説明

携帯式医療用酸素濃縮器

【課題】歩行可能患者に酸素生成物を供給する軽量でバッテリ給電式の携帯式医療用酸素濃縮器を提供する。
【解決手段】空気から酸素を回収する空気分離システムと;シェルは底部プラットフォームに着脱自在に接続され、シェルおよび底部プラットフォームはシェルが底部プラットフォームに接続されたときに囲繞体積を形成し、空気分離システムは囲繞体積内に配設される底部プラットフォームならびにシェルと;シェルの外壁に着脱自在に接続されると共に空気分離システムを駆動する電力を提供する一個以上の再充電可能バッテリと;を備える携帯式医療用酸素濃縮器。空気分離システムは、2個以上の吸着剤カラムと、各カラム間で気体流を順番に方向付ける回転バルブとを有する圧力スイング吸着システムから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
家庭または他の居住環境において患者に対する治療用酸素の供給は、医療産業の重要な成長分野である。酸素は、適切な気化もしくは圧力調整システムおよび気体供給カニューレにより、液体もしくは圧縮酸素に基づいて患者に供給される。また、酸素は、患者の近傍に配置されると共に生成酸素をカニューレを介して供給する小型の現場用空気分離デバイスもしくは医療用酸素濃縮器を用いて供給される。
【背景技術】
【0002】
呼吸用酸素の使用速度は典型的に、比較的に低い酸素要件の歩行可能患者に対しては3LPM(22℃、1気圧におけるリットル/分)まで、更に深刻な呼吸的問題があり可能的には移動が制限された患者に対しては5LPMまで、および、最も深刻な呼吸的問題があり更に移動が制限された患者に対して一定の場合には10LPMまでの範囲に亙る。患者は、病気であるときに最初は更に多量の酸素供給を必要とすると共に、回復が達成されるにつれて後時には更に少量の酸素を必要とする。また、患者は慢性的病状が悪化するにつれて更なる量の酸素を要することもある。また、患者が吸入するときにのみ酸素流を提供することで、患者が吐出するときの酸素の供給を除外することにより酸素の必要量を減少する保存器が使用される。
【0003】
家庭および居住環境においては、液体もしくは圧縮酸素の供給システムと比較して携帯式医療用酸素濃縮器が好適なことが多く、これらの用途に対する小型の空気分離デバイスは家庭医療分野の多くの業者により開発されつつある。患者は典型的には、酸素療法の効力を高めて患者自身の全体的な健康を改善するために、可能なときは随時に歩行することが奨励される。故に医療用酸素濃縮器の携帯性は、患者が容易かつ快適に動き回るのを許容する重要な特徴である。携帯性および使用の容易さを最大限とするために医療用酸素濃縮器は、最小限の重量およびコンパクトな寸法を有すべく設計されねばならない。また保存器の使用により、患者の歩行時間は最長とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
故に家庭医療分野においては、歩行可能患者に対して酸素生成物を供給する軽量でバッテリ給電式の優れた携帯用酸素濃縮器に対する要望が在る。これらの患者は典型的には、連続的に約3LPMまでの酸素を生成する濃縮器であって歩行時間を最長とする内蔵式保存器を含む濃縮器を必要とする。この要望は、以下に記述され且つ添付の各請求項により定義される本発明の実施例により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施例は、空気から酸素を回収する空気分離システムと;底部プラットフォーム、ならびに、外壁を有するシェルであって、該シェルは前記底部プラットフォームに着脱自在に接続され、該シェルおよび前記底部プラットフォームは該シェルが前記底部プラットフォームに接続されたときに囲繞体積を形成し、前記空気分離システムは前記囲繞体積内に配設される底部プラットフォームならびにシェルと;前記シェルの前記外壁に着脱自在に接続されると共に前記空気分離システムを駆動する電力を提供する一個以上の再充電可能バッテリと;を備える携帯式医療用酸素濃縮器に関する。前記シェルは、単一成型体、または、結合された2個以上のシェル用下位構成要素により形成される。
【0006】
前記空気分離システムは、
(1)各々が、送給端部と、生成物端部と、選択的吸着により気体分離を行う吸着材料とを含む2個以上の吸着剤カラムと、
(2)圧縮空気出口を有する送給ポンプと気体入口を有する真空ポンプとを備えるポンプ・アセンブリと、
(3)酸素生成物出口と、
(4)前記送給ポンプの前記圧縮空気出口を各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置される第1の複数のポートであって前記真空ポンプの前記気体入口を各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置される第1の複数のポート、および、前記酸素生成物出口を各吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される第2の複数のポートであって各吸着剤カラムの前記生成物端部を別の吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される第2の複数のポートを有する回転バルブと、
(5)前記底部プラットフォームに取付けられると共に前記2個以上の吸着剤カラムと前記回転バルブとを支持する基部アセンブリと、
を備える。
【0007】
前記送給ポンプおよび前記真空ポンプは各々が共通駆動モータにより駆動されるスクロール型圧縮機であり、前記駆動モータは前記送給ポンプおよび前記真空ポンプの間に同軸的に配設される。
【0008】
前記シェルは典型的には、入口格子と、出口格子と、前記囲繞体積内に配設されたファンであって周囲空気を前記囲繞体積内に吸引し且つ該囲繞体積から熱気を排出するファンとを有する。前記シェルは、前記底部プラットフォームの近傍の下端部と、該下端部と反対側の上端部とを有し、前記囲繞体積は、前記基部アセンブリと前記ポンプ・アセンブリとの間に配設された仕切壁を含むことができ、前記仕切壁は、前記底部プラットフォームから上方に向け、該底部プラットフォームと前記シェルの前記上端部との中間点まで延在する。前記携帯式医療用酸素濃縮器は、前記酸素生成物出口と流通可能に連通する入口と、患者に対する酸素の間欠的供給に適した出口とを有する保存器を含んでも良く、前記保存器は、患者の吸入期間中は酸素を供給し且つ患者の吐出期間中は酸素を供給しない。
【0009】
本発明の別実施例は、
(a)空気から酸素を回収する空気分離システムであって、
(1)各々が、送給端部と、生成物端部と、選択的吸着により気体分離を行う吸着材料とを含む2個以上の吸着剤カラムと、
(2)圧縮空気出口を有する送給ポンプと気体入口を有する真空ポンプとを備えるポンプ・アセンブリと、
(3)酸素生成物出口と、
(4)前記送給ポンプの前記圧縮空気出口を各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置される第1の複数のポートであって前記真空ポンプの前記気体入口を各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置される第1の複数のポート、および、前記酸素生成物出口を各吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される第2の複数のポートであって各吸着剤カラムの前記生成物端部を別の吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される第2の複数のポートを有する回転バルブと、
(5)前記2個以上の吸着剤カラムおよび前記回転バルブを支持する基部アセンブリと、
を含む空気分離システムと、
(b)底部プラットフォーム、ならびに、外壁を有するシェルであって、前記基部アセンブリおよび前記ポンプ・アセンブリは前記底部プラットフォーム上に取付けられ、該シェルは前記底部プラットフォームに着脱自在に接続され、前記空気分離システムは該シェルが前記底部プラットフォームに接続されたときに該シェルおよび前記底部プラットフォームにより形成される囲繞体積内に配設される、底部プラットフォームならびにシェルと、
を備える携帯式医療用酸素濃縮器を包含する。
【0010】
前記シェルの前記外壁には一個以上の再充電可能バッテリが着脱自在に接続されると共に、前記送給ポンプおよび前記真空ポンプを駆動する電力を提供する。制御システムおよび保存器が包含されると共に、前記再充電可能バッテリは前記制御システムおよび保存器に電力を提供する。
【0011】
前記底部プラットフォームは平坦表面を形成し、前記濃縮器は前記平坦表面が水平に方向付けられ又は水平面に対して任意の角度で方向付けられたときに作動する。前記シェルは典型的には、入口格子と、出口格子と、前記囲繞体積内に配設されたファンであって周囲空気を前記囲繞体積内に吸引し且つ該囲繞体積から熱気を排出するファンとを有する。前記送給ポンプの前記圧縮空気出口には、前記送給ポンプからの高温圧縮空気を冷却する冷却コイルが取付可能であり、前記ファンは前記冷却コイルおよび前記送給ポンプの全体に亙り周囲空気を通過させる。前記シェルは、前記底部プラットフォームの近傍の下端部と、該下端部と反対側の上端部とを有し、前記囲繞体積は、前記基部アセンブリと前記ポンプ・アセンブリとの間に配設された仕切壁を含むことができ、前記仕切壁は、前記底部プラットフォームから上方に向け、該底部プラットフォームと前記シェルの前記上端部との中間点まで延在する。
【0012】
本発明の代替実施例は、
(a)2個以上の円筒状カラムであって、各カラムは、送給端部と、該送給端部の送給入口と、生成物端部と、該生成物端部の生成物出口とを含み、前記円筒状カラムの内の少なくとも2個のカラムは選択的吸着により気体分離を行う吸着材料を収容する吸着剤カラムである2個以上の円筒状カラムと、
(b)圧縮気体出口を有する送給ポンプと気体入口を有する真空ポンプとを備えるポンプ・アセンブリと、
(c)気体生成物出口と、
(d)前記送給ポンプの前記圧縮気体出口を各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置される第1の複数のポートであって前記真空ポンプの前記気体入口を各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置される第1の複数のポート、および、前記気体生成物出口を各吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される第2の複数のポートであって各吸着剤カラムの前記生成物端部を別の吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される第2の複数のポートを有する回転バルブと、
(e)当該基部アセンブリ上に前記各吸着剤カラムおよび前記回転バルブが取付けられる基部アセンブリと、
(f)当該支持プラットフォーム上に前記基部アセンブリおよび前記ポンプ・アセンブリが取付けられる支持プラットフォームと、
を備える吸着式気体分離システムに関する。
【0013】
前記システムは選択的に、前記気体生成物出口と流通可能に連通されると共に、各吸着剤カラムの前記生成物端部の前記生成物出口と順番に流通可能に連通される気体生成物貯蔵タンクを含む。前記気体生成物貯蔵タンクは、2個以上の円筒状カラムの内の1個のカラムであり、前記吸着材料を収容せず、前記基部アセンブリ上に取付けられる。また、前記気体生成物貯蔵タンクは前記各吸着剤カラムの前記吸着材料とは異なる吸着材料を収容し、該異なる吸着材料は前記生成物タンクの有効貯蔵容量を増大する。
【0014】
