説明

携帯情報端末

【課題】各種の契約行為におけるペーパーレス化を図りつつ、取得した個人情報を確実に保護できる携帯情報端末を提供する。
【解決手段】本発明に係る携帯情報端末100は、少なくとも一方が透明な一対の電極部の間に封入され、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する表示媒体を用いた電子ペーパーモジュールを備える。携帯情報端末100は、契約者の個人情報と契約書の内容を含む画像とを合わせた合成画像を電子ペーパーモジュールに表示する。携帯情報端末100は、当該合成画像を電子ペーパーモジュールに表示させる電圧を一対の電極部に印加次第、当該個人情報を消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種契約などにおけるペーパーレス化を図る携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙に必要事項が印刷された従来の契約書を用いた契約に代えて、携帯情報端末を用いた契約によるペーパーレス化が進んでいる。このような携帯情報端末を用いた契約をする場合において、契約に係る手続を簡易化するシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このシステムでは、携帯情報端末は、顧客管理サーバに格納された個人情報(氏名、年齢、住所など)のうち、契約に必要な情報を取得する。取得した個人情報がユーザ(契約者)によって認証されると、商品やサービスを提供する店舗側の装置(課金サーバなど)に当該個人情報が送信される。これにより、ユーザは、携帯情報端末を用いた契約書の作成の都度、個人情報を入力する手間が省ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4421621号公報(第6−7頁、第6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のシステムによれば、各種契約におけるペーパーレス化は図れるものの、次のような問題があった。すなわち、顧客管理サーバからダウンロードした個人情報が携帯情報端末の記憶領域(フラッシュメモリなど)に残存する可能性がある。勿論、契約行為が完了後、当該個人情報を強制的に消去する処理を実行することもできるが、ユーザは、自身の個人情報が確実に消去されたか不安を抱えるおそれがある。また、個人情報の保護の観点からも契約完了後には、個人情報が他に利用できないようにすることが望ましい。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、各種の契約行為におけるペーパーレス化を図りつつ、取得した個人情報を確実に保護できる携帯情報端末の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯情報端末(携帯情報端末100)は、通信ネットワークを介してサーバ(サーバ20)から画像データを取得する画像データ取得部(通信部160)と、少なくとも一方が透明な一対の電極部(表面電極4a,裏面電極4b)の間に封入され、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する表示媒体(白色表示媒体90W,黒色表示媒体90B)を用いた情報表示部(電子ペーパーモジュール110)と、前記一対の電極部に印加される電圧を制御し、前記画像データ取得部によって取得された前記画像データに基づく画像を前記情報表示部に表示させる表示制御部(CPU140)と、情報入力部(ペン/タッチ入力取得部130)を介して個人情報を取得する個人情報取得部(CPU140)とを備える。前記表示制御部は、前記個人情報取得部によって取得された前記個人情報と前記画像とを合わせた合成画像を前記情報表示部に表示させ、前記合成画像を前記情報表示部に表示させる電圧を一対の電極部に印加次第、前記個人情報を消去することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の特徴によれば、各種の契約行為におけるペーパーレス化を図りつつ、取得した個人情報を確実に保護できる携帯情報端末を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯情報端末100を含む契約システム10の全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯情報端末100の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るサーバ20の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電子ペーパーモジュール110の断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る携帯情報端末100の動作を説明するシーケンス図である。
【図6】ステップS30の処理において電子ペーパーモジュール110に表示される画像の一例を示す図である。
【図7】ステップS70の処理において電子ペーパーモジュール110に表示される画像の一例を示す図である。
