説明

搬送物品の位置決め装置

【課題】 本発明の目的は、搬送方向の寸法が異なる物品が多種類であっても、物品毎に高い精度で位置決めを行うことができるほか、物品の種類に関わらず共通の可動ストッパにより物品の位置決めを行うことができる搬送物品の位置決め装置の提供にある。
【解決手段】 物品を一方から他方へ向けて搬送する搬送機構と、前記物品の搬送方向の寸法を認識する寸法認識手段と、前記物品の搬送方向と同方向へ移動自在であって、かつ前記物品を停止させる可動ストッパ25と、前記可動ストッパ25を移動させるストッパ移動手段20を備え、前記可動ストッパ25の停止位置は前記寸法認識手段の認識結果に対応して設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品の搬送方向の寸法が異なる場合に、物品毎に定められた停止位置に物品を停止させる搬送物品の位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、物品を搬送するコンベア等において物品を所定の位置に停止させる場合、搬送物品の位置決め装置(以下、単に「位置決め装置」と表記する)が設けられることが多い。
例えば、コンベア上の物品を検知するセンサ等の物品検知手段を設け、コンベアがこの物品検知手段の信号を受けて停止することにより、物品を所定位置に停止させる位置決め装置が存在する。
この種の位置決め装置では、搬送方向の寸法が異なる物品が多種類であって、物品の種類毎に位置決めの位置が設定される場合、物品検知手段の数を物品の種類に応じて増やす必要がある。
また、物品検知手段の信号を受けてコンベアの駆動を停止させることにより止まることから、物品の位置決めの精度が低いという問題がある。
【0003】
そこで、従来では、多種類の物品の位置決めを正確に行うことができる別の位置決め装置として、例えば、図7に示す搬送物品の位置決め装置40が知られている。
この位置決め装置40は、階段状に並ぶ複数のワーク位置決め面42a〜42cを有しコンベア41の搬送面に突出する多段ストッパ42と、この多段ストッパ42の上昇レベルを変化させるストッパ昇降装置45を具備している。
この位置決め装置40によれば、搬送方向の寸法の大きい物品(図7に示すWa)の場合は、多段ストッパ42の上昇レベルを低くし、上部にある搬送方向下手側の位置決め面42aで物品を停止させることになる。
また、寸法の小さい物品の場合は、多段ストッパ42の上昇レベルを高くし、下部の搬送方向上手側の位置決め面42cで物品を停止させる。
これにより、種々の幅寸法の物品が同じ中心位置になるように停止位置決めすることになる。
【0004】
従って、この位置決め装置40は、階段状にワーク位置決め面42a〜42cを有する多段ストッパ42の昇降装置45とを設けたため、物品の寸法に応じて多段ストッパの上昇レベルを変化させることにより、寸法の種々異なるように停止位置決めすることができるという効果を奏するとしている。
つまり、この種の位置決め装置40は、物品の種類の数に応じた位置決め面42a〜42cを備えた多段ストッパ42が物品の搬送面に対して上昇し、上昇レベルの変化により物品毎の停止位置が設定される(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開平4−371418号公報(第1−3頁、図1−図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の位置決め装置は、少なくとも、物品の種類の数に応じた位置決め面を必要とする問題がある。
例えば、物品に対する位置決め面の数が多い多段ストッパを有する位置決め装置の場合、位置決め装置に多段ストッパを収容するスペースを必要とするほか、多段ストッパが大型化することによりストッパを作動させる作動手段が大型化する。
また、従来の位置決め装置は、取り扱う物品が変更されると、変更後の物品に対応させて各位置決め面の設定を変更する必要があるという問題がある。
