説明

携帯型画像表示装置、その制御方法、プログラム及び情報記憶媒体

【課題】表裏両面に表示画面を備える場合に、ユーザによる携帯型画像表示装置の取り扱い方に応じた態様で、表示画面に画像を表示することのできる携帯型画像表示装置を提供する。
【解決手段】平板状の筐体の表面に設けられた第1表示画面と、当該筐体の第1表示画面とは反対側の面に設けられた第2表示画面と、を備え、第1表示画面がユーザに向けられる第1状態、及び第2表示画面がユーザに向けられる第2状態をそれぞれ特定し、第1状態及び第2状態の一方から他方への遷移が生じる際の筐体の姿勢変化の態様に応じて、ユーザに向けられる表示画面に表示する画像を変化させる携帯型画像表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが携帯して使用する携帯型画像表示装置、その制御方法、プログラム及び情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型ゲーム機、携帯電話、携帯情報端末(PDA)など、ユーザが携帯して使用でき、ユーザに各種の情報を提示する表示画面を備えた各種の画像表示装置が登場している(例えば特許文献1参照)。このような携帯型画像表示装置は、ユーザの操作入力に応じて各種の情報処理を実行して、その結果を表示画面に表示する。
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0202956号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような携帯型画像表示装置において、多様な方法でユーザに情報を提示できるようにするため、本願発明者らは、携帯型画像表示装置の表裏両面に表示画面を設けることを検討している。この場合、ユーザが携帯型画像表示装置を手で持って、両方の表示画面を閲覧する際には、様々な取り扱い方をすることが予想される。そのため、このようなユーザによる携帯型画像表示装置の取り扱い方を考慮して、表示画面に画像を表示する必要がある。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、表裏両面に表示画面を備える場合に、ユーザによる携帯型画像表示装置の取り扱い方に応じた態様で、表示画面に画像を表示することのできる携帯型画像表示装置、その制御方法、プログラム及び情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明に係る携帯型画像表示装置は、平板状の筐体の表面に設けられた第1表示画面と、前記筐体の前記第1表示画面とは反対側の面に設けられた第2表示画面と、前記第1表示画面がユーザに向けられる第1状態、及び前記第2表示画面がユーザに向けられる第2状態をそれぞれ特定する状態特定手段と、前記第1状態及び前記第2状態の一方から他方への遷移が生じる際の前記筐体の姿勢変化の態様に応じて、ユーザに向けられる表示画面に表示する画像を変化させる表示画像制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、上記携帯型画像表示装置において、前記表示画像制御手段は、前記姿勢変化の態様に応じて、前記遷移後の状態においてユーザに向けられる表示画面に表示する画像の前記筐体に対する向きを変化させることとしてもよい。
【0007】
さらに、上記携帯型画像表示装置において、前記表示画像制御手段は、前記筐体が回転して前記遷移が生じる際の、当該回転の回転軸の前記筐体に対する向きに応じて、当該遷移後の状態においてユーザに向けられる表示画面に表示する画像の前記筐体に対する向きを変化させることとしてもよい。
【0008】
また、上記携帯型画像表示装置において、前記表示画像制御手段は、前記姿勢変化の態様に応じて、前記遷移前の状態においてユーザに向けられる表示画面に表示する画像を、当該遷移が生じる際に変化させることとしてもよい。
【0009】
また、上記携帯型画像表示装置において、前記筐体は、略矩形の平板状であって、前記筐体の側面には、それぞれユーザの指が触れた位置を検知する複数のタッチセンサが設けられていることとしてもよい。
【0010】
