説明

搬送処理装置

【課題】主としてシート状のワーク(シート状に折り畳まれたカートンなどを含む)に対する印字やラベル貼付などの各種処理を搬送経路上で自動的に行うのに好適な搬送処理装置を提供する。
【解決手段】カートンKを搬送経路1上に移載するカートン供給手段3、移載されたカートンを搬送経路1に沿って搬送するコンベヤ47、及び搬送経路1上の所定位置に達したカートンに対して所定の処理を行う処理手段(レーザーマーカー6など)を備えた搬送処理装置において、前記コンベヤ47が、表裏間で貫通する通気小孔を備えたコンベヤ用平ベルト47aと、搬送経路1上にある前記平ベルト47aの裏面側に配設された吸気用チャンバー53を備え、搬送経路1上のカートンKを前記平ベルト47aの表面に吸着状態で搬送する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてシート状(シート状に折り畳まれたものを含む)のワークに対する印字やラベル貼付などの各種処理を搬送経路上で自動的に行う搬送処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送処理装置、例えば包装機業界でカートナーと呼称される機械では、偏平状に折り畳まれた紙製函(以下、シート状ワークという)をマガジンより1枚ずつ取り出して搬送経路上に移載し、この搬送経路上で一定間隔おきに搬送されるシート状ワークの所定箇所にレーザーマーカーでバーコードなどを印刷したり、ラベル貼付手段でラベルを貼付することが行われているが、従来のこの種の搬送処理装置では、特許文献を開示することはできないが、搬送経路上のシート状ワークを個別に位置決めするアタッチメントが取り付けられたコンベヤを使用し、この搬送経路上の両側には、シート状ワークを搬送経路の幅方向に関して位置決めするガイドを設けていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなアタッチメントとガイドとを併用するコンベヤを使用する従来の搬送処理装置では、カートンを円滑に搬送するためにガイドとシート状ワークとの間に適当な遊び(隙間)が必要であるため、シート状ワークに対する印字位置やラベル貼付位置など処理位置に高精度が要求されるような場合には、処理ステーションで停止したシート状ワークを正確に位置決めする位置決め手段と位置決め作用時間が必要になる。又、搬送経路上での搬送速度を上げようとすると、ガイドとの摩擦でシート状ワークに悪影響が及ぶ恐れがあるため、搬送速度を上げることも困難である。更に、シート状ワークサイズが変更されるたびに、アタッチメントやガイドの位置変更が必要になる。従って、従来のカートナーでは、機械的構造が複雑になるばかりでなく、処理サイクルタイムが長くかかる、準備作業に手間がかかる、などの問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る搬送処理装置を提供することを目的とするものであって、請求項1に記載の本発明は、その手段を後述する実施形態の参照符号を付して示すと、ワーク(カートンK)を搬送経路1上に移載するワーク供給手段(カートン供給手段3)、移載されたワークを搬送経路1に沿って搬送するコンベヤ47、及び搬送経路1上の所定位置に達したワークに対して所定の処理を行うワーク処理手段(レーザーマーカー6)を備えた搬送処理装置において、前記コンベヤ47が、表裏間で貫通する通気小孔52を備えたコンベヤ用平ベルト47aと、搬送経路1上にある前記平ベルト47aの裏面側に配設された吸気用チャンバー53を備え、搬送経路1上のワーク(カートンK)を前記平ベルト47aの表面に吸着状態で搬送する構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、ワーク供給手段(カートン供給手段3)によるワーク移載位置(第一ステーションP1)とワーク処理手段(レーザーマーカー6)との間に、平ベルト47aの表面に吸着状態にあるワークの位置を検出するワーク位置検出手段5を配設し、このワーク位置検出手段5により検出された現在位置と設定位置との位置ずれ量に応じてワーク処理手段(レーザーマーカー6)のワークに対する処理位置を調整する制御手段59を併設することができる。
