説明

携帯型送風装置

【課題】 安全性を向上できる携帯型送風装置を提供する。
【解決手段】 送風ファンを筐体で覆うとともに、筐体に空気を吸い込む吸込口と吹出す吹出口を設ける。また、吹出口を筐体の前面側に偏らせて配置して、設置面となる背面からの距離を取ることが可能な構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯可能な筐体内に送風ファンを備えた携帯型送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯型送風装置は特許文献1に開示されている。この携帯型送風装置は携帯可能な薄箱状の筐体の背面に吸込口を開口し、前面に吹出口を開口する。筐体内には吸込口と吹出口とを連結する空気通路が設けられ、空気通路内に軸流ファンから成る送風ファンが配される。また、筐体の側面には回動自在のスタンドが設けられる。スタンドを回動して卓上の設置面に当接させると、スタンドの支持によって筐体を卓上に立設することができる。
【0003】
スタンドにより筐体を卓上の設置面に立設した状態で送風ファンを駆動すると、吸込口から外気が空気通路内に流入する。この時、筐体の背面が設置面に対向して傾斜して配され、前面の吹出口から使用者の頭部等に向けて斜め上方に空気流が送出される。これにより、屋外や屋内で手軽に涼しさを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−57519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の携帯型送風装置によると、送風ファンが露出しているため回転部分に異物が入り、使用者に危険であるとともに装置を損傷する恐れがあった。また、卓上に設置する場合は問題がないが、首から吊るして使用すると送風機の吸込口もしくは吹出口を塞いでしまうという問題があった。さらに送風ファンが外部から直接見えるため外観上美しくないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、送風ファンと前記送風ファンを収納する筐体と前記筐体に空気を吸い込む吸込口と吸い込んだ空気を送出する吹出口とを有する携帯型送風装置において、前記吸込口と前記吹出口は前記筐体の厚さ方向の中心線の両端方向にそれぞれ位置する構成とする。
【0007】
また、送風性能を確保するために吸込口は筺体の凹部に設けて衣服などで塞がれないようにした。同様に吹出口も人と接する面の逆の面に形成して塞がれないように配置を工夫した。
【0008】
ここで、上記筺体は、外観を滑らかな曲線で形成し、概ね直方体と成すとともに、外部から直接見えない本体下部に吸込口を設け、本体上面に吹出口を設ける構成することができる。これにより、外観上美しくできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吸込口や吹出口の位置を使用形態にも影響されない構造としたので、卓上設置使用時も首からの吊り下げ使用時も送風性能を十分に発揮できる。
【0010】
また、外観部分を滑らかな曲線を持つケースで覆い、送風ファンを内部に収納したので外観上の美観が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の携帯型送風装置を正面から見た外観図。
【図2】本発明の携帯型送風装置を背面から見た外観図。
【図3】本発明の携帯型送風装置を上面から見た外観図。
【図4】本発明の携帯型送風装置の背面の蓋、およびイオン発生装置と電池を外した構造図。
【図5】本発明の携帯型送風装置の前面ケースと送風ファンを外した構造図。
【図6】図1のA−A線で切断した本発明の携帯型送風装置の内部構造を示す断面図。
【図7】本発明に使用するイオン発生装置の外観模式図。
【図8】本発明に使用する電池の外観模式図。
【図9】本発明に使用する送風ファンの外観模式図。
【図10】本発明の制御基板の外観模式図。
【図11】本発明の仕切りパネルの外観模式図。
【図12】本発明の携帯型送風装置の使用状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を図1から図3を参照して説明する。図1は本実施形態の携帯型送風装置を示す正面図である。携帯型送風装置1は、一例として縦100mm×横80mm×厚さ30mm程度の携帯可能な大きさに形成された正面視がほぼ矩形の薄箱状の筐体2を備えている。図において、後で詳細を説明する吹出口7は筺体2の上端部、吸込口6は、図1の状態では隠れているが下端部に設けられる。この吸込口6は、図2に示すように背面側の下部に設けられている。
【0013】