前記基部アセンブリは典型的には、第1表面および該第1表面に対して略平行な第2表面を有する底部部材を備える成型プラットフォームと、前記底部部材の前記第1表面に取付けられた2個以上の円筒状カラーであって前記2個以上の円筒状吸着剤カラムの夫々の生成物端部を着脱自在に受容して支持する2個以上の円筒状カラーと、前記底部部材の前記第1表面に取付けられたポート式ステータ・プレートとして作製され、前記ポート式ステータ・プレートは前記回転バルブの一部であり、該ポート式ステータ・プレートは、前記気体生成物出口を各吸着剤カラムと順番に流通可能に連通して配置される前記第2の複数のポートであって各吸着剤カラムを別の吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される前記第2の複数のポートを含む。
【0015】
前記ポート式ステータ・プレートは、前記底部部材の前記第1表面の近傍の中央ステータ・ポートおよび2個以上の周辺ステータ・ポートを有し、前記成型プラットフォームの前記底部部材においては、前記2個以上の円筒状カラーの各々内にカラム生成物ポートが配設され、各カラム生成物ポートは前記底部部材の前記第1表面から、前記底部部材の前記第1表面と前記第2表面との中間点まで延在し、各カラム生成物ポートおよび各円筒状吸着剤カラムは、円筒状吸着剤カラムの生成物出口がカラム生成物ポートにシール可能に且つ着脱自在に接続されるように適合され、各周辺ステータ・ポートは、前記基部アセンブリの前記底部部材内に配設された通路により夫々のカラム生成物ポートに接続される。
【0016】
前記円筒状吸着剤カラムおよび/または基部アセンブリはプラスチックまたはポリマ材料から成る。前記底部部材および前記2個以上の円筒状カラーは成型された単一部材のポリマもしくはプラスチック材料から形成される。
【0017】
前記吸着式気体分離システムは選択的に、前記気体生成物出口と流通可能に連通する気体生成物貯蔵タンクであって各吸着剤カラムの前記生成物端部の前記生成物出口と前記中央ステータ・ポートを介して流通可能に連通する気体生成物貯蔵タンクを含み、前記気体生成物貯蔵タンクは、前記2個以上の円筒状カラムの内の1個のカラムであり、前記吸着材料を収容せず、前記基部アセンブリ上の前記円筒状カラーの内の1個のカラー内に着脱自在に支持され、前記気体生成物貯蔵タンクの前記送給入口は、前記成型プラットフォームの前記底部部材において前記円筒状カラー内に配設されたカラム生成物ポートにシール可能に且つ着脱自在に接続可能であり、前記カラム生成物ポートは、前記基部アセンブリの前記底部部材内に配設された通路により前記中央ステータ・ポートに接続される。
【0018】
本発明の別の代替実施例は、吸着式気体分離システム用の基部アセンブリであって、第1表面および該第1表面に対して略平行な第2表面を有する底部部材を備える成型プラットフォームと、前記底部部材の前記第1表面に取付けられた2個以上の円筒状カラーであって2個以上の円筒状カラムの夫々の生成物端部を着脱自在に受容して支持する2個以上の円筒状カラーと、前記底部部材の前記第1表面に取付けられたポート式ステータ・プレートであって、該ポート式ステータ・プレートは前記吸着式気体分離システムの作動時に気体流を方向付ける回転バルブの一部であり、該ポート式ステータ・プレートは前記底部部材の前記第1表面の近傍の中央ステータ・ポートおよび2個以上の周辺ステータ・ポートを有するポート式ステータ・プレートとを備える基部アセンブリに関する。前記成型プラットフォームの前記底部部材においては、前記2個以上の円筒状カラーの各々内にカラム生成物ポートが配設され、各カラム生成物ポートは前記底部部材の前記第1表面から、前記底部部材の前記第1表面と前記第2表面との中間点まで延在し、各カラム生成物ポートは円筒状カラムにシール可能に且つ着脱自在に接続可能であり、各周辺ステータ・ポートは、当該基部アセンブリの前記底部部材内に配設された通路により夫々のカラム生成物ポートに接続される。
【0019】
前記基部アセンブリは、各々が内部と該内部と一端にて流通可能に連通する管とを有する2個以上の円筒状カラムを備えることができ、前記管は、その外周の回りに配設された弾性シール要素を有し、前記弾性シール要素を備えた前記管は前記成型プラットフォームの前記底部部材内に配設されたカラム生成物ポート内へとシール可能に且つ着脱自在に挿入される。前記弾性シール要素は、前記管の外側面の円周溝内に配設されたOリングであり、前記Oリングは、前記管および該Oリングが前記カラム生成物ポート内にシール可能に且つ着脱自在に挿入されるように寸法設定される。
【0020】
各カラムは、前記管およびOリングが前記円筒状カラーの前記カラム生成物ポート内にシール可能に挿入される間は前記円筒状カラー内に固定可能とされ、前記管およびOリングが前記カラム生成物ポートから取り外されたときには前記円筒状カラーから固定解除される。
【0021】
前記2個以上の円筒状カラムの内の少なくとも2個の円筒状カラムは選択的吸着により気体分離を行う吸着材料を収容する吸着剤カラムである。前記2個以上の円筒状カラムの内の少なくとも一個の円筒状カラムは気体生成物貯蔵タンクとして使用される。前記気体生成物貯蔵タンクは該生成物タンクの有効貯蔵容量を増大する吸着材料を収容する。
【0022】
前記基部アセンブリの前記底部部材は、(1)前記第1表面と、該第1表面に取付けられた前記2個以上の円筒状カラーと、前記第1表面に対して略平行な第1中間表面と、各周辺ステータ・ポートを夫々のカラム生成物ポートに接続する前記通路の一部を夫々形成する開放溝と、を含む第1下位部材と、(2)前記第2表面および該第2表面に対して略平行な第2中間表面を含む第2下位部材とを備える。前記第1下位部材の前記第1開放溝が前記第2中間表面により覆われることにより、前記基部アセンブリの前記底部部材内に配設された前記通路であって各周辺ステータ・ポートを夫々のカラム生成物ポートに接続する前記通路を形成するように、前記第1および第2中間表面は結合される。
【0023】
前記底部部材はまた、(1)前記第1表面と、該第1表面に取付けられた前記2個以上の円筒状カラーと、前記第1表面に対して略平行な第1中間表面と、各周辺ステータ・ポートを夫々のカラム生成物ポートに接続する前記通路の第1部分を夫々形成する第1開放溝と、を含む第1下位部材と、(2)前記第2表面と、該第2表面に対して略平行な第2中間表面と、各周辺ステータ・ポートを夫々のカラム生成物ポートに接続する前記通路の第2部分を形成する第2開放溝と、を含む第2下位部材とを備える。前記第1下位部材の前記第1開放溝が前記第2下位部材の前記第2開放溝と合致することにより、前記基部アセンブリの前記底部部材内に配設された前記通路であって各周辺ステータ・ポートを夫々のカラム生成物ポートに接続する前記通路を形成するように、前記第1および第2中間表面は結合される。前記成型プラットフォーム、前記2個以上の円筒状カラー、および、前記2個以上の円筒状吸着剤カラムは、いずれもプラスチックまたはポリマ材料から成る。
【0024】
本発明の関連実施例は、
(a)空気から酸素を回収する空気分離システムであって、
(1)4個以上の円筒状カラムであって、各カラムは、送給端部と、該送給端部の送給入口と、生成物端部と、該生成物端部の生成物出口とを含み、前記円筒状カラムの内の少なくとも4個の円筒状カラムは選択的吸着により空気分離を行う吸着材料を収容する吸着剤カラムである4個以上の円筒状カラムと、
(2)圧縮空気出口を有する送給ポンプと気体入口を有する真空ポンプとを備えるポンプ・アセンブリと、
(3)酸素生成物出口と、
(4)前記送給ポンプの前記圧縮空気出口を各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置される第1の複数のポートであって前記真空ポンプの前記気体入口を各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置される第1の複数のポートと、気体生成物出口ポートと、前記気体生成物出口ポートを各吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される第2の複数のポートであって各吸着剤カラムの前記生成物端部を別の吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される第2の複数のポートを有する回転バルブと、
(5)前記少なくとも4個の円筒状カラムおよび前記回転バルブを支持する基部アセンブリと、
を含む空気分離システムと、
(b)底部プラットフォーム、ならびに、外壁を有するシェルであって、前記基部アセンブリおよび前記ポンプ・アセンブリは前記底部プラットフォーム上に取付けられ、該シェルは前記底部プラットフォームに着脱自在に接続され、前記空気分離システムは該シェルが前記底部プラットフォームに接続されたときに前記シェルおよび底部プラットフォームにより囲繞される、底部プラットフォームならびにシェルと、
(c)前記シェルの前記外壁に着脱自在に接続されると共に、前記送給ポンプ、前記真空ポンプおよび前記回転バルブを駆動する電力を提供する一個以上の再充電可能バッテリと、
を備える携帯式医療用酸素濃縮器に関する。
【0025】
前記携帯式医療用酸素濃縮器は選択的に、前記気体生成物出口ポートと連続的に流通可能に連通されると共に、各吸着剤カラムの前記生成物端部の前記生成物出口と順番に流通可能に連通される気体生成物貯蔵タンクを含む。前記酸素濃縮器は、入口および出口と、前記気体生成物出口ポートを当該逆止弁の前記入口に接続する配管と、当該逆止弁の前記出口を前記気体生成物貯蔵タンクに接続する配管とを有する逆止弁を含む。
【0026】
前記気体生成物貯蔵タンクは前記円筒状カラムの内の1個のカラムであり、該気体生成物貯蔵タンク前記基部アセンブリ上に取付けられる。前記気体生成物貯蔵タンクは前記各吸着剤カラムの前記吸着材料とは異なる吸着材料を収容し、該異なる吸着材料は前記生成物タンクの有効貯蔵容量を増大する。
【0027】
また、前記酸素濃縮器は、前記気体生成物貯蔵タンクから前記酸素生成物出口へ酸素生成物を供給する保存器を含み、前記保存器は、患者の吸入期間中は酸素を供給し且つ患者の吐出期間中は酸素を供給しない。
【0028】
この実施例のひとつの形態において、前記携帯式医療用酸素濃縮器は4個の吸着剤カラムおよび前記気体生成物貯蔵タンクを備え、前記基部アセンブリは、前記4個の吸着剤カラム、前記気体貯蔵タンクおよび前記回転バルブを支持する。この形態において、前記基部アセンブリは、
(a)第1表面および該第1表面に対して略平行な第2表面を有する底部部材を備える成型プラットフォームと、
(b)前記底部部材の前記第1表面に取付けられた5個の円筒状カラーであって、前記4個の円筒状吸着剤カラムおよび前記気体生成物貯蔵タンクの夫々の生成物端部を着脱自在に受容かつ支持する5個の円筒状カラーと、
(c)前記底部部材の前記第1表面に取付けられると共に前記2個以上の円筒状カラーの内の少なくとも2個の円筒状カラーの近傍に配設されたポート式ステータ・プレートであって、該ポート式ステータ・プレートは前記吸着式気体分離システムの作動時に気体流を方向付ける回転バルブの一部であり、該ポート式ステータ・プレートは前記底部部材の前記第1表面の近傍の中央ステータ・ポートおよび4個の周辺ステータ・ポートを有するポート式ステータ・プレートとを備える。
【0029】
前記5個の円筒状カラーの各々内において、前記成型プラットフォームの前記底部部材にはカラム生成物ポートが配設され、各カラム生成物ポートは前記底部部材の前記第1表面から、該底部部材の前記第1表面と前記第2表面との中間点まで延在し、各カラム生成物ポートは円筒状カラムの生成物出口にシール可能に且つ着脱自在に接続可能であり、
各周辺ステータ・ポートは、前記基部アセンブリの前記底部部材に配設された通路により、夫々の吸着剤カラムに関連付けられたカラム生成物ポートに接続され、前記中央ステータ・ポートは、前記基部アセンブリの前記底部部材に配設された通路により、前記気体生成物貯蔵タンクに関連付けられた前記カラム生成物ポートに接続される。