【図8】ステップS85の処理において電子ペーパーモジュール110に表示される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る携帯情報端末の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0011】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0012】
(1)携帯情報端末を含む契約システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る携帯情報端末100を含む契約システム10の全体概略構成図である。契約システム10は、サーバ20及び携帯情報端末100とによって構成される。契約システム10は、銀行や保険会社における各種商品(サービス)の契約、または自動車や不動産などの売買契約などにおいて用いられる。契約システム10は、一連の契約行為(商品・サービスの説明から契約書への必要事項の記入)において、原則としてペーパーレス化を実現する。
【0013】
販売員50は、携帯情報端末100を用いて、サーバ20から商品の情報や契約書のフォーマットを取得するとともに、契約者60と商品などの契約を成立させる。
【0014】
サーバ20は、商品のデータベースや契約のデータベースによって構成される。携帯情報端末100は、アクセスポイント30を介して契約システム10にアクセスすることができる。
【0015】
アクセスポイント30は、所定の無線通信方式(例えば、Bluetoothや無線LAN)に従った無線中継局である。アクセスポイント30が設けられることによって、携帯情報端末100〜アクセスポイント30〜サーバ20との間には、画像データなどを送受信可能な通信ネットワークが形成される。
【0016】
携帯情報端末100は、アクセスポイント30との無線通信機能を搭載した携帯型の電子ペーパー端末である。携帯情報端末100では、画像の表示に電気的に駆動可能な粒子などの表示媒体、具体的には、白色と黒色の電子粉流体(登録商標)などの帯電性粒子を含んだ複数の粒子群が用いられる。携帯情報端末100の画面サイズは、特に限定されないが、本実施形態では、6インチ〜15インチ程度であるものとして以下説明する。
【0017】
(2)契約システムの機能ブロック構成
図2は、携帯情報端末100の機能ブロック図である。図2に示すように、携帯情報端末100は、電子ペーパーモジュール110、スピーカー120、ペン/タッチ入力取得部130、CPU140、フラッシュメモリ151、RAM152、通信部160、バッテリー170及び電源スイッチ171を備える。
【0018】
電子ペーパーモジュール110は、上述したように電子粉流体(登録商標)を用いた表示媒体移動型の画像表示パネルである。電子ペーパーモジュール110は、少なくとも一方が透明な一対の電極部を有する。表示媒体は、一対の電極部間に封入され、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する。本実施形態において、電子ペーパーモジュール110は、情報表示部を構成する。なお、電子ペーパーモジュール110のさらに具体的な構成については、後述する。
【0019】
スピーカー120は、CPU140による制御に基づいて音声などの可聴音を出力する。特に、本実施形態では、スピーカー120は、CPU140による制御に基づいて契約書の内容などを読み上げる音声を出力することができる。
【0020】
ペン/タッチ入力取得部130は、情報入力用のペン131によって電子ペーパーモジュール110の画面の特定位置が選択されたことを電子ペーパーモジュール110の裏面又は全面に配置された位置検出器6によって検出する。また、ペン/タッチ入力取得部130は、情報入力用のペン131によって電子ペーパーモジュール110の画面(情報表示面)の特定位置が選択されたときに、選択された位置の座標を所定周期(例えば、数十ミリ秒)で位置検出器6によって取得する。本実施形態において、ペン/タッチ入力取得部130は、情報入力部を構成する。なお、ペン/タッチ入力取得部130は、電磁誘導方式に限定されず、抵抗膜方式、静電容量方式等を適用してもよい。また、位置検出器6の設置位置についても、電子ペーパーモジュール110の表示面側または裏面側の何れであってもよい。
【0021】
CPU140は、電子ペーパーモジュール110に表示される画像や、スピーカー120から出力される可聴音を制御する。具体的には、CPU140は、電子ペーパーモジュール110を構成する一対の電極部に印加される電圧を制御し、通信部160によってサーバ20から取得された画像データに基づく画像を電子ペーパーモジュール110に表示させる。本実施形態において、CPU140は、表示制御部を構成する。
【0022】
また、CPU140は、ペン/タッチ入力取得部130を介して、契約者60の個人情報を取得する。本実施形態において、CPU140は、個人情報取得部を構成する。具体的には、CPU140は、契約者60の個人情報として、氏名、年齢、住所、生年月日、家族構成及び年収などを取得することができる。
【0023】
