揮発性組成物ディスペンサ
揮発性組成物ディスペンサは、少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器を含む。破裂要素は、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる。揮発性組成物容器は、カム面を含むカムを含む。カム面は、破裂要素の少なくとも一部分を、揮発性組成物容器の方向に移動させて、揮発性組成物容器を破裂させ、揮発性組成物の少なくとも一部分を揮発性組成物容器から放出するように構成され、これによって揮発性組成物の一部分は蒸発し、揮発性組成物ディスペンサを出る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、揮発性組成物を分配するための方法及び装置に関し、より具体的には、膜を使用して、揮発性組成物を分配するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性組成物ディスペンサは、例えば、大気の空気のフレッシュニング又は香り付けなど、様々な利益を送達するために、揮発性組成物を大気へと、例えば家庭の大気又は車両の乗員室の大気へと蒸発させるのに使用される場合がある。通電されていないディスペンスシステム、例えば、電気エネルギーによる動力付きではないシステムは、揮発性組成物を大気へと送達するのに一般的な方法である。これらのディスペンスシステムは、人間による作動を必要とし得るもの(例えば、エアゾール)と、吸上作用系のシステム及びゲルなど、人間の作動を必要としない場合があるものとに分類することができる。ディスペンスシステムの第1タイプは、揮発性組成物をオンデマンドで送達し、その一方で、ディスペンスシステムの第2タイプは、より連続的な方式で揮発性組成物を送達する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
揮発性組成物ディスペンサ及びその使用に対する幅広い要求のために、揮発性組成物ディスペンサの技術は改善されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器を含む。破裂要素は、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる。揮発性組成物ディスペンサは、カム面を含むカムを含む。カム面は、破裂要素の少なくとも一部分を、揮発性組成物容器の方向に移動させて、揮発性組成物容器を破裂させ、揮発性組成物の少なくとも一部分を揮発性組成物容器から放出するように構成され、これによって揮発性組成物の一部分は蒸発し、揮発性組成物ディスペンサを出る。
【0005】
他の非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、外側シェルと、少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器を含む。揮発性組成物容器は、外側シェル内に少なくとも部分的に位置決めされるように構成される。揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる穿刺部材と、揮発性組成物容器の方向へ少なくとも穿刺部材を移動させ、揮発性組成物容器を破裂させ、揮発性組成物の少なくとも一部分を揮発性組成物容器から放出するように構成された作動装置であって、これによって揮発性組成物の一部分は蒸発し、外側シェルから滲出する、作動装置とを含む、要素を更に含む。
【0006】
更に他の非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンスシステムは、少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器と、可動部分を含む破裂要素と、を備える。破裂要素は、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる。揮発性組成物ディスペンスシステムは、破裂要素に近接して位置決めされる、通気性膜と、作動装置であって、この作動装置が可動部分に力を適用しない第1位置と、作動装置が可動部分に力を適用する第2位置との間で移動するよう構成され、作動装置は可動部分に力を適用し、揮発性組成物容器の方向に可動部分を押させて、揮発性組成物容器を破裂させ、揮発性組成物の少なくとも一部分を、通気性膜上に蒸発のために放出させる、作動装置と、を更に含む。
【0007】
更に他の非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサのための揮発性組成物カートリッジは、少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器と、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる、破裂要素と、破裂要素に近接して位置決めされる微多孔膜と、を含む。破裂要素は、揮発性組成物容器の一部分と、微多孔膜の一部分とを封止可能に係合する。破裂要素が起動すると、揮発性組成物容器に開口部を作り、揮発性組成物容器から、微多孔膜上へ、揮発性組成物を放出するように構成される。
【0008】
更に他の非限定的な実施形態では、揮発性組成物を分配する方法は、揮発性組成物を内部に含む揮発性組成物容器を提供する工程と、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる破裂要素を提供する工程と、を含む。本方法は、作動装置を作動させて、破裂要素の少なくとも一部分を移動させて、揮発性組成物容器を破裂させ、これによって、揮発性組成物の少なくとも一部分は、蒸発のために揮発性組成物容器から放出される、工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面と関連してなされる本発明の実施形態の以下の説明を参照すれば、本開示の上記の及び他の特徴と利点、並びにそれらを達成する方法がより明らかとなり、また本開示自体がより理解されよう。
【図1】1つの非限定的な実施形態による車両の空調システム排気口上に位置決めされた揮発性組成物ディスペンサの斜視図。
【図2】1つの非限定的な実施形態による、カムが第1の非作動位置にある状態の、揮発性組成物ディスペンサの側面図。
【図3】非限定的な実施形態による、図2の揮発性組成物ディスペンサの断面図。
【図4】1つの非限定的な実施形態による、図2の揮発性組成物ディスペンサの上面斜視図。
【図5】1つの非限定的な実施形態による、図2の揮発性組成物ディスペンサの底面斜視図。
【図6】1つの非限定的な実施形態による、図1の揮発性組成物ディスペンサの様々な構成要素の分解斜視図。
【図7】1つの非限定的な実施形態による、カムが第2の作動位置にある状態の、図2の揮発性組成物ディスペンサの上面斜視図。
【図8】1つの非限定的な実施形態による、カムが第2の作動位置にある状態の、図2の揮発性組成物ディスペンサの底面斜視図。
【図9】1つの非限定的な実施形態による、カムが第2の作動位置にある状態の、図2の揮発性組成物ディスペンサの側面図。
【図10】1つの非限定的な実施形態による、図9の揮発性組成物ディスペンサの断面図。
【図11】1つの非限定的な実施形態による、揮発性組成物ディスペンサのための破裂要素の上面斜視図。
【図12】1つの非限定的な実施形態による、図11の破裂要素の平面図。
【図13】1つの非限定的な実施形態による、揮発性組成物ディスペンサの他の破裂要素の平面図。
【図14】1つの非限定的な実施形態による、変形可能な材料及び図13の破裂要素を使用する、揮発性組成物ディスペンサの断面図。
【図15】1つの非限定的な実施形態による、揮発性組成物ディスペンサの様々な構成要素の分解斜視図。
【図16】1つの非限定的な実施形態による、カムが非作動位置にある状態の、他の揮発性組成物ディスペンサの底面斜視図。
【図17】1つの非限定的な実施形態による、カムが中間位置にある状態の、図16の揮発性組成物ディスペンサの一部分の上面斜視図。
【図18】1つの非限定的な実施形態による、カムが完全に作動された位置にある状態の、図16の揮発性組成物ディスペンサの一部分の上面斜視図。
【図19】1つの非限定的な実施形態による、揮発性組成物ディスペンサの背面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本明細書に開示の装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の総合的な理解をもたらすために、様々な実施形態について説明する。これらの実施形態の1つ以上の実施例を添付の図面に示す。本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示す装置及び方法は、非限定的な例示的実施形態であること、並びに、本開示の各種の実施形態の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されることは、当業者には理解されよう。1つの代表的な実施形態に関連して示される、又は述べられる特徴は、他の代表的な実施形態の特徴と組み合わせてもよい。そのような修正及び変形は、本開示の範囲に含まれることが意図される。
【0011】
一実施形態によると、揮発性組成物ディスペンサは、少なくとも1つの揮発性組成物及び/又は他の溶液若しくは組成物、例えば香料、芳香剤、及び/又は殺虫剤を、例えば揮発性組成物ディスペンサを包囲する領域又は大気に分配するのに使用され得る。揮発性組成物は、大気条件下で気相に入ることができる単一の化学的若しくは単一材料を含むことができ、より一般的に、揮発性組成物は、大気条件下で、気相に入ることができる化学物質及び/又は材料の混合物を含むことができる。
【0012】
一実施形態では、揮発性組成物は、エアフレッシュナー、防臭剤、悪臭中和材、悪臭ブロッキング材、悪臭中和剤、悪臭マスキング材、アロマセラピー材、芳香心理学材、殺虫剤、及び/又はこれらの組み合わせとして機能することができる基材を含むことができるが、これに限定されない。他の様々な実施形態では、揮発性組成物は、それらの気相において、揮発性組成物ディスペンサの外側の大気又は領域を修正し、強化し、及び/又は処理する他の様々な材料を含むことができる。
【0013】
本開示の範囲を限定する意図はなく、説明の目的ではあるが、本開示は、液体を含有する、例えば、香料又は芳香剤などを送達するためのエアフレッシュニングシステムとして記載される。一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、例えば内部空間内又は車両の乗員室で使用されるように構成され得るが、本開示はこのような使用には限定されない。車両内の使用を参照して、揮発性組成物ディスペンサが本明細書において記載されている一方で、ディスペンサは、家又はオフィスなど任意の環境において、あるいは、人によって着用され得、かつ例えば任意の好適な溶液、化学物質、材料、及び/又は組成物を分配するように構成され得る、ということを当業者は理解するであろう。
【0014】
様々な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、ディスペンサによって分配され、及び車両の内部空間又は乗員室を、乗客に対してより心地良く香るように構成される、及び/又は乗客が車両に入るときに、例えば心地良い芳香剤を蒸発させること、及び/又は中和化することができる組成物を蒸発させる、及び/又は少なくとも部分的に悪臭を取り除くことができる組成物を蒸発させることのいずれかによって、良好なオープンドアの経験を乗客に提供するように構成された任意の好適な溶液、化学物質、材料、及び/又は組成物を含むことができる。
【0015】
本開示は概して、揮発性組成物を連続的な方式で送達するための、通電されていない揮発性組成物ディスペンサに関する。「通電されていない」は、装置が電源を備えていないということであり、外部エネルギーの源によって作動する必要はないということを意味することができる。特に、一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、熱、気体、電流、及び揮発性組成物を源として作動する必要はなく、揮発性組成物は概してエアゾール手段によって送達されない。
【0016】
様々な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物ディスペンサが、静止位置であるときに(すなわち、揮発性組成物ディスペンサは、車両に対して移動されていない)、少なくとも1つの揮発性組成物を、連続的又は実質的に連続的な方式で送達することができる。少なくとも1つの揮発性組成物の全て、又は実質的に全てが、揮発性組成物ディスペンサの揮発性組成物容器から排出されるまで、少なくとも1つの揮発性組成物の放出レベルは均一な強度を呈してもよい。少なくとも1つの揮発性組成物の連続的な放出は、任意の好適な長さ、例えば20日、30日、60日、90日、更に短く、又は更に長い期間、あるいは例えば、10日〜90日の間の任意の期間のものであってもよい。当然ながら、多少の揮発性組成物が、その耐用年数を増加させる又は減少させるために揮発性組成物ディスペンサ内に提供され得る。また、揮発性組成物ディスペンサの耐用年数は、それが動作する状況(すなわち、温度、圧力、湿分含量)による場合がある。
【0017】
一つの非限定的な実施形態では、図1を参照すると、揮発性組成物ディスペンサ10は、車両の空調システムの通気孔12上に配置されて図示されている。通気孔12は、例えば、複数のルーバー13及びルーバー調節機構15を含むことができる。揮発性組成物ディスペンサ10は、例えばルーバー13を備えるディスペンサ10の取り付け部分に係合することによって、通気孔12に取り付けられ得る。かかる実施形態では、空調システムによって通気孔12に、又は通気孔12から外に押された空気は、揮発性組成物ディスペンサ10を通って流れ、いずれかの蒸発した(すなわち、気相の)揮発性組成物を、揮発性組成物ディスペンサ10から、車両の内部空間内又は乗員室まで展開することができる。上記のように、揮発性組成物のかかる展開は、例えば、車両の乗員室又は内部空間内の空気を処理することができる。本明細書に記載される揮発性組成物ディスペンサが、使い捨ての単一使用アイテムでであってもよいということ、又は揮発性組成物が少なくとも大半が使用された後に、揮発性組成物又は揮発性組成物カートリッジで補充され得るということを当業者は理解するであろう。
【0018】
一つの非限定的な実施形態では、図1〜10を参照して、揮発性組成物ディスペンサ10は、外側シェル14を含んでもよい。外側シェル14は、揮発性組成物ディスペンサ10の様々な内部構成要素を少なくとも部分的に囲むことができる。外側シェル14が、円形として図示されている一方で、それはまた、正方形、矩形、三角形、卵型、又は任意の他の適した形状であってもよい。一実施形態では、外側シェル14はまた、例えば揮発性組成物ディスペンサ10を、顧客にとって、より審美的に心地のよいものにするために、様々なデザイン及び/又は色を含んでもよい。様々な実施形態では、外側シェル14は、再利用可能であってもよく、その一方で、揮発性組成物ディスペンサ10の他の様々な構成要素(例えば揮発性組成物カートリッジ)は、例えば交換可能であってもよい。外側シェル14は、任意の適した材料を用いて熱成形、射出成型、及び/又は吹込成形されてもよい。外側シェル14の適した材料は、塑性体、例えば、Klocknerから入手可能なPentaplast Pentaform(登録商標)2101を含むことができる。一実施形態では、外側シェル14の材料は、着色された及び/又は着色されていない、シースルー(see-through)の塑性体を含むことができる。シースルー材料は、揮発性組成物ディスペンサ10に残っている揮発性組成物の量を観察できるようにし、これは、揮発性組成物ディスペンサ10の耐用期間の終了を示すことができる。
【0019】
1つの非限定的な実施形態では、図5、6、及び8を参照して、外側シェル14は、車両の空調からの空気を、例えば揮発性組成物ディスペンサ10に入れるのを可能にするように構成される少なくとも1つの入り口通気孔16を含むことができる。空調からの空気が、揮発性組成物ディスペンサ10の外側シェル14に入るとき、それは膜(例えば通気性又は微多孔膜など)の周辺を通過することができる。膜は、蒸発のための少なくとも1つの揮発性組成物を受容するように構成されてもよい。膜及び/又は外側シェル14の内側部分を空気が通過するとき、それは、蒸発した若しくは部分的に蒸発した揮発性組成物と混合され得る。一実施形態では、混合物は次いで揮発性組成物ディスペンサ10及び/又は外側シェル14を滲出し、揮発性組成物ディスペンサ10を包囲する空気を処理する。少なくとも1つの入口通気孔16は、車両の空調からの空気が、揮発性組成物ディスペンサ10に入り、蒸発した若しくは部分的に蒸発した揮発性組成物と混合するのを可能にするための任意の適した形状又は方向を有する、複数の入口通気孔16を含むことができる。
【0020】
非限定的な実施形態では、図1、2、及び4〜9を参照して、外側シェル14はまた、少なくとも1つの任意の出口通気孔18を含んでもよい。少なくとも1つの出口通気孔18は、外側シェル14内で、少なくとも1つの入口通気孔16と流体連通し、揮発性組成物ディスペンサ10内で蒸発した若しくは部分的に蒸発した揮発性組成物が、外側シェル14を滲出し、車両の乗員室若しくは内側領域に入るのを可能にしてもよい。様々な実施形態では、少なくとも1つの出口通気孔18は、蒸発した若しくは部分的に蒸発した揮発性組成物が、揮発性組成物ディスペンサ10の外側シェル14を出るのを可能にしながら、任意の適した形状又は方向を有する、複数の出口通気孔18を含むことができる。他の実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10は、空気が揮発性組成物ディスペンサ通過し、揮発性組成物ディスペンサを包囲する大気に、蒸発した若しくは部分的に蒸発した揮発性組成物を分配することができるよう十分な空気流を有する領域における、車両の外側に配置されてもよい。
【0021】
一つの非限定的な実施形態では、図2〜10を参照して、揮発性組成物ディスペンサ10はまた、可動アクチュエーターと、又は取り付け部分22に取り付けられ又は取り付け部分22と共に形成されたカム20(「カム」)とを含むことができる。カム20は1つのカム面24又は1つ以上のカム面を含むことができる。1つ以上のカム面が提供される一実施形態では、様々なカム面はカム20から異なる距離を延び、例えば、ある特定の時間、どのカム面が破裂要素と接触するかによって、揮発性組成物ディスペンサ10の破裂要素に対してカム20が異なる力を適用できるようする。カム20又はカム面24は、所定の十分な力を揮発性組成物ディスペンサ10の破裂要素に適用するための任意の好適な形状又は向きを有することができる。カム面24は、破裂要素と直接と接触する必要はなく、実際には、通常は、まず膜と接触し、この膜を破裂要素の方向へ押してもよい。
【0022】
一実施形態では、更に図2〜10を参照して、取り付け部分22は、揮発性組成物ディスペンサ10に取り付けられ、これに可動に取り付けられ、これに回転可能に取り付けられ、又はこれに枢動可能に取り付けられ、あるいは、取り付け部分22が外側シェル14に対して、ピン26を中心に、回転する、移動する、及び/又は枢動するように、外側シェル14から延びる少なくとも1つのラグ36と係合したピン26によって外側シェル14に対して取り付けられ、これに可動に取り付けられ、これに回転可能に取り付けられ、又はこれに枢動可能に取り付けられてもよい。一実施形態では、開口部37は、少なくとも1つのラグ36において画定され得、そこでは開口部はピン26を受容する。一実施形態では、取り付け部分22は、そこから延びる、少なくとも1つの突起を含んでもよい。この少なくとも1つの突起は、外側シェル14を有して形成された、又はこれに取り付けられた取り付けブラケット内の開口部と係合して、外側シェル14に取り付け部分22を取り付けてもよい。更に、取り付け部分22は、揮発性組成物ディスペンサ10を対象物(例えば、車両の空調の通気孔など)に取り付けるために使用されてもよい。よって、取り付け部分22は、空調の通気孔の部分と係合するように構成された複数の戻り止め27を含むことができる。勿論、取り付け部分22はまた、揮発性組成物ディスペンサ10が空調の他の対象物若しくは通気孔に取り付けられるようにする、任意の他の適した把持又は係合機構を含んでもよい。
【0023】
1つの非限定的な実施形態では、再び図2〜10を参照して、カム20は、第1の非作動位置と、第2の作動位置との間で可動であってもよい。一実施形態では、第1の非作動位置は図2〜5に図示され、第2の作動位置は、図7〜10に図示されている。図を参照して分かるように、ユーザーは、例えば、カム20を第1の非作動位置(図2〜5)と、第2の作動位置(図7〜10)との間で移動させるために、取り付け部分22をピン26の周囲で移動させる、枢動させる、及び/又は回転させることができる。取り付け部分22の作動によって、カム20が移動され、枢動され、及び/又は回転されると、カム面24及びカム20の少なくとも一部分は、外側シェル14の凹部28(図5)に入ることができ、かつ外側シェル14の内側部分に少なくとも部分的に入ることができる。外側シェル14の内側部分に入るカム面24及び/又はカム20の少なくとも一部分の目的は、カム面24に、十分な所与の力を外側シェル14内の破裂要素に適用させ、内部に揮発性組成物を含む揮発性組成物容器を穿孔又は穿刺させ、膜へと揮発性組成物を放出させるようにすることである。一実施形態では、破裂要素又は破裂要素の可動部分は、カム20及び/又はカム面24によって作動されたときは、約1mm〜約4mmずれてもよい。勿論、他の実施形態では、破裂要素又は破裂要素の可動部分は、揮発性組成物容器の壁部及び/又は揮発性組成物容器の破裂可能な封止を破裂するとき、穿孔するとき、穿刺するとき、任意の適した距離を移動することができる。この動作の結果として、揮発性組成物は、蒸発のために、揮発性組成物ディスペンサ10の膜上に分配され、滴下され、又はこれに流される(又は所望による吸上作用を次いで膜に)。揮発性組成物容器、揮発性組成物、破裂要素、及び膜は、以下において更に詳細に記載される。
【0024】
非限定的な一実施形態では、図2、3、5、6、8、及び10を参照して、取り付け部分22が作動され、カム20を第2の作動された位置へ、枢動する、及び/又は回転すると、取り付け部分22は、外側シェル14の第2の、又は底部分から延びる所望の留め具30と係合することができる。留め具30は、スロットと、溝と、突出部31と、開口部等と、取り付け部分22上で係合して、取り付け部分22を、カム20が第2の作動位置にある定位置に保持するように構成されてもよい。留め具30はまた、揮発性組成物ディスペンサ10の使用中に、外側シェル14に対して、取り付け部分22が移動する、枢動する、及び/又は回転する機会を防ぐ、阻害する、又は少なくとも最小限にしてもよい。
【0025】
揮発性組成物ディスペンサ10を顧客若しくはユーザーへ送達すると、取り付け部分22は、カム20及びカム表面24が第1の非作動位置にあるように、かつ、揮発性組成物ディスペンサ10内の破裂若しくは穿孔部材を有する穿刺部材に、又は要素(本明細書では、合わせて「破裂要素」と呼ばれる)に力を適用しないように、取り付け部分22を配置することができる。他の実施形態では、カム20及びカム面24が、十分な所定の力を破裂要素に適用して、例えば、揮発性組成物容器に取り付けられた揮発性組成物容器若しくは破裂可能な封止若しくは壁を破裂させる若しくは穿孔しないように、取り付け部分22は配置され得る。よって、揮発性組成物容器は、破裂されていない又は穿孔されてないままであってもよく、これによって、顧客が使用する前に及び/又はカム20が第2の作動位置へ移動する前に、揮発性組成物が蒸発する及び/又は揮発性組成物容器を滲出する、防止する、又は少なくとも減少させる。
【0026】
1つの非限定的な実施形態では、図6を参照して、揮発性組成物ディスペンサ10の様々な構成要素の分解斜視図が図示されている。図示されているように外側シェル14は、少なくとも1つの出口通気孔18と、少なくとも1つの入口通気孔16を含む第2部分34を含む、第1部分32を含むことができる。当業者は、例えば、外側シェル14の少なくとも部分、例えば第2部分34の部分が排除され得、揮発性組成物ディスペンサ10は依然として正常に機能することができるということを理解するであろう。一実施形態では、外側シェル14の第1部分32は、第2部分34に枢動可能に取り付けられ、スナップ嵌めされ、プレス嵌めされ、ないしは別の方法で、これに係合する又は取り付けるように構成され得る。取り付け部分22は、第2部分34に対して、取り付け部分22が移動する、枢動する、及び/又は回転するのを可能にするために、ピン26を使用して、第2部分34上で、少なくとも1つのラグ36に取り付けられてもよい。外側シェル14第1部分32は、外側シェル14の第2部分34に枢動可能に、又は回転可能に取り付けられ、2つの部分32及び34は、ヒンジによって、例えば他の適した回転可能若しくは枢動可能な部材によって接続されてもよい。
【0027】
1つの非限定的な実施形態では、図6を更に参照して、揮発性組成物ディスペンサ10の様々な構成要素は、少なくとも1つの揮発性組成物40(図6には図示されていない)を内部に収容するように構成される揮発性組成物容器38と、揮発性組成物容器38内の揮発性組成物40の少なくとも大半を維持するために、揮発性組成物容器38の一部分を被覆するように構成された所望により破裂可能な封止部42とを含むことができる。揮発性組成物容器38は、剛性又は可撓性材料から構成されてもよい。揮発性組成物ディスペンサ10は、外側ハウジング46と、外側ハウジング46内に少なくとも部分的に配置された移動可能な部分48を含む、破裂要素44を更に含むことができる。更に、揮発性組成物ディスペンサ10はまた、膜50(例えば通気性膜又は微多孔膜)を含むこともできる。これらの様々な構成要素の少なくともいくつかは、外側シェル14内に少なくとも部分的に配置され得、例えば、接着剤封止、熱封止、誘導封止、圧力封止、超音波接合、クリンプ、及び/又は任意の他の適した封止方法又は封止化合物を使用して、互いに封止可能に係合され得る破裂可能な、穿孔可能な、及び/又は揮発性組成物容器38の破裂可能な壁(図示せず)、及び/又は破裂可能な封止部42が、破裂要素44によって破裂される、又は穿孔されるときに、様々な構成要素は、一緒に封止されて揮発性組成物40が、揮発性組成物容器38から滲出する又は流出することができ、これによって揮発性組成物40は、膜50から漏れることなく、かつ揮発性組成物ディスペンサ10の構成要素の封止部の間から洩れることなく、膜50で蒸発のために受容され得る。一実施形態では、破裂可能な封止部42は、供給されなくてもよく、破裂要素44は、揮発性組成物容器38の壁又は他の部分(本明細書では「壁」)を破裂させる、又は穿孔することができる。勿論、一実施形態では、壁及び破裂可能な封止部42の両方は、破裂要素44によって破裂されてもよく、又は穿孔されてもよい。破裂要素44は、ポリオレフィン(例えばポリエチレン(PE)又をポリプロピレン(PP))、ポリエステル、あるいは成形に好適であると周知の他の塑性体を使用して注入成形、圧縮成形、圧力成形されてもよい。一実施形態では、破裂要素44は、望まれない、又は要求されていない部分を取り除く、別個の切断工程を伴って、熱成形によって作製されてもよい。
【0028】
上記に加えて、1つの非限定的な実施形態では、更に図6を参照して、壁部は、揮発性組成物40を、それが膜50内に放出されるまで、揮発性組成物容器38内に少なくとも部分的に維持して、揮発性組成物40の蒸発を防ぐ、阻止する、又は少なくとも低減するように構成され得る。壁部は、穿刺され、穿孔され、及び/又は破裂されるように破裂要素44によって構成され得る。一実施形態では、揮発性組成物容器38は、破裂可能な封止部42と封止可能に、ないしは別の方法で係合するように構成されるフランジ39を所望により含む、1つの開放側部を備える。破裂可能な封止部42は、接着剤の層、熱、及び/又は圧力封止、超音波接合、クリンプ等、又はこれらの組み合わせによって、フランジ39と封止される又は係合され得る。かかる実施形態では、破裂可能な封止部42は、揮発性組成物40を、それが膜50上に放出されるまで、揮発性組成物容器38内に少なくとも部分的に維持して、揮発性組成物40の蒸発を防ぐ、阻止する、又は少なくとも低減するように構成され得る。破裂可能な封止部42は、接着剤、熱、圧封止、超音波接合、クリンプ及び/又は他の適した封止方法を使用して、揮発性組成物容器38の任意のフランジ39に取り付けられてもよい。他の実施形態において、破裂可能な封止部42は、例えば、揮発性組成物容器38と一体設計されてもよい。一実施形態では、破裂可能な封止部42は、破裂可能な基材、例えば可撓性箔を含んでもよい。
【0029】
上記に加えて、1つの非限定的な実施形態では、破裂可能な封止部42は、十分な力又は所定の力の適用で破裂させる又は破壊する任意の材料で、あるいは、そのような破裂に役立つ要素の存在で又はこのような存在がなく、破裂させる又は破壊する任意の材料で構成され得る。破裂可能な封止部42は、揮発性組成物40を揮発性組成物容器38内に収容するのを意図されており、その一方で揮発性組成物容器38又は揮発性組成物ディスペンサ10は保管されているため、破裂可能な封止部42は、使用前の揮発性組成物40の蒸発を防ぐ、又は少なくとも最小限にする任意のバリア材料から作製され得る。そのような材料は、蒸気及び液体に対して不透過性であり得、又は少なくとも実質的に不透過性であり得る。破裂可能な封止部42に好適なバリア材料は、可撓性フィルム、例えばポリマーフィルム、可撓性箔、及び/又は例えば、箔/ポリマーフィルム積層体などの複合材料を含み得る。好適な可撓性箔には、例えばニトロセルロース保護ラッカー、20マイクロメートルのアルミホイル、ポリウレタンプライマー、及びAlcan Packagingから入手可能な15g/m2のポリエチレンコーティング(Lidfoil 118−0092)から構成される箔などの金属箔を含む。破裂可能な封止部42の代替組成物は、PEコーティング/Al箔/PEコーティング又はPPフィルム/Al箔/PEコーティングを含むことができる。破裂要素44がPPから構成される場合では、それは例えば破裂可能な封止部42のPP面に封止されてもよい。破裂要素44が、高密度ポリエチレン(HDPE)で構成される場合では、次いで破裂可能な封止部42上のPEコーティングは、例えば、破裂要素44の破裂可能な封止部42への熱封止を助けるために、HDPEであってもよい。いずれの事象においても、そこに破裂可能な封止部42が取り付けられる任意の構成要素(例えば、破裂可能な要素44又は揮発性組成物容器38)に容易に封止する、破裂可能な封止部42上に熱封止コーティングを有するのは好ましい場合がある(例えばPEに対するPE、PPに対するPP、及びHDPEに対するHDPE)。一実施形態では、好適なポリマーフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、アクリロニトリルコポリマーバリアフィルム(例えば、INOESによって商標Barex(登録商標)のもとで販売されているものなど)エチレンビニルアルコール、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。コーティングされたバリアフィルムは、破裂可能な封止部42として利用され得るということが想到される。かかるコーティングされたバリアフィルムは、金属化ポリエチレンテレフタレート(PET)、金属化ポリプロピレン、シリカ、及び/又はアルミナコーティングされたフィルムを含むことができる。いずれかのバリア材料は、コーティングされていようとコーティングされていないに関わらず、単独で、及び/又は他のバリア材料との組み合わせのいずれかで使用されてもよい。
【0030】
一実施形態では、揮発性組成物容器38は、揮発性組成物40を含有する又は含む、約0.5mL〜約8mLの液体及び/若しくはゲルを含むことができる。他の実施形態において、揮発性組成物容器38は、例えば、約1mL〜約6mL、約1mL〜約4mL、約2mL、又は約4mLを含むことができる。勿論、揮発性組成物40の任意の他の好適な体積は、本開示の範囲内であり、揮発性組成物容器38と共に使用され得る。一実施形態では、揮発性組成物容器38は、2つ以上の揮発性組成物容器を含むことができ、それぞれの容器は、異なる揮発性組成物、材料、及び/又は化学物質を内部に有する。揮発性組成物容器のそれぞれは、例えば1つ以上の破裂要素によって破裂されてもよい。他の実施形態において、揮発性組成物容器は、単一の揮発性組成物容器を含むことができるが、容器は2つ以上のチャンバを有してもよく、それぞれのチャンバは、例えば異なる揮発性組成物、材料、及び/又は化学物質を収容する。様々な実施形態では、1つ以上の揮発性組成物、化学物質、及び/又は材料が提供されるところでは、破裂要素が活性化されるとき、又はその後、揮発性組成物、材料、及び/又は化学物質はそれぞれ混合されるように構成されてもよい。
【0031】
1つの非限定的な実施形態では、ユーザーが手動で破裂可能な封止部42を破壊する、又は取り付け部分22を使用して、比較的容易に壁部を破壊するように、破裂要素44は、任意の方式で又は任意の向きに構成されてもよい。様々な実施形態では、破裂要素44の外側ハウジング46の第1側部又は表面54は、壁部のうちの1つの外側部分及び破裂可能な封止部42と封止可能に係合されてもよく、これによって、破裂要素44の可動部分48が、壁部又は破裂可能な封止部42のいずれかと係合して、壁部又は破裂可能な封止部42を穿孔する、穿刺する、及び/又は破裂させることによって、揮発性組成物容器38からの、揮発性組成物40の放出を可能にする。外側ハウジング46の第2側面又は表面56は、本明細書に記載の様々な封止技法(例えば、熱封止、超音波封止、接着剤封止)を使用して、膜50と封止可能に係合されてもよい。
【0032】
上記で参照されたように、再び図6を参照して、破裂要素44の可動部分48は、外側ハウジング46に取り付けられてもよく、外側ハウジング46に開放可能に取り付けられてもよく、及び/又は外側ハウジング46内に単に配置されるが、それに取り付けられなくてもよい。一実施形態では、以下により詳細に記載されるように、可動部分48は、少なくとも1つの付勢部材60を介して、外側ハウジング46に取り付けられてよい。可動部分48は、可動部分48上の可動部分48及び/又はいずれか他の位置の外側周辺部の近位に位置決めされた少なくとも1つの、又は複数の穿刺部材58を含むことができる。穿刺部材58の先端部62及び/又は穿刺部材58自体は、壁部及び破裂可能な封止部42の内の1つの開口部又はクラックを穿刺する、破裂する、穿孔する、揮発性組成物40が膜50内に放出されて蒸発するように構成され得る。一実施形態では、外側ハウジング46は、可動部分48に向かって内側に延びる環状のリップ(図示せず)を含むことができる。かかる実施形態では、可動部分48は、外側ハウジング46に取り付けられなくてもよい。その外側周辺部に近位である可動部分48の一部分は、可動部分48に力を適用すると、リップと係合し、全体の可動部分48が、破裂可能な封止部42又は壁部を通って押される機会を防ぐ、阻害する、又は少なくとも最小限にすることができる。代わりに、少なくとも1つの穿刺部材58又は少なくとも1つの穿刺部材58のリップ62が、破裂可能な封止部42及び/又は壁部を穿孔してもよい。
【0033】
