発散部材とから成る吸上げ部材/発散部材構造とを有しており、発散部材は、装置が作動させられた時に周囲空間に直接に曝される蒸発面を有しており且つ可動なハウジングアセンブリに収容されており、装置の作動は、ハウジングアセンブリ及び/又は吸上げ部材/発散部材構造を取り外す必要なく行われ、装置はさらに、装置が作動した時に活性揮発性物質の強制蒸発を提供するために吸上げ部材及び/又は発散部材を回転させるように配置されたロータ手段を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香水製造業の分野に関し、特に本発明は、活性揮発性物質を周囲環境、特に包囲された雰囲気中に計量分配するための装置、及びこの装置に関連した消費者物品に関する。本発明の装置は、空気刷新装置であり、この空気刷新装置は、特定の揮発性を有しており且つ周囲環境中へ拡散させたい物質を含んだ活性液体を入れるための容器と、揮発性液体に浸漬することができ且つ揮発性液体によって含浸される部分と発散部分とから成る吸上げ部材/発散構造と有しており、発散部分は、包囲空間に曝された蒸発面を有しており、選択的に、前記蒸発面の単位毎に特定の吸収率及び重量を有している。吸上げ部材/発散構造の少なくとも一部は、ロータ部材、又は前記部分に係合して運動、特に回転させるための別の手段に接続されるようになっており、これにより、このような手段が設けられていない場合に見られるであろう蒸発と比べて、発散構造の蒸発面からの揮発性物質の向上した蒸発を強制する。
【0002】
従来技術及び解決されるべき課題
包囲空間に活性揮発性液体を計量分配するための装置は長い間知られている。このような装置の1つのタイプはいわゆる吸上げ部材型装置であり、これらの装置は全て、容器と、容器内に含有された揮発性液体内に突入した吸上げ部材と、活性液体が蒸発する発散ボディ又は表面とを有している。
【0003】
吸上げ部材型の多くの空気刷新装置は、従来技術に記載されている。多くのこのような装置は、包囲する雰囲気中に拡散させられる液体の揮発性により、強制されない又は自然の蒸発のみによって働くが、蒸発強制手段、例えば、換気を増強し、これにより拡散面から揮発性物質の蒸発を強制する、外部ファン又はその他の機械的な手段、又は多孔質吸上げ部材/発散エレメントの蒸発面を電気的に加熱し、これにより物質の拡散を加速させるための別の手段を提供することによって、蒸発を増大させることが望ましい。
【0004】
発散面の強制蒸発は、従来、拡散装置の基本部材、すなわち、拡散される物質を含む容器と、液体を吸収することができる吸上げ部材と、発散面とは別個の部材の使用を必要としており、前記発散面から液体物質が装置の周囲空気へ拡散及び蒸発する。前記別個の部材は通常はファンから形成されており、これらのファンは電池によって又は電気的に動力が供給される。このような装置の典型的な現在の例は、特に、国際公開第2005/030277号パンフレット及び米国特許出願公開第2006/0043619号明細書に記載されている。そのうち最初のものにおいては、実質的に平坦な蒸発面に作用し、ファンによって提供される強制換気の方向に対して概して平行な向きを有する、電気的に動力が供給されるファンが設けあれた、装置が記載されているのに対し、米国特許出願公開第2006/0043619号明細書の開示は、より慣用のファン作動式空気刷新装置を表している。
【0005】
ファン操作式装置の多くのその他の例は、従来技術において見られることができるが、それらは全て、吸上げ部材/発散部材アセンブリ及び構造から独立した別個の回転部又は移動部を必要とし、このことは、非強制蒸発に依存するものと比べて装置のコストを増大させる。
【0006】
例えば欧州特許出願672425に記載されているように、液体のための容器を支持する回転カートリッジの使用に頼るための択一的な装置が知られており、前記液体の蒸気が拡散されるべきであり、前記容器は薄膜によって閉鎖されており、この薄膜を通じて揮発性物質の蒸気を拡散させる一方で、液体を容器内に保持する。この文献によれば、カートリッジは引っ張って回転させられ、これにより、薄膜が液体と常に接触させられ、蒸気を大気中へ常に拡散させる。別個の回転するつるまき線は、薄膜の前において空気束を増大させ、カートリッジの外部への蒸発の滑らかな拡散を保証する。再び、増大した空気束を保証するための別個の部材が提供されており、増大した空気束は、容器からの液体の蒸発を増大させる。さらに、蒸発面は、液体容器の開口の形状に適応されなければならず、液体の漏れを回避するように嵌め込まれなければならない。これは、発散表面の形状及び面積を有効に制限する。
【0007】
本発明は、このような別個の独立した移動部を排除する一方で、依然として、雰囲気中に計量分配されるべき揮発性物質の向上した蒸発を提供することである。
【0008】
本発明の装置は、揮発性物質のための蒸発面の直接の移動、特に回転を許容し、これにより、空気束と、発散又は拡散表面の換気を増大させるための、別個のファン、つるまき線又はその他の装置の使用を排除する手段を含む。さらに、欧州特許第672425号明細書に記載された前記装置の場合のような液体容器開口の形状及び直径に限定されない、可変の拡散面積を備えた拡散表面を使用することが可能である。
【0009】
この関連において換気を増大させるという課題に対する別の公知の解決策において、Dennis E. Greenに発行された米国特許第6103201号明細書は、芳香支持材料から形成された、室内換気システムに接続されるようになっているローラの使用を開示しているが、このようなローラは、通常蒸発期間及び/又は強制蒸発期間の間に、時間の経過にわたって線形で且つ持続された解放のために必要な、揮発性材料における蒸発面の一定常時補充を許容するために、揮発性物質を含有する容器に接続されることができない。
【0010】
本発明は、拡散装置、特に空気刷新装置を提供することによって全ての公知の装置を改良することを目的とする。この拡散装置、特に空気刷新装置は、装置の寿命にわたって活性配合物の一定及び線形の量を供給する場合に効率的であり、特に、実質的に非水系の揮発性配合物と共に使用されるように適応されており、これにより、大きな量の界面活性剤の使用を排除するが、その他のタイプの部分的に水性の揮発性液体の拡散にも適応されており、これは、向上した揮発性物質蒸発の能力を有するその他の電動式空気刷新装置と比較して、より少数の部材が製造され且つ組み立てられることを必要とする。知られている限り、従来技術は、吸上げ部材型空気刷新装置における蒸発面の換気を増大させ、ひいては装置の周囲空気への作用物質の拡散を増大するという課題に対して、以下に説明されるような解決策を開示又は提案していない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による装置の1つの実施形態の、部分的に断面で示された分解図であり、組み立てられる様々な部材を示している。