【0030】
この形態において前記底部部材は、
(1)前記第1表面と、該第1表面に取付けられた前記5個の円筒状カラーと、前記第1表面に対して略平行な第1中間表面と、各周辺ステータ・ポートを夫々のカラム生成物ポートに接続する前記通路の第1部分を夫々備える第1開放溝と、前記気体生成物貯蔵タンクに関連付けられた前記カラム生成物ポートに対して前記中央ステータ・ポートを接続する前記通路とを含む第1下位部材と、
(2)前記第2表面および該第2表面に対して略平行な第2中間表面を含む第2下位部材とを備える。
【0031】
前記第1下位部材の前記第1開放溝が前記第2中間表面により覆われることにより、前記基部アセンブリの前記底部部材内に配設された前記通路であって各周辺ステータ・ポートを夫々のカラム生成物ポートに接続する前記通路と、前記気体生成物貯蔵タンクに関連付けられた前記カラム生成物ポートに前記中央ステータ・ポートを接続する前記通路とを形成するように、前記第1および第2中間表面は結合される。
【0032】
この形態において前記5個の円筒状カラーは典型的に、第1カラー、第2カラーおよび第3カラーは第1軸に沿い等距離で配置されると共に第4カラーおよび第5カラーは前記第1軸に対して略平行な第2軸上に配置されるように配置され、前記第4カラーは前記第1カラーの近傍であり、前記第5カラーは前記第3カラーの近傍であり、前記ポート式ステータ・プレートは前記第2カラーの近傍であり且つ前記第4カラーおよび前記第5カラーの間において前記第2軸上である。前記気体生成物貯蔵タンクの役割を果たす円筒状カラムは前記第2カラー内に取付けられ、前記吸着材料を収容する前記円筒状カラムは前記第1、第3、第4および第5カラー内に取付けられる。前記底部プラットフォームは、周縁部、上側表面および下側表面を有する略平坦な底部と、上端部および下端部を有する連続的な垂直壁部セグメントとを備えることができ、前記下端部は前記平坦底部の前記周縁部に取付けられ且つ前記上端部は該上端部に取付けられた水平唇部を有し、前記基部アセンブリおよび前記ポンプ・アセンブリは前記上側表面に取付けられ、前記下側表面は床部もしくは他の外側表面に着座する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に記述される本発明の種々の実施例によれば、85体積%より多い酸素を含む生成物を生成する携帯式医療用酸素濃縮器および該濃縮器を操作する方法が提供される。前記濃縮器は空気から酸素を回収する空気分離システムを使用し、このシステムは、複数の吸着剤カラム間に気体流を方向付ける回転バルブを用いる圧力スイング吸着ユニットとされる。前記回転バルブおよび吸着剤カラムはコンパクトな基部アセンブリに取付けられると共に、前記カラムは一端にて前記基部アセンブリに着脱自在に接続されることで容易な交換が許容される。前記基部アセンブリには前記カラムと回転バルブとの間の気体の流れに対する一体化通路が配設されることで、前記カラムの生成物端部における別体的な配管が排除される。前記吸着剤カラムおよび基部アセンブリは、重量を最小限とすべくプラスチックもしくはポリマ材料で作製される。
【0034】
前記空気分離システムの各構成要素は、着脱自在な外部シェルにより囲繞されると共に、前記シェル内において熱を発生する構成要素の全体に亙り外気を通過させる内部ファンにより冷却される。前記濃縮器を作動させる再充電可能バッテリは、該バッテリの作用により生成された熱が外部に放散される様に前記シェルの外側表面に取付けられることで、該バッテリが前記シェル内に配置された場合の内部的な熱負荷が排除される。
【0035】
“圧力スイング吸着(pressure swing adsorption)”(PSA)という専門用語は、吸着のための高圧と脱離のための低圧との間において圧力差吸着の原理に基づいて作用する吸着プロセスであって前記高圧は大気圧より高い圧力であり且つ前記低圧は大気圧より高い圧力、大気圧、もしくは、大気圧より低い圧力であるという吸着プロセスを意味する。PSAプロセスのひとつの形態は、低圧が大気圧より低い圧力であるという“圧力真空スイング吸着(pressure vacuum swing adsorption)”(PVSA)という語句により定義される。
【0036】
第1および第2領域に適用される“流通可能に連通する”という語句は、接続配管もしくは通路および/または中間領域を介して第1領域から第2領域へ気体が流れることを意味する。第1および第2領域に適用される“接続された”という語句は、接続配管もしくは通路を介して第1領域から第2領域へ気体が流れることを意味する。
【0037】
本明細書において使用される“ひとつの(a)”および“ひとつの(an)”という不定冠詞は、明細書および請求項に記述された本発明の実施例におけるいかなる特徴に適用されたときにも、ひとつ以上を意味する。“ひとつの(a)”および“ひとつの(an)”という語句を使用しても、単一という特徴の限定が特に述べられなければ、その意味を単一という特徴に限定するものではない。単一もしくは複数の名詞または名詞句に先行する“その(the)”という定冠詞は、特に指定された単一特徴または特に指定された複数特徴を表すと共に、該定冠詞が使用される前後関係に依存して単一もしくは複数の意味を有する。“任意の、いかなる(any)”という形容詞は、如何なる量であれ、ひとつ、幾つか、または、全てを意味する。第1実体語句と第2実体語句との間に配置される“および/または”という語句は、(1)第1実体語句、(2)第2実体語句、および、(3)第1実体語句および第2実体語句、のいずれかを意味する。
【0038】
図1には、前記酸素濃縮器の一実施例が前面図で示される。外側シェル1は、搬送用ハンドル3と、カニューレ(医療用気体供給管)に挿入されることで患者へ酸素生成物を供給する酸素生成物出口5と、前記シェルの一側上の空気入口格子7と、床部もしくは他の任意の表面に前記濃縮器を支持する支持基部もしくは底部プラットフォーム9とを含む。シェル1は、単一成型体とされるか、または、該シェルを形成すべく結合された2個以上のシェル用下位構成要素により形成される。(この図では視認されない)気体出口格子は、前記シェルの他側上に配置される。ユーザ・インタフェース・パネル2は、患者が前記ユニットを作動開始および作動停止させ、連続的生成物流と保存器作動とを切換え、生成物の流速を調節するために使用するボタンおよび/またはノブを提供する。前記インタフェース・パネルはアイコンおよび/またはライトによるディスプレイを提供することで、前記濃縮器の作動状況および警報を表示すると共に、作動モードおよび生成物流速のユーザ選択も許容する。インタフェース・パネル2の背後において前記シェルの内側には、前記インタフェース・ディスプレイを制御するプリント配線基板が配置される。図2は、図1に示されたハンドル3、空気入口格子7および支持基部9を備えた前記濃縮器の背面図を示している。前記シェルの後側外壁部には(典型的にはリチウムイオン・バッテリを含む)2つのバッテリ・パック11および13が着脱自在に接続され、前記濃縮器を作動させる電力を提供する再充電可能バッテリを収容する。前記バッテリ・パックは好適には前記シェルの外側部に取付けられることで、後述されるように前記シェル内において発生する熱負荷を低減する。
【0039】
図1および図2に示された濃縮器は典型的に、以下に記述される全ての内部構成要素を含めて約3.6kg(8ポンド)〜約7.3kg(16ポンド)の重量である。ひとつの代表的実施例において全体的寸法は、約33cm(13インチ)高さ、約30cm(12インチ)幅、約22cm(8.6インチ)の奥行きである。
【0040】
図3は、前記濃縮器の分解斜視図であり、図1および図2に示されたシェル1、インタフェース・パネル2、ハンドル3、空気入口格子7、および、バッテリ・パック11および13を示す。図3には、出口格子8、および、支持基部9の構成要素、すなわち垂直壁部セグメント9aおよび水平唇部9bも示される。壁部セグメント9aは、床部もしくは他の外側表面に着座する底面を有する(視認不能な)平坦底部に取付けられている。この実施例においては圧力スイング吸着システムである空気分離システム15は、支持基部9の平坦底部の上側表面に取付けられる。
【0041】
図4には、前記圧力スイング吸着システムの拡大図が示され、該図は、幾つかのシステム構成要素の概略的な空間的関係を示している。前記圧力スイング吸着システムへは、この実施例では電気モータ19により駆動されるスクロール圧縮機もしくはポンプで表されている圧縮機もしくは送給ポンプ17により、圧縮空気送給が行われる。前記圧力スイング吸着システムの作動のための真空は、この実施例ではスクロール圧縮機もしくはポンプで表されている真空圧縮機もしくはポンプ21であってモータ19により駆動され且つ該モータおよび圧縮機17と同軸に配置されたポンプ21により提供される。圧縮機17、モータ19および真空ポンプ21を備える前記一体的ポンプ・アセンブリは、そのひとつが可撓取付け部材23として視認される複数個の緩衝用可撓取付け部材により、支持基部9の平坦底部に取付けられる。この実施例において送給ポンプ17および真空ポンプ21はスクロール型ポンプであるが、当業界で公知の任意の種類のポンプもしくは圧縮機が使用される。
【0042】
図4の実施例において前記圧力スイング吸着システムは4個の吸着剤カラムを使用し、その内の2個は、後述の基部アセンブリの一部である円筒状カラー29および31内に夫々が着脱自在に取付けられた吸着剤カラム25および27として視認される。吸着剤カラム27の直後には、後述の気体生成物貯蔵に利用される同様の寸法を有する空のカラムが在る。また吸着剤カラム25の直後であり且つ前記気体生成物貯蔵カラムの隣りには、複数の吸着剤カラムへ、該カラムから、および該カラムの間で、気体流を方向付ける回転バルブが在る。前記気体貯蔵カラムおよび回転バルブの背後には、(視認不能な)2つの追加の吸着剤カラムが配置される。
【0043】
送給ポンプ17の圧縮気体出口33は、圧縮空気送給による圧縮熱を除去する冷却コイル35へ接続される。支持ブラケット41に差し込まれた(不図示の)開口から外気を吸引すべく(不図示の)配管により該開口には空気入口37が接続される。その場合に前記開口は、空気入口格子7の背後の(不図示の)開放気泡体フィルタを介してから、前記圧縮機の入口の前の(たとえばフェルトもしくはHEPAなどの)微細フィルタを介して周囲空気を吸引する。
【0044】
冷却のための外気は、支持ブラケット41上に取付けられたファン39により(此処では不図示の)空気入口格子7を介して吸引され、冷却コイル35および送給ポンプ17を通過し、出口格子8を介して退出する。前記基部アセンブリと、圧縮機17、モータ19および真空ポンプ21の一体的アセンブリとの間には、(不図示の)薄い壁体が配置される。該壁体は、支持基部9に取付けられると共に、該基部9の前部から後部までの殆どもしくは全てに亙り、上方に向けては少なくとも、吸着剤カラム25と回転バルブの背後の吸着剤カラムとの上部まで延在する。前記壁体の目的は、圧縮機17、モータ19およびポンプ21の回りの暖気であって前記の様にしなければ基部アセンブリおよび各吸着剤カラムへと逆流する暖気の流れを減少することである。
【0045】
制御モジュール43および45は、AC/DC電力の変換、ポンプ速度および回転バルブ速度の制御、生成物圧力の監視、保存器作動の制御、ディスプレイ・パネルの制御およびシステム警報の提供、ならびに、バッテリの充電を管理する電子制御システムを含む。前記制御モジュールは、前記濃縮器が外部AC電力で作動しているときにバッテリ充電を制御するコンピュータ内蔵式充電回路(smart charging circuit)を有するプリント配線基板を含む。該充電回路は、到来電力の量と、前記濃縮器により消費されている到来電力の量とを決定する。一切の過剰電力は、前記バッテリを充電するために使用される。前記濃縮器が低速で作動するほど、更に多くの電力が前記バッテリを充電すべく使用され、充電時間は短縮される。
