説明

搬出入装置

【課題】 ハンドリフト等の搬送装置が荷物をリフトアップできる高さよりも搬送面が高いコンベヤと搬送装置との間で、床下に深いピットを掘ることなく荷物を受け渡しする。
【構成】 リフタの爪で荷物の底面を支持する。爪との間で荷物を受け渡しする載置面とバッファ面とを備えた台車内コンベヤを台車に設け、外部のコンベヤに接続した位置とリフタ側の位置との間で台車を往復させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンベヤと、ハンドリフト、フォークリフト等の搬送装置の間で荷物を移載する搬出入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は特許文献1(特開2009-102127A)において、コンベヤとハンドリフト等の搬送装置の間で荷物を移載する装置を提案した。この装置では、ローラコンベヤからなる搬出入装置を、ローラの搬送面とコンベヤの搬送面の高さが同じになるように設ける。ローラは2〜3個程度のグループ単位で、床面から突き出すように設け、チェーン等で駆動する。そしてローラのグループとグループとの間に、ハンドリフトの車輪が進入できるように隙間を設ける。ハンドリフトをローラのグループとグループとの間に進入させ、ハンドリフトの物品載置部を昇降させると、ローラからなる搬出入装置とハンドリフトの間で、荷物を受け渡しできる。また搬出入装置のローラを駆動すると、コンベヤと搬出入装置の間でも、荷物を受け渡しできる。
【0003】
特許文献1の搬出入装置での搬送面の高さは、ハンドリフトで荷物をリフトアップできる高さに制限される。従ってこの高さよりも高いコンベヤとの接続用には適していない。ここで床面にピットを掘り、リフター付きのコンベヤを設置することも考えられる。しかしながらピットを掘れない場合、ハンドリフトとコンベヤとの荷物の移載が難しくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-102127A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の課題は、ハンドリフト等の搬送装置が荷物をリフトアップできる高さよりも搬送面が高いコンベヤと搬送装置との間で、床下に深いピットを掘ることなく荷物を受け渡しできるようにすることにある。
この発明での追加の課題は、荷物のパレットを安定して支持でき、かつ複数種類のパレットを移載できるようにすることにある。
この発明での追加の課題は、台車のサイズを最小にすることにある。
この発明での追加の課題は、台車のガイドレールが搬送装置の進入を妨げないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の搬出入装置は、荷物の底面を支持する爪を有するリフタと、
前記爪との間で荷物を受け渡しするための載置面とバッファ面とを備えた台車内コンベヤを有し、かつ外部のコンベヤに接続した位置と前記リフタ側の位置との間で往復移動させる台車とを備えている。
【0007】
この発明では、床面に深いピットを掘ることなく、外部コンベヤとハンドリフト等の搬送装置との間で荷物の搬出入ができる。
【0008】
好ましくは、前記爪は、台車内コンベヤの搬送方向に水平面内で直角な方向に沿って、荷物の幅よりも長く、かつ台車内コンベヤは前記爪を搬送面から没した状態で収納するための空隙を備えている。このようにすると、種々の形状の荷物を長い爪で安定して支持でき、しかも台車内コンベヤに設けた空隙内に爪を収納することにより、荷物の受け渡しができる。
また好ましくは、前記バッファ面は荷物1個分の広さである。すると台車が搬送方向に沿って占める長さを最小にできる。
【0009】
好ましくは、前記台車を外部のコンベヤ側の位置と前記リフタ側の位置との間でガイドし、先端が平面視で前記爪よりも外部のコンベヤ寄りのガイドレールを設けると共に、台車の中心よりも前記コンベヤ寄りに、前記ガイドレールでガイドされるガイドローラを設ける。このようにするとガイドレールが荷物の昇降を妨げない。
【0010】