また、筐体2を構成する前面ケース2aには、表示部4が設けられる。表示部4はLED等の表示手段を用いて携帯型送風装置1の運転情報を表示する。また、LEDや液晶等の表示手段を用いて装置の運転状況、運転時間、累積運転時間や電池の残量表示をすることも好ましい。
【0014】
次に図2は、携帯型送風装置1を背面から見た図であり、脚3を閉じた状態を示している。前面ケース2aに対向する背面ケース2bは、前面ケース2aと勘合して外観部を成す筺体2を構成する。この背面ケース2bの中央部には蓋2gがあり、該蓋2gを背面ケース2bより取外すことで、内蔵するイオン発生装置18および電池19を交換可能に覆っている。
【0015】
脚3は吹出口7と吸込口6とを結ぶ方向を長手方向とする本体中央部で筐体2の両側面部に枢支された概ねコの字型の棒材で、筐体2の背面ケース2bに溝状の凹部として形成した収納部2fを設けて収納される。脚3は不使用時には、上下方向の下部に収納されている。筐体2の上下方向のほぼ中央左右に脚3の回動軸を設けたことで、脚3は収納状態から見て180°未満の角度で回動することが可能である。脚3は複数の開き角度で保持することが可能であり、脚3を開いた状態で脚3の支持によって筐体2を卓上の設置面に立設して携帯送風装置1を設置することができる。従って、脚3は携帯送風装置1を卓上の設置面に設置する際に筐体2を支持する支持部を構成する。
【0016】
筐体2の下部であって背面ケース2bの下端には、脚収納部2fが背面ケース2bの横幅方向に連続しており、収納部2fと一体として連続するように外気の吸込口6を形成する。吸込口6には塵埃の吸込みを防ぐネットが貼付けされる。吸込口6は脚3を開いた場合も収納した場合も背面ケース2b側の外部から常に見える状態であり、脚3の開閉に影響されずに外気を吸い込むことが出来る。
【0017】
筐体2を構成する前面ケース2a、背面ケース2bは上下方向および左右方向にわたって曲面で形成されており、通常の筐体の稜線に当たる部分には大きな半径を持つ曲面が与えられている。従って、携帯型送風装置1は通常の直方体を成す筐体のように明確な稜線を持たない。この構成により、筐体2は中央部の厚み方向が大きく膨らんだ形状を成している。
【0018】
図3は携帯型送風装置1の上面から見た図であり、前面ケース2a及び背面ケース2bが形成する外観部の上面に吹出口7が開口する。開口には吹き出し格子2dが設けられ、その開口部である吹出口7の中心は前面ケース2aの方向に大きく偏って形成される。前面ケース2aと背面ケース2bは、筐体2の厚さ方向の中心線で合わせられ、各々のふくらみ高さは一例として約15mmである。従って、吹出口7の中心は厚さ方向の中心線よりも前面側になる。
【0019】
上記筐体2は、半径の大きな曲面で形成されること、および吹出口7が前面ケース2a側に偏っていることによって、後に説明する脚を使用せずに携帯型送風装置1を机上等に直接置いた場合や、首から吊るして使用した場合に、机や人体等との接触面と吹出口7中心部との間に距離L(図12参照)が確保され、気流の送出が良好になされる。
【0020】
図1において携帯型送風装置1の右側面2cには、電源スイッチ5が設けられる。電源スイッチ5を[ON]の位置にすると、送風ファン17、イオン発生装置18に通電され運転が開始される。表示部4には運転表示がされるとともに、イオン発生装置のイオン発生状況、電池の残量状況、等の運転情報が表示される。
【0021】
図4は携帯型送風装置1を背面から見た外観斜視図で、背面の蓋2g、イオン発生装置18および電池19を外した状態である。背面ケース2bは、蓋2gが着脱可能に設けられており、この蓋2gと対応する内部は、前面ケース2a側に凹んでおり、吹出口7近くにイオン発生装置18を収納する隔離室22b、その隣に電池19を収納する隔離室22cが形成されている。イオン発生装置18を収納する隔離室22bの背面ケース2b底壁には、イオン発生装置が発生したイオンを放出する穴221a、221bが設けられている。イオン放出穴221a、221bには図7に示すイオン発生装置18のイオン放出部18a、18bと各々対応するようにイオン発生装置18が嵌め込まれる。隔離室22bの背面ケース2b底壁は、後に説明する空気通路8の一部を構成する。
【0022】
上記隔離室22bと22cには、それぞれの端子部15aが各々露出しており、図7に示すイオン発生装置18の端子部18dが、隔離室22b側に露出した端子部15aと接触する。また、図8に示す電池19の本体部19a側面にある端子19bが、隔離室22cに露出した端子部15aと接触して制御基板15に給電する。
【0023】
