説明

携帯情報端末およびその表示制御方法

【課題】手指で画面に触れて操作することが通常の携帯機器において、画面内のどの表示部品に対する操作として受け付けられたかをユーザーが容易に視認できる手法を提供する。
【解決手段】画面を有しその画面に操作用表示部品を表示する表示部と、前記画面に触れるタッチ操作およびそのタッチ操作の位置を検出する操作検出部と、前記表示部および前記操作検出部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記表示部品の表示位置で前記操作検出部がタッチ操作を検出したことに応答してその表示部品の表示態様を変化させかつその表示部品を含む全部または一部の画面の表示を一方向へシフト表示させるように前記表示部を制御する携帯情報端末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置と操作検出部とが協働してボタンやキースイッチ等に代わる操作手段を提供する携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルのような、位置を入力する手段(操作検出部)を有し、ユーザーが自分の指などでその操作検出部に触れて操作する機器が多く存在する。例えば、携帯電話、POS端末、券売機、ATMなどである。これらの機器は表示装置と操作検出部とが協働してボタンやキースイッチとしての機能を提供する。ユーザーは、前記表示装置に表示項目として表されたボタンやキースイッチ等の位置に指やペンで触れ機器の操作を行う。
【0003】
その操作は、表示装置に表された表示項目と機器を操作するユーザーの目との間に指を置くことになる。従って、ボタンなどの表示項目は指で覆われてユーザーの目から隠れてしまったり見えにくくなってしまったりしてしまう。
それでも、表示項目の領域が指より大きい場合はその表示項目の一部がユーザーに見えているので、表示項目の色を変えたり明滅させたりすることによって操作を受け付けたことをユーザーに認識させることができた。
また、表示項目が隠れないように専用の細いタッチペンを用意することで対応するものもある。
【0004】
しかし、携帯電話のように指で操作することが通常の機器であるにもかかわらず小さい画面しか持たない機器では、表示項目も小さくなることが多い。とりわけ文字入力など多数のボタンが並んで表示される状態で操作を行うシーンでは、各ボタンの領域が指よりも小さくなり、かつ多くのボタンが隙間なく並ぶことがある。そうなると、操作を行うユーザーは、どのボタンを押したのか、また目的のボタンを確実に押すことができたかどうかを目視によって確認することができないケースが発生する。専用のボタンであれば、頂部や周囲に凹凸を設けるなどして独特の感触を持たせることにより、どのボタンに触れたかをユーザーに認識させることが可能である。しかし、表示部品の種類や位置を状況に応じて変えて表示するような態様では、操作検出部の特定の位置に凹凸を設けたとしてもその位置に表示部品があるのか否か、あるとすればどの表示部品かをユーザーが正しく認識することは容易でない。
この不都合を回避するため、操作ボタンを押す指先のさらに先の方(上方)に、どのボタンが押されたかを吹き出しとして表示するものが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、これに関する技術として、誤入力を防止するために指定部分の表示画像を拡大して表示させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。より詳細には、表示手段、該表示手段の前面に設けられ利用者が触れた位置を読み取る位置指定手段と、位置指定手段からの信号に基づいて前記表示手段に対する座標を検知する位置検知手段と、位置指定手段の圧力を検知する圧力検知手段と、前記検出された位置に基づいて当該位置を含む一定範囲の表示領域を拡大する拡大表示手段とを備え、前記圧力検知手段が予め定めた所定値以上の圧力を検出した際に、利用者が触れた位置を含む一定範囲の領域を拡大表示するように制御し、拡大表示された表示領域について、前記位置指定手段により前記位置を読み取るようにしたものである。
また、タッチパネルを有する携帯情報端末で、タッチ操作した指自身によって隠された、タッチ操作した場所に表示されている画像を、表示内容をスライドさせることによってユーザーに認識可能にする技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−154042号公報
【特許文献2】特開2009−301282号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“[実践Q&A]iPhone徹底活用「30のヒント」文字入力編・ホーム画面/トラブル編”、[online]、2008年08月22日、日経トレンディネット特集記事、[平成22年12月1日検索]、インターネット<URL:http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/special/20080822/1017851/>、フルキーボードの画像参照
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
常にタッチペンで操作することを前提とすれば、細いペン先で隠される領域は小さい。しかし、機器の操作にいちいち道具を使うのはめんどうである。ユーザーの手指で直接操作できる、簡便な操作性を提供する機器が市場に受け入れられているという状況がある。ところが、手指で触れる操作については、画面の小さい携帯電話やスマートフォン、PDA、ハンディターミナルなどの機器では、表示内容、特にボタンの内容が指で隠れてしまい、何を押したのかユーザー自身が分からなくなるという問題がある。それによって誤操作が生じる割合が高くなるであろう。
