説明

搬送装置

【課題】部品を予め整列させなくても、搬送途中にサイクルタイムを悪化させることなく部品の姿勢を整えることが可能な搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置1は、回転するベース部材30と、ベース部材30に対して周方向に沿って自転自在に複数配設されて部品を保持する保持部42と、ベース部材30に配設されて保持部42を自転駆動する保持部自転駆動手段43と、保持部自転駆動手段43を制御する保持部自転制御装置92と、を備え、受入領域12において保持部42に保持された部品が、ベース部材30の回転に伴って受入領域12から搬出領域13に搬送されると共に、保持部42の自転に伴って姿勢が整えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部品等を搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品等の各種部品の搬送においては、直動式の搬送装置と共に回転式の搬送装置が用いられている。この内、回転式の搬送装置は、回転する略円盤状のターレットテーブル(ターンテーブル、インデックステーブル)等に部品を保持して搬送するものであり、部品の向きを変更する必要がある場合や、部品の加工組立または各種検査を搬送途中に行う場合に用いられている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−152222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に示されるような従来の搬送装置では、搬送する部品の姿勢を調整することが考慮されていなかった。このため、従来の搬送装置では、搬送先で部品を整列状態とするためには、搬送前から部品を予め整列状態としておかなければならないという問題があった。また、搬送途中に部品の姿勢を整えて整列させる場合には、搬送経路の途中に整列装置を設けると共に、整列装置のところで搬送装置を一時停止した上で部品の姿勢を調整する必要があった。従って、部品の製造工程または検査工程のサイクルタイムが長くなり、生産効率が悪化するという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、部品を予め整列させなくても、搬送途中にサイクルタイムを悪化させることなく部品の姿勢を整えることが可能な搬送装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明は、回転するベース部材と、前記ベース部材に対して周方向に沿って自転自在に複数配設されて部品を保持する保持部と、前記ベース部材に配設されて前記保持部を自転駆動する保持部自転駆動手段と、前記保持部自転駆動手段を制御する保持部自転制御装置と、を備え、受入領域において前記保持部に保持された前記部品が、前記ベース部材の回転に伴って前記受入領域から搬出領域に搬送されると共に、前記保持部の自転に伴って姿勢が整えられることを特徴とする、搬送装置である。
【0006】
(2)本発明はまた、前記保持部自転駆動手段は、駆動力を発生させるモータ、および前記モータの駆動力を前記保持部に伝達する伝達機構からなることを特徴とする、上記(1)に記載の搬送装置である。
【0007】
(3)本発明はまた、前記保持部自転駆動手段は、複数の前記保持部に対応して複数が配設されると共に、各保時部に隣接配置されることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の搬送装置である。
【0008】
(4)本発明はまた、前記保持部および前記保持部に隣接配置された前記保持部自転駆動手段は、モジュールとして前記ベース部材に対して一体的に着脱可能であることを特徴とする、上記(3)に記載の搬送装置である。
【0009】
(5)本発明はまた、前記保持部自転制御装置は、前記ベース部材に配設されることを特徴とする、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の搬送装置である。
【0010】
(6)本発明はまた、前記保持部は、前記部品を吸着する吸着ノズルを備え、前記吸着ノズルと低圧源を繋ぐ吸引通路が、前記ベース部材の内部に形成されることを特徴とする、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の搬送装置である。
【0011】
(7)本発明はまた、前記吸着ノズルと前記低圧源の連通・遮断を切り替える切替バルブが、前記ベース部材に形成された吸引通路の途中に配設され、前記切替バルブを制御するノズル切替制御装置が、前記ベース部材に配設されることを特徴とする、上記(6)に記載の搬送装置である。
【0012】
(8)本発明はまた、前記保持部は、自転軸方向に往復移動自在に前記ベース部材に配置され、前記保持部を前記自転軸方向に移動させる保持部軸方向駆動手段をさらに備えることを特徴とする、上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の搬送装置である。
【0013】
(9)本発明はまた、前記保持部軸方向駆動手段は、前記受入領域または前記搬出領域に対して前記保持部を近接離隔させるように配設され、前記保持部は、保持部軸方向駆動手段によって前記受入領域に近接した場合に前記部品を保持し、前記搬出領域に近接した場合に保持していた前記部品を解放することを特徴とする、上記(8)に記載の搬送装置である。
【0014】
(10)本発明はまた、前記保持部軸方向駆動手段は、前記受入領域または前記搬出領域から離隔する方向に前記保持部を常に付勢する内部付勢装置を備えることを特徴とする、上記(8)または(9)に記載の搬送装置である。
【0015】
(11)本発明はまた、前記保持部軸方向手段は、前記ベース部材の外部から前記保持部の一部に外力を加える外部付勢装置を備え、前記内部付勢装置の付勢力に勝る前記外力によって前記保持部を前記受入領域または前記搬出領域に近接させることを特徴とする、上記(8)乃至(10)のいずれかに記載の搬送装置である。
【0016】
(12)本発明はまた、前記受入領域と前記搬出領域の間の保持姿勢撮像領域において、前記保持部に保持された前記部品を撮像する保持姿勢撮像手段をさらに備え、前記自転制御装置は、前記保持姿勢撮像手段からの情報に基づいて前記保持部自転駆動手段を制御することを特徴とする、上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の搬送装置である。
【0017】