図5は前面ケース2aと送風ファン17および仕切りパネル22(図6に図示している)を取り外した背面ケース2b底壁の内部側の構造を示す図である。背面ケース2bに設けた隔離室22bの底壁には空気通路8側の面に板状の気流ガイド221cが筐体内側に向かって3枚設置される。この気流ガイド221cは送風ファン17がターボファンであるために噴出し気流A2(図6参照)が紙面の右上方向に偏ることを修正する効果がある。気流の送出方向に対して気流ガイド221cの傾きが交差するように構成されている。また、図5には、吹出口7の内側にシャッター7aが示してある。シャッター7aは電源スイッチ5と連動して吹出口7の開閉を行う。
【0024】
図6は図1中の中心線A−Aで切断した携帯型送風装置1の内部構造を示す断面図である。背面ケース2bに設けられる隔離室22bと22cの内側になる部分に携帯型送風装置1の制御回路を実装した制御基板15が取り付けられている。図4にも示すように各々の隔離室22b、22cに切欠き部が設けられており、制御基板15に設けた端子部15aが各々の切欠き部に嵌め込まれる。イオン発生装置18を収納する隔離室22bには2個の端子部15a、電池19を収納する隔離室22cには1個の端子部15aが各々接続可能な位置に設置される。隔離室22b、22cにそれぞれ収納されるイオン発生装置18及び電池19は端子部15aを介して制御基板15に接続される。制御基板15の形状を模式図として図10に示す。制御基板15は両面に部品が実装されており、背面ケース2bと対向する面に端子部15aが実装される。
【0025】
続いて図7に本発明に使用するイオン発生装置18の外観模式図を示す。隔離室22bに配されるイオン発生装置18は空気通路8に臨む複数のイオン放出部18a,18bを有している。各々のイオン放出部には対向電極181と針状の放電電極182が各々設けられる。イオン発生装置18の本体部分18cには高圧電気発生回路が内蔵されており、側面に設けられた端子18dより端子部15aを介して電池19から電力供給を受けて作動する。
【0026】
高圧電気発生回路により放電電極には交流波形またはインパルス波形から成る高電圧が印加される。前述のようにイオン発生装置18は複数の放電電極を持ち、一の電極には正電圧が印加され、電離により発生するイオンが空気中の水分と結合して主としてH+(H2O)mから成る正のクラスタイオンが形成される。他の電極には負電圧が印加され、電離により発生するイオンが空気中の水分と結合して主としてO2-(H2O)nから成る負のクラスタイオンが形成される。ここで、m、nは任意の自然数である。
【0027】
正イオンH+(H2O)m及び負イオンO2-(H2O)nは空気中の同時に送出されることによって空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。そして、式(1)〜(3)に示すように、活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH22(過酸化水素)を浮遊菌や臭い成分等の表面上で生成してこれらを破壊する。
【0028】
+(H2O)m+O2-(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ H22+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
上記式において、m’、n’は任意の自然数である。
【0029】
また、制御基板15と前面ケース2aとの間には送風ファン17が設けられる。送風ファン17は背面ケース2bから立設するボスに防振ゴムを介して止められる。図9に示すように送風ファン17は両面吸込み型のターボファンであり、ハウジング17bの軸方向に開口する2つの吸気口17a(一方は下面)は筐体2の厚さ方向に各々配される。ハウジング17bは厚みの薄い概ね直方体形状であり、一側面に吹出口17cが設けられ、他の三側面は蓋がされている。
【0030】
また、前面ケース2aの内側には送風ファン17と吹出口7とを連結する仕切パネル22(図11参照)により覆われて空気通路8が形成される。仕切りパネルの開口部221bには図9の送風ファン17が挿入される。この時に送風ファン17の吹出口17cが、送風ガイド221aの方向になるように配置される。仕切りパネル22は概ねコの字形状の断面を有する壁体で、隔離室22bの底壁と組み合わされて空気通路8を形成する。空気通路8内には、先に説明した気流ガイド221cが突出して設置され、送風ファン17からの気流を吹出口7に導く。
【0031】