CPU140は、取得した個人情報と、契約書の内容を含む画像とを合わせた合成画像P3(図8参照)を電子ペーパーモジュール110に表示させることができる。CPU140は、合成画像P3を電子ペーパーモジュール110に表示させる電圧を一対の電極部に印加次第、取得した個人情報を消去することができる。なお、「電圧を一対の電極部に印加次第、取得した個人情報を消去する」には、当該電圧を印加すると同時にRAM152に記憶されている個人情報を消去すること、及び当該電圧を印加から多少の時間的な遅れ(1秒〜数十秒程度)を伴って当該個人情報を消去することを含むものとする。
【0024】
さらに、CPU140は、通信ネットワークを介して取得した個人情報をサーバ20に送信し、当該個人情報のサーバ20への送信が完了次第、当該個人情報を消去することもできる。具体的には、CPU140は、取得した個人情報をRAM152(揮発性メモリ)に記憶させ、フラッシュメモリ151には記憶させない。CPU140は、RAM152に記憶された個人情報を消去する。また、CPU140は、RAM152に記憶された画像データを当該個人情報とともに消去することもできる。
【0025】
CPU140は、契約書の内容を含む画像が表示された電子ペーパーモジュール110の画面上の所定領域において、ペン/タッチ入力取得部130を用いて記載された情報を取得することもできる。具体的には、CPU140は、当該所定領域に記載された契約者60の署名を取得する。本実施形態において、CPU140は、入力情報取得部を構成する。
【0026】
CPU140は、取得した署名と、契約書の内容を含む画像とを合わせた合成画像P3(図8参照)を電子ペーパーモジュール110に表示させることができる。さらに、CPU140は、合成画像P3を所定の画像フォーマット(例えば、JPEG、GIFまたはPDF)で表示装置(例えば、PC用ディスプレイ)に表示させる合成画像データをサーバ20に送信する。また、CPU140は、当該合成画像データがサーバ20に送信された場合、RAM152に記憶された当該フォーマットの合成画像データを消去することもできる。
【0027】
フラッシュメモリ151は、バッテリー170から供給される電源を電源スイッチ171によって切ってもデータが消えない不揮発性メモリである。RAM152は、バッテリー170から供給される電源が切れるとデータが消える揮発性メモリである。フラッシュメモリ151には、商品の説明資料などが記憶される。一方、RAM152には、上述したように、個人情報及び合成画像データが記憶される。
【0028】
通信部160は、アクセスポイント30と無線通信を実行する。また、通信部160は、サーバ20と所定の通信プロトコル(TCP/IPなど)に従った通信を実行する。具体的には、通信部160は、CPU140からの制御に基づいて、通信ネットワークを介してサーバ20から画像データを取得する。本実施形態において、通信部160は、画像データ取得部を構成する。なお、画像データには、商品の説明資料及び契約書の画像データが含まれる。
【0029】
バッテリー170は、携帯情報端末100を構成する各機能ブロックの動作に必要となる電源を供給する。電源スイッチ171は、携帯情報端末100Jへの電源の供給・切断を切り替える。なお、電子ペーパーモジュール110では、一対の電極部に電圧が印加されることによって、表示媒体が何れかの電極に移動した後は、電源の供給を切断しても、表示媒体の位置に変化はなく、表示されている画像が維持される。
【0030】
図3は、サーバ20の機能ブロック図である。図3に示すように、サーバ20は、通信部21、CPU23、商品データベース25及び契約データベース27を備える。
【0031】
通信部21は、携帯情報端末100と所定の通信プロトコル(TCP/IPなど)に従った通信を実行する。
【0032】
CPU23は、通信部21の動作を制御する。具体的には、CPU23は、携帯情報端末100からの要求に基づいて、商品データベース25に含まれる情報(画像データなど)を、通信部21を介して携帯情報端末100に送信させる。また、CPU23は、携帯情報端末100から送信された合成画像データを契約データベース27に登録する。
【0033】
商品データベース25には、商品の説明資料や契約書のフォーマットなどが登録される。契約データベース27には、契約者の個人情報や、署名や個人情報と契約書とが合成画像データなどが登録される。
【0034】
(3)電子ペーパーモジュールの構造
図4(a)及び(b)は、電子ペーパーモジュール110の断面図である。具体的には、図4(a)は、白色表示媒体9Wが情報表示面側(図中の「目」のマークを参照)に位置している状態を示し、図4(b)は、黒色表示媒体9Bが情報表示面側に位置している状態を示す。
【0035】
図4(a)及び(b)に示すように、電子ペーパーモジュール110は、表面基板2a、裏面基板2b、表面電極4a、裏面電極4b及び隔壁5を有する。
【0036】
一対の表面基板2a及び裏面基板2bのうち、表面基板2aは、情報表示面側に形成される。表面基板2aは透明な基板である。表面基板2aは、可視光の透過率が高く、かつ耐熱性のよいものが好ましい。裏面基板2bは、表面基板2aと対向する。本実施形態では、裏面基板2bも透明な基板である。なお、裏面基板2bは必ずしも透明でなくてもよく、一方の基板(表面基板2a)が透明であればよい。
【0037】
表面基板2a及び裏面基板2bは、一対の電極部(表面電極4a,裏面電極4b)に対応して設けられる。具体的には、表面基板2a及び裏面基板2bは、表面電極4a,裏面電極4bよりも外側にそれぞれ設けられる。
【0038】