(13)本発明はまた、前記受入領域で待機中の前記部品を撮像する待機部品撮像手段をさらに備え、前記ベース部材に周方向に配設された複数の前記保持部の間には、前記待機部品撮像手段により前記受入領域にある前記部品を撮像するための干渉回避空間部が形成されることを特徴とする、上記(1)乃至(12)のいずれかに記載の搬送装置である。
【0018】
(14)本発明はまた、前記ベース部材を回転自在に保持した状態で動作可能に構成されるアームをさらに備え、前記ベース部材は、前記アームの動作により、前記保持部が前記受入領域および前記搬出領域に対向状態となる運転位置と、前記保持部が前記受入領域および前記搬出領域に非対向状態となる退避位置との間を移動自在であることを特徴とする、上記(1)乃至(13)のいずれかに記載の搬送装置である。
【0019】
(15)本発明はまた、前記受入領域には、複数の前記部品がバルク状態又は仮整列状態で載置される受入トレイが配設され、前記搬出領域には、複数の前記部品が整列状態で載置される整列トレイが配設され、前記受入トレイから取り出した前記部品を、姿勢を整えた上で前記整列トレイまで搬送し、前記整列トレイ上に整列状態で載置することを特徴とする、上記(1)乃至(14)のいずれかに記載の搬送装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、部品を予め整列させなくても、搬送途中にサイクルタイムを悪化させることなく部品の姿勢を整えることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の例について詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態に係る搬送装置1の正面図であり、図2は搬送装置1の左側面図であり、図3は搬送装置1の平面図である。なお、以下の説明における各方向は、原則として搬送装置1を正面から見た場合を基準としている。
【0023】
この搬送装置1は、部品供給装置2にバルク状態で載置された部品を取り出して整列トレイ3まで搬送し、部品を整列トレイ3上に整列状態で載置するものである。図1〜3に示されるように、搬送装置1は、基台10と、基台10に揺動自在に配設されたアーム20と、アーム20に回転自在に配設されたベース部材30と、ベース部材の外周面に周方向に沿って配設された4つの部品保持モジュール40と、アーム20に配設された2つの外部付勢装置50と、ベース部材30を回転させるベース部材回転駆動手段60と、基台10上面の中央手前側に配設された保持姿勢撮像手段70と、アーム20を揺動させる揺動手段80と、搬送装置1全体を制御する中央制御装置90を有して構成されている。
【0024】
基台10は、略直方体状の部材である。基台10の内部には、中央制御装置90や、特に図示しない電源装置等が配設されている。基台10上面の奥側端部には柱部材11が配設されており、この柱部材11の上端にはアーム20を動作可能(揺動自在)に支持するアームブラケット11aが配設されている。本実施形態では、基台10上面の左側部分を搬送する部品を受け入れる受入領域12、基台10上面の右側を部品の搬送先である搬出領域13と設定している。また、保持姿勢撮像手段70が配設された基台10上面の中央手前側部分を保持姿勢撮像領域14としている。受入領域12には部品供給装置2が配設されており、搬出領域13には整列トレイ3が配設されている。部品供給装置2および整列トレイ3については後述する。
【0025】
アーム20は、アームブラケット11aからベース10の上方を手前に向けて伸びる腕状の部材である。アーム20にはベース部材30が回転自在に保持されると共に、ベース部材回転駆動手段60および外部付勢装置50が配設されている。
【0026】
ベース部材30は、略円盤状の部材であり、外周面に4つの部品保持モジュール40が等間隔で配設されている。図1〜3では、部品を搬送可能な位置である運転位置にベース部材30がある状態を示している。ベース部材30は、運転位置において回転の中心軸が上下方向となるようにアーム20に保持されている。そして、ベース部材30は、運転位置において回転した場合に全ての部品保持モジュール40が受入領域12、搬出領域13および保持姿勢撮像領域14の上方を通過するように構成されている。また、運転位置においていずれかの部品保持モジュール40が受入領域12に対向する位置にある場合に、他の部品保持手段32が搬出ステージ12に対向する位置にあるように構成されている。
【0027】
図4(a)はベース部材30および部品保持モジュール40の平面図であり、同図(b)はベース部材30および部品保持モジュール40の断面図である。同図(a)に示されるように、部品保持モジュール40は、略円筒状のベース部材30の外周面に90度間隔で外側に向けて突設されている。本実施形態では、このように各部品保持モジュール40の間の部材を排除して(または切り欠いて)干渉回避空間部31を生じるようにしている。干渉回避空間部31の機能については、後述する。また、部品保持モジュール40は、特に図示しないボルト等によって容易に着脱可能にベース部材30に配設されている。
【0028】
ベース部材30の上面の中心には、中空軸32が突設されている。この中空軸32はベース部材30の回転の中心となると共に、アーム20に回転自在に保持される部分となっている。また、中空軸32は、大径の外側パイプ32aと小径の内側パイプ32bが同軸的に配設された二重構造となっている。中空軸32の外側パイプ32aと内側パイプ32bの間隙は、低圧源となる真空ポンプ(図示省略)と部品保持モジュール40を繋ぐ通路の一部となっている。中空軸32の上端部には、スイベルジョイント33を介して真空ポンプに繋がるエア配管34が接続されている。
【0029】
ベース部材30の内部には、外側パイプ32aと内側パイプ32bの間隙と同軸的に接続された中央気室35が中心部に形成されており、さらに、この中央気室35から各部品保持モジュール40に個別に接続された4つの吸引通路36が放射状に形成されている。各吸引通路36の途中には、部品保持モジュール40と真空ポンプの連通・遮断を切り替える切替バルブ37がそれぞれ配設されている。従って、本実施形態では、各部品保持モジュール40と真空ポンプの連通・遮断を個別に切り替えることが可能となっている。本実施形態における切替バルブ37は、ソレノイドによって弁体を移動させる電磁弁から構成されている。なお、切替バルブ37は、電気的に駆動されるものであればその他の構成のものであってもよい。
【0030】