【図2】太陽電池パネルと、発散面の回転を作動させるためのモータのためのオンオフボタンとを支持する、装置のためのハウジングの上部キャップを示す上面図である。
【図3】図2のハウジングの上部キャップの内面を示す下面図であり、太陽電池パネルと、太陽電池との間の接続を示している。
【図4】組み立てられる、ハウジングの2つの垂直なエレメントの正面図であり、各エレメントに通気口が設けられている。
【図5】商品化のために準備された状態における、本発明の閉鎖された空気刷新装置の斜視図である。
【図6】通気口が設けられた、装置のハウジングアセンブリの内側及び外側の構成部材を用いて被覆される、装置の組み立てられた内容物を示す斜視図である。
【図7】ハウジング部材を備えない、本発明による組み立てられた装置の別の実施形態の断面図である。
【図8】a)及びb)は、装置の上側部分に既に取り付けられた吸上げ部材/発散部材アセンブリのさらに別の実施形態を、静止状態と、運動状態とにおいてそれぞれ示す、斜視図である。
【0012】
発明の説明
本発明の目的は、揮発性物質を装置の周囲空気に拡散させるための装置を提供することである。本発明の装置は、より具体的には、活性揮発性液体を周囲空間、室内、戸棚又は光源が設けられることができるその他の包囲された空間に拡散させることができる吸上げ部材型の空気刷新装置であり、この装置は、本質的に線形の性能を有する、すなわち、発生揮発物質の非強制又は強制蒸発のそれぞれの期間、ほぼ一定量で揮発性物質を拡散させる。
【0013】
これは、前記揮発性物質が含浸された蒸発面の強制換気のための手段が設けられた、活性揮発性物質を周囲空気中に放出するための装置を提供することによって達成され、この装置に、
a)活性揮発性物質が入っている容器が設けられており、この容器が、開口を備える上側部分を有しており、前記開口がキャップによって選択的に被覆されるようになっており、
b)蒸発面を有する発散部材が設けられており、前記蒸発面が、装置が作動した時に前記活性揮発性物質が含浸されることができ且つ装置の周囲吸気への活性揮発性物質の蒸発を許容することができる材料から形成されており、
c)吸上げ部材が設けられており、この吸上げ部材が、前記活性揮発性物質が含浸されることができる多孔質材料部材から形成されている又はこの多孔質材料部材を支持しており、前記吸上げ部材が、該吸上げ部材が揮発性物質で含浸させられ且つ発散部材と接触させられる位置において、容器の上側部分の開口を通って装置に嵌め込まれるようになっており、
装置が作動した時に、発散部材と、吸上げ部材とが、吸上げ部材が活性揮発性物質と接触させられ且つ発散部材が活性揮発性物質で含浸される位置において装置に収容されるようになっており、装置が、さらに、発散部材の蒸発面の強制換気を生ぜしめるために、活性揮発性物質を含む容器に対して、所定の時間だけ、少なくとも発散部材の運動を生ぜしめることができる手段を含んでいる。
【0014】
本発明の特定の実施形態によれば、さらに、少なくとも発散部材を被覆するハウジング部分又はアセンブリが設けられており、前記ハウジング部分又はアセンブリが、装置が作動した時に装置の周囲空気に活性揮発性物質を拡散させる手段を含んでいる。ハウジングアセンブリは、2つの垂直な円筒状の部分、すなわち、内側エレメントと、外側エレメントとを含んでおり、2つのエレメントには、開口若しくは通気口が設けられており、前記エレメントは、装置が作動したときに、好適には同軸に互いに対して摺動し、内側の通気口と、外側の通気口とが部分的に又は完全に重なり合い、これによって、装置の周囲空気への発散表面の露出が増大させられることができるように配置されている。
【0015】
本発明の有利な実施形態によれば、活性揮発性物質は、芳香剤、消臭剤、殺菌剤、防虫剤配合物、及びこれらの混合物のグループの中から選択される。しかしながら、吸上げ部材を含浸し、多孔質発散部材から拡散するように適合されているならば、その他の揮発性又は部分的に揮発性の物質が本発明の装置から雰囲気中へ拡散されてよいことが明らかである。本質的に、本発明の装置は、例えば周囲空気の臭い、清浄度又は殺菌された性質を改良することによって、周囲空気に有利及び/又は有益な性質を提供することができるあらゆる物質を保持することができる。
【0016】
一般的に、装置は、電池又は電気的に作動される空気刷新装置であるが、慣用的に、太陽発電されるものであってもよい。本発明の後者の実施形態は、エネルギの供給において明らかな利点を有しており、電気エネルギが容易に得られないような場所での使用さえ可能にする。
【0017】
「活性揮発性物質、配合物又は液体」とは、本明細書においては、少なくとも部分的に揮発性である、すなわち蒸発することができる、装置を取り囲む雰囲気又は空間に利益を与えることができる、液体配合物を意味する。活性揮発性物質、配合物又は液体は、着臭材料を含む実質的に非水の液体であるか、又はある量の水を含んでいてもよい。
【0018】
容器チャンバは、装置が作動する前には、活性揮発性液体配合物、又は、今から呼ぶように、「活性配合物」を貯蔵する機能を有しており、作動した後、吸上げ部材発散部材アセンブリに吸収されず、時間が経過するにしたがって拡散される活性配合物の残りを貯蔵する機能を有する。
【0019】
容器には、通常、容器の作動前に容器から活性配合物が蒸発することを阻止するための手段が設けられる。好適な実施形態によれば、容器の開口は蓋又はバリアを支持しており、この蓋又はバリアは、箔から形成されており、装置の作動前には開口に液密に固定されている。箔は、作動時に除去されるか、又は、選択的に、吸上げ部材又は吸上げ部材案内部材によって穿孔される。次いで、このバリアは、装置の作動前に揮発性配合物の蒸発を阻止する機能を有しており、活性揮発性物質を拡散させるために装置が作動させられた場合に、除去又は穿孔される。
【0020】
容器は、キャップ又は蓋アセンブリを支持していてもよい。キャップ又は蓋アセンブリには、容器から延びた、容器の上部における発散面又は発散部材の下端部を受容及び固定するための、場合によってはキャップ又は蓋アセンブリに成形される、スロット又はその他の構造等の手段が設けられていてよい。有利な実施形態によれば、発散部材は、支持構造、すなわち軸に配置されており、吸上げ部材を収容するように適合された中空のキャビティが設けられている。吸上げ部材が実現される形式の詳細は、以下に説明される実施例に示されるが、本特許出願人によって所有される国際公開第2006/061803号パンフレットにも開示されている。
【0021】