1つの非限定的な実施形態では、更に図6を参照して、複数の穿刺部材58は、可動部分48の外側周辺部に位置決めされ得、よって、どの方向に揮発性組成物ディスペンサ10があろうとも、壁部又は破裂可能な封止部42の最も低い部分は、破裂され得、所望により、壁部又は破裂可能な封止部42における他の破裂に加えて、揮発性組成物40が揮発性組成物容器38から容易に流出することができるようにする。一実施形態では、揮発性組成物容器38は、揮発性組成物容器38の任意の方向において、最も高い部分及び最も低い部分を含んでもよい。壁部における、又は破裂可能な封止部42における破裂は、最も低い部分に近位に配置され得、ほとんどの揮発性組成物40が揮発性組成物容器38から流出することができるようにする。様々な実施形態では、2〜10の穿刺部材58は、可動部分48の外側周辺の近位に、あるいは4〜8、あるいは6、及びあるいは4は近位に配置され得る。可動部分48のほぼ外側周辺に、又はこれの近位に位置決めされた複数の穿刺部材58を提供することによって、少なくともの1つの穿刺部材58は、揮発性組成物容器38の最も高い部分に対して最も低い点において、又は実質的に最も低い点において、壁部又は破裂可能な封止部42を破裂することができる。したがって、揮発性組成物容器内の液体揮発性組成物40の少なくとも大半は、揮発性組成物40にかかる重力によって、揮発性組成物容器38を滲出することができる。他の実施形態において、揮発性組成物容器38の向きによって、壁部又は破裂可能な封止部42の他の好適な穿刺領域が好適であってもよい。例えば、一実施形態では、壁部又は破裂可能な封止部42の中間部分が穿刺されてもよい。
【0034】
壁部又は破裂可能な封止部42を破壊する、破裂させる、穿孔する及び/又は穿刺するために適用される好適な所定の力は、例えば、約100N、あるいは約60N、あるいは約50N、あるいは約25N,あるいは約15〜25N、あるいは約20N、あるいは約15N未満、及びあるいは約10N未満であってもよい。所定の力は、例えば、膜50、破裂要素44、穿刺部材58の数及び設計、及び/又は破裂可能な封止部42の組成物及び/又は厚さ、又は揮発性組成物容器10の外側シェル14内の壁部の物理的特性及び配置によって変化し得るということを、当業者は理解するであろう。
【0035】
揮発性組成物容器10の動作の一実施形態では、図10を参照して、カム20が第1の、非作動位置から第2の作動位置まで移動されるとき、カム20のカム面24は、外側シェル14の第2部分34における凹部28を少なくとも部分的に通って位置決めされ得、かつ第1に膜50に接触し、それを破裂要素44の方向へ押す。破裂要素44の可動部分48は、次いで外側ハウジング46に対して移動することができ、これによって穿刺部材58は揮発性組成物容器38の壁部若しくは破裂可能な封止部42と係合することができ、これによって壁部若しくは破裂可能な封止部42を穿刺又は穿孔し、膜50上に揮発性組成物40を放出し、又は例えば膜50と接触する吸上部上に揮発性組成物40を放出する。よって、膜50は、カム面24によって押されたときに、破壊することなく、一同するのに十分なほど弾性であり、可撓性であってもよい。一実施形態では、カム面24は、例えば約1mm〜約4mm、破裂要素44を移動することができる。一実施形態では、破裂要素44の外側ハウジング46は取り除かれ得、破裂可能な封止部44は、例えば可動部分48を含むことができる。
【0036】
一実施形態では、膜50は、通気性部分又は微多孔性部分(すなわち、空気又は他の気体がそれを通って流れることができる)含むことができる。通気性膜50は、空気又は上記透過性であってもよく、更に、膜50からの又はこれを通る液体又はゲルの自由流を防ぐ、阻害する、又は少なくとも最小限にすることができ、よって漏れの問題を解決する。微多孔膜は、通気性膜の特性を含み、また液体を吸上げることもできる。更に、微多孔膜は、少なくとも1つの揮発性組成物40の拡散を、ポリマーを通る揮発性組成物40の拡散速度によって、液体組成物40の蒸発によって制御されるのを可能にすることができる。膜50は、壁部又は破裂可能な封止部42が破壊又は穿刺されるまで、揮発性組成物40から遮断されているために、膜50が揮発性組成物40によって完全に湿潤したとき、蒸発した揮発性組成物又は芳香剤の強度は、ゼロからその均衡比率までゆっくりと作ることができる。
【0037】
一実施形態では、膜50は、香料又は芳香剤材料など、より揮発性でない組成物を後に残して限定された選択性を有することができる。従来のポリエチレンなど選択性の膜は、高分子量の揮発性組成物、及びポリエチレン内に低い溶解性を有する組成物が、それを通って拡散するのを阻害する場合がある。これは、例えば、異なる揮発度を有する多種多様の揮発性組成物を有する製剤を使用することが一般的に望ましいエアフレッシュの分野において、香料製剤を制限する場合がある。一実施形態では、例えば、いくつかの膜は、香料の適用において広く使用される、リナロール及びジヒドロミルセノールなどのアルコールの拡散を防ぐ場合がある。
【0038】
特定の理論に束縛されるものではないが、膜50の物理的特性は、膜50を通る揮発性組成物40の拡散速度に影響を及ぼす場合がある。かかる特性は、例えば、使用される材料、孔径、厚さ、及び蒸発性表面積を含むことができる。
【0039】
例えば微多孔膜などの膜50は、例えば、約0.01マイクロメートル〜約0.06マイクロメートル、あるいは約0.01マイクロメートル〜約0.05マイクロメートル、あるいは約0.01マイクロメートル〜約0.04マイクロメートル、あるいは約0.01マイクロメートル〜約0.03マイクロメートル、あるいは約0.02マイクロメートル〜約0.04マイクロメートル、及び、あるいは例えば約0.02マイクロメートルの平均孔径を有することができる。
【0040】
1つの非限定的な実施形態では、膜50は、任意の好適な充填剤及び当該技術分野において既知の可塑剤で充填されてもよい。充填剤は、超微粒子状シリカ、粘土、ゼオライト、炭酸塩、炭、及びこれらの混合物を含んでもよい。様々な実施形態では、膜50は、シリカの総重量の約50〜約80%、あるいは約60%〜約80%、あるいは約70%〜約80%、及びあるいは例えば約70%〜約75%で充填されてもよい。更に、一実施形態では、膜50は、約0.01mm〜約1mm、あるいは約0.1mm〜約0.4mm、あるいは約0.15mm〜約0.35mm、あるいは例えば約0.25mmの厚さを有してもよい。
【0041】
例えば、揮発性組成物ディスペンサ10及び/又は外側シェル14の、ユーザーの好む寸法によって、膜50の表面積は、様々であってもよいということを当業者は理解するであろう。いくつかの例示の実施形態では、膜50の蒸発表面積は、例えば、約0.25cm2〜約100cm2、あるいは約0.25cm2〜約50cm2、あるいは約0.5cm2〜約25cm2、あるいは約0.5cm2〜約10cm2、あるいは約0.5cm2〜約6cm2、及び、あるいは約0.75cm2〜約3cm2であってもよい。
【0042】
1つの非限定的な実施形態では、図3、6、10を参照して、膜50の蒸発表面積は、バリアフィルム72(すなわち、実質的に気体又は液体を透過しないフィルム、コーティング、及び/又は材料)を封止することによって、あるいはこれを膜50の一部分に取り付けて、膜50の蒸発表面積を低減し、例えば揮発性組成物40の、より制御された及び/又はよりゆっくりとした蒸発をもたらすることによって修正されてもよい。一実施形態では、バリアフィルム72は、カム20のカム面24が、例えば、少なくとも部分的に、膜50上のバリアフィルム72に係合することができ、かつ膜50自体には係合しないように、膜50上に配置されてもよい。カム面24によるバリアフィルム72のこのような係合は、カム面24が、膜50に所定の力を適用したときに、カム面24によって、膜50に損傷が引き起こされるリスクを防ぐ、阻止する、又は少なくとも低減する。少なくともカム面24が膜50に係合し得る膜50上にバリアフィルム72を提供することによって、膜50の漏れは阻止される、又は少なくとも最小限にされ得る。一実施形態では、バリアフィルム72は、例えば、PE熱封止コーティングを備えるPETフィルムから構成されてもよい。バリアフィルム72は、ダイカットされて、例えば約50%の開放領域を有してもよく、PE熱封止コーティングは、膜50に熱封止積層されて、例えば約50%、膜50の蒸発表面積を効果的に低減してもよい。一実施形態では、バリアフィルム72は、膜50と同じ寸法又は外周部を含んでもよく、かつ膜50の蒸発表面積を低減するための開口部を内部に有してもよい。他の実施形態では、バリアフィルム72は、膜50よりも小さい寸法又は外周部を有することができ、内部に開口部を有してもよく、又は有さなくてもよく、これによって、例えばバリアフィルム72によって被覆されていない膜50の一部分を残す。勿論、バリアフィルムは、本開示の他の実施形態及び膜と共に使用されてもよいが、特にそれと共には参照されてはいない。
【0043】
好適な非限定的な膜50は、米国特許第7,498,369号に記載されるように、所望によりシリカで充填された微多孔性、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含んでもよい。かかるUHMWPE膜は、Daramicから入手可能なDaramic(商標)V5、DSM(Netherlands)から入手可能なSolupor(登録商標)、及びPPG Industriesから入手可能なTeslin(商標)HD 1100を含むことができる。これらの膜は、揮発性組成物40が自由に消散できるようにし、一方で、揮発性組成物ディスペンサ10内に液体揮発性組成物40を収容することができると考えられる。
【0044】
他の好適な膜は、任意の透過性のポリマー、熱可塑性、又は熱硬化性の材料から作製されてもよく、単独で、共押出の、織布若しくは不織布の、エラストマー、ゴム、固体、シリカ、及びこれらの組み合わせと混合された又は組み合わされたアセタール、アクリル系、セルロース系、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニル、ポリオレフィン、スチレン系などが挙げられる。また、好適なのはポリウレタンフィルム、例えば、Dupontから入手可能なHytrel(商標)、Arkemaから入手可能なLotryl(商標)、及び例えば低密度ポリエチレンフィルムなど、揮発性組成物の良好な拡散を可能にするフィルムである。他の実施形態において、任意の他の好適な多孔若しくは無孔の膜又はフィルムは、揮発性組成物ディスペンサ10と共に使用され得る。
【0045】
1つの非限定的な実施形態では、膜50は、これに接触して耐用期間の終了を示す、揮発性組成物40の量に敏感な染料を含んでもよい。あるいは、膜50は、芳香剤又は揮発性組成物40に接触したときに変化して、拡散が発生しているということを示すことができる。当該技術分野において既知である耐用年数の終了を示すための他の手段が、本開示の範囲内で想到される。
【0046】
上記に加えて、図10〜12を参照すると、破裂要素44の実施形態が更に詳細に図示されている。穿刺部材44は、外側ハウジング46、及び内部に位置決めされた、少なくとも1つの穿刺部材58を有する可動部分48を含むことができる。一実施形態では、可動部分48は、可動部分48と外側ハウジング46との間に延びることができる少なくとも1つの付勢部材60によって外側ハウジング46に取り付けられてもよい。少なくとも1つの付勢部材60は、可動部分48と通常付勢するように構成され、かつ少なくとも1つの穿刺部材58がその上に壁部又は破裂可能な封止部42から離れて、配置され、穿刺部材58が破裂可能な部材58が、事前に破裂可能な封止部42又は壁部を破裂させる、又は穿孔し、揮発性組成物40の事前の蒸発につながる機会を防ぐ、阻止する、あるいは少なくとも低減するように構成され得る。一実施形態では、図10を参照して、カム面24が可動部分48に所定の力を適用したときに、少なくとも1つの付勢部材60は、曲げる、屈折する、又は伸張することができる。他の実施形態では、少なくとも1つの付勢部材60は、カム面24が、所定の力を可動部分48に適用したとき、可動部分48が破裂可能な封止部42又は壁部の方向へ移動させることができる、破壊できる壊れやすい部分を含むことができる。当業者は、少なくとも1つの付勢部材60は、ばね、壊れやすい要素若しくは材料、伸縮部材、弾性部材、プラスチック材料、弾性材料、可撓性材料、伸縮性材料、及び/又は他の好適な部材若しくは材料を含むことができるということを理解するであろう。図10に図示されたように、可動部分48はまた、カム面24が所定の力をそれに適用したときに、上方に、所望により弓形に、破裂可能な封止部42の方向へ、又は壁部の方向へ上向きに曲がる、伸張する、又は屈折することができる。
【0047】
1つの非限定的な実施形態では、少なくとも1つの付勢部材60の使用によって、少なくとも1つの穿刺部材58は、所定の力が、カム面24によって可動部分48に適用されたときに、少なくとも1つの穿刺部材58は、破裂可能な封止部42若しくは壁部を通って、この中に、かつ少なくとも部分的に配置され得る。次いで、少なくとも1つの穿刺部材58は、少なくとも1つの付勢部材60のおかげで、破裂可能な封止部42若しくは壁部との接触から少なくとも部分的に引っ張られ、揮発性組成物40が、破裂可能な封止部42若しくは壁部において作製された開口部を通って流出するのを可能にすることができる。他の実施形態において、カム20、カム面24、及び/又は取り付け部分22の枢動部(ピン26の周囲)は、カム面24は膜50に力を適用し、破裂要素44が破裂要素44の少なくとも一部分を、例えば約1mm〜約4mm、破裂可能な封止部42の方向に移動させ、破裂可能な封止部42を穿刺させるように構成され得る。カム面24が所定の力を膜50及び破裂要素44にもはや適用せず、カム面24が最終的に作動され、完全に配置され、及び/又はラッチ位置に移動されるように、カム面24は、次いで膜50との接触から後退する。
【0048】
1つの非限定的な実施形態では、収集ボウル(図示せず)が、膜50の近位に配置されて、液体揮発性組成物40が、膜50によって受容される前に、揮発性組成物容器38から分配された液体又はゲルの揮発性組成物40を収集してもよい。収集ボウルは、更に、実質的に更に、及び/又は液体若しくはゲルの揮発性組成物40の、膜50上への一定の分布を提供することができる。収集ボウルは、適した終了で、膜50の上に、液体又はゲル揮発性組成物40が蒸発のために均一に分布されるのを可能にする任意の好適な構成及び/又は向きを有することを当業者は理解するであろう。
【0049】
1つの非限定的な実施形態では、再び図6を参照して、揮発性組成物カートリッジ70(分解図に図示されている)は、揮発性組成物ディスペンサ10又は他の適した揮発性組成物ディスペンサと共に使用するために提供されてもよい。一実施形態では、揮発性組成物カートリッジ70は、少なくとも1つの揮発性組成物40を内部に含む揮発性組成物容器38を含むことができる。揮発性組成物カートリッジ70はまた、破裂要素44も含むことができ、これは揮発性組成物容器38に近接して位置決めされ、揮発性組成物容器38と封止可能に係合され得る。他の実施形態では、揮発性組成物カートリッジ70は、破裂可能な封止部42又は揮発性組成物容器38と封止可能に係合された箔を更に含むことができる。この破裂可能な封止部42又は箔は、破裂要素44が作動すると、破裂要素44によって、破壊され、破裂され、穿孔され、又は穿刺されてもよい。更に、揮発性組成物カートリッジ70は、破裂要素44に近接して位置決めされる膜50を含むことができる。膜50は、例えば所望のバリア層72に取り付けられ得る。一実施形態では、破裂要素44は膜50の一部分(a portion a portion)と封止可能に係合されてもよい。よって、破裂要素44は、揮発性組成物ディスペンサ10のカム20の作動によって、揮発性組成物容器38内に開口部を作製し、揮発性組成物容器38から揮発性組成物40を蒸発のために膜50の上に放出するように構成され得る。揮発性組成物容器、破裂可能な封止部、破壊要素、及び膜の他の実施形態が、上記の様々な例示の構成要素の代わりに、又はこれに加えて、揮発性組成物カートリッジ70内に含まれてもよいということを当業者は理解するであろう。
【0050】
その耐用年数の終わりに到達したとき、又はユーザーが異なる香り、芳香剤等が、揮発性組成物ディスペンサによって分配されるのを望む場合、ユーザーは、揮発性組成物カートリッジ70を交換することができる。揮発性組成物カートリッジ70を交換するために、ユーザーは、例えば、第1部分32から外側に第2部分34を回転することによって、あるいは他の実施形態では、別の方法で、外側シェル14の第1部分32を、外側シェル14の第2部分34から分離する(例えば、引き離す)ことによって、外側シェル14を開けることができる。ユーザーは、次いで、新しい揮発性組成物カートリッジ70を外側シェル14内に挿入し、次いで、外側シェル14の第1部分32及び第2部分34を再度締めることができる。そのような方式で、ユーザーは例えば、外側シェル14、取り付け部分22、及びカム20を再利用することができ、かつ揮発性組成物カートリッジ70を単に交換することができる。
【0051】
一非限定的な実施形態では、図13〜15を参照して、揮発性組成物ディスペンサ110は、外側ハウジング146と、少なくとも1つの穿刺部材158をその上に有する可動部分148を含む、破裂要素144を含むことができる。可動部分148は、外側ハウジング146内に位置決めされ得るが、外側ハウジング146に取り付けられなくてもよい。よって、可動部分148は、外側ハウジング146内で本質的に浮動性であり得る。外側ハウジング146は、破裂可能な封止部42への封止された取り付け用に構成された第1側部又は表面154、あるいは、膜50への封止された取り付けとして構成された壁部及び表面156の第2側面を含むことができる。本実施形態に使用される封止方法は、他の実施形態に関して本明細書に記載されているものと同じであってもよい。一実施形態では、少なくとも1つの穿刺部材158が破裂可能な封止部42又は揮発性組成物容器38の壁部を事前に穿刺する機会を防ぐ、阻止する、又は少なくとも最小限にするために、少なくとも1つの穿刺部材158は、破裂可能な封止部42と係合するように構成された丸い先端部162を含むことができる。かかる実施形態では、丸い先端部162は、十分な所定の力が、カム面24によって、又は他の好適な作動装置によって、可動部分148に適用されない限り、破裂可能な封止部42を穿刺させる、又は穿孔させない場合がある。他の実施形態では、十分な所定の力の下で、変形及び/又は圧縮され得る、例えば、ポリオレフィン若しくはポリウレタンなどの変形可能若しくは圧縮可能材料164は、破裂可能な封止部42若しくは壁部の中間に、及び、破裂可能な封止部42又は壁部から離れる可動部分148を通常付勢するための可動部分148の少なくとも一部分に位置決めされ得るが、しかし、更に少なくとも1つの穿刺部材158が、カム面24が可動部分148に十分な所定の力を適用するとき、所望により、変形可能若しくは圧縮可能材料164を通って、破裂可能な封止部42若しくは壁部を穿刺又は穿孔できるようにする。十分な所定の力は、上記の力の範囲内であってもよく、あるいは他の力範囲を含んでもよい。勿論、変形可能若しくは圧縮可能材料164は、少なくとも1つの穿刺部材158が、例えば変形可能若しくは圧縮可能材料164を通って穿刺する必要なく、破裂可能な封止部42若しくは壁部を穿刺できるように、可動部分148及び破裂可能な封止部42若しくは壁部の中間部分に位置決めされ得る。図13〜15には図示されていないが、上記のバリアフィルム72が、上記と同じ方式で図13〜15の様々な実施形態と共に使用され得るということが理解される。
【0052】
1つの非限定的な実施形態では、図15を参照して、揮発性組成物ディスペンサ110の分解図が図示されている。揮発性組成物ディスペンサ110は、少なくとも1つの揮発性組成物を内部に収容する揮発性組成物容器38を含むことができる。揮発性組成物ディスペンサ110は、破裂可能な封止部42、破裂要素144、膜50、及び所望の吸上部170を含むことができる。揮発性組成物ディスペンサ110はまた、第1部分32及び第2部分134を有する外側シェル114を含むこともできる。更に、揮発性組成物ディスペンサ110は、カム面24を含むカム20を含む取り付け部分22を含むことができる。一実施形態では、図14及び15を参照して、変形可能若しくは圧縮可能材料164は、破裂要素144及び/又は破裂要素144の可動部分148と、揮発性組成物容器38の壁部及び破裂可能な封止部42のうちの1つ、及び破裂可能な封止部42の中間に少なくとも部分的に配置され、破裂要素144の可動部分148が潜在的に壁部及び破裂可能な封止部42の方向へ移動し、破裂可能な封止部42若しくは壁部を事前に穿刺する可能性を防ぐ、阻止する、又は少なくとも最小限にする。特に指示がない限り、本明細書では、上記で使用された参照番号と対応する参照の数は、上記に記載されたものと同じものとして、又は実質的に同じものとして、解釈され得る。
【0053】
1つの非限定的な実施形態では、図15を参照して空気流調節部材が、揮発性組成物ディスペンサ110の少なくとも1つの通気孔の上に配置するように構成されてもよい。一実施形態では、空気流調節部材166は、外側シェル114の第2部分134上に、又はこれと共に位置決めされてもよい。空気流調節部材166は、第2部分134内の少なくとも1つの入口通気孔116の上を又は完全に上を少なくとも部分的に移動するように構成され得る。一実施形態では、空気流調節部材166は、そこから延びる2つのレール(図示されず)を含むことができ、これはスロット若しくはトラック168と、外側シェル114の第2部分134で係合することができる。結果として、空気流調節部材166は、第1部分からトラック168に沿って摺動若しくは移動することができ、ここでは、それは少なくとも1つの入口通気孔116、及び第2部分(それが、少なくとも1つの入口通気孔116の少なくとも一部分を少なくとも部分的に被覆する)を被覆しない。他の実施形態において、空気流調節部材は、第1位置(それが、入口通気孔116及び/又は出口通気孔118の全てを被覆されない)と、第2位置(それが少なくとも入口通気孔116及び/又は出口通気孔118の全てを揮発性組成物ディスペンサ110上で被覆する)の間を移動するように構成され得る。他の好適な空気流調節部材が、本開示と共に使用されてもよく、並びに揮発性組成物ディスペンサ110を通る適切な空気流のために必要とされるとき、空気流調節部材166が、入口通気孔116及び/又は出口通気孔118上に提供され得るということを当業者は理解するであろう。
【0054】
空気流調節部材166又は他の空気流調節部材を提供することによって、ユーザーは、揮発性組成物ディスペンサ110を通った空気流を調節することができ、これによって、揮発性組成物ディスペンサ110によって揮発性組成物ディスペンサ110を包囲する大気に分散された、蒸発した揮発性組成物の量を調節する。この特徴は、揮発性組成物ディスペンサ110を様々な個人の好みに本質的に「カスタマイズする」能力を顧客に与える。通気孔の全てが被覆されていない場合、より多くの空気が揮発性組成物ディスペンサ110を通って流れることができ、これによってより多くの芳香剤、悪臭処理剤等を、揮発性組成物ディスペンサ110を包囲する大気に提供する。通気孔の少なくともいくつかは被覆される場合、ディスペンサ110を通って、より少ない空気が流れることができ、これによって、より少ない芳香剤、悪臭処理剤等を揮発性組成物ディスペンサ110を包囲する大気に提供する。
【0055】
図19を参照して、空気流調節部材を有する揮発性組成物ディスペンサ310の非限定的な実施形態が示されている。揮発性組成物ディスペンサ310は、強度ダイヤル部材300含み、これは蒸発開口部320を閉鎖し、開放する強度ダイヤル要素330を、顧客が押すことによって強度ダイヤル要素300を回転できるようにする。蒸発開口部320が完全に開いた位置に、完全に閉じた位置に、又はそれらの間の任意の位置にあり得るように、顧客は強度ダイヤル要素330を調節する能力を有する。例えば、顧客が、より少ない芳香剤の放出を望むとき、蒸発開口部320は、例えば完全に閉じた位置にあってもよい。あるいは、芳香剤の最大の放出を顧客が望む場合、強度ダイヤル要素300は、蒸発開口部320が完全に開いた位置にあるように回転され得る。
【0056】
1つの非限定的な実施形態では、図14及び15を参照して(同様に他の実施形態に適用可能ではあるが)、吸上部170は、破裂要素144と膜50との間に提供され、膜50の実質的に一定の湿潤を促進することができる。本明細書に記載の揮発性組成物ディスペンサの他の好適な領域に、例えば破裂要素144と破裂可能な封止部42の間などに、他の吸上部も提供されてもよい。一実施形態では、吸上部170は、それが、膜50と破裂要素144との間の封止を干渉しない、又は実質的に干渉しないように、寸法又は外周部において膜50よりも小さくてもよい。様々な実施形態では、揮発性組成物容器38から揮発性組成物40が初めて放出されてから、揮発性組成物ディスペンサの耐用年数の終わりまで、吸上部170の一部分は、膜50と接触して、膜50を少なくとも大半が、液体揮発性組成物40で湿潤されたまま保つのに役立つことができる。吸上部170は、膜50に対して隣接してもよく、吸上部170は、揮発性組成物40の一定の供給を膜50に提供することができる。吸上部170の結果として、膜50からの揮発性組成物40の蒸発は、少なくともいくらか一定であり、揮発性組成物ディスペンサの耐用年数にわたって連続していることができる。吸上部170は、当業者に既知の任意の好適な吸上部又は吸上部材(Porexから入手可能な多孔質ポリオレフィンプラスチックウィック及び/又は、例えばFiltronaから入手可能な繊維系ポリオレフィン又はポリエステル吸上部)で構成され得る。あるいは、一実施形態では、Fiberwebから入手可能な、約5グラム〜約100グラムの坪量を有する、任意の熱可塑性樹脂スパンボンド不織布材料も、使用されてもよい。他の既知の吸上部の形体、材料、及び/又は向きもまた、使用されてもよく、本開示の範囲内であるということを当業者は理解するであろう。他の様々な実施形態では、膜50は、微小多孔性材料の小さな孔径のために、吸上部として機能することができる微小多孔性材料を含むことができる。Daramicから入手可能なDaramic(商標)V5材料は、同様な方式で使用され得、並びに同様な方式で機能することができる微小多孔性材料又は膜の例である。
【0057】
図16〜18を参照して、揮発性組成物ディスペンサ210は、上記の揮発性組成物ディスペンサ10及び110の様々な構成要素のいくつか又は全てを含むことができる。これらの様々な構成要素は、上記と同じ若しくは類似の方式で配置され得る。一実施形態では、しかしながら、揮発性組成物ディスペンサ210は、第1部分32及び第2部分234を含む外側シェル214を含むことができる。第2部分234は、上記の第2部分34及び134と幾分似ていてもよい。一実施形態では、第2部分234内の凹部228は、側壁276を含んでもよい。付勢部材278は、側壁276の一部分から凹部228内に延びることができる。付勢部材278は、側壁276と係合し、及び/又は側壁276と可動に係合する基部277と、基部277から更に凹部228内へ外側に延びる凸部279を含むことができる。凸部279及び/又は凹部277は、例えば丸い若しくは弓状の側壁若しくは縁部を、膜50に接触すると、付勢部材278によって膜50に引き起こされる損傷の可能性を少なくとも低減するために含んでもよい。開口部は、凹部228の側壁276と付勢部材278との間に画定され得る。開口部は、少なくとも1つのカム220の少なくとも一部分を受容するのに十分大きくてもよい。一実施形態では、少なくとも1つのカム220の少なくとも1つのカム面224によって作用されたとき、付勢部材278の少なくとも凸部279は、第2部分234の表面235に対して移動することができる。一実施形態では、付勢部材278及び/又は凸部279は、例えば約1mm〜約4mm移動することができる。他の実施形態に関して上記と同様に、少なくとも1つのカム220は、取り付け部分222に取り付けられてもよく、ここでは、取り付け部分222の移動、枢動、及び/又は回転は、第1の作動されていない位置と、少なくとも第2の作動位置との間のカム220を移動する、枢動する、及び/又は回転することができる。
【0058】
上記に加えて、1つの非限定的な実施形態では、付勢部材278は、基部277上の第1表面280と、凸部279上の第2表面282と、第1表面280と第2表面282との間の少なくとも部分的に配置された中間表面284と、を含む付勢表面を含むことができる。中間表面284は、特別の実施形態に好適であり得るように、基部277及び凸部279の少なくとも1つ上に配置され得る。一実施形態では、付勢部材278の第1表面280は、第2部分234の表面235からの第1距離で配置されることができ、付勢部材278の第2表面282は、表面235からの第2距離で配置され得る。様々な実施形態では、第2距離は、第1距離よりも大きくてもよい。一実施形態では、中間表面284は、第1表面280及び第2表面282を接続してもよく、表面235に対して、第1表面280及び第2表面282の異なる高さのために、第2表面282から第1表面280の方向へ下向きに傾斜する場合がある。このような実施形態では、カム面224が中間表面284の上を移動するとき、中間表面284は、好適な力の範囲を付勢部材278に適用するために使用され得る。
【0059】
様々な表面は、カム面224によって上に作用されるとき、付勢部材278の少なくとも一部分が、外側シェル214内に少なくとも部分的に付勢されるのを可能にすることができる。付勢部材278の一部分、例えば凸部279などが、外側シェル214内に少なくとも部分的に付勢されるとき、それは、十分な所定の力を膜50に対して適用し、膜50を破裂要素及び/又は破裂要素の可動部分に対して押させることができる。上記のとおり、破裂要素及び/又は破裂要素の可動部分は、穿刺部材を含んでもよい。穿刺部材は、揮発性組成物容器に取り付けられた破裂可能な封止部における開口部を穿孔若しくは穿刺するように構成され得るか、又は揮発性組成物要素の壁部を穿孔する若しくは穿刺して、膜50上(又は吸上部上に、そして次いで膜50上に)に揮発性組成物を放出させて蒸発させることができる。
【0060】
1つの非限定的な実施形態では、ユーザーは、取り付け部分222を第1の非作動位置(図16)から、中間の、部分的作動された位置(図17)に、第2の作動位置(図18)に移動させ、カム面224は、付勢部材278の付勢表面と係合することができる。所望により、カム面224は、まず第1表面280に接触し、付勢表面278及び/又は凸部279を、外側シェル214内に第1距離だけ内側にわずかに付勢することができる。他の実施形態において、カム面224は、第1表面280に接触しなくてもよく、及び/又は付勢部材278を第1距離に付勢しなくてもよい。第2に、カム面224は、次いで、傾斜した中間表面284に接触し、付勢部材278及び/又は凸部279を第2距離だけ、外側シェル214内に内側に付勢することができ、これは穿刺部材に、破裂可能な封止部若しくは壁部を少なくとも係合する、場合によっては穿刺させることができる。第3に、カム面224は、次いで、第2表面282の第1部分に接触し、付勢部材278及び/又は凸部279を第3距離だけ、外側シェル214内に内側に付勢することができ、これは穿刺部材に、破裂可能な封止部若しくは壁部を少なくとも係合する、場合によっては穿刺させることができる。他の実施形態では、カム面224が第2表面282の第1部分に接触するとき、付勢部材278及び/又は凸部279は、例えば第2距離よりも、外側シェル214内で内側に更に付勢されない場合がある。いずれにせよ、カム面224が第2表面282に沿って移動するとき、それは少なくとも第2表面282との接触から非係合となり得、少なくとも部分的に凹部228に入る場合がある。このような動きは、カム面224によって付勢部材に278及び/又は凸部279に適用される所定の力を一部を排除し、いくつかの実施形態ではこれを排除し、これによって、膜、破裂要素、及び/又は破裂要素の可動部分に適用される所定の力を軽減するか、又は排除する。上記の結果として、破裂要素及び/又は破裂要素の可動部分への穿刺部材の取り付けによって、穿刺部材は、破裂可能な封止部又は壁部における開口部と少なくとも部分的に非係合となり得、膜50の方向へ移動し(又は膜の方向へ付勢される)、揮発性組成物が自由に開口部を通って、かつ揮発性組成物容器から流出するのを可能にすることができる。言い換えれば、穿刺部材は、少なくとも部分的に破裂可能な封止部又は壁部から引っ張られて、揮発性組成物を流すのに有効な開口部の領域を係合することができる。
【0061】
要するに、カム220が第1非作動位置と第2作動位置との間で移動されるときに、付勢部材278は、カム面224が十分な所定の力を膜50、破裂要素、及び/又は破裂要素の可動部分に適用することを可能にすることができる。上記に記載された様々な実施形態とは対照的に、付勢要素278はしかしながら、カム220/取り付け部分222が第2作動位置にある全体時間に対して、短い時間、十分な所定の力を適用することができる。そのような実施形態では、例えば、約0.1秒から約5秒の時間の間、あるいは約0.5秒から約2秒の間、あるいは約1秒から約2秒の間、力が適用され得る。破裂可能な封止部又は壁部が、十分に穿孔若しくは穿刺され、揮発性組成物容器から揮発性組成物の放出を可能にする任意の好適な時間、所定の力は適用され得るということを当業者は理解するだろう。
【0062】
1つの非限定的な実施形態では、揮発性組成物を分配する方法は、揮発性組成物を内部に含む揮発性組成物容器を提供する工程と、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる破裂要素を提供する工程と、を含むことができる。本方法は、作動装置を作動させて、揮発性組成物の少なくとも一部分を移動させて、揮発性組成物容器を破裂させ、これによって揮発性組成物の少なくとも一部分は蒸発のために揮発性組成物容器から放出される、工程も含むことができる。本方法はまた、破裂要素に近接して位置決めされる通気性膜を提供する工程と、揮発性組成物を通気性膜の上に放出する工程と、含み得る。一実施形態では、本方法は、通気性膜から揮発性組成物を少なくとも一部分蒸発させる工程と、揮発性組成物の蒸発した一部分を、揮発性組成物ディスペンサを包囲する大気に放出する工程と、を含み得る。上述を実施することは、作動装置が破裂要素に力を適用しない第1位置と、作動装置が破裂要素に力を適用して、破裂要素の一部分を揮発性組成物容器の方向へ移動させる第2位置との間で作動装置を移動させ、揮発性組成物容器又は破裂可能な封止部の方向に穿刺することとを含み得る。本方法はまた、破裂要素の少なくとも一部分が揮発性組成物容器又は破裂可能な封止部を破裂させる前に、破裂可能な要素の少なくとも一部分を揮発性組成物容器から外側へ、付勢する工程を含み得る。本方法は、作動装置は付勢部材と係合し、所定の力を破裂要素の部分に適用する第1の作動された位置内へ作動装置を移動させ、かつ作動装置が所定の力を破裂要素の部分に適用しない第2作動位置内へ作動装置を移動させながら、所定の力を破裂要素に適用するように構成された付勢部材を提供することを更に含み得る。
【0063】
本開示の揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物40を、連続的な方式で揮発性組成物ディスペンサを包囲する大気に送達することができる。用語「揮発性組成物」は、本明細書で使用されるとき、室温で、若しくはほぼ室温で、かつ外部からのエネルギー源を必要とすることなく大気圧で蒸発可能である単一又は化合物の化学物質又は材料を指す。一実施形態では、揮発性組成物40は、例えば全体的に単一の揮発性組成物で構成される材料であってもよい。他の実施形態では、揮発性組成物は、1つの揮発性組成物よりも1つ以上を有する組成物を含むことができる。よって、組成物の成分物質の全てが揮発性である必要はない。液体及び/又はゲル組成物を含め、任意の量、形体の任意の好適な組成物が、本開示の揮発性組成物ディスペンサと共に使用され得る。本明細書で使用するために好適な液体及び/又はゲルは、したがって、担体物質(例えば、水、溶媒など)のような不揮発性構成成分も有してもよい。液体が本明細書において「送達される」、「揮散される」、「蒸発される」、又は「放出される」と記載されるとき、これは、その揮発性構成成分の揮発を指しており、及びその非揮発性構成成分が揮散される必要はないこともまた理解されるべきである。