【0009】
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、手指で画面に触れて操作することが通常の携帯機器において、画面内のどの表示部品に対する操作として受け付けられたかをユーザーが容易に視認できる手法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、画面を有しその画面に操作用表示部品を表示する表示部と、前記画面に触れるタッチ操作およびそのタッチ操作の位置を検出する操作検出部と、前記表示部および前記操作検出部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記表示部品の表示位置で前記操作検出部がタッチ操作を検出したことに応答してその表示部品の表示態様を変化させかつその表示部品を含む全部または一部の画面の表示を一方向へシフト表示させるように前記表示部を制御することを特徴とする携帯情報端末を提供する。
【0011】
また、異なる観点から、この発明は、コンピュータが、表示部の画面に操作用表示部品を表示させ、操作検出部を用いて前記画面に触れるタッチ操作およびそのタッチ操作の位置を検出させ、前記表示部品の表示位置でタッチ操作が検出されたことに応答してその表示部品の表示態様を変化させかつその表示部品を含む全部または一部の画面の表示を一方向へシフト表示させるように制御することを特徴とする携帯情報端末の表示制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
この発明の携帯情報端末において、制御部は、前記表示部品の表示位置で前記操作検出部がタッチ操作を検出したことに応答してその表示部品の表示態様を変化させかつその表示部品を含む全部または一部の画面の表示を一方向へシフト表示させるように前記表示部を制御するので、指で操作することが通常の機器であるにもかかわらず小さい画面しか持たない携帯情報端末であっても、どの表示部品に対する操作として受け付けられたかをユーザーが容易に視認できる。
即ち、ユーザーが画面を手指で操作した場合に、操作された表示部品の表示態様が変化すると共にその表示部品を含む全部または一部の画面の表示がシフトするので、ユーザーは、操作の際に表示部品が指で隠れて見えなかったとしてもどの表示部品を押したかがよくわかる。
この発明による表示制御方法も同様の作用効果を生じる。
【0013】
この発明において、操作用表示部品は、画面にそれが表示された位置を操作するとその操作を受け付けることをユーザーに知らせる表示要素である。代表的な例として、操作ボタン、リストボックス、チェックボックス、ラジオボタンおよびハイパーリンク等が挙げられる。これに限らず、グラフィカル・ユーザー・インターフェイスの操作手段として使用されているものである。ただし、この発明はグラフィカル・ユーザー・インターフェイスに限定されるものではない。単純な矩形などであっても、それに対する操作が受け付けられることをユーザーが認識できる表示要素であれば操作用表示部品に含まれる。後述する実施形態において、前記表示部品は、アルファベットの操作ボタン「終了」ボタンに相当する。
【0014】
表示部は、前記操作用表示部品を画面に表示し、また、ユーザーに提供する情報を表示するためのものである。また、その表示を制御する回路を含む。その具体的な態様は、例えば、液晶表示パネルである。ただし、それに限定されず、携帯情報端末の表示素子として適用可能なものであれば方式や構造は問わない。後述する実施形態において、表示部は、表示パネルおよび表示制御部に相当する。
【0015】
また、操作検出部は、画面に触れる操作がなされたことを検出しかつその操作がなされた画面上の位置を検出するものである。その具体的な態様は、例えば、タッチパネルである。駆動回路も含まれる。画面への接触を検出する原理は問わない。感圧式のものでも静電式のものでもあるいは光学式のものでもよく、それ以外であってもよい。位置検出の分解能としては、手指の大きさに相当する位置の変化を検出する能力があるものは適用できる。後述する実施形態において、操作検出部は、タッチパネル入力部に相当する。好ましくは、タッチ操作の位置は画面横方向(X方向)と縦方向(Y方向)の座標として検出される。
なお、タッチ操作は画面に触れる操作であるが、この発明では、ユーザーの手指で直接画面に触れる操作を考慮している。ただし、画面に触れるものは必ずしも手指に限定されるものではなく、ペンなどのものであってもよい。なお、画面に触れていた手指等を離す操作をタッチ操作の解除としている。操作検出部は、手指が画面に触れたこと、手指が画面に触れ続けていること、手指の位置が移動したこと(タッチ操作の解除)、手指が画面から離れたことを検出する。
【0016】
また、制御部は、表示部および操作検出部を制御するものである。その具体的な態様は、CPUあるいはマイクロコンピュータである。後述する実施形態において、制御部は、携帯情報端末が備えるCPUに相当する。
制御部は、タッチ操作がなされた位置に表示されている表示部品の表示態様を変化させる。変化した表示態様の具体的な例としては、表示部品の色を反転させたり、点滅させたりすることが考えられる。これに限らず、ユーザーがその表示部品が操作前の状態と異なることを視認できるよう視覚的に変化させることが含まれる。表示部品の枠線を太くしたり、反転でないが色を変えたり、大きさをほぼ維持しつつ一部または全部の形状を変えたりすることも含まれる。後述する実施形態においては、操作ボタンの色を反転させている。
【0017】
