説明

搬送装置

【課題】大小二個の物品を重ねてセットにした状態で包装する場合であって、包装機で包装材料を切り離したりシールしたりする際に、物品の噛込みが生じることを防止する搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送装置11は、第一および第二の物品XA1,XA2を重ねてセットにした状態で包装機14に順次供給する供給路15と、この供給路15の下方に沿って配置され、循環するように走行する第一および第二のチェーン16,17と、所定の間隔で第一のチェーン16に連結され、供給路15を走行することで供給路15に投入された第一の物品XA1を押し進める複数の第一のフィンガー25と、所定の間隔で第二のチェーン17に連結され、第一のフィンガー25に後続して供給路15を走行することで供給路15に投入された第二の物品XA2を押し進める複数の第二のフィンガー26と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大小二個の物品をセットにした状態で順次包装する包装機に、大小二個の物品をセットにした状態で順次搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や日用品等の物品を包装する包装ラインでは、物品が包装機に次々と供給され、フィルム等の包装材料によって個別に包装される。物品の包装機への供給は、物品を載せて連続的に搬送する搬送装置(コンベア)によって行われる。搬送装置には、ベルトコンベアやチェーン式のフィンガーコンベア等がある。
【0003】
フィンガーコンベアは、包装機に物品を順次供給する供給路と、この供給路の下方においてその長手方向沿って配置される環状部材であって、供給路の上流から下流に向かって包装機に近付く方向に走行する進行領域、および供給路の下流から上流に向かって包装機から遠退く方向に走行する戻り領域を備えて、循環するように走行するチェーンと、所定の間隔でチェーンに連結されると共に、供給路の下方から上方に突出し、チェーンと一体となって走行することで、物品を包装機に向けて押し進める複数のフィンガーと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。フィンガーコンベアによれば、供給路の下方から上方に突出する複数のフィンガーが、所定の間隔で物品を押し進めるから、包装機に一定のタイミングで物品を順次供給できる。
【0004】
包装機には、物品が順次供給されることに合わせて、フィルム等の包装材料が連続して供給され、包装機において筒状に成形される。筒状に成形された包装材料に、フィンガーコンベアで搬送されてきた物品が順次供給された後、包装材料の両側縁部がシールされる。それから、所定ピッチごとに包装材料の幅方向に横シールとカットとが行われて、各物品が個別に包装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭57−074313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食品等の物品は、脱酸素剤(例えば、エージレス(登録商標))や乾燥剤(例えば、シリカゲル)等が収容された小袋を重ねてセットにした状態で包装されることがある。そのような小袋は、物品と共にフィンガーによって押し進められ、物品と共に包装機に供給される。フィンガーは、包装機に干渉しないように、包装機手前で逃がす必要があり、フィンガーの長さが長いほどより手前で逃がす必要がある。物品と比較してサイズの小さい小袋は、物品の後端部に位置した状態で搬送されるから、包装機手前でフィンガーを逃がした場合、小袋が物品の後方にずれることがある。このずれが大きくなった場合には、包装材料を横シールする際に、下流側のシール部において小袋の噛込みが発生する。このような噛込みは、上記の場合だけでなく、大小二個の物品を重ねてセットにした状態で包装する場合にも生じる問題である。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、大小二個の物品を重ねた状態で包装する場合であって、包装機で包装材料をシールしたり切り離したりする際に、物品の噛込みが生じることを防止する搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、第一の物品と、前記第一の物品と比較して大きい第二の物品と、を重ねた状態で順次包装する包装機に対して、前記第一の物品及び前記第二の物品を順次供給する供給路と、前記供給路の下方において該供給路の長手方向に沿って配置される環状部材であって、前記供給路の上流から下流に向かって前記包装機に近付く方向に走行する進行領域と、前記供給路の下流から上流に向かって前記包装機から遠退く方向に走行する戻り領域と、を備えて循環するように走行する走行体と、前記走行体によって駆動され、前記供給路から上方に突出し、前記供給路上の前記第一の物品を前記包装機に向けて押し進める複数の第一の突起と、前記走行体によって駆動され、前記第一の突起と比較して高くなるように前記供給路から上方に突出すると共に、前記第一の突起に対して第二の物品の搬送方向の寸法以下の距離で後続することで、前記供給路上の前記第二の物品を、前記第一の物品の上に重ねた状態で前記包装機に向けて押し進める複数の第二の突起と、を備えることを特徴とする、搬送装置である。
