説明

搬送設備

【課題】物品横押し体に所定値を越える外力が作用した場合に、ローラ軸を分離して前記外力による物品への悪影響を回避できるとともに、前記分離を直後に検出でき、緊急停止できる搬送設備を提供する。
【解決手段】物品横押し体52の横押し作用部72に所定値以上の外力が作用すると、スリット80内方の部材79bが折れてローラ軸53が摺動部71より外れる構成とすることにより、前記外力が続いて物品に悪影響が及ぶことを回避できる。またこのとき摺動部71の下方に残されたスリット80外方の部材79aを検出する外れ検出装置101を、各往路案内装置90の下流にそれぞれ設けることにより、ローラ軸53の分離を直後に検出して無端チェーンを緊急停止でき、よって前記外力の作用を受けた物品およびその仕分け位置を確認でき、ローラ軸53が外れた物品横押し体52を早急に復旧することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載置して主搬送経路に沿って搬送する複数の物品支持体を備え、各物品支持体にそれぞれ、物品支持体に外嵌して案内され物品支持体上の物品の側方に作用し、物品を左右方向へ移動させる物品横押し体を設けた搬送設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記搬送設備の一例が、特許文献1に開示されている。
この特許文献1に開示されている搬送設備では、複数のスラットを所定方向へ移動させ、スラットに載置された物品を搬送しており、また各スラットにそれぞれ、スラット上の物品に押圧して所定方向に仕分ける移動シューを設けている。
【0003】
前記各移動シューはそれぞれ、スラットに沿って摺動するスライド部と、スライド部の摺動に伴ってスラット上の物品を押圧するキャップ部と、移動シューを仕分け方向へ移動させるためのガイドレールに案内されるガイド部から構成されている。
【0004】
そして、物品が複数の移動シューとの間に挟まれた場合等、移動シューに所定値を越える外力が作用したとき、物品および移動シューに悪影響を与える恐れがあることから、これを回避するために、移動シューのキャップ部に所定値を越える外力が作用した場合、キャップ部またはガイド部の少なくともいずれか一方が、スライド部から外れる分離可能な構成とされている。
【特許文献1】特許第2982105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の搬送設備では、移動シューのキャップ部に所定値を越える外力が作用した場合、キャップ部またはガイド部の少なくともいずれか一方がスライド部から外れる構成としているが、このように分離したとき、搬送設備を緊急に停止していないために、挟まれた物品およびその仕分け位置が確認できなくなる恐れがあり、また外れた移動シューのキャップ部またはガイド部の回収および復旧が遅れるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、物品横押し体(移動シュー)に所定値を越える外力が作用した場合に、物品横押し体のローラ軸を分離して、物品横押し体、物品支持体および物品への悪影響を回避できるとともに、前記分離を直後に検出でき、緊急停止できる搬送設備を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、物品の搬送方向の上流端と下流端にそれぞれ回転自在に左右一対の輪体を配置し、これら上流端と下流端の左右一対の輪体にそれぞれ左右一対の無端回動体を張設し、これら左右の無端回動体間に渡って前記物品を支持する複数の物品支持体を設け、前記無端回動体を駆動することによって、前記物品支持体を前記搬送方向へ移動させ、前記物品支持体に支持された物品を前記搬送方向へ搬送する搬送設備であって、
前記各物品支持体にそれぞれ、この物品支持体に外嵌して案内され物品支持体上の物品の側方に作用する物品横押し体を設け、前記各物品横押し体を、前記物品支持体に移動自在に外嵌された摺動部と、この摺動部上に設けられ前記物品支持体上に載置された物品の側方に作用する横押し作用部と、前記摺動部下に設けられ被案内体を回転自在に支持する支持軸から構成し、前記横押し作用部に所定値以上の外力が作用すると前記支持軸が前記摺動部より外れる構成とし、前記物品支持体が前記搬送方向へ移動する往路に、前記被案内体に作用して、前記物品横押し体を前記物品支持体に案内することにより、前記物品支持体上の物品の側方に前記横押し作用部を作用させて前記物品を左右方向へ移動させる複数の往路案内装置を設け、前記各往路案内装置の下流にそれぞれ、前記支持軸が前記摺動部より外れたことを検出する検出手段を設け、各検出手段の動作により前記無端回動体の駆動を停止し、前記物品の搬送を停止することを特徴とするものである。