例えば、複数の位置決め面がまとめて設けられる多段ストッパを用いた位置決め装置では、物品の変更に対しては多段ストッパを交換する必要がある。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、搬送方向の寸法が異なる物品が多種類であっても、物品毎に高い精度で位置決めを行うことができるほか、物品の種類数に関わらず共通の可動ストッパにより物品の位置決めを行うことができる搬送物品の位置決め装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、請求項1記載の発明は、物品を一方から他方へ向けて搬送する搬送機構と、前記物品の搬送方向の寸法を認識する寸法認識手段と、前記物品の搬送方向と同方向へ移動自在であって、かつ前記物品を停止させる可動ストッパと、前記可動ストッパを移動させるストッパ移動手段を備え、前記可動ストッパの停止位置は前記寸法認識手段の認識結果に対応して設定されることを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、搬送機構において搬送される物品は、寸法認識手段により物品の搬送方向の寸法が認識が特定され、ストッパ移動手段により移動される可動ストッパの停止位置は、物品の搬送方向の寸法の認識により設定される。
可動ストッパは物品に応じた停止位置へ移動され、停止された可動ストッパにより物品の搬送が停止されて物品は位置決めされる。
物品毎に可動ストッパの移動距離が設定されるから、例えば、物品の種類を問わず物品の中心が常に所定の位置に臨むように物品の位置決めを行うことが可能となる。
つまり、搬送機構において、搬送方向の寸法が異なる多種類の物品が搬送される場合であっても、物品毎に高い精度で位置決めを行うことができるほか、物品の種類数に関わらず共通の可動ストッパにより物品の位置決めを行うことができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の搬送物品の位置決め装置において、前記寸法認識手段は寸法認識具を含み、寸法認識具は前記物品の寸法測定、前記物品の種類の識別、前記物品に関する情報読取のいずれかにより物品の搬送方向の寸法を認識することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、物品における搬送方向の寸法は、寸法認識具による物品の寸法測定、物品の種類の識別、物品に関する情報読取のいずれかにより認識される。
そして、寸法認識具による認識により物品の位置決めために必要な可動ストッパの停止位置が設定される。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の搬送物品の位置決め装置において、前記寸法認識具は、前記可動ストッパと連動して該可動ストッパの移動方向と反対方向へ移動され、前記可動ストッパの停止位置は、移動する前記寸法認識具による認識結果に対応して設定されることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、物品を位置決めする際に、可動ストッパの移動とともに、寸法認識具が可動ストッパと連動して可動ストッパの移動方向と反対方向へ移動する。
そして、移動する物品認識具が物品の搬送方向の寸法を認識すると、可動ストッパの移動が停止され、併せて連動する物品認識具の移動も停止される。
従って、物品の位置決めする際に、寸法認識具がその都度物品の搬送方向の寸法を認識することから、予め物品の寸法を認識してから物品を位置決めする場合と較べて、物品の寸法と可動ストッパの移動距離との対応関係は確実である。
つまり、予め認識した物品の寸法と、設定される可動ストッパ移動距離が対応しない可能性は排除される。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項記載の搬送物品の位置決め装置において、搬送中の前記物品を検知する物品検知手段が備えられ、該物品検知手段が前記可動ストッパと連動して該可動ストッパと同方向へ移動されることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、物品の位置決めの際に、物品検知手段が可動ストッパと連動して同方向へ移動されるから、物品の種類に関わらず位置決めのタイミングと合わせて搬送機構による物品の搬送を停止させることが容易となる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項記載の搬送物品の位置決め装置において、前記物品に対する位置決め基準点が前記搬送機構に設定され、前記可動ストッパの移動距離は、前記位置決め基準点と可動ストッパとの距離が前記物品の長さの1/2となるように設定されることを特徴する。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、搬送機構に位置決め基準点が設定され、位置決め基準点と可動ストッパとの距離が前記物品の長さの1/2となるから、物品の種類に関わらず位置決めされた物品の中心は常に位置決め基準点に位置する。