その表示部品を含む一部の画面の表示を一方向へシフト表示させるとは、次のことを指す。一般に、タッチ操作を受け付ける画面は、タッチ操作の対象となる表示部品を領域に区分してあるいは階層化して配置される。これは、その画面を見るユーザーがタッチ操作を行う場所とその意味を理解しやすいように画面のデザインを行うからである。そのように画面の表示がいくつかに区分されあるいは階層化されている場合、タッチ操作の対象となる表示部品が含まれる区分あるいは階層を一方向へシフト表示させることである。
例えば、後述する図3の表示画面は、上から下へ3つの領域に区分されている。上から下へ、機器の動作状態を示すステータス表示領域、作成するメッセージの内容を表示するメッセージ表示領域および前記メッセージの文字入力を行うためのアルファベットキー(操作ボタン)が表示された文字入力領域である。この場合、何れかの操作ボタンがタッチ操作されたことに応答して文字入力領域をシフトさせることがその具体的な一例である。
また、後述する図5の表示画面は、「キャンセル」ボタンがタッチされると、それに応答して確認を求めるダイアログ・ボックスを表示するように表示が階層化されている。この場合、ダイアログ・ボックスの操作ボタン「はい」または「いいえ」がタッチされたことに応答してダイアログ・ボックスの表示をシフト表示させる例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の携帯情報端末の外観の一例を示す説明図である。
【図2】この発明の携帯情報端末の主要な電気的構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の携帯情報端末への文字入力操作を示す説明図である。
【図4】この発明の携帯情報端末への文字入力操作に応答して画面の表示が変化する様子を示す説明図である。
【図5】この発明の携帯情報端末への文字入力操作に応答して画面の一部の表示をシフト表示させる態様を示す説明図である。
【図6】この発明に係る設定メニューの一例を示す説明図である。
【図7】この発明の携帯情報端末において、誤入力を訂正する操作を示す説明図である。
【図8】この発明の携帯情報端末が備えるCPUの処理を示すフローチャートである。
【図9】この発明の携帯情報端末が備えるCPUの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の好ましい態様について説明する。
前記制御部は、前記表示部品の表示位置でタッチ操作が検出された後その表示位置でタッチ操作が解除されたとき、その表示部品に対する操作が確定したと判断して前記表示部品の操作に応じた処理を行ってもよい。このようにすれば、ユーザーは、前記タッチ操作がどの表示部品に対する操作として受け付けられたかを確認したうえでタッチ操作を解除することで確実な操作を行うことができる。
【0020】
また、前記制御部は、前記表示部品の表示位置でタッチ操作が検出されたことに応答してその表示部品の表示態様を変化させ、かつ、タッチ操作が所定時間継続したときに画面の表示をシフト表示させてもよい。このようにすれば、タッチ操作の検出をトリガとして表示態様を素早く変化させてそのタッチ操作が検出されたことをユーザーに知らせることができ、かつ、所定時間内に次の操作に移ることにより表示をシフトさせることなく迅速に次の操作に移ることができる。
【0021】
さらにまた、前記制御部は、前記表示部品の表示位置でタッチ操作が検出された後タッチ操作の位置が前記表示部品から外れたとき、その表示部品に対する操作はなされなかったと判断して変化させていた表示態様を元に戻し、前記表示部品の操作に応じた処理は行わないようにしてもよい。このようにすれば、前記タッチ操作がユーザーの意図した表示部品の操作として検出されなかったときやユーザーが操作をやりなおしたいと考えたとき、タッチ操作の位置を外すことで容易に操作をキャンセルすることができる。
【0022】
前記表示部は、操作用の第1および第2表示部品を表示し、
前記制御部は、前記第1表示部品の表示位置でタッチ操作が検出された後そのタッチ操作が前記第2表示部品の表示位置へ移動したとき、前記第1表示部品の表示態様を元に戻して前記第2表示部品の表示態様を変化させ、その後、前記第2表示部品の表示位置でタッチ操作が解除されたときに前記第2表示部品の操作に応じた処理を行い前記第1表示部品の操作に応じた処理は行わないようにしてもよい。このようにすれば、ユーザーはタッチ操作を解除することなくその位置を第1表示部品から第2表示部品へ移動させる簡便な操作によって、第1表示部品への操作をキャンセルして第2表示部品への操作を行うことができる。
【0023】
また、前記制御部は、タッチ操作が解除されたとき、シフト表示させていた画面の表示を元に戻すように制御してもよい。このようにすれば、タッチ操作が継続する間はたとえタッチ操作の位置が移動したとしても画面の表示がシフトした状態が維持されるので表示が安定する。
【0024】
さらにまた、前記制御部は、タッチ操作が検出された位置に応じて画面の表示をシフト表示させる方向を決定し、その方向は、タッチ操作が検出された位置から画面の中央へ向かう方向であってもよい。このようにすれば、タッチ操作がなされた位置からシフト方向の画面の端まで少なくとも画面の半分に相当する距離的な余裕があるので、タッチ操作がなされた表示部品が表示のシフトによって画面からはみ出してしまうことがない。
【0025】
あるいは、前記制御部は、タッチ操作が検出された位置に応じて画面の表示をシフト表示させる方向を決定し、その方向は、画面の上下左右のそれぞれの縁のうちタッチ操作が検出された位置から各縁までの最短距離が最も大きな縁へ向けてシフトさせる方向であってもよい。このようにすれば、タッチ操作がなされた位置から最も遠くにある縁へ向けて画面の表示をシフトさせるので、タッチ操作がなされた表示部品が表示のシフトによって画面からはみ出してしまうことがない。
【0026】
前記制御部は、表示をシフト表示させる量をユーザーが変更できるように設定メニューを提供してもよい。このようにすれば、手指の大きさやユーザーの好みに合わせたシフト量の設定が可能になる。