【0008】
上記構成によれば、横押し作用部に所定値以上の外力が作用すると支持軸が摺動部より外れることにより、物品横押し体、物品支持体および搬送している物品に前記外力が続くことによる悪影響が及ぶことが回避され、また往路案内装置の下流に設けられた検出手段により摺動部により支持軸が外れたことを検出することにより、支持軸の分離を直後に最も速く検出でき、この検出により無端回動体の駆動を停止することにより、緊急停止が可能となる。また各往路案内装置の下流にそれぞれ検出手段を設け、動作した検出手段を確認することにより、摺動部より支持軸が外れた場所が特定される。
【0009】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記摺動部の下方で前記支持軸の周りを固定する固定部に、前記支持軸の周囲に沿って切り込みを入れ、前記横押し作用部に所定値以上の外力が作用すると、前記切り込み内方の固定部の部材が破損して前記支持軸が前記摺動部より外れ、前記切り込み外方の固定部の部材が前記摺動部の下方に残る構成としたことを特徴とするものである。
【0010】
上記構成によれば、横押し作用部に所定値以上の外力が作用すると、切り込み内方の固定部の部材が常に破損することにより、外力が作用した場合に破損する箇所が特定され、他の物品横押し体の部位や物品支持体が破損する恐れが回避され、また復旧が容易となる。
【0011】
また請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明であって、前記検出手段は、前記被案内体を左右方向へ案内する前記往路案内装置の移動案内部全体に渡ってその下流に設けられ前記切り込み外方の固定部の部材が接触する検出体と、前記検出体に前記切り込み外方の固定部の部材が接触したことを検出する検出器から構成したことを特徴とするものである。
【0012】
上記構成によれば、摺動部より支持軸が外れた位置が往路案内装置の移動案内部のどの位置であろうと、確実に検出体に、切り込み外方の固定部の部材が接触し、検出器が動作して摺動部より支持軸が外れたことが検出される。このように、複数の検出体を往路案内装置の移動案内部に沿って並べる必要が無く、確実に簡単な1つの検出体の構成で、摺動部より支持軸が外れたことが検出される。
【0013】
また請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明であって、前記検出手段の検出体は、前記搬送方向へ移動する物品支持体が接触しない高さに配置されていることを特徴とするものである。
【0014】
上記構成によれば、正常に物品横押し体が移動した後の物品支持体が通過するときに、検出体に物品支持体が接触することが回避され、誤動作が回避される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の搬送設備は、横押し作用部に所定値以上の外力が作用すると被案内体の支持軸が摺動部より外れることにより、物品横押し体、物品支持体および搬送している物品に前記外力が続くことによる悪影響が及ぶことを回避でき、また往路案内装置の下流に設けられた検出手段により支持軸が摺動部より外れたことを検出することにより、前記分離を直後に最もはやく検出でき、この検出により無端回動体の駆動を停止することにより緊急停止でき、よって前記外力の作用を受けた物品およびその仕分け位置を確認でき、支持軸が外れた物品横押し体を早急に復旧することができる、という効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面の図1〜図10に基づいて説明する。なお、搬送設備の一例として、転換設備を説明する。
物品Dの搬送方向を長手方向としてこの長手方向と平行に対向して本体フレーム1が配置されており、本体フレーム1は、主搬送経路Aに沿って左右に配置された左右一対の上位フレーム材10と、上位フレーム材10と対向してその下方に配置された左右一対の下位フレーム材20と、下位フレーム材20から下方に連設した脚体3群と、上位フレーム材10と下位フレーム材20との間を上下で連結する複数の縦連結部材4と、左右の上位フレーム材10間を左右で連結し、左右の下位フレーム材20間を左右で連結する複数の横連結部材5などにより構成される。
【0017】
上位フレーム材10には、長さ方向の全長に亘って内側に、後述する物品支持体50を支持案内する往路側案内レール部18(図8)が形成され、また下位フレーム材20には、長さ方向の全長に亘って中間内側に、物品支持体50を支持案内する復路側案内レール部21(図8)が形成され、この復路側案内レール部21の上方に位置して、物品支持体50の横向き案内面となる上端延長部22(図8)が形成されている。