【0006】
又、本発明装置を、偏平状に折り畳まれた紙製函(カートン)に対する印字やラベル貼付に好適な搬送処理装置として活用できるようにするために、請求項3に記載のように、ワーク供給手段(カートン供給手段3)により搬送経路1上に移載されるシート状ワーク(カートンK)は、前記コンベヤ47の間欠運転により一定間隔おきに搬送させ、前記ワーク位置検出手段5は、停止中のワークの特定部位を撮像するイメージセンサー35を使用して、撮像エリア35a内での前記特定部位の平ベルト47a表面上の位置情報を画像データとして出力するように構成し、前記ワーク処理手段は、請求項4に記載のように、停止中のシート状ワーク(カートンK)の特定箇所に印刷するレーザーマーカー6とし、このレーザーマーカー6による印刷位置を、前記位置ずれ量を矯正する方向に前記制御手段59を介して自動調整するように構成し、或いは、請求項5に記載のように、前記ワーク処理手段は、停止中のシート状ワーク(カートンK)の特定箇所にラベルを貼付するラベル貼付手段とし、このラベル貼付手段によるラベル貼付位置を、前記位置ずれ量を矯正する方向に前記制御手段59を介して自動調整するように構成できる。
【0007】
尚、請求項6に記載のように、前記平ベルト47aの通気小孔52は、当該平ベルト47aの幅方向一定間隔おきに位置する搬送方向と平行な仮想線上に搬送方向に一定間隔おきに配列し、前記吸気用チャンバー53は、平ベルト47aを摺動自在に支持するベルト支持板54の下側に形成し、当該ベルト支持板54には、前記通気小孔52の搬送方向の各列に対応して搬送方向に長い吸気用スリット58を設けることができる。
【発明の効果】
【0008】
上記請求項1に記載の本発明に係る搬送処理装置によれば、ワーク供給手段によりコンベヤ用平ベルト上に移載されたワークは、このワークが塞ぐことになる平ベルト側の通気小孔に吸気用チャンバーの負圧により吸着された状態で搬送されるので、搬送経路上に移載されたワークが搬送途中に搬送経路上で相対的に動くのを前記吸着力で防止させることができる。従って、ワーク供給手段によりコンベヤ用平ベルト上に移載されたワークの位置が許容範囲内でありさえすれば、ワーク処理手段に達したときに搬送経路上でワーク位置を矯正する必要がなくなり、そのワーク位置矯正のための手段や作用時間が不要になる。又、ワークが固定のガイドなどと相対摺接しないので、搬送速度を上げてもワークに悪影響が及ぶこともなく、薄く且つ軽量のワークでも確実に所定位置を保持させたまま高速搬送が可能になる。更に、ワークサイズが変更されても、平ベルト上の通気小孔が配設された領域に載置されるサイズで且つ複数個の通気小孔を塞ぐ程度の面積を有するものでありさえすれば、搬送経路側での特別な準備作業も不要であって、直ちに運転することができる。以上を要するに、本発明の構成によれば、搬送処理装置全体の機械的構造を簡略化し、コストダウンを図りながら、精度の高い印字やラベル貼付などの処理を行うことができる。
【0009】
尚、請求項2に記載の構成によれば、ワーク供給手段による搬送経路上へのワーク移載位置が一定していなくとも、当該ワークがワーク処理手段に達する前に、平ベルトの表面に吸着状態にあるワークの位置ずれ量を判定し、この判定されたワーク位置ずれ量に応じてワーク処理手段のワークに対する処理位置を矯正できるので、個々のワークに対して印字やラベル貼付などの処理位置の精度を大幅に向上させることができる。
【0010】
尚、請求項3〜5に記載の構成によれば、本発明装置を、偏平状に折り畳まれた紙製函に対する印字やラベル貼付に好適な搬送処理装置として活用できる。
【0011】