【0046】
生成物流速の各設定に対し、制御モジュール43もしくは45におけるコントローラのルックアップ・テーブルは、ポンプ速度、回転バルブ速度、および、流れ制御弁位置を設定する。その目的は、前記プロセスに対して一定の作動圧力範囲(すなわち吸着剤床でのPSAサイクル中の最大圧力から最小圧力までの範囲)を維持することである。生成物タンク圧力を監視すると共にポンプおよび回転バルブ速度を調節して生成物タンクの一定の平均圧力を維持するために、選択的なフィードバック制御ループが使用される。
【0047】
真空ポンプ21の入口47は真空入口ライン49を介して回転バルブの(視認不能な)送給用ステータに接続されることで、吸着サイクルにおける排気段階およびパージ段階時に各吸着剤カラムから順番に廃ガスを引き出す。(此処では視認されない)前記真空ポンプの排出物は、消音器もしくはマフラ51を通過し、最終的には格子8を通して排出される。
【0048】
図5には、図4の支持基部9から取り外された後の、吸着剤カラム、気体貯蔵カラムおよび回転バルブを備えた基部アセンブリが示される。該基部アセンブリは、前記吸着剤カラム、気体貯蔵カラムおよび回転バルブを取付けるために多数のカラーおよびブラケットが取付けられた底部部材52を有する成型プラットフォームを備える。該基部アセンブリは、示されるように“6個パック”形態を形成すべく2行×3列に対称的に方向付けられた6個の取付箇所を有する。前記底部部材の上側表面には5個の円筒状カラーが取付けられると共に、4個の円筒状吸着剤カラムと気体生成物貯蔵のための1個の空のカラムとの夫々の端部を着脱自在に受容かつ支持する。前記回転バルブは、前記吸着剤カラムの内の2個の吸着剤カラムの間であり且つ全ての4個の吸着剤カラムの直近に配置される。
【0049】
吸着剤カラム27はカラー31内に着脱自在に取付けられ且つ着脱自在に接続され、吸着剤カラム25はカラー29内に着脱自在に取付けられ且つ着脱自在に接続され、吸着剤カラム53はカラー55内に着脱自在に取付けられ且つ着脱自在に接続され、吸着剤カラム61は(視認不能な)第4のカラー内に着脱自在に取付けられ且つ着脱自在に接続される。気体生成物貯蔵のために使用されて空とされる(すなわち各吸着剤カラム内に配置された空気分離用の吸着剤を含まない)カラム63は、(視認不能な)第5のカラー内に着脱自在に取付けられ且つ着脱自在に接続される。選択的に、カラム63(気体生成物貯蔵タンク)は長寸とされることでその容積を増大しても良く、且つ/又は、該カラムは前記吸着剤カラムの吸着材料とは異なる吸着材料を含んでも良く、その場合に異なる吸着材料は、気体生成物を吸着することにより生成物タンクの有効貯蔵容量を増大する。回転バルブ65は4個のボルト締め取付け部材により底部部材52に取付けられ、此処ではその内の2個が取付け部材67および69として視認される。各吸着剤カラムの送給端部は、成型管71、73、75および77により回転バルブ65の送給用ステータに接続される。
【0050】
空のカラム63(気体生成物貯蔵カラム)の出口79は(不図示の)管により(不図示の)内蔵式保存器に接続され、其処から気体生成物は酸素生成物出口5(図1)を介して患者のカニューレに供給される。出口79と酸素生成物出口5との間には、(不図示の)細菌フィルタが配置される。前記保存器は、制御モジュール43もしくは45上に、または、インタフェース・パネル2の背後のプリント配線基板上に取付けられる。もし前記保存器が使用されなければ、出口79から酸素生成物出口5へは連続的な気体生成物が流れる。前記濃縮器シェル上には(不図示の)選択的な外部加湿器が取付けられても良く、その場合に加湿器は、出口79からの酸素気体生成物を加湿すると共に加湿済み気体を酸素生成物出口5に供給する。生成物の純度は典型的には85体積%〜96体積%の酸素であり、気体生成物流速は典型的には0.25〜3.5LPMの範囲であり、供給圧力は34000〜62000Paゲージ(5〜9psig)である。
【0051】
前記吸着剤カラムは、空気から窒素を選択的に吸着して少なくとも85体積%の酸素を含む酸素生成物を生成するに適した吸着材料を収容している。吸着剤は、陽イオン部位の少なくとも80%がリチウム陽イオンで置換された例えばタイプXゼオライトまたは低シリカ型Xゼオライトなどの、この用途に対する市販吸着剤の任意の吸着剤とされる。各吸着剤カラムの入口端部は、周囲空気中に存在する水分および二酸化炭素を除去する一層以上の異なる吸着剤を含むと共に、活性アルミナおよび/またはナトリウム型Xゼオライトもしくはナトリウム/カリウム低シリカ型Xゼオライトおよび/または斜方沸石の種々の陽イオン形態から選択される。前記吸着剤は、装填の後の移動を防止するために降雪式装填および/または振動安定化などの業界公知の種々の方法により濃密に充填される。これらの吸着剤の各々は、結合剤を含むか又は結合剤なしの組成とされるが、いずれも業界公知の技術で製造される。吸着剤粒子の形状は、球状、円筒状、粒状、又は、層状もしくはモノリスなどの任意の構造の吸着剤とされる。
【0052】
前記吸着剤は、吸着剤カラムの送給端部および生成物端部の2つの平坦円形拡散器により所定位置に保持される。該円形拡散器は、該拡散器の開口を介して吸着剤が漏出するのを防止するために吸着剤に近い側に取付けられた網体もしくはメッシュを有する。
【0053】
前記吸着剤カラムおよび回転バルブの配置を示す図6には、前記基部アセンブリの部分的分解図が示される。前記回転バルブの駆動モータ81および外側ケース83は此処では、生成物用ロータ85と、底部部材52上に直接的に取付けられた生成物用ステータ87とから分離して示される。前記送給用ロータおよび送給ステータは、外側ケース83内に配置される。前記各吸着剤カラムの送給端部は、成型管71、73、75および77により前記回転バルブの送給用ステータの入口へ接続される。真空出口105は(図6には示されない)成型管49により、前記送給用ステータを真空ポンプ21(図4)へ接続する。
【0054】
前記吸着剤カラムおよび気体生成物貯蔵カラムは、底部部材52の上側表面に取付けられたカラー内に着脱自在に取付けられ且つ着脱自在に接続される。各カラムは底部の近傍の外側面上の複数のスタッドもしくはボスであって、スリーブ内に形成された凹部に対する係合および係合解除のために旋回されるスタッドもしくはボスを有する。たとえば吸着剤カラム25は、カラー29の保持用凹部93および97内へと弾性係止されるボス89および91を有する。(視認不能な)第3のボスは、カラー29の保持用凹部99に係合かつ係合解除される。係合されたボスおよび保持用凹部の概観は、保持用凹部103内へのボス101の係合によりカラー55内に取付けられた吸着剤カラム53に対して視認される。ボス101は、吸着剤カラム53を(たとえば約17°だけ)反時計方向に回転してそれを垂直に揚動させることにより保持用凹部103から係合解除される。保持用凹部103に対するボス101の係合は、これらの段階を逆にすることで行われる。此処で、この形式の係合および係合解除による固定システムは例示目的で記述されており、他の形式の固定システムが可能であり、該固定システムは各カラムを前記基部アセンブリに着脱自在に取付けるために使用される。
【0055】
図7は、前記基部アセンブリの構成を示すべく前記カラムおよび回転バルブなしで該アセンブリを示している。図4から図7においては3個のカラー29、31および55が記述されたが、前述されていない他のカラーはカラー107および109である。全てのカラーは底部部材52に直接的に接続され、その場合に各カラーおよび底部部材は別体的に作製されて接着剤もしくは溶接により結合される。また、各カラーおよび底部部材は、単一部材として作製される。組み合わされたカラーおよび底部部材は、成型プラットフォームとして記述される。一実施例において各カラーおよび底部部材は、プラスチックまたはポリマ材料で製造される。各カラーの3個の保持用凹部は、全てが明確に視認可能である。取付け部材67、69、111および113は、典型的には、各取付け部材の中央を貫通する(不図示の)ボルトであって基部137の底部に配置されたナットに係合するボルトにより回転バルブ65を取付けるようにされている。
【0056】
各カラー内には底部部材52の中央配置ポートが在るが、その内の3つは、カラー55および31内のカラム生成物ポート115および117、ならびに、カラー107内の気体生成物貯蔵カラム入口ポート119として視認される。カラー29および109内には、(視認不能な)同一の中央配置カラム生成物ポートが配置される。生成物用ステータ87は、中央配置された(気体生成物出口ポートとしても記述される)ステータ・ポート121、および、周辺ステータ・ポート123、125、127および129を有する。これらのポートは、底部部材52の上側表面の近傍であると共に、底部部材52内へと延在する。後述されるように、ステータ・ポート121を気体貯蔵カラム入口ポート119に接続すべく、周辺ステータ・ポート123をカラム生成物ポート117に対し、周辺ステータ・ポート125をカラー29内の(視認不能な)カラム生成物ポートに対し、周辺ステータ・ポート127をカラム生成物ポート115に対し、周辺ステータ・ポート129をカラー109内の(視認不能な)カラム生成物ポートに接続すべく、底部部材52内に通路が構築される。生成物用ステータ87は好適には、底部部材52内の5本の通路のいずれもが交差せず且つ該5本の通路が本質的に共通の面を持つ様に、全ての5個のカラーの近傍に配置される。
【0057】
図8は、図3から図6に示された係合および係合解除による固定システムの実施例を更に示している。この図において吸着剤カラム25上のボス89は、特定形状の保持用凹部93によりカラー29に形成されたタブ131により該保持用凹部93内に保持される。吸着剤カラム25は、該カラムを(たとえば約17°だけ)反時計方向に回転させると共に該カラムを垂直に揚動することでボス89が保持用凹部93の上部の開放部を通過することにより、カラー29から取り外すことができる。設置は、これらの段階を逆にすることで行われる。
【0058】
前記基部アセンブリは、図7のカラム生成物ポート115、(気体生成物出口ポートとしても記述される)ステータ・ポート121、および、カラム生成物ポート133の夫々の中心により略形成される軸に沿う断面による図9の断面図により更に示される。該断面図は、カラー55内のカラム生成物ポート115、カラー29内のカラム生成物ポート133、および、ステータ・ポート121を示している。周辺ステータ・ポート127は、通路135によりカラム生成物ポート115に接続され且つ流通可能に連通して配置される。この通路は底部部材52内の溝として形成可能であり、その場合に該溝は基部137の上側表面を底部部材52の下側表面に結合することにより閉じられることで、前記通路を形成する。また、前記溝は、基部137内に形成される。別の代替例において通路135は、一方の群は基部137内に且つ他方の群は鏡像として底部部材52内とされた複数群の部分的溝により形成される。これらの3つの代替策のいずれにおいても底部部材52および基部137は、示されるように境界面において相互に結合されて前記基部アセンブリの底部を形成する第1および第2の下位部材として定義される。
【0059】
周辺ステータ・ポート123は、通路135と同様の(視認不能な)通路により、カラー31内の(視認不能な)カラム生成物ポートに接続され且つ流通可能に連通して配置される。周辺ステータ・ポート129は、通路135と同様の(視認不能な)通路により、カラー109内の(視認不能な)カラム生成物ポートに接続され且つ流通可能に連通して配置される。
【0060】
