説明

携帯機器

【課題】携帯機器本体に着脱自在な電池パックを備えた携帯機器において、ハンドストラップを携帯機器本体に容易に取り付けることができる携帯機器を提供すること。
【解決手段】携帯機器としての携帯電話機1の携帯機器本体2に電池パック3を収納するため形成した収納部4に、その側面に凹部7を形成し、凹部7の奥部分を携帯機器本体2の表面に臨ませるために該表面に開口部8を形成し、電池パック3の側面に凹部7に遊嵌して先端が奥部分まで至る突出部11を備えている。突出部11を凹部7に遊嵌させると、突出部11は開口部8から凹部7の奥部分に挿入されたハンドストラップ9の輪10に挿通されるようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器本体に着脱自在な電池パックを備えた携帯電話機や携帯無線機器等のような携帯機器に関するものであり、特に、片手で保持するためにハンドストラップを取付けられるようにした携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話のような携帯可能な小型の機器を携帯する場合、通常ではハンドストラップを利用することが行われている。このような携帯機器は、例えば、下記の特許文献1(特開平9−298370号公報)に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された携帯電話機は、本体に設けた取付部にストラップを取付けるようにしたものである。すなわち、この携帯電話機は、電話機本体の側面に矩形の凹部を形成し、この凹部内に固定バーを一体的に形成し、この固定バーにハンドストラップを掛止させたものである。この掛止方法は、ハンドストラップの輪部を固定バーの内側に挿通させ、挿通した輪部にストラップの本体を挿通させるように構成したものである。
【0004】
すなわち、電話機本体には第1および第2の取付部が設けられ、ハンドストラップは大径輪部として形成され、その一部に設けた小径輪部が第1の取付部に連結され、他の一部に設けた鉤フック部材が第2の取付部に着脱可能に連結されるように構成している。ハンドストラップを第1の取付部にのみ連結した状態では携帯機器をつり下げた状態での保持が可能となる。また、ハンドストラップを第1および第2の取付部の両方に連結した状態では携帯機器を掌で握持する状態での保持が可能となる。
【0005】
このようにして、ハンドストラップは電話機本体に確実に取付けられる。また、携帯機器の使用の状況に応じてその形態を任意に変更しながらの保持が可能となり、保持に際しての手の自由度を高め、かつその一方で保持の確実性、保持力の低減を図っている。これにより、携帯電話機の利用者は、携帯電話機を所持する際には、取付けられたハンドストラップに手首を通し、或いは指に掛けて携帯電話機をつるした状態で所持することができる。
【特許文献1】特開平9−298370号公報(段落[0009]〜段落[0011]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術においては、携帯機器である電話機自体が小型であるので、取付部を構成する凹部が小さくなり、固定バーにハンドストラップを挿通することが難しかった。そのため、ハンドストラップの取付け作業が円滑にできないという問題があった。
【0007】
そこで、本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、携帯機器が携帯機器本体に電池パックを着脱可能に装着していることに着目し、電池パックにハンドストラップの輪を挿通させるための突出部を設け、携帯機器本体の電池パックを収納する収納部部分に開口部を設け、該開口部からハンドストラップの輪を挿入して前記突出部に挿通するようになせば上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、ストラップを取付け易くした構造を持つ携帯機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、携帯機器本体に着脱自在な電池パックを備えた携帯機器において、前記携帯機器本体は、前記電池パックを収納するために前記携帯機器本体に設けた収納部の側面に形成した凹部と、前記凹部の奥部分を前記携帯機器本体の表面に臨ませるために該表面に形成した開口部と、を備え、前記電池パックは、該電池パックの側面に設けられ前記凹部に遊嵌して先端が奥部分まで至る突出部を備え、前記突出部を前記凹部に遊嵌させると、前記突出部は、前記開口部から前記凹部の奥部分に挿入されたハンドストラップの輪に挿通されるように構成したことを特徴とする。
【0010】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる携帯機器において、前記電池パックに設けられた突出部は、円柱状の形状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3にかかる発明は、携帯機器本体に着脱自在な電池パックを備えた携帯機器において、前記携帯機器本体は、前記電池パックを収納するために前記携帯機器本体に設けた収納部の側面と携帯機器本体の表面に形成した溝部と、を備え、前記電池パックは、該電池パックの側面に設けられ前記溝部に嵌合される突出部を備え、前記突出部にストラップの輪を挿入した後に前記突出部を前記溝部に嵌合することにより、ストラップを携帯機器本体の取り付け可能であることを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、前記電池パックに設けられた突出部は、円柱状の形状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の携帯機器。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記構成を備えることにより、以下に示すような優れた効果を奏する。