また、本発明に係る携帯型画像表示装置の制御方法は、平板状の筐体の表面に設けられた第1表示画面と、前記筐体の前記第1表示画面とは反対側の面に設けられた第2表示画面と、を備える携帯型画像表示装置の制御方法であって、前記第1表示画面がユーザに向けられる第1状態、及び前記第2表示画面がユーザに向けられる第2状態をそれぞれ特定するステップと、前記第1状態及び前記第2状態の一方から他方への遷移が生じる際の前記筐体の姿勢変化の態様に応じて、ユーザに向けられる表示画面に表示する画像を変化させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、平板状の筐体の表面に設けられた第1表示画面と、前記筐体の前記第1表示画面とは反対側の面に設けられた第2表示画面と、を備える携帯型画像表示装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記第1表示画面がユーザに向けられる第1状態、及び前記第2表示画面がユーザに向けられる第2状態をそれぞれ特定する状態特定手段、及び前記第1状態及び前記第2状態の一方から他方への遷移が生じる際の前記筐体の姿勢変化の態様に応じて、ユーザに向けられる表示画面に表示する画像を変化させる表示画像制御手段、として前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1(a)及び図1(b)は、本発明の一実施形態に係る携帯型画像表示装置1の外観を示す斜視図であって、図1(a)は携帯型画像表示装置1を表面(正面)側から見た様子を、図1(b)は同じ携帯型画像表示装置1を裏面側から見た様子を、それぞれ示している。
【0014】
これらの図に示されるように、携帯型画像表示装置1の筐体10は、全体として略矩形の平板状の形状をしており、その表面に第1表示画面12aが、裏面に第2表示画面12bが、それぞれ設けられている。これらの表示画面は、いずれも略矩形の形状をしており、筐体10の表面又は裏面の大部分を占めるように配置されている。第1表示画面12a及び第2表示画面12bは、例えば液晶表示パネルや有機EL表示パネル等、画像の表示が可能な各種のデバイスであってよい。また、これらの表示画面に対して、ユーザの指などが触れた位置を検知可能なタッチパネルが重ねて配置されることとしてもよい。
【0015】
さらに、本実施形態に係る携帯型画像表示装置1では、表示画面の外周を構成する4辺のそれぞれに沿って、4つのタッチセンサが設けられている。これらのタッチセンサは筐体10の四方の側面それぞれに配置されており、それぞれ直線状の検知領域を備えている。このように筐体10の側面に配置されることで、各タッチセンサは、筐体10の表面に配置された第1表示画面12aの外周の一辺、及び裏面に配置された第2表示画面12bの外周の一辺、の双方に沿って配置されることとなる。
【0016】
具体的に、本実施形態では、第1表示画面12a及び第2表示画面12bの長辺方向(左右方向)に沿った側面に、第1タッチセンサ14a及び第3タッチセンサ14cが、第1表示画面12a及び第2表示画面12bの短辺方向(上下方向)に沿った側面に、第2タッチセンサ14b及び第4タッチセンサ14dが、それぞれ配置されている。
【0017】
これらのタッチセンサは、携帯型画像表示装置1を使用するユーザの指が触れた位置を検知するために用いられる。各タッチセンサは、例えば静電容量式や感圧式、光学式など各種の方式のものであってよい。また、各タッチセンサは、ユーザの指が触れた位置だけでなく、例えば指の接触面積や圧力などを検知することによって、ユーザの指がタッチセンサを押さえる強さを検知することとしてもよい。これらのタッチセンサがユーザの指の位置を検知することによって、携帯型画像表示装置1は、第1表示画面12aや第2表示画面12bの外周に沿った方向のユーザの指の位置を、操作入力として受け付けることができる。
【0018】
また、筐体10表面には、第1表示画面12aに隣接して第1遠赤外線センサ16aが設けられている。さらに、筐体10裏面には、第2表示画面12bに隣接して第2遠赤外線センサ16bが設けられている。これらの遠赤外線センサは、熱源から放射される遠赤外線を検知する。これによって、携帯型画像表示装置1は、各遠赤外線センサの前方にユーザがいるか否かを検知することができる。なお、携帯型画像表示装置1は、遠赤外線センサに代えて、またはこれに加えて、例えばCCDカメラなど、ユーザの位置を検知可能な各種のデバイスを備えることとしてもよい。