前記各ポート、および、該ポートを前記基部アセンブリに接続する各通路は、図7の2−2断面である図10に示される。該断面は、カラム生成物ポート115、117、133および139、ステータ・ポート121、および、周辺ステータ・ポート123、125、127および129を示している。通路135はカラム生成物ポート115を周辺ステータ・ポート127に接続し、通路141はカラム生成物ポート139を周辺ステータ・ポート129に接続し、通路143はカラム生成物ポート117を周辺ステータ・ポート123に接続し、通路145はカラム生成物ポート133を周辺ステータ・ポート125に接続する。通路147は、ステータ・ポート121を気体生成物貯蔵カラム入口ポート119に接続する。
【0061】
酸素気体生成物が、一方向においてのみ吸着剤カラム27、53、25および61から、前記回転バルブを介し、通路147を介し、入口ポート119を介して気体生成物貯蔵カラム63内へと流れることを確実とすべく、ステータ・ポート121内には(不図示の)一方向逆止弁が設置される。また、要求があれば、前記逆止弁は気体生成物貯蔵カラム入口ポート119内に設置される。故に前記逆止弁は、気体生成物貯蔵カラム63から前記PSAシステム内への酸素気体生成物の逆流を防止する。
【0062】
図10における通路135、141、143および145の寸法は、吸着サイクル中に各カラムの作動をバランスさせるために、各吸着剤カラムの生成物端部と前記回転バルブの生成物端部と間の死容積が本質的に等しい様に選択される。同様に、ライン71、73、75および77の寸法は、吸着サイクル間において各カラムの作動を平衡化させるために、各吸着剤カラムの送給端部と前記回転バルブの送給端部との間の死容積が本質的に等しい様に選択される。
【0063】
前記各吸着剤カラムおよび回転バルブの内側領域は、図5の4−4断面である図11に示される。吸着剤カラム25は、先に記述されたようにカラー29内に着脱自在に取付けられる。前記カラムの下端部は、その外周の円周溝内に配置された(たとえばOリングなどの)弾性シール要素151を有する管149を備える。弾性シール要素151を備えた管149は、前記成型プラットフォームの底部部材52内に配置されたカラム生成物ポート133内へとシール可能に且つ着脱自在に挿入される。同様の様式で、吸着剤カラム53は前述されたようにカラー55内に着脱自在に取付けられる。該カラムの下端部は、その外周の円周溝内に配置された(たとえばOリングなどの)弾性シール要素155を有する管153を備える。弾性シール要素155を備えた管153は、前記成型プラットフォームの底部部材52内に配置されたカラム生成物ポート115内へとシール可能に且つ着脱自在に挿入される。吸着剤カラム27および61は同様に、(視認不能な)カラム生成物ポート117および139内へとシール可能に且つ着脱自在に挿入される。
【0064】
気体生成物貯蔵のために使用されるカラム63も同様に、その外周の円周溝内に配置された例えばOリングなどの弾性シール要素を有する管を備える。該管は、気体生成物入口の役割を果たすと共に、弾性シール要素155と同様の弾性シール要素であって、前記成型プラットフォームの底部部材52内に配置された(視認不能な)気体貯蔵カラム入口ポート119内へとシール可能に且つ着脱自在に挿入される弾性シール要素を有する。
【0065】
故に、前記の5個のカラム(吸着剤カラム27、53、25および61および気体生成物貯蔵カラム63)のいずれも、前記基部アセンブリの底部部材52内に配置された適切な気体貯蔵カラム入口ポート内へとシール可能に且つ着脱自在に挿入される。
【0066】
この実施例において用いられる前記回転バルブは2つのロータおよび2つのステータを備え、一方のロータ/ステータの組は各吸着剤カラムの送給端部に向けて気体流を方向付け、他方の組は各吸着剤カラムの生成物端部に向けて気体流を方向付ける。この実施例において上述の各吸着剤カラムは、下端部が生成物端部であり且つ頂端部が送給端部であるように方向付けられる。各カラムの送給端部に対して作用するロータ/ステータの組の機能は、プロセス・サイクルの送給/生成物製造段階に対しては圧縮空気を送給ポンプから順番に各カラムに方向付け、プロセス・サイクルのパージおよび排気段階においては各カラムを順番に真空ポンプに接続することで各カラムから廃ガスを引き出すことである。また、各カラムの生成物端部に対して作用するロータ/ステータの組の機能は、前記サイクルの送給/生成物製造段階においては各吸着剤カラムを順番に前記気体生成物貯蔵タンクの入口に接続し、圧力均等化段階においてはカラム対を相互に順番に接続することで気体移行を許容し、パージ/パージ提供段階においてはカラム対を相互に順番に接続することで気体移行を許容し、気体生成物加圧段階においては、生成物貯蔵カラムに至る気体生成物出口と各カラムを順番に接続することである。
【0067】
当業界においては圧力スイング吸着システムで使用される種々の形式の二重ロータ式回転バルブが公知であり、これらのいずれも、上述の本発明の実施例で使用される。これらの実施例で有用なひとつの二重ロータ式バルブは、2005年8月5日に出願されると共に言及したことにより本明細書中に援用される係属中の米国特許出願第11/197859号に記述されている。当業界においては圧力スイング吸着システムにおいて使用される単一ロータ式回転バルブも公知であり、本実施例での使用に適している。
【0068】
図11の断面図に示された前記バルブは、吸着剤カラム27、53、25および61の送給端部すなわち上端部に向けて気体流を方向付ける上側のロータ/ステータの組を用いる。下側のロータ/ステータの組は、各吸着剤カラムの生成物端部すなわち下端部間、および、各吸着剤カラムと気体生成物貯蔵カラム63との間で気体流を方向付けるべく用いられる。
【0069】
上側もしくは送給用ステータ159は、吸着剤カラム27、53、25および61の上側もしくは送給端部と夫々が流通可能に連通する複数のポートと、送給空気圧縮機17(図4)に接続された冷却コイル35(図4)の出口と流通可能に連通するポートと、真空ポンプ21(図4)に接続された真空出口105(図6)と流通可能に連通するポートとを有する。これらのポートの端部は、上側もしくは送給用ステータ159の平坦な平滑面内に配置される。送給用ロータ157は、送給用ステータ159の面に対してシール可能かつ回転可能に接触する平坦で平滑なロータ面を有すると共に、該送給用ロータ157の面が送給用ステータ159の面上で回転するにつれて送給用ステータ159の面において選択されたポートに対し順番に整列するポートを有する。送給用ロータ157は、該送給用ロータ157が回転するにつれて吸着剤カラム27、25、53および61(または、もし各ロータが逆方向に回転するならばカラム61、53、25および27)の送給端部が、プロセス作動において使用される特定の圧力スイング吸着サイクルに従い送給空気圧縮機17および真空ポンプ21に対し順番に選択されて流通可能に連通して配置される様に、ロータ面上の選択ポート同士を接続する内部通路を有する。
【0070】
下側もしくは生成物用ステータ161は、吸着剤カラム27、53、25および61の下側もしくは生成物端部と夫々流通可能に連通する複数のポートと、気体生成物貯蔵カラム63の入口と流通可能に連通するポートとを有する。これらのポートの端部は、生成物用ステータ161の平坦な平滑面内に配置される。生成物用ロータ163は、生成物用ステータ161の面に対してシール可能かつ回転可能に接触する平坦で平滑なロータ面を有すると共に、生成物用ロータ163の面が生成物用ステータ161の面上で回転するにつれて生成物用ステータ161の面において選択されたポートに順番に整列するポートを有する。生成物用ロータ163は、生成物用ロータ163が回転するにつれて吸着剤カラム27、25、53および61(または、もし各ロータが逆方向に回転するならばカラム61、53、25および27)の生成物端部が、プロセス作動において使用される特定の圧力スイング吸着サイクルに従い気体生成物貯蔵カラム63の入口に対して順番に選択されて流通可能に連通して置かれる様に、ステータ面上の選択ポート同士を接続する内部通路を有する。生成物用ロータ163はまた、該生成物用ロータ163が回転するにつれて選択された吸着剤カラム対の生成物端部同士が、プロセス作動において使用される特定の圧力スイング吸着サイクルに従い順番に流通可能に連通して配置される様に、ロータ面上で選択されたポート対同士を接続する内部通路も有する。
【0071】
上述の医療用酸素濃縮器は、任意の所望の四床式圧力スイング吸着(PSA)サイクルにおいて作動される。図12には、4個の吸着剤床および単一の気体生成物貯蔵タンクを用いる圧力/真空スイング吸着(PVSA)プロセスに対する代表的で模式的な流れ系統図が示される。前記プロセスにおいて、入口ライン165を介する周囲空気は送給ポンプ167において124000〜179000Pa(18〜26psia)の絶対圧力へと圧縮されると共に、ライン169を介して回転バルブ171の送給入口へと流れる。送給ポンプ167は業界公知の任意の種類の気体圧縮機とされるが、この実施例において前記ポンプは、中央駆動モータ175、送給ポンプ167および真空ポンプ177(これらはたとえば、図4の駆動モータ19、送給ポンプ17および真空ポンプ21に対応する)を備える一体化ポンプ・システム173の一部であるスクロール型の圧縮機もしくはポンプである。
【0072】
回転バルブ171は、送給用ステータ159、送給用ロータ157、生成物用ステータ161および生成物用ロータ163を備える。ロータ157および163は、図6および図11の駆動モータ81に対応する(不図示の)駆動モータにより回転される。送給用ステータ159は、ライン71、73、75および77に接続された4個の送給ポートを有する一方(図6も参照)、該ラインは吸着剤カラム27、61、53および25に夫々接続される(図6も参照)。送給用ステータ159上の別のポートは、ライン179を介して真空ポンプ177に接続される。送給用ロータ157は、送給用ステータ159の面に対してシール可能かつ回転可能に接触する平坦で平滑なロータ面を有すると共に、該送給用ロータ157の面が送給用ステータ159の面上で回転するにつれて送給用ステータ159の面において選択されたポートに順番に整列するポートを有する。送給用ロータ157は、該送給用ロータ157が回転するにつれて吸着剤カラム27、25、53および61(またはカラム61、53、25および27)の送給端部が、プロセス作動において使用される特定の圧力スイング吸着サイクルに従い送給空気圧縮機167および真空ポンプ177に対し順番に選択されて流通可能に連通して配置される様に、ロータ面上で選択されたポート同士を接続する内部通路を有する。回転バルブ171の内部キャビティは、ステータ/ロータ境界面に亙る漏出の場合に、周囲空気中の水分により各吸着剤カラムの生成物端部が汚染されるのを防止すべく、大気圧より低い圧力に維持される。
【0073】
生成物用ステータ161は、ライン135、141、143および145を介して吸着剤カラム53、61、27および25に夫々接続された4個の生成物ポートを有する。これらのラインは、図10における溝135、141、143および145に対応する。生成物用ステータ161は、ライン147を介して気体生成物貯蔵カラム63に接続されたポートも有する。ライン147は、図10の通路147に対応する。酸素生成物ライン181は直接的に、酸素生成物出口5まで、または、(不図示の)選択的な内蔵式保存器まで通ずる。
【0074】
図12のシステムを用いる代表的な圧力スイング吸着プロセスは、所定の吸着剤カラムに対して以下に概説される8段階反復サイクルを利用する。すなわち、
(1)加圧送給空気が床の送給端部に導入される一方、酸素富化気体生成物は床の生成物端部から引き出される送給/生成物製造段階;