このような構造において、本発明の携帯型送風装置1を運転すると、送風ファン17は筐体2の吸込口6から吸い込んだ空気A1を制御基板15と送風ファン17との隙間を通過する経路と、前面ケース2aと送風ファン17との間に形成される隙間25を通過する経路の2つの経路を介して空気を供給する。送風に伴って一方の吸込み経路は、制御基板15と隔離室22cとを経由し、制御基板15と隔離室22c底壁の各々を冷却するとともに間接的に電池19を冷却する。また、他方の吸込み経路は、制御基板15の側方を通過して前面ケースとの隙間25に至り、制御基板15を冷却する。
【0032】
また送風ファン17から送出された空気A2は、空気通路8を流通するときに隔離室22bの底壁を冷却するとともに間接的にイオン発生装置18を冷却する。前述のように隔離室22bの底壁には吹き出し気流を整流するための気流ガイド221cが空気通路8に向かって設けられている。気流ガイド221cは、隔離室22b底壁に立設された複数の板であり、隔離室22bの表面積を拡大する働きを果たし、隔離室22bの冷却を有意義に行わせる。
【0033】
次に脚3の構成について説明をする。脚3はヒンジ機構により筐体2に回動自在に枢支される。脚3のヒンジ機構は図面では省略をしたが、ギヤ及びバネを備えている。ラッチ機構として形成されたギヤはコの字形状の脚3の解放されている左右両端部に一体に設けられ、背面ケース2bの両側面に設けた貫通穴にから左右各々内部に挿入配置されて回転自在に支持される。ギヤは脚3の解放されている左右両端の軸部分の全周囲に複数の歯が形成される。ギヤの隣接する歯と歯の間にシャフトが配される。バネは一方端をシャフトに、他方端を背面ケース2bに立設するボスに掛着され、シャフトをギヤに押しつける方向に付勢する付勢手段を構成する。
【0034】
脚3の回動によりギヤが一体に回動し、バネの付勢力に抗してシャフトがギヤの歯先の方向に移動する。そして、歯間をシャフトが周方向に相対移動することで、脚3の開閉角度を規制することが出来、筐体2の脚収納部2fの形状と相まって脚3を開度180゜未満の適当な角度に配することができる。これにより、脚3を卓上の設置面上に置いた際に、筐体2の背面ケース2bが設置面に対向して傾斜する姿勢を保つことが可能である。
【0035】
また、脚3を大きく開いて筐体2の背面を机上に向けた場合には、携帯型送風装置1の姿勢を低く保ち、30°から40°程度の仰角で気流を吹き出すことが出来る。また、さらに、脚3を狭く開いて吹出口7が低くなるように設置すると、気流を下向きに吹出すことが出来、ベッドのヘッドボード(ベッド頭部にある板)上に設置して就寝時の使用者に気流を送ることが出来る。
【0036】
次に、吸込口6について説明する。吸込口6は図2、図4〜図6に示すように、背面ケース2の下端部に形成されている。背面ケース2bの下端部、および両側端部には、脚3を収納するための溝状に繋がる凹部形状の収納部2fが形成されている。これにより、脚3は、収納されたときに、背面ケース2bの外観を損なうことがないよう外壁面に沿うようになる。
【0037】
また、背面ケース2bには、先に説明した隔離室22b、22cに対向する部分に、該隔離室22b、22cを露出しイオン発生装置18、電池19を交換できるように蓋2gが着脱可能に設けられている。背面ケース2bに蓋2gを取り付けた状態でも、収納部2fに収納された脚3の端面と蓋2gの下端面との間に隙間を形成し、脚3を収納部2fに収納しても(図5参照)、吸込口6を閉塞せず、気流A1を常に確保するようにしている。さらに、該隙間は脚3の横幅一杯に渡って設けられ、脚3を開いた状態であっても閉じた状態であっても開口面積は変わらない
ここで、上記吸込口6は、背面ケース2bの下端部であって溝状の収納部2fの底部に連続して設けている。そのため、図6に示すように吸込口6は背面ケース2bの設置面に対して一段凹んだ部分に形成されることになる。そのため、図6に示すように蓋2gを設置面に載置しても、吸込口6を閉塞することがない。そのため、吸込口6の気流A1は常に確保できる。このことによって、脚3の使用時も不使用時も送風ファン17の送風性能が確保される。
【0038】
このような構成において、図6を参照しながら動作状態を説明する。電源スイッチ5を[ON]にすると運転が開始される。送風ファン17の動作によって、背面ケース2bに設けた吸込口6から筐体2の内部に空気A1が送られる。送風ファン17を通過して空気通路8に流通した空気は矢印A2に示すように空気通路8内を流通し、イオン発生装置18で発生したイオンが含まれる。そして、矢印A3に示すように吹出口7から上方の使用者の頭部等に向けて正イオン及び負イオンを含む空気流が送出される。これにより、屋外や屋内で手軽に涼しさを得ることができるとともに、使用者の周囲の除菌や臭い除去を行うことができる。
【0039】
