説明

携帯型情報端末

【課題】 本体を手で持ったときに、手のひらがキーに当たって誤操作が発生してしまうことを極力防止する。
【解決手段】 本発明の携帯型情報端末1は、光学情報読取機能を有するものであって、本体2の側面部にトリガスイッチ6を配置し、本体2の上面部に表示器7とキーボード8を配置したものにおいて、キーボード8のキーのうちの、本体2を手で持ったときに手のひらが当たる部位に配置されたキー11の操作力を大きく設定するように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードや2次元コード等の光学情報を読み取る機能を備えた携帯型情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の携帯型情報端末である例えばバーコードハンディターミナルは、その本体の上面部に表示器とキーボードを配置している。そして、バーコードハンディターミナルの本体を手で持ったときに、本体の上面部における握り部側にキーボードが配置され、反対側(読取口が配設されている側)に表示器が配置されている。
【特許文献1】特開平10−31929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記構成のバーコードハンディターミナルの場合、手で本体を持ったときに、手のひらがキーボードのキーに当たって、キーを誤操作してしまうことがあった。そして、キーを誤操作すると、読み取った情報を変えてしまうなどの異常処理が発生する。特に、近年普及している無線を用いてバーコードハンディターミナルとホストコンピュータとの間でリアルタイムにデータを送受信するシステムの場合、上記異常処理を修正するのに、かなりの時間を要するという問題点があった。
【0004】
ここで、キーの誤操作を防止する構成の一例として、特許文献1に記載されたキーパッド構造がある。この構成においては、キーの形状とキーの配置ピッチ(配置間隔)との関係を規定することにより、複数のキーを同時に押してしまうことを防止している。しかし、この構成をバーコードハンディターミナルに適用したとしても、複数のキーの同時押しを防止できても、手で本体を持ったときに、手のひら(特には、手の腹の部分、即ち、手のひらのうちの手首に近い周辺部分)がキーボードのキーに当たって、キーを誤操作してしまうおそれがある。
【0005】
また、キーの誤操作を防止する構成の他の例として、キーボード全体の大きさを小さくして、手の腹の部分が当たる部位にキーが配置されないようにする構成が比較的容易に考えられる。しかし、このように構成すると、キーボード全体の大きさが小さくなることから、キーボードに設けられた各キーの大きさがかなり小さくなってしまい、キー操作し難いという問題点が発生する。
【0006】
そこで、本発明の目的は、本体を手で持ったときに、手のひらがキーに当たって誤操作が発生してしまうことを極力防止できる携帯型情報端末を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の携帯型情報端末は、光学情報読取機能を有するものであって、本体の側面部に読取操作を指示するトリガスイッチを配置し、前記本体の上面部に表示器とキーボードを配置するように構成されたものにおいて、前記キーボードのキーのうちの、前記本体を手で持ったときに手のひらが当たる部位に配置されたキーの操作力を大きくするように構成したところに特徴を有する。この構成によれば、本体を手で持ったときに、手のひらがキーに当たったとしても、キーの操作力が大きいため、キーの誤操作の発生を極力防止することができる。
【0008】
本発明の他の携帯型情報端末は、光学情報読取機能を有するものであって、本体の側面部に読取操作を指示するトリガスイッチを配置し、前記本体の上面部に表示器とキーボードを配置するように構成されたものにおいて、前記キーボードにおける反読取口側の端部からほぼ1/3の領域に配置されたキーの操作力を大きくするように構成したところに特徴を有する。
【0009】
また、上記各構成の場合、前記キーボードのキーのうちの、操作力を大きくしたキーには、使用頻度の低いキーを割り当て、操作力を通常の大きさのままにしたキーには、使用頻度の高いキーを割り当てるように構成することが好ましい。更に、前記キーボードのキーがキートップ部及びスカート部を有するように構成されているときには、前記スカート部の厚み寸法を厚くすることにより、キーの操作力を大きくすることがより一層好ましい構成である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明をバーコードハンディターミナルに適用した一実施例について、図面を参照しながら説明する。まず、図1は本実施例のバーコードハンディターミナル(携帯型情報端末)1の上面図であり、図2はバーコードハンディターミナル1を手で持った様子を示す斜視図である。これら図1及び図2に示すように、バーコードハンディターミナル1の本体2は、手で握る部分である握り部3と、この握り部3よりも少し幅広の部分である読取部4とから構成されている。
【0011】
本体2の先端部、すなわち、読取部4の先端部(図1中の上端部、図2中の左端部)は、下方へ向けて斜めに曲がっており、この曲がった部分の先端に読取口5が設けられている。本体2の両側面部2a、2aにおける中間部、即ち、読取部4のうちの握り部3側の端部に、読取操作を指示するトリガスイッチ6、6が配設されている。
そして、本体2の上面部2bには、表示器7とキーボード8が配設されている。表示器7は、例えば液晶ディスプレイからなり、本体2の上面部2bにおける読取部4側(図1中の上半部側)に設けられている。キーボード8は、本体2の上面部2bにおける握り部3側(図1中の下半部側)に設けられている。このキーボード8には、押圧操作可能なオシボタンキーが複数設けられている。
【0012】
上記キーボード8には、図1に示すように、3つの領域、即ち、上部キー領域8a、中部キー領域8b、下部キー領域8cが設けられている。下部キー領域8cは、キーボード8における反読取口5側の端部からほぼ1/3の領域である。また、下部キー領域8cは、図2に示すように、本体2を手で持ったときに、手のひら、特には、手の腹の部分(即ち、手のひらのうちの手首に近い周辺部分)が当たる領域である。
【0013】
尚、本体2を手で持つ場合、ハンドストラップ9に手(手首)を通すようにしている。このハンドストラップ16は、本体2の図1中の下部右端部に設けられたハンドストラップ取付部10に取り付けられている。