前述のように、発散部材及び吸上げ部材、又はこれらのアセンブリは、装置のハウジングアセンブリ内に収容されていてよい。これらは、有利には同軸に配置されており(しかしながら、このような軸線は、液体容器の上方に垂直に配置されていなくてもよい)、通常は容器のキャップに固定されることができる、場合によっては円筒状の、ハウジング構造内に収容されている。
【0022】
ハウジングが設けられている場合には常に、ハウジングが、吸上げ部材/発散部材構造の、又は少なくともハウジング内に収容された発散部材の、自由運動、より典型的には回転を提供するならば、ハウジングの形状はあらゆる形状であることができる。
【0023】
もちろん、ハウジングが設けられていない、本発明による装置を有することも可能である。発散部材及び吸上げ部材は、概して、装置の作動時に、容器に含まれた活性揮発性物質と接触させられるだけであるので、発明の目的のためにハウジングは必要とされない。
【0024】
装置の幾つかの実施形態において、活性揮発性物質を保持する容器は、吸上げ部材/発散部材の組み立てられた構造のパッケージとは別個のパッケージ、又は別個の吸上げ部材及び発散部材パッケージとは別個のパッケージに設けられている。容器は、通常、装置の作動前には液密に閉鎖され封止されている。吸上げ部材/発散部材は、使用者がこれらを組み立てることができるように成形され、次いで、このようにして得られたアセンブリを、装置が作動させられたときに吸上げ部材の吸収表面が作動物質内に突入させられるように、容器の開口内に収容させる。
【0025】
例えば、容器には、容器の開口を液密に閉鎖する箔が設けられていてよく、吸上げ部材には、活性配合物に吸上げ部材を浸漬させるために箔を突き破ることができる尖った先端部が設けられている。箔の液密なバリアの突き破りは、使用者によって行われるか、又は例えば国際公開第2006/061803号パンフレットに記載されているように、吸上げ部材/発生器アセンブリが公知の形式で結合されたハウジング構造の移動によって生ぜしめられてよい。
【0026】
装置の作動は、通常、請求の範囲に定義されたような発明の意味における拡散又は発散面の"換気を向上又は強制"させることができないワンオフ動作である、すなわち、ハウジング構造又は、前述のように相対的に摺動することができるこれらの2つの部分の移動は、この発散面を周囲空気に曝すが、従来の公知の装置と比較して表面の換気を増大させず、現在理解されているように"強制換気"を提供しない。後者は、実際には、ある時間にわたる、発散部材、又は吸上げ部材/発散構造又はアセンブリの繰り返された移動によって生ぜしめられる換気であると理解され、この移動は、後で説明されるように使用者によって制御されるか、又は、場合によっては、前記発散部材又はアセンブリに直接に作用することができる手段のパルス式オークションによって生ぜしめられる。
【0027】
吸上げ部材/発散部材アセンブリは、一部材から形成されていてよく、装置が作動させられると吸上げ部材/発散部材アセンブリの一部が活性配合物に突入させられる。好適には、吸上げ部材/発散部材アセンブリは、発散部分が結合された動力供給手段、すなわちモータの作動により少なくとも発散部分が自由に回転することができるように配置された2つの部材から形成され、これにより、必ずしも吸上げ部材を同じ回転運動するように係合させることなく、空気刷新装置を取り囲む雰囲気中に拡散させられる配合物の強制され且つ増強された蒸発を提供する。しかしながら、幾つかの実施形態においては、両部材が回転させられてよい。
【0028】
したがって、少なくとも発散部材が、この発散部材が結合されたロータ又はその他の運動発生手段からの作用によって回転することができるならば、吸上げ部材/発散部材アセンブリを形成するこれらの2つのエレメントは、多くの形式で設計され且つハウジングアセンブリに選択的に収容されることができる。
【0029】
したがって、装置の必須の要素は、好適には、装置の外面からアクセス可能なオンオフボタン又はタイマによって作動させられることができるモータである。好適な実施形態によれば、これは、電気エネルギ又は太陽エネルギが供給される電池を介して給電されるロータである。手動で作動される巻上げシステムによって電池に給電することも可能である。
【0030】
太陽発電手段が設けられている場合、本発明の空気刷新装置には、太陽光から、又は人工光源からエネルギを蓄積することができる太陽電池若しくは太陽発電パネルが装備されており、特に以下に提示される幾つかの実施例に示されるような電池に接続されている。
【0031】
もちろん、発散部材及び発散部材の拡散面の運動は回転である必要はない。例えば、択一的な運動は、振動又は振り子式であってよく、これは、有利には、活性配合物における摩擦を低減し、ひいては作動させられるためのより少ないエネルギを必要とする。
【0032】
前述のように、容器に含まれた揮発性配合物は、概して、貯蔵中に揮発性配合物の実質的な損失が生じないように、空気刷新装置の作動前には蒸発が阻止されている。したがって、装置には、概して、容器の開口を液密に閉鎖するための及び/又はハウジングが提供されている場合には常にこのようなハウジングアセンブリの内側及び外側の中空の垂直部分の通気孔が合致して発生配合物を蒸発させるのを阻止するための手段が設けられている。
【0033】
さらに、本発明は、パッケージングされた装置をも含み、この装置において、概して活性揮発性物質を含む容器は、上述のように液密に閉鎖されており、装置の他の部分とは別個にパッケージングされている。本発明のこのような実施形態は、補充可能であるという利点を有しており、それまで使用されていた容器が活性配合物の蒸発により空になった場合、又は、容器が空ではないが、使用者が、拡散される活性物質の質及び/又は性質、すなわち香りを変更したい場合、活性揮発性物質の供給は、新たな充填された容器と交換されることができる。
【0034】
使用時の装置の作動は多くの形式で行われることができ、多くの様々な形式が国際公開第2006/061803号パンフレットに例示されている。活性配合物の可動な、より具体的には回転可能な蒸発面の導入と両立可能な、上述のようなロータによって又はあらゆるその他のオークショニング手段によって動力を供給される、装置及び作動機構の全てのこのような例が、本発明に従って使用されることができる。当業者は、このような運動機構を、発散部材又はアセンブリの形状及び発散部材又はアセンブリのために選択される運動のタイプ、すなわち、例えば回転、振動、又は振り子運動に関して認識することができる。
【0035】
