携帯情報端末装置
【課題】安定した保持が行えると同時に、観察者の顔と装置の相対的な位置関係の制約が少ない携帯情報端末装置を提供する。
【解決手段】把持部3と、表示素子11を有する表示部1と、光学的パワーを持つビームコンバイナ2と、ビームコンバイナ開閉部材6と、表示部開閉部材5と、回転機構7を有し、表示素子11を所定の2方向に向くことができるようにした。
【解決手段】把持部3と、表示素子11を有する表示部1と、光学的パワーを持つビームコンバイナ2と、ビームコンバイナ開閉部材6と、表示部開閉部材5と、回転機構7を有し、表示素子11を所定の2方向に向くことができるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶パネルなどの表示素子を有する携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一人の人間が複数のコンピュータを使用するネットワーク社会、いわゆるユビキタス・ネットワーク社会が提唱されている。ユビキタス・ネットワーク社会では、インターネット等の情報ネットワークに、いつでも、どこからでもアクセスできる環境が実現できる。このようなアクセスに使う携帯情報端末装置は、パソコンに限られず、例えば携帯電話等も用いることができる。
【0003】
また、携帯電話も通話とディスプレイ認識とを同時に行なえる表示機能付き携帯情報端末装置としての構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に開示されている構成では、小型のディスプレイをホログラム素子により遠方に拡大投影する。これにより、例えば通話をしながら表示画像情報を見ることができる。さらに、ホログラム素子を介して遠方の物体の透過像を同時に観察できる。この表示機能付き携帯情報端末装置は、実視野の像に重畳させてデジタル情報を表示する、いわゆるシースルービュアー(see−through viewer)として用いることができる。
【特許文献1】特開2001−308997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の表示機能付き携帯情報端末装置は、特許文献1における図1の構成では、表示素子を、直接観察することができない。また、特許文献1における図2の構成では、表示素子を直接観察しようとすると、ホログラム素子を展開した状態にしなくてはならない。そのため、ホログラム素子の周囲に様々な物体や人が存在した場合、物体や人に接触して、破損する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シースルービュアーに使用する素子の破損の可能性が少なく、表示素子を直接観察することができる携帯情報端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による携帯情報端末装置は、情報入力部を有する把持部と、前記情報入力部で入力した情報又は外部から得た情報を表示する表示面を有する表示素子と、前記表示素子と枠体からなる表示部と、ビームコンバイナと、表示部前記ビームコンバイナを前記表示部に対して開閉可能に支持するビームコンバイナ開閉部材と、前記把持部に対して前記表示部を開閉可能に支持する表示部開閉部材と、前記表示素子を枠体に対して回転させる表示面回転機構とを備え、前記表示面回転機構を前記枠体に設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の携帯情報端末装置において、前記ビームコンバイナは、前記表示部を閉じた時に、前記表示部と前記把持部との間に位置するように、前記表示部の一面に設けられていることが好ましい。
【0008】
また、本発明の携帯情報端末装置において、前記ビームコンバイナは、前記表示部を閉じたときに、前記把持部から離れた側の前記表示部の一面に設けるようにしても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シースルービュアーに使用する素子の破損の可能性が少なく、表示素子を直接観察することができる携帯情報端末装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施例の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
図1は、一実施形態にかかる携帯情報端末装置における説明図を示している。図1では、携帯情報端末装置の表示部とビームコンバイナとの位置、及びこれらと観察像との関係を示している。なお、図1中、Eは観察者の眼球である。
【0011】
携帯情報端末装置は、把持部3と、表示素子11と枠体12を有する表示部1と、ビームコンバイナ2を有している。表示素子11の表示面11aは、画像(情報)を表示する。ビームコンバイナ2は、表示面11aに表示された画像(情報)を、拡大するような光学的パワーを持つ。このビームコンバイナ2は、ハーフミラーで構成されている。また、把持部3と表示素子11の接続部には、表示部開閉部材5が設けられている。また、枠体12とビームコンバイナ2の接続部には、ビームコンバイナ開閉部材6が設けられている。そして、表示素子11と枠体12には回転機構7が設けられている。
【0012】
表示素子1の表示面11aに表示された画像(情報)は、ビームコンバイナ2で反射されて観察者の瞳Eに導かれる。観察者の瞳Eから、ビームコンバイナ2を隔てた所定の位置に、表示面11aに表示された画像(情報)の虚像が、拡大形成される。よって、観察者は、この虚像を拡大観察できる。
【0013】
そして、本実施形態の携帯情報端末装置では、表示素子11は、回転機構7によって枠体12に対して回転可能となっている。さらに、表示素子11は所定の複数の位置で位置決め可能となっている。その複数の位置は、表示面11aがAの方向に向く位置と、Bの方向に向く位置である。
【0014】
なお、本実施形態の携帯情報端末は、表示面11aで表示された画像をビームコンバイナ2で反射して、観察者の瞳に導くように構成している。このような構成の携帯情報端末装置においては、ビームコンバイナ2が、表示面1aに対して偏心配置されている。このため、ビームコンバイナ2を介して観察される像に偏心収差が生じやすい。
【0015】
しかるに、本実施形態のように、ビームコンバイナ2に非対称なパワーを持たせている。具体的には、仮想線Lに沿う方向において、徐々にパワーが変化するように、ビームコンバイナ2の光学面を形成する。このようにすれば、表示面1aに対しビームコンバイナ2が偏心していることにより偏心収差が発生しても、この偏心収差を補正することができる。
【0016】
