説明

携帯無線装置

【課題】アンテナ素子を筐体下端部に配置し、近接する入力部のアンテナ性能影響を低減し、かつ、実装体積の拡大を図ることができる携帯無線装置を提供する。
【解決手段】携帯無線装置100は、回路基板130と、回路基板130とは別体であるフレキシブル基板からなる入力部配線パターンと、回路基板130の基板端部に給電部162が接続されるアンテナ素子160と、を有する。垂直配線部142は、アンテナ素子160に対して垂直に配線される。第1遮断回路は、垂直配線部142と水平配線部143間に装荷され、配線を高周波的に遮断する。水平配線部143は、給電部162近傍に配置されたコネクタ150を介して回路基板130に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯無線装置に関し、特に、バー構造を持つ携帯無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯無線装置では小型化と多機能化が進んでおり、加えて、デザイン性向上のためアンテナの内蔵化が進んでいる。
【0003】
また、携帯電話機等の携帯無線装置は、アンテナと人体との距離を大きくすることでアンテナの感度劣化を防止している。人体が吸収する電磁波のエネルギを表す指標には、SAR(Specific Absorption Rate)値が用いられる。
【0004】
特許文献1には、通信中の通信モ−ドに応じ、筐体に配置された第1,第2のアンテナ部を切替えて使用し、アンテナと人体の距離を大きくして良好な通信を確保する携帯無線機が記載されている。
【0005】
スマートフォンなどのバー構造を持つ携帯無線装置においては、セルラーアンテナは低SAR化や実装体積確保のためボトム部に配置することが主流である。
【0006】
特許文献2には、配線パターンの近傍に、電波を受信するアンテナを配置した受信機が記載されている。特許文献2記載の装置は、アンテナ素子(ループアンテナ)と配線パターンを直交させることで、磁界成分がアンテナの開口面を横切らないようにする。配線パターンから放射されるノイズ成分の飛込みを抑制することで受信感度性能を改善する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−163956号公報
【特許文献2】特開平7−203514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の携帯無線装置では、セルラーアンテナは、低SAR化や実装体積確保のために筐体下端部に配置することが主流である。また、大画面のLCDを搭載する際、入力部もまたボトム部に配置する必要がる。さらに、表示部の大画面化により実装体積が縮小され、セルラーアンテナ素子と入力部は近接した配置となる。
【0009】
以上のことから、筐体下端部には、入力部とアンテナ素子は近接して配置される。アンテナ素子近傍に入力部の信号線路が配置されることから、導体近接によりアンテナ性能が劣化する課題がある。
【0010】
本発明の目的は、アンテナ素子を筐体下端部に配置し、近接する入力部のアンテナ性能影響を低減し、かつ、実装体積の拡大を図ることができる携帯無線装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の携帯無線装置は回路基板と、前記回路基板とは別体のフレキシブル基板からなる入力部配線パターンと、前記回路基板端部に給電部が接続されるアンテナ素子と、を有する携帯無線装置であって、前記入力部配線パターンは、キー部を有するキー面部と、前記キー面部からの配線パターンを前記アンテナ素子に対して垂直に配線する垂直配線部と、前記垂直配線部に接続され、前記アンテナ素子に対して水平に配線する水平配線部と、前記給電部近傍の前記水平配線部に配置され、前記水平配線部と前記回路基板とを接続するコネクタと、を備える構成を採る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アンテナ素子を筐体下端部に配置し、近接する入力部のアンテナ性能影響を低減し、かつ、実装体積の拡大を図ることができる携帯無線装置を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る携帯無線装置の概略構成を示す斜視図
【図2】図1の携帯無線装置の構成要素の要部を示す正面図
【図3】図1の携帯無線装置の構成要素の要部を示す背面図
【図4】図1の携帯無線装置の構成要素の要部を示す側面図
【図5】上記実施の形態1に係る携帯無線装置の入力部配線パターンを展開して示す図
【図6】上記実施の形態1に係る携帯無線装置の入力部配線パターンの構成を示すブロック図
【図7】上記実施の形態1に係る携帯無線装置のキー面部の構成を示すブロック図
【図8】上記実施の形態1に係る携帯無線装置の垂直配線部とアンテナ素子の関係を示す斜視図
【図9】上記実施の形態1に係る携帯無線装置の入力部の組込みを説明する斜視図