さらに、本発明の携帯型送風装置1は筐体2の外部で背面ケース2bの上部にはネックストラップを取り付ける取付部2hが設けられ、ネックストラップを結び付けて携帯型送風装置1を使用者の首から吊り下げて携行することができる。ネックストラップを使用した状態では、携帯型送風装置1が使用者の胸から上腹部辺りに位置するようにネックストラップの長さが設定されている。自明ではあるが、この時の携帯型送風装置1は背面ケース2bが使用者の胸に接触して吹出口7をほぼ真上に向けた姿勢である。携帯型送風装置1を使用者の首から吊り下げて携行した状態や把持した状態で電源スイッチ5が入れられると、使用者と筐体2との隙間を介して外気が吸込口6に導かれる。そして、イオンを含む空気流が吹出口7から上方に向けて送出される。その模式図を図12に示す。
【0040】
本発明の携帯型送風装置1は筐体2の背面側(背面パネル2b側)が使用者に接触するように考えられており、吹出口7が筐体2の厚さ方向の中心線よりも前面側(前面パネル2a側)に偏って形成されており、このような設置方法、使用方法が可能にされる。歩行時や着席時では人の胸の位置に比べて、人の顔の位置の方が少し前方になるため、吹出口7が筐体2の前方に偏って配置されていることが優位に働く。また、吹き出し気流方向を上方で且つ前方にするための吹出口の設置位置が、筐体2全体を大きな半径を有する曲面で形成することによって選択しやすくなる。これにより、筐体2の背面からみて吹出口中心部までの距離Lを吹出口7を筐体厚さ方向の中心線上に配置する時よりも長く採れ、気流の吹き出しが良好になる。従って、携帯型送風装置1の携行時においても涼しさを得ることができるとともに、正負イオンの働きにより使用者の周囲の除菌や臭い除去を行うことができる。
【0041】
また、吹出口7には運転スイッチ5と連動して動作するシャッター7aを設けて、異物が侵入しないように配慮した。携帯型送風装置1を首からかけて使用する時には、吹出口7が上を向いていることが予測される。そのために、使用者が飲食をしたりすると食べ物の破片や飲料がこぼれ落ちたりして、運悪く吹出口7内に落下することも考えられる。このような、不慮の出来事を未然に防ぐものである。
【0042】
電源スイッチ5には裏面に背面ケース2bを貫通して突起が設けられており、この突起がシャッター7aのアーム(不図示)を操作することによりシャッター7aの位置が背面ケース2b側に移動させられる。送風時にはシャッター7aは背面ケース2bに設けられた隔離室22bの前方に移動して、通風を妨げないようにする。
【0043】
以上の実施形態において、イオン発生装置18によってマイナスイオンのみを放出してもよい。これにより、使用者のリラクゼーション効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によると、携帯可能な筐体内に送風ファンを備えた携帯型送風装置や携帯型芳香器等に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 携帯型送風装置
2 筐体
2a 前面ケース
2b 背面ケース
2c 側面カバー
2g 蓋
22b、22c 隔離室
3 脚
4 表示部
5 電源スイッチ
6 吸込口
7 吹出口
8 空気通路
17 送風ファン
18 イオン発生装置
19 電池
22 仕切パネル
25 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風ファンと前記送風ファンを収納する筐体と前記筐体に空気を吸い込む吸込口と吸い込んだ空気を送出する吹出口とを有する携帯型送風装置において、
前記吸込口と前記吹出口は前記筐体の厚さ方向の中心線の両端方向にそれぞれ位置することを特徴とする携帯型送風装置。
【請求項2】
前記筐体の厚さ方向の一方の面を他の物体に接する設置面とした場合に、
前記吹出口は前記設置面から見て前記筐体の厚さ方向の中心線よりも遠い位置に配されることを特徴とする携帯型送風装置。
【請求項3】
前記携帯型送風装置を携行するためのストラップを係止する取付け部を前記設置面の前記吹出口近傍に設け、
前記取付け部は前記厚さ方向の中心線を挟んで前記吹出口の中心と反対側に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型送風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−36413(P2013−36413A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173992(P2011−173992)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】