このような構成にすることによって、シースルービュアーに使用する素子の破損の可能性を減少し、また、表示素子を直接観察することができる。
【0017】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0018】
図2は、実施例1の携帯情報端末装置の概略図である。ここで、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態を示している。図3は、携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと観察者の瞳位置との関係を示す説明図である。
【0019】
実施例1の携帯情報端末装置は、表示部1を展開しない場合に、表示素子11の表示面11aを直接観察できる構成になっている。携帯情報端末装置は、情報入力部4を有する把持部3と、表示素子11と枠体12を有する表示部1と、光学的パワーを有するビームコンバイナ2と、表示部開閉部材5を有している。ここで、表示面11aは、情報入力部4で入力した情報、又は外部から受信した情報を表示する。また、表示部開閉部材5は、表示部1を把持部3に対して開閉可能に支持している。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、所謂折り畳みタイプの携帯電話機として構成されている。
【0020】
そして、更に、ビームコンバイナ2が、ビームコンバイナ開閉部材6を介して、表示部1に接続されている。この接続位置は、表示部1の一端側であって、表示部開閉部材5と対向する位置である。このビームコンバイナ開閉部材6によって、表示部1に対して所定の角度で、ビームコンバイナ2を固定することができる。更に、表示面11aをビームコンバイナ2側に向けることができるようになっている。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、図3に示すように、シースルービュアーとしても構成されている。
【0021】
表示部開閉部材5は、図4(a)に示すように、円筒部5bと円筒部5aと、バネ5cと、球状部材5dと、ピン5eと、止め具5fを有している。ここで、円筒部5bは、表示部1の一端に一体形成されている。また、円筒部5aは、把持部3の一端に一体形成されている。
【0022】
円筒部5aには、長手方向に沿って、中央に貫通孔5a1が形成されている。そして、円筒部5aの一端には、ピン5eの頭部を収納するための凹部5a2が、他端には、バネ5cを取り付けるための取付部(図示省略)が、それぞれ形成されている。
【0023】
円筒部5bの中央には、長手方向に沿って、中央に貫通孔5b1が形成されている。そして、円筒部5bの一端には、止め具5fを収納するための凹部(図示省略)が、他端には、球状部材5dの一部を嵌合可能な係止溝5b2,5b3が、それぞれ形成されている。
【0024】
そして、表示部開閉部材5では、バネ5cを円筒部5aの取付部に取り付けるとともに、バネ5cの先端に球状部材5dを取り付けている。そして、この状態で、ピン5eを円筒部5aの凹部5a2側から、円筒部5a,5bの貫通孔5a1,5b1に通し、その先端を止め具5fで止めている。このような構成により、表示部開閉部材5は、表示部1を把持部3に対し開閉可能に支持している。
【0025】
また、表示部開閉部材5では、表示部1を展開したときに、球状部材5dが係止溝5b2,5b3に嵌合し、且つ、バネ5cに付勢される。このようにすることで、表示部1と把持部3を、任意の角度で固定することができるようになっている。
【0026】
なお、表示部開閉部材5の具体的な構成は、上記構成に限定されるものではない。例えば、円筒部5a,5bのそれぞれに磁石を備えた係止部を設け、互いの係止部が当接したときに、表示部1と把持部3が固定されるように構成してもよい。
【0027】
ビームコンバイナ開閉部材6は、図4(b)に示すように、円筒部6aと係止部6bと、円筒部6cと、係止爪6c2と、図示省略したピン及び止め具を有している。ここで、円筒部6aと係止部6bは、表示部1の他端に一体形成されている。一方、円筒部6cは、ビームコンバイナ2の一端に一体形成されている。また、係止爪6c2は、円筒部6cに一体形成されている。
【0028】
円筒部6a,6cには、中央に貫通孔6a1,6c1がそれぞれ形成されている。係止部6b及び係止爪6c2にはそれぞれ磁石が設けられている。
【0029】
そして、ビームコンバイナ開閉部材6は、図示省略したピンを円筒部6a,6cの貫通孔6a1,6c1に通し、その先端を図示省略した止め具で止めて構成されている。このような構成により、ビームコンバイナ開閉部材6は、ビームコンバイナ2を、表示部1に対し開閉可能に支持している。
【0030】
また、ビームコンバイナ開閉部材6は、ビームコンバイナ2を展開したときに、係止爪6c2が係止部6bに当接し、且つ、互いの磁力でその状態を保持することで、ビームコンバイナ2を表示部1に対して固定することができるようになっている。
【0031】
なお、ビームコンバイナ開閉部材6は、上記構成に限定されるものではない。例えば、表示部開閉部材5における球状部材5dが係止溝5b2,5b3に嵌合し、且つ、バネ5cに付勢される構成と同様に構成してもよい。
【0032】
このような構成において、把持部3に対して表示部1を展開しない状態(表示部1が把持部3に対して閉じた状態)にする。すなわち、図2(a)に示す状態である。この状態では、表示素子11を使用者側に向けると、表示面11aが使用者に対向する。このとき、ビームコンバイナ2は、表示面11aとは反対側(表示面11aの裏面11b側)にある。そのため、使用者は、直接、表示面11aに表示された情報(画像情報や文字情報)を見ることができる。
【0033】
また、ビームコンバイナ2は、ビームコンバイナ開閉部材6によって、格納された状態になっている。すなわち、ビームコンバイナ2は、表示部1に、略密着した状態になっている。更に、ビームコンバイナ2は、表示部1と把持部3の間に挟まされた状態になっている。そのため、ビームコンバイナ2が周囲の物体や人と接触する可能性はない。よって、ビームコンバイナ2が破損する可能性も、ほとんど無くなる。
【0034】
次に、実施例1の携帯情報端末装置を、シースルービュアーとして使用する場合について説明する。まず、図2(b)に示すように、把持部3に対して表示部1を展開する。すなわち、表示部1を把持部3に対して開いた状態にする。そして、図5(a)に示すように、ビームコンバイナ2を展開する。続いて、図5(b)及び(c)に示すように、表示素子11を回転させる。この結果、図5(d)に示すように、表示面11aがビームコンバイナ2側に向く。そして、この状態(図5(d)の状態)で、表示面11aに情報(画像情報や文字情報)を表示させれば、図3に示すように、これらの情報を使用者が見ることができる。