ベース部材30の内部にはさらに、切替バルブ37を制御して後述する吸着ノズル42aによる部品の吸着・解放を制御する吸着ノズル切替制御装置91、および、後述する保持部自転駆動手段43を制御する保持部自転制御装置92が配設されている。吸着ノズル切替制御装置91および保持部自転制御装置92は、CPU、ROMおよびRAM等を備えた制御装置である。吸着ノズル切替制御装置91および保持部自転制御装置92は、特に図示しない配線によって、切替バルブ37および保持部自転駆動手段43とそれぞれ電気的に接続されると共に、中央制御装置90に電気的に接続されている。中央制御装置90と吸着ノズル切替制御装置91および保持部自転制御装置92を繋ぐ配線は、中空軸32先端部に配設されたスリップリング38を介して接続されている。スリップリング38と吸着ノズル切替制御装置91および保持部自転制御装置92の間の配線は、中空軸32の内側パイプ32b内部を通されている。
【0031】
図5(a)および(b)は、部品保持モジュール40の断面構造および外部付勢装置50を示した図である。これらの図に示されるように、部品保持モジュール40は、筺体41と、筺体41に自転自在に配設された保持部42と、保持部42を自転駆動する保持部自転駆動手段43を有して構成されている。
【0032】
筺体41は、保持部42および保持部自転駆動手段43を内部に保持すると共に、ベース部材30にボルト等によって着脱可能に固定された部材である。
【0033】
保持部42は、図の下方に向けられた先端に吸着ノズル42aが配設された細長い円筒状の部材である。保持部42は、中心軸周りに回転(自転)自在であると共に、中心軸(自転軸)方向に沿って往復移動自在に筺体41に保持されている。保持部42の内部は吸着ノズル42aに繋がる吸引通路42bとなっている。保持部42の吸引通路42aは、特に図示しない通路およびコネクタを介してベース部材30に配設された切替バルブ37に接続される。
【0034】
吸着ノズル42aは、運転位置においては基台10上面に対向するように設けられている。切替バルブ37は、真空ポンプと吸着ノズル42aの連通・遮断を切り替えると共に、遮断時には、吸着ノズル42aを大気開放状態とするように構成されている。すなわち、保持部42は、切替バルブ37によって真空ポンプと吸着ノズル42aが連通された場合に、吸着ノズル42aによって部品を吸引して吸着(保持)し、切替バルブ37によって真空ポンプと吸着ノズル42aが遮断された場合に、吸着ノズルに保持していた部品を解放するように構成されている。
【0035】
保持部自転駆動手段43は、筺体41に固定されたモータ43aと、モータ43aの回転駆動力を保持部42に伝達する伝達機構43bから構成されている。本実施形態では、モータ43aはステッピングモータから構成されている。モータ43aは、特に図示しない配線およびコネクタを介して、保持部自転制御装置92と電気的に接続される。伝達機構43bは、モータ43aの出力軸に固定された駆動歯車43b1、および保持部42に同軸的に固定された従動歯車43b2からなり、モータ43aの回転数を所定の減速比で減速するように構成されている。なお、伝達機構43bを3つ以上の歯車列から構成するようにしてもよいし、ベルト伝達機構やチェーン伝達機構等により構成するようにしてもよい。
【0036】
保持部42は、この保持部自転駆動手段43に駆動されて自転する。本実施形態では、このように保持部42を自転させることによって、吸着ノズル42aに吸着保持した部品の姿勢を整えるようになっている。
【0037】
保持部42の基端部(図の上端部)には、ブラケット44が接続されている。ブラケット44は、保持部42の上端部から図の右側(ベース部材30の中心側)に向けて配設されている。ブラケット44は保持部42に対して、保持部42の中心軸周りに回転自在であるが保持部42の中心軸方向には移動不可能に接続されている。すなわち、保持部42が自転した場合には、ブラケット44は回転しないが、保持部42が中心軸(自転軸)方向に往復移動した場合には、ブラケット44は保持部と共に往復移動するようになっている。
【0038】
ブラケット44は、内部付勢装置45によって筺体41から常に上方(アーム20側)に向けて付勢されており、通常は図の右側端部を、筺体41の図の右側内側面上部に設けられたストッパ46に当接させた状態で静止している。これにより、保持部42は、通常は図5(a)に示されるように、ブラケット44と共にアーム20側に引き寄せられた状態となる。すなわち、運転位置においては、保持部42は通常、基台10上面から離隔した状態となる。ブラケット44の図の右側端部上面には、受圧部材44aが上方(アーム20側)に向けて突設されている。この受圧部材44aは筺体41の外部に露出しており、外部付勢装置50は、この受圧部材44aに外力を加えて押圧するように構成されている。
【0039】
外部付勢装置50は、先端を受圧部材44aに向けてアーム20に配設された細長い円筒状のガイド部材51と、ガイド部材51の内部に挿通された細長い棒状の押圧部材52と、アーム20の上面に配設されたモータ53と、モータ53の出力軸に固定されたカム54を有して構成されている。押圧部材52は、先端を受圧部材44aに向けると共に、基端をカム54に接続されている。そして、モータ53に駆動されたカム54の回転に伴って図の上下(受圧部材44aに近接離隔する方向)に往復移動するように構成されている。カム54のカムプロファイルは、搬送装置1の搬送速度等に応じて適宜に設定すればよい。
【0040】
押圧部材52は、受圧部材44aに近接する方向への移動によって、自身の先端が受圧部材44aに当接すると共に、内部付勢装置45の付勢力に勝る外力を受圧部材44aに加える。そして、図5(b)に示されるように、ブラケット44と共に保持部42を、保持部42の自転軸に沿ってアーム20から離隔する方向に移動させる。その後、カム54の回転に伴って押圧部材52が受圧部材44aから離隔する方向へ移動すると、ブラケット44および保持部42は、内部付勢装置45の付勢力により、保持部42の自転軸に沿ってアーム20に近接する方向に移動することとなる。
【0041】
図1〜3に戻って、本実施形態では、運転位置において受入領域12および搬出領域13に対向する位置にある部品保持モジュール40の受圧部材44aを押圧する位置に、外部付勢装置50がそれぞれ配設されている。従って、外部付勢装置50は、運転位置において受入領域12または搬出領域13に近接する方向に保持部42を移動させるように配設されている。また、内部付勢装置45は、運転位置において受入領域12または搬出領域13から離隔する方向に常に保持部42を付勢し、外部付勢装置50による受圧部材44aへの外力が加わらなくなった場合には、受入領域12または搬出領域13から離隔する方向に保持部42を移動させるように構成されている。すなわち、本発明における保持部自転軸方向駆動手段は、内部付勢装置45および外部付勢装置50から構成されている。