つまり、物品の種類に関わらず位置決め基準点に物品の搬送方向の中心を臨ませることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、搬送方向の寸法が異なる物品が多種類であっても、物品毎に高い精度で位置決めを行うことができるほか、物品の種類に関わらず共通の可動ストッパにより物品の位置決めを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る搬送物品の位置決め装置(以下、単に「位置決め装置」と表記する)について図1〜図4に基づき説明する。
図1に示す本実施形態の位置決め装置10は、物品を一方から他方へ向けて搬送する搬送機構と、搬送中の物品を検知する物品検知手段と、物品の搬送方向の寸法を認識する寸法認識手段と、物品の搬送方向と同方向へ移動自在の可動ストッパ25と、可動ストッパ25を移動させるストッパ移動手段20とを備えている。
【0019】
(搬送機構について)
まず、搬送機構について説明する。
この実施形態の搬送機構は、物品としてのパレットPを一方(上流側)から他方(下流側)へ向けて搬送することができるベルト式のコンベア11である。
具体的には、自動倉庫における入庫用のコンベア11であり、ここでは、搬送方向の長さが異なる3種類のパレットPを取り扱う。
パレットP1(適宜、「小パレットP1」と表記する)は最も寸法の小さく、パレットP3(適宜、「大パレットP3」と表記する)は最も大きな寸法を有し、パレットP2(適宜、「中パレットP2」と表記する)は中間の寸法を有する。
なお、この明細書では、説明の便宜上、コンベア11の下流側を前、上流側を後として位置の特定のために前後の概念を用いる場合がある。
【0020】
図1に示すように、コンベア11におけるコンベアフレーム12には、パレットPの搬送面を形成する無端ベルト13がベルトローラ14、15に掛装されている。
コンベアフレーム12のベルトローラ15側にはコンベア用モータ16が備えられ、コンベア用モータ16の駆動によりベルトローラ15を回転させるようにしている。
そして、コンベアフレーム12は複数の支柱17により支持されている。
コンベア11の下流側には、パレットPの位置決めの基準となる位置決め基準点T(図1において鎖線で示す)が設定されている。
位置決め基準点Tは搬送方向におけるパレットPの中心Mと一致する点となっている。
因みに、自動倉庫が備えるスタッカクレーンは入庫用のコンベア11に対して停止する位置が定まっており、スタッカクレーン備えるフォークが寸法の異なるパレットP1〜P3を入庫用のコンベア11から掬う場合には、パレットPの中心MがパレットPの種類を問わず、基準点Tに一致する方が都合が良い。
【0021】
(寸法認識手段について)
次に、寸法認識手段について説明する。
寸法認識手段はパレットPの搬送方向の寸法を認識するための手段であり、寸法認識手段はパレットPの種類を識別することによりパレットPの搬送方向の寸法を認識する寸法認識具を含む。
この実施形態では、コンベア11の上流側に備えられたリミットスイッチ19が物品認識具に相当する。
従って、リミットスイッチ19はパレットPの種類を識別することにより、搬送されるパレットPの搬送方向の寸法を認識する。
因みに、パレットPの種類とパレットPの寸法との関係を一義的な関係にしておけば、パレットPの種類の識別が即、パレットPの搬送方向の寸法の認識を意味することになる。
パレットPの種類の認識結果を示すリミットスイッチ19からの信号は、次に説明するストッパ移動手段20の制御に用いられる。
【0022】
(ストッパ移動手段について)
次に、ストッパ移動手段20について説明する。
ストッパ移動手段20は可動ストッパ25をパレットPの搬送方向と一致する方向へ移動させるための手段である。
この実施形態のストッパ移動手段20は、主に、ボールねじ21と、往復移動体22と、ボールねじ21の駆動源である移動体用モータ23から構成される。
ストッパ移動手段20について詳しく説明すると、コンベア11の下流端側付近における支柱間17には横架部材24が備えられており、横架部材24の上面には一対の軸受28が取り付けられている。
そして、ボールねじ21が両軸受28により回転自在に軸支されている。
さらに、ボールねじ21には、ボールねじ21の軸方向へ移動する往復移動体22が備えられている。
ボールねじ21の軸方向はコンベア11において搬送されるパレットPの搬送方向と一致している。
【0023】