【0035】
なお、回転機構7としては、公知の機構を用いればよい。その一例を、図6に示す。図6(a)に示すように、表示素子11の側面には、円柱状の突起部7aが形成されている。2つの突起部7aは、それぞれの中心軸(円柱の中心軸)が一致するように形成されている。また、突起部7aの外周面にはクリック孔7bが形成されている。一方、枠体12の内周面には、図6(b)に示すように、円筒状の受け孔7cが形成されている。受け孔7cは、それぞれの中心軸(円柱の中心軸)が一致するように、対向して設けられている。受け孔7cの内径と突起部7aの外径は、図6(c)に示すように、互いに嵌合可能となるように設定されている。ただし、表示素子11が枠体12に対して回転可能となるような径に、各々の径が設定されている。このような構成により、表示素子11を、枠体12に対して360°回転させることができる。
【0036】
クリック孔7bの各々は、回転軸を挟んで、互いが対向する位置に設けられている。一方、受け孔7cの内周面には、中心軸と直交する方向に、2つの円筒状の孔7dが形成されている。この2つの孔7dの各々は、回転軸を挟んで、互いが対向する位置に設けられている。この孔7dには、円筒の底面に接するように、バネ7eが取り付けられている。そして、バネ7eの先端に、球状部材7fが取り付けられている。ここで、バネ7eが延びた状態で、球状部材7fの先端が開口部から僅かに突出するように、バネ7eの長さと力が設定されている。なお、バネ7eと球状部材7fは、円筒の底面から分離しないようになっている。このような構成により、クリック孔7bが、円筒状の孔7dの位置と一致するごとに、表示面1aを表示部1に対して固定させることができる。
【0037】
なお、図6(b)に示すように、枠体12を2つの部材で構成しておけば、表示素子11を枠体12に容易に挿入できる。なお、表示素子11を枠体12に挿入するための構造は、図6(b)以外の構造でも構わない。
【0038】
以上のように、本実施例の携帯情報端末装置において、把持部3に対して表示部1を展開していない状態のときには、ビームコンバイナ2が表示面11aとは反対側に位置する。すなわち、表示面11aが使用者に対向する。そのため、使用者は、直接、表示面11aに表示された情報(画像情報や文字情報)を見ることができる。更に、ビームコンバイナ2は、表示部1と把持部3の間に挟まれている。よって、ビームコンバイナ2が破損する可能性を、非常に少なくすることができる。
【0039】
図7に、実施例1の変形例を示す。実施例1の構成では、シースルービュアーとして使用する際、ビームコンバイナ2の半透過面と表示面11aは、平行にならない。そのため、ビームコンバイナ2には、高い収差補正能力を持つ面が必要になる。そこで、ビームコンバイナ2の半透過面と表示面11aが平行、あるいは略平行になるようにしたのが、本変形例である。
【0040】
次に、本変形例の携帯情報端末装置を、シースルービュアーとして使用する場合について説明する。まず、図7(a)に示すように、把持部3に対して表示部1を展開する。すなわち、表示部1を把持部3に対して開いた状態にする。そして、ビームコンバイナ2を展開する。続いて、図7(b)に示すように、表示素子11を回転させる。そして、図7(c)に示すように、表示素子11を表示部開閉部材5側にスライドさせる。そして、表示素子11を、所定の位置で止まるように、ビームコンバイナ2側に回転させる。この結果、図7(d)に示すように、ビームコンバイナ2と表示面11aが、略平行になる。そして、この状態(図7(d)の状態)で、表示面11aに情報(画像情報や文字情報)を表示させれば、図8に示すように、これらの情報を使用者が見ることができる。
【0041】
表示面1aの回転機構について説明する。図9(a)に示すように、表示素子11の両側面11cには、2つの突起部8が形成されている。2つの突起部8の各々は、両側面11cの一端に形成されている。また、2つの突起部8は、それぞれの中心軸(円柱の中心軸)が一致するように、形成されている。そして、突起部8の各々は、円柱部材8a及び円柱部材8bで構成されている。ここで、円柱部8aの外径は、円柱部8bの外径に比べて大きく設定されている。また、円柱部8bの軸方向の長さは、できるだけ短くなるように設定されている。
【0042】
また、両側面1cの他端には、クリック孔9が形成されている。クリック孔9は、それぞれ、X方向において、突起部8の中心と偏心した位置に設けられている。
【0043】
また、枠体12は、図9(b)に示すように、その内周面に図におけるY方向に沿って所定の幅の溝10aが形成されている。溝10aのX方向における幅は、円柱部8aの外径と略一致している。また、内周面の端部には、2つのクリック孔9に対応する位置に、円筒状の孔10dが2つ形成されている。この孔10dには、円筒の底面に接するように、バネ10eが取り付けられている。そして、バネ10eの先端に、球状部材10fが取り付けられている。ここで、バネ10eが延びた状態で、球状部材10fの先端が開口部から僅かに突出するように、バネ10eの長さと力が設定されている。なお、バネ10eと球状部材10fは、円筒の底面から分離しないようになっている。このような構成により、クリック孔9が円筒状の孔10dの位置と一致するごとに、表示素子11を枠体12に対して固定させることができる。
【0044】
溝10aの上には、板状部材10bが固定される。板状部材10bには、開口部10cが形成されている。この開口部10cのX方向における幅は、円柱部8bの外径と略一致している。また、この開口部10cのY方向における長さは、溝10aの長さよりも短い。板状部材10bは、開口部10cに円柱部8bを挿入した後に、溝10aを覆うように、枠体12の内周面に固定される(図9(c))。このような構成により、表示素子11は突起部8の中心軸の回りに回転可能となる。更に、Y方向にも移動可能となる。
【0045】
また、円柱部8aの外周面における所定の位置には、図9(d)に示すように、磁石10gが設けられている。一方。溝10aの端部10h(表示部開閉部材5側)の内周面における所定の位置にも、磁石10gが設けられている。この2つの磁石によって、表示面11aがビームコンバイナ2と略平行となる位置に表示素子11が位置決めされ、固定される。すなわち、表示素子11を溝10aの端部10hで回転させると、円柱部8a側の磁石10gも回転する。そして、円柱部8a側の磁石10gが、端部10hの内周面に設置された磁石10gの位置と一致する。その結果、この位置で、磁力によって表示素子11の位置が固定される。
【0046】