【0013】
すなわち、請求項1にかかる発明においては、携帯機器本体は、前記電池パックを収納するために前記携帯機器本体に設けた収納部の側面に形成した凹部と、前記凹部の奥部分を前記携帯機器本体の表面に臨ませるために該表面に形成した開口部と、を備え、前記電池パックは、該電池パックの側面に設けられ前記凹部に遊嵌して先端が奥部分まで至る突出部を備え、前記開口部から前記凹部の奥部分に挿入されたハンドストラップの輪に、前記突出部を前記凹部に遊嵌した状態で、該突出部が前記ハンドストラップの輪に挿通されるように構成した。
【0014】
かかる構成によれば、電池パックを収納部に装着する前に、前記ハンドストラップの輪を前記開口部から前記凹部に挿入する。そして、前記電池パックを前記収納部に装着する。この装着のときに、前記突出部が前記凹部に遊嵌して該凹部内にある前記輪を挿通するので、前記電池パックの装着と同時に前記ハンドストラップを前記携帯機記器本体に取付けることができる。そのため、取り付け作業が簡単になる。また、電池パックを取り外さない限り、ハンドストラップを取り外せなくなり、ハンドストラップの取り付けが確実になる。
【0015】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる携帯機器において、前記電池パックに設けられた突出部は、円柱状の形状に形成されている。
【0016】
かかる構成によれば、ハンドストラップの輪が円柱状である前記突出部に掛止され、該突出部に対して滑らかに回動できるので、該ハンドストラップに対して前記携帯機器が滑らかに変位して使用しやすい。また、前記輪部分が磨耗して破損することがなくなる等の効果を有する。
【0017】
更に、請求項3及び4にかかる発明においては、容易にハンドストラップを携帯機器本体に取り付けることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための携帯機器を例示するものであって、本発明をこの携帯機器に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の携帯機器にも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明の実施例における携帯電話機のハンドストラップおよび電池パック取り付け前の状態を示す斜視図、図2は図1における電池パックとハンドストラップの輪の関連を示す斜視図、図3はハンドストラップおよび電池パックを取付けた状態の携帯電話機を示す斜視図である。
【0020】
本発明の実施例にかかる携帯機器である携帯電話機1は、図1に示すように電話機本体2と、電池パック3と、電話機本体2の一面に形成された電池パック3を収納する収納部4とを備えている。
【0021】
電池パック3は収納部4に着脱自在になっている。また、電池パック3は側面31に接続用端子5が設けられている。収納部4の接続用端子5に対向する側面41には、端子受部6が設けられている。電話機本体2には、収納部4に装着された電池パック3をロックするためのロック機構(図示せず)が設けられている。
【0022】
収納部4において、電池パック3の側面31の反対側の側面32に対向する側面42には、凹部7が形成されている。
【0023】
電話機本体2の表面には、凹部7の奥部分が該表面に臨まされる開口部8が形成されている。この開口部8はハンドストラップ9の輪10が挿入されるのに十分な大きさになっている。
【0024】
電池パック3における側面32の凹部7に対向する位置には、凹部7に遊嵌して先端が奥にいたる長さの円柱状の突出部11が備えられている。すなわち、該突出部11は、その先端が凹部7の最奥部分の壁面に当接するような長さを有している。この突出部11の形状及び輪10との関連を説明すると以下のようになる。
【0025】
すなわち、図2において詳しく示されているように、突出部11にハンドストラップ9の輪10を挿通するようになっている。すなわち、突出部11はハンドストラップ9を取付ける部材として機能し、単にハンドストラップ9の輪10を通すのみで、従来のようにハンドストラップの輪部を固定バーの内側に挿通させ、挿通した輪部にストラップの本体を挿通させる必要がない。
【0026】
次に、上述した本発明の実施例による携帯電話機1において、ハンドストラップ9を電話機本体2に取付けることについて説明をする。
【0027】
まず、図1で示すように、ハンドストラップ9の輪10を開口部8から凹部7の奥部分に挿入する。そして、電池パック3を収納部4に収納する際に、突出部11を凹部7に挿入する。このとき、突出部11は図2で示すように輪10内を挿通しているので、ハンドストラップ9が突出部11に掛止された状態が得られる。その結果、図3で示すように、電池パック3は収納部4にロック機構によって装着状態がロックされ、ハンドストラップ9が電話機本体2から離脱されない取付け状態となる。