又、請求項6に記載の構成によれば、コンベヤ用平ベルトを吸気用チャンバー上のベルト支持板で安定的に支持させて必要な平面性を確保しながら、当該平ベルトが有する通気小孔に対して吸引力を効果的に作用させることができ、所期のワーク吸着効果を確実に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の搬送処理装置を、使用前の偏平状に折り畳まれている紙製函(以下、カートンという)に対してレーザーマーカーで印字する搬送処理装置に応用した具体的実施例を添付図に基づいて説明すると、図1〜図3において、1はカートンを水平面上で支持して間欠的に一定距離ずつ搬送する搬送経路、2はカートンマガジン、3はカートンマガジン2からカートンを1枚ずつ取り出して搬送経路1の始端部上に移載するカートン供給手段、4はカートン厚み検出手段、5はカートン位置検出手段、6はレーザーマーカー、7は印刷文字検査手段、8は印刷バーコード検査手段である。搬送経路2に沿って配設されたこれら各手段2〜8は基本的に従来周知のものであるが、以下、各手段の構成を簡単に説明する。
【0013】
カートンマガジン2は、カートンの一側辺を位置決めする位置固定サイドガイド9とこの位置固定サイドガイド9とセットになった位置固定支持プレート10、カートン幅に応じて位置固定サイドガイド9との間の間隔を調整できる可動サイドガイド11とこの可動サイドガイド11とセットになった可動支持プレート12、及びカートンの高さに応じて支持プレート10,12との間の空間高さを調整できる押さえプレート13を備え、支持プレート10,12及び押さえプレート13は、搬送経路1に近い側が下がるように傾斜し、支持プレート10,12の傾斜下端には、カートンの下側辺に引っ掛かる係止片が上向きに突設され、押さえプレート13の傾斜下端には、カートンの上側辺に引っ掛かる小径水平軸ローラーが軸支されている。而して、カートンは所要枚数重ねられた状態で、左右両サイドガイド9,11、左右両支持プレート10,12、及び押さえプレート13で囲まれた傾斜空間内に、傾斜下端のカートンの表面が斜め下方に面する状態にセットされ、重力で前記傾斜空間の傾斜下方に向かって支持プレート10,12上を滑動するが、前記傾斜空間の傾斜下端から重力で自然に脱落することは、支持プレート10,12の傾斜下端の係止片と押さえプレート13の傾斜下端の小径水平軸ローラーによって阻止されている。
【0014】
カートン供給手段3は、定位置の水平回転軸14に固着された上下揺動自在な左右一対の主動アーム15、この主動アーム15の先端間に支承された水平回転軸16に固定された左右水平方向に長い吸着盤支持部材17、カートンマガジン2の位置固定サイドガイド9に近い側で吸着盤支持部材17に取り付けられた位置固定吸着盤18、カートン幅に応じて位置固定吸着盤18との間の間隔を調整できるように吸着盤支持部材17に取り付けられた可動吸着盤19、定位置の水平支軸20の周りで前後揺動自在な第一従動リンク21、一端がこの第一従動リンク21の遊端に水平支軸22で軸支され且つ他端が前記水平支軸16の一端に固着された第二従動リンク23、モーター24で回転駆動されるクランクアーム25、及びこのクランクアーム25と前記水平回転軸14の一端に固着された被動アーム26とを連結する連結ロッド27を備え、クランクアーム25の回転により主動アーム15が一定振幅で上下揺動するとき、第一従動リンク21と第二従動リンク23の連動揺動に伴って水平回転軸16(吸着盤支持部材17)が主動アーム15に対して一定角度範囲内で正逆回転するように構成され、クランクアーム25の1回転とこれに伴う吸着盤18,19の吸着/開放の制御により、吸着盤18,19がカートンマガジン2内から先頭のカートン1枚をその斜め下向きの表面に対する吸着により引き出し、90度強転向させながら搬送経路1上にカートン表面が上になるように移載するものである。
【0015】
カートン厚み検出手段4は、搬送経路1の片側に設置された架台28上に水平姿勢を保って昇降自在に支持されて搬送経路1上に延出し且つ先端下側に高さ調整自在に取り付けられたカートン当接部を備えた昇降バー29、この昇降バー29を下向きに付勢するスプリング30、このスプリング30の付勢力に抗して昇降バー29を待機位置まで突き上げるシリンダーユニット31、及び昇降バー29の降下レベルを検出するセンサー32を備えたもので、搬送経路1上でのカートンの搬送中はシリンダーユニット31により突き上げられた昇降バー29が上昇位置で待機し、カートンが所定位置で停止したとき、シリンダーユニット31の突き上げ解放によりスプリング30の付勢力で昇降バー29が降下し、その先端のカートン当接部が搬送経路1上のカートンに当接したときの昇降バー29の降下レベルをセンサー32で検出して、カートンの有無と二枚重ねでないか否かを判定するものである。