【図10】上記実施の形態1に係る携帯無線装置の水平配線部のコネクタ配置を説明する斜視図
【図11】上記実施の形態1に係る携帯無線装置のコネクタ給電部対向側配置を比較例として示す図
【図12】上記実施の形態1に係る携帯無線装置の第1遮断回路と回路基板GND構成を示す斜視図
【図13】本発明の実施の形態2に係る携帯無線装置の入力部配線パターンのキー面部を示す上面図
【図14】上記実施の形態2に係る携帯無線装置のキー面部の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯無線装置の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1の携帯無線装置の構成要素の要部を示す正面図、図3は、その背面図、図4は、その側面図である。
【0016】
以下、本発明に係る携帯無線装置を、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末で具現化する。また、カメラ付き携帯電話機/PHS(Personal Handy-Phone System)の携帯通信端末に適用してもよい。
【0017】
図1に示すように、携帯無線装置100は、バータイプの筐体110を備える。なお、携帯無線装置100が、折畳式携帯電話機の場合、筐体110は、本体側筐体である。
【0018】
携帯無線装置100は、筐体110と、表示部120と、表示部120の下の筐体110の筐体下端部(ボトム部)110aに設置された機能ボタンからなる入力部101と、を備える。
【0019】
表示部120は、近年の大画面化の傾向があり端末の実装体積が縮小されている。また、表示部120には、タッチパネル(図示略)が設置され、入力手段の機能も兼ね備えている。
【0020】
入力部101は、筐体下端部110aに配置され、後述する入力部配線パターン140に接続されている。上記タッチパネルが、入力手段の機能も兼ね備えるため、入力部101は操作の補助的役割を担い、ボタン数も少なく、体積も縮小化されている。
【0021】
図2乃至図4に示すように、携帯無線装置100は、筐体110と、表示部120と、回路基板130と、筐体下端部110aに設置され、入力部101(機能ボタン)と回路基板130とを接続するフレキシブル基板からなる入力部配線パターン140と、給電部162側に配置され、入力部配線パターン140と回路基板130とを接続する基板接続部であるコネクタ150と、筐体下端部110aに設置され、入力部配線パターン140の水平配線部143に対して直交配置されたアンテナ素子160と、を備える。
【0022】
以上から、筐体下端部110aには、アンテナ素子160が筐体110の幅方向に設置され、アンテナ素子160と垂直に入力部配線パターン140が設置される。筐体下端部110aには、回路基板130に接続されたアンテナ素子160と入力部配線パターン140とが近傍に配置されることになる。
【0023】
表示部120は、筐体110の表面の略全面を覆う大型ディスプレイである。表示部120は、LCDディスプレイ又は有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等で構成され、受信した情報の内容やコンテンツ等を表示する。
【0024】
回路基板130は、携帯無線装置100の各種機能を実現する回路部品が実装されたプリント基板である。回路基板130の下端には、アンテナ素子160を接続する基板端部130aと、回路基板GND抜き部130bとが形成されている。
【0025】
入力部配線パターン140は、回路基板130とは別体であるフレキシブル基板からなる。入力部配線パターン140の詳細構成については後述する。
【0026】
コネクタ150は、給電部162近傍に配置される。
【0027】
アンテナ素子160は、回路基板130の基板端部130aに給電部162が接続される。アンテナ素子160は、金属フレームからなる導体部161と、給電部162とを有し、給電部162は、回路基板130の基板端部130aに接続される。アンテナ素子160を構成する金属フレームには、高い導電性を有し、かつ軽量で強度が高い金属、例えばマグネシウム合金を用いる。導体部161は、筐体下端部110aにおいて、基板端部130aに接続された給電部162から、筐体110の幅方向に延びている。
【0028】
筐体下端部110aより筐体110長手上方向に対して、アンテナ素子160の導体部161と、基板端部130aに沿って折り曲げられたキー面部141と垂直配線部142と水平配線部143と、水平配線部143上の給電部162近傍に配置されたコネクタ150とが、この順に配置される構成を採る。
【0029】
図5は、入力部配線パターン140を展開して示す図である。
【0030】
図5に示すように、入力部配線パターン140は、入力部101(機能ボタン)の押下スイッチであるキー部101a〜101cを搭載するキー面部141と、キー面部141からアンテナ素子160に対し垂直に配線する垂直配線部142と、垂直配線部142からアンテナ素子160及び回路基板130に対して平行に配線し、コネクタ150に結線する水平配線部143と、を有する。