この発明では、例えば次のステップで荷物を搬送装置から外部コンベヤへ搬入する。最初にリフタの爪に搬送装置から荷物を荷下ろしし、爪を上昇させて台車が爪の下部に潜り込めるようにする。次いで爪を下降させ、荷物を台車内コンベヤの載置面へ荷下ろしし、荷物をバッファ面へ台車内コンベヤで移動させる。そしてこの間に爪を退避させた後に、台車を外部コンベヤ側へ移動させる。外部コンベヤから搬送装置への搬出では、外部コンベヤから台車内コンベヤのバッファ面へ荷物を移動させた後に、台車をリフタ側へ移動させる。この後、台車の上方へ退避していた爪を台車内コンベヤの載置面へ下降させ、バッファ面から載置面へ台車内コンベヤで荷物を搬送し、爪で支持してリフトアップする。この後、台車を外部コンベヤ側へ後退させた後に爪を下降させると、搬送装置へ荷物を受け渡しできる。

【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】コンベヤと実施例の搬出入装置との要部平面図
【図2】リフタ側へ前進した搬出入装置とコンベヤとの平面図
【図3】リフタ側へ前進した搬出入装置とコンベヤとの、要部鉛直方向断面図
【図4】ハンドリフトとリフタとの間の荷物の受け渡しを示す平面図
【図5】実施例でのパレットに対する爪の位置を示す側面図
【図6】実施例でのコンベヤへの搬入アルゴリズムを示すフローチャート
【図7】実施例でのコンベヤからの搬出アルゴリズムを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0013】
図1〜図7に、実施例の搬出入装置2を示す。図1〜図3に示すように、搬出入装置2は台車4とリフタ6とから成り、図の右側で外部コンベヤ8と接続され、搬出入装置2は制御部9を備えている。制御部9は、図示しない上位コントローラからあるいは図示しない地上制御盤等から、荷物の搬出と搬入とを指令されると、実施例の手順に従って台車4とリフタ6とを制御する。台車4は台車内コンベヤ32を備え、12はそのローラで、ローラ12,12間にリフタ6の爪14を収納する空隙10を設ける。なおコンベヤ32を、ローラコンベヤではなく、ベルトコンベヤとしても良く、その場合、1本〜複数本のコンベヤから成るコンベヤ群12a〜12cもベルトコンベヤで構成する。
【0014】
リフタ6は例えば3本、一般的には2〜4本の爪14を備え、搬送方向と水平面内で直角な方向(左右方向)でのパレット42の幅よりも、爪14は長い。爪14が肉厚の場合、例えば溝15を設けて、ハンドリフト40の車輪44が通過できるようにする。爪14が薄い場合、溝15は不要である。爪14は、左右一対の昇降体16,16と昇降ガイド18,18並びに昇降モータ20,20により、床面上の高さとコンベヤ32の搬送面よりも高い位置との間で昇降する。なおこの明細書で、左右方向は水平面内でコンベヤ32の搬送方向に直角な方向である。また台車4がリフタ6側へ移動することを前進、外部コンベヤ8側へ移動することを後退という。
【0015】
図2,図3に示すように、台車4は車輪22,24を備え、このうち例えば車輪22は従動車輪、24は駆動車輪で走行モータ26により回転する。28はガイドローラで、ガイドレール30に設けたガイド面によりガイドされる。ガイドレール30は先端に車止31を備え、車止31は爪14によりパレット42を下降させた際にパレット42と干渉しない位置に配置する。ガイドレール30は、車止31と外部コンベヤ8との間に配置され、ガイドローラ28は台車4の中心よりも外部コンベヤ8寄りに設ける。コンベヤ32はチェーンあるいはベルトなどで駆動され、鎖車36、もしくはベルトの場合図示しないアイドラーを、ローラ12よりも下側に配置することにより空隙10を設ける。38はモータでコンベヤ32を駆動し、コンベヤ32の下部のシャーシ34に車輪22,24,ガイドローラ28等を設ける。また39は床面である。
【0016】
図1〜図3で、コンベヤ32上のAは載置面,Bはバッファ面である。載置面Aはリフタ6の爪14との間で物品の受け渡しを行う面である。バッファ面Bは爪14と干渉しない位置へパレットなどの荷物を退避させるための面で、外部コンベヤ8との間で荷物を受け渡しするための面でもあり、載置面A、バッファ面Bは各1パレットを載置できる広さである。
【0017】