【0009】
本発明によれば、第一の物品は、走行体によって駆動され、供給路から上方に突出する第一の突起に押し進められる。一方、第一の物品と比較して大きい第二の物品は、走行体によって駆動され、第一の突起と比較して高くなるように供給路から上方に突出すると共に、第一の突起に対して第二の物品の搬送方向の寸法以下の距離で後続する第二の突起に押し進められる。このため、第一の物品は、第二の物品と共に一つの突起で押し進められる従来の場合と比較して、包装機に早めに供給される。つまり、第一の物品が第二の物品の前端部に位置した状態で、物品を包装する包装材料に供給されるので、たとえ第一の物品が後方にずれたとしても、第二の物品の長さの範囲で収まるか、最悪の場合でも第二の突起で止まるので、包装材料を包装機でシールする際に、可及的に第一の物品の噛込みを防止できる。何よりも、第一の突起の長さが第二の突起の長さと比較して短くなっているので、第一の突起をより包装機に近付けることができ、第一の物品を包装材料に引き渡すぎりぎりの所まで押し進めることができる。これにより、第一の物品を確実に包装材料に載せることができるので、第一の物品の位置ずれによる噛込みを防止することができる。
【0010】
(2)本発明はまた、前記走行体は、前記第一の突起を走行させる第一の走行体と、前記第二の突起を走行させる第二の走行体と、を備えて構成されることを特徴とする、上記(1)に記載の搬送装置である。
【0011】
(3)本発明はまた、前記第一の走行体は、前記包装機側において前記進行領域から前記戻り領域に向かう下流側折返しの箇所が、前記第二の走行体の前記下流側折返し箇所と比較して前記包装機に近いことを特徴とする、上記(2)に記載の搬送装置である。
【0012】
(4)本発明はまた、前記第一の走行体は、前記包装機と反対側において前記戻り領域から前記進行領域に向かう上流側折返しの箇所が、前記第二の走行体の前記上流側折返し箇所と比較して前記包装機から遠くなっており、前記供給路は、前記第一の走行体によって駆動される前記第一の突起が前記供給路を走行し始める箇所から、前記第二の走行体によって駆動される前記第二の突起が前記供給路を走行し始める箇所までの領域であって、前記第一の物品が投入される第一の供給路と、前記第一の突起と前記第二の突起が一緒に前記供給路を走行する領域であって、前記第二の物品が投入される第二の供給路と、を備えて構成されることを特徴とする、上記(2)または(3)に記載の搬送装置である。
【0013】
上記発明によれば、第一の走行体における包装機と反対側の上流側折返し箇所を、第二の走行体における上流側折返し箇所と比較して、包装機から遠くにしたことで、供給路の一部を、第一の突起のみが突出し、第二の突起が突出しない第一の供給路にすることができる。これにより、第一の供給路において第一の物品が投入される範囲を、先行する第一の突起と、後続する第一の突起と、の間の広い範囲とすることができる。ひいては、第一の突起を高速で走行させた場合であっても、第一の物品を正確に投入することができる。
【0014】
(5)本発明はまた、前記第二の突起の先端部分は、前記第二の走行体によって駆動されて前記上流側折返し箇所で折返しを完了させた時において、前記供給路から離反しており、その後、前記第二の突起が下流側に進むにつれて、前記第二の突起の先端部分が前記供給路上に次第に突出することを特徴とする、上記(4)に記載の搬送装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記(1)〜(5)に記載の搬送装置によれば、物品を包装する包装材料を包装機でシールする際に、第一の物品の位置ずれによる噛込みが発生することを防止することができる。また、上記(4)に記載の搬送装置によれば、第一の突起を高速で走行させた場合であっても、第一の物品を正確に投入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る搬送装置を備える包装ラインの概略を示す正面図である。
【図2】図1に示す包装ラインにおける搬送装置を包装機の側から視た側面図であり、(A)は第一のフィンガーが手前に視える場合を示し、(B)は第二のフィンガーが手前に視える場合を示す。
【図3】(A)は搬送装置における第二のチェーンの上流側折返し箇所の拡大正面図であり、(B)は(A)に示す箇所を変形する比較形態の拡大正面図である。
【図4】図1に示す包装ラインにおける第二の投入機と搬送装置との合流部分に係り、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。