【0064】
揮発性組成物40に加えて、本開示の揮発性組成物ディスペンサは、例えば臭いを中和するための任意の既知の悪臭組成物を含んでもよい。好適な悪臭組成物は、例えば、シクロデキストリン、反応性アルデヒド及び/又はイオノンを含み得る。
【0065】
揮発性組成物40は、香油の形態であってもよい。最も従来型の芳香剤物質は揮発性精油である。揮発性組成物40は、香水供給元から市販される揮発性有機化合物であってもよい。更に、揮発性組成物40は、合成又は天然に形成された物質から構成されてもよい。例としては、以下のものを含むことができるが、これらに限定されない:ベルガモット、橙、レモン、マンダリン、ヒメウイキョウ、ニオイヒバ(cedar leaf)、クローブリーフ、シダーウッド、ゼラニウム、ラベンダー、オレンジ、ハナハッカ、プチグレン、ヌマヒノキ、パチョリ、ネロリ、ローズアブソリュートの油、及び任意の他の好適な物質。空気清浄剤又は芳香剤の場合には、異なる揮発性組成物は、類似する、関連する、補完する、又は対照的であることができる。
【0066】
1つの非限定的な実施形態では、揮発性組成物40はまた、周囲温度で気相へ昇華する能力、又は液体に香りを与えるのに用いられる能力を有する結晶性固体の形態が起源であってよい。任意の好適な量又は形体の任意の結晶性の固体が、本開示の揮発性組成物ディスペンサと共に使用され得る。例えば、好適な結晶性固体として:バニリン、エチルバニリン、クマリン、トナリド、カロン、ヘリオトロペン、ムスクキシロール、セドロール、ムスクケトンベンゾヘノン(musk ketone benzohenone)、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトンβ、サリチル酸フェニルエチル、ベルトール、マルトール、メープルラクトン、プロオイゲノールアセテート、エヴェミル、などを含むことができるが、これらに限定されない。しかしながら、揮散習慣の問題を避けようと試みて、異なる揮発性組成物が使用される場合、揮発性組成物は密接に似ているのは望ましくない場合がある。さもなければ、揮散を体験している人々は、異なる物質が放出されていることに気づくことができない。異なる揮散は、各々が異なる揮発性組成物を提供する(例えば、ムスク、花、果物の揮散など)複数の送達システムを使用して提供されることができる。異なる揮散は、共通のテーマ又は何らかの他の方式により相互に関連付けられることができる。異なるが相補的な揮散の例は、桂皮の揮散とリンゴの揮散であってもよい。
【0067】
理論に束縛されるものではないが、揮発性組成物の連続的送達は、膜の孔径、膜の表面積、揮発性組成物の物理的特性(例えば、分子量など)、飽和蒸気圧(「VP」)、及び粘度、並びに/又は揮発性組成物含有組成物の表面張力を含む、様々な要因であり得る。
【0068】
一実施形態では、組成物は、組成物が、25℃で約1.3Pa(0.01torr)のVPを個々に有する揮発性組成物の約10%〜約100%、あるいは25℃で約13.3Pa(0.1torr)未満のVPを個々に有する揮発性組成物の約40%〜約100%、あるいは25℃で約13.3Pa(0.1torr)未満のVPを個々に有する揮発性組成物の約50%〜約100%、あるいは25℃で約39.9Pa(0.3torr)未満のVPを個々に有する揮発性組成物の約90%〜約100%個々に含むように、組成物は作製されてもよい。一実施形態では、組成物は、25℃で約0.53Pa(0.004torr)〜約4.67Pa(0.035torr)、及び総重量の約0%〜約25%を個々に含む揮発性組成物、25℃で約13.3Pa(0.1torr)〜約13.3Pa(0.325torr)、及び総重量の約65%〜約100%を個々に含む揮発性組成物で、25℃で約0.53Pa(0.004torr)〜約4.67Pa(0.035torr)、25℃で約4.67Pa(0.035torr)〜約13.3Pa(0.1torr)のVPを個々に有する揮発性組成物を含んでもよい。
【0069】
2つの例示の組成物内の個々の揮発性組成物のVPは、表1及び2に以下に説明される。これらの組成物は、実例として示されており、本開示を多少なりとも限定することを意図していない。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
揮発性組成物40の粘度は、それがどのように、及びいつ膜50に送達されるかを制御することができる。例えば、より粘度の低い揮発性組成物は、より粘度の高い揮発性組成物よりも、より速く流れることができる。したがって、膜50は、より粘度の少ない材料を用いて最初に湿潤し得る。より粘度の高い揮発性組成物は、より粘度の低い位相よりもわずかに密度が低いか、これと同様な密度であり、重力によって収集ボウル又は揮発性組成物容器38に残ることができる。このように、より粘度の低い揮発性組成物は、膜50に送達することができ、より速く大気に揮散され得る。膜50への液体の浸透を防ぐのに役立てるために、揮発性組成物は、例えば、約23CPよりも小さい粘度及び約33mN/mよりも小さい表面張力を有してもよい。一実施形態では、揮発性組成物40は、例えば、約1.0CPから約25CP未満、あるいは約1.0CPから約23CP未満、及び、あるいは約1.0CPから約15CP未満の粘度を有してもよい。組成物は、揮発性組成物40が、例えば、約19mN/mから約33mN/m未満、あるいは約19mN/mから約30mN/m未満、及びあるいは、約19mN/mから約27mN/m未満の表面張力を含むように、設計されてもよい。
【0073】
好適な微多孔膜の非限定的な実施例
この実施例で使用されるとき、「揮発性材料の接触表面」は、揮発性材料を向き、典型的にこれに接触する微多孔膜の表面であり、これは例えば、以下において更に詳細に記載されるように、試験リザーバに収用される。
【0074】
この実施例で使用されるとき、「蒸発放出表面」は、揮発性材料に面しない及び/又はこれに直接接触する微多孔膜の表面であり、この表面から揮発性材料はガス状若しくは蒸気の形態で外部の大気内に放出される。
【0075】
本実施例において使用されるとき、用語「(メタ)アクリレート」及び類義語、例えば「(メタ)アクリル酸のエステル」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0076】
本実施例で使用されるとき、微多孔膜の「揮発性材料移動速度」は、以下の記載に従って測定される。試験リザーバは、2mLの揮発性材料(例えばベンジルアセテート)を収用するのに十分な内部容積を有する、透明な熱可塑性ポリマーから作製される。リザーバの内部容積は、約4cmの開放面の縁部において、かつ1cmと同じくらいの大きさの深さにおける円の直径によって定義される。開放面は、揮発性材料の移動速度を測定するために使用される。試験リザーバを平坦に置いた状態で(開放面が上方を向いている)、約2mLのベンジルアセテートが試験リザーバに導入される。ベンジルアセテートを試験リザーバに導入した状態で、0.15〜0.46mm(6〜18ミル)の厚さを有する微多孔膜のシートは、微多孔性シートの10cm2の揮発性材料の接触表面が、リザーバの内部に露出されるように、試験リザーバの開放面/側部の上に配置される。試験リザーバは、全体的に充填されたアセンブリの初期重量を有するように測量される。ベンジルアセテートを収容し、微多孔膜のシートで包囲される試験リザーバは、次いで、ほぼ1.5m(高さ)×1.5m(幅)×0.61m(深さ)(5フィート(高さ)×5フィート(幅)×2フィート(深さ))を有する、実験室の化学ドラフトチャンバ(chemical fume hood)に直立した状態で配置される。試験リザーバが直立した状態で、ベンジルアセテートは、微小多孔性シートの揮発性材料接触表面の少なくとも一部分と直接接触する。ドラフトのガラスのドアが引っ張られ、1時間当たりフード容積が8回(すなわち回転)を有するように、フードを通って空気流が調節される。特に指示がない限り、フードにおける温度は25℃±5℃に維持される。ドラフト内は周囲湿度である。試験リザーバは、定期的に測量される。ベンジルアセテートの算出された重量損失は、経過時間、及び試験リザーバに露出された微小多孔性シートの表面積と組み合わせて、mg(時間、cm2)の単位で、微小多孔性シートの揮発性移動速度を測定するのに使用される。
【0077】
本実施例で使用されるとき、25℃から60℃までの、本発明の微多孔膜の揮発性材料の移動速度における増加率は、別個の、しかし25℃及び60℃で実質的には同等の微小多孔性シートサンプルに関して、上記の方法に従って測定される。リザーバは大きなガラスベルジャー内に配置され、50%を超える塩化カリウムの水溶液も、このベルジャーに収用される。この含有量を備えるベルジャー全体が、60℃に加熱されたオーブンに配置される。リザーバは、7〜10時間の期間、この状態に置かれる。リザーバは、次いで一晩、周囲条件でフードに戻され、このプロセスは7日間にわたって繰り返される。それぞれのリザーバは、ベルジャーに配置される前及びベルジャーから取り除かれた後に測量される。ベルジャーから取り外されると、それぞれのリザーバの重量は、リザーバが周囲温度に戻された後にとられる。
【0078】
この実施例で使用されるとき、微多孔膜の蒸発放出表面が「液体形態において揮発性材料が実質的にない」か、どうかは、以下の記載に従って決定される。試験リザーバが測量されるとき、上記のとおり、微多孔性シートの蒸発放出表面は、液体の滴又はフィルムがその上に存在しているかどうかは、裸眼によって視覚的に調査される。液体の滴(すなわち1つの滴)及び/又はフィルムのいずれかの証拠が、蒸発放出表面上に視覚的に観察されているが、表面から流出していない場合は、微小多孔性シートは許容可能であると見なされる。滴が表面から流出している場合は、微小多孔性シートは不合格であると決定される。液体の滴(すなわち、1つの滴もない)及び/又はフィルムの証拠が、蒸発放出表面上に観察されない場合、微小多孔性シートは液体形態において、揮発性材料が実質的にないと決定される。
【0079】
特に指示がない限り、本明細書において開示される全ての範囲は、この中に含まれる任意の及び全ての部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1〜10」の規定された範囲は、最小値1から最大値10の任意の及び全ての部分範囲すなわち、最小値1又はそれ以上で始まり、最大値10又はそれ以下で終わる全ての部分範囲(例えば1から6.1、3.5から7.8、5.5から10等)を含むと見なされるべきである。
【0080】
特に指示がない限り、全ての数字又は表示、例えば構造的寸法、成分の牢等を表示するものは、本明細書及び請求項において使用されるときは、用語「約」によって全ての場合において修正されるとして理解される。
【0081】
用語「揮発性材料」は、本実施例の場合、室温において及び付与された追加又は補助エネルギーなしで、ガス状、すなわち蒸気の形態に変換することができる(すなわち、気化することができる)材料を示す。揮発性材料は、有機揮発性材料を含むことができ、これは、溶媒系材料又は溶媒系材料に分散したものを含む揮発性材料を含み得る。揮発性材料は、液体の形態及び/又は固体の形態であってもよく、自然に発生する又は合成的に形成されるものであってもよい。固体の形態であるときに、揮発性材料は一般的に固体の形態から蒸気の形態へと、中間の液体の形態なしで昇華する。揮発性材料は所望により、キャリアなどの不揮発性材料(例えば、水及び/又は不揮発性有機溶媒)と組み合わされても、又は配合されてもよい。固体の揮発性材料の場合、不揮発性キャリアは、内部に固体の揮発性材料が保持される、多孔質材料の形態(例えば、多孔質向き材料)であってもよい。また、固体の揮発性材料は半固体のゲルの形態であってもよい。
【0082】
微多孔膜の揮発性材料移動速度は、0.7mg/(時間*cm2)以下、又は0.6mg/(時間*cm2)以下、又は0.55mg/(時間*cm2)以下、又は0.50mg/(時間*cm2)以下であり得る。微多孔膜の揮発性材料移動速度は、0.02mg/(時間*cm2)以上、又は0.04mg/(時間*cm2)以上、又は0.30mg/(時間*cm2)以上、又は0.35mg/(時間*cm2)以上であり得る。微多孔膜の揮発性材料移動速度は、これらの上方及び下方の値の任意の組み合わせの間の範囲であってもよい。例えば、微多孔膜の揮発性材料の移動速度は、0.04〜0.6mg/(時間*cm2)、又は0.2〜0.6mg/(時間*cm2)、又は、0.30〜0.55mg/(時間*cm2)、又は、0.35〜0.50mg/(時間*cm2)であってもよく、それぞれの場合は列挙された値を含む。
【0083】
いずれかの理論に束縛されるのを意図しないが、揮発性材料が、揮発性材料接触表面から、微多孔膜の蒸発放出表面まで放出されるとき、揮発性材料は、液体、気体、及びこれらの組み合わせから選択される形態にあると考えられる。更に、かついずれかの理論に束縛されることを意図せず、揮発性材料は、少なくとも一部分において、微多孔膜全体に実質的に相互接続する孔のネットワークを通じて移動すると考えられる。
【0084】
微多孔膜は、少なくとも0.7g/cm3の、例えば少なくとも0.8g/cm3の密度を有し得る。微多孔膜の密度は、微多孔膜のサンプルの重量及び容積を測定することによって決定され得る。微多孔膜の密度の上限は、例えば、0.04〜0.6mg/(時間*cm2)、の揮発性材料移動速度を目標としているのであれば、広い範囲であってもよく、かつ揮発性材料が、揮発性材料接触表面から前述の蒸発放出表面まで移動されるとき、蒸発放出表面は実質的に揮発性材料がない。一般的に微多孔膜の密度は、1.5g/cm3以下、又は1.2g/cm3以下、又は1.0g/cm3以下である。微多孔膜は、0.7g/cm3〜1.5g/cm3の、例えば、0.8g/cm3〜1.2g/cm3の密度を有し得、列挙された値を含む。
【0085】
微多孔膜が、少なくとも0.7g/cm3の、例えば少なくとも0.8g/cm3の密度を有するとき、揮発性材料接触表面及び微多孔膜の蒸発放出表面は、それぞれ、その上にコーティング材料がなくてもよい。その上にコーティング材料がないとき、揮発性材料接触表面及び蒸発放出表面はそれぞれ、微多孔膜によって定義される。
【0086】
微多孔膜が、少なくとも0.7g/cm3、例えば少なくとも0.8g/cm3の密度を有するとき、微多孔膜の揮発性材料の接触表面の一部分は所望により、第1コーティングをその上に有してもよく、及び/又は微多孔膜の蒸発放出表面の少なくとも一部分は、第2コーティングをその上に有してもよい。第1コーティング及び第2コーティングは、同一であっても異なっていてもよい。揮発性材料の接触表面の少なくとも一部分は、第1コーティングをその上に有し、揮発性材料の接触表面は、第1コーティングによって少なくとも一部分において画定される。蒸発放出表面の少なくとも一部分は第2コーティングをその上に有し、蒸発放出表面は第2コーティングによって少なくとも一部分において画定される。
【0087】
第1コーティング及び第2コーティングは、液体コーティング及び固体の粒子コーティング(例えば、粉末コーティング)から選択されてもよい。典型的に第1コーティング及び第2コーティングは独立して、所望により、水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせから選択される溶媒を所望により含み得る液体コーティングから選択される。第1コーティング及び第2コーティングはそれぞれ独立して、架橋可能なコーティング(例えば、熱硬化性コーティング及び光硬化性コーティング)及び非架橋可能なコーティング(例えば、風乾コーティング)から選択されてもよい。第1コーティング及び第2コーティングは、当該技術分野において認識されている方法、例えばスプレーによる適用、カーテンコーティング、ディップコーティング、及び/又はドローダウンコーティング(例えばドクターブレード又はドローダウンバー)技法に従って、微多孔膜のそれぞれの表面に適用され得る。
【0088】
第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物はそれぞれ、当該技術分野において認識されている添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線安定剤、流れ制御剤、分散安定剤(例えば、水性分散液の場合)及び着色剤を含み得る。一般的に、第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物は、着色剤が入っておらず、実質的に透明又は不透明のようなものである。任意の添加剤が、個々の量で、コーティング組成物の総重量に対して、例えば0.01〜10重量%で存在してもよい。
【0089】
第1コーティング及び第2コーティングはそれぞれ独立して、分散された有機高分子材料を含む、水性コーティング組成物から形成されてもよい。水性コーティング組成物は200〜400nmの粒径を有してもよい。水性コーティング組成物の固形分は例えば、0.1〜30重量%、又は1〜20重量%と、広く様々であってもよく、それぞれのケースは水性コーティング組成物の総重量を基準とする。水性コーティング組成物の有機ポリマーは、例えば1000〜4,000,000、又は10,000〜2,000,000の数平均分子量(Mn)を有してもよい。
【0090】
水性コーティング組成物は、水性ポリ(メタ)アクリレート分散液、水性ポリウレタン分散液、水性シリコーン(すなわちシリコーン)オイル分散液、及びこれらの組み合わせでから選択され得る。ポリ(メタ)アクリレート分散液のポリ(メタ)アクリレートポリマーは、当該技術分野において認識されている方法に従って調製され得る。例えば、ポリ(メタ)アクリレートポリマーは、アルキル基に1〜20の炭素原子を有する、アルキル(メタ)アクリレートの残基(又はモノマーユニット)を含み得る。アルキル基に1〜20の炭素原子を有する、アルキル(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。非限定的な説明の目的のために、第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物それぞれが、そこからそれぞれ選択され得る、水性ポリ(メタ)アクリレート分散液の例は、HYCAR 26138であり、これはLubrizol Advanced Materials,Inc.から入手可能である。
【0091】
そこから第1コーティング及び第2コーティングがそれぞれ独立して選択され得る、水性ポリウレタン分散液のポリウレタンポリマーは、当業者に既知の任意のものが挙げられる。典型的に、ポリウレタンポリマーは、2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート機能材料、及び2つ以上の活性水素基を有する活性水素機能材料から調製される。活性水素基は、例えばヒドロキシ基、チオール基、一級アミン、二級アミン、及びこれらの組み合わせから選択されてもよい。非限定的な説明の目的のために、第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物それぞれが、そこからそれぞれ選択され得る、水性ポリウレタン分散液の例は、WITCOBOND W−240であり、これはChemtura Corporationから入手可能である。
【0092】
水性シリコーンオイル分散液のシリコーンポリマーは、当該技術分野において既知であり、認識されている水性シリコーンオイル分散液から選択され得る。非限定的な説明の目的のために、第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物それぞれが、そこからそれぞれ選択され得る、水性シリコーン分散液の例は、MOMENTIVE LE−410であり、これはMomentive Performance Materialsから入手可能である。
【0093】
微多孔膜が例えば、0.04〜0.6mg/(時間*cm2)、の揮発性材料移動速度を目標としているのであれば、第1コーティング及び第2コーティングはそれぞれ、任意の好適な厚さで適用されてもよく、かつ揮発性材料が、揮発性材料接触表面から前述の蒸発放出表面まで移動されるとき、蒸発放出表面は実質的に揮発性材料を含まない。また、第1コーティング及び第2コーティングはそれぞれ独立して、0.01〜5.5g/m2のコーティング重量(すなわち、微多孔膜上のコーティング)、例えば0.1〜5.0g/m2、又は0.5〜3g/m2、又は0.75〜2.5g/m2、又は1〜2g/m2を有してもよい。
【0094】
微多孔膜は、0.8g/cm3未満の密度を有することができ、微多孔膜の揮発性材料の接触表面の少なくとも一部分は、第1コーティングをその上に有することができ、及び/又は微多孔膜の蒸発放出表面の少なくとも一部分は、第2コーティングをその上に有することができる。第1コーティング及び第2コーティングは同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは独立して、微多孔膜の第1コーティング及び第2コーティングに関して、本明細書において前述のように、少なくとも0.7g/cm3の密度を有する。
【0095】
0.7g/cm3未満であるとき、本発明の微多孔膜の密度は、例えば、微多孔膜が下限0.04〜0.6mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を、及び揮発性材料が、揮発性材料接触表面から前述の蒸発放出表面まで移動するとき、蒸発放出表面は、実質的に揮発性材料がないのを目標としているのであれば、任意の適した下方限を有してもよい。本発明の、この具体的な実施形態によって、微多孔膜の密度は0.6〜0.8g/cm3未満、0.6〜0.75g/cm3(例えば0.60〜0.75g/cm3)、又は0.6〜0.7g/cm3(例えば、0.60〜0.70g/cm3)、又は0.65〜0.70g/cm3であってもよい。
【0096】
更に、微多孔膜の揮発性材料の接触表面の少なくとも一部分は、その上に第1コーティングを有してもよく、及び/又は微多孔膜の蒸発放出表面の少なくとも一部分は、第2コーティングをその上に有してもよく、そこで第1コーティング及び第2コーティングのそれぞれはポリ(ビニルアルコール)を含むコーティング組成物から選択される。
【0097】
本発明のポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた実施形態と共に、微多孔膜(すなわちポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜)は、25℃〜60℃の温度上昇に暴露され、これの揮発性材料の移動速度は、150%以下、増加する。ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜が温度上昇に暴露されたとき(例えば25℃の周囲温度から60℃まで)、揮発性材料移動速度は典型的に増加し、例えば、微多孔膜がより高い周囲温度への暴露によって損傷するまで、揮発性材料移動速度は減少しない。よって、本明細書及び請求項に使用されるとき、「その揮発性材料一同速度は[列挙された]パーセント(例えば150%)以下、増加する」は、下限の0%を含むが、0%未満の下限は含まない。
【0098】
説明の目的で、ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜が25℃で0.3mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を有するとき、微多孔膜が60℃の温度まで暴露されたとき、揮発性材料移動速度は、0.75mg/(時間*cm2)以下の値まで増加する。
【0099】
本発明の実施形態では、微多孔膜(すなわちポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜)は、25℃〜60℃の温度上昇に暴露され、これの揮発性材料の移動速度は、125%以下、増加する。例えば、ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜が25℃で0.3mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を有するとき、微多孔膜が60℃の温度まで暴露されたとき、揮発性材料移動速度は、0.68mg/(時間*cm2)以下の値まで増加する。
【0100】
更に、微多孔膜(すなわちポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜)は、25℃〜60℃の温度上昇に暴露され、これの揮発性材料の移動速度は、100%以下、増加する。例えば、ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜が25℃で0.3mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を有するとき、微多孔膜が60℃の温度まで暴露されたとき、揮発性材料移動速度は、0.6mg/(時間*cm2)以下の値まで増加する。
【0101】
微多孔膜が例えば0.04mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を目的としているのであれば、第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティングはそれぞれ独立して、任意の好適な重量で存在してもよく、並びに微多孔膜(すなわち、ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜)が、25℃から60℃までの温度上昇に暴露されるとき、その揮発性材料移動速度は150%以下、増加する。典型的に第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティングはそれぞれ0.01〜5.5g/m2、例えば0.1〜4.0g/m2、又は0.5〜3.0g/m2、又は0.75〜2.0g/m2のコーティング重量を独立して有する。
【0102】
ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜の揮発性材料移動速度は、少なくとも0.02mg/(時間*cm2)であり得る。ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜の揮発性材料移動速度は、0.04mg/(時間*cm2)以上、又は0.1mg/(時間*cm2)以上、又は0.2mg/(時間*cm2)以上、又は0.30mg/(時間*cm2)以上、又は0.35mg/(時間*cm2)であってもよい。ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜の揮発性材料の移動速度は、0.7mg/(時間*cm2)以下、又は0.6mg/(時間*cm2)以下、又は0.55mg/(時間*cm2)以下、又は0.50mg/(時間*cm2)以下であってもよい。ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜の揮発性材料の移動速度は、これらの上方及び下方の値の任意の組み合わせの間の範囲であってもよい。例えば、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の揮発性材料の移動速度は、少なくとも0.02mg/(時間*cm2、例えば0.04〜0.70mg/(時間*cm2)、又は0.04〜0.60mg/(時間*cm2)、又は0.20〜0.60mg/(時間*cm2)、又は、0.30〜0.55mg/(時間*cm2)、又は0.35〜0.50mg/(時間*cm2)であってもよく、それぞれのケースは列挙された値を含む。
【0103】
本発明のポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の微多孔膜の密度は広く様々であってもよく、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜が、例えば少なくとも0.04mg/(時間*cm2)の揮発性材料の移動速度を目標としているのであれば、かつ微多孔膜(すなわち、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜)が25℃〜60℃の温度上昇に暴露されるとき、その揮発性材料の移動速度は、150%以下、増加する。
【0104】
更に、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の微多孔膜の密度は、少なくとも0.7g/cm3、例えば少なくとも0.8g/cm3(例えば0.8〜1.2g/cm3)であってもよく、列挙された値の全てを含む。本発明の一実施形態では、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の密度(すなわちポリ(ビニルアルコール)コーティングの塗布の前の微多孔膜の密度)は0.8g/cm3未満である。例えば、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の密度は0.6〜0.8g/cm3未満、又は0.6〜0.75g/cm3(例えば0.60〜0.75g/cm3)、又は0.6〜0.7g/cm3(例えば、0.60〜0.70g/cm3)、又は0.65〜0.70g/cm3であってもよい。
【0105】
本発明のポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜を用いて、揮発性材料が、揮発性材料接触表面から前述の蒸発放出表面まで移動されるとき、蒸発放出表面は実質的に液体の形態の揮発性材料がない。
【0106】
ポリ(ビニルアルコール)コーティングは、所望により、水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせを含む液体コーティングから選択され得る。ポリ(ビニルアルコール)コーティングは、架橋可能なコーティング(例えば、熱硬化性コーティング)及び非架橋可能なコーティング(例えば、風乾コーティング)から選択されてもよい。ポリ(ビニルアルコール)コーティングは、当該技術分野において認識されている方法、例えばスプレーによる適用、カーテンコーティング、又はドローダウンコーティング(例えばドクターブレード又はドローダウンバー)に従って、微多孔膜のそれぞれの表面に適用され得る。
【0107】
更に第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティングはそれぞれ独立して、水性ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物から形成される。水性ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物の固形分は例えば、0.1〜15重量%、又は0.5〜9重量%と、広く様々であってもよく、それぞれのケースは水性コーティング組成物の総重量を基準とする。ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物のポリ(ビニルアルコール)ポリマーは、例えば100〜1,000,000、又は1000〜750,000の数平均分子量(Mn)を有してもよい。
【0108】
ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物のポリ(ビニルアルコール)ポリマーはホモポリマー又はコポリマーであってもよい。そこからポリ(ビニルアルコール)が調製され得るコモノマーには、ビニルアセテートと共重合可能であるもの(ラジカル重合によって)が挙げられ、これらは当業者には周知である。説明の目的で、そこからポリ(ビニルアルコール)コポリマーが調製されるコモノマーには、((メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、これらの金属塩、これらのアルキルエステル(例えば、これらのC2〜C10のアルキルエステル)、これらのポリエチレングリコールエステル、及びこれらのポリプロピレングリコールエステル;塩化ビニル;テトラフルオロエチレン;2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸及びその塩;アクリルアミド;N−アルキルアクリルアミド;N,N−ジアルキル置換アクリルアミド;並びにN−ビニルホルムアミドが挙げられる。
【0109】
非限定的な説明の目的のために、本発明のポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜を形成するために使用され得るポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物の例は、CELVOL 325であり、これはSekisui Specialty Chemicalsから市販されている。
【0110】
第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物はそれぞれ、当該技術分野において認識されている例えば酸化防止剤などの添加剤、紫外線安定剤、流量制御剤、分散安定剤(例えば、水性分散液の場合)及び着色剤(例えば、染料及び/又は顔料)を含み得る。一般的に、第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物は、着色剤が入っておらず、実質的に透明又は不透明のようなものである。任意の添加剤が、個々の量で、ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物内に、コーティング組成物の総重量に対して、例えば0.01〜10重量%で存在してもよい。
【0111】
微多孔膜のマトリックスは実質的に非水溶性熱可塑性有機重合体から構成される。マトリックスとしての使用に好適な、そのようなポリマーは幅広く様々であってもよい。概して、フィルムに、シートに、ストリップに、又はウェブに押出され得る、カレンダー加工され得る、加圧され得る、又はロール加工され得る任意の実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマーを使用されてもよい。ポリマーは単一ポリマー又はそれはポリマーの混合物であってもよい。ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、アタクチックポリマー、アイソタクチックポリマー、シンジオタクチックポリマー、線状ポリマー、又は分枝ポリマーであってもよい。ポリマーの混合物が使用されるとき、この混合物は均質であってもよく、あるいはそれは2つ以上のポリマー位相を含んでもよい。
【0112】