搬出入装置2には、光電センサS1〜S7などを設け、パレットなどを監視する。光電センサS1は入庫停止センサで、図2に示すように、載置面Aからバッファ面Bへパレットなどを搬送する際に、その先端を検出してコンベヤ32を停止させる。光電センサS2は出庫一時停止センサで、図2に示すように、バッファ面B上のパレットの先端を検出して、コンベヤ32を停止させ、載置面Aの手前で退避させる。光電センサS3は載荷センサ(上)で、コンベヤ32の搬送面上にパレットが存在するか否かを検出する。光電センサS4は載荷センサ(下)で、床面上のパレットの有無を検出する。光電センサS5は先端停止センサで、パレットが載置面Aへと搬送されてきた際に、その先端を検出してコンベヤ32を停止させる。光電センサS6は作業者の爪先などを検出して台車4の移動を制限し、光電センサS7は爪14との間で物品の受け渡しを行うハンドリフトを検出する。
【0018】
図4はリフタ6の爪14と、ハンドリフト40との間のパレット42の受け渡しを示す。43,44は車輪、45は載置部で、46は油圧の操作用のハンドルで、載置部45はハンドル46の操作により、車輪44に対して昇降できる。爪14を床面まで下降させると、車輪44が溝15を乗り越えるようにして、パレット42を爪14上に前進させ、次いで載置部45を下降すると、パレット42を爪14上へ荷下ろしできる。爪14からハンドリフト40へ荷すくいする場合、載置部45を下降させた状態で爪14上へと前進させ、載置部45をパレットの孔などに通す。そしてハンドル46で載置部45を上昇させると、パレットを爪14からハンドリフト40へ荷すくいできる。
【0019】
図5に、爪14によるパレット50,52の支持を示す。パレット50は底面がほぼフラットな一般パレットで、孔部53にハンドリフトの載置部が挿通する。爪14は一般パレット50の底面を3箇所で支持する。パレット52は3脚パレットで、脚の間でハンドリフトの載置部により支持される。パレット52の3本の脚部54の底面を爪14が支持し、搬送方向と水平面内で直角な方向にそって脚部54よりも爪14が長く、脚部54の底部をほぼ全長に渡って支持することにより、パレット52を安定して支持する。
【0020】
図6に、外部コンベヤ8へのパレット42の搬入アルゴリズムを示す。最初に台車を外部コンベヤ8側へ後退させ、リフタの爪14を床面に下降させておく(ステップ1)。次いでハンドリフト40は例えば溝15を乗り越えるようにしてリフタの爪14上へ進出し(ステップ2)、ハンドリフトの載置部45を下降させて、パレット42をリフタの爪14へ荷下ろしし(ステップ3)、ハンドリフトを後退させる(ステップ4)。正常に荷下ろしが行われた場合、荷下ろしセンサ(下)がオンしているはずである(ステップ5)。載荷センサ(下)がオンの場合、リフタの爪14を上昇させ(ステップ6)、パレットを上昇させる。これに伴って載荷センサ(上)がオンする(ステップ7)。載荷センサ(上)S3がオンすると、このセンサがオフするまでリフタをさらに上昇させた後に停止させ、さらに台車4をリフタ6側へ前進させる(ステップ8)。この後リフタの爪を下降させ、パレットを台車の移載面Aへ荷下ろしし、載荷センサ(上)S3がオンしたことから荷下ろしを確認する(ステップ9)。
【0021】
次いで台車内コンベヤ32で、移載面Aからバッファ面Bへパレットなどの荷物を移動させる(ステップ10)。パレットの先端が入庫停止センサS1の位置に達すると(ステップ11)、台車内コンベヤを停止させ、リフタの爪を上昇させる(ステップ12)。そして台車を外部コンベヤ8側へ後退させ(ステップ13)、台車内コンベヤ32により外部コンベヤ8へパレットを搬入する(ステップ14)。
【0022】