【図5】図1に示す包装ラインにおける搬送装置と包装機との接続部分の拡大平面図である。
【図6】図5に示す部分の斜視図である。
【図7】図5に示す部分における第一および第二の物品の動きを説明する平面図に係り、(A)は包装材料による第二の物品の引込みが開始されるタイミングを示し、(B)は包装材料による第一の物品の引込みが開始されるタイミングを示し、(C)は包装材料による第一および第二の物品の引込み中のタイミングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る搬送装置を備える包装ラインについて詳細に説明する。
【0018】
まず、図1〜図6を用いて、包装ライン10の構成について説明する。図1は、包装ライン10の概略を示す正面図である。図2は、搬送装置11を包装機14の側から視た側面図であり、(A)は第一のフィンガー25が手前に視える場合を示し、(B)は第二のフィンガー26が手前に視える場合を示す。図3において、(A)は搬送装置11における第二のチェーン17の上流側折返し箇所の拡大正面図であり、(B)は(A)に示す箇所を変形する比較形態の拡大正面図である。図4は、第二の投入機13と搬送装置11との合流部分に係り、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。図5は、搬送装置11と包装機14との接続部分の拡大平面図である。図6は、図5に示す部分の斜視図である。なお、図面の簡略化のため、各図において説明に不要な構成要素の図示を適宜省略する。
【0019】
図1に示す包装ライン10は、脱酸素剤や乾燥剤等が収容された小袋(以下、「第一の物品」と称す。)XA1と、この第一の物品XA1と比較して、大きさが大きい食品や日用品等の物品(以下、「第二の物品」と称す。)XA2と、を重ねてセットにした状態で順次包装するラインである。この包装ライン10では、第一および第二の物品XA1,XA2のセットが、フィルム等の包装材料YA1によって個別に包装される。
【0020】
なお、第一および第二の物品XA1,XA2の大きさとは、少なくとも、包装機14に搬送される方向(図1における左右方向)の大きさを意味するが、その方向に直交する水平方向(図2における左右方向)の大きさや、高さ方向(図1における上下方向)の大きさを含めた3次元方向の全ての大きさを意味してもよい。以下において、第一および第二の物品XA1,XA2の大きさとは、3次元方向の全ての大きさを意味する。
【0021】
包装ライン10は、第一および第二の物品XA1,XA2を搬送する搬送装置11と、この搬送装置11に対して第一の物品XA1を投入する第一の投入機12と、搬送装置11に対して第二の物品XA2を投入する第二の投入機13と、搬送装置11によって搬送された第一および第二の物品XA1,XA2を順次包装する包装機14と、を備えている。以下、包装ライン10の各構成要素を説明する。なお、各構成要素の動作は、図示を省略する制御装置によって統括的に制御される。
【0022】
(搬送装置)
搬送装置11は、チェーン式のフィンガーコンベアである。図1および図2に示すように、搬送装置11は、第一および第二の物品XA1,XA2を重ねてセットにした状態で包装機14に順次供給する供給路15と、この供給路15の下方においてその長手方向に沿って配置される環状の第一および第二のチェーン16,17と、第一のチェーン16の包装機14と反対側の折返し箇所に配置されたスプロケット18と、第一のチェーン16の包装機14側の折返し箇所に配置されたスプロケット19,20と、第二のチェーン17の包装機14と反対側の折返し箇所に配置されたスプロケット21と、このスプロケット21と比較して、包装機14の近くであると共に高い箇所に配置されたスプロケット22と、第二のチェーン17の包装機14側の折返し箇所に配置されたスプロケット23,24と、所定の間隔で第一のチェーン16に連結され、供給路15を走行することで供給路15に投入された第一の物品XA1を押し進める複数の第一のフィンガー25と、所定の間隔で第二のチェーン17に連結され、供給路15を走行することで供給路15に投入された第二の物品XA2を押し進める複数の第二のフィンガー26と、を備えている。
【0023】
(供給路)
供給路15は、包装機14に向かって延びる溝であり、ステンレス等を材料として形成される。供給路15における包装機14との接続部分、すなわち、供給路15における包装機14側の端部は、包装機14における供給路15との接続部分に対応する形状を有している。具体的には、供給路15における包装機14側の端部は、上方から視て斜めに尖った形状を有している(図5参照)。
【0024】