(2)加圧送給空気は床の送給端部内に導入される一方で酸素富化気体生成物は床の生成物端部から引き出されると共に、気体生成物の一部は、生成物再加圧段階に委ねられている別の床を加圧するために使用される送給/生成物製造/再加圧提供段階;
(3)床は、該床から気体を引き出すことで減圧されると共に、其処から引き出された気体の少なくとも一部は再加圧段階に委ねられている別の床へと転送される減圧段階;
(4)床は、該床から気体を引き出すことで更に減圧されると共に、其処から引き出された気体の少なくとも一部はパージ段階に委ねられている別の床へと転送されるパージ提供段階;
(5)床が大気圧より低い最低の床圧力に到達するまで床の送給端部から気体が引き出される排気段階;
(6)床は該床の生成物端部内にパージ気体を導入することでパージされる一方、パージ気体は段階(4)に委ねられている別の床から提供されるパージ段階;
(7)床の生成物端部内には加圧気体が導入されると共に、加圧気体は段階(3)に委ねられている別の床から提供される再加圧段階;および、
(8)床の生成物端部に対し、別の床または気体生成物貯蔵タンクからの気体生成物が導入される生成物再加圧段階。
【0075】
生成物再加圧段階(8)は、送給再加圧段階に続いても良い。送給再加圧段階においては、送給/生成物製造段階(1)における生成物の引き出しの開始に先立つ期間中に、床の送給端部内に送給気体が導入される。
【0076】
吸着剤カラム27、61、53および25の各々はこれらの段階を順番に受けると共に、各カラムにおける段階間の関係は以下において表1に与えられるサイクル・チャートに要約される。
【0077】
【表1】

【0078】
回転バルブ171は順序化された気体流の方向を以下のように制御する。すなわち、段階1および2においては順番に、送給気体流を各カラムへ且つ気体生成物を各カラムから;生成物再加圧段階8においては、生成物を製造しているカラムもしくは気体生成物貯蔵シリンダ63からの気体生成物流を各カラムへ;段階3および7においては再加圧気体流を、順番に、カラム27からカラム53へ、カラム61から25へ、カラム53からカラム27へ、カラム25からカラム61へ;段階4および6においてはパージ提供気体流を、順番に、カラム27からカラム25へ、カラム61からカラム27へ、カラム53からカラム61へ、且つ、カラム25からカラム53へ;段階5においては排気廃ガス流を、順番に、各カラムから;且つ、段階8においてはパージ廃ガス流を、順番に、各カラムから。各段階の経過時間は任意の所望の持続時間に設定可能であり;各段階に対しては代表的な1.0秒の経過時間が選択されることで、8.0秒の代表的な総反復サイクル時間が与えられる。
【0079】
上述の4個の吸着剤カラムのシステムは、図7の基部アセンブリが、3個の位置を対称的な2列として、4つの吸着剤床と、1個の気体生成物貯蔵カラムと、回転バルブとを支持する“6パック”配列を利用するが、回転バルブが吸着剤カラムの各々の近傍である限りにおいて他の配列が可能である。たとえば、回転バルブが4個の吸着剤カラムと1個の生成物貯蔵カラムとにより対称的に囲繞される五角形配列が可能である。別の代替策において、3個の位置の平行な2列は、図5におけるように直接的に対向するのではなく、オフセットすることができる。その結果、回転バルブは各吸着剤カラムの直近であり且つそれらから等距離となる。そして、気体生成物貯蔵カラムは、各吸着剤カラムが気体生成物貯蔵カラムと回転バルブとの間にあるように2個の吸着剤カラムの反対側に配置される。この代替策に関し、前記支持アセンブリの基部における通路は、図10の配列から改変することができる。
【0080】
上述のシステムおよびプロセスは4個の吸着剤床および表1のPSAサイクルを利用するが、所望であれば別の個数の床および他のPSAサイクルが使用される。たとえば図7の基部アセンブリは、2個の吸着剤カラムと、1個の気体生成物貯蔵カラムと、回転バルブとを“4パック”形態で支持すべく改変される。別の例において図5の“6パック”配列は、3個の吸着剤カラムおよび2個の気体生成物貯蔵カラムと共に使用される。別の例においては、5個の吸着剤カラムと1個の気体生成物貯蔵カラムとを有するシステムが使用可能であり、その場合に吸着剤カラムおよび気体生成物貯蔵カラムは回転バルブの回りに六角形パターンで配置される。更に別の例においては、7個の吸着剤カラムと1個の気体生成物貯蔵カラムとを備えたシステムが、各カラムおよび回転バルブの位置が、回転バルブを中心として3個の位置の平行な3列(すなわち“9パック”)で配列されるように設計される。これらのシステムに熟練した設計者であれば、他の代替的な幾何学形状、吸着剤カラムの個数、および、気体生成物貯蔵カラムの個数は想起されよう。これらの代替策のいずれもが上述の本発明の実施例を利用可能であり、その場合に各カラムは、各カラムを回転バルブのポートに接続する一体的内部通路を有する基部アセンブリ内に取付けられる。
【0081】
上述の酸素濃縮器は、任意の方向において作動することができる。支持基部もしくは底部プラットフォーム9(図1および図2)は平坦表面を形成すると共に、前記濃縮器は、該平坦表面が水平に方向付けられ又は水平面に対して任意の角度で方向付けられたときに作動する。殆どの用途において基部9(図1および図2)は床部または他の水平表面に配置される。しかし他の用途において前記濃縮器は、たとえば飛行機、列車、バスもしくはフェリーの座席の下側にて該濃縮器の前部もしくは後部を着座させ乍ら作動される。
【0082】
前記濃縮器は、幾つかの電力供給モードのいずれでも作動される。ひとつのモードにおいて前記濃縮器は、AC電力コンセントに接続されながらAC電力で作動されると共に、この作動中に必要に応じてバッテリは再充電される。別のモードにおいて前記濃縮器は、バッテリは外部充電または保守のために取り外される一方、AC電力で作動される。第3のモードにおいて前記濃縮器は、バッテリ電力のみで作動される。第4のモードにおいて前記濃縮器は、車両または他の移動手段のDC電力差込口に接続され乍ら、または、AC電力の停電時にDC蓄電池に接続され乍ら、DC電力で作動される。外部から供給されるDC電力で作動するとき、前記濃縮器のバッテリは該濃縮器に取付けられても取り外されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施例に係る携帯式医療用酸素濃縮器の前面図である。
【図2】図1の携帯式医療用酸素濃縮器の背面図である。
【図3】図1および図2の携帯式医療用酸素濃縮器の分解図である。
【図4】図1および図2の携帯式医療用酸素濃縮器の破断図である。
【図5】図3の携帯式医療用酸素濃縮器の吸着剤カラム、生成物貯蔵タンクおよび回転バルブが取付けられた基部アセンブリを示す図である。
【図6】図5の部分的分解図である。
【図7】図5および図6の基部アセンブリを示す図である。
【図8】吸着剤カラムが固定された図7の基部アセンブリを示す図である。
【図9】図7の基部アセンブリの断面図である。
【図10】吸着剤カラムの生成物端部と生成物貯蔵タンクの入口端部に回転バルブを接続する通路を示す図7の基部アセンブリの断面図である。
【図11】基部アセンブリに取付けられた2つの吸着剤カラムおよび回転バルブに沿う図5の断面図である。
【図12】図1から図11の酸素濃縮器を用いる圧力スイング吸着プロセスの概略的な流れ系統図である。
【符号の説明】
【0084】
1 外側シェル
2 ユーザ・インタフェース・パネル
3 搬送用ハンドル
5 酸素生成物出口
7 空気入口格子
8 出口格子
9 支持基部/底部プラットフォーム
9a 垂直壁部セグメント
9b 水平唇部
11、13 バッテリ・パック
15 空気分離システム
17 送給ポンプ
19 電気モータ
21 真空ポンプ
23 可撓取付け部材
25 吸着剤カラム
27 吸着剤カラム
29、31 円筒状カラー
33 圧縮気体出口
35 冷却コイル
37 空気入口
39 ファン
41 支持ブラケット
43 制御モジュール
45 制御モジュール
47 入口
49 真空入口ライン/成型管
51 消音器
52 底部部材
53 吸着剤カラム
55 カラー
61 吸着剤カラム
63 空のカラム/気体生成物貯蔵カラム
65 回転バルブ
67、69 取付け部材
71、73、75、77 成型管/ライン
79 出口
81 駆動モータ
83 外側ケース
85 生成物用ロータ
87 生成物用ステータ
89、91 ボス
93、97、99 保持用凹部
101 ボス
103 保持用凹部
105 真空出口
107、109 カラー
111、113 取付け部材
115、117 カラム生成物ポート
119 気体生成物貯蔵カラム入口ポート
121 ステータ・ポート
123、125、127、129 周辺ステータ・ポート
131 タブ
133 カラム生成物ポート
135 通路/ライン
137 基部
139 カラム生成物ポート
141、143、145、147 通路/ライン
149 管
151 弾性シール要素
153 管
155 弾性シール要素
157 送給用ロータ
159 上側/送給用ステータ
161 生成物用ステータ
163 生成物用ロータ
165 入口ライン
167 送給ポンプ
169 ライン
171 回転バルブ
173 一体化ポンプ・システム
175 中央駆動モータ
177 真空ポンプ
179 ライン
181 酸素生成物ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)空気から酸素を回収する空気分離システムと、
(b)底部プラットフォームならびに外壁を有するシェルであって、該シェルは前記底部プラットフォームに着脱自在に接続され、前記シェルおよび前記底部プラットフォームは前記シェルが前記底部プラットフォームに接続されたときに囲繞体積を形成し、前記空気分離システムは前記囲繞体積内に配設される、底部プラットフォームならびにシェルと、
(c)前記シェルの前記外壁に着脱自在に接続されると共に前記空気分離システムを駆動する電力を提供する一個以上の再充電可能バッテリと、を備える、携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項2】
前記シェルは、単一成型体、または、結合された2個以上のシェル用下位構成要素により形成される、請求項1に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項3】
前記空気分離システムは、
(1)各々が、送給端部と、生成物端部と、選択的吸着により気体分離を行う吸着材料と、を含む2個以上の吸着剤カラムと、
(2)圧縮空気出口を有する送給ポンプと気体入口を有する真空ポンプとを備えるポンプ・アセンブリと、
(3)酸素生成物出口と、
(4)前記送給ポンプの前記圧縮空気出口を前記各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置され、さらに前記真空ポンプの前記気体入口を各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置される第1の複数のポート、および、前記酸素生成物出口を前記各吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置され、さらに前記各吸着剤カラムの前記生成物端部を別の前記吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される第2の複数のポート、を有する回転バルブと、
(5)前記底部プラットフォームに取付けられると共に前記2個以上の前記吸着剤カラムと前記回転バルブとを支持する基部アセンブリと、を備える、請求項1に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項4】
前記送給ポンプおよび前記真空ポンプは各々が共通駆動モータにより駆動されるスクロール型圧縮機であり、