【0018】
また上位フレーム材10と下位フレーム材20との間には、側部外方を覆う、障子落とし込み形式の側カバー(側部カバー)8が設けられ、側カバー8の外面には操作用の把手9が設けられている。
【0019】
上記のように構成された本体フレーム1の搬送方向上流端(始端部)には左右方向に従動軸30が回転自在に配設され、また本体フレーム1の搬送方向下流端(終端部)には左右方向に駆動軸31が回転自在に配設され、駆動軸31に駆動装置34が連動連結されている。駆動装置34は、電動機35と、これに一体化した減速機36とからなり、この減速機36の出力部が前記駆動軸31に連動連結されている。
【0020】
前記従動軸30の両端には相対向して、左右一対の従動用スプロケット(輪体の一例)38が連結され、また前記駆動軸31の両端には相対向して、左右一対の駆動用スプロケット(輪体の一例)39が連結されており、駆動用スプロケット39は、駆動軸(回転軸)31に連結された駆動装置34により駆動される。
【0021】
そして、これら搬送方向上流端に回転自在に設けた左右の従動用スプロケット38と搬送方向下流端に回転自在に設けた左右の駆動用スプロケット39との間にそれぞれ、左右一対の無端チェーン(無端回動体の一例)40が張設されている。これら左右一対の無端チェーン40の長さはそれぞれ、上流端の従動用スプロケット38と下流端の駆動用スプロケット39との間を往復する長さに一定の長さを加えた長さとしており、無端チェーン40に一定の弛み(ゆとり)を持たせている。
【0022】
この無端チェーン40の弛みは、無端チェーン40の往路側には、構造上表れないが、下流端の駆動用スプロケット39から戻るときに表れ、復路側の無端チェーン40に予め弛みを持たせた構成となり、この弛みを原因として下流端の駆動用スプロケット39の下方に位置する復路側の無端チェーン40は下垂しようとする。この復路側の無端チェーン40の下垂を防止する下垂防止手段が、図6に示すように、下位フレーム材20の搬送方向下流側に設けられている。下垂防止手段は、例えば案内用スプロケット42、支持板43、ベルト体45、バランスウエイト46などから構成されている。下垂防止手段の詳細な説明は省略する。
【0023】
上記駆動装置34は起動スイッチ(図示せず)の操作による起動指令を入力すると、所定の加速度で電動機35の速度を増加し、無端チェーン40の速度を所定の加速度で所定の速度まで立上げ、また停止スイッチ(図示せず)の操作による停止指令を入力すると、所定の減速度で電動機35の速度を落とし、無端チェーン40を停止する。
【0024】
また上記左右の無端チェーン40間に渡って物品Dを支持する物品支持体(スラット)50が等間隔で複数取り付けられている。
前記物品支持体50は、両無端チェーン40の移動方向となる主搬送経路Aに対して直交した左右方向を長さ方向51として配設されており、金属製、たとえばアルミニウム合金製で、長さ方向51に長い長尺状であり、かつ同一の断面形状の型材状に形成されている。
【0025】
また各物品支持体50にはそれぞれ、この物品支持体50に外嵌して案内されることで前記長さ方向51に移動自在で、物品支持体50上の物品Dの側方に作用する物品横押し体52が設けられ、また物品支持体50の長さ方向51の両端には、それぞれ外方へ突出する筒状体56が取り付けられている。この筒状体56に無端チェーン40をピン等を使用して結合することで、物品支持体50の両端が、それぞれ無端チェーン40に連結されている。また前記各筒状体56には、外周部がウレタンからなる回転体57が外嵌され、これら回転体57は、前記上位フレーム材10の往路側案内レール部18と下位フレーム材20の復路側案内レール部21の上向き支持面に支持案内される。また物品支持体50の両端部には外周部がウレタンからなるサイドローラ58が遊転自在に設けられ、これらサイドローラ58は、上位フレーム材10の往路側案内レール部18の横向き案内面と下位フレーム材20の上端延長部22の横向き案内面に案内される。
【0026】
また各物品支持体50は、図1および図2に示すように、物品Dが載置される載置面を形成する扁平状の載置板部61と、扁平状の載置板部61の搬送方向の前端部から載置面の反対側に折り曲げられて後方に少し傾斜する前板部62と、載置板部61の搬送方向の後端部から載置面の反対側に折り曲げられて前方に少し傾斜する後板部63と、前板部62および後板部63間に所定間隔をあけて載置板部61からそれぞれ垂下された前脚板部64および後脚板部65とを具備し、前板部62の下端部に後側に湾曲する前位湾曲部62aが形成され、また後板部63の下端部に前側に湾曲する後位湾曲部63aが形成されている。