供給路15は、前半部分と後半部分との二つの区間に分けられる。具体的には、供給路15は、第一の物品XA1が投入される第一の供給路27と、第一の物品XA1の上に重なるように第二の物品XA2が投入される第二の供給路28と、の二つの区間に分けられる。供給路15の底面には、上下方向に貫通するスリット29が長手方向に沿って形成されている。スリット29は、第一および第二のフィンガー25,26が貫通する幅を有する。
【0025】
前半部分に該当する第一の供給路27では、投入された第一の物品XA1が第一のフィンガー25によって押し進められる。後半部分に該当する第二の供給路28では、第一の供給路27に引き続いて、第一の物品XA1が第一のフィンガー25によって押し進められると共に、投入された第二の物品XA2が第二のフィンガー26によって押し進められる。第一の供給路27は、第一のチェーン16によって駆動される第一のフィンガー25が走行し始める箇所から、第二のチェーン17によって駆動される第二のフィンガー26が走行し始める箇所までの領域である。第二の供給路28は、第一のフィンガー25と第二のフィンガー26が一緒に供給路15を走行する領域である。
【0026】
(チェーン)
第一のチェーン16は、供給路15の略全長にわたってその下方に配置される。この第一のチェーン16は、供給路15の上流から下流に向かって包装機14に近付く方向に走行する進行領域16aと、この進行領域16aの下方に沿って配置され、供給路15の下流から上流に向かって包装機14から遠退く方向に走行する戻り領域16bと、が無端で連結されて循環するように走行する環状の第一の走行体である。
【0027】
具体的には、第一のチェーン16は、包装機14と反対側において戻り領域16bから進行領域16aに向かう上流側折返し箇所に配置されたスプロケット18の上部から、包装機14側において進行領域16aから戻り領域16bに向かう下流側折返し箇所に配置されたスプロケット19の上部に向けて水平に延びる。そして、第一のチェーン16は、スプロケット19の側部から、スプロケット19の下方に配置されたスプロケット20の側部に向けて下方に延びる。また、第一のチェーン16は、スプロケット20の下部から、スプロケット18の下部に向けて水平に延びる。
【0028】
第二のチェーン17は、第二の供給路28の略全長にわたってその下方に、第一のチェーン16の脇に並ぶように配置される。この第二のチェーン17は、供給路15の上流から下流に向かって包装機14に近付く方向に走行する進行領域17aと、この進行領域17aの下方に沿って配置され、供給路15の下流から上流に向かって包装機14から遠退く方向に走行する戻り領域17bと、が無端で連結されて循環するように走行する環状の第二の走行体である。
【0029】
具体的には、図1および図2に示すことに加えて、図3(A)に拡大して示すように、第二のチェーン17は、包装機14と反対側において戻り領域17bから進行領域17aに向かう上流側折返し箇所に配置されたスプロケット21の上部から、スプロケット21と比較して、包装機14の近くであると共に高い箇所に配置されたスプロケット22の上部に向けて斜め上方に延びる。その傾斜角度αは小さいことが好ましく、具体的には10度〜15度程度であることが好ましい。
【0030】
そして、第二のチェーン17は、スプロケット22の上部から、包装機14側において進行領域17aから戻り領域17bに向かう下流側折返し箇所に配置されたスプロケット23の上部に向けて水平に延びる。また、第二のチェーン17は、スプロケット23の側部から、スプロケット23の下方に配置されたスプロケット24の側部に向けて下方に延びる。さらに、第二のチェーン17は、スプロケット24の下部からスプロケット21の下部に向けて水平に延びる。
【0031】
第一および第二のチェーン16,17は、互いに連動して走行し、速度が同一である。第一のチェーン16は、包装機14と反対側の上流側折返し箇所が、第二のチェーン17の上流側折返し箇所と比較して包装機14から遠くにあり、包装機14側の下流側折返し箇所が、第二のチェーン17の下流側折返し箇所と比較して包装機14寄りに位置する。
【0032】
(スプロケット)
スプロケット18〜24は、全周にわたって複数の歯(図示省略)が形成された歯車であり、第一または第二のチェーン16,17との組合せで用いられる。第一のチェーン16との組合せで用いられるスプロケット18〜20は、そのうちの少なくとも一つがモータ等の動力源(図示省略)に接続され、その動力源によって回動する。これにより、第一のチェーン16が走行する。動力源に接続されていないスプロケット18〜20は、第一のチェーン16の走行と共に回動する。
【0033】
第二のチェーン17との組合せで用いられるスプロケット21〜24は、スプロケット18〜20と同様、そのうちの少なくとも一つがモータ等の動力源(図示省略)に接続され、その動力源によって回動する。これにより、第二のチェーン17が走行する。動力源に接続されていないスプロケット21〜24は、第二のチェーン17の走行と共に回動する。以上のスプロケット18〜24は、第一および第二のチェーン16,17と共に、第一および第二のフィンガー25,26を走行させる動力伝達機構を構成する。