装置を作動させるために、回転の場合、装置が作動位置になると、ロータの始動が、吸上げ部材/発散構造の少なくとも発散表面部材の回転を提供し、使用者は、所望のように、この運動を作動させる又は作動させないことによって、強制されない又は強制された蒸発を使用することができる。このような作動は、直接の使用者の動作によって、又は、例えば、例えばタイマによって制御される、所定の時間ごとに作動させられるように自動的に設定されたパルス発生装置を介して、選択された時間にわたって、周期的に行われてもよい。
【0036】
可能な装置作動手段の特定の実施形態において、場合によってはハウジングアセンブリに、容器の開口の保護用の液密なバリア又はシールの穿孔を提供するために、容器又は容器のキャップ又はキャッピングアセンブリに対して、吸上げ部材/発散部材アセンブリを支持する装置の上側部分の一回限りの移動を生ぜしめることができる可動手段が提供される。このような可動な装置作動手段は、例えば、ハウジングアセンブリの2つの部分のうちの少なくとも1つに結合された、他方に対する前記2つの部分のうちの1つを移動させることができる摺動部材から成っていてよい。摺動部材は、2つの部分を相対的に長手方向に移動させるために垂直方向に装着されていてよい。吸上げ部材、又は択一的に、吸上げ部材のための案内構造は、次いで、装置の作動時に容器開口の液密シールを穿孔する。
【0037】
より一般的には、発散部材及び吸上げ部材は、同じ片又はアセンブリの部分ではなく、容器の液体内に既に突入された吸上げ部材を有し、装置の作動時に発散部材を吸上げ部材と接触させ、活性配合物が含浸され、活性配合物を蒸発面から次第に拡散させる手段を提供することが可能である。装置のこれらの実施形態において、例えば拡散面を支持する発散部材と、発散部材を収容する装置のハウジングアセンブリをキャッピングする部分の内面との間に嵌合されたばねの形式の、通常はハウジングアセンブリ内に嵌合された、この接触を強制するための手段が設けられている。
【0038】
本発明のその他の実施形態によれば、発散部材及び吸上げ部材は、1つの片又は上部構造を形成している。次いで、装置には、通常、装置が作動させられた場合に上部構造の吸上げ部材を一回限りの形式で揮発性液体に突入させる可動な装置作動手段が装備される。
【0039】
このような実施形態の中で、装置が作動させられると前記発散片の1つのゾーンが変形させられ、容器の液体に突入させられることができ、これにより、前記ゾーンが活性配合物によって含浸され、その後、拡散のために、活性配合物が発散表面によって吸収される。
【0040】
択一的に、装置には変形可能なハウジングアセンブリが設けられていてもよく、装置を作動させるために、使用者は前記ハウジングアセンブリに圧力を加え、これにより、発散部材/吸上げ部材アセンブリの吸上げ部材ゾーンが、バリアを穿孔し、拡散される液体内に突入するように強制する。次いで、その開示内容は引用したことにより本明細書に記載されたこととする国際公開第2006/061803号パンフレットの実施例に示された様々な手段によって、装置の寿命の間液体内に保持される。このような変形可能なハウジングは、前記形式の2部構成型の吸上げ部材/発散部材アセンブリと共に使用されることもできることは言うまでもない。
【0041】
概して、装置の本質的な部分は、揮発性活性配合物を含む容器と、装置が作動する前に揮発性活性配合物の蒸発を阻止するバリアと、装置が作動させられると配合物で含浸され且つ配合物を拡散させることができる1つ又は複数の吸収/拡散部材と、回転モータ又はその他の動作を生ぜしめる手段に接続可能な、可動に、特に回転可能に装置に取り付けられた、吸収/拡散部材の少なくとも拡散部分とによって形成されている。この全体的な集合体はハウジングアセンブリに収容されることができ、この集合体には、配合物を拡散させるために集合体、すなわち上記部材全てを取り外すことなく装置を作動させることを可能にする装置作動手段が設けられている。
【0042】
好適には、ハウジングが設けられている場合、ハウジングは、互いに水平方向に摺動することができる2つの垂直な部材から形成されており、これにより、2つのハウジング部分における拡散通気口の部分的又は完全な一致を変化させることによって、周囲空気への発散部材の蒸発面の露出表面を調節する。拡散通気口は、垂直方向又は水平方向に切り取られていてよい。ハウジング部分は、通常、プラスチックから形成されており、場合によっては変形可能であり、装置の使用目的に応じたあらゆる形状を採用してよい。
【0043】
慣用の吸上げ部材/発散部材アセンブリは、引用したことによりその内容が本明細書に記載されたこととする、本出願人によって所有される国際公開第2004/006968号パンフレットに例えば記載されているように形成されたもののような、少なくとも発散部分又は部材を、回転、振動、又は振り子運動させることができる適切な移動手段を介して作用させられる、本発明に従って作動させられるように適合された、発散上部構造である。発散上部構造の実現のための材料は、前記国際出願に記載されている。蒸発面の80g〜1000g/m2の重量と、蒸発面の0.01g〜0.1g/cm2の活性揮発性液体配合物の吸収率とを有する、このタイプの上部構造発散部材は、本発明の目的に適している。
【0044】
これらの中でも、50〜400cm2、より好適には100〜200cm2の蒸発面を有する発散部材は、特に有効な発散部材の実施形態である。
【0045】
以下に示される実施例は、上部構造形式の吸上げ部材/発散部材アセンブリと、吸上げ部材と発散部材とが別個の部品であるアセンブリとを含むことのような装置、及び吸上げ部材と発散部材とが本発明の装置に組み込まれる形式を示している。
【0046】
容器、及び場合によって容器のためのキャップ又は蓋は、活性配合物の性質と両立する材料から形成されており、活性配合物の蒸気に対して完全に不透過性である。好適には、容器チャンバは、透明又は半透明の材料から形成されており、これにより、消費者は、容器チャンバ内に存在する活性配合物のレベルを視覚的に監視することができ、したがって、本発明による容器又は装置が、排出されたことにより、又は例えば異なる香りを使用することが望まれることにより、いつ交換されなければならないかを知ることができる。
【0047】
容器チャンバ及び容器チャンバ蓋又はキャップのための適切な材料は、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリレート等のポリマから得られるもの等の射出成形又は熱成形材料を含む。
【0048】
容器及びキャップは一体型部材の部分であることができることも理解される。
【0049】
発明の好適な実施形態によれば、容器に含まれる配合物は、非水系である。
【0050】
「非水系」の活性揮発性液体配合物又は活性配合物とは、ここでは、実質的に水がないか又は少量の水だけを含む活性揮発性液体配合物を意味し、例えば、例として総重量の多くとも10%の水を含む配合物を引用してよい。