なお、図9(d)では、円柱部8aと溝10aの内周面の間が、かなり空いている。しかしながら、前述のように、溝10aの内周面におけるX方向の幅は、円柱部8aの外径とほぼ等しい。よって、2つの磁石10gが位置した時点で、表示素子11の位置が固定される。
【実施例2】
【0047】
図10は、実施例1の携帯情報端末装置の概略図である。ここで、(a)は表示部と把持部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態を示している。
実施例2の携帯情報端末装置は、表示部1を展開した場合に、表示面を直線観察できる構成になっている。ここで、実施例1と同じ構成については、同じ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0048】
本実施例では、ビームコンバイナ2が、ビームコンバイナ開閉部材6、ビームコンバイナ連結部材61及びビームコンバイナ移動部材62を介して、表示部1に接続されている。このような構成により、実施例2の携帯情報端末装置は、図11に示すように、シースルービュアーとしても構成されている。
【0049】
表示部開閉部材5は、実施例1で説明したとおりである。また、ビームコンバイナ連結部材61は、棒状部材である。また、ビームコンバイナ開閉部材6、ビームコンバイナ移動部材62は、公知の回転機構を用いればよい。よって、具体的な構成について、詳細な説明は省略する。
このように、実施例2の携帯情報端末装置も、実施例1と同じような構成を備えている。よって、実施例1の携帯情報端末装置は、所謂折り畳みタイプの携帯電話機、及びシースルービュアーとして構成されている。
【0050】
このような構成において、把持部3に対して表示部1を展開しない状態(表示部1が把持部3に対して閉じた状態)にする。すなわち、図10(a)に示す状態である。この状態では、表示部1を使用者側に向けても、ビームコンバイナ2が使用者に対向するだけである。すなわち、表示面11aは使用者に対向しない。そこで、使用者は、把持部3に対して表示部1を展開した状態(表示部1が把持部3に対して開いた状態)にする。すると、表示面11aが使用者に対向するようになる。この時、ビームコンバイナ2は、表示面11aとは反対側(表示面11aの裏面11b側)に移動する。そのため、使用者は、直接、表示面11aに表示された情報(画像情報や文字情報)を見ることができる。
【0051】
また、ビームコンバイナ2は、ビームコンバイナ開閉部材6によって、格納された状態になっている。すなわち、ビームコンバイナ2は、表示部1に、略密着した状態になっている。そのため、ビームコンバイナ2が周囲の物体や人と接触する可能性は少ない。よって、ビームコンバイナ2が破損する可能性も少なくなる。
なお実施例2の携帯情報端末装置を、シースルービュアーとして使用する場合については、実施例1と同様に、表示素子11を回転させればよい。
【0052】
以上のように、本実施例の携帯情報端末装置は、把持部3に対して表示部1を展開した状態で、表示面11aのみが使用者に対向する。この時、ビームコンバイナ2は、表示面11aとは反対側に位置する。そのため、使用者は、直接、表示面11aに表示された情報(画像情報や文字情報)を見ることができる。更に、ビームコンバイナ2は、表示面11aの裏面11bに近接した状態で、格納されている。よって、ビームコンバイナ2が破損する可能性も少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態にかかる携帯情報端末装置を示す図である。
【図2】実施例1の携帯情報端末装置の概略図であって、(a)は表示部と把持部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態を示す図である。
【図3】実施例1の携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと観察者の瞳位置との関係を示す図である。
【図4】実施例1の携帯情報端末装置における開閉部材の概略図である。
【図5】実施例1の携帯情報端末装置を、シースルービュアーとして使用する時の状態を示す図である。
【図6】実施例1の回転機構の構造を示す図である。
【図7】実施例1の変形例を示す図である。
【図8】変形例の携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと観察者の瞳位置との関係を示す図である。
【図9】変形例における回転機構構造を示す図である。
【図10】実施例2の携帯情報端末装置の概略図であって、(a)は表示部と把持部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態を示す図である。
【図11】実施例2の携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと観察者の瞳位置との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 表示部
11 表示素子
11a 表示面
11b 表示面の裏面
11c 表示面の両側面
12 枠体
2 ビームコンバイナ
3 把持部
4 情報入力部
5 表示部開閉部材
5a,5b 円筒部
5a1,5b1 貫通孔
5a2 凹部
5b2,5b3 係止溝
5c,7e,10e バネ
5d,7f,10f 球状部材
5e ピン
5f 止め具
6 ビームコンバイナ開閉部材
6a,6c 円筒部
6a1,6c1 貫通孔
6b 係止部
6c2 係止爪
61 ビームコンバイナ連結部材
62 ビームコンバイナ移動部材
7 回転機構
7a 突起部
7b,9 クリック孔
7c 受け孔
7d,10d 円筒状の孔
8 突起部
8a,8b 円柱部
10a 溝
10b 板状部材
10c 開口部
10h 端部
10g 磁石
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶パネルなどの表示素子を有する携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一人の人間が複数のコンピュータを使用するネットワーク社会、いわゆるユビキタス・ネットワーク社会が提唱されている。ユビキタス・ネットワーク社会では、インターネット等の情報ネットワークに、いつでも、どこからでもアクセスできる環境が実現できる。このようなアクセスに使う携帯情報端末装置は、パソコンに限られず、例えば携帯電話等も用いることができる。
【0003】