好適な実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマーのクラスの例には、熱可塑性ポリオレフィン、ポリ(ハロ置換オレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ(ビニルハロゲン化物)、ポリ(ビニリデンハロゲン化物)、ポリスチレン、ポリ(ビニルエステル)、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリイミド、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリアクリレート、及びポリメタクリレートが挙げられる。そこから非水溶性熱可塑性有機重合体が選択され得る合成クラスには、例えば熱可塑性ポリ(ウレタン−尿素)、ポリ(エステル−アミド)、ポリ(シラン−シロキサン)、及びポリ(エーテル−エステル)が挙げられ、意図の範囲内である。好適な実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマーの更なる例には、熱可塑性高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン(アタクチック、アイソタクチック、又はシンジオタクチック)、ポリ(ビニルクロライド)、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン及びアクリル酸のコポリマー、エチレン及びメタクリル酸のコポリマー、ポリ(ビニリデンクロライド)、ビニリデンクロライド及びビニルアセテートのコポリマー、ビニリデンクロライド及びビニルクロライドのコポリマー、エチレン及びプロピレンのコポリマー、エチレン及びブテンのコポリマー、ポリ(ビニルアセテート)、ポリスチレン、ポリ(ω−アミノウンデカン酸)ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)、ポリ(エプシロン−カプロラクタム)、並びにポリ(メチルメタクリレート)が挙げられる。これらのクラスの詳細説明及び実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマーの例は、説明の目的で提供され、包括するものではない。
【0113】
実質的に非水溶性熱可塑性有機重合体は、特に、例えばポリ(塩化ビニル)、塩化ビニルのコポリマー、これらの混合物が挙げられる。一実施形態では、非水溶性熱可塑性有機重合体は、少なくとも10dL/gの固有粘度を有する、超高分子量ポリオレフィン(例えば、本質的に線状超高分子量ポリオレフィン)、又は少なくとも6dL/gの固有粘度を有する、超高分子量ポリプロピレン(例えば、本質的に線状超高分子量ポリプロピレン)から、又はこれらの混合物選択される超高分子量を含む。具体的な実施形態では、非水溶性熱可塑性有機重合体は、少なくとも18dL/gの固有粘度を有する超高分子量ポリエチレン(例えば、線状超高分子量ポリエチレン)を含む。
【0114】
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は、無限分子量を有する熱可塑性ポリマーではなく、それは熱可塑性として専門的には分類される。しかしながら、分子は実質的に非常に長い鎖であるため、加熱されたときにUHMWPEは軟化するが、通常の熱可塑性の方式では溶解した液体としては流れない。非常に長い鎖及びそれらがUHMWPEにもたらす独特の特性は、このポリマーを使用して作製された微多孔膜の望ましい特性に大いに寄与すると考えられる。
【0115】
前述のように、UHMWPEの固有粘度は少なくとも約10dL/gである。通常は、固有粘度は少なくとも約14dL/gである。固有粘度は少なくとも約18dL/gであることが多い。多くの場合では、固有粘度は少なくとも約19dL/gである。固有粘度の上限に具体的な制限があるわけではないが、固有粘度は、しばしば約10〜約39dL/gである。固有粘度は約14〜約39dL/gの範囲であることが多い。多くの場合では、固有粘度は約18〜約39dL/gの範囲である。固有粘度は約18〜約32dL/gの範囲であることが好ましい。
【0116】
UHMWPEの公称分子量は、次式に従って、ポリマーの固有粘度に経験的に関連付けられる:
M(UHMWPE)=5.3×104[η]1.37
式中、M(UHMWPE)は公称分子量であり、[η]はdL/gで表記されるUHMWポリエチレンの固有粘度である。
【0117】
本明細書及び請求項において使用されるとき、固有粘度は、ゼロ濃度に、UHMWPEのいくつかの希釈液の減少した粘度又は固有粘度を外挿することによって決定され、ここで、溶媒は、蒸留したばかりのデカヒドロナフタレンであり、これには0.2重量%の3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロけい皮酸、ネオペンタンテトライルエステル[CAS登録番号6683−19−8]が添加されている。UHMWPEの減少した粘度又は固有粘度は、異なる濃度のいくつかの希釈溶液を除き、ASTM D 4020−81の一般的な手順に従う、ウベローデNo.1の粘度計の使用が採用され、135℃で得られる相対粘度から確かめられる。ASTM D 4020−81はその全体が、本書に組み込まれる。
【0118】
マトリックスは、少なくとも10dL/gの固有粘度、ASTM D 1238−86の条件E、メルト・インデックス50g/10分、及びASTM D 1238−86の条件F、メルト・インデックスは少なくとも0.1g/10分を有する、実質的に線状の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の混合物を含むことができる。低分子量ポリエチレン(LMWPE)は、UHMWPEのものよりも低い。LMWPEは熱可塑性であり、多くの異なるタイプが既知である。分類の1つの方法は、以下の表で要約されるように、ASTM D 1248−84(1989年再承認)に従って、密度によって、g/立方センチメートルで表記され、小数第4位で四捨五入される。
【0119】
【表3】
【0120】
これらのポリエチレンのいずれか又は全ては、本発明の微多孔膜でLMWPEとして使用され得る。いくつかの応用に関して、HDPEが使用されてもよく、それが通常、MDPE又はLDPEよりも、より線状である傾向を有するためである。ASTM D 1248−84(再承認、1989年)はその全体が、本書に組み込まれる。
【0121】
様々なLMWPEを作製するプロセスは、周知であり、よく文書化されている。それらは、高圧プロセスである、Phillips Petroleum Companyプロセス、Standard Oil Company(Indiana)プロセス、及びZieglerプロセスが挙げられる。LMWPEの、ASTM D 1238−86の条件E(すなわち、190℃及び負荷2.16kg)のメルト・インデックスは約50g未満/10分である。条件Eのメルト・インデックスは約25g未満/10分であることが多い。条件Eのメルト・インデックスは約15g未満/10分であることが望ましい。LMWPEの、ASTM D 1238−86の条件F(すなわち、190℃及び負荷21.6kg)のメルト・インデックスは少なくとも0.1g未満/10分である。多くの場合では、条件Fのメルト・インデックスは少なくとも約0.5g/10分である。条件Fのメルト・インデックスは少なくとも約1.0g/10分であることが望ましい。ASTM D 1238−86はその全体が、本書に組み込まれる。
【0122】
微多孔膜にそれらの特性をもたらすために、マトリクッス内に十分なUHMWPE及びLMWPEが存在しなければならない。その存在が逆に作用する方式で微多孔膜の特性に物質的に影響を与えない限り、他の熱可塑性有機重合体もまたマトリックスに存在してもよい。他の熱可塑性ポリマーは1つの他の熱可塑性ポリマーであってもよく、又は1つ以上の他の熱可塑性ポリマーであってもよい。存在してもよい他の熱可塑性ポリマーの量は、かかるポリマーの性質による。所望により存在してもよい熱可塑性有機ポリマーの例には、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリプロピレン、エチレン及びプロピレンのコポリマー、エチレン及びアクリル酸のコポリマー、並びにエチレン及びメタクリル酸のコポリマーが挙げられる。望ましい場合は、カルボキシル含有コポリマーのカルボキシル基の全て又は一部分は、ナトリウム、亜鉛等で中和化されてもよい。
【0123】
UHMWPE及びLMWPEは一緒に、マトリックスのポリマーの少なくとも65重量%を、例えば少なくともマトリックスのポリマーの少なくとも85重量%を構成し、あるいはUHMWPE及びLMWPEは共に、マトリックスのポリマーの実質的に100重量%を構成し得る。UHMWPEは、マトリックスのポリマーの少なくとも1重量%を構成し、UHMWPE及びLMWPEは共に、マトリックスのポリマーの実質的に100重量%を構成し得る。
【0124】
UHMWPE及びLMWPEが共に、微多孔膜のマトリックスのポリマーの100重量%を構成し得るところでは、UHMWPEは、マトリックスのポリマーの40重量%以上、例えばマトリックスのポリマーの45重量%以上、又は48重量%以上、又は50重量%以上、又は55重量%以上を構成し得る。またUHMWPEは、マトリックスのポリマーの99重量%以下、例えばマトリックスのポリマーの80重量%以下、又は70重量%以下、又は65重量%以下、又は60重量%以下を構成し得る。マトリックスのポリマーを含むUHMWPEのレベルは、列挙された値を含む、これらの値の任意の間の範囲であってもよい。
【0125】
UHMWPE及びLMWPEが共に、微多孔膜のマトリックスのポリマーの100重量%を構成し得るところでは、LMWPEは、マトリックスのポリマーの1重量%以上、例えばマトリックスのポリマーの5重量%以上、又は10重量%以上、又は15重量%以上、又は20重量%以上、又は25重量%以上、30重量%以上、又は35重量%以上、又は40重量%以上、又は45重量%以上、又は50重量%以上、又は55重量%以上を構成し得る。またLMWPEは、マトリックスのポリマーの70重量%以下、例えばマトリックスのポリマーの65重量%以下、又は60重量%以下、重量%以下、又は55重量%以下、又は50重量%以下、又は45重量%以下を構成し得る。LMWPEのレベルは、列挙された値を含む、これらの値の任意の間の範囲であってもよい。
【0126】
これまで記載された本発明の微多孔膜のいずれかに関して、LMWPEは高密度ポリエチレンを含み得るということに注意されたい。
【0127】
微多孔膜はまた、超微粒子状の実質的に非水溶性の微粒子充填剤材料も含む。特定の充填剤材料は、有機微粒子材料及び/又は無機微粒子材料を含み得る。微粒子充填剤材料は典型的に着色されておらず、例えば、微粒子充填剤材料は白又はオフホワイトの微粒子充填剤材料、例えばケイ酸含有の又は粘土粒子材料である。
【0128】
超微粒子状の実質的に非水溶性充填剤粒子は、微多孔膜の20〜90重量%を構成し得る。例えば、充填剤粒子は、微多孔膜の20〜90重量%、例えば、微多孔膜の30重量%〜90重量%、又は微多孔膜の40重量%〜90重量%、又は微多孔膜の40重量%〜85重量%、又は微多孔膜の50重量%〜90重量%、並びに更に微多孔膜の60重量%〜90重量%を構成し得る。
【0129】
超微粒子状の実質的に非水溶性粒子状充填剤は、究極粒子、究極粒子の集合体、又はこれらの両方の混合の形態であってもよい。微多孔膜の調製に使用される充填剤の少なくとも約90重量%は、0.04マイクロメートルもの小さな粒径を測定可能な、レーザー回折粒径機器(Beckman CoultonからのLS230)の使用によって測定されるとき、0.5〜約200マイクロメートルの範囲の、例えば1〜100マイクロメートルの総粒径を有する。典型的に、粒子充填剤の少なくとも90重量%は、10〜30マイクロメートルの範囲の総粒径を有する。充填剤粒塊の寸法は、微多孔膜を調製するのに使用された成分の処理中に減少され得る。したがって、微多孔膜における総粒径の分布は、未加工の充填剤自体よりも小さい場合がある。
【0130】
本発明の微多孔膜に使用され得る、好適な有機及び無機粒子状物質の非限定的な例は、米国特許第6,387,519(B1)号、9段、4行目〜13段、62行目に記載されているものが挙げられ、その列挙された部分は、本書に組み込まれる。
【0131】
本発明の特定の実施形態では、微粒子充填剤材料はケイ酸含有物質を含む。微多孔膜を調製するのに使用され得るケイ酸含有充填剤の非限定的な例は、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、カオリナイト、Southern Clay Productsから入手可能なcloisiteなどのナノクレイ、タルク、珪藻土、バーミキュライト、天然及び合成ゼオライト、カルシウムシリケート、アルミニウムシリケート、ナトリウムアルミニウムシリケート、アルミニウムポリシリケート、アルミナシリカゲル、及びガラス粒子が挙げられる。ケイ酸含有充填剤に加えて、他の超微粒子状実質的に非水溶性の充填剤は所望により、採用されてもよい。かかる任意の微粒子状充填剤の非限定的な例には、カーボンブラック、炭、グラファイト、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化アンチモン、ジルコニア、マグネシア、アルミナ、二硫化モリブデン、硫化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムが挙げられる。非限定的な実施形態では、ケイ酸含有充填剤はシリカ及び上述のクレイのいずれかを含み得る。シリカの非限定的な例は、沈殿シリカ、シリカゲル、ヒュームドシリカ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0132】
シリカゲルは概して、可溶性金属シリケート、例えば、低pH酸でケイ酸ナトリウムの水溶液を酸性化することによって商業的に生産される。採用される酸は、概して強力な鉱酸、例えば硫酸又は塩酸であるが、二酸化炭素が使用され得る。粘度が低い間は、ゲル位相と包囲する液体位相との間の密度に、本質的に差がないため、ゲル位相は沈降せず、すなわち、それは沈殿しない。結果として、シリカゲルは、非沈殿であり、凝集性の、剛性の三次元ネットワークのコロイド状の非晶質シリカの連続した粒子として記載され得る。細分割した範囲の状態は、大きな固体の塊からの極微小までであり、及びほぼ無水シリカから柔軟なゼラチン状の塊までの水和度は、シリカ1重量部当たり約100重量部の水を含有する。
【0133】
沈殿シリカは、シリカのコロイド粒子が、弱いアルカリ性溶液内で成長し、得られる溶解性アルカリ金属塩のアルカリ金属イオンによって凝固されるように、可溶性金属シリケートの水溶液、通常は、ケイ酸ナトリウムなどのアルカリ金属シリケートと、酸とを組み合わせることによって、一般的に商業的に生産される。鉱酸を含むがこれに限定されない、様々な酸が使用され得る。使用され得る酸の非限定的な例は、塩酸及び硫酸を含むが、二酸化炭素もまた沈殿シリカを生産するのにも使用され得る。凝固剤のない場合は、いかなるpHにおいても、シリカは溶液から沈殿しない。非限定的な実施形態では、シリカの沈殿を実行するのに使用される凝固剤は、コロイドシリカ粒子の形成中に生産される、可溶性アルカリ金属塩であってもよく、又はそれは、可溶性無機塩若しくは有機塩など、添加された電解質であってもよく、あるいはそれはこれら両方の組み合わせであってもよい。
【0134】
沈殿シリカは、PPG Industries,Incから、多くの等級及び形態で入手可能である。これらは商標Hi−Sil(登録商標)で販売されている。
【0135】
本発明の目的に関して、超微粒子状の実質的に非水溶性ケイ酸含有充填剤は、実質的に非水溶性充填剤材料の少なくとも50重量%(例えば、少なくとも65重量%、少なくとも75重量%)、又は少なくとも90重量%を含み得る。ケイ酸含有充填剤は、微粒子充填材材料の50〜90重量%(例えば60重量%〜80重量%)を含んでもよく、又はケイ酸含有充填剤は、実質的に非水溶性微粒子充填材材料の実質的に全てを含んでもよい。
【0136】
微粒子状充填剤(例えば、ケイ酸含有充填剤)は典型的に、高表面積を有し、本発明の微多孔膜を製造するのに使用されるプロセス可塑剤組成物の多くを運ぶのを可能にする。充填剤粒子は実質的に非水溶性であり、また微多孔膜を調製するのに使用される任意の有機プロセス液体に実質的に非可溶性であってもよい。これは、微多孔膜内に微粒子状充填剤の保持を促進することができる。
【0137】
本発明の微多孔膜はまた、プロセスに使用される少量(例えば、微多孔膜の総重量を基準として5重量%以下)の他の材料、例えば潤滑剤、プロセス可塑剤、有機抽出液体、水等を含み得る。特定の目的のための更なる材料、例えば熱、紫外線、寸法安定性は、所望により、少量(例えば、微多孔膜の総重量を基準として15重量%以下)で微多孔膜に存在してもよい。このような更なる材料の例には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、強化繊維(例えば短く刻んだガラス繊維ストランド等)が挙げられるが、これらに限定されない。充填材及びいずれかのコーティング、印刷インク、又は1つ以上の特別な目的のために適用された含浸剤を除き、微多孔膜の残部は本質的に熱可塑性有機重合体である。
【0138】
本発明の微多孔膜はまた、相互接続する孔のネットワークを含み、これは実質的に微多孔膜全体につながっている。コーティングがなく、印刷用インクがなく、かつ含浸剤のないベースでは、微多孔膜の総体積を基準として、本明細書に更に記載されるプロセスによって作製されるとき、孔は典型的に35〜95体積%を構成する。孔は膜の総体積を基準として、微多孔膜の60〜75体積%を構成し得る。本明細書及び請求項において使用されるとき、微多孔膜の多孔性(ボイド容積としても知られる)は、容積%によって表され、次式に従って決定される。
多孔性=100[1−d1/d2]
式中、d1は、サンプルの密度であり、サンプルの寸法の測定から確かめられるように、これはサンプルの重量及びサンプルの体積から決定され、d2は、サンプルの固体部分の密度であり、これはサンプルの重量及びサンプルの固体部分の体積から決定される。微多孔膜の固体部分の体積は、Quantachrome stereopycnometer(Quantachrome Corp.)を使用して、この機器の操作マニュアルに従って決定される。
【0139】
微多孔膜の孔の容積平均直径は、Autoscan水銀ポロシメータ(Quantachrome Corp.)を使用して、水銀ポロシメトリーによって、この機器の操作マニュアルに従って決定される。1回のスキャンに対する容積平均孔半径は、ポロシメータによって自動的に決定される。ポロシメータの操作において、スキャンは高圧範囲(絶対圧138kPa〜絶対圧227MPa)においてされる。2%未満の合計の侵入容積が、高圧範囲の下方端(絶対圧138〜250kPa)において発生した場合、容積平均孔直径は、ポロシメータによって決定される容積平均孔寸法の2倍としてみなされる。他の方法では、追加のスキャンが低圧範囲(絶対圧7〜165kPa)においてなされ、容積平均孔直径は、以下の方程式によって産出される:
d=2[v1r1/w1+v2r2/w2]/[v1/w1+v2/w2]
式中、dは、容積平均孔直径であり、v1は、高圧範囲において侵入した水銀の合計容積であり、v2は低圧範囲において侵入した水銀の合計容積であり、r1は高圧スキャンから決定された容積平均孔半径であり、r2は定圧スキャンから決定された容積平均孔半径であり、w1は、高圧スキャンに供されたサンプルの重量であり、w2は低圧スキャンに供されたサンプルの重量である。
【0140】
概して、コーティングがなく、印刷用インクがなく、かつ含浸剤のないベースでは、微多孔膜の孔の容積平均直径は、少なくとも0.02マイクロメートル、典型的には少なくも0.04マイクロメートル、及び更に典型的には少なくとも0.05マイクロメートルである。同じベースでは、微多孔膜の孔の容積平均直径は、典型的に0.5マイクロメートル以下、より典型的には0.3マイクロメートル以下、及び更に典型的には0.25マイクロメートル以下である。このベースにおいて、孔の容積平均直径は、列挙された値を含む、これらの値の任意の間の範囲であってもよい。例えば、微多孔膜の孔の容積平均直径は、0.02〜0.5マイクロメートル、又は0.04〜0.3マイクロメートル、又は0.05〜0.25マイクロメートルの範囲であってよく、それぞれの場合は、列挙された値を含む。
【0141】
上記の手順によって容積平均孔直径を決定する過程で、検出される最大孔半径もまた決定され得る。これは、実施する場合は、低圧範囲のスキャンからとられ、別の方法では高圧範囲のスキャンからとられる。微多孔膜の最大孔直径は、典型的に最大孔半径の2倍である。
【0142】
コーティング、印刷、及び含浸プロセスは、微多孔膜の孔の少なくとも一部の充填となり得る。更に、このようなプロセスはまた、微多孔膜を不可逆的に圧縮し得る。したがって、多孔性に関するパラメータ、孔の容積平均直径、及び最大孔直径は、これらのプロセスの1つ以上の適用の前に、微多孔膜に関して決定される。
【0143】
本明細書において開示される様々な揮発性組成物ディスペンサが、車両における使用のために記載されているが、当業者は、他の適した環境においてこのディスペンサの他の使用を理解するであろう。一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、例えば、キャンプ場及び/又はテント若しくはキャビンにおいて殺虫剤を分配するのに使用され得る。他の様々な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物ディスペンサがユーザーに役に立つ、家庭、職場、ロッカー、保管スペース、及び/又は任意の他の適した場所若しくは環境において使用されてもよい。
【0144】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0145】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文書は、関連部分において本願に引用して援用するが、いずれの文書の引用も、それが本開示に対する従来技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0146】
本開示の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることは当業者は理解するであろう。したがって、本開示の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。
【技術分野】
【0001】
本開示は、揮発性組成物を分配するための方法及び装置に関し、より具体的には、膜を使用して、揮発性組成物を分配するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性組成物ディスペンサは、例えば、大気の空気のフレッシュニング又は香り付けなど、様々な利益を送達するために、揮発性組成物を大気へと、例えば家庭の大気又は車両の乗員室の大気へと蒸発させるのに使用される場合がある。通電されていないディスペンスシステム、例えば、電気エネルギーによる動力付きではないシステムは、揮発性組成物を大気へと送達するのに一般的な方法である。これらのディスペンスシステムは、人間による作動を必要とし得るもの(例えば、エアゾール)と、吸上作用系のシステム及びゲルなど、人間の作動を必要としない場合があるものとに分類することができる。ディスペンスシステムの第1タイプは、揮発性組成物をオンデマンドで送達し、その一方で、ディスペンスシステムの第2タイプは、より連続的な方式で揮発性組成物を送達する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
揮発性組成物ディスペンサ及びその使用に対する幅広い要求のために、揮発性組成物ディスペンサの技術は改善されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器を含む。破裂要素は、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる。揮発性組成物ディスペンサは、カム面を含むカムを含む。カム面は、破裂要素の少なくとも一部分を、揮発性組成物容器の方向に移動させて、揮発性組成物容器を破裂させ、揮発性組成物の少なくとも一部分を揮発性組成物容器から放出するように構成され、これによって揮発性組成物の一部分は蒸発し、揮発性組成物ディスペンサを出る。
【0005】
他の非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、外側シェルと、少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器を含む。揮発性組成物容器は、外側シェル内に少なくとも部分的に位置決めされるように構成される。揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる穿刺部材と、揮発性組成物容器の方向へ少なくとも穿刺部材を移動させ、揮発性組成物容器を破裂させ、揮発性組成物の少なくとも一部分を揮発性組成物容器から放出するように構成された作動装置であって、これによって揮発性組成物の一部分は蒸発し、外側シェルから滲出する、作動装置とを含む、要素を更に含む。
【0006】
更に他の非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンスシステムは、少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器と、可動部分を含む破裂要素と、を備える。破裂要素は、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる。揮発性組成物ディスペンスシステムは、破裂要素に近接して位置決めされる、通気性膜と、作動装置であって、この作動装置が可動部分に力を適用しない第1位置と、作動装置が可動部分に力を適用する第2位置との間で移動するよう構成され、作動装置は可動部分に力を適用し、揮発性組成物容器の方向に可動部分を押させて、揮発性組成物容器を破裂させ、揮発性組成物の少なくとも一部分を、通気性膜上に蒸発のために放出させる、作動装置と、を更に含む。
【0007】
更に他の非限定的な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサのための揮発性組成物カートリッジは、少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器と、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる、破裂要素と、破裂要素に近接して位置決めされる微多孔膜と、を含む。破裂要素は、揮発性組成物容器の一部分と、微多孔膜の一部分とを封止可能に係合する。破裂要素が起動すると、揮発性組成物容器に開口部を作り、揮発性組成物容器から、微多孔膜上へ、揮発性組成物を放出するように構成される。
【0008】
更に他の非限定的な実施形態では、揮発性組成物を分配する方法は、揮発性組成物を内部に含む揮発性組成物容器を提供する工程と、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる破裂要素を提供する工程と、を含む。本方法は、作動装置を作動させて、破裂要素の少なくとも一部分を移動させて、揮発性組成物容器を破裂させ、これによって、揮発性組成物の少なくとも一部分は、蒸発のために揮発性組成物容器から放出される、工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面と関連してなされる本発明の実施形態の以下の説明を参照すれば、本開示の上記の及び他の特徴と利点、並びにそれらを達成する方法がより明らかとなり、また本開示自体がより理解されよう。
【図1】1つの非限定的な実施形態による車両の空調システム排気口上に位置決めされた揮発性組成物ディスペンサの斜視図。
【図2】1つの非限定的な実施形態による、カムが第1の非作動位置にある状態の、揮発性組成物ディスペンサの側面図。
【図3】非限定的な実施形態による、図2の揮発性組成物ディスペンサの断面図。
【図4】1つの非限定的な実施形態による、図2の揮発性組成物ディスペンサの上面斜視図。
【図5】1つの非限定的な実施形態による、図2の揮発性組成物ディスペンサの底面斜視図。
【図6】1つの非限定的な実施形態による、図1の揮発性組成物ディスペンサの様々な構成要素の分解斜視図。
【図7】1つの非限定的な実施形態による、カムが第2の作動位置にある状態の、図2の揮発性組成物ディスペンサの上面斜視図。
【図8】1つの非限定的な実施形態による、カムが第2の作動位置にある状態の、図2の揮発性組成物ディスペンサの底面斜視図。
【図9】1つの非限定的な実施形態による、カムが第2の作動位置にある状態の、図2の揮発性組成物ディスペンサの側面図。
【図10】1つの非限定的な実施形態による、図9の揮発性組成物ディスペンサの断面図。
【図11】1つの非限定的な実施形態による、揮発性組成物ディスペンサのための破裂要素の上面斜視図。
【図12】1つの非限定的な実施形態による、図11の破裂要素の平面図。
【図13】1つの非限定的な実施形態による、揮発性組成物ディスペンサの他の破裂要素の平面図。
【図14】1つの非限定的な実施形態による、変形可能な材料及び図13の破裂要素を使用する、揮発性組成物ディスペンサの断面図。
【図15】1つの非限定的な実施形態による、揮発性組成物ディスペンサの様々な構成要素の分解斜視図。
【図16】1つの非限定的な実施形態による、カムが非作動位置にある状態の、他の揮発性組成物ディスペンサの底面斜視図。
【図17】1つの非限定的な実施形態による、カムが中間位置にある状態の、図16の揮発性組成物ディスペンサの一部分の上面斜視図。
【図18】1つの非限定的な実施形態による、カムが完全に作動された位置にある状態の、図16の揮発性組成物ディスペンサの一部分の上面斜視図。
【図19】1つの非限定的な実施形態による、揮発性組成物ディスペンサの背面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、本明細書に開示の装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の総合的な理解をもたらすために、様々な実施形態について説明する。これらの実施形態の1つ以上の実施例を添付の図面に示す。本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示す装置及び方法は、非限定的な例示的実施形態であること、並びに、本開示の各種の実施形態の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されることは、当業者には理解されよう。1つの代表的な実施形態に関連して示される、又は述べられる特徴は、他の代表的な実施形態の特徴と組み合わせてもよい。そのような修正及び変形は、本開示の範囲に含まれることが意図される。
【0011】
一実施形態によると、揮発性組成物ディスペンサは、少なくとも1つの揮発性組成物及び/又は他の溶液若しくは組成物、例えば香料、芳香剤、及び/又は殺虫剤を、例えば揮発性組成物ディスペンサを包囲する領域又は大気に分配するのに使用され得る。揮発性組成物は、大気条件下で気相に入ることができる単一の化学的若しくは単一材料を含むことができ、より一般的に、揮発性組成物は、大気条件下で、気相に入ることができる化学物質及び/又は材料の混合物を含むことができる。
【0012】
一実施形態では、揮発性組成物は、エアフレッシュナー、防臭剤、悪臭中和材、悪臭ブロッキング材、悪臭中和剤、悪臭マスキング材、アロマセラピー材、芳香心理学材、殺虫剤、及び/又はこれらの組み合わせとして機能することができる基材を含むことができるが、これに限定されない。他の様々な実施形態では、揮発性組成物は、それらの気相において、揮発性組成物ディスペンサの外側の大気又は領域を修正し、強化し、及び/又は処理する他の様々な材料を含むことができる。
【0013】
本開示の範囲を限定する意図はなく、説明の目的ではあるが、本開示は、液体を含有する、例えば、香料又は芳香剤などを送達するためのエアフレッシュニングシステムとして記載される。一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、例えば内部空間内又は車両の乗員室で使用されるように構成され得るが、本開示はこのような使用には限定されない。車両内の使用を参照して、揮発性組成物ディスペンサが本明細書において記載されている一方で、ディスペンサは、家又はオフィスなど任意の環境において、あるいは、人によって着用され得、かつ例えば任意の好適な溶液、化学物質、材料、及び/又は組成物を分配するように構成され得る、ということを当業者は理解するであろう。
【0014】
様々な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、ディスペンサによって分配され、及び車両の内部空間又は乗員室を、乗客に対してより心地良く香るように構成される、及び/又は乗客が車両に入るときに、例えば心地良い芳香剤を蒸発させること、及び/又は中和化することができる組成物を蒸発させる、及び/又は少なくとも部分的に悪臭を取り除くことができる組成物を蒸発させることのいずれかによって、良好なオープンドアの経験を乗客に提供するように構成された任意の好適な溶液、化学物質、材料、及び/又は組成物を含むことができる。
【0015】
本開示は概して、揮発性組成物を連続的な方式で送達するための、通電されていない揮発性組成物ディスペンサに関する。「通電されていない」は、装置が電源を備えていないということであり、外部エネルギーの源によって作動する必要はないということを意味することができる。特に、一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、熱、気体、電流、及び揮発性組成物を源として作動する必要はなく、揮発性組成物は概してエアゾール手段によって送達されない。
【0016】
様々な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物ディスペンサが、静止位置であるときに(すなわち、揮発性組成物ディスペンサは、車両に対して移動されていない)、少なくとも1つの揮発性組成物を、連続的又は実質的に連続的な方式で送達することができる。少なくとも1つの揮発性組成物の全て、又は実質的に全てが、揮発性組成物ディスペンサの揮発性組成物容器から排出されるまで、少なくとも1つの揮発性組成物の放出レベルは均一な強度を呈してもよい。少なくとも1つの揮発性組成物の連続的な放出は、任意の好適な長さ、例えば20日、30日、60日、90日、更に短く、又は更に長い期間、あるいは例えば、10日〜90日の間の任意の期間のものであってもよい。当然ながら、多少の揮発性組成物が、その耐用年数を増加させる又は減少させるために揮発性組成物ディスペンサ内に提供され得る。また、揮発性組成物ディスペンサの耐用年数は、それが動作する状況(すなわち、温度、圧力、湿分含量)による場合がある。
【0017】
一つの非限定的な実施形態では、図1を参照すると、揮発性組成物ディスペンサ10は、車両の空調システムの通気孔12上に配置されて図示されている。通気孔12は、例えば、複数のルーバー13及びルーバー調節機構15を含むことができる。揮発性組成物ディスペンサ10は、例えばルーバー13を備えるディスペンサ10の取り付け部分に係合することによって、通気孔12に取り付けられ得る。かかる実施形態では、空調システムによって通気孔12に、又は通気孔12から外に押された空気は、揮発性組成物ディスペンサ10を通って流れ、いずれかの蒸発した(すなわち、気相の)揮発性組成物を、揮発性組成物ディスペンサ10から、車両の内部空間内又は乗員室まで展開することができる。上記のように、揮発性組成物のかかる展開は、例えば、車両の乗員室又は内部空間内の空気を処理することができる。本明細書に記載される揮発性組成物ディスペンサが、使い捨ての単一使用アイテムでであってもよいということ、又は揮発性組成物が少なくとも大半が使用された後に、揮発性組成物又は揮発性組成物カートリッジで補充され得るということを当業者は理解するであろう。