【0027】
また、前記制御部は、前記表示部品の表示位置以外でタッチ操作がなされたときは画面の表示をシフトさせないようにしてもよい。このようにすれば、操作用の表示部品以外の位置に触れても画面がシフトすることはないので操作が受け付けられたか否かをユーザーが容易に視認できる。
ここで示した種々の好ましい態様は、それら複数を組み合わせることもできる。
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0028】
≪携帯情報端末の構成≫
図1は、この発明の携帯情報端末の外観の一例を示す説明図である。図1の携帯情報端末11は、いわゆるスマートフォンである。携帯情報端末11は、タッチパネルを有する表示パネル13、電源ボタン15、操作ボタン17、受話口19および通話口21を有する。電源ボタン15と操作ボタン17は、メカニカルな操作ボタンであるが、他の操作ボタンは表示パネル13に表示部品として表示される。ユーザーが指で操作ボタンが表示された位置に触れると、図示しないCPUは、その操作と位置とをタッチパネルで読取り、その位置に表示された操作ボタンが押されたとみなして処理をおこなう。
図2は、図1に示す携帯情報端末11の主要な電気的構成を示すブロック図である。図2に示すように、携帯情報端末11は、タッチパネル入力部23、キー入力部25、表示制御部27、表示パネル13、CPU31、ROM33、RAM35および通話・通信部37を備える。
【0029】
タッチパネル入力部23は、表示パネル13の表面に配置されたタッチパネルセンサーとそれに係る検出回路とを有してなる。タッチパネルとしては感圧式や静電式のものが適用できる。タッチパネル入力部23は、この発明の操作検出部に相当する。キー入力部25は、電源ボタン15および操作ボタン17とそれらの検出回路で構成される。表示制御部27は、表示パネル13に表示させる内容つまり表示データを処理する回路、前記表示データを格納するビデオメモリおよびビデオメモリに格納された表示データに基づき表示パネル13の描画を制御する回路を有してなる。表示パネル13は、液晶表示装置とその駆動回路である。ただし、液晶表示装置以外の表示装置、例えば有機ELディスプレイを用いてもよい。
【0030】
CPU31は、タッチパネル入力部23、キー入力部25、表示制御部27および後述する通話・通信部37の各部の動作を制御し、表示データをはじめとするデータの処理をおこなう。ROM33は、CPU31が実行すべき処理プログラムを格納する。また、操作ボタンなどの表示部品のデータを格納する。さらに、後述する設定メニューによる設定値を格納する。ROM33として、フラッシュメモリが適用される。ただし、それ以外の不揮発性記憶素子、例えば、EEPROMやハードディスク装置も適用可能である。RAM35は、CPUにワークエリアを提供する。また、CPUが処理を実行するときROM33に格納された処理プログラムをダウンロードして格納してもよい。RAMの読み出し速度がROMの読み出し速度より速い場合にこの手法が用いられる。さらに、前記ビデオメモリとしての記憶領域をRAM35内に割り当ててもよい。RAMとしてはSRAMが適用される。
【0031】
携帯情報端末11の電源が投入されると、CPU31は、ROM33上に格納されたブートプログラムを実行する。あるいは、ROM33上のブートプログラムが一旦、RAM35に転送され、CPU31は、RAM35にダウンロードされたブートプログラムを実行する。CPU31がブートプログラムを実行することにより、RAM35上に表示データが作成される。作成された表示データは表示制御部27で処理されてビデオメモリに格納される。ビデオメモリに格納されるデータはその時々に表示パネル13に表示される内容に対応する。表示データは、ウィンドウ、操作ボタン、リストボックス、テキストボックスなど定型の表示部品、ビットマップの画像データや文字などの表示部品を含む。
【0032】
ユーザーが表示パネル13に触れると、タッチパネル入力部23が入力を検出する。入力があった位置を特定する情報も提供する。タッチパネル入力部23は、入力が検出されたことをCPU31に通知する。あるいは、CPU31がポーリング処理等により入力を監視する。入力の検出に応答してCPU31は、タッチパネル入力部23により検出された入力位置(入力座標)を取得する。そして、その入力座標が表示パネル13に表示されているどの表示部品の表示位置に対応するかを判定する。判定結果に基づいてCPU31は、操作に応じた処理を行う。それらの処理はウィンドウや部品ごとに処理プログラムとして予め用意されている。例えば、ある画面のある位置に表示される操作ボタンが押されたと判定した場合、CPU31は、その操作ボタンの押下に対応する処理プログラムの内容を実行する。
【0033】
≪文字入力操作に対する処理≫
続いて、この発明に係る操作入力処理について説明する。操作入力の代表例として、ソフトキーボードを用いた文字入力を取り上げる。
図3は、この発明の携帯情報端末への文字入力操作を示す説明図である。図3(a)は、新規にメッセージを作成して電子メールとして送信するためのメッセージ入力画面である。図3(a)の画面は上から下へ大きく3つの領域に分かれている。最上部はステータス表示領域41である。ステータス表示領域41には、電波の受信強度を表すアイコン、バッテリー残量を表すアイコンおよび現在日時が表示されている。
【0034】
ステータス表示領域41の下は、メッセージ表示領域43である。メッセージ表示領域43には、作成されたメッセージの内容が表示される。より詳細には、メッセージ表示領域43の上部は、「新規メッセージ」のタイトルと「キャンセル」ボタン42が表示されている。「キャンセル」ボタン42が押されたときはメッセージの作成を中止し、図示しない待ち受け画面に移る。タイトルの下には、「宛先:xxxxxxxx」として、作成されたメッセージがxxxxxxxxに送信されることが表示されている。宛先の下は、メッセージ表示欄である。現在は何も入力されておらず、カーソル位置を示す黒い矩形が表示されている。