これにより、物品支持体50には、載置板部61の前部、前板部62、前位湾曲部62aおよび前脚板部64に囲まれて物品横押し体52を案内する前部の緩衝用区画空間(区画空間)66が形成され、その前部の緩衝用区画空間66の下面に開放部(開放部分)66aが長さ方向に沿って形成される。また載置板部61の後部、後板部63、後位湾曲部63aおよび後脚板部65に囲まれて物品横押し体52を案内する後部の緩衝用区画空間(区画空間)67が形成され、その後部の緩衝用区画空間67の下面に開放部(開放部分)67aが長さ方向に沿って形成される。さらに、載置板部61の中間部、前脚板部64および後脚板部65により囲まれた案内用区画空間(区画空間)68が形成され、案内用区画空間68の下面に開放部(開放部分)68aが長さ方向に沿って形成されている。この案内用区画空間68は、前脚板部64および後脚板部65の下端部から内側に突出された張出し部64a,65aにより奥側(上部)が広い蟻溝形断面に形成され、前記両張出し部64a,65aの上面に下位案内面64b,65bがそれぞれ形成されている。また前脚板部64および後脚板部65の上位内面に、上位案内面64c,65cがそれぞれ形成されている。
【0027】
また上記各物品横押し体52は、図1および図2に示すように、物品支持体50に移動自在に外嵌された樹脂製の摺動部(スライド部)71と、この摺動部71上に設けられ物品支持体50上に載置された物品Dの側方に作用する樹脂製の横押し作用部72と、摺動部71下に垂直に設けられるローラ軸(支持軸の一例)53から構成されている。前記ローラ軸53は、案内ローラ(被案内体の一例)54を回転自在に支持する軸であり、案内ローラ54に対して所定長さ下方に突出するように構成されている。
【0028】
前記摺動部71は、横押し作用部72の前縁部から前板74が下方に突出され、また横押し作用部72の後縁部から後板75が下方に突出され、前記前板74と前記後板75の下端部が底板76により連結されて、物品支持体50に外嵌する空間が形成されている。そして、前記底板76の上面に、物品支持体50の開放部68aから案内用区画空間68内に嵌合される被嵌合部77が突設されている。
【0029】
また前記被嵌合部77の中央部からローラ軸53が、ローラ軸53の上部のシューピン53aを埋め込み成形により支持することで固定・垂設され、もって案内ローラ54は物品横押し体52の裏面外方に位置されている。また横押し作用部72に所定値以上の外力が作用するとローラ軸53(案内ローラ54)が摺動部71より外れる構成とするために、摺動部71の下方でローラ軸53のシューピン53aの周りを固定するシューピン部(固定部の一例)79に、スリット(切り込み)80を、案内ローラ54の上方位置で且つシューピン53aの周囲に沿って垂直方向に入れ、スリット内方のシューピン部79の部材79bが折れて破損することにより、ローラ軸53が摺動部71より外れる構成とし、このとき摺動部71の下方にスリット外方のシューピン部79の部材79aが垂直な面を有して残る構成としている。
【0030】
また前記横押し作用部72は、平面視で搬送方向の前部が広い略台形状でかつ前部下方から後部上方に傾斜する傾斜天面部72aと、この傾斜天面部72aの後端部から下方に垂下された後面部72bと、左右両側面で前部外側から後部中心側に傾斜された横押し当接面72cとを有し、これら左右の横押し当接面72cには、複数の縦溝が形成されたゴム製の当接部材78がそれぞれ取り付けられている。
【0031】
また図4および図5に示すように、本体フレーム1の片側外方には、主搬送経路Aに対して外方かつ下手側へと傾斜した複数の分岐経路B,Cを形成する分岐コンベヤ85が設けられる。これら分岐コンベヤ85は、コンベヤフレームに多数のローラを支持させることで構成される。
【0032】
そして、複数の分岐経路B,C毎にそれぞれ、図9に示すように、物品支持体50が物品Dの搬送方向へ移動する往路で、かつ上位フレーム材10に連結される横連結部材5上に、各物品横押し体52を、案内ローラ54に作用して物品支持体50に案内することにより、物品支持体50上の物品Dの側方に物品横押し体52を作用させて物品Dを左右方向へ移動させる往路案内装置90が配設されている。
【0033】
各往路案内装置90は、始端部の片側(分岐経路B,Cとは反対の側)に設けられ、物品横押し体52の案内ローラ54を案内する始端案内部(ガイドレール)91と、この始端案内部91の終端に配置され、物品横押し体52を直進または内側方向へ振り分ける振り分け手段92と、振り分け手段92により振り分けられた物品横押し体52の案内ローラ54を案内する、下手側ほど内側へと傾斜し、他方の側(分岐経路B,C側)へ到る移動案内部(ガイドレール)93と、この移動案内部93の終端に配設され、物品横押し体52の案内ローラ54を直進案内する終端案内部(ガイドレール)94と、前記振り分け手段92より振り分けされず直進する物品横押し体52の案内ローラ54を案内する直線状の中間案内部(ガイドレール)95とから構成されている。