【0016】
カートン位置検出手段5は、搬送経路1の上方に等搬送経路1を横断する向きに架設された支持梁33の先端下側に、搬送経路1上での搬送方向と横断方向のX−Y二次元位置調整機構34を介して取り付けられたもので、搬送経路1上の所定エリア内を撮像するイメージセンサー35と、その撮像エリアを照明する照明器36とを備えている。レーザーマーカー6は、搬送経路1に対しカートン厚み検出手段4の架台28が設置された側とは反対側に設置された、搬送経路1上での搬送方向と横断方向のX−Y二次元位置調整テーブル37に支持されたもので、搬送経路1の上方に位置するレーザーヘッド部6Aの下側には、搬送経路1上のカートンを印刷エリアの周囲で押さえる昇降自在な押さえ板38と、この押さえ板38の昇降エリアを含むレーザーヘッド部6Aの下側空間を覆うカバー39とを備えている。
【0017】
印刷文字検査手段7は、搬送経路1上の所定エリア内を撮像するイメージセンサー40と、その撮像エリアを照明する照明器41とを備え、印刷バーコード検査手段8は、バーコード読み取りセンサー42とその読み取りエリアを照明する照明器43とを備えたもので、これら両者は、X−Y二次元位置調整テーブル37によって位置調整されるレーザーマーカー6に取り付けられて搬送経路1の搬送方向下手側へ延出するビーム44に、レーザーマーカー6のレーザーヘッド部6Aの中心、印刷文字検査手段7のイメージセンサー40の中心、及び印刷バーコード検査手段8のバーコード読み取りセンサー42の中心が搬送経路1の搬送方向に一直線状に並ぶように、それぞれ支持部材45,46を介して取り付けられている。
【0018】
搬送経路1の詳細構造を説明すると、図4及び図5に示すように、この搬送経路1は、無端状平ベルト47aを使用するベルトコンベヤ47によって構成したもので、当該無端状平ベルト47aは、搬送経路1の前後両端に配置された上側ガイドローラー48a,48b、これら両上側ガイドローラー48a,48bの下方に配置された下側ガイドローラー48c,48d、搬送経路1の終端側の下側ガイドローラー48dに近い位置で搬送経路1の下方に配置されてモーター49により駆動される駆動ローラー50、及び前記下側ガイドローラー48dと駆動ローラー50との中間位置に配置されたテークアップ用ローラー51によって掛張され、上側ガイドローラー48a,48b間の水平往行経路部で搬送経路1が構成されている。
【0019】
而して無端状平ベルト47aには、その幅方向一定間隔おきに位置する搬送方向と平行な各仮想線上に一定間隔おきに通気小孔52が表裏間で貫通するように設けられており、当該無端状平ベルト47aの上側ガイドローラー48a,48b間の水平往行経路部と下側ガイドローラー48c,48d間の水平往行経路部との間には、吸気用チャンバー53が配設されている。この吸気用チャンバー53は、平ベルト47aを摺動自在に支持するベルト支持板54の下側で隔壁部材55により区切られた搬送方向に直列する複数(図示例は3つ)の区画室56a〜56cと、各区画室56a〜56c内から吸気するブロワー57a〜57cを備え、ベルト支持板54には、その上を摺動する平ベルト47aの通気小孔52の搬送方向と平行な各列と一致するように、搬送方向に長い吸気用スリット58が設けられている。尚、平ベルト47aの通気小孔52とベルト支持板54の吸気用スリット58は、それぞれ搬送経路1の幅方向に関してジグザグ状に並列するように配設されている。
【0020】
上記構成の搬送経路1によれば、モーター49により駆動ローラー50を回動させて無端状平ベルト47aを回動させると共に、吸気用チャンバー53の各ブロワー57a〜57cを稼働させることにより、搬送方向に移動する搬送経路1上の平ベルト47aの各通気小孔52には、これら通気小孔52からベルト支持板54の各吸気用スリット58を経由して吸気用チャンバー53の各区画室56a〜56cに至る気流が形成されるので、搬送経路1の平ベルト47a上に載置されたカートンは、このカートンが塞ぐことになる複数の通気小孔52に吸着され、固定された状態となる。
【0021】