この往復移動体22には、ボールねじ21が備える雄ねじ部に対応する雌ねじ部を有するねじ孔(図示せず)が形成されている。
このため、往復移動体22はボールねじ21の回転方向に応じてボールねじ21の軸線方向へ往復移動することができる。
なお、この実施形態では、ボールねじ21を回転させる移動体用モータ23が横架部材24の下面に設けられており、この移動体用モータ23はパルス信号を受けてフィードバック制御されるサーボモータである。
このため、移動体用モータ23は、往復移動体22を移動すべき位置に正確に移動させることができる。
【0024】
(可動ストッパについて)
往復移動体22は、搬送中のパレットPの前進を規制する可動ストッパ25と物品検知手段である対物センサ26を備えている。
可動ストッパ25は、往復移動体22の上部から上方へ向かうように設けられており、可動ストッパ25の上端は無端ベルト13の搬送面を越えている。
可動ストッパ25は往復移動体22の往復移動によりパレットPの搬送方向と一致する方向に往復移動されるストッパである。
そして、可動ストッパ25は上流側を臨む位置決め面25aを有しており、位置決め面25aは搬送中のパレットPとの当接によりパレットPの移動を規制する。
【0025】
可動ストッパ25の停止位置L1〜L3は各パレットP1〜P3の種類に応じて設定されている。
この実施形態では、3種類のパレットP1〜P3を取り扱うことから、例えば、大パレットP3と認識された場合には、可動ストッパ25は停止位置L3にて停止され、中パレットP2の場合には停止位置L2、小パレットP1の場合には停止位置L1に停止される。
この実施形態では、位置決め面25aと位置決め基準点Tとの距離がパレットPの搬送方向の長さの1/2に設定することで、可動ストッパ25により位置決めされたパレットPは、パレットPの種類に関わらず、パレットPの中心Mが位置決め基準点Tと一致することになる。
なお、可動ストッパ25は、無端ベルト13と干渉しない位置とし、少なくとも、パレットPの移動を規制することができる構成であればよく、形状や数について制限されない。
【0026】
(物品検知手段について)
次に、物品検知手段について説明する。
この実施形態の物品検知手段は、パレットPの有無を検知する対物センサ26である。
対物センサ26は可動ストッパ25と共に往復移動体22に備えられているが、可動ストッパ25のやや上流側を臨み、パレットPの側面に対向するに配置されている。
この実施形態の対物センサ26は光学式のセンサであって、コンベア11上においてパレットPがセンサと近接することによりパレットPの存在を検知することができる。
そして、対物センサ26はパレットPを検知した信号を発信する機能を有し、この実施形態では、この信号に基いてコンベア11の駆動が停止される。
従って、対物センサ26はコンベア11の停止にために必要なパレットPの存在を検知する手段である。
なお、この実施形態において、対物センサ26と可動ストッパ25が離れているが、これは、対物センサ26がパレットPを検知して、後にコンベア11を停止させようとしても、コンベア11の遊動等によりパレットPの搬送が直ちに完了しないことを想定しているためである。
【0027】
(制御手段について)
図2はこの実施形態の位置決め装置10における制御の概要を示すブロック図である。
制御手段27は往復移動体22の移動体用モータ23とコンベア用モータ16を制御する手段である。
制御手段27はコンベア用モータ16と、移動体用モータ23と、リミットスイッチ19と、対物センサ26と接続されている。
制御手段27はリミットスイッチ19の信号を受けて移動体用モータ23を駆動制御するが、例えば、リミットスイッチ19が大パレットP3を識別した場合には、可動ストッパ25が位置決め基準点Tから最も離れた停止位置L3へ移動されるように、移動体用モータ23を駆動する。
このように、この実施形態では、パレットP1〜P3の種類に対応して可動ストッパの停止位置L1〜L3が予め制御手段27において設定されている。
また、制御手段27は対物センサ26の信号を受けて駆動中のコンベア11を停止させるため、コンベア用モータ16を停止させる機能を有する。
【0028】
次に、この実施形態に係る位置決め装置10によるコンベア11上でのパレットPの位置決めについて説明する。
コンベア11の上流端付近にパレットPが載置されると、リミットスイッチ19によりパレットPの種類が識別される。
パレットPの種類の識別を示す信号は制御手段27へ伝達され、次いで、制御手段27はリミットスイッチ19の信号に基いて移動体用モータ23を駆動制御する。