【0031】
キー面部141は、キー部101a〜101cと、LED102と、キー部101a〜101c同士の同電位の信号線に装荷された第2遮断回路172と、LED102と垂直配線部142の間に装荷された第3遮断回路173と、を有する。
【0032】
また、垂直配線部142と水平配線部143間には、第1遮断回路171が装荷されている。
【0033】
また、水平配線部143の給電部162近傍には、入力部配線パターン140と回路基板130とを接続するコネクタ150が取り付けられている。
【0034】
図6は、入力部配線パターン140の構成を示すブロック図である。
【0035】
図6に示すように、入力部配線パターン140は、キー面部141、垂直配線部142、第1遮断回路171、及び水平配線部143を備え、水平配線部143は、給電部162近傍に配置されたコネクタ150に接続される。
【0036】
キー面部141は、基板端部130a(図3)に沿って折り曲げられる。
【0037】
垂直配線部142は、アンテナ素子160に対して垂直に配線される。
【0038】
第1遮断回路171は、垂直配線部142と水平配線部143間に装荷され、配線を高周波的に遮断する。
【0039】
水平配線部143は、給電部162近傍に配置されたコネクタ150を介して回路基板130に接続される。
【0040】
以下、入力部配線パターン140の各部の構成について説明する。
【0041】
〔キー面部141〕
図7は、キー面部141の構成を示すブロック図である。押下スイッチであるキー部が3つ、LEDが2つの例である。キー面部141は、LED以外の他の部品を搭載してもよく、数も任意である。
【0042】
図7に示すように、キー面部141は、キー部101a〜101cと、LED102と、キー部101a〜101c同士の同電位の信号線に装荷された第2遮断回路172と、LED102と垂直配線部142の間に装荷された第3遮断回路173と、を備える。
【0043】
キー面部141は、キー部101a〜101c同士の同電位の信号線を、第2遮断回路172を介してキー面部141上で接続する。
【0044】
キー面部141の部品の一例であるLED102は、第3遮断回路173を介して垂直配線部142に接続する。
【0045】
このように、携帯無線装置100は、同電位の信号線をキー面部141上で接続することで、垂直配線部142の配線本数を削減し、物理的な幅を減らすことができる。このため、アンテナ性能への影響を更に低減することができ、小型化することができる。
【0046】
また、携帯無線装置100は、第2遮断回路172をキー部101a〜101c間に配置することで、高周波的に、キー面部141上の配線が水平方向に繋がっていないように見え、垂直配線設計の構成を維持したまま配線を減らすことができる。
【0047】
また、キー面部141に配置する部品を、第2遮断回路172及び第3遮断回路173で高周波的に切り離すことで浮いた導体とし、導体近接によるアンテナ性能への影響を低減する。
【0048】
携帯無線装置100は、LED102を第3遮断回路173を介して垂直配線部142に接続することで、静電気によるLED102の破壊を防止することができる。
【0049】
なお、図5及び図6は、キー面部構成の一例であり、これに限るものではない。
【0050】
〔垂直配線部142〕
図8は、垂直配線部142とアンテナ素子160の関係を示す斜視図である。図9は、入力部101の組込みを説明する斜視図である。
【0051】
図8に示すように、入力部配線パターン140の水平配線部143は、給電部162近傍に配置されたコネクタ150を介して回路基板130に接続される。
【0052】
入力部配線パターン140の垂直配線部142は、回路基板130の底面で折り曲げられる。
【0053】
垂直配線部142は、アンテナ素子160に対し垂直に配線を行う基本構成を採る。
【0054】
さらに、図9に示すように、垂直配線部142は、フレキシブル基板である入力部配線パターン140を折り曲げた際に、垂直配線部142の異なる配線間が重ならないように構成する。すなわち、垂直配線部142は、折り曲げることによって、折り曲げ部分の垂直配線部142が対向する。このとき、対向した垂直配線部142の同一の配線同士が重なるようにし、垂直配線部142の異なる配線同士が重ならないようにする。
【0055】
このように、携帯無線装置100は、アンテナ素子160に流れるアンテナ電流(図8実線矢印参照)と、入力部配線パターン140に流れるフレキシブル基板電流(図8破線矢印参照)を直交させることで、アンテナ性能への影響を低減する。
【0056】
また、アンテナ素子160に近接する垂直配線部142の配線間が、容量結合しアンテナ性能への影響が大きくなることを抑制する。
【0057】
〔水平配線部143〕
図10及び図11は、水平配線部143のコネクタ150配置を説明する斜視図であり、図10は、本実施の形態のコネクタ150給電側配置を示す図、図11は、コネクタ給電部対向側配置を比較例として示す図である。