【0034】
第一のチェーン16の包装機14と反対側の上流側折返し箇所に配置されたスプロケット18は、第二のチェーン16の包装機14と反対側の上流側折返し箇所に配置されたスプロケット21,22と比較して、包装機14から遠くにある。第一のチェーン16の包装機14側の下流側折返し箇所に配置されたスプロケット19,20は、第二のチェーン17の包装機14側の下流側折返し箇所に配置されたスプロケット23,24と比較して、包装機14寄りに位置する。
【0035】
(フィンガー)
第一のフィンガー25は、所定の間隔で第一のチェーン16の外周側に直交するように連結されている。この第一のフィンガー25は、スリット29を介して供給路15の下方から上方に突出する。第一フィンガー25の供給路15からの突出量は、例えば、3mm程度である。第一のフィンガー25は、第一のチェーン16によって駆動され、第一の物品XA1を包装機14に向けて押し進める。
【0036】
第二のフィンガー26は、所定の間隔で第二のチェーン17の外周側に直交するように連結されている。この第二のフィンガー26は、スリット29を介して第二の供給路28の下方から上方に突出する。
【0037】
具体的には、図1および図2に示すことに加えて、図3(A)に拡大して示すように、第二のフィンガー26は、第二のチェーン17がスプロケット21で折返し、上方(鉛直方向からαだけ傾いた方向)を向く。第二のフィンガー26の先端部分は、第二のチェーン17の折返しが完了した時において、供給路15から離反している。すなわち、第二のフィンガー26の先端部分は、第一のフィンガー25が走行する軌跡との間に、距離dを有する。これにより、第二のフィンガー26が、第二のチェーン17の折返し中に、第一のフィンガー25または第一の物品XA1と干渉することが防止される。その後、第二のフィンガー26は、第二のチェーン17がスプロケット22に向けて斜め上方に走行する過程において、第二のチェーン17と共に斜め上方に走行し、第二の供給路28の下方から上方に次第に突出する。
【0038】
仮に、図3(B)に示すような、第二のチェーン17の折返し箇所を変形した比較形態の場合には、第二のフィンガー26が、第二のチェーン17の折返し中に、第一のフィンガー25または第一の物品XA1と干渉することが考えられる。
【0039】
具体的には、比較形態は、スプロケット22が、スプロケット21の上方に配置されている。この場合、第二のチェーン17は、スプロケット21で直角に折り曲げられると共に、スプロケット22で直角に折り曲げられることで、チェーン17が折り返される。第二のフィンガー26の先端部は、第二のチェーン17がスプロケット22で直角に折り曲げられる際に、供給路15の下方から上方に突出する。すなわち、第二のフィンガー26の先端部は、第二のチェーン17の折返し中に、第一のフィンガー25および第一の物品XA1が移動する軌跡に入る。このため、比較形態の場合には、第二のフィンガー26が、第二のチェーン17の折返し中に、第一のフィンガー25または第一の物品XA1と干渉することが考えられる。
【0040】
本発明の説明に戻る。第二のフィンガー26の第二の供給路28からの突出量は、第一のフィンガー25の突出量と比較して高く、例えば、10mm程度である。第二のフィンガー26は、第二のチェーン17によって駆動され、第二の物品XA2を包装機14に向けて押し進める。
【0041】
第二のフィンガー26は、第二の供給路28において、いずれか一つの第一のフィンガー25と対となる。第二の供給路28における第二のフィンガー26は、対となる第一のフィンガー25に対して、第二の物品XA2の搬送方向の寸法以下の距離で後続する。第二の供給路28における第一のフィンガー25は、先行して走行する第二のフィンガー26との間隔が、自身と対となって後続する第二のフィンガー26との間隔と比較して、小さい。第一のフィンガー25の、先行して走行する第二のフィンガー26との間隔は、第一の物品XA1の大きさと比較して大きいが、可能な限り小さいことが好ましい。第二のフィンガー26同士の間隔は、第二の物体XA2の大きさと比較して大きいが、可能な限り小さいことが好ましい。
【0042】
(投入機)
第一の投入機12は、第一の供給路27に沿って二台配置されている。第一の投入機12の間隔は、第一のフィンガー25の間隔と等しい。各第一の投入機12は、互いに同調して作動する。各第一の投入機12は、第一の物品XA1を押し進めさせる第一のフィンガー25を基準として設定する。包装機14に近い側の第一の投入機12は、所定の一つの第一のフィンガー25を基準とする。包装機14に遠い側の第一の投入機12は、包装機14に近い側の第一の投入機12が基準とする第一のフィンガー25の直後に後続する第一のフィンガー25を基準とする。
【0043】