【0051】
好適な活性配合物は、界面活性剤も含まない。
【0052】
活性配合物は少なくとも1つの有効成分を含んでいる。前記成分は、装置の周囲空間、すなわち包囲された空間に利益を与えることができ、前記活性揮発性材料に有益であることができる選択的な成分によって伴われていてもよい。言い換えれば、活性配合物は、少なくとも1つの成分を含む活性揮発性材料と、選択的に、溶液、増粘剤、抗酸化剤、染料、苦味剤、及び紫外線抑制剤から成るグループから選択された1つ又は2つ以上の成分とを含む。
【0053】
活性揮発性材料として、例えば香料が使用されることができる。その他の適切な活性揮発性材料は、脱臭剤、殺菌剤、防虫剤、又は、拡散される空気の質に認知可能な望ましい利益を与えることができるあらゆるその他の活性材料であることができる。
【0054】
好適な活性揮発性材料は香料である。香料として、芳香発生作用を行う、つまり周囲空気の芳香を変更又は提供する、香水製造業において現在使用されているあらゆる成分又は成分の混合物が使用されることができる。これは、例えば体臭、タバコ臭、台所又は浴室の悪臭等の様々な悪臭を低減又は抑制することができる、悪臭反作用配合物も、"香料"、"フレグランス"、"芳香配合物"の定義に含まれるものと理解される。しばしば、このような芳香配合物は、多かれ少なかれ、天然由来又は合成由来の成分の複合混合物である。前記成分の性質及びタイプは、ここでのより詳細な説明を正当化せず、このことはあらゆる場合に徹底的でなく、当業者は、一般的な知識に基づき、使用目的又は用途及び所望の感覚器の効果、脱臭、芳香、殺菌又はその他に従って、成分を選択することができる。概して、これらの芳香成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン炭化水素、窒素又は硫黄複素環式化合物及び天然由来又は合成由来の精油等の化学クラスに属する。これらの成分の多くは、あらゆる場合、S.Arctanderによる本、Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、又はそのより最近の版、又は同様の性質のその他の作品、及び香水製造業及び悪臭中和作用の分野における豊富な特許文献に列挙されている。多くの成分は、悪臭中和及び/又は防虫作用を有することが知られており、これにより、周囲空気に芳香を与える、つまり周囲空気に快適な香りを付与することができるのに加え、これらの成分は、周囲空気を浄化及び殺菌すること及び/又は周囲空気のあらゆる悪臭(すなわち不快な臭い)を除去するのを助ける。
【0055】
ラベンダー、ヒマラヤスギ、レモン等の天然油及びその他の精油及び抽出物は発明の有利な実施形態のための特に好適である。
【0056】
発明の装置によって行われることができる芳香効果の特別の言及が上でなされているが、同じ原理は、脱臭蒸気又は殺菌蒸気の拡散のための類似の装置にも適用され、香料は、脱臭配合物、抗菌剤、殺虫剤、防虫剤、又は昆虫誘引剤、又はいわゆる防虫装置によって置き換えられる。"殺菌蒸気"という用語は、ここでは、観察者を取り囲む空気の許容の程度を高めることができるこれらの物質の蒸気だけなく、殺菌又は静菌作用を有することができる、ある種の昆虫、例えばイエバエ又は蚊又はその他に対して誘因効果又は忌避効果を与えることができるこれらの物質を示す。このような成分の混合物が使用されることもできることは言うまでもない。
【0057】
活性配合物における活性揮発性材料の総量は、活性配合物の重量の、20%〜100%、好適には30%〜70%であってよい。
【0058】
上で予想されているように、活性配合物は、例えば溶液、増粘剤、抗酸化剤、染料、苦味剤、及び紫外線抑制剤として作用する幾つかの選択的な成分をも含んでいてよい。
【0059】
有効な紫外線抑制剤成分の非制限的な例として、Uvinul(R) (BASF AG)の商標名で市販されているようなベンゾフェノン、ジフェニルアクリレート又はシンナマートを挙げることができる。
【0060】
活性配合物に存在する紫外線抑制剤の総量は、活性配合物の総重量に対するパーセンテージとして、0.0%〜0.5%、好適には0.01%〜0.4%であってよい。
【0061】
1つ又は2つ以上の溶液の存在は、単相液体を有するために及び/又は周囲空気への活性材料の蒸発速度を調節するために有益であってよい。前記溶液は、イソパラフィン、パラフィン、炭化水素、すなわちグリコール、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、エステル又はケトン、のファミリーに属してよい。
【0062】
適切な市販の溶液の例は、商標名Isopar(R) H,J,K,L,M,P又はV(イソパラフィン;供給元:Exxon Chemical)、Norpar(R) 12又は15(パラフィン;供給元:Exxon Chemical)、Exxsol(R) D155/170, D40, D180/200, D60, D70, D80, D100, D110 又はD120 (非芳香化された炭化水素; 供給元:Exxon Chemical)、Dowanol(R) PM, DPM, TPM, PnB, DPnB, TPnB, PnP 又はDPnP (グリコールエーテル;供給元:Dow Chemical Company)、Eastman(R) EP,EB,EEH,DM, DE, DP,又はDB(グリコールエーテル;供給元:Eastman Chemical Company)
、Dowanol(R) PMA又はPGDA(グリコールエーテルエステル;供給元:Dow Chemical Company)又はEastman(R) EB アセテート、Eastman(R) DE アセテート、Eastman(R) DB アセテート、Eastman(R) EEP (全てのグリコールエーテルエステル;全ての供給元:Eastman Chemical Company)又はさらに溶液MMBとして知られ且つ様々なサプライヤから市販されている3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールの名称で知られている。
【0063】
発明に有効な溶液のその他の例は、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、イソプロピルミリステート、ジエチルフタレート、2−エチルヘキシルアセテート、メチルn−アミルケトン又はジイソブチルケトンである。
【0064】
好適な溶液は、Dowanol(R) DPM, DPnB, 又はDPnP、及び3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを含む。