【0035】
メッセージ表示領域43の下は、文字入力領域45である。文字入力領域は、入力キー47からなる。入力キー47は、いわゆる「QWER」配列のアルファベットキー(操作ボタン)が並ぶ。ただし、これは一例である。例えば、左下端の「Shift」ボタンが押される度に大文字と小文字が切り替わる。その他、所定の操作によって日本語の仮名入力を受け付ける「あかさたな」のボタンが表示されてもよい。
入力キー47のいずれかの操作ボタンが押されると、CPU31は、メッセージ表示領域43のカーソル位置に文字入力を行う。
【0036】
図3(a)の画面で、メッセージの最初の文字として文字Sを入力する操作を説明する。文字Sを入力するには、アルファベットキーのうち「S」ボタンを押す。ところが、「S」ボタンを押そうとしてユーザーが手指51を「S」ボタンの上に移動させると、「S」ボタン全体が指先で隠されてしまう。図3(b)は、「S」ボタンが手指51で隠された状態を示している。「S」ボタンが手指51に比べて小さいために、指先の死角となってしまう。よって、CPU31が「S」ボタンが押されたことに応答して「S」ボタンの色を変えたり明滅させたりする強調表示を行っても、ユーザーは自分が「S」ボタンを操作したことを視認できない。
【0037】
この発明によれば、CPU31は、「S」ボタンを強調表示し、かつ、全部または一部の画面をシフトさせて表示するように制御する。図4は、この発明の携帯情報端末の文字入力操作に応答して画面の表示が変化する様子を示す説明図である。手指51は、図3(b)と同じ位置にある。図4(a)では、ユーザーが操作した「S」ボタンが強調されると共に、画面の表示を全体的に上方向にシフトさせている。なお、矢印アイコン52は、表示がシフトした状態にあることをユーザーに知らせるアイコンである。画面の表示を全体的にシフトさせると、それまで表示されていない領域が現れる。図4(a)に示すようにそれまで表示されていない領域は無地の黒色とすればよく、また、矢印アイコン52は、その領域に表示すればよい。その他、表示がシフトした状態でのみ表示すべき内容をその領域に表示すればよい。例えば、入力の訂正方法についての操作ガイダンスである。CPU31は、画面を全体的にシフトさせるので、画面の一部、例えば、「S」ボタンだけをシフトさせる場合に比べるとCPU31の処理は単純であり、処理負荷が軽い。なお、「S」ボタンが所定の時間(第1期間)、例えば0.5秒間継続して押された場合に限り画面をシフトさせるようにしてもよい。CPU31は、所定の期間(第2期間)、例えば1秒間表示をシフトさせた後に、シフト前の状態に表示を戻してもよい。第2期間中は次の操作ボタンの入力を受け付けないようにしてもよい。あるいは、手指51がタッチパネルから離れたことに応答してシフトを元に戻してもよい。シフトを元に戻すときに併せて「S」ボタンの強調表示もやめるとよい。
【0038】
以上のようにすれば、ボタンに指が少し触れただけで画面がシフトするという不具合を生じることがない。また、迅速に文字を入力したいユーザーは、第1期間より短い間隔で次々と操作ボタンを押せばよい。その場合、CPU31は、表示をシフトさせることがなく操作ボタンの入力を禁止することもない。それらの操作ボタンの押下を受け付ける。一方、操作したボタンを確認しつつ確実な入力を行いたい場合、ユーザーは第1期間を超えて操作ボタンを押せばよい。そうすることによって、押下した操作ボタンを一つずつ確認しながら入力を行うことができる。
【0039】
なお、前述の例では画面表示を上方向にシフトさせたが、シフト方向の決定に際しては次の考えが適用できる。即ち、操作位置を基準にして表示パネル13の上下左右方向の縁までの距離が最も長い方向をシフト方向の方向とするものである。表示をシフトする際に操作されたボタンが画面からはみ出さないためである。ただし、手指51が下方向から伸びることを考慮して、下方向へ表示をシフトさせるのを避ける考え方もある。ただし、別の考え方として、入力位置によらず一定の方向にシフトさせる考え方もある。操作に対して統一した反応を重視する考え方である。さらに、画面の中心点に向けてシフトする考え方もある。中心点に向かう方向へ表示をシフトさせれば、シフト量に十分な余裕があり操作されたボタンが画面からはみ出さないと考えられるからである。
【0040】
図4(a)が画面全体をシフトさせているのに対し、図4(b)は、文字入力領域45のみを右方向にシフトさせている。ステータス表示領域41およびメッセージ表示領域43はシフトさせていない。また、図4(b)では文字入力領域45を右方向にシフトさせている。これは、文字入力領域45を上方向にシフトさせるとメッセージ表示領域43の下部が隠れてしまい入力された文字の確認ができなくなることを考慮したものである。また、文字入力領域45を左方向へシフトさせると画面の左側の縁からはみ出してしまうことを考慮している。このように、画面の一部の表示をシフトさせる場合、シフト方向の決定に際しては、前述したシフト方向の考え方に加えて、シフト表示によって隠されてしまう他の領域の表示内容がその操作に関連する内容か否かをさらに考慮することが好ましい。
【0041】
図5は、画面の一部の表示をシフトさせる別の態様を示す説明図である。図3あるいは図4の新規メッセージ作成画面で「キャンセル」ボタン42が押されると、CPU31はそれに応答してユーザーの確認を求めるダイアログ・ボックス55を画面に表示させる。この一連の表示は、図3または図4の画面表示の下に「キャンセル」ボタン42のタッチ操作に基づくダイアログ・ボックス55の表示が階層化された構造としてとらえることができる。