各第一の投入機12は、第一の供給路27における、基準とする第一のフィンガー25に先行する側に、第一の物品XA1を一つずつ投入する。各第一の投入機12は、第一の物品XA1の投入後、基準とする第一のフィンガー25を、二つ後に後続する第一のフィンガー25に変更する。すなわち、各第一の投入機12は、一つ置きの第一のフィンガー25を順次基準とし、第一の供給路27に第一の物品XA1を順次投入する。これにより、第一の供給路27には、一方の第一の投入機12から投入された第一の物品XA1と、他方の第一の投入機12から投入された第一の物品XA1と、が交互に配置される。
【0044】
図4に示すように、第二の投入機13は、第二の物品XA2を第二の供給路28に順次投入する投入路30と、この投入路30の脇に沿って配置されたガイドレール31と、ガイドレール31にスライド自在に連結され、ガイドレール31を走行することで投入路30上の第二の物品XA2を押し進める複数のバー32と、を備えている。
【0045】
投入路30は、第二の供給路28の上方から合流するように配置されている。ガイドレール31は、バー32を循環させる環状に配置されている。バー32は、所定の間隔でガイドレール31の脇に連結されている。以上の第二の投入機13によれば、第二の供給路28における、各第二のフィンガー26に先行する側に、第一の物品XA1の上に重なるように第二の物品XA2が一つずつ順次投入される。すなわち、投入路30を押し進めていたバー32から、第二の供給路28を走行する第二のフィンガー26に、第二の物品XA2が順次引き渡される。
【0046】
(包装機)
図1に示す包装機14には、搬送装置11によって第一および第二の物品XA1,XA2のセットが供給されることに合わせて、包装材料YA1を供給する機構(図示省略)によって包装材料YA1が連続して供給される。具体的には、図5および図6に示すように、包装材料YA1は、長手方向に沿って半分に折られ、内面を外側にした状態で、第一および第二の物品XA1,XA2の流れに合流するように包装機14に供給される。
【0047】
そして、包装材料YA1は、搬送装置11との接続部分で表裏が反転される。この時、包装材料YA1には、搬送装置11によって搬送された第一および第二の物品XA1,XA2のセットが載せ込まれる。包装材料YA1による第一の物品XA1の載込みは、第一の物品XA1が、包装材料YA1の折目から離れている側(図5における下方の側)に寄せて配置されている場合、滑らかに行われる。
【0048】
このため、第一の投入機12による投入の際に、または搬送装置11による搬送の際に、第一の物品XA1を、包装材料YA1の折目から離れている側に寄せることが好ましい。このようにすることで、包装材料YA1による第一の物品XA1の載込みがスムーズに行われるから、第二の物品XA2に対する第一の物品XA1のズレが生じる可能性が低減される。
【0049】
その後、包装材料YA1は、長手方向に沿った側部がシールされる。さらに、包装材料YA1は、順次切り離されると共に、その切断部分がシールされる。これにより、第一および第二の物品XA1,XA2のセットが個別に包装される。
【0050】
次に、搬送装置11の作用について、図1に基づいて説明する。
【0051】
第一の供給路27では、第一の投入機12によって第一の物品XA1が投入される。第一の供給路27に投入された第一の物品XA1は、第一のフィンガー25によって押し進められる。
【0052】
第二の供給路28では、第一の供給路27に引き続いて、第一の物品XA1が、第一のフィンガー25によって押し進められる。また、第二の投入機13によって、第一の物品XA1の上に重なるように、第二の物品XA2が投入される。第二の供給路28に投入された第二の物品XA2は、第二のフィンガー26によって押し進められ、第一のフィンガー25によって押し進められる第一の物品XA1と共に、包装機14に供給される。
【0053】
次に、搬送装置11と包装機14との接続部分における第一および第二の物品XA1,XA2の動きについて、図7に基づいて説明する。
【0054】
図7は、搬送装置11と包装機14との接続部分における第一および第二の物品XA1,XA2の動きを説明する平面図に係り、(A)は包装材料YA1による第二の物品XA2の引込みが開始されるタイミングを示し、(B)は包装材料YA1による第一の物品XA1の引込みが開始されるタイミングを示し、(C)は包装材料YA1による第一および第二の物品XA1,XA2の引込み中のタイミングを示す。
【0055】
図7(A)に示すように、第一のフィンガー25に供給路15を押し進められる第一の物品XA1と、第二のフィンガー26に供給路15を押し進められる第二の物品XA2と、が包装材料YA1に到達すると、まず、第二の物品XA2の一部分が、半分に折られた包装材料YA1の隙間に供給される。これにより、包装材料YA1への第二の物品XA2の載込みが開始される。
【0056】