【0065】
活性配合物に存在するこのような溶液の総量は、活性配合物の重量に対するパーセンテージとして、0.0%〜80%、好適には30%〜70%である。好適な芳香配合物は、少なくとも香料の30重量%、あらゆるこのような溶液の70重量%以下を含む。
【0066】
好適には、活性配合物の総重量の少なくとも60%は、4Pa〜270Paの蒸気圧力を有する成分から形成されており、前記蒸気圧力は、20℃と、760mmHgの圧力とにおいて測定された。活性配合物の配合における前記要求は、比較的一定の配合物が装置の寿命にわたって維持され、前記活性配合物は、製品の寿命の間、比較的一定の速度で蒸発することを保証する。
【0067】
最も好適には、活性配合物の総重量の少なくとも80%は、4Pa〜270Paの蒸気圧力を有する成分から形成されている。
【0068】
有効抗酸化成分の非制限的な例として、立体障害アミン、すなわち、商標名Uvinul(R)(供給元:BASF AG)又はTinuvin(R)(供給元:Ciba Specialty Chemicals)として知られるような2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン、及びブチルヒドロキシトルエン(BHT)等のアルキレートキドロキシアレン誘導体を挙げることができる。
【0069】
活性配合物に存在する抗酸化剤の総量は、活性配合物の重量に対するパーセンテージとして、0.0%〜10%、好適には1%〜4%で変化してよい。
【0070】
染料は、活性配合物のその他の選択的な成分である。適切な染料は油溶性であり、The Society of Dyers and Colouristによって発行されたColour Index Internationalに見られることができる。適切な染料の非制限的な例は、アントラキノン、メチン、アゾ、トリアリルメタン、トリフェニルメタン、アジン、アミノケトン、スピロオキサジン、チオキサンテン、フタロシアニン、ペリレン、ベンゾピラン又はペリノン系の誘導体である。
【0071】
市販されているこのような染料の例は、Sandoplast(R) バイオレット RSB, バイオレット FBL, 緑 GSB, 青 2B、又はSavinyl(R) 青 RS(全てアントラキノン誘導体;供給元Clariant Huningue S.A.)、Oilsol(R) 青 DB(アントラキノン;供給元:Morton International Ltd.)、Sandoplast(R) 黄 3G(メチン;供給元:Clariant Huningue S.A.)、Savinyl(R) スカーレットRLS(アゾメタルコンプレックス;供給元:Clariant Huningue S.A.)、Oilsol(R) 黄 SEG(モノアゾ;供給元:Morton International Ltd.)、Fat Orange(R) R(モノアゾ;供給元:Hoechist AG)、Fat Red(R) 5B(ジアゾ;供給元:Hoechist AG)、Neozapon(R) 青807(フタロシアニン;供給元:BASF AG)、Fluorol(R) 緑ゴールデン(ペリレン;供給元:BASF AG)として知られている。
【0072】
活性配合物に存在する染料の総量は、活性配合物の重量に対するパーセンテージとして、0.0%〜0.5%、好適には0.005〜0.05%で変化してよい。
【0073】
苦味剤の存在は、製品を苦くするために望ましく、活性配合物が特に子供によって摂取されにくくする。日制限定期な例として、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルn−ブチルケトン、又は商標名BitrexTM(供給元:Mac Farlan Smith Ltd.)としても知られている安息香酸デナトニウム等のデナトニウム塩を挙げることができる。
【0074】
苦味剤は、活性配合物の総重量に対するパーセンテージとして、0.0%〜5%の総量で活性配合物に含まれていてよい。BitrexTMの場合、量は、活性配合物の総量の0.0%〜0.1%、好適には10〜500ppmであることができるのに対し、他の前記苦味剤は通常、存在する場合、0.5〜5重量%の量で使用されている。
【0075】
上部構造タイプの発散部材を有する本発明の好適な装置において、発散部分は、たがいに接触した1つ又は2つ以上の発散ボディを含んでいてよく、概して1〜6個の発散ボディが使用されている。同様に、吸上げ部材部分は1つ又は2つ以上の吸上げ部材を含んでいてよく、概して1〜6個の吸上げ部材が使用されている。
【0076】
上述のように、発散部分は、蒸発面の1平方センチメートル当たり、0.01g〜約0.1gの活性配合物を吸収する能力を有しており、蒸発面に対して、80g/m2〜1000g/m2の重量を有している。
【0077】
好適には前記発散部分は、蒸発面の1平方センチメートル当たり、0.02g〜約0.08gの活性揮発性液体を吸収する能力を有しており、蒸発面に対して、100g/m2〜500g/m2の重量を有している。
【0078】
発散部分は、50cm2〜400cm2の蒸発面を特徴とする。好適には、蒸発面は、100cm2〜200cm2である。
【0079】
発散部分を形成することができる材料の非制限的な例は、セルロース誘導体、例えば、紙、成形されたセラミックス、焼結プラスチック又は多孔質プラスチックである。リネン、綿、又はセルロース繊維等の織物も使用される。
【0080】
好適な紙は、現在、濾紙 No 1,3,4,113としてWhatman Internationa Ltd. UKから市販されているような3μm〜30μmの粒子保持寸法を有する濾紙として使用されているものである。
【0081】
焼結プラスチック又は多孔質プラスチックの場合、好適には前記材料は、5μm〜200μmの空隙寸法を有しており、高密度ポリエチレン、超高分子重量ポリエチレン又はポリプロピレンに基づく。このような材料の例は、例えばVyon(R) T(供給元:Porvair Technology Ltd, UK)の商標名で市販されている。
【0082】
吸収/拡散構造の発散面又は発散部材部分として使用される好適な拡散材料は以下の特性を有する:

【0083】
吸上げ部材部分は、活性配合物の一部を吸収し、活性配合物を発散部分へ搬送し、発散部分から活性配合物は本発明の装置の周囲空間へ蒸発することができる。前記のように、吸上げ部材部分は、1〜6個の吸上げ部材を含んでよい。
【0084】