また、携帯電話も通話とディスプレイ認識とを同時に行なえる表示機能付き携帯情報端末装置としての構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に開示されている構成では、小型のディスプレイをホログラム素子により遠方に拡大投影する。これにより、例えば通話をしながら表示画像情報を見ることができる。さらに、ホログラム素子を介して遠方の物体の透過像を同時に観察できる。この表示機能付き携帯情報端末装置は、実視野の像に重畳させてデジタル情報を表示する、いわゆるシースルービュアー(see−through viewer)として用いることができる。
【特許文献1】特開2001−308997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の表示機能付き携帯情報端末装置は、特許文献1における図1の構成では、表示素子を、直接観察することができない。また、特許文献1における図2の構成では、表示素子を直接観察しようとすると、ホログラム素子を展開した状態にしなくてはならない。そのため、ホログラム素子の周囲に様々な物体や人が存在した場合、物体や人に接触して、破損する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シースルービュアーに使用する素子の破損の可能性が少なく、表示素子を直接観察することができる携帯情報端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明による携帯情報端末装置は、情報入力部を有する把持部と、前記情報入力部で入力した情報又は外部から得た情報を表示する表示面を有する表示素子と、前記表示素子と枠体からなる表示部と、ビームコンバイナと、表示部前記ビームコンバイナを前記表示部に対して開閉可能に支持するビームコンバイナ開閉部材と、前記把持部に対して前記表示部を開閉可能に支持する表示部開閉部材と、前記表示素子を枠体に対して回転させる表示面回転機構とを備え、前記表示面回転機構を前記枠体に設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の携帯情報端末装置において、前記ビームコンバイナは、前記表示部を閉じた時に、前記表示部と前記把持部との間に位置するように、前記表示部の一面に設けられていることが好ましい。
【0008】
また、本発明の携帯情報端末装置において、前記ビームコンバイナは、前記表示部を閉じたときに、前記把持部から離れた側の前記表示部の一面に設けるようにしても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シースルービュアーに使用する素子の破損の可能性が少なく、表示素子を直接観察することができる携帯情報端末装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施例の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
図1は、一実施形態にかかる携帯情報端末装置における説明図を示している。図1では、携帯情報端末装置の表示部とビームコンバイナとの位置、及びこれらと観察像との関係を示している。なお、図1中、Eは観察者の眼球である。
【0011】
携帯情報端末装置は、把持部3と、表示素子11と枠体12を有する表示部1と、ビームコンバイナ2を有している。表示素子11の表示面11aは、画像(情報)を表示する。ビームコンバイナ2は、表示面11aに表示された画像(情報)を、拡大するような光学的パワーを持つ。このビームコンバイナ2は、ハーフミラーで構成されている。また、把持部3と表示素子11の接続部には、表示部開閉部材5が設けられている。また、枠体12とビームコンバイナ2の接続部には、ビームコンバイナ開閉部材6が設けられている。そして、表示素子11と枠体12には回転機構7が設けられている。
【0012】
表示素子1の表示面11aに表示された画像(情報)は、ビームコンバイナ2で反射されて観察者の瞳Eに導かれる。観察者の瞳Eから、ビームコンバイナ2を隔てた所定の位置に、表示面11aに表示された画像(情報)の虚像が、拡大形成される。よって、観察者は、この虚像を拡大観察できる。
【0013】
そして、本実施形態の携帯情報端末装置では、表示素子11は、回転機構7によって枠体12に対して回転可能となっている。さらに、表示素子11は所定の複数の位置で位置決め可能となっている。その複数の位置は、表示面11aがAの方向に向く位置と、Bの方向に向く位置である。
【0014】
なお、本実施形態の携帯情報端末は、表示面11aで表示された画像をビームコンバイナ2で反射して、観察者の瞳に導くように構成している。このような構成の携帯情報端末装置においては、ビームコンバイナ2が、表示面1aに対して偏心配置されている。このため、ビームコンバイナ2を介して観察される像に偏心収差が生じやすい。
【0015】
しかるに、本実施形態のように、ビームコンバイナ2に非対称なパワーを持たせている。具体的には、仮想線Lに沿う方向において、徐々にパワーが変化するように、ビームコンバイナ2の光学面を形成する。このようにすれば、表示面1aに対しビームコンバイナ2が偏心していることにより偏心収差が発生しても、この偏心収差を補正することができる。
【0016】
このような構成にすることによって、シースルービュアーに使用する素子の破損の可能性を減少し、また、表示素子を直接観察することができる。
【0017】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0018】
図2は、実施例1の携帯情報端末装置の概略図である。ここで、(a)は表示部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態を示している。図3は、携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと観察者の瞳位置との関係を示す説明図である。
【0019】
実施例1の携帯情報端末装置は、表示部1を展開しない場合に、表示素子11の表示面11aを直接観察できる構成になっている。携帯情報端末装置は、情報入力部4を有する把持部3と、表示素子11と枠体12を有する表示部1と、光学的パワーを有するビームコンバイナ2と、表示部開閉部材5を有している。ここで、表示面11aは、情報入力部4で入力した情報、又は外部から受信した情報を表示する。また、表示部開閉部材5は、表示部1を把持部3に対して開閉可能に支持している。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、所謂折り畳みタイプの携帯電話機として構成されている。
【0020】
そして、更に、ビームコンバイナ2が、ビームコンバイナ開閉部材6を介して、表示部1に接続されている。この接続位置は、表示部1の一端側であって、表示部開閉部材5と対向する位置である。このビームコンバイナ開閉部材6によって、表示部1に対して所定の角度で、ビームコンバイナ2を固定することができる。更に、表示面11aをビームコンバイナ2側に向けることができるようになっている。このような構成により、実施例1の携帯情報端末装置は、図3に示すように、シースルービュアーとしても構成されている。