【0018】
一つの非限定的な実施形態では、図1〜10を参照して、揮発性組成物ディスペンサ10は、外側シェル14を含んでもよい。外側シェル14は、揮発性組成物ディスペンサ10の様々な内部構成要素を少なくとも部分的に囲むことができる。外側シェル14が、円形として図示されている一方で、それはまた、正方形、矩形、三角形、卵型、又は任意の他の適した形状であってもよい。一実施形態では、外側シェル14はまた、例えば揮発性組成物ディスペンサ10を、顧客にとって、より審美的に心地のよいものにするために、様々なデザイン及び/又は色を含んでもよい。様々な実施形態では、外側シェル14は、再利用可能であってもよく、その一方で、揮発性組成物ディスペンサ10の他の様々な構成要素(例えば揮発性組成物カートリッジ)は、例えば交換可能であってもよい。外側シェル14は、任意の適した材料を用いて熱成形、射出成型、及び/又は吹込成形されてもよい。外側シェル14の適した材料は、塑性体、例えば、Klocknerから入手可能なPentaplast Pentaform(登録商標)2101を含むことができる。一実施形態では、外側シェル14の材料は、着色された及び/又は着色されていない、シースルー(see-through)の塑性体を含むことができる。シースルー材料は、揮発性組成物ディスペンサ10に残っている揮発性組成物の量を観察できるようにし、これは、揮発性組成物ディスペンサ10の耐用期間の終了を示すことができる。
【0019】
1つの非限定的な実施形態では、図5、6、及び8を参照して、外側シェル14は、車両の空調からの空気を、例えば揮発性組成物ディスペンサ10に入れるのを可能にするように構成される少なくとも1つの入り口通気孔16を含むことができる。空調からの空気が、揮発性組成物ディスペンサ10の外側シェル14に入るとき、それは膜(例えば通気性又は微多孔膜など)の周辺を通過することができる。膜は、蒸発のための少なくとも1つの揮発性組成物を受容するように構成されてもよい。膜及び/又は外側シェル14の内側部分を空気が通過するとき、それは、蒸発した若しくは部分的に蒸発した揮発性組成物と混合され得る。一実施形態では、混合物は次いで揮発性組成物ディスペンサ10及び/又は外側シェル14を滲出し、揮発性組成物ディスペンサ10を包囲する空気を処理する。少なくとも1つの入口通気孔16は、車両の空調からの空気が、揮発性組成物ディスペンサ10に入り、蒸発した若しくは部分的に蒸発した揮発性組成物と混合するのを可能にするための任意の適した形状又は方向を有する、複数の入口通気孔16を含むことができる。
【0020】
非限定的な実施形態では、図1、2、及び4〜9を参照して、外側シェル14はまた、少なくとも1つの任意の出口通気孔18を含んでもよい。少なくとも1つの出口通気孔18は、外側シェル14内で、少なくとも1つの入口通気孔16と流体連通し、揮発性組成物ディスペンサ10内で蒸発した若しくは部分的に蒸発した揮発性組成物が、外側シェル14を滲出し、車両の乗員室若しくは内側領域に入るのを可能にしてもよい。様々な実施形態では、少なくとも1つの出口通気孔18は、蒸発した若しくは部分的に蒸発した揮発性組成物が、揮発性組成物ディスペンサ10の外側シェル14を出るのを可能にしながら、任意の適した形状又は方向を有する、複数の出口通気孔18を含むことができる。他の実施形態では、揮発性組成物ディスペンサ10は、空気が揮発性組成物ディスペンサ通過し、揮発性組成物ディスペンサを包囲する大気に、蒸発した若しくは部分的に蒸発した揮発性組成物を分配することができるよう十分な空気流を有する領域における、車両の外側に配置されてもよい。
【0021】
一つの非限定的な実施形態では、図2〜10を参照して、揮発性組成物ディスペンサ10はまた、可動アクチュエーターと、又は取り付け部分22に取り付けられ又は取り付け部分22と共に形成されたカム20(「カム」)とを含むことができる。カム20は1つのカム面24又は1つ以上のカム面を含むことができる。1つ以上のカム面が提供される一実施形態では、様々なカム面はカム20から異なる距離を延び、例えば、ある特定の時間、どのカム面が破裂要素と接触するかによって、揮発性組成物ディスペンサ10の破裂要素に対してカム20が異なる力を適用できるようする。カム20又はカム面24は、所定の十分な力を揮発性組成物ディスペンサ10の破裂要素に適用するための任意の好適な形状又は向きを有することができる。カム面24は、破裂要素と直接と接触する必要はなく、実際には、通常は、まず膜と接触し、この膜を破裂要素の方向へ押してもよい。
【0022】
一実施形態では、更に図2〜10を参照して、取り付け部分22は、揮発性組成物ディスペンサ10に取り付けられ、これに可動に取り付けられ、これに回転可能に取り付けられ、又はこれに枢動可能に取り付けられ、あるいは、取り付け部分22が外側シェル14に対して、ピン26を中心に、回転する、移動する、及び/又は枢動するように、外側シェル14から延びる少なくとも1つのラグ36と係合したピン26によって外側シェル14に対して取り付けられ、これに可動に取り付けられ、これに回転可能に取り付けられ、又はこれに枢動可能に取り付けられてもよい。一実施形態では、開口部37は、少なくとも1つのラグ36において画定され得、そこでは開口部はピン26を受容する。一実施形態では、取り付け部分22は、そこから延びる、少なくとも1つの突起を含んでもよい。この少なくとも1つの突起は、外側シェル14を有して形成された、又はこれに取り付けられた取り付けブラケット内の開口部と係合して、外側シェル14に取り付け部分22を取り付けてもよい。更に、取り付け部分22は、揮発性組成物ディスペンサ10を対象物(例えば、車両の空調の通気孔など)に取り付けるために使用されてもよい。よって、取り付け部分22は、空調の通気孔の部分と係合するように構成された複数の戻り止め27を含むことができる。勿論、取り付け部分22はまた、揮発性組成物ディスペンサ10が空調の他の対象物若しくは通気孔に取り付けられるようにする、任意の他の適した把持又は係合機構を含んでもよい。
【0023】
1つの非限定的な実施形態では、再び図2〜10を参照して、カム20は、第1の非作動位置と、第2の作動位置との間で可動であってもよい。一実施形態では、第1の非作動位置は図2〜5に図示され、第2の作動位置は、図7〜10に図示されている。図を参照して分かるように、ユーザーは、例えば、カム20を第1の非作動位置(図2〜5)と、第2の作動位置(図7〜10)との間で移動させるために、取り付け部分22をピン26の周囲で移動させる、枢動させる、及び/又は回転させることができる。取り付け部分22の作動によって、カム20が移動され、枢動され、及び/又は回転されると、カム面24及びカム20の少なくとも一部分は、外側シェル14の凹部28(図5)に入ることができ、かつ外側シェル14の内側部分に少なくとも部分的に入ることができる。外側シェル14の内側部分に入るカム面24及び/又はカム20の少なくとも一部分の目的は、カム面24に、十分な所与の力を外側シェル14内の破裂要素に適用させ、内部に揮発性組成物を含む揮発性組成物容器を穿孔又は穿刺させ、膜へと揮発性組成物を放出させるようにすることである。一実施形態では、破裂要素又は破裂要素の可動部分は、カム20及び/又はカム面24によって作動されたときは、約1mm〜約4mmずれてもよい。勿論、他の実施形態では、破裂要素又は破裂要素の可動部分は、揮発性組成物容器の壁部及び/又は揮発性組成物容器の破裂可能な封止を破裂するとき、穿孔するとき、穿刺するとき、任意の適した距離を移動することができる。この動作の結果として、揮発性組成物は、蒸発のために、揮発性組成物ディスペンサ10の膜上に分配され、滴下され、又はこれに流される(又は所望による吸上作用を次いで膜に)。揮発性組成物容器、揮発性組成物、破裂要素、及び膜は、以下において更に詳細に記載される。
【0024】
非限定的な一実施形態では、図2、3、5、6、8、及び10を参照して、取り付け部分22が作動され、カム20を第2の作動された位置へ、枢動する、及び/又は回転すると、取り付け部分22は、外側シェル14の第2の、又は底部分から延びる所望の留め具30と係合することができる。留め具30は、スロットと、溝と、突出部31と、開口部等と、取り付け部分22上で係合して、取り付け部分22を、カム20が第2の作動位置にある定位置に保持するように構成されてもよい。留め具30はまた、揮発性組成物ディスペンサ10の使用中に、外側シェル14に対して、取り付け部分22が移動する、枢動する、及び/又は回転する機会を防ぐ、阻害する、又は少なくとも最小限にしてもよい。
【0025】
揮発性組成物ディスペンサ10を顧客若しくはユーザーへ送達すると、取り付け部分22は、カム20及びカム表面24が第1の非作動位置にあるように、かつ、揮発性組成物ディスペンサ10内の破裂若しくは穿孔部材を有する穿刺部材に、又は要素(本明細書では、合わせて「破裂要素」と呼ばれる)に力を適用しないように、取り付け部分22を配置することができる。他の実施形態では、カム20及びカム面24が、十分な所定の力を破裂要素に適用して、例えば、揮発性組成物容器に取り付けられた揮発性組成物容器若しくは破裂可能な封止若しくは壁を破裂させる若しくは穿孔しないように、取り付け部分22は配置され得る。よって、揮発性組成物容器は、破裂されていない又は穿孔されてないままであってもよく、これによって、顧客が使用する前に及び/又はカム20が第2の作動位置へ移動する前に、揮発性組成物が蒸発する及び/又は揮発性組成物容器を滲出する、防止する、又は少なくとも減少させる。
【0026】
1つの非限定的な実施形態では、図6を参照して、揮発性組成物ディスペンサ10の様々な構成要素の分解斜視図が図示されている。図示されているように外側シェル14は、少なくとも1つの出口通気孔18と、少なくとも1つの入口通気孔16を含む第2部分34を含む、第1部分32を含むことができる。当業者は、例えば、外側シェル14の少なくとも部分、例えば第2部分34の部分が排除され得、揮発性組成物ディスペンサ10は依然として正常に機能することができるということを理解するであろう。一実施形態では、外側シェル14の第1部分32は、第2部分34に枢動可能に取り付けられ、スナップ嵌めされ、プレス嵌めされ、ないしは別の方法で、これに係合する又は取り付けるように構成され得る。取り付け部分22は、第2部分34に対して、取り付け部分22が移動する、枢動する、及び/又は回転するのを可能にするために、ピン26を使用して、第2部分34上で、少なくとも1つのラグ36に取り付けられてもよい。外側シェル14第1部分32は、外側シェル14の第2部分34に枢動可能に、又は回転可能に取り付けられ、2つの部分32及び34は、ヒンジによって、例えば他の適した回転可能若しくは枢動可能な部材によって接続されてもよい。
【0027】
1つの非限定的な実施形態では、図6を更に参照して、揮発性組成物ディスペンサ10の様々な構成要素は、少なくとも1つの揮発性組成物40(図6には図示されていない)を内部に収容するように構成される揮発性組成物容器38と、揮発性組成物容器38内の揮発性組成物40の少なくとも大半を維持するために、揮発性組成物容器38の一部分を被覆するように構成された所望により破裂可能な封止部42とを含むことができる。揮発性組成物容器38は、剛性又は可撓性材料から構成されてもよい。揮発性組成物ディスペンサ10は、外側ハウジング46と、外側ハウジング46内に少なくとも部分的に配置された移動可能な部分48を含む、破裂要素44を更に含むことができる。更に、揮発性組成物ディスペンサ10はまた、膜50(例えば通気性膜又は微多孔膜)を含むこともできる。これらの様々な構成要素の少なくともいくつかは、外側シェル14内に少なくとも部分的に配置され得、例えば、接着剤封止、熱封止、誘導封止、圧力封止、超音波接合、クリンプ、及び/又は任意の他の適した封止方法又は封止化合物を使用して、互いに封止可能に係合され得る破裂可能な、穿孔可能な、及び/又は揮発性組成物容器38の破裂可能な壁(図示せず)、及び/又は破裂可能な封止部42が、破裂要素44によって破裂される、又は穿孔されるときに、様々な構成要素は、一緒に封止されて揮発性組成物40が、揮発性組成物容器38から滲出する又は流出することができ、これによって揮発性組成物40は、膜50から漏れることなく、かつ揮発性組成物ディスペンサ10の構成要素の封止部の間から洩れることなく、膜50で蒸発のために受容され得る。一実施形態では、破裂可能な封止部42は、供給されなくてもよく、破裂要素44は、揮発性組成物容器38の壁又は他の部分(本明細書では「壁」)を破裂させる、又は穿孔することができる。勿論、一実施形態では、壁及び破裂可能な封止部42の両方は、破裂要素44によって破裂されてもよく、又は穿孔されてもよい。破裂要素44は、ポリオレフィン(例えばポリエチレン(PE)又をポリプロピレン(PP))、ポリエステル、あるいは成形に好適であると周知の他の塑性体を使用して注入成形、圧縮成形、圧力成形されてもよい。一実施形態では、破裂要素44は、望まれない、又は要求されていない部分を取り除く、別個の切断工程を伴って、熱成形によって作製されてもよい。
【0028】
上記に加えて、1つの非限定的な実施形態では、更に図6を参照して、壁部は、揮発性組成物40を、それが膜50内に放出されるまで、揮発性組成物容器38内に少なくとも部分的に維持して、揮発性組成物40の蒸発を防ぐ、阻止する、又は少なくとも低減するように構成され得る。壁部は、穿刺され、穿孔され、及び/又は破裂されるように破裂要素44によって構成され得る。一実施形態では、揮発性組成物容器38は、破裂可能な封止部42と封止可能に、ないしは別の方法で係合するように構成されるフランジ39を所望により含む、1つの開放側部を備える。破裂可能な封止部42は、接着剤の層、熱、及び/又は圧力封止、超音波接合、クリンプ等、又はこれらの組み合わせによって、フランジ39と封止される又は係合され得る。かかる実施形態では、破裂可能な封止部42は、揮発性組成物40を、それが膜50上に放出されるまで、揮発性組成物容器38内に少なくとも部分的に維持して、揮発性組成物40の蒸発を防ぐ、阻止する、又は少なくとも低減するように構成され得る。破裂可能な封止部42は、接着剤、熱、圧封止、超音波接合、クリンプ及び/又は他の適した封止方法を使用して、揮発性組成物容器38の任意のフランジ39に取り付けられてもよい。他の実施形態において、破裂可能な封止部42は、例えば、揮発性組成物容器38と一体設計されてもよい。一実施形態では、破裂可能な封止部42は、破裂可能な基材、例えば可撓性箔を含んでもよい。
【0029】
上記に加えて、1つの非限定的な実施形態では、破裂可能な封止部42は、十分な力又は所定の力の適用で破裂させる又は破壊する任意の材料で、あるいは、そのような破裂に役立つ要素の存在で又はこのような存在がなく、破裂させる又は破壊する任意の材料で構成され得る。破裂可能な封止部42は、揮発性組成物40を揮発性組成物容器38内に収容するのを意図されており、その一方で揮発性組成物容器38又は揮発性組成物ディスペンサ10は保管されているため、破裂可能な封止部42は、使用前の揮発性組成物40の蒸発を防ぐ、又は少なくとも最小限にする任意のバリア材料から作製され得る。そのような材料は、蒸気及び液体に対して不透過性であり得、又は少なくとも実質的に不透過性であり得る。破裂可能な封止部42に好適なバリア材料は、可撓性フィルム、例えばポリマーフィルム、可撓性箔、及び/又は例えば、箔/ポリマーフィルム積層体などの複合材料を含み得る。好適な可撓性箔には、例えばニトロセルロース保護ラッカー、20マイクロメートルのアルミホイル、ポリウレタンプライマー、及びAlcan Packagingから入手可能な15g/m2のポリエチレンコーティング(Lidfoil 118−0092)から構成される箔などの金属箔を含む。破裂可能な封止部42の代替組成物は、PEコーティング/Al箔/PEコーティング又はPPフィルム/Al箔/PEコーティングを含むことができる。破裂要素44がPPから構成される場合では、それは例えば破裂可能な封止部42のPP面に封止されてもよい。破裂要素44が、高密度ポリエチレン(HDPE)で構成される場合では、次いで破裂可能な封止部42上のPEコーティングは、例えば、破裂要素44の破裂可能な封止部42への熱封止を助けるために、HDPEであってもよい。いずれの事象においても、そこに破裂可能な封止部42が取り付けられる任意の構成要素(例えば、破裂可能な要素44又は揮発性組成物容器38)に容易に封止する、破裂可能な封止部42上に熱封止コーティングを有するのは好ましい場合がある(例えばPEに対するPE、PPに対するPP、及びHDPEに対するHDPE)。一実施形態では、好適なポリマーフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、アクリロニトリルコポリマーバリアフィルム(例えば、INOESによって商標Barex(登録商標)のもとで販売されているものなど)エチレンビニルアルコール、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。コーティングされたバリアフィルムは、破裂可能な封止部42として利用され得るということが想到される。かかるコーティングされたバリアフィルムは、金属化ポリエチレンテレフタレート(PET)、金属化ポリプロピレン、シリカ、及び/又はアルミナコーティングされたフィルムを含むことができる。いずれかのバリア材料は、コーティングされていようとコーティングされていないに関わらず、単独で、及び/又は他のバリア材料との組み合わせのいずれかで使用されてもよい。
【0030】
一実施形態では、揮発性組成物容器38は、揮発性組成物40を含有する又は含む、約0.5mL〜約8mLの液体及び/若しくはゲルを含むことができる。他の実施形態において、揮発性組成物容器38は、例えば、約1mL〜約6mL、約1mL〜約4mL、約2mL、又は約4mLを含むことができる。勿論、揮発性組成物40の任意の他の好適な体積は、本開示の範囲内であり、揮発性組成物容器38と共に使用され得る。一実施形態では、揮発性組成物容器38は、2つ以上の揮発性組成物容器を含むことができ、それぞれの容器は、異なる揮発性組成物、材料、及び/又は化学物質を内部に有する。揮発性組成物容器のそれぞれは、例えば1つ以上の破裂要素によって破裂されてもよい。他の実施形態において、揮発性組成物容器は、単一の揮発性組成物容器を含むことができるが、容器は2つ以上のチャンバを有してもよく、それぞれのチャンバは、例えば異なる揮発性組成物、材料、及び/又は化学物質を収容する。様々な実施形態では、1つ以上の揮発性組成物、化学物質、及び/又は材料が提供されるところでは、破裂要素が活性化されるとき、又はその後、揮発性組成物、材料、及び/又は化学物質はそれぞれ混合されるように構成されてもよい。
【0031】
1つの非限定的な実施形態では、ユーザーが手動で破裂可能な封止部42を破壊する、又は取り付け部分22を使用して、比較的容易に壁部を破壊するように、破裂要素44は、任意の方式で又は任意の向きに構成されてもよい。様々な実施形態では、破裂要素44の外側ハウジング46の第1側部又は表面54は、壁部のうちの1つの外側部分及び破裂可能な封止部42と封止可能に係合されてもよく、これによって、破裂要素44の可動部分48が、壁部又は破裂可能な封止部42のいずれかと係合して、壁部又は破裂可能な封止部42を穿孔する、穿刺する、及び/又は破裂させることによって、揮発性組成物容器38からの、揮発性組成物40の放出を可能にする。外側ハウジング46の第2側面又は表面56は、本明細書に記載の様々な封止技法(例えば、熱封止、超音波封止、接着剤封止)を使用して、膜50と封止可能に係合されてもよい。
【0032】
上記で参照されたように、再び図6を参照して、破裂要素44の可動部分48は、外側ハウジング46に取り付けられてもよく、外側ハウジング46に開放可能に取り付けられてもよく、及び/又は外側ハウジング46内に単に配置されるが、それに取り付けられなくてもよい。一実施形態では、以下により詳細に記載されるように、可動部分48は、少なくとも1つの付勢部材60を介して、外側ハウジング46に取り付けられてよい。可動部分48は、可動部分48上の可動部分48及び/又はいずれか他の位置の外側周辺部の近位に位置決めされた少なくとも1つの、又は複数の穿刺部材58を含むことができる。穿刺部材58の先端部62及び/又は穿刺部材58自体は、壁部及び破裂可能な封止部42の内の1つの開口部又はクラックを穿刺する、破裂する、穿孔する、揮発性組成物40が膜50内に放出されて蒸発するように構成され得る。一実施形態では、外側ハウジング46は、可動部分48に向かって内側に延びる環状のリップ(図示せず)を含むことができる。かかる実施形態では、可動部分48は、外側ハウジング46に取り付けられなくてもよい。その外側周辺部に近位である可動部分48の一部分は、可動部分48に力を適用すると、リップと係合し、全体の可動部分48が、破裂可能な封止部42又は壁部を通って押される機会を防ぐ、阻害する、又は少なくとも最小限にすることができる。代わりに、少なくとも1つの穿刺部材58又は少なくとも1つの穿刺部材58のリップ62が、破裂可能な封止部42及び/又は壁部を穿孔してもよい。
【0033】
1つの非限定的な実施形態では、更に図6を参照して、複数の穿刺部材58は、可動部分48の外側周辺部に位置決めされ得、よって、どの方向に揮発性組成物ディスペンサ10があろうとも、壁部又は破裂可能な封止部42の最も低い部分は、破裂され得、所望により、壁部又は破裂可能な封止部42における他の破裂に加えて、揮発性組成物40が揮発性組成物容器38から容易に流出することができるようにする。一実施形態では、揮発性組成物容器38は、揮発性組成物容器38の任意の方向において、最も高い部分及び最も低い部分を含んでもよい。壁部における、又は破裂可能な封止部42における破裂は、最も低い部分に近位に配置され得、ほとんどの揮発性組成物40が揮発性組成物容器38から流出することができるようにする。様々な実施形態では、2〜10の穿刺部材58は、可動部分48の外側周辺の近位に、あるいは4〜8、あるいは6、及びあるいは4は近位に配置され得る。可動部分48のほぼ外側周辺に、又はこれの近位に位置決めされた複数の穿刺部材58を提供することによって、少なくともの1つの穿刺部材58は、揮発性組成物容器38の最も高い部分に対して最も低い点において、又は実質的に最も低い点において、壁部又は破裂可能な封止部42を破裂することができる。したがって、揮発性組成物容器内の液体揮発性組成物40の少なくとも大半は、揮発性組成物40にかかる重力によって、揮発性組成物容器38を滲出することができる。他の実施形態において、揮発性組成物容器38の向きによって、壁部又は破裂可能な封止部42の他の好適な穿刺領域が好適であってもよい。例えば、一実施形態では、壁部又は破裂可能な封止部42の中間部分が穿刺されてもよい。
【0034】
壁部又は破裂可能な封止部42を破壊する、破裂させる、穿孔する及び/又は穿刺するために適用される好適な所定の力は、例えば、約100N、あるいは約60N、あるいは約50N、あるいは約25N,あるいは約15〜25N、あるいは約20N、あるいは約15N未満、及びあるいは約10N未満であってもよい。所定の力は、例えば、膜50、破裂要素44、穿刺部材58の数及び設計、及び/又は破裂可能な封止部42の組成物及び/又は厚さ、又は揮発性組成物容器10の外側シェル14内の壁部の物理的特性及び配置によって変化し得るということを、当業者は理解するであろう。
【0035】
揮発性組成物容器10の動作の一実施形態では、図10を参照して、カム20が第1の、非作動位置から第2の作動位置まで移動されるとき、カム20のカム面24は、外側シェル14の第2部分34における凹部28を少なくとも部分的に通って位置決めされ得、かつ第1に膜50に接触し、それを破裂要素44の方向へ押す。破裂要素44の可動部分48は、次いで外側ハウジング46に対して移動することができ、これによって穿刺部材58は揮発性組成物容器38の壁部若しくは破裂可能な封止部42と係合することができ、これによって壁部若しくは破裂可能な封止部42を穿刺又は穿孔し、膜50上に揮発性組成物40を放出し、又は例えば膜50と接触する吸上部上に揮発性組成物40を放出する。よって、膜50は、カム面24によって押されたときに、破壊することなく、一同するのに十分なほど弾性であり、可撓性であってもよい。一実施形態では、カム面24は、例えば約1mm〜約4mm、破裂要素44を移動することができる。一実施形態では、破裂要素44の外側ハウジング46は取り除かれ得、破裂可能な封止部44は、例えば可動部分48を含むことができる。
【0036】
一実施形態では、膜50は、通気性部分又は微多孔性部分(すなわち、空気又は他の気体がそれを通って流れることができる)含むことができる。通気性膜50は、空気又は上記透過性であってもよく、更に、膜50からの又はこれを通る液体又はゲルの自由流を防ぐ、阻害する、又は少なくとも最小限にすることができ、よって漏れの問題を解決する。微多孔膜は、通気性膜の特性を含み、また液体を吸上げることもできる。更に、微多孔膜は、少なくとも1つの揮発性組成物40の拡散を、ポリマーを通る揮発性組成物40の拡散速度によって、液体組成物40の蒸発によって制御されるのを可能にすることができる。膜50は、壁部又は破裂可能な封止部42が破壊又は穿刺されるまで、揮発性組成物40から遮断されているために、膜50が揮発性組成物40によって完全に湿潤したとき、蒸発した揮発性組成物又は芳香剤の強度は、ゼロからその均衡比率までゆっくりと作ることができる。
【0037】
一実施形態では、膜50は、香料又は芳香剤材料など、より揮発性でない組成物を後に残して限定された選択性を有することができる。従来のポリエチレンなど選択性の膜は、高分子量の揮発性組成物、及びポリエチレン内に低い溶解性を有する組成物が、それを通って拡散するのを阻害する場合がある。これは、例えば、異なる揮発度を有する多種多様の揮発性組成物を有する製剤を使用することが一般的に望ましいエアフレッシュの分野において、香料製剤を制限する場合がある。一実施形態では、例えば、いくつかの膜は、香料の適用において広く使用される、リナロール及びジヒドロミルセノールなどのアルコールの拡散を防ぐ場合がある。
【0038】
特定の理論に束縛されるものではないが、膜50の物理的特性は、膜50を通る揮発性組成物40の拡散速度に影響を及ぼす場合がある。かかる特性は、例えば、使用される材料、孔径、厚さ、及び蒸発性表面積を含むことができる。
【0039】
例えば微多孔膜などの膜50は、例えば、約0.01マイクロメートル〜約0.06マイクロメートル、あるいは約0.01マイクロメートル〜約0.05マイクロメートル、あるいは約0.01マイクロメートル〜約0.04マイクロメートル、あるいは約0.01マイクロメートル〜約0.03マイクロメートル、あるいは約0.02マイクロメートル〜約0.04マイクロメートル、及び、あるいは例えば約0.02マイクロメートルの平均孔径を有することができる。
【0040】
1つの非限定的な実施形態では、膜50は、任意の好適な充填剤及び当該技術分野において既知の可塑剤で充填されてもよい。充填剤は、超微粒子状シリカ、粘土、ゼオライト、炭酸塩、炭、及びこれらの混合物を含んでもよい。様々な実施形態では、膜50は、シリカの総重量の約50〜約80%、あるいは約60%〜約80%、あるいは約70%〜約80%、及びあるいは例えば約70%〜約75%で充填されてもよい。更に、一実施形態では、膜50は、約0.01mm〜約1mm、あるいは約0.1mm〜約0.4mm、あるいは約0.15mm〜約0.35mm、あるいは例えば約0.25mmの厚さを有してもよい。
【0041】
例えば、揮発性組成物ディスペンサ10及び/又は外側シェル14の、ユーザーの好む寸法によって、膜50の表面積は、様々であってもよいということを当業者は理解するであろう。いくつかの例示の実施形態では、膜50の蒸発表面積は、例えば、約0.25cm2〜約100cm2、あるいは約0.25cm2〜約50cm2、あるいは約0.5cm2〜約25cm2、あるいは約0.5cm2〜約10cm2、あるいは約0.5cm2〜約6cm2、及び、あるいは約0.75cm2〜約3cm2であってもよい。
【0042】
1つの非限定的な実施形態では、図3、6、10を参照して、膜50の蒸発表面積は、バリアフィルム72(すなわち、実質的に気体又は液体を透過しないフィルム、コーティング、及び/又は材料)を封止することによって、あるいはこれを膜50の一部分に取り付けて、膜50の蒸発表面積を低減し、例えば揮発性組成物40の、より制御された及び/又はよりゆっくりとした蒸発をもたらすることによって修正されてもよい。一実施形態では、バリアフィルム72は、カム20のカム面24が、例えば、少なくとも部分的に、膜50上のバリアフィルム72に係合することができ、かつ膜50自体には係合しないように、膜50上に配置されてもよい。カム面24によるバリアフィルム72のこのような係合は、カム面24が、膜50に所定の力を適用したときに、カム面24によって、膜50に損傷が引き起こされるリスクを防ぐ、阻止する、又は少なくとも低減する。少なくともカム面24が膜50に係合し得る膜50上にバリアフィルム72を提供することによって、膜50の漏れは阻止される、又は少なくとも最小限にされ得る。一実施形態では、バリアフィルム72は、例えば、PE熱封止コーティングを備えるPETフィルムから構成されてもよい。バリアフィルム72は、ダイカットされて、例えば約50%の開放領域を有してもよく、PE熱封止コーティングは、膜50に熱封止積層されて、例えば約50%、膜50の蒸発表面積を効果的に低減してもよい。一実施形態では、バリアフィルム72は、膜50と同じ寸法又は外周部を含んでもよく、かつ膜50の蒸発表面積を低減するための開口部を内部に有してもよい。他の実施形態では、バリアフィルム72は、膜50よりも小さい寸法又は外周部を有することができ、内部に開口部を有してもよく、又は有さなくてもよく、これによって、例えばバリアフィルム72によって被覆されていない膜50の一部分を残す。勿論、バリアフィルムは、本開示の他の実施形態及び膜と共に使用されてもよいが、特にそれと共には参照されてはいない。
【0043】
好適な非限定的な膜50は、米国特許第7,498,369号に記載されるように、所望によりシリカで充填された微多孔性、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含んでもよい。かかるUHMWPE膜は、Daramicから入手可能なDaramic(商標)V5、DSM(Netherlands)から入手可能なSolupor(登録商標)、及びPPG Industriesから入手可能なTeslin(商標)HD 1100を含むことができる。これらの膜は、揮発性組成物40が自由に消散できるようにし、一方で、揮発性組成物ディスペンサ10内に液体揮発性組成物40を収容することができると考えられる。
【0044】
他の好適な膜は、任意の透過性のポリマー、熱可塑性、又は熱硬化性の材料から作製されてもよく、単独で、共押出の、織布若しくは不織布の、エラストマー、ゴム、固体、シリカ、及びこれらの組み合わせと混合された又は組み合わされたアセタール、アクリル系、セルロース系、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニル、ポリオレフィン、スチレン系などが挙げられる。また、好適なのはポリウレタンフィルム、例えば、Dupontから入手可能なHytrel(商標)、Arkemaから入手可能なLotryl(商標)、及び例えば低密度ポリエチレンフィルムなど、揮発性組成物の良好な拡散を可能にするフィルムである。他の実施形態において、任意の他の好適な多孔若しくは無孔の膜又はフィルムは、揮発性組成物ディスペンサ10と共に使用され得る。
【0045】
1つの非限定的な実施形態では、膜50は、これに接触して耐用期間の終了を示す、揮発性組成物40の量に敏感な染料を含んでもよい。あるいは、膜50は、芳香剤又は揮発性組成物40に接触したときに変化して、拡散が発生しているということを示すことができる。当該技術分野において既知である耐用年数の終了を示すための他の手段が、本開示の範囲内で想到される。
【0046】
上記に加えて、図10〜12を参照すると、破裂要素44の実施形態が更に詳細に図示されている。穿刺部材44は、外側ハウジング46、及び内部に位置決めされた、少なくとも1つの穿刺部材58を有する可動部分48を含むことができる。一実施形態では、可動部分48は、可動部分48と外側ハウジング46との間に延びることができる少なくとも1つの付勢部材60によって外側ハウジング46に取り付けられてもよい。少なくとも1つの付勢部材60は、可動部分48と通常付勢するように構成され、かつ少なくとも1つの穿刺部材58がその上に壁部又は破裂可能な封止部42から離れて、配置され、穿刺部材58が破裂可能な部材58が、事前に破裂可能な封止部42又は壁部を破裂させる、又は穿孔し、揮発性組成物40の事前の蒸発につながる機会を防ぐ、阻止する、あるいは少なくとも低減するように構成され得る。一実施形態では、図10を参照して、カム面24が可動部分48に所定の力を適用したときに、少なくとも1つの付勢部材60は、曲げる、屈折する、又は伸張することができる。他の実施形態では、少なくとも1つの付勢部材60は、カム面24が、所定の力を可動部分48に適用したとき、可動部分48が破裂可能な封止部42又は壁部の方向へ移動させることができる、破壊できる壊れやすい部分を含むことができる。当業者は、少なくとも1つの付勢部材60は、ばね、壊れやすい要素若しくは材料、伸縮部材、弾性部材、プラスチック材料、弾性材料、可撓性材料、伸縮性材料、及び/又は他の好適な部材若しくは材料を含むことができるということを理解するであろう。図10に図示されたように、可動部分48はまた、カム面24が所定の力をそれに適用したときに、上方に、所望により弓形に、破裂可能な封止部42の方向へ、又は壁部の方向へ上向きに曲がる、伸張する、又は屈折することができる。
【0047】
1つの非限定的な実施形態では、少なくとも1つの付勢部材60の使用によって、少なくとも1つの穿刺部材58は、所定の力が、カム面24によって可動部分48に適用されたときに、少なくとも1つの穿刺部材58は、破裂可能な封止部42若しくは壁部を通って、この中に、かつ少なくとも部分的に配置され得る。次いで、少なくとも1つの穿刺部材58は、少なくとも1つの付勢部材60のおかげで、破裂可能な封止部42若しくは壁部との接触から少なくとも部分的に引っ張られ、揮発性組成物40が、破裂可能な封止部42若しくは壁部において作製された開口部を通って流出するのを可能にすることができる。他の実施形態において、カム20、カム面24、及び/又は取り付け部分22の枢動部(ピン26の周囲)は、カム面24は膜50に力を適用し、破裂要素44が破裂要素44の少なくとも一部分を、例えば約1mm〜約4mm、破裂可能な封止部42の方向に移動させ、破裂可能な封止部42を穿刺させるように構成され得る。カム面24が所定の力を膜50及び破裂要素44にもはや適用せず、カム面24が最終的に作動され、完全に配置され、及び/又はラッチ位置に移動されるように、カム面24は、次いで膜50との接触から後退する。
【0048】
1つの非限定的な実施形態では、収集ボウル(図示せず)が、膜50の近位に配置されて、液体揮発性組成物40が、膜50によって受容される前に、揮発性組成物容器38から分配された液体又はゲルの揮発性組成物40を収集してもよい。収集ボウルは、更に、実質的に更に、及び/又は液体若しくはゲルの揮発性組成物40の、膜50上への一定の分布を提供することができる。収集ボウルは、適した終了で、膜50の上に、液体又はゲル揮発性組成物40が蒸発のために均一に分布されるのを可能にする任意の好適な構成及び/又は向きを有することを当業者は理解するであろう。
【0049】