表面電極4aは、表面基板2a側に形成される透明な電極である。表面電極4aは、表面基板2aの内側に形成されている。裏面電極4bは、裏面基板2b側に形成される電極である。裏面電極4bは裏面基板2bの内側に形成されている。表面電極4a及び裏面電極4bは、細長い帯状の電極であり、互いに直交するように配設、つまり、マトリックス状に配設されており、電子ペーパーモジュール110では、パッシブマトリックス駆動方式が用いられる。
【0039】
具体的には、表面電極4aは、電子ペーパーモジュール110の長さ方向(縦方向)に沿って複数配設される。一方、裏面電極4bは、電子ペーパーモジュール110の幅方向に沿って複数配設される。本実施形態において、表面電極4aは、所定方向に配設された第1電極を構成し、裏面電極4bは、所定方向と直交する方向に配設された第2電極を構成する。表面電極4aと裏面電極4bとが交差するそれぞれの部分が、画素に対応する。
【0040】
隔壁5は、表面基板2aと裏面基板2bとの間に形成される。隔壁5は、白色表示媒体9W及び黒色表示媒体9Bが封入される空間Sを仕切る。隔壁5は、表面基板2aと裏面基板2bとの間の空間を確保するために設けられる。空間Sには、白色表示媒体9W及び黒色表示媒体9Bの他に、気体(例えば、空気)が封入されている。なお、空間Sは真空にしてもよい。隔壁5は、表面基板2a側からの視点において格子状に形成される。格子状とは、所定の空間が形成されるように、周期的に配置されていればよい。
【0041】
なお、上述した表面基板2a、裏面基板2b、表面電極4a、裏面電極4b及び隔壁5としては、例えば特開2008−58509号公報などに記載されている材料や寸法を適宜用いることができる。
【0042】
また、電子ペーパーモジュール110は、位置検出器6、有色層7及び散乱層8を有する。位置検出器6は、有色層7の下方に設けられる。位置検出器6は、情報入力用のペン131(図1参照)によって情報表示面側から選択されたこをと検出する。
【0043】
有色層7は、裏面基板2bの外側に形成される。裏面基板2bの外側とは、表面基板2a側とは反対側をいう。有色層7は、裏面基板2bの外側の表面上に形成されている。なお、有色層7は、表面基板2a側からの視点において、隔壁5と対応する部分に形成されていてもよい。有色層7は、例えば、顔料が配合されたPETフィルムで構成される。
【0044】
散乱層8は、表面基板2aの外側に形成されている。表面基板2aの外側とは、裏面基板2b側とは反対側をいう。散乱層8は、表面基板2a上に形成されている。散乱層8は、光を散乱する。散乱層8は、光を散乱すれば、散乱方法は問わない。例えば、散乱層8の表面に凹凸を有することにより、光を散乱させる。
【0045】
白色表示媒体9W及び黒色表示媒体9Bは、表面電極4aと裏面電極4bとの間に封入される。例えば、負帯電性白色粒子を含んだ白色粒子群である白色表示媒体9W、及び正帯電性黒色粒子を含んだ黒色粒子群である黒色表示媒体9Bは、表面電極4a及び裏面電極4bを介して電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する。つまり、白色表示媒体9W及び黒色表示媒体9Bは、それぞれ異なる帯電性を有し、電気的に駆動可能である。具体的には、表面電極4aと裏面電極4bとに電圧を印加することによって、白色表示媒体9W及び黒色表示媒体9Bは、何れかの電極に向けて移動する。
【0046】
本実施形態では、表面電極4aに正の電圧を印加すると、白色表示媒体9Wが表面電極4a側に移動し、黒色表示媒体9Bが裏面電極4b側に移動する。一方、表面電極4aに負の電圧を印加すると、黒色表示媒体9Bが表面電極4a側に移動し、白色表示媒体9Wが裏面電極4b側に移動する。
【0047】
本実施形態では、白色表示媒体9Wは、以下に示す製法や材料によって製造される。まず、ポリメチルペンテンポリマー(TPX-R18;三井化学社製)100重量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR-90:石原産業社製)100重量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部とを2軸混練機により溶融混練する。得られた溶融混練物をジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕する。この粉砕物を分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR-10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化して、負帯電性の白色粒子群(白色表示媒体9W)を得ることができる。
【0048】
また、黒色表示媒体9Bは、以下に示す製法や材料によって製造される。まず、メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40重量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5重量部をサンドミルにより分散させる。分散させた液に、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5重量部を溶解させる。その後、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させる。その液を、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製))を0.5%添加した精製水に懸濁させる。懸濁液をろ過し、得られた粒子を乾燥させる。得られた乾燥物をジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕する。この粉砕物を分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級することによって、黒色粒子群(黒色表示媒体9B)を得ることができる。