【0042】
ベース部材回転駆動手段60は、アーム20の図の下面に固定され、アーム20とターレットテーブル30の間に位置している。本実施形態では、ベース部材回転駆動手段60は、アーム20に固定されるステータ、およびステータの外周を回転する筒状のロータから構成されるDDモータである。ステータの中心部には軸方向に貫通孔が形成されている。ベース部材30は、この貫通孔内に中空軸32を挿通した状態でロータに固定されている。
【0043】
保持姿勢撮像手段70は、本実施形態ではCCDカメラから構成されている。保持姿勢撮像手段70は、保持姿勢撮像領域14において上方から来る光を検知可能なように配設されている。具体的には、保持姿勢撮像手段70は、運転位置において保持姿勢撮像領域14に対向する位置にある部品保持モジュール40の吸着ノズル42aに保持された部品を下方から撮像する位置に配設されている。保持姿勢撮像手段70は中央制御装置90と電気的に接続されており、撮像して得られた画像情報は中央制御装置90に送信される。
【0044】
揺動手段80は、モータ82と、モータ82の出力軸に接続されるねじ軸84と、アーム20に配設されるナット86とから構成されている。モータ82は、例えばステッピングモータであり、出力軸を上にして柱部材11の左側面にモータブラケット82aを介して揺動可能に配設されている。ねじ軸84は、外周面におねじが形成された棒状の部材であり、モータ82の出力軸に同軸的に接続されている。ナット86は、ねじ軸84のおねじと螺合するめねじを備えており、ナットブラケット88を介してアーム20の後端上方に回動可能に配設されている。ナット86はねじ軸84と螺合しており、ねじ軸84がモータ82に駆動されて回転することにより、ねじ軸84に沿って直線移動する。ナット86は、アーム20の揺動中心よりも左側に位置している。従って、ナット86を下方に移動させることでベース部材30を上昇させ、ナット86を上方に移動させることでベース部材30を下降させることができる。
【0045】
図6は、ベース部材30を退避位置まで移動させた状態を示した左側面図である。揺動手段80は、部品保持モジュール40が受入領域12、搬出領域13および保持姿勢撮像領域14に対向状態となる運転位置(図2参照)と、部品保持モジュール40が受入領域12、搬出領域13および保持姿勢撮像領域14に非対向状態となる退避位置との間を、ベース部材30を移動可能に構成されている。具体的には、揺動手段80はアーム20を略90度回動させることで、ベース部材30を運転位置から退避位置に移動させる。アーム20の回動に伴ってナット86およびモータ82が回動または揺動するため、揺動手段80は、シンプルな構成でありながらも、アーム20をスムーズに回動させることができる。本実施形態では、退避位置に移動させることによって、ベース部材30を基台10から大きく引き離すと共に、ベース部材30の下面および部品保持モジュール40の吸着ノズル42aの先端を側方に向けて開放するようにしている。このようにすることで、吸着ノズル42aのメンテナンスや、基台10に配設された部品供給装置2、整列トレイ3および保持姿勢撮像手段70等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0046】
図1〜3に戻って、中央制御装置90は、CPU、ROMおよびRAM等を備えた制御装置であり、外部付勢装置50、ベース部材回転駆動手段60および保持姿勢撮像手段70等を直接制御すると共に、吸着ノズル切替制御装置91および保持部自転制御装置92に制御情報を送信して、4つの切替バルブ37および4つの保持部自転駆動手段43を個別に制御させる。
【0047】
部品供給装置2は、略四角形状の受入トレイ2aと、例えばX−Yテーブルから構成されるトレイ移動手段2bと、アーム20に配設された待機部品撮像手段2cから構成されている。受入トレイ2aは、トレイ移動手段2b上に配設されている。トレイ移動手段2bは、図示は省略するが、モータによって駆動される直動装置を互いに直角に組み合わせて構成されている。本実施形態におけるトレイ移動手段2bは、図3における上下方向および左右方向に受入トレイ2aを移動可能となっている。待機部品撮像手段2cは、運転位置において、受入トレイ2a上に載置された状態で受入領域12にある部品を上方から撮像する位置に配設されている。待機部品撮像手段2cは中央制御装置90と電気的に接続されている。
【0048】
部品供給装置2は、図3の左側に示す供給領域15において外部からバルク状態で受入トレイ2a上に載置された複数の部品を、トレイ移動手段2bによって受入トレイ2aを移動させることにより、受入領域12まで搬送する。すなわち、部品供給装置2は、部品を搬送する搬送装置としても機能するように構成されている。部品供給装置2は、複数の部品を受入領域12まで搬送した後、待機部品撮像手段2cによって受入領域12にある複数の部品を撮像し、その画像情報を中央制御装置90に送信する。中央制御装置90は、受信した画像情報を解析し、画像情報に含まれる複数の部品のうちの1つを適宜に選択する。そして、吸着ノズル42aが吸着可能な位置に選択した1つの部品を配置するようにトレイ移動手段2bを制御する。トレイ移動手段2bは、中央制御装置90の制御に基づいて、受入トレイ2aを移動させ、選択された部品が吸着ノズル42aによって適切に吸着可能となるように、その位置を整える。すなわち、部品供給装置2は、吸着ノズル42aに対する部品の位置を整える整列装置としても機能するように構成されている。
【0049】
待機部品撮像手段2cは、受入領域12の真上に配設されているため、受入領域12に対抗する位置に部品保持モジュール40がある場合には、部品保持モジュール40に邪魔されて受入トレイ2a上の部品を撮像することができない。従って、待機部品撮像手段2cは、ベース部材30の回転中、すなわち、受入領域12から部品を保持した部品保持モジュール40が保持姿勢撮像領域14まで移動し、次の部品保持モジュール40が受入領域12まで到着する間に撮像を行う。2つの部品保持モジュール40の間は、上述したように、大きく切り欠かれて部材が排除された干渉回避空間部31となっているため、待機部品撮像手段2cは、干渉回避空間部31を通して上方から受入トレイ2a上の部品を撮像することができる。
【0050】
このように、本実施形態では、部品保持モジュール40の間に干渉回避空間部31を形成することによって、待機部品撮像手段2cによる受入トレイ2a上に載置されて受入領域12にある部品を撮像することを可能としている。これにより、吸着ノズル42aに対する部品の位置を微調整することができるため、バルク状態で載置された部品であっても、適切に吸着ノズル42aに吸着させて、搬送することが可能となる。なお、干渉回避空間部31は、部材を全く排除した切り欠きに限定されるものではなく、例えばガラス等の光を透過することができる部材から構成されるものであってもよい。