吸上げ部材部分又は吸上げ部材は、有機材料及び無機材料から形成されていてよい。適切な向き材料の例は、例えば石膏又はベントナイト等の適切なバインダと組み合わされた、多孔質磁器材料、成形されたセラミックス、ガラス繊維、又はアスベストを含む。吸上げ部材を、例えば粘土、タルク、珪藻土、アルミナ、シリカ又は同様のもの等の粉末鉱物材料から、単独で又は例えば木粉、炭素粉末、又は活性炭と適切な糊を用いて組み合わせて、形成することも可能である。有機材料は、フェルト、綿、パルプ、織られた又は織られていない綿繊維、合成繊維、セルロース誘導体、例えば紙、及び織られた及び織られていない焼結された又は多孔質のプラスチック、及び場合によって漆喰で被覆された木材を含む。発明のこれらの実施形態に関連するその他の詳細及び特定の例は、特に前記国際公開第2004/006968号パンフレットの記載に見られることができ、その内容は引用したことにより本明細書に記載されたこととする。
【0085】
最も好適な実施形態は、多孔質天然紙材料、すなわちプレスされた紙から形成された吸上げ部材を含む。
【0086】
前述のように、本発明の装置は、拡散部材又はアセンブリの移動、特に回転を生ぜしめることができる動力供給手段を有しており、したがって、揮発性配合物のための拡散面の強制された換気を提供する。このような手段は、拡散部材を運動させることができる機械的部材又は電気的部材に接続された太陽電池又はその他のエネルギ手段を含んでよい。
【0087】
本発明の装置は、好適には、太陽電池によって電力が供給される装置の場合には好適には日光に開放した部屋、戸棚、及びその他の閉鎖された環境のための空気刷新装置又は脱臭装置の形式で使用される。装置は、動物小屋リフレッシュナー、リネン芳香物品及び同様のものの形式を占めてもよい。装置は、装置の作動前に使用者によって組み立てられる準備ができた構成部材のキットの形式で提供されてよい。
【0088】
以下の例はさらに本発明の実施形態を例示しており、さらに、従来技術の開示に対する本発明の装置の利点を実演する。
【実施例】
【0089】
実施例
太陽電池式空気刷新装置
組み立てられる装置の様々な構成部材の分解図を示す本発明の装置の実施形態を例示している図1を参照すると、断面図で示された容器1には、キャップ3によって被覆された容器の上端部に設けられた開口を通じて導入された香料溶液2が充填されている。開口は、脛(shin)の形式の発散/蒸発面5を含む吸上げ部材/発散部材アセンブリの吸上げ部材部分4を受容する。この発散面は、ピン6を介してロータ部材7に結合されている。モータは充電式電池8によって電力を供給され、充電式電池自体は、図面には部分的にのみ示された装置のハウジングアセンブリのハウジングキャップ9に取り付けられた太陽電池パネル9aを介して充電される(下側のキャップ11及び上側のキャップ9のみが断面図で示されている)。
【0090】
作動前、香料溶液2は容器に封入されており、容器の開口は、例えば出願人によって所有された国際公開第2004/006968号パンフレット及び国際公開第2006/2006061803号パンフレットに開示されているように、揮発性物質の蒸発を阻止する手段を介して封止されていることができる。後者によれば、特にその図面に示されているように、容器の開口は、例えば箔から形成された蓋によって封止されており、吸上げ部材/発散部材アセンブリの形状に対応することができるキャップによって被覆されている(例えば国際公開第2004/006968号パンフレットの図2参照)。
【0091】
使用者によって装置が作動させられると、吸上げ部材4が容器の蓋を突き破り、香料溶液2に突入し、前記溶液によって含浸される。吸上げ部材が飽和されると、溶液は吸上げ部材を上方へ移動し、発散部分5の羽根を含浸及び飽和し、空気刷新装置の周囲空気へ拡散し始める。香料配合物2で含浸されることができる多孔質材料から形成された円筒形の吸上げ部材4は、発散部材部材5の中心軸(図示せず)に配置された円筒形の中空のキャビティに収容されており、発散部材部材5は、したがって、吸上げ部材4に回転可能に取り付けられており、ロータ7に結合されている。
【0092】
揮発性配合物の強制された蒸発は、図2に示されているように、太陽電池パネル9aに隣接した、装置のハウジングアセンブリの上側のキャップ9に配置されたオンオフボタン又はタイマ9bを介してロータ7を作動させることによって提供されることができる。この形式において、使用者は、所望のように、香料配合物の通常の蒸発又は加速された蒸発を選択することができる。
【0093】
図3に示されているように太陽電池パネル9aは配線9cを介して電池8に接続されており、電池は、日光又は人工光源に装置を曝すことによって自動的に充電される。
【0094】
容器と、吸上げ部材/発散部材アセンブリと、ロータ部材、充電式電池とによって形成された集合体は、装置のハウジングに収容されている。図4に示されているように、ハウジングは、2つの中空の円筒形の垂直な部材から形成されていることができ、両方の部材に、切り取られた通気口又は開口が設けられている。ハウジング集合体の内側部分10bは吸上げ部材/発散部材アセンブリに被せて組み立てられており、ハウジングの下側のキャップ9と上側のキャップ11との間の所定の位置に固定されている。通気口が設けられた可動な遮断装置を形成した、ハウジング部材の外側部分10aは、周囲空気への回転可能な発散部材5の羽根状表面の露出を制御するために、内側ハウジング部分10bに対して移動させられるように、これらの2つのキャップの間の所定の位置にスナップ係合させられている。蒸発量は、ロータの作動又は非作動とともに、これらの通気口がより大きく又はより小さく合致させることによって制御されることができ、ロータは、発散部材5を回転させ、これにより、蒸発面に蓄積した芳香配合物の増大した蒸発を強制する。
【0095】
太陽電池パネルを用いずに装置の同様の形態を実現することができるのは言うまでもなく、モータは、例えば交換可能な電池によって電力を供給される。
【0096】
商業化しやすい閉鎖された空気刷新装置が図5に示されているのに対し、図6は、装置の組み立てられた内部構造の斜視図を示しており、この内部構造は、吸上げ部材/発散部材の両側に示されている、装置のハウジングアセンブリの内側及び外側の通気される構成部材と、容器アセンブリとによって被覆される。
【0097】
実施例2
吸上げ部材/発散部材アセンブリの回転可能な発散部材部材の択一的な設計を示す、本発明の装置の別の実施形態を例示する図7を参照すると、容器1′は活性液体揮発性配合物2′を含んでおり、この活性液体揮発性配合物に吸上げ部材4′が突入させられている。吸上げ部材は、中央軸の中空のキャビティに収容されており、中央軸には、星型の発散部材/蒸発部材5′が、図示されていないロータに発散部材をさらに接続するように、回転可能に取り付けられている。したがって、装置の内側部分は、既に組み立てられた形式で示されている。