【0019】
また、携帯型画像表示装置1の筐体10の内部には、加速度センサ18及びジャイロセンサ20が配置されている。加速度センサ18は3軸加速度センサであって、筐体10に対して設定された3つの基準軸(X軸、Y軸及びZ軸)それぞれの方向に生じる加速度を検知する。ここで、3つの基準軸は互いに略直交しており、X軸は筐体10表面の矩形の長辺方向、Y軸は矩形の短辺方向、Z軸は筐体10の厚さ方向にそれぞれ設定されているものとする。重力によって各基準軸に生じる加速度を加速度センサ18が検知することによって、携帯型画像表示装置1は、自分自身の姿勢(すなわち、重力が働く鉛直方向に対する筐体10の傾き)を検知することができる。
【0020】
ジャイロセンサ20は、ジャイロ基準軸(ここではZ軸)を中心とした回転の角速度を検知し、当該検知した角速度に応じた電気信号を出力する。例えばジャイロセンサ20は圧電振動型ジャイロなどであってよい。ジャイロセンサ20によって検知される角速度を積分することで、携帯型画像表示装置1はZ軸を基準とした筐体10の回転角を算出することができる。
【0021】
なお、図1には示されていないが、携帯型画像表示装置1は、タッチセンサ以外にも、例えばボタンやスイッチなど、ユーザの操作入力を受け付けるための各種の操作部材を筐体10の表面や裏面、側面などに備えることとしてもよい。
【0022】
図2は、携帯型画像表示装置1の内部構成を示す構成ブロック図である。同図に示されるように、携帯型画像表示装置1は、制御部30と、記憶部32と、画像処理部34と、を含んで構成されている。制御部30は、例えばCPU等であって、記憶部32に格納されているプログラムに従って、各種の情報処理を実行する。記憶部32は、例えばRAMやROM等のメモリ素子や、ディスクデバイスなどであって、制御部30によって実行されるプログラムや各種のデータを格納する。また、記憶部32は、制御部30のワークメモリとしても機能する。
【0023】
画像処理部34は、例えばGPUとフレームバッファメモリとを含んで構成され、制御部30が出力する指示に従って、第1表示画面12a及び第2表示画面12bのそれぞれに表示する画像を描画する。具体例として、画像処理部34は第1表示画面12a及び第2表示画面12bのそれぞれに対応した2つのフレームバッファメモリを備え、GPUは、制御部30からの指示に従って、所定時間おきにこれら2つのフレームバッファメモリのそれぞれに対して画像を書き込む。そして、これらのフレームバッファメモリに書き込まれた画像が、所定のタイミングでビデオ信号に変換されて、それぞれ対応する表示画面に表示される。
【0024】
本実施形態では、制御部30は、タッチセンサ14a〜14d、遠赤外線センサ16a及び16b、加速度センサ18、並びにジャイロセンサ20のそれぞれによる検知結果などに基づいて、各種の処理を実行し、その結果を第1表示画面12a又は第2表示画面12bに表示する。例えば制御部30は、複数のプログラムを実行し、これらのプログラムそれぞれによって生成される2種類の画像を、第1表示画面12a及び第2表示画面12bに表示してもよい。あるいは、一つのプログラムによって生成される主画像と副画像とを、第1表示画面12a及び第2表示画面12bに表示してもよい。ユーザは、場合によって携帯型画像表示装置1の筐体10を反転させることによって、あるときは第1表示画面12aを閲覧し、また別のときには第2表示画面12bを閲覧しながら携帯型画像表示装置1を使用する。
【0025】
以下、本実施形態において、制御部30が実行する処理の具体例について、説明する。本実施形態では、制御部30は、第1表示画面12aがユーザに向けられる状態(以下、第1状態という)及び第2表示画面12bがユーザに向けられる状態(以下、第2状態という)のそれぞれを特定する。そして、この2つの状態間の遷移が生じる際の筐体10の姿勢変化の態様に応じて、ユーザに向けられる表示画面に表示する画像を変化させる処理を実行する。このような処理を実行するため、携帯型画像表示装置1は、機能的に、図3に示すように、状態特定部40と、表示画像制御処理部42と、を含んでいる。また、本実施形態では、表示画像制御処理部42は、機能的に、姿勢変化特定部42aと、画像方向変更部42bと、を含んでいる。これらの機能は、制御部30が記憶部32に格納されたプログラムを実行することにより実現される。このプログラムは、例えば光ディスクやメモリカード等のコンピュータ読み取り可能な各種の情報記憶媒体に格納されて提供されてもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0026】