移動体用モータ23の駆動によりボールねじ21が回転され、往復移動体22はボールねじ21の軸線方向へ移動する。
往復移動体22は、移動体用モータ23の駆動によりパレットP1〜P3の種類に応じた停止位置L1〜L3へ可動ストッパ25を移動させる。
【0029】
ここでは、搬送すべきパレットPがリミットスイッチ19により中パレットP2と識別された場合として以下説明する。
コンベア11上のパレットP2は、リミットスイッチ19による識別の後、図3に示すように、可動ストッパ25の移動停止までの間、コンベア11による下流側への搬送が継続される。
そして、対物センサ26がパレットP2を検知すると、対物センサ26から制御手段27へ信号が伝達され、制御手段27はコンベア11のコンベア用モータ16に対して停止の信号を出す。
コンベア用モータ16は制御手段27からの信号を受けて停止し、コンベア11の無端ベルト13は停止しようとするが、ベルトローラ14、15の空転によりパレットP2を少しだけ下流側へ前進させる。
これにより、既に停止位置L2にて停止されている可動ストッパ25の位置決め面25aにパレットP2の前端部が当接し、パレットP2は停止する。
そして、図4に示すように、停止されたパレットP2の中心は位置決め基準点Tと一致する。
ここでは、パレットP2と対向する図示しないスタッカクレーンが、スライドフォークを用いてパレットP2を掬い上げる。
【0030】
なお、大パレットP3の場合には、リミットスイッチ19により搬送されるパレットPが大パレットP3であると識別され、可動ストッパ25がさらにコンベア11の下流側の停止位置L3へ移動されて停止される。
そして、コンベア11が停止して大パレットP3が可動ストッパ25に当接することにより、大パレットP3の位置決めが完了する。
また、小パレットP1の場合には、位置決め基準点Tに最も近い位置L1に可動ストッパ25が移動されて停止され、小パレットP1も中パレットP2及び大パレットP3と同様に可動ストッパ25を介して位置決めが行われる。
【0031】
この実施形態に係る位置決め装置によれば以下の効果を奏する。
(1)パレットPの種類毎に可動ストッパ25の停止位置が設定されているから、パレットPの種類を問わずパレットPの中心Mが常に所定の位置に臨むようにパレットPの位置決めを行うことが可能となる。つまり、コンベア11において搬送方向の寸法が異なる多種類のパレットPが搬送される場合であっても、パレットP毎に高い精度で位置決めを行うことができるほか、パレットPの種類に関わらず共通の可動ストッパ25によりパレットPの位置決めを行うことができる。さらに言うと従来のように多数の位置決め面を必要とするストッパを必要としない。
(2)リミットスイッチ19により、パレットPにおける搬送方向の寸法が認識されるから、パレットPの位置決めために必要な可動ストッパ25の停止位置がパレットPの搬送方向の寸法に基いて正確に設定される。
【0032】
(3)パレットPの位置決めの際に、対物センサ26が可動ストッパ25と連動して同方向へ移動されるから、パレットPの種類に関わらずコンベア11によるパレットPの搬送をタイミング良く停止させることが容易となる。
(4)可動ストッパ25に対して位置決めするパレットPを当接させるから、位置決めされたパレットPの姿勢を適切な姿勢とすることができる。
(5)可動ストッパ25がパレットPの搬送方向と一致する方向へ移動する構成であるから、例えば、位置決め装置10における組み付け時の精度の誤差は、従来の位置決め装置40よりも少なくなり、組み付け作業も容易となる。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る位置決め装置30について図5及び図6に基いて説明する。
この実施形態は、可動ストッパ25と連動して可動ストッパ25の移動方向と反対方向へ移動する寸法認識具としての第2の対物センサ36を設けた例である。
従って、この実施形態では、説明の便宜上、先に説明した第1の実施形態で用いた符号を一部共通して用い、共通する構成についてはその説明を省略し、第1の実施形態の説明を援用する。
【0034】
図5に示すように、この実施形態に係る位置決め装置30は、コンベア11と、パレットPを検知する物品検知手段としての第1の対物センサ26と、寸法認識具としての第2の対物センサ36と、可動ストッパ25と、ストッパ移動手段20と、第2の対物センサ36を可動ストッパ25の移動方向と反対方向へ移動するセンサ移動手段32とを備えている。
【0035】