図5(a)は、「キャンセル」ボタン42のタッチ操作に応答してCPU31がダイアログ・ボックス55を表示させた画面を示している。図5(b)は、(a)の画面で「はい」ボタンがタッチ操作されたことに応答してCPU31がダイアログ・ボックス55をシフト表示させた様子を示している。(b)のシフト方向は画面上方であるが、シフト方向はそれに限定されるものでない。図4(b)と同様の考え方でシフト方向を決定してもよい。
【0042】
≪設定メニュー≫
さらに、設定メニューによりユーザーが予めシフトの方向とシフト量を設定できるようにしてもよい。さらに、シフト途中の状態をアニメーション表示させるようにしてもよい。即ち、画面表示を段階的にシフトさせるようにしてもよい。
設定メニューは、CPU31が処理プログラムを実行することにより実現される。
【0043】
図6は、この発明に係る設定メニューの一例を示す説明図である。設定メニューを実行すると、図6に示す設定メニュー画面が表示パネル13に表示される。変更メニュー表示領域49には、設定項目として、表示のシフト方向、シフト量およびシフトをアニメーション表示するか否かのチェックボックスが表示される。シフト方向は、画面中心、画面端から遠い方、上方向、左方向、右方向および下方向から選択できる。シフト量は、画素数で指定する。0〜100が入力できる。なお、0を設定した場合、表示シフトは行われない。
設定メニューのタイトル右横にある「終了」ボタン48が押されると、CPU31は各項目の設定内容をROM33に書き込む。そして、設定メニューを終了する。それ以後、表示シフトは前述の設定メニュー画面による設定値に基づいて行われる。
【0044】
≪誤入力を訂正する操作≫
前述の例でユーザーは「S」ボタンを手指51で押そうとしたが、誤って左隣の「A」ボタンを押してしまった場合を考える。図7は、この発明の携帯情報端末において、誤入力を訂正する操作を示す説明図である。手指51が「A」ボタンを押したまま第1期間が経過すると画面表示がシフトし、図7(a)に示す画面が表示される。ここで、ユーザーは誤って「A」ボタンを押したことに気づく。
【0045】
その場合、ユーザーは手指51を今の位置から目的の「S」ボタンがある右側に移動させればよい。この発明によれば、表示がシフトしているので、目的の「S」ボタンが手指51で隠されることがなく、ユーザーは手指を移動させるべき方向を容易に認識できる。ユーザーが「S」ボタンの方向に手指51を移動させると、タッチパネル入力部23はその手指51の移動を検出してCPU31に知らせる。CPU31は、手指51の右方への移動量に応じて操作の対象を「A」ボタンから右隣の「S」操作ボタンに変更する。それに伴って強調表示の対象を変更する。
【0046】
ユーザーは、強調表示の変化をみながら手指51の移動量と方向を調節することができる。この場合は、手指を右側へ移動させ(矢印R参照)、強調表示が「A」ボタンから「S」ボタンに変わった状態でタッチパネルから手指51を離せばよい。手指51がタッチパネルから離れると、表示はシフト前の状態に戻り、「S」ボタンの強調表示もなくなる。
以上の操作により、最初に選択された「A」ボタンを非選択状態とし、代わって「S」ボタンを選択状態とする訂正が可能になる。以上のように、簡単な操作で誤入力の修正を行うことができる。
【0047】
以上は、文字入力を代表例として説明したが、この発明は操作ボタンに限定されるものでなく、例えば、リストボックス、チェックボックス、ラジオボタンおよびハイパーリンクなど、グラフィカル・ユーザー・インターフェイスの操作手段として通常使用されている表示部品にも適用される。それらの操作手段は、コンピュータ・プログラムやウェブ・サイトなどで使用されているものである。
【0048】
≪フローチャート≫
前述の文字入力に際してCPU31が実行する処理について説明する。図8および図9は、この発明の携帯情報端末11のCPU31が実行する処理を示すフローチャートである。図8および図9のフローチャートは、特にこの発明の特徴に関連する処理を抽出したものである。以下、フローチャートに沿って処理を説明する。
【0049】
CPU31は、電源投入後、初期化処理の一つとして、図6の設定メニューに係る設定値を読み出してRAM35に一時変数として格納する(ステップS11)。設定値の具体例は、「シフト方向」の設定に対応する変数(変数Dとする)および「シフト量」に対応する変数Sである。さらに、アニメーションの表示時間を示す変数Tである。Tは、「アニメーション表示する」にチェックが入れられた場合は予め定められた時間(例えば、0.5秒)、チェックが入れられていなければゼロ(0)の値をとる。
【0050】
その後、CPU31は、タッチパネル入力部23が入力を検出したか否かを監視する(ステップS13)。フローチャートは、入力が検出されるまでの間処理がループしているが(ステップS13の「いいえ」)、それはフローチャートを分かり易くするためであり実際はその間に他の処理が並行して行われる。CPU31は、マルチタスク処理をしている。
【0051】
ユーザーの手指51が表示パネル13に触れるとタッチパネル入力部23により入力が検出される(ステップS13の「はい」)。CPU31は、それに応答してタッチパネル入力部23から入力のあった位置を取得する(ステップS15)。入力位置は、例えば表示パネル13の縦方向(Y方向)と横方向(X方向)の座標として取得される。
【0052】
続いてCPU31は、取得された入力位置に操作に係る表示部品があるか否かを判断する(ステップS17)。ここで、操作に係る表示部品とは、その表示部品へのタッチ等の操作がなされたときに応答をすべきものである。そのような表示部品の例は、図3(b)に示すアルファベットキーを構成する各操作ボタンや「キャンセル」ボタン42である。また、別の例は、図6の設定メニューの「終了」ボタン48、シフト方向を設定するドロップダウンリスト、シフト量を入力する文字入力ウィンドウおよびアニメーション表示の有無を設定するチェックボックスである。