【0049】
(4)携帯情報端末の動作
次に、携帯情報端末100の動作について説明する。具体的には、携帯情報端末100による契約書の表示から、取得した個人情報などの消去までの動作について説明する。
【0050】
図5は、携帯情報端末100の動作を説明するシーケンス図である。図5に示すように、ステップS10において、携帯情報端末100は、契約書のダウンロードをサーバ20に要求する。なお、ステップS10の処理は、販売員50が携帯情報端末100において契約書の取得要求を選択することによって実行される。なお、ダウンロードすべき契約書は、携帯情報端末100に表示されている複数の候補の中から販売員50が選択できる。
【0051】
ステップS20において、サーバ20は、受信した契約書のダウンロード要求に基づいて、契約書の画像データを携帯情報端末100に送信する。
【0052】
ステップS30において、携帯情報端末100は、ダウンロードした契約書の画像データに基づいて、契約書の内容を表示する。図6は、ステップS30の処理において電子ペーパーモジュール110に表示される画像の一例を示す。図6に示すように、電子ペーパーモジュール110は、契約書の内容を含む画像P1を表示する。
【0053】
なお、携帯情報端末100は、音声出力ボタンB1が表示されている領域に接触されると、契約書の内容を読み上げる音声を出力する。また、携帯情報端末100は、電子ペーパーモジュール110に契約書以外の関連する情報、例えば、商品の説明資料やカタログなどを合わせて表示してもよい。
【0054】
契約者60は、ステップS30の処理において電子ペーパーモジュール110に表示された画像に基づいて契約内容を確認する。
【0055】
ステップS40において、携帯情報端末100は、当該契約に付随するオプション情報のダウンロードをサーバ20に要求する。
【0056】
ステップS50において、サーバ20は、受信したオプション情報のダウンロード要求に基づいて、オプション情報の画像データを携帯情報端末100に送信する。
【0057】
ステップS60において、携帯情報端末100は、ダウンロードしたオプション情報の画像データに基づいて、オプション情報の内容を表示する。
【0058】
ステップS70において、携帯情報端末100は、契約内容の入力フォームを表示する。なお、オプション情報の内容表示から入力フォームへの切り替えは、販売員50の携帯情報端末100に対する操作によって行われる。図6は、ステップS70の処理において電子ペーパーモジュール110に表示される画像の一例を示す。図7に示すように、電子ペーパーモジュール110は、契約書の入力フォームを含む画像P2を表示する。
【0059】
契約者60は、ステップS70の処理において電子ペーパーモジュール110に表示された画像に基づいて、個人情報などの必要な事項や署名を携帯情報端末100に入力する。なお、契約者60は、画像P2の領域A1にペン131を用いて署名する。
【0060】
ステップS80において、携帯情報端末100は、契約者60が入力した契約内容を取得する。具体的には、携帯情報端末100は、氏名や住所などの個人情報、及び契約者60の自筆による署名を取得する。
【0061】
ステップS85において、携帯情報端末100は、契約者60によって入力された個人情報、署名及び契約書の内容を表示する。図8は、ステップS85の処理において電子ペーパーモジュール110に表示される画像の一例を示す。図8に示すように、電子ペーパーモジュール110は、個人情報、署名S1及び契約書の内容を含む画像を合わせた合成画像P3を表示する。
【0062】
契約者60は、必要に応じて合成画像P3のコピーを取得する。具体的には、契約者60は、電子ペーパーモジュール110の画面を通常のコピー機でコピーすることによって、「契約書の控え」を確保できる。
【0063】
ステップS90において、携帯情報端末100は、個人情報及び署名を含む契約書をサーバ20に送信する。具体的には、携帯情報端末100は、合成画像P3を所定の画像フォーマット(例えば、JPEG、GIFまたはPDF)に変換した合成画像データをサーバ20に送信する。
【0064】
ステップS100において、サーバ20は、携帯情報端末100から送信された契約書(合成画像データ)を契約データベース27に登録する。また、サーバ20は、当該契約書を登録したことを携帯情報端末100に通知する。
【0065】
ステップS110において、携帯情報端末100は、サーバ20の当該通知に基づいて、RAM152に記憶されている個人情報及び合成画像データを消去する。なお、RAM152に記憶されている個人情報及び合成画像データの消去は、ステップS85における処理と同時に実行してもよい。
【0066】
(5)作用・効果