センサ移動手段32について説明すると、センサ移動手段32は、ベルトプーリ33、34と、センサ移動用のベルト35を含む。
図5に示すように、コンベア11の側部に一対のベルトプーリ33、34が備えられており、ベルトプーリ33、34にはセンサ移動用のベルト35が掛装されている。
ベルトプーリ34、35間において上側に位置するベルト35aには第2の対物センサ36が備えられている。
第2の対物センサ36はコンベア11上のパレットPの後端部を検知するためのセンサであり、検知により移動体用モータ23を停止させる信号を発するセンサである。
【0036】
一方、ベルトプーリ34、35間の下側に位置するベルト35bは、往復移動体22に固定されている。
従って、往復移動体22が移動することより第2の対物センサ36と可動ストッパ25は互いに隔離したり接近したりする。
つまり、第2の対物センサ36は、可動ストッパ25と連動して可動ストッパ25の移動方向と反対方向へ移動する対物センサである。
また、可動ストッパ25と第2の対物センサ36の距離を2分する位置に位置決め基準点Tが設定されている。
このため、位置決め基準点Tから可動ストッパ25までの距離と、位置決め基準点Tから第2の対物センサ36までの距離は互いに等しい。
この実施形態の移動体用モータ23は、第2の対物センサ36がパレットPの後端部を検知した時点で可動ストッパ25が停止されるように、制御されるモータである。
なお、第1の対物センサ26は物品の有無を検知するセンサであり、物品検知手段に相当するが、この実施形態ではパレットPを検知したときに、第2の対物センサ36と可動ストッパ25を移動させるための信号を発する。
【0037】
この実施形態の位置決め装置30によれば、図6(a)に示すとおり、コンベア11によるパレットPの搬送において、可動ストッパ25とパレットPの前端部が当接しても搬送が継続されて可動ストッパ25は移動するが、第2の対物センサ36は可動ストッパ25と連動して可動ストッパ25の移動方向と反対方向へ移動する。
可動ストッパ25の移動と連動して第2の対物センサ36が反対方向へ移動し、第2の対物センサ36がパレットPの後端部を検知すると、図6(b)に示すように、可動ストッパ25の移動が停止されるとともに、第2の対物センサ36の移動も併せて停止される。
第2の対物センサ36によりパレットPの後端部が検知することは、パレットPの寸法を認識することに相当すると言える。
従って、パレットPを位置決めする際に、その都度、第2の対物センサ36がパレットPの搬送方向の寸法を認識することから、予めパレットPの寸法を認識してからパレットPを位置決めする場合と較べて、パレットPの寸法と可動ストッパ25の移動距離との対応関係は確実である。
【0038】
第1の実施形態では、リミットスイッチ19により予めパレットPの種類を認識しておき、認識の情報に基いて可動ストッパ25を所定の位置に移動させるようにしたが、第2の実施形態の位置決め装置30では、予めパレットPの種類を認識することはない。
このため、制御手段27において可動ストッパ25の停止位置を予め設定する必要はない。
【0039】
なお、本発明は、上記した第1、第2の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
○ 上記の実施形態では、移動体用モータとボールねじを用いて往復移動体に設けられた可動ストッパを往復移動させるようにしたが、ストッパ移動手段は往復移動体を往復移動させることができる構成であればよく、例えば、クランク機構やラックピニオン機構を用いて往復移動体とを移動させるようにしてもよい。なお、ラックピニオン機構によれば往復移動体と第2の対物センサの移動を実現することもできる。
○ 上記の実施形態では、往復移動体の駆動源として駆動モータを用いたが、例えば、コンベア用モータをストッパ移動手段の一部として利用し、往復移動体を往復させてもよく、この場合、往復移動体を制動するブレーキ等の制動機構を設けることが好ましい。これにより駆動源の数を低減させることができる。
【0040】
○ 上記の実施形態では、パレットの搬送方向の中心が位置決め基準点に臨むように、可動ストッパを移動するとしたが、パレットの搬送方向の中心に対する位置決め基準点とする必要はなく、パレットの搬送方向における寸法の範囲内で任意に設定される位置を位置決め基準点に臨ませるようにしてもよい。例えば、パレットの種類に関わらずパレットの後端を位置決め基準点に臨ませるようにすることこも可能である。