【0058】
図10に示すように、本実施の形態の入力部配線パターン140の水平配線部143は、アンテナ素子160及び回路基板130に対して水平に配線し、給電部162近傍に配置されたコネクタ150を介して回路基板130に接続する。
【0059】
このように、携帯無線装置100は、回路基板130に流れる基板(GND)電流(図10実線矢印参照)と水平配線部143(140)の配線パターンに流れる配線パターン電流(図10破線矢印参照)とを同位相とすることで、アンテナ性能への影響を低減することができる。
【0060】
図11の比較例に示すように、給電部対向側配置されたコネクタ150aによって、給電部対向側の回路基板130部分に接続した場合、回路基板130に流れる基板(GND)電流(図11実線矢印参照)と水平配線部143(140)の配線パターンに流れる配線パターン電流(図11破線矢印参照)とが逆位相となってしまい、アンテナ性能への影響を低減することはできない。
【0061】
本実施の形態では、水平配線部143は、アンテナ素子160及び回路基板130に対して水平に配線し、かつ、給電側配置されたコネクタ150を介して回路基板130に接続することによって、回路基板130に流れる基板(GND)電流と水平配線部143(140)の配線パターンに流れる配線パターン電流とを同位相とし、アンテナ性能への影響を低減することができる。
【0062】
上記コネクタ150給電側配置による効果に加え、水平配線部143のコネクタ150を回路基板130幅方向に束ねることで以下の効果がある。
【0063】
水平配線部143は、回路基板130幅方向端部に配線を束ね、束ねた配線をコネクタ150を介して回路基板130と接続することで、回路基板130の実装スペースを拡大することができる。
【0064】
〔第1遮断回路171〕
図12は、第1遮断回路171と回路基板130GND構成を示す斜視図である。
【0065】
図12に示すように、フレキシブル基板である入力部配線パターン140は、回路基板130の下端部に沿って折り曲げられる。この場合、垂直配線部142は、回路基板GND部130bに重ならない位置に配置する。
【0066】
一方、第1遮断回路171は、垂直配線部142と水平配線部143間に配置され、配線を高周波的に切断する。
【0067】
入力部配線パターン140を折り曲げて組み込む状態にした際に、垂直配線部142と水平配線部143とが重ならない位置に、第1遮断回路171を配置する。すなわち、第1遮断回路171は、折り曲げられた垂直配線部142と重ならない位置に配置する。
【0068】
このように、携帯無線装置100は、垂直配線部142と水平配線部143間に第1遮断回路171を装荷し、かつ、垂直配線部142と回路基板GND部130bが重ならないように構成したので、垂直配線部142と水平配線部143の高周波電流を切り離すことで、アンテナ性能への影響を更に低減することができる。
【0069】
また、垂直配線部142と水平配線部143とが高周波的に結合するのを抑制し、第1遮断回路171による高周波遮断効果を向上させることができる。
【0070】
また、垂直配線部142と回路基板130とが高周波的に結合するのを抑制し、第1遮断回路171による高周波遮断効果を向上させることができる。
【0071】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の携帯無線装置100は、回路基板130と、回路基板130とは別体であるフレキシブル基板からなる入力部配線パターン140と、回路基板130の基板端部130aに給電部162が接続されるアンテナ素子160と、を有する。
【0072】
筐体下端部110aより筐体110長手上方向に対して、アンテナ素子160の導体部161と、基板端部130aに沿って折り曲げられたキー面部141と垂直配線部142と水平配線部143と、水平配線部143上の給電部162近傍に配置されたコネクタ150とが、この順に配置される。
【0073】
垂直配線部142は、アンテナ素子160に対して垂直に配線される。第1遮断回路171は、垂直配線部142と水平配線部143間に装荷され、配線を高周波的に遮断する。水平配線部143は、給電部162近傍に配置されたコネクタ150を介して回路基板130に接続される。
【0074】
以上の構成により、下記の効果を得ることができる。
【0075】
(1) アンテナ素子160に近接する入力部配線パターン140の配線を、アンテナ素子160に対して垂直に配置(垂直配線部142とアンテナ素子160との垂直配置)ことで、入力部配線パターン140の近接影響を低減することができる。
【0076】
また、回路基板GND部130bと重なる位置の配線は、水平配線部143によって水平方向に配線すると共に、片端に配線を集める。そして、コネクタ150によって回路基板130と接続することで、回路基板130の実装スペース拡大を図ることができる。