【0034】
前記振り分け手段92は、図9(b)に示すように、次のように構成されている。
前記始端案内部91により幅寄せられた案内ローラ54が案内される調心体120が設けられている。この調心体120は、案内ローラ54を案内して幅方向(左右方向)で自動的に調心(センタリング案内)する被案内体案内部分121と、ローラ軸53を案内して幅方向で自動的に調心(センタリング案内)する支持軸案内部分122とから構成されており、支持軸案内部分122は、被案内体案内部分121の中に位置される状態で、その下部に幅狭のガイド溝形状に形成されている。
【0035】
この調心体120により、被案内体案内部分121により案内ローラ54が調心案内されている途中から支持軸案内部分122によりローラ軸53は調心案内され、ローラ軸53は連続的に振り分け案内体124へ案内される。
【0036】
振り分け案内体124は、ローラ軸53を振り分け案内可能であって、後述するブロック体123に対して縦軸心126の回りに揺動自在に連結され、この振り分け案内体124に、シリンダ装置130のピストンロッド132が連動されている。またシリンダ装置130に対する給排油制御のためのソレノイドバルブ装置136が設けられている。また振り分け案内体124の揺動量を規制する揺動量規制手段140として、左右一対のゴム(緩衝材)製ストッパー体143が設けられている。
【0037】
この振り分け案内体124を、シリンダ装置130を動作させて縦軸心126の周りに揺動させることにより、ローラ軸53が振り分け案内され、ブロック体123へ導かれる。
【0038】
ブロック体123は、案内ローラ54を移動案内部93または中間案内部95へ案内する被案内体振り分け部分151,152と、ローラ軸53を移動案内部93または中間案内部95へ案内する支持軸振り分け部分153とから構成されており、支持軸振り分け部分153は、被案内体振り分け部分151,152の中に位置される状態で、その下部に形成されている。
【0039】
振り分け案内体124により主搬送経路Aの方向へ直進するように案内されたローラ軸53は、支持軸振り分け部分153のローラ軸直進案内面153aに案内され、また案内ローラ54が被案内体振り分け部分151のローラ直進案内面151aおよび被案内体振り分け部分152のローラ直進案内面152aに案内され、ローラ軸53および案内ローラ54は直進案内される。これにより物品横押し体52は物品Dに作用せず、この物品Dは主搬送経路A上を直進状に搬送される。
【0040】
また、振り分け案内体124により分岐経路B,Cの方向へ傾斜するように案内されたローラ軸53は、支持軸振り分け部分153のローラ軸傾斜案内面153bに傾斜案内され、また案内ローラ54が被案内体振り分け部分152のローラ傾斜案内面152bに傾斜案内され、続いて移動案内部93に案内されて内側へ移動される。これにより物品横押し体52は、搬送方向に移動しながら主搬送経路Aを横切ることになり、物品Dに横押し作用して、この物品Dを、その向きを変えながら、主搬送経路Aに対して傾斜状で分岐移動させ、他方の分岐コンベヤ85に渡す。このように、往路案内装置90により、物品横押し体52は主搬送経路Aまたは分岐経路B,Cへ振り分けられる。
【0041】
また各往路案内装置90の下流にそれぞれ、図1および図3に示すように、ローラ軸53(案内ローラ54)が外れた摺動部71を検出する外れ検出装置(検出手段の一例)101を設け、この外れ検出装置101の動作により無端チェーン40の駆動を緊急停止し、物品Dの搬送を停止している。
【0042】
各外れ検出装置101は、往路案内装置90の移動案内部(ガイドレール)93に沿ってその下流全体に渡って設けられ前記シューピン部の部材(摺動部71の下方に残ったスリット外方のシューピン部の部材)79aが接触する、断面L字形状の1枚のプレートからなり、このプレートの屈曲部を中心に回転可能に設置された検出ドグ(検出体の一例)102と、検出ドグ102が垂直状態のときに動作し、前記シューピン部の部材79aが接触し検出ドグ102が回転(転倒)すると非動作となる磁気スイッチ(検出器の一例)103から構成され、磁気スイッチ103が検出ドグ102を検出しなくなることで、前記シューピン部の部材79aが接触して検出ドグ102が回転(転倒)しローラ軸53(案内ローラ54)が摺動部71より外れたことを検出している。また検出ドグ102に、物品支持体50が接触しないように、上端の高さを、物品支持体50の移動レベル未満とし、上述したように物品支持体50とともに移動する摺動部41のシューピン部の部材79aが接触可能な高さ位置としている。