搬送経路1上には、図6に示すように、カートン供給手段3によりカートンKが移載される第一ステーションP1、カートン厚み検出手段4によるカートン検出とカートン位置検出手段5によるカートン位置検出とが行われる第二ステーションP2、レーザーマーカー6による印字及びバーコードの印刷が行われる第三ステーションP3、印刷文字検査手段7による印刷文字検査が行われる第四ステーションP4、印刷バーコード検査手段8による印刷バーコード検査が行われる第五ステーションP5、及び処理済みカートン排出ステーションP6が、搬送方向上手から下手に向かってこの順番で等間隔おきに設定されている。従って、搬送経路1においてカートンを搬送方向に搬送する平ベルト47aは、各ステーションP1〜P6間の間隔と等しい距離だけカートンKを搬送した後、一定時間だけ停止するように間欠駆動される。勿論、平ベルト47aが停止して各ステーションP1〜P6においてカートンKが留まっている間も吸気用チャンバー53によるカートンKの吸着作用は継続される。
【0022】
以上のように構成された搬送処理装置における搬送処理の流れを図6に基づいて説明すると、搬送経路1の平ベルト47aが停止している間にカートンマガジン2内のカートンKがカートン供給手段3によって搬送経路1上の第一ステーションP1に移載され、当該平ベルト47a上に吸着固定される。このとき、カートンKは、その最大幅LWのものから最小幅SWのものまで、カートンマガジン2における位置固定サイドガイド9の内側面の延長線に相当する基準線Lに一側辺がほぼ合致すると共に、カートンKの搬送方向の長さ(カートンマガジン2内でのカートン高さ)に関係なく、その搬送方向側の側辺(カートンマガジン2内でのカートン下側辺)が第一ステーションP1の基準位置(搬送経路横断方向の基準線)とほぼ合致する状態に吸着固定される。
【0023】
第一ステーションP1へのカートンKの移載完了後の平ベルト47aの駆動により、当該平ベルト47a上に吸着固定されているカートンKが、第二ステーションP2まで搬送され、以後、平ベルト47aの停止期間中のカートン供給手段3による第一ステーションP1へのカートンKの供給と、平ベルト47aの駆動とを繰り返すにより、カートンKが第一ステーションP1〜第五ステーションP5に順次送り込まれ、処理済みのカートンKが最後に処理済みカートン排出ステーションP6から排出されることになる。而して、第二ステーションP2に送り込まれて停止しているカートンKに対しては、カートン厚み検出手段4によるカートンKの有無と二枚重ねになっていないかの検査が行われ、若し、カートンKが存在しないとの判定(昇降バー29が下降限レベルまで降下する)がなされたとき、又はカートンKが二枚重ねであるとの判定(昇降バー29が所定レベルまで降下しない)がなされたときは、非常停止や当該カートン位置に対する後続の処理を行わないなど、必要な制御を行わせることができる。カートン厚み検出手段4による判定が正常であったときは、カートン位置検出手段5によるカートン位置検出を行わせる。図6の29aは、昇降バー29のカートンKに対する当接部の位置を示している。
【0024】
カートン位置検出手段5のイメージセンサー35(図6の撮像エリア35a)及び照明器36の位置は、取り扱うカートンKのサイズや形状に応じてX−Y二次元位置調整機構34により搬送方向とこれに直交する横断方向の二方向に関して予め調整されており、そして前以って行われる学習作業により、搬送方向と平行な基準線LにカートンKの一側辺が合致すると共に第二ステーションP2における基準位置(搬送経路横断方向の基準線)にカートンKの搬送方向側の側辺が合致する正規位置にカートンKが位置決めされているときのイメージセンサー35が撮像するカートンKの特定部位の画像データが学習位置(姿勢)情報として記録されている。而して、第二ステーションP2においてカートン位置検出手段5が作動し、そのイメージセンサー35が撮像した画像データは、図1に示すように現在位置(姿勢)情報としてコンピューターなどから成る制御手段59に入力され、この制御手段59において、前記学習位置(姿勢)情報と現在位置(姿勢)情報とが比較演算処理され、正規位置のカートンに対して現在のカートンKの位置(姿勢)が搬送経路1上で何れの方向にどれだけずれているかが判定される。