1つの非限定的な実施形態では、再び図6を参照して、揮発性組成物カートリッジ70(分解図に図示されている)は、揮発性組成物ディスペンサ10又は他の適した揮発性組成物ディスペンサと共に使用するために提供されてもよい。一実施形態では、揮発性組成物カートリッジ70は、少なくとも1つの揮発性組成物40を内部に含む揮発性組成物容器38を含むことができる。揮発性組成物カートリッジ70はまた、破裂要素44も含むことができ、これは揮発性組成物容器38に近接して位置決めされ、揮発性組成物容器38と封止可能に係合され得る。他の実施形態では、揮発性組成物カートリッジ70は、破裂可能な封止部42又は揮発性組成物容器38と封止可能に係合された箔を更に含むことができる。この破裂可能な封止部42又は箔は、破裂要素44が作動すると、破裂要素44によって、破壊され、破裂され、穿孔され、又は穿刺されてもよい。更に、揮発性組成物カートリッジ70は、破裂要素44に近接して位置決めされる膜50を含むことができる。膜50は、例えば所望のバリア層72に取り付けられ得る。一実施形態では、破裂要素44は膜50の一部分(a portion a portion)と封止可能に係合されてもよい。よって、破裂要素44は、揮発性組成物ディスペンサ10のカム20の作動によって、揮発性組成物容器38内に開口部を作製し、揮発性組成物容器38から揮発性組成物40を蒸発のために膜50の上に放出するように構成され得る。揮発性組成物容器、破裂可能な封止部、破壊要素、及び膜の他の実施形態が、上記の様々な例示の構成要素の代わりに、又はこれに加えて、揮発性組成物カートリッジ70内に含まれてもよいということを当業者は理解するであろう。
【0050】
その耐用年数の終わりに到達したとき、又はユーザーが異なる香り、芳香剤等が、揮発性組成物ディスペンサによって分配されるのを望む場合、ユーザーは、揮発性組成物カートリッジ70を交換することができる。揮発性組成物カートリッジ70を交換するために、ユーザーは、例えば、第1部分32から外側に第2部分34を回転することによって、あるいは他の実施形態では、別の方法で、外側シェル14の第1部分32を、外側シェル14の第2部分34から分離する(例えば、引き離す)ことによって、外側シェル14を開けることができる。ユーザーは、次いで、新しい揮発性組成物カートリッジ70を外側シェル14内に挿入し、次いで、外側シェル14の第1部分32及び第2部分34を再度締めることができる。そのような方式で、ユーザーは例えば、外側シェル14、取り付け部分22、及びカム20を再利用することができ、かつ揮発性組成物カートリッジ70を単に交換することができる。
【0051】
一非限定的な実施形態では、図13〜15を参照して、揮発性組成物ディスペンサ110は、外側ハウジング146と、少なくとも1つの穿刺部材158をその上に有する可動部分148を含む、破裂要素144を含むことができる。可動部分148は、外側ハウジング146内に位置決めされ得るが、外側ハウジング146に取り付けられなくてもよい。よって、可動部分148は、外側ハウジング146内で本質的に浮動性であり得る。外側ハウジング146は、破裂可能な封止部42への封止された取り付け用に構成された第1側部又は表面154、あるいは、膜50への封止された取り付けとして構成された壁部及び表面156の第2側面を含むことができる。本実施形態に使用される封止方法は、他の実施形態に関して本明細書に記載されているものと同じであってもよい。一実施形態では、少なくとも1つの穿刺部材158が破裂可能な封止部42又は揮発性組成物容器38の壁部を事前に穿刺する機会を防ぐ、阻止する、又は少なくとも最小限にするために、少なくとも1つの穿刺部材158は、破裂可能な封止部42と係合するように構成された丸い先端部162を含むことができる。かかる実施形態では、丸い先端部162は、十分な所定の力が、カム面24によって、又は他の好適な作動装置によって、可動部分148に適用されない限り、破裂可能な封止部42を穿刺させる、又は穿孔させない場合がある。他の実施形態では、十分な所定の力の下で、変形及び/又は圧縮され得る、例えば、ポリオレフィン若しくはポリウレタンなどの変形可能若しくは圧縮可能材料164は、破裂可能な封止部42若しくは壁部の中間に、及び、破裂可能な封止部42又は壁部から離れる可動部分148を通常付勢するための可動部分148の少なくとも一部分に位置決めされ得るが、しかし、更に少なくとも1つの穿刺部材158が、カム面24が可動部分148に十分な所定の力を適用するとき、所望により、変形可能若しくは圧縮可能材料164を通って、破裂可能な封止部42若しくは壁部を穿刺又は穿孔できるようにする。十分な所定の力は、上記の力の範囲内であってもよく、あるいは他の力範囲を含んでもよい。勿論、変形可能若しくは圧縮可能材料164は、少なくとも1つの穿刺部材158が、例えば変形可能若しくは圧縮可能材料164を通って穿刺する必要なく、破裂可能な封止部42若しくは壁部を穿刺できるように、可動部分148及び破裂可能な封止部42若しくは壁部の中間部分に位置決めされ得る。図13〜15には図示されていないが、上記のバリアフィルム72が、上記と同じ方式で図13〜15の様々な実施形態と共に使用され得るということが理解される。
【0052】
1つの非限定的な実施形態では、図15を参照して、揮発性組成物ディスペンサ110の分解図が図示されている。揮発性組成物ディスペンサ110は、少なくとも1つの揮発性組成物を内部に収容する揮発性組成物容器38を含むことができる。揮発性組成物ディスペンサ110は、破裂可能な封止部42、破裂要素144、膜50、及び所望の吸上部170を含むことができる。揮発性組成物ディスペンサ110はまた、第1部分32及び第2部分134を有する外側シェル114を含むこともできる。更に、揮発性組成物ディスペンサ110は、カム面24を含むカム20を含む取り付け部分22を含むことができる。一実施形態では、図14及び15を参照して、変形可能若しくは圧縮可能材料164は、破裂要素144及び/又は破裂要素144の可動部分148と、揮発性組成物容器38の壁部及び破裂可能な封止部42のうちの1つ、及び破裂可能な封止部42の中間に少なくとも部分的に配置され、破裂要素144の可動部分148が潜在的に壁部及び破裂可能な封止部42の方向へ移動し、破裂可能な封止部42若しくは壁部を事前に穿刺する可能性を防ぐ、阻止する、又は少なくとも最小限にする。特に指示がない限り、本明細書では、上記で使用された参照番号と対応する参照の数は、上記に記載されたものと同じものとして、又は実質的に同じものとして、解釈され得る。
【0053】
1つの非限定的な実施形態では、図15を参照して空気流調節部材が、揮発性組成物ディスペンサ110の少なくとも1つの通気孔の上に配置するように構成されてもよい。一実施形態では、空気流調節部材166は、外側シェル114の第2部分134上に、又はこれと共に位置決めされてもよい。空気流調節部材166は、第2部分134内の少なくとも1つの入口通気孔116の上を又は完全に上を少なくとも部分的に移動するように構成され得る。一実施形態では、空気流調節部材166は、そこから延びる2つのレール(図示されず)を含むことができ、これはスロット若しくはトラック168と、外側シェル114の第2部分134で係合することができる。結果として、空気流調節部材166は、第1部分からトラック168に沿って摺動若しくは移動することができ、ここでは、それは少なくとも1つの入口通気孔116、及び第2部分(それが、少なくとも1つの入口通気孔116の少なくとも一部分を少なくとも部分的に被覆する)を被覆しない。他の実施形態において、空気流調節部材は、第1位置(それが、入口通気孔116及び/又は出口通気孔118の全てを被覆されない)と、第2位置(それが少なくとも入口通気孔116及び/又は出口通気孔118の全てを揮発性組成物ディスペンサ110上で被覆する)の間を移動するように構成され得る。他の好適な空気流調節部材が、本開示と共に使用されてもよく、並びに揮発性組成物ディスペンサ110を通る適切な空気流のために必要とされるとき、空気流調節部材166が、入口通気孔116及び/又は出口通気孔118上に提供され得るということを当業者は理解するであろう。
【0054】
空気流調節部材166又は他の空気流調節部材を提供することによって、ユーザーは、揮発性組成物ディスペンサ110を通った空気流を調節することができ、これによって、揮発性組成物ディスペンサ110によって揮発性組成物ディスペンサ110を包囲する大気に分散された、蒸発した揮発性組成物の量を調節する。この特徴は、揮発性組成物ディスペンサ110を様々な個人の好みに本質的に「カスタマイズする」能力を顧客に与える。通気孔の全てが被覆されていない場合、より多くの空気が揮発性組成物ディスペンサ110を通って流れることができ、これによってより多くの芳香剤、悪臭処理剤等を、揮発性組成物ディスペンサ110を包囲する大気に提供する。通気孔の少なくともいくつかは被覆される場合、ディスペンサ110を通って、より少ない空気が流れることができ、これによって、より少ない芳香剤、悪臭処理剤等を揮発性組成物ディスペンサ110を包囲する大気に提供する。
【0055】
図19を参照して、空気流調節部材を有する揮発性組成物ディスペンサ310の非限定的な実施形態が示されている。揮発性組成物ディスペンサ310は、強度ダイヤル部材300含み、これは蒸発開口部320を閉鎖し、開放する強度ダイヤル要素330を、顧客が押すことによって強度ダイヤル要素300を回転できるようにする。蒸発開口部320が完全に開いた位置に、完全に閉じた位置に、又はそれらの間の任意の位置にあり得るように、顧客は強度ダイヤル要素330を調節する能力を有する。例えば、顧客が、より少ない芳香剤の放出を望むとき、蒸発開口部320は、例えば完全に閉じた位置にあってもよい。あるいは、芳香剤の最大の放出を顧客が望む場合、強度ダイヤル要素300は、蒸発開口部320が完全に開いた位置にあるように回転され得る。
【0056】
1つの非限定的な実施形態では、図14及び15を参照して(同様に他の実施形態に適用可能ではあるが)、吸上部170は、破裂要素144と膜50との間に提供され、膜50の実質的に一定の湿潤を促進することができる。本明細書に記載の揮発性組成物ディスペンサの他の好適な領域に、例えば破裂要素144と破裂可能な封止部42の間などに、他の吸上部も提供されてもよい。一実施形態では、吸上部170は、それが、膜50と破裂要素144との間の封止を干渉しない、又は実質的に干渉しないように、寸法又は外周部において膜50よりも小さくてもよい。様々な実施形態では、揮発性組成物容器38から揮発性組成物40が初めて放出されてから、揮発性組成物ディスペンサの耐用年数の終わりまで、吸上部170の一部分は、膜50と接触して、膜50を少なくとも大半が、液体揮発性組成物40で湿潤されたまま保つのに役立つことができる。吸上部170は、膜50に対して隣接してもよく、吸上部170は、揮発性組成物40の一定の供給を膜50に提供することができる。吸上部170の結果として、膜50からの揮発性組成物40の蒸発は、少なくともいくらか一定であり、揮発性組成物ディスペンサの耐用年数にわたって連続していることができる。吸上部170は、当業者に既知の任意の好適な吸上部又は吸上部材(Porexから入手可能な多孔質ポリオレフィンプラスチックウィック及び/又は、例えばFiltronaから入手可能な繊維系ポリオレフィン又はポリエステル吸上部)で構成され得る。あるいは、一実施形態では、Fiberwebから入手可能な、約5グラム〜約100グラムの坪量を有する、任意の熱可塑性樹脂スパンボンド不織布材料も、使用されてもよい。他の既知の吸上部の形体、材料、及び/又は向きもまた、使用されてもよく、本開示の範囲内であるということを当業者は理解するであろう。他の様々な実施形態では、膜50は、微小多孔性材料の小さな孔径のために、吸上部として機能することができる微小多孔性材料を含むことができる。Daramicから入手可能なDaramic(商標)V5材料は、同様な方式で使用され得、並びに同様な方式で機能することができる微小多孔性材料又は膜の例である。
【0057】
図16〜18を参照して、揮発性組成物ディスペンサ210は、上記の揮発性組成物ディスペンサ10及び110の様々な構成要素のいくつか又は全てを含むことができる。これらの様々な構成要素は、上記と同じ若しくは類似の方式で配置され得る。一実施形態では、しかしながら、揮発性組成物ディスペンサ210は、第1部分32及び第2部分234を含む外側シェル214を含むことができる。第2部分234は、上記の第2部分34及び134と幾分似ていてもよい。一実施形態では、第2部分234内の凹部228は、側壁276を含んでもよい。付勢部材278は、側壁276の一部分から凹部228内に延びることができる。付勢部材278は、側壁276と係合し、及び/又は側壁276と可動に係合する基部277と、基部277から更に凹部228内へ外側に延びる凸部279を含むことができる。凸部279及び/又は凹部277は、例えば丸い若しくは弓状の側壁若しくは縁部を、膜50に接触すると、付勢部材278によって膜50に引き起こされる損傷の可能性を少なくとも低減するために含んでもよい。開口部は、凹部228の側壁276と付勢部材278との間に画定され得る。開口部は、少なくとも1つのカム220の少なくとも一部分を受容するのに十分大きくてもよい。一実施形態では、少なくとも1つのカム220の少なくとも1つのカム面224によって作用されたとき、付勢部材278の少なくとも凸部279は、第2部分234の表面235に対して移動することができる。一実施形態では、付勢部材278及び/又は凸部279は、例えば約1mm〜約4mm移動することができる。他の実施形態に関して上記と同様に、少なくとも1つのカム220は、取り付け部分222に取り付けられてもよく、ここでは、取り付け部分222の移動、枢動、及び/又は回転は、第1の作動されていない位置と、少なくとも第2の作動位置との間のカム220を移動する、枢動する、及び/又は回転することができる。
【0058】
上記に加えて、1つの非限定的な実施形態では、付勢部材278は、基部277上の第1表面280と、凸部279上の第2表面282と、第1表面280と第2表面282との間の少なくとも部分的に配置された中間表面284と、を含む付勢表面を含むことができる。中間表面284は、特別の実施形態に好適であり得るように、基部277及び凸部279の少なくとも1つ上に配置され得る。一実施形態では、付勢部材278の第1表面280は、第2部分234の表面235からの第1距離で配置されることができ、付勢部材278の第2表面282は、表面235からの第2距離で配置され得る。様々な実施形態では、第2距離は、第1距離よりも大きくてもよい。一実施形態では、中間表面284は、第1表面280及び第2表面282を接続してもよく、表面235に対して、第1表面280及び第2表面282の異なる高さのために、第2表面282から第1表面280の方向へ下向きに傾斜する場合がある。このような実施形態では、カム面224が中間表面284の上を移動するとき、中間表面284は、好適な力の範囲を付勢部材278に適用するために使用され得る。
【0059】
様々な表面は、カム面224によって上に作用されるとき、付勢部材278の少なくとも一部分が、外側シェル214内に少なくとも部分的に付勢されるのを可能にすることができる。付勢部材278の一部分、例えば凸部279などが、外側シェル214内に少なくとも部分的に付勢されるとき、それは、十分な所定の力を膜50に対して適用し、膜50を破裂要素及び/又は破裂要素の可動部分に対して押させることができる。上記のとおり、破裂要素及び/又は破裂要素の可動部分は、穿刺部材を含んでもよい。穿刺部材は、揮発性組成物容器に取り付けられた破裂可能な封止部における開口部を穿孔若しくは穿刺するように構成され得るか、又は揮発性組成物要素の壁部を穿孔する若しくは穿刺して、膜50上(又は吸上部上に、そして次いで膜50上に)に揮発性組成物を放出させて蒸発させることができる。
【0060】
1つの非限定的な実施形態では、ユーザーは、取り付け部分222を第1の非作動位置(図16)から、中間の、部分的作動された位置(図17)に、第2の作動位置(図18)に移動させ、カム面224は、付勢部材278の付勢表面と係合することができる。所望により、カム面224は、まず第1表面280に接触し、付勢表面278及び/又は凸部279を、外側シェル214内に第1距離だけ内側にわずかに付勢することができる。他の実施形態において、カム面224は、第1表面280に接触しなくてもよく、及び/又は付勢部材278を第1距離に付勢しなくてもよい。第2に、カム面224は、次いで、傾斜した中間表面284に接触し、付勢部材278及び/又は凸部279を第2距離だけ、外側シェル214内に内側に付勢することができ、これは穿刺部材に、破裂可能な封止部若しくは壁部を少なくとも係合する、場合によっては穿刺させることができる。第3に、カム面224は、次いで、第2表面282の第1部分に接触し、付勢部材278及び/又は凸部279を第3距離だけ、外側シェル214内に内側に付勢することができ、これは穿刺部材に、破裂可能な封止部若しくは壁部を少なくとも係合する、場合によっては穿刺させることができる。他の実施形態では、カム面224が第2表面282の第1部分に接触するとき、付勢部材278及び/又は凸部279は、例えば第2距離よりも、外側シェル214内で内側に更に付勢されない場合がある。いずれにせよ、カム面224が第2表面282に沿って移動するとき、それは少なくとも第2表面282との接触から非係合となり得、少なくとも部分的に凹部228に入る場合がある。このような動きは、カム面224によって付勢部材に278及び/又は凸部279に適用される所定の力を一部を排除し、いくつかの実施形態ではこれを排除し、これによって、膜、破裂要素、及び/又は破裂要素の可動部分に適用される所定の力を軽減するか、又は排除する。上記の結果として、破裂要素及び/又は破裂要素の可動部分への穿刺部材の取り付けによって、穿刺部材は、破裂可能な封止部又は壁部における開口部と少なくとも部分的に非係合となり得、膜50の方向へ移動し(又は膜の方向へ付勢される)、揮発性組成物が自由に開口部を通って、かつ揮発性組成物容器から流出するのを可能にすることができる。言い換えれば、穿刺部材は、少なくとも部分的に破裂可能な封止部又は壁部から引っ張られて、揮発性組成物を流すのに有効な開口部の領域を係合することができる。
【0061】
要するに、カム220が第1非作動位置と第2作動位置との間で移動されるときに、付勢部材278は、カム面224が十分な所定の力を膜50、破裂要素、及び/又は破裂要素の可動部分に適用することを可能にすることができる。上記に記載された様々な実施形態とは対照的に、付勢要素278はしかしながら、カム220/取り付け部分222が第2作動位置にある全体時間に対して、短い時間、十分な所定の力を適用することができる。そのような実施形態では、例えば、約0.1秒から約5秒の時間の間、あるいは約0.5秒から約2秒の間、あるいは約1秒から約2秒の間、力が適用され得る。破裂可能な封止部又は壁部が、十分に穿孔若しくは穿刺され、揮発性組成物容器から揮発性組成物の放出を可能にする任意の好適な時間、所定の力は適用され得るということを当業者は理解するだろう。
【0062】
1つの非限定的な実施形態では、揮発性組成物を分配する方法は、揮発性組成物を内部に含む揮発性組成物容器を提供する工程と、揮発性組成物容器に近接して位置決めされる破裂要素を提供する工程と、を含むことができる。本方法は、作動装置を作動させて、揮発性組成物の少なくとも一部分を移動させて、揮発性組成物容器を破裂させ、これによって揮発性組成物の少なくとも一部分は蒸発のために揮発性組成物容器から放出される、工程も含むことができる。本方法はまた、破裂要素に近接して位置決めされる通気性膜を提供する工程と、揮発性組成物を通気性膜の上に放出する工程と、含み得る。一実施形態では、本方法は、通気性膜から揮発性組成物を少なくとも一部分蒸発させる工程と、揮発性組成物の蒸発した一部分を、揮発性組成物ディスペンサを包囲する大気に放出する工程と、を含み得る。上述を実施することは、作動装置が破裂要素に力を適用しない第1位置と、作動装置が破裂要素に力を適用して、破裂要素の一部分を揮発性組成物容器の方向へ移動させる第2位置との間で作動装置を移動させ、揮発性組成物容器又は破裂可能な封止部の方向に穿刺することとを含み得る。本方法はまた、破裂要素の少なくとも一部分が揮発性組成物容器又は破裂可能な封止部を破裂させる前に、破裂可能な要素の少なくとも一部分を揮発性組成物容器から外側へ、付勢する工程を含み得る。本方法は、作動装置は付勢部材と係合し、所定の力を破裂要素の部分に適用する第1の作動された位置内へ作動装置を移動させ、かつ作動装置が所定の力を破裂要素の部分に適用しない第2作動位置内へ作動装置を移動させながら、所定の力を破裂要素に適用するように構成された付勢部材を提供することを更に含み得る。
【0063】
本開示の揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物40を、連続的な方式で揮発性組成物ディスペンサを包囲する大気に送達することができる。用語「揮発性組成物」は、本明細書で使用されるとき、室温で、若しくはほぼ室温で、かつ外部からのエネルギー源を必要とすることなく大気圧で蒸発可能である単一又は化合物の化学物質又は材料を指す。一実施形態では、揮発性組成物40は、例えば全体的に単一の揮発性組成物で構成される材料であってもよい。他の実施形態では、揮発性組成物は、1つの揮発性組成物よりも1つ以上を有する組成物を含むことができる。よって、組成物の成分物質の全てが揮発性である必要はない。液体及び/又はゲル組成物を含め、任意の量、形体の任意の好適な組成物が、本開示の揮発性組成物ディスペンサと共に使用され得る。本明細書で使用するために好適な液体及び/又はゲルは、したがって、担体物質(例えば、水、溶媒など)のような不揮発性構成成分も有してもよい。液体が本明細書において「送達される」、「揮散される」、「蒸発される」、又は「放出される」と記載されるとき、これは、その揮発性構成成分の揮発を指しており、及びその非揮発性構成成分が揮散される必要はないこともまた理解されるべきである。
【0064】
揮発性組成物40に加えて、本開示の揮発性組成物ディスペンサは、例えば臭いを中和するための任意の既知の悪臭組成物を含んでもよい。好適な悪臭組成物は、例えば、シクロデキストリン、反応性アルデヒド及び/又はイオノンを含み得る。
【0065】
揮発性組成物40は、香油の形態であってもよい。最も従来型の芳香剤物質は揮発性精油である。揮発性組成物40は、香水供給元から市販される揮発性有機化合物であってもよい。更に、揮発性組成物40は、合成又は天然に形成された物質から構成されてもよい。例としては、以下のものを含むことができるが、これらに限定されない:ベルガモット、橙、レモン、マンダリン、ヒメウイキョウ、ニオイヒバ(cedar leaf)、クローブリーフ、シダーウッド、ゼラニウム、ラベンダー、オレンジ、ハナハッカ、プチグレン、ヌマヒノキ、パチョリ、ネロリ、ローズアブソリュートの油、及び任意の他の好適な物質。空気清浄剤又は芳香剤の場合には、異なる揮発性組成物は、類似する、関連する、補完する、又は対照的であることができる。
【0066】
1つの非限定的な実施形態では、揮発性組成物40はまた、周囲温度で気相へ昇華する能力、又は液体に香りを与えるのに用いられる能力を有する結晶性固体の形態が起源であってよい。任意の好適な量又は形体の任意の結晶性の固体が、本開示の揮発性組成物ディスペンサと共に使用され得る。例えば、好適な結晶性固体として:バニリン、エチルバニリン、クマリン、トナリド、カロン、ヘリオトロペン、ムスクキシロール、セドロール、ムスクケトンベンゾヘノン(musk ketone benzohenone)、ラズベリーケトン、メチルナフチルケトンβ、サリチル酸フェニルエチル、ベルトール、マルトール、メープルラクトン、プロオイゲノールアセテート、エヴェミル、などを含むことができるが、これらに限定されない。しかしながら、揮散習慣の問題を避けようと試みて、異なる揮発性組成物が使用される場合、揮発性組成物は密接に似ているのは望ましくない場合がある。さもなければ、揮散を体験している人々は、異なる物質が放出されていることに気づくことができない。異なる揮散は、各々が異なる揮発性組成物を提供する(例えば、ムスク、花、果物の揮散など)複数の送達システムを使用して提供されることができる。異なる揮散は、共通のテーマ又は何らかの他の方式により相互に関連付けられることができる。異なるが相補的な揮散の例は、桂皮の揮散とリンゴの揮散であってもよい。
【0067】
理論に束縛されるものではないが、揮発性組成物の連続的送達は、膜の孔径、膜の表面積、揮発性組成物の物理的特性(例えば、分子量など)、飽和蒸気圧(「VP」)、及び粘度、並びに/又は揮発性組成物含有組成物の表面張力を含む、様々な要因であり得る。
【0068】
一実施形態では、組成物は、組成物が、25℃で約1.3Pa(0.01torr)のVPを個々に有する揮発性組成物の約10%〜約100%、あるいは25℃で約13.3Pa(0.1torr)未満のVPを個々に有する揮発性組成物の約40%〜約100%、あるいは25℃で約13.3Pa(0.1torr)未満のVPを個々に有する揮発性組成物の約50%〜約100%、あるいは25℃で約39.9Pa(0.3torr)未満のVPを個々に有する揮発性組成物の約90%〜約100%個々に含むように、組成物は作製されてもよい。一実施形態では、組成物は、25℃で約0.53Pa(0.004torr)〜約4.67Pa(0.035torr)、及び総重量の約0%〜約25%を個々に含む揮発性組成物、25℃で約13.3Pa(0.1torr)〜約13.3Pa(0.325torr)、及び総重量の約65%〜約100%を個々に含む揮発性組成物で、25℃で約0.53Pa(0.004torr)〜約4.67Pa(0.035torr)、25℃で約4.67Pa(0.035torr)〜約13.3Pa(0.1torr)のVPを個々に有する揮発性組成物を含んでもよい。
【0069】
2つの例示の組成物内の個々の揮発性組成物のVPは、表1及び2に以下に説明される。これらの組成物は、実例として示されており、本開示を多少なりとも限定することを意図していない。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
揮発性組成物40の粘度は、それがどのように、及びいつ膜50に送達されるかを制御することができる。例えば、より粘度の低い揮発性組成物は、より粘度の高い揮発性組成物よりも、より速く流れることができる。したがって、膜50は、より粘度の少ない材料を用いて最初に湿潤し得る。より粘度の高い揮発性組成物は、より粘度の低い位相よりもわずかに密度が低いか、これと同様な密度であり、重力によって収集ボウル又は揮発性組成物容器38に残ることができる。このように、より粘度の低い揮発性組成物は、膜50に送達することができ、より速く大気に揮散され得る。膜50への液体の浸透を防ぐのに役立てるために、揮発性組成物は、例えば、約23CPよりも小さい粘度及び約33mN/mよりも小さい表面張力を有してもよい。一実施形態では、揮発性組成物40は、例えば、約1.0CPから約25CP未満、あるいは約1.0CPから約23CP未満、及び、あるいは約1.0CPから約15CP未満の粘度を有してもよい。組成物は、揮発性組成物40が、例えば、約19mN/mから約33mN/m未満、あるいは約19mN/mから約30mN/m未満、及びあるいは、約19mN/mから約27mN/m未満の表面張力を含むように、設計されてもよい。
【0073】
好適な微多孔膜の非限定的な実施例
この実施例で使用されるとき、「揮発性材料の接触表面」は、揮発性材料を向き、典型的にこれに接触する微多孔膜の表面であり、これは例えば、以下において更に詳細に記載されるように、試験リザーバに収用される。
【0074】
この実施例で使用されるとき、「蒸発放出表面」は、揮発性材料に面しない及び/又はこれに直接接触する微多孔膜の表面であり、この表面から揮発性材料はガス状若しくは蒸気の形態で外部の大気内に放出される。
【0075】
本実施例において使用されるとき、用語「(メタ)アクリレート」及び類義語、例えば「(メタ)アクリル酸のエステル」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0076】
本実施例で使用されるとき、微多孔膜の「揮発性材料移動速度」は、以下の記載に従って測定される。試験リザーバは、2mLの揮発性材料(例えばベンジルアセテート)を収用するのに十分な内部容積を有する、透明な熱可塑性ポリマーから作製される。リザーバの内部容積は、約4cmの開放面の縁部において、かつ1cmと同じくらいの大きさの深さにおける円の直径によって定義される。開放面は、揮発性材料の移動速度を測定するために使用される。試験リザーバを平坦に置いた状態で(開放面が上方を向いている)、約2mLのベンジルアセテートが試験リザーバに導入される。ベンジルアセテートを試験リザーバに導入した状態で、0.15〜0.46mm(6〜18ミル)の厚さを有する微多孔膜のシートは、微多孔性シートの10cm2の揮発性材料の接触表面が、リザーバの内部に露出されるように、試験リザーバの開放面/側部の上に配置される。試験リザーバは、全体的に充填されたアセンブリの初期重量を有するように測量される。ベンジルアセテートを収容し、微多孔膜のシートで包囲される試験リザーバは、次いで、ほぼ1.5m(高さ)×1.5m(幅)×0.61m(深さ)(5フィート(高さ)×5フィート(幅)×2フィート(深さ))を有する、実験室の化学ドラフトチャンバ(chemical fume hood)に直立した状態で配置される。試験リザーバが直立した状態で、ベンジルアセテートは、微小多孔性シートの揮発性材料接触表面の少なくとも一部分と直接接触する。ドラフトのガラスのドアが引っ張られ、1時間当たりフード容積が8回(すなわち回転)を有するように、フードを通って空気流が調節される。特に指示がない限り、フードにおける温度は25℃±5℃に維持される。ドラフト内は周囲湿度である。試験リザーバは、定期的に測量される。ベンジルアセテートの算出された重量損失は、経過時間、及び試験リザーバに露出された微小多孔性シートの表面積と組み合わせて、mg(時間、cm2)の単位で、微小多孔性シートの揮発性移動速度を測定するのに使用される。
【0077】
本実施例で使用されるとき、25℃から60℃までの、本発明の微多孔膜の揮発性材料の移動速度における増加率は、別個の、しかし25℃及び60℃で実質的には同等の微小多孔性シートサンプルに関して、上記の方法に従って測定される。リザーバは大きなガラスベルジャー内に配置され、50%を超える塩化カリウムの水溶液も、このベルジャーに収用される。この含有量を備えるベルジャー全体が、60℃に加熱されたオーブンに配置される。リザーバは、7〜10時間の期間、この状態に置かれる。リザーバは、次いで一晩、周囲条件でフードに戻され、このプロセスは7日間にわたって繰り返される。それぞれのリザーバは、ベルジャーに配置される前及びベルジャーから取り除かれた後に測量される。ベルジャーから取り外されると、それぞれのリザーバの重量は、リザーバが周囲温度に戻された後にとられる。
【0078】
この実施例で使用されるとき、微多孔膜の蒸発放出表面が「液体形態において揮発性材料が実質的にない」か、どうかは、以下の記載に従って決定される。試験リザーバが測量されるとき、上記のとおり、微多孔性シートの蒸発放出表面は、液体の滴又はフィルムがその上に存在しているかどうかは、裸眼によって視覚的に調査される。液体の滴(すなわち1つの滴)及び/又はフィルムのいずれかの証拠が、蒸発放出表面上に視覚的に観察されているが、表面から流出していない場合は、微小多孔性シートは許容可能であると見なされる。滴が表面から流出している場合は、微小多孔性シートは不合格であると決定される。液体の滴(すなわち、1つの滴もない)及び/又はフィルムの証拠が、蒸発放出表面上に観察されない場合、微小多孔性シートは液体形態において、揮発性材料が実質的にないと決定される。
【0079】
特に指示がない限り、本明細書において開示される全ての範囲は、この中に含まれる任意の及び全ての部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1〜10」の規定された範囲は、最小値1から最大値10の任意の及び全ての部分範囲すなわち、最小値1又はそれ以上で始まり、最大値10又はそれ以下で終わる全ての部分範囲(例えば1から6.1、3.5から7.8、5.5から10等)を含むと見なされるべきである。
【0080】
特に指示がない限り、全ての数字又は表示、例えば構造的寸法、成分の牢等を表示するものは、本明細書及び請求項において使用されるときは、用語「約」によって全ての場合において修正されるとして理解される。
【0081】
用語「揮発性材料」は、本実施例の場合、室温において及び付与された追加又は補助エネルギーなしで、ガス状、すなわち蒸気の形態に変換することができる(すなわち、気化することができる)材料を示す。揮発性材料は、有機揮発性材料を含むことができ、これは、溶媒系材料又は溶媒系材料に分散したものを含む揮発性材料を含み得る。揮発性材料は、液体の形態及び/又は固体の形態であってもよく、自然に発生する又は合成的に形成されるものであってもよい。固体の形態であるときに、揮発性材料は一般的に固体の形態から蒸気の形態へと、中間の液体の形態なしで昇華する。揮発性材料は所望により、キャリアなどの不揮発性材料(例えば、水及び/又は不揮発性有機溶媒)と組み合わされても、又は配合されてもよい。固体の揮発性材料の場合、不揮発性キャリアは、内部に固体の揮発性材料が保持される、多孔質材料の形態(例えば、多孔質向き材料)であってもよい。また、固体の揮発性材料は半固体のゲルの形態であってもよい。
【0082】
微多孔膜の揮発性材料移動速度は、0.7mg/(時間*cm2)以下、又は0.6mg/(時間*cm2)以下、又は0.55mg/(時間*cm2)以下、又は0.50mg/(時間*cm2)以下であり得る。微多孔膜の揮発性材料移動速度は、0.02mg/(時間*cm2)以上、又は0.04mg/(時間*cm2)以上、又は0.30mg/(時間*cm2)以上、又は0.35mg/(時間*cm2)以上であり得る。微多孔膜の揮発性材料移動速度は、これらの上方及び下方の値の任意の組み合わせの間の範囲であってもよい。例えば、微多孔膜の揮発性材料の移動速度は、0.04〜0.6mg/(時間*cm2)、又は0.2〜0.6mg/(時間*cm2)、又は、0.30〜0.55mg/(時間*cm2)、又は、0.35〜0.50mg/(時間*cm2)であってもよく、それぞれの場合は列挙された値を含む。
【0083】
いずれかの理論に束縛されるのを意図しないが、揮発性材料が、揮発性材料接触表面から、微多孔膜の蒸発放出表面まで放出されるとき、揮発性材料は、液体、気体、及びこれらの組み合わせから選択される形態にあると考えられる。更に、かついずれかの理論に束縛されることを意図せず、揮発性材料は、少なくとも一部分において、微多孔膜全体に実質的に相互接続する孔のネットワークを通じて移動すると考えられる。
【0084】
微多孔膜は、少なくとも0.7g/cm3の、例えば少なくとも0.8g/cm3の密度を有し得る。微多孔膜の密度は、微多孔膜のサンプルの重量及び容積を測定することによって決定され得る。微多孔膜の密度の上限は、例えば、0.04〜0.6mg/(時間*cm2)、の揮発性材料移動速度を目標としているのであれば、広い範囲であってもよく、かつ揮発性材料が、揮発性材料接触表面から前述の蒸発放出表面まで移動されるとき、蒸発放出表面は実質的に揮発性材料がない。一般的に微多孔膜の密度は、1.5g/cm3以下、又は1.2g/cm3以下、又は1.0g/cm3以下である。微多孔膜は、0.7g/cm3〜1.5g/cm3の、例えば、0.8g/cm3〜1.2g/cm3の密度を有し得、列挙された値を含む。
【0085】