【0051】
整列トレイ3は、マトリクス状に配置された複数の凹部3aが上面に形成されたトレイであり、例えばX−Yテーブルから構成された整列トレイ移動手段3b上に配設されている。整列トレイ移動手段3bは、図示は省略するが、モータによって駆動される直動装置を互いに直角に組み合わせて構成されている。本実施形態における整列トレイ移動手段3bは、図3における上下方向および左右方向に整列トレイ3を移動可能となっている。
【0052】
整列トレイ移動手段3bは、中央制御装置90に制御されて、搬出領域13にある部品保持モジュール40の吸着ノズル42aの真下に、複数の凹部3aのうちの1つが順番に位置するように整列トレイ3を移動させる。すなわち、搬出領域13において吸着ノズル42aから開放された部品が凹部3aに収容された後に、次に搬送される部品が収容される凹部3aを、次に搬出領域13に到着する吸着ノズル42aの真下となる位置に配置するという動作を繰り返し、全ての凹部3a内に部品を収容させる。全ての凹部3a内に部品が収容された整列トレイ3は、例えば次の検査工程等に運ばれる。
【0053】
次に、搬送装置1の作動について説明する。図7(a)〜(f)は、搬送装置1の作動を示した平面図である。
【0054】
まず、同図(a)に示されるように、部品供給装置2が、供給領域15において複数の部品を載置された受入トレイ2aを受入領域12まで移動させる。そして、同図(b)に示されるように、ベース部材30が図の反時計回りに略90度回転する。このとき、ベース部材30の回転中に待機部品撮像手段2cが受入トレイ2a上の部品を撮像し、この画像情報を基にトレイ移動手段2bがトレイ2bを移動させ、選択された受入トレイ2a上の1つの部品を受入領域12にある部品保持手段40の吸着ノズル42aの真下に配置する。待機部品撮像手段による撮像およびトレイ移動手段2bによる部品位置の調整は、次の部品保持モジュール40が受入領域12に対抗する位置に到着するまでに行われる。
【0055】
ベース部材30は、略90度回転した後に、同図(c)に示されるように、所定の時間静止する。ベース部材30が静止している間に、外部付勢装置50が、受入領域12にある部品保持手段40の保持部42を下降させ、吸着ノズル42aを選択された部品に近接させる。そして、切替バルブ37が吸着ノズル42aと真空ポンプを連通させることにより、吸着ノズル42aが選択された部品を吸着して保持する。その後、外部付勢装置50による受圧部44aの押圧が解除されると共に、内部付勢装置45による付勢力によって保持部42は、吸着ノズル42aに部品を保持した状態で上昇する。
【0056】
次に、ベース部材30は、再び略90度回転して、同図(d)に示されるように、再び所定の時間静止する。これにより、先ほどトレイ2b上から取り出された部品は、保持姿勢撮像領域14に対抗する位置に搬送される。ベース部材30が静止している間に、保持姿勢撮像手段70は、吸着ノズル42aに保持されている部品を撮像する。ベース部材30が回転している間には、先ほどと同様に、待機部品撮像手段2cは受入トレイ2a上の部品を撮像し、トレイ移動手段2bは次の部品を吸着ノズル42aの真下に配置する。そして、ベース部材30が静止している間には、先ほどと同様に、受入領域12に対抗する位置にある部品保持手段40の吸着ノズル42aが次の部品を吸着して保持する。
【0057】
次に、ベース部材30は、同図(e)に示されるように、再び略90度回転する。ベース部材30が回転している間に、保持部自転駆動手段43が、保持姿勢撮像手段70によって撮像された画像情報に基づいて保持部42を適切な角度だけ自転させ、吸着ノズル42aに保持された部品の姿勢を、整列トレイ3の凹部3a内に適切に収容されるように整える。この間にも待機部品撮像手段2cおよびトレイ移動手段2bは、上記動作を行う。
【0058】
次に、ベース部材30は、同図(f)に示されるように、再び所定の時間静止する。先ほど姿勢を整えられた部品は、搬出領域13に到着している。ベース部材30が静止している間に、外部付勢装置50が、搬出領域13にある部品保持手段40の保持部42を下降させ、吸着ノズル42aを整列トレイ3の凹部3aに近接させる。そして、切替バルブ37が吸着ノズル42aと真空ポンプを遮断して吸着ノズル42aを大気開放状態とする。これにより、吸着ノズル42aが保持していた部品は開放されて落下し、凹部3aに収容される。その後、外部付勢装置50による受圧部44aの押圧が解除されると共に、内部付勢装置45による付勢力によって保持部42は、吸着ノズル42aに部品を保持した状態で上昇する。保持姿勢撮像手段70は、この間に、上記同様に次の部品を撮像する。また、受入領域12にある部品保持モジュール40は、その次の部品を吸着ノズル42aに保持する。
【0059】
次に、ベース部材30は、再び略90度回転する。ベース部材30が回転している間に、整列トレイ移動手段3bは、次の凹部3aを吸着ノズル42aの真下に配置するように、整列トレイ3を移動させる。この間にも、待機部品撮像手段2c、トレイ移動手段2bおよび保持部自転駆動手段43は、上記動作を行う。
【0060】
搬送装置1は、上記動作を繰り返すことによって、受入トレイ2a上にバルク状態で載置された部品を1つずつ取り出して搬送し、整列トレイ3上に整列状態で載置する。搬送装置1では、受入トレイ2a上の部品の位置調整、および吸着ノズル42aに保持された部品の姿勢の調整をベース部材30の回転中に行うため、無駄な待ち時間が発生しないようになっている。このため、搬送装置1は、バルク状態の複数の部品の中から1つの部品を適切に取り出し、且つ姿勢を整えた上で整列トレイ3まで搬送して整列状態とする動作を高速に実行することができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る搬送装置1は、回転するベース部材30と、ベース部材30に対して周方向に沿って自転自在に複数配設されて部品を保持する保持部42と、ベース部材30に配設されて保持部42を自転駆動する保持部自転駆動手段43と、保持部自転駆動手段43を制御する保持部自転制御装置92と、を備え、受入領域12において保持部42に保持された部品が、ベース部材30の回転に伴って受入領域12から搬出領域13に搬送されると共に、保持部42の自転に伴って姿勢が整えられる。
【0062】