【0053】
入力位置に前記表示部品がない場合(ステップS17の「いいえ」)、ルーチンはステップS13へ戻り、新たな入力を待つ。一方、入力位置に前記表示部品があった場合(ステップS17の「いいえ」)、CPU31は、一時変数inputにTRUE(1)を格納する(ステップS19)。一時変数inputはRAM35上に確保される記憶領域であり、TRUE(1)またはFALSE(ゼロ)の値をとる。初期値はFALSEである。
【0054】
さらにCPU31は、一時変数tに変数Tの値を格納する(ステップS21)。一時変数tはRAM35上に確保される記憶領域である。変数Tは、前記ステップS11で取得されたアニメーション表示の時間である。一時変数tは、アニメーション表示のカウンターとして使用される。
そして、CPU31は、操作された表示部品を強調表示する(ステップS23)。強調表示の具体例は、図4の「S」ボタンである。
【0055】
続いてCPU31は、入力が予め定められた第1期間を超えて継続したか否かを判定する(ステップS25)。まだ、第1期間を超えていない場合は(ステップS25の「いいえ」)、入力が継続しているか否かを調べる(ステップS27)。入力が継続している場合、ルーチンは前記ステップS25へ戻り第1期間が経過するまでステップS25およびS27をループする。第1期間経過前に入力がなくなったとき(ステップS27の「はい」)、ルーチンは後述するステップS65へ進み、画面のシフト表示を行うことなく入力に応じた処理を行う。
【0056】
入力が第1期間を超えて継続したら(ステップS25の「はい」)CPU31は、表示パネル13のX方向およびY方向へのシフト量を変数DおよびSの値に基づいて算出し、一時変数XおよびYにそれぞれ格納する(ステップS29)。一時変数XおよびYはRAM35上に確保される記憶領域である。変数DおよびSは、図6の設定メニューの項目「シフト方向」および「シフト量」にそれぞれ対応する。
「シフト方向」として「画面中心」が設定されている場合は、入力位置に応じてシフト方向が変わるので、そのX方向およびY方向の成分であるX,Yの値も変わる。CPU31は、入力位置に応じたXおよびYの値を算出する。
【0057】
「シフト方向」の設定が「画面端から遠い方」である場合、CPU31は、入力位置が画面の上下左右のどの端に最も近いかを判断し、その反対側へ設定されたシフト量だけシフトさせるようにXおよびYの値を設定する。また、「シフト方向」の設定が上方向、左方向、右方向または下方向の場合は、設定された方向へ設定されたシフト量だけシフトさせるようにXまたはYの値を設定する。例えば、シフト量が50画素、シフト方向が上方向に設定されているときはX=0(ゼロ)、Y=50とする。これに対しシフト方向が下方向の場合は、Y=−50とする。
【0058】
次に、CPU31は、アニメーション表示をするか否かを判断する(ステップS41)。この判断は、変数Tの値がゼロか否かに基づく。アニメーション表示をしない場合(ステップS41の「いいえ」)、画面の表示を全体的に右方向にX、上方向にYだけ一挙にシフトさせる(ステップS43)。その後、ルーチンは後述するステップS57へ進む。
【0059】
一方、アニメーション表示を行う場合(ステップS41の「はい」)、CPU31は、一時変数dxに変数Xを変数Tで除した値を格納する(ステップS45)。また、一時変数dyに変数Yを変数Tで除した値を格納する(ステップS47)。ここで、変数dxおよびdyは、RAM35上にそれぞれ確保される記憶領域である。dxおよびdyは、アニメーションの一コマでX方向およびY方向にシフトさせる量である。
【0060】
その後、CPU31は、アニメーション表示が終了したか否か、即ち、一時変数tがゼロになったか否かを判断する(図8のステップS49)。終了していない場合は(ステップS49の「いいえ」)、画面表示をX方向にdx画素、Y方向にdy画素だけシフトさせ(ステップS51)、一コマ分の時間待ちを行い(ステップS53)、一時変数tの値を1つ減らす(ステップS55)。
【0061】
続いて、CPU31は、現在の入力位置をタッチパネル入力部から取得する(ステップS57)。入力がなくなっていた場合(ステップS59)、ルーチンは後述するステップS65へ進む。入力が継続している場合(ステップS59の「いいえ」)、CPU31は、入力位置が前と同じか否かを判断する(ステップS61)。同じであれば、ルーチンはステップS49へ戻り、アニメーションを継続する。入力位置に変化があった場合(ステップS61の「いいえ」)、一時変数inputにFALSEを格納する(ステップS63)。Inputの内容は、後のステップS69およびS71で入力に応じた処理を行うか否かの判定に使用される。即ち、途中で入力位置が変化した場合は、図7(b)に示すようにユーザーが入力の訂正を行ったと判断し、移動前の入力に応じた処理を行わないようにするのである。
【0062】
続いてルーチンはステップS65へ進む。ここでは、入力がなくなった場合または入力の位置が変化した場合の処理を行う。CPU31は、選択されている表示部品の強調表示をやめる(ステップS65)。そして、画面表示のシフトを元の状態に戻す(ステップS67)。なお、シフトを元に戻す場合もアニメーション表示をしてもよいが、フローチャートは簡略化のためにアニメーション処理を省略している。
【0063】