【0077】
特に、コネクタ150は、給電部162近傍に配置することで、水平配線部143と回路基板GND部130bに流れる電流を同位相にすることができ、高いアンテナ性能を得ることができる。
【0078】
(2) 垂直配線部142と水平配線部143間に第1遮断回路170を装荷し、配線を高周波的に遮断する。また、回路基板130上で、垂直配線部142と平面的に重なる箇所のグランドを抜く回路基板GND部130bを配置する。あるいは、回路基板130自体が重ならないように配置する。
【0079】
垂直配線部142と水平配線部143の高周波電流を切り離すことで、上記(1)の効果を更に向上させることができる。
【0080】
また、垂直配線部142と回路基板GND部130bを重ならないようにすることで、基板経由で垂直配線部142と回路基板GND部130bとが結合することを防ぎ、第1遮断回路171による高周波遮断効果を更に向上させることができる。
【0081】
(3) キー部101a〜101cが複数ある場合、キー面部141のダイヤフラムのGNDラインなど、同電位の信号線を、複数のキー部101a〜101c間に配置された第2遮断回路172を介してキー面部141上で接続する。
【0082】
同電位の信号線をキー面部141上で接続することで、垂直配線部142の配線本数を削減し、物理的な幅を減らすことができる。このため、アンテナ性能への影響を更に低減することができ、装置の小型化を図ることができる。
【0083】
ここで、第2遮断回路172をキー部101a〜101c間に配置することで、高周波的に、キー面部141上の配線が水平方向に繋がっていないように見える。これにより、垂直配線設計と両立させることができ、上記(1)の効果を維持したまま配線を減らすことができる。
【0084】
(4) 垂直配線部142は、折り曲げた際に、配線同士が重ならないように構成する。また、キー面部141の部品(LED102等)は第3遮断回路173を介して垂直配線部142と接続する。
【0085】
配線同士が重り容量結合することで、第2遮断回路172による遮断効果が低減し、アンテナ素子近接による性能影響が増大するのを抑制することができる。
【0086】
また、キー面部141に配置する部品を第3遮断回路173で高周波的に切り離すことで浮いた導体とし、導体近接によるアンテナ性能への影響を低減することができる。
【0087】
(実施の形態2)
図13は、本発明の実施の形態2に係る携帯無線装置の入力部配線パターンのキー面部241を示す上面図である。図14は、上記キー面部241の構成を示すブロック図である。本実施の形態の説明に当り、図5及び図7と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0088】
図13及び図14に示すように、キー面部241は、キー部101a〜101cと、LED102と、キー部101a〜101c同士の同電位の信号線に装荷された第2遮断回路172と、LED102と垂直配線部142の間に装荷された第3遮断回路173と、GNDパターン242と、LED102とGNDパターン242間に接続され、LED102を高電圧から保護するバリスタ243と、を備える。
【0089】
キー面部141は、キー部101a〜101c同士の同電位の信号線を、第2遮断回路172を介してキー面部141上で接続する。
【0090】
キー面部141の部品の一例であるLED102は、第3遮断回路173を介して垂直配線部142に接続する。
【0091】
LED102は、バリスタ243を介してGNDパターン242に接続する。
【0092】
このように、本実施の形態では、同電位の信号線をキー面部241上で接続することで、垂直配線部142の配線本数を削減することができる。物理的な幅を減らすことができるため、アンテナ性能への影響を更に低減することができ、延いては装置の小型化を図ることができる。
【0093】
また、本実施の形態では、第2遮断回路172をキー部101a〜101c間に配置することで、高周波的には、キー面241上の配線が水平方向に繋がっていないように見え、垂直配線設計の構成を維持したまま配線を減らすことができる。
【0094】
さらに、キー面部241に配置する部品(ここではLED102)を、第3遮断回路173により高周波的に切り離すことで浮いた導体とし、導体近接によるアンテナ性能への影響を低減することができる。
【0095】
また、バリスタ243を介してLED102をGNDパターン242に接続することで、静電気によるLED102の破壊を防止することができる。
【0096】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0097】
回路基板に接続されたアンテナ素子と、アンテナ素子近傍に配置されたマイクとを有する携帯無線装置であればどのような装置にも適用できる。例えば、バー構造を持つ携帯無線装置は勿論のこと、携帯電話機/PHS(Personal Handy-Phone System)、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末、ノート型パソコン等の情報処理装置にも適用可能である。