微多孔膜が、少なくとも0.7g/cm3の、例えば少なくとも0.8g/cm3の密度を有するとき、揮発性材料接触表面及び微多孔膜の蒸発放出表面は、それぞれ、その上にコーティング材料がなくてもよい。その上にコーティング材料がないとき、揮発性材料接触表面及び蒸発放出表面はそれぞれ、微多孔膜によって定義される。
【0086】
微多孔膜が、少なくとも0.7g/cm3、例えば少なくとも0.8g/cm3の密度を有するとき、微多孔膜の揮発性材料の接触表面の一部分は所望により、第1コーティングをその上に有してもよく、及び/又は微多孔膜の蒸発放出表面の少なくとも一部分は、第2コーティングをその上に有してもよい。第1コーティング及び第2コーティングは、同一であっても異なっていてもよい。揮発性材料の接触表面の少なくとも一部分は、第1コーティングをその上に有し、揮発性材料の接触表面は、第1コーティングによって少なくとも一部分において画定される。蒸発放出表面の少なくとも一部分は第2コーティングをその上に有し、蒸発放出表面は第2コーティングによって少なくとも一部分において画定される。
【0087】
第1コーティング及び第2コーティングは、液体コーティング及び固体の粒子コーティング(例えば、粉末コーティング)から選択されてもよい。典型的に第1コーティング及び第2コーティングは独立して、所望により、水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせから選択される溶媒を所望により含み得る液体コーティングから選択される。第1コーティング及び第2コーティングはそれぞれ独立して、架橋可能なコーティング(例えば、熱硬化性コーティング及び光硬化性コーティング)及び非架橋可能なコーティング(例えば、風乾コーティング)から選択されてもよい。第1コーティング及び第2コーティングは、当該技術分野において認識されている方法、例えばスプレーによる適用、カーテンコーティング、ディップコーティング、及び/又はドローダウンコーティング(例えばドクターブレード又はドローダウンバー)技法に従って、微多孔膜のそれぞれの表面に適用され得る。
【0088】
第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物はそれぞれ、当該技術分野において認識されている添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線安定剤、流れ制御剤、分散安定剤(例えば、水性分散液の場合)及び着色剤を含み得る。一般的に、第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物は、着色剤が入っておらず、実質的に透明又は不透明のようなものである。任意の添加剤が、個々の量で、コーティング組成物の総重量に対して、例えば0.01〜10重量%で存在してもよい。
【0089】
第1コーティング及び第2コーティングはそれぞれ独立して、分散された有機高分子材料を含む、水性コーティング組成物から形成されてもよい。水性コーティング組成物は200〜400nmの粒径を有してもよい。水性コーティング組成物の固形分は例えば、0.1〜30重量%、又は1〜20重量%と、広く様々であってもよく、それぞれのケースは水性コーティング組成物の総重量を基準とする。水性コーティング組成物の有機ポリマーは、例えば1000〜4,000,000、又は10,000〜2,000,000の数平均分子量(Mn)を有してもよい。
【0090】
水性コーティング組成物は、水性ポリ(メタ)アクリレート分散液、水性ポリウレタン分散液、水性シリコーン(すなわちシリコーン)オイル分散液、及びこれらの組み合わせでから選択され得る。ポリ(メタ)アクリレート分散液のポリ(メタ)アクリレートポリマーは、当該技術分野において認識されている方法に従って調製され得る。例えば、ポリ(メタ)アクリレートポリマーは、アルキル基に1〜20の炭素原子を有する、アルキル(メタ)アクリレートの残基(又はモノマーユニット)を含み得る。アルキル基に1〜20の炭素原子を有する、アルキル(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。非限定的な説明の目的のために、第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物それぞれが、そこからそれぞれ選択され得る、水性ポリ(メタ)アクリレート分散液の例は、HYCAR 26138であり、これはLubrizol Advanced Materials,Inc.から入手可能である。
【0091】
そこから第1コーティング及び第2コーティングがそれぞれ独立して選択され得る、水性ポリウレタン分散液のポリウレタンポリマーは、当業者に既知の任意のものが挙げられる。典型的に、ポリウレタンポリマーは、2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート機能材料、及び2つ以上の活性水素基を有する活性水素機能材料から調製される。活性水素基は、例えばヒドロキシ基、チオール基、一級アミン、二級アミン、及びこれらの組み合わせから選択されてもよい。非限定的な説明の目的のために、第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物それぞれが、そこからそれぞれ選択され得る、水性ポリウレタン分散液の例は、WITCOBOND W−240であり、これはChemtura Corporationから入手可能である。
【0092】
水性シリコーンオイル分散液のシリコーンポリマーは、当該技術分野において既知であり、認識されている水性シリコーンオイル分散液から選択され得る。非限定的な説明の目的のために、第1コーティング組成物及び第2コーティング組成物それぞれが、そこからそれぞれ選択され得る、水性シリコーン分散液の例は、MOMENTIVE LE−410であり、これはMomentive Performance Materialsから入手可能である。
【0093】
微多孔膜が例えば、0.04〜0.6mg/(時間*cm2)、の揮発性材料移動速度を目標としているのであれば、第1コーティング及び第2コーティングはそれぞれ、任意の好適な厚さで適用されてもよく、かつ揮発性材料が、揮発性材料接触表面から前述の蒸発放出表面まで移動されるとき、蒸発放出表面は実質的に揮発性材料を含まない。また、第1コーティング及び第2コーティングはそれぞれ独立して、0.01〜5.5g/m2のコーティング重量(すなわち、微多孔膜上のコーティング)、例えば0.1〜5.0g/m2、又は0.5〜3g/m2、又は0.75〜2.5g/m2、又は1〜2g/m2を有してもよい。
【0094】
微多孔膜は、0.8g/cm3未満の密度を有することができ、微多孔膜の揮発性材料の接触表面の少なくとも一部分は、第1コーティングをその上に有することができ、及び/又は微多孔膜の蒸発放出表面の少なくとも一部分は、第2コーティングをその上に有することができる。第1コーティング及び第2コーティングは同じであっても、異なっていてもよく、それぞれは独立して、微多孔膜の第1コーティング及び第2コーティングに関して、本明細書において前述のように、少なくとも0.7g/cm3の密度を有する。
【0095】
0.7g/cm3未満であるとき、本発明の微多孔膜の密度は、例えば、微多孔膜が下限0.04〜0.6mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を、及び揮発性材料が、揮発性材料接触表面から前述の蒸発放出表面まで移動するとき、蒸発放出表面は、実質的に揮発性材料がないのを目標としているのであれば、任意の適した下方限を有してもよい。本発明の、この具体的な実施形態によって、微多孔膜の密度は0.6〜0.8g/cm3未満、0.6〜0.75g/cm3(例えば0.60〜0.75g/cm3)、又は0.6〜0.7g/cm3(例えば、0.60〜0.70g/cm3)、又は0.65〜0.70g/cm3であってもよい。
【0096】
更に、微多孔膜の揮発性材料の接触表面の少なくとも一部分は、その上に第1コーティングを有してもよく、及び/又は微多孔膜の蒸発放出表面の少なくとも一部分は、第2コーティングをその上に有してもよく、そこで第1コーティング及び第2コーティングのそれぞれはポリ(ビニルアルコール)を含むコーティング組成物から選択される。
【0097】
本発明のポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた実施形態と共に、微多孔膜(すなわちポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜)は、25℃〜60℃の温度上昇に暴露され、これの揮発性材料の移動速度は、150%以下、増加する。ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜が温度上昇に暴露されたとき(例えば25℃の周囲温度から60℃まで)、揮発性材料移動速度は典型的に増加し、例えば、微多孔膜がより高い周囲温度への暴露によって損傷するまで、揮発性材料移動速度は減少しない。よって、本明細書及び請求項に使用されるとき、「その揮発性材料一同速度は[列挙された]パーセント(例えば150%)以下、増加する」は、下限の0%を含むが、0%未満の下限は含まない。
【0098】
説明の目的で、ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜が25℃で0.3mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を有するとき、微多孔膜が60℃の温度まで暴露されたとき、揮発性材料移動速度は、0.75mg/(時間*cm2)以下の値まで増加する。
【0099】
本発明の実施形態では、微多孔膜(すなわちポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜)は、25℃〜60℃の温度上昇に暴露され、これの揮発性材料の移動速度は、125%以下、増加する。例えば、ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜が25℃で0.3mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を有するとき、微多孔膜が60℃の温度まで暴露されたとき、揮発性材料移動速度は、0.68mg/(時間*cm2)以下の値まで増加する。
【0100】
更に、微多孔膜(すなわちポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜)は、25℃〜60℃の温度上昇に暴露され、これの揮発性材料の移動速度は、100%以下、増加する。例えば、ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜が25℃で0.3mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を有するとき、微多孔膜が60℃の温度まで暴露されたとき、揮発性材料移動速度は、0.6mg/(時間*cm2)以下の値まで増加する。
【0101】
微多孔膜が例えば0.04mg/(時間*cm2)の揮発性材料移動速度を目的としているのであれば、第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティングはそれぞれ独立して、任意の好適な重量で存在してもよく、並びに微多孔膜(すなわち、ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜)が、25℃から60℃までの温度上昇に暴露されるとき、その揮発性材料移動速度は150%以下、増加する。典型的に第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティングはそれぞれ0.01〜5.5g/m2、例えば0.1〜4.0g/m2、又は0.5〜3.0g/m2、又は0.75〜2.0g/m2のコーティング重量を独立して有する。
【0102】
ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜の揮発性材料移動速度は、少なくとも0.02mg/(時間*cm2)であり得る。ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜の揮発性材料移動速度は、0.04mg/(時間*cm2)以上、又は0.1mg/(時間*cm2)以上、又は0.2mg/(時間*cm2)以上、又は0.30mg/(時間*cm2)以上、又は0.35mg/(時間*cm2)であってもよい。ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜の揮発性材料の移動速度は、0.7mg/(時間*cm2)以下、又は0.6mg/(時間*cm2)以下、又は0.55mg/(時間*cm2)以下、又は0.50mg/(時間*cm2)以下であってもよい。ポリ(ビニルアルコール)がコーティングされた微多孔膜の揮発性材料の移動速度は、これらの上方及び下方の値の任意の組み合わせの間の範囲であってもよい。例えば、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の揮発性材料の移動速度は、少なくとも0.02mg/(時間*cm2、例えば0.04〜0.70mg/(時間*cm2)、又は0.04〜0.60mg/(時間*cm2)、又は0.20〜0.60mg/(時間*cm2)、又は、0.30〜0.55mg/(時間*cm2)、又は0.35〜0.50mg/(時間*cm2)であってもよく、それぞれのケースは列挙された値を含む。
【0103】
本発明のポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の微多孔膜の密度は広く様々であってもよく、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜が、例えば少なくとも0.04mg/(時間*cm2)の揮発性材料の移動速度を目標としているのであれば、かつ微多孔膜(すなわち、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜)が25℃〜60℃の温度上昇に暴露されるとき、その揮発性材料の移動速度は、150%以下、増加する。
【0104】
更に、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の微多孔膜の密度は、少なくとも0.7g/cm3、例えば少なくとも0.8g/cm3(例えば0.8〜1.2g/cm3)であってもよく、列挙された値の全てを含む。本発明の一実施形態では、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の密度(すなわちポリ(ビニルアルコール)コーティングの塗布の前の微多孔膜の密度)は0.8g/cm3未満である。例えば、ポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜の密度は0.6〜0.8g/cm3未満、又は0.6〜0.75g/cm3(例えば0.60〜0.75g/cm3)、又は0.6〜0.7g/cm3(例えば、0.60〜0.70g/cm3)、又は0.65〜0.70g/cm3であってもよい。
【0105】
本発明のポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜を用いて、揮発性材料が、揮発性材料接触表面から前述の蒸発放出表面まで移動されるとき、蒸発放出表面は実質的に液体の形態の揮発性材料がない。
【0106】
ポリ(ビニルアルコール)コーティングは、所望により、水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせを含む液体コーティングから選択され得る。ポリ(ビニルアルコール)コーティングは、架橋可能なコーティング(例えば、熱硬化性コーティング)及び非架橋可能なコーティング(例えば、風乾コーティング)から選択されてもよい。ポリ(ビニルアルコール)コーティングは、当該技術分野において認識されている方法、例えばスプレーによる適用、カーテンコーティング、又はドローダウンコーティング(例えばドクターブレード又はドローダウンバー)に従って、微多孔膜のそれぞれの表面に適用され得る。
【0107】
更に第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティングはそれぞれ独立して、水性ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物から形成される。水性ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物の固形分は例えば、0.1〜15重量%、又は0.5〜9重量%と、広く様々であってもよく、それぞれのケースは水性コーティング組成物の総重量を基準とする。ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物のポリ(ビニルアルコール)ポリマーは、例えば100〜1,000,000、又は1000〜750,000の数平均分子量(Mn)を有してもよい。
【0108】
ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物のポリ(ビニルアルコール)ポリマーはホモポリマー又はコポリマーであってもよい。そこからポリ(ビニルアルコール)が調製され得るコモノマーには、ビニルアセテートと共重合可能であるもの(ラジカル重合によって)が挙げられ、これらは当業者には周知である。説明の目的で、そこからポリ(ビニルアルコール)コポリマーが調製されるコモノマーには、((メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、これらの金属塩、これらのアルキルエステル(例えば、これらのC2〜C10のアルキルエステル)、これらのポリエチレングリコールエステル、及びこれらのポリプロピレングリコールエステル;塩化ビニル;テトラフルオロエチレン;2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸及びその塩;アクリルアミド;N−アルキルアクリルアミド;N,N−ジアルキル置換アクリルアミド;並びにN−ビニルホルムアミドが挙げられる。
【0109】
非限定的な説明の目的のために、本発明のポリ(ビニルアルコール)コーティングされた微多孔膜を形成するために使用され得るポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物の例は、CELVOL 325であり、これはSekisui Specialty Chemicalsから市販されている。
【0110】
第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物はそれぞれ、当該技術分野において認識されている例えば酸化防止剤などの添加剤、紫外線安定剤、流量制御剤、分散安定剤(例えば、水性分散液の場合)及び着色剤(例えば、染料及び/又は顔料)を含み得る。一般的に、第1ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物及び第2ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物は、着色剤が入っておらず、実質的に透明又は不透明のようなものである。任意の添加剤が、個々の量で、ポリ(ビニルアルコール)コーティング組成物内に、コーティング組成物の総重量に対して、例えば0.01〜10重量%で存在してもよい。
【0111】
微多孔膜のマトリックスは実質的に非水溶性熱可塑性有機重合体から構成される。マトリックスとしての使用に好適な、そのようなポリマーは幅広く様々であってもよい。概して、フィルムに、シートに、ストリップに、又はウェブに押出され得る、カレンダー加工され得る、加圧され得る、又はロール加工され得る任意の実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマーを使用されてもよい。ポリマーは単一ポリマー又はそれはポリマーの混合物であってもよい。ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、アタクチックポリマー、アイソタクチックポリマー、シンジオタクチックポリマー、線状ポリマー、又は分枝ポリマーであってもよい。ポリマーの混合物が使用されるとき、この混合物は均質であってもよく、あるいはそれは2つ以上のポリマー位相を含んでもよい。
【0112】
好適な実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマーのクラスの例には、熱可塑性ポリオレフィン、ポリ(ハロ置換オレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ(ビニルハロゲン化物)、ポリ(ビニリデンハロゲン化物)、ポリスチレン、ポリ(ビニルエステル)、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリイミド、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリアクリレート、及びポリメタクリレートが挙げられる。そこから非水溶性熱可塑性有機重合体が選択され得る合成クラスには、例えば熱可塑性ポリ(ウレタン−尿素)、ポリ(エステル−アミド)、ポリ(シラン−シロキサン)、及びポリ(エーテル−エステル)が挙げられ、意図の範囲内である。好適な実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマーの更なる例には、熱可塑性高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン(アタクチック、アイソタクチック、又はシンジオタクチック)、ポリ(ビニルクロライド)、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン及びアクリル酸のコポリマー、エチレン及びメタクリル酸のコポリマー、ポリ(ビニリデンクロライド)、ビニリデンクロライド及びビニルアセテートのコポリマー、ビニリデンクロライド及びビニルクロライドのコポリマー、エチレン及びプロピレンのコポリマー、エチレン及びブテンのコポリマー、ポリ(ビニルアセテート)、ポリスチレン、ポリ(ω−アミノウンデカン酸)ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)、ポリ(エプシロン−カプロラクタム)、並びにポリ(メチルメタクリレート)が挙げられる。これらのクラスの詳細説明及び実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマーの例は、説明の目的で提供され、包括するものではない。
【0113】
実質的に非水溶性熱可塑性有機重合体は、特に、例えばポリ(塩化ビニル)、塩化ビニルのコポリマー、これらの混合物が挙げられる。一実施形態では、非水溶性熱可塑性有機重合体は、少なくとも10dL/gの固有粘度を有する、超高分子量ポリオレフィン(例えば、本質的に線状超高分子量ポリオレフィン)、又は少なくとも6dL/gの固有粘度を有する、超高分子量ポリプロピレン(例えば、本質的に線状超高分子量ポリプロピレン)から、又はこれらの混合物選択される超高分子量を含む。具体的な実施形態では、非水溶性熱可塑性有機重合体は、少なくとも18dL/gの固有粘度を有する超高分子量ポリエチレン(例えば、線状超高分子量ポリエチレン)を含む。
【0114】
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)は、無限分子量を有する熱可塑性ポリマーではなく、それは熱可塑性として専門的には分類される。しかしながら、分子は実質的に非常に長い鎖であるため、加熱されたときにUHMWPEは軟化するが、通常の熱可塑性の方式では溶解した液体としては流れない。非常に長い鎖及びそれらがUHMWPEにもたらす独特の特性は、このポリマーを使用して作製された微多孔膜の望ましい特性に大いに寄与すると考えられる。
【0115】
前述のように、UHMWPEの固有粘度は少なくとも約10dL/gである。通常は、固有粘度は少なくとも約14dL/gである。固有粘度は少なくとも約18dL/gであることが多い。多くの場合では、固有粘度は少なくとも約19dL/gである。固有粘度の上限に具体的な制限があるわけではないが、固有粘度は、しばしば約10〜約39dL/gである。固有粘度は約14〜約39dL/gの範囲であることが多い。多くの場合では、固有粘度は約18〜約39dL/gの範囲である。固有粘度は約18〜約32dL/gの範囲であることが好ましい。
【0116】
UHMWPEの公称分子量は、次式に従って、ポリマーの固有粘度に経験的に関連付けられる:
M(UHMWPE)=5.3×104[η]1.37
式中、M(UHMWPE)は公称分子量であり、[η]はdL/gで表記されるUHMWポリエチレンの固有粘度である。
【0117】
本明細書及び請求項において使用されるとき、固有粘度は、ゼロ濃度に、UHMWPEのいくつかの希釈液の減少した粘度又は固有粘度を外挿することによって決定され、ここで、溶媒は、蒸留したばかりのデカヒドロナフタレンであり、これには0.2重量%の3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロけい皮酸、ネオペンタンテトライルエステル[CAS登録番号6683−19−8]が添加されている。UHMWPEの減少した粘度又は固有粘度は、異なる濃度のいくつかの希釈溶液を除き、ASTM D 4020−81の一般的な手順に従う、ウベローデNo.1の粘度計の使用が採用され、135℃で得られる相対粘度から確かめられる。ASTM D 4020−81はその全体が、本書に組み込まれる。
【0118】
マトリックスは、少なくとも10dL/gの固有粘度、ASTM D 1238−86の条件E、メルト・インデックス50g/10分、及びASTM D 1238−86の条件F、メルト・インデックスは少なくとも0.1g/10分を有する、実質的に線状の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の混合物を含むことができる。低分子量ポリエチレン(LMWPE)は、UHMWPEのものよりも低い。LMWPEは熱可塑性であり、多くの異なるタイプが既知である。分類の1つの方法は、以下の表で要約されるように、ASTM D 1248−84(1989年再承認)に従って、密度によって、g/立方センチメートルで表記され、小数第4位で四捨五入される。
【0119】
【表3】
【0120】
これらのポリエチレンのいずれか又は全ては、本発明の微多孔膜でLMWPEとして使用され得る。いくつかの応用に関して、HDPEが使用されてもよく、それが通常、MDPE又はLDPEよりも、より線状である傾向を有するためである。ASTM D 1248−84(再承認、1989年)はその全体が、本書に組み込まれる。
【0121】
様々なLMWPEを作製するプロセスは、周知であり、よく文書化されている。それらは、高圧プロセスである、Phillips Petroleum Companyプロセス、Standard Oil Company(Indiana)プロセス、及びZieglerプロセスが挙げられる。LMWPEの、ASTM D 1238−86の条件E(すなわち、190℃及び負荷2.16kg)のメルト・インデックスは約50g未満/10分である。条件Eのメルト・インデックスは約25g未満/10分であることが多い。条件Eのメルト・インデックスは約15g未満/10分であることが望ましい。LMWPEの、ASTM D 1238−86の条件F(すなわち、190℃及び負荷21.6kg)のメルト・インデックスは少なくとも0.1g未満/10分である。多くの場合では、条件Fのメルト・インデックスは少なくとも約0.5g/10分である。条件Fのメルト・インデックスは少なくとも約1.0g/10分であることが望ましい。ASTM D 1238−86はその全体が、本書に組み込まれる。
【0122】
微多孔膜にそれらの特性をもたらすために、マトリクッス内に十分なUHMWPE及びLMWPEが存在しなければならない。その存在が逆に作用する方式で微多孔膜の特性に物質的に影響を与えない限り、他の熱可塑性有機重合体もまたマトリックスに存在してもよい。他の熱可塑性ポリマーは1つの他の熱可塑性ポリマーであってもよく、又は1つ以上の他の熱可塑性ポリマーであってもよい。存在してもよい他の熱可塑性ポリマーの量は、かかるポリマーの性質による。所望により存在してもよい熱可塑性有機ポリマーの例には、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリプロピレン、エチレン及びプロピレンのコポリマー、エチレン及びアクリル酸のコポリマー、並びにエチレン及びメタクリル酸のコポリマーが挙げられる。望ましい場合は、カルボキシル含有コポリマーのカルボキシル基の全て又は一部分は、ナトリウム、亜鉛等で中和化されてもよい。
【0123】
UHMWPE及びLMWPEは一緒に、マトリックスのポリマーの少なくとも65重量%を、例えば少なくともマトリックスのポリマーの少なくとも85重量%を構成し、あるいはUHMWPE及びLMWPEは共に、マトリックスのポリマーの実質的に100重量%を構成し得る。UHMWPEは、マトリックスのポリマーの少なくとも1重量%を構成し、UHMWPE及びLMWPEは共に、マトリックスのポリマーの実質的に100重量%を構成し得る。
【0124】
UHMWPE及びLMWPEが共に、微多孔膜のマトリックスのポリマーの100重量%を構成し得るところでは、UHMWPEは、マトリックスのポリマーの40重量%以上、例えばマトリックスのポリマーの45重量%以上、又は48重量%以上、又は50重量%以上、又は55重量%以上を構成し得る。またUHMWPEは、マトリックスのポリマーの99重量%以下、例えばマトリックスのポリマーの80重量%以下、又は70重量%以下、又は65重量%以下、又は60重量%以下を構成し得る。マトリックスのポリマーを含むUHMWPEのレベルは、列挙された値を含む、これらの値の任意の間の範囲であってもよい。
【0125】
UHMWPE及びLMWPEが共に、微多孔膜のマトリックスのポリマーの100重量%を構成し得るところでは、LMWPEは、マトリックスのポリマーの1重量%以上、例えばマトリックスのポリマーの5重量%以上、又は10重量%以上、又は15重量%以上、又は20重量%以上、又は25重量%以上、30重量%以上、又は35重量%以上、又は40重量%以上、又は45重量%以上、又は50重量%以上、又は55重量%以上を構成し得る。またLMWPEは、マトリックスのポリマーの70重量%以下、例えばマトリックスのポリマーの65重量%以下、又は60重量%以下、重量%以下、又は55重量%以下、又は50重量%以下、又は45重量%以下を構成し得る。LMWPEのレベルは、列挙された値を含む、これらの値の任意の間の範囲であってもよい。
【0126】
これまで記載された本発明の微多孔膜のいずれかに関して、LMWPEは高密度ポリエチレンを含み得るということに注意されたい。
【0127】
微多孔膜はまた、超微粒子状の実質的に非水溶性の微粒子充填剤材料も含む。特定の充填剤材料は、有機微粒子材料及び/又は無機微粒子材料を含み得る。微粒子充填剤材料は典型的に着色されておらず、例えば、微粒子充填剤材料は白又はオフホワイトの微粒子充填剤材料、例えばケイ酸含有の又は粘土粒子材料である。
【0128】
超微粒子状の実質的に非水溶性充填剤粒子は、微多孔膜の20〜90重量%を構成し得る。例えば、充填剤粒子は、微多孔膜の20〜90重量%、例えば、微多孔膜の30重量%〜90重量%、又は微多孔膜の40重量%〜90重量%、又は微多孔膜の40重量%〜85重量%、又は微多孔膜の50重量%〜90重量%、並びに更に微多孔膜の60重量%〜90重量%を構成し得る。
【0129】
超微粒子状の実質的に非水溶性粒子状充填剤は、究極粒子、究極粒子の集合体、又はこれらの両方の混合の形態であってもよい。微多孔膜の調製に使用される充填剤の少なくとも約90重量%は、0.04マイクロメートルもの小さな粒径を測定可能な、レーザー回折粒径機器(Beckman CoultonからのLS230)の使用によって測定されるとき、0.5〜約200マイクロメートルの範囲の、例えば1〜100マイクロメートルの総粒径を有する。典型的に、粒子充填剤の少なくとも90重量%は、10〜30マイクロメートルの範囲の総粒径を有する。充填剤粒塊の寸法は、微多孔膜を調製するのに使用された成分の処理中に減少され得る。したがって、微多孔膜における総粒径の分布は、未加工の充填剤自体よりも小さい場合がある。
【0130】
本発明の微多孔膜に使用され得る、好適な有機及び無機粒子状物質の非限定的な例は、米国特許第6,387,519(B1)号、9段、4行目〜13段、62行目に記載されているものが挙げられ、その列挙された部分は、本書に組み込まれる。
【0131】
本発明の特定の実施形態では、微粒子充填剤材料はケイ酸含有物質を含む。微多孔膜を調製するのに使用され得るケイ酸含有充填剤の非限定的な例は、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、カオリナイト、Southern Clay Productsから入手可能なcloisiteなどのナノクレイ、タルク、珪藻土、バーミキュライト、天然及び合成ゼオライト、カルシウムシリケート、アルミニウムシリケート、ナトリウムアルミニウムシリケート、アルミニウムポリシリケート、アルミナシリカゲル、及びガラス粒子が挙げられる。ケイ酸含有充填剤に加えて、他の超微粒子状実質的に非水溶性の充填剤は所望により、採用されてもよい。かかる任意の微粒子状充填剤の非限定的な例には、カーボンブラック、炭、グラファイト、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化アンチモン、ジルコニア、マグネシア、アルミナ、二硫化モリブデン、硫化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウムが挙げられる。非限定的な実施形態では、ケイ酸含有充填剤はシリカ及び上述のクレイのいずれかを含み得る。シリカの非限定的な例は、沈殿シリカ、シリカゲル、ヒュームドシリカ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0132】
シリカゲルは概して、可溶性金属シリケート、例えば、低pH酸でケイ酸ナトリウムの水溶液を酸性化することによって商業的に生産される。採用される酸は、概して強力な鉱酸、例えば硫酸又は塩酸であるが、二酸化炭素が使用され得る。粘度が低い間は、ゲル位相と包囲する液体位相との間の密度に、本質的に差がないため、ゲル位相は沈降せず、すなわち、それは沈殿しない。結果として、シリカゲルは、非沈殿であり、凝集性の、剛性の三次元ネットワークのコロイド状の非晶質シリカの連続した粒子として記載され得る。細分割した範囲の状態は、大きな固体の塊からの極微小までであり、及びほぼ無水シリカから柔軟なゼラチン状の塊までの水和度は、シリカ1重量部当たり約100重量部の水を含有する。
【0133】
沈殿シリカは、シリカのコロイド粒子が、弱いアルカリ性溶液内で成長し、得られる溶解性アルカリ金属塩のアルカリ金属イオンによって凝固されるように、可溶性金属シリケートの水溶液、通常は、ケイ酸ナトリウムなどのアルカリ金属シリケートと、酸とを組み合わせることによって、一般的に商業的に生産される。鉱酸を含むがこれに限定されない、様々な酸が使用され得る。使用され得る酸の非限定的な例は、塩酸及び硫酸を含むが、二酸化炭素もまた沈殿シリカを生産するのにも使用され得る。凝固剤のない場合は、いかなるpHにおいても、シリカは溶液から沈殿しない。非限定的な実施形態では、シリカの沈殿を実行するのに使用される凝固剤は、コロイドシリカ粒子の形成中に生産される、可溶性アルカリ金属塩であってもよく、又はそれは、可溶性無機塩若しくは有機塩など、添加された電解質であってもよく、あるいはそれはこれら両方の組み合わせであってもよい。