【0021】
表示部開閉部材5は、図4(a)に示すように、円筒部5bと円筒部5aと、バネ5cと、球状部材5dと、ピン5eと、止め具5fを有している。ここで、円筒部5bは、表示部1の一端に一体形成されている。また、円筒部5aは、把持部3の一端に一体形成されている。
【0022】
円筒部5aには、長手方向に沿って、中央に貫通孔5a1が形成されている。そして、円筒部5aの一端には、ピン5eの頭部を収納するための凹部5a2が、他端には、バネ5cを取り付けるための取付部(図示省略)が、それぞれ形成されている。
【0023】
円筒部5bの中央には、長手方向に沿って、中央に貫通孔5b1が形成されている。そして、円筒部5bの一端には、止め具5fを収納するための凹部(図示省略)が、他端には、球状部材5dの一部を嵌合可能な係止溝5b2,5b3が、それぞれ形成されている。
【0024】
そして、表示部開閉部材5では、バネ5cを円筒部5aの取付部に取り付けるとともに、バネ5cの先端に球状部材5dを取り付けている。そして、この状態で、ピン5eを円筒部5aの凹部5a2側から、円筒部5a,5bの貫通孔5a1,5b1に通し、その先端を止め具5fで止めている。このような構成により、表示部開閉部材5は、表示部1を把持部3に対し開閉可能に支持している。
【0025】
また、表示部開閉部材5では、表示部1を展開したときに、球状部材5dが係止溝5b2,5b3に嵌合し、且つ、バネ5cに付勢される。このようにすることで、表示部1と把持部3を、任意の角度で固定することができるようになっている。
【0026】
なお、表示部開閉部材5の具体的な構成は、上記構成に限定されるものではない。例えば、円筒部5a,5bのそれぞれに磁石を備えた係止部を設け、互いの係止部が当接したときに、表示部1と把持部3が固定されるように構成してもよい。
【0027】
ビームコンバイナ開閉部材6は、図4(b)に示すように、円筒部6aと係止部6bと、円筒部6cと、係止爪6c2と、図示省略したピン及び止め具を有している。ここで、円筒部6aと係止部6bは、表示部1の他端に一体形成されている。一方、円筒部6cは、ビームコンバイナ2の一端に一体形成されている。また、係止爪6c2は、円筒部6cに一体形成されている。
【0028】
円筒部6a,6cには、中央に貫通孔6a1,6c1がそれぞれ形成されている。係止部6b及び係止爪6c2にはそれぞれ磁石が設けられている。
【0029】
そして、ビームコンバイナ開閉部材6は、図示省略したピンを円筒部6a,6cの貫通孔6a1,6c1に通し、その先端を図示省略した止め具で止めて構成されている。このような構成により、ビームコンバイナ開閉部材6は、ビームコンバイナ2を、表示部1に対し開閉可能に支持している。
【0030】
また、ビームコンバイナ開閉部材6は、ビームコンバイナ2を展開したときに、係止爪6c2が係止部6bに当接し、且つ、互いの磁力でその状態を保持することで、ビームコンバイナ2を表示部1に対して固定することができるようになっている。
【0031】
なお、ビームコンバイナ開閉部材6は、上記構成に限定されるものではない。例えば、表示部開閉部材5における球状部材5dが係止溝5b2,5b3に嵌合し、且つ、バネ5cに付勢される構成と同様に構成してもよい。
【0032】
このような構成において、把持部3に対して表示部1を展開しない状態(表示部1が把持部3に対して閉じた状態)にする。すなわち、図2(a)に示す状態である。この状態では、表示素子11を使用者側に向けると、表示面11aが使用者に対向する。このとき、ビームコンバイナ2は、表示面11aとは反対側(表示面11aの裏面11b側)にある。そのため、使用者は、直接、表示面11aに表示された情報(画像情報や文字情報)を見ることができる。
【0033】
また、ビームコンバイナ2は、ビームコンバイナ開閉部材6によって、格納された状態になっている。すなわち、ビームコンバイナ2は、表示部1に、略密着した状態になっている。更に、ビームコンバイナ2は、表示部1と把持部3の間に挟まされた状態になっている。そのため、ビームコンバイナ2が周囲の物体や人と接触する可能性はない。よって、ビームコンバイナ2が破損する可能性も、ほとんど無くなる。
【0034】
次に、実施例1の携帯情報端末装置を、シースルービュアーとして使用する場合について説明する。まず、図2(b)に示すように、把持部3に対して表示部1を展開する。すなわち、表示部1を把持部3に対して開いた状態にする。そして、図5(a)に示すように、ビームコンバイナ2を展開する。続いて、図5(b)及び(c)に示すように、表示素子11を回転させる。この結果、図5(d)に示すように、表示面11aがビームコンバイナ2側に向く。そして、この状態(図5(d)の状態)で、表示面11aに情報(画像情報や文字情報)を表示させれば、図3に示すように、これらの情報を使用者が見ることができる。
【0035】
なお、回転機構7としては、公知の機構を用いればよい。その一例を、図6に示す。図6(a)に示すように、表示素子11の側面には、円柱状の突起部7aが形成されている。2つの突起部7aは、それぞれの中心軸(円柱の中心軸)が一致するように形成されている。また、突起部7aの外周面にはクリック孔7bが形成されている。一方、枠体12の内周面には、図6(b)に示すように、円筒状の受け孔7cが形成されている。受け孔7cは、それぞれの中心軸(円柱の中心軸)が一致するように、対向して設けられている。受け孔7cの内径と突起部7aの外径は、図6(c)に示すように、互いに嵌合可能となるように設定されている。ただし、表示素子11が枠体12に対して回転可能となるような径に、各々の径が設定されている。このような構成により、表示素子11を、枠体12に対して360°回転させることができる。
【0036】
クリック孔7bの各々は、回転軸を挟んで、互いが対向する位置に設けられている。一方、受け孔7cの内周面には、中心軸と直交する方向に、2つの円筒状の孔7dが形成されている。この2つの孔7dの各々は、回転軸を挟んで、互いが対向する位置に設けられている。この孔7dには、円筒の底面に接するように、バネ7eが取り付けられている。そして、バネ7eの先端に、球状部材7fが取り付けられている。ここで、バネ7eが延びた状態で、球状部材7fの先端が開口部から僅かに突出するように、バネ7eの長さと力が設定されている。なお、バネ7eと球状部材7fは、円筒の底面から分離しないようになっている。このような構成により、クリック孔7bが、円筒状の孔7dの位置と一致するごとに、表示面1aを表示部1に対して固定させることができる。