【0028】
上述した本発明の実施例によれば、電池パック3を収納部4に装着する前に、ハンドストラップ9の輪10を開口部8から凹部7に挿入する。そして、電池パック3を収納部4に装着する。この装着のときに、突出部11が凹部7に遊嵌して凹部7内にある輪10を挿通するので、電池パック3の装着と同時にハンドストラップ9を携帯電話機本体2に取付けることができる。
【0029】
その後は、電池パック3は携帯電話機本体2にロック機構によって外れないようにロックされる。そのため、ハンドストラップ9は携帯電話機本体2から外れることなく完全な取付け状態となる。
【0030】
また、ハンドストラップ9の輪10は円柱状の突出部11に掛止され、突出部11に対して滑らかに回動できるので、ハンドストラップ9に対して携帯電話機本体2が円滑に変位して使用しやすい。また、輪10と突出部11との間の摩擦が少ないため、輪10部分が磨耗して破損することがない。
【0031】
更に、以下の構成としても良い。先ほど説明した実施例では、凹部7と開口部8を設けた構成としているが、図4に示すように溝部43を設ける構成としても良い。このような構成とすることにより、まず電池パック3の突出部11にストラップの輪10を通し、電池パック3を収納部4に装着するだけで、ストラップ9を容易に取り付けることが可能である。尚、電池パック3を収納部4に装着した後、図示しない電池ブタを収納部4上に嵌め込むことにより、電池パック3が携帯電話機本体2から外れることを防止できるだけでなく、ストラップの輪10が突出部11から外れるのを防止することができる。
【0032】
又、電池パック3を収納部4に装着した状態で、突出部11と溝部43との隙間から水が入り込むのを防ぐ為に、突出部11に例えばゴム製の防水キャップを取り付ける構造としても良い。
【0033】
なお、上述した本発明の実施例においては、発明を携帯電話機に適用した場合としたが、本発明にいてはこれに限定されることなく携帯通信機器、その他の機器についても適用できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、ハンドストラップを本体に容易に取り付けることができる携帯電話機などの携帯機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例における携帯電話機のハンドストラップおよび電池パック取り付け前の状態を示す斜視図である。
【図2】図1における電池パックとハンドストラップの輪の関連を示す斜視図である。
【図3】ハンドストラップおよび電池パックを取付けた状態の携帯電話機を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例における携帯電話機のハンドストラップおよび電池パック取り付け前の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1・・・・携帯電話機
2・・・・携帯電話機本体
3・・・・電池パック
4・・・・収納部
5・・・・接続用端子
6・・・・端子受部
7・・・・凹部
8・・・・開口部
9・・・・ハンドストラップ
10・・・輪
11・・・突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器本体に着脱自在な電池パックを備えた携帯機器において、
前記携帯機器本体は、前記電池パックを収納するために前記携帯機器本体に設けた収納部の側面に形成した凹部と、前記凹部の奥部分を前記携帯機器本体の表面に臨ませるために該表面に形成した開口部と、を備え、前記電池パックは、該電池パックの側面に設けられ前記凹部に遊嵌して先端が奥部分まで至る突出部を備え、
前記突出部を前記凹部に遊嵌させると、前記突出部は、前記開口部から前記凹部の奥部分に挿入されたハンドストラップの輪に挿通されるように構成したことを特徴とする携帯機器。
【請求項2】
前記電池パックに設けられた突出部は、円柱状の形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の携帯機器。
【請求項3】
携帯機器本体に着脱自在な電池パックを備えた携帯機器において、
前記携帯機器本体は、前記電池パックを収納するために前記携帯機器本体に設けた収納部の側面と携帯機器本体の表面に形成した溝部と、を備え、前記電池パックは、該電池パックの側面に設けられ前記溝部に嵌合される突出部を備え、
前記突出部にストラップの輪を挿入した後に前記突出部を前記溝部に嵌合することにより、ストラップを携帯機器本体の取り付け可能であることを特徴とする携帯機器。
【請求項4】
前記電池パックに設けられた突出部は、円柱状の形状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の携帯機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−219763(P2008−219763A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57336(P2007−57336)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】