その後、図7(B)に示すように、第一の物品XA1の一部分が、半分に折られた包装材料YA1の隙間に供給される。これにより、包装材料YA1への第一の物品XA1の載込みが開始される。そして、第一のフィンガー25は、包装機14直前まで第一の物品XA1を押し進めた後に下方へ移動し、第一の物品XA1の後方から退避する。その後、図7(C)に示すように、第二のフィンガー26が、包装機14直前まで第二の物品XA2を押し進めた後に下方へ移動して、第二の物品XA2の後方から退避する時には、包装材料YA1への第一の物品XA1の載込みは、完了している。
【0057】
このように、搬送装置11によれば、第一の物品XA1は、第一のチェーン16によって駆動され、供給路15から上方に突出する第一のフィンガー25に押し進められる。一方、第一の物品XA1と比較して大きい第二の物品XA2は、第二のチェーン17によって駆動され、第一のフィンガー25と比較して高くなるように供給路15から上方に突出すると共に、第一のフィンガー25に対して第二の物品XA2の搬送方向の寸法以下の距離で後続する第二のフィンガー26に押し進められる。このため、第一の物品XA1は、第二の物品XA2と共に一つのフィンガーで押し進められる従来の場合と比較して、包装機14に早めに供給される。つまり、第一の物品XA1が第二の物品XA2の前端部に位置した状態で、包装材料YA1に供給されるので、たとえ第一の物品XA1が後方にずれたとしても、第二の物品XA2の長さの範囲で収まるか、最悪の場合でも第二のフィンガー26で止まるので、包装材料YA1を包装機14でシールする際に、可及的に第一の物品XA1の噛込みを防止できる。何よりも、第一のフィンガー25の長さが第二のフィンガー26の長さと比較して短くなっているので、第一のフィンガー25をより包装機14に近付けることができ、第一の物品XA1を包装材料YA1に引き渡すぎりぎりの所まで押し進めることができる。これにより、第一の物品XA1を確実に包装材料YA1に載せることができるので、第一の物品XA1の位置ずれによる噛込みを防止することができる。
【0058】
また、第一および第二のフィンガー25,26を走行させる動力伝達機構として、第一のフィンガー25が連結された第一のチェーン16と、第二のフィンガー26が連結された第二のチェーン17と、の二本のチェーンを採用したから、第一のチェーン16における包装機14側において進行領域16aから戻り領域16bに向かう下流側折返し箇所を、第二のチェーン17における下流側折返し箇所と比較して、包装機14の近くにできると共に、第一のチェーン16における包装機14と反対側において戻り領域16bから進行領域16aに向かう上流側折返し箇所を、第二のチェーン17における上流側折返し箇所と比較して、包装機14から遠くにできる。また、一本のチェーンを採用した従来の場合には、第一および第二のフィンガー25,26の位置関係を微調整することが困難であるが、二本のチェーンを採用したから、第一および第二のフィンガー25,26の位置を個々に設定でき、ひいては、第一および第二のフィンガー25,26を最適で所望の位置に設定できる。つまり、第一および第二のフィンガー25,26の位置を、第二の物品XA2のサイズや、第二の物品XA2に対する第一の物品XA1の位置に応じて自由に設定することができる。
【0059】
そして、第一のチェーン16における包装機14側の下流側折返し箇所を、第二のチェーン17における下流側折返し箇所と比較して、包装機14の近くにしたことで、このようにしない場合と比較して、第一のチェーン16に連結された第一のフィンガー25を、包装機14の近くまで走行させることができ、ひいては、第一の物品XA1を押し進めていた第一のフィンガー25の、第一の物品XA1の後方から退避させるタイミングを遅らせることができる。これにより、第一の物品XA1を確実に包装機14に供給することができる。
【0060】
また、第一のチェーン16における包装機14と反対側の上流側折返し箇所を、第二のチェーン17における上流側折返し箇所と比較して、包装機14から遠くにしたことで、供給路15の一部を、第一のフィンガー25のみが突出し、第二のフィンガー26が突出しない第一の供給路27にすることができる。これにより、第一の供給路27において第一の物品XA1が投入される範囲を、先行する第一のフィンガー25と、後続する第一のフィンガー25と、の間の広い範囲とすることができる。ひいては、第一フィンガー25を高速で走行させた場合であっても、第一の物品XA1を正確に投入することができる。
【0061】