【0037】
なお、図6(b)に示すように、枠体12を2つの部材で構成しておけば、表示素子11を枠体12に容易に挿入できる。なお、表示素子11を枠体12に挿入するための構造は、図6(b)以外の構造でも構わない。
【0038】
以上のように、本実施例の携帯情報端末装置において、把持部3に対して表示部1を展開していない状態のときには、ビームコンバイナ2が表示面11aとは反対側に位置する。すなわち、表示面11aが使用者に対向する。そのため、使用者は、直接、表示面11aに表示された情報(画像情報や文字情報)を見ることができる。更に、ビームコンバイナ2は、表示部1と把持部3の間に挟まれている。よって、ビームコンバイナ2が破損する可能性を、非常に少なくすることができる。
【0039】
図7に、実施例1の変形例を示す。実施例1の構成では、シースルービュアーとして使用する際、ビームコンバイナ2の半透過面と表示面11aは、平行にならない。そのため、ビームコンバイナ2には、高い収差補正能力を持つ面が必要になる。そこで、ビームコンバイナ2の半透過面と表示面11aが平行、あるいは略平行になるようにしたのが、本変形例である。
【0040】
次に、本変形例の携帯情報端末装置を、シースルービュアーとして使用する場合について説明する。まず、図7(a)に示すように、把持部3に対して表示部1を展開する。すなわち、表示部1を把持部3に対して開いた状態にする。そして、ビームコンバイナ2を展開する。続いて、図7(b)に示すように、表示素子11を回転させる。そして、図7(c)に示すように、表示素子11を表示部開閉部材5側にスライドさせる。そして、表示素子11を、所定の位置で止まるように、ビームコンバイナ2側に回転させる。この結果、図7(d)に示すように、ビームコンバイナ2と表示面11aが、略平行になる。そして、この状態(図7(d)の状態)で、表示面11aに情報(画像情報や文字情報)を表示させれば、図8に示すように、これらの情報を使用者が見ることができる。
【0041】
表示面1aの回転機構について説明する。図9(a)に示すように、表示素子11の両側面11cには、2つの突起部8が形成されている。2つの突起部8の各々は、両側面11cの一端に形成されている。また、2つの突起部8は、それぞれの中心軸(円柱の中心軸)が一致するように、形成されている。そして、突起部8の各々は、円柱部材8a及び円柱部材8bで構成されている。ここで、円柱部8aの外径は、円柱部8bの外径に比べて大きく設定されている。また、円柱部8bの軸方向の長さは、できるだけ短くなるように設定されている。
【0042】
また、両側面1cの他端には、クリック孔9が形成されている。クリック孔9は、それぞれ、X方向において、突起部8の中心と偏心した位置に設けられている。
【0043】
また、枠体12は、図9(b)に示すように、その内周面に図におけるY方向に沿って所定の幅の溝10aが形成されている。溝10aのX方向における幅は、円柱部8aの外径と略一致している。また、内周面の端部には、2つのクリック孔9に対応する位置に、円筒状の孔10dが2つ形成されている。この孔10dには、円筒の底面に接するように、バネ10eが取り付けられている。そして、バネ10eの先端に、球状部材10fが取り付けられている。ここで、バネ10eが延びた状態で、球状部材10fの先端が開口部から僅かに突出するように、バネ10eの長さと力が設定されている。なお、バネ10eと球状部材10fは、円筒の底面から分離しないようになっている。このような構成により、クリック孔9が円筒状の孔10dの位置と一致するごとに、表示素子11を枠体12に対して固定させることができる。
【0044】
溝10aの上には、板状部材10bが固定される。板状部材10bには、開口部10cが形成されている。この開口部10cのX方向における幅は、円柱部8bの外径と略一致している。また、この開口部10cのY方向における長さは、溝10aの長さよりも短い。板状部材10bは、開口部10cに円柱部8bを挿入した後に、溝10aを覆うように、枠体12の内周面に固定される(図9(c))。このような構成により、表示素子11は突起部8の中心軸の回りに回転可能となる。更に、Y方向にも移動可能となる。
【0045】
また、円柱部8aの外周面における所定の位置には、図9(d)に示すように、磁石10gが設けられている。一方。溝10aの端部10h(表示部開閉部材5側)の内周面における所定の位置にも、磁石10gが設けられている。この2つの磁石によって、表示面11aがビームコンバイナ2と略平行となる位置に表示素子11が位置決めされ、固定される。すなわち、表示素子11を溝10aの端部10hで回転させると、円柱部8a側の磁石10gも回転する。そして、円柱部8a側の磁石10gが、端部10hの内周面に設置された磁石10gの位置と一致する。その結果、この位置で、磁力によって表示素子11の位置が固定される。
【0046】
なお、図9(d)では、円柱部8aと溝10aの内周面の間が、かなり空いている。しかしながら、前述のように、溝10aの内周面におけるX方向の幅は、円柱部8aの外径とほぼ等しい。よって、2つの磁石10gが位置した時点で、表示素子11の位置が固定される。
【実施例2】
【0047】
図10は、実施例1の携帯情報端末装置の概略図である。ここで、(a)は表示部と把持部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態を示している。
実施例2の携帯情報端末装置は、表示部1を展開した場合に、表示面を直線観察できる構成になっている。ここで、実施例1と同じ構成については、同じ番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0048】
本実施例では、ビームコンバイナ2が、ビームコンバイナ開閉部材6、ビームコンバイナ連結部材61及びビームコンバイナ移動部材62を介して、表示部1に接続されている。このような構成により、実施例2の携帯情報端末装置は、図11に示すように、シースルービュアーとしても構成されている。
【0049】
表示部開閉部材5は、実施例1で説明したとおりである。また、ビームコンバイナ連結部材61は、棒状部材である。また、ビームコンバイナ開閉部材6、ビームコンバイナ移動部材62は、公知の回転機構を用いればよい。よって、具体的な構成について、詳細な説明は省略する。
このように、実施例2の携帯情報端末装置も、実施例1と同じような構成を備えている。よって、実施例1の携帯情報端末装置は、所謂折り畳みタイプの携帯電話機、及びシースルービュアーとして構成されている。
【0050】