このため、受入領域12において部品を予め整列させなくても、搬送途中にサイクルタイムを悪化させることなく部品の姿勢を整えた上で、搬出領域13まで部品を搬送することができる。これにより、部品の高速搬送および高速整列が可能となり、部品の生産効率や検査効率を向上させることができる。
【0063】
また、保持部自転駆動手段43は、駆動力を発生させるモータ43a、およびモータ43aの駆動力を保持部42に伝達する伝達機構43bからなる。このため、保持部42を自転させることによる部品の姿勢の調整を高速且つ正確に行うことができる。
【0064】
また、保持部自転駆動手段43は、複数の保持部42に対応して複数が配設されると共に、各保時部42に隣接配置される。このため、シンプル且つ軽量な構成で各保持部42の自転を個別に制御することができる。さらに、保持部42と保持部自転駆動手段43をモジュール化することができる。
【0065】
また、保持部42および保持部42に隣接配置された保持部自転駆動手段43は、部品保持モジュール40としてベース部材30に対して一体的に着脱可能である。このため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0066】
また、保持部自転制御装置92は、ベース部材30に配設されている。このため、保持部自転制御装置92をベース部材30の外部に配設する場合と異なり、回転するベース部材30から外部に出る配線の数を少なくし、メンテナンス性を向上させることができる。また、スリップリング等を小型化し、回転するベース部材30の周囲のスペース効率を向上させることが可能となる。これにより、搬送装置1をメンテナンスし易い退避位置までベース部材30が移動可能な構造とすることができる。
【0067】
また、保持部42は、部品を吸着する吸着ノズル42aを備え、吸着ノズル42と低圧源である真空ポンプを繋ぐ吸引通路36が、ベース部材30の内部に形成されている。このため、ベース部材30の周囲に多数のエア配管およびロータリージョイントを配設する必要が無くなり、ベース部材30をコンパクトに構成することができる。また、ベース部材30周囲のスペースに余裕が生じると共に、エア配管の取り回しを考慮する必要が無くなるため、搬送装置1をメンテナンスし易い退避位置までベース部材30が移動可能な構造とすることができる。
【0068】
また、吸着ノズル42aと低圧源である真空ポンプの連通・遮断を切り替える切替バルブ37が、ベース部材30に形成された吸引通路36の途中に配設されている。このため、吸着ノズル42aからなるべく近い位置に切替バルブ37を配設することができる。これにより、切替バルブ37と吸着ノズル42aの間の吸引通路が短くなるため、吸引通路および吸着ノズル42a内部の圧力変化に要する時間を短くすることができる。すなわち、切替バルブ37の切り替えに対する吸着ノズル42aによる部品の吸着・解放の応答速度が向上する。従って、吸着ノズル42aによる部品の吸着・解放を短時間で行うことが可能となるため、部品搬送のサイクルタイムを向上させることができる。
【0069】
なお、切替バルブ37は、保持部42に隣接配置することが好ましい。さらに、保持部42および保持部自転駆動手段43に切替バルブ37を加えてモジュール化してもよい。
【0070】
また、切替バルブ37を制御するノズル切替制御装置91が、ベース部材30に配設されている。このため、ノズル切替制御装置91をベース部材30の外部に配設する場合と異なり、回転するベース部材30から外部に出る配線の数を少なくし、メンテナンス性を向上させることができる。
【0071】
また、保持部42は、自転軸方向に往復移動自在にベース部材30に配置され、搬送装置1は、保持部42を自転軸方向に移動させる保持部軸方向駆動手段をさらに備えている。このため、部品を保持する吸着ノズル42aを受入領域12または搬出領域に対して近接離隔させる場合に、保持部42のみを近接させることができる。これにより、ベース部材30全体を受入領域12または搬出領域13に対して近接離隔させる場合よりも慣性の影響が小さくなることから、より高速に吸着ノズル42aを受入領域12または搬出領域に対して近接離隔させることができる。すなわち、部品搬送のサイクルタイムを向上させることができる。
【0072】
また、保持部軸方向駆動手段は、受入領域12または搬出領域13に対して保持部42を近接離隔させるように配設され、保持部42は、保持部軸方向駆動手段によって受入領域12に近接した場合に部品を保持し、搬出領域13に近接した場合に保持していた部品を解放する。このため、保持部42を上昇させた状態でベース部材30を回転させることで、基台10上面に配設された各種部材や装置等と干渉せずに部品を搬送することができる。また、部品の組立加工や各種検査等を行う装置を、部品の搬送途中に設けた場合にも、部品の搬送を阻害しないようにすることができる。
【0073】
また、保持部軸方向駆動手段は、受入領域12または搬出領域13から離隔する方向に保持部42を常に付勢する内部付勢装置45を備えている。このため、内部付勢装置45を部品保持モジュール40またはベース部材30に配設することで、ベース部材30の周囲のスペースに余裕を持たせることができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0074】
また、保持部軸方向手段は、ベース部材30の外部から保持部42の一部に外力を加える外部付勢装置50を備え、内部付勢装置45の付勢力に勝る外力によって保持部42を受入領域12または搬出領域13に近接させる。このため、保持部42を移動させるためのアクチュエータ等をベース部材30または部品保持モジュール40に配設する必要がない。これにより、ベース部材30および部品保持モジュール40小型軽量に構成することが可能となるため、部品搬送のサイクルタイムを向上させることができる。
【0075】
また、受入領域12と搬出領域13の間の保持姿勢撮像領域14において、保持部42に保持された部品を撮像する保持姿勢撮像手段70をさらに備え、自転制御装置92は、保持姿勢撮像手段70からの情報に基づいて保持部自転駆動手段45を制御する。このため、吸着ノズル42aに保持された部品の姿勢のズレを搬送途中に正確に把握することが可能となり、これに基づいて部品の姿勢を正確且つ高速に要求される姿勢まで修正することができる。
【0076】
また、搬送装置1は、受入領域12で待機中の部品を撮像する待機部品撮像手段2cをさらに備え、ベース部材30に周方向に配設された複数の保持部42の間には、待機部品撮像手段2cにより受入領域12にある部品を撮像するための干渉回避空間部31が形成されている。このため、ベース部材30の回転中に、ベース部材30または部品保持モジュール40に邪魔されることなく、受入領域12にある部品を撮像することができる。これにより、待機部品撮像手段2cが撮像した画像情報に基づいて、吸着ノズル42aが適切に吸着することが可能な位置に、受入領域12にある部品の位置を修正することが可能となるため、受入トレイ2a上にバルク状態で載置された部品を確実に吸着、保持することができる。