状態特定部40は、各センサによる検知結果などに基づいて、第1状態、及び第2状態をそれぞれ特定する。具体例として、状態特定部40は、第1遠赤外線センサ16a及び第2遠赤外線センサ16bの検知結果に応じて、第1状態及び第2状態を特定する。すなわち、第1遠赤外線センサ16aがユーザの存在を検知している場合には、当該第1遠赤外線センサ16aと同じ筐体10の面に配置された第1表示画面12aがユーザに向けられる第1状態にあると判定し、第2遠赤外線センサ16bがユーザの存在を検知している場合には、第2表示画面12bがユーザに向けられる第2状態にあると判定する。
【0027】
表示画像制御処理部42は、状態特定部40によって特定される状態の遷移が生じる際の筐体10の姿勢変化の態様に応じて、第1表示画面12a及び/又は第2表示画面12bに表示する画像を変化させる制御を行う。
【0028】
具体的に、まず姿勢変化特定部42aは、第1状態及び第2状態の一方から他方への遷移が生じる際の筐体10の姿勢変化の態様を特定する。すなわち、一方の状態から他方の状態へと遷移する際の筐体10の姿勢の変化の過程が、予め定められた第1のパターン及び第2のパターンのうち、どちらに該当するのかを特定する。
【0029】
一例として、姿勢変化特定部42aは、筐体10が回転して一方の状態から他方の状態への遷移が生じる際の、当該回転の回転軸の筐体10に対する向きを特定する。例えばそれまで第1表示画面12aを閲覧していたユーザが、反対側の第2表示画面12bを閲覧しようとした場合、ユーザは携帯型画像表示装置1の筐体10をいずれかの向きに90度以上回転させることになる。このとき、状態特定部40は、第1状態から第2状態への状態の遷移が生じることを特定する。加速度センサ18は、当該回転が行われる過程における筐体10の姿勢を検知し、この検知結果に基づいて姿勢変化特定部42aは姿勢変化の過程が第1及び第2のパターンのいずれに該当するかを特定する。例えば姿勢変化特定部42aは、筐体10の回転がY軸を回転軸とするものである場合には、第1のパターンに該当すると判定し、X軸を回転軸とする回転である場合には、第2のパターンに該当すると判定する。
【0030】
図4(a)及び図4(b)は、このような第1のパターン及び第2のパターンの姿勢変化の様子を示す図であり、どちらの図も、第1表示画面12aがユーザに向けられた状態(第1状態)から第2表示画面12bがユーザに向けられた状態(第2状態)へと遷移する過程を示している。図4(a)は第1のパターンの例を示しており、Y軸を中心として筐体10が回転している。その結果、筐体10が180度回転すると、筐体10に対して設定されたX軸及びZ軸の正負方向は反転するが、Y軸の正負方向は変化しない。また、図4(b)は第2のパターンの例を示しており、X軸を中心として筐体10が回転している。その結果、筐体10が180度回転すると、Y軸及びZ軸の正負方向は反転するが、X軸の正負方向は変化しない。
【0031】
姿勢変化特定部42aは、このような姿勢変化の違いを、状態遷移の過程において加速度センサ18が検知する、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに対する加速度の値に応じて判別することができる。すなわち、Y軸を回転軸として筐体10が回転する場合、回転の途中で、X軸方向については、その絶対値が重力加速度Gに近いか、またはそれ以上の加速度が検知される。一方で、Y軸方向については、それほど大きな加速度は検知されない。逆に、X軸を回転軸として筐体10が回転する場合、回転の途中で、Y軸方向については比較的大きな加速度が検知され、X軸方向については比較的小さな加速度しか検知されない。そこで、例えば状態遷移の間においてX軸方向及びY軸方向のそれぞれについて検出される加速度の絶対値の最大値のうち、いずれか小さな方の軸を回転軸として判定することにより、筐体10の姿勢変化の態様を特定できる。
【0032】