【0134】
沈殿シリカは、PPG Industries,Incから、多くの等級及び形態で入手可能である。これらは商標Hi−Sil(登録商標)で販売されている。
【0135】
本発明の目的に関して、超微粒子状の実質的に非水溶性ケイ酸含有充填剤は、実質的に非水溶性充填剤材料の少なくとも50重量%(例えば、少なくとも65重量%、少なくとも75重量%)、又は少なくとも90重量%を含み得る。ケイ酸含有充填剤は、微粒子充填材材料の50〜90重量%(例えば60重量%〜80重量%)を含んでもよく、又はケイ酸含有充填剤は、実質的に非水溶性微粒子充填材材料の実質的に全てを含んでもよい。
【0136】
微粒子状充填剤(例えば、ケイ酸含有充填剤)は典型的に、高表面積を有し、本発明の微多孔膜を製造するのに使用されるプロセス可塑剤組成物の多くを運ぶのを可能にする。充填剤粒子は実質的に非水溶性であり、また微多孔膜を調製するのに使用される任意の有機プロセス液体に実質的に非可溶性であってもよい。これは、微多孔膜内に微粒子状充填剤の保持を促進することができる。
【0137】
本発明の微多孔膜はまた、プロセスに使用される少量(例えば、微多孔膜の総重量を基準として5重量%以下)の他の材料、例えば潤滑剤、プロセス可塑剤、有機抽出液体、水等を含み得る。特定の目的のための更なる材料、例えば熱、紫外線、寸法安定性は、所望により、少量(例えば、微多孔膜の総重量を基準として15重量%以下)で微多孔膜に存在してもよい。このような更なる材料の例には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、強化繊維(例えば短く刻んだガラス繊維ストランド等)が挙げられるが、これらに限定されない。充填材及びいずれかのコーティング、印刷インク、又は1つ以上の特別な目的のために適用された含浸剤を除き、微多孔膜の残部は本質的に熱可塑性有機重合体である。
【0138】
本発明の微多孔膜はまた、相互接続する孔のネットワークを含み、これは実質的に微多孔膜全体につながっている。コーティングがなく、印刷用インクがなく、かつ含浸剤のないベースでは、微多孔膜の総体積を基準として、本明細書に更に記載されるプロセスによって作製されるとき、孔は典型的に35〜95体積%を構成する。孔は膜の総体積を基準として、微多孔膜の60〜75体積%を構成し得る。本明細書及び請求項において使用されるとき、微多孔膜の多孔性(ボイド容積としても知られる)は、容積%によって表され、次式に従って決定される。
多孔性=100[1−d1/d2]
式中、d1は、サンプルの密度であり、サンプルの寸法の測定から確かめられるように、これはサンプルの重量及びサンプルの体積から決定され、d2は、サンプルの固体部分の密度であり、これはサンプルの重量及びサンプルの固体部分の体積から決定される。微多孔膜の固体部分の体積は、Quantachrome stereopycnometer(Quantachrome Corp.)を使用して、この機器の操作マニュアルに従って決定される。
【0139】
微多孔膜の孔の容積平均直径は、Autoscan水銀ポロシメータ(Quantachrome Corp.)を使用して、水銀ポロシメトリーによって、この機器の操作マニュアルに従って決定される。1回のスキャンに対する容積平均孔半径は、ポロシメータによって自動的に決定される。ポロシメータの操作において、スキャンは高圧範囲(絶対圧138kPa〜絶対圧227MPa)においてされる。2%未満の合計の侵入容積が、高圧範囲の下方端(絶対圧138〜250kPa)において発生した場合、容積平均孔直径は、ポロシメータによって決定される容積平均孔寸法の2倍としてみなされる。他の方法では、追加のスキャンが低圧範囲(絶対圧7〜165kPa)においてなされ、容積平均孔直径は、以下の方程式によって産出される:
d=2[v1r1/w1+v2r2/w2]/[v1/w1+v2/w2]
式中、dは、容積平均孔直径であり、v1は、高圧範囲において侵入した水銀の合計容積であり、v2は低圧範囲において侵入した水銀の合計容積であり、r1は高圧スキャンから決定された容積平均孔半径であり、r2は定圧スキャンから決定された容積平均孔半径であり、w1は、高圧スキャンに供されたサンプルの重量であり、w2は低圧スキャンに供されたサンプルの重量である。
【0140】
概して、コーティングがなく、印刷用インクがなく、かつ含浸剤のないベースでは、微多孔膜の孔の容積平均直径は、少なくとも0.02マイクロメートル、典型的には少なくも0.04マイクロメートル、及び更に典型的には少なくとも0.05マイクロメートルである。同じベースでは、微多孔膜の孔の容積平均直径は、典型的に0.5マイクロメートル以下、より典型的には0.3マイクロメートル以下、及び更に典型的には0.25マイクロメートル以下である。このベースにおいて、孔の容積平均直径は、列挙された値を含む、これらの値の任意の間の範囲であってもよい。例えば、微多孔膜の孔の容積平均直径は、0.02〜0.5マイクロメートル、又は0.04〜0.3マイクロメートル、又は0.05〜0.25マイクロメートルの範囲であってよく、それぞれの場合は、列挙された値を含む。
【0141】
上記の手順によって容積平均孔直径を決定する過程で、検出される最大孔半径もまた決定され得る。これは、実施する場合は、低圧範囲のスキャンからとられ、別の方法では高圧範囲のスキャンからとられる。微多孔膜の最大孔直径は、典型的に最大孔半径の2倍である。
【0142】
コーティング、印刷、及び含浸プロセスは、微多孔膜の孔の少なくとも一部の充填となり得る。更に、このようなプロセスはまた、微多孔膜を不可逆的に圧縮し得る。したがって、多孔性に関するパラメータ、孔の容積平均直径、及び最大孔直径は、これらのプロセスの1つ以上の適用の前に、微多孔膜に関して決定される。
【0143】
本明細書において開示される様々な揮発性組成物ディスペンサが、車両における使用のために記載されているが、当業者は、他の適した環境においてこのディスペンサの他の使用を理解するであろう。一実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、例えば、キャンプ場及び/又はテント若しくはキャビンにおいて殺虫剤を分配するのに使用され得る。他の様々な実施形態では、揮発性組成物ディスペンサは、揮発性組成物ディスペンサがユーザーに役に立つ、家庭、職場、ロッカー、保管スペース、及び/又は任意の他の適した場所若しくは環境において使用されてもよい。
【0144】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0145】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文書は、関連部分において本願に引用して援用するが、いずれの文書の引用も、それが本開示に対する従来技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。
【0146】
本開示の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることは当業者は理解するであろう。したがって、本開示の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)であって、
少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器(38)と、
前記揮発性組成物容器(38)に近接して位置決めされる破裂要素(44、144)と、
カム面(24)を含むカム(20、220)であって、前記カム面(24)が、前記破裂要素(44、144)の少なくとも一部分を、前記揮発性組成物容器(38)の方に移動させて、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させ、前記揮発性組成物の少なくとも一部分を前記揮発性組成物容器(38)から放出するように構成され、これによって前記揮発性組成物の前記一部分が蒸発し、前記揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)から滲出する、カム(20、220)と、を含む、揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項2】
前記破裂要素(44、144)に近接して位置決めされる通気性膜(50)を含み、該通気性膜(50)は、前記破裂要素(44、144)の前記一部分が、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させた後に、前記揮発性組成物を受容するよう構成され、好ましくは、前記通気性膜(50)が、蒸発のための前記揮発性組成物を受容するように構成される微多孔膜(50)を含み、より好ましくは、外側シェル(14、114)を含み、前記揮発性組成物容器(38)及び前記破裂要素(44、144)が、前記外側シェル(14、114)内に少なくとも部分的に位置決めされ、前記カム(20、220)は、前記カム面(24)が、前記破裂要素(44、144)の少なくとも一部分に力を適用しないとき、前記外側シェル(14、114)の外側に位置決めされ、前記カム面(24)は、前記カム面(24)が前記破裂要素(44、144)の少なくとも一部分に力を適用するとき、前記外側シェル(14、114)内に少なくとも部分的に位置決めされる、請求項1に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項3】
前記揮発性組成物容器(38)の一部分と、封止された状態で連通する破裂可能な封止部(42)を含み、前記破裂要素(44、144)が前記破裂可能な封止部(42)に近接して位置決めされ、これによって前記カム面(24、224)が、前記破裂可能な封止部(42)の方に前記破裂要素(44、144)の前記一部分を移動させるとき、前記破裂要素(44、144)の前記一部分は前記破裂可能な封止部(42)を破裂させて、前記揮発性組成物が前記揮発性組成物容器(38)から通気性膜(50)上に放出されるのを可能にし、好ましくは、前記カム(20、220)は、前記カム面(24)が前記破裂要素(44、144)に力を適用しない第1位置と、前記カム面(24)が前記破裂要素(44、144)の一部分に力を適用して、前記破裂要素(44、144)の前記一部分を前記揮発性組成物容器(38)の方向へ移動させる第2位置との間で枢動可能である、請求項1又は2に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項4】
最上方部分及び最下方部分を含み、前記破裂要素(44、144)は、前記カム面(24,224)が前記揮発性組成物容器(38)の方に前記破裂要素(44、144)の前記一部分を移動させたとき、前記揮発性組成物容器(38)の前記最下方部分に近接する、少なくとも1つの位置で前記揮発性組成物容器(38)を破裂させるように構成される、少なくとも1つの穿刺部材(58,158)を含み、好ましくは、前記破裂要素(44、144)の前記一部分が、前記揮発性組成物容器(38)から離れるように通常付勢される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項5】
外側シェル(14、114)を含み、該外側シェル(14、114)が、前記揮発性組成物と流体連通して配置されるように構成される、少なくとも1つの通気孔(12)を含み、ディスペンサが、第1空気流が前記ディスペンサを通過できる第1位置と、第2空気流が前記ディスペンサを通過出来る第2位置との間の少なくとも1つの通気孔(12)にわたって、少なくとも部分的に、移動するように構成される、空気流調節部材(166)を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項6】
前記破裂要素(44、144)が、
外側ハウジング(46、146)、及び
前記外側ハウジング(46、146)と可動に係合する可動部分(40、140)、を含み、該可動部分(40、140)は、前記カム面(24、224)が、前記揮発性組成物容器(38)の方へ前記可動部分(48、148)を移動させるまで、前記揮発性組成物容器(38)から離れた位置に保持される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項7】
揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)であって、
外側シェル(14、114)と、
少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含み、前記外側シェル(14、114)内に少なくとも部分的に位置決めされるように構成される、揮発性組成物容器(38)と、
前記揮発性組成物容器(38)に近接して位置決めされる穿刺部材を含む、要素と、
前記揮発性組成物容器(38)の方へ少なくとも前記穿刺部材を移動させ、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させ、前記揮発性組成物の少なくとも一部分を前記揮発性組成物容器(38)から放出するように構成された作動装置であって、これによって前記揮発性組成物の前記一部分は蒸発し、前記外側シェル(14、114)から滲出する、前記作動装置と、を含む、揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項8】
前記要素に近接して位置決めされる通気性膜(50)を含み、該通気性膜(50)が、前記揮発性組成物を受容するように構成される微多孔膜を含み、好ましくは、前記要素が、外側ハウジング(46、146)及び可動部分(48、148)を含み、該可動部分(48、148)が破裂要素(158)を含み、前記可動部分(48、148)が、前記外側ハウジング(46、146)内に少なくとも部分的に位置決めされ、前記外側ハウジング(46、146)と可動に係合し、より好ましくは、前記要素が外側ハウジング(46、146)及び可動部分(48、148)を含み、前記可動部分(48、148)が前記外側ハウジング(46、146)内に少なくとも部分的に位置決めされ、かつ前記外側ハウジング(46、146)への取り付け部を持たない、請求項7に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項9】
前記揮発性組成物容器(38)と前記要素との中間に、少なくとも部分的に位置決めされた変形可能な材料を含み、該変形可能な材料が、所定の力で変形されるように構成され、前記変形可能な材料が、前記揮発性組成物容器(38)から離れて少なくとも前記穿刺部材(58、158)を付勢し、前記穿刺部材(58、158)が、事前に前記揮発性組成物容器(38)を破裂するのを防ぐように構成される、請求項7又は8に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項10】
揮発性組成物ディスペンスシステムであって、
少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器(38)、
可動部分(48、148)を含み、前記揮発性組成物容器(38)に近接して位置決めされる、破裂要素(44、144)、
前記破裂要素(44、144)に近接して位置決めされる、通気性膜(50)、及び
作動装置が前記可動部分(48、148)に力を適用しない第1位置と、前記作動装置が前記可動部分(48、148)に力を適用することにより、前記可動部分(48、148)が前記揮発性組成物容器(38)の方向に押され、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させ、前記揮発性組成物の少なくとも一部分を、前記通気性膜(50)上に蒸発のために放出させる、第2位置と、の間で移動するよう構成される、前記作動装置、を含む、揮発性組成物ディスペンスシステム。
【請求項11】
前記破裂要素(44、144)が外側ハウジング(46、146)を含み、前記可動部分(48、148)が前記外側ハウジング(46、146)内に少なくとも部分的に位置決めされ、かつ前記外側ハウジング(46、146)と可動に係合し、好ましくは、前記揮発性組成物容器(38)と前記可動部分(48、148)の中間に少なくとも部分的に位置決めされる変形可能な材料を含み、該変形可能な材料が、前記可動部分(48、148)を前記揮発性組成物容器(38)から外側に付勢するように構成され、より好ましくは、前記破裂要素(44、144)が外側ハウジング(46、146)を含み、前記可動部分(48、148)が前記外側ハウジング(46、146)内に少なくとも部分的に位置決めされ、かつ前記外側ハウジング(46、146)への取り付け部を持たない、請求項10に記載の揮発性組成物ディスペンスシステム。
【請求項12】
側壁(276)を含む凹部(28、228)を内部に画定する外側シェル(14、114)と、
前記側壁(276)の一部分から少なくとも部分的に前記凹部(28、228)へ延びる付勢部材(60)であって、該付勢部材は第1表面(54、154)、中間表面(284)、及び第2表面(56、156)を含み、
前記作動装置が、前記第2位置にあるとき、前記作動装置が前記中間表面(284)に係合し、力を前記中間表面(284)に適用して、前記付勢部材を少なくとも部分的に前記外側シェル(14、114)へと付勢するように構成される、付勢部材(60)と、
前記側壁(276)と、前記付勢部材(278)の一部分との間に画定される開口部であって、前記作動装置が第3位置にあるとき、前記作動装置が前記開口部内に少なくとも部分的に位置決めされるように構成され、これによって前記作動装置が前記可動部分(48、148)に力を適用しない、開口部と、を含む、請求項10又は請求項11に記載の揮発性組成物ディスペンスシステム。
【請求項13】
揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)のための揮発性組成物カートリッジ(70、170)であって、該揮発性組成物カートリッジは、
少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器(38)と、
前記揮発性組成物容器(38)に近接して位置決めされる、破裂要素(44、144)と、
前記破裂要素(44、144)に近接して位置決めされる微多孔膜(50)であって、前記破裂要素(44、144)が、前記揮発性組成物容器(38)の一部分と、前記微多孔膜(50)の一部分とを封止可能に係合し、前記破裂要素(44、144)が起動すると、前記揮発性組成物容器(38)に開口部を作り、前記揮発性組成物容器(38)から、前記微多孔膜(50)上へ、揮発性組成物を蒸発のために放出するように構成される、微多孔膜(50)と、を含む、揮発性組成物カートリッジ(70、170)。
【請求項14】
揮発性組成物を分配する方法であって、
揮発性組成物を内部に含む揮発性組成物容器(38)を提供する工程と、
前記揮発性組成物容器(38)に近接して位置決めされる破裂要素(44、144)を提供する工程と、
作動装置を作動させて、前記破裂要素(44、144)の少なくとも一部分を移動させ、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させ、これによって、前記揮発性組成物の少なくとも一部分が、前記揮発性組成物容器(38)から放出される、工程と、を含み、好ましくは、
前記破裂要素(44、144)に近接して位置決めされる通気性膜(50)を提供する工程と、
前記揮発性組成物を蒸発のために前記通気性膜(50)の上に放出する工程と、を含み、より好ましくは、前記作動させる工程が、前記作動装置が前記破裂要素(44、144)に力を適用しない第1位置と、前記作動装置が前記破裂要素(44、144)の少なくとも一部分に力を適用して、前記揮発性組成物容器(38)の方向へ、前記破裂要素(44、144)の少なくとも前記一部分を移動させ、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させる、第2位置との間で、前記作動装置を移動させる工程と、を含み、更により好ましくは、少なくとも前記破裂要素(44、144)の前記一部分が、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させる前に、前記揮発性組成物容器(38)から離れるように前記破裂要素(44、144)の前記一部分を付勢する工程と、を含む、方法。
【請求項15】
前記破裂要素(44、144)に所定の力を適用するように構成される付勢部材(60)を提供する工程と、
前記作動装置が前記付勢部材(60)と係合し、前記破裂部材(44、144)の前記一部分に所定の力を適用する、第1の作動位置へと、前記作動装置を移動させる工程と、
前記作動装置が、前記破裂部材(44、144)の前記一部分に前記所定の力を適用しない、第2の作動位置へと前記作動装置を移動させる工程と、を含む、請求項14に記載の揮発性組成物を分配させる方法。
【請求項1】
揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)であって、
少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器(38)と、
前記揮発性組成物容器(38)に近接して位置決めされる破裂要素(44、144)と、
カム面(24)を含むカム(20、220)であって、前記カム面(24)が、前記破裂要素(44、144)の少なくとも一部分を、前記揮発性組成物容器(38)の方に移動させて、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させ、前記揮発性組成物の少なくとも一部分を前記揮発性組成物容器(38)から放出するように構成され、これによって前記揮発性組成物の前記一部分が蒸発し、前記揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)から滲出する、カム(20、220)と、を含む、揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項2】
前記破裂要素(44、144)に近接して位置決めされる通気性膜(50)を含み、該通気性膜(50)は、前記破裂要素(44、144)の前記一部分が、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させた後に、前記揮発性組成物を受容するよう構成され、好ましくは、前記通気性膜(50)が、蒸発のための前記揮発性組成物を受容するように構成される微多孔膜(50)を含み、より好ましくは、外側シェル(14、114)を含み、前記揮発性組成物容器(38)及び前記破裂要素(44、144)が、前記外側シェル(14、114)内に少なくとも部分的に位置決めされ、前記カム(20、220)は、前記カム面(24)が、前記破裂要素(44、144)の少なくとも一部分に力を適用しないとき、前記外側シェル(14、114)の外側に位置決めされ、前記カム面(24)は、前記カム面(24)が前記破裂要素(44、144)の少なくとも一部分に力を適用するとき、前記外側シェル(14、114)内に少なくとも部分的に位置決めされる、請求項1に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項3】
前記揮発性組成物容器(38)の一部分と、封止された状態で連通する破裂可能な封止部(42)を含み、前記破裂要素(44、144)が前記破裂可能な封止部(42)に近接して位置決めされ、これによって前記カム面(24、224)が、前記破裂可能な封止部(42)の方に前記破裂要素(44、144)の前記一部分を移動させるとき、前記破裂要素(44、144)の前記一部分は前記破裂可能な封止部(42)を破裂させて、前記揮発性組成物が前記揮発性組成物容器(38)から通気性膜(50)上に放出されるのを可能にし、好ましくは、前記カム(20、220)は、前記カム面(24)が前記破裂要素(44、144)に力を適用しない第1位置と、前記カム面(24)が前記破裂要素(44、144)の一部分に力を適用して、前記破裂要素(44、144)の前記一部分を前記揮発性組成物容器(38)の方向へ移動させる第2位置との間で枢動可能である、請求項1又は2に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項4】
最上方部分及び最下方部分を含み、前記破裂要素(44、144)は、前記カム面(24,224)が前記揮発性組成物容器(38)の方に前記破裂要素(44、144)の前記一部分を移動させたとき、前記揮発性組成物容器(38)の前記最下方部分に近接する、少なくとも1つの位置で前記揮発性組成物容器(38)を破裂させるように構成される、少なくとも1つの穿刺部材(58,158)を含み、好ましくは、前記破裂要素(44、144)の前記一部分が、前記揮発性組成物容器(38)から離れるように通常付勢される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項5】
外側シェル(14、114)を含み、該外側シェル(14、114)が、前記揮発性組成物と流体連通して配置されるように構成される、少なくとも1つの通気孔(12)を含み、ディスペンサが、第1空気流が前記ディスペンサを通過できる第1位置と、第2空気流が前記ディスペンサを通過出来る第2位置との間の少なくとも1つの通気孔(12)にわたって、少なくとも部分的に、移動するように構成される、空気流調節部材(166)を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項6】
前記破裂要素(44、144)が、
外側ハウジング(46、146)、及び
前記外側ハウジング(46、146)と可動に係合する可動部分(40、140)、を含み、該可動部分(40、140)は、前記カム面(24、224)が、前記揮発性組成物容器(38)の方へ前記可動部分(48、148)を移動させるまで、前記揮発性組成物容器(38)から離れた位置に保持される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項7】
揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)であって、
外側シェル(14、114)と、
少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含み、前記外側シェル(14、114)内に少なくとも部分的に位置決めされるように構成される、揮発性組成物容器(38)と、
前記揮発性組成物容器(38)に近接して位置決めされる穿刺部材を含む、要素と、
前記揮発性組成物容器(38)の方へ少なくとも前記穿刺部材を移動させ、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させ、前記揮発性組成物の少なくとも一部分を前記揮発性組成物容器(38)から放出するように構成された作動装置であって、これによって前記揮発性組成物の前記一部分は蒸発し、前記外側シェル(14、114)から滲出する、前記作動装置と、を含む、揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項8】
前記要素に近接して位置決めされる通気性膜(50)を含み、該通気性膜(50)が、前記揮発性組成物を受容するように構成される微多孔膜を含み、好ましくは、前記要素が、外側ハウジング(46、146)及び可動部分(48、148)を含み、該可動部分(48、148)が破裂要素(158)を含み、前記可動部分(48、148)が、前記外側ハウジング(46、146)内に少なくとも部分的に位置決めされ、前記外側ハウジング(46、146)と可動に係合し、より好ましくは、前記要素が外側ハウジング(46、146)及び可動部分(48、148)を含み、前記可動部分(48、148)が前記外側ハウジング(46、146)内に少なくとも部分的に位置決めされ、かつ前記外側ハウジング(46、146)への取り付け部を持たない、請求項7に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項9】
前記揮発性組成物容器(38)と前記要素との中間に、少なくとも部分的に位置決めされた変形可能な材料を含み、該変形可能な材料が、所定の力で変形されるように構成され、前記変形可能な材料が、前記揮発性組成物容器(38)から離れて少なくとも前記穿刺部材(58、158)を付勢し、前記穿刺部材(58、158)が、事前に前記揮発性組成物容器(38)を破裂するのを防ぐように構成される、請求項7又は8に記載の揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)。
【請求項10】
揮発性組成物ディスペンスシステムであって、
少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器(38)、
可動部分(48、148)を含み、前記揮発性組成物容器(38)に近接して位置決めされる、破裂要素(44、144)、
前記破裂要素(44、144)に近接して位置決めされる、通気性膜(50)、及び
作動装置が前記可動部分(48、148)に力を適用しない第1位置と、前記作動装置が前記可動部分(48、148)に力を適用することにより、前記可動部分(48、148)が前記揮発性組成物容器(38)の方向に押され、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させ、前記揮発性組成物の少なくとも一部分を、前記通気性膜(50)上に蒸発のために放出させる、第2位置と、の間で移動するよう構成される、前記作動装置、を含む、揮発性組成物ディスペンスシステム。
【請求項11】
前記破裂要素(44、144)が外側ハウジング(46、146)を含み、前記可動部分(48、148)が前記外側ハウジング(46、146)内に少なくとも部分的に位置決めされ、かつ前記外側ハウジング(46、146)と可動に係合し、好ましくは、前記揮発性組成物容器(38)と前記可動部分(48、148)の中間に少なくとも部分的に位置決めされる変形可能な材料を含み、該変形可能な材料が、前記可動部分(48、148)を前記揮発性組成物容器(38)から外側に付勢するように構成され、より好ましくは、前記破裂要素(44、144)が外側ハウジング(46、146)を含み、前記可動部分(48、148)が前記外側ハウジング(46、146)内に少なくとも部分的に位置決めされ、かつ前記外側ハウジング(46、146)への取り付け部を持たない、請求項10に記載の揮発性組成物ディスペンスシステム。
【請求項12】
側壁(276)を含む凹部(28、228)を内部に画定する外側シェル(14、114)と、
前記側壁(276)の一部分から少なくとも部分的に前記凹部(28、228)へ延びる付勢部材(60)であって、該付勢部材は第1表面(54、154)、中間表面(284)、及び第2表面(56、156)を含み、
前記作動装置が、前記第2位置にあるとき、前記作動装置が前記中間表面(284)に係合し、力を前記中間表面(284)に適用して、前記付勢部材を少なくとも部分的に前記外側シェル(14、114)へと付勢するように構成される、付勢部材(60)と、
前記側壁(276)と、前記付勢部材(278)の一部分との間に画定される開口部であって、前記作動装置が第3位置にあるとき、前記作動装置が前記開口部内に少なくとも部分的に位置決めされるように構成され、これによって前記作動装置が前記可動部分(48、148)に力を適用しない、開口部と、を含む、請求項10又は請求項11に記載の揮発性組成物ディスペンスシステム。
【請求項13】
揮発性組成物ディスペンサ(10、110、210、310)のための揮発性組成物カートリッジ(70、170)であって、該揮発性組成物カートリッジは、
少なくとも1つの揮発性組成物を内部に含む、揮発性組成物容器(38)と、
前記揮発性組成物容器(38)に近接して位置決めされる、破裂要素(44、144)と、
前記破裂要素(44、144)に近接して位置決めされる微多孔膜(50)であって、前記破裂要素(44、144)が、前記揮発性組成物容器(38)の一部分と、前記微多孔膜(50)の一部分とを封止可能に係合し、前記破裂要素(44、144)が起動すると、前記揮発性組成物容器(38)に開口部を作り、前記揮発性組成物容器(38)から、前記微多孔膜(50)上へ、揮発性組成物を蒸発のために放出するように構成される、微多孔膜(50)と、を含む、揮発性組成物カートリッジ(70、170)。
【請求項14】
揮発性組成物を分配する方法であって、
揮発性組成物を内部に含む揮発性組成物容器(38)を提供する工程と、
前記揮発性組成物容器(38)に近接して位置決めされる破裂要素(44、144)を提供する工程と、
作動装置を作動させて、前記破裂要素(44、144)の少なくとも一部分を移動させ、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させ、これによって、前記揮発性組成物の少なくとも一部分が、前記揮発性組成物容器(38)から放出される、工程と、を含み、好ましくは、
前記破裂要素(44、144)に近接して位置決めされる通気性膜(50)を提供する工程と、
前記揮発性組成物を蒸発のために前記通気性膜(50)の上に放出する工程と、を含み、より好ましくは、前記作動させる工程が、前記作動装置が前記破裂要素(44、144)に力を適用しない第1位置と、前記作動装置が前記破裂要素(44、144)の少なくとも一部分に力を適用して、前記揮発性組成物容器(38)の方向へ、前記破裂要素(44、144)の少なくとも前記一部分を移動させ、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させる、第2位置との間で、前記作動装置を移動させる工程と、を含み、更により好ましくは、少なくとも前記破裂要素(44、144)の前記一部分が、前記揮発性組成物容器(38)を破裂させる前に、前記揮発性組成物容器(38)から離れるように前記破裂要素(44、144)の前記一部分を付勢する工程と、を含む、方法。
【請求項15】
前記破裂要素(44、144)に所定の力を適用するように構成される付勢部材(60)を提供する工程と、
前記作動装置が前記付勢部材(60)と係合し、前記破裂部材(44、144)の前記一部分に所定の力を適用する、第1の作動位置へと、前記作動装置を移動させる工程と、
前記作動装置が、前記破裂部材(44、144)の前記一部分に前記所定の力を適用しない、第2の作動位置へと前記作動装置を移動させる工程と、を含む、請求項14に記載の揮発性組成物を分配させる方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
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【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2012−523304(P2012−523304A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506229(P2012−506229)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/031258
【国際公開番号】WO2010/121039
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/031258
【国際公開番号】WO2010/121039
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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