前記駆動モータは前記送給ポンプおよび前記真空ポンプの間に同軸的に配設される、請求項3に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項5】
前記シェルは、入口格子と、出口格子と、前記囲繞体積内に配設されて周囲空気を前記囲繞体積内に吸引し前記囲繞体積から熱気を排出するファンと、を有する、請求項1に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項6】
前記シェルは、前記底部プラットフォームの近傍の下端部と、該下端部と反対側の上端部とを有し、
前記囲繞体積は、前記基部アセンブリと前記ポンプ・アセンブリとの間に配設された仕切壁を含み、
該仕切壁は、前記底部プラットフォームから上方に向け、前記底部プラットフォームと前記シェルの前記上端部との中間点まで延在する、請求項3に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項7】
前記酸素生成物出口と流通可能に連通する入口と、患者に対する酸素の間欠的供給に適した出口と、を有する保存器を備え、
該保存器は、患者の吸入期間中は酸素を供給し且つ患者の吐出期間中は酸素を供給しない、請求項1に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項8】
(a)空気から酸素を回収する空気分離システムであって、
(1)各々が、送給端部と、生成物端部と、選択的吸着により気体分離を行う吸着材料と、を含む2個以上の吸着剤カラムと、
(2)圧縮空気出口を有する送給ポンプと気体入口を有する真空ポンプとを備えるポンプ・アセンブリと、
(3)酸素生成物出口と、
(4)前記送給ポンプの前記圧縮空気出口を前記各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置され、さらに前記真空ポンプの前記気体入口を前記各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置される第1の複数のポート、および、前記酸素生成物出口を各吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置され、さらに前記各吸着剤カラムの前記生成物端部を別の前記吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される第2の複数のポートを有する回転バルブと、
(5)前記2個以上の吸着剤カラムおよび前記回転バルブを支持する基部アセンブリと、
を含む空気分離システムと、
(b)底部プラットフォームならびに外壁を有するシェルであって、前記基部アセンブリおよび前記ポンプ・アセンブリは前記底部プラットフォーム上に取付けられ、前記シェルは前記底部プラットフォームに着脱自在に接続され、前記空気分離システムは前記シェルが前記底部プラットフォームに接続されたときに前記シェルおよび前記底部プラットフォームにより形成される囲繞体積内に配設される、底部プラットフォームならびにシェルと、を備える、携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項9】
前記シェルの前記外壁に着脱自在に接続されると共に前記送給ポンプおよび前記真空ポンプを駆動する電力を提供する一個以上の再充電可能バッテリを備える、請求項8に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項10】
制御システムおよび保存器を備え、
前記再充電可能バッテリは前記制御システムおよび前記保存器へ電力を提供する、請求項9に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項11】
前記底部プラットフォームは平坦表面を形成し、
前記濃縮器は前記平坦表面が水平に方向付けられ又は水平面に対して任意の角度で方向付けられたときに作動する、請求項9に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項12】
前記シェルは、入口格子と、出口格子と、前記囲繞体積内に配設されて周囲空気を前記囲繞体積内に吸引し、前記囲繞体積から熱気を排出するファンと、を有する、請求項9に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項13】
前記送給ポンプの前記圧縮空気出口に取付けられて、前記送給ポンプからの高温圧縮空気を冷却する冷却コイルを備え、
前記ファンは前記冷却コイルおよび前記送給ポンプの全体に亙り周囲空気を通過させる、請求項12に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項14】
前記シェルは、前記底部プラットフォームの近傍の下端部と、該下端部と反対側の上端部とを有し、
前記囲繞体積は、前記基部アセンブリと前記ポンプ・アセンブリとの間に配設された仕切壁を含み、
該仕切壁は、前記底部プラットフォームから上方に向け、前記底部プラットフォームと前記シェルの前記上端部との中間点まで延在する、請求項13に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項15】
(a)各円筒状カラムは、送給端部と、該送給端部の送給入口と、生成物端部と、該生成物端部の生成物出口とを含み、前記円筒状カラムの内の少なくとも2個の前記カラムは選択的吸着により気体分離を行う吸着材料を収容する吸着剤カラムである2個以上の円筒状カラムと、
(b)圧縮気体出口を有する送給ポンプと気体入口を有する真空ポンプとを備えるポンプ・アセンブリと、
(c)気体生成物出口と、
(d)前記送給ポンプの前記圧縮気体出口を前記各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置され、さらに前記真空ポンプの前記気体入口を各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置される第1の複数のポート、および、前記気体生成物出口を各吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置され、さらに各吸着剤カラムの前記生成物端部を別の吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される第2の複数のポートを有する回転バルブと、
(e)その上に前記各吸着剤カラムおよび前記回転バルブが取付けられる基部アセンブリと、
(f)その上に前記基部アセンブリおよび前記ポンプ・アセンブリが取付けられる支持プラットフォームと、を備える、吸着式気体分離システム。
【請求項16】
前記気体生成物出口と流通可能に連通されると共に、各吸着剤カラムの前記生成物端部の前記生成物出口と順番に流通可能に連通される気体生成物貯蔵タンクを備える、請求項15に記載の吸着式気体分離システム。
【請求項17】
前記気体生成物貯蔵タンクは、2個以上の前記円筒状カラムの内の1個の前記カラムであり、前記吸着材料を収容せずに、前記基部アセンブリ上に取付けられる、請求項16に記載の吸着式気体分離システム。
【請求項18】
前記気体生成物貯蔵タンクは前記各吸着剤カラムの前記吸着材料とは異なる吸着材料を収容し、該異なる吸着材料は前記生成物タンクの有効貯蔵容量を増大する、請求項16に記載の吸着式気体分離システム。
【請求項19】
前記基部アセンブリは、第1表面および該第1表面に対して略平行な第2表面を有する底部部材を備える成型プラットフォームと、前記底部部材の前記第1表面に取付けられた2個以上の円筒状カラーであって前記2個以上の円筒状吸着剤カラムの夫々の生成物端部を着脱自在に受容して支持する2個以上の円筒状カラーと、前記底部部材の前記第1表面に取付けられたポート式ステータ・プレートとを備え、
前記ポート式ステータ・プレートは前記回転バルブの一部であり、前記ポート式ステータ・プレートは、前記気体生成物出口を前記各吸着剤カラムと順番に流通可能に連通して配置される前記第2の複数のポートであって前記各吸着剤カラムを別の前記吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される前記第2の複数のポートを含む、請求項15に記載の吸着式気体分離システム。
【請求項20】
前記ポート式ステータ・プレートは、前記底部部材の前記第1表面の近傍の中央ステータ・ポートおよび2個以上の周辺ステータ・ポートを有し、
前記成型プラットフォームの前記底部部材においては、前記2個以上の円筒状カラーの各々内にカラム生成物ポートが配設され、各カラム生成物ポートは前記底部部材の前記第1表面から、前記底部部材の前記第1表面と前記第2表面との中間点まで延在し、
前記各カラム生成物ポートおよび前記各円筒状吸着剤カラムは、前記円筒状吸着剤カラムの前記生成物出口が前記カラム生成物ポートに、シール可能に且つ着脱自在に接続され、
前記各周辺ステータ・ポートは、前記基部アセンブリの前記底部部材内に配設された通路により夫々の前記カラム生成物ポートへ接続される、請求項19に記載の吸着式気体分離システム。
【請求項21】
前記円筒状吸着剤カラムおよび/または前記基部アセンブリはプラスチックまたはポリマ材料から成る、請求項16に記載の吸着式気体分離システム。
【請求項22】
前記底部部材および前記2個以上の円筒状カラーは、成型された単一部材のポリマもしくはプラスチック材料から形成される、請求項19に記載の吸着式気体分離システム。
【請求項23】
前記気体生成物出口と流通可能に連通し、さらに前記各吸着剤カラムの前記生成物端部の前記生成物出口に前記中央ステータ・ポートを介して流通可能に連通する気体生成物貯蔵タンクを備え、
該気体生成物貯蔵タンクは、前記2個以上の円筒状カラムの内の1個の前記カラムであり、前記吸着材料を収容せず、前記基部アセンブリ上の前記円筒状カラーの内の1個の前記カラー内に着脱自在に支持され、
前記気体生成物貯蔵タンクの前記送給入口は、前記成型プラットフォームの前記底部部材において前記円筒状カラー内に配設されたカラム生成物ポートに、シール可能に且つ着脱自在に接続可能であり、
前記カラム生成物ポートは、前記基部アセンブリの前記底部部材内に配設された通路により前記中央ステータ・ポートに接続される、請求項20に記載の吸着式気体分離システム。
【請求項24】
吸着式気体分離システム用の基部アセンブリであって、
(a)第1表面および該第1表面に対して略平行な第2表面を有する底部部材を備える成型プラットフォームと、
(b)前記底部部材の前記第1表面に取付けられた2個以上の円筒状カラーであって2個以上の円筒状カラムの夫々の生成物端部を着脱自在に受容して支持する2個以上の円筒状カラーと、
(c)前記底部部材の前記第1表面に取付けられ、前記吸着式気体分離システムの作動時に気体流を方向付ける回転バルブの一部であるポート式ステータ・プレートであって、前記底部部材の前記第1表面の近傍の中央ステータ・ポートおよび2個以上の周辺ステータ・ポートを有するポート式ステータ・プレートと、
を備え、
前記成型プラットフォームの前記底部部材においては、前記2個以上の円筒状カラーの各々内にカラム生成物ポートが配設され、該各カラム生成物ポートは前記底部部材の前記第1表面から、前記底部部材の前記第1表面と前記第2表面との中間点まで延在し、前記各カラム生成物ポートは前記円筒状カラムにシール可能に且つ着脱自在に接続可能であり、
前記各周辺ステータ・ポートは、当該基部アセンブリの前記底部部材内に配設された通路により夫々の前記カラム生成物ポートに接続される、基部アセンブリ。
【請求項25】
各々が内部と該内部と一端にて流通可能に連通する管とを有する2個以上の前記円筒状カラムを備え、
前記管は、その外周の回りに配設された弾性シール要素を有し、
前記弾性シール要素を備えた前記管は前記成型プラットフォームの前記底部部材内に配設された前記カラム生成物ポート内へとシール可能に且つ着脱自在に挿入される、請求項24に記載の基部アセンブリ。