【0077】
また、搬送装置1は、ベース部材30を回転自在に保持した状態で動作可能に構成されるアーム20をさらに備え、ベース部材30は、アーム20の動作により、保持部42が受入領域12および搬出領域13に対向状態となる運転位置と、保持部42が受入領域12および搬出領域13に非対向状態となる退避位置との間を移動自在となっている。このため、メンテナンス時等には、ベース部材30を基台10上面から大きく引き離すことができる。これにより、ベース部材30および部品保持モジュール40だけでなく、ベース10上面に設けられた部品供給装置2等の各種装置のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0078】
また、搬送装置1は、受入領域12には、複数の部品がバルク状態で載置される受入トレイ2aが配設され、搬出領域13には、複数の部品が整列状態で載置される整列トレイ3が配設され、受入トレイ2aから取り出した部品を、姿勢を整えた上で整列トレイ3まで搬送し、整列トレイ3上に整列状態で載置する。このため、バルク状態の部品を高速で整列トレイ3上で整列させることができる。これにより、部品の生産効率や検査効率を向上させることができる。
【0079】
なお、本実施形態に係る搬送装置1は、4つの部品保持モジュール40を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の個数の部品保持モジュール40を備えるようにしてもよい。
【0080】
また、保持部42は、吸着ノズル42aを下方に向けているが、これに限定されるものではなく、吸着ノズル42aを側方や上方に向けるものであってもよい。さらに、保持部42は、吸着ノズル42aを備えるものに限定されるものではなく、例えばエア駆動により部品を把持する構造のものであってもよい。
【0081】
また、ベース部材30は、運転位置において回転の中心軸が上下方向となるように配設されているが、これに限定されるものではなく、運転位置における回転の中心軸が水平方向や斜め方向となるように配設されるものであってもよい。また、ベース部材30は、本実施形態に示される形状以外の形状であってもよい。
【0082】
また、切替バルブ37は、真空ポンプと吸着ノズル42aを遮断すると共に吸着ノズルを大気開放状態とするものに限定されるものではなく、例えば、真空ポンプと吸着ノズル42aを遮断すると共に吸着ノズル42aをコンプレッサ等の高圧源と連通させるものであってもよい。このようにすることで、吸着ノズル42aからの部品の解放をより高速に行うことができる場合がある。
【0083】
また、本実施形態では、切替バルブ37を電磁弁から構成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、切替バルブ37を機械的に動作させるバルブから構成してもよい。さらに、切替バルブ37を動作させるアクチュエータやモータ等をベース部材30の外部に備えるようにしてもよい。
【0084】
また、部品供給装置2、整列トレイ移動手段3b、保持姿勢撮像手段70は、中央制御装置90によって直接制御されるものに限定されるものではなく、それぞれに専用の制御装置を設けるようにしてもよい。
【0085】
また、アーム20は、基台10に配設されるものに限定されるものではなく、他の部材に配設されるものや、独立して設置されるものであってもよい。さらに、アーム20は、揺動以外の動作を可能に構成されるものであってもよい。例えば、上方に向けて直線移動した後に揺動するように、または複数の異なる回転軸を中心に揺動もしくは回動するようにアーム20を構成してもよい。
【0086】
また、受入領域12、搬出領域13および保持姿勢撮像領域14の位置は、本実施形態において示した位置に限定されるものではなく、受入領域12、搬出領域13および保持姿勢撮像領域14をその他の位置に配置するようにしてもよい。さらに、部品の加工組立や検査等を行う領域を搬送途中に設けるようにしてもよい。
【0087】
また、ベース部材30の回転は、90度回転するごとに静止する間欠回転に限定されるものではなく、部品保持モジュール40が受入領域12、搬出領域13および保持姿勢撮像領域14に対抗する位置にある場合にも、ベース部材30を低速で回転させ続けるようにしてもよい。
【0088】
更に、本実施形態では、部品供給装置2において、部品がバルク状態で載置される場合を示したが、本発明はそれに限定されず、他の供給方法でもよい。例えば、部品供給装置がいわゆる振込装置であって、一時的に部品を整列させる整列凹部を列状に備える仮整列トレイを備えるようにしてもよい。この仮整列トレイを、上下左右に振動させたり傾斜させたりすることで、バルク状態の部品を整列凹部に整列させてから、ターレット搬送装置に部品を供給することも好ましい。
【0089】
また、本発明において搬送される部品は、様々なものが考えられるが、特に、水晶片をに適用することが好ましい。水晶片の搬送は、外力によって損傷を受けやすいにも拘らず、製造工程の高度化によって高速搬送が求められている。従って、本実施形態のターレット搬送装置によれば、各水晶片の保持姿勢の制御を回転中に自動的に行うことが可能であるので、水晶片の損傷を低減しながらも、高速搬送を実現できる。また、各吸着ノズルが個別(独立)に回転できることから、一つの部品の姿勢制御が、他の部品の搬送に影響を与えないで済むので、確実な搬送を実現できるようになる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明のターレット搬送装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、電子機器や電子部品もしくはその他の各種物品の製造、または物流の分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態に係る搬送装置1の正面図である。
【図2】搬送装置1の左側面図である。
【図3】搬送装置1の平面図である。
【図4】(a)はベース部材30および部品保持モジュール40の平面図であり、同図(b)はベース部材30および部品保持モジュール40の断面図である。
【図5】(a)および(b)部品保持モジュール40の断面構造および外部付勢装置50を示した図である。
【図6】ベース部材30を退避位置まで移動させた状態を示した左側面図である。