【0043】
また図10に示すように、物品支持体50が物品Dの搬送方向と逆の方向へ移動する復路で、かつ下位フレーム材20の横連結部材5上には、往路案内装置90により移動された物品横押し体52を左右方向の一方の側に移動させて揃える復路案内装置96が配設されている。この復路案内装置96は、物品横押し体52の案内ローラ54を前記片側(分岐経路B,Cとは反対の側)へ戻す(案内する)、他方の側(分岐経路B,C側)から下手側ほど内側へと傾斜し片側(分岐経路B,Cとは反対の側)へ到る移動案内部(ガイドレール)97と、この移動案内部97の終端に配設され、物品横押し体52の案内ローラ54を直進案内するリターン案内部(ガイドレール)98とから構成されている。
【0044】
上記構成による、物品Dの搬送および分岐の動作を説明する。
起動スイッチ(図示せず)の操作に基づいて、その起動指令により駆動装置34の電動機35を作動させ、減速機36に連動した駆動軸31を介して駆動用スプロケット39を強制回転させることで、両無端チェーン40を移動し得る。この両無端チェーン40の移動によって物品支持体50群を、回転体57を介して両案内レール部18,21の上向き支持面に支持案内させるとともに、サイドローラ58を介して往路側案内レール部18および上端延長部22の横向き案内面に案内させることで、安定した状態で移動し得る。これにより物品支持体50群が循環移動することから、始端部の物品支持体50群上に供給された物品Dは主搬送経路Aに沿って搬送される。
【0045】
このような搬送を行う際に、物品支持体50群と一体的に移動する物品横押し体52は、その案内ローラ54が案内装置90,96群に案内されることによって、物品支持体50の長さ方向51に往復移動したり、物品支持体50とともに主搬送経路Aに沿って直線状に移動したりする。その際に物品横押し体52の往復移動は、物品支持体50に案内される状態で、すなわち、好適な摺接摩擦が生じた状態で、ガタつきがなく、かつ姿勢(向き)を大きく変化させることなく、常に安定して行える。
【0046】
すなわち、始端案内部91に案内されている案内ローラ54は、振り分け手段92が動作していないとき(振り分け案内体124が直進方向に制御されているとき)、図3の軌跡aに示すように直進案内され、そして中間案内部95に案内される状態で直進する。これにより物品横押し体52は物品Dに作用せず、この物品Dは主搬送経路A上を直進状に搬送される。
【0047】
また、始端案内部91に案内されている案内ローラ54は、振り分け手段92が動作したとき(振り分け案内体124が分岐経路B,Cへ傾斜するように制御されているとき)、図3の軌跡dに示すように、始端案内部91から移動案内部93へ案内され、この移動案内部93に案内されて内側へ移動されて終端案内部94に案内される。これにより物品横押し体52群は、搬送方向に移動しながら主搬送経路Aを横切ることになり、物品横押し体52群が物品Dに横押し作用して、この物品Dを、その向きを変えながら、主搬送経路Aに対して傾斜状で分岐移動させ、外方の分岐コンベヤ85に渡すことになる。
【0048】
このようにして終端案内部94の端部に達した案内ローラ54は主搬送経路Aの終端で反転する。そして復路案内装置96においては、移動案内部97に案内されて前記片側へと移動される。
【0049】
そして、物品Dの搬送および仕分けを終了するときには、停止スイッチ(図示せず)の停止指令により駆動装置34の電動機35を所定の減速度で停止させ、両無端チェーン40を所定の減速度で停止させる。
【0050】
また案内ローラ54が、移動案内部(ガイドレール)93へ案内され、物品横押し体52が物品Dに横押し作用して、この物品Dを、その向きを変えながら、主搬送経路Aに対して傾斜状で分岐移動させている途中で、物品Dが物品横押し体52との間に挟まれる等により物品Dおよび物品横押し体52に所定値を越える外力が作用したとき、スリット内方のシューピン部79の部材79bが折れて破損し、摺動部71よりローラ軸53が外れる。よって、物品横押し体52および搬送している物品Dに前記外力が作用しなくなり、物品支持体50、物品横押し体52および搬送している物品Dに前記外力が続いて悪影響が及ぶ恐れが解消される。
【0051】
このとき、ローラ軸53は移動案内部93に残され、図3の軌跡bまたは軌跡cに示すように、ローラ軸53が外れた摺動部71は物品支持体50とともに搬送方向へ移動する。そして摺動部71の下方にスリット外方のシューピン部の部材79aが残っていることから、このシューピン部の部材79aが、検出ドグ102に接触して転倒させ、磁気スイッチ103が非動作となって、ローラ軸53(案内ローラ54)が外れたこと(ローラ軸53の分離)が直後に検出され、この検出に基づいて駆動装置34へ停止指令が出力され、両無端チェーン40が緊急停止され、物品Dの搬送がその場で停止される。よって、前記外力の作用を受けた物品Dおよびその仕分け位置が確認され、ローラ軸53が外れた物品横押し体52を早急に復旧することが可能となる。