なお、ユーザが筐体10の姿勢を変化させる場合、必ずしも厳密にX軸又はY軸の一方の軸を中心として筐体10を回転させるわけではない。だが、この場合にも、同様にX軸及びY軸それぞれの加速度の絶対値の最大値の大小を比較することによって、より最大値が小さな方の軸を回転軸とみなすこととしてもよい。
【0033】
画像方向変更部42bは、姿勢変化特定部42aによって特定された状態遷移の際の姿勢変化の態様に応じて、当該遷移後の状態においてユーザに向けられる表示画面に表示する画像の筐体10に対する向きを変化させる。すなわち、状態特定部40によって第1状態から第2状態への状態の遷移が特定される場合、画像方向変更部42bは、第2状態への遷移後に第2表示画面12bに表示する画像の向きを、姿勢変化特定部42aにより姿勢変化の過程が第1のパターンと判定されたか、あるいは第2のパターンと判定されたかに応じて、変化させる。
【0034】
具体例として、第1表示画面12aに対して、ユーザから見てY軸正方向が上側になり、X軸正方向が右側になるような向きで画像が表示されていた場合、第2状態への遷移後も、ユーザは同じ向きのまま第2表示画面12bに表示される画像を見ると推定される。そこで、画像方向変更部42bは、第1のパターンにより状態遷移が行われた場合(すなわち、ユーザがY軸を回転軸として筐体10を回転させた場合)には、第2表示画面12bに対して、Y軸正方向が上側になり、X軸負方向が右側になるような向きで画像を表示することとする。一方、第2のパターンにより状態遷移が行われた場合(すなわち、ユーザがX軸を回転軸として筐体10を回転させた場合)には、第2表示画面12bに対して、Y軸負方向が上側になり、X軸正方向が右側になるような向きで画像を表示する。これは、第1のパターンのときと画像の向きを上下反転させることによって実現される。
【0035】
図5は、このような状態間の遷移と、表示画像の向きとの間の関係を示す説明図である。なお、上述したような画像の向きの制御により、携帯型画像表示装置1は、第1状態及び第2状態のそれぞれにおいて、Y軸正方向が上側になる向きと、Y軸負方向が上側になる向きと、の2種類の向きで画像を表示させることがありうる。そこで、この図の例においては、第1状態で、かつY軸正方向がユーザから見て上側になる向きで画像を表示する状態を1a状態と表記している。また、Y軸負方向がユーザから見て上側になる向きで画像を表示する状態を2a状態と表記している。さらに、第2状態においても同様に、Y軸正方向がユーザから見て上側になる向きで画像を表示する状態を2a状態と、またY軸負方向が上側になる向きで画像を表示する状態を2b状態と、それぞれ表記する。なお、図中における各表示画面内の破線の矢印は、画像方向変更部42bにより、画像の上側がどちらになるように画像の向きが変更されるかを示している。
【0036】
この図に示されるように、1a状態において第1のパターンの姿勢変化があった場合、携帯型画像表示装置1は2a状態に移行する。逆に第2のパターンの姿勢変化があった場合、2b状態に移行する。また、1b状態において第1のパターンの姿勢変化があった場合、携帯型画像表示装置1は2b状態に移行し、第2のパターンの姿勢変化があった場合には、2a状態に移行する。さらに、同様に2a状態及び2b状態のそれぞれの状態からも、第1のパターン又は第2のパターンの姿勢変化によって、1a状態又は1b状態のいずれかに移行し、これに応じて画像方向変更部42bは、第1表示画面12aに表示する画像の向きを変化させる。このように、状態遷移後にユーザに向けられる表示画面に表示する画像の向きは、状態遷移前においてユーザに向けられる表示画面に表示されていた画像の向きと、状態遷移の際の筐体10の姿勢変化の態様と、に応じて決定される。このように表示画像の筐体10に対する向きを変化させることによって、携帯型画像表示装置1は、どのように筐体10の向きが変化しても、第1表示画面12a及び第2表示画面12bの双方においてユーザに対して同じ向きになるように画像を表示することができる。
【0037】