そして、この構成の場合、上部キー領域8aには、使用頻度の高い複数のファンクションキー11が配設されている。中部キー領域8bには、やはり使用頻度の高い複数のテンキー12が配設されている。下部キー領域8cには、使用頻度の低い複数のファンクションキー13が配設されている。ここで、上部キー領域8a及び中部キー領域8bに配設されたファンクションキー11及びテンキー12の操作力(即ち、キーを押圧操作するときの操作圧力)は、通常の大きさである例えば1.3N程度に設定されている。
【0014】
これに対して、下部キー領域8cに配設されたファンクションキー13の操作力は、通常の大きさよりも大きく、例えば2.6N程度に設定されている。
ここで、キーボード8の各キー11、12、13の具体的構造について、図3及び図4を参照して説明する。ファンクションキー11及びテンキー12は、図3に示すように、キートップ部14と、スカート部15とから構成されている。スカート部15は、キーベース16に一体に形成されている。スカート部15及びキーベース16は、弾性部材例えばシリコンラバーで構成されている。
【0015】
尚、スカート部15に一体に設けられた凸部17の下面に、図示しない可動接点が設けられ、更に、凸部17の下方に、上記可動接点と接離する図示しない固定接点が設けられている。
この構成の場合、指でキートップ部14を押下(押圧)操作すると、スカート部15が弾性変形するように構成されている。そして、指をキートップ部14から離すと、スカート部15の復元力でキートップ部14が元の位置に戻るように構成されている。
【0016】
即ち、スカート部15の厚み寸法tで、キートップ部14(キー)の操作力が設定される構成となっている。本実施例の場合、上部キー領域8a及び中部キー領域8bに配設されたファンクションキー11及びテンキー12については、操作力が例えば1.3N程度になるように、スカート部13の厚み寸法tが決められている。
一方、下部キー領域8cに配設されたファンクションキー13については、操作力が例えば2.6N程度になるように、スカート部15の厚み寸法t1が決められており、このファンクションキー13の具体的構造を図4に示す。
【0017】
この図4に示すように、ファンクションキー13のスカート部15の厚み寸法t1は、ファンクションキー11及びテンキー12のスカート部15の厚み寸法t(図3参照)よりも厚くなっている。
このような構成の本実施例によれば、キーボード8のキーのうちの、本体2を手で持ったときに手のひらが当たる部位(下部領域8c)に配置されたキー(ファンクションキー13)の操作力を大きくするように構成したので、本体2を手で持ったときに、手のひら(手の腹)がキー13に当たったとしても、キー13の操作力が通常のものよりも大きいため、キー13の誤操作が発生することを極力防止することができる。
【0018】
また、上記実施例においては、操作力を大きくしたキー13には、使用頻度の低いキー(ファンクションキー13)を割り当て、操作力を通常の大きさのままにしたキー11、12には、使用頻度の高いキー(ファンクションキー11、テンキー12)を割り当てるように構成したので、使用頻度の高いキーの操作力は通常のままであるから、操作性が悪くなることがない。
【0019】
更に、上記実施例においては、キー13のスカート部15の厚み寸法t1を厚くすることにより、キー13の操作力を大きくするように構成したので、簡単な構成にて容易にキー13の操作力を大きく設定することができる。
尚、上記実施例においては、バーコードハンディターミナル1に適用したが、他の携帯型情報端末、例えば2次元コードハンディターミナルに適用しても良い。
【0020】
また、上記実施例においては、図3及び図4に示すスイッチ構造を備えたキー11、12、13(即ち、オシボタンスイッチ)に適用したが、これに限られるものではなく、他のスイッチ構造、例えばエンボスタイプのメンブレンスイッチや金属ドームタイプのメンブレンスイッチやメカニカルスイッチ等に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例を示すバーコードハンディターミナルの上面図
【図2】バーコードハンディターミナルを手で持った様子を示す斜視図
【図3】通常の操作力のキーの縦断面図
【図4】操作力を大きくしたキーの縦断面図
【符号の説明】
【0022】
図面中、1はバーコードハンディターミナル、2は本体、5は読取口、6はトリガスイッチ、7は表示器、8はキーボード、11はファンクションキー、12はテンキー、13はファンクションキー、15はスカート部、16はキーベースを示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学情報読取機能を有するものであって、本体の側面部に読取操作を指示するトリガスイッチを配置し、前記本体の上面部に表示器とキーボードを配置するように構成された携帯型情報端末において、
前記キーボードのキーのうちの、前記本体を手で持ったときに手のひらが当たる部位に配置されたキーの操作力を大きくするように構成したことを特徴とする携帯型情報端末。
【請求項2】
光学情報読取機能を有するものであって、本体の側面部に読取操作を指示するトリガスイッチを配置し、前記本体の上面部に表示器とキーボードを配置するように構成された携帯型情報端末において、
前記キーボードにおける反読取口側の端部からほぼ1/3の領域に配置されたキーの操作力を大きくするように構成したことを特徴とする携帯型情報端末。
【請求項3】
前記キーボードのキーのうちの、操作力を大きくしたキーには、使用頻度の低いキーを割り当て、操作力を通常の大きさのままにしたキーには、使用頻度の高いキーを割り当てるように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の携帯型情報端末。
【請求項4】
前記キーボードのキーがキートップ部及びスカート部を有するように構成されているときには、前記スカート部の厚み寸法を厚くすることにより、キーの操作力を大きくしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の携帯型情報端末。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−79343(P2006−79343A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262574(P2004−262574)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】