【0052】
以上のように本実施の形態によれば、横押し作用部72に所定値以上の外力が作用するとローラ軸53が摺動部71より外れることにより、物品支持体70、物品横押し体72、および搬送している物品Dに、前記外力が続いて悪影響が及ぶことを回避でき、また往路案内装置90の下流に設けられた外れ検出装置101によりローラ軸53が外れた摺動部71を検出することにより、ローラ軸53の分離を直後で最も速く検出でき、この検出により無端チェーン40の駆動を緊急停止し、物品Dの搬送を停止することにより、前記外力の作用を受けた物品Dおよびその仕分け位置を確認でき、ローラ軸53が外れた物品横押し体52を早急に復旧することができる。また各往路案内装置90の下流にそれぞれ外れ検出装置101が設けられていることから、動作した外れ検出装置101を確認することにより、摺動部71よりローラ軸53が外れた場所を容易に特定することができる。
【0053】
また本実施の形態によれば、横押し作用部72に所定値以上の外力が作用すると、スリット内方のシューピン部の部材79bが常に破損することにより、外力が作用した場合に破損する箇所が常に特定され、他の物品横押し体52の部位や物品支持体50が破損する恐れを回避でき、また復旧を容易とすることができる。
【0054】
また本実施の形態によれば、摺動部71よりローラ軸53体が外れた位置が往路案内装置90の移動案内部93のどの位置であろうと、確実に検出ドグ102に、スリット外方のシューピン部の部材79aが接触し、磁気スイッチ103が動作して摺動部72よりローラ軸53が外れたことが検出されることにより、複数の検出ドグを往路案内装置90の移動案内部93に沿って並べること無く、確実に簡単な1枚プレートの検出ドグ102の構成で、摺動部71よりローラ軸53が外れたことを検出することができる。
【0055】
また本実施の形態によれば、正常に物品横押し体52が移動した後の物品支持体50が通過するときに、検出ドグ102に物品支持体50が接触することが回避されることにより、外れ検出装置101の誤動作を回避することができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、物品支持体50を、型レール状に構成したスラットとしているが、型レール状に限ることはなく、筒状や棒状等でもよく、前後の物品支持体50により物品Dを支持できるものであればよい。また物品横押し体52の横押し作用部72の形状は、物品Dの側方に作用できる形状であればその形状は問わない。
【0057】
また実施の形態では、図4および図5に示すように、物品横押し体52の作用により主搬送経路Aより搬送方向右側の分岐経路B,Cへ物品Dを搬出しているが、図11(a)に示すように、物品Dを搬送の流れに従って右側の分岐経路Bまたは左側の分岐経路Eへ搬出するようにすることもでき、図11(b)に示すように、同じ位置に配置した右側の分岐経路Bと左側の分岐経路Eの一方を選択して搬出するようにすることもできる。また図11(c)に示すように、物品横押し体52の作用により、主搬送経路Aの上流端に並列に配置された複数(図では2本)の搬入経路Fから搬入された物品Dを、下流端に配置された1本の搬出経路Gへ搬出するとき、物品Dを搬送中に物品Dの位置を搬出経路Gの位置に合わせて移動させるようにすることができ、あるいは図11(d)に示すように、主搬送経路Aの上流端に配置された1本の搬入経路Fから搬入された物品Dを、下流端に並列に配置された複数(図では2本)の搬出経路Gへ選択して搬出するとき、物品Dを搬送中に物品Dの位置を選択した一方の搬出経路Gに合わせて移動させるようにすることもできる。また図11(e)に示すように、物品横押し体52の作用により、主搬送経路Aを搬送中の物品Dの位置を単に左右方向へ移動させることもできる。なお、図11(c)〜(e)では、複数の物品横押し体52を同時に左右方向へ移動させて物品Dを並行に移動させているが、図11(a),(b)に示すように、複数の物品横押し体52を順に斜めに移動させて物品Dを斜めに移動させて、目的の左右位置まで移動させるようにすることもできる。
【0058】
また実施の形態では、外れ検出装置101の検出器を磁気スイッチにより構成しているが、光電スイッチやリミットスイッチにより構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態における搬送設備の物品支持体と物品横押し体の断面、および外れ検出装置の構成を示す図である。
【図2】同搬送設備の物品支持体および物品横押し体の要部斜視図である。