さらに、第二のフィンガー26の先端部分は、第二のチェーン17が包装機14と反対側の上流側折返し箇所で折返しを完了させた時に、第一のフィンガー25が走行する軌跡との間に、距離dを有するから、これにより、第二のフィンガー26が、第二のチェーン17の折返し中に、第一のフィンガー25または第一の物品XA1と干渉することが防止される。また、この場合、第二のフィンガー26は、第二のチェーンが包装機14と反対側の上流側折返し箇所で折返しを完了させた時に、上方を向くから、このようにしない場合と比較して、第二のフィンガー26と、これに後続する第一のフィンガー25と、の間隔を広い範囲とすることができる。ひいては、第一および第二のフィンガー25,26を高速に走行させた場合であっても、第二のフィンガー26が、第二のチェーン17の折返し中に、第一のフィンガー25または第一の物品XA1と干渉することはない。また、第一のフィンガー25と第二のフィンガー26との距離を可及的に短く設定することができるため、高速化に対応することができる。
【0062】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0063】
すなわち、上記実施形態において、包装機14は、半分に折られた包装材料YA1の側部をシールするサイドシール方式のものを利用したが、両側部が中央に折られた包装材料YA1の中央をシールするセンターシール方式のものを利用してもよい。
【0064】
あるいは、上記実施形態において、第一の供給路27の台数は変更できる。
【符号の説明】
【0065】
10 包装ライン
11 搬送装置
12 第一の投入機
13 第二の投入機
14 包装機
15 供給路
16 第一のチェーン(第一の走行体)
16a 進行領域
16b 戻り領域
17 第二のチェーン(第二の走行体)
17a 進行領域
17b 戻り領域
18〜24 スプロケット
25 第一のフィンガー(第一の突起)
26 第二のフィンガー(第二の突起)
27 第一の供給路
28 第二の供給路
29 スリット
30 投入路
31 ガイドレール
32 バー
XA1 小袋(第一の物品)
XA2 物品(第二の物品)
YA1 包装材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の物品と、前記第一の物品と比較して大きい第二の物品と、を重ねた状態で順次包装する包装機に対して、前記第一の物品及び前記第二の物品を順次供給する供給路と、
前記供給路の下方において該供給路の長手方向に沿って配置される環状部材であって、前記供給路の上流から下流に向かって前記包装機に近付く方向に走行する進行領域と、前記供給路の下流から上流に向かって前記包装機から遠退く方向に走行する戻り領域と、を備えて、循環するように走行する走行体と、
前記走行体によって駆動され、前記供給路から上方に突出し、前記供給路上の前記第一の物品を前記包装機に向けて押し進める複数の第一の突起と、
前記走行体によって駆動され、前記第一の突起と比較して高くなるように前記供給路から上方に突出すると共に、前記第一の突起に対して第二の物品の搬送方向の寸法以下の距離で後続することで、前記供給路上の前記第二の物品を、前記第一の物品の上に重ねた状態で前記包装機に向けて押し進める複数の第二の突起と、を備えることを特徴とする、
搬送装置。
【請求項2】
前記走行体は、
前記第一の突起を走行させる第一の走行体と、
前記第二の突起を走行させる第二の走行体と、を備えて構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第一の走行体は、前記包装機側において前記進行領域から前記戻り領域に向かう下流側折返し箇所が、前記第二の走行体の前記下流側折返し箇所と比較して、前記包装機に近いことを特徴とする、
請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第一の走行体は、前記包装機と反対側において前記戻り領域から前記進行領域に向かう上流側折返しの箇所が、前記第二の走行体の前記上流側折返し箇所と比較して前記包装機から遠くなっており、
前記供給路は、
前記第一の走行体によって駆動される前記第一の突起が前記供給路を走行し始める箇所から、前記第二の走行体によって駆動される前記第二の突起が前記供給路を走行し始める箇所までの領域であって、前記第一の物品が投入される第一の供給路と、
前記第一の突起と前記第二の突起が一緒に前記供給路を走行する領域であって、前記第二の物品が投入される第二の供給路と、を備えて構成されることを特徴とする、
請求項2または3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第二の突起の先端部分は、前記第二の走行体によって駆動されて前記上流側折返し箇所で折返しを完了させた時において前記供給路から離反しており、その後、前記第二の突起が下流側に進むにつれて、前記第二の突起の先端部分が前記供給路上に次第に突出することを特徴とする、
請求項4に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−101827(P2012−101827A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252711(P2010−252711)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】