例えば、搬送方向の下手側への位置ずれ量を+x、上手側への位置ずれ量を−x、搬送方向に向かって右方向への位置ずれ量を+y、搬送方向に向かって左方向への位置ずれ量を−y、垂直軸心に対する右回りの回転角を+θ、垂直軸心に対する左回りの回転角を−θとし、それぞれの量をピクセル数又はmm単位で表した現在のカートンKの位置(姿勢)ずれ量が判定される。そしてこの判定結果である位置(姿勢)の誤差情報の各方向に関するずれ量の+−符号を逆にした数値に相当する現在のカートンKに対する位置(姿勢)ずれ矯正量が次段のレーザーマーカー6に対する印刷位置調整情報として出力される。
【0025】
レーザーマーカー6は、前以って、X−Y二次元位置調整テーブル37によりレーザーヘッド部6Aの位置(図6の印刷エリア6aの位置)が、取り扱うカートンKのサイズや形状及び印刷部位に応じて、搬送方向とこれに直交する横断方向の二方向に関して予め調整されている。而して、第二ステーションP2から第三ステーションP3に送り込まれて停止したカートンKは、平ベルト47a上に吸着固定されたまま搬送されているので、第二ステーションP2で検出された正規位置に対する位置(姿勢)の誤差と同一だけ第三ステーションP3での正規位置に対して位置(姿勢)がずれていることになるので、制御手段59での処理によって求められた印刷位置調整情報に基づいて調整された印刷位置にレーザーマーカー6によりカートンKの特定部位に所定の文字KaとバーコードKbとを印刷すれば、印刷された文字KaとバーコードKbは、そのとき第三ステーションP3に送り込まれたカートンKに対する正規位置に印刷されたことになる。尚、レーザーマーカー6は、その印刷処理に先立って、当該レーザーマーカー6が備える押さえ板38がカートンK上に降下して印刷部位の周囲を押さえる。
【0026】
所定位置に文字KaとバーコードKbとが印刷されたカートンKは、次段の第四ステーションP4において印刷文字検査手段7により設定通りに文字Kaが印刷されているかの検査を受け、更に次段の第五ステーションP5において印刷バーコード検査手段8により設定通りにバーコードKbが印刷されているかの検査を受けた後、最終段の処理済みカートン排出ステーションP6に送り出され、これより搬送経路1外へと送出される。而して、第四ステーションP4の印刷文字検査手段7や第五ステーションP5の印刷バーコード検査手段8は、取り扱うカートンKのサイズや形状及び印刷部位に応じて、X−Y二次元位置調整テーブル37により搬送方向とこれに直交する横断方向の二方向に関して予め位置調整されるレーザーマーカー6と一体に位置調整されているので、これら印刷文字検査手段7(イメージセンサー40の撮像エリア40a)や印刷バーコード検査手段8(バーコード読み取りセンサー42の読み取りエリア42a)を個別に位置調整する手段や作業は必要ない。
【0027】
尚、上記実施形態における印刷文字検査手段7や印刷バーコード検査手段8は、必要に応じて設ければ良く、必須のものではない。又、レーザーマーカー6に代えて、ラベル貼付手段を使用することにより、本発明の搬送処理装置をカートンKに対するラベル貼付にも活用できる。この場合、ラベル貼付手段を支持するX−Y二次元位置調整テーブル37を電動で自動制御できるように構成し、制御手段59においてカートン位置検出手段5からの現在位置(姿勢)情報と学習位置(姿勢)情報との比較演算処理により求めたラベル貼付位置調整情報に基づいてX−Y二次元位置調整テーブル37を自動制御し、ラベル貼付手段によるラベル貼付位置を自動調整できるように構成すれば良い。又、搬送経路1の方向に複数台のラベル貼付手段を並設し、1つのカートンKの複数箇所にラベルを順次貼付するように構成することもでき、この場合にも、第二ステーションP2のカートン位置検出手段5で得られた現在位置(姿勢)情報と学習位置(姿勢)情報との比較演算処理により求めたラベル貼付位置調整情報に基づいて各ラベル貼付手段を位置調整することにより、各カートンKに対し設定された複数位置に正確にラベルを貼付することができる。
【0028】