なお、同図に示されるように、第1状態(又は第2状態)を保ったまま、Z軸を回転軸として筐体10を180度回転させる第3のパターンの姿勢変化があった場合にも、画像方向変更部42bは、第1表示画面12a(又は第2表示画面12b)に表示する画像の向きを、上下反転させることとしてもよい。このような姿勢変化は、ジャイロセンサ20を用いて検知することができる。なお、この場合には、例えばユーザは携帯型画像表示装置1の使用開始時などのタイミングで、1a状態及び1b状態のどちらの向きで画像を表示させるか選択することとする。このような選択がなされた後は、筐体10の姿勢変化に応じて以上説明したような筐体10に対する画像の向きを変化させる制御を実行することで、携帯型画像表示装置1は、ユーザから見て最初に選択された向きと同じ向きで画像を表示することができる。
【0038】
これまでの説明では、状態遷移の際の姿勢変化の態様に応じて、状態遷移後においてユーザに向けられる表示画面に表示する画像の向きを変化させることとしている。しかし、表示画像制御処理部42は、画像の向きに限らず、状態遷移の際の姿勢変化の態様に応じて、表示する画像の内容を変化させてもよい。また、状態遷移の際の姿勢変化の態様に応じて、遷移前の状態においてユーザに向けられる表示画面に表示する画像を、当該遷移が生じる際に変化させてもよい。以下では、状態遷移が生じる際に、表示画像制御処理部42が、第1表示画面12a及び第2表示画面12bの双方に表示する画像を変化させるパターンの一例について、説明する。なお、ここでは第1状態から第2状態への遷移が生じる場合を例として説明するが、逆の場合にも同様の処理を行ってもよい。
【0039】
この例では、表示画像制御処理部42は、状態遷移が完了するより前に、加速度センサ18の検知結果を用いて、筐体10が回転を開始したことを特定する。そして、その回転が継続した場合に、前述した第1のパターン及び第2のパターンのどちらのパターンによる状態遷移が生じるかを予測する。具体的に、例えば表示画像制御処理部42は、X軸方向に対する加速度センサ18の出力の絶対値が所定値を超えた段階で、Y軸を回転軸とした回転が生じており、第1のパターンの状態遷移が生じる可能性があると予測する。また、Y軸方向に対する加速度センサ18の出力の絶対値が所定値を超えた段階で、X軸を回転軸とした回転が生じており、第2のパターンの状態遷移が生じる可能性があると予測する。
【0040】
表示画像制御処理部42は、この予測結果に応じて、第1表示画面12aに表示する画像を、所定方向に向けてスクロールするよう変化させる。この場合のスクロール方向は、予測された姿勢変化の態様に応じて変化する。さらに、表示画像制御処理部42は、回転軸の向きだけでなく、当該回転軸を中心とした回転の向きに応じて、表示画面に表示する画像を変化させてもよい。例えば表示画像制御処理部42は、どちらの向きの回転が生じているかに応じて、画像のスクロール方向を変化させてもよい。
【0041】
具体例として、図4(a)に示すように、Y軸を回転軸としてY軸正方向に向かって見て反時計回りに筐体10が回転する場合、X軸の負方向に重力による加速度が生じていることが検知される。そこで、表示画像制御処理部42は、このX軸負方向に対する加速度が大きくなるにつれて、第1表示画面12aに表示している画像をX軸正方向にスクロールさせる。さらに、第2表示画面12bに表示する画像も、画面外からX軸負方向(すなわち、第1表示画面12aに表示する画像のスクロール方向と逆方向)に徐々にスクロールさせて、最終的に第2状態へと遷移が完了し、X軸方向の加速度が所定値以下に戻った時点で画面中央を中心として画像が表示されるよう制御する。逆に、Y軸を回転軸としてY軸正方向に向かって見て時計回りに筐体10が回転する場合には、第1表示画面12aに表示する画像をX軸負方向にスクロールさせるとともに、第2表示画面12bに表示する画像をX軸正方向にスクロールさせる。また、図4(b)に示すように、X軸を回転軸としてX軸正方向に向かって見て反時計回りに筐体10が回転する場合、この回転に伴って第1表示画面12aに表示する画像をY軸負方向に向けてスクロールさせるとともに、第2表示画面12bに表示する画像をY軸正方向に向けてスクロールさせることにより、最終的に状態遷移完了後に第2表示画面12bの画面中央に画像が表示されるよう制御する。逆に、X軸を回転軸としてX軸正方向に向かって見て時計回りに筐体10が回転する場合、第1表示画面12aに表示する画像をY軸正方向に向けてスクロールさせるとともに、第2表示画面12bに表示する画像をY軸負方向に向けてスクロールさせる。このような表示画像の変化によって、ユーザから見て、第1表示画面12aから第2表示画面12bへと連続的に画像が移動しているかのような視覚効果が得られる。このような制御を行う場合も、前述した例と同様にして、第2表示画面12bに表示する画像の向きは、筐体10の回転軸の向きに応じて変化させてよい。