【図3】同搬送設備の物品横押し体の正常時の軌跡と異常時の軌跡を示す図である。
【図4】同搬送設備における一部斜視図である。
【図5】同搬送設備の概略平面図である。
【図6】同搬送設備の概略側面図である。
【図7】同搬送設備の一部切り欠き正面図である。
【図8】同搬送設備の要部の一部切り欠き正面図である。
【図9】同搬送設備の往路案内装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は要部拡大平面図である。
【図10】同搬送設備の復路案内装置の平面図である。
【図11】同搬送設備において、物品横押し体により物品へ作用する他の形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0060】
A 主搬送経路
B,C,E 分岐経路
D 物品
1 本体フレーム
10 上位フレーム材
20 下位フレーム材
30 従動軸
31 駆動軸
34 駆動装置
38 従動用スプロケット(輪体)
39 駆動用スプロケット(輪体)
40 無端チェーン(無端回動体)
50 物品支持体
52 物品横押し体
53 ローラ軸
54 案内ローラ
61 載置板部
62 前板部
63 後板部
64 前脚板部
65 後脚板部
66 前部の緩衝用区画空間
67 後部の緩衝用区画空間
68 案内用区画空間
71 摺動部
72 横押し作用部
74 前板
75 後板
76 底板
77 被嵌合部
78 当接部材
79 シューピン部(固定部)
79a スリット外方のシューピン部の部材
79b スリット内方のシューピン部の部材
80 スリット(切り込み)
90 往路案内装置
91 始端案内部
92 振り分け手段
93 移動案内部
94 終端案内部
95 中間案内部
96 復路案内装置
101 外れ検出装置
102 検出ドグ
103 磁気スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の搬送方向の上流端と下流端にそれぞれ回転自在に左右一対の輪体を配置し、これら上流端と下流端の左右一対の輪体にそれぞれ左右一対の無端回動体を張設し、これら左右の無端回動体間に渡って前記物品を支持する複数の物品支持体を設け、前記無端回動体を駆動することによって、前記物品支持体を前記搬送方向へ移動させ、前記物品支持体に支持された物品を前記搬送方向へ搬送する搬送設備であって、
前記各物品支持体にそれぞれ、この物品支持体に外嵌して案内され物品支持体上の物品の側方に作用する物品横押し体を設け、
前記各物品横押し体を、前記物品支持体に移動自在に外嵌された摺動部と、この摺動部上に設けられ前記物品支持体上に載置された物品の側方に作用する横押し作用部と、前記摺動部下に設けられ被案内体を回転自在に支持する支持軸から構成し、前記横押し作用部に所定値以上の外力が作用すると前記支持軸が前記摺動部より外れる構成とし、
前記物品支持体が前記搬送方向へ移動する往路に、前記被案内体に作用して、前記物品横押し体を前記物品支持体に案内することにより、前記物品支持体上の物品の側方に前記横押し作用部を作用させて前記物品を左右方向へ移動させる複数の往路案内装置を設け、
前記各往路案内装置の下流にそれぞれ、前記支持軸が前記摺動部より外れたことを検出する検出手段を設け、各検出手段の動作により前記無端回動体の駆動を停止し、前記物品の搬送を停止すること
を特徴とする搬送設備。
【請求項2】
前記摺動部の下方で前記支持軸の周りを固定する固定部に、前記支持軸の周囲に沿って切り込みを入れ、前記横押し作用部に所定値以上の外力が作用すると、前記切り込み内方の固定部の部材が破損して前記支持軸が前記摺動部より外れ、前記切り込み外方の固定部の部材が前記摺動部の下方に残る構成としたこと
を特徴とする請求項1に記載の搬送設備。
【請求項3】
前記検出手段は、前記被案内体を左右方向へ案内する前記往路案内装置の移動案内部全体に渡ってその下流に設けられ前記切り込み外方の固定部の部材が接触する検出体と、前記検出体に前記切り込み外方の固定部の部材が接触したことを検出する検出器から構成したこと
を特徴とする請求項2に記載の搬送設備。
【請求項4】
前記検出手段の検出体は、前記搬送方向へ移動する物品支持体が接触しない高さに配置されていること
を特徴とする請求項3に記載の搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−115004(P2008−115004A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302177(P2006−302177)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】