【0098】
実施例3
装置の組み立てられた可動な吸上げ部材/発散部材部材の実施形態を示す図8を参照すると、図8a)には、静止状態におけるこの実施形態が示されている。
【0099】
複数の構成部材から形成された吸上げ部材4′′は、装置の中心軸と同軸に配置されており、装置は、電動式モータ(図示せず)に接続されており、前記軸に回転可能に取り付けられた脛(shin)形成された発散部材5′′と接触している。図8b)に示されているように、使用者がオンオフボタン9′bを押すと、発散部材部材が、太陽電池パネル9′aを介して電力が供給されるロータによって作動させられ、回転する。
【符号の説明】
【0100】
1 容器、 2 香料溶液、 3 キャップ、 4 吸上げ部材、 5 発散蒸発面、 6 ピン、 7 ロータ部材、 8 充電式電池、 9 ハウジングキャップ、 9a 太陽電池パネル、 9b タイマ、 9c ワイヤ、 10a 外側部分、 10b 内側部分、 11 上部キャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性揮発性物質を周囲空気に排出するための装置において、前記活性揮発性物質で含浸された蒸発面を強制換気するための手段が設けられており、前記装置に、
a)活性揮発性物質が入っている容器が設けられており、該容器が、選択的にキャップによって被覆される開口を備えた上側部分を有しており、
b)前記蒸発面を有する発散部材が設けられており、該発散部材が、装置が作動させられたときに前記活性揮発性物質によって含浸されることができ且つ活性揮発性物質を装置の周囲空気に蒸発させることができる材料から形成されており、
c)多孔質材料部分から形成された又は多孔質材料部分を有する吸上げ部材が設けられており、前記多孔質材料部分が、前記活性揮発性物質によって含浸されることができ、前記吸上げ部材が、該吸上げ部材が活性揮発性物質によって含浸され且つ発散部材と接触する位置において、容器の上側部分の開口を通じて装置に収容されるようになっており、
装置が作動させられると、発散部材と、吸上げ部材とが、吸上げ部材が活性揮発性物質と接触し且つ発散部材が活性揮発性物質によって含浸させられる位置に、装置内へ収容され、装置がさらに、発散部材の前記蒸発面の強制換気を生じさせるために、活性揮発性物質を含んだ容器に対して所定の時間にわたって少なくとも発散部材を運動させることができる手段を有することを特徴とする、活性揮発性物質を周囲空気に排出するための装置。
【請求項2】
少なくとも発散部材を被覆するハウジングアセンブリが設けられており、該ハウジングアセンブリが、装置が作動させられると活性揮発性物質を装置の周囲空気に拡散させるための手段を含んでいることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
ハウジングアセンブリが、太陽電池パネルと、該太陽電池パネルを、少なくとも発散部材に接続されており且つ該発散部材を回転させるモータに電力を供給するための電池に接続するための手段とを有していることを特徴とする、請求項2記載の装置。
【請求項4】
装置の外側からユーザによってアクセス可能な、発散部材の運動を生じさせる電力供給手段を作動させるためのオンオフボタン又はタイマが設けられていることを特徴とする、請求項1又は3記載の装置。
【請求項5】
ハウジングアセンブリが、開口又は通気口が設けられた2つの垂直エレメント、すなわち内側部分と外側部分とを有しており、内側部分及び外側部分が、内側の通気口と外側の通気口とを部分的に又は完全に重なり合わせるために、装置が作動させると、互いに対して好適には同軸方向に摺動することができるように可動に配置されていることを特徴とする、請求項2記載の装置。
【請求項6】
容器が、容器に液密に固定されたバリア手段によって被覆された上側開口を有しており、前記バリア手段が、活性揮発性物質に対して不透過性で且つ好適には箔から形成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
吸上げ部材に、バリア手段を穿孔することができる尖った端部が設けられていることを特徴とする、請求項6記載の装置。
【請求項8】
活性揮発性物質が、香料、脱臭物質、殺虫物質、防虫物質又は虫寄せ物質、抗菌剤又は静菌剤を含む液体であることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項9】
活性揮発性液体が、非水系の芳香配合物であり、該芳香配合物の総重量の少なくとも60%が、20℃で4Pa〜270Paの蒸気圧力を有する成分から形成されていることを特徴とする、請求項8記載の装置。
【請求項10】
発散部材が、蒸発面の80〜100g/m2の重量と、蒸発面の0.01〜0.1g/cm2の活性揮発性液体の吸収率とを有することを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項11】
発散部材の発散面又は蒸発面が、50〜400cm2、好適には100〜200cm2であることを特徴とする、請求項10記載の装置。
【請求項12】
非水系の活性揮発性液体配合物が、活性揮発性材料と、選択的に、溶液、増粘剤、抗酸化剤、染料、苦味剤、及び紫外線抑制剤から成るグループから選択された1つ又は2つ以上の成分とを含んでいることを特徴とする、請求項8記載の装置。
【請求項13】
発散部材が、0.18〜0.45mmの厚さを有する濾紙、又は2.0mmの厚さを有する焼結プラスチックから形成されていることを特徴とする、請求項10記載の装置。
【請求項14】
適当なパッケージングと共に請求項1記載の装置を含むことを特徴とする、消費者物品。
【請求項15】
部屋、戸棚又は車内の空気刷新装置、クローゼット内の空気刷新装置、防虫装置、殺虫装置又は駆虫装置、又はこれらの組み合わせの形式であることを特徴とする、請求項14記載の消費者物品。
【請求項16】
活性揮発性物質の容器と、吸上げ部材/発散部材とが、別個のパッケージング又は同じパッケージングの別個の区画に設けられていることを特徴とする、請求項14記載の消費者物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−530259(P2010−530259A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511772(P2010−511772)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052339
【国際公開番号】WO2008/152606
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】