【0098】
また、上記各実施の形態の給電部は、図面上では模式的に示されており、実際には回路基板とアンテナ素子はバネ性を有する金属や、ピンなどで接続される構成を採る。
【0099】
また、上記各実施の形態では、携帯無線装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、携帯無線機、無線装置等でもよいことは勿論である。
【0100】
また、上記携帯無線装置を構成する筐体、アンテナ素子、フレキシブル基板、コネクタの種類、数及び接続方法などは前述した実施の形態に限られない。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明に係る携帯無線装置は、アンテナ素子を筐体下端部に配置し、近接する入力部のアンテナ性能影響を低減し、かつ、実装体積の拡大を図る携帯無線装置を提供できる。バー構造を持つ携帯電話機等の携帯無線装置などに有用である。
【符号の説明】
【0102】
100 携帯無線装置
101 入力部
101a〜101c キー部
102 LED
110 筐体
110a 筐体下端部
130 回路基板
130a 基板端部
140 入力部配線パターン
141,241 キー面部
142 垂直配線部
143 水平配線部
150 コネクタ
160 アンテナ素子
161 導電部
162 給電部
171 第1遮断回路
172 第2遮断回路
173 第3遮断回路
242 GNDパターン
243 バリスタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板とは別体のフレキシブル基板からなる入力部配線パターンと、前記回路基板端部に給電部が接続されるアンテナ素子と、を有する携帯無線装置であって、
前記入力部配線パターンは、
キー部を有するキー面部と、
前記キー面部からの配線パターンを前記アンテナ素子に対して垂直に配線する垂直配線部と、
前記垂直配線部に接続され、前記アンテナ素子に対して水平に配線する水平配線部と、
前記給電部近傍の前記水平配線部に配置され、前記水平配線部と前記回路基板とを接続するコネクタと、
を備える携帯無線装置。
【請求項2】
前記コネクタは、前記回路基板に流れる前記基板電流と前記水平配線部に流れる配線パターン電流とが同位相になる、前記入力部配線パターン上に形成される、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項3】
前記垂直配線部と前記水平配線部間に装荷され、配線を高周波的に遮断する第1遮断回路を備える、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項4】
前記垂直配線部は、前記回路基板端部に沿って折り曲げられ、
前記第1遮断回路は、折り曲げられた前記垂直配線部と重ならない位置に配置する、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項5】
前記回路基板は、グランドパターンを有し、
前記垂直配線部は、前記回路基板端部に沿って折り曲げられ、前記垂直配線部と重なる前記回路基板にはグランドパターンを配置しない、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項6】
前記垂直配線部は、前記回路基板端部に沿って折り曲げられ、折り曲げられた前記垂直配線部の異なる配線同士が重ならない、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項7】
前記キー面部は、前記キー部同士を同電位で繋ぐ信号線と、
前記信号線に装荷され、配線を高周波的に遮断する第2遮断回路と、を有する、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項8】
前記キー面部は、LEDを含む電子部品と、
前記電子部品と前記垂直配線部を接続する信号線に装荷され、配線を高周波的に遮断する第3遮断回路と、を有する、請求項1記載の携帯無線装置。
【請求項9】
前記電子部品を高電圧から保護する保護素子を備える、請求項8記載の携帯無線装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図13】
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【図14】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−239119(P2012−239119A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108203(P2011−108203)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】