【図7】(a)〜(f)搬送装置1の作動を示した平面図である。
【符号の説明】
【0093】
1・・・搬送装置
2・・・部品供給装置
2a・・・受入トレイ
2c・・・待機部品撮像手段
3・・・整列トレイ
12・・・受入領域
13・・・搬出領域
14・・・保持姿勢撮像領域
20・・・アーム
30・・・ベース部材
31・・・干渉回避空間部
36・・・吸引通路
37・・・切替バルブ
40・・・部品保持モジュール
42・・・保持部
42a・・・吸着ノズル
43・・・保持部自転駆動手段
43a・・・モータ
43b・・・伝達機構
45・・・内部付勢装置
50・・・外部付勢装置
70・・・保持姿勢撮像手段
91・・・ノズル切替制御装置
92・・・保持部自転制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するベース部材と、
前記ベース部材に対して周方向に沿って自転自在に複数配設されて部品を保持する保持部と、
前記ベース部材に配設されて前記保持部を自転駆動する保持部自転駆動手段と、
前記保持部自転駆動手段を制御する保持部自転制御装置と、を備え、
受入領域において前記保持部に保持された前記部品が、前記ベース部材の回転に伴って前記受入領域から搬出領域に搬送されると共に、前記保持部の自転に伴って姿勢が整えられることを特徴とする、搬送装置。
【請求項2】
前記保持部自転駆動手段は、駆動力を発生させるモータ、および前記モータの駆動力を前記保持部に伝達する伝達機構からなることを特徴とする、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記保持部自転駆動手段は、複数の前記保持部に対応して複数が配設されると共に、各保時部に隣接配置されることを特徴とする、
請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記保持部および前記保持部に隣接配置された前記保持部自転駆動手段は、モジュールとして前記ベース部材に対して一体的に着脱可能であることを特徴とする、
請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記保持部自転制御装置は、前記ベース部材に配設されることを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記保持部は、前記部品を吸着する吸着ノズルを備え、
前記吸着ノズルと低圧源を繋ぐ吸引通路が、前記ベース部材の内部に形成されることを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項7】
前記吸着ノズルと前記低圧源の連通・遮断を切り替える切替バルブが、前記ベース部材に形成された吸引通路の途中に配設され、
前記切替バルブを制御するノズル切替制御装置が、前記ベース部材に配設されることを特徴とする、
請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記保持部は、自転軸方向に往復移動自在に前記ベース部材に配置され、
前記保持部を前記自転軸方向に移動させる保持部軸方向駆動手段をさらに備えることを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項9】
前記保持部軸方向駆動手段は、前記受入領域または前記搬出領域に対して前記保持部を近接離隔させるように配設され、
前記保持部は、保持部軸方向駆動手段によって前記受入領域に近接した場合に前記部品を保持し、前記搬出領域に近接した場合に保持していた前記部品を解放することを特徴とする、
請求項8に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記保持部軸方向駆動手段は、前記受入領域または前記搬出領域から離隔する方向に前記保持部を常に付勢する内部付勢装置を備えることを特徴とする、
請求項8または9に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記保持部軸方向駆動手段は、前記ベース部材の外部から前記保持部の一部に外力を加える外部付勢装置を備え、前記内部付勢装置の付勢力に勝る前記外力によって前記保持部を前記受入領域または前記搬出領域に近接させることを特徴とする、
請求項8乃至10のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項12】
前記受入領域と前記搬出領域の間の保持姿勢撮像領域において、前記保持部に保持された前記部品を撮像する保持姿勢撮像手段をさらに備え、
前記自転制御装置は、前記保持姿勢撮像手段からの情報に基づいて前記保持部自転駆動手段を制御することを特徴とする、
請求項1乃至11のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項13】
前記受入領域で待機中の前記部品を撮像する待機部品撮像手段をさらに備え、
前記ベース部材に周方向に配設された複数の前記保持部の間には、前記待機部品撮像手段により前記受入領域にある前記部品を撮像するための干渉回避空間部が形成されることを特徴とする、
請求項1乃至12のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項14】
前記ベース部材を回転自在に保持した状態で動作可能に構成されるアームをさらに備え、
前記ベース部材は、前記アームの動作により、前記保持部が前記受入領域および前記搬出領域に対向状態となる運転位置と、前記保持部が前記受入領域および前記搬出領域に非対向状態となる退避位置との間を移動自在であることを特徴とする、
請求項1乃至13のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項15】
前記受入領域には、複数の前記部品がバルク状態又は仮整列状態で載置される受入トレイが配設され、
前記搬出領域には、複数の前記部品が整列状態で載置される整列トレイが配設され、
前記受入トレイから取り出した前記部品を、姿勢を整えた上で前記整列トレイまで搬送し、前記整列トレイ上に整列状態で載置することを特徴とする、
請求項1乃至14のいずれかに記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−196739(P2009−196739A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−38113(P2008−38113)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(501410137)アキム株式会社 (49)
【Fターム(参考)】