以上の説明では、ワークとして、偏平状に折り畳まれた紙製函、即ち、カートンKを例示したが、ワークはこれに限らず、任意のものを対象とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】装置全体を示す側面図と制御系を説明するブロック線図である。
【図2】装置全体を示す一部切り欠き平面図である。
【図3】装置の縦断正面図である。
【図4】搬送経路の詳細を示す一部切り欠き平面図である。
【図5】搬送経路の詳細を示す縦断側面図である。
【図6】搬送経路上でのカートンに対する処理の流れを説明する平面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 搬送経路
2 カートンマガジン
3 カートン供給手段
4 カートン厚み検出手段
5 カートン位置検出手段
6 レーザーマーカー
7 印刷文字検査手段
8 印刷バーコード検査手段
18 位置固定吸着盤
19 可動吸着盤
34 X−Y二次元位置調整機構
35,40 イメージセンサー
36,41,43 照明器
37 X−Y二次元位置調整テーブル
42 バーコード読み取りセンサー
47 ベルトコンベヤ
47a 無端状平ベルト
48a〜48d ガイドローラー
49 モーター
50 駆動ローラー
51 テークアップ用ローラー
52 通気小孔
53 吸気用チャンバー
54 ベルト支持板
56a〜56c 区画室
57a〜57c ブロワー
58 吸気用スリット
59 制御手段
K カートン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送経路上に移載するワーク供給手段、移載されたワークを搬送経路に沿って搬送するコンベヤ、及び搬送経路上の所定位置に達したワークに対して所定の処理を行うワーク処理手段を備えた搬送処理装置において、前記コンベヤが、表裏間で貫通する通気小孔を備えたコンベヤ用平ベルトと、搬送経路上にある前記平ベルトの裏面側に配設された吸気用チャンバーを備え、搬送経路上のワークを前記平ベルトの表面に吸着状態で搬送するように構成された、搬送処理装置。
【請求項2】
ワーク供給手段によるワーク移載位置とワーク処理手段との間に、平ベルトの表面に吸着状態にあるワークの位置を検出するワーク位置検出手段が配設され、このワーク位置検出手段により検出された現在位置と設定位置との位置ずれ量に応じてワーク処理手段のワークに対する処理位置を調整する制御手段が併設された、請求項1に記載の搬送処理装置。
【請求項3】
ワーク供給手段により搬送経路上に移載されるワークは、前記コンベヤの間欠運転により一定間隔おきに搬送されるシート状ワークであり、前記位置検出手段は、停止中のワークの特定部位を撮像するイメージセンサーから成る、請求項2に記載の搬送処理装置。
【請求項4】
前記ワーク処理手段は、停止中のシート状ワークの特定箇所に印刷するレーザーマーカーであって、このレーザーマーカーによる印刷位置が前記制御手段を介して前記位置ずれ量を矯正する方向に自動調整される、請求項3に記載の搬送処理装置。
【請求項5】
前記ワーク処理手段は、停止中のシート状ワークの特定箇所にラベルを貼付するラベル貼付手段であって、このラベル貼付手段によるラベル貼付位置が前記制御手段を介して前記位置ずれ量を矯正する方向に自動調整される、請求項3に記載の搬送処理装置。
【請求項6】
前記平ベルトの通気小孔は、当該平ベルトの幅方向一定間隔おきに位置する搬送方向と平行な仮想線上に搬送方向に一定間隔おきに配列され、前記吸気用チャンバーは、平ベルトを摺動自在に支持するベルト支持板の下側に形成され、当該ベルト支持板には、前記通気小孔の搬送方向の各列に対応して搬送方向に長い吸気用スリットが設けられている、請求項1〜5の何れか1項に記載の搬送処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−35341(P2009−35341A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198524(P2007−198524)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000130916)株式会社サンテック (4)
【Fターム(参考)】