【請求項26】
前記弾性シール要素は、前記管の外側面の円周溝内に配設されたOリングであり、
該Oリングは、前記管および前記Oリングが前記カラム生成物ポート内にシール可能に且つ着脱自在に挿入されるような寸法である、請求項25に記載の基部アセンブリ。
【請求項27】
前記各カラムは、前記管および前記Oリングが前記円筒状カラーの前記カラム生成物ポート内にシール可能に挿入されているときは前記円筒状カラー内に固定され、前記管および前記Oリングが前記カラム生成物ポートから取り外されたときは前記円筒状カラーから固定解除される、請求項26に記載の基部アセンブリ。
【請求項28】
前記2個以上の円筒状カラムの内の少なくとも2個の前記円筒状カラムは選択的吸着により気体分離を行う吸着材料を収容する吸着剤カラムである、請求項24に記載の基部アセンブリ。
【請求項29】
前記2個以上の円筒状カラムの内の少なくとも一個の前記円筒状カラムは気体生成物貯蔵タンクとして使用される、請求項24に記載の基部アセンブリ。
【請求項30】
前記気体生成物貯蔵タンクは前記生成物タンクの有効貯蔵容量を増大する吸着材料を収容する、請求項29に記載の基部アセンブリ。
【請求項31】
前記底部部材は、
(1)前記第1表面と、前記第1表面に取付けられた前記2個以上の円筒状カラーと、前記第1表面に対して略平行な第1中間表面と、前記各周辺ステータ・ポートを夫々の前記カラム生成物ポートに接続する前記通路の一部を夫々形成する開放溝と、を含む第1下位部材と、
(2)前記第2表面および該第2表面に対して略平行な第2中間表面を含む第2下位部材とを備え、
前記第1下位部材の前記第1開放溝が前記第2中間表面により覆われることにより、基部アセンブリの前記底部部材内に配設された前記通路であって前記各周辺ステータ・ポートを夫々の前記カラム生成物ポートに接続する前記通路を形成するように、前記第1および第2中間表面は結合される、請求項24に記載の基部アセンブリ。
【請求項32】
前記底部部材は、
(1)前記第1表面と、前記第1表面に取付けられた前記2個以上の円筒状カラーと、前記第1表面に対して略平行な第1中間表面と、各周辺ステータ・ポートを夫々の前記カラム生成物ポートに接続する前記通路の第1部分を夫々形成する第1開放溝と、を含む第1下位部材と、
(2)前記第2表面と、該第2表面に対して略平行な第2中間表面と、前記各周辺ステータ・ポートを夫々の前記カラム生成物ポートに接続する前記通路の第2部分を形成する第2開放溝と、を含む第2下位部材とを備え、
前記第1下位部材の前記第1開放溝が前記第2下位部材の前記第2開放溝と合致することにより、前記基部アセンブリの前記底部部材内に配設された前記通路であって各周辺ステータ・ポートを夫々のカラム生成物ポートに接続する前記通路を形成するように、前記第1および第2中間表面は結合される、請求項24に記載の基部アセンブリ。
【請求項33】
前記成型プラットフォーム、前記2個以上の円筒状カラー、および前記2個以上の円筒状吸着剤カラムは、いずれもプラスチックまたはポリマ材料から成る、請求項24に記載の基部アセンブリ。
【請求項34】
(a)空気から酸素を回収する空気分離システムであって、
(1)各円筒状カラムは、送給端部と、該送給端部の送給入口と、生成物端部と、該生成物端部の生成物出口とを含み、円筒状カラムの内の少なくとも4個の円筒状カラムは選択的吸着により空気分離を行う吸着材料を収容する吸着剤カラムである4個以上の円筒状カラムと、
(2)圧縮空気出口を有する送給ポンプと気体入口を有する真空ポンプとを備えるポンプ・アセンブリと、
(3)酸素生成物出口と、
(4)前記送給ポンプの前記圧縮空気出口を各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置され、さらに前記真空ポンプの前記気体入口を各吸着剤カラムの前記送給端部と順番に流通可能に連通して配置される第1の複数のポートと、気体生成物出口ポートと、前記気体生成物出口ポートを各吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置され、さらに各吸着剤カラムの前記生成物端部を別の吸着剤カラムの前記生成物端部と順番に流通可能に連通して配置される第2の複数のポートと、を有する回転バルブと、
(5)前記少なくとも4個の円筒状カラムおよび前記回転バルブを支持する基部アセンブリと、
を含む空気分離システムと、
(b)底部プラットフォームならびに外壁を有するシェルであって、前記基部アセンブリおよび前記ポンプ・アセンブリは前記底部プラットフォーム上に取付けられ、前記シェルは前記底部プラットフォームに着脱自在に接続され、前記空気分離システムは前記シェルが前記底部プラットフォームに接続されたときに前記シェルおよび底部プラットフォームにより囲繞される、底部プラットフォームならびにシェルと、
(c)前記シェルの前記外壁に着脱自在に接続されると共に、前記送給ポンプ、前記真空ポンプおよび前記回転バルブを駆動する電力を提供する一個以上の再充電可能バッテリと、
を備える、携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項35】
前記気体生成物出口ポートと連続的に流通可能に連通されると共に、前記各吸着剤カラムの前記生成物端部の前記生成物出口と順番に流通可能に連通される気体生成物貯蔵タンクを備える、請求項34に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項36】
入口および出口を有する逆止弁を備え、前記気体生成物出口ポートを前記逆止弁の前記入口に接続する配管をし、前記逆止弁の前記出口を前記気体生成物貯蔵タンクに接続する配管をする、請求項35に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項37】
前記気体生成物貯蔵タンクは前記円筒状カラムの内の1個のカラムであり且つ前記基部アセンブリ上に取付けられる、請求項35に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項38】
前記気体生成物貯蔵タンクは前記各吸着剤カラムの前記吸着材料とは異なる吸着材料を収容し、該異なる吸着材料は前記生成物タンクの有効貯蔵容量を増大する、請求項37に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項39】
前記気体生成物貯蔵タンクから前記酸素生成物出口へ酸素生成物を供給する保存器を備え、
前記保存器は、患者の吸入期間中は酸素を供給し且つ患者の吐出期間中は酸素を供給しない、請求項37に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項40】
4個の前記吸着剤カラムおよび前記気体生成物貯蔵タンクを備え、
前記基部アセンブリは、前記4個の吸着剤カラム、前記気体貯蔵タンクおよび前記回転バルブを支持する、請求項37に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項41】
前記基部アセンブリは、
(a)第1表面および該第1表面に対して略平行な第2表面を有する底部部材を備える成型プラットフォームと、
(b)前記底部部材の前記第1表面に取付けられた5個の円筒状カラーであって、前記4個の円筒状吸着剤カラムおよび前記気体生成物貯蔵タンクの夫々の生成物端部を着脱自在に受容かつ支持する5個の円筒状カラーと、
(c)前記底部部材の前記第1表面に取付けられると共に前記5個の円筒状カラーの内の少なくとも2個の円筒状カラーの近傍に配設されたポート式ステータ・プレートであって、前記吸着式気体分離システムの作動時に気体流を方向付ける回転バルブの一部であるポート式ステータ・プレートであって、前記底部部材の前記第1表面の近傍の中央ステータ・ポートおよび4個の周辺ステータ・ポートを有するポート式ステータ・プレートと、を備え、
前記5個の円筒状カラーの各々内において、前記成型プラットフォームの前記底部部材にはカラム生成物ポートが配設され、前記各カラム生成物ポートは前記底部部材の前記第1表面から、該底部部材の前記第1表面と前記第2表面との中間点まで延在し、前記各カラム生成物ポートは前記円筒状カラムの生成物出口に対してシール可能に且つ着脱自在に接続可能であり、
前記各周辺ステータ・ポートは、前記基部アセンブリの前記底部部材に配設された通路により、夫々の吸着剤カラムに関連付けられた前記カラム生成物ポートに接続され、
前記中央ステータ・ポートは、前記基部アセンブリの前記底部部材に配設された通路により、前記気体生成物貯蔵タンクに関連付けられた前記カラム生成物ポートに接続される、請求項40に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項42】
前記底部部材は、
(1)前記第1表面と、該第1表面に取付けられた前記5個の円筒状カラーと、前記第1表面に対して略平行な第1中間表面と、前記各周辺ステータ・ポートを夫々の前記カラム生成物ポートに接続する前記通路の第1部分を夫々形成する第1開放溝と、前記気体生成物貯蔵タンクに関連付けられた前記カラム生成物ポートに前記中央ステータ・ポートを接続する前記通路とを含む第1下位部材と、
(2)前記第2表面および該第2表面に対して略平行な第2中間表面を含む第2下位部材と、を備え、
前記第1下位部材の前記第1開放溝が前記第2中間表面により覆われることにより、前記基部アセンブリの前記底部部材内に配設された前記通路であって前記各周辺ステータ・ポートを夫々の前記カラム生成物ポートに接続する前記通路と、前記気体生成物貯蔵タンクに関連付けられた前記カラム生成物ポートに前記中央ステータ・ポートを接続する前記通路とを形成するように、前記第1および第2中間表面が結合される、請求項41に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項43】
前記5個の円筒状カラーは、第1カラー、第2カラーおよび第3カラーは第1軸に沿い等距離で配置されると共に第4カラーおよび第5カラーは前記第1軸に対して略平行な第2軸上に配置されるように配置され、
前記第4カラーは前記第1カラーの近傍であり、前記第5カラーは前記第3カラーの近傍であり、前記ポート式ステータ・プレートは前記第2カラーの近傍であり且つ前記第4カラーおよび前記第5カラーの間において前記第2軸上である、請求項41に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項44】
前記気体生成物貯蔵タンクの役割を果たす円筒状カラムは前記第2カラー内に取付けられ、前記吸着材料を収容する前記円筒状カラムは前記第1、第3、第4および第5カラー内に取付けられる、請求項43に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。
【請求項45】
前記底部プラットフォームは、周縁部、上側表面および下側表面を有する略平坦な底部と、上端部および下端部を有する連続的な垂直壁部セグメントとを備え、
前記下端部は前記平坦底部の前記周縁部に取付けられ、前記上端部は該上端部に取付けられた水平唇部を有し、
前記基部アセンブリおよび前記ポンプ・アセンブリは前記上側表面に取付けられ、
前記下側表面は床部もしくは他の外側表面に着座する、請求項34に記載の携帯式医療用酸素濃縮器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−167653(P2007−167653A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341649(P2006−341649)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】