さらに、CPU31は、一時変数inputの値がFALSEが否かを調べる(ステップS69)。通常の入力の場合、一時変数inputの値はステップS19で格納されたTRUEが保持されている。その場合(ステップS69の「いいえ」)、ルーチンはステップS71に進み、入力に応じた処理を行う(ステップS71)。入力に応じた処理とは、例えば、図4に示すシーンでは次の処理である。「S」ボタンが選択された後に手指が離されると、「S」の文字入力が受け付けられる。そのとき、CPU31は、メッセージ表示領域43に「S」が表示され、カーソルが右へ移動しかつRAM35に確保されたメッセージ記憶領域に、メッセージとして「S」を追加する処理を行う。
その後、ルーチンはステップS13へ戻り、次の入力を待つ。
【0064】
一方、一時変数inputにFALSEが格納されているのは、図7のように手指51の移動に対応して入力の訂正をすべき場合である。この場合(ステップS69の「はい」)、ルーチンはステップS71をスキップしてステップS13へ戻る。
以上が、CPU31の処理である。
【0065】
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0066】
11:携帯情報端末
13:表示パネル
15:電源ボタン
17:操作ボタン
19:受話口
21:通話口
23:タッチパネル入力部
25:キー入力部
27:表示制御部
31:CPU
33:ROM
35:RAM
37:通話・通信部
41:ステータス表示領域
42:「キャンセル」ボタン
43:メッセージ表示領域
45:文字入力領域
47:入力キー
48:「終了」ボタン
49:変更メニュー表示領域
51:手指
52:矢印アイコン
55:ダイアログ・ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面を有しその画面に操作用表示部品を表示する表示部と、
前記画面に触れるタッチ操作およびそのタッチ操作の位置を検出する操作検出部と、
前記表示部および前記操作検出部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記表示部品の表示位置で前記操作検出部がタッチ操作を検出したことに応答してその表示部品の表示態様を変化させかつその表示部品を含む全部または一部の画面の表示を一方向へシフト表示させるように前記表示部を制御することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示部品の表示位置でタッチ操作が検出された後その表示位置でタッチ操作が解除されたとき、その表示部品に対する操作が確定したと判断して前記表示部品の操作に応じた処理を行う請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記表示部品の表示位置でタッチ操作が検出されたことに応答してその表示部品の表示態様を変化させ、かつ、タッチ操作が所定時間継続したときに全部または一部の画面の表示をシフト表示させる請求項1または2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記表示部品の表示位置でタッチ操作が検出された後タッチ操作の位置が前記表示部品から外れたとき、その表示部品に対する操作はなされなかったと判断して変化させていた表示態様を元に戻し、前記表示部品の操作に応じた処理は行わない請求項1〜3のいずれか一つに記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記表示部は、操作用の第1および第2表示部品を表示し、
前記制御部は、前記第1表示部品の表示位置でタッチ操作が検出された後そのタッチ操作が前記第2表示部品の表示位置へ移動したとき、前記第1表示部品の表示態様を元に戻して前記第2表示部品の表示態様を変化させ、その後、前記第2表示部品の表示位置でタッチ操作が解除されたときに前記第2表示部品の操作に応じた処理を行い前記第1表示部品の操作に応じた処理は行わない請求項1〜4のいずれか一つに記載の携帯情報端末。
【請求項6】
前記制御部は、タッチ操作が解除されたとき、シフト表示させていた画面の表示を元に戻すように制御する請求項1〜5のいずれか一つに記載の携帯情報端末。
【請求項7】
前記制御部は、タッチ操作が検出された位置に応じて画面の表示をシフト表示させる方向を決定し、その方向は、タッチ操作が検出された位置から画面の中央へ向かう方向である請求項1〜6のいずれか一つに記載の携帯情報端末。
【請求項8】
前記制御部は、タッチ操作が検出された位置に応じて画面の表示をシフト表示させる方向を決定し、その方向は、画面の上下左右のそれぞれの縁のうちタッチ操作が検出された位置から各縁までの最短距離が最も大きな縁へ向けてシフトさせる方向である請求項1〜6のいずれか一つに記載の携帯情報端末。
【請求項9】
前記制御部は、表示をシフト表示させる量をユーザーが変更できるように設定メニューを提供する請求項1〜8のいずれか一つに記載の携帯情報端末。
【請求項10】
前記制御部は、前記表示部品の表示位置以外でタッチ操作がなされたときは画面の表示をシフトさせない請求項1〜9のいずれか一つに記載の携帯情報端末。
【請求項11】
コンピュータが、表示部の画面に操作用表示部品を表示させ、
操作検出部を用いて前記画面に触れるタッチ操作およびそのタッチ操作の位置を検出させ、
前記表示部品の表示位置でタッチ操作が検出されたことに応答してその表示部品の表示態様を変化させかつその表示部品を含む全部または一部の画面の表示を一方向へシフト表示させるように制御することを特徴とする携帯情報端末の表示制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−141696(P2012−141696A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292817(P2010−292817)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】