【0042】
なお、状態遷移の際にこのような画像を変化させる処理を実行するか否かは、各表示画面に表示する画像の種類に応じて決定されてもよい。例えば第1表示画面12a及び第2表示画面12bのそれぞれに対して、同じプログラムによって生成される画像が表示される場合には、状態遷移の際に画像を変化させる制御を実行することとし、逆に各表示画面に対して互いに異なるプログラムによって生成される画像が表示される場合には、単に状態遷移後にユーザに向けられる表示画面に表示する画像の向きを、前述したように状態遷移の際の姿勢変化の態様に応じて変化させることとしてもよい。また、表示画像制御処理部42は、各表示画面に表示する画像をスクロールさせるだけでなく、状態遷移に伴って各種の視覚効果を生じさせるよう画像を変化させてもよい。例えば表示画像制御処理部42は、状態遷移前にユーザに向けられる表示画面に表示する画像を、状態遷移ととともに縮小させ、一方で状態遷移後にユーザに向けられる表示画面に表示する画像を、所定の大きさから開始して状態遷移とともに拡大させるような画像の表示制御を実行してもよい。
【0043】
以上説明した本実施の形態によれば、ユーザに向けられる表示画面に表示される画像が、その状態に遷移する際の筐体10の姿勢変化の態様に応じて変化する。これにより、ユーザの携帯型画像表示装置1の取り扱い方に応じた態様で、ユーザに対して画像を提示することができる。具体的に、例えば状態遷移後にユーザに向けられる表示画面に表示される画像の筐体10に対する向きが、状態遷移時の筐体10の姿勢変化の態様に応じて変化することによって、ユーザは、携帯型画像表示装置1の向きを異なる態様で変化させても、第1表示画面12a及び第2表示画面12bの双方に表示される画像を、同じ向きで閲覧することが可能となる。
【0044】
なお、本発明の実施の形態は以上説明したものに限られない。例えば以上の説明においては、遠赤外線センサの検知結果を用いて第1状態及び第2状態を特定することとしたが、これに限らず、状態特定部40は、その他のセンサによる検知結果などを用いてこれらの状態を特定してもよい。具体例として、状態特定部40は、加速度センサ18の検知結果に応じて、第1状態及び第2状態を特定してもよい。この場合、例えばユーザは上方から略鉛直方向に向けて表示画面を見ると想定する。すなわち、Z軸負方向に重力加速度が生じていることを加速度センサ18が検知する場合、Z軸正方向に設けられた第1表示画面12aがユーザに向けられていると判定し、逆にZ軸正方向に重力加速度が生じている場合には、Z軸負方向に設けられた第2表示画面12bがユーザに向けられていると判定する。これにより、遠赤外線センサ等のユーザを直接検知可能なデバイスがなくとも、第1状態及び第2状態を特定できる。
【0045】
また、これまでの説明では、加速度センサ18の出力だけにより姿勢変化の態様を特定する例について説明したが、例えば姿勢変化特定部42aは、ジャイロセンサ20など、筐体10の姿勢を検知可能なその他のデバイスが出力する検知結果を用いて、筐体10の姿勢変化の態様を特定してもよい。この場合、単なる回転軸に対する回転だけでなく、さらに複雑な姿勢変化の過程を経て状態遷移が生じる場合にも、携帯型画像表示装置1はその姿勢変化の態様を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯型画像表示装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る携帯型画像表示装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る携帯型画像表示装置の機能例を示す機能ブロック図である。
【図4】状態遷移の際の姿勢変化の態様の一例を示す説明図である。