○ 上記の実施形態では、搬送物品の位置決め装置として、自動倉庫における入庫用のコンベアに適用し、スタッカクレーンへのパレットの積み込みに適した位置決めを行うようにしたが、入庫用のコンベアに限らず、例えば、コンベアから別のコンベアへの物品を移送する場合に、本発明の位置決め装置を適用してもよい。
○ 上記の実施形態では、積荷を搭載するためのパレットを物品の一例として説明したが、物品はパレットに限定する趣旨ではなく、例えば、ダンボール、コンテナ等の積荷自体を物品としてもよい。物品の種類も3種類に限らず、少なくとも複数種の物品が存在すればよい。
【0041】
○ 上記の実施形態では、寸法認識手段に寸法認識具が含まれ、寸法認識具としてリミットスイッチ又は対物センサとしたが、例えば、寸法認識具として物品の寸法を直接測定する測長センサを用いてよい。あるいは、物品にコードを含むタグを貼付しておき、タグのコードを読み取るデータ読取器等を寸法認識具としてもよい。この場合、コードに物品の寸法に関する情報を含ませておけばよい。
○ 上記の実施形態では、往復移動体に可動ストッパと物品検知手段が設けられ、両者は往復移動体の移動により共に移動するとしたが、必ずしも物品検知手段と可動ストッパは共に移動させなくてもよく、例えば、別に設けたカメラ等により物品の移動を撮像し、撮像データの処理により物品の検知を図るようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施形態に係る位置決め装置の側面図である。
【図2】第1の実施形態の位置決め装置の制御の概要を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態の位置決め装置によるパレットの位置決めの説明図である。
【図4】第1の実施形態の位置決め装置によるパレットの位置決めの説明図である。
【図5】第2の実施形態に係る搬送物品の位置決め装置の側面図である。
【図6】第2の実施形態に係る位置決め装置によるパレットの位置決めの説明図である。
【図7】従来技術に係る位置決め装置の側面図である。
【符号の説明】
【0043】
10、30 位置決め装置
11 コンベア(搬送機構)
13 無端ベルト
16 コンベア用モータ
19 リミットスイッチ(寸法認識具)
20 ストッパ移動手段
22 往復移動体
23 移動体用モータ
25 可動ストッパ
25a 位置決め面
26 対物センサ(第1の対物センサ)
32 センサ移動手段
35 ベルト(センサ移動用)
36 第2の対物センサ(寸法認識具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を一方から他方へ向けて搬送する搬送機構と、
前記物品の搬送方向の寸法を認識する寸法認識手段と、
前記物品の搬送方向と同方向へ移動自在であって、かつ前記物品を停止させる可動ストッパと、
前記可動ストッパを移動させるストッパ移動手段を備え、
前記可動ストッパの停止位置は前記寸法認識手段の認識結果に対応して設定されることを特徴とする搬送物品の位置決め装置。
【請求項2】
前記寸法認識手段は寸法認識具を含み、寸法認識具は前記物品の寸法測定、前記物品の種類の識別、前記物品に関する情報読取のいずれかにより物品の搬送方向の寸法を認識することを特徴とする請求項1記載の搬送物品の位置決め装置。
【請求項3】
前記寸法認識具は、前記可動ストッパと連動して該可動ストッパの移動方向と反対方向へ移動され、前記可動ストッパの停止位置は、移動する前記寸法認識具による認識結果に対応して設定されることを特徴とする請求項1又は2記載の搬送物品の位置決め装置。
【請求項4】
搬送中の前記物品を検知する物品検知手段が備えられ、該物品検知手段が前記可動ストッパと連動して該可動ストッパと同方向へ移動されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の搬送物品の位置決め装置。
【請求項5】
前記物品に対する位置決め基準点が前記搬送機構に設定され、前記可動ストッパの移動距離は、前記位置決め基準点と可動ストッパとの距離が前記物品の長さの1/2となるように設定されることを特徴する請求項1〜4のいずれか一項記載の搬送物品の位置決め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−182518(P2006−182518A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378776(P2004−378776)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】