携帯情報端末100によれば、合成画像P3を電子ペーパーモジュール110に表示させる電圧を一対の電極部に印加次第、取得した個人情報を消去する。このため、携帯情報端末100には、個人情報が残存することがない。また、一旦電子ペーパーモジュール110に合成画像P3を表示させてしまえば、その後に個人情報を消去したり、携帯情報端末100の電源を切断したりしても、電子ペーパーモジュール110に表示される画像には、何ら影響を及ぼさない。このような特徴は、常時電源を必要とする液晶ディスプレイなどでは不可能である。つまり、携帯情報端末100によれば、各種の契約行為におけるペーパーレス化を図りつつ、取得した個人情報を確実に保護できる。
【0067】
また、携帯情報端末100によれば、契約者60の署名と契約書の内容を含む画像とを合わせた合成画像P3が電子ペーパーモジュール110に表示される。このため、契約者60は、電子ペーパーモジュール110の画面を通常のコピー機でコピーすることによって、「契約書の控え」を確保できる。このような特徴は、バックライトを必要とする液晶ディスプレイなどでは不可能である。つまり、携帯情報端末100によれば、契約者60は、契約時に契約内容のハードコピーを取得できるため、各種の契約行為におけるペーパーレス化を図りつつ、契約内容の改ざんを防止できる。
【0068】
また、本実施形態では、個人情報のサーバ20への送信が完了次第、当該個人情報を消去することもできる。このため、高いセキュリティを維持することが比較的容易なサーバ20において確実に契約者60の個人情報を取得しつつ、個人情報の漏洩などを確実に防止し得る。
【0069】
さらに、個人情報及び合成画像P3に対応する合成画像データは、フラッシュメモリ151には一切記憶されず、RAM152に記憶されるため、携帯情報端末100の電源切断によって、個人情報及び合成画像データを確実に消去できる。このため、個人情報の漏洩や契約内容の改ざんをさらに確実に防止し得る。
【0070】
(6)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0071】
例えば、上述した実施形態では、契約書のダウンロードを要求するサーバと、合成画像P3に対応する合成画像データを送信するサーバとが同一であったが、両サーバは、必ずしも同一でなくてもよい。或いは、一方のサーバの機能を携帯電話端末に具備するようにしていもよい。
【0072】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0073】
2a…表面基板
2b…裏面基板
4a…表面電極
4b…裏面電極
5…隔壁
6…感圧パネル
50…販売員
60…契約者
7…有色層
8…散乱層
9B…黒色表示媒体
9W…白色表示媒体
10…契約システム
20…サーバ
21…通信部
23…CPU
25…商品データベース
27…契約データベース
30…アクセスポイント
100…携帯情報端末
110…電子ペーパーモジュール
120…スピーカー
130…ペン/タッチ入力取得部
131…ペン
140…CPU
151…フラッシュメモリ
152…RAM
160…通信部
170…バッテリー
171…電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介してサーバから画像データを取得する画像データ取得部と、
少なくとも一方が透明な一対の電極部の間に封入され、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する表示媒体を用いた情報表示部と、
前記一対の電極部に印加される電圧を制御し、前記画像データ取得部によって取得された前記画像データに基づく画像を前記情報表示部に表示させる表示制御部と、
情報入力部を介して個人情報を取得する個人情報取得部と
を備え、
前記表示制御部は、
前記個人情報取得部によって取得された前記個人情報と前記画像とを合わせた合成画像を前記情報表示部に表示させ、
前記合成画像を前記情報表示部に表示させる電圧を前記一対の電極部に印加次第、前記個人情報を消去する携帯情報端末。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記個人情報取得部によって取得された前記個人情報を、前記通信ネットワークを介してサーバに送信し、
前記個人情報の前記サーバへの送信が完了次第、前記個人情報を消去する請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記個人情報を揮発性メモリに記憶し、
前記揮発性メモリに記憶された前記個人情報を消去する請求項1または2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記画像データを前記揮発性メモリに記憶し、前記揮発性メモリに記憶された前記画像データを前記個人情報とともに消去する請求項3に記載の携帯情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−209777(P2011−209777A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73885(P2010−73885)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】