図7に、外部コンベヤ8からハンドリフト40へのパレットの搬出を示す。ステップ21では台車を外部コンベヤ8側へ後退させておき、リフタの爪14は上昇している。ステップ22で、外部コンベヤ8から台車のバッファ面Bへ荷物(パレット)を移動させる。出庫一時停止センサS2がオンすると、台車内コンベヤ32を停止させると共に(ステップ23)、台車をリフタ6側へ前進させ、同時にリフタ6の爪14を下降させる(ステップ24)。爪14が空隙10に収納されて、台車内コンベヤ32の搬送面よりも下側に没すると、台車内コンベヤ32により移載面Aへパレットを移動させる(ステップ25)。パレットの先端を先端停止センサS5で検出すると、台車内コンベヤを停止させ(ステップ26)、次いでリフタの爪をコンベヤ32と干渉しない位置まで上昇させた後に、台車を外部コンベヤ8側へ後退させる(ステップ27)。そして台車が爪14と干渉しない位置まで後退すると、爪を床面に下降させ(ステップ28)、ハンドリフトでリフタから荷物を搬出する(ステップ29)。
【0023】
実施例では搬送装置をハンドリフトとしたが、例えばフォークリフトの揚程よりも搬送面が高い外部コンベヤとの間で、物品を搬出入する場合、フォークリフトを搬送装置としてもよい。荷物はパレット42に限らず、形態は任意である。爪14を荷物の左右方向の幅よりも長くすると、パレット42を安定して支持できる。しかし一般パレット50などの丈夫で支持しやすいパレットの場合、爪14を昇降体16,16毎に左右に分離して設け、荷物の左右端部を支持するようにしてもよい。この場合には、空隙10は設けなくてもあるいはより小さくても良い。
【0024】
実施例では以下の効果が得られる。
(1) 床面39に深いピットを掘ることなく、外部コンベヤ8とハンドリフト40との間でパレット42の搬出入ができる。
(2) 爪14を荷物の左右方向の幅よりも長い爪とすると、任意の形状のパレットを安定して支持でき、しかも台車内コンベヤ32に設けた空隙10内に爪14を収納することにより、コンベヤ32との間で荷物の受け渡しができる。
(3) バッファ面Bのサイズを1パレット分とすると、台車4が搬送方向に沿って占める長さを最小にできる。
(4) ガイドレール30の先端をパレットの底部よりも外部コンベヤ8側にすると、ガイドレール30がパレット42の昇降を妨げない。このためガイドローラ28を台車4の中心よりも外部コンベヤ8寄りに設ける。

【符号の説明】
【0025】
2 搬出入装置
4 台車
6 リフタ
8 外部コンベヤ
9 制御部
10 空隙
12 ローラ
14 爪
15 溝
16 昇降体
18 昇降ガイド
20 昇降モータ
22,24 車輪
26 走行モータ
28 ガイドローラ
30 ガイドレール
31 車止
32 台車内コンベヤ
34 シャーシ
36 鎖車
38 モータ
39 床面
40 ハンドリフト
42 パレット
43,44 車輪
45 載置部
46 ハンドル
50,52 パレット
53 孔部
54 脚部
A 移載面
B バッファ面
S1〜S7 光電センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物の底面を支持する爪を有するリフタと、
前記爪との間で荷物を受け渡しするための載置面とバッファ面とを備えた台車内コンベヤを有し、かつ外部のコンベヤに接続した位置と前記リフタ側の位置との間で往復移動させる台車、とを備える搬出入装置。
【請求項2】
前記爪は、台車内コンベヤの搬送方向に水平面内で直角な方向に沿って、荷物の幅よりも長く、かつ台車内コンベヤは前記爪を搬送面から没した状態で収納するための空隙を備えていることを特徴とする、請求項1の搬出入装置。
【請求項3】
前記バッファ面は荷物1個分の広さであることを特徴とする、請求項1または2の搬出入装置。
【請求項4】
前記台車を外部のコンベヤ側の位置と前記リフタ側の位置との間でガイドし、先端が平面視で前記爪よりも外部のコンベヤ寄りのガイドレールを設けると共に、
台車の中心よりも前記コンベヤ寄りに、前記ガイドレールでガイドされるガイドローラを設けたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの搬出入装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−126657(P2011−126657A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286540(P2009−286540)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】