【図5】各状態間の遷移と、表示画像の向きとの間の関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 携帯型画像表示装置、10 筐体、12a 第1表示画面、12b 第2表示画面、14a〜14d タッチセンサ、16a及び16b 遠赤外線センサ、18 加速度センサ、20 ジャイロセンサ、30 制御部、32 記憶部、34 画像処理部、40 状態特定部、42 表示画像制御処理部、42a 姿勢変化特定部、42b 画像方向変更部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の筐体の表面に設けられた第1表示画面と、
前記筐体の前記第1表示画面とは反対側の面に設けられた第2表示画面と、
前記第1表示画面がユーザに向けられる第1状態、及び前記第2表示画面がユーザに向けられる第2状態をそれぞれ特定する状態特定手段と、
前記第1状態及び前記第2状態の一方から他方への遷移が生じる際の前記筐体の姿勢変化の態様に応じて、ユーザに向けられる表示画面に表示する画像を変化させる表示画像制御手段と、
を含むことを特徴とする携帯型画像表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の携帯型画像表示装置において、
前記表示画像制御手段は、前記姿勢変化の態様に応じて、前記遷移後の状態においてユーザに向けられる表示画面に表示する画像の前記筐体に対する向きを変化させる
ことを特徴とする携帯型画像表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の携帯型画像表示装置において、
前記表示画像制御手段は、前記筐体が回転して前記遷移が生じる際の、当該回転の回転軸の前記筐体に対する向きに応じて、当該遷移後の状態においてユーザに向けられる表示画面に表示する画像の前記筐体に対する向きを変化させる
ことを特徴とする携帯型画像表示装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項記載の携帯型画像表示装置において、
前記表示画像制御手段は、前記姿勢変化の態様に応じて、前記遷移前の状態においてユーザに向けられる表示画面に表示する画像を、当該遷移が生じる際に変化させる
ことを特徴とする携帯型画像表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項記載の携帯型画像表示装置において、
前記筐体は、略矩形の平板状であって、
前記筐体の側面には、それぞれユーザの指が触れた位置を検知する複数のタッチセンサが設けられている
ことを特徴とする携帯型画像表示装置。
【請求項6】
平板状の筐体の表面に設けられた第1表示画面と、
前記筐体の前記第1表示画面とは反対側の面に設けられた第2表示画面と、
を備える携帯型画像表示装置の制御方法であって、
前記第1表示画面がユーザに向けられる第1状態、及び前記第2表示画面がユーザに向けられる第2状態をそれぞれ特定するステップと、
前記第1状態及び前記第2状態の一方から他方への遷移が生じる際の前記筐体の姿勢変化の態様に応じて、ユーザに向けられる表示画面に表示する画像を変化させるステップと、
を含むことを特徴とする携帯型画像表示装置の制御方法。
【請求項7】
平板状の筐体の表面に設けられた第1表示画面と、
前記筐体の前記第1表示画面とは反対側の面に設けられた第2表示画面と、
を備える携帯型画像表示装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記第1表示画面がユーザに向けられる第1状態、及び前記第2表示画面がユーザに向けられる第2状態をそれぞれ特定する状態特定手段、及び
前記第1状態及び前記第2状態の一方から他方への遷移が生じる際の前記筐体の姿勢変化の態様に応じて、ユーザに向けられる表示画面に表示する画像を変化させる表示画像制御手段、
として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7記載のプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−26064(P2010−26064A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184859(P2008−184859)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】