このような構成において、把持部3に対して表示部1を展開しない状態(表示部1が把持部3に対して閉じた状態)にする。すなわち、図10(a)に示す状態である。この状態では、表示部1を使用者側に向けても、ビームコンバイナ2が使用者に対向するだけである。すなわち、表示面11aは使用者に対向しない。そこで、使用者は、把持部3に対して表示部1を展開した状態(表示部1が把持部3に対して開いた状態)にする。すると、表示面11aが使用者に対向するようになる。この時、ビームコンバイナ2は、表示面11aとは反対側(表示面11aの裏面11b側)に移動する。そのため、使用者は、直接、表示面11aに表示された情報(画像情報や文字情報)を見ることができる。
【0051】
また、ビームコンバイナ2は、ビームコンバイナ開閉部材6によって、格納された状態になっている。すなわち、ビームコンバイナ2は、表示部1に、略密着した状態になっている。そのため、ビームコンバイナ2が周囲の物体や人と接触する可能性は少ない。よって、ビームコンバイナ2が破損する可能性も少なくなる。
なお実施例2の携帯情報端末装置を、シースルービュアーとして使用する場合については、実施例1と同様に、表示素子11を回転させればよい。
【0052】
以上のように、本実施例の携帯情報端末装置は、把持部3に対して表示部1を展開した状態で、表示面11aのみが使用者に対向する。この時、ビームコンバイナ2は、表示面11aとは反対側に位置する。そのため、使用者は、直接、表示面11aに表示された情報(画像情報や文字情報)を見ることができる。更に、ビームコンバイナ2は、表示面11aの裏面11bに近接した状態で、格納されている。よって、ビームコンバイナ2が破損する可能性も少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態にかかる携帯情報端末装置を示す図である。
【図2】実施例1の携帯情報端末装置の概略図であって、(a)は表示部と把持部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態を示す図である。
【図3】実施例1の携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと観察者の瞳位置との関係を示す図である。
【図4】実施例1の携帯情報端末装置における開閉部材の概略図である。
【図5】実施例1の携帯情報端末装置を、シースルービュアーとして使用する時の状態を示す図である。
【図6】実施例1の回転機構の構造を示す図である。
【図7】実施例1の変形例を示す図である。
【図8】変形例の携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと観察者の瞳位置との関係を示す図である。
【図9】変形例における回転機構構造を示す図である。
【図10】実施例2の携帯情報端末装置の概略図であって、(a)は表示部と把持部を閉じた状態、(b)は表示部を展開した状態を示す図である。
【図11】実施例2の携帯情報端末装置における表示部とビームコンバイナ、及びビームコンバイナと観察者の瞳位置との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 表示部
11 表示素子
11a 表示面
11b 表示面の裏面
11c 表示面の両側面
12 枠体
2 ビームコンバイナ
3 把持部
4 情報入力部
5 表示部開閉部材
5a,5b 円筒部
5a1,5b1 貫通孔
5a2 凹部
5b2,5b3 係止溝
5c,7e,10e バネ
5d,7f,10f 球状部材
5e ピン
5f 止め具
6 ビームコンバイナ開閉部材
6a,6c 円筒部
6a1,6c1 貫通孔
6b 係止部
6c2 係止爪
61 ビームコンバイナ連結部材
62 ビームコンバイナ移動部材
7 回転機構
7a 突起部
7b,9 クリック孔
7c 受け孔
7d,10d 円筒状の孔
8 突起部
8a,8b 円柱部
10a 溝
10b 板状部材
10c 開口部
10h 端部
10g 磁石
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報入力部を有する把持部と、
前記情報入力部で入力した情報又は外部から得た情報を表示する表示面を有する表示素子と、
前記表示素子と枠体からなる表示部と、
ビームコンバイナと、
表示部前記ビームコンバイナを前記表示部に対して開閉可能に支持するビームコンバイナ開閉部材と、
前記把持部に対して前記表示部を開閉可能に支持する表示部開閉部材と、
前記表示素子を枠体に対して回転させる表示面回転機構と、を備え、
前記表示面回転機構を前記枠体に設けたことを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項2】
前記ビームコンバイナは、前記表示部を閉じた時に、前記表示部と前記把持部との間に位置するように、前記表示部の一面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項3】
前記ビームコンバイナは、前記表示部を閉じたときに、前記把持部から離れた側の前記表示部の一面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項1】
情報入力部を有する把持部と、
前記情報入力部で入力した情報又は外部から得た情報を表示する表示面を有する表示素子と、
前記表示素子と枠体からなる表示部と、
ビームコンバイナと、
表示部前記ビームコンバイナを前記表示部に対して開閉可能に支持するビームコンバイナ開閉部材と、
前記把持部に対して前記表示部を開閉可能に支持する表示部開閉部材と、
前記表示素子を枠体に対して回転させる表示面回転機構と、を備え、
前記表示面回転機構を前記枠体に設けたことを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項2】
前記ビームコンバイナは、前記表示部を閉じた時に、前記表示部と前記把持部との間に位置するように、前記表示部の一面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項3】
前記ビームコンバイナは、前記表示部を閉じたときに、前記把持部から離れた側の前記表示部の一面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−148314(P2006−148314A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333132(P2004−333132)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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